説明

警報システム及び警報器

【課題】連動元の警報器が警報を行っている場合には、他の警報器に対して警報の停止操作が行われた場合でも、当該連動元の警報器が警報を行っていることを把握でき、当該連動元の警報器の異常に対して早急な対応を採ることが可能となる、警報システム及び警報器を提供すること。
【解決手段】監視領域における異常を検知して警報を行う複数の住警器10を、相互に連動警報させる警報システム1であって、複数の住警器10の少なくとも一つの住警器10が異常を検知して発報することにより当該複数の住警器10において警報を行っている場合において、当該発報した住警器10における異常の検知状態が継続している場合には、当該発報した住警器10以外の住警器10に対して警報停止スイッチ51の警報停止操作が行われた場合においても、少なくとも、当該警報停止操作が行われた住警器10以外の住警器10であって自らは異常を検知していない住警器10における警報を継続する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、監視領域で発生した異常を検出して警報を行うとともに、他の警報器から警報信号を受信して連動警報を行う警報システム及び警報器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、住宅における火災発生やガス漏れ等の異常を検出して警報する警報システム及び警報器が用いられている。例えば、特許文献1(ただし本願出願時において未公開)には、一つの建物の複数の場所毎に設置される警報器が開示されている。この警報器は、異なる場所に設置された他の警報器との間で無線にて通信可能であり、異常を検出した警報器が警報を行うと共に他の警報器に警報信号を送信すると、当該警報信号を受信した他の警報器が連動警報を行う(以下、自己の監視領域における異常を検出したことにより警報信号を送信する警報器を「連動元の警報器」、自己の監視領域における異常を検出していないが他の警報器からの警報信号を受信したことにより警報を行う警報器を「連動先の警報器」と称する)。
【0003】
この警報器には、当該警報器の警報を停止するための警報停止スイッチが設けられている。これにより、連動関係にある複数の警報器から警報が行われている場合において、火災発生等を検出して警報を行っている連動元の警報器又は連動先の警報器の一部の警報停止スイッチが操作されると、当該警報停止スイッチが操作された警報器が警報を停止すると共に当該警報器から停止信号が送信され、この停止信号を受けた他の連動先の警報器が警報を停止し、まだ残っている連動元の警報器のみが警報を継続する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特願2009−101630号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上述の如き従来の警報器は、他の警報器との連動警報に関して改善の余地があった。例えば、複数の警報器が連動元として警報を行っていると共に、他の警報器が連動先として警報を行っている場合において、利用者によって一部の連動元の警報器の警報停止スイッチが操作されると、他に連動元の警報器が残っている場合であっても、全部の連動先の警報器の警報が停止されてしまうので、連動先の警報器付近に居る他の利用者は、まだ残っている連動元の警報器からの警報に気付かず、当該連動元の警報器で検出された異常に対して早急な対応を採ることができない可能性があった。
【0006】
本発明は、上記に鑑みてなされたものであって、連動元の警報器が警報を行っている場合には、他の警報器に対して警報の停止操作が行われた場合でも、当該連動元の警報器が警報を行っていることを把握でき、当該連動元の警報器の異常に対して早急な対応を採ることが可能となる、警報システム及び警報器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した課題を解決し、目的を達成するために、請求項1に記載の警報システムは、監視領域における異常を検知して警報を行う複数の警報器を、相互に連動警報させる警報システムであって、前記複数の警報器の少なくとも一つの警報器が前記異常を検知して発報することにより当該複数の警報器において警報を行っている場合において、当該発報した警報器における前記異常の検知状態が継続している場合には、当該発報した警報器以外の警報器に対して警報停止操作が行われた場合においても、少なくとも、当該警報停止操作が行われた警報器以外の警報器であって自らは異常を検知していない警報器における警報を継続する。
【0008】
また、請求項2に記載の警報システムは、監視領域における異常を検知して警報を行う複数の警報器を、相互に連動警報させる警報システムであって、前記複数の警報器の少なくとも一つの警報器が前記異常を検知して発報することにより当該複数の警報器において警報を行っている場合において、当該発報した警報器における前記異常の検知状態が継続している場合には、当該発報した警報器以外の警報器に対して警報停止操作が行われた場合においても、かつ、当該発報した警報器が複数ある場合においてその一部のみが復旧した場合においても、少なくとも、当該警報停止操作が行われた警報器以外の警報器であって自らは異常を検知していない警報器における警報を継続する。
【0009】
また、請求項3に記載の警報器は、監視領域の異常を検出した場合に警報を行うと共に他の警報器に警報信号を送信し、他の警報器から前記警報信号を受信した場合に警報を行う警報器であって、警報停止操作を受け付ける警報停止操作受付手段と、他の警報器から前記警報信号を受信することにより警報を行っている場合であって、当該警報器の前記警報停止操作受付手段によって前記警報停止操作が受け付けられていない場合には、警報を継続する。
【0010】
