説明

調製中に固体臭素化難燃剤の純度を増加させるための方法

減少した含有量の閉塞遊離臭素を有する臭素化芳香族難燃剤を調製するための方法を記載する。当該方法は、芳香族化合物の臭素化の最中に、過剰量の液体臭素およびルイス酸臭素化触媒が存在する臭素化反応混合物中で形成する固体粒子を細分するステップを含み、前記細分するステップが前記反応混合物の境界内で行われる。細分するステップは、粉砕すること、圧延すること、または音波処理によって達成される。

【発明の詳細な説明】
【背景技術】
【0001】
かなりの種類の臭素化難燃剤が比較的高融解性の固体である。その生成の最中に、特に過剰量の臭素が用いられる時に、一部の臭素は最終的に閉塞遊離臭素としてその生成物の一部となり、閉塞遊離臭素と言う用語は、通常の洗浄法が生成物中のその内容物を減少させるのに不十分であるように臭素化難燃剤生成物によって堅く保持される分子状臭素(Br)を指す用語である。このことは臭素の浪費であるだけでなく、生成物中のこの閉塞臭素の存在がその純度に悪影響を及ぼす。
【0002】
米国特許第6,518,468号では、平均粒径を減少させ、閉塞遊離臭素の量を減少させるために難燃剤にハンマーミルで乾燥粉砕を行うこと等の、固体臭素化難燃剤の湿潤ケーキに乾燥粉砕法を行う方法について第8欄で参照されている。その特許にて言及されている通り、少なくとも当該特許にて記載されている生成物は700〜1,000ppmの閉塞遊離臭素を依然として含んでおり、この濃度は、より許容可能かつ所望の遊離臭素の濃度である150〜200ppmの閉塞遊離臭素を依然として超える濃度である。
【発明の概要】
【0003】
本発明は、とりわけ、臭素化難燃剤生成物が生成されている時にその中にある閉塞遊離臭素の量を著しく減少させることによって、より高純度の臭素化難燃剤を提供する新たな方法を提供する。
【0004】
従って、その実施形態の1つでは、本発明は、より高純度の臭素化芳香族難燃剤が生成される方法を提供し、当該方法は、芳香族化合物の臭素化の最中に臭素化される生成物粒子を、(例えば、粉砕処理または音波処理を用いて)連続的に分解または細分するステップを含む。より具体的な一実施形態では、本発明は、過剰量の液体臭素が臭素化剤として使用され、ルイス酸臭素化触媒が用いられる方法において各芳香環が過臭素化される、臭素化芳香族難燃剤の生成に適用される。
【0005】
本発明の上記実施形態およびその他の実施形態は、次の記述および添付の特許請求の範囲からさらにより明白になる。
【発明を実施するための形態】
【0006】
その実施形態の1つでは、本発明は、減少した含有量の閉塞遊離臭素を有する臭素化芳香族難燃剤を調製する方法を提供し、当該方法は、芳香族化合物の臭素化の最中に、過剰量の液体臭素およびルイス酸臭素化触媒が存在する臭素化反応混合物中で形成する固体粒子を細分するステップを含み、前記細分するステップが完全に前記反応混合物の内で行われる。何種かの形態のルイス酸触媒が固体として存在し得るが、その存在は通常、反応混合物の主部内で発生する細分活性を過度に妨害しない。しかしながら、臭化アルミニウムは液体臭素に可溶であり、それ故反応混合物中に追加の固体を生じさせないので、臭化アルミニウムをルイス酸臭素化触媒として投入することが好ましい。
【0007】
好ましくは、本発明の方法は、過臭素化されるか、または本質的に過臭素化される芳香族難燃性化合物を生成する場合に利用される。「本質的に過臭素化される」とは、臭素化される化合物中において、平均で1未満の不飽和で臭素化可能な環位置が臭素化されていないままであることを意味する。
【0008】
本発明は、対応する臭素化されていない化合物、または対応する部分的に臭素化された化合物の臭素化によって生成される、多種多様な臭素化芳香族難燃剤化合物の生成に適用
可能である。このような難燃剤化合物のいくつかの限定されない例は、ペンタブロモトルエン、無水テトラブロモフタル酸、酸化デカブロモジフェニル(別名、デカブロモジフェニルエーテル)、デカブロモビフェニル、テトラデカブロモジフェノキシベンゼン、ペンタブロモフェノール、および、デカブロモジフェニルエタンである。本発明の好適な生成物は、酸化デカブロモジフェニル、および、デカブロモジフェニルエタンである。これらは、適切なルイス酸臭素化触媒を用いた大量の液体臭素中において、酸化ジフェニルまたはジフェニルエタンの臭素化によって、それぞれ最も良く生成される。当該分野で十分に知られているように、ジフェニルエタンの臭素化は、脂肪族化合物の臭素化の可能性を最小限にするために、光の非存在下で行われる。大量の臭素の処理で用いられる過剰な臭素の量は広範に変化し得るが、常に約10モルという過剰量の臭素を保持するのに十分であるべきである。一般的に、当該反応混合物は、臭素化されている芳香族化合物、または今後臭素化される芳香族化合物1モル当たり、約14〜約25モルの範囲内の臭素を含む。さらにより大きい保存量の臭素を提供し、その反応のために過剰な溶媒としても作用するように、芳香族化合物1モル当たり25モル超過の臭素を用いることが可能である。
