説明

警備システム及び警報装置

【課題】警告放送を流している間、警報サイレンの鳴動の状態を変更して、警告放送の内容を聞き取り易くした警備システム及び警報装置を提供する。
【解決手段】警備システムは、複数のエリア毎に設置された警報装置11と、複数の警報制装置置に対して警報サイレンや警告放送の制御を行う主制御装置1とを含んで構成される。警報装置11は、警報サイレン及び警告放送を流すためにスピーカ4、6とアンプ5、7とが接続された警報制御装置2により構成される。警報制御装置2は、警報サイレンを鳴動させている状態で警告放送を流す際に、警報サイレン用のアンプ7に対し警報サイレン6の出力レベルの変更し、音声帯域を除去する制御を行って警報サイレンを鳴動させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、警備システム及び警報装置に係り、特に、空港施設等の重要施設における特定区域に不審者等の不正侵入が発生したことを監視し、警報を発する警備システム及び警報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
警備システムに関する従来技術として、例えば、特許文献1等に記載された技術が知られている。この従来技術は、重要施設における特定区域に不審者等による不正侵入が発生した場合、重要施設の特定区域内に張り巡らされている侵入探知を行う警報線が切断されたことを検出して警報サイレンを鳴動させ、また、警備所に警報線の断線情報を送信し、警備所の係員が判明した侵入区域に対して警告放送を流すというものである。また、本発明に関連する他の従来技術として、例えば、特許文献2等に記載された技術が知られている。この従来技術は、マイクで話した内容を音声として放送している間、別スピーカから流れているBGMなどの音量を小さくし、または、停止させるというものである。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−102801号公報
【特許文献2】特開平10−277213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
前述した特許文献1等に記載された従来技術による警備システムは、不正侵入の発生時に自動的に警報サイレンを鳴動させ、警備所からの操作により警告放送を流すというものであった。しかし、この従来技術は、警報サイレンの設備が各区域に設置され広域なエリアで聴取可能となるよう高出力で鳴動させているので、不正侵入者に注意を促すための警告放送の音声が警報サイレンの大きな音の鳴動により掻き消され、不正侵入者が警告放送の内容を良く聞き取れない場合があり、また、警備員も警告放送の内容を理解できず対応に遅れてしまう可能性があるという問題点を有している。
【0005】
本発明の目的は、前述した従来技術の問題点を解決し、警告放送を流している間、警報サイレンの鳴動の状態を変更して、警告放送の内容を聞き取り易くした警備システム及び警報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明によれば前記目的は、1または複数のエリアに不審者が侵入したことを監視し、不審者に対する警報、警告を発して、各エリアの警備を行う警備システムにおいて、前記1または複数のエリアのそれぞれに設置された警報装置と、該警報装置のそれぞれに接続され、警告放送を流すために使用する警告放送用電話機が接続された主制御装置とにより構成され、前記1または複数のエリアのそれぞれには、警備線が張り巡らされており、前記警報装置は、自装置が設置されているエリア内に張り巡らされている前記警備線の断線信号を受信する警報制御装置と、該警報制御装置に接続された警告放送を流すための警告放送用スピーカが接続された警告放送用アンプ、及び、警報サイレンを鳴動させるための警報サイレン用スピーカが接続された警報サイレン用アンプとを備えて構成され、前記警報制御装置は、前記警備線の断線信号を受信して不審者がエリア内に侵入したことを検知すると、前記警報サイレン用アンプを制御して警報サイレン用スピーカを鳴動させて侵入した不審者に警報を発すると共に、前記主制御装置に不審者の侵入があったことを通知し、この通知により警備員が前記警告放送用電話機を使用して警告放送を行って不審者に警告を行う際に、警報サイレン用スピーカの鳴動音量のレベルを低くし、または、警報サイレン用スピーカの鳴動音の周波数帯域から音声周波数帯域の周波数を除去して前記警報サイレン用アンプを制御した後、前記警告放送用アンプを制御して警告放送スピーカから不審者に警告放送を行うことにより達成される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、不正侵入者及び警備員に警告放送を聞こえ易くし、不正侵入者に対する警告や警備員に対する警備業務連絡を円滑に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の一実施形態による警備システムの構成例を示すブロック図である。
