貫通穴耐火措置構造
【課題】施工が簡単で、且つ、熱膨張性隙間埋め材の使用量も少なくて済む貫通穴耐火措置構造を提供する。
【解決手段】左右の側板部4と底板部5aとを備え、且つ、上方が開口又は開放した構造の長尺体支持ラック1が、区画体Wに形成された貫通穴Hに底板部5aで長尺体Kを受止め支持する状態で挿設されているとともに、貫通穴Hの開口部には、長尺体支持ラック1と貫通穴Hとの間の隙間を閉塞する耐火措置用の蓋部材3が長尺体Kの上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材2を長尺体Kとの間で挟持する状態で設けられている。
【解決手段】左右の側板部4と底板部5aとを備え、且つ、上方が開口又は開放した構造の長尺体支持ラック1が、区画体Wに形成された貫通穴Hに底板部5aで長尺体Kを受止め支持する状態で挿設されているとともに、貫通穴Hの開口部には、長尺体支持ラック1と貫通穴Hとの間の隙間を閉塞する耐火措置用の蓋部材3が長尺体Kの上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材2を長尺体Kとの間で挟持する状態で設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁や床等の区画体に形成された長尺体挿通用の貫通穴を通じて火災や火炎が建物内で伝播するのを抑止する目的で構築される貫通穴耐火措置構造に関し、詳しくは、左右の側板部と底板部とを備え、且つ、上方が開口又は開放した構造の長尺体支持ラックが前記貫通穴に前記底板部で長尺体を受止め支持する状態で挿設されているとともに、少なくとも長尺体の上部に耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材が配設されている貫通穴耐火措置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の貫通穴耐火措置構造では、前記長尺体支持ラック内の長尺体が火災時の火炎や熱により消失した場合でも、その消失分の隙間を熱膨張性隙間埋め材の熱膨張で閉塞し得るように、少なくとも長尺体支持ラック内における長尺体の上部には、熱膨張性隙間埋め材が配設されている。
【0003】
そして、従来、貫通穴の内周面と長尺体支持ラックの外周面との間の全領域、及び、長尺体支持ラックと長尺体の外周面との間の全領域に対し、多数のブロック状の熱膨張性隙間埋め材を相互の圧縮力で位置保持される状態まで隙間なく挿設したものがある。(下記特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−291795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の貫通穴耐火措置構造では、熱膨張性隙間埋め材を貫通穴に順次に挿設していくに連れ、挿設済の熱膨張性隙間埋め材との摩擦抵抗が増大して熱膨張性隙間埋め材の挿入抵抗が徐々に大きくなるため、挿設済の熱膨張性隙間埋め材の位置がズレないように新たな熱膨張性隙間埋め材を挿設していくのが難しく、そのことで、施工時間が多くかかる問題があった。
【0006】
また、貫通穴の体積に近似する体積分(具体的には、貫通穴の体積から長尺体支持ラックと長尺体の体積を除いた体積分)の多量の熱膨張性隙間埋め材を使用するため、材料コストも高く付く問題があった。
【0007】
本発明は、上述の如き実情に鑑みてなされたものであって、その主たる課題は、施工が簡単で、且つ、熱膨張性隙間埋め材の使用量も少なくて済む貫通穴耐火措置構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、貫通穴耐火措置構造に係り、左右の側板部と底板部とを備え、且つ、上方が開口又は開放した構造の長尺体支持ラックが、区画体に形成された貫通穴に前記底板部で長尺体を受止め支持する状態で挿設されているとともに、
