試料支持装置及びX線分析装置
【課題】 電線を備えた複数のステージ同士の組立て作業が簡単であり、ステージの移動に際して電線が邪魔にならない試料支持装置を提供する。
【解決手段】 ベースステージ7に重ねて配置される搭載ステージ8を有し、この搭載ステージ8によって試料Sを支持する試料支持装置である。ベースステージ7と搭載ステージ8はそれぞれの結合面を対向させた状態で互いに重ね合わされる。試料支持装置は、搭載ステージ8に設けられた駆動装置18,19と、搭載ステージ8の結合面内に設けられていて電線44を介して駆動装置18,19に導通する搭載側端子31aと、ベースステージ7の結合面内に設けられていて搭載側端子31aと導電接続可能なベース側端子31bとを有する。搭載ステージ8をベースステージ7上に重ねて配置した状態で、搭載側端子31aとベース側端子31bとが導電接続する。
【解決手段】 ベースステージ7に重ねて配置される搭載ステージ8を有し、この搭載ステージ8によって試料Sを支持する試料支持装置である。ベースステージ7と搭載ステージ8はそれぞれの結合面を対向させた状態で互いに重ね合わされる。試料支持装置は、搭載ステージ8に設けられた駆動装置18,19と、搭載ステージ8の結合面内に設けられていて電線44を介して駆動装置18,19に導通する搭載側端子31aと、ベースステージ7の結合面内に設けられていて搭載側端子31aと導電接続可能なベース側端子31bとを有する。搭載ステージ8をベースステージ7上に重ねて配置した状態で、搭載側端子31aとベース側端子31bとが導電接続する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線分析に供される試料を支持する試料支持装置に関する。また、本発明は、試料支持装置によって支持された試料に対してX線を用いた測定を行うX線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線分析装置においては、試料を試料支持装置によって支持し、その試料にX線を照射し、その試料から出るX線(例えば、回折線、散乱線、反射線、分光線)をX線検出器によって検出する。試料支持装置は、試料をX線光路上の所定位置に置くこと、試料をX線ビームに対して適宜に動かすこと、試料の周りを所定の雰囲気を設定すること、等といった機能を有する。
【0003】
試料をX線ビームに対して適宜に動かすこととしては、例えば、試料へのX線の入射角度を調整するω軸移動、試料を面内回転させるφ軸移動、試料をX線ビームに対して進退移動させるZ軸移動、試料を面内スライド移動させることにより試料表面上のX線照射位置を変化させるXY軸移動、X線ビームに対する試料の姿勢を調整するRx−Ry軸移動等が考えられる(例えば、特許文献1)。また、試料を動かす形態として、サンプルチェンジャによって試料それ自体をX線ビームに出し入れすることも考えられる。また、試料の周りの雰囲気を設定することとしては、例えば、試料の温度を制御すること等が考えられる。
【0004】
上記の各軸移動を実現するため、従来から、回転台、スライド台、昇降台等といった移動ステージを互いに重ねて設置することが行われている(例えば、特許文献1)。また、各移動ステージは、各軸移動を実現するためにモータ、ソレノイド、センサ等といった電気要素を搭載することが多い。
【0005】
【特許文献1】特開2004−294136(第6〜7頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転台、スライド台等といった各種の移動ステージを重ねて設置する場合、それらの移動ステージ間で電気的な接続をとることが必要である。従来は、各移動ステージから電線を外部へ引き出し、引き出した電線を各移動ステージの外部においてコネクタを用いて接続していた。
【0007】
例えば、図11に示すように、モータ等といった電気要素105aを備えたZ軸移動ステージ101上に、電気要素105bを備えたφ軸移動ステージ102を設置し、その上に、電気要素105cを備えたY軸移動ステージ103と、電気要素105dを備えたX軸移動ステージ104とを設置する場合を考えれば、φ軸移動ステージ102とZ軸移動ステージ101との間にスリップリングコネクタ106を設け、X軸移動ステージ104の電気要素105dから延びる電線107dとスリップリングコネクタ106から延びるケーブル束109内の電線とをコネクタ108によって各移動ステージの外部で接続し、さらに、Y軸移動ステージ103の電気要素105cから延びる電線107cと、スリップリングコネクタ106から延びるケーブル束109内の電線とをコネクタ108によって各移動ステージの外部で接続していた。
【0008】
しかしながら、図11に例示する従来の試料支持装置においては、Z軸移動ステージ101とφ軸移動ステージ102とから成るベースステージ上に、Y軸移動ステージ103とX軸移動ステージ104とから成る搭載ステージを設置する際、搭載ステージをベースステージ上に機械的に取り付ける作業と、電線をコネクタ108によって接続する作業とを別々に行わなければならず、面倒であった。
【0009】
また、X線分析測定を行っている最中又はその準備作業の最中に、φ軸移動ステージ102をZ軸移動ステージ101に対して回転させるとき、配線107c,107dやコネクタ108が各軸移動ステージやその周りの周辺機器にぶつかって、電気接続状態に異常が発生したり、各種部品が損傷したりするおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、電線を備えた複数の移動ステージ同士の組立て作業を容易に行うことができ、しかも移動ステージの移動の際に電線及びそれ同士を接続するためのコネクタに起因して不都合が生じることを防止できる試料支持装置及びX線分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る試料支持装置は、ベースステージと、該ベースステージに重ねて配置される搭載ステージとを有し、該搭載ステージによって試料を支持する試料支持装置であって、前記ベースステージと前記搭載ステージはそれぞれの結合面を対向させた状態で互いに重ね合わされ、前記搭載ステージに設けられた電気要素と、前記搭載ステージの結合面内に設けられていて電線を介して前記電気要素と導通する搭載側端子と、前記ベースステージの結合面内に設けられていて前記搭載側端子と導電接続可能なベース側端子とを有し、前記搭載ステージを前記ベースステージ上に重ねて配置した状態で、前記搭載側端子と前記ベース側端子とが導電接続することを特徴とする。
【0012】
上記構成において、「搭載ステージ」は試料を支持するステージであるが、試料を直接に支持する場合もあるし、何等かの部材を介して試料を間接的に支持する場合もある。要は、搭載ステージはベースステージに比べて試料に近い側にあるステージのことである。
【0013】
また、「ベースステージ」及び「搭載ステージ」は、ω軸移動ステージ、φ軸移動ステージ、Z軸移動ステージ、XY軸移動ステージ、Rx−Ry軸移動ステージ、サンプルチェンジャステージ、試料温度制御ステージ等といった各処理ステージの単独又はそれらの少なくとも2つの組み合わせとすることができる。例えば、Z軸移動ステージとφ軸移動ステージとの組み合わせによってベースステージを構成し、Y軸移動ステージとX軸移動ステージとの組み合わせによって搭載ステージを構成することができる。
【0014】
また、「電気要素」は、例えば、電動モータ、電磁ソレノイド等といった動力源や、温度センサ、位置センサ、角度センサ等といったセンサ類等が考えられる。
【0015】
上記構成の本発明に係る試料支持装置によれば、搭載側端子とベース側端子がいずれも各ステージの結合面内に設けられているので、ベースステージ上のベース側端子と搭載ステージ上の搭載側端子とを、搭載ステージをベースステージ上に搭載する際に自動的に接続させることができる。これにより、搭載ステージをベースステージ上へ設置する作業と、搭載ステージ側の電線とベースステージ側の電線とをコネクタによって導電接続させる作業とを別々に行っていた従来の装置に比べて、ベースステージ上へ搭載ステージを載せる作業を格段に簡単に行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る試料支持装置においては、ベースステージと搭載ステージとの間の電気的な接続を、両ステージのそれぞれの結合面内に設けた搭載側端子とベース側端子との接続によって達成している。このように、従来はコネクタとして移動ステージの外部にあった電線接続部分を移動ステージの内部に収めるようにしたので、移動ステージが回転その他の移動を行ったときに、その電線接続部分が搭載ステージ、ベースステージ、及びそれらの周辺にある周辺機器にぶつかることがなくなった。また、搭載側端子とベース側端子とを各ステージの内部に収めたことにより、それらの端子から延びる電線を各ステージの内部に収めることができ、こうすれば、その配線が各ステージや周辺機器にぶつかることを防止できる。
【0017】
次に、本発明に係る試料支持装置は、前記搭載側端子が設けられた搭載側配線基板と、前記ベース側端子が設けられたベース側配線基板とをさらに有することができ、さらに、前記搭載側配線基板は前記搭載ステージの結合面内に固定され、前記ベース側配線基板は前記ベースステージ内に固定されることができる。この構成は、配線基板上に端子を設け、その配線基板をベースステージや搭載ステージに取り付けることにより、ベースステージや搭載ステージ上にベース側端子や搭載側端子を設ける構成である。
【0018】
「配線基板」は、比較的硬質の合成樹脂基板上に配線パターンをフォトエッチング処理等によって形成し、さらにその基板上に金属箔状の端子を形成したり、端子部品を実装して成る電子部品要素である。本発明では搭載側端子及びベース側端子を搭載ステージ及びベースステージへ直接に実装することもできる。しかしながら、本発明態様のように、配線基板を介して端子を各ステージ上に設けるようにすれば、複数の端子を各ステージの面上に設けるための作業の作業性が格段に向上する。また、配線基板の各ステージへの取付け位置を微調整することにより、各ステージに対する端子の取付け位置を微調整できるので、搭載側端子とベース側端子との導電接続作業を簡単且つ正確に行うことができる。
【0019】
次に、配線基板を用いるようにした本発明に係る試料支持装置において、前記搭載側配線基板は外部接続端子を有し、該外部接続端子は前記搭載側配線基板上に形成された配線パターンを介して前記搭載側端子に導通することが望ましい。また、前記ベース側配線基板は外部接続端子を有し、該外部接続端子は前記ベース側配線基板上に形成された配線パターンを介して前記ベース側端子に導通することが望ましい。この構成によれば、搭載側端子と電気要素とを電線によって導通させる際、及びベース側端子と電気要素とを電線によって導通させる際、電線は配線基板上の外部接続端子に接続、例えば半田付けすれば良いので、接続作業が非常に簡単になる。
【0020】
次に、本発明に係る試料支持装置は、前記ベースステージと前記搭載ステージとの間に設けられていて嵌合部と被嵌合部とを有する嵌合構造をさらに有することが望ましい。そして、その場合には、前記ベースステージと前記搭載ステージは前記嵌合部と前記被嵌合部とが互いに嵌合した状態で互いに重ね合わされることが望ましい。この構成によれば、上記の嵌合構造の働きにより、ベースステージとそれに積み重ねられた搭載ステージとを相対移動することなく安定状態に保持できる。
【0021】
次に、嵌合構造を有する上記の試料支持装置において、前記嵌合構造は、前記搭載ステージが前記ベースステージに対して横方向へ平行移動するのを規制し、さらに前記ベースステージに対して回転移動するのを規制することが望ましい。こうすれば、ベースステージと搭載ステージとが相対的に位置ずれすることを確実に防止できる。
【0022】
次に、本発明に係る試料支持装置において、前記搭載ステージに設けられた電気要素と前記搭載側端子とを導通する前記電線は、前記搭載ステージの内部を通ることが望ましい。こうすれば、電線が搭載ステージ及びベースステージの外部へ露出することがなくなるので、各ステージが回転、直進移動、平行移動等といった各種の移動をする場合でも、電線が周辺機器に触れて断線したり、周辺機器を損傷したりすることを確実に防止できる。
