説明

調節可能なタービン形状と羽根保持リングの圧力補償開口部を有するターボチャージャ

本発明は、排気ガス案内部(10)を有するハウジングと、タービンホイール(4)を有するロータ(3)とを備える内燃機関用の排気ガスターボチャージャであって、排気ガス案内部(10)は、内燃機関の排気ガスが内部を移動することができるように設計され、排気ガス案内部(10)の流入ダクト(13)を介して、排気ガスを、排気ガス案内部(10)に配置されるタービンホイール(4)に供給することができ、排気ガスの流れの流速を変化させるための調節可能な案内装置(15)が排気ガス案内部(10)に配置され、調節可能な案内装置(15)が、流入ダクト(13)の方に向いた保持リング(20)の側部に配置される調節可能に取付けられた案内羽根(21)用の保持リング(20)を備える排気ガスターボチャージャに関する。本発明によれば、保持リング(20)は少なくとも1つの補償開口部(33)を有し、この少なくとも1つの補償開口部によって、流入ダクト(13)と、流入ダクト(13)から離れる方に向いた保持リング(20)の側部に配置されるチャンバー(32)との間で圧力補償を行うことができる。効率を向上させるため、及び排気ガスターボチャージャの使用寿命を延ばすために、本発明は主に自動車の構造に使用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、請求項1の前段に記載の排気ガスターボチャージャと、請求項5の前段に記載の排気ガスターボチャージャとに関する。
【背景技術】
【0002】
排気ガス案内部を有するハウジングと、タービンホイールを有するロータとを備える排気ガスターボチャージャであって、調節可能な案内装置が排気ガス案内部に配置される排気ガスターボチャージャが特許文献1から知られている。排気ガス案内部は、例えば自動車の内燃機関の排気ガスが内部を移動することができるように設計される。排気ガス案内部の流入ダクトを介して、排気ガスを、排気ガス案内部に配置されるタービンホイールに供給することができる。排気ガスの流速を変化させるために、調節可能な案内装置は排気ガス案内部に配置され、前記調節可能な案内装置は、それに回転するように取付けられた調節可能な保持リング及び案内羽根を備える。保持リングは排気ガス案内部に堅固に挿入される。案内羽根が、冷却隙間を有する保持リングに配置され、冷却隙間に対応する案内羽根の軸方向移動が可能である。
【0003】
【特許文献1】国際公開第2004/022926A1号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、簡単かつ低コストの措置により、排気ガスターボチャージャの使用寿命を延ばすことに加えて、排気ガスターボチャージャの効率を向上させることである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この目的は、本発明によれば、請求項1の特徴を有する装置によって、及び請求項5の特徴を有する装置によって達成される。従属請求項は有利な発展形態を示している。
【0006】
本発明による排気ガスターボチャージャは、調節可能な案内装置の保持リングの少なくとも1つの補償開口部を有する。保持リングは、流入ダクトと、それとは別個に形成されたチャンバーとの間に配置される。さらに、調節可能な案内装置は、保持リングに移動可能に取付けられかつ流入ダクト内に突出する案内羽根を備える。案内羽根により、流入ダクトを通って流れる排気ガスの流速を変化させることができる。内燃機関の作動状態に応じて又は排気ガスの流れの速度に応じて、流入ダクト内の圧力よりも高い圧力がチャンバー内に発生し得る。この圧力差は、案内羽根の軸受シャフトで軸方向の力を発生させ、この結果、冷却隙間により、移動可能に取付けられた案内羽根の軸方向移動が生じる。このようにして、案内羽根は、望ましくなく、対向側のハウジング壁に押し付けられることになる。次に、案内羽根の調節移動により、案内羽根とハウジング壁との間に、摩耗を引き起こす摩擦が生じる。他方、特に内燃機関の中間負荷及び高負荷下で、チャンバー内の圧力が流入ダクト内の圧力よりも低かった場合、軸方向に作用する力が、壁に対向して配置された案内羽根の表面にも発生されるので、今や、案内羽根は保持リングに押し付けられる。この場合、案内羽根を調節することにより、案内羽根と保持リングとの間に摩擦が生じる。したがって、再び、摩損が大きくなり、この結果、排気ガスターボチャージャの摩耗が大きくなる。
