説明

警備システム

【課題】押込み強盗を的確に検出可能な警備システムを提供する。
【解決手段】警備システム1は、監視エリア内における移動体の位置を検知する検知手段21と、移動体が監視エリア内に進入することを許可された許可者であるか否かを識別可能な識別情報を取得する識別手段22と、検知手段21により検知された移動体の位置及び識別情報に基づいて不審者を検知する監視処理手段39とを有する。そして監視処理手段39は、許可者である移動体と、監視エリア内に進入することが許可されない非許可者である第2の移動体とが同時に監視エリア内において検知されている場合、許可者の移動軌跡と非許可者の移動軌跡に応じて非許可者が不審者か否か判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域内へ進入した移動体を監視する警備システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、予め設定された監視エリアに侵入した侵入者を、様々なセンサの何れかを用いて検知し、侵入者を検知した場合に警報を発したり、侵入異常の発生を監視センタなどへ通報する警備システムが利用されている。このような警備システムは、監視エリアに入る正当な権限を有するユーザが監視エリアに進入したときも、センサがユーザを検知すると異常通報してしまう。そのため、ユーザは、監視エリアに進入する度に、警備システムを操作して侵入監視を解除させる必要がある。このような操作は、ユーザにとって煩雑である。
そこで、ユーザの利便性を高めるために、ユーザに無線タグを持たせ、センサが監視エリア内への侵入者を検知した場合であっても、無線タグを検知していればその侵入者はユーザであると認識して、侵入異常と判定しないようにする警備システムが提案されている(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2005−182340号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
一般に、警備システムは、家屋などの建物内部の空間、または境界を監視エリアとして監視するが、不審者が建物へ侵入する前に、迅速に不審者を検出して通報するべく、建物の周囲、例えば、戸建家屋の庭が監視エリアに設定されることもある。
しかし、家屋の庭には、宅配物を届ける配達者、水道、ガスなどの設備のメーター検針員、一般の訪問者など、ユーザでも不審者でもない様々な人物が立ち入る可能性がある。このような人物も、一般に無線タグを所持しない。そこで、無線タグを所持しない人物による監視エリアへの進入の適否をどのように扱うかが問題となる。
【0005】
例えば、ユーザと共に無線タグを持たない人物が監視エリアに進入する場合、この人物がユーザと同行して進入するユーザの知人などであるのか、あるいはユーザを脅して屋内へ侵入しようとする押込み強盗であるのか不明である。したがって、警備システムが、監視エリアへ進入した人物を無線タグの有無に応じて一律に不審者か否か判断すると、監視エリアに悪意の無い人物が進入したときに警報を発してしまったり、あるいは、監視エリアに進入した人物が押込み強盗であっても異常検知できなくなってしまう。
【0006】
そこで、本発明は、押込み発生時における、押込み強盗の行動特性に着目し、押込み強盗を的確に検出可能な警備システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一つの形態として、建物周囲の監視エリアに侵入した不審者を検出して警報を発する警備システムが提供される。この警備システムは、監視エリア内における移動体の位置を検知する検知手段と、移動体が監視エリア内に進入することを許可された許可者であるか否かを識別可能な識別情報を取得する識別手段と、検知手段により検知された移動体の位置及び識別情報に基づいて不審者を検知する監視処理手段とを有する。そして監視処理手段は、許可者である移動体と、監視エリア内に進入することが許可されない非許可者である第2の移動体とが同時に監視エリア内において検知されている場合、許可者の移動軌跡と非許可者の移動軌跡に応じて非許可者が不審者か否か判定する。
【0008】
また、監視処理手段は、許可者の移動軌跡と非許可者の移動軌跡とが部分的に一致する場合に非許可者が不審者であると判定することが好ましい。
【0009】
この場合において、監視処理手段は、移動体の移動軌跡に基づいて移動体が建物から離れる退場行為及び建物へ向かう入場行為を検出し、許可者である移動体の退場行為を検出した後にその許可者である移動体及び非許可者である第2の移動体が近接した状態で入場行為を検出した場合、非許可者が押込み強盗を企図する不審者であると判定することが好ましい。
【0010】
さらに、監視処理手段は、許可者の退場行為として、建物の出入口から監視エリアを通って監視エリアの外側領域へ退出した許可者の移動軌跡を検出してから所定時間以内に、その許可者及び非許可者の入場行為として、監視エリアの外側領域から監視エリアに進入して建物の出入口へ向かうその許可者及び非許可者の移動軌跡を検出した場合、非許可者が押込み強盗を企図する不審者であると判定することが好ましい。
あるいは、監視処理手段は、許可者の退場行為として、建物の出入口から監視エリアに進入し、監視エリアの外側領域へ向かう許可者の移動軌跡を検出した後、その許可者及び非許可者の入場行為として、建物の出入口へ向かうその許可者及び非許可者の移動軌跡を検出した場合、非許可者が押込み強盗を企図する不審者であると判定することが好ましい。
【0011】
また、警備システムは、建物の出入口の施解錠状態を監視する錠監視手段を有し、監視処理手段は、施解錠状態が施錠状態であることを示すことを条件として、非許可者が押込み強盗を企図する不審者であると判定することが好ましい。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る警備システムは、押込み強盗を的確に検出できるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一つの実施形態に係る警備システムの全体システム構成図である。
【図2】本発明の一つの実施形態に係る警備システムが設置された建物の外周に設定された監視エリアの一例を示す図である。
【図3】本発明の一つの実施形態に係る警備システムにおいて利用可能なセンサ端末の一例の概略構成図である。
【図4】本発明の一つの実施形態に係る警備システムにおいて利用可能な監視端末の一例の概略構成図である。
【図5】監視端末の監視処理部により実行される、不審者検知処理の動作を示すフローチャートである。
【図6】監視端末の監視処理部により実行される、不審者検知処理の動作を示すフローチャートである。
【図7】権限設定処理の動作を示すフローチャートである。
【図8】監視端末の監視処理部により実行される、未更新追跡データ更新処理の動作を示すフローチャートである。
【図9】他の実施形態による、監視端末の監視処理部により実行される、不審者検知処理の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の一つの実施形態である、戸建家屋の敷地を監視エリアとし、ユーザの外出を待ち伏せてその敷地に侵入した押込み強盗を検知して警報を発する警備システムを、図を参照しつつ説明する。この警備システムは、ユーザ外出時の押込み強盗の行動特性に着目し、ユーザが外出した直後に、監視エリアに進入する権限を持たない非許可者とともにユーザが再び屋内へ戻ろうとする行為を検出し、その際の非許可者を押込み強盗を企図する不審者と判定するものである。
【0015】
図1は、一つの実施形態に係る警備システム1の全体システム構成を示す図である。図1に示すように、警備システム1は、家屋の周囲に設置され、監視エリアである敷地内の少なくとも一部分を監視対象とする少なくとも1台のセンサ端末2と、各センサ端末2と通信回線を通じて接続され、家屋内に設置される監視端末3とを有する。
