説明

警報器

【課題】連動警報を行う複数の警報器の中で障害が起きているものがあった場合、これを確実に知って適切に対応可能とする。
【解決手段】送受信回路部と;センサ部134と;報知部138と;操作部136と;異常監視部158と;センサ部134の障害を検出した場合に、障害警報を出力させると共に障害を示すイベント信号を他の警報器に送信し、一方、他の警報器から障害を示すイベント信号を受信した場合に、障害警報を連動して出力させる障害監視部160と;障害監視部160が障害警報を連動して出力させているときに警報停止手段の操作を検出した場合、他の警報器に障害元確認のイベント信号を送信し、一方、他の警報器から障害元確認のイベント信号を受信してかつ自己が障害元である場合に、障害元を示す報知音を出力させる障害元確認処理部162と;を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、火災などの異常を検出して警報すると共に他の警報器に信号を無線送信して警報を連動出力させる警報器に関する。
本出願は、特願2008−075037号と特願2008−075119号とを基礎出願とし、これらの内容をここに取り込む。
【背景技術】
【0002】
従来、住宅における火災やガス漏れなどの異常を検出して警報する住宅用警報器(以下「警報器」という)が普及しており、近年にあっては、1つの住戸に複数台の警報器を設置して部屋毎に火災などの異常を監視するものが提案されている(例えば、下記特許文献1参照)。
【0003】
このように、住戸内に複数の警報器を設置した場合、異常が発生した部屋とは別の部屋に人がいた場合、警報音が聞こえずに火災などの災害が広がる恐れがある。このため、警報器同士を有線接続し、ある警報器で火災を検出して警報した場合、他の警報器に信号を送って同時に警報させる連動警報ができるようにしている。
【0004】
しかしながら、警報器同士の有線接続には有線工事が必要なため、コストが高くなる問題がある。この問題は、無線式の警報器を採用することで解消可能である。しかも、最近における無線回路用ICの低消費電力化に伴い、他の警報器からの信号を受信可能とするために常時受信可能な動作状態としても、たとえば5年を超えるような、実用に耐える電池寿命が保証され、無線式警報器の実用化が進められている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2007−094719号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の有線式の警報器では、複数の警報器を有線接続した場合、ある警報器が火災を検出すると、火災を検出した連動元の警報器と連動先の警報器とでは異なる警報音を出力している。例えば火災を検出した連動元の警報器では、「ウーウー火災警報器が作動しました 確認してください」との音声メッセージを連続して流し、一方、連動先の警報器では、「ウーウー別の火災警報器が作動しました 確認してください」との音声メッセージを連続して流している。
【0007】
一方、警報器には点検スイッチを兼ねた警報停止スイッチが設けられており、警報出力中に引き紐などによりスイッチを操作することで、警報を停止させることができる。有線接続により連動警報とした警報器の場合、火災を検出した連動元の警報器の警報停止スイッチを操作すると、全ての警報器の警報音が停止する。また、連動先の警報器の警報停止スイッチを操作すると、その警報器の警報音のみが停止する。
【0008】
ところで、この種の警報器には、電池電圧低下によるローバッテリーなどの障害を検知して警報する機能が設けられている。ローバッテリーの検出は、電池電圧が警報器として72時間に亘り正常に機能可能な限界電圧に低下したときに検出され、例えば1分に1回、「ピッ」といった短い警報音を出すようにしている。
【0009】
しかしながら、人のいない部屋に設置している警報器にあっては、ローバッテリーを検出して警報音を出していても、利用者が気付かない場合、そのまま電池切れとなる虞がある。
【0010】
本発明は、連動警報を行う複数の警報器の中で障害が起きているものがあった場合、これを確実に知って適切に対応可能とする警報器の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)本発明の一態様に係る報知器は、イベント信号を他の警報器との間で送受信する送受信回路部と;異常を検出して異常検出信号を発するセンサ部と;異常警報を出力する報知部と;警報停止手段を有する操作部と;自己と別体又は一体に設けられて、前記センサ部からの前記異常検出信号を受けた場合に、連動元としての前記異常警報を前記報知部より出力させると共に異常を示すイベント信号を前記他の警報器に送信し、一方、前記他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に連動先としての異常警報を前記報知部より出力させる異常監視部と;前記センサ部の障害を検出した場合に、障害警報を出力させると共に障害を示すイベント信号を前記他の警報器に送信し、一方、前記他の警報器から障害を示すイベント信号を受信した場合に、障害警報を連動して出力させる障害監視部と;前記障害監視部が前記障害警報を連動して出力させているときに前記警報停止手段の操作を検出した場合、前記他の警報器に障害元確認のイベント信号を送信し、一方、前記他の警報器から障害元確認のイベント信号を受信してかつ自己が障害元である場合に、障害元を示す報知音を出力させる障害元確認処理部と;を備える。
【0012】
(2)上記に記載の警報器では、前記障害は、ローバッテリー障害であるように構成しても良い。
【0013】
(3)上記に記載の警報器では、前記障害監視部が、前記他の警報器から障害を示すイベント信号を受信した場合に、前記他の警報器とは異なる予め定めた所定時間後に、障害警報音を連動して出力させるように構成しても良い。
【発明の効果】
【0014】
上記(1)に記載の一態様に係る警報器によれば、住宅などに設置した連動警報を行う複数の無線式の警報器のいずれかでローバッテリーなどの障害が起きると、この障害を他の警報器に知らせて障害警報音が連動出力される。よって、人のいない部屋に設置している警報器で障害が発生しても、別の警報器から発せられる障害警報により、いずれかの警報器で障害が起きていることが分かる。その結果、障害に気付かずに実際に火災となったときに警報器が動作しないといった事態を未然に防止することができる。したがって、連動警報を行う複数の警報器の中で障害が起きているものがあった場合、これを確実に知って適切に対応可能にする。
【0015】
さらに、障害元を含む全ての警報器で障害警報音を出す場合、任意の警報器で警報停止操作を行うと、他の警報器に障害元を確認するためのイベント信号が送信される。すると、障害元の警報器の障害警報音が障害元を示す報知音に切り替わる。これにより、障害を発生した警報器を簡単且つ容易に突き止めて、修理などの対応をとることができる。
【0016】
また、上記(3)に記載の警報器の場合、障害元を含む全ての警報器で障害警報音を出す場合、予め設定した順番に従って障害警報音を出すことで、同時に複数の警報器で障害が発生したと警報が発せられることによる紛らわしさを避けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1A】図1Aは、本発明の第1実施形態に係る警報器の外観を示す正面図である。
【図1B】図1Bは、同警報器の外観を示す側面図である。
【図2】図2は、住宅に対する同警報器の設置状態を示す説明図である。
【図3】図3は、同警報器のブロック図である。
【図4】図4は、同実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示す説明図である。
【図5】図5は、同実施形態における基本処理を示すフローチャートである。
【図6】図6は、図5のステップS2における火災監視処理の詳細を示すフローチャートである。
【図7】図7は、図5のステップS3における通信試験処理の詳細を示すフローチャートである。
【図8】図8は、本発明の第2実施形態に係る警報器を示す図であって、電波強度表示部を備えた警報器の正面図である。
【図9A】図9Aは、本発明の第3実施形態に係る警報器の外観を示す正面図である。
【図9B】図9Bは、同警報器の外観を示す側面図である。
【図10】図10は、住宅に対する同警報器の設置状態を示した説明図である。
【図11】図11は、同警報器のブロック図である。
【図12】図12は、同実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示す説明 図である。
【図13】図13は、同実施形態における基本処理を示すフローチャートである。
【図14】図14は、図13のステップS102における火災監視処理の詳細を示すフローチャートである。
【図15】図15は、同実施形態における障害監視処理を示すタイムチャートである。
【図16】図16は、図13のステップS103における障害監視処理の詳細を示すフローチャートである。
【図17】図17は、本発明の第4実施形態に係る警報器を示すブロック図である。
【図18】図18は、同実施形態における基本処理を示すフローチャートである。
【図19】図19は、同実施形態における障害監視処理を示すタイムチャートである。
【図20】図20は、図18のステップS142における障害監視処理の詳細を示すフローチャートである。
