説明

試料採取部材、試料取り出し部材、及びそれらを備えた試料採取キット

【課題】採取者が試料、特に糞便の表面をまんべんなく簡単に採取することができ、さらには表面だけでなく内部の糞便も簡単に採取することができるなど、試料の任意の部分を容易に採取して、容易に検査に用いることのできる、試料採取部材、試料取り出し部材、及びそれらを備えた試料採取キットを提供する。
【解決手段】試料採取部材1”’は、試料Eを採取する試料採取部11”’を有し、試料採取部11”’が、板状の側壁部を少なくとも一つ備えて構成されていて、長手方向が深さ方向に対して垂直な、薄肉板状空間を形成する、断面が略コの字型の試料保持溝11a”’と、試料保持溝11a”’の開口に沿って試料を削り取り可能な角部11b”’を有する。試料取り出し部材2””は、試料採取部材1”’における試料保持溝11a”’に摺接しながら挿入可能な太さの径を持つ棒状の試料取り出し部21””を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、糞便を試料として採取する、試料採取部材、試料取り出し部材、及びそれらを備えた試料採取キットに関する。
【背景技術】
【0002】
日本国内において大腸がんは増加傾向にあり、その原因は食生活の欧米化にあると考えられている。
この大腸がんを早期に発見できる検査方法として便潜血検査がある。大腸がんでは、大腸粘膜にできたがんに糞便が接触し出血するため、糞便に血液が混ざる特徴がある。便潜血検査はこの出血を見つける検査方法である(非特許文献1)。便潜血検査は糞便を少量採取することで検査が行なえ、検査を受ける側にとって簡単で費用負担も少ないことから、早期に大腸がんを発見できる方法として健康診断などで広く行われている。
しかし、便潜血検査は痔で陽性となってしまうというような欠点もある。そこで、糞便中の腫瘍マーカや糞便の中に剥離したがん細胞などを検出する方法が試みられている。
【0003】
大腸は奥の方から、盲腸、上行結腸、横行結腸、下行結腸、S状結腸、直腸、肛門となっている。このうち、盲腸と上行結腸を通るときの糞便は液状である(非特許文献1)ので、この部分のがんからのマーカや剥離したがん細胞は便全体に混ざると考えられる。一方、下行結腸、S状結腸、直腸と肛門に近づくにつれて糞便は固化してくるので、マーカや剥離したがん細胞は糞便の表面に付着しやすくなる。
また、特許文献1の発明要旨には、結腸上皮細胞の細胞および細胞片は形成中の糞便の表面上に、糞便の長さに沿った長軸方向の「筋(stripe)」の物質として流出することが認識されているとの記述があり、糞便の円周表面、横断面の部分を得る工程を含む疾患マーカをスクリーニングする方法が示されている。ただし、糞便の円周表面、横断面の部分を実際に得る方法や用具については、実施例に、容器に糞便から少なくとも1つの横断面部分を取り出すための手段を備える旨の記述があるが、その具体的な用具については示されていない。
マーカや剥離したがん細胞などを検出するために糞便を採取する用具としては、例えば、特許文献2に記載のものがある。これは、糞便に突き刺すことにより0.5グラム以上の糞便を採取できる容量を有するシリンジと、それを収納する収納容器を含む便採取キットである。
【特許文献1】特表2002−515973
【特許文献2】特開2006−138815
【非特許文献1】ホームページ「おなかの健康ドットコム」、[online]、 http://www.onaka-kenko.com/earlydetection/digestive-organ/pdf/large-intestine-cancer.pdf
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
糞便が液状である盲腸や上行結腸からのマーカは糞便全体に混ざり、肛門に近い部位のマーカは糞便の表面に付着するため、糞便の表面ならび内側の部分を採取することはマーカや剥離したがん細胞などを検出するとともにがんの部位を特定する上で重要である。
特に、表面上のマーカや剥離したがん細胞は糞便の長さ方向に筋状に存在するため、糞便表面の一部分しか採取しない場合、採取した部分が、がんができている部位から外れていると、その糞便の中にマーカや剥離したがん細胞が含まれない。また、一部分しか採取しないと、検出に必要な量を取ることができない可能性がある。
したがって、がんの有無を検出する場合には、糞便の全体をまんべんなくサンプリングすることが重要であり、また、がんの部位を特定するためには、糞便の表面と内部を分けてサンプリングすることが重要となる。
【0005】
しかるに、特許文献2の便採取キットでは、糞便にシリンジを突き刺すことにより糞便を採取しているが、突き刺すタイプのシリンジでは、表面の糞便は突き刺した部分しか取れない。このため、採取する糞便の部分によっては、採取した糞便の中に、糞便の表面にあったマーカや剥離したがん細胞が含まれないか、または少量しか含まれないという問題がある。
【0006】
このようなことが起きないようにするためには、シリンジの先端で、糞便の上面や側面のできるだけ多くの部分を擦るようにして糞便を採取する必要がある。このとき、糞便の上面はシリンジの先端を当てやすいが、側面はシリンジを縦方向に動かしながら糞便に当てる場所を変えていかなければならない。または、排便後の糞便がある便器内でシリンジを倒してその先端で糞便の側面をなぞらなければならない。
【0007】
糞便の側面に縦方向にシリンジを当てる場合は、糞便の断面がおおよそ円形のため、糞便が回転しやすい。その結果、糞便が採取できずに糞便が回転するだけとなりやすい。さらに、便器内でシリンジを横に倒して糞便の側面から採取する場合には、便器内に手やシリンジが触れやすいので採取者が気を使わなくてはならない。そして、触れた場合には不衛生となる。
【0008】
また、シリンジで糞便を突き刺した場合には、糞便の硬さや大きさによっては、糞便にシリンジが突き刺さったまま、糞便の塊がシリンジの外部にくっつき、それを採取者が除かないと、容器に入れられない。
【0009】
このように、従来の便採取キットは、採取者が試料、特に糞便の表面をまんべんなく採取したり、内部の糞便も採取する等、試料の任意の部分を採取し、採取した糞便を検査に用いることが容易ではなかった。
【0010】
本発明は、上記従来の問題点に鑑みてなされたものであり、採取者が試料、特に糞便の表面をまんべんなく簡単に採取することができ、さらには表面だけでなく内部の糞便も簡単に採取することができるなど、試料の任意の部分を容易に採取して、容易に検査に用いることのできる、試料採取部材、試料取り出し部材、及びそれらを備えた試料採取キットを提供することを目的とする。
【0011】
上記目的を達成するため、本発明による試料採取部材は、試料を採取する試料採取部を有し、前記試料採取部が、板状の側壁部を少なくとも一つ備えて構成されていて、長手方向が深さ方向に対して垂直な、薄肉板状空間を形成する、断面が略コの字型の試料保持溝と、前記試料保持溝の開口に沿って試料を削り取り可能な角部を有することを特徴としている。
【0012】
また、本発明の試料採取部材においては、前記試料保持溝が、二つの前記薄板状の側壁部を対向させた状態に備えて構成されているのが好ましい。
【0013】
また、本発明の試料採取部材においては、試料採取時に把持する把持部が、前記試料採取部に接続されているのが好ましい。
【0014】
また、本発明の試料採取部材においては、前記把持部が、前記試料採取部の一端に接続されているのが好ましい。
【0015】
また、本発明の試料採取部材においては、さらに、前記試料採取部を収容する、試料採取部収容容器を有するとともに、前記試料採取部収容容器に前記試料採取部を収容した状態で試料採取部収容容器の開口を閉じる蓋を、前記試料保持溝と前記把持部との間に備えるのが好ましい。
【0016】
また、本発明の試料採取部材においては、前記試料採取部収容容器が、保冷手段を備えるのが好ましい。
【0017】
また、本発明の試料採取部材においては、前記試料保持溝を構成する側壁部のうち少なくとも一方の側の側壁部が、透明な材料で作られているのが好ましい。
【0018】
また、本発明の試料採取部材においては、前記試料保持溝における前記把持部側の底面が、開口に向かって連続する曲面形状に形成されているのが好ましい。
【0019】
また、本発明の試料採取部材においては、前記試料保持溝の開口が、前記試料採取部の側方から先端にかけて続いているのが好ましい。
【0020】
また、本発明による試料取り出し部材は、上記本発明のいずれかの試料採取部材における前記試料保持溝に摺接しながら挿入可能な太さの径を持つ棒状の試料取り出し部を有してなることを特徴としている。
【0021】
また、本発明の試料取り出し部材においては、さらに、上記本発明のいずれかの試料採取部材における前記試料保持溝へ前記試料取り出し部を挿入して該試料取り出し部を該試料保持溝の長手方向に沿って移動させるときの前記試料保持溝からの前記試料取り出し部の離脱を防止する挿入状態保持部を有するガイド部と、前記試料取り出し部と前記ガイド部とを支持する支持部を有するのが好ましい。
【0022】
また、本発明の試料取り出し部材においては、前記挿入状態保持部が、上記本発明のいずれかの試料採取部材における前記試料保持溝へ前記試料取り出し部を挿入した状態において前記試料採取部を挟むのが好ましい。
【0023】
また、本発明の試料取り出し部材においては、前記ガイド部が、前記挿入状態保持部の先端に、上記本発明のいずれかの試料採取部材における前記試料保持溝に前記試料取り出し部が挿入させやすくなるように、先端から奥に向うにしたがって間が狭くなるように傾斜された傾斜部を有するのが好ましい。
【0024】
また、本発明の試料取り出し部材においては、前記試料取り出し部と前記ガイド部とが、長手方向が同じになるように設けられているのが好ましい。
【0025】
また、本発明の試料取り出し部材においては、前記ガイド部が、上記本発明のいずれかの試料採取部材の前記試料採取部における前記試料保持溝の開口とは反対側の長手方向近傍を囲むことが可能な、長手方向に延びた略コの字型形状に形成され、前記試料取り出し部が、前記ガイド部に対して、その先端部が前記試料採取部における前記試料保持溝の底面の厚みと略同じ間隔であり、その後端部に向かうにしたがって次第に間隔が広がるように傾斜し、さらに、前記後端部と前記支持部との接続部を中心として前記先端部が前記ガイド部から離れる方向に弾性変形可能に構成されているのが好ましい。
