説明

課金証明書およびデータの無線配信

無線プロトコルを使用して課金証明書をモバイルデバイスに伝達する構成を通して、課金を可能にする。課金トリガは、課金データがモバイルデバイスによって通知される位置、および公開鍵/秘密鍵ペアのうちの公開鍵を含む課金証明書を提供し、代替的には、そのような課金証明書へのリンクを提供する。課金ヘルパは、課金証明書をモバイルデバイス上のDRMシステムに渡し、DRMシステムは課金IDと関連付けられた課金データを収集し、公開鍵を使用して課金データを暗号化して課金チャレンジにする。課金ヘルパは、その課金チャレンジを前記位置に通知する。課金サービスは、秘密鍵を使用して課金チャレンジから課金データを抽出し、課金レスポンスを生成する。課金レスポンスは、課金ヘルパによって受信され、課金データが格納されるデータストアの少なくとも一部分をリセットするようにDRMシステムに指示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、課金証明書およびデータの無線配信に関する。
【背景技術】
【0002】
課金(metering)は、デジタルメディアコンテンツプロバイダが保護されたメディアコンテンツの使用をトラッキングできるようにする技術である。課金は、一般的には、個人ユーザのリスニング習慣をトラッキングするのに使用されるのではなく、むしろ、メディアコンテンツアイテムの特定の部分が何回使用されたか(例えば、メディアコンテンツがどれだけの頻度で再生またはコピーされたか)を集計する手段である。したがって、課金は、使用料金モデルや、ユーザがオンラインカタログから選択したメディアコンテンツの限られた使用を楽しむために定期的な料金(例えば、毎月)を支払う加入モデルなどの、複数の可能なビジネスモデルに役立つ可能性がある。ユーザが加入を継続しないことを選択した場合、いずれかのコンテンツのライセンスが単に期限切れとなり、再生ができないこととなる。
【0003】
メディアコンテンツプロバイダは、一般に、デジタル著作権管理(DRM:digital rights management)技術のようなコピープロテクトで保護されたメディアコンテンツに関する課金データを収集して記録する機能を有するパーソナルコンピュータ(PC)またはモバイルデバイス上で稼動する、メディアプレイヤを使用可能にする。このような課金機能は、例えば、システム開発者からライセンス供与されるソフトウェア開発キット(SDK:software development kit)の使用を通して、そのようなプラットフォーム用に開発されることがある。課金はいくつかの利点を提供し、その1つは、コンテンツにライセンスを供与して該コンテンツを顧客に再販する、コンテンツプロバイダサービスに対するロイヤルティ料金を低減することである。ロイヤルティ料金は、販売が永久的な譲渡(permanent transfer)であるか、課金による一回だけの再生(metered single play)であるか、などの販売のタイプに基づくものである。課金による一回だけの再生の費用は、永久的な譲渡の費用よりもはるかに安価であるので、課金制のコンテンツはしばしば、コンテンツプロバイダにとってはるかに経済的である。課金は、他にも利点も提供する。課金制のコンテンツによって、コンテンツプロバイダは、例えば、どのコンテンツがより人気があるかを判断し、再生されるコンテンツのアーティストを識別して料金を支払い、広告が見られる回数をトラッキングすることができる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
現在の課金の構成は、多くのアプリケーションで満足されているが、典型的には、例えばドッキングタイプの接続を使用して課金サービスとモバイルデバイスとの間の中継として機能する、PCなどのプロキシデバイスに依存する。PCは、課金証明書(metering certificate)(課金データが報告される位置(location)を識別する)をモバイルデバイスに配信すること、ならびに課金イベントをトリガすることに使用される。しかし、モバイルデバイスは、プロキシデバイスに結合されていないと、課金証明書を受信し、課金データを報告することができない。
【課題を解決するための手段】
【0005】
課金は、課金証明書が無線(over−the−air)プロトコルを使用してモバイルデバイスに伝達される構成を通して使用可能になる。種々の具体的な例では、課金サービスは、課金証明書、代替的には課金証明書へのリンクを含む課金トリガ(metering trigger)をモバイルデバイスに送信する。課金証明書は、課金データがモバイルデバイスによって通知される位置、課金ID、および公開鍵と秘密鍵のペアのうちの公開鍵を含む。
【0006】