【図21】図21は、本発明の第5実施形態に係る警報器のブロック図である。
【図22】図22は、同実施形態における基本処理を示すフローチャートである。
【図23】図23は、同実施形態における障害監視処理を示すタイムチャートである。
【図24】図24は、図22のステップS175における障害監視処理の詳細を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
図1A及び図1Bは、本発明の第1実施形態に係る無線式の警報器の外観を示す説明図であり、図1Aが正面図を、図1Bが側面図を示している。
【0019】
図1A及び図1Bに示すように、本実施形態の警報器10は、カバー12と、本体14とを備えている。カバー12の中央には、周囲に煙流入口が開口した検煙部16が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出する。
【0020】
検煙部16の左下側には、音響穴18が設けられ、この背後にスピーカ(不図示)を内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部16の下側には警報停止スイッチ20が設けられている。警報停止スイッチ20は、点検スイッチとしての機能を兼ねている。
【0021】
警報停止スイッチ20の内部には、点線で示すようにLED22が配置されており、LED22が点灯すると、警報停止スイッチ20のスイッチカバーの部分を透過してLED22の点灯状態が外部から視認できる。
【0022】
本体14の裏側上部には取付フック15が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、このビスに取付フック15を取り付けることで、壁面に警報器10を設置することができる。
【0023】
なお、図1の警報器10では、検煙部16を備えて火災による煙を検出する警報器を例に取っているが、これのみに本発明は限定されない。すなわち、これら以外に、火災による熱を検出するサーミスタを備えた警報器や、火災以外にガス漏れを検出する警報器についても、本発明の対象に含まれる。
【0024】
図2は、住宅に本実施形態の警報器を設置した状態を示す説明図である。図2の例では、住宅24の台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の警報器10−1〜10−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ26にも警報器10−5が設置されている。
【0025】
警報器10−1〜10−5のそれぞれは、イベント信号を相互に無線により送受信する機能を備えており、5台の警報器10−1〜10−5で1つのグループを構成して、この住宅24全体の火災監視を行っている。
【0026】
いま、住宅24の子供部屋で万一、火災が発生したとすると、警報器10−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、警報器における「発報」という。警報器10−4が発報すると、警報器10−4は連動元として動作し、連動先となる他の警報器10−1〜10−3,10−5に対し、火災発報を示すイベント信号を無線により送信する。他の警報器10−1〜10−3,10−5では、連動元の警報器10−4からの火災発報を示すイベント信号を受信すると、連動先としての警報動作を行う。
【0027】
連動元となった警報器10−4の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を連続して出力する。一方、連動先の警報器10−1〜10−3,10−5では、「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを連続して出力する。
【0028】
警報器10−1〜10−5が警報音を出している状態で、図1に示した警報器に設けている警報停止スイッチ20を操作すると、警報音の停止処理が行われる。
【0029】
また、警報器10−1〜10−5は障害監視機能を備えおり、ローバッテリーなどの障害を検知すると、例えば「ピッ」といった警報音を例えば1分置きに間欠的に出力し、障害が発生したことを報知する。また、障害を検出した障害元の警報器は、他の警報器に障害発生を示すイベント信号を無線送信し、他の警報器においても同じ障害警報が出力される。この結果、任意の警報器で障害が検出されると、グループを構成している全ての警報器から障害警報が出力される。
【0030】
更に、本実施形態の警報器では、監視中に、例えば警報停止スイッチ20を操作することで通信試験動作を行える。通信試験動作は、スイッチ操作などにより通信試験要求を受けた試験元の警報器が他の警報器に対して通信試験を示すイベント信号を送信する。試験先の警報器は、試験元の警報器からの通信試験を示すイベント信号を正常に受信すると、通信試験正常を示す報知を行う。通信試験正常の報知は、例えば音声メッセージの出力やLEDの表示動作で行われる。
【0031】
通信先の警報器は通信試験を示すイベント信号を受信した際に、その電波強度を測定し、例えば受信回路部の感度に基づいて設定した閾値強度と比較し、閾値強度を超えていた場合に通信試験正常を報知する。また、通信試験正常を報知した際に、電波強度がどの程度であるかを同時に報知している。
【0032】
更に、本実施形態の警報器は、通信試験が一定時間以上実施されていない場合に、通信試験の実施を督促するように報知することもできる。
【0033】
図3は、本実施形態の警報器のブロック図である。図3は、図2に示した5台の警報器10−1〜10−5の内の警報器10−1についての回路構成を詳細に示している。
【0034】
警報器10−1は、CPU28を備えている。CPU28に対して、アンテナ31を備えた無線回路部30と、記録回路部32と、センサ部34と、報知部36と、操作部38及び電池電源40とが接続されている。
【0035】
無線回路部30には、送信回路42と受信回路44とが設けられ、他の警報器10−2〜10−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線回路部30としては、日本国内の場合には、例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備の標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0036】
無線回路部30としては、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0037】
受信回路部44に対して電波強度測定部45が設けられ、他の警報器10−2〜10−5からイベント信号を受信したときに、その電波強度を測定しており、この電波強度の値を必要に応じてCPU28で読込むことができる。
【0038】
記録回路部32には、メモリ46が設けられている。メモリ46には、警報器を特定するID(識別子)となる送信元符号50と、図2のように複数の警報器で連動警報を行うグループを構成するためのグループ符号52とが格納されている。送信元符号50としては、国内に提供される警報器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。
【0039】
グループ符号52は、グループを構成する複数の警報器に共通に設定される符号である。無線回路部30で受信した他の警報器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ46に登録しているグループ符号52と一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理する。
【0040】
本実施形態では、記録回路部32にメモリ46を使用しているが、メモリ46の代わりにディップスイッチを設け、ディップスイッチにより送信元符号50やグループ符号52を設定するようにしてもよい。送信元符号50やグループ符号52の符号長(ビット数)が少ない場合には、ディップスイッチを用いた記録回路部32が望ましい。
【0041】
センサ部34には、本実施形態では検煙部16が設けられている。センサ部34には検煙部16以外に、火災による温度を検出するサーミスタを設けてもよい。また、ガス漏れ監視用の警報器の場合には、センサ部34にガス漏れセンサが設けられることになる。
【0042】
報知部36には、スピーカ58とLED22とが設けられている。スピーカ58は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED22は点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常や障害などを表示する。
【0043】
操作部38には警報停止スイッチ20が設けられている。監視中に警報停止スイッチ20を操作すると、点検スイッチとして機能し、警報器10−1が正常であれば、火災発報時よりも低い音量で「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」とする音声メッセージを1回出力する。また火災などの警報中に警報停止スイッチ20を操作すると、警報器10−1から流している警報音を停止させることができる。
【0044】
本実施形態では、警報停止スイッチ20を監視中に操作したときに、点検動作を行うと同時に、通信試験要求が行われたものと判断し、通信試験動作を行うようにしている。
【0045】