【0007】
補償開口部を介して、流入ダクトとチャンバーとの間の圧力補償を行うことができるので、圧力差による案内羽根の軸方向移動を低減できるか又は完全に回避できる。一方では、既知の排気ガスターボチャージャと比較して、排気ガスターボチャージャの効率を向上させることができると同時に、他方では、案内羽根及びハウジング壁の両方における研磨摩耗及び粘着摩耗が低減される。結果として、排気ガスターボチャージャの使用寿命の延長が実現される。
【0008】
請求項2に記載の形態では、補償開口部は保持リングを介して軸方向に延び、これにより、低コストの製造を実現できる。
【0009】
請求項3に記載の別形態では、補償開口部の中心と保持リングの軸線との間に第1の距離が設けられ、この第1の距離は第2の距離に一致し、この第2の距離は保持リングの軸線と案内羽根の軸受の軸線との間に形成される。補償孔のこの構造の利点は、保持リングの技術的に簡単な製造に見られるが、この理由は、軸受開口部を製造するための加工プロセスを利用できるからである。有利には、補償開口部は、軸受開口部の直径に一致する直径を有する。
【0010】
請求項4に記載の別形態では、保持リングは外周に、タービンスパイラルダクトから案内羽根の上流のチャンバーへの排気ガスのオーバーフローが防止されるシール装置を有する。したがって、排気ガス全体が案内羽根を介してタービンスパイラルダクトによって案内される。排気ガスターボチャージャの効率のさらなる向上を得ることができる。
【0011】
本発明の別の利点及び有用な実施形態は図面の説明及び図面から明らかになる。
【0012】
図面において、同じものであるか又は同じ効果を有するすべての構成要素には、同じ参照番号が付されている。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
吸気システム及び排気システムは自動車用の内燃機関に関連付けられる。内燃機関はディーゼルエンジン式である。内燃機関は、シリンダーヘッドとクランクケースとを有するハウジングを有する。シリンダーはクランクケース内に配置され、各シリンダーは、軸方向に移動可能なピストンを有する。さらに、クランクシャフトはクランクケースに回転可能に取付けられる。各ピストンは連結ロッドによってクランクシャフトに連結され、この結果、関連するピストン力をクランクシャフトに伝達して、クランクシャフトの回転運動に変換できる。内燃機関のシリンダーには、混合気を燃焼させるための燃焼室が形成される。各燃焼室は、シリンダーの内壁によって、シリンダー内で移動可能なピストンによって及びシリンダーヘッドの壁によって範囲が定められ、シリンダーヘッドの壁とそれぞれのピストンとが互いにほぼ対向して配置される。対応するピストンによって、燃焼室の容積を変化させることができるので、前記燃焼室内で、それ自体知られている燃焼プロセスを行うことができる。
【0014】
シリンダーヘッドは、吸気ダクト及び吸気バルブを有する吸気システムと、排気ダクト及び排気バルブを有する排気システムと、関連する燃焼室内に燃料を噴射するための噴射システムとを備える。好ましくは、各吸気ダクトは、それを開閉できる少なくとも1つの吸気バルブを有し、吸気バルブは、燃焼室の方に向いた吸気ダクトの端部に配置される。吸気バルブが開いたときに、吸気ダクトを介して空気又は混合気を燃焼室に供給できる。燃焼室から離れる方に向いた吸気ダクトの端部は、吸気システムに関連付けられかつ流れを穏やかにするのに役立つ収集室に連結される。
【0015】
好ましくは、各排気ダクトは、それを開閉できる少なくとも1つの排気バルブを有し、排気バルブは、燃焼室の方に向いた排気ダクトの端部に配置される。内燃機関の作動中、燃焼室内に形成された混合気が燃焼したときに、排気ガスが発生し、燃焼室から排気ダクトを介して排気システムに流れることができる。
【0016】
吸気システムは給気ラインを有し、収集室は、内燃機関の方に向いた給気ラインの端部に配置される。吸引された空気を冷却するための給気冷却器は給気ラインの収集室の上流に配置される。そして、吸引された空気を清浄化するための空気フィルタは給気ラインの他端に配置され、この他端は内燃機関から離れる方に向いている。
【0017】