モバイルデバイスには、課金トリガを受信すると起動される課金ヘルパアプリケーション(metering helper application)が準備されている。課金ヘルパアプリケーションは、課金証明書をモバイルデバイス上のDRMシステムに渡す。DRMシステムは、課金IDと関連付けられた課金データを収集し、公開鍵を使用して、収集された課金データを暗号化して課金チャレンジ(metering challenge)にする。DRMシステムは、該課金チャレンジを課金ヘルパアプリケーションに渡し、課金ヘルパアプリケーションは、該課金チャレンジを、課金証明書において識別された位置に通知する。課金サービスは、公開鍵/秘密鍵ペアのうちの秘密鍵を使用して、課金チャレンジから課金データを抽出する。課金サービスは、課金レスポンス(metering response)を生成し、該課金レスポンスは、課金ヘルパアプリケーションによって受信され、該課金ヘルパアプリケーションは、DRMシステムに、課金データが格納されているデータストアの少なくとも一部をリセットするように指示(prompt)する。
【0007】
本構成は、有利には、課金証明書を受信するため、あるいは課金サービスへの課金データの報告を可能にするためにプロキシデバイスを必要とせずに、消費者が、好適なロケーションでモバイルデバイスを使用してメディアコンテンツにすぐにアクセスし、消費することを可能にする。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】無線で課金証明書を配信して課金データを報告する例示的な構成のブロック図である。
【図2】システム開発者が課金証明書を課金サービスに提供し、課金サービスから公開鍵を受信し、ソフトウェア開発キットをライセンシに提供する例示的な構成を示すブロック図である。
【図3】ライセンシが課金ヘルパアプリケーションをモバイルデバイスに提供する例示的な構成を示すブロック図である。
【図4】例示的な課金証明書を示す図である。
【図5】無線で課金証明書を受信して課金データを報告するように構成された例示的なモバイルデバイスのコンポーネントを示す図である。
【図6】モバイルデバイスと課金サービスとの間の例示的なメッセージフローを示す図である。
【図7】特定のAppIDを含むWAPプッシュを処理する例示的な構成を示す図である。
【図8】特定のMIMEタイプを含むメッセージパケットを処理する例示的な構成を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
図面を参照すると、図面において、同様の参照番号は同様のコンポーネントまたは要素を示す。図1は、無線で課金証明書を配信して課金データを報告するための例示的な構成100のブロック図である。図1に示されるように、モバイルデバイス105は、課金サービス121との無線通信115を備えている。本明細書で使用される「無線(over−the−air)」とは、オープン空間をその伝送媒体として使用する任意のタイプのワイヤレス通信を、モバイルデバイス105と課金サービス121との間の通信に利用する構成を意味する。無線通信は、例えば、WAP(Wireless Application Protocol)を使用するSMS(Short Messaging service)を用いて、モバイルデバイス105と課金サービス121との間で使用可能にされることがある。例えば、以下で詳しく説明されるように、ダイレクトプッシュ(Direct Push)(すなわち、IPプッシュ)メッセージング構成も無線通信を採用することがあるが、課金サービスは、WAPプッシュSMS(WAP Push SMS)メッセージをモバイルデバイス105に送信することがある。
【0010】
モバイルデバイス105は、本実施例において、消費者によってミュージック、ビデオ、オーディオ、ニュース、着信音、ゲーム、データなどのメディアコンテンツを選択してアクセスして消費するのに一般に使用される、種々のモバイルデバイスのいずれか1つから選択される。したがって、モバイルデバイス105は、ポータブルメディアプレイヤ、パーソナルデジタルアシスタント、ポケットPC、ミュージックプレイヤ、携帯電話、スマートフォン、ハンドヘルドゲームデバイスなどの1つから選択される。しかしながら、課金証明書および課金データの無線配信に関する利点および特徴を、本明細書に説明される特徴を実装するように配置されるとメディアコンテンツをレンダリングし、あるいは消費するように構成される、多数のタイプの電子デバイスによって実現することができるので、デバイスに関するこの列挙は単なる例示であることを強調する。
【0011】
課金サービス121は、課金データを収集して処理するサービスを表す。課金サービス121は、例えば、メディアコンテンツプロバイダ130(例えば、メディアコンテンツのライセンサ、または加入サービスプロバイダ)により契約される課金集約サービス(metering aggregation service)、またはメディアコンテンツ所有者によって、図1にライン132で示されるように提供されることがある。代替的に、課金サービス121は、メディアコンテンツプロバイダ130によって直接モバイルデバイス105に提供される(この代替構成は図1に示されていない)。課金サービス121は、この実施例において、モバイルデバイス105との間で通信を送受信することによりサーバ・クライアントタイプのアーキテクチャを実装するように構成される、アプリケーションまたはデータサーバを使用して実装されている。
