説明

調湿装置

【課題】吸着剤が担持されたフィンを有する熱交換器を備え、熱交換器で被処理空気の調湿処理を行う調湿装置において、吸着剤の吸脱着性能の低下を防止することを目的とする。
【解決手段】調湿装置の吸着熱交換器(51,52)は、複数のフィン(57)と管板(59)とを備えている。複数のフィン(57)は、吸着剤を担持して一列に並べられ、両端に管板(59)が設けられている。吸着熱交換器(51,52)では、フィン(57)の長手方向が上下方向になるようにドレンパン(63)に設置されている。吸着熱交換器(51,52)の下側には、下部保護板(62)が設けられている。下部保護板(62)は、複数の丸孔(62a)を備え、両端が管板(59)の下部に連結されている。吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水は、下部保護板(62)に滴下した後、丸孔(62a)から流下してドレンパン(63)に排出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、調湿装置に関し、特に吸着剤が担持されたフィンを有する熱交換器を備えた調湿装置に係るものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、吸着剤が担持されたフィンを有する熱交換器において、被処理空気の水分の吸脱着を行って調湿空気に生成し、この調湿空気を室内に供給する調湿装置が知られている(例えば、特許文献1)。
【0003】
特許文献1に記載の調湿装置は、2つ熱交換器を有する蒸気冷凍サイクルの冷媒回路を備えている。この熱交換器は長方形状の複数のフィンを備えたフィン・アンド・チューブ型熱交換器であり、フィン及び伝熱管に吸着剤を担持させている。また、この冷媒回路は冷媒循環方向が切換可能に構成されている。
【0004】
上記調湿装置は、除湿運転において、先ず、ケーシング内に取り込まれた室外空気を、蒸発器となる第1熱交換器で除湿して室内に供給すると同時に、ケーシング内に取り込まれた室内空気に、凝縮器となる第2吸着熱交換器の吸着剤から水分を放出させて吸着剤を再生し、加湿した室内空気を排気する第1のバッチ運転が行われる。そして、冷媒回路の冷媒循環方向及びケーシング内の空気流通路を切り換えて、ケーシング内に取り込まれた室外空気を、蒸発器となる第2熱交換器で除湿して室内に供給すると同時に、ケーシング内に取り込まれた室内空気に、凝縮器となる第1熱交換器の吸着剤から水分を放出させて吸着剤を再生し、加湿した室内空気を排気する第2のバッチ運転が行われる。
【0005】
一方、上記調湿装置は、加湿運転において、室外空気が凝縮器となる第1熱交換器により加湿されて室内に供給され、室内空気が蒸発器となる第2熱交換器により除湿されて排気される第1のバッチ運転と、室外空気が凝縮器となる第2熱交換器により加湿されて室内に供給され、室内空気が蒸発器となる第1熱交換器により除湿されて排気される第2のバッチ運転とが行われる。このようにして、第1のバッチ運転と第2のバッチ運転を交互に行うことにより、室内の調湿が行われる。
【特許文献1】特開2004−294048号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献1に記載の調湿装置では、熱交換器のフィンの長手方向の両端に、吸着剤の剥離を防止するための保護板が設けられている。そして、この熱交換器は、フィンの長手方向が上下方向になるように配置する場合があり、その際、熱交換器の下部に保護板の一方が位置することになる。これにより、熱交換器が蒸発器となるバッチ運転においては、フィン表面に発生したドレン水が下側の保護板が障壁となるために排出されず、フィンとフィンとの間に水が溜まる。そして、バッチ運転が切換わって、熱交換器が凝縮器となっても、このフィン間に溜まったドレン水により、吸着剤の再生は不完全となり、再度バッチが切換わって、熱交換器が蒸発器になった場合、被処理空気の水分の吸着が充分に行われない。つまり、下側の保護板が障壁となって、ドレン水がフィンとフィンとの間に溜まり、吸着剤の吸脱着性能が低下するという問題点があった。
【0007】
本発明は、かかる点に鑑みてなされたものであり、吸着剤が担持されたフィンを有する熱交換器が、フィンの長手方向が上下方向になるようにドレンパンに配置される調湿装置において、熱交換器の下側の保護板が障壁となってドレン水がフィンとフィンとの間に滞留することを防止することにより、吸着剤の吸脱着性能の低下を防止することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1の発明は、吸着剤が担持されたフィン(57)を有する吸着熱交換器(51,52)が設けられた熱媒体回路(50)を備え、上記吸着熱交換器(51,52)で水分の吸脱着を行って調湿空気を生成する調湿装置であって、上記吸着熱交換器(51,52)は、フィン(57)の長手方向が上下方向になるようにドレンパン(63)に配置され、上記吸着熱交換器(51,52)の下部には、フィン(57)の下部を覆う保護板(62)が設けられ、上記保護板(62)には、ドレン水をドレンパン(63)に導く排出手段(62a,62b)が設けられている。
【0009】
この第1の発明では、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を、上記保護板(62)に設けた排出手段(62a,62b)によりドレンパン(63)に排出し、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留することを防止する。
【0010】
第2の発明は、吸着剤が担持されたフィン(57)を有する吸着熱交換器(51,52)が設けられた熱媒体回路(50)を備え、上記吸着熱交換器(51,52)で水分の吸脱着を行って調湿空気を生成する調湿装置であって、上記吸着熱交換器(51,52)は、フィン(57)の長手方向が上下方向になるようにドレンパン(63)に配置され、上記吸着熱交換器(51,52)の下部には、フィン(57)の下部を覆う保護板(62)が設けられ、上記保護板(62)には、上下に貫通する孔(62a,62b)が設けられている。
【0011】
この第2の発明では、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を、上記保護板(62)に設けた上下に貫通する孔(62a,62b)から流下させてドレンパン(63)に排出し、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留することを防止する。
【0012】
第3の発明は、第2の発明において、上記保護板(62)の孔(62a,62b)は、複数の丸孔(62a)に構成されている。
【0013】
この第3の発明では、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を、上記保護板(62)に設けた複数の丸孔(62a)から流下させてドレンパン(63)に排出し、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留することを防止する。
【0014】
第4の発明は、第2の発明において、上記保護板(62)の孔(62a,62b)は、スリット状の長孔(62b)に構成されている。
【0015】
この第4の発明では、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を、上記保護板(62)に設けたスリット状の長孔(62b)から流下させてドレンパン(63)に排出し、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留することを防止する。
【0016】
第5の発明は、吸着剤が担持されたフィン(57)を有する吸着熱交換器(51,52)が設けられた熱媒体回路(50)を備え、上記吸着熱交換器(51,52)で水分の吸脱着を行って調湿空気を生成する調湿装置であって、上記吸着熱交換器(51,52)は、フィン(57)の長手方向が上下方向になるようにドレンパン(63)上に配置され、上記吸着熱交換器(51,52)の下部には、フィン(57)の下部を覆う保護板(62)が設けられ、上記保護板(62)は1辺から対向辺に向かって下方に傾斜するように取り付けられている。
【0017】
この第5の発明では、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を、上記保護板(62)の上に滴下させた後に、上記保護板(62)の上を上記一辺から対向辺に向かって下方に傾斜する方向に沿って流下させてドレンパン(63)に排出し、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留することを防止する。
【0018】
第6の発明は、第5の発明において、上記保護板(62)は、上記吸着熱交換器(51,52)の空気の流れに沿って下方に傾斜している。
【0019】
この第6の発明では、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を、上記保護板(62)の上に滴下させた後に、空気の流れにより上記保護板(62)の上を押し出すように流下させてドレンパン(63)に排出する。
【0020】
第7の発明は、第5の発明において、上記熱媒体回路(50)は、第1の吸着熱交換器(51)と第2の吸着熱交換器(52)とを備え、上記第1の吸着熱交換器(51)で第1空気の水分を吸着し且つ上記第2の吸着熱交換器(52)で第2空気に水分を放出する運転と、上記第2の吸着熱交換器(52)で第1空気の水分を吸着し且つ上記第1の吸着熱交換器(51)で第2空気に水分を放出する運転とを交互に行うように構成され、上記各吸着熱交換器(51,52)の保護板(62)は、第1空気の流れに沿って下方に傾斜している。