【0023】
次に、本発明に係る試料支持装置において、前記ベースステージは、前記試料をX線ビームに対して進退移動させるZ軸移動ステージと、前記試料を面内回転させるφ軸移動ステージとを有し、前記搭載ステージは、前記試料を面内スライド移動させることにより試料表面上のX線照射位置を変化させるX−Y軸移動ステージか、試料を円弧面内で揺動させてX線ビームに対する試料の姿勢を調整するRx−Ry軸移動ステージか、のどちらかであることが望ましい。上記の各移動ステージはそれ自身よりも上にある移動ステージを大きく移動させる移動ステージである。従って、これらの移動ステージに対して本発明を適用して導電接続用の端子を各移動ステージの中に収めることにすれば、その端子自身及びその端子から延びる電線が周辺機器に触れて断線したり、周辺機器を損傷したりすることを確実に防止できる。
【0024】
次に、本発明に係る試料支持装置において、前記搭載側端子及び前記ベース側端子の一方は、弾性及び導電性を有する材料を変形可能に湾曲させて成る変形可能端子であり、前記搭載側端子及び前記ベース側端子の他方は、導電性を有する材料によって平面的に形成された平面端子であり、前記搭載側端子と前記ベース側端子とが導電接続する際には、前記変形可能端子が前記平面端子によって押されて変形することが望ましい。この構成によれば、変形可能端子と平面端子とが当接して変形可能端子が変形する際には、その変形可能端子は平面端子の表面を擦りながら移動する。この擦り移動により、変形可能端子と平面端子との表面同士の接続状態を安定化させることができる。
【0025】
次に、変形可能端子を有する本発明に係る試料支持装置において、前記変形可能端子は、変形可能な湾曲形状に形成された板状の端子か、可動端子をスプリングによって支持して成るスプリングコネクタか、であることが望ましい。板状の弾性材料を湾曲形状に曲げることによって変形可能とする場合は、変形可能な端子を安価に形成できる。また、変形可能な端子としてスプリングコネクタを用いれば、スプリングによってもたらされる弾性力により、搭載側端子とベース側端子とを確実に導電接続させることができる。
【0026】
次に、本発明に係るX線分析装置は、試料を支持する試料支持手段と、前記試料へ照射されるX線を発生するX線源と、前記試料から出たX線を検出するX線検出手段とを有するX線分析装置において、前記試料支持手段は、以上に記載した試料支持装置であることを特徴とする。本発明に係る試料支持装置によれば、ベースステージ上へ搭載ステージを載せる作業を格段に簡単に行うことができる。従って、この試料支持装置を用いたX線分析装置においても、試料支持装置を組み付ける作業を簡単に行うことができる。
【0027】
また、本発明に係る試料支持装置によれば、従来はコネクタとしてステージの外部にあった電線接続部をベースステージ及び搭載ステージの内部に収めるようにしたので、それらのステージが回転その他の移動を行ったときに、その電線接続部及びそれから延びる電線が周辺機器にぶつかることがなくなった。従って、この試料支持装置を用いたX線分析装置においても、試料の周囲で配線やコネクタの張り出しに起因して不都合が発生することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(X線分析装置及び試料支持装置の第1実施形態)
以下、本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0029】
図1は、本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置の一実施形態を示している。また、図2は、図1のX線光学系の移動形態を模式的に示している。図1において、X線分析装置1は、X線源Fと、試料Sを支持する試料支持装置2と、X線検出器3とを有する。本実施形態では、Si(シリコン)ウエハを試料Sとして、その試料Sの構造をX線を用いて分析するものとする。
【0030】
X線源Fは、例えば、フィラメントと、それに対向するターゲットとによって構成できる。この場合には、フィラメントが通電によって発熱して熱電子を発生し、その熱電子がターゲットの表面に高速で衝突したときにそのターゲットの表面からX線が発生する。熱電子がターゲット表面に衝突する領域がX線を発生する領域であり、この領域はX線焦点と呼ばれる。X線検出器3は、例えば、X線を点状領域で受光する構造の0次元X線検出器であるSC(Scintillation Counter/シンチレーションカウンタ)によって構成できる。
【0031】
X線源Fと試料Sとの間には入射側X線光学系が設けられるが、その図示は省略されている。また、試料SとX線検出器3との間には受光側光学系が設けられるが、その図示は省略されている。これらの入射側光学系及び受光側光学系は、例えば、1つのスリット、ダブルスリット、モノクロメータ、コリメータ、ソーラスリット、平行スリット等といったX線光学要素を測定の種類に応じて適宜に組み合わせて構成される。
【0032】
試料支持装置2は、円形リングの一部分の形状を有するχ(カイ)サークル4と、χ駆動装置9によって駆動されてχサークル4に沿って旋回平行移動するχ軸移動ステージ5と、χ軸移動ステージ5上に設置された試料台6とを有する。試料台6は、ベースステージ7と、そのベースステージ7上に設置された搭載ステージ8とを有する。ベースステージ7は、Z軸移動ステージ11と、その上に設置されたφ軸移動ステージ12とを有する。搭載ステージ8はφ軸移動ステージ12上に設置されたY軸移動ステージ13と、その上に設置されたX軸移動ステージ14とを有する。
【0033】
一般に、X線分析装置においては、X線に対する試料Sの姿勢を変化させるために試料SがX線に対して種々に動かされる。そして、その動きの際の基準軸は測定の種類に応じて種々に設定される。ここで、試料Sの表面を通る水平軸線を横基準軸線Xh1とする。また、試料Sを通り横基準軸線Xh1に直交する鉛直軸線を縦基準軸線Xvとする。これらの軸線Xh1及びXvは位置不動の軸線である。
【0034】
χ軸移動ステージ5は、試料Sを図2の矢印χで示すようにχ軸線X(χ)を中心として回転移動させる。図2及び図1ではχ軸線X(χ)が横基準軸線Xh1と一致している状態を示しているが、χ軸線X(χ)はそれ自体が横基準軸線Xh1を含む水平面内で縦基準軸線Xvを中心として所定の角度範囲内で回転移動できる。
【0035】
図1のベースステージ7内のZ軸移動ステージ11は、駆動装置16によって駆動されて試料Sを、図2の矢印Zで示すように横基準軸線Xh1に対して進退移動させる。また、図1のベースステージ7内のφ軸移動ステージ12は、駆動装置17によって駆動されて試料Sを、図2の矢印φで示すように軸線X(φ)を中心として適宜の角度範囲内で回転移動させる。中心軸線X(φ)は矢印χ方向のχ軸移動に従って変位する軸線である。
【0036】
また、図1の搭載ステージ8内のY軸移動ステージ13は、駆動装置18によって駆動されて試料Sを、図2の矢印Yで示すようにχ軸線X(χ)に対して平行に移動させる。また、図1の搭載ステージ8内のX軸移動ステージ14は、駆動装置19によって駆動されて試料Sを、図2の矢印Xで示すようにχ軸線X(χ)に対して平行に且つY軸移動方向に対して直角方向に平行移動させる。
【0037】
また、次のような移動系を必要に応じて追加して設けることもできる。第1は、図2のχ軸線X(χ)それ自体を鉛直軸線Xvを中心として回転移動させる移動系である。第2は、図1のX線検出器3を鉛直軸線Xvを中心として矢印2θで示す方向へ回転移動させる移動系である。第3は、X線検出器3と試料Sとを結ぶ直線及び鉛直軸線Xvの両方に直交する軸線Xh2を中心としてX線検出器3を矢印2θ’で示す方向(すなわち、2θ回転方向と直角の方向)へ回転移動させる移動系である。
【0038】
なお、以上に記載した複数の移動系はX線分析装置1内に設定することができる各種の移動系のうちの一例であり、必要がある場合には、それらの移動系のいずれかを取り除くこともできるし、あるいは、X線分析装置1内にその他の移動系を追加して設けることもできる。
【0039】
(着脱可能構造)
本実施形態の試料台6に関しては、図3に矢印A及びBで示すように、搭載ステージ8がベースステージ7に対して着脱可能、すなわち容易に取付け及び取外しできるようになっている。つまり、ベースステージ7の上面及び搭載ステージ8の底面のそれぞれを結合面として、搭載ステージ8がベースステージ7に対して着脱可能となっている。このような着脱構造を採用するのは、ベースステージ7への搭載ステージ8の取付け作業を簡単化するため、及び搭載ステージ8を構成する移動ステージを別の種類の移動ステージと交換することを可能とするためである。以下、この着脱構造について説明する。
【0040】
ベースステージ7の上面、すなわちφ軸移動ステージ12の上面には、図4に示すように、円形状の嵌合凸部21が設けられている。一方、図3の搭載ステージ8の底面、すなわちY軸移動ステージ13の底面には、図5に示すように(図5では底面が上面として描かれている)、円形状の嵌合凹部22が設けられている。搭載ステージ8を図4のベースステージ7へ取り付ける際には、図5の嵌合凹部22を図4の嵌合凸部21の周囲にはめ込みながら搭載ステージ8がベースステージ7に載せられる。嵌合凸部21と嵌合凹部22との嵌合により、搭載ステージ8はベースステージ7に対して横方向へ移動しないように保持される。
【0041】
また、図5において、搭載ステージ8の底面、すなわちY軸移動ステージ13の底面であって嵌合凹部22によって囲まれる領域内の適所に嵌合ピン23が設けられている。一方、図4において、ベースステージ7の上面、すなわちφ軸移動ステージ12の上面の適所に嵌合穴24が設けられている。この嵌合穴24は図5の嵌合ピン23を挿入でき、且つ挿入した嵌合ピン23が位置ずれしない程度の直径を有している。搭載ステージ8をベースステージ7へ取り付ける際には、嵌合ピン23を嵌合穴24の中に挿入しながら搭載ステージ8がベースステージ7に載せられる。嵌合ピン23と嵌合穴24との嵌合により、搭載ステージ8はベースステージ7に対して回転移動しないように保持される。
【0042】
以上のような嵌合凸部21と嵌合凹部22との嵌合、及び嵌合ピン23と嵌合穴24との嵌合により、搭載ステージ8はベースステージ7に対して横方向及び回転方向の両方に対して位置ずれしないように保持される。なお、搭載ステージ8はベースステージ7に装着された後に適宜の固定手法によって固定される。この固定手法としては、例えば、図5の嵌合凹部22を形成するリング状の突起の側面からネジをねじ込んで図4の嵌合凸部21の側面を押し付ける方法等を採用できる。
【0043】
図1において、搭載ステージ8内に駆動装置18及び19が設けられることは既述した。これらの駆動装置18,19内には動力源としてパルスモータ、サーボモータ等といった電動モータが設けられる。また、駆動装置18,19の内部や、Y軸移動ステージ13の内部や、X軸移動ステージ14の内部には、それらの中に設置される各種の動作部品の位置を検知するためのセンサが設けられる。電動モータ、センサ等といった電気要素は電線を通じて電力の供給や、信号の送受信を行うものである。以下、この電線の取り扱いについて説明する。
【0044】
図4において、ベースステージ7の上面、すなわちφ軸移動ステージ12の上面に正方形状又は長方形状の凹部26が設けられている。そして、その凹部26の中にベース側配線基板27が配置され固定されている。この固定方法は、例えば、部分図(b)に示すように配線基板27の四隅に貫通穴29を開け、それらの貫通穴29にネジ28を通し、それらのネジ28をφ軸移動ステージ12に締め付けることによって実現できる。
【0045】
配線基板27の上面には複数のベース側端子31bが設けられている。本実施形態では6個で直線状1列のベース側端子31bが2列にわたって、合計で12個設けられている。しかしながら、ベース側端子31bの数は必要に応じた数に設定される。また、それら複数のベース側端子31bの配列も、直線状の2列に限られず、直線状の複数列、曲線状の複数列、複数の同心のリング状配列、その他種々の配列を採用できる。