また、請求項4に記載の警報器は、監視領域の異常を検出した場合に警報を行うと共に他の警報器に警報信号を送信し、他の警報器から前記警報信号を受信した場合に警報を行う警報器であって、当該警報器において前記異常を検知することにより警報を行った後、当該警報器を当該警報を行う前の状態へ復旧させることの可否を判定する復旧判定手段と、警報停止操作を受け付ける警報停止操作受付手段と、当該警報器と他の警報器との連動警報を制御する連動警報処理手段を備え、前記連動警報処理手段は、当該警報器において前記異常を検知することにより警報を行っている場合において、前記復旧判定手段にて復旧を行うものと判定された場合には、復旧信号を他の警報器に送信し、前記警報停止操作受付手段にて前記警報停止操作が受け付けられた場合には、警報停止信号を他の警報器に送信し、当該警報器において前記異常を検知していない場合であって他の警報器から前記警報信号を受信することにより警報を行っている場合において、当該警報信号を当該警報器に送信した他の警報器の一部のみから前記復旧信号又は前記警報停止信号を受信した場合には、当該警報器の警報を継続し、当該警報信号を当該警報器に送信した他の警報器の全部から前記復旧信号又は前記警報停止信号を受信した場合には、当該警報器の警報を停止する。
【発明の効果】
【0011】
請求項1に記載の警報システムによれば、複数の警報器において警報を行っている場合において、発報した警報器における異常の検知状態が継続している場合には、当該発報した警報器以外の警報器に対して警報停止操作が行われた場合においても、少なくとも、警報停止操作が行われた警報器以外の警報器であって自らは異常を検知していない警報器における警報を継続するので、警報停止操作が行われた警報器以外の警報器付近に居る利用者は、発報した警報器における異常の検知状態が継続していることを把握することができ、発報した警報器付近の異常に対して早急な対応を採ることができる。
【0012】
また、請求項2に記載の警報システムによれば、複数の警報器において警報を行っている場合において、発報した警報器における異常の検知状態が継続している場合には、当該発報した警報器以外の警報器に対して警報停止操作が行われた場合においても、かつ、当該発報した警報器が複数ある場合においてその一部のみが復旧した場合においても、少なくとも、当該警報停止操作が行われた警報器以外の警報器であって自らは異常を検知していない警報器における警報を継続するので、警報停止操作が行われず、かつ、復旧していない警報器付近に居る利用者は、発報した警報器における異常の検知状態が継続していることを把握することができ、発報した警報器付近の異常に対して早急な対応を採ることができる。
【0013】
また、請求項3に記載の警報器によれば、他の警報器から警報信号を受信することにより警報を行っている場合であって、当該警報器の警報停止操作受付手段によって警報停止操作が受け付けられていない場合には、警報を継続するので、警報停止操作受付手段による警報停止操作が受け付けられるまでは、当該警報器付近に居る利用者は、発報した警報器における異常の検知状態が継続していることを把握することができ、発報した警報器付近の異常に対して早急な対応を採ることができる。
【0014】
また、請求項4に記載の警報器によれば、連動警報処理手段が、当該警報器において異常を検知することにより警報を行っている場合において、復旧判定手段にて復旧を行うものと判定された場合には、復旧信号を他の警報器に送信し、警報停止操作受付手段にて警報停止操作が受け付けられた場合には、警報停止信号を他の警報器に送信するので、当該警報器以外の警報器付近に居る利用者は、当該警報器における異常を検知していないことを把握することができ、当該警報器付近の安全性を確保することができる。また、連動警報処理手段が、当該警報器において異常を検知していない場合であって他の警報器から警報信号を受信することにより警報を行っている場合において、当該警報信号を当該警報器に送信した他の警報器の一部のみから復旧信号又は警報停止信号を受信した場合には、当該警報器の警報を継続するので、当該警報信号を当該警報器に送信した他の警報器の一部のみから復旧信号又は警報停止信号を受信した後も、当該警報器付近に居る利用者は、当該他の警報器の一部以外の警報器における異常の検知状態が継続していることを把握することができ、当該他の警報器の一部以外の警報器付近の異常に対して早急な対応を採ることができる。また、連動警報処理手段が、当該警報信号を当該警報器に送信した他の警報器の全部から復旧信号又は警報停止信号を受信した場合には、当該警報器の警報を停止するので、当該警報器付近に居る利用者は、すべての警報器が異常を検知していないことを把握することができ、高い安全性を確保することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】警報システムの全体構成を示すシステム構成図である。
【図2】住警器の外観を示す概要図であり、(a)は正面図を示し、(b)は側面図を示す。
【図3】住警器の電気的構成を概念的に示すブロック図である。
【図4】複数の住警器が実行する連動警報処理の流れを示したフローチャートである。
【図5】各住警器の火災監視処理を示したフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下に添付図面を参照して、この発明に係る警報器及び警報システムの実施の形態を詳細に説明する。まず、本実施の形態の構成について説明した後、本実施の形態の処理について説明し、最後に、本実施の形態に対する変形例について説明する。ただし、本実施の形態によって本発明が限定されるものではない。なお、本実施の形態に係る警報器及び警報システムの設置対象や適用対象は任意であるが、以下では、住宅に設置され無線信号によって通信を行なう無線式住宅用の警報器(以下では「住警器」という)に適用した場合を例として説明を行う。
【0017】
(警報システムの構成)
まず、警報システムの概要を説明する。図1は、警報システム1の全体構成を示すシステム構成図である。図1に示すように、本実施の形態においては、住宅2の各部屋(図では、寝室、居間、及び台所)には住警器10A〜10B(これら住警器10A〜10Bは、相互に区別する必要がない場合には「住警器10」と総称する)が設置されている。この住警器10は、監視領域で発生した異常を検出し、警報信号の送受信や警報を行うものである。いずれかの部屋において発生した火災等を、その部屋の住警器10が検出すると、当該住警器10は、警報を行うと共に、警報信号を他の部屋の住警器10に対して無線送信する。この警報信号を受信した他の部屋の住警器10は、連動警報を行う。これにより、火災発生等していない部屋の住警器10にも警報を行わせ、利用者に対応を促すことができる。
【0018】
(住警器の構成)
次に、住警器10の構成について説明する。図2は、住警器10の外観を示す概要図であり、図2(a)は正面図を示し、図2(b)は側面図を示す。
