説明

調理器具のためのリップシールおよびリップシールを備えた調理器具

蓋(2)およびボウル(3)の間のシーリングを提供するために調理器具(4)の前記蓋(2)と前記ボウル(3)の間に設置するように設計され、ヒールで相互に連結し、吸着したときに閉じた侵入型空間(100)を決めるのに適した少なくとも第一および第二リップ(1A、1B)からなり、前記リップ(1A、1B)が吸着するときに、前記侵入型空間(100)を外部と連絡するために少なくとも一つの通り道(9、90)を供給するように動作するのに適した少なくとも一つの不連続部(80)を有する、ことを特徴とするリップガスケット(1)。本発明は家庭用の調理器具に適用する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
調理中の蓋とボウルの間のシーリングのために、ガスケットが間にあるボウルと蓋からなる家庭用調理器具、特に、器具が水蒸気の圧力の下でボウル内の食品を調理する圧力鍋型の圧力調理器具で、蒸気漏れを防ぐシーリングの一般的な技術分野に本発明は関する。
【0002】
より詳細には、蓋とボウルの間のシーリングを供給することを目的として、調理器具の蓋とボウルの間に配置されるように設計されたリップガスケットに、本発明は関する。
【0003】
このようなガスケットを備えた調理器具にも本発明は関する。
【背景技術】
【0004】
漏洩のない料理筐体を形成するために、器具が圧力下にあるとき、ボウルと蓋の間を密閉するために、圧力鍋のような調理器具は、変形可能な弾性材でできた環状シーリングガスケットを有することはすでに知られている。
【0005】
圧力鍋の分野で通常使用されるガスケットは、溝形断面で、溝形断面の水かき部はヒールを形成し、この水かき部から第一および第二リップが伸び、溝形断面のつばの各々を形成する。
【0006】
このようなすでに知られているガスケットは、一般的に十分満足のいくものであるが、これらにはいくらかの欠点がある。
【0007】
ある状況において、圧力鍋は吸引の影響を受ける。すなわち、内部圧力は大気圧よりも低くなる。圧力調理のサイクルの後、減圧されずに圧力鍋が冷却される、すなわち筐体の内部が外部と連絡していないとき、このような吸引が生ずる。
【0008】
料理筐体におけるこのような吸引は、ボウルへの蓋の吸引およびガスケットのリップの吸着を生じさせる。
【0009】
後に、使用者が、筐体の内部と外部を連絡することにより大気圧まで筐体内部に圧力をかけた場合、使用者は難なくボウルから蓋をはずすことができる。
【0010】
しかし、筐体内部が外部と連絡しているにもかかわらず、ガスケットの全周にわたりガスケットの2つのリップが吸着していることは、頻繁にみられる。このような吸着構造では、当然ながら、ガスケットは、後の調理サイクルの間の調理器具のシーリングにシールを適さなくする正常でない形を有する。
【0011】
リップが吸着する現象は、器具が吸引の影響を受けたときに2つのリップ間で形成される環状の吸引空洞に起因するようであり、リップがお互いに吸着することでこの空洞は漏洩のない状態となる。
【0012】
特に、使用者が圧力鍋は一時的に吸引の影響を受けていると知らない場合は、多くの使用者は、通常この吸着現象に気づかない。
【0013】
このようなガスケットの吸着に気付いた使用者は、通常、調理の間にガスケットが破損した、および/またはガスケットが製造欠陥、または設計欠陥を有すると思う。頻繁ではないが、使用者が吸引現象はガスケットのリップの吸着に起因すると理解したときは、使用者は、例えばドライバーのような先のとがった道具をリップの間の接合部へ差し込もうとする。しかし、このような行動は、ガスケットの破損や使用者の怪我を生じさせるかもしれないため、実行するには簡単ではなく、安全ではない点で十分ではない。
【0014】
ボウル上に蓋が置かれたときボウルの壁により側面に沿って囲まれる、ドロップスカートを有する蓋のような、蓋がボウル内に差し込まれる器具には、ガスケットのリップの吸着の問題は特に重要であることに注意すべきである。圧力鍋の特定の型に特有のボウル内に差し込まれる蓋の特徴は、ガスケットを著しく平らにし、リップの吸着の恐れを増加させることのようである。
【発明の開示】
【0015】
本発明の概要
