説明

誘電体共振子および誘電体共振器

【課題】 共振周波数が大きく外れることなく、共振動作の最中に発生した熱を、表面から効率よく放熱することができる誘電体共振子を提供する。
【解決手段】 一方主面と、前記一方主面に平行な他方主面と、前記一方主面および前記他方主面に対して垂直な周面とを備え、前記一方主面および前記他方主面の少なくともいずれか一方に開口を有する、前記一方主面に垂直な方向に延びた複数の孔が設けられているとともに、複数の前記孔が、前記一方主面および前記他方主面に垂直な所定軸に対してn回対称(nは2以上の整数)となるように配置されていることを特徴とする誘電体共振子を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、誘電体共振子および誘電体共振器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、誘電体共振子を導電性ケース内で支持した構成の誘電体共振器が利用されている。このような誘電体共振器は構造が簡単である上、低コストかつ高出力であり、例えば電磁波出力装置として、好適に用いられている。従来、誘電体共振器の構造としては、図4に示すように、円柱状をした誘電体セラミックスからなる誘電体共振子101を、アルミナやフォルステライトを主成分とする絶縁性セラミックスにより形成した支持台102を介して金属製ケース103の中央に配置したものがあった。この誘電体共振子101に特定の信号を入力すると、誘電体共振子101に対応した特定の共振周波数fが出力信号として出力されることから、誘電体フィルタとして使用され、各種回路や電磁波送受信装置等に搭載されていた。
【0003】
誘電体共振子101は、共振に伴って発熱し、この発熱により誘電体共振器の特性(共振周波数f、無負荷Q値)に悪影響を与えることがある。誘電体共振子101に発生した熱は支持台102を介して放熱されるが、近年の、基地局などに用いられる誘電体共振器における電磁波の高出力化が進み、支持台102から充分には放熱されないといった問題があった。
【0004】
例えば下記特許文献1では、誘電体共振子101からの放熱を促進するため、支持台を高熱伝導率を有する窒化アルミニウムセラミックスにより形成した誘電体共振器が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平10−270916号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、入出力する電磁波の出力が高まるにつれ、特許文献1に記載の誘電体共振器のように、支持台からの放熱だけでは、誘電体共振器から充分に放熱できない場合があった。また例えば、誘電体共振器からの放熱を促進するために、放熱構造を設けるなど、誘導体共振器の形状を変更した場合、誘電体共振器における電磁場の分布が不規則に乱れ、共振周波数の大きさが所定の値から外れ、共振周波数の調整自体が困難となる場合もあった。本発明は、かかる課題を解決することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明は、一方主面と、前記一方主面に平行な他方主面と、前記一方主面および前記他方主面に対して垂直な周面とを備え、前記一方主面および前記他方主面の少なくともいずれか一方に開口を有する、前記一方主面に垂直な方向に延びた複数の孔が設けられているとともに、複数の前記孔が、前記一方主面および前記他方主面に垂直な所定軸に対してn回対称(nは2以上の整数)となるように配置されていることを特徴とする誘電体共振子を提供する。
【0008】
また、誘電体共振子と、前記誘電体共振子を収容する導電性ケースとを備えることを特徴とする誘電体共振器を、併せて提供する。
【発明の効果】
【0009】
本発明の誘電体共振子は、共振周波数が大きく外れることなく、共振動作の最中に発生した熱を、表面から効率よく放熱することができる。本発明の誘電体共振器は、動作の最中、自身の温度上昇にともなう特性の変動が抑制される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の誘電体共振子の一実施形態について説明する図であり、(a)は概略斜視図、(b)は概略断面図である。
【図2】(a)は図1に示す誘電体共振子を備えて構成された、本発明の誘電体共振器の一実施形態について説明する側断面図であり、(b)は誘電体共振器を図2(a)中のB−B´線で切断した概略断面図である。
【図3】(a)および(b)は、本発明の誘電体共振子の他の実施形態の概略斜視図である。