電池電源40は、例えば所定セル数のアルカリ乾電池を使用している。電池容量としては警報器10−1における無線回路部30を含む回路部全体の低消費電力化により、約10年の電池寿命を保証している。
【0046】
CPU28には、プログラムの実行により実現される機能として、異常監視部58、通信試験送信処理部60及び通信試験受信処理部62が設けられている。
【0047】
異常監視部58は、センサ部34に設けた検煙部16で火災を検出したときに、報知部36のスピーカ56から連動元を示す警報音(例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」)を繰り返し出力させると共に、火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の送信回路42によりアンテナ31から他の警報器10−2〜10−5に向けて送信させる。
【0048】
異常監視部58は、他の警報器10−2〜10−5のいずれかから火災発報を示すイベント信号を無線回路部30の受信回路44により受信したときに、報知部36のスピーカ56から連動先を示す警報音(例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」)となる音声メッセージを連続的に出力させる。
【0049】
ここで、異常監視部58で火災発報を検出して連動元警報音を出すときには、報知部36のLED22を例えば明滅させ、一方、連動先警報音を出す場合には、報知部36のLED22を点滅させる。これによって、連動元警報と連動先警報におけるLED22の表示を区別できるようにしている。もちろん、連動元警報と連動先警報のいずれも同じLED22の明滅または点滅表示であっても良い。
【0050】
更に、異常監視部58は、電池電源40の電圧低下によるローバッテリーを障害として検出したときに、例えば1分に1回、「ピッ」といった短いローバッテリー警報音を出すことにより障害警報音を出力させる。この場合、障害を示すイベント信号を他の警報器10−2〜10−5に送信し、ローバッテリー障害についても連動警報を可能としても良い。
【0051】
通信試験送信処理部60は、監視中に警報停止スイッチ20の操作などにより通信試験要求を受けた際に、通信試験を示すイベント信号を無線回路部30の送信回路42から他の警報器10−2〜10−5に送信する。なお、通信試験送信処理部60に対する通信試験要求は、警報停止スイッチ20の操作時以外に、スイッチ操作時や火災発報時といった各種イベント発生時から一定時間経過時、又は他の警報器からの信号受信時に、通信試験要求を受けたと判断し、通信試験を示すイベント信号を他の警報器に送信するようにしても良い。
【0052】
通信試験受信処理部62は、他の警報器10−1〜10−5のいずれかから通信試験を示すイベント信号を受信したときに、このイベント信号の受信状況を報知する。例えば通信試験送信処理部62は、他の警報器から通信試験を示すイベント信号を受信したときに、受信回路44に対して設けている電波強度測定部45で測定された電波強度を読込み、測定された電波強度が所定の閾値強度を超えていた場合に試験正常と判断して報知する。
【0053】
電波強度の判定に使用する閾値強度は、受信回路44の受信感度に所定値を加算した値である。受信感度とは、受信回路44において正常に信号を受信することのできる電波の強さの最小値であり、例えば−110dBmとなる。この受信感度に、電波環境が余裕内で悪化しても、火災などの異常を示すイベント信号を正常に受信して連動警報することができる余裕値としての所定値、例えば30dBを加算し、
(−110dBm+30dB)=−80dBm
を閾値強度として設定する。
【0054】
試験正常の報知は、例えば試験先の警報器に設けているLED22を点灯又は点滅させる。試験先の警報器の場所に行き、LED22の点灯又は点滅状態で警報停止スイッチ20を操作すると、通信試験正常を示す音声メッセージを出力されるようにしても良い。
【0055】
一方、通信試験を示すイベント信号が受信されなかった場合には、LED22が点灯又は点滅していないことで、試験先の警報器が通信試験異常となっていることが分かる。この場合には、例えば試験先の警報器の設置場所を変更して再度通信試験を行って通信試験正常が報知されることを確認する。
【0056】
また、通信試験受信処理部62は、測定された電波強度が閾値強度以上となって試験正常を判断したときに、測定した電波強度に応じた音声メッセージの出力を行うようにしても良い。この音声メッセージは、電波強度を例えば強・中・弱の三段階に分けた内容で報知する。通信試験正常であっても、電波強度が弱となっている場合があり、この状態を知ることで、試験先の警報器の設置場所を変更して再度通信試験を行い、電波強度が中又は強となるように電波環境を改善することができる。
【0057】
通信試験送信処理部62は、通信試験が一定時間以上実施されていない場合、通信試験の実施を督促するように報知する。通信試験を必要とする一定時間としては、例えば1ケ月が設定され、前回の通信試験からの経過時間を監視し、通信試験が行われずに1ケ月を経過した時に、通信試験の実施を督促する音声メッセージを出力する。
【0058】
この通信試験の督促メッセージの出力により、長期間に亘り通信試験が行われない状況を回避し、設置時は正常に連動警報可能であったものが、設置環境の変化などにより電波環境が悪化して連動警報ができなくなってしまう事態を確実に防止できる。
【0059】
このような警報器10−1の回路構成及び機能は、他の警報器10−2〜10−5についても同様であり、メモリ46に格納している送信元符号50が各警報器固有の符号となっている。
【0060】
図4は、本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示す説明図である。図4において、イベント信号48は、送信元符号50と、グループ符号52と、イベント符号54とで構成されている。送信元符号50は、例えば26ビットの符号である。グループ符号52は例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図3の5台の警報器10−1〜10−5につき同じグループ符号が設定されている。
【0061】
グループ符号52としては、同一グループの警報器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する警報器に共通な基準符号と、各警報器に固有な送信元符号との演算から求めた、警報器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
【0062】
イベント符号54は、火災、ガス漏れなどの異常や障害といったイベント内容を表す符号であり、本実施形態では3ビット符号を使用しており、例えば「001」を火災、「010」をガス漏れ、「011」を障害、「101」を通信試験、残りをリザーブとしている。
【0063】
イベント符号54のビット数は、イベントの種類が増加したときには更に4ビット、5ビットと増加させることで、複数種類のイベント内容を表すことができる。
【0064】
図5は、本実施形態での基本処理を示すフローチャートである。図5において、警報器に内蔵している電池電源を有効として電源を投入すると、ステップS1で初期化処理が実行される。この初期化処理には、図2に示した警報器10−1〜10−5によりグループを構成するためのグループ設定処理が含まれ、例えばグループを構成する警報器10−1〜10−5のメモリ46に、同じグループ符号52を設定する。このグループ設定は、工場段階で行っても良いし、ユーザ側で行ってもよい。
【0065】
続いて、ステップS2で火災監視処理を実行し、さらにステップS3で通信試験処理を実行する処理を繰り返す。
【0066】
図6は、図5のステップS2における火災監視処理の詳細を示すフローチャートである。図6において、まずステップS4でセンサ部34に設けた検煙部16による火災発報の有無を判別する。火災発報を判別すると、ステップS5に進み、火災発報を示すイベント信号を他の警報器に送信する。続いてステップS6で連動元の火災警報として「ウーウー
火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させる。同時にLED22を明滅させる。
【0067】
火災警報の出力中にステップS7で警報停止スイッチ20の操作を判別すると、ステップS8に進んで警報を停止する。この警報停止は、検煙部16に煙が残っている場合は、所定時間後、例えば14分後に再び警報出力を行う。
【0068】
一方、ステップS4で火災発報の判別がない場合はステップS9に進む。このステップS9では、他の警報器から火災発報を示すイベント信号を受信したか否か判別し、イベント信号の受信を判別した場合はステップS10に進み、連動先の火災警報として「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」を繰り返し出力させる。この場合にも、ステップS7で警報停止操作を判別するとステップS8で連動先警報を停止させる。
【0069】
図7は、図5のステップS3における通信試験処理の詳細を示すフローチャートである。同図7において、通信試験処理では、ステップS11で通信試験要求の有無を判別している。監視中に警報停止スイッチ20を操作すると、通信試験要求が判別され、ステップS12に進んで通信試験を示すイベント信号を他の警報器に送信する。
【0070】