【図2】警備制御装置の構成例を示すブロック図である。
【図3】警告放送用アンプと警報サイレン用アンプとへの電源供給及び警報サイレンを鳴動させる制御機能の構成を示すブロック図である。
【図4】サイレン出力条件格納テーブルの構成例を示す図である。
【図5】警報制御装置が構築するスピーカ制御判定手段によるアンプ制御の処理動作を説明するフローチャートである。
【図6】警報制御装置が断線信号を受信し警報サイレンを鳴動させ警告放送を流した後に警報サイレンが停止するまでの主制御装置と警報制御装置と警報サイレン用アンプ、警告放送用アンプとの間での処理動作を説明するシーケンスチャートである。
【図7】警告放送時の音声出力及び警告サイレン出力の状態を説明するタイムチャートである。
【図8(a)】不正侵入が発生したエリアに設けられた警報装置の警告放送用アンプが故障していて、そのエリアでの警告放送を行うことができない場合の処理動作を説明するシーケンスチャート(その1)である。
【図8(b)】不正侵入が発生したエリアに設けられた警報装置の警告放送用アンプが故障していて、そのエリアでの警告放送を行うことができない場合の処理動作を説明するシーケンスチャート(その2)である。
【図9】主制御装置が代替エリアの選択に用いる指令管理テーブルの構成例とエリア配置の構成例とを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明による警備システム及び警報装置の実施形態を図面により詳細に説明する。以下に説明する本発明の実施形態は、不正侵入が発生したエリアで警告放送を流す警報装置を含む警備システムの例である。
【0010】
図1は本発明の一実施形態による警備システムの構成例を示すブロック図である。図1に示す本発明の実施形態による警備システムは、監視端末及び警告放送を流すために使用する警告放送用電話機3が接続された主制御装置1と、重要施設における特定区域としての複数のエリアA〜Cのそれぞれに設けられた警報装置11とがLANにより接続されて構成されている。
【0011】
複数のエリアA〜Cのそれぞれに設けられた警報装置11は、自装置が設置されているエリア内に張り巡らされている警備線の断線信号10を受信する警報制御装置2と、該警報制御装置2に接続された警告放送を流すための警告放送用スピーカ4を接続した警告放送用アンプ5、警報サイレンを鳴動させるための警報サイレン用スピーカ6を接続した警報サイレン用アンプ7、主制御装置1が設置されている警備所の警備員に連絡を取るためや試験放送をするための保守用電話機8、及び、警備線が断線した際に不正侵入を付近にいる係員に通知するための回点灯9とを備えて構成されている。警報制御装置2は、LANを介して主制御装置1に接続されており、不正侵入を通知する警備線の断線信号10を監視し、警告放送用スピーカ4、警報サイレン用スピーカ6、回転灯9を制御してある一定区域としてのエリアを警備する制御を行っている。警報制御装置2は、自装置を含む警備システム11が設置されているエリアの全域の警備する制御を行う。なお、前述において、警備線は、各エリアの外周に沿って設置されていればよく、警告放送用スピーカ4、警報サイレン用スピーカ6は、各エリアのほぼ中央に設置されていればよい。また、図1には、示していないが、各エリア内には、監視用のカメラが1または複数台設置されており、各カメラからの映像は、警備所に設置されている主制御装置1に接続された監視端末に表示可能とされている。
【0012】
図2は警備制御装置2の構成例を示すブロック図である。
【0013】
警備制御装置2は、制御プロセッサ(MPU)201と、固定記憶装置(ROM)202と、一時記憶装置(RAM)203と、LANインターフェース205が接続されたVoIPインターフェース(VoIP I/F)206と、スピーカインターフェース207と、保守用電話機インターフェース208と、断線受信インターフェース209とが制御バス204を介して相互に接続されて構成されている。前述の固定記憶装置(ROM)202には、警報装置全体の制御のための制御プログラムや警報サイレン音種等の固定データが記憶されており、一時記憶装置(RAM)203には、警報サイレンの鳴動条件データ等が記憶される。制御プロセッサ(MPU)201には、主制御装置1との間で制御メッセージの送受信を行うVoIPインターフェース206が接続され、LANインターフェース205を介してLAN環境下で主制御装置1に接続される。