【0026】
また、本発明による試料採取キットは、上記本発明のいずれかの試料採取部収容容器を備えた試料採取部材と、前記試料採取部材における前記試料採取部収容容器に設けられた上記本発明のいずれかの試料取り出し部材とを備えてなることを特徴としている。
【0027】
また、本発明の試料採取キットにおいては、前記試料採取部材における前記試料保持溝の外部に付着した試料を摺り切るための摺り切り部を備えるのが好ましい。
【0028】
また、本発明の試料採取キットにおいては、前記摺り切り部が、前記試料採取部収容容器に設けられた開口で構成されているのが好ましい。
【0029】
また、本発明の試料採取キットにおいては、前記試料採取部を前記試料採取部収容容器に収容するときの向きを規制する収容方向規制手段を備えるのが好ましい。
【0030】
また、本発明の試料採取キットにおいては、前記試料採取部収容容器に、試料を処理する処理溶液が充填されているのが好ましい。
【0031】
また、本発明の試料採取キットにおいては、試料と前記処理溶液との攪拌部材を備えるのが好ましい。
【0032】
また、本発明の試料採取キットにおいては、前記試料採取部収容容器が、試料の採取量に応じた試料を処理する処理溶液の必要充填量を示す目盛を有するのが好ましい。
【0033】
また、上記本発明のいずれかの試料採取部材においては、前記試料保持溝を該試料保持溝の底面が背中合わせになるようにして二つ備えるのが好ましい。
【0034】
また、上記本発明のいずれかの試料採取キットにおいては、前記試料保持溝を該試料保持溝の底面が背中合わせになるようにして二つ備えた、上記本発明のいずれかの試料採取部収容容器を備えた試料採取部材と、前記試料採取部材における前記試料採取部収容容器に設けられた上記本発明のいずれかの試料取り出し部材とを備えてなるのが好ましい。
【発明の効果】
【0035】
本発明によれば、採取者が試料、特に糞便の表面をまんべんなく簡単に採取することができ、さらには表面だけでなく内部の糞便も簡単に採取することができるなど、試料の任意の部分を容易に採取して、容易に検査に用いることのできる、試料採取部材、試料取り出し部材、及びそれらを備えた試料採取キットが得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0036】
実施形態の説明に先立ち、本発明の作用効果について説明する。
本発明の試料採取部材は、試料採取部が、薄板状の側壁部を少なくとも一つ備えて構成されていて、長手方向が深さ方向に対して垂直な、薄板状空間を形成する、断面が略コの字型の試料保持溝と、試料保持溝の開口に沿って試料を削り取り可能な角部を有している。
このようにすれば、試料採取部の側壁部を試料に対して平行に近い角度にして試料保持溝の開口を試料に向けて、試料の表面部分をこするだけで、表面の試料を角部で削り取りながら試料保持溝の中に採取することができる。したがって、試料の表面部分を全面にわたってこすることで、試料の表面部分をまんべんなく容易に採取することができる。
また、一方、試料の内部を採取する場合には、試料保持溝の開口を試料に押し当てることにより、角部で試料を切り取りながら、内部の試料を試料保持溝の中に採取することができる。
従って、本発明の試料採取部材によれば、一つの部材で、表面全体の糞便と内部の糞便を簡単に採取することができる。
なお、本発明の試料採取部材では、試料採取部の試料保持溝の容量は一定であるため、試料を定量的に採取することができる。この場合、試料保持溝の容量を検査に適した所定量となるように設計するとより好ましい。
また、本発明の試料採取部材は、試料採取部の試料保持溝が薄板状空間を形成するので、低粘度の試料を採取する場合であっても、毛細管現象を介して試料を試料保持溝の中に採取できる。
【0037】
なお、本発明の試料採取部材における試料採取部の試料保持溝は、二つの薄板状の側壁部を対向させた状態に備えて構成されているのが好ましい。このようにすれば、試料採取部全体が薄板状になるため、試料の内部を採取する場合に試料を切り取り易くなる。
【0038】
また、本発明の試料採取部材の試料採取部には、試料採取時に把持する把持部が接続されているのが好ましい。このようにすれば、試料の採取操作がし易くなる。なお、把持部は、試料採取部の一端に接続されているとより試料の採取操作がし易くなる。
【0039】
また、本発明の試料採取部材においては、さらに、試料採取部を収容する、試料採取部収容容器を有するとともに、試料採取部収容容器に試料採取部を収容した状態で試料採取部収容容器の開口を閉じる蓋を、試料保持溝と把持部との間に備えるのが好ましい。
このようにすれば、他の容器を用いることなく、試料を試料採取部に採取したまま保存できる。
【0040】
その場合、試料採取部収容容器が、保冷手段を備えるのが好ましい。
このようにすれば、試料採取部で採取した試料の劣化を極力抑えて保存することができる。
【0041】
また、本発明の試料採取部材においては、試料保持溝を構成する側壁部のうち少なくとも一方の側の側壁部が、透明な材料で作られているのが好ましい。
このようにすれば、試料保持溝に入る試料の採取状況を眼で確認することができる。
【0042】
また、本発明の試料採取部材においては、試料保持溝における把持部側の底面が、開口に向かって連続する曲面形状に形成されているのが好ましい。
試料保持溝に採取した試料は、処理溶液を介して処理するために試料取り出し部材を介して取り出す必要がある。その際、試料保持溝における把持部側の底面を、開口に向かって連続する曲面形状に形成すれば、試料取り出し部材による試料保持溝の中の試料の取り出しがし易くなる。
【0043】
また、本発明の試料採取部材においては、試料保持溝の開口が、試料採取部の側方から先端にかけて続いているのが好ましい。
このようにすると、試料保持溝の先端部と側部の両方から試料を採取することができ、試料が採取し易くなる。また、試料採取後、試料取り出し部材による試料保持溝の中の試料の取り出しがし易くなる。
【0044】
また、本発明による試料取り出し部材は、上記本発明のいずれかの試料採取部材における試料保持溝に摺接しながら挿入可能な太さの径を持つ棒状の試料取り出し部を有してなる。
このようにすれば、試料採取部の試料保持溝の中の試料を取り出すことができる。
【0045】
また、本発明の試料取り出し部材においては、さらに、上記本発明のいずれかの試料採取部材における試料保持溝へ試料取り出し部を挿入して該試料取り出し部を該試料保持溝の長手方向に沿って移動させるときの試料保持溝からの試料取り出し部の離脱を防止する挿入状態保持部を有するガイド部と、試料取り出し部とガイド部とを支持する支持部を有するのが好ましい。
このようにすれば、試料取り出し操作中における試料取り出し部材の試料取り出し部の試料保持溝からの離脱を防止でき、試料取り出し操作がよりし易くなる。
この場合、挿入状態保持部が、上記本発明のいずれかの試料採取部材における試料保持溝へ試料取り出し部を挿入した状態において試料採取部を挟むようにすると好ましい。
【0046】
また、本発明の試料取り出し部材においては、ガイド部が、挿入状態保持部の先端に、上記本発明のいずれかの試料採取部材における試料保持溝に試料取り出し部が挿入させやすくなるように、先端から奥に向うにしたがって間が狭くなるように傾斜された傾斜部を有するのが好ましい。
【0047】
また、本発明の試料取り出し部材においては、試料取り出し部とガイド部とが、長手方向が同じになるように設けられているとよい。
【0048】
また、本発明の試料取り出し部材においては、ガイド部が、上記本発明の試料採取部材の試料採取部における試料保持溝の開口とは反対側の長手方向近傍を囲むことが可能な、長手方向に延びた略コの字型形状に形成され、試料取り出し部が、ガイド部に対して、その先端部が試料採取部における試料保持溝の底面の厚みと略同じ間隔であり、その後端部に向かうにしたがって次第に間隔が広がるように傾斜し、さらに、後端部と支持部との接続部を中心として先端部がガイド部から離れる方向に弾性変形可能に構成されているのが好ましい。
このようにすれば、試料採取部材をガイド部にガイドさせるだけで、試料採取部材の試料保持溝の中に採取された試料を容易に取り出すことができる。
【0049】
そして、本発明による試料採取キットは、上記本発明のいずれかの試料採取部収容容器を備えた試料採取部材と、試料採取部材における試料採取部収容容器に設けられた上記本発明のいずれかの試料取り出し部材とを備える。
このようにすれば、採取者が試料を取り出す操作を行なわずに、試料を採取した試料採取部を試料採取部収容容器に入れるだけで、試料採取部の試料保持溝の中の試料を試料採取部収容容器の中に取り出すことができる。
このとき、本発明の試料採取キットにおいては、試料採取部材における試料保持溝の外部に付着した試料を摺り切るための摺り切り部を備えるのが好ましい。
このようにすれば、余分な試料を除去することができる。
【0050】
また、本発明の試料採取キットにおいては、摺り切り部が、試料採取部収容容器に設けられた開口で構成されているのが好ましい。
このようにすれば、試料を採取した試料採取部を試料採取部収容容器に入れるだけで、余分な試料を簡単に除去することができる。
【0051】
また、本発明の試料採取キットにおいては、試料採取部を試料採取部収容容器に収容するときの向きを規制する収容方向規制手段を備えるのが好ましい。
このようにすれば、試料採取部を試料採取部収容容器に収容する向きの誤りを防止することができる。
【0052】
本発明の試料採取キットにおいては、試料採取部収容容器に、試料を処理する処理溶液が充填されているのが好ましい。
このようにすれば、試料採取部に採取した後に試料を採取した試料採取部を試料採取部収容容器に入れるだけで他の容器を用いることなく試料を処理溶液の中にいれることができる。
また、本発明の試料採取キットにおいては、試料と処理溶液との攪拌部材を備えるのが好ましい。
