貫通導体を有する絶縁基板と配線部品およびその製造方法
【課題】量産化により製造容易で低コスト化に有利な貫通導体を有する絶縁基板と配線部品を提案する。
【解決手段】金属薄板材21を部分的に切り抜いた櫛歯部分23を形成し、この櫛歯部分を垂直に折り曲げ、その先端を高温で軟化状態の絶縁基板材24に貫通挿入し、冷却後に、絶縁基板材の両面を研磨した貫通導体25を有する絶縁基板20が作製される。なお、金属薄板材の一部をエッチングにより切り抜きの櫛歯部分とこれと連結する薄肉の接続部分をハーフエッチングで形成し、金属薄板材の櫛歯部分を貫通導体に、また、肉薄の接続部分を配線材として用いる貫通導体を有する配線部品も提供される。
【解決手段】金属薄板材21を部分的に切り抜いた櫛歯部分23を形成し、この櫛歯部分を垂直に折り曲げ、その先端を高温で軟化状態の絶縁基板材24に貫通挿入し、冷却後に、絶縁基板材の両面を研磨した貫通導体25を有する絶縁基板20が作製される。なお、金属薄板材の一部をエッチングにより切り抜きの櫛歯部分とこれと連結する薄肉の接続部分をハーフエッチングで形成し、金属薄板材の櫛歯部分を貫通導体に、また、肉薄の接続部分を配線材として用いる貫通導体を有する配線部品も提供される。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通導体を有する絶縁基板と配線部品およびその製造方法に関し、特に、金属薄板材の切り抜き・折り曲げ部分を貫通導体に用いる貫通導体付き絶縁基板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貫通導体を有する絶縁基板は、半導体チップや小型電子部品を搭載する小型で信頼性の高い配線基板として知られている。特許文献1は、貫通孔を有するセラミック配線基板において、ガラス貫通孔部分を焼結導体から金属ブロックに変えることで、貫通孔の金属およびガラスにボイドが無く貫通孔部分の比抵抗をより低い値にして、研磨後の基板表面に凹みをほとんど無くして薄膜配線を形成に適した貫通電極付き絶縁基板を開示する。また、特許文献2は、高精度な孔あけ加工と金属薄板材充填により貫通電極付きガラス基板の製造方法を開示する。この場合、ガラス板材にドリル加工で必要な孔を作製後、孔内壁にアンカー金属膜およびろう付け介在膜を形成した上で、孔内に金属心材をろう付けし、両面を研磨して貫通電極付きガラス基板を得ている。さらに、特許文献3は、比較的簡単で高精度に製造できる配線用絶縁基板および孔あき絶縁基板の製造方法を提示し、所定形状に成形加工した耐熱部材と、この耐熱部材の軟化点より低い軟化点を有する軟化溶融状態の絶縁基板素材とを当接させ、重し荷重を付与して耐熱部材を絶縁基板素材に食い込ませ、その合体部材の徐冷後に表面研磨を含む仕上加工したガラスまたはガラスセラミック絶縁基板を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−120633号公報
【特許文献2】特開2006−060119号公報
【特許文献3】特開2007−067387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイクロリアクター(microreactor)は、一般的にはマイクロチャネルを使うマイクロ熱交換器などの装置とともに、マイクロプロセス工学の分野で研究されるものであるが、一辺当たり1mm以下の大きさの空間で化学反応を行う装置である。このようなマイクロリアクターでは、その配線部品として微細加工による貫通導体や電極などの配線が要求されている。このような配線部品においては、貫通電極付き絶縁基板の導電体を埋設する配線精度に関し、貫通孔であるビア位置精度が通常は±50μm程度であるのを±20μm程度、ビア径が通常は250μmであるのを100μm以下、さらに、ビアピッチが通常は300μmであるのを150μm以下にすることが所望される。このような高精度で微細加工の配線部品を調達するには、前述する特許文献が開示するような電極付き絶縁基板の製造方法では満足な結果を得ることが困難であった。例えば、特許文献1のセラミック配線基板は、貫通導体部分が金属ブロックから成り、その製造方法では軟化点600℃のほう珪酸ガラスにガラスが充分に流動するような温度(1100℃)で剣山状タングステンブロックを完全に沈めた後、減圧・徐冷して剣山状タングステンブロックの上部を切断除去しているので、製造毎に用意する剣山状タングステンブロックの利用率が極めて低くなり、上述の微細化と高精度が得られない。また、モリブデンやタングステンのブロックに剣山を作るダイサー加工作業で工数が増大して高コスト化を招く。
【0005】
一方、特許文献2は、ガラス材料の孔あけ後に金属薄板材を充填する、貫通電極付きガラス基板の製造方法を開示するが、ガラス板材のドリル加工とその貫通孔内壁にアンカー金属膜の形成、およびその上にろう付け介在膜の形成、金属心材の挿入・密封・固定と両面の研磨加工、ドリルによる個別的孔あけなどで多数の貫通電極を作製する際には加工処理時間の増加が著しい。また、実用可能なドリル径の細さに限度があって、概ねφ300μm以上の孔径となって極細径や微小ピッチの貫通電極の作製は困難である。また、特許文献3は、治具を用いて金属ピンをガラス板上に垂直に整列させておき、これを高温加熱した軟化状態のガラス中に貫入させるため、ピン位置精度の向上に問題が残され、ピン相互間のピッチ精度が得られ難い。また、金属ピンを垂直に整列させるための治具がコスト高となるほかピン材料の損失が多いなどの欠点があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、上述する欠点を解消し、所望される高精細度で微細加工要請に鑑み提案されたものであり、従来のコスト問題を排除して高精度の微細化で量産化に適応する新規かつ改良された貫通導体を有する絶縁基板と配線部品およびそれらの製造方法を提示することである
【0007】
本発明の他の目的は、金属薄板を用いて低コスト化と共に微細径で微小ピッチの貫通導体と、その導体と一体化した配線電極等を設けた配線部品、特に量産に適するコスト効率の良い貫通導体を有する配線部品を提供し、各種応用形態に利用可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、金属薄板材の複数個所に切り欠きと折り曲げにより直立させた櫛歯部分を設ける切り欠き折り曲げ工程、高温で軟化状態の絶縁基板材と各櫛歯部分の直立先端とを当接配置して絶縁基板材に櫛歯部分を植設する押し込み挿入工程、冷却後前記絶縁基板材に植設された櫛歯部分を残して金属薄板材を切り離す工程、および前記絶縁基板材に前記櫛歯部分を露呈させ貫通導体に表面研磨する工程を含む貫通導体を有する絶縁基板の製造方法が提示され、この方法により、金属薄板材に形成した櫛歯部分を折り曲げて絶縁基板材に貫通挿入させて貫通導体とした絶縁基板を提供する。ここで、櫛歯部分は研磨により露呈した貫通導体を得るが、必要に応じて、電極や所望する電気部品とするための処理工程を経ることで貫通導体を有する配線部品を製造する。なお、金属薄板材に複数個の櫛歯部分を設けることで製造工程の一括処理が可能となり、完成品の均一化と量産化に役立ち、低コスト化が図れる。すなわち、第一工程は目的に応じて用意される材質の金属薄板材をエッチング等の処理による部分的に切り欠いたり薄くしたりして所望するピッチ間隔や線径の櫛歯部分を成形加工し、櫛歯部分を垂直に折り曲げて直立させて剣山とする。第二工程は、この剣山の多数の櫛歯部分上に高温で軟化状態のガラスまたは樹脂の絶縁基板材を載せるか、逆に櫛歯部分を軟化状態の絶縁基板材の上に載置する。そして、両者当接配置後に、櫛歯部分を軟化状態の絶縁基板材に押し込んで貫入させる。第三工程は、冷却後、金属薄板材を切断除去し絶縁基板材の両面を研磨して表面上に存在する突出物や絶縁基板材に隠れた櫛歯部分を露出させて面一に表面加工処理する。このようにして、金属薄板材の櫛歯部分が絶縁基板に埋設した貫通導体と必要に応じてその周辺に導電体電極を有する貫通導体を有する配線部品を得る。