【0021】
この第7の発明では、上記各吸着熱交換器(51,52)において上記第1空気の水分を吸着する際に発生するドレン水を、上記保護板(62)の上に滴下させた後に、第1空気の流れにより上記保護板(62)の上を押し出すように流下させてドレンパン(63)に排出する。
【0022】
第8の発明は、第5の発明において、上記吸着熱交換器(51,52)と上記保護板(62)との間には、空気流路(60)が形成されている。
【0023】
この第8の発明では、上記保護板(62)の上面に付着しているドレン水を、上記空気流路(60)に流れ込む空気により確実に押し出してドレンパン(63)へと排出させる。
【0024】
第9の発明は、吸着剤が担持されたフィン(57)を有する吸着熱交換器(51,52)が設けられた熱媒体回路(50)を備え、上記吸着熱交換器(51,52)で水分の吸脱着を行って調湿空気を生成する調湿装置であって、上記吸着熱交換器(51,52)は、フィン(57)の長手方向が上下方向になるようにドレンパン(63)に配置され、上記吸着熱交換器(51,52)の下部には、フィン(57)の下部を覆う保護板(62)が設けられ、上記吸着熱交換器(51,52)は、該吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水が上記保護板(62)に滴下し且つ該保護板(62)に滴下したドレン水がドレンパン(63)に排出されるように傾斜して設置されている。
【0025】
この第9の発明では、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を上記保護板(62)に滴下させた後に、該保護板(62)の上を流下させてドレンパン(63)に排出し、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留することを防止する。
【0026】
第10の発明は、第9の発明において、上記吸着熱交換器(51,52)は、該吸着熱交換器(51,52)を通過する空気の流れに沿って下方に傾斜している。
【0027】
この第10の発明では、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を、上記保護板(62)の上に滴下させた後に、空気の流れにより上記保護板(62)の上を押し出すように流下させてドレンパン(63)に排出する。
【0028】
第11の発明は、第9の発明において、上記熱媒体回路(50)は、第1の吸着熱交換器(51)と第2の吸着熱交換器(52)とを備え、上記第1の吸着熱交換器(51)で第1空気の水分を吸着し且つ上記第2の吸着熱交換器(52)で第2空気に水分を放出する運転と、上記第2吸着熱交換器(52)で第1空気の水分を吸着し且つ上記第1の吸着熱交換器(51)で第2空気に水分を放出する運転とを交互に行うように構成され、上記各吸着熱交換器(51,52)は、第1空気の流れに沿って下方に傾斜している。
【0029】
この第11の発明では、上記各吸着熱交換器(51,52)において上記第1空気の水分を吸着する際に発生するドレン水を、上記保護板(62)の上に滴下させた後に、第1空気の流れにより上記各吸着熱交換器(51,52)の保護板(62)の上を押し出すように流下させてドレンパン(63)に排出する。
【0030】
第12の発明は、第9の発明において、上記吸着熱交換器(51,52)と上記保護板(62)との間には、空気流路(60)が形成されている。
【0031】
この第12の発明では、上記保護板(62)の上面に付着しているドレン水を、上記空気流路(60)に流れ込む空気により確実に押し出してドレンパン(63)へと排出させる。
【0032】
第13の発明は、第1、第2、第5及び第9の発明の何れか1つにおいて、上記熱媒体回路(50)は蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒回路(50)である。
【0033】
この第13の発明では、蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒回路(50)において、蒸発器となる吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)に発生するドレン水をドレンパン(63)に排出し、フィン(57)とフィン(57)との間にドレン水が滞留することを防止する。
【発明の効果】
【0034】
上記第1の発明によれば、上記吸着熱交換器(51,52)の下部に設けた保護板(62)にドレン水をドレンパン(63)に導く排出手段(62a,62b)を設けたために、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を上記排出手段(62a,62b)によりドレンパン(63)に排出することができるので、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留することを防止することができる。この結果、上記吸着熱交換器(51,52)を熱媒体により加熱することにより、該吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)に担持されている吸着剤は水分を放出して再生されるので、再び被処理空気の水分を吸着することが可能となり、吸着剤の吸脱着性能は維持される。
【0035】
また、上記第2の発明よれば、上記吸着熱交換器(51,52)の下部に設けた保護板(62)に上下に貫通する孔(62a,62b)を設けたために、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を上記孔(62a,62b)から流下させてドレンパン(63)に排出することができるので、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留するのを防止することができる。この結果、上記吸着熱交換器(51,52)を熱媒体により加熱することにより、該吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)に担持されている吸着剤は水分を放出して再生されるので、再び被処理空気の水分を吸着することが可能となり、吸着剤の吸脱着性能は維持される。
【0036】
また、上記第3の発明によれば、第2の発明において、上記保護板(62)の孔(62a,62b)を複数の丸孔(62a)としたために、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を複数の丸孔(62a)から流下させてドレンパン(63)に排出することができるので、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留するのを防止することができる。この結果、上記吸着熱交換器(51,52)を熱媒体により加熱することにより、該吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)に担持されている吸着剤は水分を放出して再生されるので、再び被処理空気の水分を吸着することが可能となり、吸着剤の吸脱着性能は維持される。
【0037】
また、上記第4の発明によれば、第2の発明において、上記保護板(62)の孔を長孔のスリット(62b)としたために、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を長孔のスリット(62b)から流下させてドレンパン(63)に排出することができるので、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留するのを防止することができる。この結果、上記吸着熱交換器(51,52)を熱媒体により加熱することにより、該吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)に担持されている吸着剤は水分を放出して再生されるので、再び被処理空気の水分を吸着することが可能となり、吸着剤の吸脱着性能は維持される。
【0038】
また、上記第5の発明によれば、上記吸着熱交換器(51,52)の下部に設けた保護板(62)が一辺から対向辺に向かって下方に傾斜するように設けたために、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を上記保護板(62)に滴下させた後に、該保護板(62)の上を下方に傾斜する方向に沿って流下させてドレンパン(63)に排出し、ドレン水がフィン(57)とフィン(57)との間に滞留するのを防止することができる。この結果、上記吸着熱交換器(51,52)を熱媒体により加熱することにより、該吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)に担持されている吸着剤は水分を放出して再生されるので、再び被処理空気の水分を吸着することが可能となり、吸着剤の吸脱着性能は維持される。
【0039】
また、上記第6の発明によれば、第5の発明において、上記保護板(62)を上記吸着熱交換器(51,52)の空気の流れに沿って下方に傾斜させたために、上記保護板(62)の上面に付着しているドレン水を、上記吸着熱交換器(51,52)を通過する空気の流れにより、該保護板(62)が下方に傾斜する方向に押し出すように流下させて、ドレンパン(63)に排出することができる。
【0040】