【0014】
制御プロセッサ(MPU)201は、固定記憶装置(ROM)202に記憶されている制御プログラムを実行することにより、前述の主制御装置1との間で制御メッセージの送受信の制御を行うと共に、警告放送を流す警告放送用スピーカ4や警報サイレンを流す警報サイレン用スピーカが接続された警告放送用アンプ5と警報サイレン用アンプ7とを制御するスピーカインターフェース207や、保守用電話機8の制御を行う保守電話インターフェース208、断線信号10を監視する断線受信インターフェース209が接続されて、これらのインターフェース207〜209を制御している。
【0015】
警告放送用スピーカ4から流す警告放送の音声は、主制御装置1に接続された警告用電話機3からLANを経由して送信されてきた音声データをVoIPインターフェース206で抽出し、スピーカインターフェース207でアナログ信号に変換し、警告用放送用アンプ5から出力するものである。保守用電話機8からの音声信号は、保守電話インターフェース208でデジタルに変換され、VoIPインターフェース206でIP化されて主制御装置1へ音声データとして転送される信号であり、主制御装置が設置されている警備所の警備員との会話のためのものである。
【0016】
図3は警告放送用アンプ5と警報サイレン用アンプ7とへの電源供給及び警報サイレンを鳴動させる制御機能の構成を示すブロック図である。図3に示す制御機能は、固定記憶装置(ROM)202内にスピーカ制御プログラムとして記憶されていて、制御プロセッサ(MPU)201が制御プログラムと共に一時記憶装置(RAM)203内にロードして実行することにより構築される機能である。
【0017】
そして、図3に示す制御機能は、スピーカ制御判定手段301と、該スピーカ制御判定手段301に入力されたスピーカ制御情報が警備線の断線信号10によるものか、警告放送のためのものか等の情報を格納しているスピーカ制御情報管理テーブル302と、サイレン出力制御手段303と、サイレン起動時間監視手段304と、サイレン音種格納テーブル305と、サイレン出力条件格納テーブル306とを有して構成される。
【0018】
前述のスピーカ制御判定手段301には、VoIPインターフェース経由または断線受信インターフェース経由でスピーカ制御情報が入力される。スピーカ制御情報管理テーブル302には、入力したスピーカ制御情報が断線信号を受信したものによるアンプ制御なのか、警告放送を流すためのアンプ制御情報なのか等の内容を識別するアンプ制御情報が格納管理されている。サイレン音種格納テーブル305には、警報制御装置で出力すべきサイレンの音種の全てが格納管理されており、サイレン出力条件格納テーブル306には、アンプ制御がどのような出力条件で、どのような音種をサイレンから出力するさせるか等を示す情報が格納管理されている。サイレン出力制御手段303は、サイレン出力条件格納テーブル306で指定された警報サイレン用スピーカ6に対するサイレンの鳴動条件とサイレン音種格納テーブル305に記憶されているサイレン音種データとを比較し、該当するデータに対して、出力レベル変更や音声帯域除去などのデータ編集を実施し、編集情報データをサイレン制御判定手段301に出力して警報サイレン用スピーカ6を鳴動制御させる。また、サイレン起動時間監視手段304は、警報サイレン用アンプ7の起動が開始された時間からある任意の時間まで警報サイレン用スピーカが停止しない場合に、サイレン制御判定手段303に警報サイレン連続出力情報を通知する。サイレン制御判定手段303は、この通知を受けてイレン停止の制御を実施する。
【0019】
図4はサイレン出力条件格納テーブル306の構成例を示す図である。サイレン出力条件格納テーブル306には、警報装置11の現在の制御状況を示す出力条件の項と、それらの出力条件のそれぞれで、どのようなサイレンの音種を警報サイレン用アンプ7から出力するように制御すればよいかを示す情報であるサイレン出力音種の項、警告放送が流れている際に放送の内容が聞き取りやすいように、警告放送中に警報サイレン用アンプ7の出力レベルを下げて出力する(ON)のか否(OFF)かを示す情報である低レベル出力の項、出力するサイレンの周波数帯域から音声の帯域をカットした音域だけで出力するのか否かを示す情報である音声帯域フィルターの項が設定格納されている。
【0020】
前述のサイレン音種は、鳴動させるサイレン音のピークとなっている周波数の高低であり、例えば、「ピー」、「ポー」、「プー」、「ウー」等と聞こえるものであり、このサイレンを鳴動させる音種により、不正侵入者に対する警告用のものか、エリア内に巡回している係員に対する業務用のものなのか等を、係員に認識させることができるように設定されている。また、出力するサイレン音の広い周波数帯域から音声の帯域をカットすることにより、サイレンを鳴動させたままで警告放送を聞き取り易くすることができる。