排気システムは排気マニホールドと排気ガスラインとを備え、排気マニホールドは排気ガスダクトとそれに合流する収集ダクトとを備える。排気マニホールドは排気システムの下流に配置され、各排気ダクトには1つの排気ガスダクトが関連付けられる。排気ガスラインは収集ダクトの開口部で排気マニホールドに連結され、開口部は排気ガスダクトの下流に配置される。排気ガスをさらに化学的に、熱的に及び/又は機械的に変換するための排気ガス後処理システムは、内燃機関から離れる方に向いた排気ガスラインの端部に配置される。
【0018】
それに加えて、内燃機関は排気ガス再循環システムを有し、排気ガス再循環ライン式の連結ラインは排気マニホールドと収集室との間に配置される。再循環排気ガスを冷却するための排気ガス冷却器は排気ガス再循環ラインに配置される。排気ガス再循環バルブによって、再循環排気ガスの流れの制御が行われる。
【0019】
多数の機能を調整制御するための調整制御システムは内燃機関に関連付けられる。特に、調整制御システムによって、燃料供給バルブ及び排気ガス再循環バルブを調節できる。
【0020】
さらに、ハウジング2とそれに取付けられたロータ3とを備える、動力を増加させるための排気ガスターボチャージャ1は、内燃機関に関連付けられる。図1の縦断面図には、ハウジング2の一部、すなわち排気ガス案内部10が示されている。
【0021】
ロータ3は、空気を吸引して圧縮するための半径方向の構造のコンプレッサホイールと、排気ガスを膨張させるための半径方向の構造のタービンホイール4と、コンプレッサホイールをタービンホイール4に回転不能に連結するシャフト5とを備える。コンプレッサホイールは、第1の回転軸線と第1の羽根とを有する第1のハブを有し、第1の羽根は第1のハブに堅固に固定される。原則として、コンプレッサホイールは鋳物として一片で形成される。コンプレッサホイールと同様に、タービンホイール4は、第2の回転軸線7と第2の羽根8とを有する第2のハブ6を有し、第2の羽根8は第2のハブ6に固定される。原則として、タービンホイール4は一片で形成され、特に、耐高温材料が、タービンホイール4を製造するための材料として提供されるが、この理由は、特に、作動中、第2の羽根8が、高い排気ガス温度にさらされるからである。
【0022】
ハウジング2は、吸気システムの領域の給気ラインに配置される空気案内部と、排気システムの排気ガスラインに配置される排気ガス案内部10とを備える。さらに、ハウジング2は、シャフト5が回転可能に取付けられる軸受部を有する。軸受部は空気案内部と排気ガス案内部10との間に配置される。
【0023】
空気案内部において、コンプレッサホイールは第1のホイール室内に回転可能に配置される。流入ダクトは第1のホイール室の上流の空気案内部に配置され、流入ダクトとコンプレッサホイールとが同軸に配置される。コンプレッサホイールによって吸引された空気を調節するために、流入ダクトが使用される。給気ラインの方に向いた流入ダクトの端部の内法径は、流入ダクトの方に向いた給気ラインの端部の内法径と同じ形状及び大きさである。これによって、空気案内部に入った空気の流動損失を回避できる。コンプレッサホイールによって吸引された空気を圧縮するように設計されるディフューザ式の排出ダクトは、第1のホイール室の下流の空気案内部に形成される。好ましくは、回転対称的な流れを準備するのに役立つ空気案内部の第1のスパイラルダクトは、第1のホイール室から離れる方に向いた排出ダクトの端部に連結される。さらに、第1のスパイラルダクトは、排出ダクトと空気案内部に形成された流出ダクトとの間の連結ダクトとして構成される。流出ダクトは、スパイラルダクトから離れる方に向いた前記流出ダクトの端部において、給気ラインと同じ形状及び大きさの内法径を有するので、圧縮空気が空気案内部から離れたときの流動損失を回避できる。
【0024】
空気案内部は、選択的に、コンプレッサホイールに対して流入流れを変化させるための装置を有する。流入流れを変化させることにより、吸引された空気を膨張させることができ、この結果、いわゆる冷気タービンモードにおいてコンプレッサホイールの作動が可能である。
【0025】