前記貫通穴の開口部には、前記長尺体支持ラックと貫通穴との間の隙間を閉塞する耐火措置用の蓋部材が長尺体の上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材を長尺体との間で挟持する状態で設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、前記貫通穴の開口部に設けられた前記蓋部材でもって前記長尺体支持ラックと貫通穴との間の隙間を閉塞することができるから、その分、熱膨張性隙間埋め材の使用量を削減することが可能になる。
【0010】
しかも、前記蓋部材を貫通穴の開口部に配設するのに伴い、蓋部材と長者体との間で長尺体の上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材を挟持するから、熱膨張性隙間埋め材を長尺体の上部に簡単に配設することができて、施工性を大幅に高めることができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記蓋部材が、前記熱膨張性隙間埋め材を圧縮変形させる状態で設けられている点にある。
【0012】
上記構成によれば、前記熱膨張性隙間埋め材の圧縮変形によって熱膨張性隙間埋め材と長尺体との密着面積が大きくなるから、火災時の火炎等で長尺体が消失した場合に生じる隙間を効率的に閉塞することが可能になる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記蓋部材が、前記長尺体支持ラックを挟み込み拘束する状態で長尺体支持ラックの周囲に取り付け可能な拘束部材と、前記拘束部材の外周面と区画体の外面とに亘る状態で貫通穴と拘束部材との間の隙間を閉塞可能な板状部材から構成されているとともに、
前記拘束部材には、前記板状部材を前記貫通穴と前記拘束部材との間の隙間を閉塞可能な所定姿勢に姿勢保持可能な姿勢保持部が設けられている点にある。
【0014】
上記構成によれば、長尺体の上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材を長尺体との間で挟持する状態で前記蓋部材を前記貫通穴の開口部に簡単に取り付けることが可能になり、これにより、施工性を一層高めることができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、前記蓋部材における長尺体支持ラック側の端面には、圧縮変形可能な素材からなる耐火措置用の隙間埋め材が配設されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、前記貫通穴に対する長尺体支持ラックの挿設位置が設計位置からズレている場合でも、前記蓋部材における長尺体支持ラック側の端面に配設された耐火措置用の前記隙間埋め材の圧縮変形によって長尺体支持ラックの位置ズレ分を吸収する形態で蓋部材を所望の位置に配設することが可能になり、耐火性能を安定的且つ効果的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1、図2は、壁体W(区画体の一例)における貫通穴Hが形成された部位の耐火措置構造を示し、複数本(本例では、10本)のケーブルK(長尺体の一例)を受止め支持する貫通穴設置用の金属製のケーブルラック1(長尺体支持ラックの一例)が横長矩形状の貫通穴Hのほぼ中央部に挿設されているとともに、ケーブルラック1の内部におけるケーブルKの周囲には、複数個(本例では、5個)のブロック状の隙間埋め材2が装備されている。
【0018】
更に、前記貫通穴Hの開口部には、ケーブルラック1と貫通穴Hとの間の環状の隙間を閉塞する耐火措置用の蓋部材3がケーブルKの上部に配置された隙間埋め材2をケーブルKとの間で挟持する状態で設けられている
【0019】
前記ケーブルラック1は、図1〜図3に示すように、左右一対の板金製の側板部材4(側板部の一例)と、幅寸法の異なる一対の板金製の底板部材5a、5b(底板部の一例)とから構成され、上方が開放した構造に構成されている。
【0020】
前記側板部材4の上部には、内向きに突出する上部折縁片4a(天井側の突片部の一例)が折り曲げ形成されているとともに、側板部材4の下部には、内向きに突出する下部折縁片4b(底側の突片部の一例)が折り曲げ形成されている。そして、両側板部材4の下部折縁片4bに底板部材5a、5bの両端部をネジやビス等の固定手段(図示しない)で固定することにより両側板部材4と底板部材5とが固定連結されている。