続いて、ステップS13でタイマをリセットスタートする。ステップS14では、タイマによる経過時間が一定時間、例えば1ケ月相当時間を経過したか否か判別しており、一定時間の経過を判別するとステップS15に進み、通信試験の督促メッセージを出力させる。
【0071】
通信試験の実施を促す督促メッセージは、夜間の睡眠時間帯を除く昼間の時間帯に行うように設定しても良い。また、督促メッセージの出力は、必要以上の電池消耗を回避するため、例えば1時間に1回ずつ、連続して3回というように制限した回数で行い、その間に通信試験要求がなくとも、タイマをリセットスタートする。
【0072】
一方、ステップS11で通信試験要求が判別されない場合には、ステップS16に進んで他の警報器から通信試験を示すイベント信号を受信したか否か判別し、このイベント信号の受信を判別した場合は、ステップS17に進む。このとき、電波強度測定部45で測定されている電波強度を測定結果として読込む。続いてステップS18で測定された電波強度を予め設定した閾値強度と比較し、閾値強度以上であることを判別すると、ステップS19に進んで通信試験正常を報知する。
【0073】
この通信試験正常の報知は、LED22を点灯又は点滅とし、この状態で警報停止スイッチ20の操作を判別したら通信試験正常の音声メッセージを出力する。音声メッセージについては、電波強度を強・中・弱の三段階に分け、該当する電波強度のレベルを音声メッセージとして出力しても良い。勿論、LED22の点灯又は点滅のみであっても良い。
【0074】
一方、ステップS18で電波強度が閾値強度未満であることが判別された場合は、ステップS20に進んで通信試験異常を報知する。なお、ステップS20により通信試験異常を報知できるのは、電波強度が閾値強度未満であるが受信回路44の受信感度以上となって通信試験を示すイベント信号を受信できた場合である。受信感度以下の場合には、イベント信号の受信ができないことから、ステップS20の通信試験異常の報知は行われず、通信試験正常の報知がない状態となっているだけである。
【0075】
従来、連動警報を可能とする無線式の警報器にあっては、周囲の環境が通信距離に影響を及ぼし、安定した通信環境を継続的に確保できない問題がある。例えば住宅の各部屋に無線式の警報器を設置していた場合、部屋の扉を閉めると通信ができなくなるといったことが起こりうる。このような通信環境の悪化が起きると、ある警報器で火災などの異常を検出して警報したときに、連動先となる他の警報器で警報を出すことができないという問題が起きる。
【0076】
それに対し、第1実施形態に係る警報器によれば、警報器を点検するためのスイッチ操作などのタイミングで通信試験のイベント信号が他の警報器に送信され、他の警報器で受信状況が報知される。この報知により、複数の警報器間における無線通信の状態を利用者に知らせることができる。もし、受信状況の試験結果が悪くて異常と判断された場合には、警報器の設置場所を変更するなどの対策をとることができる。その結果、火災などの異常発生時に、確実に複数の警報器で無線による連動警報を行うことができ、連動警報の信頼性を向上させることができる。よって、無線による複数の警報器間での連動警報が確実にできる。
【0077】
[第2実施形態]
図8は、本発明の第2実施形態に係る警報器を示す図であって、電波強度表示部を備えた警報器の正面図である。
同図8において、警報器10の構成は、上記第1実施形態の構成と基本的に同じであるが、本実施形態では、カバー12の右側に電波強度表示部64を追加している。電波強度表示部64には、小型の液晶ディスプレイユニットが使用され、アンテナマークの横に電波強度を弱・中・強に対応した長さで示す3本の棒グラフを表示している。図示の表示は電波強度「強」の場合であり、棒グラフが3本立っている。電波強度「中」の場合は棒グラフが短いほうの2本だけが表示され、電波強度「弱」の場合は最も短い棒グラフ1本だけが表示され、更に、通信異常の場合は、棒グラフの表示は消え、アンテナマークのみが表示される。
【0078】
勿論、電波強度表示部64における電波強度の表示は、棒グラフ以外に、電波強度を示す数字、英文字、適宜の図形などであっても良いし、3段階以外の他段階表示であっても良い。
【0079】
なお、本実施形態は、火災検出を対象とした警報器を例に取るものであったが、これ以外にガス漏れ警報器や防犯用警報器など、それ以外の適宜の異常を検出する警報器につき、本実施形態の警報停止処理をそのまま適用することができる。また住宅用に限らず、ビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0080】
また、本実施形態の通信試験受信処理部62では、電波強度が閾値強度以上の場合に電波強度を例えば3段階で報知するようにしているが、この機能は必要に応じて選択的に設けられる機能である。
【0081】
また、通信試験が一定時間以上実施されていない場合に、通信試験の実施を督促するように報知する機能についても、必要に応じて選択的に設けられる機能である。
【0082】
また、本実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部とを一体に設けた場合を例にとっているが、他の実施形態として、センサ部と警報出力処理部とを別体としても良い。
【0083】
また、本発明は本実施形態のみに限定されず、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値のみによる限定は受けない。
【0084】
本実施形態によれば、第1実施形態の効果に加えて、試験の結果、正常と判断された場合にも、受信した電波強度に応じた図形表示や音声メッセージが出力されるように構成しておくことで、通信状況の程度が分かりやすくなる。その場合、試験結果が正常の限界に近いときには、連動警報をより確実なものとするために警報器の設置場所を変更するなどの対策を積極的に採ることが可能となり、連動警報の信頼性のさらに高めることができる。
【0085】
[第3実施形態]
図9A及び図9Bは、本発明の第3実施形態に係る無線式の警報器の外観を示す説明図であり、図9Aに正面図を、図9Bに側面図を示している。
【0086】
図9A及び図9Bに示すように、本実施形態の警報器110は、カバー112と本体114とを備えている。カバー112の中央には、周囲に煙流入口が開口した検煙部116が配置され、火災による煙が所定濃度に達したときに火災を検出する。
【0087】
カバー112に設けられた検煙部116の左下側には、音響穴118が設けられ、この背後にスピーカ(不図示)を内蔵し、警報音や音声メッセージを出力できるようにしている。検煙部116の下側には、警報停止スイッチ120が設けられている。警報停止スイッチ120は、点検スイッチとしての機能を兼ねている。
【0088】
警報停止スイッチ120の内部には、点線で示すようにLED122が配置されており、LED122が点灯すると、警報停止スイッチ120のスイッチカバーの部分を透過してLED122の点灯状態が外部から視認できる。
【0089】
また、本体114の裏側上部には、取付フック115が設けられており、設置する部屋の壁にビスなどをねじ込み、このビスに取付フック115で取り付けることで、壁面に警報器110を設置することができる。
【0090】
なお、図9A及び図9Bの警報器110では、検煙部116を備えた火災による煙を検出する警報器を例に挙げているが、これ以外に、火災による熱を検出するサーミスタを備えた警報器や、火災以外にガス漏れを検出する警報器についても、本発明の対象に含まれる。
【0091】
図10は、住宅に対して本実施形態の警報器を設置した状態を示す説明図である。図10の例では、住宅124に設けられている台所、居間、主寝室、子供部屋のそれぞれに本実施形態の警報器110−1〜110−4が設置され、更に屋外に建てられたガレージ126にも警報器110−5を設置している。
【0092】
警報器110−1〜110−5のそれぞれは、イベント信号を相互に無線により送受信する機能を備えている。5台の警報器110−1〜110−5は、1つのグループを構成しており、この住宅124全体の火災監視を行っている。
【0093】
今、住宅124の子供部屋で万一、火災が発生したとすると、警報器110−4が火災を検出して警報を開始する。この火災を検出して警報を開始することを、警報器における「発報」という。警報器110−4が発報すると、警報器110−4は連動元として機能し、連動先となる他の警報器110−1〜110−3,110−5に対し、火災発報を示すイベント信号を無線により送信する。他の警報器110−1〜110−3,110−5は、連動元の警報器110−4からの火災発報を示すイベント信号を受信すると、連動先としての警報動作を行う。
【0094】
ここで、連動元となった警報器110−4の警報音としては、例えば音声メッセージにより「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」を連続して出力する。一方、連動先の警報器110−1〜110−3,110−5にあっては、「「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」といった音声メッセージを連続して出力する。
【0095】
警報器110−1〜110−5が警報音を出している状態で、図9A及び図9Bに示した警報器に設けている警報停止スイッチ120を操作すると、警報音の停止処理が行われる。
【0096】