【0019】
これら図2(a)及び図2(b)に示すように、住警器10は、基本構造体となる住警器本体11を有している。この住警器本体11の材質は任意であり、例えば樹脂から形成される。また、この住警器本体11には、カバー12、警報停止スイッチ51、及び取付フック13が設けられている。
【0020】
カバー12は、住警器10の内部を保護するものであり、住警器本体11の正面に設けられている。このカバー12には、火災発生等の異常を検知するための検知空間12a、及び住警器10に内蔵された後述するスピーカ41から出力された警報音や音声メッセージを外部に放出するための音響穴12bが設けられている。
【0021】
警報停止スイッチ51は、住警器10の警報を停止するためのものであり、カバー12の下側に外部に露出した状態で設けられている。この警報停止スイッチ51の内部には、LED42が設けられている。このLED42は、点灯や点滅等により、監視領域で発生した異常を表示するものである。このLED42の点灯時には、警報停止スイッチ51がLED42の光を透過することで、LED42の点灯状態が外部から視認可能となる。
【0022】
取付フック13は、住警器10を住宅2の壁面等に取り付けるためのものであり、住警器本体11の裏側上部に設けられている。この取付フック13が住宅2の壁面等に取り付けた図示しないビスに取付けられることで、住警器10が壁面等に固定される。
【0023】
(住警器の電気的構成)
次に、住警器10の電気的構成について説明する。図3は、住警器10の電気的構成を概念的に示すブロック図である。住警器10は、センサ部20、無線回路部30、報知部40、操作部50、電池電源60、制御部70、及び記憶部80を備えて構成されている。
【0024】
(住警器の構成−センサ部)
センサ部20は、当該住警器10が設置されている監視領域において、火災等の検出対象を検出するための検出手段である。検出対象及び当該検出対象の検出原理は任意であり、例えば、火災に伴って発生する煙や熱を検出対象とし、これらを検出するために、赤外線LEDやフォトダイオード、サーミスタ等の電子素子を用いることができる。
【0025】
ここでは、センサ部20は、煙を検知して火災を検出するものとして構成されており、このために検煙部21を備えて構成されている。この検煙部21は、煙を検出するための検煙手段であり、煙濃度が所定レベルを超えた場合には、火災が発生したことを示す火災検出信号の出力を行い、火災検出信号を出力した後に煙濃度が所定レベルを下回った場合には、この火災検出信号の出力を停止する。
【0026】
無線回路部30は、当該住警器10と他の住警器10との相互間で無線通信を行うものであり、送信部31、受信部32、及びアンテナ33を備えて構成されている。送信部31は、他の住警器10に対して警報信号をアンテナ33を介して送信する送信手段である。受信部32は、他の住警器10の送信部31から送信された信号をアンテナ33を介して受信する受信手段である。
【0027】
報知部40は、当該住警器10から各種の情報の出力を行う報知手段であり、例えば、後述する連動元警報や連動先警報を音声出力するためのスピーカ41や、監視領域で発生した異常を表示するLED42等が該当する。また、報知部40の注意喚起方法は任意であり、例えば、後述する連動元警報や連動先警報に応じて音声の種類や音量等を変えてもよい。
【0028】
操作部50は、当該住警器10に対する各種の操作を受け付ける操作手段であり、上述した警報停止スイッチ51を備えて構成されている。この警報停止スイッチ51は、当該住警器10の警報停止操作を受け付けるための警報停止操作受付手段である。
【0029】
電池電源60は、当該住警器10に電力を供給する電力供給手段である。この電池電源60の具体的種類は任意であるが、例えば、アルカリ乾電池やリチウム電池等が用いられる。
【0030】
制御部70は、当該住警器10における各種の制御を行う制御手段である。この制御部70の具体的構成は任意であるが、例えば、記憶部80に記憶されたプログラムを呼出して解析実行するCPU(Central Processing Unit)として構成することができる。
【0031】
制御部70は、連動警報処理部71、復旧判定部72、及び警報停止処理部73を備えている。連動警報処理部71は、当該住警器10と他の住警器10との連動警報を制御する連動警報処理手段であり、連動元警報処理部71a及び連動先警報処理部71bを備えて構成されている。連動元警報処理部71aは、センサ部20によって異常が検出された場合に、スピーカ41によって連動元を示す警報(以下、連動元警報)を出力させると共に、送信部31によって火災発報等を示す警報信号を他の住警器10に送信させる連動元警報処理手段である。連動先警報処理部71bは、受信部32が他の住警器10から警報信号を受信したときに、スピーカ41によって連動先を示す警報(以下、連動先警報)を出力させる連動先警報処理手段である。
【0032】
復旧判定部72は、当該住警器10において異常を検出することにより連動元警報を行った後、当該住警器10を通常監視状態へ復旧させることの可否を判定する復旧判定手段である。ここでは、当該住警器10が異常を検出しなくなった場合には、復旧させるものと判定する。
【0033】
警報停止処理部73は、警報停止スイッチ51の操作に基づいて、当該住警器10の警報停止を行うか否かを判定する警報停止処理手段である。
【0034】
記憶部80は、制御部70による制御に必要なプログラム及び各種のデータを記憶する記憶手段である。この記憶部80の具体的な構成は任意であり、例えば、フラッシュメモリやEPROM(Erasable Programmable Read Only Memory)の如き不揮発性の記憶媒体を用いることができる。
【0035】
記憶部80にはメモリ81が設けられている。このメモリ81には、送信元符号81aが格納されると共に、状態記憶領域81bが設けられている。送信元符号81aは、当該住警器10を特定するID(識別子)であり、例えば、国内に提供される住警器10の数を考慮して、同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。状態記憶領域81bは、火災発報、連動元警報、他の住警器10からの火災発報受信、連動先警報、警報停止といった各種の発生イベントを記憶する。これにより、当該住警器10は、新たに発生したイベントに対する状態の遷移制御を可能にすることができる。状態記憶領域81bの発生イベントを記憶する方法は任意であるが、例えば、発生イベントを順次記憶する方法と、前回の発生イベントに今回の発生イベントを上書きする方法等が該当する。
