調節可能な脊椎安定化システム
脊柱の非剛性の安定化のための可撓性接続ユニットを有する、調節可能な脊椎安定化システム。1つの実施形態において、この脊椎安定化システムは、可撓性接続ユニットの中空部分を通って延びるテザーを有する可撓性接続ユニットを備え、このテザーは、この可撓性接続ユニットの屈曲を制限する。さらなる実施形態において、このテザーは、予め張力を与えられる。さらなる実施形態において、このテザーに対する張力またはこのテザーの圧縮は、調節可能である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2004年12月27日に出願された、発明の名称が「Adjustable Spinal Stabilization System」である米国特許出願11/024,171号の一部継続出願に関し、その米国特許出願11/024,171号は、2004年3月10日に出願された、発明の名称が「A Method and Apparatus for Flexible Fixation of a Spine」である米国特許出願10/798,014号の一部継続出願であり、その米国特許出願10/798,014号は、2003年12月5日に出願された、米国特許出願10/728,566号の一部継続出願である。
【0002】
(発明の背景)
(発明の技術分野)
本発明は、脊柱を安定させるための方法およびシステムに関し、より具体的には、一つ以上のねじ型固定部材が患者の脊柱部位に移植および固定され、さまざまな断面の可撓性で半剛性の棒状または板状の構造体(以下、それぞれ「棒」または「板」という)を有する長手軸方向部材が、固定部材の上端に連結および固定されることにより脊柱の安定化を提供する、脊椎固定の方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
椎間板変性疾患(DDD)、脊椎狭窄症、脊椎すべり症などの脊柱変性疾患は、保存療法で改善しない場合に外科手術が必要になる。一般的に、最初に行う外科的手順は、脊椎除圧術である。その除圧の主な目的は、脊柱のある組織を摘出することにより脊柱管およびその神経根への圧力を軽減し、その圧力により生じる圧力や痛みを軽減または解消することにある。脊柱の組織が摘出されると痛みは軽減されるが、脊柱は弱くなる。よって、除圧手順後に脊椎を安定させるために、癒合手術(例えば、ALIF、PLIF、または後外側固定術)が必要になる場合が多い。しかしながら、外科的手順後、癒合によって最大の安定性を得るまでには時間をさらに要するので、脊椎固定装置は、一般的に、所望のレベルの癒合が達成されるまで脊柱を支持するために使用される。患者特有の事情や病状により、癒合手順を行わずに、脊椎固定術が除圧の直後に行われる場合がある。固定手術は、手術の直後に安定性を提供するため多くの症例において行われ、癒合手術が行われた場合も、十分な癒合と安定性が得られるまで脊椎を支える。
【0004】
脊椎固定の従来の方法では、損傷した脊椎部位を支持し、損傷部位の運動を防ぐために、剛性の脊椎固定装置が利用される。このような従来の脊椎固定装置には椎弓根または背骨の仙骨に所定の深さや角度で挿入されるように設計される固定ネジ、損傷した脊椎部位に隣接して配置されるように設計される棒または板、および損傷した脊椎部位を比較的固定した位置で棒または板が支持および保持するように、棒または板を固定ネジに連結および結合するための結合要素が備えられる。
【0005】
特許文献1は従来の脊椎固定装置を開示し、その開示において、棒または板状の連結部材は、椎弓根または背骨の仙骨に挿入される少なくとも一つ以上のネジの上端に装着される。棒や板などの連結ユニットは、除圧により弱くなった脊柱の損傷部位を安定させるために使用される。また、連結ユニットにより、脊柱の運動を大幅に抑制し、患者へのさらなる疼痛や損傷を防ぐ。しかしながら、連結ユニットは、長期間の使用後に脊柱の通常の運動を防ぐため、脊椎固定装置は、脊柱に関連する合併症および異常をさらにもたらす「関節症候群」(通過症候群)や「癒合症」などの悪影響を及ぼすことがある。特に、従来の固定装置に使用される棒または板の高い剛性が原因で、手術後に患者の固定された関節が動かず、手術領域の上下に位置する脊椎の関節の動きが増加する。したがって、このような脊椎固定装置により、患者の可動性は低下し、手術領域に隣接する脊柱の関節に対する圧迫や不安定性は増大する。
【0006】
脊椎固定が過度に剛性であると、剛性の固定により荷重の遮蔽が生じるため、癒合手順には有用でないこと報告されている。したがって、荷重を共有する半剛性の固定装置を使用する試験が、このような問題を排除し、骨の癒合プロセスを補助するために行われている。例えば、特許文献2、特許文献3、および特許文献4は、可撓性のある設計を有し、骨の癒合を促進するために軸方向の荷重移動(すなわち、脊椎の垂直軸に沿って)を可能にする動的脊椎安定化装置を開示する。しかしながら、このような装置は、骨の癒合手順後の使用を対象とするため、癒合を行わない脊椎固定には適していない。よって、最終結果として、このような装置は、癒合により生じる剛性の固定の問題を解決しない。
【0007】
剛性の固定に関連する上記の問題を解決するために、非癒合技術が開発されている。Grafバンドは、非癒合固定装置の一例であり、骨を癒合せず除圧後に適用される。Grafバンドは、ポリエチレンのバンドと、そのポリエチレンバンドを安定性を必要とする脊椎に連結するための椎弓根スクリューにより構成される。Grafバンドの主な目的は、損傷した脊椎部位の矢状回転(屈曲による不安定性)を防ぐことにある。よって、特定の症例には効果的であるが、さらなる安定性および固定を必要とする症例には適切ではない。非特許文献1、非特許文献2を参照。「Dynesys」という別の非癒合固定装置は、最近導入された。非特許文献3、非特許文献4を参照。Dynesys装置はGrafバンドと似ているが、Dynesys装置は、スクリューの間にポリカルボウレタン(polycarburethane)のスペーサを使用し、二つの対応する椎弓根スクリューの先端の間の距離を保つことで、スクリューが固定される隣接する椎体の距離を保つ。Dynesys装置の発明者による初期段階の報告によると、多くの症例においてその装置は成功している。しかしながら、Dynesys装置が、可撓性および耐久性だけでなく長期にわたって安定性を保持できるか否かについてはまだ比較試験で判定されていない。その装置はポリエチレンの構成要素および界面を有するため機械的故障のリスクを負う。さらに、装置の機械的設計により、装置を脊柱に取り付けるために必要な外科技術は、手間が掛かり複雑である。
【0008】
特許文献5および特許文献6は、プラスチック製で非金属製の棒を使用した可撓性の脊椎固定システムおよび方法を開示する。特許文献7は、可撓性の細長い部材を使用する可撓性脊椎安定化装置の別の例を開示する。このような装置は可撓性であるが、持続的な軸方向の負荷や応力に耐えるのには適していない。さらに、所望の可撓性と剛性の度合いは、患者によって変化する可能性がある。既存の可撓性の固定装置の設計は、各対象者にとって最善の結果をもたらす可撓性のレベルを変更するようには適していない。例えば、特許文献8は、金属合金および/または複合材料から作製される可撓性の棒を利用する可撓性の固定装置を開示する。さらに、椎体に所望の方向に非回転力を提供するために、圧縮バネまたは引っ張りコイルバネが棒の周りに巻かれる。しかしながら、この特許は、主に、脊椎の「(前記)垂直軸に沿った相対長手軸方向並進摺動運動」を可能にする脊椎固定装置を提供することに関係しており、さまざまな可撓性の特性を提供する連結ユニット(例えば、棒または板)の具体的な設計を教示も示唆もしない。特許文献8に記載の従来の可撓性の棒は、一般的に、所望のレベルの可撓性を提供するために、比較的小さな直径を有する中実構造体を有する。代表的に、それらは、適切な可撓性を提供するために非常に薄いため、このような従来技術の棒は、機械的故障を起こしやすく、患者への移植後に破損することが公知である。
【0009】
したがって、従来の脊椎固定装置は、脊椎疾患治癒に関連する問題に対して包括的で均衡のとれた解決を提供していない。従来の装置の多くが、特徴として過度に剛性であるため上記のような問題を引き起こし、一方、その他の装置はいくらか可撓性があるものの、可撓性の度合いを変更するにはうまく適応していない。ゆえに、所望の度合いの可撓性を脊柱の損傷部位に提供し、また、持続的な耐久性および一貫した安定性を脊柱に提供する、動的脊椎固定装置を改善する必要性がある。
【0010】
また、脊椎固定装置を脊柱に固定するための従来の外科手技において、医師は、背部の正中線を約10〜15cmまで切開し、それを解剖して両側に開創する。このようにして、医師は、筋肉解剖を行って、面関節の外側部分を露出する。次に、その解剖の後に、医師は、X線装置(例えば、CアームX線透視検査)を使用して椎弓根への挿入点を検出し、脊椎固定装置の固定部材(以下、「椎弓根スクリュー」)を椎弓根に挿入する。その後、連結ユニット(例えば、棒または板)が、脊柱の損傷部位に支持と安定性を提供するために、椎弓根スクリューの上部に取り付けられる。よって、従来の脊椎固定手順では、患者の背部が約10〜15cm切開され、結果として脊柱を保持するために重要である背部筋肉が切開または損傷され、術後の疼痛および回復期間の遅れを患者にもたらす。
【0011】
最近、患者の外傷を軽減するために、外科的手順の部位の患者の背部に切開される比較的小さい穴または「窓」を通して脊椎固定手術を実施することが可能である最小侵襲性外科手順が普及している。内視鏡または顕微鏡を使用することで、最小侵襲性手術は、患者の患部の切開をさらに小さくすることを可能にする。このようなより小さな切開を介して、脊椎固定装置の二つ以上の固定部材(例えば、椎弓根スクリュー)は、ナビゲーションシステムを使用してそれぞれの椎弓根部位にねじ込まれる。その後、固定装置の安定化部材(例えば、棒または板)を固定部材に連結するために特別な器具が使用される。あるいはまたはさらに、外科的手順は、段階的拡張器を切開部に挿入し、拡張の直径を徐々に増大させることをさらに含み得る。その後、管状開創器が拡張された領域に挿入され、患者の筋肉を開創し、手術のための視野を提供する。この視野が確立されると、除圧および必要であれば癒合手順が実施されてもよく、その後に、固定手順が続き、その固定手順は、椎弓根位置を検出するステップ、椎弓根スクリューを椎弓根に挿入するステップ、内視鏡または顕微鏡を使用するステップ、および弱くなった脊柱を安定化よび支持するために、安定化部材(例えば、棒または板)を椎弓根スクリューに固定するステップを含む。
【0012】
最小侵襲性脊椎固定手順を実施するうえで最も課題となる局面の一つは、内視鏡または顕微鏡による可視化により椎弓根スクリューの挿入点の位置決めをすることである。通常、解剖学的ランドマークおよび/またはX線装置は、挿入点を検出するために使用されるが、明確な解剖学的関係は、限定された作業空間のため特定することが難しい場合が多い。また、最小侵襲性手順は、椎弓根スクリュー挿入領域の解剖を露出させるために摘出されなければならない多量の軟組織を必要とする。この軟組織の摘出は、患部における出血を引き起こし、その結果、固定部材を挿入するための正確な位置を検出するのがさらに難しくなり、手術部位の周囲の筋肉および軟組織をさらに損傷する。その上、固定部材の挿入点の位置を正確に決定するのが難しいため、従来の手順は不必要に外傷をもたらす。
【0013】
X線技術が、固定部材が挿入される椎弓根の位置をより正確にかつ迅速に検出するために、提案および実施されている。しかしながら、X線技術を使用して、対応する椎弓根の位置を検出するために必要な鮮明な画像を得ることは、外科手術中に使用される金属製の器具や設備によるX線干渉が原因で、難しい場合が多い。さらに、X線画像を読み取り解釈することは、相当な訓練と専門知識を必要とする複雑な作業である。X線は、患者が大量の放射線にさらされるというさらなる問題を提起する。
【0014】
椎弓根の所望の挿入点への椎弓根スクリューの挿入を誘導する、誘導システムがいくつか開発されているが、このような従来のシステムは、使用するのが難しいことが立証されており、さらに手術手順の妨げになる。例えば、椎弓根スクリューの挿入のための従来の誘導システムは、患者の背部の筋肉および組織に挿入される誘導管を通して挿入される長いワイヤを利用する。誘導管の挿入場所は、X線手段(例えば、CアームX線透視装置)で決定され、誘導管の第一の端部が、椎弓根の骨の表面の所望の位置に到達するまで駆動される。その後、一般的に生体適合性のある金属材料から作製される、誘導ワイヤの第一の端部が、誘導管に挿入され、椎弓根の骨まで差し込まれ、一方、ワイヤの反対側の端部は、患者の背部から突き出ている。誘導ワイヤが椎弓根の骨に固定されると、誘導管は取り出され、誘導ワイヤを中心とする穴は拡張および開創される。最後に、誘導ワイヤを収容するように設計される軸方向の穴または溝を有する椎弓根スクリューが、誘導ワイヤにより椎弓根の骨の所望の位置まで誘導され、そこで、椎弓根スクリューは、椎弓根にねじ込まれる。
【0015】
ワイヤによる誘導システムの概念は優れているが、実際のところ誘導ワイヤは非常に使用しにくい。比較的長くて細いワイヤであるため、誘導ワイヤの構造的完全性は、ワイヤの一端を椎弓根の骨まで駆動させようとする間に機能しなくなる場合が多く、そのプロセスを、不必要に時間がかかり面倒なものにする。さらに、ワイヤは、挿入中に屈曲し、波形になるので、その後の器具および椎弓根スクリューを椎弓根の挿入点に誘導するための円滑で安定した固定にはならない。さらに、現在の経皮的なワイヤによる誘導システムは、内視鏡または顕微鏡使用により直接可視化することなく、CアームX線透視検査(またはその他のX線装置)と併用して使用される。従って、現在のワイヤによる誘導システムは、誤った位置設定または椎弓根の破損に対する潜在的リスクをもたらす。最後に、ワイヤの一端が椎弓根スクリューの頭部および患者の背部から突き出ているので、このワイヤは、脊椎固定手術に伴うさまざまなその後の手順を実施する際に外科医の動作自由を妨げる。したがって、内視鏡または顕微鏡による可視化のもとでの最小侵襲性椎弓根スクリュー固定手順における使用に適応した、椎弓根に移植し易く、外科医により実施される次の手順を妨げない、改善された誘導システムを提供する必要性がある。
【0016】
上に説明したように、脊椎疾患を治癒させるために使用される既存の方法および装置は、大幅な改善を必要としている。最も従来的な脊椎固定装置は、極端に剛性であり、可撓性ではない。このような過度の剛性は、脊椎のさらなる異常および疾患に加え、かなりの不快感を患者にもたらす。既存の脊椎固定装置には、いくらかのレベルの可撓性を提供するものもあるが、これらの装置は、各特定の患者に対する所望のレベルの可撓性を提供するために、可撓性のレベルの変更が簡単に得られ得るように設計も製造もされていない。さらに、可撓性の連結ユニット(例えば、棒または板)を有する従来技術の装置は、機械的故障に関してさらに高い危険性をもたらし、脊椎の持続的な耐久性および安定性を提供しない。さらに、脊椎固定手順を実施する既存の方法は、脊椎固定装置が固定される椎弓根または背骨の仙骨の正確な位置を検出するのが困難であるため、不必要に患者に外傷をもたらす。
【特許文献1】米国特許第6,193,720号明細書
【特許文献2】米国特許第5,672,175号明細書
【特許文献3】米国特許第5,540,688号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2001/0037111号明細書
【特許文献5】米国特許第5,282,863号明細書
【特許文献6】米国特許第4,748,260号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0083657号明細書
【特許文献8】米国特許第5,672,175号明細書
【非特許文献1】Kanayamaら、Journal of Neurosurgery 95(補遺1):2001年、p.5−10
【非特許文献2】MarkwalderおよびWenger、Acta Neurochrgica 145(3):p.209−14
【非特許文献3】Stollら、European Spine Journal 11 補遺2:2002年、p.S170−8
【非特許文献4】Schmoelzら、J.of Spinal Disorder & Techniques、2003年、16(4):p.418−23
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、損傷または弱体化した脊柱を安定させるための改善された方法およびシステムを提供することによって、上記およびその他の必要性に取り組む。
【0018】
従来の脊椎固定装置の欠点を克服するために、1つの実施形態において、本発明の発明者は、改善された構成および設計を有する、新規な可撓性脊椎固定装置を発明した。この装置は、耐久性があり、そして所望のレベルの可撓性および安定性を提供する。さらに、本発明の発明者は、容易に調節可能な脊椎安定化装置を発明した。この装置は、個々の患者に対してあつらえで調節され得る。
【0019】
手術領域の近くにある組織への損傷を最小限度に抑えるために、最小侵襲性脊椎手術に必要な手術時間を削減するよう長期にわたって行われた研究の結果、別の実施形態において、本発明は、脊椎固定装置の固定部材が挿入される脊柱の位置を正確かつ迅速に検出する方法および装置を提供する。新規の誘導/マーキング装置が、固定部材が挿入される脊柱における位置を示すために使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(好適な実施形態の詳細な説明)
本発明は、図面を参照して以下に詳細に説明され、同様の要素については全体を通して同一の数字を使用して参照される。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に従う、脊椎固定装置を示す。脊椎固定装置は、図3に関連して以下にさらに詳細に説明される、二つの固定部材2(2’および2”で表示)、および結合組み立て部品14内に収容および固定されるように設計された可撓性固定棒4を備える。各固定部材2は、患者の椎弓根に挿入およびねじ込むように設計される、ネジ山の入ったねじ型シャフト10を備える。図1に示されるように、ねじ型シャフト10は、シャフト10の長さ全体にわたって形成される外側のらせん状のネジ山12と、指定の場所で患者の脊柱に挿入されるよう設計されるシャフト10の端部にある円錐型の先端を備える。固定部材2のその他の既知の形状は、本発明のために使用してもよいが、固定部材2が脊柱に挿入および固定され、棒4にしっかりと結合することが可能である場合に限る。
【0022】
上に説明の通り、脊椎固定装置は、脊柱の所望の位置に固定部材2を装着することによって、脊椎疾患の外科処置のために使用される。一実施形態において、棒4は、脊柱の二つ以上の椎体間にまたがり、これらの二つ以上の椎体の動きを安定させるために固定部材2で固定される。
【0023】
図2は、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定装置の斜視図を示す。図2の脊椎固定装置は、図1の脊椎固定装置と同様であるが、棒4が、棒4の二つの剛性の端部分9の間で並列される可撓性の中間部分8を備える。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態に従う、結合組み立て部品14のさまざまな構成要素を示す図1および2の固定部材2の分解図を提供する。図3に示すとおり、結合組み立て部品14は、ネジ型シャフト10の上端に位置する円筒型頭部16、円筒型頭部16の内側の壁面部分に沿って形成されるらせん状のネジ山または溝18、および棒4を収容するように設計されるU型の収容溝20を備える。結合組み立て部品14は、ナット22の外側の外側面に形成されるらせん状のネジ山24を有する外側にネジ山の入ったナット22をさらに備え、らせん状のネジ山24は、円筒型頭部16の内側のらせん状のネジ山18と嵌合するように構成される。さらなる実施形態において、結合組み立て部品14は、外側にネジ山の入ったナット22を被覆および保護し、さらにしっかりと棒4を収容溝20に保持するために、円筒型頭部16部分を覆って装着されるように構成される固定キャップ26を備える。一実施形態において、固定キャップ26の内径は、円筒型頭部16の外径としっかりと嵌合するように構成される。対応して配置される切欠と溝(図示せず)などの、円筒型頭部に固定キャップ26を固定するその他の方法は、当業者には容易に理解できるだろう。好適な実施形態において、固定部材2の構成要素および部品は、高い剛性および耐久性を有する生体適合性のある材料、例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン、またはチタン合金から作製され得る。そのような材料は当該分野において公知である。当該分野において公知であるように、本明細書で使用される場合、「生体適合性の」材料とは、患者の身体に移植された後に、いかなる化学反応も免疫反応も引き起こさない材料をいう。
【0025】