警報器110−1〜110−5は、障害監視機能を備えおり、障害を検知すると、例えば「ピッ」といった警報音を所定時間置きに間欠的に出力し、障害が発生したことを報知する。また、障害を検出した障害元の警報器は、他の警報器に障害発生を示すイベント信号を無線送信し、他の警報器においても同じ障害警報が出力される。この結果、任意の警報器で障害が検出されると、連動警報を行うグループを構成している全ての警報器から障害警報が出力される。
【0097】
警報器から出力されている障害警報は、警報停止スイッチ120を操作することで停止できる。本実施形態では、連動警報された障害警報中に警報停止操作を行った場合に、次のいずれかの処理を行う。
【0098】
(1)任意の警報器で障害を検出すると、グループを構成する全ての警報器が障害警報を出し、任意の警報器で停止操作をすると、障害元の警報器が障害元を報知し、他の警報器の警報音は停止する。
【0099】
(2)任意の警報器で障害を検出すると、グループを構成する全ての警報器が順番に障害警報を出し、任意の警報器で停止操作をすると、障害元の警報器が障害元を報知し、他の警報器の警報音は停止する。
【0100】
(3)任意の警報器で障害を検出すると、予め定めた障害代表の警報器のみが障害警報を出し、任意の警報器で停止操作をすると、障害元の警報器が障害元を報知する。
【0101】
また、本実施形態において警報器で検出して警報する障害とは、電池電圧の低下を検出
して警報するローバッテリー警報が主なものであり、これ以外に、検煙部などのセンサ障
害など適宜の障害警報が含まれる。
【0102】
ローバッテリーは、電池電圧が警報器として72時間に亘り正常に機能可能な限界電圧に低下したときに検出され、例えば1分に1回、「ピッ」といった短い警報音を出すよう
にしており、以下の説明では、障害警報としてローバッテリー警報を例とする。
【0103】
図11は、本実施形態の警報器のブロック図である。同図11は、図10に示した5台の警報器110−1〜110−5の内の警報器110−1について回路構成を詳細に示している。
【0104】
警報器110−1は、CPU128を備えている。CPU128には、アンテナ131を備えた無線回路部130と、記録回路部132と、センサ部134と、報知部136と、操作部138と、電池電源140とが接続されている。
【0105】
無線回路部130には、送信回路142と受信回路144とが設けられ、他の警報器110−2〜110−5との間でイベント信号を無線により送受信できるようにしている。無線回路部130としては、日本国内の場合には例えば400MHz帯の特定小電力無線局の標準規格として知られたSTD−30(小電力セキュリティシステムの無線局の無線設備の標準規格)またはSTD−T67(特定小電力無線局テレメータ用、テレコントロール用及びデータ伝送用無線設備の標準規格)に準拠した構成を備える。
【0106】
無線回路部130として、日本国内以外の場所については、その地域の割当無線局の標準規格に準拠した内容を持つことになる。
【0107】
記録回路部132には、メモリ146が設けられている。メモリ146には警報器を特定するID(識別子)となる送信元符号150と、図10で示したように複数の警報器で連動警報を行うグループを構成するためのグループ符号152が格納されている。送信元符号150としては、国内に提供される警報器の数を予測し、例えば同一符号として重複しないように26ビットの符号コードが使用される。
【0108】
グループ符号152は、グループを構成する複数の警報器に共通に設定される符号であり、無線回路部130で受信した他の警報器からのイベント信号に含まれるグループ符号がメモリ146に登録しているグループ符号152に一致したときに、このイベント信号を有効な信号として受信して処理する。
【0109】
なお、本実施形態では、記録回路部132にメモリ146を使用しているが、メモリ146の代わりにディップスイッチを設け、ディップスイッチにより送信元符号150やグループ符号152を設定してもよい。送信元符号150やグループ符号152の符号長(ビット数)が少ない場合には、ディップスイッチを用いた記録回路部132が望ましい。
【0110】
センサ部134には、本実施形態では検煙部116が設けられている。センサ部134には、検煙部116以外に、火災による温度を検出するサーミスタを設けてもよい。また、ガス漏れ監視用の警報器の場合には、センサ部134にガス漏れセンサが設けられることになる。
【0111】
報知部136には、スピーカ156とLED122とが設けられている。スピーカ156は、図示しない音声合成回路部からの音声メッセージや警報音を出力する。LED122は、点滅や明滅、点灯などにより、火災などの異常及び障害を表示する。
【0112】
操作部138には、警報停止スイッチ120が設けられている。警報停止スイッチ120を操作すると、警報器110−1から流している警報音を停止させることができる。警報停止スイッチ120は、本実施形態では点検スイッチを兼用している。
【0113】
警報停止スイッチ120は、報知部136からスピーカ156により警報音を出力しているときに有効となる。一方、警報音を出力していない通常監視状態で警報停止スイッチ120は点検スイッチとして機能し、点検スイッチを押すと、報知部136から点検用の音声メッセージなどが出力される。
【0114】
電池電源140は、例えば所定セル数のアルカリ乾電池を使用しており、電池容量としては警報器110−1における無線回路部130を含む回路部全体の低消費電力化により、約10年の電池寿命を保証している。
【0115】
CPU128には、プログラムの実行により実現される機能として、異常監視部158と、障害監視部160と、障害元確認処理部162とが設けられている。
【0116】
異常監視部158は、センサ部134に設けた検煙部116で火災を検出したときに、報知部136のスピーカ156から連動元を示す警報音(例えば「ウーウー 火災警報器が作動しました 確認してください」)を繰り返し出力させると共に、火災発報を示すイベント信号を無線回路部130の送信回路142によりアンテナ131から他の警報器110−2〜110−5に向けて送信させる。
【0117】
また、異常監視部158は、他の警報器110−2〜110−5のいずれかから火災発報を示すイベント信号を無線回路部130の受信回路144により受信したときに、報知部136のスピーカ156から連動先を示す警報音(例えば「ウーウー 別の火災警報器が作動しました 確認してください」)となる音声メッセージを連続的に出力させる。
【0118】
ここで、異常監視部158で火災発報を検出して連動元警報音を出すときには、報知部136のLED122を例えば明滅させ、一方、連動先警報音を出す場合には、報知部136のLED122を点滅させる。これにより、連動元警報と連動先警報におけるLED122の表示を区別できる。もちろん、連動元警報と連動先警報のいずれについても、同じLED122の明滅または点滅表示であってもよい。
【0119】
障害監視部160は、電池電源140の電圧低下によるローバッテリーを障害として検出したときに、例えば1分に1回、「ピッ」といった短いローバッテリー警報音を出すことにより障害警報音を出力させると共に、障害を示すイベント信号を他の警報器110−2〜110−5に送信する。
【0120】
また、障害監視部160は、他の警報器110−2〜110−5のいずれかから障害を示すイベント信号を受信したときに、ローバッテリー警報音を同様に間欠的に出すことにより、障害警報音の連動出力を行う。このローバッテリーの連動先での警報については、警報音に同期してLED122を点滅させても良い。
障害元確認処理部162は、ローバッテリー障害の警報音の出力中に、警報停止スイッチ120の操作を検出したとき、他の警報器110−2〜110−5に障害元確認のイベント信号を送信する。なお、警報停止スイッチ120の操作を検出したとき、自己が障害元である場合に、ローバッテリー障害の警報音から障害元を示す報知音の出力に切替える。この場合は、他の警報器110−2〜110−5に障害元確認のイベント信号は送信しない。
【0121】
一方、障害元確認処理部162は、他の警報器110−2〜110−5から障害元確認のイベント信号を受信したとき、自己が障害元である場合に、ローバッテリー障害の警報音から障害元を示す警報音の出力に切替える。
【0122】
障害元を示す警報音としては、「ローバッテリーが検出されました 電池を交換してください」といった音声メッセージを出力する方法、警報音を大きくする方法、LED122を明滅又は点滅させる方法など、ローバッテリー警報とは異なる適宜の報知出力とする。
【0123】
このような警報器110−1に設けた回路部は、他の警報器110−2〜110−5についても同様であり、メモリ146に格納している送信元符号150が各警報器固有の符号となっている。
【0124】
図12は、本実施形態で使用するイベント信号のフォーマットを示した説明図である。同図12において、イベント信号148は、送信元符号150と、グループ符号152と、イベント符号154とで構成されている。送信元符号150は例えば26ビットの符号である。グループ符号152は、例えば8ビットの符号であり、同一グループを構成する例えば図11の5台の警報器110−1〜110−5につき同じグループ符号が設定されている。
【0125】
グループ符号152としては、同一グループの警報器に同一のグループ符号を設定する以外に、予め定めたグループを構成する警報器に共通な基準符号と、各警報器に固有な送信元符号との演算から求めた警報器ごとに異なるグループ符号であってもよい。