このようにすれば、処理溶液を介した試料の処理時間を短縮することができる。
【0053】
また、本発明の試料採取キットにおいては、試料採取部収容容器が、試料の採取量に応じた試料を処理する処理溶液の必要充填量を示す目盛を有するのが好ましい。
このようにすれば、採取容量の異なる試料保持溝が設けられた複数種類の試料採取部を試料採取部収容容器にセットすることができるように構成した場合や試料採取部11を試料採取部収容容器に収容後に処理溶液を入れる場合などにおいて、所定の試料採取部を用いて試料を採取したときに、その採取量に応じた必要量の処理溶液を、別途計量手段で計量することなく、試料採取部収容容器に充填することができる。
または、所定量の容量の試料が採取できた場合に、処理溶液の液面が上昇する位置に目盛を有するのが好ましい。この場合には、所定量の試料を採取できていなかったとき、その試料分の容積が増加しないので処理溶液の液面が目盛より下方に位置する。そして、試料採取を行う者や処理溶液をその後の検査に使う者が、所定量の試料が採取できているかどうか溶液量を見ただけで知ることができる。採取時であれば、処理溶液の液面が目盛より上方に位置するまで繰り返し採取を行えば良く、試料が不足してその後の検査等が行えないことを防ぐことができる。検査等の直前では、試料が不足して検査等が正確に行いないことを予測できるので、不要な検査等を行わないですむ。
【0054】
なお、上記本発明のいずれかの試料採取部材においては、試料保持溝を該試料保持溝の底面が背中合わせになるようにして二つ備えるのが好ましい。
このようにすれば、表面の試料と、内部の試料とを試料保持溝ごとに分けて採取でき、一つの部材で用途に応じた精度の高い検査を行なうことが可能となる。つまり、糞便が液状である盲腸や上行結腸からのマーカは糞便全体に混ざり、肛門に近い部位のマーカは糞便の表面に付着するため、糞便の表面と内部を分けてサンプリングし、それぞれに含まれるマーカを調べることでがんの部位を特定することができる。
【0055】
そして、上記本発明のいずれかの試料採取キットにおいては、試料保持溝を該試料保持溝の底面が背中合わせになるようにして二つ備えた、上記本発明のいずれかの試料採取部材と、試料採取部材における試料採取部収容容器に設けられた上記本発明のいずれかの試料取り出し部材とを備えてなるのが好ましい。
【0056】
次に、本発明の試料採取部材、試料取り出し部材、及びそれらを備えた試料採取キットの実施形態を図面を用いて説明する。
まず、本発明の試料採取キットに用いる試料採取部材の実施形態について説明する。
第一実施形態
図1は本発明の第一実施形態にかかる試料採取部材の構成を示す分解斜視図である。図2は図1に示す試料採取部材の試料採取部における試料保持溝及び試料保持溝の変形例を示す断面図で(a)は図1に示す試料採取部材の試料採取部における試料保持溝を示す図、(b)〜(i)は試料保持溝の変形例を示す図である。図3は図1に示す試料採取部材の試料採取時における使用態様を示す説明図で、(a)は試料の表面部分を採取するときの使用態様を示す図、(b)は試料の横断面部分を採取するときの使用態様を示す図、(c)は試料採取部材の先端部を介して試料を採取するときの使用態様を示す図、(d)は試料採取後の試料採取部材の態様を示す図である。
第一実施形態の試料採取部材1は、試料採取部11と、把持部12と、試料採取部収容容器13と、蓋14を有している。
試料採取部11は、試料保持溝11aと、角部11b(11b11,11b12,11b21,11b22)を有している。
試料保持溝11aは、対向配置された薄板状の側壁部11a1,11a2を備えて構成され、その長手方向が深さ方向に対して垂直な薄板状空間を形成し、図2(a)に示すように、断面が略コの字型に形成されている。
薄板状の側壁部11a1,11a2は、透明なプラスチック又はガラスなど透明な材料でできている。
試料保持溝11aの開口は、試料採取部11の側方から先端にかけて続いている。また、試料保持溝11aの底面11a3における把持部12側の所定部位11a31は、開口に向かって連続する曲面形状に形成されている。
角部11b(11b11,11b12,11b21,11b22)は、試料保持溝11aの開口に沿って薄板状の側壁部11a1,11a2の縁に夫々設けられており、試料を削り取り可能に構成されている。
把持部12は、蓋14を挟んで試料採取部11の後端部11cに接続されており、試料採取部材1を手で把持できるように構成されている。
試料採取部収容容器13は、その内部に試料採取部11を収容可能な、底面が矩形の筒状に構成されている。
蓋14は、試料保持溝11aと把持部12との間に備えられている。そして、蓋14は、試料採取部収容容器13に試料採取部11を収容した状態で、試料採取部収容容器13の開口を閉じることができるように構成されている。
【0057】
このように構成された第一実施形態の試料採取部材を用いて試料を採取する、採取操作について説明する。
試料の表面を採取する場合には、把持部12を把持しながら、試料採取部11を、例えば、側壁部11a1が側壁部11a2よりも試料に近くなるように、試料の表面に対して平行に近い角度でもって、試料保持溝11aの開口が試料に向くように傾ける。そして、試料の表面近傍を、図3(a)に示すように、試料Eの長手方向(図3(a)に示す矢印A方向)に沿ってこする。すると、側壁部11a1の縁に設けられた角部11b11,11b12が、試料Eの表面部分を削り取る。このとき、側壁部11a1が薄板状に形成されているため、削り取られた試料Eは、側壁部11a1を容易に乗り越えて、開口から試料保持溝11aの中に入る。試料保持溝11aの中に入った試料Eは、図3(d)に示すように、試料保持溝11aを構成する側壁部11a1,11a2の内側面及び底面11a3を介して保持される。
そこで、試料Eの表面部分を全面にわたってこすることで、試料の表面部分をまんべんなく容易に採取することができる。
【0058】
また、試料の内部における断面部分を採取する場合には、例えば、図3(b)に示すように、把持部12を把持しながら、試料採取部11を、側壁部11a1,11a2の板面を試料Eに対して略垂直に近い角度でもって、試料保持溝11aの開口の長手方向が試料Eの長手方向に対して交差するようにして、試料保持溝11aの開口を試料Eに押し当てる。そして、試料Eの長手方向を横断するように、所定方向(図3(b)では矢印B方向)に力を加える。すると、側壁部11a1,11a2の縁に設けられた角部11b(11b11,11b12,11b21,11b22)が、試料Eの所定部位を切断する。切断された所定部位における角部11b11と角部11b21の間の試料Eは、表面部及び内部に致るまでのものが、開口から試料保持溝11aの中に入る。試料保持溝11aの中に入った試料Eは、図3(d)に示すように、試料保持溝11aを構成する側壁部11a1,11a2の内側面及び底面11a3を介して保持される。
【0059】
また、試料の内部における特定部位を採取する場合には、例えば、図3(c)に示すように、把持部12を把持しながら、試料採取部11を、試料保持溝11aの開口の先端が試料Eに向くようにして、試料保持溝11aの開口を試料Eの特定部位に押し当てる。そして、試料採取部11を試料Eに突き刺す。すると、試料保持溝11aの開口の先端の角部11b(11b11,11b12,11b21,11b22)が試料の特定部位を切り取る。切り取られた特定部位における角部11b11と角部11b21の間の試料Eは、突き刺した所定の深さに対応するものが、開口から試料保持溝11aの中に入る。試料採取部11を試料Eに突き刺すと同時に手前に引いて試料Eを切るようにしてもよい。試料保持溝11aの中に入った試料Eは、図3(d)に示すように、試料保持溝11aを構成する側壁11a1,11a2の内側面及び底面11a3を介して保持される。
【0060】
このように、第一実施形態の試料採取部材1によれば、一つの試料採取部材でもって、表面全体の糞便と内部の糞便を簡単に採取することができる。
なお、試料採取部11における試料保持溝11aは、容量が一定であるため、試料を定量的に採取することができる。この場合、試料保持溝11aの容量を検査に適した所定量となるように設計するとより好ましい。
また、試料採取部11の試料保持溝11aが、薄板状空間を形成するので、採取する試料が低粘度の場合であっても、毛細管現象を介して試料を試料保持溝11aの中に採取できる。
また、第一実施形態の試料採取部材1によれば、試料採取部11の試料保持溝11aを、二つの薄板状の側壁部11a1,11a2を対向させた状態に備えたので、試料採取部11全体が薄板状になり、試料の内部を採取するような場合に試料を切り取り易くなる。
また、側壁部11a1,11a2を、透明な材料で作ったので、試料保持溝11aに入る試料の採取状況を眼で確認することができる。
また、第一実施形態の試料採取部材1によれば、試料採取部収容容器13を有するとともに、試料採取部収容容器13に試料採取部11を収容した状態で試料採取部収容容器13の開口を閉じる蓋14を、試料保持溝11aと把持部12との間に備えたので、他の容器を用いることなく、試料を試料採取部11に採取したまま保存できる。
また、第一実施形態の試料採取部材1によれば、試料保持溝11aにおける把持部12側の底面を、開口に向かって連続する曲面形状に形成したので、後述する試料取り出部材を介して試料保持溝11aの中に入れて試料を取り出すような場合に、試料保持溝11aの中の試料が取り出し易くなる。
また、第一実施形態の試料採取部材1によれば、試料保持溝11aの開口が、試料採取部11の側方から先端にかけて続いているので、試料採取部材1の先端部と側部の両方から試料を採取することができ、試料が採取し易くなる。また、試料を採取後、後述する試料取り出し部材による試料保持溝11aの中の試料の取り出しがし易くなる。
【0061】
なお、試料保持溝11aは、図2(a)に示す構成の他に、複数を並列する構成(図2(b))、側壁部11a1,11a2の高さが異なる構成(図2(c))、角部11b1,11b2が鋭角な構成(図2(d))、溝の開口側が広い構成(図2(e))、溝の底面11a3が曲面(断面形状では、図2(f)に示すように溝の奥側が曲線)となる構成、溝の開口側が狭い構成(図2(g))、側壁11a、11bにおける溝の開口側が薄い構成(図2(h))、側壁部11a1,11a2における溝の開口側の側壁が薄く、且つ、側壁部11a1,11a2の外側面が曲面に形成された構成(図2(i))を採用してもよい。