【0021】
前記ブロック状の隙間埋め材2は、図示しないが、熱膨張性と耐熱性を有する熱膨張性耐熱シール材をPE製等の可燃性素材からなる袋体に封入して略直方体形状に構成されている。当該隙間埋め材2の長手方向寸法は、側板部材4の高さ寸法よりも大なる寸法で構成されている。
【0022】
前記熱膨張性耐熱シール材としては、主として、無機質充填材、膨張黒鉛等の熱膨張材、未加硫ゴム・ポリオレフィンから組成されたものを採用している。当該熱膨張性耐熱シール材は、膨張開始温度120℃、熱膨張率4倍以上の物性を有している。
【0023】
前記蓋部材3は、珪酸カルシウム等の不燃性素材からなる複数枚(本例では、4枚)の板材(板状部材の一例)、具体的には、ケーブルラック1の幅寸法と同一の幅寸法で、且つ、ケーブルラック1の上辺から貫通穴Hの上辺までの高さ寸法よりも大なる高さ寸法の横長矩形状のラック上下方閉塞用の一対の板材6と、ケーブルラック1の側辺から貫通穴Hの側辺までの幅寸法よりも大なる幅寸法で、且つ、貫通穴Hの高さ寸法よりも大なる高さ寸法の縦長矩形状のラック側方閉塞用の一対の板材7から構成されている。
【0024】
次に、図1、図2に示す耐火措置構造を構成する耐火措置工法について説明する。
まず、図3、図4に示すように、ケーブルラック1´が前後に接続連結された状態で貫通穴Hに挿設された貫通穴設置用のケーブルラック1の長手方向所定位置(本例では、貫通穴Hに対する設置状態で貫通穴Hの開口部を跨ぐ位置)における側板部材4の内面に隣接する領域の各々に、ケーブルラック1の側板部材4の上部折縁片4aと下部折縁片4b及び底板部材5との間に押し込むことによりケーブルKの設置可能領域を制限する状態で隙間埋め材2を配設する。
【0025】
次に、図5に示すように、ケーブルラック1の底板部材5bにおける設置済の隙間埋め材2どうし間の領域(つまり、ケーブルKの設置可能領域)に、ケーブルKを所望の本数だけ設置する。
【0026】
その後、図6に示すように、ケーブルラック1の底板部材5bに設置されたケーブルKの上面に、ケーブルKの上方空間を閉塞するように複数(本例では3個)の隙間埋め材2を配置(具体的には、載置)する。
【0027】
そして、図7に示すように、蓋部材3を構成する板材6、7の各々を、壁体Wの厚み方向から壁体Wの外面に当て付けた状態で且つ壁体Wの面方向からケーブルラック1の外周面に当て付けた状態で、ビス18(固定手段の一例)により壁体Wに固定する。これにより、上方側の板材6の下端面からの押圧力でもって板材6とケーブルKとの間において隙間埋め材2を圧縮状態で挟持する状態で貫通穴Hの開口部を蓋部材3で閉塞する。
【0028】
[第2実施形態]
図8〜13に示すように、本第2実施形態では、前記ケーブルラック1が、左右一対の板金製の側板部8と、該側板部8とほぼ同じ長さ寸法の板金製の底板部9から一体的に構成されている。
【0029】
また、前記蓋部材3が、前記ケーブルラック1を挟み込み拘束する状態でケーブルラック1の周囲に取り付け可能な拘束部材10と、該拘束部材10の外周面と壁体Wの外面とに亘る状態で貫通穴Hと拘束部材10との間の隙間を閉塞可能な板状部材、具体的には、不燃性素材からなる略門の字状の上下一対の板材11から構成されている。
【0030】
前記側板部8の上部には、内向きに約90度の角度で突出する上部折縁片8a(天井側の突片部の一例)が折り曲げ形成されている。
【0031】
前記拘束部材10は、図10に示すように、前記ケーブルラック1を挟み込み拘束可能な板金製の一対の分割部材12から構成されている。当該分割部材12の各々は、ケーブルラック1の長手方向所定位置における上半部と下半部の各々を収納可能な略門の字状の基片部13と、該基片部13の両側壁部13aの端部から外向きに約90度の角度で突出形成された連結片部14とから構成されている。
【0032】
前記基片部13の内面の全域には、前述した隙間埋め材2と同じ仕様で且つ隙間埋め材2よりも厚み寸法の小さな第2の隙間埋め材15が両面テープ等の固定手段(図示しない)で張設されているとともに、前記連結片部14の各々には、前記貫通穴Hと前記拘束部材10との間の隙間を閉塞可能な所定姿勢に前記板材11を姿勢保持する姿勢保持部16が設けられている。