【0021】
図5は警報制御装置が構築するスピーカ制御判定手段によるアンプ制御の処理動作を説明するフローチャートであり、次に、これについて説明する。なお、ここで説明するアンプ制御の処理は、警告放送用アンプ5及び警報サイレン用アンプ7の両方を制御する処理である。
【0022】
(1)主制御装置1または警備線からの断線信号10によるスピーカ制御情報が入力されると、スピーカ制御判定手段301は、スピーカ制御情報管理テーブル302を参照して、入力されたスピーカ制御情報に対応する内容を読み出し、読み出した内容が警告放送用アンプまたは警報サイレン用アンプの起動に関する制御であるか否かを判定する(ステップS1、S2)。
【0023】
(2)ステップS2の判定で、読み出した内容がアンプ起動に関する制御情報であった場合、該当する警告放送用アンプまたは警報サイレン用アンプを起動させ、または、停止させるための電源供給制御を実施し、ここでの処理を終了する(ステップS3)。
【0024】
(3)ステップS2の判定で、読み出した内容がアンプ起動に関する制御情報ではなかった場合、読み出した内容が警報サイレン用スピーカを鳴動させる警報サイレン制御であるか否かを判定し、サイレン制御でなかった場合、何もせずにここでの処理を終了する(ステップS4)。
【0025】
(4)ステップS4の判定で、読み出した内容が警報サイレンに関する制御であった場合、サイレン出力制御手段303に制御が移され、該サイレン出力制御手段303は、サイレン出力条件格納テーブル306から現在の警報装置11の制御状況を示す出力条件の項の出力条件に対応するサイレン出力音種の情報、警報サイレン用アンプ7の出力レベルを下げて出力するのか否かを示す情報、出力するサイレンの周波数帯域から音声の帯域をカットした音域だけで出力するのか否かを示す情報を取得すると共に、サイレン音種格納テーブル305からサイレンを鳴動させるサイレン音種の情報を取得し、今回の警報サイレンの出力条件を示すサイレンデータとして出力し、または、警報サイレンの停止を決定し、サイレンデータのデータ編集が必要な場合、サイレンデータの編集を実施する(ステップS5)。
【0026】
(5)その後、スピーカ制御判定手段301は、サイレン出力制御手段303からサイレンデータを受け取って、警報用サイレンアンプ7の出力または停止を制御してここでの処理を終了する(ステップS6)。
【0027】
図6は警報制御装置が断線信号を受信し警報サイレンを鳴動させ警告放送を流した後に警報サイレンが停止するまでの主制御装置と警報制御装置と警報サイレン用アンプ、警告放送用アンプとの間での処理動作を説明するシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。ここで説明するシーケンスの処理は、各アンプが起動されておらず不正侵入者により警備線の断線が発生し断線信号が受信されたものとした処理である。
【0028】
(1)警報制御装置2は、警備線の断線により不正侵入を通知する断線信号を受信すると、主制御装置1に不正侵入があったエリア情報を通知する(ステップK1、K2)。
【0029】
(2)主制御装置1は、通知されてきた不正侵入があったエリア情報を警備所の警備員が監視している監視端末に表示して不正侵入が発生したこと及び不正侵入があったエリア情報を表示す(ステップK3)。
【0030】
(3)警報制御装置2は、ステップK2での処理と同時に、警報サイレン用アンプ7に対して起動を指示すると共に、サイレン出力条件格納テーブル306で指定された警報サイレン出力を行うように指示を行う(ステップK4)。
【0031】
(4)警報サイレン用アンプ7は、指示に従って自アンプ起動し、正常に起動すると警報制御装置2に正常起動したことを通知し、警報サイレン用スピーカ6から警報サイレンをここでは大きなレベルで鳴動させる(ステップK5、K6)。
【0032】
(5)警報制御装置2は、警報サイレン用アンプ7から正常起動したことの通知を受信すると、主制御装置1に警報サイレン用アンプ7が起動したことを通知し、この通知を受けた主制御装置1は、監視端末に警報サイレン用アンプ7が起動したことを表示する(ステップK7、K8)。
【0033】
(6)監視端末の表示により、警報サイレン用アンプ7が起動したことを確認した警備員が不審者の侵入エリアに対し警告放送を流すために監視端末の警告放送釦を押下すると、主制御装置1は、警告放送のため警報サイレン音の変更を促す信号を警報制御装置2に送信する(ステップK9、K10)。
【0034】