図1および2に示されるように、好適な実施形態において、棒4は、結合手段14の収容溝20に棒4を水平に収容することによって、固定手段2のネジ山の入ったシャフト10の長さ方向に垂直に固定手段2に結合される。外側にネジ山の入ったナット22は、次に、棒4の上側の円筒型頭部16に収容およびねじ込められ、収容溝20で棒4を固定する。固定キャップ26は、次に、円筒型頭部16を覆って置かれ、円筒型頭部16の内部空洞における構成要素を被覆、保護し、これらの構成要素をさらに堅く固定する。図4〜7は、本発明に従う、固定装置に使用され得る棒4のさまざまな実施形態の斜視図を示す。図4は、図1の棒4を示し、棒全体は、可撓性であるように作製および設計される。本実施形態において、棒4は、既定の厚さの円筒型側壁5を有する金属チューブまたはパイプを備える。一実施形態において、棒4に可撓性を提供するために、円筒型側壁5は、らせん状の切り込みまたは溝6を形成するために、棒4の長さに沿ってらせん状に切り込まれる。当業者に明白であるように、らせん状の溝6の幅と密度は、所望のレベルの可撓性を提供するように調整され得る。一実施形態において、溝6は、棒4の円筒型側壁の厚さ全体を通る、極細のらせん状の切り込みまたは切り口より形成される。当業者に公知であるように、管状側壁5の厚さおよび材料も、可撓性のレベルに影響を及ぼす。
【0026】
一実施形態において、棒4は、正常な背部のものと実質的に等しい可撓性を有するように設計される。正常な背部の可撓性の範囲は、当業者には既知であり、通常の技能を有する者でも、管状側壁5の厚さと材料、および溝6の幅と密度を容易に決定し、通常の背部の範囲内における所望の可撓性または可撓性範囲を達成することができる。本明細書で溝6に言及する場合、用語の「密度」は、らせん状の溝6の詰まり、すなわち、図4に示されるような隣接する溝のライン6の間の距離を意味する。しかし、本発明が、特定で所定の可撓性範囲に限定されないことが理解される。一実施形態において、所望の横方向の可撓性特性を有するだけでなく、棒4の剛性は、患者の元々の脊椎の残りの部分に関して均一に、脊椎の垂直軸に沿って患者の脊柱に加えられる垂直方向の軸方向荷重に耐久可能であるべきである。
【0027】
図5は、図2の棒4を示し、中間部分8のみが可撓性であるように作製および設計されており、二つの端部分9は剛性であるように作製される。一実施形態において、端部分9を剛性にするために、中に溝がない金属製の端部リングまたはキャップ9’が、図4の棒4のそれぞれの端部に取り付けられてもよい。リングまたはキャップ9’は、金属をプレスおよび/または溶接して結合するなどの既知の方法を使用して、棒4の両端に永久的に装着されてもよい。別の実施形態において、らせん状の溝6は、中間部分8の長さに沿ってのみ切り込まれ、端部分9は、溝6を持たない管状側壁5を備える。剛性の金属または金属のハイブリッド材料から作製される、溝6を持たない管状側壁5は、高い剛性を示す。
【0028】
図6は、多数のセクション、つまり、三つの剛性部分9の間に交互に配置される二つの可撓性部分8を有する棒4のさらなる実施形態を示す。本実施形態は、例えば、三つの隣接する椎体を相互に安定させるために使用され得、三つの椎弓根スクリューはこれらの椎体のうちの一つにそれぞれ固定され、三つの剛性部分9は、図3に関して上に説明したように、それぞれの椎弓根スクリュー2の結合組み立て部品14に連結される。可撓性部分8および剛性部分9の各々は、図5に関して上に説明されたように作製され得る。
【0029】
図7は、「脊椎前弯症」として知られる患者の脊椎の湾曲に適合し、その湾曲を保持しつつ、脊柱を安定させる、予め曲げられた構造および構成を有する棒4の別の実施形態を示す。通常、患者の腰骨は「C」型の形状であり、棒4の構造は、本発明の一実施形態に従う図2の脊椎固定装置で利用される場合、通常の腰骨の形状に適合して形成される。一実施形態において、予め曲げられた棒4は、二つの剛性の端部分9の間に配置される、可撓性であるように作製および設計される中間部分8を備える。中間部分8および端部分9は、図5に関連して上に説明されたように作製され得る。さまざまなサイズ、長さ、および予め曲げられた構造を有する金属製または金属ハイブリッドの管状棒を製造する方法は、当該分野において周知である。さらにまたはあるいは、棒4の予め曲げられた構造および設計は、図23Aに関連して以下にさらに詳細に説明されるように、二つの隣接する椎弓根スクリューが相互に平行に挿入されない場合、スキュー角を相殺してもよい。
【0030】
可撓性の管状棒4または可撓性の中間部分8を形成するために使用されるさらなる設計および材料は、図8〜10に関連して以下に説明される。図8は、本発明の一実施形態に従う可撓性の管状棒4または棒部分8の斜視断面図を示す。本実施形態において、可撓性の棒4、8は、図4〜7に関連して上に説明されたように、中に切り込まれるらせん状の溝6を有する第一の金属チューブ5から作製される。中に切り込まれるらせん状の溝31と、第一のチューブ5よりも小さい直径を有する第二のチューブ30は、第一のチューブ5の円筒形空洞に挿入される。一実施形態において、第二のチューブ30は、第一のチューブ5に切り込まれるらせん状の溝6に関連して反対のらせん状方向で切り込まれるらせん状の溝31を有し、よって、第二のチューブ30の回転ねじれ特性は、少なくともある程度の第一のチューブ5の回転ねじれ特性を相殺する。第二の可撓性チューブ30は、第一のチューブの中核に挿入され、さらなる耐久性および強度を可撓性棒4、8に提供する。第二のチューブ30は、第一のチューブと同一の材料から作製されても異なる材料から作製されてもよい。好適な実施形態において、第一のチューブ5および第二のチューブ30を製造するために使用される材料は、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン、およびチタン合金などの金属の例のいずれかまたはその組み合わせであってもよい。
【0031】
図9は、本発明のさらなる実施形態に従う可撓性棒4、8の斜視断面図を示す。本実施形態において、可撓性棒4、8は、スチール糸、チタン糸、またはチタン合金糸などの複数の重なる細い金属糸を備える金属ワイヤ32から作製される内核を備える。ワイヤ32は、上に説明されたような中に切り込まれたらせん状の溝6を有する、金属製または金属ハイブリッドの可撓性のチューブ5に包まれる。ワイヤ32の金属糸の数および厚さも、棒4、8の剛性および可撓性に影響を与える。糸の数、厚さ、または材料を変更することによって、可撓性は増加または減少し得る。したがって、ワイヤ32の金属糸の数、厚さ、および/または材料は、患者の特定の必要性に応じて所望の剛性および可撓性を提供するように調整されることができる。当業者は、棒4、8に対する所望の剛性対可撓性のプロフィールを達成するために、チューブ5の所定の可撓性と併せて、糸の数、厚さ、および材料を容易に決定することが可能である。
【0032】
図10は、可撓性棒4のさらに別の実施形態を示し、可撓性チューブ5は、非金属性で可撓性の中核34を包む。中核34は、既知の生体適合性の形状記憶合金(例えば、ニチノール)または、炭素繊維、ポリエテールエテールケトン(PEEK)、ポリエテールケトンケトンエーテルケトン(PEKKEK)、もしくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの生体適合性の合成材料から作製され得る。
【0033】
図11は、図9に関連して上に説明したように、編組金属ワイヤ棒35を形成するために、中に複数の金属ワイヤ32が織り交ぜられ、または編み込まれている可撓性棒35の別の実施形態の斜視図を示す。このように、編組金属ワイヤ棒35は、金属ワイヤ32と同一の材料から作製されることができる。上に説明したようなワイヤ32の剛性および可撓性の変動性に加え、編組棒35の剛性および可撓性は、編組構造体35で使用されるワイヤ32の数や厚さを変更することによって、所望の特性を達成するためにさらに変更されることができる。例えば、正常な健康的な脊椎の既知の湾曲範囲内でのさまざまな湾曲レベルまたは範囲を達成するために、当業者は、編組金属ワイヤ棒35を作製するために使用されるワイヤの異なる太さ、数、および材料によって提供される湾曲を変更および測定することによって、さまざまな設計の編組金属ワイヤ棒35を容易に製造することができる。さらなる実施形態において、編組金属ワイヤ棒35の各端部は、図5〜7に関連して上に説明されたような剛性の金属製のキャップまたはリング9’によって包まれており、可撓性の中間部分8と剛性の端部分9を有する棒4を提供する。さらなる実施形態において(図示せず)、編組金属ワイヤ棒35は、図8〜10に示される実施形態と同様の方法で、可撓性の金属棒4または棒部分8を作製するために、中に切り込まれるらせん状の溝6を有する金属チューブ5に包まれる可撓性の内核として利用されてもよい。本明細書で使用される際、用語の「編組」または「編組構造」は、重なる様式で織り交ぜられる二つ以上のワイヤ、ストリップ、紐、リボン、および/またはその他の形状の材料を含む。ワイヤ、ストリップ、紐、リボン、および/またはその他の形状の材料を織り交ぜるさまざまな方法は、当該分野において既知である。このような織り交ぜる技術は本発明に含まれる。別の例示的な実施形態において(図示せず)、可撓性の金属棒35は、斜めに重なるパターンで織り交ぜられる二つ以上の金属製のストリップ、紐、またはリボンを有する編組金属構造体を備える。
【0034】
図12Aは、二つの剛性の端部分9’と、例示的な数の剛性のスペーサ37を有する可撓性の連結ユニット36のさらなる実施形態を示す。一実施形態において、剛性の端部分9’およびスペーサは、上に説明されたように生体適合性のある金属または金属ハイブリッドの材料から作製され得る。連結ユニット36は、図9’に関連して上に説明されたような、剛性の端部分9’とスペーサ37の各々における軸方向の空洞または穴(図示せず)を横断する可撓性ワイヤ32をさらに備える。図12Bは、ワイヤ32がどのように剛性の端部分9’およびスペーサ37の中央軸穴に挿入されるかをさらに示す連結ユニット36の分解図を示す。図12Bにさらに示されるように、端部分9’およびスペーサ37の各々は、直接隣接する端部分9’またはスペーサ37におけるメス型連動空洞(図示せず)に嵌合するように形成される、オス型の連動部材38を備える。図12Cは、分解側面図を図示し、対応するオス型連動部材38を収容するためのメス型連動空洞39の位置および構成を破線で示す。
【0035】
図13は、本発明の別の実施形態に従う可撓性の連結ユニット40の斜視図を示す。連結部40は、上に説明した連結ユニット36と同様であるが、スペーサ42は、剛性の端部分9’と同一の形状および設計を有するように設計されている。さらに、端部分9’は、横方向の側面に配置される出穴または溝44を有し、この穴または溝を通して、ワイヤ32が、抜き出され得、引っ張られ得、クランプで固定され得るかまたは金属クリップ(図示せず)もしくはその他の既知の技術を使用して固定され得る。このようにして、可撓性の連結ユニット36または40の長さは、手術時に変更して、各患者特有の解剖学的特徴に合わせるようにしてもよい。一実施形態において、ワイヤ32は、金属クリップまたはストッパー(図示せず)を使用して固定されてもよい。例えば、クリップまたはストッパーは、ワイヤ32が貫通できるように、ワイヤ32の直径よりわずかに大きい内径を有する小さな管状の円筒を備え得る。ワイヤ32が管状ストッパーによって所望の張力まで引っ張られると、ストッパーは、圧迫されてその中に含まれるワイヤ32を摘む。あるいは、ワイヤ32は、既知の技術を使用して、既定の数のスペーサ37、42を有する連結ユニット36、40の製造時に予め固定され得る。
【0036】
図14は、本発明の別の実施形態に従う脊椎固定装置を示す。脊椎固定装置は、外側のらせん状のネジ山12を有する細長いネジ型シャフト10を含む少なくとも二つの固定部材2、および結合組み立て部品14を備える。装置は、二つの固定部材2の結合部品14にしっかりと連結されるように構成される板状連結ユニット50、または単に「板50」をさらに備える。板50は、各々が平面を有し、可撓性の中間部分8により相互に連接される二つの剛性の連結部材51を備える。可撓性の中間部分8は、図4〜11に関連して上に説明された実施形態のいずれかに従って作製され得る。各連結部材51は、結合組み立て部品14の第二のネジ山の入ったシャフト54(図15)によって収容するように設計される結合穴52を含む。
【0037】
図15に示されるように、固定部材2の結合組み立て部品14は、第一のネジ山の入ったシャフト10の先端に隣接し、第一のネジ山の入ったシャフト10の円周よりも大きい円周または直径を有するボルトヘッド56を備える。第二のネジ山の入ったシャフト54は、ボルトヘッド56から上部に延びる。結合組み立て部品14は、連結部材51をボルトヘッド56の上面に対してクランプで固定し、しっかりと板50を椎弓根スクリュー2に装着するために、第二のネジ山の入ったシャフト54と嵌合するように構成される内側にネジ山を有するナット58、および一つ以上の座金60をさらに備える。
【0038】
図16Aおよび16Bは、少なくとも二つの結合部材51、および二つの隣接する連結部材51の間に配置されそれらに装着される少なくとも一つの可撓性部分8を有する板状連結ユニット40の二つの実施形態を示す。図16Aおよび16Bに示されるように、可撓性の中間部分8は、図11に関連して上で説明したように可撓性の金属編組ワイヤ構造体36を備える。しかしながら、可撓性部分8は、図4〜11に関連して上で説明された実施形態のいずれか、またはその組み合わせに従って設計および製造され得る。図16Cおよび16Dは、図16Aの板50の側面図および上面図それぞれを示す。上に説明されるように、異なる種類の可撓性の中間部分8を有する可撓性の連結ユニット50および58の異なる実施形態に関する製造は、既知の冶金、有機ポリマー、天然樹脂、または複合材料、ならびに適合する製造プロセスおよび機械プロセスを使用して容易に達成される。
【0039】
図16Eは、本発明のさらなる実施形態に従う、予め曲げられた板状の連結ユニット50’の側面図を示す。この板状の連結ユニット50’は、板50と同様であるが、連結部材51’は、板状連結ユニット50’の製造時に平行面53から角度θで形成または曲げられる。図7の予め曲げられた棒状連結ユニット4に関連して上に説明されたように、この予め曲げられた構成は、脊椎の元々の湾曲(例えば、前弯)を再現し、支持するように設計される。さらにまたはあるいは、この予め曲げられた構造は、図23Aに関連して以下にさらに詳細に説明されるように、二つの隣接する椎弓根スクリューが相互に平行に挿入されない場合、スキュー角を相殺し得る。
【0040】
図17は、椎弓根スクリュー2の第二のネジ山の入ったシャフト44を収容するために結合穴64をそれぞれに有する二つの板状の連結部材62を備える板状の連結ユニット60の斜視図を示す。可撓性の中間部分8は、二つの連結部材62の間に配置されそれらに装着される。一実施形態において、可撓性の中間部分8は、図9に関連して上に説明されたようにワイヤ32と同様の方法で作製されるが、図9に示される円柱型または円形の構成の代わりに長方形の構成を有する。しかしながら、可撓性の中間部分8は、上に説明された実施形態のいずれかの設計および材料に従って作製され得ることが理解される。
【0041】
図18は、図17の板60さらなる実施形態の斜視図を示し、結合穴64は、ナット58(図15)を結合穴64に収容および固定するために、連結部材62の上部に切り込まれた一つ以上のナット案内溝66を備える。ナット案内溝66は、ナット58の少なくとも一部分を収容および保持し、連結部材62が椎弓根スクリュー2のボルトヘッド56にクランプで固定された後に結合穴64内でのナット58の横滑りを防止するように構成される。
【0042】
図19は、図4〜7に関連して上に説明されたような剛性の棒状連結部材4、9、または9’を連結ユニット70の一端に有し、そして図14〜18に関連して上に説明されたような板状の連結部材51または62を連結ユニット70の他方の一端に有する、ハイブリッドの板状および棒状の連結部70の斜視図を示す。一実施形態において、可撓性部材8が、棒状連結部材9(9’)と板状連結部材52(64)の間に配置される。可撓性部材8は、図8〜13に関連して上に説明された実施形態のいずれかに従って設計および製造され得る。
【0043】
図20は、図19のハイブリッドの板状および棒状の連結ユニット70を利用する脊椎固定装置の斜視図を示す。図20に示されるように、この固定装置は、二種類の固定部材2(例えば、椎弓根スクリュー)を利用し、それらは、図15に関連して上に説明されるように板状連結部材42(64)をしっかりと保持するように構成される第一の固定部材2’、および図3に関連して上に説明されたように棒状連結部材4、9、または9’をしっかりと保持するように構成される第二の固定部材2”である。
【0044】
図21は、図1に示される実施形態に従う、椎体を柔軟に安定させるために、二つの隣接する椎体80および82に装着された後の、二つの脊椎固定装置の上面斜視図を示す。図22Aおよび22Bは、脊椎の二つ以上の隣接する椎体に装着された後の、図16Aの可撓性の安定化部材50および16Bの可撓性の安定化部材58を使用する脊椎固定装置の上面斜視図をそれぞれ示す。
【0045】
図23Aは、二つの隣接する椎体の椎弓根に移植された後の、脊椎固定装置の側面図を示す。この図に示されるように、椎弓根スクリュー2は、椎弓根の骨に装着され、スクリュー2の中心軸80が、平行面82からθ角度でずれるようにし、二つのスクリュー2の中心軸80が相互に約2θの角度でずれるようにする。この種類の椎弓根スクリュー2の非平行挿入は、最小侵襲手術を実施する際に利用可能な限られたスペースを使用することに起因して、頻繁に行われる。さらに、椎弓根スクリュー2は、患者の脊椎の元々の湾曲(例えば、前弯)により、平面から斜めに挿入される傾向があり得る。従って、椎弓根スクリュー2が椎弓根に最終的にいかに固定されるかという非平行の性質により、棒状または板状連結ユニットを椎弓根スクリュー2の各々に装着する際に、このスキューを相殺することが望ましい。
【0046】
図23Bは、本発明の一実施形態に従う、椎弓根スクリューの頭部の側面図を示す。スクリュー2は、図3に関連して上に説明されたような円筒型頭部16と同様の円筒型頭部84を備えるが、円筒型頭部84は、上に説明されたような椎弓根スクリュー2の傾斜またはスキューθを相殺する傾斜方向で、可撓性棒4を収容および保持すように構成される傾斜収容部86を備える。改善された椎弓根スクリュー2は、円筒型頭部84の空洞内にしっかりと適合し、傾斜収容部86と同じ傾斜で傾斜棒4を押し下げるように構成される傾斜安定化スペーサ88をさらに備える。椎弓根スクリュー2は、傾斜スペーサ88および棒4を傾斜収容部86、つまり椎弓根スクリュー2の円筒型頭部84にクランプで締め付けて固定するために、円筒型頭部84の内面に沿ったらせん状のネジ山(図示せず)に嵌合するように構成される、外側にネジ山の入ったナット22をさらに備える。
【0047】
図23Cは、本発明の実施形態に従う、傾斜スペーサ88の斜視図を示す。スペーサ88は、円形の中央部分90と、円形の中央部分90の反対側から外側に延びる二つの長方形の端部分92を備える。図23Dは、椎弓根スクリュー2のスキュー角θを補正または相殺するために、一端から別の一端への傾斜をさらに示すスペーサ88の側面図を示す。図23Eは、棒4および傾斜スペーサ88を収容するよう設計される円筒型頭部84の上面図を示す。棒4は、棒4が、円筒型頭部84の円形または円筒型の空洞96に入り、円形または円筒型空洞94内で形成される傾斜収容部86の先端に配置することを可能にする、円筒型頭部84の円筒型側壁の二つの開口部またはスロット94を介して収容される。棒4が傾斜収容部86に配置されると、傾斜安定化スペーサ88は空洞96に収容され、二つの長方形の端部分92が二つのスロット94内で収容されるようにし、円筒型空洞96内でのスペーサ88の横方向の回転を防止する。最後に、外側にネジ山の入ったナット22および固定キャップ26は、傾斜スペーサ88の上に挿入され、スペーサ88と棒4を円筒型頭部84内でしっかりと保持する。
【0048】
図24は、椎弓根スクリュー2が挿入される椎弓根上の所望の位置をマーキングし、最小侵襲性手術手技を使用して椎弓根スクリュー2をマークされた位置に誘導するためのマーキングおよび誘導装置100の斜視図を示す。図24に示されるように、マーキング装置100は、患者の筋肉および組織を貫通し椎弓根まで達する一方の端部に鋭い先端105を有する内部トロカール104を中空部内に収容する管状の中空ガイダー52を備える。内部トロカール104は、他方の一端にトロカールグリップ106をさらに備え、トロカール104を挿入および除去し易くする。一実施形態において、マーキングおよび誘導装置100は、誘導ハンドル108を備え、装置100を操作し易くする。
【0049】
図25に示されるように、トロカール104は、管状のガイダー102の中空に挿入されるように、ガイダー102の中空部の内径よりも小さい直径を有する長いチューブまたは円筒の形状である。トロカール104は、椎弓根を通って椎体を貫通するために、さらに鋭いまたは先の尖った先端105をさらに備える。トロカール104は、トロカール104が中空部から完全に滑り落ちないようにするため、ガイダーチューブ102の中空の直径よりも大きい直径を有するトロカールグリップ106をさらに備える。また、トロカールグリップ106によって、トロカール104は操作し易くなる。
【0050】
図26Aおよび26Bは、患者の背部に挿入され、筋肉および軟組織を通して椎弓根上の所望の位置に差し込まれた後の、マーキングおよび誘導装置100の斜視図を示す。所望の位置は、X線または放射線画像などの既知の技術を使用して比較的短い時間で決定される。マーキングおよび誘導装置100が挿入された後に、患者は長い間X線照射を浴びる必要はない。図26Bに示されるように、誘導チューブ102が椎弓根の所望の位置に配置されると、内部トロカール104は取り除かれ、基準ピン(図示せず)が誘導チューブ102の中空部に挿入できるようにし、その後、椎弓根に固定される。