【0036】
(住警器の処理動作について)
次に、住警器10の処理動作について説明する。図1に示すように、住警器10Aは寝室に設置され、住警器10Bは居間に設置され、住警器10Cは台所に設置されており、最初に住警器10Aによって異常が検出され、次いで10Cによって異常が検出された場合を例に挙げて説明する。図4は、複数の住警器10A、10B、10Cが実行する連動警報処理の流れを示したフローチャートである。なお、以下の説明では、「ステップ」を「S」と略記する。また、住警器10Aのステップを「SA」、住警器10Bのステップを「SB」、及び住警器10Cのステップを「SC」と略記する。また、住警器10A、10B、10Cの動作中に発生したイベントは、各制御部70によって各記憶部80の状態記憶領域81bに記録されるものとする。
【0037】
図4に示すように、住警器10Aのセンサ部20が寝室の異常を検出すると(SA1)、住警器10Aの送信部31から、住警器10B、10Cに対して警報信号が送信される(SA2)。この警報信号は、住警器10Aのセンサ部20が異常を検出している間、継続して送信される(以下、後述するSC4の警報信号も同様とする)。また、この警報信号には、記憶部80のメモリ81に格納されている送信元符号81aが含まれている。これにより、住警器10B、10Cが警報信号を受信した際に、当該警報信号の送信元が住警器10Aであることを特定することができる(以下、後述するSC4の警報信号、SA6、SC11の復旧信号、及び、SA10の停止信号にも、送信元符号81aが含まれているものとする)。また、SA2の前後又はSA2と同時に、住警器10Aにおいては、寝室に居る利用者に対して当該寝室の異常を知らせるために、スピーカ41によって連動元警報が出力される(SA3)。この連動元警報の具体的な出力方法は任意であるが、例えば、住警器10Aにおいては、「ウーウー 寝室の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元の住警器10Aの設置位置を含んだ音声メッセージが繰返し出力される。
【0038】
一方、住警器10B、10Cの受信部32が住警器10Aからの警報信号を受信すると(SB1、SC1)、住警器10B、10Cにおいては、居間又は台所に居る利用者に対して寝室の異常を知らせるために、スピーカ41によって連動先警報が出力される(SB2、SC2)。この住警器10B、10Cの受信部32の動作方法は任意であるが、電池電源60の電力消費量を抑えるために、例えば、所定の間隔で間欠的に動作させることが好ましい(以下、住警器10Aの受信部32も、住警器10B、10Cの受信部32と同様に動作するものとする)。また、この連動先警報の具体的な出力方法は任意であるが、例えば、住警器10B、10Cにおいては、「ウーウー 寝室の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元の住警器10Aの設置位置を含んだ音声メッセージが繰返し出力される。なお、この際の連動元の住警器10Aの設置位置の特定は、各住警器10の設置位置と送信元符号81とを相互に関連付けて記憶部80に予め格納しておき、必要に応じてこの情報を参照することで行うことができる。
【0039】
次に、住警器10Cのセンサ部20が台所の異常を検出すると(SC3)、住警器10Cの送信部31から住警器10A、10Bに対して警報信号が送信される(SC4)。それと共に、住警器10Cにおいては、スピーカ41によって連動元警報が出力される(SC5)。ここで、住警器10Cにおいては、SC2の処理にて連動先警報が出力されているが、台所に居る利用者に対して当該台所の異常を知らせることを優先させるために、スピーカ41によって連動元警報のみが出力される。従って、例えば、住警器10Cにおいては、それまでの音声メッセージが、「ウーウー 台所の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元となった住警器10Cの設置位置を含んだ音声メッセージに切り替えられて繰返し出力される。
【0040】
一方、住警器10A、10Bにおいては、受信部32が住警器10Cの警報信号を受信する(SA4、SB3)。ここで、住警器10Aにおいては、連動先警報が出力可能な状態となるが、SA3の処理以降、連動元警報が継続して出力されており、また寝室に居る利用者に対して当該寝室の異常を知らせることを優先させることが好ましいことから、スピーカ41によって連動元警報が継続して出力される(SA5)。また、住警器10Bにおいては、SB2の処理にて連動先警報が出力されているので、引き続いて連動先警報が出力される(SB4)。この連動先警報の具体的な出力方法は任意であるが、居間に居る利用者に対して寝室及び台所の異常を知らせるために、例えば、住警器10Bにおいては、「ウーウー 寝室の住警器が作動しました 確認してください」、及び「ウーウー 台所の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元である住警器10Aの設置位置を含んだ音声メッセージと、連動元である住警器10Cの設置位置を含んだ音声メッセージとが、交互に繰返し出力される。
【0041】
次いで、住警器10Aのセンサ部20が寝室の異常を検出しなくなると(SA6)、当該住警器10Aにおいては、住警器10B、10Cに対して連動先警報を停止させるために、送信部31によって復旧信号が送信されると共に(SA7)、連動元警報が停止される。ただし、SA4の処理以降、住警器10Aにおいては、受信部32が住警器10Cから警報信号を継続して受信しているので、スピーカ41によって連動先警報が出力される(SA8)。例えば、住警器10Aにおいては、それまでの音声メッセージが、「ウーウー 台所の住警器が作動しました 確認してください」のように、連動元である住警器10Cの設置位置を含んだ音声メッセージに切り替えられて繰返し出力される。
【0042】