【0046】
個々のベース側端子31bは、部分図(c)に示すように、導電性で板状の材料を加工することにより形成されている。このベース側端子31bは板状材料を加工によって湾曲させることによって形成されており、その頂部を矢印Cのように押圧したとき、その頂部が矢印C方向へ弾性変形する。部分図(c)に示すベース側端子31bは単純な曲げ構造によって変形可能部分を構成しているが、これに代えて、図6に示すように、板状材料を複数の個所で曲げることによって変形可能部分を構成することもできる。図6に示すベース側端子31bは「S」字状に湾曲する変形可能部分を有している。
【0047】
図4及び図6のベース側端子31bは、例えば、厚さ0.1mm程度のベリリウム銅にNi(ニッケル)メッキを下地メッキとした上で、さらに金メッキを施すことによって形成されている。圧縮荷重は、高さが4mmから2.2mmまで変形したときに3N以下であることが望ましい。また、接触抵抗値は50mΩ以下であることが望ましい。
【0048】
図4の配線基板27は、比較的硬質の合成樹脂によって形成された基板33と、その基板33上に形成されたパッド(すなわち、端子)34と、基板33の適所に形成された外部接続端子32とを有する。また、配線基板27の表面にはフォトエッチング処理により適宜のパターンの配線パターンが形成される。パッド34及び外部接続端子32はその配線パターンによってつながれて導通する。上記のベース側端子31bは所定の導電接合処理、例えば半田付けによりパッド34上に固着されている。結局、配線基板27上のベース側端子31bは、配線基板27上の配線パターンを介して外部接続端子32に導通している。
【0049】
複数の外部接続端子32のそれぞれには、図7に示すように、ベースステージ7の上部において電線45の一端が導電接合、例えば半田付けされている。これらの電線45の他端は、ベースステージ7の内部に設けたスリップリングコネクタ47の上端子49に接続されている。スリップリングコネクタ47の下端子50には他の電線48が接続されている。搭載ステージ8に属する駆動装置18,19へ供給する電力や信号は、この電線48を通して伝送される。
【0050】
スリップリングコネクタ47は周知のコネクタであり、その内部には、上端子49に導通する第1摺接子と下端子50に接続する第2摺接子とが設けられ、第1摺接子と第2摺接子とを電気的に接続状態に保持しながらそれらの摺接子を相対的に回転させることができるコネクタである。本実施形態では、例えば、第1摺接子をφ軸移動ステージ12に固定し、第2摺接子をZ軸移動ステージ11に固定し、φ軸移動ステージ12がZ軸移動ステージ11上で回転する場合でも、ベース側配線基板27側の電線45と、外部電線48との間で電気的な導通を確保している。
【0051】
次に、図5において、搭載ステージ8の底面(図の上面)、すなわちY軸移動ステージ13の底面に、正方形状又は長方形状の凹部36が設けられている。そして、その凹部36の中に搭載側配線基板37が配置され固定されている。この固定方法は、例えば、部分図(b)に示すように配線基板37の四隅に貫通穴39を開け、それらの貫通穴39にネジ38を通し、それらのネジ38をY軸移動ステージ13に締め付けることによって実現できる。
【0052】
搭載側配線基板37の上面には複数の搭載側端子31aが図4のベース側端子31bと同じ数及び同じ配列で設けられている。本実施形態では12個の搭載側端子31aが設けられている。個々の搭載側端子31aは、図4のベース側端子31bと同じ材料によってランド、すなわち平面端子として形成されている。
【0053】
搭載側配線基板37は、図4のベース側配線基板27と同じく、比較的硬質の合成樹脂によって形成された基板43と、基板43の適所に形成された外部接続端子42とを有する。また、配線基板37の表面にはフォトエッチング処理により適宜のパターンの配線パターンが形成される。搭載側端子31aと外部接続端子32はその配線パターンによって導通する。
【0054】
Y軸移動ステージ13に属する駆動装置18及びX軸移動ステージ14に属する駆動装置19は、いずれも、モータ等といった動力源や、センサ等といった電子部品等を含んでいる。動力源、電子部品等といった電気要素には電線が接続され、この電線を介して電力や信号が伝送される。この電線は、図7の搭載ステージ8内に符号44で示すように駆動装置18及び駆動装置19のそれぞれから出てY軸移動ステージ13及びX軸移動ステージ14の内部を通って搭載側配線基板37の外部接続端子42(図5参照)につながれている。電線44は図7では1本のように描かれているが、実際には、各駆動装置内に設けられている電気要素の数に応じた本数である。結局、駆動装置18,19内の個々の電気要素は、電線44、配線基板37上の外部接続端子42、配線基板37上の配線パターンを順次に介して、配線基板37上の個々の搭載側端子(すなわち、ランド)31aに導通する。
【0055】
図5の搭載ステージ8を図4のベースステージ7へ図3に矢印Aで示すように装着すると、図5の嵌合凹部22が図4の嵌合凹部21に嵌合し、さらに図5の嵌合ピン23が図4の嵌合穴24に嵌合して、搭載ステージ8がベースステージ7に装着される。こうしてステージの取付けが行われると、図5の搭載側端子(ランド)31aと図4のベース側端子(変形可能端子)31bとが図7の部分図(b)に示すように自動的に互いに導電接続する。部分図(b)では、鎖線で示す自然状態のベース側端子31bが搭載側端子31aに押されて実線で示す状態へ変形している。端子31aと端子31bとが導電接続すると、搭載ステージ8側の駆動装置18,19から延び出る電線44が、搭載側配線基板37上の搭載側端子31a、ベース側配線基板27上のベース側端子31b、ベース側配線基板27側の電線45、そしてスリップリングコネクタ47を順次に介して外部電線48に導電接続される。
【0056】
ベースステージ7内の駆動装置16が作動すると試料Sは図2のZ軸移動(すなわち、試料Sに対する進退平行移動)を行い、ベースステージ7内の駆動装置17が作動すると試料Sは図2のφ軸移動(すなわち、面内回転移動)を行い、搭載ステージ8内の駆動装置18が作動すると試料Sは図2のY軸方向へ平行移動し、さらに、搭載ステージ8内の駆動装置19が作動すると試料Sは図2のX軸方向へ平行移動する。
【0057】
このように試料Sに種々の動きを付与することにより、図1において、X線R0に対する試料Sの姿勢を種々の状態に設定することができる。そして、X線源FからX線を放射してそのX線を試料Sへ照射し、そのときに試料Sから回折線、散乱線等が出射する場合には、その回折線等をX線検出器3によって検出する。そして、検出したX線の強度、そのときの試料Sの入射X線に対する姿勢、及びそのときのX線検出器3の入射X線に対する角度位置の各データに基づいて、試料Sの内部の構造を分析する。
【0058】
本実施形態によれば、図7に示すように、搭載側端子31aとベース側端子31bとがいずれもベースステージ7及び搭載ステージ8の結合面内に設けられているので、ベースステージ7上のベース側端子31bと搭載ステージ8上の搭載側端子31aとを、搭載ステージ8をベースステージ7上に搭載する際に自動的に接続させることができる。このため、搭載ステージ8をベースステージ7上へ設置する作業と、搭載ステージ側の電線44とベースステージ側の電線45とをコネクタによって導電接続させる作業とを別々に行っていた従来の装置に比べて、ベースステージ7上へ搭載ステージ8を載せる作業を格段に簡単に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態においては、ベースステージ7と搭載ステージ8との間の電気的な接続を、両ステージのそれぞれの結合面内に設けた搭載側端子31aとベース側端子31bとの接続によって行っている。この構成により、搭載ステージ8内の電線44は、その搭載ステージ8の外部に露出することなく、搭載ステージ8の内部を通して搭載側端子31aに接続させることができる。このように電線44を搭載ステージ8の内部に収めるようにしたので、搭載ステージ8が回転その他の移動を行ったときに、電線44が、搭載ステージ8やベースステージ7やそれらの周りにある周辺機器にぶつかることがなくなった。また、搭載ステージ8の外部に電線接続部品、すなわちコネクタを設ける必要がないので、コネクタが周辺機器等にぶつかるということもなくなった。
【0060】
ところで、図4のベース側端子31bをベースステージ7の上面に設置する場合や、図5の搭載側端子31aを搭載ステージ8の底面に設置する場合には、それらの端子31a,31bを各ステージの面に直接に設置することができる。しかしながら、この場合には、その設置作業が非常に面倒である。これに対し、本実施形態では、ベース側配線基板27上にベース側端子31bを設け、搭載側配線基板37上に搭載側端子31aを設け、それらの配線基板27,37をベースステージ7や搭載ステージ8に取り付けることにより、ベースステージ7や搭載ステージ8上に端子31bや端子31aを設けている。このように、配線基板27,37を介して端子31b,31aを各ステージへ設けるようにすれば、作業性が格段に向上する。また、配線基板27,37の各ステージ7,8への取付け位置を微調整することにより、各ステージ7,8に対する端子31b,31aの取付け位置を微調整できるので、搭載側端子31aとベース側端子31bとの導電接続作業を簡単且つ正確に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、図4のベース側配線基板27に設けたベース側端子31bに関しては外部接続端子32を介して電線45(図7参照)に接続する。また、図5の搭載側配線基板37に設けた搭載側端子31aに関しては外部接続端子42を介して電線44(図7参照)に接続する。この構成により、搭載側端子31a及びベース側端子31bに電線を接続する作業が非常に簡単になった。
【0062】
また、本実施形態では、ベースステージ7と搭載ステージ8との間に嵌合構造を設けた。具体的には、図4のベースステージ7の上面に設けた嵌合凸部21と図5の搭載ステージ8の底面に設けた嵌合凹部22との組み合わせから成る嵌合構造を設けたことと、図4のベースステージ7の上面に設けた嵌合穴24と図5の搭載ステージ8の底面に設けた嵌合ピン23との組み合わせから成る嵌合構造を設けたこと、である。このような嵌合構造を設けることにより、ベースステージ7とそれに積み重ねられた搭載ステージ8とを相対移動することなく安定状態に保持できる。
【0063】
特に、本実施形態では嵌合凸部21と嵌合凹部22との嵌合構造によって横方向への位置ずれを規制すると共に、嵌合穴24と嵌合ピン23との嵌合構造によって回転方向への位置ずれを規制するという、二重の嵌合構造を採用したので、両ステージ7,8の相対的な位置関係を常に一定に維持できるようになった。
【0064】
また、本実施形態において、図7の搭載ステージ8に属する駆動装置18,19と搭載側端子31aとを導通する電線44は、搭載ステージ8の内部を通るので、電線44が搭載ステージ8やベースステージ7の外部へ露出することがなくなった。このため、各ステージが回転、直進移動、平行移動等といった各種の移動をする場合でも、電線44が周辺機器に触れて断線したり、周辺機器を損傷したりすることがなくなった。
【0065】
また、本実施形態では、図7の部分図(b)に示すように、ベースステージ7側に設けられたベース側端子31bが、一端がベース側配線基板27に固定され他端が自由端である変形可能端子となっているので、平面端子(すなわち、ランド)である搭載側端子31aとベース側端子31bとが導電接続する際には、ベース側端子31bが搭載側端子31aによって押されて変形すると共に、ベース側端子31bは搭載側端子31aの表面を擦りながら移動する。この擦り移動により、ベース側端子31bと搭載側端子31aとの表面同士の接続状態を安定化させることができる。
【0066】
(X線分析装置及び試料支持装置の第2実施形態)