また、上記第7の発明によれば、第5の発明において、上記保護板(62)を上記各吸着熱交換器(51,52)により水分が吸着される第1空気の流れに沿って下方に傾斜させたために、上記各吸着熱交換器(51,52)が第1空気の水分を吸着する際に、熱媒体により冷却されることにより発生するドレン水を、上記保護板(62)の上に落下させた後に、上記保護板(62)の上面に付着しているドレン水を、上記各吸着熱交換器(51,52)を通過する第1空気の流れにより、該保護板(62)が下方に傾斜する方向に押し出すように流下させて、ドレンパン(63)に排出することができる。
【0041】
また、上記第8の発明によれば、第5の発明において、上記吸着熱交換器(51,52)と上記保護板(62)との間に空気流路(60)を形成したために、上記保護板(62)の上面に付着しているドレン水を空気の流れによって、より確実に押し出すように流下させて、ドレンパン(63)に排出することができる。
【0042】
また、上記第9の発明によれば、上記吸着熱交換器(51,52)は、該吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水が上記保護板(62)に滴下し且つ該保護板(62)に滴下したドレン水がドレンパン(63)に排出されるように傾斜して設置したために、上記吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水を上記保護板(62)に滴下させた後に該保護板(62)の上面を流れてドレンパン(63)に排出することができる。この結果、上記吸着熱交換器(51,52)を熱媒体により加熱することにより、該吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)に担持されている吸着剤は水分を放出して再生されるので、再び被処理空気の水分を吸着することが可能となり、吸着剤の吸脱着性能は維持される。
【0043】
また、上記第10の発明によれば、第9の発明において、上記吸着熱交換器(51,52)を、該吸着熱交換器(51,52)を通過する空気の流れに沿って下方に傾斜させたために、上記保護板(62)の上面に付着しているドレン水を、上記吸着熱交換器(51,52)を通過する空気の流れにより、該吸着熱交換器(51,52)が下方に傾斜する方向に押し出すように流下させて、ドレンパン(63)に排出することができる。
【0044】
また、上記第11の発明によれば、第9の発明において、上記各吸着熱交換器(51,52)を、該各吸着熱交換器(51,52)により水分が吸着される第1空気の流れに沿って下方に傾斜させたために、上記各吸着熱交換器(51,52)が第1空気の水分を吸着する際に、熱媒体により冷却されることにより発生するドレン水を、上記保護板(62)の上に落下させた後に、上記保護板(62)の上面に付着しているドレン水を、上記各吸着熱交換器(51,52)を通過する第1空気の流れにより、該各吸着熱交換器(51,52)が下方に傾斜する方向に押し出すように流下させて、ドレンパン(63)に排出することができる。
【0045】
また、上記第12の発明によれば、第9の発明において、上記吸着熱交換器(51,52)と上記保護板(62)との間に空気流路(60)を形成したために、上記保護板(62)の上面に付着しているドレン水を空気の流れによって、より確実に押し出すように流下させて、ドレンパン(63)に排出することができる。
【0046】
また、上記第13の発明によれば、第1、第2、第5及び第9の発明の何れか1つにおいて、上記熱媒体回路(50)は蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒回路(50)であり、蒸発器となる上記吸着熱交換器(51,52)にドレン水が発生した場合は、ドレン水をドレンパン(63)に排出して、フィン(57)とフィン(57)との間にドレン水が滞留することを防止することができる。この結果、上記吸着熱交換器(51,52)が凝縮器となる際に、該吸着熱交換器(51,52)に担持された吸着剤は水分を放出して再生されるので、再び被処理空気の水分を吸着することが可能となり、吸着剤の吸脱着性能は維持される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0047】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0048】
《発明の実施形態1》
本発明の実施形態1について説明する。本実施形態の調湿装置(10)は、空気の除湿と加湿とを行う調湿装置である。この調湿装置(10)は、いわゆる換気型の調湿装置であって、室外空気(OA)を調湿して室内へ供給すると同時に室内空気(RA)を室外に排出する。
【0049】
〈調湿装置の全体構成〉
上記調湿装置(10)について、図1及び図2を参照しながら説明する。尚、ここでの説明で用いる「上」「下」「左」「右」「前」「後」「手前」「奥」は、特にことわらない限り、上記調湿装置(10)を前面側から見た場合の方向を意味している。
【0050】
上記調湿装置(10)は、ケーシング(11)を備えている。また、ケーシング(11)内には、冷媒回路(50)が収容されている。この冷媒回路(50)には、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が接続されている。冷媒回路(50)の詳細は後述する。
【0051】
上記ケーシング(11)は、やや扁平で高さが比較的低い直方体状に形成されている。このケーシング(11)では、図1における左手前側に前面パネル(12)が、同図における右奥側に背面パネル(13)がそれぞれ立設されており、同図における左手前から右奥へ向かう方向が長手方向となっている。
【0052】
ケーシング(11)の前面パネル(12)では、左寄りの位置に排気口(21)が、右寄りの位置に給気口(22)がそれぞれ開口している。ケーシング(11)の背面パネル(13)には、左寄りの位置に外気吸込口(23)が、右寄りの位置に内気吸込口(24)がそれぞれ開口している。
【0053】
上記ケーシング(11)の内部空間は、前面パネル(12)側の部分と背面パネル(13)側の部分とに区画されている。
【0054】
上記ケーシング(11)内における前面パネル(12)側の空間は、左右2つの空間に仕切られている。この左右に仕切られた空間は、左寄りの空間が排気ファン室(35)を、右寄りの空間が給気ファン室(36)をそれぞれ構成している。排気ファン室(35)は、排気口(21)を介して室外空間と連通している。この排気ファン室(35)には排気ファン(25)が収容されており、排気ファン(25)の吹出口が排気口(21)に接続されている。一方、給気ファン室(36)は、給気口(22)を介して室内空間と連通している。この給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が収容されており、給気ファン(26)の吹出口が給気口(22)に接続されている。また、給気ファン室(36)には、圧縮機(53)も収容されている。
【0055】
一方、上記ケーシング(11)内の背面パネル(13)側の空間は、ケーシング(11)内に立設された第1仕切板(16)及び第2仕切板(17)によって左右3つの空間に仕切られている。これら仕切板(16,17)は、背面パネル(13)からケーシング(11)の長手方向に沿って延びている。第1仕切板(16)はケーシング(11)の右側板寄りに、第2仕切板(17)はケーシング(11)の左側板寄りにそれぞれ配置されている。
【0056】
上記ケーシング(11)内において、第1仕切板(16)の左側の空間は上下2つの空間に仕切られており、上側の空間が排気側流路(31)を、下側の空間が外気側流路(32)をそれぞれ構成している。排気側流路(31)は、排気ファン室(35)と連通している。外気側流路(32)は、外気吸込口(23)を介して室外空間と連通している。一方、右側の空間は上下2つの空間に仕切られており、上側の空間が給気側流路(33)を、下側の空間が内気側流路(34)をそれぞれ構成している。給気側流路(33)は、給気ファン室(36)と連通している。内気側流路(34)は、内気吸込口(24)を介して室内と連通している。
【0057】
第1仕切板(16)と第2仕切板(17)との間の空間は、更に中央仕切板(18)によって前後2つの空間に仕切られている。そして、中央仕切板(18)の前側の空間が第1熱交換器室第2吸着熱交換器(52)を構成し、その後側の空間が第2熱交換器室(38)を構成している。第1熱交換器室(37)には第1吸着熱交換器(51)が、第2熱交換器室(38)には第2吸着熱交換器(52)がそれぞれ収容されている。これら2つの吸着熱交換器(51,52)は、それぞれが収容される熱交換器室(37,38)を前後方向へ横断するように配置されている。
【0058】
上記第1仕切板(16)には、開閉式のダンパ(41〜44)が4つ設けられている。具体的に、第1仕切板(16)では、前面側の上部に第1ダンパ(41)が、背面側の上部に第2ダンパ(42)が、前面側の下部に第3ダンパ(43)が、背面側の下部に第4ダンパ(44)がそれぞれ取り付けられている。第1ダンパ(41)を開くと、排気側流路(31)と第1熱交換器室(37)が連通する。第2ダンパ(42)を開くと、排気側流路(31)と第2熱交換器室(38)が連通する。第3ダンパ(43)を開くと、外気側流路(32)と第1熱交換器室(37)が連通する。第4ダンパ(44)を開くと、外気側流路(32)と第2熱交換器室(38)が連通する。
【0059】