一方、住警器10B、10Cの受信部32が復旧信号を受信するが(SB5、SC6)、住警器10Bにおいては、SB3の処理以降、受信部32が住警器10Cから警報信号を継続して受信しているので、スピーカ41によって連動先警報が継続して出力される(SB6)。また、住警器10Cにおいては、SC5の処理と同様に、スピーカ41によって連動元警報が継続して出力される(SC7)。
【0043】
続いて、寝室の利用者が住警器10Aの警報停止スイッチ51を操作すると(SA9)、当該住警器10Aにおいては、送信部31から停止信号が送信されると共に(SA10)、連動先警報が停止される(SA11)。なお、ここでは、連動先警報を停止することとしているが、この時点では、連動元である住警器10Cが未だ残っているので、このように連動元である住警器10であって、警報停止スイッチ51による警報停止操作を受けていない住警器10が、一つでも残っている場合には、連動先警報を継続するようにしてもよい。
【0044】
一方、住警器10B、10Cの受信部32が住警器10Aからの停止信号を受信すると(SB7、SC8)、住警器10Bにおいては、連動先警報を停止すると、居間に居る利用者に対して台所の異常を知らせることができなくなるので、スピーカ41によって連動先警報が継続して出力される(SB8)。すなわち、住警器10Bは、停止信号を受信した場合に、連動元である住警器10であって、警報停止スイッチ51による警報停止操作を受けていない住警器10が、一つでも残っているか否かを判定し、残っている場合には、連動先警報を継続する。また、住警器10Cにおいては、連動元警報を停止すると、台所に居る利用者に対して当該台所の異常を知らせることができなくなるので、スピーカ41によって連動元警報が引き続き出力される(SC9)。
【0045】
その後、住警器10Cのセンサ部20が台所の異常を検出しなくなると(SC10)、当該住警器10Cにおいては、住警器10A、10Bに対して連動先警報を停止させるために、送信部31によって復旧信号が送信されると共に(SC11)、連動元警報が停止される(SC12)。
【0046】
一方、住警器10A、10Bの受信部32が復旧信号を受信すると(SA12、SB9)、住警器10Aにおいては、SA11の処理に引き続き、連動先警報が停止される(SA13)。また、住警器10Bにおいては、連動先警報が停止される(SB10)。すなわち、住警器10Bは、停止信号を受信した場合に、連動元である住警器10であって、警報停止スイッチ51による警報停止操作を受けていない住警器10が、一つでも残っているか否かを判定し、残っていない場合には、連動先警報を停止する。これにて連動処理が終了する。
【0047】
(火災監視処理)
次に、警報システム1に属する住警器10のいずれかが火災等の異常を検出した場合における、住警器10によって実行される火災監視処理について説明する。図5は、各住警器10の火災監視処理を示したフローチャートである。以下の処理では、これら住警器10の電源は常時ONされており、記憶部80によって記憶されたプログラムに従って、各処理を常に実行することが可能となっているものとし、特記する主体を除いて制御部70によって処理が行われる。
【0048】
まず、当該住警器10が設置されている部屋で異常を検出したか否かを判別するために、制御部70はセンサ部20によって当該部屋の監視動作を実行させる(SD1)。以降の処理では、当該住警器10が異常を検出した場合に行う連動元警報処理(主に連動元警報処理部71aによって行われるSD2〜SD8の処理)と、他の住警器10が異常を検出した場合に行う連動先警報処理(主に連動先警報処理部71bによって行われるSD9〜SD15の処理)とに大別される。
【0049】
ここで、当該部屋の煙濃度が所定レベルを超えたことで、センサ部20の検煙部21から火災検出信号が出力された場合には、当該住警器10が異常を検出したと考えられるので(SD1、Yes)、連動元警報処理部71aは、他の住警器10に対して連動先警報を出力させるために、送信部31によって警報信号を送信させる(SD2)。それと共に、連動元警報処理部71aは、当該部屋に居る利用者に対して当該部屋の異常を知らせるために、スピーカ41によって連動元警報を出力させる(SD3)。なお、検煙部21が火災検出信号を出力している間、連動元警報処理部71aは、送信部31によって所定時間毎に警報信号を繰返し送信させる。また、センサ部20の検煙部21が火災検出信号を出力している間、制御部70は、警報停止スイッチ51に設けられたLED42を点灯又は点滅させる(以下、後述するSD10の連動先警報の出力時にも、制御部70はLED42を点灯等させてもよい)。
【0050】
SD3の処理後、利用者による消火活動等により当該部屋で発生していた異常がなくなったり、あるいは利用者によって連動元警報が停止されることが考えられることから、次いで、復旧判定部72又は警報停止処理部73は、連動元警報を停止するか否かを判定する処理を行う。例えば、復旧判定部72は、当該部屋の異常発生の有無に基づいて、当該住警器10を通常監視状態に復旧させることの要否を判定する。また、警報停止処理部73は、警報停止の指示の有無に基づいて、連動元警報を停止するか否かを判定する。
【0051】
具体的には、復旧判定部72は、センサ部20の検煙部21から出力される火災検出信号の有無に基づいて、当該住警器10を復旧させることの要否を判定する(SD4)。ここで、センサ部20の検煙部21から火災検出信号が出力されなくなった場合には、当該住警器10が異常を検出していないと考えられるので(SD4、Yes)、復旧判定部72は、当該住警器10を復旧させるべきと判定する。この判定を受けて、連動元警報処理部71aは、他の住警器10に対して連動先警報を停止させるために、復旧信号を送信する(SD5)。それと共に、連動元警報処理部71aは、スピーカ41から出力されている連動元警報を停止させることで(SD8)、SD1の直前に戻り、当該住警器10を通常監視状態に復旧させる。
【0052】