【0033】
当該姿勢保持部16を構成するのに、連結片部14の壁体W側の端辺部における片突出方向の中央位置には、板材11の端面を受止め支持可能な受止め支持片部16aと、該受け止め支持片部16aに板材11を受止め支持させた状態で板材11の裏面(壁体W側の面)に接当する接当片部16bからなる断面視Lの字状の受け片部16Aが折り曲げ形成されているとともに、連結片部14の壁体W側の端辺部における受け片部16Aの両脇には、受け止め支持片部16aに板材11を受止め支持させた状態で板材11の表面に接当する接当片部16Bが折り曲げ形成されている。
【0034】
また、前記連結片部14には、前記分割部材12どうしをネジ17(連結手段の一例)で連結するためのネジ孔14a(連結部の一例)が貫通形成されている。
【0035】
次に、図8、図9に示す耐火措置構造を構成する耐火措置工法について説明する。
まず、図11に示すように、ケーブルラック1´が前後に接続連結された状態で貫通穴Hに挿設された貫通穴設置用のケーブルラック1の長手方向所定位置(本例では、貫通穴Hに対する設置状態における貫通穴Hの開口部の外側位置)における側板部8の内面に隣接する領域の各々に、ケーブルラック1の側板部8の上部折縁片8aと底板部9との間に押し込むことによりケーブルKの設置可能領域を制限する状態で隙間埋め材2を配設する。
【0036】
次に、図示しないが、第1実施形態と同様、ケーブルラック1の底板部9における設置済の隙間埋め材2どうしの間の領域(つまり、ケーブルKの設置可能領域)にケーブルKを所望の本数だけ設置するとともに、設置済のケーブルKの上面に、ケーブルKの上方側空間を閉塞するように複数(本例では3個)の隙間埋め材2を配置する。
【0037】
その後、図12に示すように、蓋部材3を構成する一対の分割部材12でケーブルラック1を上下方向から挟み込み、その状態で分割部材12どうしをネジ17で連結することにより、図13に示すように、拘束部材10をケーブルラック1に取り付け、これにより、貫通穴Hの開口部を部分的に閉塞する。このとき、ケーブルラック1の上方側にはみだしていた隙間埋め材2が、拘束部材10による拘束力によって上方側の分割部材12とケーブルKとの間において圧縮状態で挟持される。
【0038】
そして、図13に示すように、ケーブルラック1に取り付けた拘束部材10における分割部材12の各受け片部16Aと接当片部16Bとの間に板材11を差し込んで板材11を貫通穴Hと拘束部材10との間の隙間を閉塞可能な所定姿勢に姿勢保持した状態で、ビス18により壁体Wの外面に板材11を固定することにより貫通穴Hの開口部を完全に閉塞する。
【0039】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0040】
[その他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、前記蓋部材3が、ケーブルKの上部に配置された隙間埋め材2をケーブルKとの間で直接的に挟持する状態で設けられている場合を例に示したが、例えば、蓋部材3と隙間埋め材2との間に別部材を介挿するなど、ケーブルKの上部に配置された隙間埋め材2をケーブルKとの間で間接的に挟持する状態で設けられていてもよい。
【0041】
(2)前述の各実施形態では、隙間埋め材2が、耐熱性熱膨張シール材と袋体から構成されている場合を例に示したが、耐熱性熱膨張シール材だけから構成されていてもよく、或いは、熱膨張性素材を含有する硬質の部材や軟質のパテ材等から構成されていてもよい。
【0042】
(3)前述の各実施形態では、隙間埋め材15が、耐熱性熱膨張シール材と袋体から構成されている場合を例に示したが、耐熱性熱膨張シール材だけから構成されていてもよく、或いは、熱膨張性素材を含有しないシール材や石材等から構成されていてもよく、要するに、隙間を閉塞可能なものであれば、種々のものから構成されていてもよい。
【0043】
(4)隙間埋め材2、15の形状や大きさ等の具体的構成は、前述の実施形態で示したブロック状に限らず、種々の構成変更が可能である。
【0044】
(5)前述の各実施形態では、区画体の一例として壁体Wを例に示したが、床スラブ等であってもよい。