【0009】
様々なルイス酸臭素化触媒を用いることができるが、細分された鉄(例えば、鉄粉、鉄塵など)、塩化第二鉄、臭化第二鉄、またはこのような物質の混合物等の鉄系触媒が好適である。より好適なのは、(例えば、アルミニウム箔、アルミニウム削り屑、アルミニウム薄片などの形態にある)金属アルミニウム、塩化アルミニウム、臭化アルミニウム、一塩化二臭化アルミニウム、一臭化二塩化アルミニウム、またはこれらのような物質の混合物等のアルミニウム系触媒である。臭素化反応の初期段階の最中に、鉄またはアルミニウムの粒子は、それらが鉄またはアルミニウムのハロゲン化物の可溶形態に変換されるように反応するまで、固体として存在し得る。従って、ハロゲン原子が塩素原子および/または臭素原子であるハロゲン化第二鉄、またはハロゲン化アルミニウムを、反応混合物に投入することが好ましい。一般的に、これらの物質は、当該反応混合物中で可溶形態に迅速に変換される。
【0010】
臭素化反応の温度は通常比較的低く、例えば、約50〜約65℃の範囲内であり、一般的に、臭素を液体状態に保つのに必要な場合に超大気圧下で作用する。
【0011】
本発明によれば、臭素化反応の最中に固体が生じる時に固体の分解を遂げるために、様々な方法および設備を用いることができる。例えば、反応混合物の主部内に配置された粉砕装置または圧延装置を用いることができる。このような装置は、腐食耐性の構成材料から製作されるべきであり、多数の構成材料が商品として利用可能である。粉砕装置と圧延装置では粉砕装置が好適であるが、その理由は、それがより均一な反応混合物の撹拌をもたらす傾向があるからである。
【0012】
臭素化の最中に生成されるような臭素化生成物の分解を遂げるために用いることができる1種の装置は、その反応容器内の器具であり、当該器具は、硬質で腐食耐性の材料から製作された、内部または外部で作動したすりこぎ装置で固体が粉末にされる椀形の空洞を有する、同一または同様の硬質で腐食耐性の材料の容器から成る。その反応容器内のこのような装置の部分は、磁器等の適切な硬質の陶磁器材料、または、適切な腐食耐性の金属合金から製作できる。ニッケル−タングステン合金、および鉄系クロム合金は、その反応容器内の装置の部分に対して、潜在的に適切な腐食耐性の金属合金の候補材料としての役割を果たす。
【0013】
臭素化の最中に、かつ、反応混合物の範囲内で生成されるような臭素化生成物の分解を遂げるために用いることができる別の種類の装置は、音波処理装置、特に高周波音波の使用を伴う超音波処理装置である。このような装置は、変換器からの音波エネルギーが反応混合物の液相(例えば、液体臭素、あるいは、液体臭素を含む不活性有機溶媒つまり希釈
剤)を通じて粒子に輸送される音波洗浄器の形態、あるいは、反応混合物中に含浸され、反応混合物の液相を通じてこのような音波エネルギーを伝播させる1つ以上の音波探査器の形態であり得る。実際には、当該音波処理装置は、臭素化反応の最中に連続的にも断続的にも作動させることができるが、少なくとも、1つまたは複数の環の過臭素化が行われる時に作動させるべきである。当該音波処理装置は、ガラス、ステンレス鋼、またはその両方等の腐食耐性の材料内に包入するべきである。当該音波処理装置の周波数と振幅の出力特性は、形成される難燃剤、および、臭素化を受ける臭素化反応混合物の組成物の固有性にある程度依存する。約15〜約100kHzの固有振動数、および、最高最低振幅を測定した場合、約10〜約100ミクロンの範囲内の振幅を有する超音波を生み出す音波処理装置の使用は、任意の所定の臭素化反応混合物が本発明に従って処理される最適な音波処理条件を決定するために、少なくとも始点として推奨される。
【0014】
不活性有機溶媒つまり希釈剤の存在下において、臭素化が液体臭素および触媒で行われる本発明の実施形態では、当該溶媒つまり希釈剤は一般的に、例えば、ブロモクロロメタン、ジクロロメタン、1,2−ジクロロエタン、1,2−ジブロモエタン、あるいは、分子内のハロゲン原子が、臭素原子、塩素原子、またはその両方の組み合わせである、その他適切な液体脂肪族ハロ炭化水素等のハロゲン化溶媒である。四塩化炭素等のハロ炭素も用いることができる。必要に応じて、2種以上のこのような溶媒つまり希釈剤の混合物を用いることができる。