【0126】
イベント符号154は、火災、ガス漏れなどの異常や障害といったイベント内容を表す符号であり、本実施形態では3ビット符号を使用しており、例えば「001」を火災、「010」をガス漏れ、「011」を障害、「101」を障害元確認、残りをリザーブとしている。
【0127】
イベント符号154のビット数は、イベントの種類が増加したときには更に4ビット、5ビットと増加させることで、複数種類のイベント内容を表すことができる。
【0128】
図13は、本実施形態での基本処理を示すフローチャートである。同図13に示すように、警報器の処理は、内蔵電池による電源供給を有効化した電源投入時に、まずステップS101で初期化処理を実行する。
【0129】
この初期化処理には、図10に示したように、住宅124及びガレージ126に設置している5台の警報器110−1〜110−5をグループ化する処理、例えば図11の警報器110−1〜110−5の警報器110−1に代表して示す記録回路部132のメモリ146に同一のグループ符号152を登録する処理などを行う。続いて、ステップS102で火災監視処理を実行し、さらに続いてステップS103で障害監視処理を実行し、これらを繰り返す。
【0130】
図14は、図13のステップS102における火災監視処理の詳細を示すフローチャートであり、図11の警報器110−1を例に取って以下に説明する。
【0131】
図14において、火災監視処理は、ステップS104でセンサ部134に設けている検煙部116による煙検出に基づく火災発報の有無を判別する。火災発報があると、ステップS105に進み、火災発報のイベント信号を無線回路部130の送信回路142から他の警報器110−2〜110−5に送信する。その後、ステップS106で、連動元としての火災警報を報知部136のスピーカ156から例えば「ウーウー、火災が発生しました。確認してください」という音声メッセージを出力し、同時にLED122を明滅させる。
【0132】
続いて、ステップS109で警報停止操作の有無をチェックしており、操作部138の警報停止スイッチ120を操作すると、ステップS110に進み、火災警報が停止される。
【0133】
一方、ステップS104で火災発報がなかった場合には、ステップS7に進み、他の警報器110−2〜110−5から火災発報のイベント信号を受信したか否かチェックする。イベント信号を受信すると、ステップS102に進み、報知部136のスピーカ156から障害元の火災警報として、例えば「ウーウー、別の火災報知器が作動しました。確認してください」という音声メッセージを連続して出力し、同時にLED122を点滅させる。
【0134】
この場合にも、ステップS109で警報停止操作を判別すれば、ステップS110で障害元の火災警報を停止することになる。
【0135】
図15は、本実施形態における障害監視処理を示すタイムチャートであり、図11における3台の警報器110−1〜110−3を例に取って処理を示している。
【0136】
図15において、今、警報器110−1がステップS101でローバッテリー障害を検出したとすると、ステップS112で障害イベント信号を他の警報器110−2,110−3に送信する。他の警報器110−2,110−3では、イベント信号に含まれるグループ符号の一致から、イベント信号を有効として受信し、そのイベント内容から、ステップS113,S114でそれぞれローバッテリー障害を受信判別する。
【0137】
障害元の警報器110−1は、ステップS112で障害イベント信号を送信した後、ステップS115でローバッテリー警報音を出力する。ローバッテリー警報音は、例えば「ピッ」といった警報音を1分間隔で出力し、同時に警報音に同期してLED122を点滅する。他の警報器110−2,110−3においても、障害元からのイベント信号の受信に基づく障害受信の判別で、ステップS116,S117において同様にローバッテリー警報音を出力する。なお、ステップS116,S117のローバッテリー警報音は、例えば「別の警報器でローバッテリーを検出しました」といった、障害元のローバッテリー警報音とは異なるローバッテリー警報音であっても良い。
【0138】
このように、本実施形態では、警報器110−1でローバッテリー検出が行われると、グループを構成するすべての警報器110−1〜110−3においてローバッテリー警報が出力される。
【0139】
続いて、警報器110−3において人が警報停止スイッチ120を操作して、ステップS118で警報停止操作を行ったとすると、ステップS119で障害元確認のイベント信号を他の警報器110−1,110−2に送信し、ステップS120で自分自身のローバッテリー警報音を停止する。
【0140】
警報器110−1,110−2では、警報器110−3からの障害元確認のイベント信号を受信し、グループ符号が同一であることからイベント信号を有効として処理し、そのイベント内容から、障害元確認のイベント信号の受信であることをステップS121,S122で判別する。
【0141】
警報器110−2では、障害元でないことから、ステップS123でローバッテリー警報音を停止する。一方、警報器110−1にあっては、障害元であることから、障害元確認のイベント信号の受信に基づき、ステップS124で、それまでのローバッテリー警報音から障害元を示す報知音に切り替えて出力する。
【0142】
このローバッテリー警報音から障害元を示す報知音への切替えは、例えばローバッテリー音は「ピッ」といった短い音を1分間隔で出力しているものを、警報音を大きくしたり、障害元であることを示す音声メッセージを出力したり、更にはLED122を1分間隔の間欠点灯から連続または明滅に切り替えて、障害元であることを示す。
【0143】
したがって、警報器110−3のステップS118においてローバッテリー警報の停止操作を行った人は、警報器110−1から出されている障害元の報知音を聞くことで、障害元の警報器110−1を突き止め、ローバッテリー警報を生じている警報器110−1に対し、バッテリー交換などの適切な障害対策を取ることができる。
【0144】
図16は、図13のステップS103における障害監視処理の詳細を示したフローチャートである。同図16において、障害監視処理は、ステップS125でローバッテリー障害を検出すると、ステップS126でローバッテリー障害のイベント信号を他の警報器に送信する。
【0145】
続いてステップS127で自分自身のローバッテリー警報音を出力し、同時にLEDも表示する。続いてステップS128で警報停止操作を判別すると、ステップS129でローバッテリー警報音を停止し、自分自身が障害元であることから、ステップS129で障害元の報知音を出力する。続いてステップS131で警報停止操作を判別すると、ステップS132で障害元の警報音を停止する。
【0146】
一方、ステップS125でローバッテリー障害でなかった場合には、ステップS133で他の警報器からの障害イベント信号の受信の有無をチェックする。他の警報器から障害のイベント信号を受信した場合には、ステップS134に進み、ローバッテリー警報音を出力し、同時にLEDも表示する。続いてステップS135で警報停止操作を判別すると、ステップS136で障害元確認のイベント信号を他の警報器に送信した後、ステップS137でローバッテリー警報音を停止する。
【0147】
また、ステップS135で警報停止操作がなかった場合には、ステップS138で他の警報器からの障害元確認のイベント信号の受信の有無をチェックしており、このイベント信号を受信すると、ステップS137でローバッテリー警報音を停止することになる。
【0148】
[第4実施形態]
図17は、本発明の第4実施形態に係る警報器を示すブロック図である。本実施形態では、ローバッテリーなどの障害を検出した際に、すべての警報器で障害警報を出すが、一斉に障害警報を出さず、予め定めた順番にしたがって障害警報を出すようにしている。
【0149】
図17に示すように、警報器110−1〜110−5は、警報器110−1に代表して示す回路構成を備える。警報器110−1は、図11に示した上記第3実施形態と同様に、CPU128と、無線回路部130と、記録回路部132と、センサ部134と、報知部136と、操作部138と、電池電源140とを備えている。CPU128の機能として、同じく図11に示した上記第3実施形態と同様に、異常監視部158と、障害監視部160と、障害元確認処理部162とを備えている。
【0150】
本実施形態では、障害監視部160に順番設定部164が設けられている。順番設定部164は、他の警報器110−2〜110−5から障害を示すイベント信号を受信したときに、他の警報器とは異なるタイミングで障害警報を出すために、例えば警報器110−1〜110−5ごとに異なる遅延時間を設定している。順番設定部164で使用する遅延時間は、警報器110−1〜110−5の初期化処理でグループ符号を設定した後の処理として行い、その後に監視処理に入ることになる。
【0151】
順番設定部164による遅延時間の設定は、例えば1グループを構成する最大警報器数に対し、異なる遅延時間を格納した遅延時間テーブルを予め準備しておき、例えば警報器110−1〜110−5に固有なメモリ146の送信元符号150に基づいて、異なる遅延時間T101〜T105を選択する。
【0152】