【0045】
(6)蓋部材3を構成する板状部材は、純粋な板材に限らず繊維等で板状に構成した部材等であってもよい。
【0046】
(7)前述の各実施形態では、ケーブルラック1が、上方が開放した構造である場合を例に示したが、例えば、ケーブルラック1の天板部の一部に開口部が形成されているなどの上方が開口する構造であってもよい。
【0047】
(8)前述の各実施形態では、長尺体支持ラックの一例として、ケーブル用のケーブルラック1を例に示したが、配管類を支持するラック等であってもよい。
【0048】
(9)前述の第2実施形態では、拘束部材10と隙間埋め材2が貫通穴Hの開口部の外側(具体的には、板材11の外側)に配置される構成を例に示したが、拘束部材10の全部又は一部(例えば、隙間埋め材15を備える基片部13)と隙間埋め材2が貫通穴Hの開口部の内側(具体的には、板材11の内側)に配置される構成等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1実施形態における耐火措置構造を示す正面図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図4】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図5】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図6】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図7】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図8】第2実施形態における耐火措置構造を示す正面図
【図9】図8のIX−IX線断面図
【図10】第2実施形態における蓋部材の説明図
【図11】第2実施形態における耐火措置工法の説明図
【図12】第2実施形態における耐火措置工法の説明図
【図13】第2実施形態における耐火措置工法の説明図
【符号の説明】
【0050】
W 区画体
H 貫通穴
K 長尺体
1 長尺体支持ラック
2 熱膨張性隙間埋め材
3 蓋部材
4、8 側板部
5a、5b、9 底板部
10 拘束部材
11 板状部材
15 隙間埋め材
16 姿勢保持部
【技術分野】
【0001】
本発明は、壁や床等の区画体に形成された長尺体挿通用の貫通穴を通じて火災や火炎が建物内で伝播するのを抑止する目的で構築される貫通穴耐火措置構造に関し、詳しくは、左右の側板部と底板部とを備え、且つ、上方が開口又は開放した構造の長尺体支持ラックが前記貫通穴に前記底板部で長尺体を受止め支持する状態で挿設されているとともに、少なくとも長尺体の上部に耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材が配設されている貫通穴耐火措置構造に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の貫通穴耐火措置構造では、前記長尺体支持ラック内の長尺体が火災時の火炎や熱により消失した場合でも、その消失分の隙間を熱膨張性隙間埋め材の熱膨張で閉塞し得るように、少なくとも長尺体支持ラック内における長尺体の上部には、熱膨張性隙間埋め材が配設されている。
【0003】
そして、従来、貫通穴の内周面と長尺体支持ラックの外周面との間の全領域、及び、長尺体支持ラックと長尺体の外周面との間の全領域に対し、多数のブロック状の熱膨張性隙間埋め材を相互の圧縮力で位置保持される状態まで隙間なく挿設したものがある。(下記特許文献1参照)。
【0004】
【特許文献1】特開2007−291795号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところが、上記従来の貫通穴耐火措置構造では、熱膨張性隙間埋め材を貫通穴に順次に挿設していくに連れ、挿設済の熱膨張性隙間埋め材との摩擦抵抗が増大して熱膨張性隙間埋め材の挿入抵抗が徐々に大きくなるため、挿設済の熱膨張性隙間埋め材の位置がズレないように新たな熱膨張性隙間埋め材を挿設していくのが難しく、そのことで、施工時間が多くかかる問題があった。