また、センサ部20の検煙部21から火災検出信号が出力されている場合には、当該住警器10が異常を検出していると考えられるので(SD4、No)、復旧判定部72は、当該住警器10を復旧させるべきでないと判定する。この判定を受けて、警報停止処理部73は、さらに警報停止スイッチ51の警報停止操作の有無に基づいて、連動元警報を停止するか否かを判定する(SD6)。ここで、警報停止スイッチ51の警報停止操作が行われなかったことにより、連動元警報が停止されなかった場合には(SD6、No)、連動元警報処理部71aは、スピーカ41によって連動元警報を引き続き出力させて、SD1の直前に戻る。一方、警報停止スイッチ51の警報停止操作が行われたことにより、連動元警報が停止されると判定された場合には(SD6、Yes)、連動元警報処理部71aは、他の住警器10に対して連動先警報を停止させるために、停止信号を送信する(SD7)。それと共に、連動元警報処理部71aは、スピーカ41から出力されている連動元警報を停止させて(SD8)、SD1の直前に戻る。
【0053】
一方、SD1において、当該部屋の煙濃度が所定レベルを下回ったことで、センサ部20の検煙部21から火災検出信号が出力された場合には、当該住警器10が異常を検出していないと考えられるので(SD1、No)、制御部70は、他の住警器10が異常を検出しているか否かを判別するために、受信部32によって他の住警器10から送信された警報信号が受信されたか否かを監視する(SD9)。
【0054】
ここで、受信部32によって他の住警器10から警報信号が受信された場合には(SD9、Yes)、他の住警器10が異常を検出していると考えられるので、連動先警報処理部71bは、当該部屋に居る利用者に対して他の部屋で異常が発生していることを知らせるために、スピーカ41によって連動先警報を出力させる(SD10)。一方、受信部32によって他の住警器10から警報信号が受信されなかった場合には(SD9、No)、他の住警器10が異常を検出していないと考えられるので、連動先警報処理部71bは、連動先警報を出力せずに、SD11に移行する。
【0055】
SD10の処理後、利用者による消火活動等により他の部屋で発生していた異常がなくなり、あるいは利用者によって他の住警器10から出力されている連動先警報又は連動元警報が停止されることが考えられるので、復旧判定部72又は警報停止処理部73は、連動先警報を停止するか否かを判別する処理を行う。例えば、復旧判定部72は、他の住警器10から送信された復旧信号の受信の有無に基づいて、他の住警器10が復旧したか否かを判定する。また、警報停止処理部73は、他の住警器10から送信された停止信号の受信の有無等に基づいて、他の住警器10から出力されている連動先警報を停止するか否かを判定する。
【0056】
具体的には、復旧判定部72は、受信部32が警報信号を送信している他の住警器10の全部から復旧信号を受信しているか否かを判定する(SD11)。ここで、受信部32が警報信号を送信している他の住警器10の全部から復旧信号を受信している場合には(SD11、Yes)、他の住警器10のいずれにおいても異常が検出されていないと考えられるので、連動先警報処理部71bは、スピーカ41から出力されている連動先警報を停止させる(SD15)。なお、警報信号を送信している他の住警器10の全部から復旧信号を受信しているか否かを判定する具体的な方法は任意であるが、例えば、復旧判定部72が受信部32によって受信した警報信号に含まれる送信元符号81aと、受信した復旧信号に含まれる送信元符号81aとを記憶部80の状態記憶領域81bに記憶させておいて必要に応じて照合し、これら送信元符号81aがすべて一致した場合に、警報信号を送信している他の住警器10の全部から復旧信号を受信していると判定してもよい(以下、後述するSD12の処理にて、これと同様の方法で、警報停止処理部73が警報信号を送信している他の住警器10の全部から停止信号を受信しているか否かを判定する)。
【0057】
また、受信部32が警報信号を送信している他の住警器10の全てから復旧信号を受信していない場合には(SD11、No)、他の住警器10の少なくとも一部が依然として異常を検出していると考えられるので、連動先警報処理部71bは、スピーカ41によって連動先警報を引き続き出力させる。その後、警報停止処理部73は、受信部32が警報信号を送信している他の住警器10の全部から停止信号を受信しているか否かを判定する(SD12)。ここで、受信部32が警報信号を送信している他の住警器10の全部から停止信号を受信している場合には(SD12、Yes)、他の住警器10が異常を検出しているか否かに関わらず、警報を停止させることが利用者の指示であると考えられるので、連動先警報処理部71bは、スピーカ41から出力されている連動先警報を停止させる(SD15)。
【0058】
また、受信部32が警報信号を送信している他の住警器10の全てから停止信号を受信していない場合には(SD12、No)、他の住警器10の少なくとも一部が依然として異常を検出しており、かつ、警報を停止させることが利用者の指示ではないと考えられるので、連動先警報処理部71bは、スピーカ41によって連動先警報を引き続き出力させる。その後、警報停止処理部73は、当該住警器10の警報停止スイッチ51の警報停止操作の有無に基づいて、連動先警報を停止するか否かを判定する(SD13)。ここで、警報停止スイッチ51の警報停止操作が行われなかったと判定された場合には(SD13、No)、連動先警報処理部71bは、スピーカ41によって連動先警報を引き続き出力させて、SD1の直前に戻る。一方、警報停止スイッチ51の警報停止操作が行われたと判定された場合には(SD13、Yes)、連動先警報処理部71bは、他の住警器10から出力されている連動先警報を停止させるために、停止信号を送信すると共に(SD14)、スピーカ41から出力されている連動先警報を停止させて(SD15)、SD1に戻る。
【0059】
(住警器10Aの連動元警報処理について)
次に、住警器10Aの連動元警報処理として、図4に示すSA1〜SA7の処理と、図5に示すSD1〜SD6、SD8の処理とを関連づけて説明する。
【0060】
まず、住警器10Aが設置されている寝室で異常が発生したことが検知されると(SA1)(SD1、Yes)、連動元警報処理部71aは送信部31に警報信号を送信させると共に(SA2、SD2)、スピーカ41によって連動元警報を出力させる(SA3、SD3)。ここで、住警器10Cから警報信号を受信した場合であっても(SA4)、住警器10Aの連動元警報処理部71aは、スピーカ41によって連動元警報のみを引き続き出力させる(SA5)。
【0061】