(7)警報制御装置2は、警報サイレン音の変更を促す信号を受信すると、警告放送時の警報サイレン音をサイレン出力条件格納テーブル306から選択する。ここで、サイレン出力条件格納テーブル306に警報サイレン音の出力レベルを下げて出力すると設定されていたとする。この場合、警報制御装置2は、警報サイレン用アンプ7に出力を下げて警報サイレン用スピーカ6を鳴動させるように指示を行い、この指示を受けた警報サイレン用アンプ7は、警報サイレン用スピーカ6を、サイレンの鳴動出力レベルを下げた状態で鳴動させる(ステップK11、K12)。
【0035】
(8)また、主制御装置1は、警報サイレン音の変更を促す信号を警報制御装置2に送信した後、警報制御装置2に警告放送用アンプ5に起動信号を送信し、これを受けた警報制御装置2は、警告放送用アンプ5を起動する(ステップK13、K14)。
【0036】
(9)警告放送用アンプ5は、正常に起動すると警報制御装置2に正常起動したことを通知し、この通知を受けた警報制御装置2は、主制御装置1に警告放送用アンプ5が正常に起動したことを通知する(K15〜K17)。
【0037】
(10)警告放送用アンプ5が正常に起動したことの通知を受けた主制御装置1は、監視端末に警告放送用アンプ5が起動したことを表示し、これを確認した警備員が警告用電話機3を使用して警告放送を行って不正者が侵入している侵入エリアに対する警告放送を警告放送用スピーカ4から出力させる(ステップK18、K19)。
【0038】
(11)警告放送が終了すると、主制御装置1は、警報制御装置2に切断情報を送信し、これを受けた警報制御装置2は、警告放送用アンプ5にアンプ停止を指示し、この指示を受けた警告放送用アンプ5は、自アンプを停止(電源オフ)させ、警告放送用アンプ5を停止させたことを警報制御装置2に通知する(ステップK20〜K23)。
【0039】
(12)警報制御装置2は、警告放送用アンプ5からのアンプの停止通知を受信すると、主制御装置1に警告放送用アンプ5の停止を通知し、この通知を受けた主制御装置1は、監視端末に表示していた警告放送用アンプ5の起動表示を解除し、警告放送用アンプ5が待機状態(電源オフ)となったことを表示する(ステップK24、K25)。
【0040】
(13)警報制御装置2は、警告放送用アンプ5の停止制御に続き、警報サイレン用アンプ7に対し警告放送が終了したことを示す通知として、警報サイレン音出力の指示を、警報サイレン用アンプ7に送信する。これを受けた警報サイレン用アンプ7は、ここでは、例えば、警報サイレン用スピーカ6を元の出力レベル、すなわち、大きな出力レベルに戻して鳴動させる(ステップK26、K27)。
【0041】
(14)警報サイレン用スピーカ6が予め定めた時間以上鳴動され続けると、警報制御装置2内のサイレン起動時間監視手段304からその旨の通知が上がってくるので、警報制御送信2は、警報サイレン用アンプ7に対しアンプ停止の指示を送信して、警報サイレン用アンプ7の停止制御を行い、警報サイレン用アンプ7が自アンプを停止(電源オフ)させる(ステップK28、K29)。
【0042】
(15)警報サイレン用アンプ7は、自アンプを停止させると、警報制御装置2にアンプ停止の通知を送信し、これを受けた警報制御装置2は、主制御装置1に警報サイレン用アンプ7の停止を通知し、この通知を受けた主制御装置1は、監視端末の警報サイレン用アンプ7の起動表示を解除し、警報サイレン用アンプ7が待機状態(電源オフ)となったことを表示する。警備員は、監視端末をみて侵入による一連の警告放送業務の終了を確認することができる(ステップK30〜K32)。
【0043】
図7は警告放送時の音声出力及び警告サイレン出力の状態を説明するタイムチャートである。図7に示す例は、警告放送用アンプ5、警告サイレン用アンプのどちらのアンプも起動しておらず、警告放送中の警報サイレンは、出力レベルが下げられて鳴動させられるものとしている。
【0044】
図7において、時刻t0 に断線信号10等の入力があると、警報サイレン用アンプ7は、大きな出力レベルで警報サイレン用スピーカ6を鳴動させる。その後、時刻t1 の警告放送が開始される前に、警報サイレン用アンプ7は、その出力を下げて警報サイレン用スピーカ6を鳴動させる。その後、時刻t2 で警告放送が開始される。その後の時刻t3 で警告放送が終了すると、警報サイレン用アンプ7は、その出力を下げていた状態を解除し、時刻t4 から警告放送終了後用に元の出力レベルに戻して、大きな出力レベルで警報サイレン用スピーカ6を鳴動させる。警報サイレン用スピーカ6はある一定時間鳴動させられた後、時刻t5 に停止させられる。
【0045】
前述したように音声出力及び警告サイレン出力の状態を制御することにより、警告放送を流す際に、警告放送が流れている間だけ警告サイレンの出力レベルを下げることができ、不正侵入者及び警備員が警告放送を聞き取り易いものとすることができ、不正侵入者に対する警告や警備員に対する警備業務連絡が円滑に行えるようになる。