【図4】従来の誘電体共振子の概略断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の誘電体共振子の実施形態を以下に詳細に説明する。図1に、本発明の誘電体共振子10を示している。誘電体共振子10は、一方主面10Aと、一方主面10Aに平行な他方主面10Bと、一方主面10Aおよび他方主面10Bに対して垂直な周面10Cとを備えている。また、一方主面10Aから他方主面10Bに向かって延びた、一方主面10Aおよび他方主面10Bの間を貫通した貫通孔12が複数設けられている。
【0012】
一方主面10Aおよび他方主面10Bは、一方主面10Aに垂直な上面視において円形状となっている。貫通孔12は、一方主面10Aおよび他方主面10Bの中心を結ぶ軸線α(所定軸)を中心軸とする、円柱形状の中心貫通孔12aと、軸線αを中心とした同心円13上に配置された複数の貫通孔12bとを有する。より詳しくは、一方主面10Aに垂直な方向の平面視において、軸線αを中心とした同心円13上に、円柱形状の複数の貫通孔12bの中心軸βが配置されている。複数の貫通孔12bはいずれも同一の直径を有し、各貫通孔12bの間隔は同一とされている。
【0013】
このように誘電体共振子10では、複数の貫通孔12(貫通孔12aおよび12b)が、一方主面10Aおよび他方主面10Bに垂直な軸線αに対してn回対称(nは2以上20以下の整数)となるように配置されている。図1に示す例では、n=8とされている。すなわち、誘電体共振子10は、ある配置状態に対して、軸線αを中心に45℃回転する毎に同一の配置状態となっている。
【0014】
図2(a)は、図1に示す誘電体共振子10を備えて構成された誘電体共振器20について説明する側断面図であり、(b)はB−B´線で切断した概略断面図である。誘電体共振器20は、内部空隙を電磁シールドする金属製容器等の導電性ケーシング24の底面に、支持台25を介して誘電体共振子10が保持されている。導電性ケーシング24の、対向する2つの側面には、誘電体共振子10と電磁界結合する入力端子29aおよび出力端子29bが設けられている。誘電体共振器20では、入力端子29aから電磁波が入力され、入力された電磁波は誘電体共振子10と自由空間との境界の反射によって誘電体共振子10内に閉じ込められ、特定の周波数fで共振を起こす。この信号が出力端子29bと電磁界結合して出力される。本実施形態では、入力端子29aと出力端子29bとを結ぶ直線上に、誘電体共振子10の軸線αが位置するように、誘電体共振子10が誘電体共振器20内に配置されている。
【0015】
誘電体共振器20において誘電体共振子10が共振を生じている最中、電磁界エネルギ
ーの一部が熱エネルギーへ変換されたり、共振にともなう誘電体共振子10内の物質の振動等が生じたりすることにより誘電体共振子10自体が発熱する。本実施形態では、誘電体共振子10が複数の貫通孔12を備えており、一方主面10Aや他方主面10Bや周面10Cのみでなく、各貫通孔12の内周面を、表面に備えている。誘電体共振子10は表面積が大きく、放熱効率が比較的高い。
【0016】
また、これら複数の貫通孔12(貫通孔12aおよび12b)は、軸線αに対して8回対称となるように配置されており、誘電体共振子10をケーシング24内に配置した際の、共振周波数のずれが抑制されている。貫通孔12には空気が存在しており、この貫通孔12の部分における誘電率は、誘電体共振子10自体の誘電率に比べて低くなっている。このように局所的に低い誘電率の領域が導電性ケーシング24内に存在していると、その領域を基点に電場および磁場の強弱の分布が生じる。誘電体共振子10に貫通孔や空洞が不規則に配置されていると、ケーシング24内の電場や磁場が不規則形状となり、入力端子29aと出力端子29bと誘電体共振子10との位置関係の微妙なずれ等に応じて、共振状態が不規則に変化し易い。誘電体共振子10は、複数の貫通孔12が、軸線αに対して8回対称となるように配置されており、ケーシング24における電場や磁場の分布は、軸線αを中心に対称的に分布している。すなわち、電場や磁場が強い部分、または弱い部分が、軸線αを中心とした回転方向に沿って規則的に繰り返されるように分布している。このため、入力端子29aと出力端子29bと誘電体共振子10との位置関係の微妙なずれ等が生じた場合でも、共振状態が不規則に変化することが抑制されている。また、本実施形態では、誘電体共振子10が、軸線αを中心とした45°回転毎に同一の誘電率分布となっており、共振装置20の組み立ての最中、誘電体共振子10の配置状態を、軸線αを中心とした小さい回転角範囲で調整することで、所望の共振状態を比較的容易に得ることができる。誘電体共振子10を用いることで、共振周波数が高精度に制御された誘電体共振器20を、比較的少ない手間で組立てることが可能となっている。
【0017】
≪誘電体共振子10の材質例≫
本実施形態の誘電体共振子10は、金属元素として少なくともBa、Tiを含有し、これらの金属酸化物のモル比による組成式をBaO−xTiO2と表した時、上記xが3.