また警備システム1には、ユーザなど、特定の人物が所持する無線タグ4が含まれる。無線タグ4は、センサ端末2と無線通信可能となっている。そして無線タグ4は、センサ端末2から質問信号を受信すると、内蔵するメモリに記憶された無線タグの識別コードを返信する。
【0016】
センサ端末2は、監視エリア内に侵入した人物を検知するとともに、無線タグ4を検知し、その検知結果を監視端末3へ通知する。監視端末3は、センサ端末2からの検知結果に基づいて、監視エリア内に進入した人物が不審者か否か判定する。そして監視端末3は、監視エリア内に進入した人物が不審者であると判定すると、公衆通信回線を介して接続された監視センタ装置5へ、不審者が検知されたことを示す異常通報を行う。
【0017】
図2は、警備システム1が設置された建物の外周に設置された監視エリアの一例を示す図である。この例では、監視エリア100は、建物110の外周の敷地全体に設定されている。監視エリア100全体を監視できるように、建物110の外周の各面には、センサ端末2がそれぞれ設置される。また、監視端末3が、建物110の内部に設置されている。
【0018】
また、監視エリア100の外周の監視外のエリアは、敷地外エリアとされ、監視エリア100と区別される。さらに、建物110に相当するエリアは屋内エリアとされ、監視エリア100及び敷地外エリアと区別される。この屋内エリアは、ユーザなど、建物内への立ち入りが許可された者のみが立ち入ることができるエリアである。ただし、監視端末3により、入場を許可する操作、例えば、監視解除操作または玄関の解錠操作が行われた後に一時的に立ち入りを許可された者が屋内エリアに立ち入ることは許される。
なお、図2に示した例では、監視エリアは建物の外周全域に設定されているが、監視エリアは、敷地内のうち、少なくとも建物の出入口から敷地外の出入口までの領域を含む建物の外周の一部領域のみに設定されてもよい。
【0019】
監視端末3は、不審者判定に際し、センサ端末2が無線タグ4を検知したか否か、あるいは後述する一時許可者の条件を満たしたか否かによって特定される権限情報を用いる。
この権限情報は、監視エリア内への立ち入りが許可される程度を表す情報であり、本実施形態では、以下の3種類の権限が設定される。
・許可者
この権限は、無線タグ4を所持する人物に与えられる。許可者には、監視エリア内への無制限の立ち入りが認められる。また、許可者には、屋内エリアへの立ち入りが認められる。そのため、無線タグ4は、例えば、警備システム1が設置された建物の住人などのユーザが所持する。
・一時許可者
この権限は、無線タグ4を所持しない人物に対して一時的に与えられる。一時許可者には、敷地の通用口から建物の玄関までを移動するのに十分な期間、監視エリア内及び屋内エリアに立ち入ることが許される。一時許可者の権限は、監視端末3を操作することによって与えられるか、あるいは、屋内エリアから退出したことが検知された者に対して与えられる。
・非許可者
無線タグ4を所持せず、かつ、一時許可者に認定されていない人物は非許可者とされる。非許可者には、監視エリア内及び屋内エリアへの進入は認められず、不審者として検知される対象となる。
【0020】
図3は、センサ端末2の概略構成図である。センサ端末2は、センサ21、タグリーダ22、カメラ23、マイク24、記憶部25、電源部26、宅内通信部27、スピーカ28及び制御部29を有する。
【0021】
センサ21は、監視エリア内に進入した人物の位置を検知する人体検知センサである。センサ21として、例えば、レーザ測距センサを利用できる。レーザ測距センサは、予め設定された走査範囲(例えば、180°)にわたってレーザを水平方向に所定の角度ステップ(例えば、0.1°単位)で走査し、そのレーザの反射光を検出して、例えば、Time-of-Flight法により、レーザを反射した物体までの距離を測定する。センサ21は、一定の周期で走査範囲全体を走査する。そしてセンサ21は、その走査範囲内の各角度における、レーザが反射された点までの距離を測定し、測定された距離をその角度と対応付けた測距データを制御部29へ通知する。
なお、センサ21は、レーザを水平及び垂直方向に2次元に走査し、走査方向と測定距離からなる3次元データを得るように構成してもよい。また、測距方法に関しては、公知の様々な方法を採用すればよく、例えば、位相差方式、三角測量方式などが利用できる。
【0022】
タグリーダ22は、監視エリア内に進入した人物の権限を識別可能な識別情報を取得する識別センサの一例である。そのために、タグリーダ22は、所定範囲内に位置する無線タグ4と通信する。所定範囲は、例えば、監視エリア内の任意の場所にいる人物が所持する無線タグ4が、少なくとも何れか一つのセンサ端末2のタグリーダ22と通信可能なように設定される。好ましくは、所定範囲は、同じセンサ端末2のセンサ21の走査範囲に含まれる監視エリアと略同範囲とする。
タグリーダ22は、例えば、一定周期で質問信号を放射する。そしてタグリーダ22は、質問信号に応答した無線タグ4から応答信号を受信すると、その応答信号を解析して、応答信号に含まれる無線タグ4の識別コードを抽出する。そしてタグリーダ22は、抽出した識別コードを制御部29へ通知する。
【0023】
カメラ23は、所定の周期で監視エリア内の所定領域を撮影し、その所定領域の画像を生成する。そしてカメラ23は生成した画像を制御部29へ渡す。所定領域は、例えば、監視エリア内の任意の場所が、少なくとも何れか一つのセンサ端末2のカメラ23により撮影されるように設定される。好ましくは、同じセンサ端末2のセンサ21の走査範囲に含まれる監視エリアを撮影可能なように所定領域が設定される。例えば、図2の例では、各センサ端末2が有するカメラ23は、約180°の画角を有するものが用いられる。
【0024】
マイク24は、センサ端末2の周囲の音を集音し、集音された音を電気信号に変換した後デジタル化して、制御部29へ渡す。
【0025】
記憶部25は、例えば、不揮発性の半導体メモリなどを有し、センサ端末2で利用される各種の情報及びプログラムを記憶する。例えば、記憶部25は、センサ端末2の識別コードなどを記憶する。そして記憶部25は、記憶されている情報及びプログラムを制御部29へ出力する。あるいは、記憶部25は、制御部29から受け取った情報を記憶する。
【0026】
電源部26は、センサ端末2の各部へ電力を供給する。そのために、電源部26は、例えば、トランス、整流器などを有し、それらによって、建物内の商用電力配線から交流電力を取得し、その交流電力を所定電圧の直流電力に変換し、その直流電力を各部へ供給する。
なお、電源部26は、例えば、アルカリマンガン電池、リチウムイオン電池などの蓄電池であってもよい。
【0027】
宅内通信部27は、センサ端末2と監視端末3とを通信可能に接続する。そのために、宅内通信部27は、例えば、センサ端末2と監視端末3とが特定小電力無線通信など、所定の無線通信方式に従って接続されている場合、その無線通信用インターフェース回路を有する。あるいは、宅内通信部27は、センサ端末2と監視端末3とを接続する通信回線を終端するインターフェース回路を有してもよい。
そして宅内通信部27は、制御部29より出力された測距データ、無線タグ4の識別コードなどを監視端末3へ送信する。また宅内通信部27は、監視端末3から受信した制御信号、画像要求信号、音声要求信号、音声データなどを制御部29へ渡す。
【0028】
スピーカ28は、制御部29から受け取った音声データを音声信号として出力する。
【0029】
制御部29は、少なくとも一つのプロセッサ及びその周辺回路を有する。そして制御部29は、センサ端末2の各部を制御する。