送信元符号150による遅延時間の選択としては、例えば下位3ビットの10進で0〜8の値に対応してテーブル番号を決めて遅延時間を選択すればよい。下位3ビットとした場合には、重複して同じ遅延時間が選択される可能性があることから、これを回避するためには例えば下位4ビットの10進の0〜15の値に対応してテーブルを選択するようにしてもよい。この順番設定部164における警報器ごとに異なる遅延時間の選択設定は、それ以外に適宜の手法を取ることができる。
【0153】
図18は、本実施形態における基本処理を示したフローチャートである。図18に示すように、本実施形態の警報器では、電池電源による電源投入後、ステップS139で初期化処理を行い、この段階でグループ符号の設定によりグループ構成を行う。続いてステップS140で順番設定部164による遅延時間設定処理を実行する。
【0154】
この遅延時間の設定処理は、例えば送信符号150の下位複数ビットを使用した値に対応して、予め定めた遅延時間テーブルから対応する番号の遅延時間を選択して設定する。続いてステップS141で火災監視処理を行い、またステップS142で障害監視処理を行い、以降、それらを繰り返す。
【0155】
図19は、本実施形態における障害監視処理を示したタイムチャートであり、3台の警報器110−1〜110−3を例に取って示している。
【0156】
図19に示すように、警報器110−1がステップS143でローバッテリー障害を検出すると、ステップS144で障害イベント信号を他の警報器110−2,110−3に送信し、ステップS145,S146のそれぞれで受信される。
【0157】
続いて障害元の警報器110−1は、ステップS147で自分自身に設定されたT101時間後にローバッテリー警報音を出力する。また、警報器110−2,110−3は、それぞれに設定された遅延時間T102及びT103後に、ステップS148,S149のようにローバッテリー警報音を出力する。なお、ステップS148,S149のローバッテリー警報音は、例えば「別の警報器でローバッテリーを検出しました」といった、障害元のローバッテリー警報音とは異なるローバッテリー警報音であっても良い。
【0158】
ここで、T101<T102<T103の関係となっており、このため複数の警報器110−1,110−3において、ローバッテリー警報音を出力する時間が異なり、遅延時間に応じて順番にローバッテリー警報音が出される。
【0159】
ローバッテリー警報音は、例えば1分周期で間欠的に繰り返し出力されることから、警報器110−1,110−2,10−3のそれぞれは、ステップS147,S148,S149の各タイミングで順番にローバッテリー警報音を出力した後、その後はそれぞれ1分後に再びローバッテリー警報を出力し、これを繰り返す。
【0160】
このローバッテリー警報音の順番出力の状態で、例えば警報器110−3において、ステップS150で警報停止操作が行われると、ステップS151で障害元確認のイベント信号が他の警報器110−1,110−2に送信され、ステップS152で自分自身のローバッテリー警報音を停止する。
【0161】
警報器110−1,110−2は、ステップS153,S154で障害元確認のイベント信号を受信し、警報器110−2にあっては障害元でないことから、ステップS155でローバッテリー警報音を停止する。一方、警報器110−1は障害元であることから、ステップS156でローバッテリー警報音から障害元報知音への切替えを行い、障害元であることを報知する。
【0162】
図20は、図18のステップS142における障害監視処理の詳細を示したフローチャートである。図20において、障害監視処理は、ステップS157でローバッテリー障害を判別すると、ステップS158でローバッテリー障害のイベント信号を他の警報器に送信した後、ステップS159で自分自身のローバッテリー警報音を出力する。
【0163】
続いてステップS160で警報停止操作を判別すると、ステップS111でローバッテリー警報音を停止し、自分が障害元であることから、ステップS162で障害元の報知音を出力する。続いてステップS163で警報停止操作を判別すると、ステップS164で障害元の報知音を停止する。
【0164】
一方、ステップS157でローバッテリー障害でなかった場合には、ステップS165に進み、障害のイベント信号を他の警報器から受信したか否か判別し、受信した場合にはステップS166に進み、設定遅延時間の経過を待って、ステップS167でローバッテリー警報音を出力する。
【0165】
続いてステップS168で警報停止操作を判別すると、ステップS169で障害元の確認を示すイベント信号を他の警報器に送信した後、ステップS170でローバッテリー警報音を停止する。ステップS168で警報停止操作がなかった場合には、ステップS171で障害元確認のイベント信号の受信の有無をチェックしており、このイベント信号を受信すると、ステップS170でローバッテリー警報音を停止する。
【0166】
一方、ステップS157でローバッテリー障害でなかった場合には、ステップS165に進み、障害のイベント信号を他の警報器から受信したか否か判別し、受信した場合にはステップS166に進み、設定遅延時間の経過を待って、ステップS167でローバッテリー警報音を出力する。
【0167】
続いてステップS168で警報停止操作を判別すると、ステップS169で障害元の確認を示すイベント信号を他の警報器に送信した後、ステップS170でローバッテリー警報音を停止する。ステップS168で警報停止操作がなかった場合には、ステップS171で障害元確認のイベント信号の受信の有無をチェックしており、このイベント信号を受信すると、ステップS170でローバッテリー警報音を停止する。
【0168】
なお、図19及び図20において、障害元の警報器にあっては、ローバッテリー障害を検出して障害のイベント信号を送信した後、予め設定された遅延時間の経過を待たずにローバッテリー警報音を出力するようにしているが(図19のステップS147及び図20のステップS159)、障害元の警報器についても、予め設定した遅延時間経過後にローバッテリー警報音を出力するようにしてもよい。
【0169】
このように、全ての警報器で障害警報を出す際に、順番に障害警報を出すようにすることで、住戸内に設置している複数の警報器で一斉に障害警報が出されてうるさくなりすぎるような事態を回避することができ、順番に出力される障害警報の状態で近くにある警報器の警報停止操作を行うことで、障害元の警報器からの報知音を頼りに障害元の警報器を速やかに見つけて、適切な障害対策を取ることができる。
【0170】
[第5実施形態]
図21は、本発明の第5実施形態に係る警報器のブロック図である。本実施形態では、
予め定めた代表となる警報器及び障害元の警報器で障害警報を出すようにしている。
【0171】
図21に示すように、警報器110−1〜110−5の詳細を代表して示す警報器110−1の構成は、上記第3実施形態と基本的に同じであり、CPU128と、無線回路部130と、記録回路部132と、センサ部134と、報知部136と、操作部138と、電池電源140とを備えている。CPU128の機能についても、図11の実施形態と同様に、異常監視部158と障害元確認処理部162とが設けられ、これに加え、第3実施形態に固有な機能として障害代表設定部166と障害監視部160とが設けられている。
【0172】
障害代表設定部166は、警報器110−1〜110−5のグループ構成を含む初期設定の際に、障害報知の代表の有無を予め設定する。障害代表設定部166による障害代表の設定方法としては、例えば次の方法を取ることができる。
【0173】
(1) 住宅に設定する際に、例えば最も人がいる時間の多い居間などに設定する警報
器など任意に設定する。
【0174】
(2) 住宅に設定して電源を投入した際に、例えば警報器に固有な送信元符号150
などに基づき自動的に設定される。
【0175】
(3) 最後に音響停止を行った警報器が障害代表に設定される。
【0176】
(4) 音響停止操作をした回数の多い警報器が障害代表に設定される。
【0177】
(5) その他
このように、障害代表設定部166により障害代表の有無が設定されると、障害監視部
160は障害を検出したときに、代表設定の場合は障害警報音を出力させ、代表設定でな
い場合には障害を示すイベント信号を他の警報器に送信する。
【0178】
また障害監視部160は、他の警報器110−2〜110−5から障害を示すイベント
信号を受信したときに、代表設定の場合は障害警報音を代表して出力させるが、代表設定
でない場合には障害警報音の出力は行わない。
【0179】
図22は、本実施形態の基本処理を示すフローチャートである。図22に示すように、
本実施形態の警報器では、ステップS172で電池電源の投入に伴いグループ構成を含む
初期化処理を行った後、ステップS173で障害代表設定部166の処理により障害代表
を決定する処理を実行する。そしてステップS174で火災監視処理、及びステップS1
75で障害監視処理を行い、これらを繰り返す。
【0180】
図23は、本実施形態の障害監視処理を示すタイムチャートである。図23において、今、警報器110−3がステップS176に示すように障害代表に設定されていたとする。この状態で警報器110−11がステップS177でローバッテリー障害を検出すると、障害元フラグをオンし、ステップS178で障害を示すイベント信号を警報器110−2,110−3に送信し、更に、ステップS179で障害元としてローバッテリー警報音を出力する。
【0181】
