説明

誘電体レンズを用いた電磁波の反射器、発生器及び信号機

【課題】誘電体レンズ装置を用いた電磁波の反射器、発生器及び信号機の提供。
【解決手段】電磁波に対して透明な誘電体レンズ2の焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体あるいは電磁波を発生する発生体4を誘電体レンズ2の焦点距離に位置決め保持する手段を有する反射器あるいは発生器1において、位置決め保持する手段は、焦点距離と等しい内径又は外径を有し、電磁波に対して透明な部材で内部に誘電体レンズ2を収納可能な中空に形成した誘電体殻3に誘電体レンズを内包した状態で、且つ、焦点距離に沿った位置に誘電体殻3が位置するように、誘電体殻3と誘電体レンズ2とを位置決め保持する保持機構を有し、反射体あるいは発生体4の面にカラーフィルタ5あるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置した。 さらに、太陽電池、スリットを設けたり、誘電体レンズをケースに内包したり、信号機として応用したりする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、電磁波に対して透明な誘電体レンズを用いた電磁波の反射器、電磁波の発生器及びこれらを利用した信号機に関し、特に、電磁波の内、マイクロ波帯、ミリ波帯及び光波帯に適している反射器、発生器及びこれらを利用した信号機に関するものである。
【背景技術】
【0002】
一般に、空間を伝搬する電磁波には、長波、中波、マイクロ波、ミリ波、さらに、赤外線、紫外線、X線やガンマ線があり、それぞれ各帯域とも多方面にわたり応用されている。電磁波の中で、波長380〜760mmの範囲のものは、即ち、光波帯域では、人の目には、光として明るさを感じさせる。そして、現在、ミリ波帯から光波帯の電磁波が、通信の分野で利用され始めている。
【0003】
従来、通信分野で使用されるミリ波帯域において、電磁波を反射する反射板としては、金属製のものが多く使用されているが、この反射板を光波帯で使用するには、コーナキューブのように直角に形成する角度精度や表面を平滑に形成する表面平滑度の高い精度が要求される。又、ミリ波帯より長い波長の帯域、いわゆる電波帯域において使用する全方向性を有する誘電体レンズとしては、発泡スチロール等により誘電率を調整して形成されたルーネベルグレンズがある。
【0004】
金属製の反射板を光波・ミリ波帯に使用する場合、構造上90度の範囲でヌル点が両端に表れる。又、実効80度以上の広角度特性を得ることが出来ない。一方、全方向性を有するものとして発泡スチロール等により形成されているルーネベルグレンズの場合には、光を反射させることが出来ないとの問題があった。そこで、発明者等は、ミリ波帯や光波帯の両方に用いることの出来る誘電体レンズを用いた装置を開発し、さらに、この誘電体レンズを用いて電磁波を受信する機能や反射する機能を有する誘電体レンズ装置を開発して、すでに特許出願している。
【0005】
これは、図11〜図12に示すように、誘電体レンズ装置51は、基本的には球形誘電体レンズ52、この球形誘電体レンズ52を内包する誘電体球殻53、この誘電体球殻53と球形誘電体レンズ52とを位置決めするとともに、保持固定するための保持機構54とにより構成されている。球形誘電体レンズ52は、誘電体損失の小さい透明な誘電体部材として、透明なポリスチレン樹脂を用いて球形に形成されており、さらに、電磁波(電波及び光波)が球形誘電体レンズ52を通過する際に屈折されて焦点Fに収束されるように形成されている。このように、球形誘電体レンズ52は、全体が透明な球形であるから、電磁波に対して、即ち、電波帯に限らず光波帯に対しても全方向性を有している。
【0006】
誘電体球殻53は、誘電体損失の小さい透明な誘電体部材を用いて、内部が中空の球形に形成されており、さらに、誘電体球殻53の内球面あるいは外球面の半径、即ち、誘電体球殻53のいずれか一方の球面の半径が、球形誘電体レンズ52の焦点距離Rと等しい半径となる球形に形成されている。そして、この誘電体球殻53の内部中心部には、球形誘電体レンズ52が保持機構54に固定された状態で配置されているとともに、誘電体球殻53のいずれか一方の球面が、球形誘電体レンズ52の焦点距離Rに沿って位置するように、保持機構54により位置決めされている。
【0007】
保持機構54は、この実施例の場合には、図11に示すように、誘電体損失の小さい透明な誘電体部材を用いて、誘電体球殻53の内径と一致する球形を下端部で切断した形状に形成するとともに、この切断面の中央部には、球形誘電体レンズ52の下端部を嵌合した状態で保持する凹部が設けられている。なお、保持機構54はこの実施例に限定されることなく、誘電体球殻53の内部中心部に球形誘電体レンズ52を内包した状態で、且つ、焦点距離Rに沿った位置に誘電体球殻53のいずれか一方の球面が位置するように、誘電体球殻53と球形誘電体レンズ52とを位置決め保持することの出来る構造であれば、如何なる構造であっても良い。電磁波を反射する反射体55は、球形誘電体レンズ52の焦点距離Rに位置している誘電体球殻53の内球面あるいは外球面のいずれか一方の球面に配置され位置決めされている。
【非特許文献1】特願2004−239223号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
しかしながら、先に発明者等が出願したものは、ミリ波帯から光波帯の電磁波に対して利用することの出来る全方向性を有する誘電体レンズ装置の基本的な発明に関するものであった。そこで、このような誘電体レンズ装置を広く利用することの出来る、即ち、応用分野についての開発が待たれていた。
【課題を解決するための手段】
【0009】
請求項1に係る発明は、電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、この反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた反射器において、反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、焦点距離と等しい内径又は外径を有し、電磁波に対して透明な部材で内部に誘電体レンズを収納可能な中空に形成した誘電体殻と、この誘電体殻が誘電体レンズを内包した状態で、且つ、焦点距離に沿った位置に誘電体殻が位置するように、この誘電体殻と誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有し、反射体の反射面には、カラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置した誘電体レンズを用いた反射器である。
【0010】
請求項2に係る発明は、電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、この反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた反射器において、反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、電磁波に対して透明な部材で形成し、焦点距離と等しい内径又は外径を有し、内部に誘電体レンズを複数収納可能な中空に形成した筒状容器と、この筒状容器が誘電体レンズを内包した状態で、且つ、各々の誘電体レンズの焦点距離にそれぞれ沿った位置に位置するように、筒状容器と各々の誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有する誘電体レンズを用いた反射器である。
【0011】
請求項3に係る発明は、電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、この反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた反射器において、反射体は、スリットを有する反射体あるいは金属小片を互いに離間して設置してなる反射体を用い、スリットからの反射された反射電磁波の反射方向を検知する機能を有する誘電体レンズを用いた反射器である。
【0012】
請求項4に係る発明は、電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、この反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた反射器において、反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、誘電体レンズを内包するとともに、一端には誘電体レンズの焦点距離に沿った位置に反射体が位置するように誘電体レンズを位置決め保持する保持機構を有し、他端は開放あるいは電磁波に対して透明な部材で形成した蓋体で覆われたケースである誘電体レンズを用いた反射器である。
【0013】
請求項5に係る発明は、請求項2〜請求項4に記載の発明において、反射体の反射面に、カラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置した誘電体レンズを用いた反射器である。