また制御部29は、監視端末3との通信を制御する。具体的には、制御部29は、センサ21から受け取った一走査周期分の測距データを、センサ端末2の識別コードとともに宅内通信部27を介して監視端末3へ送信する。また制御部29は、タグリーダ22により検知された無線タグ4の識別コードをセンサ端末2の識別コードとともに宅内通信部27を介して監視端末3へ送信する。
さらに制御部29は、監視端末3から画像要求信号を受信すると、カメラ23により撮影された画像を宅内通信部27を介して監視端末3へ送信する。また制御部29は、監視端末3から音声要求信号を受信すると、マイク24により集音された音声信号を宅内通信部27を介して監視端末3へ送信する。
また、制御部29は、警告メッセージなどの音声データを監視端末3から受信すると、その音声データをスピーカ28へ伝達する。
【0030】
図4は、監視端末3の概略構成図である。監視端末3は、スピーカ31、モニタ32、操作部33、電源34、宅内通信部35、センタ通信部36、電気錠インターフェース37、記憶部38及び監視処理部39を有する。
【0031】
スピーカ31は、監視処理部39が、監視エリア内に押込み強盗の可能性がある不審者または屋内へ侵入した不審者を検知した場合に、警告用の音声信号を監視処理部39から受けとって、音声として報知する。またスピーカ31は、操作部33を介した操作にしたがって、何れかのセンサ端末2のマイクにより集音された音声信号を選択的に監視処理部39から受け取って、音声として報知してもよい。またスピーカ31は、ユーザが帰宅するといった何らかのイベントが発生したと判断した場合に、そのイベントに応じた応じた音声信号を監視処理部39から受けとって、音声として報知してもよい。
【0032】
モニタ32は、警備システム1の操作に関する各種ガイド情報、不審者の検知結果などを表示する。またモニタ32は、操作部33を介した操作にしたがって、何れかのセンサ端末2のカメラにより撮像された画像を選択的に監視処理部39から受け取って表示してもよい。
【0033】
操作部33は、例えば、複数の操作ボタンを有する。そしてその操作ボタンの何れかをユーザが押下することにより、その操作ボタンに割り当てられた所定の操作信号を監視処理部39へ出力する。そしてユーザは、操作部33を介して、インターホン呼び出しを行った来訪者による敷地内への進入を許容するための進入許可操作を行う。また、ユーザは、操作部33を操作することにより、電気錠インターフェース37を介して建物の出入口に設けられた電気錠(図示せず)を施解錠することができる。またユーザは、操作部33を操作することで、センサ端末2により集音された音声をスピーカ31に出力させたり、センタ端末2により撮像された画像をモニタ32に表示させることができる。さらに、監視処理部39が、監視エリア内に不審者がいると判定した場合に、ユーザは、操作部33を操作することにより、監視センタに不審者が検知されたことを通報することもできる。
なお、モニタ32と操作部33とは、タッチパネルディスプレイとして一体的に構成されてもよい。
【0034】
電源34は、監視端末3の各部へ電力を供給する。そのために、電源34は、例えば、トランス、整流器などを有し、それらによって、建物内の商用電力配線から交流電力を取得し、その交流電力を所定電圧の直流電力に変換し、その直流電力を各部へ供給する。
【0035】
宅内通信部35は、監視端末3とセンサ端末2とを通信可能に接続する。そのために、宅内通信部35は、例えば、監視端末3とセンサ端末2とが特定小電力無線通信など、所定の無線通信方式に従って接続されている場合、その無線通信用インターフェース回路を有する。あるいは、宅内通信部35は、監視端末3とセンサ端末2とを接続する通信回線を終端するインターフェース回路を有してもよい。
そして宅内通信部35は、監視処理部39より出力された制御信号、画像要求信号、音声要求信号、音声データなどをセンサ端末2へ送信する。また宅内通信部35は、測距データ、無線タグ4の識別コード、画像信号または音声信号などをセンサ端末2から受信し、監視処理部39へ渡す。
【0036】
センタ通信部36は、監視端末3を公衆通信回線に接続するためのインターフェース回路を有する。そしてセンタ通信部36は、例えば、監視センタ装置5へ不審者が検知されたことを通報する場合、監視処理部39の制御に従って、監視端末3と監視センタ装置5間の接続処理を行う。そしてセンタ通信部36は、監視端末3と監視センタ装置5間で接続が確立された後、監視処理部39から受け取った、警備システム1または警備システム1が設置された建物の識別コードと、不審者が検知されたことを示す異常通報信号を公衆通信回線を介して監視センタ装置5へ送信する。またセンタ通信部36は、センサ端末2により集音された音声信号またはセンサ端末2により撮像された画像なども、公衆通信回線を介して監視センタ装置5へ送信してもよい。センタ通信部36は、上記のような各種情報の通報が終わると、監視端末3と監視センタ装置5間の接続を開放する処理を行う。
【0037】
電気錠インターフェース37は、錠監視手段として機能し、監視端末3と建物の出入口などに設けられた電気錠(図示せず)とを接続するインターフェース回路を有する。そして電気錠インターフェース37は、監視処理部39から受け取った、電気錠を施錠または解錠するための制御信号を、電気錠へ伝達する。また電気錠インターフェース37は、電気錠が解錠または施錠される度、あるいは監視処理部39から電気錠へ送信される錠状態要求信号に対する応答として、施錠状態にあるかまたは解錠状態にあるかを示す錠状態信号を電気錠から受け取って監視処理部39へ渡す。
【0038】
記憶部38は、例えば、不揮発性の半導体メモリなどを有し、監視端末3で利用される各種の情報及びプログラムを記憶する。記憶部38は、監視エリア全体の範囲、監視エリア内の屋内エリアの範囲、及び監視エリア内に予め存在する樹木、塀などの物体の位置を表すマップ情報を記憶する。
例えば、記憶部38は、図2に示された監視エリア100の情報を、監視エリア100の左下の角の位置を原点とする2次元座標系で表されたマップ情報として保有する。監視エリア100は、外辺の座標により敷地外エリアとの境界が規定され、内辺の座標により建物との境界が規定される。そして、外辺で囲まれた領域のうち、建物との境界となる内辺で囲まれた領域を除いた領域を、監視エリア100の範囲とする。
さらに、マップ情報には、敷地内、すなわち監視エリアへの通用口、建物の玄関、勝手口及び窓などの出入口の位置も含ませてもよい。
【0039】
また記憶部38は、監視処理部39が、各センサ端末2のセンサ21による測距データから監視エリア内で検知された物体の位置を算出するために必要な情報として、監視端末3と接続された各センサ端末2の識別コード、監視エリア内における各センサ端末2の設置位置を表す座標、各センサ端末2のセンサ21の走査範囲の基準方向(例えば、走査範囲の中心方向)、監視エリアに人がいない状態で測定された各センサ端末2のセンサ21による基準測定データなどを記憶する。
【0040】
さらに記憶部38は、監視エリア内で検知された人物が存在する場合、その人物について設定された追跡データを記憶する。なお、追跡データの詳細については後述する。
さらに記憶部38は、各センサ端末2から受信した画像、音声信号、電気錠から受け取った錠状態信号などを記憶してもよい。そして記憶部38は、記憶されている情報及びプログラムを監視処理部39へ出力する。あるいは、記憶部38は、監視処理部39から受け取った情報を記憶する。
【0041】
監視処理部39は、少なくとも一つのプロセッサ及びその周辺回路を有する。また監視処理部39は、タイマ回路を有する。そして監視処理部39は、監視端末3の各部を制御する。また監視処理部39は、各センサ端末2から受け取った測距データ及び無線タグ4の識別コードなどに基づいて、監視エリア内にいる人物を検知するとともに、監視エリア内にいる人物が不審者か否か判定する。