【0015】
本発明の方法において生成した臭素化生成物の組成および純度を決定するために、ガスクロマトグラフ法が用いられる。当該ガスクロマトグラフィーは、炎イオン化検出器、低温のオンカラムの温度および圧力のプログラム可能な注入口、および温度プログラム機能を装備した、Hewlett-Packard 5890 Series IIのガスクロマトグラフ(またはその同等物)で行われる。当該カラムは12 AQ HT5の毛管カラムであり、12m、膜厚0.15μ、直径0.53mmであり、SGE社より市販されており、品番は054657である。条件は下記の通りである:検出器温度350℃、注入温度70℃、125℃/分で350℃に加熱し、稼働終了まで350℃に保つ、ヘリウム運搬ガスは10ml/分、注入圧力は4.0psiであり、0.25psi/分で9.0psigに増加させ、稼働終了まで9.0psiに保ち、炉温は60℃であり、12℃/分で350℃に加熱して10分保持し、ならびに注入方法は低温のオンカラムである。試料は、暖めながら0.03gの試料を10gのジブロモメタンに溶解させ、この溶液の2μlをコラムに注入することによって調製される。ピークの面積計算は、Thru-Put Systems社製の標的クロマトグラフィー解析ソフトウェアを用いて行われる。しかしながら、クロマトグラフのピークの面積を計算することにおける使用に適切なその他のソフトウェア、および市販のソフトウェアを用いてもよい。Thru-Put Systems社は現在Thermo Lab Systems社に所有されており、その住所は、フロリダ州 32819、オーランドー、Suite 200、5750 Major Blvd.である。SGE社の住所は、テキサス州 78758、オースティン、2007
クレイマーレーンである。結果はGC面積百分率として報告される。
【0016】
最終生成物中の閉塞臭素の量の決定は、何回かの決定を伴う手順の使用を伴う。つまり、デカブロモジフェニルエタン中における閉塞臭素の決定をもたらす手順は下記の通りである:当該試料は1,2,4−トリクロロベンゼン中に溶解され、閉塞臭素および臭化物を放出する。その後、その臭素は、水性亜硫酸ナトリウム溶液の添加によって臭化物に還元される。その臭化物は水相に抽出され、イオンクロマトグラフィーによって決定される。閉塞臭素および臭化物の合計がこの結果から計算される。その閉塞臭素を決定するために、同一の手順が亜硫酸ナトリウムを用いずに繰り返される。試料中の遊離臭素からの臭化物、および、閉塞臭素の加水分解から生成した臭化物は水相に抽出され、イオンクロマトグラフィーによって決定される。その閉塞臭素の含有量は、この未訂正のイオン性臭化物生成物、および合計の遊離臭素と臭化物の生成物から評価される。約半分の閉塞臭素は
、下記の式に従って低臭素濃度の臭化物に変換される:
Br+HO→HBr+HOBr
従って、閉塞臭素は下記のように評価される:
遊離臭素(ppm)=2×(合計の遊離臭素および臭化物(ppm)−未訂正のイオン性臭化物(ppm))。
イオン性臭素は下記のように評価される:
イオン性臭素(ppm)=合計の閉塞臭素および臭化物(ppm)−閉塞臭素(ppm))。
【0017】
より詳細には、デカブロモジフェニルエタン中の閉塞臭素および/またはイオン性臭素(臭化物)を決定するのに用いられる装置および手順は下記の通りである:
A)所要の装置としては、電導度検出器を装備したDionex DX-500のイオンクロマトグラフと、Dionex PeakNetのクロマトグラフィーデータ収集および処理システムと、Dionex
IonPac(登録商標)AG11-HCのガードカラムを装備したDionex IonPac(登録商標)AS11-HCのカラムとが挙げられる。
B)イオンクロマトグラフの稼働条件は、(a)溶離剤として:EG40−KOH勾配、(b)流速:1.5mL/分、(c)注入体積:25μL、(d)検出範囲:200μS、(e)抑制器:ASRS-Ultra(4mm)、(f)抑制電流:100mA、および、(g)再生液:自動抑制再利用モードを伴う。
C)EG40の稼働条件は、下記の表に列挙されている通りである:
【表1】

D)所要の化学物質は、(a)17.8MΩ−cm超過の特定の抵抗率を有する脱イオン化水と、(b)、HPLC等級の1,2,4−トリクロロベンゼンと、(c)、試薬等級の亜硫酸ナトリウムと、(d)水中における亜硫酸ナトリウムの0.1重量%溶液である。