【0051】
図27Aおよび27Bは、基準ピン110および112の二つの実施形態の斜視図をそれぞれ示す。上述のとおり、本発明に従う基準ピン110および112は、中空ガイダー102を通過した後、椎弓根に挿入および固定される。ピン110および112は、ガイダー102の中空部を通過するために、ガイダーチューブ102の中空部の内径よりも小さい直径を有する円筒の形状を有する。各基準ピンの端部は、脊柱の椎弓根に容易に挿入および固定されるように構成される、鋭く尖った先端111である。一実施形態において、図27Bに示されるように、基準ピンの他方の端部には、ピン112を抜き出すために、回収器(図示せず)の内側のネジ山の入ったチューブに嵌合するように構成される、ネジ山の入ったシャフト114が組み込まれている。この回収器は、図32に関連して以下にさらに詳細に説明される。
【0052】
基準ピン110、112は、好ましくは、椎弓根に容易に挿入するために、耐久性のある剛性の生体適合性の金属(例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン、チタン合金)から作製される。従来技術の誘導ワイヤとは対照的に、比較的短い長さとさらに剛性の構造から、基準ピン110、112は、曲げ破損または構造破損のリスクを負うことなく椎弓根内まで容易に駆動される。上に説明したように、従来技術の誘導ワイヤを駆動するプロセスは、非常に難しい場合が多く、かつ時間を要する。椎弓根上の挿入点への基準ピン110、112の挿入は、外科医にとって非常に容易かつ便利であり、さらに、患者の背部から突き出る誘導ワイヤによってその後の手順を妨げることはない。
【0053】
図28は、差し込みトロカール116の本体より大きい直径の円筒型頭部118を有する円筒型の差し込みトロカール116を示す。本発明に従う差し込みトロカール116は、基準ピン110または112を椎弓根内まで駆動し固定するために、基準ピン110または112がガイダー102の中空部に挿入された後、ガイダー102の中空部に挿入される。このピンの挿入手順中、医師は、トロカール頭部118をノミまたはハンマーで打ち、基準ピン110および112を椎弓根内まで駆動する。好適な実施形態において、差し込みトロカール116は円筒型チューブの形状であり、ガイダーチューブ112の中空部の内径より小さい直径を有する。また、差し込みトロカール116は、医師がノミまたはハンマーで容易に打つことを可能にするように、差し込みトロカール116の直径よりも大きい直径を有する円筒型頭部118を備える。もちろん、他の実施形態において、ハンマーまたはノミは必ずしも必要ではない。例えば、各症例の病状によって、外科医は、差し込みトロカール116の頭部118を自身の掌またはその他の物で押すことまたは叩くことを選択し得る。
【0054】
図29Aは、ハンマーまたは木槌120、および差し込みトロカール116がピン110、112をガイダーチューブ102の中空部を通して、椎弓根の所望の位置まで駆動するためにどのように使用され得るかを示す。図29Bは、二つの基準ピン110、112が二つの隣接する椎体まで駆動および固定された後の、椎弓根の斜視断面図を示す。
【0055】
基準ピン110または112が、上に説明のように椎弓根に挿入された後、一実施形態において、椎弓根スクリュー2を椎弓根の骨に容易に挿入および装着することができるように、各ピン110、112を中心とする大きめの穴または領域が形成される。大きめの穴は、図30に示されるような管状目打ち122を使用して形成される。管状目打ち122は、椎弓根の所望の位置に固定される基準ピン110、112の上に挿入される。目打ち122は、円筒型の中空チューブの形状をしており、この中空部の内径は、ピン110、112が目打ち122の中空部に挿入され得るように、基準ピン110および112の外径よりも大きい。目打ち122は、基準ピン110、112を中心とする大きめの挿入点を形成するために、組織および骨を切断および穿孔するための一つ以上の鋭い歯124を第一の端部にさらに備え、椎弓根スクリュー2がさらに容易に椎弓根に移植され得るようにする。図31は、椎弓根スクリュー2(図示せず)のための大きめの挿入穴を形成するために、基準ピン110、112の上に、管状目打ち122が患者の背部の最小侵襲性切開に挿入される際の、患者の脊柱の斜視断面図を示す。図31に示されるように、開創器130は、手術領域上の最小侵襲性切開に挿入され、開創器130の下部の管状本体は、手術領域から離すように周辺の組織を外側へ押すために拡大し、外科医が手術するためにさらなるスペースおよび視野を提供する。開創器130を挿入するために、一実施形態において、最小侵襲性切開は、患者の背部において、二つの基準ピン110、112を挿入するために使用される誘導チューブ102の二つの挿入点の間でこれらをつないで形成される。開創器130が挿入される前に、一連の段階的拡張器(図示せず)を使用して、最小侵襲性切開を事前に拡大することが一般的に必要とされており、後に使用する拡張器は、それぞれ前の拡張器より大きい直径を有する。最後の段階的拡張器が適所に置かれると、開創器130は、下部の管状本体が格納され、拡張されていない状態で挿入される。開創器130が所望の深さまで椎弓根に差し込まれた後、下部の管状部分は、その後、図31に示されるように拡大される。段階的拡張器および開創器の使用は、当該分野において周知である。
【0056】
管状目打ち122が、椎弓根スクリュー2のための大きめの挿入穴を形成した後、一実施形態において、基準ピン110、112は取り除かれる。上に説明したとおり、基準ピン112が使用された場合、椎弓根スクリュー2の移植前に、回収装置140を使用して、基準ピン112を除去し得る。図32に示されるように、回収器140は、基準ピン112の外側にネジ山の入った上部114と嵌合するように構成される、内側にネジ山の入った端部142を有する長い管状または円筒型の部分を備える。回収器の端部142がネジ山の入った端部114の上にねじ込まれると、医師は、基準ピン112を椎弓根から引き抜き得る。別の実施形態において、ネジ山の入った上部を持たない基準ピン110が使用される場合、適切な器具(例えば、特製ニードルノーズプライヤー)を使用して、ピン110を引き抜き得る。
【0057】
他の実施形態において、基準ピン110、112は椎弓根から除去されない。代わりに、特製の椎弓根スクリュー144が、ピン110、112を事前に除去せずに、ピン110、112の上から椎弓根に挿入され得る。図33に示されるように、特製の椎弓根スクリュー144は、外側にネジ山の入ったシャフト10、および可撓性の棒状連結ユニット4(図4〜13)を収容するための円筒型頭部16(図3)を有する結合組み立て部品14(図3)を備える。あるいは、結合組み立て部品14は、図14〜20に示されるような板状連結ユニットを収容するよう構成されてもよい。椎弓根スクリュー144は、開口部146をシャフト10の先端に有し、基準ピン110、112をその中に収容するように構成される、長手軸方向の軸方向溝(図示せず)をネジ山の入ったシャフト10内にさらに備える。
【0058】
図34は、挿入装置150を使用して椎弓根スクリュー2が第一の椎弓根に挿入された後の、患者の脊柱の斜視断面図を示す。椎弓根スクリュー2を挿入するために、当該分野で既知であるさまざまな種類の挿入装置150を使用し得る。図34に示されるように、第一の椎弓根スクリュー2が移植された後、開創器130は、第二の基準ピン110、112の位置に第二の椎弓根スクリューを挿入するためのスペースおよび視野を提供するために、わずかに調整および移動される。
【0059】
図35は、本発明に従う、二つの椎弓根スクリュー2が二つのそれぞれの隣接する椎弓根に移植された後の、患者の脊柱の斜視断面図を示す。椎弓根スクリュー2が適所に置かれると、図4〜20に関連して上に説明されたような可撓性の棒状、板状、またはハイブリッドの連結ユニットは、脊椎の柔軟性のある安定化を提供するために、椎弓根スクリューに連結され得る。その後、開創器130は取り除かれ、最小侵襲性切開は閉鎖および/または縫合される。
【0060】
図36Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒200の斜視図を示す。棒200は、図1〜3に関連して上に説明されたような固定部材2によって固定されるように構成される。好適な実施形態において、以下に説明される棒200、棒210、220、230、および240は、既知の生体適合性材料、例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン、チタン合金、ニチノール、およびその他の適切な金属製の組成物または材料などから作製される中実の円柱状の棒で構成される。図36Aに示されるように、らせん状の溝202は、棒200の円柱型の本体の長さの少なくとも一部分に沿って切り込まれるかまたは形成される。典型的な実施形態において、棒の長さ「l」は、4センチメートルから8センチメートル(cm)の間であり得、その円柱の直径「D」は、4ミリメートルから8ミリメートル(mm)である。らせん状の溝202は、0.1mmから0.5mmの間の幅「w」を有し、らせん状の角度θは、水平から50度から85度の間である。らせん状の溝202の間の距離は、3mmから6mmの間であり得る。しかしながら、当業者に理解できるように、上記の寸法は、単に例示的なものであり、特定の患者または用途に適切である所望の可撓性、ねじれ、および強度の特性を達成するために変更され得る。
【0061】
図36Bは、図36AのB−Bの線に沿って見た、可撓性棒200の断面図を示す。図示されるように、らせん状の溝202は、円柱型棒200の中心の長手方向軸に向かって切り込まれる。溝は、中実または中空の棒に、ヘリックスまたは中断されたヘリックスとして、らせん状の方法で連続的に形成され得るか、または中実の棒に、不連続の円周方向の溝として形成されてもよい。中空の棒に、不連続の周方向の溝が形成される場合、これらの溝は、不連続性を回避するために一部のみ棒の材料に貫通することができる。一実施形態において、溝202の深さは、図36Bに示されるように棒200の円柱半径にほぼ等しく、円柱型棒200の中心の長手方向軸の深さまで貫通する。しかしながら、棒の断面積および形状、長手軸方向部材の溝付き部分の溝深さ、溝幅、溝の断面形状、および溝から溝のスペースは、必要に応じて機械的特徴および構造的特徴を調整するために変更してもよい。例えば、溝の深さまたは幅が増加すると可撓性が増加するが、溝から溝のスペースが増加すると、可撓性が減少する。これは、指定の曲げ力での棒の曲げの程度を修正し、棒の曲げ形状をあつらえ、曲げ中に棒における機械的応力を均一にして、材料疲労を最小限に抑え、棒の信頼性を向上するために使用可能である。
【0062】
図37Aは、本発明の別の実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒210を示す。棒210は、棒210の本体に穿孔または形成される複数の横断型穴またはトンネル212を備える。一実施形態において、トンネル212は、円柱型棒210の中心の長手方向軸を水平からΦの角度で貫通する。各トンネル212の開口部は、棒210の円筒型側壁の反対側に位置し、隣接するトンネル212は、円筒型側壁の一側面で共通の開口部を共有し、図37Aに示されるように、棒210の中心の長手方向軸を横断して貫通する内部トンネル212のジグザグ模様を形成する。一実施形態において、各トンネル212の直径Dは、棒210の所望の機械的特徴および構造的特徴(例えば、可撓性、ねじれ、および強度)に応じて0.2mmから3mmの間で変更され得る。しかしながら、これらの寸法は例示的であり、使用される材料ならびに所望の構造的特徴および機械的特徴に応じて、その他の直径Dが必要とされ得ることが理解される。同様に、水平線からの角度Φは変更して、トンネル212の数または隣接するトンネル212間の距離を変更してもよい。
【0063】
図37Bは、図37AのB−Bの線に沿って見た、可撓性棒210の断面図を示す。トンネル212は、棒210の中心の円柱軸を通るように切り込まれ、トンネル212の開口部が、棒210の円筒型側壁の反対側で形成されるようにする。
【0064】
図38Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒220の斜視図を示す。棒220は、図36Aおよび36Bに関連して上に説明されたらせん状の溝202の他に、図37Aおよび37Bに関連して上に説明される横断型のトンネル212を備える。らせん状の溝202は、棒220の円筒型の側壁面に棒220の中心の縦方向軸に向かって切り込まれる。上に説明されるように、らせん状の溝202の寸法およびその水平線からの角度θ(図36A)は、所望の機械的特徴および構造的特徴に応じて変更され得る。同様に、横断型トンネル212の寸法およびその水平からの角度Φ(図37A)は、所望の機械的特徴および構造的特徴に応じて変更され得る。一実施形態において、角度θおよびΦは、実質的に同じであり、したがってトンネル212の開口部は、棒220の円柱型側壁の反対側において、らせん状の溝202と実質的に一致する。
【0065】
図38Bは、図38AのB−Bの線により示される観点に沿って見られる、可撓性棒の上面図を示す。図38Bに示されるように、トンネル212の開口部はらせん状の溝202と一致する。らせん状の溝202と横断型トンネル212の両方を、中実の棒220に提供することによって、異なる患者、用途、脊椎固定のレベルにとって適切な多数の所望の機械的特徴および構造的特徴が達成され得る。
【0066】
図39Aは、本発明の別の実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒230を示す。棒230は、棒230の本体に形成される複数の横断型トンネル232を備える。トンネル232は、図37Aおよび37Bに関連して上に説明されるトンネル212と実質的に同じであるが、トンネル232はジグザグ模様に結合されていない。むしろ、各トンネル232は、すぐ隣接するトンネル232に対して実質的に平行であり、トンネル232の開口部は、隣接するトンネル232の開口部に一致しない。図39Aに示されるように、本実施形態における水平からの角度Φは、およそ90度である。しかしながら、その他の角度Φが、本発明に従って組み込まれてもよいことが理解される。トンネル232(およびトンネル212)の寸法、サイズ、および形状は、所望の機械的特徴および構造的特徴を達成するために変更されてもよいことがさらに理解される。例えば、トンネル212および232の断面形状は、円形である必要はない。代わりに、例えば、楕円形または菱形、またはその他の所望の形状であってもよい。
【0067】
図39Bは、図39AのB−Bの線に沿って見た、棒230の断面図を示す。図39Bに示されるように、横断型トンネル232は、棒230の中心の長手方向軸を通って垂直および横方向に移動する。図39Cは、棒230のさらなる実施形態の断面図を示し、追加の横断型トンネル232’が第一の横断型トンネル232に実質的に直交して形成され、第一の横断型トンネル232と中心の円柱軸点で交差する。このようにして、棒230のさらなる可撓性が所望のとおりに提供され得る。
【0068】
図40Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の棒240の斜視図を示す。棒240は、図40Aに示されるように、実質的に相互に直交し、交差しない、複数の交互に配置される横断型トンネル232および242を備える。図40Bに断面図が示される別の実施形態において、隣接するトンネル232および242は相互に直交する必要はない。各トンネル232、242は、直前に隣接するトンネル232、242から所望の角度ωでずれ得る。当業者に確認され得るように、必要以上の実験を実施せずに、トンネルの寸法、数、および相互に関する角度方向を変更することによって、脊椎固定装置に使用される可撓性棒のさまざまな所望の機械的特徴および構造的特徴が達成され得る。
【0069】
図41Aは、脊椎安定化システムのための長手軸方向部材が、端部280と282との間に可撓性セクション284を有する、本発明の実施形態の断面図を図示する。これらの端部は、図3の固定部材2と嵌合するように構成される。図41Aは、可撓性セクション284が中空であり、空洞287を有し、この空洞を通って、端部280および282に連結されるテザー286が延びることを、さらに図示する。テザー286を長手軸方向部材の端部280および282の各々に連結するための種々の例示的な方法は、図43〜図46を参照しながら、以下でより詳細に記載される。
【0070】
図41Aを再度参照すると、テザー286は、たるみ位置で示されている。長手軸方向部材は、図42Aにおいて、元の位置290から第二の位置292へと屈曲するように図示されており、この長手軸方向部材は、端部293に固定されている。屈曲端部296の移動(d)291は、外部から付与される屈曲力(f)292から生じる。長手軸方向部材が屈曲すると、図41Aのテザー286は、図42Bの移動レベル(dt)295において、張られる(taught)。図42Bは、外部から付与される屈曲力(f)の関数として、長手軸方向部材の移動(d)を図示するグラフである。屈曲抵抗の増加(すなわち、増加する力に応答する移動の減少)は、長手軸方向部材の屈曲範囲を(dt)295まで制限するように働き、これによって、脊椎安定化システムの屈曲範囲(この範囲を超える、脊椎のさらなる屈曲が制限される)を制限する。
【0071】
図41Bは、テザー286が長手軸方向部材の中心軸382からずれた位置で取り付けられており、これによって、異なる屈曲方向で屈曲範囲を異なるように制限することを除いて、図41Aと同様である長手軸方向部材を有する実施形態の断面図を図示する。この異なる屈曲範囲の制限は、テザーが、図42Aの角度に依存する大きさの移動(d)で張られ、これによって、可撓性脊椎安定化システムの屈曲範囲(この範囲を超える、脊椎のさらなる屈曲が制限される)を、直接制限するからである。
【0072】
図41Cは、テザー290が予め張力を受けている結果、長手方向軸部材が、外部から付与される力の非存在下で屈曲し、その結果、この長手軸方向部材が、脊椎の湾曲領域に一致するような形状を予め有することを除いて、図41Bと同じ長手軸方向部材を有する実施形態の、断面図を図示する。上に記載された、直接制限される屈曲範囲は、脊椎の変形性を選択的に安定化または調節するために、長手軸方向部材の移動が一方向に実質的に制限されていることを除いて、図41Cに図示される実施形態の特徴でもある。
【0073】
図43は、テザー308の一端が調節可能部材316に連結されていることを除いて図41Aと同じ長手軸方向部材の実施形態の断面図を示す。この実施形態において、調節可能部材316は、外側にネジ山の入ったセクション312を有する円柱形の部品であり、このセクションは、長手軸方向部材の端部302の内側にネジ山の入ったセクション303と嵌合する。テザー308は、長手軸方向部材の端部300に回転不可能に固定される。調節可能部材316のスロット314は、調節可能部材316を軸周りに回転させるために、例示的には、ねじ回しスロットまたは六角穴である。滑り型継手317を回転させることによって、調節可能部材316は、軸周りに回転することが可能であり、一方で、テザー308は回転せず、同時に、軸方向の力を、調節可能部材316からテザー308へと伝達して、調節可能部材316を回転により調節することによってテザー308に対する圧縮または張力の付与を可能にし、その結果、調節可能部材316の軸方向の移動が生じる。このことは、テザー308に対する張力を調節するための、容易な、信頼性のある方法を提供する。図41Bに示されるように、調節可能部材314は、中心軸283からずれて位置決めされて、図41Bに関して上で議論されたように、長手軸方向部材の異なる屈曲方向での異なる屈曲特徴を提供し得るか、または図41Cに関して上で議論されたように、長手軸方向本体における屈曲をさらに提供し得る。
【0074】
図44は、図43と同様の別の実施形態のための長手軸方向本体の断面を示すが、図44においては、テザー308が、外側にネジ山の入った調節可能部材313に回転不可能に取り付けられる。滑り型継手319を回転させることにより、調節可能部材313は、テザー308と一緒に軸周りに回転することが可能であり、一方で、テザー308を長手軸方向部材の端部300に軸方向に固定すると、調節可能部材313を回転により調節することによって、テザー308への圧縮または張力の付与が可能になる。このことは、テザーに対する張力を調節するための、容易な、信頼性のある方法を提供する。
【0075】
図45は、なお別の実施形態の断面を示す。この場合、テザー308は、長手軸方向本体の端部300に回転不可能に取り付けられ、そして長手軸方向本体の端部302を越えて、外側にネジ山の入ったセクション315まで延びる。外部ナット318は、外側にネジ山の入ったセクション315と嵌合するように構成された、内側にネジ山の入ったセクションを有し、そして回転させられると、端部302に当接し得、これによって、テザー308に張力を付与する。外部ナット318は、テザー308に対する望ましい張力が達成された後に、ねじ切りされたセクション315を固定位置に固定するための、ロッキング部材の例示である。あるいは、座金320が、ナット318と端部302との間に置かれ得る。座金320は、端部302とナット318との隣接する表面の間での磨耗および回転摩擦を排除するための、平座金であり得るか、または座金320は、端部302に対するナット318の回転に抵抗し、不慮の緩みを防止するための、固定型の座金であり得る。あるいは、座金320は、2つの型の座金の組み合わせであり得る。止め座金は、単純なスプリットリング構成であり得るか、またはより精巧な設計であり得、これらの全ては、機械分野において周知である。
