説明

誘導加熱装置

【課題】スイッチング素子間の損失偏りがなく、冷却設計が容易で、部品寿命が長く、結果として低コストとなる誘導加熱装置を提供する。
【解決手段】制御手段116は、第1及び第4のスイッチング素子107、110の組が同時導通する第1の同時導通期間と第2及び第3のスイッチング素子108、109の組が同時導通する第2の同時導通期間と前記第1及び前記第3のスイッチング素子107、109及び加熱コイル112及び共振コンデンサ113で構成される第1の閉ループ共振期間と前記第2及び前記第4のスイッチング素子108、110及び前記加熱コイル112及び前記共振コンデンサ113で構成される第2の閉ループ共振期間を設け、前記第1の同時導通期間及び前記第1の閉ループ共振期間の組と前記第2の同時導通期間及び前記第2の閉ループ共振期間の組が交互に現れるよう制御する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、一般家庭やオフィス、レストラン、工場などで使用される誘導加熱装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の誘導加熱装置は、複数のスイッチング素子を有し、一方のスイッチング素子のオン期間中に周期の短い共振電流を加熱コイルに発生し、かつ平滑コンデンサから加熱コイルに電力を供給することにより、入力電圧の脈流による鍋鳴り音が生じず、騒音の少ないアルミ鍋などを加熱する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
また、4個のスイッチング素子を使用するフルブリッジインバータにおいて、特定のスイッチング素子を用いて加熱コイル及び共振コンデンサを含む閉ループを形成して振動電流を流し、アルミ鍋などを加熱する技術が知られている(例えば、特許文献2参照)。
【0004】
図5は、特許文献2に記載された従来の誘導加熱調理器の回路図を示すものである。また、図6は従来の誘導加熱調理器の各スイッチング素子の動作を示す波形図及びこのスイッチング動作により流れる振動電流の波形図である。
【0005】
図5に示すように、制御回路12は、第1及び第2のスイッチング素子4、5の組と第3及び第4のスイッチング素子6、7の組とを交互に切り換えて駆動すると共に、その切り換え時に、直列接続された加熱コイル8及び共振コンデンサ9が閉ループになるように第2及び第4のスイッチング素子5、7を駆動制御する。
【0006】
その直列回路が閉ループになったときに振動電流が流れる。振動電流により加熱コイル8から磁束が発生し、この磁束により天板10上に置かれたアルミ製或いは銅製の鍋11に渦電流が生じ、鍋11を加熱する。
【特許文献1】特開2003−257609号公報
【特許文献2】特開2005−149915号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、前記特許文献2の従来の構成では、第2及び第4のスイッチング素子5、7の導通期間が長くなるため、第1及び第3のスイッチング素子4、6の損失の約3〜5倍程度になる。
【0008】
一般にアルミ鍋などを誘導加熱する際には、非常に大きな共振電流(振動電流)が流れるため、第2及び第4のスイッチング素子5、7の損失が過大となり冷却設計が困難となる課題を有していた。
【0009】
また、アルミニウム若しくは銅またはこれらと略同等以上の電気伝導率を有する低透磁率材料からなる被加熱物を誘導加熱する場合、加熱コイルから発生する高周波磁界と被加熱物間の反発力に起因する被加熱物の振動音を抑制するために、インバータ電源電圧を平滑してインバータ出力を略一定にする直流電源の働きをなす平滑手段が必要である。
【0010】
このような平滑手段として、電解コンデンサなどの大容量コンデンサが非常に有効であるが、許容できる電流に制限があり、また電流を流すことによって発生する損失及び発熱で容量低下が急激に進行したり、特性劣化に至る場合がある。誘導加熱装置としての寿命
に対して、部品寿命を確保できない場合がある。
【0011】
特許文献1のように、複数のスイッチング素子を有し、一方のスイッチング素子のオン期間中に周期の短い共振電流を加熱コイルに発生し、かつ平滑コンデンサから加熱コイルに電力を供給する場合、平滑手段である平滑コンデンサに絶えず電流が流れるため、特に許容電流の大きいコンデンサを選択する必要が生じ、コストが高くなったり、部品形状が大きくなったりする課題を有していた。
【0012】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、複数のスイッチング素子の同時導通期間と閉ループ共振期間の組が交互に現れるよう制御することにより、スイッチング素子間の損失偏りがなく、冷却設計が容易で、部品寿命が長く、結果として低コストとなる誘導加熱装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
前記従来の課題を解決するために、本発明の誘導加熱装置は、直流電源と、互いに直列接続された加熱コイル及び共振コンデンサと、第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子と、スイッチング素子の駆動を制御する制御手段とを備え、第1及び第4のスイッチング素子の組が同時導通する第1の同時導通期間と第2及び第3のスイッチング素子の組が同時導通する第2の同時導通期間と第1及び第3のスイッチング素子及び加熱コイル及び共振コンデンサで構成される第1の閉ループに共振電流が流れる第1の閉ループ共振期間と第2及び前記第4のスイッチング素子及び加熱コイル及び共振コンデンサで構成される第2の閉ループに共振電流が流れる第2の閉ループ共振期間を設け、第1の同時導通期間及び第1の閉ループ共振期間の組と第2の同時導通期間及び第2の閉ループ共振期間の組が交互に現れるよう制御するものである。