【0012】
メディアコンテンツプロバイダ130は、典型的に、ライン136で示されるように、メディアコンテンツをモバイルデバイス105に提供するように構成される。このようなメディアコンテンツは、物理的な媒体(すなわち、CD、DVD、HD(high−definition)ディスク、フラッシュメモリカードなど)をモバイルデバイス105に転送すること、またはメディアコンテンツプロバイダ130からダウンロードすることを含め、種々のメカニズムを使用して配信可能である。さらに、本構成では必須でないが、メディアコンテンツプロバイダ130は、一般に、DRMライセンスなどのライセンスを、ライセンスサーバまたは権利管理サーバ(図示せず)からモバイルデバイス105に提供する。このようなライセンスは、通常、メディアコンテンツプロバイダ130が配信されるメディアコンテンツの使用に対して課す、使用上のルール、権利または制約を提供する。このライセンスは、一般に、配信されるメディアコンテンツと関連する課金IDも含み、その結果、その特定のメディアコンテンツに関する課金データを、別のメディアコンテンツプロバイダによって配信されるメディアコンテンツとは別に、トラッキングして報告することができる(例えば、消費者は、2つのミュージックサービスに加入し、課金制のメディアコンテンツを各々からダウンロードすることができる)。この実施例では、配信されるメディアコンテンツとライセンスは、無線で、あるいはPCなどのプロキシデバイスを使用して、配信可能である。
【0013】
図2は、システム開発者206が課金証明書221を課金サービス121(図1)に提供し、課金サービス121から公開鍵213を受信する例示的な構成200を示すブロック図である。公開鍵213は公開鍵/秘密鍵のペアの一部であり、公開鍵/秘密鍵のペアは典型的に、課金サービス121によって生成され、暗号化されていない文章で(in the clear)パスワードまたは他の鍵を交換する必要のない公知の暗号化手法を用いる、サーバとクライアントとの間のセキュアなデータ通信を実装するのに使用される。課金サービス121は、認証のために公開鍵213をシステム開発者206に送信するが、一方、公開鍵213で暗号化された情報を復号するのに必要とされる公開鍵/秘密鍵ペアのうちの秘密鍵は残したままにする。システム開発者206は、図4に示し、以下で詳しく説明するように、組み込み公開鍵213を用いて課金証明書221を作成する。
【0014】
図2に示されるように、システム開発者206は、ソフトウェア開発キット(SDK)253もライセンシ260に提供する。課金証明書および課金データの無線配信の一部のアプリケーションにおいて、ライセンシ260は、メディアコンテンツプロバイダ130(図1)またはメディアコンテンツの所有者である。代替的には、ライセンシ260は、課金サービス121または別のエンティティである。本構成では、ライセンシ260は典型的にSDK253を利用して、モバイルデバイス105上で稼動するように構成されて課金証明書および課金データの無線配信を容易にする、課金ヘルパアプリケーションを作成する。課金ヘルパアプリケーションは、図5を参照して詳しく説明される。
【0015】
図3に示されるように、ライセンシ260は、課金ヘルパアプリケーション314をモバイルデバイス105に提供する。課金ヘルパアプリケーション314は、課金証明書および課金データの無線配信の一部のセッティングにおいて、モバイルデバイス105に予め準備されている。他のセッティングにおいて、課金ヘルパアプリケーション314は、モバイルデバイス105(図1)によって、必要に応じてまたはオンデマンドで、アプリケーションとしてダウンロードされるか、あるいはプラグインされるように構成される。
【0016】
図4は、図2に示される課金証明書221の例示的な構成を示す図である。図4に示されるように、課金証明書221は、課金ID410、URL(uniform resource locator)415、および公開鍵213を含め、3つのコンポーネントを含む。課金ID410は、消費者が2つ以上のコンテンツプロバイダからのメディアコンテンツをモバイルデバイス105に格納しておくことが予想される場合において、課金データが収集されているコンテンツプロバイダを識別するのに使用される。
【0017】
URL415は、モバイルデバイス105によって課金データが報告されるアドレスを提供する。この実施例では、課金データはHTTP POSTコマンドを使用してURL415に通知される。HTTP、すなわち、ハイパーテキスト転送プロトコル(hypertext transfer protocol)は、クライアントとサーバとの間の非同期通信を実現するのに使用されるオープンインターネットプロトコルである。典型的に、URL415は、図1を参照して上述したライセンスサーバや権利管理サーバなどのライセンスソースと共通ドメイン名を共有する。