図8は、本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置の他の実施形態を示している。ここに示す実施形態が図1に示した先の実施形態と異なる点は、図1の試料台6を構成する搭載ステージ8に改変を加えたことである。本実施形態において図1に示した部材と同じ部材は同じ符号を付してその説明は省略することにする。
【0067】
図8において、χ軸移動ステージ5及びそれに付随する要素は図1の実施形態で用いたものと同じである。χ軸移動ステージ5に載置された試料台56は、ベースステージ7と搭載ステージ58とを有する。ベースステージ7は図1の実施形態で用いたものと同じである。搭載ステージ58は、ベースステージ7のφ軸移動ステージ12上に載置されたRy軸移動ステージ63とその上に載置されたRx軸移動ステージ64とを有する。
【0068】
Ry軸移動ステージ63は、駆動装置68によって駆動されて試料Sを、図9の矢印Ryで示すようにχ軸線X(χ)を中心として円弧軌跡を描くように揺動移動させる。また、図8の搭載ステージ58内のRx軸移動ステージ64は、駆動装置69によって駆動されて試料Sを、図9の矢印Rxで示すようにχ軸線X(χ)を中心として円弧軌跡を描くように揺動移動させる。以上のような揺動移動Rx,Ryは、例えば、試料Sへ入射するX線に対する試料Sの姿勢を微調整する際に行われる。
【0069】
本実施形態におけるベースステージ7の上面(すなわち、結合面)には、先の実施形態の場合と同様に、図4に示す嵌合凸部21、嵌合穴24、ベース側配線基板27、及びベース側端子31bが設けられている。また、搭載ステージ58の底面(すなわち、結合面)には、先の実施形態の場合と同様に、図5に示す嵌合凹部22、嵌合ピン23、搭載側配線基板37、及び搭載側端子31a設けられている。従って、搭載ステージ58をベースステージ7に装着した際には、両ステージを嵌合させたときに両者間での電気的な接続が自動的に達成されることになり、作業が非常に簡単である。また、両ステージの間に設けられた嵌合構造の働きにより、搭載ステージ58がベースステージ7に対して位置ずれすることを防止できる。また、搭載ステージ58内の配線が搭載ステージ58やベースステージ7の外部に露出しないので、配線や周辺機器の損傷を防止できる。
【0070】
なお、図1に示した搭載ステージ8の底面の構造と、図8に示した搭載ステージ58の底面の構造とを同じに形成しておけば、例えば、両ステージの底面構造を図5に示す構造に統一しておけば、図1のX線分析装置1においてベースステージ7から搭載ステージ8を取外し、図8に示す搭載ステージ58をそれに代えてベースステージ7に装着することを容易に行うことができる。つまり、XY軸平行移動ステージとRx,Ry軸揺動移動ステージとを交換してベースステージ7へ取り付けることができる。このような交換は、XY軸平行移動ステージとRx,Ry軸揺動移動ステージとの間の交換に限られず、ベースステージの結合面と搭載ステージの結合面との構成を共通にしておきさえすれば、他の任意の種類の移動ステージに関しても実現できる。
【0071】
(X線分析装置及び試料支持装置の第3実施形態)
図10は、本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置のさらに他の実施形態の要部を示している。本実施形態の全体的な外観形状は図1の実施形態と同じである。本実施形態は、先の実施形態で用いたところの図4に示したベースステージ7の上面の構造に関して改変を加えたものである。以下、主に改変を加えた部分について説明し、共通する構成の説明は省略するものとする。
【0072】
図4に示した先の実施形態では、導電性で板状の材料に曲げ加工を加えることによりベース側端子31bを弾性変形可能に形成したのであるが、本実施形態ではそのような端子構造に代えて、図10の部分図(b)に示すように、スプリングコネクタ61bによってベース側端子を形成している。スプリングコネクタ61bは、部分図(c)に示すように、矢印D−D’のように上下方向へ移動可能な可動端子62をスプリング65によって支持するという構造を有するコネクタである。
【0073】
本実施形態においては、図5の搭載ステージ8を図10のベースステージ7へ図3の矢印Aに示すように装着すると、図5の嵌合凹部22が図10の嵌合凸部21に嵌合し、さらに図5の嵌合ピン23が図10の嵌合穴24に嵌合して、搭載ステージ8がベースステージ7に装着される。こうしてステージの取付けが行われると、図5の搭載側端子(ランド)31aと図10のスプリングコネクタ61bの可動端子62とが自動的に互いに導電接続する。これにより、図7において搭載ステージ8側の駆動装置18,19から延び出る電線44が、搭載側配線基板37上の搭載側端子31a、ベース側配線基板27上のスプリングコネクタ61b、ベース側配線基板27側の電線45、そしてスリップリングコネクタ47を順次に介して外部電線48に導電接続される。
【0074】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0075】
例えば、図1に示した実施形態では、χ軸移動ステージ5の上に試料台6を設けたが、χ軸移動ステージ以外の移動ステージ上に試料台6を設けることもできる。また、移動ステージではなくて固定ステージ上に試料台6を設けることもできる。また、ベースステージ7に内蔵する移動ステージは図7に示したZ軸移動ステージ11やφ軸移動ステージ12に限られず、他の任意の移動ステージとすることができる。
【0076】
また、搭載ステージ8に内蔵する移動ステージも、図7のY軸移動ステージ13及びX軸移動ステージ14や、図8のRy軸移動ステージ63及びRx軸移動ステージ64等に限られず、他の任意の移動ステージとすることができる。また、図4及び図5に示した実施形態では、ベースステージ7に設けたベース側端子31bを変形可能端子とし、搭載ステージ8に設けた搭載側端子31aを平面端子としたが、これらを逆に設定すること、すなわち、ベースステージ7に平面端子を設け、搭載ステージ8に変改可能端子を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の試料支持装置によって行われる試料の動きを示す図である。
【図3】図1の試料支持装置の使用形態を示す斜視図である。
【図4】図3の要部を示す斜視図である。
【図5】図3の他の要部を示す斜視図である。
【図6】変形可能端子の変形例を示す斜視図である。
【図7】図1に示す試料台を一部破断して示す側面図である。
【図8】本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8の試料支持装置によって行われる試料の動きを示す図である。
【図10】本発明に係る試料支持装置のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】従来の試料支持装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1.X線分析装置、 2.試料支持装置、 3.X線検出器、 4.χサークル、
5.χ軸移動ステージ、 6.試料台、 7.ベースステージ、 8.搭載ステージ、
9.χ駆動装置、 11.Z軸移動ステージ、 12.φ軸移動ステージ、
13.Y軸移動ステージ、 14.X軸移動ステージ、
16,17,18,19.駆動装置、 21.嵌合凸部、 22.嵌合凹部、
23.嵌合ピン、 24.嵌合穴、 26.凹部、 27.ベース側配線基板、
28.ネジ、 29.貫通穴、 31a.搭載側端子、 31b.ベース側端子、
32.外部接続端子、 33.基板、 34.パッド、 36.凹部、
37.搭載側配線基板、 39.貫通穴、 42.外部接続端子、 43.基板、
44,45,48.電線、 47.スリップリングコネクタ、 49.上端子、
50.下端子、 56.試料台、 61b.スプリングコネクタ、 62.可動端子、
63.Ry軸移動ステージ、 64.Rx軸移動ステージ、 65.スプリング、
68,69.駆動装置、 F.X線源、 R0.入射X線、 S.試料、
Xh1.横基準軸線、 Xh2.軸線、 Xv.縦基準軸線
【技術分野】
【0001】
本発明は、X線分析に供される試料を支持する試料支持装置に関する。また、本発明は、試料支持装置によって支持された試料に対してX線を用いた測定を行うX線分析装置に関する。
【背景技術】
【0002】
一般に、X線分析装置においては、試料を試料支持装置によって支持し、その試料にX線を照射し、その試料から出るX線(例えば、回折線、散乱線、反射線、分光線)をX線検出器によって検出する。試料支持装置は、試料をX線光路上の所定位置に置くこと、試料をX線ビームに対して適宜に動かすこと、試料の周りを所定の雰囲気を設定すること、等といった機能を有する。
【0003】
試料をX線ビームに対して適宜に動かすこととしては、例えば、試料へのX線の入射角度を調整するω軸移動、試料を面内回転させるφ軸移動、試料をX線ビームに対して進退移動させるZ軸移動、試料を面内スライド移動させることにより試料表面上のX線照射位置を変化させるXY軸移動、X線ビームに対する試料の姿勢を調整するRx−Ry軸移動等が考えられる(例えば、特許文献1)。また、試料を動かす形態として、サンプルチェンジャによって試料それ自体をX線ビームに出し入れすることも考えられる。また、試料の周りの雰囲気を設定することとしては、例えば、試料の温度を制御すること等が考えられる。
【0004】
上記の各軸移動を実現するため、従来から、回転台、スライド台、昇降台等といった移動ステージを互いに重ねて設置することが行われている(例えば、特許文献1)。また、各移動ステージは、各軸移動を実現するためにモータ、ソレノイド、センサ等といった電気要素を搭載することが多い。
【0005】
【特許文献1】特開2004−294136(第6〜7頁、図3)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
回転台、スライド台等といった各種の移動ステージを重ねて設置する場合、それらの移動ステージ間で電気的な接続をとることが必要である。従来は、各移動ステージから電線を外部へ引き出し、引き出した電線を各移動ステージの外部においてコネクタを用いて接続していた。
【0007】
例えば、図11に示すように、モータ等といった電気要素105aを備えたZ軸移動ステージ101上に、電気要素105bを備えたφ軸移動ステージ102を設置し、その上に、電気要素105cを備えたY軸移動ステージ103と、電気要素105dを備えたX軸移動ステージ104とを設置する場合を考えれば、φ軸移動ステージ102とZ軸移動ステージ101との間にスリップリングコネクタ106を設け、X軸移動ステージ104の電気要素105dから延びる電線107dとスリップリングコネクタ106から延びるケーブル束109内の電線とをコネクタ108によって各移動ステージの外部で接続し、さらに、Y軸移動ステージ103の電気要素105cから延びる電線107cと、スリップリングコネクタ106から延びるケーブル束109内の電線とをコネクタ108によって各移動ステージの外部で接続していた。
【0008】
しかしながら、図11に例示する従来の試料支持装置においては、Z軸移動ステージ101とφ軸移動ステージ102とから成るベースステージ上に、Y軸移動ステージ103とX軸移動ステージ104とから成る搭載ステージを設置する際、搭載ステージをベースステージ上に機械的に取り付ける作業と、電線をコネクタ108によって接続する作業とを別々に行わなければならず、面倒であった。
【0009】
また、X線分析測定を行っている最中又はその準備作業の最中に、φ軸移動ステージ102をZ軸移動ステージ101に対して回転させるとき、配線107c,107dやコネクタ108が各軸移動ステージやその周りの周辺機器にぶつかって、電気接続状態に異常が発生したり、各種部品が損傷したりするおそれがあった。
【0010】