【0014】
請求項6に係る発明は、請求項1〜請求項5に記載の発明において、反射体の反射面に液晶を配置した場合、電源となる太陽電池を配設した誘電体レンズを用いた反射器である。
【0015】
請求項7に係る発明は、電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、この反射体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた反射器において、反射体に、電磁波を制御可能な電気制御反射体を設けるとともに、この電気制御反射体の電源となる太陽電池を配設した誘電体レンズを用いた反射器である。
【0016】
請求項8に係る発明は、請求項7に記載の発明において、反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、焦点距離と等しい内径又は外径を有し、電磁波に対して透明な部材で内部に誘電体レンズを収納可能な中空に形成した誘電体殻と、この誘電体殻が前記誘電体レンズを内包した状態で、且つ、前記焦点距離に沿った位置に前記誘電体殻が位置するように、この誘電体殻と前記誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有する誘電体レンズを用いた反射器である。
【0017】
請求項9に係る発明は、請求項1〜請求項8に記載の発明において、位置決め保持する手段に、誘電体レンズに照射される太陽光線を遮断する日除けキャップを配置した誘電体レンズを用いた反射器である。
【0018】
請求項10に係る発明は、請求項9に記載の発明において、日除けキャップの代わりに、光を散乱する部材で形成した光散乱材を配設した誘電体レンズを用いた反射器である。
【0019】
請求項11に係る発明は、請求項1〜請求項10に記載の発明において、位置決め保持する手段に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置した誘電体レンズを用いた反射器である。
【0020】
請求項12に係る発明は、電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を放射する発生体と、この発生体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた電磁波の発生器において、発生体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、電磁波に対して透明な部材で形成し、焦点距離と等しい内径又は外径を有し、内部に誘電体レンズを複数収納可能な中空に形成した筒状容器と、この筒状容器が誘電体レンズを内包した状態で、且つ、各々の誘電体レンズの焦点距離にそれぞれ沿った位置に位置するように、筒状容器と各々の誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有する誘電体レンズを用いた電磁波の発生器である。
【0021】
請求項13に係る発明は、電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を放射する発生体と、この発生体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた電磁波の発生器において、発生体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、誘電体レンズを内包するとともに、一端には誘電体レンズの焦点距離Rに沿った位置に発生体が位置するように誘電体レンズを位置決め保持する保持機構を有し、他端は開放あるいは電磁波に対して透明な部材で形成した蓋体で覆われた円筒状のケースである誘電体レンズを用いた電磁波の発生器である。
【0022】
請求項14に係る発明は、請求項12〜請求項13に記載の発明において、発生体の発生面に、カラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置した誘電体レンズを用いた電磁波の発生器である。
【0023】
請求項15に係る発明は、請求項12〜請求項14に記載の発明において、発生体の発生面に液晶を配置した場合、電源となる太陽電池を配設した誘電体レンズを用いた電磁波の発生器である。
【0024】
請求項16に係る発明は、請求項12〜請求項15に記載の発明において、位置決め保持する手段に、誘電体レンズに照射される太陽光線を遮断する日除けキャップを配置した誘電体レンズを用いた電磁波の発生器である。
【0025】
請求項17に係る発明は、請求項16に記載の発明において、日除けキャップの代わりに、光を散乱する部材で形成した光散乱材を配設した誘電体レンズを用いた電磁波の発生器である。
【0026】
請求項18に係る発明は、請求項12〜請求項17にそれぞれ記載の発明において、位置決め保持する手段に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置した誘電体レンズを用いた電磁波の発生器である。
【0027】
請求項19に係る発明は、電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、この反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた電磁波の反射器において、反射体の反射面に、3種類の色彩のカラーフィルタをそれぞれ配置するとともに、この3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段に、垂直方向をその回転軸として3個の反射体を回転駆動する回転機構を配置し、
この回転機構に電源を供給する太陽電池を設けた誘電体レンズを用いた電磁波の反射器を用いた信号機である。
【0028】
請求項20に係る発明は、請求項19に記載の発明において、3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した反射体に、それぞれスリットあるいは金属小片を互いに離間して設置した誘電体レンズを用いた電磁波の反射器を用いた信号機である。
【0029】
請求項21に係る発明は、請求項19〜請求項20に記載の発明において、3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段に、日除けキャップを配置した誘電体レンズを用いた電磁波の反射器を用いた信号機である。
【0030】
請求項22に係る発明は、請求項19〜請求項21に記載の発明において、3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置した誘電体レンズを用いた電磁波の反射器を用いた信号機である。
【発明の効果】
【0031】
請求項1に係る発明は、上記のように構成したので、ミリ波帯に限らず光波帯の電磁波に対してもレンズとして作用するから、無電源の反射器を得ることが出来る。さらに、反射体の反射面に配置されるカラーフィルタや液晶の色を任意に選択することにより、任意の色を反射する着色機能を有する反射器が得られる。又、電源を必要としないので、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。さらに、誘電体レンズの周囲が、電磁波に対して透明な誘電体殻で包囲されているので、レンズの表面が保護されて、破損、損傷、機械的な変形等が発生することもない。
【0032】
請求項2に係る発明は、上記のように構成したので、任意の長さを有する長い棒状の反射器を製作することが出来るから、道路上に設置される無電源の道路標識として利用することが出来る。又、電源を必要としないので、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。そのため、給電線が設置されていない山岳地帯や砂漠等のような場所にも道路標識としてあるいは誘導灯として設置することが出来る。又、空港のない場所でも臨時の誘導滑走路を容易に設営することが出来る。又、レーダ装置に使用する場合には、移動体等を自動誘導する際のマーカとしても使用することが出来る。
【0033】
請求項3に係る発明は、上記のように構成したので、電磁波を放射した移動体側では、スリットの間隙やスリットの方向を基準にして、あるいは金属小片の間隔を基準にして、反射波から距離、方向等を測定することが出来る。スリットからの反射電磁波から反射方向を検知する機能を有する反射器を得ることが出来る。
【0034】
請求項4に係る発明は、上記のように構成したので、レーダ装置として使用する場合には、自動誘導のためのマーカとしても使用することが出来る。又、自動車等の移動体のブレーキ灯としても使用することが出来る。又、ケース内に複数の誘電体レンズを用いた反射器を配置すれば、全体として大型の反射器を構成することが出来る。ケースにより誘電体レンズは、堅固に固定した状態に保持されているので、レンズの表面が破壊、損傷、機械的な変形等が発生することもない。
【0035】
請求項5に係る発明は、上記のように構成したので、請求項2〜請求項4にそれぞれ記載の発明と同様な効果がある。さらに、反射体の反射面に配置されるカラーフィルタの色を任意に選択することにより、任意の色の反射器が得られる。