上記第2仕切板(17)には、開閉式のダンパ(41〜44)が4つ設けられている。具体的に、第2仕切板(17)では、前面側の上部に第5ダンパ(45)が、背面側の上部に第6ダンパ(46)が、前面側の下部に第7ダンパ(47)が、背面側の下部に第8ダンパ(48)がそれぞれ取り付けられている。第5ダンパ(45)を開くと、給気側流路(33)と第1熱交換器室(37)が連通する。第6ダンパ(46)を開くと、給気側流路(33)と第2熱交換器室(38)が連通する。第7ダンパ(47)を開くと、内気側流路(34)と第1熱交換器室(37)が連通する。第8ダンパ(48)を開くと、内気側流路(34)と第2熱交換器室(38)が連通する。
【0060】
〈冷媒回路(50)の構成〉
上記冷媒回路(50)について、図3を参照しながら説明する。
【0061】
上記冷媒回路(50)は、第1吸着熱交換器(51)、第2吸着熱交換器(52)、圧縮機(53)、四方切換弁(54)、及び電動膨張弁(55)が設けられた閉回路である。この冷媒回路(50)は、充填された冷媒を循環させることによって、蒸気圧縮冷凍サイクルを行う。
【0062】
上記冷媒回路(50)において、圧縮機(53)は、その吐出側が四方切換弁(54)の第1のポートに、その吸入側が四方切換弁(54)の第2のポートにそれぞれ接続されている。第1吸着熱交換器(51)の一端は、四方切換弁(54)の第3のポートに接続されている。第1吸着熱交換器(51)の他端は、電動膨張弁(55)を介して第2吸着熱交換器(52)の一端に接続されている。第2吸着熱交換器(52)の他端は、四方切換弁(54)の第4のポートに接続されている。
【0063】
上記四方切換弁(54)は、第1のポートと第3のポートが連通して第2のポートと第4のポートが連通する第1状態(図3(A)に示す状態)と、第1のポートと第4のポートが連通して第2のポートと第3のポートが連通する第2状態(図3(B)に示す状態)とに切り換え可能となっている。
【0064】
図4(A)は上記各吸着熱交換器(51,52)を下側から見た斜視図であり、図4(B)は、上記各吸着熱交換器(51,52)の設置状態を示した図である。図4(A)に示すように、上記各吸着熱交換器(51,52)は、何れもクロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器によって構成されている。これら吸着熱交換器(51,52)は、管板(59)と銅製の伝熱管(58)とアルミニウム製のフィン(57)とを備えている。上記各吸着熱交換器(51,52)に設けられた複数のフィン(57)は、それぞれが長方形板状に形成され、長手方向を上下として、横方向に一定の間隔で並べられている。そして、上記複数のフィン(57)の横方向の両端には、上記フィン(57)を挟むように上記管板(59)が設けられている。また、伝熱管(58)は、管板(59)及び各フィン(57)を貫通するように設けられている。
【0065】
上記各フィン(57)の表面に吸着剤が担持されており、フィン(57)の間を通過する空気がフィン(57)に担持された吸着剤と接触する。この吸着剤としては、ゼオライト、シリカゲル、活性炭、親水性の官能基を有する有機高分子材料など、空気中の水蒸気を吸着できるものが用いられる。
【0066】
また、上記各吸着熱交換器(51,52)の上部には、上部保護板(61)が設けられ、下部には、下部保護板(62)が設けられている。上記各保護板(61,62)は、それぞれ略長方形に形成され、上記上部保護板(61)は上記フィン(57)の上部を覆い、上記下部保護板(62)は上記フィン(57)の下部を覆うように構成されている。上記各保護板(61,62)及び上記下部保護板(62)は、それぞれ長手方向の両端に、管板(59)に連結するためのフランジを備えている。そして、上記上部保護板(61)及び上記下部保護板(62)は、各フランジにおいて上記各吸着熱交換器(51,52)の管板(59)の上面及び下面にボルト(59a)によって連結されている。また、上記下部保護板(62)には、複数の丸孔(62a)が形成され、該丸孔(62a)はドレン水をドレンパン(63)に導く排出手段に構成されている。
【0067】
そして、上記各吸着熱交換器(51,52)は、図4(B)に示すように、ドレンパン(63)の上に上記下部保護板(62)を下側にして配置される。
【0068】
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(10)では、除湿運転と加湿運転とが行われる。除湿運転中や加湿運転中の調湿装置(10)は、取り込んだ室外空気(OA)を調湿してから供給空気(SA)として室内へ供給すると同時に、取り込んだ室内空気(RA)を排出空気(EA)として室外へ排出する。つまり、除湿運転中や加湿運転中の調湿装置(10)は、室内の換気を行っている。
【0069】
〈除湿運転〉
除湿運転中の調湿装置(10)では、給気ファン(26)及び排気ファン(25)が運転される。給気ファン(26)を運転すると、室外空気(OA)が外気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。排気ファン(25)を運転すると、室内空気(RA)が内気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。また、除湿運転中の調湿装置(10)では、第1のバッチ運転と第2のバッチ運転が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0070】
除湿運転時の第1のバッチ運転について説明する。
【0071】
この第1のバッチ運転中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定される。この状態の冷媒回路(50)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(50)では、圧縮機(53)から吐出された冷媒が第1吸着熱交換器(51)、電動膨張弁(55)、第2吸着熱交換器(52)の順に通過し、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
【0072】
図5に示すように、この第1のバッチ運転中には、第1ダンパ(41)、第4ダンパ(44)、第6ダンパ(46)、及び第7ダンパ(47)だけが開状態となり、残りのダンパ(42,43,45,48)が閉状態となる。
【0073】
外気吸込口(23)から外気側流路(32)へ流入した第1空気は、第4ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着
熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で除湿された第1空気は、第6ダンパ(46)を通って給気側流路(33)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0074】
一方、内気吸込口(24)から内気側流路(34)へ流入した第2空気は、第7ダンパ(47)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で水分を付与された第2空気は、第1ダンパ(41)を通って排気側流路(31)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0075】
除湿運転時の第2のバッチ運転について説明する。
【0076】
この第2のバッチ運転中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定される。この状態の冷媒回路(50)では、冷媒が循環して冷凍サイクルが行われる。その際、冷媒回路(50)では、圧縮機(53)から吐出された冷媒が第2吸着熱交換器(52)、電動膨張弁(55)、第1吸着熱交換器(51)の順に通過し、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となって第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となる。
【0077】
図6に示すように、この第2のバッチ運転中には、第2ダンパ(42)、第3ダンパ(43)、第5ダンパ(45)、及び第8ダンパ(48)だけが開状態となり、残りのダンパ(41,44,46,47)が閉状態となる。
【0078】
外気吸込口(23)から外気側流路(32)へ流入した第1空気は、第3ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で除湿された第1空気は、第5ダンパ(45)を通って給気側流路(33)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を
通って室内へ供給される。
【0079】
一方、内気吸込口(24)から内気側流路(34)へ流入した第2空気は、第8ダンパ(48)を通って第2吸着熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で水分を付与された第2空気は、第2ダンパ(42)を通って排気側流路(31)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0080】
〈加湿運転〉
加湿運転中の調湿装置(10)では、給気ファン(26)及び排気ファン(25)が運転される。給気ファン(26)を運転すると、室外空気(OA)が外気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。排気ファン(25)を運転すると、室内空気(RA)が内気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。また、加湿運転中の調湿装置(10)では、第1のバッチ運転と第2のバッチ運転とが所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0081】
加湿運転時の第1のバッチ運転について説明する。