本発明は、上記の問題点に鑑みて成されたものであって、電線を備えた複数の移動ステージ同士の組立て作業を容易に行うことができ、しかも移動ステージの移動の際に電線及びそれ同士を接続するためのコネクタに起因して不都合が生じることを防止できる試料支持装置及びX線分析装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明に係る試料支持装置は、ベースステージと、該ベースステージに重ねて配置される搭載ステージとを有し、該搭載ステージによって試料を支持する試料支持装置であって、前記ベースステージと前記搭載ステージはそれぞれの結合面を対向させた状態で互いに重ね合わされ、前記搭載ステージに設けられた電気要素と、前記搭載ステージの結合面内に設けられていて電線を介して前記電気要素と導通する搭載側端子と、前記ベースステージの結合面内に設けられていて前記搭載側端子と導電接続可能なベース側端子とを有し、前記搭載ステージを前記ベースステージ上に重ねて配置した状態で、前記搭載側端子と前記ベース側端子とが導電接続することを特徴とする。
【0012】
上記構成において、「搭載ステージ」は試料を支持するステージであるが、試料を直接に支持する場合もあるし、何等かの部材を介して試料を間接的に支持する場合もある。要は、搭載ステージはベースステージに比べて試料に近い側にあるステージのことである。
【0013】
また、「ベースステージ」及び「搭載ステージ」は、ω軸移動ステージ、φ軸移動ステージ、Z軸移動ステージ、XY軸移動ステージ、Rx−Ry軸移動ステージ、サンプルチェンジャステージ、試料温度制御ステージ等といった各処理ステージの単独又はそれらの少なくとも2つの組み合わせとすることができる。例えば、Z軸移動ステージとφ軸移動ステージとの組み合わせによってベースステージを構成し、Y軸移動ステージとX軸移動ステージとの組み合わせによって搭載ステージを構成することができる。
【0014】
また、「電気要素」は、例えば、電動モータ、電磁ソレノイド等といった動力源や、温度センサ、位置センサ、角度センサ等といったセンサ類等が考えられる。
【0015】
上記構成の本発明に係る試料支持装置によれば、搭載側端子とベース側端子がいずれも各ステージの結合面内に設けられているので、ベースステージ上のベース側端子と搭載ステージ上の搭載側端子とを、搭載ステージをベースステージ上に搭載する際に自動的に接続させることができる。これにより、搭載ステージをベースステージ上へ設置する作業と、搭載ステージ側の電線とベースステージ側の電線とをコネクタによって導電接続させる作業とを別々に行っていた従来の装置に比べて、ベースステージ上へ搭載ステージを載せる作業を格段に簡単に行うことができる。
【0016】
また、本発明に係る試料支持装置においては、ベースステージと搭載ステージとの間の電気的な接続を、両ステージのそれぞれの結合面内に設けた搭載側端子とベース側端子との接続によって達成している。このように、従来はコネクタとして移動ステージの外部にあった電線接続部分を移動ステージの内部に収めるようにしたので、移動ステージが回転その他の移動を行ったときに、その電線接続部分が搭載ステージ、ベースステージ、及びそれらの周辺にある周辺機器にぶつかることがなくなった。また、搭載側端子とベース側端子とを各ステージの内部に収めたことにより、それらの端子から延びる電線を各ステージの内部に収めることができ、こうすれば、その配線が各ステージや周辺機器にぶつかることを防止できる。
【0017】
次に、本発明に係る試料支持装置は、前記搭載側端子が設けられた搭載側配線基板と、前記ベース側端子が設けられたベース側配線基板とをさらに有することができ、さらに、前記搭載側配線基板は前記搭載ステージの結合面内に固定され、前記ベース側配線基板は前記ベースステージ内に固定されることができる。この構成は、配線基板上に端子を設け、その配線基板をベースステージや搭載ステージに取り付けることにより、ベースステージや搭載ステージ上にベース側端子や搭載側端子を設ける構成である。
【0018】
「配線基板」は、比較的硬質の合成樹脂基板上に配線パターンをフォトエッチング処理等によって形成し、さらにその基板上に金属箔状の端子を形成したり、端子部品を実装して成る電子部品要素である。本発明では搭載側端子及びベース側端子を搭載ステージ及びベースステージへ直接に実装することもできる。しかしながら、本発明態様のように、配線基板を介して端子を各ステージ上に設けるようにすれば、複数の端子を各ステージの面上に設けるための作業の作業性が格段に向上する。また、配線基板の各ステージへの取付け位置を微調整することにより、各ステージに対する端子の取付け位置を微調整できるので、搭載側端子とベース側端子との導電接続作業を簡単且つ正確に行うことができる。
【0019】
次に、配線基板を用いるようにした本発明に係る試料支持装置において、前記搭載側配線基板は外部接続端子を有し、該外部接続端子は前記搭載側配線基板上に形成された配線パターンを介して前記搭載側端子に導通することが望ましい。また、前記ベース側配線基板は外部接続端子を有し、該外部接続端子は前記ベース側配線基板上に形成された配線パターンを介して前記ベース側端子に導通することが望ましい。この構成によれば、搭載側端子と電気要素とを電線によって導通させる際、及びベース側端子と電気要素とを電線によって導通させる際、電線は配線基板上の外部接続端子に接続、例えば半田付けすれば良いので、接続作業が非常に簡単になる。
【0020】
次に、本発明に係る試料支持装置は、前記ベースステージと前記搭載ステージとの間に設けられていて嵌合部と被嵌合部とを有する嵌合構造をさらに有することが望ましい。そして、その場合には、前記ベースステージと前記搭載ステージは前記嵌合部と前記被嵌合部とが互いに嵌合した状態で互いに重ね合わされることが望ましい。この構成によれば、上記の嵌合構造の働きにより、ベースステージとそれに積み重ねられた搭載ステージとを相対移動することなく安定状態に保持できる。
【0021】
次に、嵌合構造を有する上記の試料支持装置において、前記嵌合構造は、前記搭載ステージが前記ベースステージに対して横方向へ平行移動するのを規制し、さらに前記ベースステージに対して回転移動するのを規制することが望ましい。こうすれば、ベースステージと搭載ステージとが相対的に位置ずれすることを確実に防止できる。
【0022】
次に、本発明に係る試料支持装置において、前記搭載ステージに設けられた電気要素と前記搭載側端子とを導通する前記電線は、前記搭載ステージの内部を通ることが望ましい。こうすれば、電線が搭載ステージ及びベースステージの外部へ露出することがなくなるので、各ステージが回転、直進移動、平行移動等といった各種の移動をする場合でも、電線が周辺機器に触れて断線したり、周辺機器を損傷したりすることを確実に防止できる。
【0023】
次に、本発明に係る試料支持装置において、前記ベースステージは、前記試料をX線ビームに対して進退移動させるZ軸移動ステージと、前記試料を面内回転させるφ軸移動ステージとを有し、前記搭載ステージは、前記試料を面内スライド移動させることにより試料表面上のX線照射位置を変化させるX−Y軸移動ステージか、試料を円弧面内で揺動させてX線ビームに対する試料の姿勢を調整するRx−Ry軸移動ステージか、のどちらかであることが望ましい。上記の各移動ステージはそれ自身よりも上にある移動ステージを大きく移動させる移動ステージである。従って、これらの移動ステージに対して本発明を適用して導電接続用の端子を各移動ステージの中に収めることにすれば、その端子自身及びその端子から延びる電線が周辺機器に触れて断線したり、周辺機器を損傷したりすることを確実に防止できる。
【0024】
次に、本発明に係る試料支持装置において、前記搭載側端子及び前記ベース側端子の一方は、弾性及び導電性を有する材料を変形可能に湾曲させて成る変形可能端子であり、前記搭載側端子及び前記ベース側端子の他方は、導電性を有する材料によって平面的に形成された平面端子であり、前記搭載側端子と前記ベース側端子とが導電接続する際には、前記変形可能端子が前記平面端子によって押されて変形することが望ましい。この構成によれば、変形可能端子と平面端子とが当接して変形可能端子が変形する際には、その変形可能端子は平面端子の表面を擦りながら移動する。この擦り移動により、変形可能端子と平面端子との表面同士の接続状態を安定化させることができる。
【0025】
次に、変形可能端子を有する本発明に係る試料支持装置において、前記変形可能端子は、変形可能な湾曲形状に形成された板状の端子か、可動端子をスプリングによって支持して成るスプリングコネクタか、であることが望ましい。板状の弾性材料を湾曲形状に曲げることによって変形可能とする場合は、変形可能な端子を安価に形成できる。また、変形可能な端子としてスプリングコネクタを用いれば、スプリングによってもたらされる弾性力により、搭載側端子とベース側端子とを確実に導電接続させることができる。
【0026】
次に、本発明に係るX線分析装置は、試料を支持する試料支持手段と、前記試料へ照射されるX線を発生するX線源と、前記試料から出たX線を検出するX線検出手段とを有するX線分析装置において、前記試料支持手段は、以上に記載した試料支持装置であることを特徴とする。本発明に係る試料支持装置によれば、ベースステージ上へ搭載ステージを載せる作業を格段に簡単に行うことができる。従って、この試料支持装置を用いたX線分析装置においても、試料支持装置を組み付ける作業を簡単に行うことができる。
【0027】
また、本発明に係る試料支持装置によれば、従来はコネクタとしてステージの外部にあった電線接続部をベースステージ及び搭載ステージの内部に収めるようにしたので、それらのステージが回転その他の移動を行ったときに、その電線接続部及びそれから延びる電線が周辺機器にぶつかることがなくなった。従って、この試料支持装置を用いたX線分析装置においても、試料の周囲で配線やコネクタの張り出しに起因して不都合が発生することを防止できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0028】
(X線分析装置及び試料支持装置の第1実施形態)
以下、本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置を実施形態に基づいて説明する。なお、本発明がこの実施形態に限定されないことはもちろんである。また、これ以降の説明では図面を参照するが、その図面では特徴的な部分を分かり易く示すために実際のものとは異なった比率で構成要素を示す場合がある。
【0029】
図1は、本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置の一実施形態を示している。また、図2は、図1のX線光学系の移動形態を模式的に示している。図1において、X線分析装置1は、X線源Fと、試料Sを支持する試料支持装置2と、X線検出器3とを有する。本実施形態では、Si(シリコン)ウエハを試料Sとして、その試料Sの構造をX線を用いて分析するものとする。
【0030】
X線源Fは、例えば、フィラメントと、それに対向するターゲットとによって構成できる。この場合には、フィラメントが通電によって発熱して熱電子を発生し、その熱電子がターゲットの表面に高速で衝突したときにそのターゲットの表面からX線が発生する。熱電子がターゲット表面に衝突する領域がX線を発生する領域であり、この領域はX線焦点と呼ばれる。X線検出器3は、例えば、X線を点状領域で受光する構造の0次元X線検出器であるSC(Scintillation Counter/シンチレーションカウンタ)によって構成できる。
【0031】
X線源Fと試料Sとの間には入射側X線光学系が設けられるが、その図示は省略されている。また、試料SとX線検出器3との間には受光側光学系が設けられるが、その図示は省略されている。これらの入射側光学系及び受光側光学系は、例えば、1つのスリット、ダブルスリット、モノクロメータ、コリメータ、ソーラスリット、平行スリット等といったX線光学要素を測定の種類に応じて適宜に組み合わせて構成される。
【0032】
試料支持装置2は、円形リングの一部分の形状を有するχ(カイ)サークル4と、χ駆動装置9によって駆動されてχサークル4に沿って旋回平行移動するχ軸移動ステージ5と、χ軸移動ステージ5上に設置された試料台6とを有する。試料台6は、ベースステージ7と、そのベースステージ7上に設置された搭載ステージ8とを有する。ベースステージ7は、Z軸移動ステージ11と、その上に設置されたφ軸移動ステージ12とを有する。搭載ステージ8はφ軸移動ステージ12上に設置されたY軸移動ステージ13と、その上に設置されたX軸移動ステージ14とを有する。