【0076】
図46は、図45に示される実施形態と類似の長手軸方向部材の斜視図を図示する。
【0077】
図41および図43〜図46に示される長手軸方向部材は、生体適合性材料から製造され、上記のように、ヒトの身体に移植するために適切である。さらに、図43の調節可能部材316および図44の調節可能部材313、ならびに図45および図46のテザー308、ナット318、および任意の座金320は、このような生体適合性材料から作製される。なぜなら、これらもまた、移植される場合に身体組織および体液と接触し得るからである。
【0078】
テザー(図41の286および290、ならびに図43〜図46の308)は、脊椎安定化システムを調節するために望ましいように、(i)張力のために適切な、ワイヤ、複数のワイヤの束、繊維、複数の繊維の束、編組構造体、リボン、および複数のリボンの束、あるいは(ii)圧縮または張力のために適切な、種々の断面の中実および/または中空の棒などの構造的形態をさらに呈し得る。
【0079】
さらなる実施形態において、図47に図示されるように、長手軸方向部材は、必ずしも中空である必要はなく、そしてテザー308は、この長手軸方向部材の端部300および302の外側に取り付けられる。テザー308は、公知の適切な手段および技術に従って、取り付けられ得る。1つの実施形態において、取付具としては、回転不可能な取付具(例えば、溶接)が挙げられる。他の実施形態において、テザー308は、回転可能な取り付け手段(例えば、上に記載されたもの(例えば、滑り型継手)または他の技術(例えば、玉継手など))によって、取り付けられ得る。1つ以上のテザー308を、長手軸方向部材の周囲の周りの種々の位置に配置することは、屈曲の方向的制限を提供し得、そして長手軸方向部材の長手軸方向伸長を制限し得る。あるいは、長手軸方向部材の長軸に対して鋭角で外側に取り付けられたテザー308aは、この長手軸方向部材の回転をさらに制限し得る。
【0080】
本発明のさまざまな実施形態が上に説明された。しかしながら、当業者は、好適な実施形態の上述の説明が単に例示的なものであり、本発明が上に開示された装置および技術の修正または変更を伴って実施されてもよいことを理解する。当業者は、本明細書中に記載された本発明の特定の実施形態に対する多数の均等物を理解すること、または慣用的な実験だけを使用して解明することが可能である。このような修正、変更、および均等物は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神および範囲内であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う、脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図2】図2は、本発明の別の実施形態に従う、脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従う、図1および図2の椎弓根スクリュー2の結合組み立て部品14の分解図を示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従う、可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図5】図5は、本発明の別の実施形態に従う、可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図6】図6は、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に従う、予め曲げられた可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に従う、連結ユニットの可撓性部分の斜視断面図を示す。
【図9】図9は、本発明の別の実施形態に従う、連結ユニットの可撓性部分の斜視断面図を示す。
【図10】図10は、本発明のさらなる実施形態に従う、連結ユニットの可撓性部分の斜視断面図を示す。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に従う、可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図12A】図12Aは、本発明の一実施形態に従う、二つの端部分の合間に一つ以上のスペーサを有する可撓性の連結ユニットの斜視図を示す。
【図12B】図12Bは、図12Aの可撓性の連結ユニットの分解図を示す。
【図12C】図12Cは、本発明の一実施形態に従う、図12Aおよび12Bの可撓性の連結ユニットのオス型およびメス型の連動要素の図を示す。
【図13】図13は、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の連結ユニットの斜視図を示す。
【図14】図14は、本発明の別の実施形態に従う、脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図15】図15は、図14の脊椎固定装置の分解図を示す。
【図16A】図16Aは、本発明の一実施形態に従う、可撓性の板状連結ユニットの斜視図を示す。
【図16B】図16Bは、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の板状連結ユニットの斜視図を示す。
【図16C】図16Cは、図16Aの可撓性の板状連結ユニットの側面図を示す。
【図16D】図16Dは、図16Aの可撓性の板状連結ユニットの上面図を示す。
【図16E】図16Eは、本発明のさらなる実施形態に従う、予め曲げられた設計を有する図16Aの可撓性の板状連結ユニットの側面図を示す。
【図17】図17は、本発明の別の実施形態に従う、可撓性の板状連結ユニットの斜視図である。
【図18】図18は、本発明の別の実施形態に従う、可撓性の板状連結ユニットの斜視図を示す。
【図19】図19は、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の中間部分を有するハイブリッドの棒−板状連結ユニットの斜視図を示す。
【図20】図20は、図19のハイブリッドの棒−板状連結ユニットを利用する脊椎固定装置の斜視図である。
【図21】図21は、患者の脊柱に移植後の図1の脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図22A】図22Aは、図16Aの板状連結ユニットを利用する脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図22B】図22Bは、図16Bの板状連結ユニットを利用する脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図23A】図23Aは、本発明の一実施形態に従う、あるスキュー角で二つの隣接する椎体の椎弓根に挿入される二つの椎弓根スクリューの斜視図を示す。
【図23B】図23Bは、本発明の一実施形態に従う、椎弓根スクリューの結合組み立て部品の構造図を示す。
【図23C】図23Cは、本発明の一実施形態に従う、傾斜した安定化スペーサの斜視図を示す。
【図23D】図23Dは、図23Cの傾斜した安定化スペーサの側面図を示す。
【図23E】図23Eは、図23の椎弓根スクリューの円筒型頭部の上面図である。
【図24】図24は、本発明の一実施形態に従う、マーキングおよび誘導装置の斜視図を示す。
【図25】図25は、図24のマーキングおよび誘導装置の分解図を示す。
【図26A】図26Aは、図24のマーキングおよび誘導装置が手術中に挿入された後の、患者の脊椎の斜視断面図を示す。
【図26B】図26Bは、図24のマーキングおよび誘導装置の内部のトロカールが除去される際の、患者の脊椎の斜視断面図を示す。
【図27A】図27Aおよび27Bは、基準ピンに関する二つの実施形態の斜視図をそれぞれ示す。
【図27B】図27Aおよび27Bは、基準ピンに関する二つの実施形態の斜視図をそれぞれ示す。
【図28】図28は、本発明のさらなる実施形態に従う、差し込みトロカールの斜視図である。
【図29A】図29Aは、本発明の一実施形態に従う、図28の差し込みトロカールが基準ピンを椎弓根の指定の位置に駆動するために使用される際の、患者の脊椎の斜視断面図を示す。
【図29B】図29Bは、本発明の一実施形態に従う、二つの基準ピンが二つの隣接する椎弓根に移植された後の患者の脊椎の、斜視断面図を示す。
【図30】図30は、本発明の一実施形態に従う、管状目打ちの斜視図である。
【図31】図31は、本発明の一実施形態に従う、図30の管状目打ちが椎弓根スクリューのための挿入穴を拡大するために使用される際の、患者の脊椎の斜視断面図を示す。
【図32】図32は、本発明の一実施形態に従う、基準ピン回収装置の斜視図である。
【図33】図33は、本発明のさらなる実施形態に従う、基準ピンの少なくとも一部分を収容するための軸方向の円筒型空洞を有する椎弓根スクリューの斜視図である。
【図34】図34は、本発明の一実施形態に従う、一つの椎弓根スクリューが椎弓根の指定の位置に移植された後の患者の脊椎の、斜視断面図である。
【図35】図35は、本発明の一実施形態に従う、二つの椎弓根スクリューが二つの隣接する椎弓根の指定の位置に移植された後の、患者の脊椎の、斜視断面図である。
【図36A】図36Aは、本発明の一実施形態に従う、らせん状の溝が切り込まれた、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図である。
【図36B】図36Bは、図36AのB−Bの線に沿って見た、図36Aの可撓性棒の断面図を示す。
【図37A】図37Aは、本発明の一実施形態に従う、棒の本体内に横断型トンネルを有する、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図を示す。
【図37B】図37Bは、図37AのB−Bの線に沿って見た、図37Aの可撓性棒の断面図である。
【図38A】図38Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、棒の本体内に切り込まれたらせん状の溝と横断型トンネルを有する、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図である。
【図38B】図38Bは、図38AのB−Bの線の観点からの、図38Aの可撓性棒の上面図である。
【図39A】図39Aは、本発明の別の実施形態に従う、棒の本体内に横断型トンネルを有する、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図である。
【図39B】図39Bは、図39AのB−Bの線に沿って見た、図39Aの可撓性棒の断面図である。
【図39C】図39Cは、本発明のさらなる実施形態に従う、棒の本体内に実質的に直交する横断型トンネルを有する、図39AのB−Bの線に沿って見た、図39Aの可撓性棒の代替の断面図である。
【図40A】図40Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図を示す。
【図40B】図40Bは、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒の断面図を示す。
【図41A】図41Aは、軸上のテザーが空洞を通って延びている、脊椎安定化のための中空可撓性棒の断面図である。
【図41B】図41Bは、軸からずれたテザーが空洞を通って延びている、脊椎安定化のための中空可撓性棒の断面図を図示する。
【図41C】図41Cは、予め張力を受けている、軸からずれたテザーが、空洞を通って延びている、脊椎安定化のための中空可撓性棒の断面図を図示する。
【図42A】図42Aは、外部から付与される力に応答する長手軸方向本体の自由端の移動を図示する。
【図42B】図42Bは、図42Aに示されるシステムについての、移動対付与される力のグラフである。
【図43】図43は、内部テザーを有する長手軸方向部材の断面図を図示し、このテザーの張力または圧縮は、本発明の1つの実施形態に従って調節可能である。
【図44】図44は、内部テザーを有する長手軸方向部材の断面図を図示し、このテザーの張力および圧縮は、本発明の別の実施形態に従って調節可能である。
【図45】図45は、内部テザーを有する長手軸方向部材の断面図を図示し、このテザーの張力および圧縮は、本発明のなお別の実施形態に従って調節可能である。
【図46】図46は、図45に示されるものと類似の長手軸方向部材の斜視図を図示する。
【図47】図47は、本発明のさらなる実施形態に従う、長手軸方向部材のそれぞれの端部に連結された少なくとも1つの外部テザーを有する長手軸方向部材を図示する。
【技術分野】
【0001】
(関連出願の引用)
本出願は、2004年12月27日に出願された、発明の名称が「Adjustable Spinal Stabilization System」である米国特許出願11/024,171号の一部継続出願に関し、その米国特許出願11/024,171号は、2004年3月10日に出願された、発明の名称が「A Method and Apparatus for Flexible Fixation of a Spine」である米国特許出願10/798,014号の一部継続出願であり、その米国特許出願10/798,014号は、2003年12月5日に出願された、米国特許出願10/728,566号の一部継続出願である。
【0002】
(発明の背景)
(発明の技術分野)
本発明は、脊柱を安定させるための方法およびシステムに関し、より具体的には、一つ以上のねじ型固定部材が患者の脊柱部位に移植および固定され、さまざまな断面の可撓性で半剛性の棒状または板状の構造体(以下、それぞれ「棒」または「板」という)を有する長手軸方向部材が、固定部材の上端に連結および固定されることにより脊柱の安定化を提供する、脊椎固定の方法およびシステムに関する。
【背景技術】
【0003】
(関連技術の説明)
椎間板変性疾患(DDD)、脊椎狭窄症、脊椎すべり症などの脊柱変性疾患は、保存療法で改善しない場合に外科手術が必要になる。一般的に、最初に行う外科的手順は、脊椎除圧術である。その除圧の主な目的は、脊柱のある組織を摘出することにより脊柱管およびその神経根への圧力を軽減し、その圧力により生じる圧力や痛みを軽減または解消することにある。脊柱の組織が摘出されると痛みは軽減されるが、脊柱は弱くなる。よって、除圧手順後に脊椎を安定させるために、癒合手術(例えば、ALIF、PLIF、または後外側固定術)が必要になる場合が多い。しかしながら、外科的手順後、癒合によって最大の安定性を得るまでには時間をさらに要するので、脊椎固定装置は、一般的に、所望のレベルの癒合が達成されるまで脊柱を支持するために使用される。患者特有の事情や病状により、癒合手順を行わずに、脊椎固定術が除圧の直後に行われる場合がある。固定手術は、手術の直後に安定性を提供するため多くの症例において行われ、癒合手術が行われた場合も、十分な癒合と安定性が得られるまで脊椎を支える。
【0004】
脊椎固定の従来の方法では、損傷した脊椎部位を支持し、損傷部位の運動を防ぐために、剛性の脊椎固定装置が利用される。このような従来の脊椎固定装置には椎弓根または背骨の仙骨に所定の深さや角度で挿入されるように設計される固定ネジ、損傷した脊椎部位に隣接して配置されるように設計される棒または板、および損傷した脊椎部位を比較的固定した位置で棒または板が支持および保持するように、棒または板を固定ネジに連結および結合するための結合要素が備えられる。
【0005】
特許文献1は従来の脊椎固定装置を開示し、その開示において、棒または板状の連結部材は、椎弓根または背骨の仙骨に挿入される少なくとも一つ以上のネジの上端に装着される。棒や板などの連結ユニットは、除圧により弱くなった脊柱の損傷部位を安定させるために使用される。また、連結ユニットにより、脊柱の運動を大幅に抑制し、患者へのさらなる疼痛や損傷を防ぐ。しかしながら、連結ユニットは、長期間の使用後に脊柱の通常の運動を防ぐため、脊椎固定装置は、脊柱に関連する合併症および異常をさらにもたらす「関節症候群」(通過症候群)や「癒合症」などの悪影響を及ぼすことがある。特に、従来の固定装置に使用される棒または板の高い剛性が原因で、手術後に患者の固定された関節が動かず、手術領域の上下に位置する脊椎の関節の動きが増加する。したがって、このような脊椎固定装置により、患者の可動性は低下し、手術領域に隣接する脊柱の関節に対する圧迫や不安定性は増大する。
【0006】
脊椎固定が過度に剛性であると、剛性の固定により荷重の遮蔽が生じるため、癒合手順には有用でないこと報告されている。したがって、荷重を共有する半剛性の固定装置を使用する試験が、このような問題を排除し、骨の癒合プロセスを補助するために行われている。例えば、特許文献2、特許文献3、および特許文献4は、可撓性のある設計を有し、骨の癒合を促進するために軸方向の荷重移動(すなわち、脊椎の垂直軸に沿って)を可能にする動的脊椎安定化装置を開示する。しかしながら、このような装置は、骨の癒合手順後の使用を対象とするため、癒合を行わない脊椎固定には適していない。よって、最終結果として、このような装置は、癒合により生じる剛性の固定の問題を解決しない。
【0007】
剛性の固定に関連する上記の問題を解決するために、非癒合技術が開発されている。Grafバンドは、非癒合固定装置の一例であり、骨を癒合せず除圧後に適用される。Grafバンドは、ポリエチレンのバンドと、そのポリエチレンバンドを安定性を必要とする脊椎に連結するための椎弓根スクリューにより構成される。Grafバンドの主な目的は、損傷した脊椎部位の矢状回転(屈曲による不安定性)を防ぐことにある。よって、特定の症例には効果的であるが、さらなる安定性および固定を必要とする症例には適切ではない。非特許文献1、非特許文献2を参照。「Dynesys」という別の非癒合固定装置は、最近導入された。非特許文献3、非特許文献4を参照。Dynesys装置はGrafバンドと似ているが、Dynesys装置は、スクリューの間にポリカルボウレタン(polycarburethane)のスペーサを使用し、二つの対応する椎弓根スクリューの先端の間の距離を保つことで、スクリューが固定される隣接する椎体の距離を保つ。Dynesys装置の発明者による初期段階の報告によると、多くの症例においてその装置は成功している。しかしながら、Dynesys装置が、可撓性および耐久性だけでなく長期にわたって安定性を保持できるか否かについてはまだ比較試験で判定されていない。その装置はポリエチレンの構成要素および界面を有するため機械的故障のリスクを負う。さらに、装置の機械的設計により、装置を脊柱に取り付けるために必要な外科技術は、手間が掛かり複雑である。
【0008】
特許文献5および特許文献6は、プラスチック製で非金属製の棒を使用した可撓性の脊椎固定システムおよび方法を開示する。特許文献7は、可撓性の細長い部材を使用する可撓性脊椎安定化装置の別の例を開示する。このような装置は可撓性であるが、持続的な軸方向の負荷や応力に耐えるのには適していない。さらに、所望の可撓性と剛性の度合いは、患者によって変化する可能性がある。既存の可撓性の固定装置の設計は、各対象者にとって最善の結果をもたらす可撓性のレベルを変更するようには適していない。例えば、特許文献8は、金属合金および/または複合材料から作製される可撓性の棒を利用する可撓性の固定装置を開示する。さらに、椎体に所望の方向に非回転力を提供するために、圧縮バネまたは引っ張りコイルバネが棒の周りに巻かれる。しかしながら、この特許は、主に、脊椎の「(前記)垂直軸に沿った相対長手軸方向並進摺動運動」を可能にする脊椎固定装置を提供することに関係しており、さまざまな可撓性の特性を提供する連結ユニット(例えば、棒または板)の具体的な設計を教示も示唆もしない。特許文献8に記載の従来の可撓性の棒は、一般的に、所望のレベルの可撓性を提供するために、比較的小さな直径を有する中実構造体を有する。代表的に、それらは、適切な可撓性を提供するために非常に薄いため、このような従来技術の棒は、機械的故障を起こしやすく、患者への移植後に破損することが公知である。
【0009】
したがって、従来の脊椎固定装置は、脊椎疾患治癒に関連する問題に対して包括的で均衡のとれた解決を提供していない。従来の装置の多くが、特徴として過度に剛性であるため上記のような問題を引き起こし、一方、その他の装置はいくらか可撓性があるものの、可撓性の度合いを変更するにはうまく適応していない。ゆえに、所望の度合いの可撓性を脊柱の損傷部位に提供し、また、持続的な耐久性および一貫した安定性を脊柱に提供する、動的脊椎固定装置を改善する必要性がある。
【0010】
また、脊椎固定装置を脊柱に固定するための従来の外科手技において、医師は、背部の正中線を約10〜15cmまで切開し、それを解剖して両側に開創する。このようにして、医師は、筋肉解剖を行って、面関節の外側部分を露出する。次に、その解剖の後に、医師は、X線装置(例えば、CアームX線透視検査)を使用して椎弓根への挿入点を検出し、脊椎固定装置の固定部材(以下、「椎弓根スクリュー」)を椎弓根に挿入する。その後、連結ユニット(例えば、棒または板)が、脊柱の損傷部位に支持と安定性を提供するために、椎弓根スクリューの上部に取り付けられる。よって、従来の脊椎固定手順では、患者の背部が約10〜15cm切開され、結果として脊柱を保持するために重要である背部筋肉が切開または損傷され、術後の疼痛および回復期間の遅れを患者にもたらす。
【0011】