【0018】
図5は、モバイルデバイス105(図1)の例示的な構成を示す図である。モバイルデバイス105は、図5に示されるブラウザ511などのネットワーキング・インタフェースを含むように構成される。代替的に、ネットワーキング・インタフェースは、WAP/HTTPハンドラまたはダイレクトプッシュハンドラを備えてもよい。ネットワーキング・インタフェース(例えば、ブラウザ511)は、無線通信プロトコルを使用してメッセージおよび他のデータを送受信するように構成される。モバイルデバイス105は、さらに、1つまたは複数のヘルパアプリケーション524、DRMシステム531、およびメディアプレイヤ560を含むように構成される。
【0019】
ヘルパアプリケーション524は、モバイルデバイス105の特定の構成に応じて様々なタスクを実行するように構成される、1つまたは複数のアプリケーションを含むことができる。ヘルパアプリケーション524は、大抵はモバイルデバイス上で動作するように構成されたブラウザの場合であるが、ブラウザがDRMシステムと直接にやりとりする十分な機能を備えていないようなセッティングにおいて使用される。典型的には、ヘルパアプリケーション514は、モバイルデバイス105のネイティブレベル(native level)に存在し、ブラウザ511とDRMシステム531との間のプロキシの役割を果たす。したがって、ヘルパアプリケーション524は、ブラウザ511およびDRMシステム531の両方に対するインタフェースを有し、それぞれに信頼性のあるエンティ(trusted entity)として識別される。
【0020】
この実施例において、ヘルパアプリケーション524は、示されるように課金ヘルパアプリケーション314を含む。課金ヘルパアプリケーション314は、モバイルデバイス105によって、図6に示され説明されるメッセージフローを実装するのに使用される。ヘルパアプリケーション524は、例えば、ライセンス取得ヘルパ(license acquisition helper)を含むこともある。
【0021】
図5のDRMシステム531は、メディアコンテンツプロバイダ130(図1)からのメディアコンテンツのセキュアな受信を実現するのに使用され、さらに、メディアコンテンツに関連するラインセンスによって課される使用上のルール、権利、または制約に従ってメディアコンテンツをメディアプレイヤで使用し、再生することを可能する。さらに、DRMシステム531は、課金されるメディアコンテンツの課金データ(これは、モバイルデバイス105に格納され、後にモバイルデバイス105によって報告される)を、典型的には課金IDによって記録して、格納する。DRMシステム531は、DRMシステム531によって記録された課金データを格納するのに使用される課金データストア536を含む。
【0022】
図6は、モバイルデバイス105と課金サービス121との間の例示的なメッセージフローを示す図であり、このメッセージフローは、7つのステップのシーケンスで構成される。課金サービス121は、最初に、課金トリガ601を生成し、モバイルデバイス105からの課金報告(metering report)の要求を開始する。様々な代替的実施形態では、課金トリガ601は、モバイルデバイス105を使用する特定の消費者または加入者に向けて送られる、WAPプッシュSL(サービスロード(serviceload))SMSとして構成され、あるいはユーザがプロンプトを「受け付ける(accept)」ことが望まれる場合は、WAPプッシュSI(サービスインジケータ)SMSとして構成される。課金トリガ601(例えば、WAPプッシュ)は、課金証明書(図4)へのURLを含む。
【0023】
図7に示されるように、WAPプッシュは、ブラウザ411による受信されると、モバイルデバイス105に配置されたヘルパアプリケーション424の中の特定のヘルパアプリケーションがトリガされるように構成される、特定のWAP AppIDを含むことがある。図7に示される具体的な例では、WAPプッシュSMSメッセージ707に含まれるWAP AppIDは、それぞれ参照番号713、718および722で示されるヘルパアプリケーション1、2...Nの中の、課金ヘルパアプリケーション314をトリガするように設定される。
【0024】
図6の課金トリガ601に戻ると、オプションとして、ダイレクトデータプッシュ(例えば、IPプッシュ)がモバイルデバイス105で使用可能であれば、WAPプッシュは不要である。代わりに、課金サービス121が、(上述した課金証明書に対するURLではなく)課金証明書221自体がメッセージの本体に組み込まれているメッセージを、モバイルデバイス105に送信することがある。この場合、課金ヘルパアプリケーション314は、以下で説明されるように、メッセージのMIMEタイプ(Multipurpose Internet Mail Extension)を通して起動されるが、課金ヘルパアプリケーション314は、ステップ4(課金データの収集)にスキップする。