【0033】
一般に、X線分析装置においては、X線に対する試料Sの姿勢を変化させるために試料SがX線に対して種々に動かされる。そして、その動きの際の基準軸は測定の種類に応じて種々に設定される。ここで、試料Sの表面を通る水平軸線を横基準軸線Xh1とする。また、試料Sを通り横基準軸線Xh1に直交する鉛直軸線を縦基準軸線Xvとする。これらの軸線Xh1及びXvは位置不動の軸線である。
【0034】
χ軸移動ステージ5は、試料Sを図2の矢印χで示すようにχ軸線X(χ)を中心として回転移動させる。図2及び図1ではχ軸線X(χ)が横基準軸線Xh1と一致している状態を示しているが、χ軸線X(χ)はそれ自体が横基準軸線Xh1を含む水平面内で縦基準軸線Xvを中心として所定の角度範囲内で回転移動できる。
【0035】
図1のベースステージ7内のZ軸移動ステージ11は、駆動装置16によって駆動されて試料Sを、図2の矢印Zで示すように横基準軸線Xh1に対して進退移動させる。また、図1のベースステージ7内のφ軸移動ステージ12は、駆動装置17によって駆動されて試料Sを、図2の矢印φで示すように軸線X(φ)を中心として適宜の角度範囲内で回転移動させる。中心軸線X(φ)は矢印χ方向のχ軸移動に従って変位する軸線である。
【0036】
また、図1の搭載ステージ8内のY軸移動ステージ13は、駆動装置18によって駆動されて試料Sを、図2の矢印Yで示すようにχ軸線X(χ)に対して平行に移動させる。また、図1の搭載ステージ8内のX軸移動ステージ14は、駆動装置19によって駆動されて試料Sを、図2の矢印Xで示すようにχ軸線X(χ)に対して平行に且つY軸移動方向に対して直角方向に平行移動させる。
【0037】
また、次のような移動系を必要に応じて追加して設けることもできる。第1は、図2のχ軸線X(χ)それ自体を鉛直軸線Xvを中心として回転移動させる移動系である。第2は、図1のX線検出器3を鉛直軸線Xvを中心として矢印2θで示す方向へ回転移動させる移動系である。第3は、X線検出器3と試料Sとを結ぶ直線及び鉛直軸線Xvの両方に直交する軸線Xh2を中心としてX線検出器3を矢印2θ’で示す方向(すなわち、2θ回転方向と直角の方向)へ回転移動させる移動系である。
【0038】
なお、以上に記載した複数の移動系はX線分析装置1内に設定することができる各種の移動系のうちの一例であり、必要がある場合には、それらの移動系のいずれかを取り除くこともできるし、あるいは、X線分析装置1内にその他の移動系を追加して設けることもできる。
【0039】
(着脱可能構造)
本実施形態の試料台6に関しては、図3に矢印A及びBで示すように、搭載ステージ8がベースステージ7に対して着脱可能、すなわち容易に取付け及び取外しできるようになっている。つまり、ベースステージ7の上面及び搭載ステージ8の底面のそれぞれを結合面として、搭載ステージ8がベースステージ7に対して着脱可能となっている。このような着脱構造を採用するのは、ベースステージ7への搭載ステージ8の取付け作業を簡単化するため、及び搭載ステージ8を構成する移動ステージを別の種類の移動ステージと交換することを可能とするためである。以下、この着脱構造について説明する。
【0040】
ベースステージ7の上面、すなわちφ軸移動ステージ12の上面には、図4に示すように、円形状の嵌合凸部21が設けられている。一方、図3の搭載ステージ8の底面、すなわちY軸移動ステージ13の底面には、図5に示すように(図5では底面が上面として描かれている)、円形状の嵌合凹部22が設けられている。搭載ステージ8を図4のベースステージ7へ取り付ける際には、図5の嵌合凹部22を図4の嵌合凸部21の周囲にはめ込みながら搭載ステージ8がベースステージ7に載せられる。嵌合凸部21と嵌合凹部22との嵌合により、搭載ステージ8はベースステージ7に対して横方向へ移動しないように保持される。
【0041】
また、図5において、搭載ステージ8の底面、すなわちY軸移動ステージ13の底面であって嵌合凹部22によって囲まれる領域内の適所に嵌合ピン23が設けられている。一方、図4において、ベースステージ7の上面、すなわちφ軸移動ステージ12の上面の適所に嵌合穴24が設けられている。この嵌合穴24は図5の嵌合ピン23を挿入でき、且つ挿入した嵌合ピン23が位置ずれしない程度の直径を有している。搭載ステージ8をベースステージ7へ取り付ける際には、嵌合ピン23を嵌合穴24の中に挿入しながら搭載ステージ8がベースステージ7に載せられる。嵌合ピン23と嵌合穴24との嵌合により、搭載ステージ8はベースステージ7に対して回転移動しないように保持される。
【0042】
以上のような嵌合凸部21と嵌合凹部22との嵌合、及び嵌合ピン23と嵌合穴24との嵌合により、搭載ステージ8はベースステージ7に対して横方向及び回転方向の両方に対して位置ずれしないように保持される。なお、搭載ステージ8はベースステージ7に装着された後に適宜の固定手法によって固定される。この固定手法としては、例えば、図5の嵌合凹部22を形成するリング状の突起の側面からネジをねじ込んで図4の嵌合凸部21の側面を押し付ける方法等を採用できる。
【0043】
図1において、搭載ステージ8内に駆動装置18及び19が設けられることは既述した。これらの駆動装置18,19内には動力源としてパルスモータ、サーボモータ等といった電動モータが設けられる。また、駆動装置18,19の内部や、Y軸移動ステージ13の内部や、X軸移動ステージ14の内部には、それらの中に設置される各種の動作部品の位置を検知するためのセンサが設けられる。電動モータ、センサ等といった電気要素は電線を通じて電力の供給や、信号の送受信を行うものである。以下、この電線の取り扱いについて説明する。
【0044】
図4において、ベースステージ7の上面、すなわちφ軸移動ステージ12の上面に正方形状又は長方形状の凹部26が設けられている。そして、その凹部26の中にベース側配線基板27が配置され固定されている。この固定方法は、例えば、部分図(b)に示すように配線基板27の四隅に貫通穴29を開け、それらの貫通穴29にネジ28を通し、それらのネジ28をφ軸移動ステージ12に締め付けることによって実現できる。
【0045】
配線基板27の上面には複数のベース側端子31bが設けられている。本実施形態では6個で直線状1列のベース側端子31bが2列にわたって、合計で12個設けられている。しかしながら、ベース側端子31bの数は必要に応じた数に設定される。また、それら複数のベース側端子31bの配列も、直線状の2列に限られず、直線状の複数列、曲線状の複数列、複数の同心のリング状配列、その他種々の配列を採用できる。
【0046】
個々のベース側端子31bは、部分図(c)に示すように、導電性で板状の材料を加工することにより形成されている。このベース側端子31bは板状材料を加工によって湾曲させることによって形成されており、その頂部を矢印Cのように押圧したとき、その頂部が矢印C方向へ弾性変形する。部分図(c)に示すベース側端子31bは単純な曲げ構造によって変形可能部分を構成しているが、これに代えて、図6に示すように、板状材料を複数の個所で曲げることによって変形可能部分を構成することもできる。図6に示すベース側端子31bは「S」字状に湾曲する変形可能部分を有している。
【0047】
図4及び図6のベース側端子31bは、例えば、厚さ0.1mm程度のベリリウム銅にNi(ニッケル)メッキを下地メッキとした上で、さらに金メッキを施すことによって形成されている。圧縮荷重は、高さが4mmから2.2mmまで変形したときに3N以下であることが望ましい。また、接触抵抗値は50mΩ以下であることが望ましい。
【0048】
図4の配線基板27は、比較的硬質の合成樹脂によって形成された基板33と、その基板33上に形成されたパッド(すなわち、端子)34と、基板33の適所に形成された外部接続端子32とを有する。また、配線基板27の表面にはフォトエッチング処理により適宜のパターンの配線パターンが形成される。パッド34及び外部接続端子32はその配線パターンによってつながれて導通する。上記のベース側端子31bは所定の導電接合処理、例えば半田付けによりパッド34上に固着されている。結局、配線基板27上のベース側端子31bは、配線基板27上の配線パターンを介して外部接続端子32に導通している。
【0049】
複数の外部接続端子32のそれぞれには、図7に示すように、ベースステージ7の上部において電線45の一端が導電接合、例えば半田付けされている。これらの電線45の他端は、ベースステージ7の内部に設けたスリップリングコネクタ47の上端子49に接続されている。スリップリングコネクタ47の下端子50には他の電線48が接続されている。搭載ステージ8に属する駆動装置18,19へ供給する電力や信号は、この電線48を通して伝送される。
【0050】
スリップリングコネクタ47は周知のコネクタであり、その内部には、上端子49に導通する第1摺接子と下端子50に接続する第2摺接子とが設けられ、第1摺接子と第2摺接子とを電気的に接続状態に保持しながらそれらの摺接子を相対的に回転させることができるコネクタである。本実施形態では、例えば、第1摺接子をφ軸移動ステージ12に固定し、第2摺接子をZ軸移動ステージ11に固定し、φ軸移動ステージ12がZ軸移動ステージ11上で回転する場合でも、ベース側配線基板27側の電線45と、外部電線48との間で電気的な導通を確保している。
【0051】
次に、図5において、搭載ステージ8の底面(図の上面)、すなわちY軸移動ステージ13の底面に、正方形状又は長方形状の凹部36が設けられている。そして、その凹部36の中に搭載側配線基板37が配置され固定されている。この固定方法は、例えば、部分図(b)に示すように配線基板37の四隅に貫通穴39を開け、それらの貫通穴39にネジ38を通し、それらのネジ38をY軸移動ステージ13に締め付けることによって実現できる。
【0052】
搭載側配線基板37の上面には複数の搭載側端子31aが図4のベース側端子31bと同じ数及び同じ配列で設けられている。本実施形態では12個の搭載側端子31aが設けられている。個々の搭載側端子31aは、図4のベース側端子31bと同じ材料によってランド、すなわち平面端子として形成されている。
【0053】
搭載側配線基板37は、図4のベース側配線基板27と同じく、比較的硬質の合成樹脂によって形成された基板43と、基板43の適所に形成された外部接続端子42とを有する。また、配線基板37の表面にはフォトエッチング処理により適宜のパターンの配線パターンが形成される。搭載側端子31aと外部接続端子32はその配線パターンによって導通する。
【0054】
Y軸移動ステージ13に属する駆動装置18及びX軸移動ステージ14に属する駆動装置19は、いずれも、モータ等といった動力源や、センサ等といった電子部品等を含んでいる。動力源、電子部品等といった電気要素には電線が接続され、この電線を介して電力や信号が伝送される。この電線は、図7の搭載ステージ8内に符号44で示すように駆動装置18及び駆動装置19のそれぞれから出てY軸移動ステージ13及びX軸移動ステージ14の内部を通って搭載側配線基板37の外部接続端子42(図5参照)につながれている。電線44は図7では1本のように描かれているが、実際には、各駆動装置内に設けられている電気要素の数に応じた本数である。結局、駆動装置18,19内の個々の電気要素は、電線44、配線基板37上の外部接続端子42、配線基板37上の配線パターンを順次に介して、配線基板37上の個々の搭載側端子(すなわち、ランド)31aに導通する。
【0055】