E)標準化品質制御のために、標準溶液「B」が下記の通りに調製される:濃縮臭化物の標準溶液(1,000μg/mL)は、0.1287gの臭化ナトリウムを100mLの容積測定フラスコに入れて秤量し、脱イオン化水でその体積まで希釈し、十分に混合することによって調製される。これが標準溶液「A」である。臭化物補正標準溶液「B」は、100μLの濃縮臭化物の標準溶液を100mLの容積測定フラスコにピペットで移すことによって調製されるが、これはその後脱イオン化水でその体積まで満たされ、十分に混合される。これで、臭化物である1μg/mLの標準溶液「B」が生じる。後者の臭化物補正標準溶液の2つの分割試料が、二重解析のために個別の多封止自動試料採取器の試料瓶に充填される。
F)解析を行う際には、4つの試料調製物の合計が解析される各試料に用いられるように、閉塞臭素/臭化物の両方の決定のために、かつ、未訂正のイオン性臭素(臭化物)の決定のために、二重試料を調製することが推奨される。詳細な解析手順は下記のステップを伴う:(a)およそ0.030gの試料が40mLのコハクガラスEPA試料瓶内で秤量される。(b)20mLの1,2,4−トリクロロベンゼンが、容積測定ピペットを用いて試料瓶に添加され、その試料瓶は中隔蓋で堅く蓋をされ、その試料瓶はわずかに振ら
れ、音波処理されて試料を湿潤させる。(c)上記のように、20mLの1,2,4−トリクロロベンゼンのみを含む空白試料が調製される。(d)試料が溶解するまで時折振りながら、試料瓶がおよそ95℃で10分加熱ブロック内に入れられる。(e)イオン性臭素(臭化物)を決定するために、試料瓶が浴から除去され、丁度5mLの脱イオン化水が中隔蓋を通じて注射器を用いて直ちに添加される。試料瓶は封止されたままである。(f)合計の閉塞臭素および臭化物を決定するために、試料瓶が浴から除去され、脱イオン化水中の丁度5mLの亜硫酸ナトリウムが中隔蓋を通じて注射器を用いて直ちに添加される。試料瓶は封止されたままである。(g)各試料瓶は撹拌器上で20分振られる。(h)使い捨てピペットを用いて、上方の水層が除去され、GHP Polyproの注射濾過器を通じて濾過される。(i)25μLの濾過された試料はイオンクロマトグラフに注入され、上記稼働条件を用いて解析される。
G)用いられる計算は下記の通りである:
a)本方法は、個別の標準溶液「B」の二重注入から計算された応答係数を用いる。応答係数は下記の等式を用いて計算される:
【数1】

b)各試料の実行処理に対する臭化物のピーク面積は、下記式に従って空白試料における臭化物のピーク面積に対して訂正される:
【数2】

(式中、Aは試料のピーク面積であり、Aは空白試料のピーク面積であり、Aは訂正された試料のピーク面積である)。
c)各試料の調製物に対する訂正された臭化物の面積は、下記式を用いて試料中の閉塞臭素および臭化物の合計濃度を決定するために用いられる:
【数3】

(式中、Aは試料の訂正された面積であり、RFは臭化物の応答係数であり、Wはグラムで表現された試料の量(およそ0.03g)であり、Vは水溶液の合計体積(5mL)である)。
d)閉塞臭素およびイオン性臭素(臭化物)の濃度は、下記式を用いて、合計の閉塞臭素および臭化物(処理された亜硫酸塩)、および、未訂正のイオン性臭素(亜硫酸塩なし)に対する二重平均の結果から計算される:
閉塞臭素(ppm)=2×(合計の閉塞臭素および臭化物(ppm)−未訂正の臭素(ppm))。
【0018】
臭素化の最中に生成した固体が、粉砕、圧延、または音波処理によって分解される、本発明の好適な方法の一例は、ルイス酸臭素化触媒が、臭素中の塩化アルミニウムの混合物として、より好ましくは臭素中の臭化アルミニウムの溶液として反応器に装入され、臭素化される芳香族化合物が1,2−ジフェニルエタンであり、当該方法で調製される臭素化芳香族難燃剤がデカブロモジフェニルエタン生成物であり、その臭素化が約50〜約55℃の範囲内の温度で行われる方法である。このような方法は、99.5GC面積百分率を超えるデカブロモジフェニルエタンを含み、0.5GC面積百分率以下の、好ましくは0
.3GC面積百分率以下の、より好ましくは0.1GC面積百分率以下のノナブロモジフェニルエタン含有率を有するデカブロモジフェニルエタン生成物を生成できる。
【0019】