【0014】
これによって、閉ループ共振期間が、異なるスイッチング素子の組で形成され、さらにその組が切り換えられるため、複数のスイッチング素子間での損失偏りが少なく、冷却設計が容易である。
【0015】
従って、部品寿命が長く、低コストな誘導加熱装置とすることが可能である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の誘導加熱装置は、異なるスイッチング素子の組で形成される第1の同時導通期間、第1の閉ループ共振期間、第2の同時導通期間及び第2の閉ループ共振期間が交互に現れるよう制御することにより、スイッチング素子間の損失偏りがなく、冷却設計が容易で、部品寿命が長く、低コストの誘導加熱装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
第1の発明は、直流電源と、互いに直列接続された加熱コイル及び共振コンデンサと、前記加熱コイルの略上方に配置された被加熱物と、前記直流電源の高電位側と前記加熱コイル間に挿入された第1のスイッチング素子と、前記加熱コイル及び前記第1のスイッチング素子の接続点と前記直流電源の低電位側間に挿入された第2のスイッチング素子と、前記直流電源の高電位側と前記加熱コイル間に挿入された第3のスイッチング素子と、前記共振コンデンサ及び前記第3のスイッチング素子の接続点と前記直流電源の低電位側間に挿入された第4のスイッチング素子と、前記第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子の駆動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1、前記第2、前記第3及び前記第4のスイッチング素子を導通/遮断させることにより、前記加熱コイル、前記共振コンデンサ及び前記被加熱物で決まる共振周波数の共振電流を前記加熱コイルに供給して高周波磁界を発生させて前記被加熱物を誘導加熱するとともに、前記第1及び前記第4のスイッチング素子の組が同時導通する第1の同時導通期間と前記第2及び前記第3
のスイッチング素子の組が同時導通する第2の同時導通期間と前記第1及び前記第3のスイッチング素子及び前記加熱コイル及び前記共振コンデンサで構成される第1の閉ループに共振電流が流れる第1の閉ループ共振期間と前記第2及び前記第4のスイッチング素子及び前記加熱コイル及び前記共振コンデンサで構成される第2の閉ループに共振電流が流れる第2の閉ループ共振期間を設け、前記第1の同時導通期間及び前記第1の閉ループ共振期間の組と前記第2の同時導通期間及び前記第2の閉ループ共振期間の組が交互に現れるよう制御するものである。
【0018】
これによって、アルミニウム若しくは銅またはこれらと略同等以上の電気伝導率を有する低透磁率材料からなる被加熱物を誘導加熱する場合、十分な渦電流を発生させてジュール熱を得るためには、非常に大きな共振電流を流す必要があるが、複数の同時導通期間及び閉ループ共振期間を交互に現れるよう制御するために、複数のスイッチング素子にかかる負荷はほぼ均等に振り分けることが可能となり、スイッチング素子間での損失偏りがほとんどなく、冷却設計が容易にすることができ、さらに、閉ループ共振期間では、直流電源の役割をなす平滑手段に共振電流が流れないために、平滑手段に流れる電流を小さくすることが可能となり、低コストで部品形状の小さいコンデンサを採用することができ、複数のスイッチング素子間での損失偏りが少なく、冷却設計が容易で、かつ部品寿命が長く、低コストな誘導加熱装置とすることができる。
【0019】
第2の発明は、特に、第1の発明の制御手段を、第1又は第2の閉ループ共振期間を少なくとも共振電流1周期分以上長く設定することにより、直流電源の役割をなす平滑手段に共振電流が流れる期間を短くすることが可能となり、また、スイッチング素子の駆動周波数よりも高周波の磁界を発生することが可能であるため、スイッチング素子の損失を低減し、アルミ鍋などの高周波共振電流の減衰が少ない低抵抗率非磁性金属からなる被加熱物を誘導加熱するのに非常に有効となる。
【0020】
第3の発明は、特に、第2の発明の制御手段を、第1の導通期間−第1の閉ループ共振期間−第2の導通期間−第2の閉ループ共振期間の順又は第1の閉ループ共振期間−第1の導通期間−第2の閉ループ共振期間−第2の導通期間の順となるよう第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子を制御することにより、第1の導通期間、第2の導通期間によって、直流電源高電位側−加熱コイル及び共振コンデンサ−直流電源低電位側の電流経路が構成されて、電源から被加熱物に電力が伝達され、また、第1の導通期間、第2の導通期間の間に第1の閉ループ共振期間、第2の閉ループ共振期間を挟んでいるために、アルミ鍋などの高周波共振電流の減衰が少ない低抵抗率非磁性金属からなる被加熱物を誘導加熱するのに非常に有効であるとともに、その切り換え時のスイッチング素子のスイッチングは最小限に限られることとなり、被加熱物に電力を伝達しつつ、低損失、低コストの誘導加熱装置とすることができる。