図5の搭載ステージ8を図4のベースステージ7へ図3に矢印Aで示すように装着すると、図5の嵌合凹部22が図4の嵌合凹部21に嵌合し、さらに図5の嵌合ピン23が図4の嵌合穴24に嵌合して、搭載ステージ8がベースステージ7に装着される。こうしてステージの取付けが行われると、図5の搭載側端子(ランド)31aと図4のベース側端子(変形可能端子)31bとが図7の部分図(b)に示すように自動的に互いに導電接続する。部分図(b)では、鎖線で示す自然状態のベース側端子31bが搭載側端子31aに押されて実線で示す状態へ変形している。端子31aと端子31bとが導電接続すると、搭載ステージ8側の駆動装置18,19から延び出る電線44が、搭載側配線基板37上の搭載側端子31a、ベース側配線基板27上のベース側端子31b、ベース側配線基板27側の電線45、そしてスリップリングコネクタ47を順次に介して外部電線48に導電接続される。
【0056】
ベースステージ7内の駆動装置16が作動すると試料Sは図2のZ軸移動(すなわち、試料Sに対する進退平行移動)を行い、ベースステージ7内の駆動装置17が作動すると試料Sは図2のφ軸移動(すなわち、面内回転移動)を行い、搭載ステージ8内の駆動装置18が作動すると試料Sは図2のY軸方向へ平行移動し、さらに、搭載ステージ8内の駆動装置19が作動すると試料Sは図2のX軸方向へ平行移動する。
【0057】
このように試料Sに種々の動きを付与することにより、図1において、X線R0に対する試料Sの姿勢を種々の状態に設定することができる。そして、X線源FからX線を放射してそのX線を試料Sへ照射し、そのときに試料Sから回折線、散乱線等が出射する場合には、その回折線等をX線検出器3によって検出する。そして、検出したX線の強度、そのときの試料Sの入射X線に対する姿勢、及びそのときのX線検出器3の入射X線に対する角度位置の各データに基づいて、試料Sの内部の構造を分析する。
【0058】
本実施形態によれば、図7に示すように、搭載側端子31aとベース側端子31bとがいずれもベースステージ7及び搭載ステージ8の結合面内に設けられているので、ベースステージ7上のベース側端子31bと搭載ステージ8上の搭載側端子31aとを、搭載ステージ8をベースステージ7上に搭載する際に自動的に接続させることができる。このため、搭載ステージ8をベースステージ7上へ設置する作業と、搭載ステージ側の電線44とベースステージ側の電線45とをコネクタによって導電接続させる作業とを別々に行っていた従来の装置に比べて、ベースステージ7上へ搭載ステージ8を載せる作業を格段に簡単に行うことができる。
【0059】
また、本実施形態においては、ベースステージ7と搭載ステージ8との間の電気的な接続を、両ステージのそれぞれの結合面内に設けた搭載側端子31aとベース側端子31bとの接続によって行っている。この構成により、搭載ステージ8内の電線44は、その搭載ステージ8の外部に露出することなく、搭載ステージ8の内部を通して搭載側端子31aに接続させることができる。このように電線44を搭載ステージ8の内部に収めるようにしたので、搭載ステージ8が回転その他の移動を行ったときに、電線44が、搭載ステージ8やベースステージ7やそれらの周りにある周辺機器にぶつかることがなくなった。また、搭載ステージ8の外部に電線接続部品、すなわちコネクタを設ける必要がないので、コネクタが周辺機器等にぶつかるということもなくなった。
【0060】
ところで、図4のベース側端子31bをベースステージ7の上面に設置する場合や、図5の搭載側端子31aを搭載ステージ8の底面に設置する場合には、それらの端子31a,31bを各ステージの面に直接に設置することができる。しかしながら、この場合には、その設置作業が非常に面倒である。これに対し、本実施形態では、ベース側配線基板27上にベース側端子31bを設け、搭載側配線基板37上に搭載側端子31aを設け、それらの配線基板27,37をベースステージ7や搭載ステージ8に取り付けることにより、ベースステージ7や搭載ステージ8上に端子31bや端子31aを設けている。このように、配線基板27,37を介して端子31b,31aを各ステージへ設けるようにすれば、作業性が格段に向上する。また、配線基板27,37の各ステージ7,8への取付け位置を微調整することにより、各ステージ7,8に対する端子31b,31aの取付け位置を微調整できるので、搭載側端子31aとベース側端子31bとの導電接続作業を簡単且つ正確に行うことができる。
【0061】
また、本実施形態では、図4のベース側配線基板27に設けたベース側端子31bに関しては外部接続端子32を介して電線45(図7参照)に接続する。また、図5の搭載側配線基板37に設けた搭載側端子31aに関しては外部接続端子42を介して電線44(図7参照)に接続する。この構成により、搭載側端子31a及びベース側端子31bに電線を接続する作業が非常に簡単になった。
【0062】
また、本実施形態では、ベースステージ7と搭載ステージ8との間に嵌合構造を設けた。具体的には、図4のベースステージ7の上面に設けた嵌合凸部21と図5の搭載ステージ8の底面に設けた嵌合凹部22との組み合わせから成る嵌合構造を設けたことと、図4のベースステージ7の上面に設けた嵌合穴24と図5の搭載ステージ8の底面に設けた嵌合ピン23との組み合わせから成る嵌合構造を設けたこと、である。このような嵌合構造を設けることにより、ベースステージ7とそれに積み重ねられた搭載ステージ8とを相対移動することなく安定状態に保持できる。
【0063】
特に、本実施形態では嵌合凸部21と嵌合凹部22との嵌合構造によって横方向への位置ずれを規制すると共に、嵌合穴24と嵌合ピン23との嵌合構造によって回転方向への位置ずれを規制するという、二重の嵌合構造を採用したので、両ステージ7,8の相対的な位置関係を常に一定に維持できるようになった。
【0064】
また、本実施形態において、図7の搭載ステージ8に属する駆動装置18,19と搭載側端子31aとを導通する電線44は、搭載ステージ8の内部を通るので、電線44が搭載ステージ8やベースステージ7の外部へ露出することがなくなった。このため、各ステージが回転、直進移動、平行移動等といった各種の移動をする場合でも、電線44が周辺機器に触れて断線したり、周辺機器を損傷したりすることがなくなった。
【0065】
また、本実施形態では、図7の部分図(b)に示すように、ベースステージ7側に設けられたベース側端子31bが、一端がベース側配線基板27に固定され他端が自由端である変形可能端子となっているので、平面端子(すなわち、ランド)である搭載側端子31aとベース側端子31bとが導電接続する際には、ベース側端子31bが搭載側端子31aによって押されて変形すると共に、ベース側端子31bは搭載側端子31aの表面を擦りながら移動する。この擦り移動により、ベース側端子31bと搭載側端子31aとの表面同士の接続状態を安定化させることができる。
【0066】
(X線分析装置及び試料支持装置の第2実施形態)
図8は、本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置の他の実施形態を示している。ここに示す実施形態が図1に示した先の実施形態と異なる点は、図1の試料台6を構成する搭載ステージ8に改変を加えたことである。本実施形態において図1に示した部材と同じ部材は同じ符号を付してその説明は省略することにする。
【0067】
図8において、χ軸移動ステージ5及びそれに付随する要素は図1の実施形態で用いたものと同じである。χ軸移動ステージ5に載置された試料台56は、ベースステージ7と搭載ステージ58とを有する。ベースステージ7は図1の実施形態で用いたものと同じである。搭載ステージ58は、ベースステージ7のφ軸移動ステージ12上に載置されたRy軸移動ステージ63とその上に載置されたRx軸移動ステージ64とを有する。
【0068】
Ry軸移動ステージ63は、駆動装置68によって駆動されて試料Sを、図9の矢印Ryで示すようにχ軸線X(χ)を中心として円弧軌跡を描くように揺動移動させる。また、図8の搭載ステージ58内のRx軸移動ステージ64は、駆動装置69によって駆動されて試料Sを、図9の矢印Rxで示すようにχ軸線X(χ)を中心として円弧軌跡を描くように揺動移動させる。以上のような揺動移動Rx,Ryは、例えば、試料Sへ入射するX線に対する試料Sの姿勢を微調整する際に行われる。
【0069】
本実施形態におけるベースステージ7の上面(すなわち、結合面)には、先の実施形態の場合と同様に、図4に示す嵌合凸部21、嵌合穴24、ベース側配線基板27、及びベース側端子31bが設けられている。また、搭載ステージ58の底面(すなわち、結合面)には、先の実施形態の場合と同様に、図5に示す嵌合凹部22、嵌合ピン23、搭載側配線基板37、及び搭載側端子31a設けられている。従って、搭載ステージ58をベースステージ7に装着した際には、両ステージを嵌合させたときに両者間での電気的な接続が自動的に達成されることになり、作業が非常に簡単である。また、両ステージの間に設けられた嵌合構造の働きにより、搭載ステージ58がベースステージ7に対して位置ずれすることを防止できる。また、搭載ステージ58内の配線が搭載ステージ58やベースステージ7の外部に露出しないので、配線や周辺機器の損傷を防止できる。
【0070】
なお、図1に示した搭載ステージ8の底面の構造と、図8に示した搭載ステージ58の底面の構造とを同じに形成しておけば、例えば、両ステージの底面構造を図5に示す構造に統一しておけば、図1のX線分析装置1においてベースステージ7から搭載ステージ8を取外し、図8に示す搭載ステージ58をそれに代えてベースステージ7に装着することを容易に行うことができる。つまり、XY軸平行移動ステージとRx,Ry軸揺動移動ステージとを交換してベースステージ7へ取り付けることができる。このような交換は、XY軸平行移動ステージとRx,Ry軸揺動移動ステージとの間の交換に限られず、ベースステージの結合面と搭載ステージの結合面との構成を共通にしておきさえすれば、他の任意の種類の移動ステージに関しても実現できる。
【0071】
(X線分析装置及び試料支持装置の第3実施形態)
図10は、本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置のさらに他の実施形態の要部を示している。本実施形態の全体的な外観形状は図1の実施形態と同じである。本実施形態は、先の実施形態で用いたところの図4に示したベースステージ7の上面の構造に関して改変を加えたものである。以下、主に改変を加えた部分について説明し、共通する構成の説明は省略するものとする。
【0072】
図4に示した先の実施形態では、導電性で板状の材料に曲げ加工を加えることによりベース側端子31bを弾性変形可能に形成したのであるが、本実施形態ではそのような端子構造に代えて、図10の部分図(b)に示すように、スプリングコネクタ61bによってベース側端子を形成している。スプリングコネクタ61bは、部分図(c)に示すように、矢印D−D’のように上下方向へ移動可能な可動端子62をスプリング65によって支持するという構造を有するコネクタである。
【0073】
本実施形態においては、図5の搭載ステージ8を図10のベースステージ7へ図3の矢印Aに示すように装着すると、図5の嵌合凹部22が図10の嵌合凸部21に嵌合し、さらに図5の嵌合ピン23が図10の嵌合穴24に嵌合して、搭載ステージ8がベースステージ7に装着される。こうしてステージの取付けが行われると、図5の搭載側端子(ランド)31aと図10のスプリングコネクタ61bの可動端子62とが自動的に互いに導電接続する。これにより、図7において搭載ステージ8側の駆動装置18,19から延び出る電線44が、搭載側配線基板37上の搭載側端子31a、ベース側配線基板27上のスプリングコネクタ61b、ベース側配線基板27側の電線45、そしてスリップリングコネクタ47を順次に介して外部電線48に導電接続される。
【0074】
(その他の実施形態)
以上、好ましい実施形態を挙げて本発明を説明したが、本発明はその実施形態に限定されるものでなく、請求の範囲に記載した発明の範囲内で種々に改変できる。
【0075】
例えば、図1に示した実施形態では、χ軸移動ステージ5の上に試料台6を設けたが、χ軸移動ステージ以外の移動ステージ上に試料台6を設けることもできる。また、移動ステージではなくて固定ステージ上に試料台6を設けることもできる。また、ベースステージ7に内蔵する移動ステージは図7に示したZ軸移動ステージ11やφ軸移動ステージ12に限られず、他の任意の移動ステージとすることができる。
【0076】