また、試料採取部11に備わる側壁部11a1,11a2は、いずれか一方のみが薄板状に形成され、他方は、厚みを帯びた構成であってもよい。そのような構成であっても薄板状に形成された一方の側壁部を介して試料の表面部分を採取することが可能である。
さらに、試料採取部11に備わる側壁部11a1,11a2は、いずれか一方のみが、透明な材料で作られ、他方は、非透明な構成であってもよい。そのような構成であっても、透明な材料で作られた一方の側壁部を介して、試料保持溝11aに入る試料の採取状況を眼で確認することができる。
【0062】
第二実施形態
図4は本発明の第二実施形態にかかる試料採取部材の構成を示す説明図で、(a)は分解図、(b)は(a)における試料採取部収容容器のA−A断面図である。
第二実施形態の試料採取部材1’は、試料採取部11と、把持部12と、試料採取部収容容器13’と、蓋14’とを有している。
試料採取部11、把持部12及び蓋14’の基本的な構成は、図1に示した第一実施形態の試料採取部材における試料採取部11、把持部12及び蓋14と略同じである。なお、蓋14’は、試料採取部収容容器13’が円筒状に形成されていることに伴い、円柱状に形成されている。
試料採取部収容容器13’は、保冷手段を備えて構成されている。
保冷手段は、保冷容器13a’と、保冷材13b’と、断熱容器13c’と、断熱容器の蓋13d’とで構成されている。
保冷容器13a’は、試料採取部11を収容可能な筒状部材で構成されている。保冷容器13a’の開口13a1’は、保冷容器13a’に試料採取部11を収容した状態で、試料採取部11に接続されている蓋14’で塞がれるように形成されている。また、保冷容器13a’を構成する筒状部材の内部には、筒状空間部13a2’が設けられている。
保冷材13b’は、保冷容器13a’の筒状空間部13a2’に密閉状態に充填されている。
断熱容器13c’は、保冷容器13a’の外側の底面及び側面を覆うように形成された筒状の断熱材で構成されている。
断熱容器の蓋13d’は、断熱容器13c’の開口13c1’と嵌合して、断熱容器13c’の内側を密閉するように構成されている。
【0063】
このように構成された第二実施形態の試料採取部材によれば、試料採取部収容容器3’を介して試料採取部11で採取した試料の劣化を極力抑えて保存することができる。
その他の作用効果は、図1に示した第一実施形態の試料採取部材と略同じである。
【0064】
第三実施形態
図5は本発明の第三実施形態にかかる試料採取部材における試料採取部の構成を示す説明図である。
第三実施形態の試料採取部材では、試料採取部11”は、第一の試料保持溝111aと第二の試料保持溝112aを、それらの底面1113,1123とが背中合わせになるようにして備えている。
第一の試料保持溝111aは、図1に示した試料保持溝11と略同様に構成されている。また、これに伴い、角部111b(11111,11112,11121,11122)は、試料保持溝111aの開口に沿って薄板状の側壁部11a1,11a2の縁に夫々設けられている。
第二の試料保持溝112aは、第一の試料保持溝111aと面対称であって、図1に示した試料保持溝11aと略同様に構成されている。また、これに伴い、角部112b(11211,11b212,11221,11222)は、第二の試料保持溝112aの開口に沿って薄板状の側壁部11a1,11a2の縁に夫々設けられている。
その他の構成は、図1に示した第一実施形態又は図4に示した第二実施形態の試料採取部材と略同じである。
【0065】
このように構成された第三実施形態の試料採取部材によれば、試料採取部の試料保持溝を111a,112aを、それらの底面1113,1123とが背中合わせになるようにして備えたので、例えば、第一試料保持溝を111aを介して図3(a)に示すようにして表面部分の試料を採取するときは、第二の試料保持溝112aの中には表面部分の試料が入り込まない。また、第二の試料保持溝112aを介して図3(b)に示すようにして内部の試料を採取するときは、第一の試料保持溝111aの中には内部の試料が入り込まない。
このため、表面の試料と、内部の試料とを試料保持溝ごとに分けて採取でき、一つの部材で用途に応じた精度の高い検査を行なうことが可能となる。つまり、糞便が液状である盲腸や上行結腸からのマーカは糞便全体に混ざり、肛門に近い部位のマーカは糞便の表面に付着するため、糞便の表面と内部を分けてサンプリングし、それぞれに含まれるマーカを調べることでがんの部位を特定することができる。
その他の作用効果は、図1に示した第一実施形態又は図4に示した第二実施形態の試料採取部材と略同じである。
【0066】
次に、本発明の試料採取キットに用いる試料取り出し部材の実施形態について説明する。
第四実施形態
図6は本発明の第四実施形態にかかる試料取り出し部材の構成及び試料取り出し部を用いて試料採取部から試料を取り出すときの使用態様を示す説明図で、(a)は試料取り出し部を試料保持溝の側部における最も把持部に近い側から挿し込むときの態様を示す図、(b)は(a)に示すようにして試料保持溝に試料取り出し部を挿し込み、溝の中を先端側に向かって摺動させたときの態様を示す図、(c)は試料取り出し部を試料保持溝の先端部に挿し込むときの態様を示す図、(d)は(c)に示すようにして試料保持溝に試料取り出し部を挿し込み、溝の中を把持部側に向かって摺動させたときの態様を示す図である。
第四実施形態の試料取り出し部材2は、試料取り出し部21と、支持部22とを有している。
試料取り出し部21は、図1〜図5に示した各実施形態の試料採取部材(図6では図1に示した試料採取部材1を示している)における試料保持溝11aに、摺接しながら挿入可能な太さの径を持つ棒状部材で構成されている。
支持部22は、試料取り出し部21の後端21aに接続されており、試料取り出し部21を支持するとともに手で把持できるように構成されている。
【0067】
このように構成された第四実施形態の試料取り出し部材を用いて試料を取り出す操作方法について説明する。
例えば、図6(a)に示すように、支持部22を把持しながら、試料取り出し部21を、その長手方向が試料保持溝11aの底面11a3に対して略垂直となる向きにして、試料保持溝11aの側部における最も把持部12に近い側から挿し込む。すると、試料取り出し部21は、試料保持溝11aに摺接しながら内部に入る。このとき、試料保持溝11aの底面11a3における把持部12側の所定部位11a31は、開口に向かって連続する曲面形状に形成されている。このため、試料取り出し部21は、試料Eを試料保持溝11aの隅に残すことなくその先端側に押出す。次いで、図6(b)に示すように、試料保持溝11aの中をその先端側に向けて試料取り出し部21を摺動させる。このとき、試料保持溝11aの開口は、試料採取部11の側方から先端にかけて続いている。このため、試料Eは、試料取り出し部21を介して、試料保持溝11aに殆ど残ることなく試料保持溝11aの先端及び先端近傍の側部から外部に押し出される。
【0068】
また、例えば、図6(c)に示すように、試料取り出し部21を、その長手方向が試料保持溝11aの底面11a3に対して略垂直となる向きにして、試料保持溝11aの先端に挿入する。このとき、試料保持溝11aの開口は、試料採取部11の側方から先端にかけて続いている。このため、試料取り出し部21は、試料保持溝11aに摺接しながらその先端より内部に入る。次いで、図6(d)に示すように、試料保持溝11aの中を把持部12側に向けて試料取り出し部21を摺動させる。このとき、試料保持溝11aの底面11a3における把持部12側の所定部位11a31は、開口に向かって連続する曲面形状に形成されている。このため、試料Eは、試料取り出し部21を介して、試料保持溝11aの隅に殆ど残ることなく把持部12近傍から外部に押し出される。
このように、第四実施形態の試料取り出し部材2によれば、試料保持溝11aに保持された略全ての試料Eを取り出すことができる。
【0069】
第五実施形態
図7は本発明の第五実施形態にかかる試料取り出し部材の構成及び試料取り出し部を用いて試料採取部から試料を取り出すときの使用態様を示す説明図で、(a)は試料取り出し部を試料保持溝の側部における最も把持部に近い側から挿し込むときの態様を示す図、(b)は(a)に示すようにして試料保持溝に試料取り出し部を挿し込み、溝の中を先端側に向かって摺動させたときの態様を示す図である。
第五実施形態の試料取り出し部材2’は、図6に示した第四実施形態の試料取り出し部材2の構成に加えて、ガイド部23を有している。
ガイド部23は、挿入状態保持部23aと、傾斜部23bを有してなり、長手方向が試料取り出し部21と同じになるようにして、挿入状態保持部23aの後端23a1が支持部22に接続されている。支持部22は、試料取り出し部21とガイド部23とを支持している。
挿入状態保持部23aは、試料保持溝11aの中へ試料取り出し部21を挿入した状態において試料採取部11を挟む一対の細長板状部材で構成されている。これにより、挿入状態保持部23aは、試料取り出し部21が試料保持溝11aの位置からずれないようにして試料保持溝11aへ挿入し易くし、また、試料取り出し部21を試料保持溝11aの長手方向に沿って移動させるときには試料保持溝11aからの試料取り出し部21の離脱を防止する。
傾斜部23bは、挿入状態保持部23aの先端に設けられている。そして、試料保持溝11aに試料取り出し部21が挿入させやすくなるように、その先端から奥に向うにしたがって間が狭くなるように傾斜している。
その他の構成は、第四実施形態の試料取り出し部材2と略同じである。
【0070】