【0046】
なお、前述では、警告放送が流れている間だけ警告サイレンの出力レベルを下げるとして説明したが、本発明は、警告サイレンの音から音声の周波数帯域を除去するようにすることとしてもよい。
【0047】
図8(a)、図8(b)は不正侵入が発生したエリアに設けられた警報装置の警告放送用アンプが故障していて、そのエリアでの警告放送を行うことができない場合の処理動作を説明するシーケンスチャートであり、次に、これについて説明する。なお、以下の説明では、エリアAで不正侵入が発生し、図6により説明したステップK9の処理で、警備員が主制御装置1の監視端末のエリアAの警告放送釦を押下する処理からの処理として説明する。また、図8(a)、図8(b)に示す処理シーケンスは、一連の処理シーケンスであるので、図番の区別を行うことなく説明を続ける。
【0048】
(1)警備員が侵入エリアに対し警告放送を流すために監視端末の警告放送釦を押下すると、主制御装置1は、エリアAの警報制御装置2に警告放送用アンプ5に対する起動信号を送信し、これを受けたエリアAの警報制御装置2は、エリアA内の警告放送用アンプ5を起動を指示する(ステップL1〜L3)。
【0049】
(2)エリアA内の警告放送用アンプ5は、自アンプに障害が発生していて正常に起動できないことを検知すると、エリアA内の警告放送用アンプ5の障害発生をエリアAの警報制御装置2に通知し、これを受けたエリアAの警報制御装置2は、主制御装置1にエリアA内の警告放送用アンプ5の障害を通知する(ステップL4〜L6)。
【0050】
(3)エリアA内の警告放送用アンプ5の障害の通知を受けた主制御装置1は、監視端末にエリアA内の警告放送用アンプ5が故障していることを表示した後、エリアA内の警告放送用アンプ5の停止を指示する信号をエリアAの警報制御装置2に送信し、これを受けたエリアAの警報制御装置2は、エリアA内の警告放送用アンプ5に停止を指示する(ステップL7〜L9)。
【0051】
(4)停止を指示を受けたエリアA内の警告放送用アンプ5は、自アンプを停止(電源オフ)させた後、エリアA内の警告放送用アンプ5を停止させたことをエリアAの警報制御装置2に通知し、この通知を受けたエリアAの警報制御装置2は、エリアA内の警告放送用アンプ5が停止したことを主制御装置1に通知する(ステップL10、L11)。
【0052】
(5)その後、主制御装置1は、エリアA内の警報サイレン用アンプ7にサイレン音の停止を指示する信号をエリアAの警報制御装置2に送信し、これを受けたエリアAの警報制御装置2は、エリアA内の警報サイレン用アンプ7に停止を指示する(ステップL12、L13)。
【0053】
(6)停止を指示を受けたエリアA内の警報サイレン用アンプ7は、自アンプを停止(電源オフ)させた後、エリアA内の警報サイレン用アンプ7を停止させたことをエリアAの警報制御装置2に通知し、この通知を受けたエリアAの警報制御装置2は、エリアA内の警報サイレン用アンプ7が停止したことを主制御装置1に通知する(ステップL14〜L16)。
【0054】
(7)エリアA内の警報サイレン用アンプ7が停止したことの通知を受けた主制御装置1は、警報サイレン用アンプ7が待機状態(電源オフ)となったことを監視端末に表示し、図9に示して詳細を後述する指令管理テーブルから該当エリアA内の警報サイレン用アンプ7の故障時に代替で警報を発する隣接エリアを決定する。ここでは、エリアBで代替警報することとする(L17、L18)。
【0055】
(8)次に、主制御装置1は、エリアBの警報装置11の警報制御装置2に対してエリアB内の警報サイレン用アンプ7の起動及び警報サイレン鳴動させる出力レベルを警告放送中の低いレベルとするように、エリアB内の警報サイレン用アンプ7に指示する信号を送信する制御手順を実施する。ここでの制御手順は、図6により説明した処理におけるステップK10〜ステップK18までの処理と同様である。なお、ここでの処理で、警報サイレン鳴動させる出力レベルを警告放送中の低いレベルの小さい音で鳴動させる処理を行う理由は、エリアAでは、本来、警告放送中にサイレンを鳴動させる処理と同等の処理であるからである。
【0056】
(9)その後、正常時の警告放送の場合と同様に、エリアBに対して警告放送を行い、その警告放送が終了すると、主制御装置1は、エリアBの警報制御装置2に切断情報を送信し、これを受けたエリアBの警報制御装置2は、エリアB内の警告放送用アンプ5にアンプ停止を指示し、この指示を受けたエリアB内の警告放送用アンプ5は、自アンプを停止(電源オフ)させ、エリアB内の警告放送用アンプ5を停止させたことをエリアBの警報制御装置2に通知する(ステップL19〜L22)。
【0057】