最近、患者の外傷を軽減するために、外科的手順の部位の患者の背部に切開される比較的小さい穴または「窓」を通して脊椎固定手術を実施することが可能である最小侵襲性外科手順が普及している。内視鏡または顕微鏡を使用することで、最小侵襲性手術は、患者の患部の切開をさらに小さくすることを可能にする。このようなより小さな切開を介して、脊椎固定装置の二つ以上の固定部材(例えば、椎弓根スクリュー)は、ナビゲーションシステムを使用してそれぞれの椎弓根部位にねじ込まれる。その後、固定装置の安定化部材(例えば、棒または板)を固定部材に連結するために特別な器具が使用される。あるいはまたはさらに、外科的手順は、段階的拡張器を切開部に挿入し、拡張の直径を徐々に増大させることをさらに含み得る。その後、管状開創器が拡張された領域に挿入され、患者の筋肉を開創し、手術のための視野を提供する。この視野が確立されると、除圧および必要であれば癒合手順が実施されてもよく、その後に、固定手順が続き、その固定手順は、椎弓根位置を検出するステップ、椎弓根スクリューを椎弓根に挿入するステップ、内視鏡または顕微鏡を使用するステップ、および弱くなった脊柱を安定化よび支持するために、安定化部材(例えば、棒または板)を椎弓根スクリューに固定するステップを含む。
【0012】
最小侵襲性脊椎固定手順を実施するうえで最も課題となる局面の一つは、内視鏡または顕微鏡による可視化により椎弓根スクリューの挿入点の位置決めをすることである。通常、解剖学的ランドマークおよび/またはX線装置は、挿入点を検出するために使用されるが、明確な解剖学的関係は、限定された作業空間のため特定することが難しい場合が多い。また、最小侵襲性手順は、椎弓根スクリュー挿入領域の解剖を露出させるために摘出されなければならない多量の軟組織を必要とする。この軟組織の摘出は、患部における出血を引き起こし、その結果、固定部材を挿入するための正確な位置を検出するのがさらに難しくなり、手術部位の周囲の筋肉および軟組織をさらに損傷する。その上、固定部材の挿入点の位置を正確に決定するのが難しいため、従来の手順は不必要に外傷をもたらす。
【0013】
X線技術が、固定部材が挿入される椎弓根の位置をより正確にかつ迅速に検出するために、提案および実施されている。しかしながら、X線技術を使用して、対応する椎弓根の位置を検出するために必要な鮮明な画像を得ることは、外科手術中に使用される金属製の器具や設備によるX線干渉が原因で、難しい場合が多い。さらに、X線画像を読み取り解釈することは、相当な訓練と専門知識を必要とする複雑な作業である。X線は、患者が大量の放射線にさらされるというさらなる問題を提起する。
【0014】
椎弓根の所望の挿入点への椎弓根スクリューの挿入を誘導する、誘導システムがいくつか開発されているが、このような従来のシステムは、使用するのが難しいことが立証されており、さらに手術手順の妨げになる。例えば、椎弓根スクリューの挿入のための従来の誘導システムは、患者の背部の筋肉および組織に挿入される誘導管を通して挿入される長いワイヤを利用する。誘導管の挿入場所は、X線手段(例えば、CアームX線透視装置)で決定され、誘導管の第一の端部が、椎弓根の骨の表面の所望の位置に到達するまで駆動される。その後、一般的に生体適合性のある金属材料から作製される、誘導ワイヤの第一の端部が、誘導管に挿入され、椎弓根の骨まで差し込まれ、一方、ワイヤの反対側の端部は、患者の背部から突き出ている。誘導ワイヤが椎弓根の骨に固定されると、誘導管は取り出され、誘導ワイヤを中心とする穴は拡張および開創される。最後に、誘導ワイヤを収容するように設計される軸方向の穴または溝を有する椎弓根スクリューが、誘導ワイヤにより椎弓根の骨の所望の位置まで誘導され、そこで、椎弓根スクリューは、椎弓根にねじ込まれる。
【0015】
ワイヤによる誘導システムの概念は優れているが、実際のところ誘導ワイヤは非常に使用しにくい。比較的長くて細いワイヤであるため、誘導ワイヤの構造的完全性は、ワイヤの一端を椎弓根の骨まで駆動させようとする間に機能しなくなる場合が多く、そのプロセスを、不必要に時間がかかり面倒なものにする。さらに、ワイヤは、挿入中に屈曲し、波形になるので、その後の器具および椎弓根スクリューを椎弓根の挿入点に誘導するための円滑で安定した固定にはならない。さらに、現在の経皮的なワイヤによる誘導システムは、内視鏡または顕微鏡使用により直接可視化することなく、CアームX線透視検査(またはその他のX線装置)と併用して使用される。従って、現在のワイヤによる誘導システムは、誤った位置設定または椎弓根の破損に対する潜在的リスクをもたらす。最後に、ワイヤの一端が椎弓根スクリューの頭部および患者の背部から突き出ているので、このワイヤは、脊椎固定手術に伴うさまざまなその後の手順を実施する際に外科医の動作自由を妨げる。したがって、内視鏡または顕微鏡による可視化のもとでの最小侵襲性椎弓根スクリュー固定手順における使用に適応した、椎弓根に移植し易く、外科医により実施される次の手順を妨げない、改善された誘導システムを提供する必要性がある。
【0016】
上に説明したように、脊椎疾患を治癒させるために使用される既存の方法および装置は、大幅な改善を必要としている。最も従来的な脊椎固定装置は、極端に剛性であり、可撓性ではない。このような過度の剛性は、脊椎のさらなる異常および疾患に加え、かなりの不快感を患者にもたらす。既存の脊椎固定装置には、いくらかのレベルの可撓性を提供するものもあるが、これらの装置は、各特定の患者に対する所望のレベルの可撓性を提供するために、可撓性のレベルの変更が簡単に得られ得るように設計も製造もされていない。さらに、可撓性の連結ユニット(例えば、棒または板)を有する従来技術の装置は、機械的故障に関してさらに高い危険性をもたらし、脊椎の持続的な耐久性および安定性を提供しない。さらに、脊椎固定手順を実施する既存の方法は、脊椎固定装置が固定される椎弓根または背骨の仙骨の正確な位置を検出するのが困難であるため、不必要に患者に外傷をもたらす。
【特許文献1】米国特許第6,193,720号明細書
【特許文献2】米国特許第5,672,175号明細書
【特許文献3】米国特許第5,540,688号明細書
【特許文献4】米国特許出願公開第2001/0037111号明細書
【特許文献5】米国特許第5,282,863号明細書
【特許文献6】米国特許第4,748,260号明細書
【特許文献7】米国特許出願公開第2003/0083657号明細書
【特許文献8】米国特許第5,672,175号明細書
【非特許文献1】Kanayamaら、Journal of Neurosurgery 95(補遺1):2001年、p.5−10
【非特許文献2】MarkwalderおよびWenger、Acta Neurochrgica 145(3):p.209−14
【非特許文献3】Stollら、European Spine Journal 11 補遺2:2002年、p.S170−8
【非特許文献4】Schmoelzら、J.of Spinal Disorder & Techniques、2003年、16(4):p.418−23
【発明の開示】
【課題を解決するための手段】
【0017】
(発明の簡単な要旨)
本発明は、損傷または弱体化した脊柱を安定させるための改善された方法およびシステムを提供することによって、上記およびその他の必要性に取り組む。
【0018】
従来の脊椎固定装置の欠点を克服するために、1つの実施形態において、本発明の発明者は、改善された構成および設計を有する、新規な可撓性脊椎固定装置を発明した。この装置は、耐久性があり、そして所望のレベルの可撓性および安定性を提供する。さらに、本発明の発明者は、容易に調節可能な脊椎安定化装置を発明した。この装置は、個々の患者に対してあつらえで調節され得る。
【0019】
手術領域の近くにある組織への損傷を最小限度に抑えるために、最小侵襲性脊椎手術に必要な手術時間を削減するよう長期にわたって行われた研究の結果、別の実施形態において、本発明は、脊椎固定装置の固定部材が挿入される脊柱の位置を正確かつ迅速に検出する方法および装置を提供する。新規の誘導/マーキング装置が、固定部材が挿入される脊柱における位置を示すために使用される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
(好適な実施形態の詳細な説明)
本発明は、図面を参照して以下に詳細に説明され、同様の要素については全体を通して同一の数字を使用して参照される。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態に従う、脊椎固定装置を示す。脊椎固定装置は、図3に関連して以下にさらに詳細に説明される、二つの固定部材2(2’および2”で表示)、および結合組み立て部品14内に収容および固定されるように設計された可撓性固定棒4を備える。各固定部材2は、患者の椎弓根に挿入およびねじ込むように設計される、ネジ山の入ったねじ型シャフト10を備える。図1に示されるように、ねじ型シャフト10は、シャフト10の長さ全体にわたって形成される外側のらせん状のネジ山12と、指定の場所で患者の脊柱に挿入されるよう設計されるシャフト10の端部にある円錐型の先端を備える。固定部材2のその他の既知の形状は、本発明のために使用してもよいが、固定部材2が脊柱に挿入および固定され、棒4にしっかりと結合することが可能である場合に限る。
【0022】
上に説明の通り、脊椎固定装置は、脊柱の所望の位置に固定部材2を装着することによって、脊椎疾患の外科処置のために使用される。一実施形態において、棒4は、脊柱の二つ以上の椎体間にまたがり、これらの二つ以上の椎体の動きを安定させるために固定部材2で固定される。
【0023】
図2は、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定装置の斜視図を示す。図2の脊椎固定装置は、図1の脊椎固定装置と同様であるが、棒4が、棒4の二つの剛性の端部分9の間で並列される可撓性の中間部分8を備える。
【0024】
図3は、本発明の一実施形態に従う、結合組み立て部品14のさまざまな構成要素を示す図1および2の固定部材2の分解図を提供する。図3に示すとおり、結合組み立て部品14は、ネジ型シャフト10の上端に位置する円筒型頭部16、円筒型頭部16の内側の壁面部分に沿って形成されるらせん状のネジ山または溝18、および棒4を収容するように設計されるU型の収容溝20を備える。結合組み立て部品14は、ナット22の外側の外側面に形成されるらせん状のネジ山24を有する外側にネジ山の入ったナット22をさらに備え、らせん状のネジ山24は、円筒型頭部16の内側のらせん状のネジ山18と嵌合するように構成される。さらなる実施形態において、結合組み立て部品14は、外側にネジ山の入ったナット22を被覆および保護し、さらにしっかりと棒4を収容溝20に保持するために、円筒型頭部16部分を覆って装着されるように構成される固定キャップ26を備える。一実施形態において、固定キャップ26の内径は、円筒型頭部16の外径としっかりと嵌合するように構成される。対応して配置される切欠と溝(図示せず)などの、円筒型頭部に固定キャップ26を固定するその他の方法は、当業者には容易に理解できるだろう。好適な実施形態において、固定部材2の構成要素および部品は、高い剛性および耐久性を有する生体適合性のある材料、例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン、またはチタン合金から作製され得る。そのような材料は当該分野において公知である。当該分野において公知であるように、本明細書で使用される場合、「生体適合性の」材料とは、患者の身体に移植された後に、いかなる化学反応も免疫反応も引き起こさない材料をいう。
【0025】
図1および2に示されるように、好適な実施形態において、棒4は、結合手段14の収容溝20に棒4を水平に収容することによって、固定手段2のネジ山の入ったシャフト10の長さ方向に垂直に固定手段2に結合される。外側にネジ山の入ったナット22は、次に、棒4の上側の円筒型頭部16に収容およびねじ込められ、収容溝20で棒4を固定する。固定キャップ26は、次に、円筒型頭部16を覆って置かれ、円筒型頭部16の内部空洞における構成要素を被覆、保護し、これらの構成要素をさらに堅く固定する。図4〜7は、本発明に従う、固定装置に使用され得る棒4のさまざまな実施形態の斜視図を示す。図4は、図1の棒4を示し、棒全体は、可撓性であるように作製および設計される。本実施形態において、棒4は、既定の厚さの円筒型側壁5を有する金属チューブまたはパイプを備える。一実施形態において、棒4に可撓性を提供するために、円筒型側壁5は、らせん状の切り込みまたは溝6を形成するために、棒4の長さに沿ってらせん状に切り込まれる。当業者に明白であるように、らせん状の溝6の幅と密度は、所望のレベルの可撓性を提供するように調整され得る。一実施形態において、溝6は、棒4の円筒型側壁の厚さ全体を通る、極細のらせん状の切り込みまたは切り口より形成される。当業者に公知であるように、管状側壁5の厚さおよび材料も、可撓性のレベルに影響を及ぼす。
【0026】
一実施形態において、棒4は、正常な背部のものと実質的に等しい可撓性を有するように設計される。正常な背部の可撓性の範囲は、当業者には既知であり、通常の技能を有する者でも、管状側壁5の厚さと材料、および溝6の幅と密度を容易に決定し、通常の背部の範囲内における所望の可撓性または可撓性範囲を達成することができる。本明細書で溝6に言及する場合、用語の「密度」は、らせん状の溝6の詰まり、すなわち、図4に示されるような隣接する溝のライン6の間の距離を意味する。しかし、本発明が、特定で所定の可撓性範囲に限定されないことが理解される。一実施形態において、所望の横方向の可撓性特性を有するだけでなく、棒4の剛性は、患者の元々の脊椎の残りの部分に関して均一に、脊椎の垂直軸に沿って患者の脊柱に加えられる垂直方向の軸方向荷重に耐久可能であるべきである。
【0027】
図5は、図2の棒4を示し、中間部分8のみが可撓性であるように作製および設計されており、二つの端部分9は剛性であるように作製される。一実施形態において、端部分9を剛性にするために、中に溝がない金属製の端部リングまたはキャップ9’が、図4の棒4のそれぞれの端部に取り付けられてもよい。リングまたはキャップ9’は、金属をプレスおよび/または溶接して結合するなどの既知の方法を使用して、棒4の両端に永久的に装着されてもよい。別の実施形態において、らせん状の溝6は、中間部分8の長さに沿ってのみ切り込まれ、端部分9は、溝6を持たない管状側壁5を備える。剛性の金属または金属のハイブリッド材料から作製される、溝6を持たない管状側壁5は、高い剛性を示す。
【0028】
図6は、多数のセクション、つまり、三つの剛性部分9の間に交互に配置される二つの可撓性部分8を有する棒4のさらなる実施形態を示す。本実施形態は、例えば、三つの隣接する椎体を相互に安定させるために使用され得、三つの椎弓根スクリューはこれらの椎体のうちの一つにそれぞれ固定され、三つの剛性部分9は、図3に関して上に説明したように、それぞれの椎弓根スクリュー2の結合組み立て部品14に連結される。可撓性部分8および剛性部分9の各々は、図5に関して上に説明されたように作製され得る。
【0029】
図7は、「脊椎前弯症」として知られる患者の脊椎の湾曲に適合し、その湾曲を保持しつつ、脊柱を安定させる、予め曲げられた構造および構成を有する棒4の別の実施形態を示す。通常、患者の腰骨は「C」型の形状であり、棒4の構造は、本発明の一実施形態に従う図2の脊椎固定装置で利用される場合、通常の腰骨の形状に適合して形成される。一実施形態において、予め曲げられた棒4は、二つの剛性の端部分9の間に配置される、可撓性であるように作製および設計される中間部分8を備える。中間部分8および端部分9は、図5に関連して上に説明されたように作製され得る。さまざまなサイズ、長さ、および予め曲げられた構造を有する金属製または金属ハイブリッドの管状棒を製造する方法は、当該分野において周知である。さらにまたはあるいは、棒4の予め曲げられた構造および設計は、図23Aに関連して以下にさらに詳細に説明されるように、二つの隣接する椎弓根スクリューが相互に平行に挿入されない場合、スキュー角を相殺してもよい。
【0030】
可撓性の管状棒4または可撓性の中間部分8を形成するために使用されるさらなる設計および材料は、図8〜10に関連して以下に説明される。図8は、本発明の一実施形態に従う可撓性の管状棒4または棒部分8の斜視断面図を示す。本実施形態において、可撓性の棒4、8は、図4〜7に関連して上に説明されたように、中に切り込まれるらせん状の溝6を有する第一の金属チューブ5から作製される。中に切り込まれるらせん状の溝31と、第一のチューブ5よりも小さい直径を有する第二のチューブ30は、第一のチューブ5の円筒形空洞に挿入される。一実施形態において、第二のチューブ30は、第一のチューブ5に切り込まれるらせん状の溝6に関連して反対のらせん状方向で切り込まれるらせん状の溝31を有し、よって、第二のチューブ30の回転ねじれ特性は、少なくともある程度の第一のチューブ5の回転ねじれ特性を相殺する。第二の可撓性チューブ30は、第一のチューブの中核に挿入され、さらなる耐久性および強度を可撓性棒4、8に提供する。第二のチューブ30は、第一のチューブと同一の材料から作製されても異なる材料から作製されてもよい。好適な実施形態において、第一のチューブ5および第二のチューブ30を製造するために使用される材料は、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン、およびチタン合金などの金属の例のいずれかまたはその組み合わせであってもよい。
【0031】
図9は、本発明のさらなる実施形態に従う可撓性棒4、8の斜視断面図を示す。本実施形態において、可撓性棒4、8は、スチール糸、チタン糸、またはチタン合金糸などの複数の重なる細い金属糸を備える金属ワイヤ32から作製される内核を備える。ワイヤ32は、上に説明されたような中に切り込まれたらせん状の溝6を有する、金属製または金属ハイブリッドの可撓性のチューブ5に包まれる。ワイヤ32の金属糸の数および厚さも、棒4、8の剛性および可撓性に影響を与える。糸の数、厚さ、または材料を変更することによって、可撓性は増加または減少し得る。したがって、ワイヤ32の金属糸の数、厚さ、および/または材料は、患者の特定の必要性に応じて所望の剛性および可撓性を提供するように調整されることができる。当業者は、棒4、8に対する所望の剛性対可撓性のプロフィールを達成するために、チューブ5の所定の可撓性と併せて、糸の数、厚さ、および材料を容易に決定することが可能である。
【0032】
図10は、可撓性棒4のさらに別の実施形態を示し、可撓性チューブ5は、非金属性で可撓性の中核34を包む。中核34は、既知の生体適合性の形状記憶合金(例えば、ニチノール)または、炭素繊維、ポリエテールエテールケトン(PEEK)、ポリエテールケトンケトンエーテルケトン(PEKKEK)、もしくは超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)などの生体適合性の合成材料から作製され得る。
【0033】
図11は、図9に関連して上に説明したように、編組金属ワイヤ棒35を形成するために、中に複数の金属ワイヤ32が織り交ぜられ、または編み込まれている可撓性棒35の別の実施形態の斜視図を示す。このように、編組金属ワイヤ棒35は、金属ワイヤ32と同一の材料から作製されることができる。上に説明したようなワイヤ32の剛性および可撓性の変動性に加え、編組棒35の剛性および可撓性は、編組構造体35で使用されるワイヤ32の数や厚さを変更することによって、所望の特性を達成するためにさらに変更されることができる。例えば、正常な健康的な脊椎の既知の湾曲範囲内でのさまざまな湾曲レベルまたは範囲を達成するために、当業者は、編組金属ワイヤ棒35を作製するために使用されるワイヤの異なる太さ、数、および材料によって提供される湾曲を変更および測定することによって、さまざまな設計の編組金属ワイヤ棒35を容易に製造することができる。さらなる実施形態において、編組金属ワイヤ棒35の各端部は、図5〜7に関連して上に説明されたような剛性の金属製のキャップまたはリング9’によって包まれており、可撓性の中間部分8と剛性の端部分9を有する棒4を提供する。さらなる実施形態において(図示せず)、編組金属ワイヤ棒35は、図8〜10に示される実施形態と同様の方法で、可撓性の金属棒4または棒部分8を作製するために、中に切り込まれるらせん状の溝6を有する金属チューブ5に包まれる可撓性の内核として利用されてもよい。本明細書で使用される際、用語の「編組」または「編組構造」は、重なる様式で織り交ぜられる二つ以上のワイヤ、ストリップ、紐、リボン、および/またはその他の形状の材料を含む。ワイヤ、ストリップ、紐、リボン、および/またはその他の形状の材料を織り交ぜるさまざまな方法は、当該分野において既知である。このような織り交ぜる技術は本発明に含まれる。別の例示的な実施形態において(図示せず)、可撓性の金属棒35は、斜めに重なるパターンで織り交ぜられる二つ以上の金属製のストリップ、紐、またはリボンを有する編組金属構造体を備える。
【0034】
図12Aは、二つの剛性の端部分9’と、例示的な数の剛性のスペーサ37を有する可撓性の連結ユニット36のさらなる実施形態を示す。一実施形態において、剛性の端部分9’およびスペーサは、上に説明されたように生体適合性のある金属または金属ハイブリッドの材料から作製され得る。連結ユニット36は、図9’に関連して上に説明されたような、剛性の端部分9’とスペーサ37の各々における軸方向の空洞または穴(図示せず)を横断する可撓性ワイヤ32をさらに備える。図12Bは、ワイヤ32がどのように剛性の端部分9’およびスペーサ37の中央軸穴に挿入されるかをさらに示す連結ユニット36の分解図を示す。図12Bにさらに示されるように、端部分9’およびスペーサ37の各々は、直接隣接する端部分9’またはスペーサ37におけるメス型連動空洞(図示せず)に嵌合するように形成される、オス型の連動部材38を備える。図12Cは、分解側面図を図示し、対応するオス型連動部材38を収容するためのメス型連動空洞39の位置および構成を破線で示す。