本発明の目的は、従来技術の前記欠点を改善し、リップの吸着現象を避けられる、調理器具の蓋とボウルの間に配置されるよう設計された単純で安価な新規なリップガスケットを提案することである。
【0016】
本発明の他の目的は、調理器具の蓋とボウルの間に配置されるように設計され、製造が容易な新規なリップガスケットを提案することである。
【0017】
本発明の他の目的は、調理器具の蓋とボウルの間に配置されるように設計され、従来技術の標準的なガスケットの外観に近い外観を有する新規なリップガスケットを提案することである。
【0018】
本発明の他の目的は、新規な調理器具、特に、吸引の影響を受けた後でも信頼性と安定性のある内受け蓋を有する調理器具を提案することである。
【0019】
蓋とボウルの間にシーリングを提供するために調理器具の蓋とボウルの間に配置されるように設計されたリップガスケットを用いて、本発明の目的を達成することができる。このガスケットは、少なくとも、第一、第二リップからなり、ヒールにより相互に連結される。このリップとヒールは、リップが吸着するときに、閉じた侵入型空間を決めるのに適するようなものであり、リップが吸着したときに、この侵入型空間と外部を連絡する少なくとも一つの通り道を供給するように動作するのに適した少なくとも一つの不連続部を有することを、ガスケットは特徴とする。
【0020】
ボウルと、このボウル上に受けられ、料理筐体を形成するように設計された蓋からなり、ガスケットがボウルおよび蓋の間に配置された調理器具を用いることにより、本発明の目的は、達成できる。
【0021】
図面の簡単な説明
図1は、本発明に係る内受け蓋を有する圧力調理器具の全体の斜視図である。
【0022】
図2は、図1に示す、本発明のリップガスケットの第一実施形態を有する器具の詳細の断面図である。
【0023】
図3は、図2に示すリップガスケットの詳細の部分断面図である。
【0024】
図4は、図3のガスケットを示す、下からの概略図である。
【0025】
図5は、リップを吸着させる力の影響を受けたときの図2ないし図4のガスケットの一部を示す、下からの概略図である。
【0026】
図6は、例えば吸引状態であるボウルに起因するような外部圧力の影響下で、リップが吸着した、本発明のガスケットの断面図である。
【0027】
図7は、本発明のガスケットの第二実施形態を示す、下からの概略図である。
【0028】
図8は、本発明のガスケットの第三実施形態を示す、下からの概略図である。
【0029】
図9は、本発明のリップガスケットの第四実施形態の詳細の断面図である。
【0030】
図10は、リップを吸着させる力の影響を受けたときの、図9のガスケットの一部を示す、下からの概略図である。
【0031】
図11は、図9および図10のガスケットを示す、下からの概略図である。
【0032】
発明を実施するための最良の形態
好ましくは、家庭での使用のために設計された、調理器具4の蓋2とボウル3の間に配置されるよう設計されたリップガスケット1に本発明は関する。
【0033】
ガスケット1は、蓋2およびボウル3の間にシーリングを有する。このため、調理器具4は、蓋2がボウル3上に受けられしっかりと閉じられた料理筐体を形成し、筐体内のボウル3に置かれた食材を密閉雰囲気の中で調理することができる。
【0034】
好ましくは、ガスケット1は一般的な形で、環状で、輪郭は円形である。しかし、本発明の範囲を超えることなく、ガスケット1は、他の形を有すること、および閉じた輪郭の周囲に広がらないことが可能である。
【0035】
本発明のガスケット1は、少なくとも、ヒール1Cにより相互接続した第一および第二リップ、1A、1Bを有する。本発明の範囲を超えることなく、ガスケット1は、2つ以上のリップを有することも可能である。
【0036】
技術に習熟した者によく知られているように、ヒール1Cとシーリング機能を果たすために、リップ1A、1Bは弾力性を有する。
【0037】
好ましくは、第一および第二リップ1B、1Cは弾性材のような弾力性を有する材料で作られる。
【0038】
より好ましくは、ガスケット1全体は、弾性材で作られ、第一および第二リップ1A
、1Bはヒール1Cと一体化して形成される。
【0039】
好ましくは、本発明の調理器具4は、圧力鍋のような圧力調理器具である。このような場合、下記するように、リップガスケット1は、蓋2とボウル3の間に配置され、蓋2およびボウル3の間で耐圧性を有し、調理器具4はしっかりと気密された料理筐体を形成する。