(10)エリアB内の警告放送用アンプ5の停止の通知を受けたエリアBの警報制御装置2は、エリアB内の警告放送用アンプ5が停止(電源オフ)したことを主制御装置1に通知し、この通知を受けた主制御装置1は、監視端末のエリアB内の警告放送用アンプ5の起動表示を解除し、エリアB内の警告放送用アンプ5が待機状態(電源オフ)となったことを表示する(ステップL23、L24)。
【0058】
(12)エリアBの警報制御装置2は、エリアB内の警告放送用アンプ5が停止(電源オフ)したことを主制御装置1に通知した後、エリアB内の警報サイレン用アンプ7にサイレン音の停止を指示する信号及びアンプの停止を指示する信号をエリアB内の警報サイレン用アンプ7に送信し、サイレン音の停止及びアンプの停止指示を受けたエリアB内の警報サイレン用アンプ7は、サイレン音を停止させると共に、自アンプを停止(電源オフ)させた後、エリアB内の警報サイレン用アンプ7を停止させたことをエリアBの警報制御装置2に通知する(ステップL25〜L27)。
【0059】
(13)エリアB内の警報サイレン用アンプ7の停止の通知を受けたエリアBの警報制御装置2は、エリアB内の警報サイレン用アンプ7が停止(電源オフ)したことを主制御装置1に通知し、この通知を受けた主制御装置1は、監視端末のエリアB内の警報サイレン用アンプ7の起動表示を解除し、エリアB内の警報サイレン用アンプ7が待機状態(電源オフ)となったことを表示する(ステップL28、L29)。
【0060】
(14)その後、主制御装置1は、実際に不正侵入が発生したエリアAの警報装置11のエリアA内の警報制御装置2に対し、エリアA内の警報サイレン用アンプ7の起動及び警告放送終了の出力レベルで警報サイレン用スピーカ6を鳴動させる指示を送信する(ステップL30)。
【0061】
(15)エリアAの警報制御装置2は、主制御装置1からの指示を受けて、エリアAの警報サイレン用アンプ7にアンプ起動と警報サイレン音の出力とを指示する。この指示を受けたし、エリアAの警報サイレン用アンプ7は、自アンプを起動し、警報サイレン用スピーカ6を大きい出力レベルで鳴動させる(ステップL31)。
【0062】
(16)そして、エリアAの警報サイレン用アンプ7は、エリアAの警報サイレン用アンプ7が正常に起動したことをエリアAの警報制御装置2に通知する。この通知は、エリアAの警報制御装置2から主制御装置1に送信され、この通知を受けた主制御装置1は、監視端末に、エリアAの警報サイレン用アンプAの起動を表示する(ステップL32〜L34)。
【0063】
前述したような制御を行うことにより、警告放送を流す際に該当エリアの警告放送用アンプが故障していても、隣接エリアから放送を流すことができ、警告や連絡が途絶えるというようなことをなくすことができる。
【0064】
図9は主制御装置が代替エリアの選択に用いる指令管理テーブルの構成例とエリア配置の構成例とを示す図である。
【0065】
いま、それぞれに警報装置11が設けられていて警備線が張り巡らされている複数のエリアA〜Gが図9(b)に示すように配置されているものとする。このようなエリアの配置で、主制御装置1が図8(a)、図8(b)に示すシーケンスチャートの処理を行う際に、あるエリアの警告放送用アンプに障害が発生していて、代替エリアの機器を使用して警備を行おうとする場合に参照する代替エリアの選択に用いる図9(a)に示している指令管理テーブルには、警告放送用アンプに障害が発生しているエリア、ここでは、エリアA〜Dについて、これらのエリアに隣接する代替エリアとして、どのエリアが選択可能かの代替エリアが格納されている。例えば、エリアAの代替エリアとしてエリアB、D、Eから1つのエリアを選択することができる。
【符号の説明】
【0066】
1 主制御装置
2 警報制御装置
3 警告用電話機
4 警告放送用スピーカ
5 警告放送用アンプ
6 警報サイレン用スピーカ
7 警報サイレン用アンプ
8 保守用電話機
9 回点灯
10 断線信号
11 警報装置
201 制御プロセッサ(MPU)
202 固定記憶装置(ROM)
203 一時記憶装置(RAM)
204 制御バス
205 LANインターフェース
206 VoIPインターフェース
207 スピーカインターフェース
208 保守用電話機インターフェース
209 断線受信インターフェース
301 スピーカ制御判定手段
302 スピーカ制御情報管理テーブル
303 サイレン出力制御手段
304 サイレン起動時間監視手段
305 サイレン音種格納テーブル
306 サイレン出力条件格納テーブル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
1または複数のエリアに不審者が侵入したことを監視し、不審者に対する警報、警告を発して、各エリアの警備を行う警備システムにおいて、