【0009】
本発明によれば、厚さ500μm以下の金属薄板材が用意され、所定の切り欠きと折り曲げにより貫通導体となる櫛歯部分が作られ、軟化状態の絶縁基板材に貫入装着されるが、好ましくは、貫通孔の位置決め精度は±20μm程度、ビア径は100μm以下、さらに、ビアピッチは150μm以下にされる。この貫入装着は櫛歯部分が金属薄板材と一体化され自立状態で正確な位置決めと保持ができる。ここで、金属薄板材は抜きしろ形状と折り曲げ加工の際、平面部を2段階的のエッチングで最終的に絶縁基板の片面に平面的なパッドや配線等を設けて電気配線部品にすることができ、例えば、接続用パッド付き絶縁基板のほかにコイルやヒーターなどの配線部品となり、電気配線用の電極部やリード部を貫通導体と同時に形成する配線部品が提供される。また、このような配線部品を用いてマイクロリアクターを提供することができる。なお、貫通導体を有する絶縁基板は、その用途に応じて求められる気密性、耐熱性、耐候性を考慮して材料選択され、例えば、絶縁基板部材には、高温で軟化する性質を有するガラスまたは樹脂が絶縁材料として選ばれる。
【0010】
本発明の別の観点によれば、ステンシル状に孔設した金属薄板材フレームから櫛歯部分を折り曲げ、その直立先端を絶縁基板材に当接させるよう、フレームの上部または下部に絶縁基板材を配置し、高温軟化状態の絶縁基板材に櫛歯部分を貫入させ、その後、フレームの不要部分を切断除去して研磨して貫通導体付き絶縁基板にする。ここで、フレームは厚さが500μm以下であり、使用する絶縁基板材の熱膨張係数に近い熱膨張係数の金属材と組合せる。また、金属薄板材の孔設には、エッチング、パンチング、サンドブラスト、レーザーカット、放電加工のいずれかの処理方法が適用されるが、その際の処理方法に応じて、所望する貫通導体の断面形状が決定される。このうち、4辺が内側に凹んだ略六角形である場合、2辺が内側に凹んだ略台形である場合、隣り合う2つの頂角は丸みを有し残りの他の2つの頂角にバリ状突起を有する略四角形である場合、および角部に丸みを有する略台形または略四角形である場合の何れかであるのが好ましい。これらの好ましい断面形状は、貫通導体の断面形状の丸めや滑らかな曲線はエッチングまたはサンドブラストの加工処理で得られることが判明した。
【0011】
一方、本発明に係る配線部品は、金属薄板材の厚みを500μm以下とすることに加えて、櫛歯部分を絶縁基板の貫通導体とする際に、櫛歯の直径を100μm以下、その中心線間のピッチ間隔を150μm以下にし、かつ取り付け位置の精度を±20μm程度にすることでその適用分野を拡大することができる。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスの気密封止に使用できるほか、CSP(Chip Size Package)半導体デバイスのインターポーザにアンダーフィル樹脂を用いずに使用することがでる。また、本発明の貫通導体付き絶縁基板を応用したマイクロリアクター装置では、微少反応素子やバイオ素子等にも応用でき、それぞれの用途に応じて何れかの製造方法が選択できる。さらに、金属薄板材から直角に折曲した櫛歯部分を切断する際に、櫛歯部分に金属薄板材の一部を平面部分とすることで電気配線に利用し、この配線部分を接続パッド、コイル、ヒーターなどの配線部品とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の貫通導体を有する絶縁基板は、金属薄板材の切り抜きと折り曲げによる櫛歯部分を利用して軟化状態の絶縁基板材に貫通挿入して貫通導体とするので櫛歯部分が連結して互いに支え合い、微細加工処理を容易にすると共に微細化と精度の向上を図る。また、金属薄板材の切り抜きで抜きしろが生じ、直角に起立させる折り曲げ工程を含むことで、微細化処理を高精度で実現する。特に、貫通導体の埋設と同時に電気配線用に金属薄板を利用することで回路部品に利用でき配線部品としての使用を可能にする。更に、金属薄板材のサブ部分を貫通導体の保持機能に活用することで導電体の微細化と位置決め精度を高め、かつ作業性の改善からコスト低減化が図れる。また、貫通導体として金属薄板を使用するため、少ない材料で抵抗値の低い貫通導体を有する絶縁基板を、比較的低い製造コストで作製することが可能となる。また、金属薄板に櫛刃状部分の形成にフォトリソグラフィを用いたパターンエッチングを行なうことにより、100μm以下の導電体を150μm以下のピッチで微細処理を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施例の貫通導体を有する絶縁基板の斜視図を示す。
【図2】本発明に係る実施例である貫通導体を有する絶縁基板の製造工程における金属薄板材の加工工程で、図2(a)は切り欠きで抜きしろの部分を形成して櫛歯部分を設けた平面図および図2(b)はこの櫛歯部分を折り曲げて直立させた平面図を示す。
【図3】同じく図2に示す製造工程における部分断面図で、図3(a)は金属薄板材のエッチング工程、図3(b)は櫛歯部分を直立した折り曲げ工程、図3(c)は櫛歯部分の先端に絶縁基板材を載置する組立工程、図3(d)は軟化させた絶縁基板材に櫛歯部分を貫通させる挿入工程、および図3(e)は金属薄板材を切断除去した後の絶縁基板の表面研磨工程で、貫通導体を有する絶縁基板の完成状態を示す。
【図4】同じく図3の絶縁基板の貫通導体の拡大断面図を示し、図4(a)は金属薄板材の櫛歯部分について異なる加工処理法による場合、図4(b)は異なる処理法による貫通導体絶縁基板完成後の場合である。
【図5】本発明に係る別の実施例である電気配線と貫通導体を有する絶縁基板の製造工程の部分断面図で、図5(a)は金属薄板材のエッチング工程、図5(b)は櫛歯部分を直立した折曲工程、図5(c)は櫛歯部分の先端に絶縁基板材を載置する組立工程、図5(d)は軟化させた絶縁基板材に櫛歯部分を貫通させる挿入工程、図5(e)は電気配線部分を形成するフォトレジスト工程、図5(f)はレジスト除去工程および図5(g)は電極パッド形成後の絶縁基板の表面研磨工程である。
【図6】図5の変形例として電気配線用接続パッドと貫通導体を有する絶縁基板部分的斜視図と部分断面図で、図6(a)ないし図6(d)にそれぞれの工程を示す。
【図7】同じく図5の変形例としてキャビティおよび貫通導体を有する絶縁基板の要部工程の部分断面図を示す。
【図8】同じく図5の変形例としてコイルおよび貫通導体を有する絶縁基板の要部工程の部分断面図を示す。
【図9】同じく図5の変形例としてコイルおよび貫通導体を有する絶縁基板の要部工程の部分斜視図。
【図10】同じく図5の変形例としてヒーターおよび貫通導体を有する絶縁基板の要部工程の部分断面図を示す。
【図11】同じく図5の別の変形例であり、密閉したヒーターと貫通導体を有する絶縁基板の要部を示す部分断面図とその斜視図を示す。
【図12】本発明に係る別の実施例である図11の密閉ヒーターを有するマイクロリアクター装置の要部を示し、図12(a)は断面図、図12(b)は斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第一の実施態様は、図1に示すように、金属薄板材を部分的に切り欠いた櫛歯部分を形成し、この櫛歯部分を折り曲げて直立させ、直立先端を高温軟化状態の絶縁基板材に当接し貫入させた後、前記櫛歯部分を残して前記金属薄板材を除去し、前記絶縁基板材の表面を研磨してなる貫通導体を有する絶縁基板である。図2および図3に示すように、先ず、金属薄板材11、21の一部を切り抜き、または打ち抜き等の加工により、櫛歯部分12をステンシル状に孔設する。次いで、この櫛歯部分12の歯部13、23を垂直に折り曲げ加工する。次に、図3(c)に示す様に、金属薄板材11、21に絶縁基板材24を載置する。この場合、逆に絶縁基板材の上に金属薄板材を乗せてもよい。この組立状態で、電気炉などの炉中で高温加熱し、軟化状態の絶縁基板材の中に金属薄板材11、21の歯部13、23を、図3(d)に示す様に貫入させる。その際、必要に応じて錘などにより貫入のための力を加える。次いで、両部材を高温状態から常温に冷却後、上下の面を研磨し、金属薄板材から櫛歯部分を切り欠きその一部を貫通導体15、25とする。貫通導体を有する絶縁基板10、20はこのような一連の工程により作製される。