警報器110−2,110−3では、ステップS180,S181のそれぞれでグループ符号の一致から障害を示すイベント信号を受信する。ここで、警報器110−3にあっては、ステップS176で障害代表設定が行われていることから、ステップS182でローバッテリー警報音を出力する。なお、ステップS182のローバッテリー警報音は、例えば「別の警報器でローバッテリーを検出しました」といった、障害元のローバッテリー警報音とは異なるローバッテリー警報音であっても良い。
【0182】
これに対し、警報器110−2では、障害代表の設定が行われていないことから、ローバッテリーの出力は行われない。したがって、複数の警報器110−1〜110−3の中で、代表設定がされた警報器110−3及び障害元の警報器110−1がローバッテリー警報音を出力することになる。
【0183】
続いて警報器110−3において、ステップS183で警報停止操作が行われると、ステップS184で障害元確認を示すイベント信号を他の警報器110−1,110−2に送信した後、ステップS185でローバッテリー警報音を停止する。
【0184】
障害元確認のイベント信号は、警報器110−1,110−2でステップS185,186に示すように受信される。この場合、障害元は警報器110−1であることから、ステップS188で障害元を示す報知音を出力することになる。
【0185】
図24は、図22のステップS175における障害監視処理の詳細を示したフローチャートである。図24において、障害監視処理は、ステップS189でローバッテリー障害を判別すると、ステップS190で障害元フラグをオンし、続いてステップS191で障害代表か否かチェックする。
【0186】
障害代表であることが判別されると、ステップS192でローバッテリー警報音を出力し、ステップS193で警報停止操作があれば、ステップS194でローバッテリー警報音を停止した後、ステップS195で障害元フラグがオンか否かチェックする。
【0187】
障害元フラグがオンであれば自分自身が障害元であることから、ステップS196でローバッテリー警報音から障害元の報知音に切替えて出力する。障害元フラグがオフの場合には他の警報器が障害元であることから、ステップS197で障害元の確認を示すイベント信号を他の警報器に送信する。
【0188】
一方、ステップS191で障害代表でなかった場合には、ステップS197でローバッテリー障害のイベント信号を他の警報器に送信し、障害元であることからローバッテリー警報音を出力する。
【0189】
またステップS189でローバッテリー障害が判別されなかった場合には、ステップS199で障害のイベント信号を他の警報器から受信したか否かチェックしており、このイベント信号を受信すると、ステップS200に進み、障害代表か否か判別し、障害代表であれば、自分自身が障害元であった場合と同様、ステップS192〜S197の処理を行うことになる。ステップS200で障害代表でなかった場合には、ローバッテリー警報音を出力する処理は行わずに、図22のメインルーチンにリターンする。
【0190】
またステップS199で障害のイベント信号を他の警報器から受信していない場合には、ステップS201に進み、障害元確認のイベント信号を受信したか否かチェックしている。このイベント信号を受信すると、ステップS202で障害元フラグがオンか否かチェックし、オンであれば障害元であることから、ステップS203で障害元の報知音を出力する。
【0191】
第5実施態様に係る警報器によれば、人がいることの多い例えば居間などに設置してある警報器を障害警報代表に予め定めておくことで、複数の警報器のいずれかで障害が発生した場合、障害代表に設定された特定の警報器から障害警報音が出され、障害を特定の警報器で集中監視することができる。
【0192】
また、第5実施態様に係る警報器の場合、障害代表の警報器で障害警報音が出た場合、警報停止操作を行うと、他の警報器に障害元を確認するためのイベント信号が送信され、障害元の警報器から障害元を示す報知音が出され、これによって障害を発生した警報器を簡単且つ容易に突き止めて、修理などの対応をとることができる。
【0193】
なお、本実施形態に示した警報器は、火災時に発生する煙を観測して火災を検出する煙式の火災警報器であるが、熱を観測する熱式のものや炎からの赤外線や紫外線を観測するもの等であっても良い。
【0194】
また、本実施形態では、警報器の障害警報としてローバッテリー警報を例に取ったが、センサ障害などの障害や、それ以外の適宜の障害についても、同様に適用することができる。
【0195】
また、上記の実施形態は異常として火災を検出する警報器を例に取るものであったが、これ以外にガス漏れ警報器や防犯用警報器など、それ以外の異常を検出する警報器にそのまま適用することができる。また住宅用に限らずビルやオフィス用など各種用途の警報器にも適用できる。
【0196】
また、上記の実施形態は警報器にセンサ部と警報出力処理部を一体に設けた場合を例にとるが、変形例として、センサ部と警報出力処理部とを別体とした警報器であっても良い。
【0197】
また上記の実施形態は無線式の警報器における障害警報を例に取るものであったが、有線式の警報器の障害警報についても、同様に適用することができる。
【0198】
また、本発明は、その目的と利点を損なうことのない適宜の変形を含み、更に上記の実施形態に示した数値のみによる限定は受けない。
【産業上の利用可能性】
【0199】
本発明によれば、無線による複数の警報器間での連動警報が確実にできる警報器を提供
できる。
【符号の説明】
【0200】
10,10−1〜10−5:警報器
12:カバー
14:本体
15:取付フック
16:検煙部
18:音響孔
20:警報停止スイッチ
22:LED
24:住宅
26:ガレージ
28:CPU
30:無線回路部
31:アンテナ
32:記録回路部
34:センサ部
36:報知部
38:操作部
40:電池電源
42:送信回路
44:受信回路
45:電波強度測定部
46:メモリ
48:イベント信号
50:送信元符号
52:グループ符号
54:イベント符号
56:スピーカ
58:異常監視部
60:通信試験送信処理部
62:通信試験受信処理部
64:電波強度表示部
110,110−1〜110−5:警報器
112:カバー
114:本体
115:取付フック
116:検煙部
118:音響孔
120:警報停止スイッチ
122:LED
124:住宅
126:ガレージ
128:CPU
130:無線回路部
131:アンテナ
132:記録回路部
134:センサ部
136:報知部
138:操作部
140:電池電源
142:送信回路
144:受信回路
146:メモリ
148:イベント信号
150:送信元符号
152:グループ符号
154:イベント符号
156:スピーカ
158:異常監視部
160:障害監視部
162:障害元確認処理部
164:順番設定部
166:障害代表設定部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イベント信号を他の警報器との間で送受信する送受信回路部と;
異常を検出して異常検出信号を発するセンサ部と;
異常警報を出力する報知部と;
警報停止手段を有する操作部と;
自己と別体又は一体に設けられて、前記センサ部からの前記異常検出信号を受けた場合に、連動元としての前記異常警報を前記報知部より出力させると共に異常を示すイベント信号を前記他の警報器に送信し、一方、前記他の警報器から異常を示すイベント信号を受信した場合に連動先としての異常警報を前記報知部より出力させる異常監視部と;
前記センサ部が障害を検出した場合に、障害警報を出力させると共に障害を示すイベント信号を前記他の警報器に送信し、一方、前記他の警報器から障害を示すイベント信号を受信した場合に、障害警報を連動して出力させる障害監視部と;
前記障害監視部が前記障害警報を連動して出力させているときに前記警報停止手段の操作を検出した場合、前記他の警報器に障害元確認のイベント信号を送信し、一方、前記他の警報器から障害元確認のイベント信号を受信してかつ自己が障害元である場合に、障害元を示す報知音を出力させる障害元確認処理部と;
を備えたことを特徴とする警報器。
【請求項2】
請求項1に記載の警報器であって、
前記障害は、ローバッテリー障害である。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載の警報器であって、
前記障害監視部は、前記他の警報器から障害を示すイベント信号を受信した場合に、前記他の警報器とは異なる予め定めた所定時間後に、障害警報音を連動して出力させる。

【図1A】
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【図1B】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9A】
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【図9B】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2012−84186(P2012−84186A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−18949(P2012−18949)
【出願日】平成24年1月31日(2012.1.31)
【分割の表示】特願2010−505530(P2010−505530)の分割
【原出願日】平成21年3月13日(2009.3.13)
【出願人】(000003403)ホーチキ株式会社 (792)
【Fターム(参考)】