ここで、SA6の処理に至るまでは、制御部70は、SD1〜SD4、SD6の処理を繰り返す。例えば、SA5の処理後、復旧判定部72が異常検出の有無を判定し(SD4)、異常検出がある場合には(SD4、No)、警報停止処理部73が警報停止スイッチ51の警報停止操作の有無に基づいて連動元警報を停止するか否かを判定するが(SD6)、警報停止スイッチ51の警報停止操作が行われない場合には、連動元警報が停止されないと判定され(SD6、No)、SD1に戻る。
【0062】
その後、復旧判定部72が異常検出の有無を判定し(SD4)、異常検出がない場合には(SA6)(SD4、Yes)、連動元警報処理部71aは、住警器10B、10Cに対して復旧信号を送信すると共に(SA7、SD5)、連動元警報を停止させて(SD8)、SD1に戻る。
【0063】
(住警器10Bの連動先警報処理について)
次に、住警器10Bの連動先警報処理として、図4に示すSB1〜SB10の処理と、図5に示すSD1、SD9〜SD13、SD15の処理とを関連づけて説明する。
【0064】
まず、住警器10Bが設置されている居間で異常が発生していないことが検知されると(SD1、No)、制御部70は、住警器10A,10Cからの警報信号が受信されたか否かを監視する(SD9)。ここで、住警器10Aから警報信号を受信すると(SB1)(SD9、Yes)、連動先警報処理部71bは、スピーカ41によって連動先警報を出力させる(SB2、SD10)。また、その後に住警器10Cから警報信号を受信すると(SB3)(SD9、Yes)、連動先警報処理部71bは、連動先警報を継続して出力させる(SB4、SD10)。
【0065】
SB4の処理後、SB9の処理に至るまでは、制御部70は、SD1、SD9〜SD13の処理を繰り返す。例えば、SB4、SD10の処理後、復旧判定部72は、受信部32が警報信号を送信している住警器10Cのみから復旧信号を受信した場合には(SB5)、受信部32が警報信号を送信している住警器10A、10Cの全部から復旧信号を受信していないと判定し(SD11、No)、住警器10Aのみから停止信号を受信した場合(SB7)には、受信部32が警報信号を送信している住警器10Cの全部から停止信号を受信していないと判定し(SD12、No)、さらに、当該住警器10Bにおける警報停止スイッチ51の警報停止操作も行われていない場合には(SD13、No)、連動先警報を継続して出力させる(SB6、SB8、SD10)。
【0066】
一方、SB9の処理にて、復旧判定部72は、受信部32が警報信号を送信している住警器10Cから復旧信号を受信していると判定することで(SB9)(SD11、Yes)、連動先警報処理部71bは、スピーカ41から出力されている連動先警報を停止させる(SB10、SD15)。
【0067】
(効果)
このように本実施の形態によれば、複数の住警器10において警報を行っている場合において、連動元警報を行った住警器10における異常の検知状態が継続している場合には、当該連動元警報を行った住警器10以外の住警器10に対して警報停止スイッチ51の警報停止操作が行われた場合においても、少なくとも、警報停止操作が行われた住警器10以外の住警器10であって自らは異常を検知していない住警器10における警報を継続するので、警報停止操作が行われた住警器10以外の住警器10付近に居る利用者は、連動元警報を行った住警器10における異常の検知状態が継続していることを把握することができ、連動元警報を行った住警器10付近の異常に対して早急な対応を採ることができる。
【0068】
また、複数の住警器10において警報を行っている場合において、連動元警報を行った住警器10における異常の検知状態が継続している場合には、当該連動元警報を行った住警器10以外の住警器10に対して警報停止スイッチ51の警報停止操作が行われた場合においても、かつ、当該連動元警報を行った住警器10が複数ある場合においてその一部のみが復旧した場合においても、少なくとも、当該警報停止スイッチ51の警報停止操作が行われた住警器10以外の住警器10であって自らは異常を検知していない住警器10における警報を継続するので、警報停止操作が行われず、かつ、復旧していない住警器10付近に居る利用者は、連動元警報を行った住警器10における異常の検知状態が継続していることを把握することができ、連動元警報を行った住警器10付近の異常に対して早急な対応を採ることができる。
【0069】
また、他の住警器10から警報信号を受信することにより警報を行っている場合であって、当該住警器10の警報停止スイッチ51によって警報停止操作が受け付けられていない場合には、警報を継続するので、警報停止スイッチ51による警報停止操作が受け付けられるまでは、当該住警器10付近に居る利用者は、連動元警報を行った住警器10における異常の検知状態が継続していることを把握することができ、連動元警報を行った住警器10付近の異常に対して早急な対応を採ることができる。
【0070】
また、連動元警報処理部71aが、当該住警器10において異常を検知することにより警報を行っている場合において、復旧判定部72にて復旧を行うものと判定された場合には、復旧信号を他の住警器10に送信し、警報停止スイッチ51にて警報停止操作が受け付けられた場合には、停止信号を他の住警器10に送信するので、当該住警器10における異常を検知していないことを把握することができ、当該住警器10付近の安全性を確保することができる。また、連動先警報処理部71bが、当該住警器10において異常を検知していない場合であって他の住警器10から警報信号を受信することにより警報を行っている場合において、当該警報信号を当該住警器10に送信した他の住警器10の一部のみから復旧信号又は停止信号を受信した場合には、当該住警器10の警報を継続するので、当該警報信号を当該住警器10に送信した他の住警器10の一部のみから復旧信号又は停止信号を受信した後も、当該住警器10付近に居る利用者は、当該他の住警器10の一部以外の住警器10における異常の検知状態が継続していることを把握することができ、当該他の住警器10の一部以外の住警器10付近の異常に対して早急な対応を採ることができる。また、連動先警報処理部71bが、当該警報信号を当該住警器10に送信した他の住警器10の全部から復旧信号又は停止信号を受信した場合には、当該住警器10の警報を停止するので、当該住警器10付近に居る利用者は、すべての住警器10が異常を検知していないことを把握することができ、高い安全性を確保することができる。