【0006】
また、貫通穴の体積に近似する体積分(具体的には、貫通穴の体積から長尺体支持ラックと長尺体の体積を除いた体積分)の多量の熱膨張性隙間埋め材を使用するため、材料コストも高く付く問題があった。
【0007】
本発明は、上述の如き実情に鑑みてなされたものであって、その主たる課題は、施工が簡単で、且つ、熱膨張性隙間埋め材の使用量も少なくて済む貫通穴耐火措置構造を提供する点にある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明の第1特徴構成は、貫通穴耐火措置構造に係り、左右の側板部と底板部とを備え、且つ、上方が開口又は開放した構造の長尺体支持ラックが、区画体に形成された貫通穴に前記底板部で長尺体を受止め支持する状態で挿設されているとともに、
前記貫通穴の開口部には、前記長尺体支持ラックと貫通穴との間の隙間を閉塞する耐火措置用の蓋部材が長尺体の上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材を長尺体との間で挟持する状態で設けられている点にある。
【0009】
上記構成によれば、前記貫通穴の開口部に設けられた前記蓋部材でもって前記長尺体支持ラックと貫通穴との間の隙間を閉塞することができるから、その分、熱膨張性隙間埋め材の使用量を削減することが可能になる。
【0010】
しかも、前記蓋部材を貫通穴の開口部に配設するのに伴い、蓋部材と長者体との間で長尺体の上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材を挟持するから、熱膨張性隙間埋め材を長尺体の上部に簡単に配設することができて、施工性を大幅に高めることができる。
【0011】
本発明の第2特徴構成は、前記蓋部材が、前記熱膨張性隙間埋め材を圧縮変形させる状態で設けられている点にある。
【0012】
上記構成によれば、前記熱膨張性隙間埋め材の圧縮変形によって熱膨張性隙間埋め材と長尺体との密着面積が大きくなるから、火災時の火炎等で長尺体が消失した場合に生じる隙間を効率的に閉塞することが可能になる。
【0013】
本発明の第3特徴構成は、前記蓋部材が、前記長尺体支持ラックを挟み込み拘束する状態で長尺体支持ラックの周囲に取り付け可能な拘束部材と、前記拘束部材の外周面と区画体の外面とに亘る状態で貫通穴と拘束部材との間の隙間を閉塞可能な板状部材から構成されているとともに、
前記拘束部材には、前記板状部材を前記貫通穴と前記拘束部材との間の隙間を閉塞可能な所定姿勢に姿勢保持可能な姿勢保持部が設けられている点にある。
【0014】
上記構成によれば、長尺体の上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材を長尺体との間で挟持する状態で前記蓋部材を前記貫通穴の開口部に簡単に取り付けることが可能になり、これにより、施工性を一層高めることができる。
【0015】
本発明の第4特徴構成は、前記蓋部材における長尺体支持ラック側の端面には、圧縮変形可能な素材からなる耐火措置用の隙間埋め材が配設されている点にある。
【0016】
上記構成によれば、前記貫通穴に対する長尺体支持ラックの挿設位置が設計位置からズレている場合でも、前記蓋部材における長尺体支持ラック側の端面に配設された耐火措置用の前記隙間埋め材の圧縮変形によって長尺体支持ラックの位置ズレ分を吸収する形態で蓋部材を所望の位置に配設することが可能になり、耐火性能を安定的且つ効果的に得ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
[第1実施形態]
図1、図2は、壁体W(区画体の一例)における貫通穴Hが形成された部位の耐火措置構造を示し、複数本(本例では、10本)のケーブルK(長尺体の一例)を受止め支持する貫通穴設置用の金属製のケーブルラック1(長尺体支持ラックの一例)が横長矩形状の貫通穴Hのほぼ中央部に挿設されているとともに、ケーブルラック1の内部におけるケーブルKの周囲には、複数個(本例では、5個)のブロック状の隙間埋め材2が装備されている。
【0018】