【0025】
参照番号602で示されるように、課金トリガ601(例えば、WAPプッシュSMSメッセージ)を受信すると、モバイルデバイス105内の課金ヘルパアプリケーション314は、課金トリガ601に含まれるURLをたどり、典型的にHTTPを使用して、課金証明書221を取得する。課金サービス121は、参照番号603で示されるように課金証明書221をモバイルデバイスに返す。上述したように、ダイレクトプッシュメッセージが利用される場合、図6の破線の枠で示されるようにステップ3と4は必要ではない。
【0026】
モバイルデバイス105は、課金トリガ601を受信するとすぐに、要求された課金データの収集を開始し、またはその課金レポートを送り返すことは要件とされないことにさらに留意されたい。課金証明書および課金データの無線配信の特定のアプリケーションの要求に応じて、モバイルデバイス105は、しばらくして収集と報告を実行するように構成される。
【0027】
図8に示されるように、課金サービス121(図1)によってモバイルデバイス105に送信されるメッセージは、複数のMIMEタイプの設定された1つで構成可能である。MIMEタイプは、HTTPヘッダのコンテンツタイプのフィールドに含まれる。特定のMIMEタイプがブラウザ411によって受信されると、必要に応じて、適切なヘルパアプリケーションがトリガされ、処理のためにメッセージがヘルパアプリケーションに渡される。表1は、2つの例示的なMIMEタイプ名、および関連する説明を示しており、これらは入力メッセージ(incoming message)を課金アプリケーションヘルパ314(図3)に送るように構成される。当然、他のヘルパアプリケーション524(図5)は、表1に列挙されるもの以外のMIMEタイプを使用するであろう。
【0028】
【表1】

【0029】
図8に示される実施例では、入力メッセージパケット807のMIMEタイプは、それぞれ参照番号813、818、および822で示される残りのヘルパアプリケーション1、2...Nの中の、課金ヘルパアプリケーション314にメッセージパケットが配信されるようにセットされる。
【0030】
再び図6に戻ると、例示的なメッセージフローは、参照番号604で示されるように、モバイルデバイス105での課金データの収集に進む。ここで、課金ヘルパアプリケーション314は、課金サービス121から受信した課金証明書221を、DRMシステム531(図5)に渡す。具体的には、課金ヘルパアプリケーション314は、API(application programming interface)を公開するDRMシステム531に対するインタフェースを通して稼動し、それによって、要求された課金データにアクセスして、該課金データを収集する。消費者が2以上のコンテンツプロバイダから課金されるメディアコンテンツを格納しているほとんどのアプリケーションでは、DRMシステム531は、特定の課金IDと関連付けられた課金データを収集する。
【0031】
次に、DRMシステム531は、課金チャレンジメッセージ(metering challenge message)605を生成する。この課金チャレンジ605には、収集された課金データが組み込まれており、これは、課金ヘルパアプリケーション314から渡された課金証明書221に含まれる公開鍵213(図2)を使用してDRMシステム531によって暗号化される。課金データストア536に含まれる課金データの量、および利用されるバッファのサイズに応じて、2つ以上の課金チャレンジ605を利用して適切な課金データの全てを課金サービス121に報告することがある。DRMシステム531は、課金チャレンジ605を課金ヘルパアプリケーション314に渡す。課金ヘルパアプリケーション314は、上述されるように典型的にはHTTP POSTを使用して課金チャレンジ605をURL415(図4)に順に通知する。
【0032】
2以上のメディアコンテンツプロバイダによって提供され課金されるコンテンツを、モバイルデバイス105が格納する場合(その結果、課金データは2以上の課金IDを使用して課金データストア531に格納される場合)、オプションの構成が利用されることがある。このような場合、課金ヘルパアプリケーション314は、「全ての課金データを報告する」トリガを受信するとDRMシステム531からの複数の課金IDの各々について課金データを報告するように構成されている。この場合、モバイルデバイス105は複数の課金証明書を取得し、それによって、適切な課金データを収集し、報告する。課金アプリケーションヘルパ314は、次いで、DRMシステム531が課金証明書を使用して、課金チャレンジの各々が特定の課金IDと関連する課金データを含む、複数の課金チャレンジを準備することを要求する。DRMシステム531は、それぞれの課金チャレンジの各々を課金ヘルパアプリケーション314に渡し、該課金ヘルパアプリケーション314は、課金IDと関連付けられたそれぞれの課金サービスにそれを通知する。このような収集と報告を繰り返し方式で実行すると、複数の課金サービスにバッチタイプの構成で課金を報告することが実現される。