【0036】
請求項6に係る発明は、上記のように構成したので、請求項1〜請求項5に記載の発明の効果に加えて、液晶用の電源は、太陽電池から給電されるので、特別な電源を必要とせず、半永久的に使用することが出来る。
【0037】
請求項7に係る発明は、上記のように構成したので、電磁波を電気制御する電気制御反射体には、太陽光線から永久的に電源が供給されるので、通常の電源を必要とせず、一度設置すれば半永久的な無給電の電気制御機能を有する反射器が得られる。そのため、山中や砂漠等の如何なる場所にも設置することが出来、又、空港のない場所でも臨時の誘導滑走路を容易に設営することが出来る。又、レーダ装置に使用する場合には、自動誘導のためのマーカとしても使用することが出来る。地上や海上等の電波灯としてや距離マーカとしても利用することが出来る。
【0038】
請求項8に係る発明は、上記のように構成したので、請求項7に記載の発明の効果に加えて、誘電体レンズの周囲が、電磁波に対して透明な誘電体殻で包囲されているので、レンズの表面が破損、損傷、機械的な変形等が発生することもない。
【0039】
請求項9に係る発明は、上記のように構成したので、請求項1〜請求項8に記載の発明の効果に加えて、さらに、日除けキャップにより、誘電体レンズに照射される太陽光線が遮蔽されるから、反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段の表面に、誘電体レンズによる焦点への太陽光線の収束を避けることが出来るので、位置決め保持する手段が加熱されることもなく、安全である。
【0040】
請求項10に係る発明は、上記のように構成したので、請求項9に記載の発明と同様な効果があるとともに、光散乱材により太陽光線が散乱されるから、誘電体レンズによる焦点への太陽光線の収束を避けることが出来るので、反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段が加熱されることもなく、安全である。
【0041】
請求項11に係る発明は、上記のように構成したので、請求項1〜請求項10に記載の発明と同様な効果に加えて、窓に配置されるカラーフィルタの色を任意に選択することにより、任意の色の反射器が得られる。
【0042】
請求項12に係る発明は、上記のように構成したので、任意の長さを有する長い棒状の電磁波の発生器を製作することが出来るから、道路上に設置される無電源の電磁波を発信する道路標識として利用することが出来る。又、電源を必要としないので、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。そのため、給電線が設置されていない山岳地帯や砂漠等のような場所にも道路標識としてあるいは誘導マーカして設置することが出来る。又、空港のない場所でも臨時の誘導滑走路を容易に設営することが出来る。又、レーダ装置に使用する場合には、移動体等を自動誘導する際のマーカとしても使用することが出来る。
【0043】
請求項13に係る発明は、上記のように構成したので、レーダ装置として使用する場合には、自動誘導のためのマーカとしても使用することが出来る。又、自動車等の移動体のブレーキ灯としても使用することが出来る。又、ケース内に発生器を複数配置すれば、大型の発生器を構成することが出来る。ケースにより誘電体レンズは、堅固に固定した状態に保持されているので、破壊、損傷、機械的な変形等が発生することもない。
【0044】
請求項14に係る発明は、上記のように構成したので、請求項12〜請求項13にそれぞれ記載の発明の効果に加えて、さらに、発生体が光源の場合には、任意のカラー光線を放射する発生器が得られる。
【0045】
請求項15に係る発明は、上記のように構成したので、請求項12〜請求項14にそれぞれ記載の発明の効果に加えて、さらに、液晶用の電源は、太陽電池から給電されるので、特別な電源を必要とせず、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。
【0046】
請求項16に係る発明は、上記のように構成したので、請求項12〜請求項15にそれぞれ記載の発明の効果に加えて、さらに、日除けキャップにより、誘電体レンズに照射される太陽光線が遮蔽されるから、発生体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段の表面に、誘電体レンズによる焦点への太陽光線の収束を避けることが出来るので、位置決め保持する手段が加熱されることもなく、安全である。
【0047】
請求項17に係る発明は、上記のように構成したので、請求項16に記載の発明の効果に加えて、光散乱材により太陽光線が散乱されるから、誘電体レンズによる焦点への太陽光線の収束を避けることが出来るので、発生体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段が加熱されることもなく、安全である。
【0048】
請求項18に係る発明は、上記のように構成したので、請求項12〜請求項17にそれぞれ記載の発明の効果に加えて、窓に配置されるカラーフィルタの色を任意に選択することにより、任意の色の発生器が得られる。
【0049】
請求項19に係る発明は、上記のように構成したので、太陽光線から永久に電源が供給されるので、通常の電源を必要とせず、一度設置すれば半永久的に信号機として使用することが出来る。そのため、山中や砂漠等の如何なる場所にも設置することが出来、又、道路や空港のない場所でも臨時の信号機や誘導滑走路を容易に設営することが出来る。さらに、車両に搭載されたレーダ装置による車両の自動運転の際の信号機における運転制御用の反射器として使用することが出来る。さらに、太陽電池を使用しているので、一般電源からの電力供給の必要がなく、半永久的に信号機として動作させることが出来る。一度設置すれば、その後の信号機としてコストが係らず、非常に安価な信号機が得られる。
【0050】
請求項20に係る発明は、上記のように構成したので、請求項19に記載の発明の効果に加えて、車両に搭載されたレーダ装置により、信号機からの距離を測定することも出来る。
【0051】
請求項21に係る発明は、上記のように構成したので、請求項19〜請求項20にそれぞれ記載の発明の効果に加えて、さらに、日除けキャップにより、誘電体レンズに照射される太陽光線が遮蔽されるから、誘電体レンズによる焦点への電磁波の収束を避けることが出来るので、信号機が加熱されることもなく、安全である。
【0052】
請求項22に係る発明は、上記のように構成したので、請求項19〜請求項21にそれぞれ記載の発明の効果に加えて、窓に配置されるカラーフィルタの色を任意に選択することにより、道路交通用信号機の色に限らず、任意の色の信号機が得られる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0053】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、この反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた反射器において、反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、焦点距離と等しい内径又は外径を有し、電磁波に対して透明な部材で内部に誘電体レンズを収納可能な中空に形成した誘電体殻と、この誘電体殻が誘電体レンズを内包した状態で、且つ、焦点距離に沿った位置に誘電体殻が位置するように、この誘電体殻と誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有し、反射体の反射面には、カラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置した誘電体レンズを用いた反射器。さらに、液晶用の太陽電池を配置した反射器。
【0054】
反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、電磁波に対して透明な部材で形成し、焦点距離と等しい内径又は外径を有し、内部に誘電体レンズを複数収納可能な中空に形成した筒状容器と、この筒状容器が誘電体レンズを内包した状態で、且つ、各々の誘電体レンズの焦点距離にそれぞれ沿った位置に位置するように、筒状容器と各々の誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有する誘電体レンズを用いた反射器。
【0055】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、この反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた反射器において、反射体に、電磁波を制御可能な電気制御反射体を設けるとともに、この電気制御反射体の電源となる太陽電池を配設した誘電体レンズを用いた反射器。位置決め保持する手段に、誘電体レンズに照射される太陽光線を遮断する日除けキャップを配置した誘電体レンズを用いた反射器。又は、日除けキャップの代わりに光散乱する部材で形成した加熱防止型の反射器。