排気ガスを排気ガス案内部10に流入させるために、入口ダクトが排気ガス案内部に形成される。入口ダクトは、内燃機関の作動中に、排気ガス案内部10に配置されたタービンホイール4を回転運動で駆動する排気ガスを調節するのに役立つ。入口ダクトは第2の回転軸線7に対して垂直に配置されることが好ましい。回転対称的な流れを準備するのに役立つ第2のスパイラルダクト12は、排気ガスラインから離れる方に向いた入口ダクトの他端に連結される。さらに、第2のスパイラルダクト12は入口ダクトと排気ガス案内部10の流入ダクト13との間の連結ダクトとして構成される。流入ダクト13は第2のスパイラルダクト12の下流に配置され、流入ダクト13は、タービンホイール4に案内された排気ガスの流れを調節するように設計される装置を収容するように構成される。
【0026】
タービンホイール4を収容するのに役立つ第2のホイール室11は流入ダクト13の下流の排気ガス案内部10に配置される。出口ダクト14は第2のホイール室11の下流の排気ガス案内部10に配置される。出口ダクト14は、第2のホイール室11から離れる方に向いた前記出口ダクトの端部において、排気ガスラインと同じ形状及び大きさの内法径を有するので、流動損失をほとんど生じさせることなく、排気ガス案内部10から排気ガスラインへの排気ガスの流れが可能である。
【0027】
排気ガス案内部10は、選択的に、好ましくは第2のタービンスパイラルダクトに通じる第2の入口ダクトを有する。さらに、排気ガス案内部10又は排気システムは、選択的に、ウェイストゲートを有するバイパスを有し、排気ガスは、ウェイストゲートによりバイパスを介してタービンホイール4を通過するように案内することができる。その上、排気システムの排気ガス案内部10の内部又は外部には、いわゆる「ターボ制動モード」用の装置が選択的に配置され、この装置は、内燃機関の制動操作を補助するために設けられる。
【0028】
軸受部は、シャフト5が回転可能に取付けられる軸受装置を有する。シャフト5の摩擦のない回転について、軸受部は、潤滑剤を収容するように設計される導管システムによって構成される。さらに、軸受部は、潤滑剤の侵入に対して空気案内部と排気ガス案内部10とをシールするためのシール要素を有する。その上、シール要素によって、吸引された空気と排気ガスとが軸受部に侵入することを低減できる。
【0029】
内燃機関の作動中、タービンホイール4には内燃機関の排気ガスが充填され、前記タービンホイールが回転運動で駆動され、回転運動の速度は、供給された排気ガスの流れの質量流量及び速度に依存する。シャフト5によって、コンプレッサホイールが回転運動で駆動され、その結果、コンプレッサホイールによって、空気が吸引されて圧縮される。
【0030】
排気ガスターボチャージャ1の効率を向上させるために、調節可能な案内装置15が排気ガス案内部10に配置される。調節可能な案内装置15によって、排気ガスの流れの方向及び速度を調節可能である。排気ガス案内部10が第1の一部16と第2の一部17とに分割されるように、調節可能な案内装置15が排気ガス案内部10に配置される。第1の一部16と第2の一部17との間には、調節可能な案内装置15の調節装置19を収容するのに役立つチャンバー32が形成される。調整制御システムによって、調節装置19を調節できる。
【0031】
調節可能な案内装置15は、保持リング20と、それに調節可能に取付けられた案内羽根21と、それを調節するための調節装置19とを備える。保持リング20とタービンホイール4とが同軸に配置され、第2の回転軸線7は保持リング20の長手方向軸線36に一致する。保持リング20は、長手方向軸線36から第1の距離22において案内羽根21の軸受装置を収容するための第1の収容開口部23を有する。第1の収容開口部23は保持リング20を軸方向に完全に通過するように構成される。
【0032】
保持リング20は第1の一部16と第2の一部17との間に配置される。保持リング20の方に向いた第1の一部16の壁は内径24を有し、内径24と最小間隙25との合計は保持リング20の外径26に一致する。
【0033】
第1の一部16は保持リング20の領域に肩部27を有する。肩部27は、流入ダクト13の方向への、浮動するように取付けられた保持リング20の軸方向移動を制限するように構成され、保持リング20はテンション装置28によって肩部27に押し付けられる。チャンバー32の方向への保持リング20の軸方向移動はテンション装置28によって妨げられる。テンション装置28はディスクバネの形態で構成されることが好ましい。
【0034】