【0040】
通常、ボウル3は調理容器を形成し、好ましくは、垂直軸X−X’についてほぼ円対象である。以下では、形容詞の「垂直な」や「軸の」は、この軸X−X’に関する。
【0041】
例えば、ボウルはステンレスのような金属材料で作られ、例えばほぼ円形の底3Bからほぼ垂直方向に伸びる側壁3Aを有する。
【0042】
底3Bから、使用者がボウル3内での調理のために食材を入れることができ蓋2を受けるのにも適した上部開口を決めるエントリーリム3C(entry rim)へ、側壁3Aは伸びる。従って、調理器具4が動作形態であるとき、すなわちボウル3に蓋2が受けられているとき、ボウル3は、底3Bおよび蓋2の間でほぼ軸方向X−X’へ伸びる。
【0043】
エントリーリム3Cは、好ましくは、丸められた縁または折り返された縁の形である。
【0044】
側壁3Aは、ボウル3の内側に面した内面30を有する。
【0045】
例えばボウル3に正反対に固定された、好ましくは、2つの取っ手3D、3Eのようなつかむことのできる部分を有することもできる。
【0046】
本発明のガスケット1は、好ましくは調理器具4に配置されるように設計される。この調理容器の蓋2は、ボウル内で受けとめられるドロップスカートを有する。すなわち、蓋2はボウル3に差し込まれ、図1および図2に示すように、側面に沿って囲まれる。
【0047】
好ましくは、蓋2は、例えば一般的な形のほぼ凸状円盤の上部壁2Aを有する。蓋2は、周囲からほぼ垂直に下方に伸びるドロップスカート2Bを備え、このドロップスカート2Bは対称軸X−X’について対称な帯を形成する。ドロップスカート2Bは、蓋2がボウル3上に受けられたときに、ボウル3へはめ込まれるように設計されている。このことは、ドロップスカート2Bは、ボウル3の側壁3Aの内面30にほぼ囲まれることを意味する。従って、蓋2は、「内受けドロップスカートを有する蓋」と呼ぶことができる。
【0048】
好ましくは、ガスケット1は、図2に示すように、ドロップスカート2Bと側壁3Aの間に配置される。このために、断面図において、ドロップスカート2Bは、好ましくは、ガスケット1を受ける凹所を形成するセットバックを有する。例えば、このセットバックは、蓋2がボウル1上に位置するとき垂直方向X−X’にほぼ平行な第一端面5と、第一端面5から内側に第一端面5にほぼ垂直に伸びる面を形成する第二端面6と、蓋2がボウル1上に位置するとき、ほぼ下方および外側、すなわち垂直方向X−X’に対し僅かに傾斜した方向に伸びる第三端面7と、の組み合わせからなる。従って、第二端面6は、ガスケット1に接する端面を形成するのに対し、第三端面7は、ガスケット1に取り囲まれるはたらきをする輪を形成する。
【0049】
すなわち、調理器具4に取り付けられたとき、ガスケット1は、第一リップ1Aによって第三端面7の周りに取り付けられ、一方、ヒール1Cは、第二端面6に対し面接触する。
【0050】
図に示すように、ガスケット1は、好ましくは溝形断面で、溝形断面の各つばは、第一リップおよび第二リップ、1A、1Bを各々形成し、溝形断面の水かき部はヒール1Cを形成する。
【0051】
図2に示すように蓋2およびボウル3の間の作動位置に、ガスケットが取り付けられたとき、第一および第二リップ、1A、1Bは、調理容器4の底へ伸びるように、好ましくは、ガスケット1は形成される。
【0052】
好ましくは、図2に示すように、第一リップ1Aは、第三端面7より上にあり、頂点がほぼX−X’軸上にある第一切頭円錐内にほぼ位置する。好ましくは、図2で示すように、第二リップ1Bは、第三端面7より下にあり、頂点がほぼX−X’軸上にある第二切頭円錐内に位置する。
【0053】
好ましくは、ガスケット1はほぼ円対称で、溝形断面の第一つばおよび/または第二つばにほぼ平行な軸についての断面の回転に相当する。図に示したガスケット1の例において、ガスケット1の形は、軸X−X’について断面を回転させたものに相当し、ヒール1Cが形成される溝付断面の水かき部は、ほぼ軸X−X’に垂直である。従って、本発明のガスケット1は、好ましくは、単一平面内にあるヒール1Cを有し、ヒール1Cからは、第一リップ1Aに相当するほぼ環状の第一の帯と、第一の帯と同心で第二リップ1Bを形成するほぼ環状の第二の帯が生ずる。
【0054】