【0056】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を放射する発生体と、この発生体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた電磁波の発生器において、発生体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、電磁波に対して透明な部材で形成し、焦点距離と等しい内径又は外径を有し、内部に誘電体レンズを複数収納可能な中空に形成した筒状容器と、この筒状容器が誘電体レンズを内包した状態で、且つ、各々の誘電体レンズの焦点距離にそれぞれ沿った位置に位置するように、筒状容器と各々の誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有する誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。
【0057】
発生体の発生面に、カラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置した誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。位置決め保持する手段を備えた誘電体レンズに、太陽光線を遮断する日除けキャップを配置した誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。日除けキャップの代わりに、光を散乱する部材で形成した光散乱材を配設した誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。
【0058】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、この反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段とを有する誘電体レンズを用いた電磁波の反射器において、反射体の反射面に、3種類の色彩のカラーフィルタをそれぞれ配置するとともに、この3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段に、垂直方向をその回転軸として3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した反射体を回転駆動する回転機構を配置し、回転機構に電源を供給する太陽電池を設けた誘電体レンズを用いた電磁波の反射器を用いた信号機。
【実施例1】
【0059】
この発明の第1の実施例を、図1に基づいて詳細に説明する。図1は電磁波に対して透明な誘電体レンズを用いた反射器の模式図である。反射器1は、電磁波に対して透明な性質を有する球形の誘電体レンズ2とこの誘電体レンズ2の焦点距離に設けた反射体4とこの反射体4を誘電体レンズ2の焦点距離に位置決め保持する手段と、この反射体4の反射面に配置されているカラーフィルタ5とにより構成されている。さらに、反射体4を誘電体レンズ2の焦点距離に位置決め保持する手段は、誘電体レンズ2を内包する誘電体殻3と保持機構6とにより構成されている。
【0060】
この実施例1の場合には、誘電体レンズ2は、誘電体損失の小さい透明な誘電体部材として、透明なポリスチレン樹脂を用いて球形に形成されており、これを電磁波(電波及び光波)が通過する際に屈折されて焦点Fに収束されるように形成されている。このように、誘電体レンズ2は、全体が透明な球形であるから、電磁波に対して、即ち、電波帯に限らず光波帯に対しても全方向性を有している。なお、この実施例1では、誘電体レンズ2は、比誘電率が3.5以下の透明な誘電体部材を用いて球形に形成されている。
【0061】
誘電体殻3は、誘電体レンズ2と同様に、電磁波に対して透明な部材で、即ち、誘電体損失の小さい透明な誘電体部材を用いて、内部が中空の球形であって、誘電体殻3の内面あるいは外面の半径、即ち、誘電体殻3のいずれか一方の球面の半径が、誘電体レンズ2の焦点距離Rと等しい半径となるような球形に形成されている。
【0062】
反射体4を誘電体レンズ2の焦点距離Rに位置決め保持する手段は、焦点距離Rと等しい内径又は外径を有し、電磁波に対して透明な部材で内部に誘電体レンズ2を収納可能な中空に形成した誘電体殻3と、この誘電体殻3が誘電体レンズ2を内包した状態で、且つ、焦点距離Rに沿った位置に誘電体殻3が位置するように、この誘電体殻3と誘電体レンズ2とを位置決め保持する保持機構6とにより構成されている。
【0063】
保持機構6(図11では保持機構54と記載している)は、この実施例の場合には、図11に示すように、先に発明者等が出願したものと同一形状に形成されている。なお、保持機構6はこの実施例に限定されることなく、誘電体殻3の内部中心部に誘電体レンズ2を内包した状態で、且つ、焦点距離Rに沿った位置に誘電体殻3のいずれか一方の球面が位置するように、誘電体殻3と誘電体レンズ2とを位置決め保持することの出来る構造であれば、如何なる構造であっても良い。
【0064】
電磁波を反射する反射体4は、誘電体レンズ2の焦点距離Rに位置している誘電体殻3の内面あるいは外面のいずれか一方の球面に配置され位置決めされている。反射体4の反射面には、カラーフィルタ5が配置されており、反射光は、このカラーフィルタ5の色彩の光が反射される。従って、3個の誘電体レンズ2に設けた反射体4の反射面に、それぞれ赤、青、黄の3色のカラーフィルタ5を配置すれば、3色の受動型の反射器を形成して、これら3色の反射器を、交通信号機を制御する信号により制御すれば、受動型の交通信号機としても利用することが出来る。
【0065】
なお、反射体の反射面には、カラーフィルタの代わりに、液晶を配置しても良く、あるいはカラーフィルタと液晶とを両方配置してもよい。又、後述する図4に示すように、位置決め保持する手段に、誘電体レンズに照射される太陽光線を遮断する日除けキャップ31を配置しても良い。又、日除けキャップの代わりに、光を散乱する部材で形成した光散乱材、例えば、プリズムを配設してもよい。
【0066】
又、位置決め保持する手段(この実施例では誘電体殻3)に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶の何れか一方あるいは両方を配置しても良い。この場合には、配置されるカラーフィルタや液晶の色を任意に選択することにより、任意の色を反射する着色機能を有する反射器が得られる。通常は電源を必要としないので、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。なお、反射体の反射面や窓に液晶を用いた場合には、位置決め保持する手段に、太陽電池(例えば、後述する図3に示す太陽電池21)を配設すれば、液晶用の特別な電源を設ける必要が無く、半永久的に使用することが出来る。太陽電池の配置箇所は、図3に示すものに限らず、太陽光線を受光可能な位置であって、且つ、液晶に給電可能な位置であれば、如何なる箇所であっても良い。
【実施例2】
【0067】
この発明の第2の実施例を、図1、図2、図11に基づいて詳細に説明する。図2は円筒状に長い棒状の反射器10の模式図で、この実施例2では、棒状の反射器10の場合を示している。なお、実施例1と同一のものは、同一名称、同一番号を付し、その説明を省略する。
【0068】
この実施例2では、反射体を誘電体レンズ2の焦点距離Rに位置決め保持する手段としては、電磁波に対して透明な部材で形成し、焦点距離Rと等しい内径又は外径を有し、内部に誘電体レンズを複数収納可能な中空に形成した筒状容器11とこの筒状容器11が誘電体レンズ2を内包した状態で、且つ、各々の誘電体レンズ2の焦点距離Rにそれぞれ沿った位置に位置するように、筒状容器11と各々の誘電体レンズ2とを位置決め保持する保持機構とにより構成されている。
【0069】
円筒容器11は、電磁波に対して透明な部材で内部が中空の筒状に形成されており、下端は平坦な底部11aで閉鎖されており、内部には、誘電体レンズ2が複数個縦型に収納されており、さらに、内部に収納されている各々の誘電体レンズ2が、焦点距離Rにそれぞれ沿った位置に、反射体4が配置されるように、筒状容器11と各々の誘電体レンズ2とを位置決め保持する保持機構(図示せず)が設けられている。この円筒容器11の上端は、開閉自在な蓋部11bで覆われている。なお、円筒容器11の底部11a及び蓋部11bは、いずれも電磁波に対して透明な部材で形成すれば、棒状の反射器10が得られる。
【0070】
このように形成されているので、円筒容器11の内部に収納する反射器の数により、任意の長さの棒状の反射器10を形成することが出来る。又、反射体14の反射面に配置するカラーフィルタ15により、所望する色彩のカラーの棒状の反射器10を形成することが出来る。又、底部11aに重しを内包させれば、棒状の反射器10を安定化させることが出来る。従って、道路上に載置する無給電の道路標識としても半永久的に利用出来る。なお、底部11aに重りをいれず、かつ、円筒容器11及びその内部に有する誘電体レンズ2と反射体14とが携帯可能な大きさとし、底部11aに携帯用の持ち手を付けた場合には、交通整理等に使用可能な受動型の誘導棒としても利用出来る。又、空港のない場所でも臨時の誘導滑走路を容易に設営することが出来る。又、レーダ装置に使用する場合には、移動体等を自動誘導する際の受動型のマーカとしても使用することが出来る。