案内羽根21は、流入ダクト13の方に向いた保持リング20の側部に配置され、流入ダクト13内に突出する。排気ガスターボチャージャ1の作動中、熱弾性変形が生じることがあるので、所定の冷却隙間を有する流入ダクト13には、案内羽根21が設置される。冷却隙間により、案内羽根21の軸方向移動が可能である。
【0035】
案内羽根21の軸受装置は、それぞれの案内羽根に関連付けられた複数の軸受シャフト29の形態で構成され、軸受シャフトは第1の収容開口部23に配置される。軸受シャフト29の各々は第3の回転軸線30を有する。軸受シャフト29の各々は調節装置のそれぞれの第2の収容開口部31に回転可能に収容され、軸受シャフトは調節装置19によって回転移動可能である。
【0036】
実質的に耐圧性で流入ダクト13から分離されるチャンバー32は、第1の一部16と第2の一部17との間に形成される。内燃機関の作動点に応じて、チャンバー32内の圧力PKと流入ダクト13内の圧力PZとの間には圧力差が存在する。
【0037】
チャンバー32と流入ダクト13との間で圧力補償を行うために、保持リング20は、それを軸方向に完全に通過する補償開口部33を有する。有利には、補償開口部33は、第1の収容開口部23の直径D2に一致する直径D1を有する。さらに、長手方向軸線36と補償開口部33の中心との間に設けられた第2の距離35は第1の距離22に一致する。本発明の典型的な実施形態では、補償開口部33は各2つの第1の収容開口部23の間に配置される。
【0038】
このようにして、圧力差により補償開口部なしの保持リングで通常発生する軸方向の力は、補償開口部33によって実質的に排除することができる。対応する構成要素の摩損、したがって、これらの構成要素に対する摩耗を著しく低減できる。さらに、補償開口部33の配置及び直径D1の大きさの故に、前記補償開口部の製造が簡単である。
【0039】
その上、保持リング20は外周に、チャンバー32に対して流入ダクト13をシールするように構成されるシール装置34を有する。シール装置34はシールリングの形態である。このようにして、第2のスパイラルダクト12から案内羽根21の上流のチャンバー32への排気ガスのオーバーフローが防止される。これにより、第2のスパイラルダクト12から案内羽根21を介した排気ガス全体の流れが生じ、このようにして、排気ガスターボチャージャ1の効率の向上を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0040】
【図1】調節可能な案内装置を有する排気ガスターボチャージャの排気ガス案内部の縦断面図である。
【図2】線II−IIに沿った図1による排気ガス案内部の断面図である。
【符号の説明】
【0041】
1 排気ガスターボチャージャ
2 ハウジング
3 ロータ
4 タービンホイール
5 シャフト
6 第2のハブ
7 第2の回転軸線
8 第2の羽根
10 排気ガス案内部
11 第2のホイール室
12 第2のスパイラルダクト
13 流入ダクト
14 出口ダクト
15 調節可能な案内装置
16 第1の一部
17 第2の一部
19 調節装置
20 保持リング
21 案内羽根
22 第1の距離
23 第1の収容開口部
24 内径
25 最小間隙
26 外径
27 肩部
28 テンション装置
29 軸受シャフト
30 第3の回転軸線
31 第2の収容開口部
32 チャンバー
33 補償開口部
34 シール装置、シールリング
35 第2の距離
36 長手方向軸線
PK チャンバー内の圧力
PZ 流入ダクト内の圧力
D1 補償開口部の直径
D2 第1の収容開口部の直径

【特許請求の範囲】
【請求項1】
排気ガス案内部(10)を有するハウジングと、タービンホイール(4)を有するロータ(3)とを備える内燃機関用の排気ガスターボチャージャであって、
前記排気ガス案内部(10)は、前記内燃機関の排気ガスが内部を移動することができるように設計され、前記排気ガス案内部(10)の流入ダクト(13)を介して、前記排気ガスを、前記排気ガス案内部(10)に配置された前記タービンホイール(4)に供給することができ、
前記排気ガスの流れの流速を変化させるための調節可能な案内装置(15)が前記排気ガス案内部(10)に配置され、前記調節可能な案内装置(15)が、前記流入ダクト(13)の方に向いた保持リング(20)の側部に配置される調節可能に取付けられた案内羽根(21)用の前記保持リング(20)を含み、