【0082】
この第1のバッチ運転中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定される。そして、この冷媒回路(50)では、除湿運転の第1のバッチ運転中と同様に、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となって第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
【0083】
図7に示すように、この第1のバッチ運転中には、第2ダンパ(42)、第3ダンパ(43)、第5ダンパ(45)、及び第8ダンパ(48)だけが開状態となり、残りのダンパ(41,44,46,47)が閉状態となる。
【0084】
内気吸込口(24)から内気側流路(34)へ流入した第1空気は、第8ダンパ(48)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で水分を奪われた第1空気は、第2ダンパ(42)を通って排気側流路(31)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21
)を通って室外へ排出される。
【0085】
一方、外気吸込口(23)から外気側流路(32)へ流入した第2空気は、第3ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で加湿された第2空気は、第5ダンパ(45)を通って給気側流路(33)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0086】
加湿運転時の第2のバッチ運転について説明する。
【0087】
この第2のバッチ運転中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定される。そして、この冷媒回路(50)では、除湿運転の第2のバッチ運転中と同様に、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となって第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となる。
【0088】
図8に示すように、この第2のバッチ運転中には、第1ダンパ(41)、第4ダンパ(44)、第6ダンパ(46)、及び第7ダンパ(47)が開状態となり、残りのダンパ(42,43,45,48)が閉状態となる。
【0089】
内気吸込口(24)から内気側流路(34)へ流入した第1空気は、第7ダンパ(47)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で水分を奪われた第1空気は、第1ダンパ(41)を通って排気側流路(31)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0090】
一方、外気吸込口(23)から外気側流路(32)へ流入した第2空気は、第4ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で加湿された第2空気は、第6ダンパ(46)を通って給気側流路(33)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0091】
−ドレン水の排出作用−
本実施形態では、除湿運転及び加湿運転における第1のバッチ運転において、第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。そして、この蒸発器となる第2吸着熱交換器(52)のフィン(57)表面にドレン水が発生すれば、ドレン水はフィン(57)表面を流れて、下部保護板(62)に滴下し、下部保護板(62)に設けた複数の丸孔(62a)からドレンパン(63)へと流下して排出される。
【0092】
また、除湿運転及び加湿運転における第2のバッチ運転において、第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となる。そして、この蒸発器となる第1吸着熱交換器(51)のフィン(57)表面にドレン水が発生すれば、ドレン水はフィン(57)表面を流れて、下部保護板(62)に滴下し、下部保護板(62)に設けた複数の丸孔(62a)からドレンパン(63)へと流下して排出される。
【0093】
−実施形態1の効果−
本実施形態では、上記各吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)の下部を覆う下部保護板(62)に複数の丸孔(62a)を設けたために、蒸発器として機能する上記各吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)の表面に発生したドレン水は、下部保護板(62)に滴下した後に、複数の丸孔(62a)を通ってドレンパン(63)へと排出される。これにより、フィン(57)とフィン(57)との間にドレン水が滞留することがないので、上記各吸着熱交換器(51,52)がバッチ運転の切換えにより凝縮器となった際には、吸着剤が吸着している水分を第2空気に放出して、吸着剤を確実に再生することができる。この結果、次のバッチ運転の切換えにより、上記各吸着熱交換器(51,52)が再度蒸発器となった場合に、上記各吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)表面に担持された吸着剤は、第1空気の水分を確実に吸着することができる。
【0094】
以上のようにして、上記各吸着熱交換器(51,52)に担持された吸着剤の再生及び吸着が行われ、上記各吸着熱交換器(51,52)に担持された吸着剤の性能は維持される。
【0095】
−実施形態1の変形例1−
本実施形態は、上記実施形態1が、吸着熱交換器(51,52)の下部保護板(62)に複数の丸孔(62a)を設けたのに代わり、図9に示すように、下部保護板(62)にスリット状の長孔(62b)を設けたものである。つまり、本実施形態では、上記スリット状の長孔(62b)が上記各吸着熱交換器(51,52)で発生するドレン水を排出させるための排出手段に構成されている。
【0096】
本実施形態では、上記下部保護板(62)にスリット状の長孔(62b)が設けられているために、上記各吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水は、フィン(57)を流れて下部保護板(62)に滴下し、下部保護板(62)のスリット(62b)を通って上記ドレンパン(63)に排出される。
【0097】
その他の構成、作用及び効果は実施形態1と同じである。
【0098】
《発明の実施形態2》
本実施形態の調湿装置(10)は、上記実施形態1の調湿装置(10)が上記各吸着熱交換器(51,52)を通過する第1空気及び第2空気の流れる方向が対向していたことに代わり、各吸着熱交換器(51,52)を通過する第1空気及び第2空気の流れる方向が同じ方向になるように構成されている。そして、下部保護板(62)には、ドレン排出孔(62a)が形成されず、上記下部保護板(62)が上記第1空気及び上記第2空気の流れる方向に沿って下方に傾斜するように取り付けられている。
【0099】
本実施形態の調湿装置(10)は、図10に示すように、ケーシング(11)を備えている。該ケーシング(11)内部には、実施形態1と同じ構成の冷媒回路(50)が収納されているが、空気通路の構成及び吸着熱交換器(51,52)の配置が、実施形態1とは異なっている。
【0100】
上記ケーシング(11)の前面パネル(12)は、左寄りの位置に排気口(21)を備え、右寄りの位置に給気口(22)を備えている。また、ケーシング(11)の背面パネル(13)は、中央の上部に外気吸込口(23)を備え、中央の下部に内気吸込口(24)を備えている。
【0101】
上記ケーシング(11)の内部には、背面側仕切板(66)と前面側仕切板(65)とが設けられている。上記背面側仕切板(66)と上記前面側仕切板(65)は、上記ケーシング(11)を奥から順に区画するように、背面パネル(13)と平行に設けられている。
【0102】
上記ケーシング(11)内において、上記背面パネル(13)及び上記背面側仕切板(66)との間の空間は、水平仕切板により上下に仕切られ、上側が外気側流路(32)を構成し、下側が内気側流路(34)を構成している。そして、上記背面側仕切板(66)と上記前面側仕切板(65)との間の空間は、縦仕切部材により左右に仕切られ、右側が第1熱交換器室(37)を構成し、左側が第2熱交換器室(38)を構成している。第1熱交換器室(37)及び第2熱交換器室(38)は、何れも上記外気側流路(32)及び上記内気側流路(34)に連通している。また、第1熱交換器室(37)には第1吸着熱交換器(51)が、第2熱交換器室(38)には第2吸着熱交換器(52)がそれぞれ配置されている。これらの各吸着熱交換器(51,52)は、それぞれ収容される熱交換器室(37,38)を左右に横断するように、ケーシング(11)の底面に対して垂直に配置されている。
【0103】
上記ケーシング(11)内の前面側仕切板(65)と前面パネル(12)との間における空間の背面側は、水平仕切板によって上下に仕切られ、上側が排気側流路(31)を構成し、下側が給気側流路(33)を構成している。
【0104】