【0071】
なお、この実施例では、反射体の反射面には、カラーフィルタが配置されている場合について述べたが、液晶であっても良く、あるいはカラーフィルタと液晶の両方を配置しても同様な効果が生じる。
【0072】
又、後述するように、誘電体レンズ2により太陽光線が誘電体殻3の表面に収束され、誘電体殻3が加熱されるのを防止するために、太陽光線を遮断するための日除けキャップ31を設けても良い。又、日除けキャップ31の代わりに、光を散乱する部材で形成した光散乱材、例えば、プリズムを配置してもよい。
【0073】
さらに、実施例1の場合と同様に、位置決め保持する手段(この実施例では誘電体殻3)に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶の何れか一方あるいは両方を配置しても良い。この場合には、配置されるカラーフィルタや液晶の色を任意に選択することにより、任意の色を反射する着色機能を有する反射器が得られる。通常は電源を必要としないので、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。なお、反射体の反射面や窓に液晶を用いた場合には、位置決め保持する手段に、太陽電池(例えば、後述する図3に示す太陽電池21)を配設すれば、液晶用の特別な電源を設ける必要が無く、半永久的に使用することが出来る。太陽電池の配置箇所は、図3に示すものに限らず、太陽光線を受光可能な箇所であって、且つ、液晶に給電可能な箇所であれば、如何なる箇所であっても良い。
【実施例3】
【0074】
この発明の第3の実施例を、図3、図1、図11に基づいて説明する。図3は太陽電池31を内蔵した電気制御機能を有する反射器20の模式図を示している。なお、実施例1、実施例2と同一のものは、同一名称、同一番号を付し、その説明を省略する。
【0075】
この実施例3では、反射体を誘電体レンズ2の焦点距離Rに位置決め保持する手段としては、実施例1と同様に、焦点距離Rと等しい内径又は外径を有し、電磁波に対して透明な部材で内部に誘電体レンズ2を収納可能な中空に形成した誘電体殻3と、この誘電体殻3が誘電体レンズ2を内包した状態で、且つ、焦点距離Rに沿った位置に誘電体殻3が位置するように、この誘電体殻3と誘電体レンズ2とを位置決め保持する保持機構6とにより構成されている。
【0076】
実施例1の場合と同様に、保持機構6(図11では保持機構54と記載している)は、この実施例の場合には、図11に示すように、先に発明者等が出願したものと同一形状に形成されている。なお、保持機構6はこの実施例に限定されることなく、誘電体球殻3の内部中心部に球形誘電体レンズ2を内包した状態で、且つ、焦点距離Rに沿った位置に誘電体球殻3のいずれか一方の球面が位置するように、誘電体球殻3と球形誘電体レンズ2とを位置決め保持することの出来る構造であれば、如何なる構造であっても良い。
【0077】
誘電体殻3の内部あるいは外部には、太陽電池21が配置されている。誘電体レンズ2の焦点距離に位置している誘電体殻3の内球面あるいは外球面のいずれか一方の球面には、電気制御反射体22あるいはLED等の光源22aが配置され位置決めされている。電気制御反射体22あるいは光源22aは、太陽電池21により給電されるように構成されている。
【0078】
電気制御機能を有する反射器20は、このように構成されているので、電気制御反射体22が配置されている場合には、電気制御信号を送信することが出来るので、地上や海上等の電波灯としてや距離マーカとしても利用することが出来る。又、LED等の光源が配置されている場合には、同様に地上や海上の半永久的な光の標識としてあるいは距離マーカとして利用することができる。山中や砂漠等の如何なる場所にも設置することが出来、又、空港のない場所でも臨時の誘導滑走路を容易に設営することが出来る。又、レーダ装置に使用する場合には、自動誘導のためのマーカとしても使用することが出来る。
【0079】
なお、上記各実施例の場合と同様に、反射体の反射面には、カラーフィルタを配置しても良く、又、カラーフィルタの代わりに液晶を配置しても良く、あるいはカラーフィルタと液晶とを両方配置してもよい。又、位置決め保持する手段に、窓を設け、この窓にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方、あるいは両方を配置しても良く、この場合には、配置されるカラーフィルタや液晶の色を任意に選択することにより、任意の色を反射する着色機能を有する反射器が得られる。通常は電源を必要としないので、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。いずれも同様な効果がある。
【実施例4】
【0080】
この発明の第4の実施例を、図1、図3、図4に基づいて説明する。図4は日除けキャップ31が誘電体殻3に設けられている加熱防止型の反射器30の模式図を示している。なお、実施例1〜実施例3と同一のものは、同一名称、同一番号を付し、その説明を省略する。
【0081】
誘電体レンズ2の焦点距離Rに沿って誘電体殻3が配置されているので、誘電体レンズ2が光波帯で使用された場合には、誘電体レンズ2により太陽光線が誘電体殻3の表面に収束され、誘電体殻3が加熱されるという問題がある。受信エネルギが小さい場合には、あまり問題とはならないが、受信エネルギが大きな場合には、問題となる。
【0082】
そこで、この実施例では、図4に示すように、誘電体レンズに照射される上方からの太陽光線を遮蔽するように、日除けキャップ31が、誘電体殻3の内部あるいは外部のいずれかに配置されている。そして、誘電体殻2は、誘電体レンズ2の焦点距離Rに沿って位置するように配置されている。そのため、上方からの太陽光線は、日除けキャップ31により遮断されるので、誘電体殻3が加熱されることはない。
【0083】
なお、日除けキャップ31の代わりに、光を散乱する部材で形成した光散乱材を配設した場合、例えば、プリズムを配置した場合には、太陽光線が散乱されるので、誘電体殻3が加熱されることはなく、安全である。
【0084】
又、この実施例では、誘電体レンズの焦点距離に反射体を配置して反射器を構成しているが、反射体の代わりに、電磁波の発生体を配置すれば、同様に誘電体レンズを用いた電磁波の発生器が得られる。
【実施例5】
【0085】
この発明の第5の実施例を、図1、図3、図4に基づいて説明する。この実施例では、反射体34にスリットを設けた形式の反射体34a、あるいは、金属小片を所定間隔離間して設置した形式の反射体34bを使用している。なお、実施例1〜実施例4と同一のものは、同一名称、同一番号を付し、その説明を省略する。
【0086】
誘電体レンズ2の焦点距離Rには、スリット付き反射体34aやあるいは金属小片を所定間隔離間して設置して形成した反射体34bが、この焦点に収束される信号を反射する反射体34として設けられている。
【0087】
反射体34a、34bをこのような形状に形成した場合には、移動体側では、自己の放射した電磁波は、反射体34で反射され、この反射された反射電磁波を受信するまでの時間を測定し、計算することにより、移動体側では、自己の位置から反射器30が設置されている距離を測距することが出来る。
【0088】
又、スリット付き反射体34aのスリットの配置状態により、反射体34で反射された反射電磁波に符号化した情報を付加することが出来る。例えば、この反射電磁波に付加する情報として、位置を既知とした反射器30の識別情報とし、3つ以上の反射器30の反射電磁波を受信することにより、測位を行うことが出来る。このように、スリットからの反射電磁波から測位する機能を有する反射器30を得ることが出来る。さらに、日除けキャップ31により、太陽光線が遮蔽されるから、誘電体殻3の表面に、誘電体レンズ2による焦点への太陽光線の収束を避けることが出来、誘電体殻3が加熱されることもなく、安全である。
【0089】
なお、上記各実施例の場合、反射体の反射面には、カラーフィルタを配置しても良く、あるいはカラーフィルタの代わりに、液晶を配置して良く、あるいはカラーフィルタと液晶とを両方配置してもよい。又、位置決め保持する手段に、窓を設け、この窓にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方、あるいは両方を配置しても良く、この場合には、上記各実施例と同様に、配置されるカラーフィルタや液晶の色を任意に選択することにより、任意の色を反射する着色機能を有する反射器が得られる。通常は電源を必要としないので、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。
【0090】
さらに、上記各実施例の場合、反射体の反射面や窓に液晶を用いた場合には、位置決め保持する手段に、太陽電池(例えば、図3に示す太陽電池21)を配設すれば、液晶用の特別な電源を設ける必要が無く、半永久的に使用することが出来る。太陽電池の配置箇所は、太陽光線を受光可能な箇所であって、且つ、液晶に給電可能な箇所であれば、如何なる箇所であっても良い。図4に示す場合には、日除けキャップ31の上面に配置することも出来る。