このように構成された第五実施形態の試料取り出し部材2’によれば、図7(a)に示すように、試料取り出し部21を、その長手方向が試料保持溝11aの底面11a3に対して略垂直となる向きにして、試料保持溝11aの側部における最も把持部12に近い側から挿入するとき、傾斜部23bが、その先端から奥に向うにしたがって間が狭くなるように傾斜しているので、試料取り出し部21を試料保持溝11aに挿入させやすくなる。また、図7(b)に示すように、試料保持溝11aの中をその先端側に向けて試料取り出し部21を摺動させるとき、挿入状態保持部23bが試料採取部11を挟むので、試料取り出し部21を試料保持溝11aの長手方向に沿って移動させるときの試料保持溝11aからの試料取り出し部21の離脱を防止でき、試料取り出し操作がし易くなる。
その他の作用効果は、図6に示した第四実施形態の試料取り出し部材2と略同様である。
【0071】
第六実施形態
図8は本発明の第六実施形態にかかる試料取り出し部材の構成及び試料取り出し部を用いて試料採取部から試料を取り出すときの使用態様を示す説明図で、(a)は試料取り出し部の先端に試料保持溝の先端を挿入するときの態様を示す図、(b)は(a)に示すようにして試料保持溝を試料取り出し部に挿入し、支持部側に向かって押し込んだときの態様を示す図、(c)は(b)に示した状態からさらに支持部側に押し込み試料の取り出しを終えたときの態様を示す図である。
第六実施形態の試料取り出し部材2”は、試料取り出し部21”と、ガイド部23”と、支持部22”を有している。
ガイド部23”は、試料採取部材1の試料採取部11における試料保持溝11aの開口とは反対側の長手方向近傍を囲むことが可能な、長手方向に延びた略コの字型形状に形成されている。支持部22”は、試料取り出し部21”とガイド部23”とを支持している。
試料取り出し部21”は、図1〜図5に示した各実施形態の試料採取部材における試料保持溝11aに摺接しながら挿入可能な太さの径を持ち、ガイド部23”に対して、その先端21b”が試料採取部11における試料保持溝11aの底面11a3の厚みと略同じ間隔であり、その後端21a”に向かうにしたがって次第に間隔が広がるように傾斜し、さらに、後端21a”と支持部22”との接続部を中心として先端21b”がガイド部23”から離れる方向に弾性変形可能な棒状部材で構成されている。
【0072】
このように構成された第六実施形態の試料取り出し部材2”を用いて試料を取り出す、取り出し操作について説明する。
試料取り出し部材2”は、試料採取部収容容器(図示省略)の内部に入れて固定させておく。
そして、まず、図8(a)に示すように、試料採取部収容容器(図示省略)に固定された試料取り出し部材2”のガイド部23”に、試料採取部11における試料保持溝11aとは反対側が囲まれるように、試料採取部材1を試料取り出し部材2”に対して位置決めする。このとき、試料取り出し部材2”のガイド部23”と試料取り出し部21”の先端21b”との間に、試料採取部材1における試料採取部11の試料保持溝11aの先端の底面11a3が挟まれる。
次に、図8(b)に示すように、試料採取部材1を、試料取り出し部材2”の支持部22”側に押し込む。すると、試料取り出し部21”の先端21b”が試料保持溝11aの底面11a3を摺動するとともに、試料取り出し部21”の側部が試料保持溝11aの内側面を摺動しながら、試料保持溝11aに保持された試料Eを押し上げる。押し上げられた試料Eは、試料取り出し部21”における、試料保持溝11aの底面11a3とは反対側の側面に載せられる。
次に、図8(c)に示すように、試料採取部材1を、試料取り出し部材2”の支持部22”側にさらに押し込む。このとき、試料保持溝11aの底面11a3における把持部12側の所定部位11a31は、開口に向かって連続する曲面形状に形成されている。このため、試料取り出し部21”の先端が、試料保持溝11aの底面11a3における把持部12側の所定部位11a31を把持部12方向に摺動するにしたがって、底面11a3から試料保持溝11aの開口側へ押圧力を受ける。このとき、試料取り出し部21”は、後端21a”と支持部22”との接続部を中心として先端21b”がガイド部23”から離れる方向に弾性変形可能に形成されている。このため、試料取り出し部21”の先端21b”は、次第に試料保持溝11aの開口側に移動していく。そして、試料取り出し部21”の先端21b”が、試料保持溝11aの底面11a3における最も把持部12に近い端部に到達したとき、試料取り出し部21”における、試料保持溝11aの底面11a3とは反対側の側面に載せられた試料Eが、試料保持溝11aの外部に押し出される。
【0073】
従って、第六実施形態の試料取り出し部材2”によれば、試料採取部収容容器(図示省略)に固定させておくことによって、採取者が試料を取り出す操作を行なうことなく、試料を採取した試料採取部材1を試料採取部収容容器に入れるだけで、試料採取部11の試料保持溝11aの中の試料Eを試料採取部収容容器の中に取り出すことができるようになる。
【0074】
次に、本発明の試料採取キットの実施形態について説明する。
第七実施形態
図9は本発明の第七実施形態にかかる試料採取キットの構成を示す説明図で、(a)は試料採取キットを用いて試料を採取し、採取した試料を容器の中に取り出した状態を示す図、(b)は(a)の試料採取キットに備わる摺り切り部を示すB−B断面図である。
第七実施形態の試料採取キットは、図1に示した第一実施形態の試料採取部材1と基本的構成が略同じである試料採取部材1”と、図8に示した第六実施形態の試料取り出し部材2”と基本的構成が略同じである試料取り出し部材2”’を備えて構成されている。
なお、試料採取部収容容器13”は、円筒状に形成されている。また、それに伴い、蓋14”は、円柱状に形成されている。
試料採取部収容容器13”は、容器側壁部部材13e”と容器底部部材13i”で構成されている。容器側壁部部材13e”は、側壁部13e1”に後述する摺り切り部13f”を押さえる凸部13e11”があり、底側には螺子13e111”がある。この螺子13e111”に容器底部部材13i”にある螺子13i1”を螺合させて容器側壁部部材13e”の底を塞ぐとともに、容器側壁部部材13e”に底側から摺り切り部13f”、試料取り出し部材2”’の順に組み込んだ部材を凸部13e11”へ押し付けるようにして固定している。摺り切り部13f”と支持部22”’の間はガイド部23”’が支えている。支持部22”’は容器側壁部部材13e”の内径全面を覆っているわけではなく、処理溶液15が底側に抜けられるようになっている。また、容器底部部材13i”には底部13i11”に比べて厚みが薄くなっている底部薄厚部13i111”が底部13i11”中央付近にあり、試料Eを処理溶液15に拡散してその溶液を取り出すときに、注射針様の部材を刺して吸引することができる。
試料採取部収容容器13”には、試料Eを処理するための処理溶液15が充填されている。また、試料採取部収容容器13”における処理溶液15の液面よりも上部には、摺り切り部13f”が設けられている。
摺り切り部13f”は、試料採取部収容容器13”の内側に組み込まれた栓13f1”と、栓13f1”に形成された開口13f11”で構成されている。開口13f11”は、試料採取部11”における試料保持溝11a”の外部に付着した試料Eを摺り切ることができるように、試料採取部11”が摺接しながら通り抜け可能な大きさ及び形状に形成されている。また、開口13f11”は、試料採取部11”を通した状態で試料採取部材1”の蓋14”が試料採取部収容容器13”と試料採取部11”との隙間を閉じることができる位置に来るように位置合わせして設けられている。
また、試料取り出し部材2”’のガイド部23”’及び試料取り出し部21”’、支持部22”’は、摺り切り部13f”と共に試料採取部収容容器13”内に組み込まれた状態において、開口13f1”を通過した試料採取部11”の試料保持溝11a”の中の試料Eを取り出すことができる位置に位置合わせして設けられている。
【0075】
このように構成された第七実施形態の試料採取キットでは、試料採取部11”を介して所定部位の試料Eを採取した後、試料採取部11”を試料採取部収容容器13”の開口13f11”を通過させて内部に収容する。このとき、試料保持溝11a”の外部に付着した余分な試料Eは、開口13f11”を介して摺り切られる。試料採取部収容容器13”の開口13f11”を通過した試料採取部11”は、ガイド部23”’を介して試料取り出し部21”’が試料Eを取り出すことができる位置に案内される。そして、試料保持溝11a”の内部に保持された試料Eは、試料取り出し部材2”’の試料取り出し部21”’を介して、試料採取部収容容器13”の内部に充填されている処理溶液15の中に取り出される。
【0076】
従って、第七実施形態の試料採取キットによれば、試料を採取した試料採取部11”を試料取り出し部材2”’が組み込まれた試料採取部収容容器13”に入れるだけで、簡単に処理溶液15の中に一定量の試料Eを取り出して処理することができる。
【0077】
なお、第七実施形態の試料採取キットにおいては、試料保持溝11a”を、例えば、図2(c)、図2(e)、図2(f)、図2(g)、図2(h)、図2(i)に示すように構成するとともに、開口13f11”を、試料採取部11”における試料保持溝11a”の外部に付着した試料Eを摺り切ることができるように、試料採取部11”が摺接しながら通り抜け可能な大きさ及び形状に形成すると、なおよい。
このようにすれば、開口13f11”が回転対象な形状にはならないので、試料保持溝11a”及び開口13f11”が、収容方向規制手段として機能し、試料採取部1”を試料採取部収容容器13”に収容するときの向きを規制する。その結果、試料取り出し部材2”’の試料取り出し部21”’及びガイド部23”’に摺接される試料採取部1”の向きが逆向きになるのを防止することができる。
その他の、試料採取部材1”、試料取り出し部材2”’の作用及び効果は、第一実施形態の試料採取部材1、第六実施形態の試料取り出し部材2”の作用及び効果と略同様である。
【0078】
第八実施形態