【0035】
図13は、本発明の別の実施形態に従う可撓性の連結ユニット40の斜視図を示す。連結部40は、上に説明した連結ユニット36と同様であるが、スペーサ42は、剛性の端部分9’と同一の形状および設計を有するように設計されている。さらに、端部分9’は、横方向の側面に配置される出穴または溝44を有し、この穴または溝を通して、ワイヤ32が、抜き出され得、引っ張られ得、クランプで固定され得るかまたは金属クリップ(図示せず)もしくはその他の既知の技術を使用して固定され得る。このようにして、可撓性の連結ユニット36または40の長さは、手術時に変更して、各患者特有の解剖学的特徴に合わせるようにしてもよい。一実施形態において、ワイヤ32は、金属クリップまたはストッパー(図示せず)を使用して固定されてもよい。例えば、クリップまたはストッパーは、ワイヤ32が貫通できるように、ワイヤ32の直径よりわずかに大きい内径を有する小さな管状の円筒を備え得る。ワイヤ32が管状ストッパーによって所望の張力まで引っ張られると、ストッパーは、圧迫されてその中に含まれるワイヤ32を摘む。あるいは、ワイヤ32は、既知の技術を使用して、既定の数のスペーサ37、42を有する連結ユニット36、40の製造時に予め固定され得る。
【0036】
図14は、本発明の別の実施形態に従う脊椎固定装置を示す。脊椎固定装置は、外側のらせん状のネジ山12を有する細長いネジ型シャフト10を含む少なくとも二つの固定部材2、および結合組み立て部品14を備える。装置は、二つの固定部材2の結合部品14にしっかりと連結されるように構成される板状連結ユニット50、または単に「板50」をさらに備える。板50は、各々が平面を有し、可撓性の中間部分8により相互に連接される二つの剛性の連結部材51を備える。可撓性の中間部分8は、図4〜11に関連して上に説明された実施形態のいずれかに従って作製され得る。各連結部材51は、結合組み立て部品14の第二のネジ山の入ったシャフト54(図15)によって収容するように設計される結合穴52を含む。
【0037】
図15に示されるように、固定部材2の結合組み立て部品14は、第一のネジ山の入ったシャフト10の先端に隣接し、第一のネジ山の入ったシャフト10の円周よりも大きい円周または直径を有するボルトヘッド56を備える。第二のネジ山の入ったシャフト54は、ボルトヘッド56から上部に延びる。結合組み立て部品14は、連結部材51をボルトヘッド56の上面に対してクランプで固定し、しっかりと板50を椎弓根スクリュー2に装着するために、第二のネジ山の入ったシャフト54と嵌合するように構成される内側にネジ山を有するナット58、および一つ以上の座金60をさらに備える。
【0038】
図16Aおよび16Bは、少なくとも二つの結合部材51、および二つの隣接する連結部材51の間に配置されそれらに装着される少なくとも一つの可撓性部分8を有する板状連結ユニット40の二つの実施形態を示す。図16Aおよび16Bに示されるように、可撓性の中間部分8は、図11に関連して上で説明したように可撓性の金属編組ワイヤ構造体36を備える。しかしながら、可撓性部分8は、図4〜11に関連して上で説明された実施形態のいずれか、またはその組み合わせに従って設計および製造され得る。図16Cおよび16Dは、図16Aの板50の側面図および上面図それぞれを示す。上に説明されるように、異なる種類の可撓性の中間部分8を有する可撓性の連結ユニット50および58の異なる実施形態に関する製造は、既知の冶金、有機ポリマー、天然樹脂、または複合材料、ならびに適合する製造プロセスおよび機械プロセスを使用して容易に達成される。
【0039】
図16Eは、本発明のさらなる実施形態に従う、予め曲げられた板状の連結ユニット50’の側面図を示す。この板状の連結ユニット50’は、板50と同様であるが、連結部材51’は、板状連結ユニット50’の製造時に平行面53から角度θで形成または曲げられる。図7の予め曲げられた棒状連結ユニット4に関連して上に説明されたように、この予め曲げられた構成は、脊椎の元々の湾曲(例えば、前弯)を再現し、支持するように設計される。さらにまたはあるいは、この予め曲げられた構造は、図23Aに関連して以下にさらに詳細に説明されるように、二つの隣接する椎弓根スクリューが相互に平行に挿入されない場合、スキュー角を相殺し得る。
【0040】
図17は、椎弓根スクリュー2の第二のネジ山の入ったシャフト44を収容するために結合穴64をそれぞれに有する二つの板状の連結部材62を備える板状の連結ユニット60の斜視図を示す。可撓性の中間部分8は、二つの連結部材62の間に配置されそれらに装着される。一実施形態において、可撓性の中間部分8は、図9に関連して上に説明されたようにワイヤ32と同様の方法で作製されるが、図9に示される円柱型または円形の構成の代わりに長方形の構成を有する。しかしながら、可撓性の中間部分8は、上に説明された実施形態のいずれかの設計および材料に従って作製され得ることが理解される。
【0041】
図18は、図17の板60さらなる実施形態の斜視図を示し、結合穴64は、ナット58(図15)を結合穴64に収容および固定するために、連結部材62の上部に切り込まれた一つ以上のナット案内溝66を備える。ナット案内溝66は、ナット58の少なくとも一部分を収容および保持し、連結部材62が椎弓根スクリュー2のボルトヘッド56にクランプで固定された後に結合穴64内でのナット58の横滑りを防止するように構成される。
【0042】
図19は、図4〜7に関連して上に説明されたような剛性の棒状連結部材4、9、または9’を連結ユニット70の一端に有し、そして図14〜18に関連して上に説明されたような板状の連結部材51または62を連結ユニット70の他方の一端に有する、ハイブリッドの板状および棒状の連結部70の斜視図を示す。一実施形態において、可撓性部材8が、棒状連結部材9(9’)と板状連結部材52(64)の間に配置される。可撓性部材8は、図8〜13に関連して上に説明された実施形態のいずれかに従って設計および製造され得る。
【0043】
図20は、図19のハイブリッドの板状および棒状の連結ユニット70を利用する脊椎固定装置の斜視図を示す。図20に示されるように、この固定装置は、二種類の固定部材2(例えば、椎弓根スクリュー)を利用し、それらは、図15に関連して上に説明されるように板状連結部材42(64)をしっかりと保持するように構成される第一の固定部材2’、および図3に関連して上に説明されたように棒状連結部材4、9、または9’をしっかりと保持するように構成される第二の固定部材2”である。
【0044】
図21は、図1に示される実施形態に従う、椎体を柔軟に安定させるために、二つの隣接する椎体80および82に装着された後の、二つの脊椎固定装置の上面斜視図を示す。図22Aおよび22Bは、脊椎の二つ以上の隣接する椎体に装着された後の、図16Aの可撓性の安定化部材50および16Bの可撓性の安定化部材58を使用する脊椎固定装置の上面斜視図をそれぞれ示す。
【0045】
図23Aは、二つの隣接する椎体の椎弓根に移植された後の、脊椎固定装置の側面図を示す。この図に示されるように、椎弓根スクリュー2は、椎弓根の骨に装着され、スクリュー2の中心軸80が、平行面82からθ角度でずれるようにし、二つのスクリュー2の中心軸80が相互に約2θの角度でずれるようにする。この種類の椎弓根スクリュー2の非平行挿入は、最小侵襲手術を実施する際に利用可能な限られたスペースを使用することに起因して、頻繁に行われる。さらに、椎弓根スクリュー2は、患者の脊椎の元々の湾曲(例えば、前弯)により、平面から斜めに挿入される傾向があり得る。従って、椎弓根スクリュー2が椎弓根に最終的にいかに固定されるかという非平行の性質により、棒状または板状連結ユニットを椎弓根スクリュー2の各々に装着する際に、このスキューを相殺することが望ましい。
【0046】
図23Bは、本発明の一実施形態に従う、椎弓根スクリューの頭部の側面図を示す。スクリュー2は、図3に関連して上に説明されたような円筒型頭部16と同様の円筒型頭部84を備えるが、円筒型頭部84は、上に説明されたような椎弓根スクリュー2の傾斜またはスキューθを相殺する傾斜方向で、可撓性棒4を収容および保持すように構成される傾斜収容部86を備える。改善された椎弓根スクリュー2は、円筒型頭部84の空洞内にしっかりと適合し、傾斜収容部86と同じ傾斜で傾斜棒4を押し下げるように構成される傾斜安定化スペーサ88をさらに備える。椎弓根スクリュー2は、傾斜スペーサ88および棒4を傾斜収容部86、つまり椎弓根スクリュー2の円筒型頭部84にクランプで締め付けて固定するために、円筒型頭部84の内面に沿ったらせん状のネジ山(図示せず)に嵌合するように構成される、外側にネジ山の入ったナット22をさらに備える。
【0047】
図23Cは、本発明の実施形態に従う、傾斜スペーサ88の斜視図を示す。スペーサ88は、円形の中央部分90と、円形の中央部分90の反対側から外側に延びる二つの長方形の端部分92を備える。図23Dは、椎弓根スクリュー2のスキュー角θを補正または相殺するために、一端から別の一端への傾斜をさらに示すスペーサ88の側面図を示す。図23Eは、棒4および傾斜スペーサ88を収容するよう設計される円筒型頭部84の上面図を示す。棒4は、棒4が、円筒型頭部84の円形または円筒型の空洞96に入り、円形または円筒型空洞94内で形成される傾斜収容部86の先端に配置することを可能にする、円筒型頭部84の円筒型側壁の二つの開口部またはスロット94を介して収容される。棒4が傾斜収容部86に配置されると、傾斜安定化スペーサ88は空洞96に収容され、二つの長方形の端部分92が二つのスロット94内で収容されるようにし、円筒型空洞96内でのスペーサ88の横方向の回転を防止する。最後に、外側にネジ山の入ったナット22および固定キャップ26は、傾斜スペーサ88の上に挿入され、スペーサ88と棒4を円筒型頭部84内でしっかりと保持する。
【0048】
図24は、椎弓根スクリュー2が挿入される椎弓根上の所望の位置をマーキングし、最小侵襲性手術手技を使用して椎弓根スクリュー2をマークされた位置に誘導するためのマーキングおよび誘導装置100の斜視図を示す。図24に示されるように、マーキング装置100は、患者の筋肉および組織を貫通し椎弓根まで達する一方の端部に鋭い先端105を有する内部トロカール104を中空部内に収容する管状の中空ガイダー52を備える。内部トロカール104は、他方の一端にトロカールグリップ106をさらに備え、トロカール104を挿入および除去し易くする。一実施形態において、マーキングおよび誘導装置100は、誘導ハンドル108を備え、装置100を操作し易くする。
【0049】
図25に示されるように、トロカール104は、管状のガイダー102の中空に挿入されるように、ガイダー102の中空部の内径よりも小さい直径を有する長いチューブまたは円筒の形状である。トロカール104は、椎弓根を通って椎体を貫通するために、さらに鋭いまたは先の尖った先端105をさらに備える。トロカール104は、トロカール104が中空部から完全に滑り落ちないようにするため、ガイダーチューブ102の中空の直径よりも大きい直径を有するトロカールグリップ106をさらに備える。また、トロカールグリップ106によって、トロカール104は操作し易くなる。
【0050】
図26Aおよび26Bは、患者の背部に挿入され、筋肉および軟組織を通して椎弓根上の所望の位置に差し込まれた後の、マーキングおよび誘導装置100の斜視図を示す。所望の位置は、X線または放射線画像などの既知の技術を使用して比較的短い時間で決定される。マーキングおよび誘導装置100が挿入された後に、患者は長い間X線照射を浴びる必要はない。図26Bに示されるように、誘導チューブ102が椎弓根の所望の位置に配置されると、内部トロカール104は取り除かれ、基準ピン(図示せず)が誘導チューブ102の中空部に挿入できるようにし、その後、椎弓根に固定される。
【0051】
図27Aおよび27Bは、基準ピン110および112の二つの実施形態の斜視図をそれぞれ示す。上述のとおり、本発明に従う基準ピン110および112は、中空ガイダー102を通過した後、椎弓根に挿入および固定される。ピン110および112は、ガイダー102の中空部を通過するために、ガイダーチューブ102の中空部の内径よりも小さい直径を有する円筒の形状を有する。各基準ピンの端部は、脊柱の椎弓根に容易に挿入および固定されるように構成される、鋭く尖った先端111である。一実施形態において、図27Bに示されるように、基準ピンの他方の端部には、ピン112を抜き出すために、回収器(図示せず)の内側のネジ山の入ったチューブに嵌合するように構成される、ネジ山の入ったシャフト114が組み込まれている。この回収器は、図32に関連して以下にさらに詳細に説明される。
【0052】
基準ピン110、112は、好ましくは、椎弓根に容易に挿入するために、耐久性のある剛性の生体適合性の金属(例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン、チタン合金)から作製される。従来技術の誘導ワイヤとは対照的に、比較的短い長さとさらに剛性の構造から、基準ピン110、112は、曲げ破損または構造破損のリスクを負うことなく椎弓根内まで容易に駆動される。上に説明したように、従来技術の誘導ワイヤを駆動するプロセスは、非常に難しい場合が多く、かつ時間を要する。椎弓根上の挿入点への基準ピン110、112の挿入は、外科医にとって非常に容易かつ便利であり、さらに、患者の背部から突き出る誘導ワイヤによってその後の手順を妨げることはない。
【0053】
図28は、差し込みトロカール116の本体より大きい直径の円筒型頭部118を有する円筒型の差し込みトロカール116を示す。本発明に従う差し込みトロカール116は、基準ピン110または112を椎弓根内まで駆動し固定するために、基準ピン110または112がガイダー102の中空部に挿入された後、ガイダー102の中空部に挿入される。このピンの挿入手順中、医師は、トロカール頭部118をノミまたはハンマーで打ち、基準ピン110および112を椎弓根内まで駆動する。好適な実施形態において、差し込みトロカール116は円筒型チューブの形状であり、ガイダーチューブ112の中空部の内径より小さい直径を有する。また、差し込みトロカール116は、医師がノミまたはハンマーで容易に打つことを可能にするように、差し込みトロカール116の直径よりも大きい直径を有する円筒型頭部118を備える。もちろん、他の実施形態において、ハンマーまたはノミは必ずしも必要ではない。例えば、各症例の病状によって、外科医は、差し込みトロカール116の頭部118を自身の掌またはその他の物で押すことまたは叩くことを選択し得る。
【0054】
図29Aは、ハンマーまたは木槌120、および差し込みトロカール116がピン110、112をガイダーチューブ102の中空部を通して、椎弓根の所望の位置まで駆動するためにどのように使用され得るかを示す。図29Bは、二つの基準ピン110、112が二つの隣接する椎体まで駆動および固定された後の、椎弓根の斜視断面図を示す。
【0055】
基準ピン110または112が、上に説明のように椎弓根に挿入された後、一実施形態において、椎弓根スクリュー2を椎弓根の骨に容易に挿入および装着することができるように、各ピン110、112を中心とする大きめの穴または領域が形成される。大きめの穴は、図30に示されるような管状目打ち122を使用して形成される。管状目打ち122は、椎弓根の所望の位置に固定される基準ピン110、112の上に挿入される。目打ち122は、円筒型の中空チューブの形状をしており、この中空部の内径は、ピン110、112が目打ち122の中空部に挿入され得るように、基準ピン110および112の外径よりも大きい。目打ち122は、基準ピン110、112を中心とする大きめの挿入点を形成するために、組織および骨を切断および穿孔するための一つ以上の鋭い歯124を第一の端部にさらに備え、椎弓根スクリュー2がさらに容易に椎弓根に移植され得るようにする。図31は、椎弓根スクリュー2(図示せず)のための大きめの挿入穴を形成するために、基準ピン110、112の上に、管状目打ち122が患者の背部の最小侵襲性切開に挿入される際の、患者の脊柱の斜視断面図を示す。図31に示されるように、開創器130は、手術領域上の最小侵襲性切開に挿入され、開創器130の下部の管状本体は、手術領域から離すように周辺の組織を外側へ押すために拡大し、外科医が手術するためにさらなるスペースおよび視野を提供する。開創器130を挿入するために、一実施形態において、最小侵襲性切開は、患者の背部において、二つの基準ピン110、112を挿入するために使用される誘導チューブ102の二つの挿入点の間でこれらをつないで形成される。開創器130が挿入される前に、一連の段階的拡張器(図示せず)を使用して、最小侵襲性切開を事前に拡大することが一般的に必要とされており、後に使用する拡張器は、それぞれ前の拡張器より大きい直径を有する。最後の段階的拡張器が適所に置かれると、開創器130は、下部の管状本体が格納され、拡張されていない状態で挿入される。開創器130が所望の深さまで椎弓根に差し込まれた後、下部の管状部分は、その後、図31に示されるように拡大される。段階的拡張器および開創器の使用は、当該分野において周知である。
【0056】
管状目打ち122が、椎弓根スクリュー2のための大きめの挿入穴を形成した後、一実施形態において、基準ピン110、112は取り除かれる。上に説明したとおり、基準ピン112が使用された場合、椎弓根スクリュー2の移植前に、回収装置140を使用して、基準ピン112を除去し得る。図32に示されるように、回収器140は、基準ピン112の外側にネジ山の入った上部114と嵌合するように構成される、内側にネジ山の入った端部142を有する長い管状または円筒型の部分を備える。回収器の端部142がネジ山の入った端部114の上にねじ込まれると、医師は、基準ピン112を椎弓根から引き抜き得る。別の実施形態において、ネジ山の入った上部を持たない基準ピン110が使用される場合、適切な器具(例えば、特製ニードルノーズプライヤー)を使用して、ピン110を引き抜き得る。
【0057】
他の実施形態において、基準ピン110、112は椎弓根から除去されない。代わりに、特製の椎弓根スクリュー144が、ピン110、112を事前に除去せずに、ピン110、112の上から椎弓根に挿入され得る。図33に示されるように、特製の椎弓根スクリュー144は、外側にネジ山の入ったシャフト10、および可撓性の棒状連結ユニット4(図4〜13)を収容するための円筒型頭部16(図3)を有する結合組み立て部品14(図3)を備える。あるいは、結合組み立て部品14は、図14〜20に示されるような板状連結ユニットを収容するよう構成されてもよい。椎弓根スクリュー144は、開口部146をシャフト10の先端に有し、基準ピン110、112をその中に収容するように構成される、長手軸方向の軸方向溝(図示せず)をネジ山の入ったシャフト10内にさらに備える。
【0058】
図34は、挿入装置150を使用して椎弓根スクリュー2が第一の椎弓根に挿入された後の、患者の脊柱の斜視断面図を示す。椎弓根スクリュー2を挿入するために、当該分野で既知であるさまざまな種類の挿入装置150を使用し得る。図34に示されるように、第一の椎弓根スクリュー2が移植された後、開創器130は、第二の基準ピン110、112の位置に第二の椎弓根スクリューを挿入するためのスペースおよび視野を提供するために、わずかに調整および移動される。
【0059】
図35は、本発明に従う、二つの椎弓根スクリュー2が二つのそれぞれの隣接する椎弓根に移植された後の、患者の脊柱の斜視断面図を示す。椎弓根スクリュー2が適所に置かれると、図4〜20に関連して上に説明されたような可撓性の棒状、板状、またはハイブリッドの連結ユニットは、脊椎の柔軟性のある安定化を提供するために、椎弓根スクリューに連結され得る。その後、開創器130は取り除かれ、最小侵襲性切開は閉鎖および/または縫合される。
【0060】
図36Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒200の斜視図を示す。棒200は、図1〜3に関連して上に説明されたような固定部材2によって固定されるように構成される。好適な実施形態において、以下に説明される棒200、棒210、220、230、および240は、既知の生体適合性材料、例えば、ステンレス鋼、鉄鋼、チタン、チタン合金、ニチノール、およびその他の適切な金属製の組成物または材料などから作製される中実の円柱状の棒で構成される。図36Aに示されるように、らせん状の溝202は、棒200の円柱型の本体の長さの少なくとも一部分に沿って切り込まれるかまたは形成される。典型的な実施形態において、棒の長さ「l」は、4センチメートルから8センチメートル(cm)の間であり得、その円柱の直径「D」は、4ミリメートルから8ミリメートル(mm)である。らせん状の溝202は、0.1mmから0.5mmの間の幅「w」を有し、らせん状の角度θは、水平から50度から85度の間である。らせん状の溝202の間の距離は、3mmから6mmの間であり得る。しかしながら、当業者に理解できるように、上記の寸法は、単に例示的なものであり、特定の患者または用途に適切である所望の可撓性、ねじれ、および強度の特性を達成するために変更され得る。
【0061】