【0091】
又、上記各実施例では、いずれも誘電体レンズの焦点距離に反射体を配置して反射器を構成しているが、反射体の代わりに、電磁波の発生体を配置すれば、同様に誘電体レンズを用いた電磁波の発生器が得られる。
【実施例6】
【0092】
この発明の第6の実施例を、図5〜図6に基づいて説明する。図5はケース41内に誘電体レンズ2を収納した反射器40の模式図、図6は誘電体レンズ2を複数収納出来る大型のケース51内に誘電体レンズ2を多数収納した反射器50の模式図である。なお、実施例1〜実施例5と同一のものは、同一名称、同一番号を付し、その説明を省略する。
【0093】
図5に示すように、反射体44を誘電体レンズ2の焦点距離Rに位置決め保持する手段は、誘電体レンズ2を内包するとともに、一端には誘電体レンズ2の焦点距離Rに沿った位置に反射体44が位置するように、誘電体レンズ2を位置決め保持する保持機構46が設けられている。他端は開放あるいは電磁波に対して透明な部材で形成した蓋体で覆われた円筒状に形成されたケース41である。そしてこのケース41の内部には、単体の誘電体レンズ2が収納されている。誘電体レンズ2を位置決め保持する保持機構は、この実施例の場合には、図5に示すように、球を一部切断した形状に形成され、中央部に誘電体レンズ2の一部を保持可能な凹部が設けられており、電磁波を反射する反射体44は、この保持機構46に配置されている。
【0094】
このように構成されているので、入射した電磁波は、反射体44で反射されるから、小型のレーダ反射器、光反射器、車両等のブレーキ灯や尾灯で使用されている反射板としても利用することの出来る反射器40が得られる。又、ケース41と誘電体レンズ2を位置決め保持する保持機構46とにより誘電体レンズ2は、堅固に固定した状態に保持されているので、破壊、損傷、機械的な変形等が発生することはない。
【0095】
又、誘電体レンズ2とこの誘電体レンズ2を位置決め保持する保持機構56と反射体54とを、図6に示すように、図5における保持機構46と反射体44と同じ位置関係を保持したまま複数個平坦に収納可能な大型のケース51に収納すれば、ケース51の大きさに対応する大型のブレーキ灯、尾灯で使用する反射板やレーダ反射器等に利用することの出来る大型の反射器50が得られる。
【0096】
さらに、反射体44、54の反射面にカラーフィルタを配置した場合には、着色機能を有する小型及び大型の反射器40、50が得られ、任意の大きさのカラーの反射器が得られる。又、カラーフィルタの代わりに液晶を配置しても良く、さらに、カラーフィルタと液晶の両方を配置しても良い。あるいは、図5及び図6に示すケース41、51の蓋体に、カラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置しても良い。
【0097】
なお、誘電体レンズの焦点距離に位置するように、LED等の光源やあるいは送信機能を有する送信機等を設置した場合には、反射機能をさらに発光機能あるいは送信機能を備えた電磁波の反射器や発生器等の装置が得られる。ここで、さらに反射体の反射面にカラーフィルタを配置した場合には、車両等のブレーキ灯や尾灯として使用することが出来る。
【0098】
又、この実施例では、誘電体レンズの焦点距離に反射体を配置して反射器を構成しているが、上記各実施例の場合と同様に、反射体の代わりに、電磁波の発生体を配置すれば、同様に誘電体レンズを用いた電磁波の発生器が得られる。
【0099】
なお、上記実施例1〜実施例6は、誘電体レンズ2の形状は、球形の場合について説明したが、これに限定されるものではなく、当然にして、球形の誘電体レンズの代わりに、半球形の誘電体レンズを用いても良い。この場合には、球形の誘電体レンズを使用した場合と同様な効果が得られるとともに、さらに、レンズの占有体積を半分に出来るので、容積効率が良くなる。
【0100】
ここで、一例として、図7に示すように、半球形の誘電体レンズ102を用いた場合の反射器100について説明する。103は半球形の誘電体殻で、半球形の誘電体レンズ102の焦点距離に沿った位置に配置されている。104は反射体で、この反射体104を半球形の誘電体レンズ102の焦点距離Rに位置決め保持する手段は、焦点距離Rと等しい内径又は外径を有し、電磁波に対して透明な部材で内部に誘電体レンズ102を収納可能な中空に形成した半球形の誘電体殻103と、この誘電体殻103が誘電体レンズ102を内包した状態で、且つ、焦点距離Rに沿った位置に誘電体殻103が位置するように、この誘電体殻103と誘電体レンズ102とを位置決め保持する保持機構(図示せず)により、反射体104が誘電体レンズ102及び誘電体殻103の断面側に設置されている。
【0101】
この場合、電磁波が、図7に示すように、誘電体レンズ102の真横から入射する電磁波110の場合には、焦点1に焦点を結ぶ。又、図7に示す電磁波が、斜めから入射する電磁波120の場合には、誘電体レンズ102の断面側に設置されている反射体104により、本来の焦点位置と鏡面反射した位置である焦点2に焦点を結ぶ。従って、断面に設置した反射体の面積によって、斜め入射の際の開口面積効率が決定される。
【0102】
そこで、一般的に、図8に示すように、電磁波の入射する向きと反射体に垂直な軸とが、角度θで有る場合、全反射のために必要な反射体の半径rは、R=r/cosθとなる。
従って、いずれの実施例においても、半球形の誘電体レンズを用いる場合には、反射効率が関係するのみで、その他は球形の誘電体レンズを用いた場合と同様となる。
【0103】
この実施例の場合にも、上記各実施例と同様に、反射体の反射面にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置しても良い。さらに、位置決め保持する手段に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶の何れか一方あるいは両方を配置しても良い。この場合には、配置されるカラーフィルタや液晶の色を任意に選択することにより、任意の色を反射する着色機能を有する反射器が得られる。通常は電源を必要としないので、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。なお、反射体の反射面や窓に液晶を用いた場合には、位置決め保持する手段に、太陽電池(例えば、図3に示す太陽電池21)を配設すれば、液晶用の特別な電源を設ける必要が無く、半永久的に使用することが出来る。太陽電池の配置箇所は、図3に示すものに限らず、太陽光線を受光可能な箇所であって、且つ、液晶に給電可能な箇所であれば、如何なる箇所であっても良い。
【0104】
又、この実施例では、誘電体レンズの焦点距離に反射体を配置して反射器を構成しているが、反射体の代わりに、電磁波の発生体を配置すれば、同様に誘電体レンズを用いた電磁波の発生器が得られる。
【実施例7】
【0105】
この発明の第7の実施例を、図9〜図10に基づいて説明する。図9は反射体として、3種類の色彩のカラーフィルタを配置した反射体64a〜64cを有する反射器60の模式図、図10はこの反射器60を用いた信号機を4つ角において使用する際の原理図である。なお、実施例1〜実施例6と同一のものは、同一名称、同一番号を付し、その説明を省略する。
【0106】
4つ角の中心には、反射器60が配置されており、それぞれの道路には車両67a〜67dが4つ角の中心に向かって、走行若しくは停車している。誘電体殻3の底部には、垂直方向をその回転軸として反射器60を一定の回転速度で回転させる回転機構68が配置されており、太陽電池21により回転のための電源が供給されている。誘電体レンズ2の焦点距離Rに位置している誘電体殻3の内面あるいは外面のいずれか一方の面には、反射体64が配置され、誘電体レンズ2を位置決め保持する保持機構6により位置決めされている。
【0107】
反射体64は、反射面に青色のカラーフィルタを配置した反射体64aと、反射面に黄色のカラーフィルタを配置した反射体64bと、反射面に赤色のカラーフィルタを配置した反射体64cの3種類の反射体により構成されている。これらの反射体64a〜64cは、信号機において、青信号、黄信号、赤信号の表示する割合で順番に配分されており、反射器60が1回転した際に、青−>黄−>赤の表示を1周期とした場合に2周期分になるように配分されている。
【0108】
図10に示すように、この状態では、車両67aが反射器60にライトを照射すると、ライトの反射光は、反射体64aで反射するため、反射光は青色の色彩を有し、車両67aを運転している者には、青信号として認識することが出来る。車両67cについても同様に、青信号として認識させることが出来る。車両67bや、車両67dについては、反射体64cで反射するので、反射光は赤色の色彩を有し、赤信号として認識させることが出来る。
【0109】
