説明

警備システム及び警備システムの通信不通表示方法

【課題】
偶発的に生じる電気通信回線の異常の検知を排除し、継続する電気通信回線の異常を的確に検知可能な警備システム及び警備システムの通信不通表示方法を提供することにある。
【解決手段】
センタ装置が、所定回数連続して定期通信が正常に行われなかった場合に、定期通信の異常の継続時間をカウントする不通経過タイマと電気通信回線の不通と判断する不通閾値とからなるアラームテーブルを作成するアラームテーブル作成手段と、不通経過タイマをカウントし、不通経過時間が不通閾値と一致又は超えた場合に警告を発する不通検出手段とを備えることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備対象施設側に設けられた警備端末とセンタ装置との間を電気通信回線で接続した警備システム及び警備システムの通信不通表示方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、一般の家庭や店舗、工場等の警備対象施設側に、異常を検知するセンサを設け、異常の情報を警備端末を介して警備センタのセンタ装置や各種端末機器に通報する警備システムが用いられている。そして、警備端末とセンタ装置とを接続する手段として、電話回線やインターネット網等の電気通信回線が用いられてきた。
【0003】
しかし、警備対象施設の異常の有無に係わらず電気通信回線に異常が生じ、通信が途絶える場合がある。この電気通信回線の異常を検知する方法として、例えば特許文献1に示されるものがある。特許文献1では、電気通信回線としてISDN回線を用いる警備システムで、監視先装置または警備先装置を複数台ごとにグループ化し、グループ内で一定時間間隔で順次発呼を繰り返し、監視先装置同士または警備先装置同士で通信不能状態を監視するようにしている。
【特許文献1】特開2005−72753号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の警備システムの通信不能状態の監視においては、呼の集中や電気通信回線のメンテナンスによる瞬断等による偶発的に生じる異常までも、電気通信回線の異常と検知してしまう可能性があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、偶発的に生じる電気通信回線の異常の検知を排除し、継続する電気通信回線の異常を的確に検知可能な警備システム及び警備システムの通信不通表示方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載の警備システムは、センタ装置が、所定回数連続して定期通信が正常に行われなかった場合に、定期通信の異常の継続時間をカウントする不通経過タイマと電気通信回線の不通と判断する不通閾値とからなるアラームテーブルを作成するアラームテーブル作成手段と、不通経過タイマをカウントし、不通経過時間が不通閾値と一致又は超えた場合に警告を発する不通検出手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
請求項2記載の警備システムは、不通閾値が、警備端末毎に定められることを特徴とする。
【0008】
請求項3記載の警備システムの通信不通表示方法は、センタ装置と警備端末との間で、電気通信回線の接続状況を監視するために定期通信を行い、所定回数連続して定期通信が正常に行われなかった場合に、定期通信の異常の継続時間をカウントする不通経過タイマと電気通信回線の不通と判断する不通閾値とからなるアラームテーブルを作成し、不通経過タイマをカウントし、不通経過時間が不通閾値と一致又は超えた場合に警告を発することを特徴とする。
【0009】
請求項4記載の警備システムの通信不通表示方法は、不通閾値が、警備端末毎に定められることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
請求項1及び請求項3の発明によれば、所定回数連続して定期通信が正常に行われなかった場合に、不通経過タイマをカウントし、不通経過時間が不通閾値と一致又は超えた場合に警告を発することから、偶発的に生じる電気通信回線の異常の検知を排除し、継続する電気通信回線の異常を的確に検知可能である。
【0011】
請求項2及び請求項4の発明によれば、不通閾値が警備端末毎に定められることから、各警備端末毎の電気通信回線の状況に応じて、電気通信回線の異常を的確に検知可能である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の形態について図面を参照しながら具体的に説明する。本発明の形態における警備システムは、不審者等が侵入することが好ましくない一般の家庭や店舗、工場等の警備対象施設の異常の情報を検知し通報するものであって、インターネット網等の通信回線を用いて情報伝達を行うものである。
【0013】
図1は、本発明に係る警備システムの実施例の構成を示す構成図である。図2は、同警備システムのセンタ装置の動作を示すフローチャートである。図3は、同センタ装置の画面を示す説明図である。本実施例の警備システム1は、警備すべき警備対象施設2に設けられた各種のセンサ3と、センサ3で検知した異常等をインターネット網5を用いて外部に情報伝達可能な警備用機器である警備端末10と、異常等の情報を管理するセンタ装置20とからなる。
【0014】
警備端末10は、センサ3のインタフェースである制御装置11と、異常等の情報を外部に情報伝達可能な通信装置12とから構成されている。また、インターネット網5は公衆回線網であり、例えば、アナログ加入回線(ADSL回線や光回線を含む)、ISDN回線、携帯電話網、PHS網等である。尚、通信回線5は、有線に限られるものではなく、無線により接続されるものであってもよい。また、通信装置12は、インターネット網5に接続可能な装置であり、具体的には有線方式又は無線方式のモデム、ターミナルアダプタ等である。
【0015】
センタ装置20は、異常の発生を表示し警備センタの管制員に伝える監視卓22と、インターネット網5と監視卓22とを接続する通信装置21とから構成されている。監視卓22は、例えば、コンピュータ端末であり、センタ装置20の制御を行う制御手段をも含むものとする。また、通信装置21は、インターネット網5に接続可能な装置であり、具体的には有線方式又は無線方式のモデム、ターミナルアダプタ等である。尚、通信回線5を介して1つのセンタ装置20に接続される警備対象施設は複数有り、他の警備対象施設7,8も、警備対象施設2と同様に、センサ3、警備端末10等を備えており、インターネット網5を介してセンタ装置20に接続されている。
【0016】
次に、本実施例における警備システムの動作を図2を基に説明する。尚、以後の説明において、括弧内の符号は図2のフローチャートの符号に対応している。まず、警備端末10は、センサ3が異常の発生を検知する通常監視に入る(S101)。
【0017】
【表1】