図36Bは、図36AのB−Bの線に沿って見た、可撓性棒200の断面図を示す。図示されるように、らせん状の溝202は、円柱型棒200の中心の長手方向軸に向かって切り込まれる。溝は、中実または中空の棒に、ヘリックスまたは中断されたヘリックスとして、らせん状の方法で連続的に形成され得るか、または中実の棒に、不連続の円周方向の溝として形成されてもよい。中空の棒に、不連続の周方向の溝が形成される場合、これらの溝は、不連続性を回避するために一部のみ棒の材料に貫通することができる。一実施形態において、溝202の深さは、図36Bに示されるように棒200の円柱半径にほぼ等しく、円柱型棒200の中心の長手方向軸の深さまで貫通する。しかしながら、棒の断面積および形状、長手軸方向部材の溝付き部分の溝深さ、溝幅、溝の断面形状、および溝から溝のスペースは、必要に応じて機械的特徴および構造的特徴を調整するために変更してもよい。例えば、溝の深さまたは幅が増加すると可撓性が増加するが、溝から溝のスペースが増加すると、可撓性が減少する。これは、指定の曲げ力での棒の曲げの程度を修正し、棒の曲げ形状をあつらえ、曲げ中に棒における機械的応力を均一にして、材料疲労を最小限に抑え、棒の信頼性を向上するために使用可能である。
【0062】
図37Aは、本発明の別の実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒210を示す。棒210は、棒210の本体に穿孔または形成される複数の横断型穴またはトンネル212を備える。一実施形態において、トンネル212は、円柱型棒210の中心の長手方向軸を水平からΦの角度で貫通する。各トンネル212の開口部は、棒210の円筒型側壁の反対側に位置し、隣接するトンネル212は、円筒型側壁の一側面で共通の開口部を共有し、図37Aに示されるように、棒210の中心の長手方向軸を横断して貫通する内部トンネル212のジグザグ模様を形成する。一実施形態において、各トンネル212の直径Dは、棒210の所望の機械的特徴および構造的特徴(例えば、可撓性、ねじれ、および強度)に応じて0.2mmから3mmの間で変更され得る。しかしながら、これらの寸法は例示的であり、使用される材料ならびに所望の構造的特徴および機械的特徴に応じて、その他の直径Dが必要とされ得ることが理解される。同様に、水平線からの角度Φは変更して、トンネル212の数または隣接するトンネル212間の距離を変更してもよい。
【0063】
図37Bは、図37AのB−Bの線に沿って見た、可撓性棒210の断面図を示す。トンネル212は、棒210の中心の円柱軸を通るように切り込まれ、トンネル212の開口部が、棒210の円筒型側壁の反対側で形成されるようにする。
【0064】
図38Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒220の斜視図を示す。棒220は、図36Aおよび36Bに関連して上に説明されたらせん状の溝202の他に、図37Aおよび37Bに関連して上に説明される横断型のトンネル212を備える。らせん状の溝202は、棒220の円筒型の側壁面に棒220の中心の縦方向軸に向かって切り込まれる。上に説明されるように、らせん状の溝202の寸法およびその水平線からの角度θ(図36A)は、所望の機械的特徴および構造的特徴に応じて変更され得る。同様に、横断型トンネル212の寸法およびその水平からの角度Φ(図37A)は、所望の機械的特徴および構造的特徴に応じて変更され得る。一実施形態において、角度θおよびΦは、実質的に同じであり、したがってトンネル212の開口部は、棒220の円柱型側壁の反対側において、らせん状の溝202と実質的に一致する。
【0065】
図38Bは、図38AのB−Bの線により示される観点に沿って見られる、可撓性棒の上面図を示す。図38Bに示されるように、トンネル212の開口部はらせん状の溝202と一致する。らせん状の溝202と横断型トンネル212の両方を、中実の棒220に提供することによって、異なる患者、用途、脊椎固定のレベルにとって適切な多数の所望の機械的特徴および構造的特徴が達成され得る。
【0066】
図39Aは、本発明の別の実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒230を示す。棒230は、棒230の本体に形成される複数の横断型トンネル232を備える。トンネル232は、図37Aおよび37Bに関連して上に説明されるトンネル212と実質的に同じであるが、トンネル232はジグザグ模様に結合されていない。むしろ、各トンネル232は、すぐ隣接するトンネル232に対して実質的に平行であり、トンネル232の開口部は、隣接するトンネル232の開口部に一致しない。図39Aに示されるように、本実施形態における水平からの角度Φは、およそ90度である。しかしながら、その他の角度Φが、本発明に従って組み込まれてもよいことが理解される。トンネル232(およびトンネル212)の寸法、サイズ、および形状は、所望の機械的特徴および構造的特徴を達成するために変更されてもよいことがさらに理解される。例えば、トンネル212および232の断面形状は、円形である必要はない。代わりに、例えば、楕円形または菱形、またはその他の所望の形状であってもよい。
【0067】
図39Bは、図39AのB−Bの線に沿って見た、棒230の断面図を示す。図39Bに示されるように、横断型トンネル232は、棒230の中心の長手方向軸を通って垂直および横方向に移動する。図39Cは、棒230のさらなる実施形態の断面図を示し、追加の横断型トンネル232’が第一の横断型トンネル232に実質的に直交して形成され、第一の横断型トンネル232と中心の円柱軸点で交差する。このようにして、棒230のさらなる可撓性が所望のとおりに提供され得る。
【0068】
図40Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の棒240の斜視図を示す。棒240は、図40Aに示されるように、実質的に相互に直交し、交差しない、複数の交互に配置される横断型トンネル232および242を備える。図40Bに断面図が示される別の実施形態において、隣接するトンネル232および242は相互に直交する必要はない。各トンネル232、242は、直前に隣接するトンネル232、242から所望の角度ωでずれ得る。当業者に確認され得るように、必要以上の実験を実施せずに、トンネルの寸法、数、および相互に関する角度方向を変更することによって、脊椎固定装置に使用される可撓性棒のさまざまな所望の機械的特徴および構造的特徴が達成され得る。
【0069】
図41Aは、脊椎安定化システムのための長手軸方向部材が、端部280と282との間に可撓性セクション284を有する、本発明の実施形態の断面図を図示する。これらの端部は、図3の固定部材2と嵌合するように構成される。図41Aは、可撓性セクション284が中空であり、空洞287を有し、この空洞を通って、端部280および282に連結されるテザー286が延びることを、さらに図示する。テザー286を長手軸方向部材の端部280および282の各々に連結するための種々の例示的な方法は、図43〜図46を参照しながら、以下でより詳細に記載される。
【0070】
図41Aを再度参照すると、テザー286は、たるみ位置で示されている。長手軸方向部材は、図42Aにおいて、元の位置290から第二の位置292へと屈曲するように図示されており、この長手軸方向部材は、端部293に固定されている。屈曲端部296の移動(d)291は、外部から付与される屈曲力(f)292から生じる。長手軸方向部材が屈曲すると、図41Aのテザー286は、図42Bの移動レベル(dt)295において、張られる(taught)。図42Bは、外部から付与される屈曲力(f)の関数として、長手軸方向部材の移動(d)を図示するグラフである。屈曲抵抗の増加(すなわち、増加する力に応答する移動の減少)は、長手軸方向部材の屈曲範囲を(dt)295まで制限するように働き、これによって、脊椎安定化システムの屈曲範囲(この範囲を超える、脊椎のさらなる屈曲が制限される)を制限する。
【0071】
図41Bは、テザー286が長手軸方向部材の中心軸382からずれた位置で取り付けられており、これによって、異なる屈曲方向で屈曲範囲を異なるように制限することを除いて、図41Aと同様である長手軸方向部材を有する実施形態の断面図を図示する。この異なる屈曲範囲の制限は、テザーが、図42Aの角度に依存する大きさの移動(d)で張られ、これによって、可撓性脊椎安定化システムの屈曲範囲(この範囲を超える、脊椎のさらなる屈曲が制限される)を、直接制限するからである。
【0072】
図41Cは、テザー290が予め張力を受けている結果、長手方向軸部材が、外部から付与される力の非存在下で屈曲し、その結果、この長手軸方向部材が、脊椎の湾曲領域に一致するような形状を予め有することを除いて、図41Bと同じ長手軸方向部材を有する実施形態の、断面図を図示する。上に記載された、直接制限される屈曲範囲は、脊椎の変形性を選択的に安定化または調節するために、長手軸方向部材の移動が一方向に実質的に制限されていることを除いて、図41Cに図示される実施形態の特徴でもある。
【0073】
図43は、テザー308の一端が調節可能部材316に連結されていることを除いて図41Aと同じ長手軸方向部材の実施形態の断面図を示す。この実施形態において、調節可能部材316は、外側にネジ山の入ったセクション312を有する円柱形の部品であり、このセクションは、長手軸方向部材の端部302の内側にネジ山の入ったセクション303と嵌合する。テザー308は、長手軸方向部材の端部300に回転不可能に固定される。調節可能部材316のスロット314は、調節可能部材316を軸周りに回転させるために、例示的には、ねじ回しスロットまたは六角穴である。滑り型継手317を回転させることによって、調節可能部材316は、軸周りに回転することが可能であり、一方で、テザー308は回転せず、同時に、軸方向の力を、調節可能部材316からテザー308へと伝達して、調節可能部材316を回転により調節することによってテザー308に対する圧縮または張力の付与を可能にし、その結果、調節可能部材316の軸方向の移動が生じる。このことは、テザー308に対する張力を調節するための、容易な、信頼性のある方法を提供する。図41Bに示されるように、調節可能部材314は、中心軸283からずれて位置決めされて、図41Bに関して上で議論されたように、長手軸方向部材の異なる屈曲方向での異なる屈曲特徴を提供し得るか、または図41Cに関して上で議論されたように、長手軸方向本体における屈曲をさらに提供し得る。
【0074】
図44は、図43と同様の別の実施形態のための長手軸方向本体の断面を示すが、図44においては、テザー308が、外側にネジ山の入った調節可能部材313に回転不可能に取り付けられる。滑り型継手319を回転させることにより、調節可能部材313は、テザー308と一緒に軸周りに回転することが可能であり、一方で、テザー308を長手軸方向部材の端部300に軸方向に固定すると、調節可能部材313を回転により調節することによって、テザー308への圧縮または張力の付与が可能になる。このことは、テザーに対する張力を調節するための、容易な、信頼性のある方法を提供する。
【0075】
図45は、なお別の実施形態の断面を示す。この場合、テザー308は、長手軸方向本体の端部300に回転不可能に取り付けられ、そして長手軸方向本体の端部302を越えて、外側にネジ山の入ったセクション315まで延びる。外部ナット318は、外側にネジ山の入ったセクション315と嵌合するように構成された、内側にネジ山の入ったセクションを有し、そして回転させられると、端部302に当接し得、これによって、テザー308に張力を付与する。外部ナット318は、テザー308に対する望ましい張力が達成された後に、ねじ切りされたセクション315を固定位置に固定するための、ロッキング部材の例示である。あるいは、座金320が、ナット318と端部302との間に置かれ得る。座金320は、端部302とナット318との隣接する表面の間での磨耗および回転摩擦を排除するための、平座金であり得るか、または座金320は、端部302に対するナット318の回転に抵抗し、不慮の緩みを防止するための、固定型の座金であり得る。あるいは、座金320は、2つの型の座金の組み合わせであり得る。止め座金は、単純なスプリットリング構成であり得るか、またはより精巧な設計であり得、これらの全ては、機械分野において周知である。
【0076】
図46は、図45に示される実施形態と類似の長手軸方向部材の斜視図を図示する。
【0077】
図41および図43〜図46に示される長手軸方向部材は、生体適合性材料から製造され、上記のように、ヒトの身体に移植するために適切である。さらに、図43の調節可能部材316および図44の調節可能部材313、ならびに図45および図46のテザー308、ナット318、および任意の座金320は、このような生体適合性材料から作製される。なぜなら、これらもまた、移植される場合に身体組織および体液と接触し得るからである。
【0078】
テザー(図41の286および290、ならびに図43〜図46の308)は、脊椎安定化システムを調節するために望ましいように、(i)張力のために適切な、ワイヤ、複数のワイヤの束、繊維、複数の繊維の束、編組構造体、リボン、および複数のリボンの束、あるいは(ii)圧縮または張力のために適切な、種々の断面の中実および/または中空の棒などの構造的形態をさらに呈し得る。
【0079】
さらなる実施形態において、図47に図示されるように、長手軸方向部材は、必ずしも中空である必要はなく、そしてテザー308は、この長手軸方向部材の端部300および302の外側に取り付けられる。テザー308は、公知の適切な手段および技術に従って、取り付けられ得る。1つの実施形態において、取付具としては、回転不可能な取付具(例えば、溶接)が挙げられる。他の実施形態において、テザー308は、回転可能な取り付け手段(例えば、上に記載されたもの(例えば、滑り型継手)または他の技術(例えば、玉継手など))によって、取り付けられ得る。1つ以上のテザー308を、長手軸方向部材の周囲の周りの種々の位置に配置することは、屈曲の方向的制限を提供し得、そして長手軸方向部材の長手軸方向伸長を制限し得る。あるいは、長手軸方向部材の長軸に対して鋭角で外側に取り付けられたテザー308aは、この長手軸方向部材の回転をさらに制限し得る。
【0080】
本発明のさまざまな実施形態が上に説明された。しかしながら、当業者は、好適な実施形態の上述の説明が単に例示的なものであり、本発明が上に開示された装置および技術の修正または変更を伴って実施されてもよいことを理解する。当業者は、本明細書中に記載された本発明の特定の実施形態に対する多数の均等物を理解すること、または慣用的な実験だけを使用して解明することが可能である。このような修正、変更、および均等物は、添付の特許請求の範囲に記載される本発明の精神および範囲内であると考えられる。
【図面の簡単な説明】
【0081】
【図1】図1は、本発明の一実施形態に従う、脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図2】図2は、本発明の別の実施形態に従う、脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図3】図3は、本発明の一実施形態に従う、図1および図2の椎弓根スクリュー2の結合組み立て部品14の分解図を示す。
【図4】図4は、本発明の一実施形態に従う、可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図5】図5は、本発明の別の実施形態に従う、可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図6】図6は、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図7】図7は、本発明の一実施形態に従う、予め曲げられた可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図8】図8は、本発明の一実施形態に従う、連結ユニットの可撓性部分の斜視断面図を示す。
【図9】図9は、本発明の別の実施形態に従う、連結ユニットの可撓性部分の斜視断面図を示す。
【図10】図10は、本発明のさらなる実施形態に従う、連結ユニットの可撓性部分の斜視断面図を示す。
【図11】図11は、本発明の一実施形態に従う、可撓性の棒状連結ユニットの斜視図を示す。
【図12A】図12Aは、本発明の一実施形態に従う、二つの端部分の合間に一つ以上のスペーサを有する可撓性の連結ユニットの斜視図を示す。
【図12B】図12Bは、図12Aの可撓性の連結ユニットの分解図を示す。
【図12C】図12Cは、本発明の一実施形態に従う、図12Aおよび12Bの可撓性の連結ユニットのオス型およびメス型の連動要素の図を示す。
【図13】図13は、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の連結ユニットの斜視図を示す。
【図14】図14は、本発明の別の実施形態に従う、脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図15】図15は、図14の脊椎固定装置の分解図を示す。
【図16A】図16Aは、本発明の一実施形態に従う、可撓性の板状連結ユニットの斜視図を示す。
【図16B】図16Bは、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の板状連結ユニットの斜視図を示す。
【図16C】図16Cは、図16Aの可撓性の板状連結ユニットの側面図を示す。
【図16D】図16Dは、図16Aの可撓性の板状連結ユニットの上面図を示す。
【図16E】図16Eは、本発明のさらなる実施形態に従う、予め曲げられた設計を有する図16Aの可撓性の板状連結ユニットの側面図を示す。
【図17】図17は、本発明の別の実施形態に従う、可撓性の板状連結ユニットの斜視図である。
【図18】図18は、本発明の別の実施形態に従う、可撓性の板状連結ユニットの斜視図を示す。
【図19】図19は、本発明のさらなる実施形態に従う、可撓性の中間部分を有するハイブリッドの棒−板状連結ユニットの斜視図を示す。
【図20】図20は、図19のハイブリッドの棒−板状連結ユニットを利用する脊椎固定装置の斜視図である。
【図21】図21は、患者の脊柱に移植後の図1の脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図22A】図22Aは、図16Aの板状連結ユニットを利用する脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図22B】図22Bは、図16Bの板状連結ユニットを利用する脊椎固定装置の斜視図を示す。
【図23A】図23Aは、本発明の一実施形態に従う、あるスキュー角で二つの隣接する椎体の椎弓根に挿入される二つの椎弓根スクリューの斜視図を示す。
【図23B】図23Bは、本発明の一実施形態に従う、椎弓根スクリューの結合組み立て部品の構造図を示す。
【図23C】図23Cは、本発明の一実施形態に従う、傾斜した安定化スペーサの斜視図を示す。
【図23D】図23Dは、図23Cの傾斜した安定化スペーサの側面図を示す。
【図23E】図23Eは、図23の椎弓根スクリューの円筒型頭部の上面図である。
【図24】図24は、本発明の一実施形態に従う、マーキングおよび誘導装置の斜視図を示す。
【図25】図25は、図24のマーキングおよび誘導装置の分解図を示す。
【図26A】図26Aは、図24のマーキングおよび誘導装置が手術中に挿入された後の、患者の脊椎の斜視断面図を示す。
【図26B】図26Bは、図24のマーキングおよび誘導装置の内部のトロカールが除去される際の、患者の脊椎の斜視断面図を示す。
【図27A】図27Aおよび27Bは、基準ピンに関する二つの実施形態の斜視図をそれぞれ示す。
【図27B】図27Aおよび27Bは、基準ピンに関する二つの実施形態の斜視図をそれぞれ示す。
【図28】図28は、本発明のさらなる実施形態に従う、差し込みトロカールの斜視図である。
【図29A】図29Aは、本発明の一実施形態に従う、図28の差し込みトロカールが基準ピンを椎弓根の指定の位置に駆動するために使用される際の、患者の脊椎の斜視断面図を示す。
【図29B】図29Bは、本発明の一実施形態に従う、二つの基準ピンが二つの隣接する椎弓根に移植された後の患者の脊椎の、斜視断面図を示す。
【図30】図30は、本発明の一実施形態に従う、管状目打ちの斜視図である。
【図31】図31は、本発明の一実施形態に従う、図30の管状目打ちが椎弓根スクリューのための挿入穴を拡大するために使用される際の、患者の脊椎の斜視断面図を示す。
【図32】図32は、本発明の一実施形態に従う、基準ピン回収装置の斜視図である。
【図33】図33は、本発明のさらなる実施形態に従う、基準ピンの少なくとも一部分を収容するための軸方向の円筒型空洞を有する椎弓根スクリューの斜視図である。
【図34】図34は、本発明の一実施形態に従う、一つの椎弓根スクリューが椎弓根の指定の位置に移植された後の患者の脊椎の、斜視断面図である。
【図35】図35は、本発明の一実施形態に従う、二つの椎弓根スクリューが二つの隣接する椎弓根の指定の位置に移植された後の、患者の脊椎の、斜視断面図である。
【図36A】図36Aは、本発明の一実施形態に従う、らせん状の溝が切り込まれた、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図である。
【図36B】図36Bは、図36AのB−Bの線に沿って見た、図36Aの可撓性棒の断面図を示す。
【図37A】図37Aは、本発明の一実施形態に従う、棒の本体内に横断型トンネルを有する、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図を示す。