更に、上記ケーシング(11)内の前面側仕切板(65)と前面パネル(12)との間における空間の前面側は、縦仕切板によって右側の空間と左側の空間の2つに仕切られている。これら2つの空間は、右側の空間が給気ファン室(36)を構成し、左側の空間が排気ファン室(35)を構成している。また、給気ファン室(36)は仕切板によって排気側流路(31)とを区画され、排気ファン室(35)は仕切板によって給気側流路(33)と区画されている。そして、給気ファン室(36)は、給気口(22)を介して室内に連通している。この給気ファン室(36)には、給気ファン(26)が配置されている。そして、上記排気側流路(31)は、排気ファン室(35)に連通し、上記給気側流路(33)は、給気ファン室(36)に連通している。
【0105】
また、この給気ファン室(36)には、冷媒回路(50)の圧縮機(53)と膨張弁(18)と四方切替弁(54)とが配置されている。一方、排気ファン室(35)は、排気口(21)を介して室外に連通している。この排気ファン室(35)には、排気ファン(25)が配置されている。
【0106】
そして、上記第1熱交換器室(37)及び上記第2熱交換器室(38)と、排気側流路(31)及び給気側流路(33)とを仕切る前面側仕切板(65)では、開閉式のダンパ(41,42,45,46)が4つ設けられている。具体的に、前面側仕切板(65)では、右側の上部に第1ダンパ(41)が、左側の上部に第2ダンパ(42)が、右側の下部に第5ダンパ(45)が、左側の下部に第6ダンパ(46)がそれぞれ取り付けられている。第1ダンパ(41)を開くと、排気側流路(31)と第1熱交換器室(37)が連通する。第2ダンパ(42)を開くと、排気側流路(31)と第2熱交換器室(38)が連通する。第5ダンパ(45)を開くと、給気側流路(33)と第1熱交換器室(37)が連通する。第6ダンパ(46)を開くと、給気側流路(33)と第2熱交換器室(38)が連通する。
【0107】
そして、上記第1熱交換器室(37)及び上記第2熱交換器室と、外気側流路(32)及び内気側流路(34)を仕切る背面側仕切板(66)では、開閉式のダンパ(43,44,47,48)が4つ設けられている。具体的に、背面側仕切板(66)では、右側の上部に第3ダンパ(43)が、左側の上部に第4ダンパ(44)が、右側の下部に第7ダンパ(47)が、左側の下部に第8ダンパ(48)がそれぞれ取り付けられている。第3ダンパ(43)を開くと、外気側流路(32)と第1熱交換器室(37)が連通する。第4ダンパ(44)を開くと、外気側流路(32)と第2熱交換器室(38)が連通する。第7ダンパ(47)を開くと、内気側流路(34)と第1熱交換器室(37)が連通する。第8ダンパ(48)を開くと、内気側流路(34)と第2熱交換器室(38)が連通する。
【0108】
第1吸着熱交換器(51)及び第2吸着熱交換器(52)は、実施形態1と同様に、クロスフィン型のフィン・アンド・チューブ熱交換器であり、フィン(57)の表面に吸着剤を担持させている。
【0109】
そして、図11に示すように、上記各吸着熱交換器(51,52)は、ドレンパン(63)の上にフィン(57)の長手方向が上下方向になるように配置され、上記各吸着熱交換器(51,52)の上部には上部保護板(61)が設けられ、下部には下部保護板(62)が設けられている。該下部保護板(62)の長手方向の両端のフランジは、それぞれ、管板(59)と長さの異なるスペーサー(59b,59c)を介して連結されている。具体的には、上記各吸着熱交換器(51,52)を上記各熱交換器室(37,38)に設置する状態において、背面側仕切板(66)側のスペーサー(59b)より、前面側仕切板(65)のスペーサー(59c)が長く構成されている。このようにして、上記下部保護板(62)は、上記各吸着熱交換器(51,52)の空気が流入する背面側仕切板(66)側から空気が流出する上記前面側仕切板(65)の方向に沿って、1辺が対向辺に向かって下方に傾斜するように取り付けられている。また、上記各吸着熱交換器(51,52)と上記下部保護板(62)との間には、スペーサー(59b,59c)により空隙(60)が形成され、該空隙(60)が空気流路に構成されている。
【0110】
−運転動作−
本実施形態の調湿装置(10)では、実施形態1と同様に、室内の換気を行いながら、除湿運転と加湿運転を行っている。
【0111】
〈除湿運転〉
除湿運転中の調湿装置(10)では、給気ファン(26)及び排気ファン(25)が運転される。給気ファン(26)を運転すると、室外空気(OA)が外気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。排気ファン(25)を運転すると、室内空気(RA)が内気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。また、除湿運転中の調湿装置(10)では、第1のバッチ運転と第2のバッチ運転が所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0112】
除湿運転時の第1のバッチ運転について説明する。
【0113】
この第1のバッチ運転中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
【0114】
図12に示すように、この第1のバッチ運転中には、第1ダンパ(41)、第4ダンパ(44)、第6ダンパ(46)、及び第7ダンパ(47)だけが開状態となり、残りのダンパ(42,43,45,48)が閉状態となる。
【0115】
外気吸込口(23)から外気側流路(32)へ流入した第1空気は、第4ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で除湿された第1空気は、第6ダンパ(46)を通って給気側流路(33)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0116】
一方、内気吸込口(24)から内気側流路(34)へ流入した第2空気は、第7ダンパ(47)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で水分を付与された第2空気は、第1ダンパ(41)を通って排気側流路(31)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0117】
除湿運転時の第2のバッチ運転について説明する。
【0118】
この第2のバッチ運転中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定され、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となって第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となる。
【0119】
図13に示すように、この第2のバッチ運転中には、第5ダンパ(45)、第2ダンパ(42)、第3ダンパ(43)、及び第8ダンパ(48)が開状態となり、残りのダンパ(41,44,46,47)が閉状態となる。
【0120】
外気吸込口(23)から外気側流路(32)へ流入した第1空気は、第3ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で除湿された第1空気は、第5ダンパ(45)を通って給気側流路(33)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0121】
一方、内気吸込口(24)から内気側流路(34)へ流入した第2空気は、第8ダンパ(48)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で水分を付与された第2空気は、第2ダンパ(42)を通って排気側流路(31)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0122】
〈加湿運転〉
加湿運転中の調湿装置(10)では、給気ファン(26)及び排気ファン(25)が運転される。給気ファン(26)を運転すると、室外空気(OA)が外気吸込口(23)からケーシング(11)内へ第2空気として取り込まれる。排気ファン(25)を運転すると、室内空気(RA)が内気吸込口(24)からケーシング(11)内へ第1空気として取り込まれる。また、加湿運転中の調湿装置(10)では、第1のバッチ運転と第2のバッチ運転とが所定の時間間隔(例えば3分間隔)で交互に繰り返される。
【0123】
加湿運転時の第1のバッチ運転について説明する。
【0124】
この第1のバッチ運転中の冷媒回路(50)では、図3(A)に示すように、四方切換弁(54)が第1状態に設定され、第1吸着熱交換器(51)が凝縮器となり、第2吸着熱交換器(52)が蒸発器となる。
【0125】
図14に示すように、この第1のバッチ運転中には、第2ダンパ(42)、第3ダンパ(43)、第5ダンパ(45)、及び第8ダンパ(48)が開状態となり、残りのダンパ(41,44,46,47)が閉状態となる。
【0126】
内気吸込口(24)から内気側流路(34)へ流入した第1空気は、第8ダンパ(48)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第2吸着熱交換器(52)で水分を奪われた第1空気は、第2ダンパ(42)を通って排気側流路(31)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0127】
一方、外気吸込口(23)から外気側流路(32)へ流入した第2空気は、第3ダンパ(43)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第1吸着熱交換器(51)で加湿された第2空気は、第5ダンパ(45)を通って給気側流路(33)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0128】
加湿運転時の第2のバッチ運転について説明する。
【0129】