【0033】
課金チャレンジ605を受信すると、課金サービス121は、その中に含まれる暗号化された課金データを、図2に示し上述した公開鍵/秘密鍵のペアのうちの秘密鍵を使用して抽出する。課金サービス121は、例えばコンテンツがプレイされているアーティストを特定して料金を支払うために、必要に応じて、抽出された課金データを使用し、または格納する。
【0034】
課金データが受信され、抽出されると、課金サービス121は、モバイルデバイス105に送信される課金レスポンスメッセージ(metering response message)606を生成する。この課金レスポンス606は、クライアントによって利用され、課金チャレンジに含まれる課金データを格納するのに使用される課金データストア536の一部分をリセットする。課金ヘルパアプリケーション314は、受信される課金レスポンス606をDRMシステム531に渡すことにより、図6の参照番号607で示されるように、課金データストア536の適切な部分をリセットするようにDRMシステム531に指示する。
【0035】
課金証明書と課金データの無線配信に関する様々な例示的な構成および方法を示し、説明してきたが、添付の特許請求の範囲は、上述した特定の特徴、構成または方法に必ずしも限定されるものではないことを、理解されたい。むしろ、特定の特徴、構成または方法は、より具体的に請求項に記載される課金証明書と課金データの無線配信の例示的な形態として開示されたものである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
無線プロトコル(115)を使用して課金データをクライアント(105)から課金サービスサーバ(121)に提供する方法であって、
前記課金サービス(121)からの課金トリガ(601)をネットワーキング・インタフェース(511)で受信するステップと、
クライアント(105)上で稼動する課金ヘルパ(314)を前記課金トリガ(601)に応答して起動するステップであって、前記課金ヘルパ(314)は、前記課金データを収集するのに使用される課金サービス(121)によって提供される課金証明書を取得するステップと、
前記課金データを含む課金チャレンジ(605)を、前記課金証明書(221)において特定される位置に送信するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記ネットワーキング・インタフェース(511)は、ブラウザ、WAPプッシュハンドラ、またはダイレクトプッシュハンドラの1つから選択されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記課金トリガ(601)は、該課金トリガ内に具現化される課金証明書(221)を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記課金トリガ(601)に組み込まれたURLをたどることによって課金証明書(221)を要求するステップ(602)をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記クライアント(105)は、ポータブルメディアプレイヤ、パーソナルデジタルアシスタント、ポケットPC、ミュージックプレイヤ、携帯電話、スマートフォン、またはハンドヘルドゲームデバイスの1つから選択された電子デバイスにおいて動作することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記課金データは、前記クライアント(105)上のDRMシステム(531)によって記録され、格納されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記DRMシステム(531)は、前記課金証明書(221)の課金ID(410)を使用して、前記課金ID(410)と関連付けられた課金データを収集することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
課金データの収集および送信は、バッチタイプのプロセスで複数の課金サービスに課金データを報告するために複数の課金IDの各々について繰り返されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記DRMシステム(531)は、単一の課金チャレンジが課金データストア内の累積課金データのすべては含むことができない場合、1つまたは複数の追加の課金チャレンジを生成することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項10】
課金サービス(121)によってクライアント(105)から課金データを収集する方法であって、
公開鍵/秘密鍵ペアのうちの公開鍵(213)を含み課金トリガに組み込まれる課金証明書(221)または前記課金証明書(221)へのリンクを含む課金トリガ(601)をクライアント(105)に送信するステップと、