【0018】
表1に示すアラームテーブルは、後述する定期通信の異常の継続時間をカウントする不通経過タイマとインターネット網5の不通と判断する不通アラーム閾値とからなる。また、不通アラーム閾値及び不通経過タイマは、警備端末10毎に定められている。表1においては、アドレスが個々の警備端末を示している。警備端末10が通常監視を始めたことで(S101)、警備端末10(アドレス004)の不通アラーム閾値が設定される(本実施例に示す具体例は6)(S102)。
【0019】
次に、インターネット網5の接続状況等を監視するために警備端末10とセンタ装置20との間で定期通信を行う(S103)。定期通信は、所定の間隔で、警備端末10側又はセンタ装置20側から相手に向かって応答問い合わせを行い、相手側からの応答を待ち受けるものである。具体的な定期通信としては、警備端末10側からセンタ装置20側に対して応答問い合わせを行い警備端末10がセンタ装置20からの応答を待つ場合と、逆にセンタ装置20側から警備端末10側に対して応答問い合わせを行いセンタ装置20が警備端末10からの応答を待つ場合がある。
【0020】
次に、この定期通信が正常に行われたか否かの判断を行う(S103)。警備端末10側からセンタ装置20側に対して応答問い合わせを行い警備端末10がセンタ装置20からの応答を待つ場合、本来なら所定間隔でセンタ装置20に対して警備端末10から応答問い合わせが届かなければならないが、もし定期的に届かない場合にセンタ装置20側で定期通信の異常を検知できる。また、センタ装置20側から警備端末10側に対して応答問い合わせを行いセンタ装置20が警備端末10からの応答を待つ場合、応答が定期的に届かない場合にセンタ装置20側で定期通信の異常を検知できる。
【0021】
センタ装置20が定期通信の異常を検知した場合(S103−NG)、センタ装置20の監視卓22では、定期通信に異常を生じた警備端末10の不通経過タイマのタイマ・カウントを開始する(S104)。そして、引き続き定期通信の監視を行う(S105)。そして、定期通信が正常に行われ通信が復旧した場合には、該当の警備端末(10、アドレス004)をアラームテーブルから消去する(S112)。
【0022】
定期通信が依然として正常に行われない場合には(S105−NG)、アラームテーブルの不通経過タイマが時間と共にカウントされ、引き続き定期通信を試み、復旧の有無を確認する(S105)。そして、不通経過タイマのカウントが不通アラーム閾値に達し(一致又は超えた場合)てカウント・アップした場合には(S106−YES)、インターネット網5の警備端末10に係るルートが不通になっていると判断し、センタ装置20の監視卓22にアラーム表示を行う(S107)。
【0023】
具体的には、図3に示す接続状態画面30の警備端末ごとの接続状態を示す表示が変化する。接続状態画面30で、通常の不通が生じていない状態では、1つの警備端末の接続状態として警備端末状態表示32に示すように背景が白で表示されている。ところが、不通になったと判断された場合、端末装置10(アドレス004)の警備端末状態表示31では、背景が黒で表示されアラーム表示となる(S107)。尚、不通の場合に背景を黒で説明したが、例えば背景を赤で示したり点滅させたりすることも可能である。また、正常な警備端末に関しては背景を青で表示したり、不通になっている警備端末と区別できるようにすればよい。
【0024】
また、通信の状態を文字情報として表2の上段に示すように、不通状態の発生を示すジャーナルを監視卓22で表示するようにもする(S108)。この接続状態画面30とジャーナルとにより、センタ装置20の監視員は、通信の不通を知ることができる。
【0025】
【表2】