【0015】
金属薄板材や絶縁基板材の平面形状は任意に選択され、シリコンウエハと重ねて用いる貫通導体付き絶縁基板では、金属薄板や絶縁材料板の平面形状は円形またはオリフラ(オリエンテーションフラット)やノッチを付加した円形とする。このうち、金属薄板材は高温処理に耐えて所望の電気抵抗率や熱膨張係数を有する材料が選ばれ、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金、鉄ニッケル系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金、タングステン、タングステン系合金、モリブデン、モリブデン系合金、ステンレス系合金、金、金系合金、白金、白金系合金等からなる金属が使用される。必要に応じて、特定の金属板に別の金属をめっきした材料も使用できる。この場合のめっき処理は、金属薄板材の切り抜き工程の前後のいずれかで行えば良い。しかし、金属薄板材の厚さは、切り抜き後に垂直な曲げ加工が出来るようにするため、実用上500μm以下に選ばれる。また、櫛歯部分の櫛歯は直径が100μm以下、その中心線間のピッチ間隔が150μm以下で、かつ、取付位置の精度を±20μm程度に設定される。
【0016】
金属薄板材の切り抜きや打ち抜きは、エッチング、パンチング、サンドブラスト、レーザーカット、放電加工が利用され、金属ステンシル状の穴部を孔設する。その際、採用した加工方法によって、貫通導体作製後の電極の断面形状は、上記の金属フレーム加工方法の特徴を示す形状となる。例えば、図4(a)に示すように、エッチングでは、略六角形の4辺が内側に凹んだ形状30または略台形の2辺が内側に凹んだ形状31、パンチングでは、略四角形の頂角一対に丸みを持ち、残りの頂角にバリ状の突起がある形状32、サンドブラストでは略台形形状33、レーザーカットおよび放電加工では略四角形で角部は溶融して丸みを持った形状34となっている。ここで、図4(b)に示す様に、同図(a)で示した各電極の断面形状の角張った部分をエッチングまたはサンドブラストにより丸め、滑らかな曲線形状に整えた電極部材とすることもできる。このエッチングは金属薄板を切り抜き加工した後、または折り曲げ加工した後に行なう。このように孔設加工時のバリ等の尖端部分を無くすことで、軟化状態の絶縁基板材に電極を貫入する際の気泡防止や電極間の耐電圧を向上させることができる。
【0017】
図5に示す様に、金属薄板の中で曲げ加工を行なわない部分について、その一部分をフォトエッチングにより除去し、残った部分を、図5(g)に示す様に電気配線や接続パッドとして利用することができる。より詳しくは、絶縁基板材44の中に金属薄板材41の櫛歯部分43を図5(d)の様に貫入させた後に、図5(e)に示すように金属薄板材41の露出面46にフォトレジスト47を塗布またはレジストフィルムにより張り合せ、フォトリソグラフィにより必要なパターンに切り抜いた後に金属薄板材41の露出部分をエッチングすることにより、必要な電気配線や接続パッド48を残した図5(f)に示す構造の貫通導体付き絶縁基板が得られる。この後、絶縁材料板44を研磨して、図5(g)に示す所望の厚さの貫通導体を有する絶縁基板とする。
【0018】
図6は本発明の別の実施態様であり、金属薄板材51をエッチング処理して部分的に切り欠いた櫛歯部分と部分的に薄くした接続部分とを形成し、櫛歯部分53を折り曲げて直立させてその先端を高温軟化状態の絶縁基板材54に当接貫入し、金属薄板材を櫛歯部分と接続部分とを残して切り離し、絶縁基板材の表面を研磨して櫛歯部分を貫通導体55に、接続部分を配線材58にした貫通導体を有する配線部品である。ここで、金属薄板材の櫛歯部分は貫通導体55であり、接続部分は櫛歯部分と連結するハーフエッチングされた配線材58であり、この配線材58が電極パッド、コイル、ヒーター等の電気回路部品に適応される。すなわち、金属薄板材に曲げ加工を行なわない接続部分について、その一部分の厚さをエッチングなどで減じ、後の研磨工程において厚さを減じた部分のみを除去して残った部分を、図6(d)に示す様に電気配線や接続パッドとして利用できる。また、図7に示す様に、上記貫通導体63を絶縁基板材64の厚みの途中まで形成し、絶縁材料の一部をエッチングやサンドブラストなどで除去し、キャビティ69を設けた貫通導体を有する絶縁基板60とすることもできる。
【0019】
一方、絶縁基板材はガラス、セラミックおよび樹脂等が選ばれ、金属薄板材との熱膨張係数の差が小さくなるように選定する。ガラスは気密性や耐熱性が要請される場合に用い、その板厚は最終的な貫通導体を有する絶縁基板に要求される厚さに金属薄板の厚さを加えた厚さ以上にして用いる。貫通導体にシリコン製機能デバイスを接合配置して、金属または絶縁キャップを封着して気密封止パッケージとした電子配線部品とすることもできる。
【0020】
本発明に係る貫通導体を有する絶縁基板は、これを図8および図9に示す様に電気配線部分をコイル部78,88として、その両端部73,83を折り曲げて、高温軟化状態の絶縁材料74,84に当接貫入させ、金属薄板材の厚さを減じた部分のみを研磨工程で除去して残った部分に、新たに絶縁基板材79を接着または融着することによりコイル部78を封入した貫通導体付きコイル部品70を得る。また、図10に示す様に、電気配線部分を耐熱性金属にしてヒーター部98を形成し、その両端部93を折り曲げ、貫通導体付きヒーター部品90とする。さらに、図11に示す様に上記貫通導体付き絶縁基板の電気配線側に新たな絶縁基板材109を接着または融着することにより、電気配線のヒーター部108を密閉した貫通導体付きヒーター部品100が得られる。上記貫通導体付きヒーター部品100のヒーター側に、さらにキャビティ部を設けた新たな絶縁基板材119を接着または融着して、図12に示す様な貫通導体付きヒーター容器110にできる。この貫通導体付きヒーター容器110は、マイクロリアクター装置に応用できる。
【実施例】
【0021】
以下、貫通導体付き絶縁基板の製造方法に関して、図1から図3を参照して第1の実施例について記述する。先ず、厚さ100μm、平均熱膨張係数5.0×10−6/Kの42合金からなる金属薄板材11の一部にフォトエッチング抜き加工によって、図2(a)、図3(a)に示した櫛状孔12を孔設した。1本の櫛状部分の寸法は幅およそ0.1mm、長さおよそ1.0mmである。次いで、金型(図示せず)を用いて上記の櫛状の部を図2(b)、図3(b)の様に、垂直に折り曲げた。さらに、図3(c)に示す様に、この金属薄板材21に厚さ1.1mm、軟化点557℃、平均熱膨張係数7.2×10−6/Kのホウケイ酸ガラス24を乗せ、電気炉中で高温にし、軟らかくなったホウケイ酸ガラス24の中に金属薄板材21の櫛歯部分23を、図3(d)の様に貫入させた。この際、重り(図示せず)により貫入のための力を加えた。最後に、部材を高温状態から冷却し、取り出し後、上下の面を研磨し、金属薄板材21の櫛歯部分23を貫通導体とした図3(c)、図3(e)に示す様な貫通導体付き絶縁基板20を作製した。このときの金属薄板材21の櫛歯部分23の断面形状は図4(a)の31に示す形状であった。
【0022】
なお、本発明に関する実施態様は次のとおり明記される。すなわち、(1)金属薄板材を部分的に切り欠く櫛歯部分を形成した後、この櫛歯部分を折り曲げて直立する工程、前記櫛歯部分の直立先端を高温軟化状態の絶縁基板材と重ねて前記絶縁基板材に前記櫛歯部分を挿入する工程、常温に冷却後前記櫛歯部分を前記金属薄板材から切り離して絶縁基板材に貫通導体として植設する工程、および前記絶縁基板材と貫通導体の端面を面一にする両面研磨工程を含む貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、