更に、前記貫通穴Hの開口部には、ケーブルラック1と貫通穴Hとの間の環状の隙間を閉塞する耐火措置用の蓋部材3がケーブルKの上部に配置された隙間埋め材2をケーブルKとの間で挟持する状態で設けられている
【0019】
前記ケーブルラック1は、図1〜図3に示すように、左右一対の板金製の側板部材4(側板部の一例)と、幅寸法の異なる一対の板金製の底板部材5a、5b(底板部の一例)とから構成され、上方が開放した構造に構成されている。
【0020】
前記側板部材4の上部には、内向きに突出する上部折縁片4a(天井側の突片部の一例)が折り曲げ形成されているとともに、側板部材4の下部には、内向きに突出する下部折縁片4b(底側の突片部の一例)が折り曲げ形成されている。そして、両側板部材4の下部折縁片4bに底板部材5a、5bの両端部をネジやビス等の固定手段(図示しない)で固定することにより両側板部材4と底板部材5とが固定連結されている。
【0021】
前記ブロック状の隙間埋め材2は、図示しないが、熱膨張性と耐熱性を有する熱膨張性耐熱シール材をPE製等の可燃性素材からなる袋体に封入して略直方体形状に構成されている。当該隙間埋め材2の長手方向寸法は、側板部材4の高さ寸法よりも大なる寸法で構成されている。
【0022】
前記熱膨張性耐熱シール材としては、主として、無機質充填材、膨張黒鉛等の熱膨張材、未加硫ゴム・ポリオレフィンから組成されたものを採用している。当該熱膨張性耐熱シール材は、膨張開始温度120℃、熱膨張率4倍以上の物性を有している。
【0023】
前記蓋部材3は、珪酸カルシウム等の不燃性素材からなる複数枚(本例では、4枚)の板材(板状部材の一例)、具体的には、ケーブルラック1の幅寸法と同一の幅寸法で、且つ、ケーブルラック1の上辺から貫通穴Hの上辺までの高さ寸法よりも大なる高さ寸法の横長矩形状のラック上下方閉塞用の一対の板材6と、ケーブルラック1の側辺から貫通穴Hの側辺までの幅寸法よりも大なる幅寸法で、且つ、貫通穴Hの高さ寸法よりも大なる高さ寸法の縦長矩形状のラック側方閉塞用の一対の板材7から構成されている。
【0024】
次に、図1、図2に示す耐火措置構造を構成する耐火措置工法について説明する。
まず、図3、図4に示すように、ケーブルラック1´が前後に接続連結された状態で貫通穴Hに挿設された貫通穴設置用のケーブルラック1の長手方向所定位置(本例では、貫通穴Hに対する設置状態で貫通穴Hの開口部を跨ぐ位置)における側板部材4の内面に隣接する領域の各々に、ケーブルラック1の側板部材4の上部折縁片4aと下部折縁片4b及び底板部材5との間に押し込むことによりケーブルKの設置可能領域を制限する状態で隙間埋め材2を配設する。
【0025】
次に、図5に示すように、ケーブルラック1の底板部材5bにおける設置済の隙間埋め材2どうし間の領域(つまり、ケーブルKの設置可能領域)に、ケーブルKを所望の本数だけ設置する。
【0026】
その後、図6に示すように、ケーブルラック1の底板部材5bに設置されたケーブルKの上面に、ケーブルKの上方空間を閉塞するように複数(本例では3個)の隙間埋め材2を配置(具体的には、載置)する。
【0027】
そして、図7に示すように、蓋部材3を構成する板材6、7の各々を、壁体Wの厚み方向から壁体Wの外面に当て付けた状態で且つ壁体Wの面方向からケーブルラック1の外周面に当て付けた状態で、ビス18(固定手段の一例)により壁体Wに固定する。これにより、上方側の板材6の下端面からの押圧力でもって板材6とケーブルKとの間において隙間埋め材2を圧縮状態で挟持する状態で貫通穴Hの開口部を蓋部材3で閉塞する。
【0028】
[第2実施形態]
図8〜13に示すように、本第2実施形態では、前記ケーブルラック1が、左右一対の板金製の側板部8と、該側板部8とほぼ同じ長さ寸法の板金製の底板部9から一体的に構成されている。
【0029】
また、前記蓋部材3が、前記ケーブルラック1を挟み込み拘束する状態でケーブルラック1の周囲に取り付け可能な拘束部材10と、該拘束部材10の外周面と壁体Wの外面とに亘る状態で貫通穴Hと拘束部材10との間の隙間を閉塞可能な板状部材、具体的には、不燃性素材からなる略門の字状の上下一対の板材11から構成されている。
【0030】
前記側板部8の上部には、内向きに約90度の角度で突出する上部折縁片8a(天井側の突片部の一例)が折り曲げ形成されている。