【0071】
〔本実施の形態に対する変形例〕
以上、本発明に係る実施の形態について説明したが、本発明の具体的な構成及び手段は、特許請求の範囲に記載した各発明の技術的思想の範囲内において、任意に改変及び改良することができる。以下、このような変形例について説明する。
【0072】
(解決しようとする課題や発明の効果について)
まず、発明が解決しようとする課題や発明の効果は、前記した内容に限定されるものではなく、本発明によって、前記に記載されていない課題を解決したり、前記に記載されていない効果を奏することもでき、また、記載されている課題の一部のみを解決したり、記載されている効果の一部のみを奏することがある。
【0073】
(分散や統合について)
また、上述した各電気的構成要素は機能概念的なものであり、必ずしも物理的に図示の如く構成されていることを要しない。すなわち、各部の分散・統合の具体的形態は図示のものに限られず、その全部または一部を、各種の負荷や使用状況などに応じて、任意の単位で機能的または物理的に分散・統合して構成できる。例えば、図1に示す警報システム1において、住警器10A,10Cは、連動元警報処理及び連動先警報処理を行うが、住警器10Bは、連動先警報処理のみを行うようにしてもよい。この場合には、住警器10Bは、本実施の形態で説明した制御部70や記憶部80等の全部又は一部を備えて構成せず、あるいはこれら全部又は一部の動作を停止させてもよい。
【0074】
(住警器10Aの連動元警報処理について)
本実施の形態では、連動元警報処理を行っている住警器10Aにおいては、図4に示すSA5の処理にて、スピーカ41によって連動元警報のみが出力されると説明したが、これに限られない。例えば、住警器10Aにおいては、SA4の処理にて、住警器10Cから警報信号を受信しているので、SA5の処理にて、スピーカ41によって連動元警報及び連動先警報を交互に繰り返し出力してもよい。この場合には、図5に示すSD3とSD4との処理の間に、SD9及びSD10の処理を追加してもよい。
【符号の説明】
【0075】
1 警報システム
2 住宅
10、10A、10B、10C 住警器
11 住警器本体
12 カバー
12a 検知空間
12b 音響穴
13 取付フック
20 センサ部
21 検煙部
30 無線回路部
31 送信部
32 受信部
33 アンテナ
40 報知部
41 スピーカ
42 LED
50 操作部
51 警報停止スイッチ
60 電池電源
70 制御部
71 連動警報処理部
71a 連動元警報処理部
71b 連動先警報処理部
72 復旧判定部
73 警報停止処理部
80 記憶部
81 メモリ
81a 送信元符号
81b 状態記憶領域

【特許請求の範囲】
【請求項1】
監視領域における異常を検知して警報を行う複数の警報器を、相互に連動警報させる警報システムであって、
前記複数の警報器の少なくとも一つの警報器が前記異常を検知して発報することにより当該複数の警報器において警報を行っている場合において、当該発報した警報器における前記異常の検知状態が継続している場合には、当該発報した警報器以外の警報器に対して警報停止操作が行われた場合においても、少なくとも、当該警報停止操作が行われた警報器以外の警報器であって自らは異常を検知していない警報器における警報を継続する、
警報システム。
【請求項2】
監視領域における異常を検知して警報を行う複数の警報器を、相互に連動警報させる警報システムであって、
前記複数の警報器の少なくとも一つの警報器が前記異常を検知して発報することにより当該複数の警報器において警報を行っている場合において、当該発報した警報器における前記異常の検知状態が継続している場合には、当該発報した警報器以外の警報器に対して警報停止操作が行われた場合においても、かつ、当該発報した警報器が複数ある場合においてその一部のみが復旧した場合においても、少なくとも、当該警報停止操作が行われた警報器以外の警報器であって自らは異常を検知していない警報器における警報を継続する、
警報システム。
【請求項3】
監視領域の異常を検出した場合に警報を行うと共に他の警報器に警報信号を送信し、他の警報器から前記警報信号を受信した場合に警報を行う警報器であって、
警報停止操作を受け付ける警報停止操作受付手段と、
他の警報器から前記警報信号を受信することにより警報を行っている場合であって、当該警報器の前記警報停止操作受付手段によって前記警報停止操作が受け付けられていない場合には、警報を継続する、
警報器。
【請求項4】
監視領域の異常を検出した場合に警報を行うと共に他の警報器に警報信号を送信し、他の警報器から前記警報信号を受信した場合に警報を行う警報器であって、
当該警報器において前記異常を検知することにより警報を行った後、当該警報器を当該警報を行う前の状態へ復旧させることの可否を判定する復旧判定手段と、
警報停止操作を受け付ける警報停止操作受付手段と、
当該警報器と他の警報器との連動警報を制御する連動警報処理手段を備え、
前記連動警報処理手段は、
当該警報器において前記異常を検知することにより警報を行っている場合において、前記復旧判定手段にて復旧を行うものと判定された場合には、復旧信号を他の警報器に送信し、
前記警報停止操作受付手段にて前記警報停止操作が受け付けられた場合には、警報停止信号を他の警報器に送信し、
当該警報器において前記異常を検知していない場合であって他の警報器から前記警報信号を受信することにより警報を行っている場合において、当該警報信号を当該警報器に送信した他の警報器の一部のみから前記復旧信号又は前記警報停止信号を受信した場合には、当該警報器の警報を継続し、当該警報信号を当該警報器に送信した他の警報器の全部から前記復旧信号又は前記警報停止信号を受信した場合には、当該警報器の警報を停止する、
警報器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−59894(P2011−59894A)
【公開日】平成23年3月24日(2011.3.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−207453(P2009−207453)
【出願日】平成21年9月8日(2009.9.8)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】