【0021】
第4の発明は、特に、第2の発明の制御手段を、第3のスイッチング素子がターンオンするタイミングに対して第1のスイッチング素子がターンオンするタイミングが共振電流の略半周期分早く又は遅くなるよう制御することにより、第3のスイッチング素子の駆動に対して、所定の位相をずらしたタイミングで第1のスイッチング素子を駆動させればよく、スイッチング素子の駆動を制御する制御手段は、所定の位相分だけずらしたタイミングで駆動させればよいため、駆動タイミングを決定するための特別な回路などは必要なく、制御手段に内蔵されるようなタイマーなどでカウントし、所定のタイミングで駆動することによって容易にスイッチング素子及びインバータの制御をすることができる。
【0022】
第5の発明は、特に、第2の発明の制御手段、第4のスイッチング素子がターンオンするタイミングに対して第1のスイッチング素子がターンオンするタイミングが共振電流の略1周期分早く又は遅くなるよう制御することにより、第4のスイッチング素子の駆動に
対して、所定の位相をずらしたタイミングで第1のスイッチング素子を駆動させればよく、スイッチング素子の駆動を制御する制御手段は、所定の位相分だけずらしたタイミングで駆動させればよいため、駆動タイミングを決定するための特別な回路などは必要なく、制御手段に内蔵されるようなタイマーなどでカウントし、所定のタイミングで駆動することによって容易にスイッチング素子及びインバータの制御をすることができる。
【0023】
第6の発明は、特に、第2の発明の制御手段を、第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子が導通する期間が略同一となるよう制御することにより、スイッチング素子それぞれが略同一の導通期間となり、スイッチング素子間の導通損失の偏りが少なくなり、冷却設計が容易で且つ、部品寿命を長くすることが可能であり、低コストの誘導加熱装置とすることができる。
【0024】
第7の発明は、特に、第1の発明の入力電流検知手段と、共振出力の大きさを検知する共振出力検知手段と、前記入力電流検知手段の出力及び前記共振出力検知手段の出力から被加熱物の材質を判別する材質判別手段とを備え、制御手段は、材質判別手段が被加熱物材質を高抵抗率金属と判別した場合に第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子導通期間を共振電流半周期よりも短く制御することにより、共振電流が減衰する前にスイッチングを行い、共振を持続させることが可能となり、鉄鍋などの高抵抗率金属からなる被加熱物やその他様々な被加熱物で加熱電力の得られる実用的な誘導加熱装置とすることができる。
【0025】
第8の発明は、特に、第7の発明の共振コンデンサの容量を切り換える切り換え手段とを備え、制御手段は、前記材質判別手段が前記被加熱物材質を高抵抗率金属と判別した場合に前記共振コンデンサの容量が大きくなるよう切り換え手段を動作させることにより、例えば、磁性ステンレスなど、被加熱物が高抵抗率でかつ高透磁率金属からなる被加熱物を誘導加熱する際には、被加熱物の高周波抵抗が非常に高くなるため、十分な加熱電力を得ることが困難であるが被加熱物の材質に応じて、共振コンデンサ容量が大きくなるよう切り換え手段を動作させ、共振周波数を下げるので、被加熱物の高周波抵抗も下がり、十分な共振電流が流れる状態を得ることができ、様々な被加熱物で加熱電力の得られる実用的な誘導加熱装置とすることが可能である。
【0026】
以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、この実施の形態によって本発明が限定されるものではない。
【0027】
(実施の形態1)
図1は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の概略回路図、図2は本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の制御手段116及び材質判別手段117内部に保持している入力電流検知手段118検知出力−共振出力検知手段119検知出力平面での被加熱物114材質判別領域を示した図、図3は本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の低抵抗非磁性金属製の被加熱物114を誘導加熱している際の各部電圧電流波形を示した図、図4は本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の低抵抗非磁性金属以外の被加熱物114を誘導加熱している際の各部電圧電流波形を示した図を示すものである。
【0028】
図1において、商用交流電源101からの交流電圧を整流するダイオードブリッジからなる整流手段102の出力側にはチョークコイル103及び第5のスイッチング素子104が直列接続されている。
【0029】
さらにチョークコイル103及び第3のスイッチング素子104の接続点にはダイオード105のアノード側が接続されている。
【0030】
ダイオード105のカソード側と整流手段102の出力低電位側間には、電解コンデンサからなる平滑手段106と、内部に逆導通ダイオードを内包する第1のスイッチング素子107と第2のスイッチング素子108の直列接続体、及び第3のスイッチング素子109と第4のスイッチング素子110の直列接続体が接続されている。