【0042】
監視処理部39は、各センサ端末2から受信した測距データを記憶部38に記憶されている基準測定データと比較し、所定以上の距離変化が生じている方向(走査角度)を抽出し、測定距離の差が一定値以内で且つ所定以上の連続性(例えば、一般的な人のサイズ)を持った距離変化方向群を、監視エリアに進入した人物として判定する。そして、監視処理部39は、記憶部38に記憶されているマップ情報と、そのセンサ端末2の設置位置座標及びセンサ21の走査範囲の基準方向と、検出した人物にかかる代表測定データ(例えば、距離変化方向群の中心の走査方向及び測定距離とする)とから、監視エリア内の人物の位置(すなわち、マップ情報上の位置座標)を算出する。なお、このような位置の算出は、単なる座標系の変換演算により行えるので、その詳細は省略する。
【0043】
図5及び図6は、監視処理部39により実行される、不審者検知処理の動作を示すフローチャートである。監視処理部39は、測距データに基づき、監視エリア内に人物を検知した場合、図5及び図6に示されたフローチャートに従って、検知した人物ごとに不審者検知処理を実行する。また不審者検知処理は、所定の周期ごと(例えば、センサ端末2のセンサ21が1回の走査を行う度)に繰り返し入力される測距データにて人物が検出される度に実行される。ここでは、1回の不審者検知処理を、便宜上1走査と呼ぶ。
【0044】
まず、監視処理部39は、検知された人物が追跡中の人物か否か判定する(ステップS101)。追跡中の人物か否かの判定には、例えば、公知の様々なトラッキング処理の何れかを利用することができる。例えば、現走査において検知された着目する人物の位置と、1走査前に検知された何れかの人物の位置との距離が、人の移動可能速度から推定される所定距離以下であれば、監視処理部39は、着目する人物は1走査前に検知されたその人物と同一であると判定する。また監視処理部39は、現走査における着目する人物が所持する無線タグ4の識別コードと、1走査前に検知された人物が所持する無線タグ4の識別コードが同一であることを、着目人物が1走査前に検知された人物と同一人物であると判定する条件に加えてもよい。
【0045】
1走査前において、現走査における着目する人物と同一人物と判定される人物が検知されていない場合、監視処理部39は、着目する人物は追跡中の人物ではないと判定する(ステップS101−No)。そして監視処理部39は、着目する人物に、他の追跡中の人物とは異なる人識別コードを割り当てる(ステップS102)。
さらに監視処理部39は、センサ端末2から受信した無線タグ4の識別コードに基づいて、着目する人物に対する権限設定処理を行う(ステップS103)。この権限設定処理により、監視処理部39は、着目する人物に対して、許可者または非許可者の何れかの権限を設定する。
【0046】
図7は、図5のステップS103に相当する、権限設定処理の動作を示すフローチャートである。
監視処理部39は、何れかのセンサ端末2から、無線タグ4からの応答信号から抽出された識別コードを受信できたか否か判定する(ステップS201)。何れの無線タグ4の識別コードも受信していない場合、監視処理部39は、着目人物に割り当てた人識別コードに対して非許可者と設定する(ステップS202)。一方、何れかの無線タグ4の識別コードを受信している場合、監視処理部39は、他の追跡中の人物の追跡コードを参照し、検出された無線タグ4の識別コードが、他の追跡中の人物に設定された何れかの追跡コード内に格納された無線タグ4の識別コードと一致するか否か判定する(ステップS203)。受信した無線タグ4の識別コードが何れかの追跡コード内に格納された無線タグ4の識別コードと一致する場合、受信した無線タグ4の識別コードに対応する無線タグは、他の追跡中の人物が所持するものであると推定される。そこでこの場合も、監視処理部39は、着目人物に割り当てた人識別コードに対して非許可者と設定する(ステップS202)。一方、受信した無線タグ4の識別コードが、何れの追跡コード内に格納された無線タグ4の識別コードとも一致しない場合、監視処理部39は、無線タグ4の識別コードを着目人物に割り当てた人識別コードに割り当てる(ステップS204)。そして監視処理部39は、着目人物を許可者に設定する(ステップS205)。
ステップS202またはS205の後、監視処理部39は、権限設定処理を終了する。
【0047】
再度図5を参照すると、権限設定処理が実行された後、監視処理部39は、着目する人物に対する追跡データを設定する(ステップS104)。追跡データには、以下の情報が含まれる。
・人識別コード
・無線タグ識別コード
・権限情報
・着目する人物の位置履歴(移動軌跡)
・出現時刻
・消失時刻
このうち、権限情報は、上述した、許可者、一時許可者または非許可者の何れかを表す情報である。また出現時刻は、監視エリア内においてこの追跡データに対応する人物が最初に検知された時刻である。さらに消失時刻は、この追跡データに対応する人物が、監視エリア内で検知されなくなった時刻である。
追跡データ設定時には、監視処理部39は、権限設定処理にて割り当てられた人識別コード、無線タグ識別コード及び権限情報を、新規に生成する追跡データに書き込む。また監視処理部39は、検知された着目人物の位置座標を位置履歴に書き込むととともに、追跡データ設定時の時刻、すなわち、現走査時刻を出現時刻とする。なお、消失時刻は設定しない。
【0048】
追跡データが設定されると、監視処理部39は、着目人物が許可者か否か判定する(ステップS105)。監視処理部39は、追跡データに含まれる権限情報が許可者であることを示している場合、あるいは、無線タグ4の識別コードが含まれている場合、着目人物は許可者であると判定する。
着目人物が許可者である場合(ステップS105−Yes)、監視処理部39は、不審者検知処理を終了する。一方、着目人物が許可者でない場合(ステップS105−No)、監視処理部39は、着目人物が敷地外エリアから監視エリア内へ進入したか否か判定する(ステップS106)。
例えば、監視処理部39は、着目人物の最新の位置座標から、監視エリアと敷地外エリアの境界までの距離(以下、便宜上進入距離と呼ぶ)と、監視エリアと屋内エリアの境界(あるいは、屋内エリアに進入可能な出入口のうちの最も近いところ)までの距離(以下、便宜上退出距離と呼ぶ)とを比較する。そして監視処理部39は、進入距離が退出距離以下であれば、着目人物は敷地外エリアから監視エリア内へ進入したと判定する。一方、退出距離が進入距離未満であれば、監視処理部39は、着目人物は屋内エリアから監視エリア内へ進入したと判定する。
【0049】
着目人物が敷地外から監視エリア内へ進入した場合(ステップS106−Yes)、監視処理部39は、着目人物の検知に先立って、その検知よりも所定時間内に、操作部33を介して進入許可操作が行われているか否か判定する(ステップS107)。進入許可操作が行われていれば(ステップS107−Yes)、着目人物は、来客または配達者など、屋内にいるユーザが例えばインターホン応答することによって監視エリア内に立ち入ることを認めた者と推定される。そこで、監視処理部39は、着目人物を一時許可者とする(ステップS108)。そして監視処理部39は、着目人物に対して設定された追跡データの権限情報を、一時許可者を表す値に書き換える。その後、監視処理部39は不審者検知処理を終了する。
一方、所定時間内に進入許可操作が行われていなければ(ステップS107−No)、着目人物は不審者である可能性がある。そこで監視処理部39は、着目人物に対する権限情報を修正せずに不審者検知処理を終了する。なお、所定時間は、例えば、30秒間あるいは1分間に設定される。
【0050】