前記1または複数のエリアのそれぞれに設置された警報装置と、該警報装置のそれぞれに接続され、警告放送を流すために使用する警告放送用電話機が接続された主制御装置とにより構成され、
前記1または複数のエリアのそれぞれには、警備線が張り巡らされており、
前記警報装置は、自装置が設置されているエリア内に張り巡らされている前記警備線の断線信号を受信する警報制御装置と、該警報制御装置に接続された警告放送を流すための警告放送用スピーカが接続された警告放送用アンプ、及び、警報サイレンを鳴動させるための警報サイレン用スピーカが接続された警報サイレン用アンプとを備えて構成され、
前記警報制御装置は、前記警備線の断線信号を受信して不審者がエリア内に侵入したことを検知すると、前記警報サイレン用アンプを制御して警報サイレン用スピーカを鳴動させて侵入した不審者に警報を発すると共に、前記主制御装置に不審者の侵入があったことを通知し、この通知により警備員が前記警告放送用電話機を使用して警告放送を行って不審者に警告を行う際に、警報サイレン用スピーカの鳴動音量のレベルを低くし、または、警報サイレン用スピーカの鳴動音の周波数帯域から音声周波数帯域の周波数を除去して前記警報サイレン用アンプを制御した後、前記警告放送用アンプを制御して警告放送スピーカから不審者に警告放送を行うことを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記主制御装置には、不審者の侵入を監視する監視端末が接続されており、前記1または複数のエリアに設置された警報装置の警報制御装置に接続された前記警報サイレン用アンプ、警告放送用アンプの起動状態を前記監視端末に表示することを特徴とする請求項1記載の警備システム。
【請求項3】
前記1または複数のエリアのそれぞれに設置されている警報装置の警報制御装置に接続されている前記警告放送用アンプのあるエリアの警告放送用アンプに障害が発生していて、当該エリアに不審者の侵入があっても警告放送を行うことができなくなった場合、隣接するエリアに設置されている警報装置の警報制御装置に接続された警報サイレン用アンプを制御して警報サイレン用スピーカを鳴動させ、警告放送用アンプを制御して警告放送用スピーカから警告放送を流すことを特徴とする請求項1または2記載の警備システム。
【請求項4】
1または複数のエリアに不審者が侵入したことを監視し、不審者に対する警報、警告を発して、各エリアの警備を行う警備システムの前記1または複数のエリアのそれぞれに設置された警報装置において、
前記警報装置が設置されたエリアには、警備線が張り巡らされており、また、前記警報装置には、警告放送を流すために使用する警告放送用電話機が接続された主制御装置が接続されており、
前記警報装置は、自装置が設置されているエリア内に張り巡らされている前記警備線の断線信号を受信する警報制御装置と、該警報制御装置に接続された警告放送を流すための警告放送用スピーカが接続された警告放送用アンプ、及び、警報サイレンを鳴動させるための警報サイレン用スピーカが接続された警報サイレン用アンプとを備えて構成され、
前記警報制御装置は、前記警備線の断線信号を受信して不審者がエリア内に侵入したことを検知すると、前記警報サイレン用アンプを制御して警報サイレン用スピーカを鳴動させて侵入した不審者に警報を発すると共に、前記主制御装置に不審者の侵入があったことを通知し、この通知により警備員が前記警告放送用電話機を使用して警告放送を行って不審者に警告を行う際に、警報サイレン用スピーカの鳴動音量のレベルを低くし、または、警報サイレン用スピーカの鳴動音の周波数帯域から音声周波数帯域の周波数を除去して前記警報サイレン用アンプを制御した後、前記警告放送用アンプを制御して警告放送スピーカから不審者に警告放送を行うことを特徴とする警報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8(a)】
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【図8(b)】
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【図9】
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【公開番号】特開2012−234436(P2012−234436A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−103653(P2011−103653)
【出願日】平成23年5月6日(2011.5.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】