前記公開鍵/秘密鍵ペアのうちの秘密鍵を使用して、前記クライアント(105)から受信した課金チャレンジに含まれる課金データであって前記公開鍵(213)を使用してクライアントによって暗号化された課金データを復号するステップと、
前記課金チャレンジ(605)に含まれる前記課金データのデータストア(536)の少なくとも一部をリセットするように前記クライアント(105)に指示する課金レスポンス(606)を生成するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項11】
前記課金トリガ(601)は、WAPプッシュまたはダイレクトプッシュの1つから選択された無線プロトコルを使用するメッセージに含まれることを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記WAPプッシュは、WAPプッシュSL SMS、またはWAPプッシュSI SMSを含むことを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項13】
前記WAPプッシュは、一意の値を有するAppIDを含み、それによりクライアント側に存在する課金ヘルパアプリケーションを始動することを特徴とする請求項11に記載の方法。
【請求項14】
設定されたMIMEタイプを有するパッケージで前記課金証明書(211)を前記クライアント(105)に提供し、これによって前記課金証明書(211)を前記クライアント(105)上で稼動している課金ヘルパアプリケーション(314)に渡すように、前記クライアント(105)内のネットワーキング・インタフェース(511)に指示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項15】
設定されたMIMEタイプを有するパッケージで前記課金レスポンス(606)をクライアント(105)に提供し、これによって前記課金レスポンス(606)を前記クライアント(105)上で稼動している課金ヘルパアプリケーション(314)に渡すように、前記クライアント(105)内のネットワーキング・インタフェース(511)に指示するステップをさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項16】
前記課金証明書(221)は、課金ID(410)、または前記課金データが報告されるURL(415)をさらに含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項17】
モバイルデバイス(105)におけるメディアコンテンツの使用量を課金する方法であって、
PCなどのプロキシデバイスを使用しないように前記モバイルデバイス(105)上にインストール可能な課金ヘルパアプリケーション(314)を実装し、これによって前記モバイルデバイス(105)から課金サービス(121)に直接に課金を報告することを可能にするSDK(253)を提供するステップと、
公開鍵/秘密鍵ペアのうちの公開鍵(213)、課金データが通知されるURL(415)、および課金サービスと関連付けられた課金ID(410)を含む課金証明書(221)を作成するステップと、
前記課金証明書(221)を前記課金サービス(121)に提供するステップと
を含むことを特徴とする方法。
【請求項18】
前記課金ヘルパアプリケーション(314)は、前記課金サービス(121)から受信した前記課金証明書(221)をDRMシステム(531)に渡すように構成され、前記DRMシステム(531)は、前記課金証明書(221)からの前記公開鍵(213)を使用して、前記課金IDに関する課金データを含む課金チャレンジ(605)を生成することを特徴とする請求項17に記載の方法。
【請求項19】
前記課金チャレンジ(605)は、前記課金ヘルパアプリケーション(314)によって前記URL(415)に通知されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記課金サービス(121)は、公開鍵/秘密鍵ペアのうちの秘密鍵を使用して前記課金チャレンジ(605)から前記課金データを抽出することを特徴とする請求項17に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−543517(P2009−543517A)
【公表日】平成21年12月3日(2009.12.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−519472(P2009−519472)
【出願日】平成19年7月6日(2007.7.6)
【国際出願番号】PCT/US2007/015598
【国際公開番号】WO2008/005546
【国際公開日】平成20年1月10日(2008.1.10)
【出願人】(500046438)マイクロソフト コーポレーション (3,165)
【Fターム(参考)】