しかしながら、軸X−X’にほぼ平行で、ヒール1Cを形成させる水かき部を有する断面を、軸X−X’について回転させたものに、ガスケット1の形を対応させることが可能である。このような変形例では、ガスケットのリップは半径方向に内側に向かって伸びる。
【0055】
従来技術のガスケットのように、本発明のガスケット1のリップ1A、1Bおよびヒール1Cは、例えば、吸引にさらされた筐体の影響下で、リップ1A、1Bが吸着したとき、侵入型空間100を決定するのに適するようなものである(図6参照)。
【0056】
本発明のガスケット1の重要な特徴は、ガスケット1は少なくとも一つの不連続部80を有することである。この不連続部80は、リップ1A、1Bが吸着したとき、侵入型空間100を外部と連絡させる通り道9、90を決めるように動作するのに適する。
【0057】
すなわち、不連続部80は、一点でガスケット1の幾何学的な規則性をなくし、局所的にガスケット1の断面の輪郭を変える。ガスケット1の断面は、従って、好ましくは、不連続部80により途切れる、ガスケット1の幾何学的な連続性により特定される。
【0058】
従って、不連続部80は、例えば、吸引により生ずる圧力のような外部からの圧力の下で圧迫されたとき、リップ1A、1Bが連続的に吸着することを防ぐことを可能にする、ガスケット1の形の特徴である。
【0059】
そのため、不連続部80は、リップが吸着したとき、リップ1A、1Bの間の接触界面で一つ以上のリーク穴の存在を保証することを可能にしている。
【0060】
不連続部80を用いることで、従来技術で生じていた、侵入型空間100の漏れ止めを起こさないようにできる。このことにより、吸引がなくなった後に、リップ1A、1Bが吸着し続けるという問題を防ぐことができる。
【0061】
例えば、吸引にさらされた筺体の影響下でリップが吸着したとき、リップ1A、1Bの間の接触界面上で見つけやすいように、不連続部80は、好ましくは、ガスケット1の中またはガスケット1上に配置される。
【0062】
好ましくは、不連続部80は、材料を付け足す、あるいは取り除くことにより作られる。より正確には、例えば一つ以上のリップ1A、1C上またはヒール1C上である、ガスケット1自身への材料の局部的な付け足し、または材料の局部的な除去により、不連続部は、好ましくは、作られる。
【0063】
図2ないし図7に対応する、第一の設計方法においては、リップ1A、1Bを離しておくために、不連続部80は離隔維持手段8からなる。この離隔維持手段8は、第一、第二リップ1A、1Bの間に設置され、少なくとも局部的に(すなわち、周囲全体のうちの一部で)リップ1A、1Bが圧着することを防いでいる。
【0064】
従って、離隔維持手段8の機能は、リップ1A、1Bの間に少なくとも局部的に、いくつかの最小空間の存在を保証することである。従って、吸引状態の料理筐体の影響下で、リップ1A、1Bが圧着しても、ガスケット1の周りの特定の場所の各々に、すき間を形成する通り道9(図5参照)が備えられる。このことにより、リップ1A、1Bおよびヒール1Cの間で漏洩の無い空間を生じさせる周囲全体での連続的で一様なリップ1A、1Bの圧着を、防止している。
【0065】
好ましくは、ガスケット1が静止しているときのリップ1A、1Bの間の空間に位置する、少なくとも一つの材料の局部的なビード8Aから、離隔維持手段8はなる。好ましくは、各々の局部的なビードは、第一リップ1Aおよび/又は第二リップ1Bと一体で形成される。すなわち、各々の局部的なビード8Aは、好ましくは、ビードが伸びるリップと同時に作られる。
【0066】
好ましくは、図に示すように、ガスケット1は、一様に間隔の開いた複数のビード8Aを有する。一例として、ガスケット1が円形のとき、ガスケット1の対称のとれた軸について、90°の間隔で、4つのビード8Aを備えることができる。
【0067】
好ましくは、図4および図7に示すように、各局部的なビード8Aは、第一リップ1A(第二リップ1B)から第二リップ1B(第一リップ1A)へ向かって伸びる、突起または隆起を形成する。
【0068】