図10は本発明の第八実施形態にかかる試料採取キットの構成及び使用態様を示す説明図で、(a)は試料採取キットを構成する試料採取部材、試料取り出し部材、試料採取部収容容器の分解図、(b)は(a)に示した試料採取部収容容器に試料取り出し部材を取り付けた状態と、その開口を塞ぐ蓋とを示す図、(c)は(b)に示した試料採取部収容容器に試料取り出し部材を取り付け、さらに、その中に試料採取部材を入れて蓋で開口を塞いだ状態を示す図である。図11(a),(b)は図10(a)に示した試料採取キットにおける試料取り出し部材に備わる試料採取部収容容器接続部の断面図で、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。図11(c)は試料取り出し部材のガイド部におけるC−C断面図である。また、図11(d)は図10(c)に示した採取キットにおける試料採取部収容容器部のD−D断面図である。図12は図10に示した試料採取キットにおいて試料を採取した試料採取部を試料採取部収容容器に入れるときの状態を示す説明図で、(a)は入れる前の状態を示す図、(b)は入れた後の状態を示す図である。
【0079】
第八実施形態の試料採取キットは、試料採取部材1”’と、試料取り出し部材2””を備えて構成されている。
試料採取部材1”’は、試料採取部11”’と、把持部12”’と、試料採取部収容容器13”’と、蓋14”’とを有している。
試料採取部11”’及び把持部12”’の基本的な構成は、図1に示した第一実施形態の試料採取部材における試料採取部11及び把持部12と略同じである。
蓋14”’は、鍔状部材で構成されており、後述する摺り切り部24b””の開口24b11””の周囲を覆うことによって試料採取部収容容器13”’の開口を閉じることができるようになっている。
試料採取部収容容器13”’は、円筒状に形成されている。試料採取部収容容器13”’の底部は、先細になっている。試料採取部収容容器13”’の開口側端部の外周には、螺子13g”’が設けられている。また、試料採取部収容容器13”’の開口側端部よりやや下方の外周には、処理溶液15の必要充填量を示す目盛13h”’が設けられている。
この目盛13h”’は、所定量の容量の試料が採取できた場合に、処理溶液の液面が上昇する位置としてもよい。
また、試料採取部収容容器13”’は、後述する試料取り出し部材2””の開口を閉じる蓋13d”’を備えている。蓋13d”’の内側には、後述する試料取り出し部材2””の上端部の外周に設けられた螺子24c””と螺合可能な螺子13d1”’が設けられている。
【0080】
試料取り出し部材2””は、試料取り出し部21””と、ガイド部23””と、支持部22””と、試料採取部収容容器接続部24””を有している。
ガイド部23””は、試料採取部材1”’の試料採取部11”’を、後述する摺り切り部24b””の蓋状部材24b1””に設けられた筒状の開口24b11””を通過させて挿入した際に、試料採取部11”’における試料保持溝11a”’の開口とは反対側の長手方向近傍と接することが可能で、試料採取部収容容器13”’の中に入れることができる径の筒状に形成されている(図11(d))。
支持部22””は、試料取り出し部21””とガイド部23””とを支持している。また、支持部22””は、ガイド部23””に囲まれている。この支持部22””とガイド部23””とで囲まれた内部には、試料を処理溶液と攪拌させるための小球状の攪拌部材16が複数個入っている。そして、支持部22””には、処理溶液が通過可能で小球状の攪拌部材16は通過できない穴、例えばメッシュ状の孔(不図示)が設けられている。
【0081】
試料採取部収容容器接続部24””は、ガイド部23””の上端を覆うように接続された、円筒部材で構成されている。
試料採取部収容容器接続部24””の上端部の外周には、蓋13d”’に設けられた螺子13d1”’と螺合可能な螺子24c””が設けられている。
試料採取部収容容器接続部24””の下端部の内側には、試料採取部収容容器13”’に設けられた螺子13g”’と螺合可能な螺子24a””が設けられている。また、試料採取部収容容器接続部24””の下端部のさらに内側には、摺り切り部24b””が設けられている。
摺り切り部24b””は、図12(a)及び図11(a),(b)に示すように、試料採取部収容容器接続部24””の内側に固定された蓋状部材24b1””と、蓋状部材24b1””に設けられた筒状の開口24b11””で構成されている。開口24b11””は、試料採取部11”’における試料保持溝11a”’の外部に付着した試料Eを摺り切ることができるように、試料採取部11”’が摺接しながら通り抜け可能な大きさ及び形状に形成されたガイド部24b111””を備えている。また、開口24b11””は、試料採取部11”’を通した状態で試料採取部材1”’の蓋14”’が開口24b11””の周囲を覆うことによって試料採取部収容容器13”’の開口を閉じることができる位置に来るように位置合わせして設けられている。
【0082】
そして、第八実施形態の試料採取キットを使用する場合には、まず、試料取り出し部材2””と試料採取部収容容器13”’とを、螺子24a””と螺子13g”’とを螺合させることによって固定する。また、その前後に処理溶液15を試料採取部収容容器13”’に充填する。
次に、試料採取部材1”’の試料採取部11”’を試料取り出し部材2””における試料採取部収容容器接続部24””の上端部から入れ、試料採取部11”’を摺り切り部24””の開口24b11””(及びガイド部24b111””)を通過させて試料採取部収容容器13”’の中に入れる。
次に、蓋13d”’で、試料採取部収容容器接続部24””の上端部を、螺子13d1”’と螺子24c””とを螺合させることによって閉じる。これにより、試料採取部材1”’の試料採取部11”’は、試料採取部収容容器13”’の内部で、試料取り出し部材2””に介在した状態で収容される(図10(c))。
この状態で試料採取キットは、試料採取を行う者に提供される。
【0083】
第八実施形態の試料採取キットを用いて試料を採取し処理する場合について説明する。
試料採取を行う者には図10(c)の状態で試料採取キットが提供されるので、試料採取を行う者は、蓋13d”’を開け、試料採取部材1”’の試料採取部11”’を取り出す。そして、図3に示した第一実施形態の試料採取部材1と同様の方法で、試料採取部11”’の試料保持溝11a”’に試料Eを採取する。
次に、図12(a)に示すように、試料Eを採取した試料採取部11”’を、図10(b)の状態となっている試料取り出し部材2””及び試料採取部収容容器13”’へ、試料採取部収容容器接続部24””の上端部側から入れ、試料採取部収容容器接続部24””の開口24b11””(及びガイド部24b111””)を通過させて試料採取部収容容器13”’の内部に収容する。このとき、試料保持溝11a”’の外部に付着した余分な試料Eは、開口24b11””を介して摺り切られる。試料採取部収容容器接続部24””の開口24b11””(及びガイド部24b111””)を通過した試料採取部11”’は、この通過部並びにガイド部23””を介して試料取り出し部21””が試料Eを取り出すことができる位置に案内される。そして、試料保持溝11a”’の内部に保持された試料Eは、試料取り出し部材2””の試料取り出し部21””を介して、試料採取部収容容器13””の内部に充填されている処理溶液15の中に取り出される。
次に、蓋13d”’の螺子131”’を螺子24c””と螺合させることによって、試料採取部収容容器接続部24””の上端部を閉じる。これにより、試料採取部材1”’が試料採取部収容容器13”’の内部で試料取り出し部材2””を介して試料Eを処理溶液15中に取り出された状態で密閉される(図12(b))。
その状態で、試料採取部収容容器13”’を振ると、攪拌部材16が試料採取部収容容器13”’の内部を自由に飛び跳ねる。これにより、試料Eが処理溶液15と攪拌させられる。
【0084】
従って、第八実施形態の試料採取キットによれば、試料を採取した試料採取部11”’を試料取り出し部材2””が組み込まれた試料採取部収容容器13”’に入れるだけで、簡単に処理溶液15の中に一定量の試料Eを取り出して処理することができる。
【0085】
また、試料Eは角部11b”’で削り取ったり、切り取って変形させたりしながら試料保持溝に採取している。このため、試料Eは角部11b”’によって一旦ほぐされており、分散されやすくなっているが、第八実施形態の試料採取キットによれば、さらに攪拌部材16を備えたので、処理溶液15を介した試料Eの処理時間を短縮することができ、試料Eがすばやく処理溶液へ分散させられるので、試料Eに処理溶液を効率よく作用させることができる。
さらに、第八実施形態の試料採取キットによれば、試料採取部収容容器13”’に処理溶液15の必要充填量を示す目盛13h”’を設けたので、採取容量の異なる試料保持溝が設けられた複数種類の試料採取部を試料採取部収容容器13”’にセットすることができるように構成した場合や試料採取部11”’を試料採取部収容容器13”’に収容後に処理溶液を入れる場合などにおいて、所定の試料採取部を用いて試料を採取したときに、その採取量に応じた必要量の処理溶液を、別途計量手段で計量することなく、試料採取部収容容器13”’に充填することができる。
【0086】
または、目盛13hの位置を所定量の容量の試料Eが採取できた場合に、処理溶液15の液面が上昇する位置に設けておいてもよい。この場合には、例えば試料保持溝11a”’を満たすだけの試料Eが採られていなかったとき、所定量の試料Eを採取できていないので処理溶液15の液面が目盛13hより下方に位置する。そして、試料採取を行う者や処理溶液をその後の検査に使う者が、所定量の試料Eが採取できているかどうか溶液量を見ただけで知ることができる。採取時であれば、液面が目盛13hより上方に位置するまで繰り返し採取を行えば良い。試料採取部材1”’の試料採取部11”’を試料取り出し部材2””が組み込まれた試料採取部収容容器13”’に入れると、試料Eは試料取り出し部材2””を介して処理溶液中に取り出されるので、試料採取部11”’の試料保持溝11a”’の内部に空間ができる。このため、試料採取部11”’を取り出すだけで再び試料採取部11”’で試料を採取することができるようになる。液面が、目盛13hより上方に位置するまで、つまり所定量の試料が採取できるまで繰り返し採取を行えば良い。
【0087】