この第2のバッチ運転中の冷媒回路(50)では、図3(B)に示すように、四方切換弁(54)が第2状態に設定され、第2吸着熱交換器(52)が凝縮器となって第1吸着熱交換器(51)が蒸発器となる。
【0130】
図15に示すように、この第2のバッチ運転中には、第1ダンパ(41)、第4ダンパ(44)、第6ダンパ(46)、及び第7ダンパ(47)だけが開状態となり、残りのダンパ(42,43,45,48)が閉状態となる。
【0131】
内気吸込口(24)から内気側流路(34)へ流入した第1空気は、第7ダンパ(47)を通って第1熱交換器室(37)へ流入し、その後に第1吸着熱交換器(51)を通過する。第1吸着熱交換器(51)では、第1空気中の水分が吸着剤に吸着され、その際に生じた吸着熱が冷媒に吸熱される。第1吸着熱交換器(51)で水分を奪われた第1空気は、第1ダンパ(41)を通って排気側流路(31)へ流入し、排気ファン室(35)を通過後に排気口(21)を通って室外へ排出される。
【0132】
一方、外気吸込口(23)から外気側流路(32)へ流入した第2空気は、第4ダンパ(44)を通って第2熱交換器室(38)へ流入し、その後に第2吸着熱交換器(52)を通過する。第2吸着熱交換器(52)では、冷媒で加熱された吸着剤から水分が脱離し、この脱離した水分が第2空気に付与される。第2吸着熱交換器(52)で加湿された第2空気は、第6ダンパ(46)を通って給気側流路(33)へ流入し、給気ファン室(36)を通過後に給気口(22)を通って室内へ供給される。
【0133】
−ドレン水の排出作用−
上記調湿装置(10)は、除湿運転及び加湿運転において、第1のバッチ運転と第2のバッチ運転とを交互に切換えるために、上記各吸着熱交換器(51,52)は、蒸発器と凝縮器としての機能を交互に果たす。
【0134】
蒸発器となる上記各吸着熱交換器(51,52)では、第1空気が通過して、フィン(57)表面にドレン水が付着する。このドレン水は、フィン(57)表面を流れて下部保護板(62)に滴下した後に、下部保護板(62)の上を下方に傾斜する方向に流下して、ドレンパン(63)へと排出される。また、図11に示すように、第1空気は上記各吸着熱交換器(51,52)のフィン(57)間を通過すると共に、上記各吸着熱交換器(51,52)と上記下部保護板(62)との間の空隙(60)を通過する。そして、上記下部保護板(62)の上面に付着しているドレン水は、上記空隙(60)に流入する第1空気に押し出されて、ドレンパン(63)に排出される。
【0135】
蒸発器として機能していた上記各吸着熱交換器(51,52)は、バッチ運転の切換により凝縮器となる。そして、ドレン水が上記各吸着熱交換器(51,52)の下部保護板(62)の上面に残存している場合であっても、上記各吸着熱交換器(51,52)と下部保護板(62)との間に形成された空隙(60)に第2空気が流入することにより、第2空気に押し出されて、ドレンパン(63)に排出される。
【0136】
−実施形態2の効果−
本実施形態では、吸着熱交換器(51,52)の下部保護板(62)を、第1空気及び第2空気の流れる方向に沿って下方に傾斜するように取り付けたことにより、フィン(57)表面に付着したドレン水は、下部保護板(62)に滴下した後に、上記下部保護板(62)の上を下方に傾斜する方向に流下して、ドレンパン(63)に排出される。
【0137】
そして、上記各吸着熱交換器(51,52)と上記下部保護板(62)との間に空隙(60)を設けたことにより、該空隙(60)に第1空気及び第2空気が流れて、上記下部保護板(62)の上面に付着しているドレン水を第1空気及び第2空気により押し出して、確実にドレンパン(63)に排出することができる。
【0138】
以上のようにして、ドレン水が排出されることから、フィン(57)とフィン(57)との間にドレン水が滞留することを防止することができる。この結果、上記各吸着熱交換器(51,52)に担持された吸着剤の再生及び吸着が確実に行われ、上記各吸着熱交換器(51,52)に担持された吸着剤の吸着性能は維持される。
【0139】
−実施形態2の変形例1−
本実施形態は、上記実施形態2の下部保護板(62)が、長さの異なるスペーサー(59b,59c)を介して各吸着熱交換器(51,52)に連結し、第1空気及び第2空気の流れる方向に沿って下方に傾斜するように設けられていたことに代わり、図16に示すように、下部保護板(62)が長さの同じスペーサー(59b)を介して上記各吸着熱交換器(51,52)に連結し、上記各吸着熱交換器(51,52)を空気の流れる方向に沿って下方に傾斜して設置するものである。これにより、上記下部保護板(62)も、空気の流れる方向に沿って下方に傾斜する。つまり、上記各吸着熱交換器(51,52)は、該各吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水は、上記下部保護板(62)に滴下し且つ該下部保護板(62)に滴下したドレン水がドレンパン(63)に排出されるように傾斜して設置されている。
【0140】
なお、上記各吸着熱交換器(51,52)の傾斜角度は特に限定されないが、上記各吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水が該各吸着熱交換器(51,52)から直接ドレンパン(63)に排出されるような傾斜角度ではなく、上記各吸着熱交換器(51,52)から下部保護板(62)を介してドレンパンに排出される傾斜角度である。
【0141】
また、本実施形態においても、上記下部保護板(62)は、スペーサー(59b)を介して上記各吸着熱交換器(51,52)に連結しているために、上記下部保護板(62)及び上記各吸着熱交換器(51,52)との間には空隙(60)が形成されている。これにより、ドレン水が上記下部保護板(62)の上面に付着しても、上記空隙(60)を通過する空気の流れに押し出されてドレンパン(63)に排出することができる。
【0142】
その他の構成、作用及び効果は、実施形態2と同じである。
【0143】
−実施形態2の変形例2−
本実施形態は、上記実施形態2の下部保護板(62)が、長さの異なるスペーサー(59b,59c)を介して各吸着熱交換器(51,52)に連結することにより、該各吸着熱交換器(51,52)と下部保護板(62)との間に空気流路である空隙(60)を形成して、第1空気及び第2空気の流れる方向に沿って下方に傾斜するように設けられていたことに代わり、図17に示すように、下部保護板(62)の空気流入側を上記各吸着熱交換器(51,52)に密着させて、空気流出側をスペーサー(59c)を介して上記各吸着熱交換器(51,52)に連結させて設けたものである。つまり、本実施形態は、上記各吸着熱交換器(51,52)の空気流入側において、上記各吸着熱交換器(51,52)と下部保護板(62)との間に空気流路である空隙を設けずに、下部保護板(62)を空気の流れる方向に沿って下方に傾斜させて設けている。
【0144】
本実施形態では、上記各吸着熱交換器(51,52)のフィン間を流れる空気が、上記下部保護板(62)の上面である傾斜面に流れ込むために、上記実施形態2と同様に、上記下部保護板(62)の上に滴下したドレン水を押し出しすように流下させて、ドレンパン(63)に排出させることができる。
【0145】
その他の構成、作用及び効果は、実施形態2と同じである。
【0146】
《その他の実施形態》
上記実施形態については、以下のような構成としてもよい。
【0147】
上記実施形態1及び2の調湿装置(10)は、除湿運転及び加湿運転を共に行うが、除湿又は加湿運転の何れかを行う調湿装置であってもよいし、換気を行わずに、室内空気を除湿又は加湿処理して生成した調湿空気を室内に供給する調湿装置であってもよい。
【0148】
また、上記実施形態1においては、吸着熱交換器(51,52)の下部保護板(62)に複数の丸孔(62a)を設けたが、第2の発明においては、下部保護板(62)は上下に貫通する孔であれば、これに限定されない。
【0149】
また、上記実施形態1の調湿装置(10)は、第5の発明においては、丸孔(62a)を設けずに、下部保護板(62)を一辺から対向辺に向かって下方に傾斜する方向に傾斜させてもよいし、第9の発明においては、吸着熱交換器(51,52)を傾斜して設置してもよい。この場合に、実施形態1の調湿装置(10)においては、第1空気及び第2空気が対向方向に流れるので、いずれか一方の空気の流れる方向に沿って合わせて下方に傾斜させてもよい。さらに、調湿装置(10)が除湿運転又は加湿運転の何れか一方を行う調湿装置であれば、第1空気の流れる方向に沿って下方に傾斜させるのが望ましい。これは、第1空気を処理する際は、吸着熱交換器(51,52)は蒸発器となり、ドレン水が発生しやすいためである。また、吸着熱交換器(51,52)と下部保護板(62)との間に空気流路(60)を設けてもよい。
【0150】
実施形態2における調湿装置(10)においては、吸着熱交換器(51,52)に下部保護板(62)を第1空気及び第2空気の流れに沿って下方に傾斜するように取り付けたが、下部保護(62)を傾斜させずに、下部保護板(62)に丸孔(62a)やスリット(62b)などの上限貫通する孔を形成してもよい。
【0151】
また、第1の発明においては、下部保護板(62)の排出手段は、ドレン水をドレンパン(63)に導くものであればよく、構成は特に限定されない。
【0152】
また、第1、第2、第5及び第9の発明においては、上記熱媒体回路は蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒回路に限定されない。例えば、熱媒体は水であって、吸着熱交換器を冷却水によって冷却する際に、吸着剤に空気中の水分を吸着させてもよいし、温水によって吸着熱交換器を加熱して、吸着剤に担持されている水分を放出するようにしてもよい。そして、吸着熱交換器を冷却水によって冷却する際に発生するドレン水を下部に設けた保護板の排出手段などによりドレンパンに排出させてもよい。