図2から図5に示す変形例において、各局部的なビード8Aは、第一リップ1Aから第二リップ1Bに向かって、ガスケットが静止状態のとき、すなわち機械的圧迫の影響がないとき接触することなく、突出する。例えば、吸引状態の筐体の影響下で、リップ1Aおよび1Bが圧着したときのみ、接触が生ずる。図5に示す、この構造では、各局部的なビード8Aは、リップ1A、1B間に通り道9を形成するように形づくられる。通り道9は、侵入型空間を外部と連絡させることができる、つまり、不変的に、言い換えると吸引状態が終わった後も続けてリップ1A、1Bが吸着することを防ぐことができる十分な大きさである。
【0069】
好ましくは、図2ないし図5に示すように、各ビード8Aは、第一リップ1Aの内面10A全体、すなわち第二リップ1Bに面して位置する表面の全体で伸びるリブで形成さる。
【0070】
本発明の範囲を超えることなくリブは、第一および第二リップ1A、1Bのいずれかから伸びることが可能であることは理解できるので、簡潔にする理由で、以下の記載は、第一リップから伸びるリブに限定する。
【0071】
好ましくは、特に図2および図3で見ることができるように、断面において、各リブはヒール1Cから、第一リップ1Aのほぼ全長にわたり伸びる。しかし、各リブが、第一リップ1Aの幅の一部だけ、自由端の周辺、すなわちヒール1Cに接続する側から遠い側の周辺に伸びることは、可能である。
【0072】
従って、出願者は、単なるリブの存在、すなわちリップ1A、1Bの内の一つの表面から突き出る細い線の存在は、上記のリップの吸着現象を防ぐ、すなわちリップ1A、1Bおよびヒール1Cの間でほぼ漏洩の無い部屋が形成されるのを防ぐのに十分であることを示した。
【0073】
図7に示す変形例において、各局部的なビード8Aは、リップ1Aおよび1Bの間でスペーサを形成する。すなわち、この変形例では、各ビード8Aは、第一リップ1Aと第二リップ1Bを直接相互に連結し、そのためリップ間の材料の橋を形成する。
【0074】
図5で示す他の変形例では、リップ1A、1B間で、材料の各局部的なビード8Aは、ヒール1Cから伸びるが、ガスケット1が静止状態にあるときは、リップ1A、1Bのどちらかと接触することはない。従って、この変形例では、離隔維持手段8はヒール1Cとのみ接合し、リップ1A、1Bからは独立している。
【0075】
第二の設計の選択肢では、図8ないし図10に示す変形例に対応し、不連続部80は、出っ張った凸型要素というより、溝のような凹状の凹型要素からなる。
【0076】
より正確には、各リップ1A、1Bは、それぞれ内面10A、11A、および反対の外面10B、11Bを有し、内面10A、11Aはお互いに向かい合い、不連続部80は、リップ1A、1Bの内の一つの内面10A、11Aに備えられる、少なくとも一つの切り込み80Aからなる。
【0077】
図に示すように、切り込み80Aが備えられたリップ1Aの自由端(すなわちこのリップのヒールに接続した側から反対側)に、切り込み80Aは開かれており、リップの相対位置にかかわらず、リップの内側の空間に通気するのに十分な大きさであるようにこの切り込みは形成される。
【0078】
従って、切り込み80Aは、内面10Aの表面、すなわち問題としているリップ1Aの厚さのほんの一部の上に広がる堀または溝を形成する。
【0079】
切り込み80Aは、どのような型の断面をも有することができ、例えば、断面は、長方形、三角形、曲線でもよく、当然ながら、この記載は全く限定しない。
【0080】
図の右側、図10に見られるように、対応する二つを一組にして、リップ1A、1Bの各々に備えられた切り込み80Aに備えて準備することも可能である。このような場合では、お互いに向き合って設置され共に機能する2つの切り込みにより、通り道90は、形づくられる。
【0081】
本発明は、以下のように作動する。
【0082】
最初に、使用者は蓋2をボウル1内に差し込む。ボウル3の内面30とともに機能するドロップスカート2Bは、蓋2がボウル3に対し自動誘導式であることを可能にする。
【0083】
さらに、蓋2が差し込まれたとき、蓋2とボウル3の間の接触は、ドロップスカート2Bとボウル3の側壁3Aの間でのみ生じ、ガスケット1はボウル3に接着せず、そのため蓋2の差込を容易にしている。
【0084】
いったん蓋2が差し込まれると、第二リップ1Bは、側壁3Aの内面30に対し折り重なる。使用者は、例えば、よく知られたあご状固定装置40を用いて、蓋2をボウル3へ固定する。この固定形態において、ガスケット1は、第三端面7と側壁3Aの内面30の間ではりつく。従って、第一に第三端面7に対する第一リップによって、第二に側壁3Aの内面30に対する第二リップ1Bによって設けられた漏洩のない接触により、ボウル3および蓋2で形成される筐体のシーリングを提供する。