試料採取部材1”’の試料採取部11”’が試料採取部収容容器13”’に入っているとき、試料取り出し部21””は、先端21b””が試料採取部11”’の試料保持溝11a”’の開口11b”’側にあるが、試料取り出し部21””は後端21a””と支持部22””との接続部を中心として、試料採取部11”’が接するガイド部23””から離れる方向に弾性変形している。このため、試料採取部11”’を試料採取部収容容器13”’から取り出すと、試料取り出し部21””の先端21b””は、試料採取部11”’の把持部側の所定部位11a31”’の曲面に沿って試料保持溝11a”’の中に入り込み、今度は試料保持溝11a”’の中にわずかに残っていた試料Eをかき出し、取り出した試料採取部11”’の試料保持溝11a”’の中の空間がさらに確保されやすくなる。
なお、処理溶液15の量を試料採取部11”’の把持部側の所定部位11a31”’付近より下面に設定した場合、試料採取部11”’を試料採取部収容容器13”’から取り出すと、同様に試料取り出し部21””が試料採取部11”’の試料保持溝11a”’の中に入り込み、処理溶液15もかき出す。これにより、試料保持溝11a”’の中に処理溶液15や試料の懸濁液が残りにくくなり、試料採取部11”’を取り出したときに、残った溶液で周囲を汚染しにくくなる。また、試料保持溝11a”’の内部に空間も確保できる。
【0088】
また、第八実施形態の試料採取キットでは、試料取り出し部材2””の支持部22””に処理溶液15が通過可能な穴、例えばメッシュ状の孔を設けたので、試料採取部収容容器13”’に処理溶液15を充填後に試料取り出し部材2””を試料採取部収容容器13”’の中に組み込んでも、処理溶液15が筒状に形成されたガイド部23””の内部に入ってくるので、試料採取部11”’で採取した試料Eを試料取り出し部材2””を介して処理溶液15の中に取り出すことができる。
または、第八実施形態の試料採取キットを検査のため回収した後、試料採取部収容容器13”’を振り、攪拌部材16で試料Eと処理溶液15と攪拌し、試料取り出し部材2””と試料採取部収容容器13”’との螺合部、螺子24a””と螺子13g”’を緩めて試料取り出し部材2””を試料採取部収容容器13”’から外すと、試料取り出し部材2””の支持部22””に処理溶液15が通過可能な穴、例えばメッシュ状の孔が設けてあるので、攪拌部材16が処理溶液15に入り込まないようにして、その後の検査に不要な試料採取部材1”’、試料取り出し部材2””を、試料Eが分散した処理溶液15を試料採取部収容容器13”’中に残しながら、取り除くことができる。試料採取部収容容器13”’は別途、螺子13g”’に螺合できる蓋をして、試料Eが分散した処理溶液15中から検査対象物を沈殿させるために例えば遠心分離機にかけて、処理溶液を交換したり、沈殿物を吸引して別の容器に移したりすることができる。
【0089】
なお、第八実施形態の試料採取キットにおいては、試料保持溝11a”’を、例えば、図2(c)、図2(e)、図2(f)、図2(g)、図2(h)、図2(i)に示すように構成するとともに、開口24b11””を、試料採取部11”’における試料保持溝11a”’の外部に付着した試料Eを摺り切ることができるように、試料採取部11”’が摺接しながら通り抜け可能な大きさ及び形状に形成すると、なおよい。
このようにすれば、開口24b11””が回転対象な形状にはならないので、試料保持溝11a”’及び開口24b11””が、収容方向規制手段として機能し、試料採取部11”’を試料採取部収容容器13”’に収容するときの向きを規制する。その結果、試料取り出し部材2””の試料取り出し部21””及びガイド部23””に摺接される試料採取部11”’の向きが逆向きになるのを防止することができる。
その他の、試料採取部材1”’、試料取り出し部材2””の作用及び効果は、第一実施形態の試料採取部材1、第六実施形態の試料取り出し部材2”の作用及び効果と略同様である。
【0090】
第九実施形態
図13は本発明の第九実施形態にかかる試料採取キットの構成及び使用態様を示す説明図で、(a)は試料採取キットを構成する試料採取部材、試料取り出し部材、試料採取部収容容器の分解図、(b)は(a)に示した試料採取部収容容器に試料取り出し部材を取り付けた状態と、その開口を塞ぐ蓋とを示す図、(c)は(b)に示した試料採取部収容容器に試料取り出し部材を取り付け、さらに、その中に試料採取部材を入れて蓋で開口を塞いだ状態を示す図である。図14(a),(b)は図13(a)に示した試料採取キットにおける試料取り出し部材と試料採取部収容容器接続部の断面図で、(a)はA’−A’断面図、(b)はB’−B’断面図である。図14(c)は試料取り出し部材のガイド部におけるC’−C’断面図である。また、図14(d)は、図13(c)に示した採取キットにおける試料採取部収容容器部のD’−D’断面図である。
第九実施形態の試料採取キットは、図13(a)の試料取り出し部材2””’のガイド部23””’に、試料採取部材1”’の試料採取部11”’を、摺り切り部24b””’の蓋状部材24b1””’に設けられた筒状の開口24b11””’(及び図14(b)のガイド部24b111””’)を通過させて挿入した際に、試料採取部11”’における試料保持溝11a”’の開口とは反対側の長手方向近傍を囲むことが可能な長手方向に延びた略U字型形状のガイド部23cが形成されており(図14(c),(d))、このガイド部23cが形成されている点が、第八実施形態の試料採取キットと異なる。
このガイド部23cは、試料採取部11”’における試料保持溝11a”’の開口とは反対側の長手方向近傍を囲むことが可能であればよく、試料採取部11”’の形状に合わせて略U字型形状以外の例えば略コの字型形状をとることもできる。このガイド部23cは、筒状のガイド部23””’の該当部分を厚くして形成してもよいし、別部材を筒状のガイド部23””’内に配置して設けてもよい。
第九実施形態の試料採取キットによれば、ガイド部23cがあることで試料採取部11”’は試料取り出し部21””が試料Eをより確実に取り出すことができる位置に案内される。
第九実施形態の試料採取キットのその他の構成、作用及び効果は第八実施形態の試料採取キットと略同様である。
【産業上の利用可能性】
【0091】
本発明は、糞便中の物質を検査する医療、医学、生物学の分野に有用である。
【図面の簡単な説明】
【0092】
【図1】本発明の第一実施形態にかかる試料採取部材の構成を示す分解斜視図である。
【図2】図1に示す試料採取部材の試料採取部における試料保持溝及び試料保持溝の変形例を示す断面図で(a)は図1に示す試料採取部材の試料採取部における試料保持溝を示す図、(b)〜(i)は試料保持溝の変形例を示す図である。
【図3】図1に示す試料採取部材の試料採取時における使用態様を示す説明図で、(a)は試料の表面部分を採取するときの使用態様を示す図、(b)は試料の横断面部分を採取するときの使用態様を示す図、(c)は試料採取部材の先端部を介して試料を採取するときの使用態様を示す図、(d)は試料採取後の試料採取部材の態様を示す図である。
【図4】本発明の第二実施形態にかかる試料採取部材の構成を示す説明図で、(a)は分解図、(b)は(a)における試料採取部収容容器のA−A断面図である。
【図5】本発明の第三実施形態にかかる試料採取部材における試料採取部の構成を示す説明図である。
【図6】本発明の第四実施形態にかかる試料取り出し部材の構成及び試料取り出し部を用いて試料採取部から試料を取り出すときの使用態様を示す説明図で、(a)は試料取り出し部を試料保持溝の側部における最も把持部に近い側から挿し込むときの態様を示す図、(b)は(a)に示すようにして試料保持溝に試料取り出し部を挿し込み、溝の中を先端側に向かって摺動させたときの態様を示す図、(c)は試料取り出し部を試料保持溝の先端部に挿し込むときの態様を示す図、(d)は(c)に示すようにして試料保持溝に試料取り出し部を挿し込み、溝の中を把持部側に向かって摺動させたときの態様を示す図である。
【図7】本発明の第五実施形態にかかる試料取り出し部材の構成及び試料取り出し部を用いて試料採取部から試料を取り出すときの使用態様を示す説明図で、(a)は試料取り出し部を試料保持溝の側部における最も把持部に近い側から挿し込むときの態様を示す図、(b)は(a)に示すようにして試料保持溝に試料取り出し部を挿し込み、溝の中を先端側に向かって摺動させたときの態様を示す図である。
【図8】本発明の第六実施形態にかかる試料取り出し部材の構成及び試料取り出し部を用いて試料採取部から試料を取り出すときの使用態様を示す説明図で、(a)は試料取り出し部の先端に試料保持溝の先端を挿入するときの態様を示す図、(b)は(a)に示すようにして試料保持溝を試料取り出し部に挿入し、支持部側に向かって押し込んだときの態様を示す図、(c)は(b)に示した状態からさらに支持部側に押し込み試料の取り出しを終えたときの態様を示す図である。
【図9】本発明の第七実施形態にかかる試料採取キットの構成を示す説明図で、(a)は試料採取キットを用いて試料を採取し、採取した試料を容器の中に取り出した状態を示す図、(b)は(a)の試料採取キットに備わる摺り切り部を示すB−B断面図である。
【図10】本発明の第八実施形態にかかる試料採取キットの構成及び使用態様を示す説明図で、(a)は試料採取キットを構成する試料採取部、試料取り出し部材、試料採取部収容容器の分解図、(b)は(a)に示した試料採取部収容容器に試料取り出し部材を取り付けた状態と、その開口を塞ぐ蓋とを示す図、(c)は(b)に示した試料採取部収容容器に試料取り出し部材を取り付け、さらに、その中に試料採取部材を入れて蓋で開口を塞いだ状態を示す図である。
【図11】(a),(b)は図10(a)に示した試料採取キットにおける試料採取部材に備わる試料採取部収容容器接続部の断面図で、(a)はA−A断面図、(b)はB−B断面図である。(c)は試料取り出し部材のガイド部におけるC−C断面図である。(d)は図10(c)に示した採取キットにおける試料採取部収容容器部のD−D断面図である。
【図12】図10に示した試料採取キットにおいて試料を採取した試料採取部を試料採取部収容容器に入れるときの状態を示す説明図で、(a)は入れる前の状態を示す図、(b)は入れた後の状態を示す図である。