また、搭載ステージ8に内蔵する移動ステージも、図7のY軸移動ステージ13及びX軸移動ステージ14や、図8のRy軸移動ステージ63及びRx軸移動ステージ64等に限られず、他の任意の移動ステージとすることができる。また、図4及び図5に示した実施形態では、ベースステージ7に設けたベース側端子31bを変形可能端子とし、搭載ステージ8に設けた搭載側端子31aを平面端子としたが、これらを逆に設定すること、すなわち、ベースステージ7に平面端子を設け、搭載ステージ8に変改可能端子を設けても良い。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置の一実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1の試料支持装置によって行われる試料の動きを示す図である。
【図3】図1の試料支持装置の使用形態を示す斜視図である。
【図4】図3の要部を示す斜視図である。
【図5】図3の他の要部を示す斜視図である。
【図6】変形可能端子の変形例を示す斜視図である。
【図7】図1に示す試料台を一部破断して示す側面図である。
【図8】本発明に係るX線分析装置及び試料支持装置の他の実施形態を示す斜視図である。
【図9】図8の試料支持装置によって行われる試料の動きを示す図である。
【図10】本発明に係る試料支持装置のさらに他の実施形態を示す斜視図である。
【図11】従来の試料支持装置の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0078】
1.X線分析装置、 2.試料支持装置、 3.X線検出器、 4.χサークル、
5.χ軸移動ステージ、 6.試料台、 7.ベースステージ、 8.搭載ステージ、
9.χ駆動装置、 11.Z軸移動ステージ、 12.φ軸移動ステージ、
13.Y軸移動ステージ、 14.X軸移動ステージ、
16,17,18,19.駆動装置、 21.嵌合凸部、 22.嵌合凹部、
23.嵌合ピン、 24.嵌合穴、 26.凹部、 27.ベース側配線基板、
28.ネジ、 29.貫通穴、 31a.搭載側端子、 31b.ベース側端子、
32.外部接続端子、 33.基板、 34.パッド、 36.凹部、
37.搭載側配線基板、 39.貫通穴、 42.外部接続端子、 43.基板、
44,45,48.電線、 47.スリップリングコネクタ、 49.上端子、
50.下端子、 56.試料台、 61b.スプリングコネクタ、 62.可動端子、
63.Ry軸移動ステージ、 64.Rx軸移動ステージ、 65.スプリング、
68,69.駆動装置、 F.X線源、 R0.入射X線、 S.試料、
Xh1.横基準軸線、 Xh2.軸線、 Xv.縦基準軸線
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベースステージと、該ベースステージに重ねて配置される搭載ステージとを有し、該搭載ステージによって試料を支持する試料支持装置であって、
前記ベースステージと前記搭載ステージはそれぞれの結合面を対向させた状態で互いに重ね合わされ、
前記搭載ステージに設けられた電気要素と、
前記搭載ステージの結合面内に設けられていて電線を介して前記電気要素と導通する搭載側端子と、
前記ベースステージの結合面内に設けられていて前記搭載側端子と導電接続可能なベース側端子と、を有し、
前記搭載ステージを前記ベースステージ上に重ねて配置した状態で、前記搭載側端子と前記ベース側端子とが導電接続する
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項2】
請求項1記載の試料支持装置において、
前記搭載側端子が設けられた搭載側配線基板と、前記ベース側端子が設けられたベース側配線基板とをさらに有し、
前記搭載側配線基板は前記搭載ステージの結合面内に固定され、前記ベース側配線基板は前記ベースステージ内に固定される
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項3】
請求項2記載の試料支持装置において、
前記搭載側配線基板は外部接続端子を有し、該外部接続端子は前記搭載側配線基板上に形成された配線パターンを介して前記搭載側端子に導通し、
前記ベース側配線基板は外部接続端子を有し、該外部接続端子は前記ベース側配線基板上に形成された配線パターンを介して前記ベース側端子に導通する
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の試料支持装置において、
前記ベースステージと前記搭載ステージとの間に設けられていて嵌合部と被嵌合部とを有する嵌合構造をさらに有し、
前記ベースステージと前記搭載ステージは前記嵌合部と前記被嵌合部とが互いに嵌合した状態で互いに重ね合わされる
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項5】
請求項4記載の試料支持装置において、前記嵌合構造は、前記搭載ステージが前記ベースステージに対して横方向へ平行移動するのを規制し、さらに前記ベースステージに対して回転移動するのを規制することを特徴とする試料支持装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の試料支持装置において、前記搭載ステージに設けられた電気要素と前記搭載側端子とを導通する前記電線は、前記搭載ステージの内部を通ることを特徴とする試料支持装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の試料支持装置において、
前記ベースステージは、前記試料をX線ビームに対して進退移動させるZ軸移動ステージと、前記試料を面内回転させるφ軸移動ステージとを有し、
前記搭載ステージは、前記試料を面内スライド移動させることにより試料表面上のX線照射位置を変化させるX−Y軸移動ステージか、X線ビームに対する試料の姿勢を調整するRx−Ry軸移動ステージか、のどちらかである
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の試料支持装置において、
前記搭載側端子及び前記ベース側端子の一方は、弾性及び導電性を有する材料を変形可能に湾曲させて成る変形可能端子であり、
前記搭載側端子及び前記ベース側端子の他方は、導電性を有する材料によって平面的に形成された平面端子であり、
前記搭載側端子と前記ベース側端子とが導電接続する際には、前記変形可能端子が前記平面端子によって押されて変形する
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項9】
請求項8記載の試料支持装置において、
前記変形可能端子は、変形可能な湾曲形状に形成された板状の端子か、可動端子をスプリングによって支持して成るスプリングコネクタか、であることを特徴とする試料支持装置。
【請求項10】
試料を支持する試料支持手段と、前記試料へ照射されるX線を発生するX線源と、前記試料から出たX線を検出するX線検出手段とを有するX線分析装置において、
前記試料支持手段は、請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の試料支持装置であることを特徴とするX線分析装置。
【請求項1】
ベースステージと、該ベースステージに重ねて配置される搭載ステージとを有し、該搭載ステージによって試料を支持する試料支持装置であって、
前記ベースステージと前記搭載ステージはそれぞれの結合面を対向させた状態で互いに重ね合わされ、
前記搭載ステージに設けられた電気要素と、
前記搭載ステージの結合面内に設けられていて電線を介して前記電気要素と導通する搭載側端子と、
前記ベースステージの結合面内に設けられていて前記搭載側端子と導電接続可能なベース側端子と、を有し、
前記搭載ステージを前記ベースステージ上に重ねて配置した状態で、前記搭載側端子と前記ベース側端子とが導電接続する
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項2】
請求項1記載の試料支持装置において、
前記搭載側端子が設けられた搭載側配線基板と、前記ベース側端子が設けられたベース側配線基板とをさらに有し、
前記搭載側配線基板は前記搭載ステージの結合面内に固定され、前記ベース側配線基板は前記ベースステージ内に固定される
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項3】
請求項2記載の試料支持装置において、
前記搭載側配線基板は外部接続端子を有し、該外部接続端子は前記搭載側配線基板上に形成された配線パターンを介して前記搭載側端子に導通し、
前記ベース側配線基板は外部接続端子を有し、該外部接続端子は前記ベース側配線基板上に形成された配線パターンを介して前記ベース側端子に導通する
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか1つに記載の試料支持装置において、
前記ベースステージと前記搭載ステージとの間に設けられていて嵌合部と被嵌合部とを有する嵌合構造をさらに有し、
前記ベースステージと前記搭載ステージは前記嵌合部と前記被嵌合部とが互いに嵌合した状態で互いに重ね合わされる
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項5】
請求項4記載の試料支持装置において、前記嵌合構造は、前記搭載ステージが前記ベースステージに対して横方向へ平行移動するのを規制し、さらに前記ベースステージに対して回転移動するのを規制することを特徴とする試料支持装置。
【請求項6】
請求項1から請求項5のいずれか1つに記載の試料支持装置において、前記搭載ステージに設けられた電気要素と前記搭載側端子とを導通する前記電線は、前記搭載ステージの内部を通ることを特徴とする試料支持装置。
【請求項7】
請求項1から請求項6のいずれか1つに記載の試料支持装置において、
前記ベースステージは、前記試料をX線ビームに対して進退移動させるZ軸移動ステージと、前記試料を面内回転させるφ軸移動ステージとを有し、
前記搭載ステージは、前記試料を面内スライド移動させることにより試料表面上のX線照射位置を変化させるX−Y軸移動ステージか、X線ビームに対する試料の姿勢を調整するRx−Ry軸移動ステージか、のどちらかである
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項8】
請求項1から請求項7のいずれか1つに記載の試料支持装置において、
前記搭載側端子及び前記ベース側端子の一方は、弾性及び導電性を有する材料を変形可能に湾曲させて成る変形可能端子であり、
前記搭載側端子及び前記ベース側端子の他方は、導電性を有する材料によって平面的に形成された平面端子であり、
前記搭載側端子と前記ベース側端子とが導電接続する際には、前記変形可能端子が前記平面端子によって押されて変形する
ことを特徴とする試料支持装置。
【請求項9】
請求項8記載の試料支持装置において、
前記変形可能端子は、変形可能な湾曲形状に形成された板状の端子か、可動端子をスプリングによって支持して成るスプリングコネクタか、であることを特徴とする試料支持装置。
【請求項10】
試料を支持する試料支持手段と、前記試料へ照射されるX線を発生するX線源と、前記試料から出たX線を検出するX線検出手段とを有するX線分析装置において、
前記試料支持手段は、請求項1から請求項9のいずれか1つに記載の試料支持装置であることを特徴とするX線分析装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2007−17273(P2007−17273A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−198892(P2005−198892)
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月7日(2005.7.7)
【出願人】(000250339)株式会社リガク (206)
【Fターム(参考)】
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