【0085】
従って、調理器具4を設定圧力にすることができる。圧力増加の影響下で生ずる可能性のある蓋2および/またはボウルの変形、または位置ずれに適応あるいは補償するリップ1A、1Bの弾力性により、この圧力増加と圧力調理段階の間での、漏洩防止が維持される。
【0086】
例えば冷水の噴出下に調理器具を置くことにより、最初に外部と筐体内部を連絡させることなく使用者が調理器具を冷却したら、筐体内部で吸引現象が生じる。
【0087】
吸引の影響下では、底3Aに向かってボウル3内にほぼ垂直に、蓋2は吸引される。この吸引の影響下では、第一、第二リップ1A、1Bは圧迫される。
【0088】
しかしながら、第一リップ1Aから伸びるリブにより形成される離隔維持手段8の存在により、リップ間に、常に局部的な通り道9が備えられ、従って、吸引容器が侵入型空間100に形成するのを防いでいる。
【0089】
直接それ自身で通り道90を形成する切り込みを除いて、離隔維持手段8の代わりに(あるいは、加えて)、一つ(あるいはより多くの)切り込み80Aが備えられる場合、原理は類似している。
【0090】
従って、使用者が内部を外部と連絡させた後、使用者によってボウル3から蓋2が外されたとき、よく知られた弾力的な復元、または形状記憶現象により、ガスケット1は自動的に、例えば溝形断面などの通常の静止形状に回復する。
【0091】
ガスケット1は吸引の影響を受けた形跡をほぼ残しておらず、従って、再びすぐに使用できる調理器具4を使用者は有する。
【0092】
産業上の利用可能性
本発明は、家庭用の調理器具用、特に圧力鍋型の圧力調理器具用のシーリングガスケットを製造する分野で利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明に係る内受け蓋を有する圧力調理器具の全体の斜視図である。
【図2】図1に示す、本発明のリップガスケットの第一実施形態を有する器具の詳細の断面図である。
【図3】図2に示すリップガスケットの詳細の部分断面図である。
【図4】図3のガスケットを示す、下からの概略図である。
【図5】リップを吸着させる力の影響を受けたときの図2ないし図4のガスケットの一部を示す、下からの概略図である。
【図6】例えば吸引状態であるボウルに起因するような外部圧力の影響下で、リップが吸着した、本発明のガスケットの断面図である。
【図7】本発明のガスケットの第二実施形態を示す、下からの概略図である。
【図8】本発明のガスケットの第三実施形態を示す、下からの概略図である。
【図9】本発明のリップガスケットの第四実施形態の詳細の断面図である。
【図10】リップを吸着させる力の影響を受けたときの、図9のガスケットの一部を示す、下からの概略図である。
【図11】図9および図10のガスケットを示す、下からの概略図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
蓋(2)およびボウル(3)の間のシーリングを提供するために、調理器具(4)の前記蓋(2)と前記ボウル(3)の間に設置するように設計され、
ヒールで相互に連結し、吸着したときに閉じた侵入型空間(100)を決めるのに適した少なくとも第一および第二リップ(1A、1B)からなり、
前記リップ(1A、1B)が吸着するときに、前記侵入型空間(100)を外部と連絡するために少なくとも一つの通り道(9、90)を供給するように動作するのに適した少なくとも一つの不連続部(80)を有する、ことを特徴とするリップガスケット(1)。
【請求項2】
前記不連続部80は、材料の追加または削除に起因する不連続であることを特徴とする、請求項1に記載のリップガスケット(1)。
【請求項3】
少なくとも局部的に前記リップ(1A、1B)が圧迫されて吸着するのを防ぐために、第一および第二リップ(1A、1B)の間に配置され、第一および第二リップ(1A、1B)をお互いに離しておく離隔維持手段(8)から、前記不連続部80は、なることを特徴とする請求項1ないし請求項2に記載のリップガスケット(1)。
【請求項4】
前記離隔維持手段(80)は、少なくとも一つの材料の局部的なビード(8A)からなることを特徴とする、請求項3に記載のリップガスケット(1)。