【0031】
平滑手段106は、後述するインバータ111の直流電源となるよう作用しており、電圧変動を極力抑制するよう十分大きな容量の電解コンデンサで構成され、具体的には560μFの電解コンデンサを4本使用している。
【0032】
第1のスイッチング素子107と第2のスイッチング素子108の接続点と、第3のスイッチング素子109と第4のスイッチング素子110の接続点間には、加熱コイル112と共振コンデンサ113が直列接続されている。
【0033】
加熱コイル112上部には、絶縁体であり、耐熱セラミックス製のトッププレート(図示せず)が設けられており、被加熱物114はトッププレートを挟んで加熱コイル112と対向するように戴置される。
【0034】
加熱コイル112は、素線を束ねた撚り線を多層にして平板上に巻き回されて構成されており、内径80mm、外径180mmの略ドーナツ形状をなしている。
【0035】
共振コンデンサ113は、複数のコンデンサ113a、113b、113c、113d、113eで構成されており、コンデンサ113a及び113bの並列接続体とコンデンサ113c及び113dの並列接続体とを直列接続し、その直列接続体に対して並列に、リレーからなる切り換え手段115とコンデンサ113eとの直列体を構成している。
【0036】
コンデンサ113a、113b、113c、113dはそれぞれ0.02μF、コンデンサ113eはそれぞれ0.2μFの容量のものが選定されている。従って、切り換え手段115が開放されている際は、共振コンデンサ113の合成容量は0.02μF、短絡されている際は、0.22μFとなる。
【0037】
インバータ111は、第1のスイッチング素子107、第2のスイッチング素子108、第3のスイッチング素子109、第4のスイッチング素子110、加熱コイル112、共振コンデンサ113(広い意味で切り換え手段115も含む)で構成されている。
【0038】
制御手段116は、各種検知手段からの検知信号、使用者による操作等に基づいて、第1のスイッチング素子107、第2のスイッチング素子108、第3のスイッチング素子109、第4のスイッチング素子110の導通/遮断を制御、つまりインバータ111出力を制御する。
【0039】
また、制御手段116は、内部に材質判別手段117を内包しており、各種検知手段からの検知信号から被加熱物114の材質を判別する。
【0040】
入力電流検知手段118は、具体的にはカレントトランスで構成されている。入力電流検知手段118の検知信号は、制御手段116に出力されるよう接続されている。
【0041】
カレントトランス119は、加熱コイル112に流れる電流検知手段であり、共振出力の大きさを検知する共振出力検知手段でもある。共振出力検知手段119は、インバータ111の出力の大きさである加熱コイル112電流を検知して、制御手段116へ検知信号を出力する。
【0042】
第5のスイッチング素子104を駆動制御する第2の制御手段120は、平滑手段106の電圧、入力電流等を検知しながら(図示せず)、入力電流が略正弦波状となり、平滑手段106電圧が所定値となるよう第5のスイッチング素子104の駆動周波数、導通比を制御する。
【0043】
以上のように構成された誘導加熱装置について、以下その動作、作用を説明する。
【0044】
まず、制御手段116は、使用者による操作に基づいて第1のスイッチング素子107及び第2のスイッチング素子108が排他的に導通/遮断するよう、また、第3のスイッチング素子109及び第4のスイッチング素子110が排他的に導通/遮断するよう駆動信号を出力して、入力電流検知手段118及び共振出力検知手段119からの検知信号を入力する。
【0045】
図2は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の制御手段116及び材質判別手段117内部に保持している入力電流検知手段118検知出力−共振出力検知手段119検知出力平面での被加熱物114材質判別領域を示した図である。
【0046】
第1のスイッチング素子107、第2のスイッチング素子108、第3のスイッチング素子109、第4のスイッチング素子110の駆動によって、入力電流及び共振出力が変化し、図2の上方に設定されたアルミなどの低抵抗非磁性金属領域になった場合、制御手段116は第1のスイッチング素子107、第2のスイッチング素子108、第3のスイッチング素子109、第4のスイッチング素子110の駆動を継続して、所定の入力電力となるようインバータ111出力を制御する。
【0047】
また同時に、制御手段116及び材質判別手段117は、入力電流検知手段118及び共振出力検知手段119の出力信号に基づいて被加熱物114の材質を低抵抗非磁性金属と判別したため、共振コンデンサ113の合成容量が小さくなるよう切り換え手段115出力を開放とする制御を行う。
【0048】
共振コンデンサ113の合成容量は、切り換え手段115出力が開放時に0.02μFとなるよう選定されており、また被加熱物114が戴置された際の加熱コイル112のインダクタンスは160μHとなるよう設計されているため、加熱コイル112、共振コンデンサ113及び被加熱物114の共振周波数は約90kHzとなる。
【0049】
図3は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の低抵抗非磁性金属製の被加熱物114を誘導加熱している際の各部電圧電流波形を示した図である。