(2)前記金属薄板材に施す前記櫛歯部分の形成方法が、エッチング、パンチング、サンドブラスト、レーザーカット、放電加工の群から選ばれる何れかの孔設法であることを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、(3)前記櫛歯部分を前記パンチング、前記サンドブラスト、前記レーザーカット、前記放電加工で成形後、さらに前記櫛歯部分の角張った部分をエッチングまたはサンドブラストにより丸め、前記貫通導体の断面形状を滑らかな曲線形状とすることを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、(4)前記金属薄板材の櫛歯部分を前記絶縁基板材中に貫入させた後、前記金属薄板材の中で曲げ加工を行なわない部分について、フォトエッチングにてその一部分をパターン状に除去し、残った部分を電気配線や接続パッドとすることを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、(5)前記貫通導体を前記絶縁基板材の厚みの途中まで形成し、前記絶縁基板材の一部を除去してキャビティを形成したことを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、(6)前記金属薄板材は、厚さが500μm以下であり、前記絶縁基板材は、ガラスまたは樹脂からなり、前記金属薄板材と前記絶縁基板材の熱膨張係数を近い組合せとしたことを特徴とする方法によって製作された貫通導体を有する絶縁基板、(7)前記貫通導体の断面形状が、略六角形でその中の4辺が内側に凹んだ形状、または略台形でその中の2辺が内側に凹んだ形状、略四角形で隣り合う2つの頂角は丸みを持ち他の2つの頂角にはバリ状の突起がある形状、略台形形状または略四角形で角部に丸みを有する形状の何れかであることを特徴とする方法によって製作された貫通導体を有する絶縁基板、(8)前記貫通導体の断面形状を滑らかな曲線形状としたことを特徴とする方法によって製作された貫通導体を有する絶縁基板、(9)前述の方法によって製作された前記電気配線や前記接続パッド備えたことを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板、(10)前述の方法によって製作されたキャビティを備えたことを特徴とする、貫通導体を有する絶縁基板、(11)前述の貫通導体を有する絶縁基板を使用した、電気電子部品の気密封止用パッケージ、(12)前記電気配線部分をコイル状とし、その両端に折り曲げによる貫通導体を配置した貫通導体を有するコイル部品、(13)前記電気配線部分を耐熱性金属で作製してヒーター部材とし、その両端に折り曲げによる貫通導体を配置した貫通導体を有するヒーター部材、(14)前述の貫通導体を有する絶縁基板の電気配線側に、さらに絶縁部材を接着または融着することによって、電気配線を密閉した貫通導体を有する絶縁基板、(15)前述の貫通導体を有するヒーター部材のヒーター側に、さらに絶縁部材を接着または融着することによって、ヒーターを密閉した貫通導体を有するヒーター部材、および(16)前述のヒーター部材を用いたマイクロリアクター装置。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の貫通導体付き絶縁基板は、各種電子デバイスのパッケージに気密シール部材として利用できる。MEMSデバイスの気密封止、およびCSP半導体デバイスのインターポーザにアンダーフィル樹脂を用いずに利用できる。また、本発明の貫通導体付絶縁基板を応用したマイクロリアクター装置は、微少反応素子やバイオ素子等にも応用できる。
【符号の説明】
【0024】
10、20、40・・・貫通導体を有する絶縁基板、
11、21、41・・・金属薄板材、
12、52、62、72、92・・・櫛歯部分(切り欠き部)、
13、23、43、53、63・・・櫛歯部分(歯部)、
73、83、93・・・櫛歯部分(両端部)、
14、24、44、54、64、74、84、94、104・・・絶縁基板材、
15、25、45、55、65、75、85、95、105、115・・・貫通導体
(櫛歯)、 30〜39・・・各種櫛歯の断面形状、
58・・・配線材、 69・・・キャビティ、
70・・・コイル部品、 78、88・・・コイル部、
90、100・・・ヒーター部品、 98、108、118・・・ヒーター部、
79、109、119・・・新たな絶縁基板材、
110・・・貫通導体付きヒーター容器(マイクロリアクター)、
111・・・反応容器、 112・・・開口。
【技術分野】
【0001】
本発明は、貫通導体を有する絶縁基板と配線部品およびその製造方法に関し、特に、金属薄板材の切り抜き・折り曲げ部分を貫通導体に用いる貫通導体付き絶縁基板とその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
貫通導体を有する絶縁基板は、半導体チップや小型電子部品を搭載する小型で信頼性の高い配線基板として知られている。特許文献1は、貫通孔を有するセラミック配線基板において、ガラス貫通孔部分を焼結導体から金属ブロックに変えることで、貫通孔の金属およびガラスにボイドが無く貫通孔部分の比抵抗をより低い値にして、研磨後の基板表面に凹みをほとんど無くして薄膜配線を形成に適した貫通電極付き絶縁基板を開示する。また、特許文献2は、高精度な孔あけ加工と金属薄板材充填により貫通電極付きガラス基板の製造方法を開示する。この場合、ガラス板材にドリル加工で必要な孔を作製後、孔内壁にアンカー金属膜およびろう付け介在膜を形成した上で、孔内に金属心材をろう付けし、両面を研磨して貫通電極付きガラス基板を得ている。さらに、特許文献3は、比較的簡単で高精度に製造できる配線用絶縁基板および孔あき絶縁基板の製造方法を提示し、所定形状に成形加工した耐熱部材と、この耐熱部材の軟化点より低い軟化点を有する軟化溶融状態の絶縁基板素材とを当接させ、重し荷重を付与して耐熱部材を絶縁基板素材に食い込ませ、その合体部材の徐冷後に表面研磨を含む仕上加工したガラスまたはガラスセラミック絶縁基板を提供している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平06−120633号公報
【特許文献2】特開2006−060119号公報
【特許文献3】特開2007−067387号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイクロリアクター(microreactor)は、一般的にはマイクロチャネルを使うマイクロ熱交換器などの装置とともに、マイクロプロセス工学の分野で研究されるものであるが、一辺当たり1mm以下の大きさの空間で化学反応を行う装置である。このようなマイクロリアクターでは、その配線部品として微細加工による貫通導体や電極などの配線が要求されている。このような配線部品においては、貫通電極付き絶縁基板の導電体を埋設する配線精度に関し、貫通孔であるビア位置精度が通常は±50μm程度であるのを±20μm程度、ビア径が通常は250μmであるのを100μm以下、さらに、ビアピッチが通常は300μmであるのを150μm以下にすることが所望される。このような高精度で微細加工の配線部品を調達するには、前述する特許文献が開示するような電極付き絶縁基板の製造方法では満足な結果を得ることが困難であった。例えば、特許文献1のセラミック配線基板は、貫通導体部分が金属ブロックから成り、その製造方法では軟化点600℃のほう珪酸ガラスにガラスが充分に流動するような温度(1100℃)で剣山状タングステンブロックを完全に沈めた後、減圧・徐冷して剣山状タングステンブロックの上部を切断除去しているので、製造毎に用意する剣山状タングステンブロックの利用率が極めて低くなり、上述の微細化と高精度が得られない。また、モリブデンやタングステンのブロックに剣山を作るダイサー加工作業で工数が増大して高コスト化を招く。