【請求項5】
各々の前記局部的なビード(8A)は、前記第一リップ(1A)から前記第二リップ(1B)に向かって突き出ることを特徴とする、請求項4に記載のリップガスケット(1)。
【請求項6】
各々の前記局部的なビード(8A)は、リブにより形成されることを特徴とする、請求項5に記載のリップガスケット(1)。
【請求項7】
各々のリブは、断面で、第一リップ(1A)のほぼ全長にわたりヒール(1C)から伸びることを特徴とする、請求項6に記載のリップガスケット(1)。
【請求項8】
各々の前記局部的なビード(8A)は、前記第一リップ(1A)と一体的に形成されることを特徴とする、請求項4ないし請求項7のいずれか1項に記載のリップガスケット(1)。
【請求項9】
お互いに間隔のあいた複数個の前記局部的なビード(8A)を有することを特徴とする、請求項4ないし8のいずれか1項に記載のリップガスケット(1)。
【請求項10】
前記リップ(1A、1B)は、各々、内面および反対の外面を有し、前記リップ(1A、1B)はお互い向かい合い、前記不連続部(80)は、前記リップ(1A、1B)のうちの一つの内面に備えられた、少なくとも一つの切込み(80A)からなることを特徴とする、請求項1ないし請求項2に記載のリップガスケット(1)。
【請求項11】
前記ボウル(3)は、底(3B)および前記蓋(2)の間で軸方向(X−X’)に伸び、
前記蓋(2)および前記ボウル(3)の間に、前記リップガスケット(1)が設置されたとき、前記第一リップおよび第二リップ(1A、1B)は、ほぼ前記ボウル(3)の前記底(3B)の方向に向かって伸びるように、前記リップガスケット(1)は形成されたことを特徴とする、請求項1ないし10のいずれか1項に記載のリップガスケット(1)。
【請求項12】
ほぼ溝形断面をし、前記溝形断面のつばは、前記第一リップおよび第二リップ(1A、1B)の各々を形成し、前記溝形断面の水かき部はヒール(1C)を形成することを特徴とする、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載のリップガスケット(1)。
【請求項13】
ほぼ環状の形であることを特徴とする、請求項1ないし請求項12のいずれか1項に記載のリップガスケット(1)。
【請求項14】
前記溝形断面の第一および/または第二つばにほぼ平行な円対称の軸(X−X’)について、断面を回転させたことに対応し、ほぼ円対称の形であることを特徴とする請求項12および請求項13に記載のリップガスケット(1)。
【請求項15】
第一に、前記ボウル(3)および料理筐体を形成するために前記ボウル(3)上に受けられるように設計された前記蓋(2)と、
第二に、請求項1ないし請求項13に記載の前記ガスケット(1)のうちの一つで、前記ボウル(3)および前記蓋(2)の間に設置された前記ガスケット(1)と、からなる調理器具(4)。
【請求項16】
前記蓋(2)はドロップスカート(2B)を有し、
前記ボウル(3)は前記底(3B)を有し、前記底(3B)から側壁(3A)はエントリーリム(3C)へ伸び、
前記蓋(2)が前記ボウル(3)上に受けられるとき、前記側壁(3A)は前記ドロップスカート(2B)を囲むように前記蓋(2)および前記ボウル(3)は配置され、 前記ドロップスカート(2B)および前記側壁(3A)の間に前記ガスケット(1)を入れることを特徴とする、請求項15に記載の調理器具(4)。
【請求項17】
圧力調理容器を構成することを特徴とする請求項15または請求項16に記載の調理容器(4)。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公表番号】特表2007−513645(P2007−513645A)
【公表日】平成19年5月31日(2007.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−540502(P2006−540502)
【出願日】平成16年10月15日(2004.10.15)
【国際出願番号】PCT/FR2004/002648
【国際公開番号】WO2005/063087
【国際公開日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(503269690)セブ ソシエテ アノニム (5)
【Fターム(参考)】