【0050】
制御手段116の制御により第1のスイッチング素子107及び第2のスイッチング素子108が排他的に導通/遮断され、また第3のスイッチング素子109及び第4のスイッチング素子110も同様に排他的に導通/遮断され、インバータ111は加熱コイル112、共振コンデンサ113及び被加熱物114で決まる共振周波数の共振電流を加熱コイル112に供給する。加熱コイル112は高周波磁界を発生して被加熱物114を加熱する。
【0051】
図3に示すように、制御手段116は、第1のスイッチング素子107、第2のスイッチング素子108、第3のスイッチング素子109、第4のスイッチング素子110の導通期間中に共振電流が1.5周期程度流れるよう、またそれぞれの導通する期間が略同一となるように導通期間の制御を行っている。
【0052】
さらに制御手段116は、第3のスイッチング素子109がターンオンするタイミングに対して、第1のスイッチング素子107がターンオンするタイミングが共振電流の略半周期分早くなるよう、また第4のスイッチング素子110がターンオンするタイミングに対して、第1のスイッチング素子107がターンオンするタイミングが共振電流の略1周期分遅くなるように制御している。
【0053】
制御手段116は、被加熱物114の材質判別の結果から、おおよその共振周波数を知ることが可能であるため、第3のスイッチング素子109、第4のスイッチング素子110の駆動に対して、所定の位相をずらしたタイミングで第1のスイッチング素子107を駆動させればよく、駆動タイミングを決定するための特別な回路などは保有していない。制御手段116に内蔵されるようなタイマーでカウントし、所定のタイミングでスイッチング素子を駆動している。
【0054】
共振電流の流れる経路に着目し、インバータ111動作を説明する。
【0055】
時間t0〜t1は、第1のスイッチング素子107と第4のスイッチング素子110が導通し、加熱コイル112及び共振コンデンサ113間に平滑手段106電圧を印可する第1の同時導通期間である。この期間中に、加熱コイル112及び共振コンデンサ113に電気的エネルギーが供給される。
【0056】
電流は、第1のスイッチング素子107→加熱コイル112→共振コンデンサ113→第4のスイッチング素子110→平滑手段106の向きに流れる。
【0057】
時間t1〜t3は、第1のスイッチング素子107と第3のスイッチング素子109が導通し、第1のスイッチング素子107、加熱コイル112、共振コンデンサ113、第3のスイッチング素子109で閉ループを構成する第1の閉ループ共振期間である。
【0058】
第1の閉ループ共振期間は、共振電流の略1周期分の長さを持っている。加熱コイル112及び共振コンデンサ113には第1の同時導通期間で供給された電気的エネルギーを元に共振電流が流れる。
【0059】
電流は、第1のスイッチング素子107(及び逆導通ダイオード)→加熱コイル112→共振コンデンサ113→第3のスイッチング素子109(及び逆導通ダイオード)を還流する。このとき、被加熱物114が低抵抗非磁性金属製であるため、共振電流はほとんど減衰せず、共振が継続する。また、平滑手段106にはインバータ111からの共振電流が流れない。
【0060】
時間t3〜t4は、第2のスイッチング素子108と第3のスイッチング素子109が導通し、加熱コイル112及び共振コンデンサ113間に平滑手段106電圧を印可する第2の同時導通期間である。この期間中に、加熱コイル112及び共振コンデンサ113に電気的エネルギーが供給される。電流は、第3のスイッチング素子109→共振コンデンサ113→加熱コイル112→第2のスイッチング素子108→平滑手段106の向きに流れる。
【0061】
時間t4〜t6は、第2のスイッチング素子108と第4のスイッチング素子110が導通し、第2のスイッチング素子108、加熱コイル112、共振コンデンサ113、第4のスイッチング素子110で閉ループを構成する第2の閉ループ共振期間である。第2の閉ループ共振期間は、共振電流の略1周期分の長さを持っている。
【0062】
加熱コイル112及び共振コンデンサ113には第2の同時導通期間で供給された電気
的エネルギーを元に共振電流が流れる。
【0063】
電流は、第2のスイッチング素子108(及び逆導通ダイオード)→加熱コイル112→共振コンデンサ113→第4のスイッチング素子110(及び逆導通ダイオード)を還流する。このとき、被加熱物114が低抵抗非磁性金属製であるため、共振電流はほとんど減衰せず、共振が継続する。また、平滑手段106にはインバータ111からの共振電流が流れない。
【0064】
以上のように、制御手段116は、第1の同時導通期間及び第1の閉ループ共振期間の組と、第2の同時導通期間及び第2の閉ループ共振期間の組が交互に現れるように、スイッチング素子を駆動する。また、第1の同時導通期間−第1の閉ループ共振期間−第2の同時導通期間−第2の閉ループ共振期間の順となっている。
【0065】
この動作は、被加熱物114が低抵抗非磁性金属である場合に有効となる。被加熱物114が低抵抗非磁性金属であった場合、抵抗が低いために、高周波共振電流の減衰が少ない。そのため、第1のスイッチング素子107、第2のスイッチング素子108、第3のスイッチング素子109、第4のスイッチング素子110の駆動時間を、共振周波数に対して長く設定しても共振が継続される。同時導通期間中に、加熱コイル112及び共振コンデンサ113に供給される電気的エネルギーで共振を継続することが可能である。