前記保持リング(20)が少なくとも1つの補償開口部(33)を有し、前記少なくとも1つの補償開口部によって、前記流入ダクト(13)と、前記流入ダクト(13)から離れる方に向いた前記保持リング(20)の側部に配置されるチャンバー(32)との間で圧力補償を行うことができることを特徴とする排気ガスターボチャージャ。
【請求項2】
前記補償開口部(33)が前記保持リング(20)を介して軸方向に延びることを特徴とする請求項1に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項3】
前記保持リング(20)の長手方向軸線(36)と前記案内羽根(21)の軸受シャフト(29)の回転軸線(30)との間の第1の距離(22)に一致する第2の距離(35)が、前記補償開口部(33)の中心と前記保持リング(20)の長手方向軸線(36)との間に設けられることを特徴とする請求項1あるいは2に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項4】
前記保持リング(20)が外周にシール装置(34)を有することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項5】
排気ガス案内部(10)を有するハウジングと、タービンホイール(4)を有するロータ(3)とを備える内燃機関用の排気ガスターボチャージャであって、
前記排気ガス案内部(10)は、前記内燃機関の排気ガスが内部に移動することができるように設計され、前記排気ガス案内部(10)の流入ダクト(13)を介して、前記排気ガスを、前記排気ガス案内部(10)に配置された前記タービンホイール(4)に供給することができ、
前記排気ガスの流れの流速を変化させるための調節可能な案内装置(15)が前記排気ガス案内部(10)に配置され、前記調節可能な案内装置(15)が、前記流入ダクト(13)の方に向いた保持リング(20)の側部に配置される調節可能に取付けられた案内羽根(21)用の前記保持リング(20)を含む排気ガスターボチャージャにおいて、
前記保持リング(20)が外周に、前記流入ダクト(13)から離れる方に向いた前記保持リング(20)の側部に配置されるチャンバー(32)に対して、前記流入ダクト(13)をシールするためのシール装置(34)を有することを特徴とする排気ガスターボチャージャ。
【請求項6】
前記保持リング(20)が、前記流入ダクト(13)と前記チャンバー(32)との間で圧力補償を行うことができる少なくとも1つの補償開口部(33)を有することを特徴とする請求項5に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項7】
前記補償開口部(32)が前記保持リング(20)を介して軸方向に延びることを特徴とする請求項6に記載の排気ガスターボチャージャ。
【請求項8】
前記保持リング(20)の長手方向軸線(36)と前記案内羽根(21)の軸受シャフト(29)の第3の回転軸線(30)との間の第1の距離(22)に一致する第2の距離(35)が、前記補償開口部(33)の中心と前記保持リング(20)の長手方向軸線(36)との間に設けられることを特徴とする請求項6あるいは7に記載の排気ガスターボチャージャ。

【図1】
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【図2】
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【公表番号】特表2009−534569(P2009−534569A)
【公表日】平成21年9月24日(2009.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−505743(P2009−505743)
【出願日】平成19年4月5日(2007.4.5)
【国際出願番号】PCT/EP2007/003086
【国際公開番号】WO2007/121843
【国際公開日】平成19年11月1日(2007.11.1)
【出願人】(598051819)ダイムラー・アクチェンゲゼルシャフト (1,147)
【氏名又は名称原語表記】Daimler AG
【住所又は居所原語表記】Mercedesstrasse 137,70327 Stuttgart,Deutschland
【Fターム(参考)】