【0153】
なお、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。
【産業上の利用可能性】
【0154】
以上説明したように、本発明は、吸着剤が担持されたフィンを有する熱交換器を備えた調湿装置に有効である。
【図面の簡単な説明】
【0155】
【図1】実施形態1の調湿装置の構成を示す斜視図である。
【図2】実施形態1の調湿装置の概略構成を示す平面視、右側面視、及び左側面視の構成図である。
【図3】実施形態1及び2の冷媒回路(50)の構成を示す配管系統図であって、(A)は第1のバッチ運転の動作を示すものであり、(B)は第2のバッチ運転の動作を示すものである。
【図4】実施形態1の吸着熱交換器の構成を示す図であって、(A)は概略斜視図であり、(B)は設置状態を示す概略構成図である。
【図5】実施形態1の除湿運転の第1のバッチ運転における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図6】実施形態1の除湿運転の第2のバッチ運転における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図7】実施形態1の加湿運転の第1のバッチ運転における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図8】実施形態1の加湿運転の第2のバッチ運転における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図9】実施形態1の変形例の吸着熱交換器の概略斜視図である。
【図10】実施形態2の調湿装置の概略構成を示す平面視、右側面視、及び左側面視の構成図である。
【図11】実施形態2の吸着熱交換器の構成及び設置状態を示す概略構成図である。
【図12】実施形態2の除湿運転の第1のバッチ運転における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図13】実施形態2の除湿運転の第2のバッチ運転における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図14】実施形態2の加湿運転の第1のバッチ運転における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図15】実施形態2の加湿運転の第2のバッチ運転における空気の流れを示す調湿装置の概略構成図である。
【図16】実施形態2の変形例1の吸着熱交換器の構成及び設置状態を示す概略構成図である。
【図17】実施形態2の変形例2の吸着熱交換器の構成及び設置状態を示す概略構成図である。
【符号の説明】
【0156】
10 調湿装置
50 冷媒回路(熱媒体回路)
51 第1吸着熱交換器(吸着熱交換器)
52 第2吸着熱交換器(吸着熱交換器)
57 フィン
60 空隙(空気流路)
62 下部保護板(保護板)
62a 丸孔(孔、排出手段)
62b 長孔(孔、排出手段)
63 ドレンパン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
吸着剤が担持されたフィン(57)を有する吸着熱交換器(51,52)が設けられた熱媒体回路(50)を備え、上記吸着熱交換器(51,52)で水分の吸脱着を行って調湿空気を生成する調湿装置であって、
上記吸着熱交換器(51,52)は、フィン(57)の長手方向が上下方向になるようにドレンパン(63)に配置され、
上記吸着熱交換器(51,52)の下部には、フィン(57)の下部を覆う保護板(62)が設けられ、
上記保護板(62)には、ドレン水をドレンパン(63)に導く排出手段(62a,62b)が設けられている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項2】
吸着剤が担持されたフィン(57)を有する吸着熱交換器(51,52)が設けられた熱媒体回路(50)を備え、上記吸着熱交換器(51,52)で水分の吸脱着を行って調湿空気を生成する調湿装置であって、
上記吸着熱交換器(51,52)は、フィン(57)の長手方向が上下方向になるようにドレンパン(63)に配置され、
上記吸着熱交換器(51,52)の下部には、フィン(57)の下部を覆う保護板(62)が設けられ、
上記保護板(62)には、上下に貫通する孔(62a,62b)が設けられている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項3】
請求項2において、
上記保護板(62)の孔(62a,62b)は、複数の丸孔(62a)に構成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項4】
請求項2において、
上記保護板(62)の孔(62a,62b)は、スリット状の長孔(62b)に構成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項5】
吸着剤が担持されたフィン(57)を有する吸着熱交換器(51,52)が設けられた熱媒体回路(50)を備え、上記吸着熱交換器(51,52)で水分の吸脱着を行って調湿空気を生成する調湿装置であって、
上記吸着熱交換器(51,52)は、フィン(57)の長手方向が上下方向になるようにドレンパン(63)上に配置され、
上記吸着熱交換器(51,52)の下部には、フィン(57)の下部を覆う保護板(62)が設けられ、
上記保護板(62)は1辺から対向辺に向かって下方に傾斜するように取り付けられている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項6】
請求項5において、
上記保護板(62)は、上記吸着熱交換器(51,52)の空気の流れに沿って下方に傾斜している
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項7】
請求項5において、
上記熱媒体回路(50)は、第1の吸着熱交換器(51)と第2の吸着熱交換器(52)とを備え、上記第1の吸着熱交換器(51)で第1空気の水分を吸着し且つ上記第2の吸着熱交換器(52)で第2空気に水分を放出する運転と、上記第2の吸着熱交換器(52)で第1空気の水分を吸着し且つ上記第1の吸着熱交換器(51)で第2空気に水分を放出する運転とを交互に行うように構成され、
上記各吸着熱交換器(51,52)の保護板(62)は、第1空気の流れに沿って下方に傾斜している
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項8】
請求項5において、
上記吸着熱交換器(51,52)と上記保護板(62)との間には、空気流路(60)が形成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項9】
吸着剤が担持されたフィン(57)を有する吸着熱交換器(51,52)が設けられた熱媒体回路(50)を備え、上記吸着熱交換器(51,52)で水分の吸脱着を行って調湿空気を生成する調湿装置であって、
上記吸着熱交換器(51,52)は、フィン(57)の長手方向が上下方向になるようにドレンパン(63)に配置され、
上記吸着熱交換器(51,52)の下部には、フィン(57)の下部を覆う保護板(62)が設けられ、
上記吸着熱交換器(51,52)は、該吸着熱交換器(51,52)で発生したドレン水が上記保護板(62)に滴下し且つ該保護板(62)に滴下したドレン水がドレンパン(63)に排出されるように傾斜して設置されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項10】
請求項9において、
上記吸着熱交換器(51,52)は、該吸着熱交換器(51,52)を通過する空気の流れに沿って下方に傾斜している
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項11】
請求項9において、
上記熱媒体回路(50)は、第1の吸着熱交換器(51)と第2の吸着熱交換器(52)とを備え、上記第1の吸着熱交換器(51)で第1空気の水分を吸着し且つ上記第2の吸着熱交換器(52)で第2空気に水分を放出する運転と、上記第2の吸着熱交換器(52)で第1空気の水分を吸着し且つ上記第1の吸着熱交換器(51)で第2空気に水分を放出する運転とを交互に行うように構成され、
上記各吸着熱交換器(51,52)は、第1空気の流れに沿って下方に傾斜している
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項12】
請求項9において、
上記吸着熱交換器(51,52)と上記保護板(62)との間には、空気流路(60)が形成されている
ことを特徴とする調湿装置。
【請求項13】
請求項1、2、5及び9の何れか1項において、
上記熱媒体回路(50)は蒸気圧縮式冷凍サイクルの冷媒回路(50)である
ことを特徴とする調湿装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2006−346659(P2006−346659A)
【公開日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−179707(P2005−179707)
【出願日】平成17年6月20日(2005.6.20)
【出願人】(000002853)ダイキン工業株式会社 (7,604)
【Fターム(参考)】