また、ステップS106において、着目人物が屋内エリアから監視エリア内へ進入した場合(ステップS106−No)、着目人物は、来客など、屋内へ入ることをユーザによって認められた者であると推定される。そこで監視処理部39は、着目人物を一時許可者に設定し、着目人物に対応する追跡データの権限情報を一時許可者に対応する値に書き換える(ステップS108)。その後、監視処理部39は不審者検知処理を終了する。
【0051】
一方、ステップS101において、1走査前に現走査における着目する人物と同一人物と判定された人物が検知されている場合、監視処理部39は、着目する人物は追跡中の人物であると判定する(ステップS101−Yes)。そして監視処理部39は、現走査における着目する人物と同一人物と判定された人物に対して作成された追跡データを記憶部38から読込み、その追跡データに含まれる位置履歴を更新する(ステップS109)。
具体的には、監視処理部39は、追跡データに含まれる最新の位置座標として、現走査において検知された着目人物の位置座標及び現走査時刻を位置履歴に追加する。そのため、位置履歴は、着目人物の時間順の位置の遷移、すなわち、着目人物の移動軌跡を表している。そして監視処理部39は、更新した追跡データを記憶部38に記憶する。
【0052】
図6に示されるように、ステップS109の後、監視処理部39は、追跡データに含まれる権限情報を参照することにより、着目人物が許可者または一時許可者であるか否か判定する(ステップS110)。着目人物が許可者または一時許可者であれば(ステップS110−Yes)、不審者ではないため、監視処理部39は、不審者検知処理を終了する。
一方、不審者が非許可者である場合(ステップS110−No)、監視処理部39は、非許可者である着目人物が監視エリア内にいる他の許可者と近接しているか否か判定する(ステップS111)。例えば、監視処理部39は、記憶部38に現在記憶されている全ての追跡データを参照し、許可者に関する追跡データを抽出する。そして監視処理部39は、抽出された追跡データに含まれる位置履歴から、その追跡データに対応する許可者の現在位置を特定する。監視処理部39は、着目人物の現在位置と、抽出された追跡データに対応する許可者の現在位置が所定距離以内である場合、着目人物はその許可者と近接していると判定する。なお、所定距離は、例えば、着目人物が許可者を脅迫する行為を行う可能性がある距離、例えば、1mあるいは1.5m程度に設定される。
【0053】
着目人物が監視エリア内にいる他の何れの許可者とも近接していない場合(ステップS111−No)、着目人物は押込み強盗ではないと推定される。そこで監視処理部39は、着目人物が押込み強盗以外の不審者か否かの判定処理を実行する。具体的には、監視処理部39は、着目人物が監視エリア内に滞留しているか否か判定する(ステップS112)。監視処理部39は、現走査時刻と着目人物の追跡データに含まれる出現時刻との差の絶対値を着目人物が監視エリア内にいる期間である滞留時間として算出し、その滞留時間が所定時間を超えていれば着目人物は監視エリア内に滞留していると判定する。この所定時間は、監視エリア内において人物が何らかの不審行動(例えば、ピッキング、覗き、ガラス破り)等を実行する可能性があると推定される時間であり、一時的に誤って進入し、直ぐに引き返したり、配達、検針などの一時的な作業のために要する時間よりも長く設定される。例えば、この所定時間は、30秒に設定される。
【0054】
着目人物が監視エリア内に滞留している場合(ステップS112−Yes)、監視処理部39は、不審者異常警報処理を実行する(ステップS113)。例えば、監視処理部39は、記憶部38から不審異常警報処理に対応付けられた警告メッセージの音声信号(例えば、「不審者発見!直ちに敷地外へ立ち去って下さい」)を読み込み、その音声信号を着目人物の現在位置に最も近いセンサ端末2へ送信し、そのスピーカ28から警告メッセージ音声を出力させる。また監視処理部39は、モニタ32またはスピーカ31を介して、建物内に在室するユーザに不審者が検知されたことを通知する。さらに監視処理部39は、着目人物の現在位置に最も近いセンサ端末2から取得した、カメラ23により撮影された画像をモニタ32に表示し、マイク24により集音された音声信号をスピーカ31から出力してもよい。そして、ユーザが操作部33を介して通報操作を実行すると、監視処理部39は、監視センタ装置5へ異常通報する。なお、所定期間(例えば、1分間)連続して同一人物に対する不審異常警報処理が実行される場合には、監視処理部39は、ユーザによる操作が行われなくても、監視センタ装置5へ異常通報してもよい。
一方、着目人物が監視エリア内に滞留していると認められない場合、すなわち、滞留時間が所定時間未満であれば(ステップS112−No)、着目人物は不審者の可能性があるものの、現時点において不審者と断定することはできない。そこで監視処理部39は、着目人物の権限情報を非許可者のまま修正せずに不審者検知処理を終了する。
【0055】
また、ステップS111にて、着目人物が監視エリア内にいる他の何れかの許可者と近接している場合(ステップS111−Yes)、着目人物が押込み強盗である可能性がある。そこで監視処理部39は、着目人物だけでなく、着目人物が近接している許可者の位置履歴も参照して、着目人物が押込み強盗などの不審者か否か判定する。なお、以下では、着目人物が近接している許可者を被近接許可者と呼ぶ。
具体的には、監視処理部39は、被近接許可者の追跡データの位置履歴を参照して、被近接許可者に退場行為履歴が有るか否かを判定する(ステップS114)。退場行為履歴とは、被近接許可者の移動軌跡が、屋内エリアから監視エリアに進入し、かつ敷地外エリアへ向かって移動している途中、あるいは敷地外エリアに移動した直後のものである。より具体的に例示すると、監視エリア内の建物の出入口から監視エリアへ進入し、かつ建物の出入口から離れる方向へ移動している途中であることを示すものである。あるいは、監視エリア内の建物の出入口から監視エリアへ進入し、その後被近接許可者が敷地外エリアへ移動済みであり、かつ、敷地外エリアへ移動した時刻(この時刻は、追跡データの消失時刻に対応する)から一定時間T内であるものである。なお、例示した二つの移動軌跡のうち、何れか一方のみを退場行為履歴としてもよい。
【0056】
また、建物の出入口から監視エリアへ進入したか否かの判定に関して、例えば、監視処理部39は、追跡データに最初に記録された位置、すなわち出現位置に関して、退出距離が進入距離未満であれば、被近接許可者は屋内エリアから監視エリア内へ進入したと判定する。さらに、建物の出入口から離れる方向へ移動しているか否かの判定に関して、例えば、監視処理部39は、追跡データに記録されている被近接許可者の現在位置と建物の出入口間の距離が、出現位置と建物の出入口間の距離よりも長ければ、被近接許可者は、建物の出入口から離れる方向へ移動している途中であると判定する。さらに、監視エリアから敷地外エリアへ移動したか否かの判定に関して、例えば、監視処理部39は、追跡データにおいて消失時刻の直前に記録された位置、すなわち退出位置に関して、進入距離が退出距離未満であれば、被近接許可者は監視エリアから敷地外へ移動したと判定する。また一定時間Tは、例えば、一分間に設定される。なお、一旦監視エリア内に進入した人物に設定された追跡データは、対応する人物の消失時刻から、少なくともこの一定時間Tの間は、記憶部38に保持される。
【0057】
被近接許可者に退場行為履歴が無い場合(ステップS114−No)、被近接許可者の監視エリアへの進入は、被近接許可者が帰宅したことによるものと推定される。この場合、監視処理部39は、着目人物が被近接許可者と同行して監視エリアに進入したか否かを判定する(ステップS115)。以下では、着目人物が被近接許可者と同行して監視エリアに進入したことを単に同行進入と呼ぶ。例えば、監視処理部39は、着目人物の追跡データと被近接許可者の追跡データを参照する。そして、それぞれの追跡データに記録されている出現時刻がほぼ同時であれば(すなわち、両者の出現時刻の差の絶対値が同時とみなせる所定時間(例えば、5秒間)以内であれば)、監視処理部39は同行進入であると判定する。なお、両者の追跡データに含まれる位置履歴を参照し、両者の出現位置がほぼ同位置(すなわち、両者の出現位置間の距離が同位置とみなせる所定距離(例えば、2m)以内)であることを、同行進入と判定する条件に追加してもよい。