9≦x≦4.1を満足する主成分100重量部に対して、ZnをZnO換算で1〜20重量部含有し、かつX線回折ピーク強度がBaTi1330の(040)面帰属ピーク強度をA、BaTi9の(121)面帰属ピーク強度をBおよびBaTi12Zn
34の(114)面帰属ピーク強度をCとしたとき、0.01≦A/B≦0.20、0.05≦C/B≦0.50となるものを用いている。
【0018】
モル比による主成分の組成式を、BaO−xTiOと表したとき、xが3.9≦x≦4.1の範囲内とすることで、Qfを比較的高くすることができる。また、上記主成分100重量部に対してZnをZnO換算で1〜20重量部含有させることで、共振周波数の温度係数τfを−15ppm/℃以上かつ15ppm/℃以下の、実用的な範囲とするこ
とができる。
【0019】
なお、共振周波数の温度係数τfをより0に近くするという観点から、ZnはZnO換
算で主成分100重量部に対して2〜14重量部の範囲で含有することが好ましい。より具体的には、誘電体共振子10は、BaTi結晶相が主結晶相として存在し、更にBaTi1330およびBaTi12Zn34結晶相が存在するものであり、X線回折ピーク強度におけるBaTi1330の(040)面帰属ピーク強度をA、BaTiの(121)面帰属ピーク強度をBおよびBaTi12Zn34の(114)面帰属ピーク強度をCとしたとき、0.01≦A/B≦0.20、0.05≦C/B≦0.50となっており、BaTi1330の(040)面帰属ピーク強度、BaTiの(121)面帰属ピーク強度、およびBaTi12Zn34の(
114)面帰属ピーク強度の比を所定範囲としておくことによってQfの値を53000GHz以上の高い値となすことができる。上記X線回折ピーク強度におけるBaTi1330の(040)面帰属ピーク強度をA、BaTiの(121)面帰属ピーク強度をBおよびBaTi12Zn34の(114)面帰属ピーク強度をCとしたとき、A/Bの値が0.01未満又は0.2とすることで、Qfの値を高くしておくことができる。
【0020】
なお、上記X線回折ピーク強度におけるBaTi1330の(040)面帰属ピーク強度、BaTiの(121)面帰属ピーク強度およびBaTi12Zn34の(114)面帰属ピーク強度は、例えば、JCPDS−ICDD(粉末回析標準委員会国際回析データセンター)のX線回折データを参照して求められ、JCPDS−ICDDのX線回折データによれば、BaTi1330の(040)面帰属ピークの面間隔はdA=4.268、BaTi49の(121)面帰属ピークの面間隔はdB=2.9676、BaTi12Zn34の(114)面帰属ピークの面間隔はdC=2.81で
ある。これらの面間隔の値は測定条件、結晶の配向等によって変化する場合があり、dA
、dBおよびdCはdA=4.25〜4.31、dB=2.96〜2.99、dC=2.80
〜2.84の値としている。
【0021】
また、Qfの値を高い値に維持するためには平均結晶粒径をDとしたとき、0.3D〜2.5Dの結晶が30〜90体積%となるようにしておくことが好ましい。このような誘電体共振子の平均結晶粒径は、例えば次の方法によって測定される。即ち、焼結体の内部を無作為に4箇所以上選びサンプルを取り、これらのサンプルの断面を平面研磨によって鏡面仕上げする。次いで、鏡面仕上げしたサンプルを熱エッチング法によりSEM像で結晶の形が観察できる様にする。
【0022】
上記熱エッチング法の熱処理温度は800〜1250℃、保持時間は1分から2時間程度の範囲であれば良いが、SEMによる結晶の形が観察できること、および粒界が明瞭に観察できる様にすることが重要である。この熱エッチング処理をした後、各々のサンプルについて50〜500個程度の結晶粒径を波長分散型X線マイクロアナライザーを用いて、加速電圧15kV、プローブ電流5×10−10A程度、倍率300〜3000倍程度での反射電子像の写真撮影をし、得られた写真の各々の結晶粒径を画像解析法により測定する。この方法で結晶粒径Hdは、Hd=2(A/π)1/2(ここでAは粒子内面積)により求められる。こうして得られた結晶粒径の平均値を求める。
【0023】
また、本実施形態においては、BaO−xTiO(3.9≦x≦4.1)から成る主成分100重量部に対してCuをCuO換算で0.01〜7重量部含有させておくと、共振周波数の温度係数τfの曲がり、即ち、温度ドリフト△τfを0に近づけることができるので好ましい。