回転機構68により、反射器60は、青−>黄−>赤の表示を1周期とした場合に、一回転で2周期分となる速度で、一定の速度で回転している。この実施例では、反射器60は、時計方向に回転している。このため、例えば、車両67aについては、時間が経過すれば、反射体64a−>64b−>64cで順次、車両67aの照射するライトを反射するので、車両67aを運転している者には、青信号−>黄信号−>赤信号として変化するように認識することが出来る。他の車両についても同様である。
【0110】
なお、実施例5に示すように、さらに反射体64にスリットを付け、車両67から電磁波を照射した際に、その反射電磁波に青信号、黄信号、赤信号の情報を付加するようにしても良い。このように構成すれば、車両に搭載されたレーダ装置を用いた自動運転の際の信号機における車両の運転制御用の反射器として利用することが出来る。
【0111】
この実施例の場合にも、上記各実施例と同様に、反射体の反射面にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置しても良い。さらに、位置決め保持する手段に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶の何れか一方あるいは両方を配置しても良い。この場合には、配置されるカラーフィルタや液晶の色を任意に選択することにより、任意の色を反射する着色機能を有する反射器が得られる。通常は電源を必要としないので、一度設置すれば半永久的に使用することが出来る。なお、反射体の反射面や窓に液晶を用いた場合には、位置決め保持する手段に、太陽電池(例えば、図3に示す太陽電池21)を配設すれば、液晶用の特別な電源を設ける必要が無く、半永久的に使用することが出来る。太陽電池の配置箇所は、図3に示すものに限らず、太陽光線を受光可能な箇所であって、且つ、液晶に給電可能な箇所であれば、如何なる箇所であっても良い。
【0112】
又、この実施例では、誘電体レンズの焦点距離に反射体を配置して反射器を構成しているが、反射体の代わりに、電磁波の発生体を配置すれば、同様に電磁波の発生器を用いた信号機が得られる。
【産業上の利用可能性】
【0113】
誘電体レンズを用いた電磁波の反射器や発生器等は、電源を必要としないから、屋内、屋外に係わらず利用可能である。又、道路の側壁等に設置すれば、車両のライトあるいは車両に搭載されているレ−ダ装置で検知出来る反射板として利用可能である。又、地方空港の滑走路の誘導灯として利用出来る。又、砂漠等の空港がない地域で臨時の空港の滑走路の誘導灯としても利用出来る。又、地上に限らず、海上のブイ、船舶のマスト等に設置して目標とすることが出来る。さらに、反射体を設けたケース内に誘電体レンズを配置した形式のものは、車両等のブレーキ灯や尾灯としても使用することが出来る。青、黄、赤のカラーフィルタを反射体に配置した形式のものは、車両に搭載されたレーダ装置による車両の自動運転の際の信号機における運転制御用の反射器として使用することが出来る。又、反射器あるいは発生器を用いた簡易型の簡単な信号機を構成する事も出来る。
【図面の簡単な説明】
【0114】
【図1】この発明の第1の実施例を示すもので、誘電体レンズ装置を用いた反射器の模式図である。
【図2】この発明の第2の実施例を示すもので、誘電体レンズ装置を用いた円筒状に長い棒状の反射器の模式図である。
【図3】この発明の第3の実施例を示すもので、誘電体レンズ装置に太陽電池を配置した反射器及び発生器の模式図である。
【図4】この発明の第4の実施例を示すもので、誘電体球殻に日除けキャップを設けた反射器の模式図である。
【図5】この発明の第5の実施例を示すもので、ケース内に誘電体レンズ装置を収納した反射器の模式図である。
【図6】この発明の第5の実施例を示すもので、大型のケース内に誘電体レンズ装置を収納した反射器の模式図である。
【図7】誘電体レンズとして、半球形形状を用いた場合の原理を示す図である。
【図8】誘電体レンズとして、半球形形状を用いた場合の原理を示す図である。
【図9】この発明の第6の実施例を示すもので、反射体として、3種類の色彩のカラーフィルタを付した反射体115a〜115cを有する反射器110の模式図である。
【図10】この発明の第6の実施例を示すもので、反射器110を用いた信号機を4つ角において使用する際の原理図である。
【図11】従来例を示すもので、先に発明者等が特許出願した誘電体レンズ装置を用いた反射装置の模式図である。
【図12】従来例を示すもので、先に発明者等が特許出願した球形誘電体レンズ52と誘電体球殻53との位置関係を示す説明図である。
【符号の説明】
【0115】
1、10、20、30、40、60、100 反射器
2 誘電体レンズ
3 誘電体殻
4、14、34、44、54、104 電磁波の反射体あるいは電磁波の発生体
5、15 カラーフィルタ
6、46、56、66 保持機構
11 筒状容器
21 太陽電池
22 電気制御反射体
31 日除けキャップ
34a スリット付き反射体あるいは発生体
34b 金属小片で形成した反射体あるいは発生体
41、51 ケース
64 反射体
68 回転機構
102 半球形の誘電体レンズ
103 半球形の誘電体殻

【特許請求の範囲】
【請求項1】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、
この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、
この反射体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段と
を有する誘電体レンズを用いた反射器において、
前記反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、前記焦点距離と等しい内径又は外径を有し、電磁波に対して透明な部材で内部に前記誘電体レンズを収納可能な中空に形成した誘電体殻と、この誘電体殻が前記誘電体レンズを内包した状態で、且つ、前記焦点距離に沿った位置に前記誘電体殻が位置するように、この誘電体殻と前記誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有し、
前記反射体の反射面には、カラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置したこと
を特徴とする誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項2】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、
この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、
この反射体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段と
を有する誘電体レンズを用いた反射器において、
前記反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、電磁波に対して透明な部材で形成し、前記焦点距離と等しい内径又は外径を有し、内部に前記誘電体レンズを複数収納可能な中空に形成した筒状容器と、この筒状容器が前記誘電体レンズを内包した状態で、且つ、各々の誘電体レンズの焦点距離にそれぞれ沿った位置に位置するように、前記筒状容器と各々の誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有すること
を特徴とする誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項3】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、
この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、
この反射体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段と
を有する誘電体レンズを用いた反射器において、
前記反射体は、スリットを有する反射体あるいは金属小片を互いに離間して設置してなる反射体を用い、
前記スリットからの反射された反射電磁波の反射方向を検知する機能を有すること
を特徴とする誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項4】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、
この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、
この反射体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段と
を有する誘電体レンズを用いた反射器において、
前記反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、前記誘電体レンズを内包するとともに、一端には前記誘電体レンズの焦点距離に沿った位置に前記反射体が位置するように前記誘電体レンズを位置決め保持する保持機構を有し、他端は開放あるいは電磁波に対して透明な部材で形成した蓋体で覆われたケースであること