【0026】
アラーム等を表示した後(S107、S108)、引き続き定期通信を試み、定期通信が復旧した場合には(S109−復旧)、表2の下段に示すように、ジャーナルに復旧した旨を表示する(S110)。そして、接続状態画面30のアラーム表示を消去して通常の状態に戻す(S111)。その後、該当の警備端末(10、アドレス004)をアラームテーブルから消去する(S112)。
【0027】
尚、定期通信の異常を検知する条件として、定期通信が所定回数正常に行われなかった場合を、異常とする。この所定回数は任意に定めることが可能で、1回(すなわち、1回正常に行われなかった場合でも異常を検知)であっても構わない。
【0028】
以上のように、本実施例の警備システム1によれば、所定回数連続して定期通信が正常に行われなかった場合に、不通経過タイマをカウントし、不通経過時間が不通閾値である不通アラーム閾値と一致又は超えた場合に警告を発することから、偶発的に生じるインターネット網5等の電気通信回線の異常の検知を排除し、継続する電気通信回線の異常を的確に検知可能である。
【0029】
また、不通アラーム閾値が警備端末毎に定められることから、各警備端末毎の電気通信回線の状況に応じて、電気通信回線の異常を的確に検知可能である。
【産業上の利用可能性】
【0030】
以上のように、偶発的に生じる電気通信回線の異常の検知を排除し、継続する電気通信回線の異常を的確に検知可能な警備システム及び警備システムの通信不通表示方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0031】
【図1】本発明に係る警備システムの実施例の構成を示す構成図である。
【図2】同警備システムのセンタ装置の動作を示すフローチャートである。
【図3】同センタ装置の画面を示す説明図である。
【符号の説明】
【0032】
1・・・・警備システム
2・・・・警備対象施設
3・・・・センサ
5・・・・インターネット網
7・・・・警備対象施設
8・・・・警備対象施設
10・・・警備端末
11・・・制御装置
12・・・通信装置
20・・・センタ装置
21・・・通信装置
22・・・監視卓
30・・・接続状態画面
31・・・警備端末状態表示
32・・・警備端末状態表示

【特許請求の範囲】
【請求項1】
警備対象施設の警備状況を監視する警備端末と、少なくとも1つの該警備端末から電気通信回線を介して該警備状況を受け取るセンタ装置とからなり、該電気通信回線の接続状況等を監視するために該警備端末と該センタ装置との間で定期通信を行う警備システムにおいて、
該センタ装置が、
所定回数連続して該定期通信が正常に行われなかった場合に、該定期通信の異常の継続時間をカウントする不通経過タイマと該電気通信回線の不通と判断する不通閾値とからなるアラームテーブルを作成するアラームテーブル作成手段と、
該不通経過タイマをカウントし、不通経過時間が該不通閾値と一致又は超えた場合に警告を発する不通検出手段とを備えることを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記不通閾値が、前記警備端末毎に定められることを特徴とする請求項1記載の警備システム。
【請求項3】
警備対象施設の警備状況を監視する警備端末と、少なくとも1つの該警備端末から電気通信回線を介して該警備状況を受け取るセンタ装置とからなる警備システムの該電気通信回線の接続状況を表示する警備システムの通信不通表示方法において、
該センタ装置と該警備端末との間で、該電気通信回線の接続状況を監視するために定期通信を行い、
所定回数連続して該定期通信が正常に行われなかった場合に、該定期通信の異常の継続時間をカウントする不通経過タイマと該電気通信回線の不通と判断する不通閾値とからなるアラームテーブルを作成し、
該不通経過タイマをカウントし、不通経過時間が該不通閾値と一致又は超えた場合に警告を発することを特徴とする警備システムの通信不通表示方法。
【請求項4】
前記不通閾値が、前記警備端末毎に定められることを特徴とする請求項3記載の警備システムの通信不通表示方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2009−199387(P2009−199387A)
【公開日】平成21年9月3日(2009.9.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−40890(P2008−40890)
【出願日】平成20年2月22日(2008.2.22)
【出願人】(000101400)アツミ電氣株式会社 (69)
【Fターム(参考)】