【0024】
このような組成の誘電体共振子は、数百MHz程度の比較的低い周波数(比較的な長い波長)で、良好な共振周波数を有している。長波長に対応するよう共振子10を直径数十cmと比較的大きくし、比較的多くの孔を形成した場合も、良好な共振特性を有している。本実施形態の誘電体共振子10は、誘電体共振子10の直径が20〜50cmの範囲、共振周波数が150〜400MHzの範囲で動作する誘電体共振器20に最適に用いられる。
【0025】
≪誘電体共振子10の製造方法の例≫
次に、誘電体共振子10の製造方法の一例について説明しておく。先ず原料粉末として、純度99%以上のBaCO3、TiO及びZnO、純度98%以上のCuO粉末を準
備し、これらを所定量秤量し、混合、粉砕し、得られた粉末を1000〜1150℃の温
度で1時間以上保持して仮焼する。仮焼時の昇温速度は800℃以上の温度において平均50〜200℃/時間で昇温する。仮焼した粉末を粉砕粒径がメジアン径で0.5〜2.0μmに粉砕する。粉砕後の仮焼粉末にバインダーを添加し、プレス成形や成形後ドリル加工等の公知の方法により所定形状に成形する。この成形により、図1に示す共振子10に応じた形状の、仮焼粉末成形体を得る。この仮焼粉末成形体は、貫通孔12に対応する孔を有しており、単純な円柱形状に比べて表面積が大きくなっている。
【0026】
成形後、脱バインダー後のカーボン量が0.1重量%以下となるよう脱バインダーを行う。脱バインダー条件は、仮焼粉末成形体を400〜800℃で20時間以上保持することで行う。複数の孔が形成された仮焼粉末成形体は表面積が比較的大きく、比較的短時間で、仮焼粉末成形体の内部まで脱バインダー処理が確実に進行する。
【0027】
脱バインダー後、大気中または酸素を含む雰囲気中において、昇温速度20〜300℃/時間で昇温し、1050〜1300℃で5〜30時間焼成することによって誘電体共振子10が得られる。焼成においても、脱バインダー後の仮焼成体が複数の孔を有し、単純な円柱形状に比べて表面積が大きいので、比較的短時間で充分に、成形体の内部まで焼成が進行する。
【0028】
得られる誘電体磁器において、X線回折ピーク強度におけるBaTi1330の(040)面帰属ピーク強度をA、BaTiの(121)面帰属ピーク強度をBおよびBaTi12Zn34の(114)面帰属ピーク強度をCとしたとき、0.01≦A/B≦0.20、0.05≦C/B≦0.50とするには、粉砕粒径、脱バインダー条件、焼成条件を上述の範囲とすることによって行うことができる。
【0029】
≪誘電体共振子の他の実施形態の例≫
上記実施形態の誘電体共振子10は、一方主面10Aから他方主面10Bに向かって延びた、一方主面10Aおよび他方主面10Bの間を貫通した貫通孔12を複数備えている。しかし、誘電体共振子としては上記実施形態に限定されず、一方主面10Aおよび他方主面10Bの少なくともいずれか一方に開口を有する、一方主面10Aに垂直な方向に延びた複数の孔が設けられていればよい。図3(a)(b)は、誘電体共振子の他の実施形態について説明する図である。誘電体共振子としては、例えば図3(a)に示すように、一方主面10Aの側のみが開口した複数の孔14が設けられた形態でもよく、また例えば、図3(b)に示すように、一方主面10Aの側のみが開口した複数の孔14と、他方主面10Bの側のみが開口した複数の孔16とを備えていてもよい。また、図示しているように、中心軸を貫通する貫通孔12aと、一方主面10Aまたは他方主面10Bのみが開口した孔とが混在していてもよい。また、中心軸の周囲に配置された貫通孔12bと、一方主面10Aまたは他方主面10Bのみが開口した孔とが混在していてもよい。本発明の共振子は、複数の孔が、一方主面および他方主面に垂直な所定軸に対してn回対称(nは2以上20以下の整数)となるように配置されていれば、孔の形状等については特に限定されない。
【0030】
また、上記実施形態では、複数の貫通孔12(貫通孔12aおよび12b)が、所定の軸線αに対して8回対称となるように配置されているが、所定の軸線αに対してn回対称(nは2以上の整数)となるように配置されていれば、nの数は特に限定されない。nが大きいほど、誘電率の分布の不規則さが低減され、軸線αを中心とした少ない角度範囲の回転で、所望の共振状態を実現することができる。また、複数の孔の形状や大きさが同一ならば、nが大きいほど共振子の表面積は大きくなるので、この点でも、nの数は大きい方が好ましい。一方、nが大きく、孔の数が大きいほど機械的強度は強くなるので、比較的大きい共振体における自重による損傷を抑制するためには、nは20以下であることが好ましい。