【0005】
一方、特許文献2は、ガラス材料の孔あけ後に金属薄板材を充填する、貫通電極付きガラス基板の製造方法を開示するが、ガラス板材のドリル加工とその貫通孔内壁にアンカー金属膜の形成、およびその上にろう付け介在膜の形成、金属心材の挿入・密封・固定と両面の研磨加工、ドリルによる個別的孔あけなどで多数の貫通電極を作製する際には加工処理時間の増加が著しい。また、実用可能なドリル径の細さに限度があって、概ねφ300μm以上の孔径となって極細径や微小ピッチの貫通電極の作製は困難である。また、特許文献3は、治具を用いて金属ピンをガラス板上に垂直に整列させておき、これを高温加熱した軟化状態のガラス中に貫入させるため、ピン位置精度の向上に問題が残され、ピン相互間のピッチ精度が得られ難い。また、金属ピンを垂直に整列させるための治具がコスト高となるほかピン材料の損失が多いなどの欠点があった。
【0006】
したがって、本発明の目的は、上述する欠点を解消し、所望される高精細度で微細加工要請に鑑み提案されたものであり、従来のコスト問題を排除して高精度の微細化で量産化に適応する新規かつ改良された貫通導体を有する絶縁基板と配線部品およびそれらの製造方法を提示することである
【0007】
本発明の他の目的は、金属薄板を用いて低コスト化と共に微細径で微小ピッチの貫通導体と、その導体と一体化した配線電極等を設けた配線部品、特に量産に適するコスト効率の良い貫通導体を有する配線部品を提供し、各種応用形態に利用可能とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明によれば、金属薄板材の複数個所に切り欠きと折り曲げにより直立させた櫛歯部分を設ける切り欠き折り曲げ工程、高温で軟化状態の絶縁基板材と各櫛歯部分の直立先端とを当接配置して絶縁基板材に櫛歯部分を植設する押し込み挿入工程、冷却後前記絶縁基板材に植設された櫛歯部分を残して金属薄板材を切り離す工程、および前記絶縁基板材に前記櫛歯部分を露呈させ貫通導体に表面研磨する工程を含む貫通導体を有する絶縁基板の製造方法が提示され、この方法により、金属薄板材に形成した櫛歯部分を折り曲げて絶縁基板材に貫通挿入させて貫通導体とした絶縁基板を提供する。ここで、櫛歯部分は研磨により露呈した貫通導体を得るが、必要に応じて、電極や所望する電気部品とするための処理工程を経ることで貫通導体を有する配線部品を製造する。なお、金属薄板材に複数個の櫛歯部分を設けることで製造工程の一括処理が可能となり、完成品の均一化と量産化に役立ち、低コスト化が図れる。すなわち、第一工程は目的に応じて用意される材質の金属薄板材をエッチング等の処理による部分的に切り欠いたり薄くしたりして所望するピッチ間隔や線径の櫛歯部分を成形加工し、櫛歯部分を垂直に折り曲げて直立させて剣山とする。第二工程は、この剣山の多数の櫛歯部分上に高温で軟化状態のガラスまたは樹脂の絶縁基板材を載せるか、逆に櫛歯部分を軟化状態の絶縁基板材の上に載置する。そして、両者当接配置後に、櫛歯部分を軟化状態の絶縁基板材に押し込んで貫入させる。第三工程は、冷却後、金属薄板材を切断除去し絶縁基板材の両面を研磨して表面上に存在する突出物や絶縁基板材に隠れた櫛歯部分を露出させて面一に表面加工処理する。このようにして、金属薄板材の櫛歯部分が絶縁基板に埋設した貫通導体と必要に応じてその周辺に導電体電極を有する貫通導体を有する配線部品を得る。
【0009】
本発明によれば、厚さ500μm以下の金属薄板材が用意され、所定の切り欠きと折り曲げにより貫通導体となる櫛歯部分が作られ、軟化状態の絶縁基板材に貫入装着されるが、好ましくは、貫通孔の位置決め精度は±20μm程度、ビア径は100μm以下、さらに、ビアピッチは150μm以下にされる。この貫入装着は櫛歯部分が金属薄板材と一体化され自立状態で正確な位置決めと保持ができる。ここで、金属薄板材は抜きしろ形状と折り曲げ加工の際、平面部を2段階的のエッチングで最終的に絶縁基板の片面に平面的なパッドや配線等を設けて電気配線部品にすることができ、例えば、接続用パッド付き絶縁基板のほかにコイルやヒーターなどの配線部品となり、電気配線用の電極部やリード部を貫通導体と同時に形成する配線部品が提供される。また、このような配線部品を用いてマイクロリアクターを提供することができる。なお、貫通導体を有する絶縁基板は、その用途に応じて求められる気密性、耐熱性、耐候性を考慮して材料選択され、例えば、絶縁基板部材には、高温で軟化する性質を有するガラスまたは樹脂が絶縁材料として選ばれる。
【0010】
本発明の別の観点によれば、ステンシル状に孔設した金属薄板材フレームから櫛歯部分を折り曲げ、その直立先端を絶縁基板材に当接させるよう、フレームの上部または下部に絶縁基板材を配置し、高温軟化状態の絶縁基板材に櫛歯部分を貫入させ、その後、フレームの不要部分を切断除去して研磨して貫通導体付き絶縁基板にする。ここで、フレームは厚さが500μm以下であり、使用する絶縁基板材の熱膨張係数に近い熱膨張係数の金属材と組合せる。また、金属薄板材の孔設には、エッチング、パンチング、サンドブラスト、レーザーカット、放電加工のいずれかの処理方法が適用されるが、その際の処理方法に応じて、所望する貫通導体の断面形状が決定される。このうち、4辺が内側に凹んだ略六角形である場合、2辺が内側に凹んだ略台形である場合、隣り合う2つの頂角は丸みを有し残りの他の2つの頂角にバリ状突起を有する略四角形である場合、および角部に丸みを有する略台形または略四角形である場合の何れかであるのが好ましい。これらの好ましい断面形状は、貫通導体の断面形状の丸めや滑らかな曲線はエッチングまたはサンドブラストの加工処理で得られることが判明した。
【0011】
一方、本発明に係る配線部品は、金属薄板材の厚みを500μm以下とすることに加えて、櫛歯部分を絶縁基板の貫通導体とする際に、櫛歯の直径を100μm以下、その中心線間のピッチ間隔を150μm以下にし、かつ取り付け位置の精度を±20μm程度にすることでその適用分野を拡大することができる。例えば、MEMS(Micro Electro Mechanical Systems)デバイスの気密封止に使用できるほか、CSP(Chip Size Package)半導体デバイスのインターポーザにアンダーフィル樹脂を用いずに使用することがでる。また、本発明の貫通導体付き絶縁基板を応用したマイクロリアクター装置では、微少反応素子やバイオ素子等にも応用でき、それぞれの用途に応じて何れかの製造方法が選択できる。さらに、金属薄板材から直角に折曲した櫛歯部分を切断する際に、櫛歯部分に金属薄板材の一部を平面部分とすることで電気配線に利用し、この配線部分を接続パッド、コイル、ヒーターなどの配線部品とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明の貫通導体を有する絶縁基板は、金属薄板材の切り抜きと折り曲げによる櫛歯部分を利用して軟化状態の絶縁基板材に貫通挿入して貫通導体とするので櫛歯部分が連結して互いに支え合い、微細加工処理を容易にすると共に微細化と精度の向上を図る。また、金属薄板材の切り抜きで抜きしろが生じ、直角に起立させる折り曲げ工程を含むことで、微細化処理を高精度で実現する。特に、貫通導体の埋設と同時に電気配線用に金属薄板を利用することで回路部品に利用でき配線部品としての使用を可能にする。更に、金属薄板材のサブ部分を貫通導体の保持機能に活用することで導電体の微細化と位置決め精度を高め、かつ作業性の改善からコスト低減化が図れる。また、貫通導体として金属薄板を使用するため、少ない材料で抵抗値の低い貫通導体を有する絶縁基板を、比較的低い製造コストで作製することが可能となる。また、金属薄板に櫛刃状部分の形成にフォトリソグラフィを用いたパターンエッチングを行なうことにより、100μm以下の導電体を150μm以下のピッチで微細処理を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明に係る実施例の貫通導体を有する絶縁基板の斜視図を示す。