本明細書またはその特許請求の範囲における任意の箇所での化学名または化学式で呼ばれる成分は、単数形または複数形の何れで呼ばれていても、それらは、化学名または化学型で呼ばれる別の物質(例えば、別の成分、または溶媒など)と接触する前に存在すると認識される。もしあるとすれば、どの化学変化、化学変換、および/または化学反応が得られた混合物または溶液中で起こるかは重要ではないが、その理由は、このような変化、変換、および/または反応が、本開示に準じて必要とされる条件下において、特定の成分を混合することの当然の結果だからである。従って、その成分は、望ましい実施を行うこと、あるいは、望ましい組成物を形成することに関連して混合される原料として認識される。また、たとえ下文の特許請求の範囲が、現在形で物質、成分、および/または原料を指し得る場合であっても(「含む(comprises)」、「〜である(is)」など)、その参照は前記物質、成分、または原料が本開示による1つ以上のその他の物質、成分、および/または原料と最初に接触、混和、または混合される直前の時点でこれらが存在していた物質、成分、または原料を指す。物質、成分、または原料が、接触操作、混和操作、または混合操作の過程の間に、化学反応または化学変換を通じてその元来の固有性を失い得たという事実は、これらの操作が本開示および化学者の一般的技術に従って行われる場合、それ故実際の懸念を全く有しない。
【0020】
本明細書の任意の箇所で参照されているありとあらゆる特許または刊行物は、本明細書で完全に説明されているように、参照することにより本開示に全体として盛り込まれている。
【0021】
他に明示され得る場合を除いて、冠詞「1つの(「a」または「an」)」は、本明細書で用いられる場合、かつ、本明細書で用いられるように、1つの請求項を前記冠詞が指す単一の要素に制限することを目的としておらず、かつ、このような制限をするものと解釈してはならない。むしろ、冠詞「1つの(「a」または「an」)」は、本明細書で用いられる場合、かつ、本明細書で用いられるように、本文が他に明示していない限り、1つ以上のこのような要素を含むことを目的としている。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
減少した含有量の閉塞遊離臭素を有する臭素化芳香族難燃剤を調製する方法であって、前記方法が、芳香族化合物の臭素化の最中に、過剰量の液体臭素およびルイス酸臭素化触媒が存在する臭素化反応混合物中で形成する固体粒子を細分するステップを含み、前記細分するステップが前記反応混合物の範囲内で行われる方法。
【請求項2】
前記細分するステップが粉砕または圧延することによって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記細分するステップが音波処理によって実行される、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ルイス酸臭素化触媒がアルミニウム系ルイス酸触媒である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記芳香族化合物が1,2−ジフェニルエタンである、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記芳香族化合物が酸化ジフェニルである、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ルイス酸臭素化触媒がアルミニウム系ルイス酸触媒であり、前記芳香族化合物が1,2−ジフェニルエタンであり、前記方法において調製される臭素化芳香族難燃剤がデカブロモジフェニルエタン生成物である、請求項1〜3の何れかに記載の方法。
【請求項8】
前記ルイス酸臭素化触媒がアルミニウム系ルイス酸触媒であり、前記芳香族化合物が酸化ジフェニルであり、前記方法において調製される臭素化芳香族難燃剤が酸化デカブロモジフェニル生成物である、請求項1〜3の何れかに記載の方法。

【公表番号】特表2011−506327(P2011−506327A)
【公表日】平成23年3月3日(2011.3.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−536985(P2010−536985)
【出願日】平成20年11月24日(2008.11.24)
【国際出願番号】PCT/US2008/084546
【国際公開番号】WO2009/076056
【国際公開日】平成21年6月18日(2009.6.18)
【出願人】(594066006)アルベマール・コーポレーシヨン (155)
【Fターム(参考)】