【図37B】図37Bは、図37AのB−Bの線に沿って見た、図37Aの可撓性棒の断面図である。
【図38A】図38Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、棒の本体内に切り込まれたらせん状の溝と横断型トンネルを有する、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図である。
【図38B】図38Bは、図38AのB−Bの線の観点からの、図38Aの可撓性棒の上面図である。
【図39A】図39Aは、本発明の別の実施形態に従う、棒の本体内に横断型トンネルを有する、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図である。
【図39B】図39Bは、図39AのB−Bの線に沿って見た、図39Aの可撓性棒の断面図である。
【図39C】図39Cは、本発明のさらなる実施形態に従う、棒の本体内に実質的に直交する横断型トンネルを有する、図39AのB−Bの線に沿って見た、図39Aの可撓性棒の代替の断面図である。
【図40A】図40Aは、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒の斜視図を示す。
【図40B】図40Bは、本発明のさらなる実施形態に従う、脊椎固定のための可撓性棒の断面図を示す。
【図41A】図41Aは、軸上のテザーが空洞を通って延びている、脊椎安定化のための中空可撓性棒の断面図である。
【図41B】図41Bは、軸からずれたテザーが空洞を通って延びている、脊椎安定化のための中空可撓性棒の断面図を図示する。
【図41C】図41Cは、予め張力を受けている、軸からずれたテザーが、空洞を通って延びている、脊椎安定化のための中空可撓性棒の断面図を図示する。
【図42A】図42Aは、外部から付与される力に応答する長手軸方向本体の自由端の移動を図示する。
【図42B】図42Bは、図42Aに示されるシステムについての、移動対付与される力のグラフである。
【図43】図43は、内部テザーを有する長手軸方向部材の断面図を図示し、このテザーの張力または圧縮は、本発明の1つの実施形態に従って調節可能である。
【図44】図44は、内部テザーを有する長手軸方向部材の断面図を図示し、このテザーの張力および圧縮は、本発明の別の実施形態に従って調節可能である。
【図45】図45は、内部テザーを有する長手軸方向部材の断面図を図示し、このテザーの張力および圧縮は、本発明のなお別の実施形態に従って調節可能である。
【図46】図46は、図45に示されるものと類似の長手軸方向部材の斜視図を図示する。
【図47】図47は、本発明のさらなる実施形態に従う、長手軸方向部材のそれぞれの端部に連結された少なくとも1つの外部テザーを有する長手軸方向部材を図示する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
脊椎安定化装置において使用するための接続ユニットであって、該接続ユニットは、少なくとも2つの固定部材を使用して患者の脊椎に固定されるように構成されている第一の端部および第二の端部を有する、長手軸方向部材、該第一の端部と第二の端部との間の可撓性セクション、ならびに該第一の端部および第二の端部において該長手軸方向部材に固定された少なくとも1つのテザーを備え、該少なくとも1つのテザーは、該テザーが張られる地点まで該長手軸方向部材の屈曲または伸長を可能にするために充分なたるみ部分を有し、これによって、さらなる屈曲または伸長に抵抗する、接続ユニット。
【請求項2】
前記長手軸方向部材が、円柱形の棒の形状に構成されている、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項3】
前記長手軸方向部材が、中空である、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項4】
前記中空の長手軸方向部材の空洞が、前記少なくとも1つのテザーを封入し、該テザーが、前記第一の端部および第二の端部において、該長手軸方向部材に固定されている、請求項3に記載の接続ユニット。
【請求項5】
前記長手軸方向部材が、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項6】
前記少なくとも1つのテザーが、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の可撓性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項7】
前記少なくとも1つのテザーが、繊維、複数の繊維の束、ワイヤ、複数のワイヤの束、リボン、複数のリボンの束、棒、および複数の棒の束からなる、公知の構造体の群から選択される構造体を備える、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項8】
前記少なくとも1つのテザーが、前記接続ユニットの前記長手方向軸に対して少なくとも1つの方向で、所望の程度の緊張に予め張力を受けている、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項9】
前記長手軸方向部材が、中空であり、そして前記少なくとも1つのテザーが、該中空の長手軸方向部材の長手方向中心軸からずれて設置されており、該中空の長手軸方向部材の、異なる屈曲方向での異なる範囲の屈曲を可能にする、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項10】
前記中空の長手軸方向部材を外部からの屈曲力の非存在下で屈曲させるために、前記少なくとも1つのテザーが予め張力を受けている、請求項9に記載の接続ユニット。
【請求項11】
脊椎安定化装置において使用するための接続ユニットであって、該接続ユニットは、少なくとも2つの固定部材を使用して患者の脊椎に固定されるように構成された第一の端部および第二の端部を有する、中空の長手軸方向部材、該第一の端部と第二の端部との間の可撓性セクション、ならびに該長手軸方向部材の空洞内に位置する少なくとも1つのテザーを備え、該少なくとも1つのテザーの第一の端部は、該長手軸方向部材の該第一の端部において、調節可能な接続部材に連結されており、そして該少なくとも1つのテザーの第二の端部は、該長手軸方向部材の該第二の端部に連結されている、接続ユニット。
【請求項12】
前記長手軸方向部材が、円柱形の棒の形状に構成されている、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項13】
前記調節可能な結合部材が、前記中空の長手軸方向部材の前記第一の端部の内側にネジ山の入ったセクションと嵌合するように構成された、外側にネジ山の入ったねじ部材であり、該ねじ部材は、該中空の長手軸方向部材の長手方向軸に沿って、該ねじ部材の位置を調節するように回転可能であり、これによって、前記少なくとも1つのテザーに対する軸方向の張力を調節する、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項14】
前記ねじ部材が、滑り型継手を用いて前記少なくとも1つのテザーに結合されており、該滑り型継手は、該少なくとも1つのテザーを回転させることなく、該ねじ部材の軸周りでの回転を可能にし、そして該ねじ部材により該テザーに対する軸方向の張力を維持する、請求項13に記載の接続ユニット。
【請求項15】
前記ねじ部材が、前記少なくとも1つのテザーの前記第一の端部に堅固に固定されており、そして該少なくとも1つのテザーの前記第二の端部が、前記長手軸方向部材の前記第二の端部に位置する滑り型継手に連結されており、その結果、該滑り型継手が、該少なくとも1つのテザーに対する軸方向の張力を維持しながら、該少なくとも1つのテザーの回転を可能にする、請求項13に記載の接続ユニット。
【請求項16】
前記調節可能な連結部材が、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項17】
前記中空の長手軸方向部材が、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項18】
前記少なくとも1つのテザーが、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、張力応力に応答する制御された伸長性を有する公知の可撓性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項19】
前記少なくとも1つのテザーが、繊維、複数の繊維の紐、ワイヤ、複数のワイヤの紐、リボン、複数のリボンの紐、棒、および複数の棒の束からなる、公知の構造体の群から選択される構造体を備える、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項20】
前記少なくとも1つのテザーが、前記中空の長手軸方向部材の長手方向中心軸からずれて設置されており、該中空の長手軸方向部材の、異なる屈曲方向での異なる範囲の屈曲を可能にする、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項21】
前記中空の長手軸方向部材を、外部からの屈曲力の非存在下で屈曲させるために、前記少なくとも1つのテザーが、予め張力を受けている、請求項20に記載の接続ユニット。
【請求項22】
前記少なくとも1つのテザーの前記第一の端部が、前記中空の長手軸方向部材の前記第一の端部を越えて延び、そして該テザーの該第一の端部が、前記調節可能な連結部材の内側にネジ山の入ったセクションと嵌合するように構成された外側にネジ山の入ったねじセクションを有する、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項23】
前記調節可能な連結部材が、外部ナットを備え、該外部ナットが、前記中空の長手軸方向部材の前記第一の端部に当接し、そして前記少なくとも1つのテザーに対する張力を調節するために回転させられ得る、請求項22に記載の接続ユニット。
【請求項24】
前記外部ナットが、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項23に記載の接続ユニット。
【請求項25】
前記外部ナットと、前記中空の長手軸方向部材の前記第一の端部との間に、座金が置かれる、請求項23に記載の接続ユニット。
【請求項26】
前記座金が、金属、金属合金、エラストマー、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項25に記載の接続ユニット。
【請求項27】
前記座金が、スリップリング、止め座金、およびスプリット止め座金からなる公知の座金構造の群から選択される構造を有する、請求項25に記載の接続ユニット。
【請求項1】
脊椎安定化装置において使用するための接続ユニットであって、該接続ユニットは、少なくとも2つの固定部材を使用して患者の脊椎に固定されるように構成されている第一の端部および第二の端部を有する、長手軸方向部材、該第一の端部と第二の端部との間の可撓性セクション、ならびに該第一の端部および第二の端部において該長手軸方向部材に固定された少なくとも1つのテザーを備え、該少なくとも1つのテザーは、該テザーが張られる地点まで該長手軸方向部材の屈曲または伸長を可能にするために充分なたるみ部分を有し、これによって、さらなる屈曲または伸長に抵抗する、接続ユニット。
【請求項2】
前記長手軸方向部材が、円柱形の棒の形状に構成されている、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項3】
前記長手軸方向部材が、中空である、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項4】
前記中空の長手軸方向部材の空洞が、前記少なくとも1つのテザーを封入し、該テザーが、前記第一の端部および第二の端部において、該長手軸方向部材に固定されている、請求項3に記載の接続ユニット。
【請求項5】
前記長手軸方向部材が、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項6】
前記少なくとも1つのテザーが、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の可撓性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項7】
前記少なくとも1つのテザーが、繊維、複数の繊維の束、ワイヤ、複数のワイヤの束、リボン、複数のリボンの束、棒、および複数の棒の束からなる、公知の構造体の群から選択される構造体を備える、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項8】
前記少なくとも1つのテザーが、前記接続ユニットの前記長手方向軸に対して少なくとも1つの方向で、所望の程度の緊張に予め張力を受けている、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項9】
前記長手軸方向部材が、中空であり、そして前記少なくとも1つのテザーが、該中空の長手軸方向部材の長手方向中心軸からずれて設置されており、該中空の長手軸方向部材の、異なる屈曲方向での異なる範囲の屈曲を可能にする、請求項1に記載の接続ユニット。
【請求項10】
前記中空の長手軸方向部材を外部からの屈曲力の非存在下で屈曲させるために、前記少なくとも1つのテザーが予め張力を受けている、請求項9に記載の接続ユニット。
【請求項11】
脊椎安定化装置において使用するための接続ユニットであって、該接続ユニットは、少なくとも2つの固定部材を使用して患者の脊椎に固定されるように構成された第一の端部および第二の端部を有する、中空の長手軸方向部材、該第一の端部と第二の端部との間の可撓性セクション、ならびに該長手軸方向部材の空洞内に位置する少なくとも1つのテザーを備え、該少なくとも1つのテザーの第一の端部は、該長手軸方向部材の該第一の端部において、調節可能な接続部材に連結されており、そして該少なくとも1つのテザーの第二の端部は、該長手軸方向部材の該第二の端部に連結されている、接続ユニット。
【請求項12】
前記長手軸方向部材が、円柱形の棒の形状に構成されている、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項13】
前記調節可能な結合部材が、前記中空の長手軸方向部材の前記第一の端部の内側にネジ山の入ったセクションと嵌合するように構成された、外側にネジ山の入ったねじ部材であり、該ねじ部材は、該中空の長手軸方向部材の長手方向軸に沿って、該ねじ部材の位置を調節するように回転可能であり、これによって、前記少なくとも1つのテザーに対する軸方向の張力を調節する、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項14】
前記ねじ部材が、滑り型継手を用いて前記少なくとも1つのテザーに結合されており、該滑り型継手は、該少なくとも1つのテザーを回転させることなく、該ねじ部材の軸周りでの回転を可能にし、そして該ねじ部材により該テザーに対する軸方向の張力を維持する、請求項13に記載の接続ユニット。
【請求項15】
前記ねじ部材が、前記少なくとも1つのテザーの前記第一の端部に堅固に固定されており、そして該少なくとも1つのテザーの前記第二の端部が、前記長手軸方向部材の前記第二の端部に位置する滑り型継手に連結されており、その結果、該滑り型継手が、該少なくとも1つのテザーに対する軸方向の張力を維持しながら、該少なくとも1つのテザーの回転を可能にする、請求項13に記載の接続ユニット。
【請求項16】
前記調節可能な連結部材が、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項17】
前記中空の長手軸方向部材が、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項18】
前記少なくとも1つのテザーが、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、張力応力に応答する制御された伸長性を有する公知の可撓性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項19】
前記少なくとも1つのテザーが、繊維、複数の繊維の紐、ワイヤ、複数のワイヤの紐、リボン、複数のリボンの紐、棒、および複数の棒の束からなる、公知の構造体の群から選択される構造体を備える、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項20】
前記少なくとも1つのテザーが、前記中空の長手軸方向部材の長手方向中心軸からずれて設置されており、該中空の長手軸方向部材の、異なる屈曲方向での異なる範囲の屈曲を可能にする、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項21】
前記中空の長手軸方向部材を、外部からの屈曲力の非存在下で屈曲させるために、前記少なくとも1つのテザーが、予め張力を受けている、請求項20に記載の接続ユニット。
【請求項22】
前記少なくとも1つのテザーの前記第一の端部が、前記中空の長手軸方向部材の前記第一の端部を越えて延び、そして該テザーの該第一の端部が、前記調節可能な連結部材の内側にネジ山の入ったセクションと嵌合するように構成された外側にネジ山の入ったねじセクションを有する、請求項11に記載の接続ユニット。
【請求項23】
前記調節可能な連結部材が、外部ナットを備え、該外部ナットが、前記中空の長手軸方向部材の前記第一の端部に当接し、そして前記少なくとも1つのテザーに対する張力を調節するために回転させられ得る、請求項22に記載の接続ユニット。
【請求項24】
前記外部ナットが、金属、金属合金、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項23に記載の接続ユニット。
【請求項25】
前記外部ナットと、前記中空の長手軸方向部材の前記第一の端部との間に、座金が置かれる、請求項23に記載の接続ユニット。
【請求項26】
前記座金が、金属、金属合金、エラストマー、有機ポリマー、天然樹脂、合成樹脂、熱可塑性物質、エラストマーおよび複合材料からなる、公知の生体適合性材料の群のうちの少なくとも1つから選択される材料を含む、請求項25に記載の接続ユニット。
【請求項27】
前記座金が、スリップリング、止め座金、およびスプリット止め座金からなる公知の座金構造の群から選択される構造を有する、請求項25に記載の接続ユニット。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図23E】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図37A】
【図37B】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図41C】
【図42A】
【図42B】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12A】
【図12B】
【図12C】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16A】
【図16B】
【図16C】
【図16D】
【図16E】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22A】
【図22B】
【図23A】
【図23B】
【図23C】
【図23D】
【図23E】
【図24】
【図25】
【図26A】
【図26B】
【図27A】
【図27B】
【図28】
【図29A】
【図29B】
【図30】
【図31】
【図32】
【図33】
【図34】
【図35】
【図36A】
【図36B】
【図37A】
【図37B】
【図38A】
【図38B】
【図39A】
【図39B】
【図39C】
【図40A】
【図40B】
【図41A】
【図41B】
【図41C】
【図42A】
【図42B】
【図43】
【図44】
【図45】
【図46】
【図47】
【公表番号】特表2008−525118(P2008−525118A)
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−548481(P2007−548481)
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/046659
【国際公開番号】WO2006/071742
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507191186)エヌ スパイン, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成20年7月17日(2008.7.17)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年12月21日(2005.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2005/046659
【国際公開番号】WO2006/071742
【国際公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【出願人】(507191186)エヌ スパイン, インコーポレイテッド (6)
【Fターム(参考)】
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