【0031】
また、上記実施形態の誘電体共振子10は、所定軸(軸線α)に垂直な断面の外周が円形状としたが、外周の形状としてはn回対称(nは2以上)であればよく、円形であることに限定されない。ただし、誘電率の強度分布をより均一にするには、上記断面における外周形状が円形であることが好ましい。
【0032】
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明の誘電体共振子は、上記実施形態に限定されない。本発明は上記実施例に限定されるものでなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において、各種の改良および変更を行ってもよいのはもちろんである。
【符号の説明】
【0033】
10 誘電体共振子
10A 一方主面
10B 他方主面
10C 周面
12 貫通孔
20 誘電体共振器
24 ケーシング
29a 入力端子
29b 出力端子
α 軸線(所定軸)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一方主面と、前記一方主面に平行な他方主面と、前記一方主面および前記他方主面に対して垂直な周面とを備え、
前記一方主面および前記他方主面の少なくともいずれか一方に開口を有する、前記一方主面に垂直な方向に延びた複数の孔が設けられているとともに、
複数の前記孔が、前記一方主面および前記他方主面に垂直な所定軸に対してn回対称(nは2以上の整数)となるように配置されていることを特徴とする誘電体共振子。
【請求項2】
前記所定軸に垂直な断面の外周が円形状であることを特徴とする請求項1記載の誘電体共振子。
【請求項3】
前記孔の中心軸の1つが、前記所定軸に一致することを特徴とする請求項1または2記載の誘電体共振子。
【請求項4】
前記一方主面に垂直な方向からの平面視において、前記所定軸を中心とした同心円上に複数の前記孔の中心軸が配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の誘電体共振子。
【請求項5】
複数の前記孔の少なくとも1つは、前記一方主面および前記他方主面の間を貫通した貫通孔であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体共振子。
【請求項6】
複数の前記孔の少なくとも1つは、前記一方主面または前記他方主面の側が閉塞していることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の誘電体共振子。
【請求項7】
セラミックスを主成分とすることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の誘電体共振子。
【請求項8】
金属元素として少なくともBaおよびTiを含有し、これらの金属酸化物のモル比による組成式をBaO−xTiOと表したとき、上記xが3.9≦x≦4.1を満足する主成分100質量部に対して、ZnをZnO換算で1〜20質量部含有し、かつX線回折ピーク強度がBaTi1330の(040)面帰属ピーク強度をA、BaTiの(121)面帰属ピーク強度をBおよびBaTi12Zn34の(114)面帰属ピーク強度をCとしたとき、0.01≦A/B≦0.2かつ0.05≦C/B≦0.5であることを特徴する請求項7に記載の誘電体共振子。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれかに記載の誘電体共振子と、
前記誘電体共振子を収容する導電性ケースとを備えることを特徴とする誘電体共振器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2013−31031(P2013−31031A)
【公開日】平成25年2月7日(2013.2.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−166203(P2011−166203)
【出願日】平成23年7月29日(2011.7.29)
【出願人】(000006633)京セラ株式会社 (13,660)
【Fターム(参考)】