【図2】本発明に係る実施例である貫通導体を有する絶縁基板の製造工程における金属薄板材の加工工程で、図2(a)は切り欠きで抜きしろの部分を形成して櫛歯部分を設けた平面図および図2(b)はこの櫛歯部分を折り曲げて直立させた平面図を示す。
【図3】同じく図2に示す製造工程における部分断面図で、図3(a)は金属薄板材のエッチング工程、図3(b)は櫛歯部分を直立した折り曲げ工程、図3(c)は櫛歯部分の先端に絶縁基板材を載置する組立工程、図3(d)は軟化させた絶縁基板材に櫛歯部分を貫通させる挿入工程、および図3(e)は金属薄板材を切断除去した後の絶縁基板の表面研磨工程で、貫通導体を有する絶縁基板の完成状態を示す。
【図4】同じく図3の絶縁基板の貫通導体の拡大断面図を示し、図4(a)は金属薄板材の櫛歯部分について異なる加工処理法による場合、図4(b)は異なる処理法による貫通導体絶縁基板完成後の場合である。
【図5】本発明に係る別の実施例である電気配線と貫通導体を有する絶縁基板の製造工程の部分断面図で、図5(a)は金属薄板材のエッチング工程、図5(b)は櫛歯部分を直立した折曲工程、図5(c)は櫛歯部分の先端に絶縁基板材を載置する組立工程、図5(d)は軟化させた絶縁基板材に櫛歯部分を貫通させる挿入工程、図5(e)は電気配線部分を形成するフォトレジスト工程、図5(f)はレジスト除去工程および図5(g)は電極パッド形成後の絶縁基板の表面研磨工程である。
【図6】図5の変形例として電気配線用接続パッドと貫通導体を有する絶縁基板部分的斜視図と部分断面図で、図6(a)ないし図6(d)にそれぞれの工程を示す。
【図7】同じく図5の変形例としてキャビティおよび貫通導体を有する絶縁基板の要部工程の部分断面図を示す。
【図8】同じく図5の変形例としてコイルおよび貫通導体を有する絶縁基板の要部工程の部分断面図を示す。
【図9】同じく図5の変形例としてコイルおよび貫通導体を有する絶縁基板の要部工程の部分斜視図。
【図10】同じく図5の変形例としてヒーターおよび貫通導体を有する絶縁基板の要部工程の部分断面図を示す。
【図11】同じく図5の別の変形例であり、密閉したヒーターと貫通導体を有する絶縁基板の要部を示す部分断面図とその斜視図を示す。
【図12】本発明に係る別の実施例である図11の密閉ヒーターを有するマイクロリアクター装置の要部を示し、図12(a)は断面図、図12(b)は斜視図を示す。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の第一の実施態様は、図1に示すように、金属薄板材を部分的に切り欠いた櫛歯部分を形成し、この櫛歯部分を折り曲げて直立させ、直立先端を高温軟化状態の絶縁基板材に当接し貫入させた後、前記櫛歯部分を残して前記金属薄板材を除去し、前記絶縁基板材の表面を研磨してなる貫通導体を有する絶縁基板である。図2および図3に示すように、先ず、金属薄板材11、21の一部を切り抜き、または打ち抜き等の加工により、櫛歯部分12をステンシル状に孔設する。次いで、この櫛歯部分12の歯部13、23を垂直に折り曲げ加工する。次に、図3(c)に示す様に、金属薄板材11、21に絶縁基板材24を載置する。この場合、逆に絶縁基板材の上に金属薄板材を乗せてもよい。この組立状態で、電気炉などの炉中で高温加熱し、軟化状態の絶縁基板材の中に金属薄板材11、21の歯部13、23を、図3(d)に示す様に貫入させる。その際、必要に応じて錘などにより貫入のための力を加える。次いで、両部材を高温状態から常温に冷却後、上下の面を研磨し、金属薄板材から櫛歯部分を切り欠きその一部を貫通導体15、25とする。貫通導体を有する絶縁基板10、20はこのような一連の工程により作製される。
【0015】
金属薄板材や絶縁基板材の平面形状は任意に選択され、シリコンウエハと重ねて用いる貫通導体付き絶縁基板では、金属薄板や絶縁材料板の平面形状は円形またはオリフラ(オリエンテーションフラット)やノッチを付加した円形とする。このうち、金属薄板材は高温処理に耐えて所望の電気抵抗率や熱膨張係数を有する材料が選ばれ、銅、銅系合金、鉄、鉄系合金、鉄ニッケル系合金、アルミニウム、アルミニウム系合金、タングステン、タングステン系合金、モリブデン、モリブデン系合金、ステンレス系合金、金、金系合金、白金、白金系合金等からなる金属が使用される。必要に応じて、特定の金属板に別の金属をめっきした材料も使用できる。この場合のめっき処理は、金属薄板材の切り抜き工程の前後のいずれかで行えば良い。しかし、金属薄板材の厚さは、切り抜き後に垂直な曲げ加工が出来るようにするため、実用上500μm以下に選ばれる。また、櫛歯部分の櫛歯は直径が100μm以下、その中心線間のピッチ間隔が150μm以下で、かつ、取付位置の精度を±20μm程度に設定される。
【0016】
金属薄板材の切り抜きや打ち抜きは、エッチング、パンチング、サンドブラスト、レーザーカット、放電加工が利用され、金属ステンシル状の穴部を孔設する。その際、採用した加工方法によって、貫通導体作製後の電極の断面形状は、上記の金属フレーム加工方法の特徴を示す形状となる。例えば、図4(a)に示すように、エッチングでは、略六角形の4辺が内側に凹んだ形状30または略台形の2辺が内側に凹んだ形状31、パンチングでは、略四角形の頂角一対に丸みを持ち、残りの頂角にバリ状の突起がある形状32、サンドブラストでは略台形形状33、レーザーカットおよび放電加工では略四角形で角部は溶融して丸みを持った形状34となっている。ここで、図4(b)に示す様に、同図(a)で示した各電極の断面形状の角張った部分をエッチングまたはサンドブラストにより丸め、滑らかな曲線形状に整えた電極部材とすることもできる。このエッチングは金属薄板を切り抜き加工した後、または折り曲げ加工した後に行なう。このように孔設加工時のバリ等の尖端部分を無くすことで、軟化状態の絶縁基板材に電極を貫入する際の気泡防止や電極間の耐電圧を向上させることができる。
【0017】
図5に示す様に、金属薄板の中で曲げ加工を行なわない部分について、その一部分をフォトエッチングにより除去し、残った部分を、図5(g)に示す様に電気配線や接続パッドとして利用することができる。より詳しくは、絶縁基板材44の中に金属薄板材41の櫛歯部分43を図5(d)の様に貫入させた後に、図5(e)に示すように金属薄板材41の露出面46にフォトレジスト47を塗布またはレジストフィルムにより張り合せ、フォトリソグラフィにより必要なパターンに切り抜いた後に金属薄板材41の露出部分をエッチングすることにより、必要な電気配線や接続パッド48を残した図5(f)に示す構造の貫通導体付き絶縁基板が得られる。この後、絶縁材料板44を研磨して、図5(g)に示す所望の厚さの貫通導体を有する絶縁基板とする。
【0018】
図6は本発明の別の実施態様であり、金属薄板材51をエッチング処理して部分的に切り欠いた櫛歯部分と部分的に薄くした接続部分とを形成し、櫛歯部分53を折り曲げて直立させてその先端を高温軟化状態の絶縁基板材54に当接貫入し、金属薄板材を櫛歯部分と接続部分とを残して切り離し、絶縁基板材の表面を研磨して櫛歯部分を貫通導体55に、接続部分を配線材58にした貫通導体を有する配線部品である。ここで、金属薄板材の櫛歯部分は貫通導体55であり、接続部分は櫛歯部分と連結するハーフエッチングされた配線材58であり、この配線材58が電極パッド、コイル、ヒーター等の電気回路部品に適応される。すなわち、金属薄板材に曲げ加工を行なわない接続部分について、その一部分の厚さをエッチングなどで減じ、後の研磨工程において厚さを減じた部分のみを除去して残った部分を、図6(d)に示す様に電気配線や接続パッドとして利用できる。また、図7に示す様に、上記貫通導体63を絶縁基板材64の厚みの途中まで形成し、絶縁材料の一部をエッチングやサンドブラストなどで除去し、キャビティ69を設けた貫通導体を有する絶縁基板60とすることもできる。
【0019】