【0058】
同行進入である場合(ステップS115−Yes)、着目人物は、被近接許可者が連れてきた同行者であり、不審者ではないと推定される。そのため、監視処理部39は、着目人物を一時許可者に設定する(ステップS116)。そして監視処理部39は、着目人物に対して設定された追跡データの権限情報を、一時許可者を表す値に書き換える。その後、監視処理部39は不審者検知処理を終了する。
一方、同行進入でなければ(ステップS115−No)、着目人物は不審者である可能性がある。そこで監視処理部39は、着目人物に対する権限情報を非許可者のまま修正せずに不審者検知処理を終了する。
【0059】
また、ステップS114にて、被近接許可者に退場行為履歴が有る場合(ステップS114−Yes)、着目人物は押込み強盗を企図する賊である可能性がある。そこで監視処理部39は、着目人物と被近接許可者とによる同行入場行為を検知したか否か判定する(S117)。同行入場行為とは、着目人物及び被近接許可者が、略同時に屋内エリアへ向かって移動している途中、あるいは屋内エリアとの境界に到達したことをいう。より具体的には、両者が近接した状態を維持したまま建物の出入口へ向かう方向へ移動すること、または、両者が近接した状態を維持したまま建物の出入口に到達したことをいう。すなわち、ステップS117では、監視処理部39は、一旦敷地外へ出た、あるいは敷地外へ出ようとしている許可者が非許可者とともに建物へ入場しようとしている状況を、着目人物の移動軌跡と被近接許可者の移動軌跡が部分的に一致するか否かを判定することによって検出し、押込み強盗の可能性を判定している。
なお、着目人物と被近接許可者が近接した状態を維持しているか否かの判定に関して、監視処理部39は、例えば、一定期間(例えば、3秒間)にわたって、着目人物の位置と被近接許可者の位置が所定距離以内である場合、両者が近接した状態が維持されていると判定する。また、建物の出入口へ向かう方向へ移動しているか否かの判定に関して、例えば、監視処理部39は、追跡データに記録されている被近接許可者の現在位置と建物の出入口間の距離が、最初に着目人物と近接していると判定されたときの位置と建物の出入口間の距離よりも短ければ、被近接許可者は、建物の出入口へ向かう方向へ移動している途中であると判定する。さらに、建物の出入口に到達しているか否かの判定に関して、例えば、監視処理部39は、追跡データに記録されている被近接許可者の現在位置と建物の出入口間の距離が所定距離以内であれば、被近接許可者は建物の出入口に到達していると判定する。なお、所定距離は、例えば、被近接許可者が建物の出入口に設けられたドアに手が届く範囲、例えば、1mに設定される。
【0060】
同行入場行為が検知されていない場合(ステップS117−No)、すなわち、着目人物の移動軌跡と被近接許可者の移動軌跡が一致しない場合でも、着目人物は不審者である可能性がある。そこで監視処理部39は、着目人物に対する権限情報を非許可者のまま修正せずに不審者検知処理を終了する。
一方、同行入場行為が検知された場合(ステップS117−Yes)、すなわち、着目人物の移動軌跡と被近接許可者の移動軌跡が一致した場合、監視処理部39は、電気錠インターフェース37を介して建物の出入口の扉の電気錠から現在の錠状態情報を取得し、その出入口が施錠されているか否か確認する(ステップS118)。出入口が解錠されている場合(ステップS118−No)、被近接許可者に外出の意思はなく、来客を迎えるために一時的に建物外へ出たものと推定できる。そこでこの場合、監視処理部39は、着目人物を不審者ではないと認識し、着目人物に対する権限情報を一時許可者に設定して不審者検知処理を終了する。
【0061】
一方、出入口が施錠されている場合(ステップS118−Yes)、被近接許可者が外出する意思を持って建物から出たと推定できる。そのため、この場合には、被近接許可者が外出しようとしたにもかかわらず、着目人物である非許可者とともに建物内へ再入場しようとする状況であり、被近接許可者は、着目人物に脅迫されて建物へ戻ろうとしている可能性が高い。そこで監視処理部39は、着目人物を押込み強盗と認識し、押込異常警報処理を実行する(ステップS119)。押込み強盗が検知された状況では、被近接許可者に危害が加わる可能性が高い危険な状況である。そのため、監視処理部39は、押込異常警報処理として、直ちに監視センタ装置5へ押込み強盗が発生したことを示す押込み異常を通報する。その際、監視処理部39は、出入口の最も近くに設置されたセンサ端末2により取得された音声信号及び画像も監視センタ装置5へ送信してもよい。また監視処理部39は、監視端末3のスピーカ31、ディスプレイ32を介して押込み異常が検知されたことを屋内にいるユーザに報知する。
ステップS119の後、監視処理部39は、不審者検知処理を終了する。
【0062】
なお、監視処理部39によるステップS118の処理を省略し、建物の出入口の施解錠状態を確認せずに、同行入場行為が検知されると直ちに押込み異常警報処理を実行してもよい。この場合、監視端末3は、電気錠インターフェース及び監視処理部の施解錠状態監視機能を持たない構成とすることができる。
【0063】
また、監視処理部39は、一定期間以上、更新されていない追跡データが有る場合、以下に示す未更新追跡データ更新処理を実行する。なお、このような未更新の追跡データは、例えば、着目人物が監視エリアから屋内エリアまたは敷地外エリアへ移動して、センサ端末2により検知できなくなった場合に発生する。なお、一定期間は、例えば、1走査、あるいは複数走査に相当する期間とすることができる。
図8は、監視処理部39により実行される、未更新追跡データ更新処理の動作を示すフローチャートである。
監視処理部39は、未更新追跡データに示された、その未更新追跡データに対応する着目人物の最後に更新されたときの位置、すなわち消失時刻の直前における位置から屋内エリアへ移動したか否か判定する(ステップS301)。例えば、監視処理部39は、消失時刻の直前の着目人物の位置に対して求められる退出距離が進入距離よりも小さければ、着目人物は屋内エリアへ移動したと推定する。一方、進入距離が退出距離以下であれば、監視処理部39は、着目人物は敷地外へ移動したと推定する。
【0064】
着目人物が敷地外へ移動した場合(ステップS301−No)、監視処理部39は、その未更新追跡データの更新処理を実行する(ステップS302)。具体的には、監視処理部39は、着目人物が消失したことを最初に認識した場合(すなわち、追跡データに含まれる消失時刻が未設定の場合)、消失時刻として現走査時刻を設定する。また追跡データに含まれる消失時刻が設定されている場合、監視処理部39は、その消失時刻を参照し、消失時刻から所定期間Tが経過していれば、その未更新追跡データを記憶部38から消去する。
一方、着目人物が屋内エリアへ移動した場合(ステップS301−Yes)、監視処理部39は、追跡データに含まれる権限情報を参照し、着目人物が許可者または一時許可者に該当するか否かを判定する(ステップS303)。着目人物が許可者または一時許可者に該当すれば(ステップS303−Yes)、着目人物は不審者ではないと推定される。そこで監視処理部39は、ステップS302の処理を実行する。
【0065】