【0066】
ここで高周波共振電流の周波数は、加熱コイル112、共振コンデンサ113及び被加熱物114で決定され、前述の約90kHzとなる一方、スイッチング素子の駆動周波数は本実施の形態の場合、約30kHzとなる。スイッチング素子が導通から遮断する移行期間には、スイッチング損失が発生するため、スイッチング素子の駆動周波数が高いほどスイッチング回数が多く、スイッチング損失増加につながる。
【0067】
本実施の形態では、加熱コイル112に供給される高周波共振電流の周波数は90kHzと高く設定することで、低抵抗非磁性金属の被加熱物114であっても見かけの高周波抵抗を高くできるため、少ない加熱コイル112電流で十分な加熱電力を得ることが可能である。
【0068】
さらにスイッチング素子の駆動周波数は、90kHzに対して十分低い30kHzであるため、スイッチング損失の増加を抑制することができる。
【0069】
また、インバータ111動作期間中に、平滑手段106に共振電流が流れない期間が発生する。平滑手段106は、インバータ111電源となるため、比較的容量の大きいコンデンサであることが必要であるが、本実施の形態のようにインバータ111がフルブリッジ構成であると、共振電流が常に流れてしまう。
【0070】
しかしながら、第1の閉ループ共振期間、第2の閉ループ共振期間を設けることによって、平滑手段106に共振電流が流れない期間を設け、平滑手段106の負担を軽減することが可能であり、結果として平滑手段106の小型化、長寿命化、低コスト化が実現できる。
【0071】
被加熱物114が低抵抗非磁性金属である場合、加熱コイル112から発生する高周波磁界に対して被加熱物114内部に渦電流が誘起される。この渦電流は、加熱コイル112からの高周波磁界に対して反発するように作用するため、被加熱物114自体が振動する。
【0072】
インバータ111電源となる平滑手段106電圧が商用交流電源101電圧に同期して
変動する場合、被加熱物114も同期した振動を生じるため、使用者が不快に感じる鍋音が発生する。本実施の形態では、平滑手段106の容量を十分大きく設定してインバータ111電源の変動を抑制し、鍋音が発生しないようにしている。
【0073】
しかしながらその一方で、平滑手段106の容量を大きく設定すると、商用交流電源101からの入力電流が歪んだ形になってしまい、本来の正弦波状とは異なった波形になって力率が低下する。この入力電流は高調波成分を含んでいるために、同じ商用交流電源101に接続された他機器に影響を与える場合もある。
【0074】
本実施の形態では、チョークコイル103、第5のスイッチング素子104及びダイオード105が力率改善手段としても作用する昇圧手段121を備えている。制御手段116は、使用者の操作に基づいてインバータ111の動作を開始するとともに、第2の制御手段120に動作開始信号を出力する。第2の制御手段120は、平滑手段106電圧、入力電流等を検知しながら(図示せず)、入力電流が略正弦波状となり、平滑手段106電圧が所定値となるよう第5のスイッチング素子104の駆動周波数、導通比を制御する。
【0075】
第5のスイッチング素子104が導通すると、チョークコイル103の短絡電流が流れ、チョークコイル103にエネルギーが蓄積される。第3のスイッチング素子104が遮断されるとともに、チョークコイル103に蓄積されたエネルギーはダイオード105を通して平滑手段106へ送られて電圧上昇させる。
【0076】
第2の制御手段120は、内部に基準電圧を保持しており、平滑手段106電圧検知信号と比較して同じ値になるよう制御を行うが、制御手段116からも平滑手段106電圧検知を操作するよう電圧印可又は抵抗切り換えがなされるために、結果として制御手段116によって平滑手段106電圧が制御されることになる。
【0077】
制御手段116は、入力電流検知手段118及び共振出力検知手段119の出力信号に応じて、平滑手段106電圧検知信号を操作し、間接的に昇圧手段121の昇圧量を制御して平滑手段106電圧を変更している。
【0078】
被加熱物114が低抵抗非磁性金属であった場合、加熱コイル112、共振コンデンサ113が共振を継続できる周波数領域が非常に狭いため、インバータ111出力の制御が非常に難しい。しかしながら、平滑手段106はインバータ111電源としても作用しているため、平滑手段106電圧を変更することによってもインバータ111出力の制御が可能である。
【0079】
制御手段116によってインバータ111が動作開始をした際、制御手段116及び材質判別手段117が、図2に示すような入力電流検知手段118検知出力−共振出力検知手段119検知出力平面での被加熱物114材質判別領域に基づいて、被加熱物114材質を低抵抗非磁性金属以外と判別した場合、制御手段116はインバータ111の動作を一時(約2秒間)停止して、共振コンデンサ113の合成容量が大きくなるよう切り換え手段115出力を短絡とする制御を行う。本実施の形態では、前述の通り、共振コンデンサ113合成容量は0.22μFとなるよう設定されている。
【0080】
切り換え手段115の切り換え完了後、制御手段116は再度インバータ111の動作を開始させる。
【0081】
図4は、本発明の第1の実施の形態における誘導加熱装置の低抵抗非磁性金属以外の被加熱物114を誘導加熱している際の各部電圧電流波形を示した図である。おおよそは低