一方、絶縁基板材はガラス、セラミックおよび樹脂等が選ばれ、金属薄板材との熱膨張係数の差が小さくなるように選定する。ガラスは気密性や耐熱性が要請される場合に用い、その板厚は最終的な貫通導体を有する絶縁基板に要求される厚さに金属薄板の厚さを加えた厚さ以上にして用いる。貫通導体にシリコン製機能デバイスを接合配置して、金属または絶縁キャップを封着して気密封止パッケージとした電子配線部品とすることもできる。
【0020】
本発明に係る貫通導体を有する絶縁基板は、これを図8および図9に示す様に電気配線部分をコイル部78,88として、その両端部73,83を折り曲げて、高温軟化状態の絶縁材料74,84に当接貫入させ、金属薄板材の厚さを減じた部分のみを研磨工程で除去して残った部分に、新たに絶縁基板材79を接着または融着することによりコイル部78を封入した貫通導体付きコイル部品70を得る。また、図10に示す様に、電気配線部分を耐熱性金属にしてヒーター部98を形成し、その両端部93を折り曲げ、貫通導体付きヒーター部品90とする。さらに、図11に示す様に上記貫通導体付き絶縁基板の電気配線側に新たな絶縁基板材109を接着または融着することにより、電気配線のヒーター部108を密閉した貫通導体付きヒーター部品100が得られる。上記貫通導体付きヒーター部品100のヒーター側に、さらにキャビティ部を設けた新たな絶縁基板材119を接着または融着して、図12に示す様な貫通導体付きヒーター容器110にできる。この貫通導体付きヒーター容器110は、マイクロリアクター装置に応用できる。
【実施例】
【0021】
以下、貫通導体付き絶縁基板の製造方法に関して、図1から図3を参照して第1の実施例について記述する。先ず、厚さ100μm、平均熱膨張係数5.0×10−6/Kの42合金からなる金属薄板材11の一部にフォトエッチング抜き加工によって、図2(a)、図3(a)に示した櫛状孔12を孔設した。1本の櫛状部分の寸法は幅およそ0.1mm、長さおよそ1.0mmである。次いで、金型(図示せず)を用いて上記の櫛状の部を図2(b)、図3(b)の様に、垂直に折り曲げた。さらに、図3(c)に示す様に、この金属薄板材21に厚さ1.1mm、軟化点557℃、平均熱膨張係数7.2×10−6/Kのホウケイ酸ガラス24を乗せ、電気炉中で高温にし、軟らかくなったホウケイ酸ガラス24の中に金属薄板材21の櫛歯部分23を、図3(d)の様に貫入させた。この際、重り(図示せず)により貫入のための力を加えた。最後に、部材を高温状態から冷却し、取り出し後、上下の面を研磨し、金属薄板材21の櫛歯部分23を貫通導体とした図3(c)、図3(e)に示す様な貫通導体付き絶縁基板20を作製した。このときの金属薄板材21の櫛歯部分23の断面形状は図4(a)の31に示す形状であった。
【0022】
なお、本発明に関する実施態様は次のとおり明記される。すなわち、(1)金属薄板材を部分的に切り欠く櫛歯部分を形成した後、この櫛歯部分を折り曲げて直立する工程、前記櫛歯部分の直立先端を高温軟化状態の絶縁基板材と重ねて前記絶縁基板材に前記櫛歯部分を挿入する工程、常温に冷却後前記櫛歯部分を前記金属薄板材から切り離して絶縁基板材に貫通導体として植設する工程、および前記絶縁基板材と貫通導体の端面を面一にする両面研磨工程を含む貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、
(2)前記金属薄板材に施す前記櫛歯部分の形成方法が、エッチング、パンチング、サンドブラスト、レーザーカット、放電加工の群から選ばれる何れかの孔設法であることを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、(3)前記櫛歯部分を前記パンチング、前記サンドブラスト、前記レーザーカット、前記放電加工で成形後、さらに前記櫛歯部分の角張った部分をエッチングまたはサンドブラストにより丸め、前記貫通導体の断面形状を滑らかな曲線形状とすることを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、(4)前記金属薄板材の櫛歯部分を前記絶縁基板材中に貫入させた後、前記金属薄板材の中で曲げ加工を行なわない部分について、フォトエッチングにてその一部分をパターン状に除去し、残った部分を電気配線や接続パッドとすることを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、(5)前記貫通導体を前記絶縁基板材の厚みの途中まで形成し、前記絶縁基板材の一部を除去してキャビティを形成したことを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板の製造方法、(6)前記金属薄板材は、厚さが500μm以下であり、前記絶縁基板材は、ガラスまたは樹脂からなり、前記金属薄板材と前記絶縁基板材の熱膨張係数を近い組合せとしたことを特徴とする方法によって製作された貫通導体を有する絶縁基板、(7)前記貫通導体の断面形状が、略六角形でその中の4辺が内側に凹んだ形状、または略台形でその中の2辺が内側に凹んだ形状、略四角形で隣り合う2つの頂角は丸みを持ち他の2つの頂角にはバリ状の突起がある形状、略台形形状または略四角形で角部に丸みを有する形状の何れかであることを特徴とする方法によって製作された貫通導体を有する絶縁基板、(8)前記貫通導体の断面形状を滑らかな曲線形状としたことを特徴とする方法によって製作された貫通導体を有する絶縁基板、(9)前述の方法によって製作された前記電気配線や前記接続パッド備えたことを特徴とする貫通導体を有する絶縁基板、(10)前述の方法によって製作されたキャビティを備えたことを特徴とする、貫通導体を有する絶縁基板、(11)前述の貫通導体を有する絶縁基板を使用した、電気電子部品の気密封止用パッケージ、(12)前記電気配線部分をコイル状とし、その両端に折り曲げによる貫通導体を配置した貫通導体を有するコイル部品、(13)前記電気配線部分を耐熱性金属で作製してヒーター部材とし、その両端に折り曲げによる貫通導体を配置した貫通導体を有するヒーター部材、(14)前述の貫通導体を有する絶縁基板の電気配線側に、さらに絶縁部材を接着または融着することによって、電気配線を密閉した貫通導体を有する絶縁基板、(15)前述の貫通導体を有するヒーター部材のヒーター側に、さらに絶縁部材を接着または融着することによって、ヒーターを密閉した貫通導体を有するヒーター部材、および(16)前述のヒーター部材を用いたマイクロリアクター装置。
【産業上の利用可能性】
【0023】
本発明の貫通導体付き絶縁基板は、各種電子デバイスのパッケージに気密シール部材として利用できる。MEMSデバイスの気密封止、およびCSP半導体デバイスのインターポーザにアンダーフィル樹脂を用いずに利用できる。また、本発明の貫通導体付絶縁基板を応用したマイクロリアクター装置は、微少反応素子やバイオ素子等にも応用できる。
【符号の説明】
【0024】
10、20、40・・・貫通導体を有する絶縁基板、
11、21、41・・・金属薄板材、
12、52、62、72、92・・・櫛歯部分(切り欠き部)、
13、23、43、53、63・・・櫛歯部分(歯部)、
73、83、93・・・櫛歯部分(両端部)、
14、24、44、54、64、74、84、94、104・・・絶縁基板材、
15、25、45、55、65、75、85、95、105、115・・・貫通導体
(櫛歯)、 30〜39・・・各種櫛歯の断面形状、
58・・・配線材、 69・・・キャビティ、
70・・・コイル部品、 78、88・・・コイル部、
90、100・・・ヒーター部品、 98、108、118・・・ヒーター部、
79、109、119・・・新たな絶縁基板材、
110・・・貫通導体付きヒーター容器(マイクロリアクター)、
111・・・反応容器、 112・・・開口。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
金属薄板材を部分的に切り欠いた櫛歯部分を形成し、この櫛歯部分を折り曲げて直立させ、直立先端を高温軟化状態の絶縁基板材に当接し貫入させた後、前記櫛歯部分を残して前記金属薄板材を除去し、前記絶縁基板材の表面を研磨してなる貫通導体を有する絶縁基板。