一方、着目人物が非許可者であれば(ステップS303−No)、何の権限も持たない着目人物が建物内に侵入したことになるので、着目人物は不審者であると推定される。そこで監視処理部39は、侵入異常警報処理を実行する(ステップS304)。侵入異常が検知された状況では、建物内にいるユーザに危害が加わる可能性が高い危険な状況である。そのため、監視処理部39は、侵入異常警報処理として、直ちに監視センタ装置5へ侵入異常を通報する。その際、監視処理部39は、出入口の最も近くに設置されたセンサ端末2により取得された音声信号及び画像も監視センタ装置5へ送信してもよい。また監視処理部39は、監視端末3のスピーカ31、ディスプレイ32を介して侵入異常が検知されたことを建物内にいるユーザに報知する。なお、侵入異常が発生したと判定されたとき、対応する追跡データは、侵入異常に対する復旧処理が行われるまで、記憶部38に保持されることが好ましい。
ステップS302またはS304の後、監視処理部39は未更新追跡データ更新処理を終了する。
【0066】
以上説明してきたように、本発明の一つの実施形態に係る警備システムは、監視エリア内にいる権限の無い人物の行動が、ユーザの外出を待ち伏せる押込み強盗の行動特性に応じたものであるか否かを調べることにより、その権限の無い人物が押込み強盗か否かを判定する。特にこの警備システムは、監視エリア内に進入した権限の無い人物の移動軌跡と、権限を有する人物の移動軌跡とを参照して、監視エリア内における両者の移動軌跡の一致性などを調べることにより、権限の無い人物が押込み強盗を企図する不審者か否かを判定する。そのため、この警備システムは、知人などユーザと同行して敷地内に立ち入る人物、または配達者、検針者など、正当な事由で一時的に敷地内へ立ち入る人物を押込み強盗と誤認識することを防止しつつ、ユーザを脅迫しつつ建物への侵入を図る押込み強盗を正確に検知できる。
【0067】
なお、監視処理部39は、ユーザの帰宅を待ち伏せて建物内へ押し入る押込み強盗の行動特性に応じて、監視エリア内に進入した人物が押込み強盗であるか否かを判定してもよい。
ユーザの帰宅を待ち伏せる押込み強盗は、敷地外に隠れてユーザの帰宅を待ち伏せ、ユーザが建物の出入口のドアを開けようとしたところで敷地外からユーザに近づこうとする。そこで、この変形例では、監視処理部39は、非許可者がこのような行動を取ろうとしたことを検知すると、その非許可者を押込み強盗であると判定する。
なお、この変形例では、監視処理部39により実行される不審者検知処理のうち、上記の図6に示される動作フローチャートによる処理のみが異なり、警備システム1の各部の構成及び警備システム1で実行されるその他の処理は、上記の実施形態による警備システム1の各部の構成及び警備システム1で実行されるその他の処理と同じとすることができる。そこで以下では、図6に示された処理の代わりに実行される処理についてのみ説明する。
【0068】
図9は、この変形例による不審者検知処理の動作フローチャートを示す。
図5に示されたステップS109の後、監視処理部39は、追跡データに含まれる権限情報を参照することにより、着目人物が許可者または一時許可者であるか否か判定する(ステップS401)。着目人物が許可者または一時許可者であれば(ステップS401−Yes)、着目人物は不審者ではないため、監視処理部39は、不審者検知処理を終了する。
一方、着目人物が非許可者である場合(ステップS401−No)、監視処理部39は、着目人物が監視エリア内に滞留しているか否か判定する(ステップS402)。監視処理部39は、現走査時刻と着目人物の追跡データに含まれる出現時刻との差の絶対値を着目人物が監視エリア内にいる期間である滞留時間として算出し、その滞留時間が所定時間を超えていれば着目人物は監視エリア内に滞留していると判定する。この所定時間は、例えば、図6に示したステップS112と同様に決定され、例えば、この所定時間は、30秒に設定される。
着目人物が監視エリア内に滞留している場合(ステップS402−Yes)、監視処理部39は、不審者異常警報処理を実行する(ステップS403)。この不審者異常警報処理は、例えば、ステップS113における不審者異常警報処理と同様の処理とすることができる。その後、監視処理部39は不審者検知処理を終了する。
【0069】
一方、着目人物が監視エリア内に滞留していると認められない場合、例えば、滞留時間が所定時間未満であれば(ステップS402−No)、監視処理部39は、着目人物が許可者と同行して監視エリアに進入したか否かを判定する(ステップS404)。例えば、監視処理部39は、記憶部38に記憶されている追跡データを参照して、着目人物とは別個に、監視エリア内にいる許可者が存在するか否かを調べる。そして監視エリア内に許可者がいる場合、監視処理部39は、着目人物の追跡データとその許可者の追跡データを参照する。そして、それぞれの追跡データに記録されている出現時刻がほぼ同時であれば(すなわち、両者の出現時刻の差の絶対値が同時とみなせる所定時間(例えば、5秒間)以内であれば)、監視処理部39は同行進入であると判定する。なお、両者の追跡データを参照に含まれる位置履歴を参照し、両者の出現位置がほぼ同位置(すなわち、両者の出現位置間の距離が同位置とみなせる所定距離(例えば、2m)以内)であることを、同行進入と判定する条件に追加してもよい。
【0070】
同行進入である場合(ステップS404−Yes)、着目人物は、許可者が連れてきた同行者であり、不審者ではないと推定される。そのため、監視処理部39は、着目人物を一時許可者に設定する(ステップS405)。そして監視処理部39は、着目人物に対して設定された追跡データの権限情報を、一時許可者を表す値に書き換える。その後、監視処理部39は不審者検知処理を終了する。
【0071】
一方、同行進入でなければ(ステップS404−No)、着目人物は不審者あるいは押込み強盗を企図する賊である可能性がある。そこで監視処理部39は、監視エリア内に入場行為中の許可者がいるか否か判定する(ステップS406)。ここで入場行為とは、許可者が、敷地外エリアから監視エリアへ進入し、かつ建物の出入口へ向かう方向(すなわち、屋内エリアへ向かう方向)へ移動中であるか、または敷地外エリアから監視エリアへ進入し、かつ建物の出入口(すなわち、屋内エリアとの境界)に到達した状態であることである。
【0072】
敷地外から監視エリアへ進入したか否かの判定に関して、例えば、監視処理部39は、追跡データに最初に記録された位置、すなわち出現位置に関して、進入距離が退出距離未満であれば、許可者は敷地外から監視エリア内へ進入したと判定する。さらに、建物の出入口へ近づく方向へ移動しているか否かの判定に関して、例えば、監視処理部39は、追跡データに記録されている許可者の現在位置と建物の出入口間の距離が、許可者の出現位置と建物の出入口間の距離よりも短ければ、許可者は、建物の出入口へ近づく方向へ移動している途中であると判定する。さらに、建物の出入口に到達しているか否かの判定に関して、例えば、監視処理部39は、追跡データに記録されている許可者の現在位置と建物の出入口間の距離が所定距離以内であれば、許可者は建物の出入口に到達していると判定する。なお、所定距離は、例えば、許可者が建物の出入口に設けられたドアに手が届く範囲、例えば、1mに設定される。
【0073】
入場行為中の許可者がいない場合(ステップS406−No)、監視処理部39は、着目人物の権限情報を非許可者のまま修正せずに不審者検知処理を終了する。一方、入場行為中の許可者がいる場合(ステップS406−Yes)、入場行為中の許可者は、帰宅中のユーザであると推定され、着目人物は、このユーザに対して押込み強盗を企図する賊である可能性が有る。そこで監視処理部39は、着目人物が入場行為中の許可者に接近しているか否か判定する(ステップS407)。着目人物が入場行為中の許可者に接近しているか否かを判定するために、監視処理部39は、着目人物の追跡データに含まれる位置履歴及び入場行為中の許可者の追跡データに含まれる位置履歴を参照する。そして監視処理部39は、例えば、着目人物の出現時刻における、着目人物と許可者の距離よりも、現走査時刻における、着目人物と許可者の距離が短ければ、監視処理部39は、着目人物は入場行為中の許可者に接近していると判定する。