抵抗非磁性金属を加熱している際の各部波形と似ているが、大きく異なる点はスイッチング素子に流れている電流波形である。
【0082】
低抵抗非磁性金属以外の被加熱物114を加熱する際は、被加熱物114自体が抵抗が高いために磁界周波数をさほど高める必要がない。従って制御手段116は、共振コンデンサ113容量が大きくなるよう切り換えて、加熱コイル112、共振コンデンサ113及び被加熱物114の共振周波数を低くなるよう(本実施の形態では約20kHz)設定し、第1のスイッチング素子107、第2のスイッチング素子108、第3のスイッチング素子109、第4のスイッチング素子110の導通期間を共振電流半周期よりも短く制御する。
【0083】
ここで、共振周波数が低いために、スイッチング素子の駆動周波数を共振周波数と略同一としてもスイッチング損失の大幅な増加は生じない。また、被加熱物114抵抗が高いために、必要となる高周波共振電流も少なく、スイッチング損失、導通時の損失も低く抑えられる。
【0084】
切り換え手段115はリレーに限らず、耐圧、電流容量などが許せば、スイッチング素子を使用してもよい。
【0085】
共振出力検知手段119として、加熱コイル112電流を検知するカレントトランスの例を挙げたが、共振コンデンサ113電圧を検知してもよいし、加熱コイル112電流の一部である第1のスイッチング素子107、第2のスイッチング素子108、第3のスイッチング素子109、第4のスイッチング素子110のいずれかの電流、インバータ111の直流電源となる平滑手段106電流を検知しても同様の効果が得られる。
【0086】
制御手段116と別に第2の制御手段120を設ける構成を挙げたが、第2の制御手段120の動作を制御手段116で兼ねることも可能である。
【0087】
また、被加熱物114がアルミニウムなどの低抵抗非磁性金属とそれ以外の例を挙げたが、例えばアルミニウムに比べて抵抗の高い非磁性ステンレスとさらに抵抗の高い金属として材質判別してもよい。材質判別を2種に限らず、3種、4種として判別し、スイッチング素子の導通期間制御、切り換え手段115制御等を組み合わせて、必要なインバータ111出力を得てもよい。
【0088】
特に鍋音は、アルミニウムなどの低抵抗非磁性金属で軽い材質のものに特有の現象であるため、それ以外の材質の被加熱物114に加熱対象を限定するのであれば、平滑手段106容量を過度に大きく設定する必要はないし、力率の低下、入力電流の高調波成分が許容範囲内であれば、昇圧手段121を設ける必要はない。コスト、効果を鑑みて適宜組み合わせて構成すればよい。
【0089】
また、本実施の形態では、スイッチング素子の導通期間がほぼ同一となる例を挙げたがこれに限定するものではない。例えば、低抵抗非磁性金属の被加熱物114を加熱する際に、第1のスイッチング素子107導通期間を共振電流の1周期より短くなるよう制御して低抵抗非磁性金属以外の被加熱物114を加熱する際の電流波形と相似の状態にし、第2のスイッチング素子108導通期間は共振電流の1周期以上となるよう制御してもよい。また、第1のスイッチング素子107と第2のスイッチング素子108の導通期間を入れ替えるように制御してもよい。第3のスイッチング素子109及び第4のスイッチング素子110についても同様である。
【0090】
本実施の形態のように、低抵抗非磁性金属の被加熱物114を加熱する際に、スイッチ
ング素子の導通期間を共振電流の1周期以上に制御すると、スイッチング素子駆動1周期中にインバータ111電源である平滑手段106から電力を供給する時間の比率が低下して、原理的に入力可能な加熱電力が低下する。しかしながら、例えば第1のスイッチング素子107導通期間は共振電流の1周期より短く、第2のスイッチング素子108の導通期間は共振電流の1周期以上となるよう制御する(またはその逆)で、平滑手段106から電力を供給する時間比率を高めて、原理的に入力可能な加熱電力を増加させることが可能である。
【0091】
その場合、第1のスイッチング素子107と第2のスイッチング素子108の導通期間の差から発生する損失差が生じるが、第1のスイッチング素子107と第2のスイッチング素子108の導通期間を入れ替えるように制御することで、損失の平準化が可能である。
【0092】
また、第3のスイッチング素子109及び第4のスイッチング素子110でも同様である。
【産業上の利用可能性】
【0093】
以上のように、本発明にかかる誘導加熱装置は、スイッチング素子間の損失偏りがなく、冷却設計が容易で、部品寿命が長く、結果として低コストとなる誘導加熱装置を提供することができるので、誘導加熱調理器としてはもちろんのこと、誘導加熱式湯沸かし器、誘導加熱式アイロン、またはその他の誘導加熱式加熱装置等の用途にも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0094】
【図1】本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の概略回路図
【図2】本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の制御手段116及び材質判別手段117内部に保持している入力電流検知手段118検知出力−共振出力検知手段119検知出力平面での被加熱物114材質判別領域を示した図