【図13】本発明の第九実施形態にかかる試料採取キットの構成及び使用態様を示す説明図で、(a)は試料採取キットを構成する試料採取部、試料取り出し部材、試料採取部収容容器の分解図、(b)は(a)に示した試料採取部収容容器に試料取り出し部材を取り付けた状態と、その開口を塞ぐ蓋とを示す図、(c)は(b)に示した試料採取部収容容器に試料取り出し部材を取り付け、さらに、その中に試料採取部材を入れて蓋で開口を塞いだ状態を示す図である。
【図14】(a),(b)は図13(a)に示した試料採取キットにおける試料採取部材に備わる試料採取部収容容器接続部の断面図で、(a)はA’−A’断面図、(b)はB’−B’断面図である。(c)は試料取り出し部材のガイド部におけるC’−C’断面図である。(d)は図13(c)に示した採取キットにおける試料採取部収容容器部のD’−D’断面図である。
【符号の説明】
【0093】
1,1’,1”,1”’ 試料採取部材
11,11”,11”’ 試料採取部
11a,11a”,11a”’ 試料保持溝
111a 第一の試料保持溝
112a 第二の試料保持溝
11a1,11a2 薄板状の側壁部
11a3,1113,1123 底面
11a31,11a31”’ 底面における把持部側の所定部位
11b,11b11,11b12,11b21,11b22,11b1,11b2,111b,11111,11112,11121,11122,112b,11211,11212,11221,11222,11b”,11b”’ 角部
11c 後端部
12,12”,12”’ 把持部
13,13’,13”,13”’ 試料採取部収容容器
13a’ 保冷容器
13a1’ 開口
13a2’ 筒状空間部
13b’ 保冷材
13c’ 断熱容器
13c1’ 開口
13d’ 断熱容器の蓋
13d”’ 蓋
13d1”’ 螺子
13e” 容器側壁部部材
13e1” 側壁部
13e11” 凸部
13e111” 螺子
13f” 摺り切り部
13f1” 栓
13f11” 開口
13g”’ 螺子
13h”’ 目盛
13i” 容器底部部材
13i1” 螺子
13i11” 底部
13i111” 底部薄厚部
14,14’,14”,14”’ 蓋
15 処理溶液
16 攪拌部材
2,2’,2”,2”’,2””,2””’ 試料取り出し部材
21,21”,21”’,21”” 試料取り出し部
21a,21a”,21a”” 後端
21b”,21b”” 先端
22,22”,22”’,22”” 支持部
23,23”,23”’,23””,23””’ ガイド部
23a 挿入状態保持部
23a1 後端
23b 傾斜部
23c ガイド部
24””,24””’ 試料採取部収容容器接続部
24a””,24a””’ 螺子
24b””,24b””’ 摺り切り部
24b1””,24b1””’ 蓋状部材
24b11””,24b11””’ 開口
24b111””,24b111””’ ガイド部
24c””,24c””’ 螺子
E 試料

【特許請求の範囲】
【請求項1】
試料を採取する試料採取部を有し、
前記試料採取部が、
薄板状の側壁部を少なくとも一つ備えて構成されていて、長手方向が深さ方向に対して垂直な、薄板状空間を形成する、断面が略コの字型の試料保持溝と、
前記試料保持溝の開口に沿って試料を削り取り可能な角部を有することを特徴とする試料採取部材。
【請求項2】
前記試料保持溝が、二つの前記薄板状の側壁部を対向させた状態に備えて構成されていることを特徴とする請求項1に記載の試料採取部材。
【請求項3】
試料採取時に把持する把持部が、前記試料採取部に接続されていることを有する請求項1又は2に記載の試料採取部材。
【請求項4】
前記把持部が、前記試料採取部の一端に接続されていることを特徴とする請求項3に記載の試料採取部材。
【請求項5】
さらに、前記試料採取部を収容する、試料採取部収容容器を有するとともに、
前記試料採取部収容容器に前記試料採取部を収容した状態で試料採取部収容容器の開口を閉じる蓋を、前記試料保持溝と前記把持部との間に備えたことを特徴とする請求項4に記載の試料採取部材。
【請求項6】
前記試料採取部収容容器が、保冷手段を備えることを特徴とする請求項5に記載の試料採取部材。
【請求項7】
前記試料保持溝を構成する側壁部のうち少なくとも一方の側の側壁部が、透明な材料で作られていることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の試料採取部材。
【請求項8】
前記試料保持溝における前記把持部側の底面が、開口に向かって連続する曲面形状に形成されていることを特徴とする請求項4〜6、請求項4〜6に従属する請求項7のいずれかに記載の試料採取部材。
【請求項9】
前記試料保持溝の開口が、前記試料採取部の側方から先端にかけて続いていることを特徴とする請求項1〜8のいずれかに記載の試料採取部材。
【請求項10】
請求項1〜9のいずれかに記載の試料採取部材における前記試料保持溝に摺接しながら挿入可能な太さの径を持つ棒状の試料取り出し部を有してなることを特徴とする試料取り出し部材。
【請求項11】
さらに、請求項1〜9のいずれかに記載の試料採取部材における前記試料保持溝へ前記試料取り出し部を挿入して該試料取り出し部を該試料保持溝の長手方向に沿って移動させるときの前記試料保持溝からの前記試料取り出し部の離脱を防止する挿入状態保持部を有するガイド部と、
前記試料取り出し部と前記ガイド部とを支持する支持部を有することを特徴とする請求項10に記載の試料取り出し部材。
【請求項12】
前記挿入状態保持部が、請求項1〜9のいずれかに記載の試料採取部材における前記試料保持溝へ前記試料取り出し部を挿入した状態において前記試料採取部を挟むことを特徴とする請求項11に記載の試料取り出し部材。
【請求項13】
前記ガイド部が、前記挿入状態保持部の先端に、請求項1〜9のいずれかに記載の試料採取部材における前記試料保持溝に前記試料取り出し部を挿入させやすくなるように、先端から奥に向うにしたがって間隔が狭くなるように傾斜された傾斜部を有することを特徴とする請求項11又は12に記載の試料取り出し部材。
【請求項14】
前記試料取り出し部と前記ガイド部とが、長手方向が同じになるように設けられていることを特徴とする請求項11〜13のいずれかに記載の試料取り出し部材。
【請求項15】
前記ガイド部が、請求項1〜9のいずれかに記載の試料採取部材の前記試料採取部における前記試料保持溝の開口とは反対側の長手方向近傍を囲むことが可能な、長手方向に延びた略コの字型形状に形成され、
前記試料取り出し部が、前記ガイド部に対して、その先端部が前記試料採取部における前記試料保持溝の底面の厚みと略同じ間隔であり、その後端部に向かうにしたがって次第に間隔が広がるように傾斜し、さらに、前記後端部と前記支持部との接続部を中心として前記先端部が前記ガイド部から離れる方向に弾性変形可能に構成されていることを特徴とする請求項11に記載の試料取り出し部材。
【請求項16】
請求項5、6、請求項5又は6に従属する請求項7〜9のいずれかに記載の試料採取部材と、前記試料採取部材における前記試料採取部収容容器に設けられた請求項10〜15のいずれかに記載の試料取り出し部材とを備えてなることを特徴とする試料採取キット。
【請求項17】
前記試料採取部材における前記試料保持溝の外部に付着した試料を摺り切るための摺り切り部を備えたことを特徴とする請求項16に記載の試料採取キット。
【請求項18】
前記摺り切り部が、前記試料採取部収容容器に設けられた開口で構成されていることを特徴とする請求項17に記載の試料採取キット。
【請求項19】
前記試料採取部を前記試料採取部収容容器に収容するときの向きを規制する収容方向規制手段を備えたことを特徴とする請求項16〜18のいずれかに記載の試料採取キット。
【請求項20】
前記試料採取部収容容器に、試料を処理する処理溶液が充填されていることを特徴とする請求項16〜19のいずれかに記載の試料採取キット。
【請求項21】
試料と前記処理溶液との攪拌部材を備えたことを特徴とする請求項20に記載の試料採取キット。
【請求項22】
前記試料採取部収容容器が、試料の採取量に応じた試料を処理する処理溶液の必要充填量を示す目盛を有することを特徴とする請求項16〜21のいずれかに記載の試料採取キット。
【請求項23】
前記試料保持溝を該試料保持溝の底面が背中合わせになるようにして二つ備えたことを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の試料採取部材。
【請求項24】
前記試料保持溝を該試料保持溝の底面が背中合わせになるようにして二つ備えた請求項5、6、請求項5又は6に従属する請求項7〜9のいずれかに記載の試料採取部材と、前記試料採取部材における前記試料採取部収容容器に設けられた請求項10〜14のいずれかに記載の試料取り出し部材とを備えてなることを特徴とする試料採取キット。
【請求項25】
前記試料採取部に付着した試料を摺り切るための摺り切り部を備えたことを特徴とする請求項24に記載の試料採取キット。
【請求項26】
前記摺り切り部が、前記試料採取部収容容器に設けられた開口で構成されていることを特徴とする請求項25に記載の試料採取キット。
【請求項27】
前記試料採取部を前記試料採取部収容容器に収容するときの向きを規制する収容方向規制手段を備えたことを特徴とする請求項24〜26のいずれかに記載の試料採取キット。
【請求項28】
前記試料採取部収容容器に、試料を処理する処理溶液が充填されていることを特徴とする請求項24〜27のいずれかに記載の試料採取キット。
【請求項29】
前記試料と前記処理溶液との攪拌部材を備えたことを特徴とする請求項28に記載の試料採取キット。
【請求項30】
前記試料採取部収容容器が、試料の採取量に応じた試料を処理する処理溶液の必要充填量を示す目盛を有することを特徴とする請求項24〜29のいずれかに記載の試料採取キット。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2009−150830(P2009−150830A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−330442(P2007−330442)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】