あるいは、監視処理部39は、現走査時刻において着目人物が入場行為中の許可者と近接した所定距離内の位置へ移動した場合、着目人物は入場行為中の許可者に接近していると判定する。なお、所定距離は、例えば、着目人物が許可者を脅迫する行為を行う可能性がある距離、例えば、1mあるいは1.5m程度に設定される。監視処理部39は、上記の何れの条件も満たされなければ、着目人物は入場行為中の許可者に接近していないと判定する。
なお、監視処理部39は、上記の判定基準に加えて、着目人物の移動速度が、人が走っていることに相当する一定値以上であることを、接近判定の条件に加えてもよい。移動速度は、例えば、異なる二つの走査時刻(例えば、着目人物の出現時刻と現走査時刻)における着目人物の移動距離を、その二つの時刻間の経過時間で割ることにより算出される。
【0074】
着目人物が入場行為中の許可者に接近していない場合(ステップS407−No)、監視処理部39は、着目人物の権限情報を修正せずに不審者検知処理を終了する。一方、着目人物が入場行為中の許可者に接近している場合(ステップS407−Yes)、監視処理部39は、入場行為中の許可者が監視エリアに進入してから、着目人物が監視エリアに進入するまでに所定の遅延が生じていたか否か判定する(ステップS408)。着目人物がユーザの帰宅を待ち伏せて押込み強盗を企図する賊であれば、ユーザが監視エリアに進入したことを見届けた後に、そのユーザを追い掛けて監視エリアに進入しようとすると推定されるためである。
【0075】
着目人物の進入に所定の遅延が生じているか否かを判定するために、監視処理部39は、着目人物の追跡データに含まれる出現時刻及び入場行為中の許可者の追跡データに含まれる出現時刻を参照する。そして監視処理部39は、入場行為中の許可者の出現時刻より着目人物の出現時刻の方が、同行進入と判定される基準の時間以上に遅い場合、進入遅延が生じていると判定する。
着目人物の進入に所定の遅延が生じていない場合(ステップS408−No)、監視処理部39は、着目人物の権限情報を修正せずに不審者検知処理を終了する。一方、着目人物の進入に所定の遅延が生じている場合(ステップS408−Yes)、監視処理部39は、着目人物を押込み強盗と認識し、押込異常警報処理を実行する(ステップS409)。この場合、監視処理部39は、ステップS119の処理と同様の処理を実行する。
ステップS409の後、監視処理部39は、不審者検知処理を終了する。
【0076】
以上、本発明の好適な実施形態について説明してきたが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではない。例えば、監視端末は、監視エリア内の人物に対して設定する権限を決定するために、センサ端末が有するカメラにより撮影した画像に写った人物の顔を、予め登録されたユーザの顔と照合してもよい。そして監視端末は、撮影した画像に写った人物の顔が、予め登録された何れかのユーザの顔と一致すると判定すると、その人物を許可者とする。一方、監視端末は、撮影した画像に写った人物の顔が、予め登録された何れのユーザの顔とも一致しないと判定すると、その人物を非許可者とする。この変形例では、顔照合を行うために、例えば、公知の様々な顔照合処理の何れかを採用することができる。またこの場合、センサ端末は、タグリーダを有さなくてもよい。
また、監視端末の監視処理部は、センサ端末から受信した、そのセンサ端末が有するカメラにより撮像された画像と、監視エリア内に人物がいない場合に撮影され、予め記憶部に記憶された背景画像との背景差分により、またはカメラにより順次撮像された複数の画像間のフレーム間差分により、画像上の変化領域を抽出することで、人物を検出してもよい。この場合、監視処理部は、その変化領域内の少なくとも一点の監視エリア内の位置を、上記のようにセンサの測距データから求め、その位置を検知された人物の位置とする。
【0077】
さらに、各センサ端末が、監視端末の監視処理部における処理の一部を担うように構成されてもよい。例えば、各センサ端末が、監視エリア内の自端末の設置位置座標、センサの走査範囲の基準方向、マップ情報などを記憶し、各センサ端末の制御部が、センサ端末自体が有するセンサによる測距データ及び自端末の設置位置座標、センサの走査範囲の基準方向から監視エリア内にいる物体の位置を算出する。そして各センサ端末の制御部は、物体の位置の算出結果、あるいは隣接する他のセンサ端末が有するセンサによる物体の位置の算出結果及びマップ情報に基づいて、監視エリア内の人物を検知し、その位置を特定する。そして各センサ端末は、監視エリア内に人物が検知されたことを示す検知信号、その人物の位置を監視端末へ送信する。
【0078】
また、監視端末は、監視エリアに囲まれた建物の内部に限らず、他の場所に設置されていてもよい。あるいは、監視端末は、ユーザが携帯する端末であってもよい。この場合、例えば、監視エリア内の建物には、中継装置が設置される。この中継装置は、各センサ端末と通信するためのインターフェース回路と、ユーザが携帯する監視端末と無線通信するための無線インターフェース回路とを有し、各センサ端末からの情報を中継して監視端末へ送信する。
このように、当業者は、本発明の範囲内で、実施される形態に合わせて様々な変更を行うことができる。
【符号の説明】
【0079】
1 警備システム
2 センサ端末
3 監視端末
4 無線タグ
5 監視センタ装置
21 センサ
22 タグリーダ
23 カメラ
24 マイク
25 記憶部
26 電源部
27 宅内通信部
28 スピーカ
29 制御部
31 スピーカ
32 モニタ
33 操作部
34 電源
35 宅内通信部
36 センタ通信部
37 電気錠インターフェース
38 記憶部
39 監視処理部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
建物周囲の監視エリアに侵入した不審者を検出して警報を発する警備システムであって、
前記監視エリア内における移動体の位置を検知する検知手段と、
前記移動体が前記監視エリア内に進入することを許可された許可者であるか否かを識別可能な識別情報を取得する識別手段と、
前記検知手段により検知された移動体の位置及び識別情報に基づいて不審者を検知する監視処理手段と、を有し、
前記監視処理手段は、前記許可者である移動体と、前記監視エリア内に進入することが許可されない非許可者である第2の移動体とが同時に前記監視エリア内において検知されている場合、前記許可者の移動軌跡と前記非許可者の移動軌跡に応じて前記非許可者が不審者か否か判定することを特徴とする警備システム。
【請求項2】
前記監視処理手段は、前記許可者の移動軌跡と前記非許可者の移動軌跡とが部分的に一致する場合に、前記非許可者が不審者であると判定する、請求項1に記載の警備システム。
【請求項3】
前記監視処理手段は、前記移動体の移動軌跡に基づいて前記移動体が前記建物から離れる退場行為及び前記建物へ向かう入場行為を検出し、前記許可者である移動体の前記退場行為を検出した後に当該許可者である移動体及び前記非許可者である第2の移動体が近接した状態で前記入場行為を検出した場合、前記非許可者が押込み強盗を企図する不審者であると判定する、請求項2に記載の警備システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2011−165054(P2011−165054A)
【公開日】平成23年8月25日(2011.8.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−28946(P2010−28946)
【出願日】平成22年2月12日(2010.2.12)
【出願人】(000108085)セコム株式会社 (596)
【Fターム(参考)】