【請求項2】
前記金属薄板材は厚さ500μm以下であり、前記櫛歯部分の櫛歯は直径が100μm以下、その中心線間のピッチ間隔が150μm以下で、かつ、取付位置の精度を±20μm程度とすることを特徴する請求項1に記載の貫通導体を有する絶縁基板。
【請求項3】
金属薄板材をエッチング処理して部分的に切り欠いた櫛歯部分と部分的に薄くした接続部分とを形成し、前記櫛歯部分を折り曲げて直立させてその先端を高温軟化状態の絶縁基板材に当接貫入し、前記金属薄板材を櫛歯部分と接続部分とを残して切り離し、前記絶縁基板材の表面を研磨して前記櫛歯部分を貫通導体に、前記接続部分を配線材にした貫通導体を有する配線部品。
【請求項4】
前記金属薄板材の櫛歯部分は貫通導体であり、前記接続部分は前記櫛歯部分と連結するハーフエッチングされた配線材であり、この配線材が電極パッド、コイル、ヒーター等の電気回路部品とすることを特徴とする請求項3に記載の貫通導体を有する配線部品。
【請求項5】
金属薄板材の複数個所に切り欠きと折り曲げにより直立させた櫛歯部分を設ける切り欠き折り曲げ工程、高温で軟化状態の絶縁基板材と各櫛歯部分の直立先端とを当接配置して絶縁基板材に櫛歯部分を植設する押し込み挿入工程、冷却後前記絶縁基板材に植設された櫛歯部分を残して金属薄板材を切り離す工程、および前記絶縁基板材に前記櫛歯部分を露呈させ貫通導体に表面研磨する工程を含む貫通導体を有する絶縁基板の製造方法。
【請求項6】
前記金属薄板材の切り欠きがエッチング、パンチング、サンドブラスト、レーザーカット、放電加工の群から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項5に記載の貫通導体を有する絶縁基板の製造方法。
【請求項7】
前記櫛歯部分の断面形状は、略六角形でその中の4辺が内側に凹んだ形状、略台形でその中の2辺が内側に凹んだ形状、略四角形で隣り合う2つの頂角は丸みを持ち他の2つの頂角にはバリ状の突起がある形状、および略台形または略四角形で角部に丸みを有する形状の四つの形態から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項1に記載の貫通導体を有する絶縁基板。
【請求項8】
前記櫛歯部分の断面形状の内、角張った部分をエッチングまたはサンドブラストにより丸め、滑らかな曲線形状とすることを特徴とする請求項7に記載の貫通導体を有する絶縁基板。
【請求項9】
金属薄板材に肉薄の接続部分と切り欠きの櫛歯部分とを設ける第1工程と、前記櫛歯部分を折り曲げて直立させる第2工程と、前記櫛歯部分の直立先端を高温で軟化状態の絶縁基板材と当接配置して櫛歯部分を植設する押込む第3工程と、冷却後植設された前記櫛歯部分および前記接続部分を残し前記金属薄板材を切り離す第4工程と、前記櫛歯部分の端面を露呈させて貫通導体に、かつ前記接続部分を所定の配線材にする前記絶縁基板材の表面を研磨する第5工程を含む貫通導体を有する配線部品の製造方法。
【請求項10】
前記金属薄板材の櫛歯部分を絶縁基板材に貫入させた後、金属薄板材の接続部分で曲げ加工しない部分をフォトエッチングにより一部分的にパターン状に除去し、残された部分を配線材とすることを特徴とする請求項9に記載の貫通導体を有する配線部品の製造方法。
【請求項1】
金属薄板材を部分的に切り欠いた櫛歯部分を形成し、この櫛歯部分を折り曲げて直立させ、直立先端を高温軟化状態の絶縁基板材に当接し貫入させた後、前記櫛歯部分を残して前記金属薄板材を除去し、前記絶縁基板材の表面を研磨してなる貫通導体を有する絶縁基板。
【請求項2】
前記金属薄板材は厚さ500μm以下であり、前記櫛歯部分の櫛歯は直径が100μm以下、その中心線間のピッチ間隔が150μm以下で、かつ、取付位置の精度を±20μm程度とすることを特徴する請求項1に記載の貫通導体を有する絶縁基板。
【請求項3】
金属薄板材をエッチング処理して部分的に切り欠いた櫛歯部分と部分的に薄くした接続部分とを形成し、前記櫛歯部分を折り曲げて直立させてその先端を高温軟化状態の絶縁基板材に当接貫入し、前記金属薄板材を櫛歯部分と接続部分とを残して切り離し、前記絶縁基板材の表面を研磨して前記櫛歯部分を貫通導体に、前記接続部分を配線材にした貫通導体を有する配線部品。
【請求項4】
前記金属薄板材の櫛歯部分は貫通導体であり、前記接続部分は前記櫛歯部分と連結するハーフエッチングされた配線材であり、この配線材が電極パッド、コイル、ヒーター等の電気回路部品とすることを特徴とする請求項3に記載の貫通導体を有する配線部品。
【請求項5】
金属薄板材の複数個所に切り欠きと折り曲げにより直立させた櫛歯部分を設ける切り欠き折り曲げ工程、高温で軟化状態の絶縁基板材と各櫛歯部分の直立先端とを当接配置して絶縁基板材に櫛歯部分を植設する押し込み挿入工程、冷却後前記絶縁基板材に植設された櫛歯部分を残して金属薄板材を切り離す工程、および前記絶縁基板材に前記櫛歯部分を露呈させ貫通導体に表面研磨する工程を含む貫通導体を有する絶縁基板の製造方法。
【請求項6】
前記金属薄板材の切り欠きがエッチング、パンチング、サンドブラスト、レーザーカット、放電加工の群から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項5に記載の貫通導体を有する絶縁基板の製造方法。
【請求項7】
前記櫛歯部分の断面形状は、略六角形でその中の4辺が内側に凹んだ形状、略台形でその中の2辺が内側に凹んだ形状、略四角形で隣り合う2つの頂角は丸みを持ち他の2つの頂角にはバリ状の突起がある形状、および略台形または略四角形で角部に丸みを有する形状の四つの形態から選ばれる何れかであることを特徴とする請求項1に記載の貫通導体を有する絶縁基板。
【請求項8】
前記櫛歯部分の断面形状の内、角張った部分をエッチングまたはサンドブラストにより丸め、滑らかな曲線形状とすることを特徴とする請求項7に記載の貫通導体を有する絶縁基板。
【請求項9】
金属薄板材に肉薄の接続部分と切り欠きの櫛歯部分とを設ける第1工程と、前記櫛歯部分を折り曲げて直立させる第2工程と、前記櫛歯部分の直立先端を高温で軟化状態の絶縁基板材と当接配置して櫛歯部分を植設する押込む第3工程と、冷却後植設された前記櫛歯部分および前記接続部分を残し前記金属薄板材を切り離す第4工程と、前記櫛歯部分の端面を露呈させて貫通導体に、かつ前記接続部分を所定の配線材にする前記絶縁基板材の表面を研磨する第5工程を含む貫通導体を有する配線部品の製造方法。
【請求項10】
前記金属薄板材の櫛歯部分を絶縁基板材に貫入させた後、金属薄板材の接続部分で曲げ加工しない部分をフォトエッチングにより一部分的にパターン状に除去し、残された部分を配線材とすることを特徴とする請求項9に記載の貫通導体を有する配線部品の製造方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2011−228523(P2011−228523A)
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−97792(P2010−97792)
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(300078431)エヌイーシー ショット コンポーネンツ株式会社 (75)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成23年11月10日(2011.11.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年4月21日(2010.4.21)
【出願人】(300078431)エヌイーシー ショット コンポーネンツ株式会社 (75)
【Fターム(参考)】
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