を特徴とする誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項5】
前記反射体の反射面に、カラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置したこと
を特徴とする請求項2〜請求項4にそれぞれ記載の誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項6】
前記反射体の反射面に液晶を配置した場合、電源となる太陽電池を配設したこと
を特徴とする請求項1〜請求項5にそれぞれ記載の誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項7】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、
この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、
この反射体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段と
を有する誘電体レンズを用いた反射器において、
前記反射体に、電磁波を制御可能な電気制御反射体を設けるとともに、この電気制御反射体の電源となる太陽電池を配設したこと
を特徴とする誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項8】
前記反射体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、前記焦点距離と等しい内径又は外径を有し、電磁波に対して透明な部材で内部に前記誘電体レンズを収納可能な中空に形成した誘電体殻と、この誘電体殻が前記誘電体レンズを内包した状態で、且つ、前記焦点距離に沿った位置に前記誘電体殻が位置するように、この誘電体殻と前記誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有すること
を特徴とする請求項7に記載の誘電体レンズを用いた反射器。

【請求項9】
前記位置決め保持する手段に、誘電体レンズに照射される太陽光線を遮断する日除けキャップを配置したこと
を特徴とする請求項1〜請求項8にそれぞれ記載の誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項10】
前記日除けキャップの代わりに、光を散乱する部材で形成した光散乱材を配設したこと
を特徴とする請求項9に記載の誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項11】
前記位置決め保持する手段に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置したこと
を特徴とする請求項1〜請求項10にそれぞれ記載の誘電体レンズを用いた反射器。
【請求項12】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、
この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を放射する発生体と、
この発生体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段と
を有する誘電体レンズを用いた電磁波の発生器において、
前記発生体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、電磁波に対して透明な部材で形成し、前記焦点距離と等しい内径又は外径を有し、内部に前記誘電体レンズを複数収納可能な中空に形成した筒状容器と、この筒状容器が前記誘電体レンズを内包した状態で、且つ、各々の誘電体レンズの焦点距離にそれぞれ沿った位置に位置するように、前記筒状容器と各々の誘電体レンズとを位置決め保持する保持機構とを有すること
を特徴とする誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。
【請求項13】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、
この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を放射する発生体と、
この発生体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段と
を有する誘電体レンズを用いた電磁波の発生器において、
前記発生体を誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段は、前記誘電体レンズを内包するとともに、一端には前記誘電体レンズの焦点距離Rに沿った位置に前記発生体が位置するように前記誘電体レンズを位置決め保持する保持機構を有し、他端は開放あるいは電磁波に対して透明な部材で形成した蓋体で覆われた円筒状のケースであること
を特徴とする誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。
【請求項14】
前記発生体の発生面に、カラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置したこと
を特徴とする請求項12〜請求項13にそれぞれ記載の誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。
【請求項15】
前記発生体の発生面に液晶を配置した場合、電源となる太陽電池を配設したこと
を特徴とする請求項12〜請求項14にそれぞれ記載の電磁波を用いた発生器。
【請求項16】
前記位置決め保持する手段に、誘電体レンズに照射される太陽光線を遮断する日除けキャップを配置したこと
を特徴とする請求項12〜請求項15にそれぞれ記載の誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。
【請求項17】
前記日除けキャップの代わりに、光を散乱する部材で形成した光散乱材を配設したこと
を特徴とする請求項16に記載の誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。
【請求項18】
前記位置決め保持する手段に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置したこと
を特徴とする請求項12〜請求項17にそれぞれ記載の誘電体レンズを用いた電磁波の発生器。
【請求項19】
電磁波に対して透明な誘電体レンズと、
この誘電体レンズの焦点距離に設けた電磁波を反射する反射体と、
この反射体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段と
を有する誘電体レンズを用いた電磁波の反射器において、
前記反射体の反射面に、3種類の色彩のカラーフィルタをそれぞれ配置するとともに、この3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した反射体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段に、垂直方向をその回転軸として3個の反射体を回転駆動する回転機構を配置し、
この回転機構に電源を供給する太陽電池を設けたこと
を特徴とする誘電体レンズを用いた電磁波の反射器を用いた信号機。
【請求項20】
3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した前記反射体に、それぞれスリットあるいは金属小片を互いに離間して設置したこと
を特徴とする請求項19に記載の誘電体レンズを用いた電磁波の反射器を用いた信号機。
【請求項21】
前記3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した反射体を前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段に、日除けキャップを配置したこと
を特徴とする請求項19〜請求項20にそれぞれ記載の誘電体レンズを用いた電磁波の反射器を用いた信号機。
【請求項22】
前記3種類の色彩のカラーフィルタを反射面に配置した反射体を、前記誘電体レンズの焦点距離に位置決め保持する手段に、窓を設けるとともに、この窓にカラーフィルタあるいは液晶のいずれか一方あるいは両方を配置したこと
を特徴とする請求項19〜請求項21にそれぞれ記載の誘電体レンズを用いた電磁波の反射器を用いた信号機。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−203345(P2006−203345A)
【公開日】平成18年8月3日(2006.8.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−10582(P2005−10582)
【出願日】平成17年1月18日(2005.1.18)
【出願人】(501152352)独立行政法人電子航法研究所 (44)
【出願人】(502235359)株式会社レンスター (5)
【Fターム(参考)】