【図3】本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の低抵抗非磁性金属製の被加熱物114を誘導加熱している際の各部電圧電流波形を示した図
【図4】本発明の実施の形態1における誘導加熱装置の低抵抗非磁性金属以外の被加熱物114を誘導加熱している際の各部電圧電流波形を示した図
【図5】従来の誘導加熱調理器の回路図
【図6】従来の誘導加熱調理器の各スイッチング素子の動作を示す波形図及びこのスイッチング動作により流れる振動電流の波形図
【符号の説明】
【0095】
106 平滑手段(直流電源)
107 第1のスイッチング素子
108 第2のスイッチング素子
109 第3のスイッチング素子
110 第4のスイッチング素子
112 加熱コイル
113 共振コンデンサ
114 被加熱物
115 切り換え手段(リレー)
116 制御手段
117 材質判別手段
118 入力電流検知手段(カレントトランス)
119 共振出力検知手段(カレントトランス)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
直流電源と、互いに直列接続された加熱コイル及び共振コンデンサと、前記加熱コイルの略上方に配置された被加熱物と、前記直流電源の高電位側と前記加熱コイル間に挿入された第1のスイッチング素子と、前記加熱コイル及び前記第1のスイッチング素子の接続点と前記直流電源の低電位側間に挿入された第2のスイッチング素子と、前記直流電源の高電位側と前記共振コンデンサ間に挿入された第3のスイッチング素子と、前記共振コンデンサ及び前記第3のスイッチング素子の接続点と前記直流電源の低電位側間に挿入された第4のスイッチング素子と、前記第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子の駆動を制御する制御手段とを備え、前記制御手段は、前記第1、前記第2、前記第3及び前記第4のスイッチング素子を導通/遮断させることにより、前記加熱コイル、前記共振コンデンサ及び前記被加熱物で決まる共振周波数の共振電流を前記加熱コイルに供給して高周波磁界を発生させて前記被加熱物を誘導加熱するとともに、前記第1及び前記第4のスイッチング素子の組が同時導通する第1の同時導通期間と前記第2及び前記第3のスイッチング素子の組が同時導通する第2の同時導通期間と前記第1及び前記第3のスイッチング素子及び前記加熱コイル及び前記共振コンデンサで構成される第1の閉ループに共振電流が流れる第1の閉ループ共振期間と前記第2及び前記第4のスイッチング素子及び前記加熱コイル及び前記共振コンデンサで構成される第2の閉ループに共振電流が流れる第2の閉ループ共振期間を設け、前記第1の同時導通期間及び前記第1の閉ループ共振期間の組と前記第2の同時導通期間及び前記第2の閉ループ共振期間の組が交互に現れるよう制御する誘導加熱装置。
【請求項2】
制御手段は、第1又は第2の閉ループ共振期間を少なくとも共振電流1周期分以上とした請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項3】
制御手段は、第1の同時導通期間−第1の閉ループ共振期間−第2の同時導通期間−第2の閉ループ共振期間の順又は第1の閉ループ共振期間−第1の同時導通期間−第2の閉ループ共振期間−第2の同時導通期間の順となるよう第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子を制御する請求項2に記載の誘導加熱装置。
【請求項4】
制御手段は、第3のスイッチング素子がターンオンするタイミングに対して第1のスイッチング素子がターンオンするタイミングが共振電流の略半周期分早く又は遅くなるよう制御する請求項2に記載の誘導加熱装置。
【請求項5】
制御手段は、第4のスイッチング素子がターンオンするタイミングに対して第1のスイッチング素子がターンオンするタイミングが共振電流の略1周期分早く又は遅くなるよう制御する請求項2に記載の誘導加熱装置。
【請求項6】
制御手段は、第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子が導通する期間が略同一となるよう制御する請求項2に記載の誘導加熱装置。
【請求項7】
入力電流検知手段と、共振出力の大きさを検知する共振出力検知手段と、前記入力電流検知手段の出力及び前記共振出力検知手段の出力から被加熱物の材質を判別する材質判別手段とを備え、制御手段は、前記材質判別手段が被加熱物材質を高抵抗率金属と判別した場合に第1、第2、第3及び第4のスイッチング素子導通期間を共振電流半周期よりも短く制御する請求項1に記載の誘導加熱装置。
【請求項8】
共振コンデンサの容量を切り換える切り換え手段を備え、制御手段は、前記材質判別手段が前記被加熱物材質を高抵抗率金属と判別した場合に前記共振コンデンサの容量が大きくなるよう前記切り換え手段を動作させる請求項7に記載の誘導加熱装置。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate


【公開番号】特開2010−55760(P2010−55760A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−216138(P2008−216138)
【出願日】平成20年8月26日(2008.8.26)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】