【0031】
前記拘束部材10は、図10に示すように、前記ケーブルラック1を挟み込み拘束可能な板金製の一対の分割部材12から構成されている。当該分割部材12の各々は、ケーブルラック1の長手方向所定位置における上半部と下半部の各々を収納可能な略門の字状の基片部13と、該基片部13の両側壁部13aの端部から外向きに約90度の角度で突出形成された連結片部14とから構成されている。
【0032】
前記基片部13の内面の全域には、前述した隙間埋め材2と同じ仕様で且つ隙間埋め材2よりも厚み寸法の小さな第2の隙間埋め材15が両面テープ等の固定手段(図示しない)で張設されているとともに、前記連結片部14の各々には、前記貫通穴Hと前記拘束部材10との間の隙間を閉塞可能な所定姿勢に前記板材11を姿勢保持する姿勢保持部16が設けられている。
【0033】
当該姿勢保持部16を構成するのに、連結片部14の壁体W側の端辺部における片突出方向の中央位置には、板材11の端面を受止め支持可能な受止め支持片部16aと、該受け止め支持片部16aに板材11を受止め支持させた状態で板材11の裏面(壁体W側の面)に接当する接当片部16bからなる断面視Lの字状の受け片部16Aが折り曲げ形成されているとともに、連結片部14の壁体W側の端辺部における受け片部16Aの両脇には、受け止め支持片部16aに板材11を受止め支持させた状態で板材11の表面に接当する接当片部16Bが折り曲げ形成されている。
【0034】
また、前記連結片部14には、前記分割部材12どうしをネジ17(連結手段の一例)で連結するためのネジ孔14a(連結部の一例)が貫通形成されている。
【0035】
次に、図8、図9に示す耐火措置構造を構成する耐火措置工法について説明する。
まず、図11に示すように、ケーブルラック1´が前後に接続連結された状態で貫通穴Hに挿設された貫通穴設置用のケーブルラック1の長手方向所定位置(本例では、貫通穴Hに対する設置状態における貫通穴Hの開口部の外側位置)における側板部8の内面に隣接する領域の各々に、ケーブルラック1の側板部8の上部折縁片8aと底板部9との間に押し込むことによりケーブルKの設置可能領域を制限する状態で隙間埋め材2を配設する。
【0036】
次に、図示しないが、第1実施形態と同様、ケーブルラック1の底板部9における設置済の隙間埋め材2どうしの間の領域(つまり、ケーブルKの設置可能領域)にケーブルKを所望の本数だけ設置するとともに、設置済のケーブルKの上面に、ケーブルKの上方側空間を閉塞するように複数(本例では3個)の隙間埋め材2を配置する。
【0037】
その後、図12に示すように、蓋部材3を構成する一対の分割部材12でケーブルラック1を上下方向から挟み込み、その状態で分割部材12どうしをネジ17で連結することにより、図13に示すように、拘束部材10をケーブルラック1に取り付け、これにより、貫通穴Hの開口部を部分的に閉塞する。このとき、ケーブルラック1の上方側にはみだしていた隙間埋め材2が、拘束部材10による拘束力によって上方側の分割部材12とケーブルKとの間において圧縮状態で挟持される。
【0038】
そして、図13に示すように、ケーブルラック1に取り付けた拘束部材10における分割部材12の各受け片部16Aと接当片部16Bとの間に板材11を差し込んで板材11を貫通穴Hと拘束部材10との間の隙間を閉塞可能な所定姿勢に姿勢保持した状態で、ビス18により壁体Wの外面に板材11を固定することにより貫通穴Hの開口部を完全に閉塞する。
【0039】
尚、その他の構成は、第1実施形態で説明した構成と同一であるから、同一の構成箇所には、第1実施形態と同一の番号を付記してそれの説明は省略する。
【0040】
[その他の実施形態]
(1)前述の実施形態では、前記蓋部材3が、ケーブルKの上部に配置された隙間埋め材2をケーブルKとの間で直接的に挟持する状態で設けられている場合を例に示したが、例えば、蓋部材3と隙間埋め材2との間に別部材を介挿するなど、ケーブルKの上部に配置された隙間埋め材2をケーブルKとの間で間接的に挟持する状態で設けられていてもよい。
【0041】
(2)前述の各実施形態では、隙間埋め材2が、耐熱性熱膨張シール材と袋体から構成されている場合を例に示したが、耐熱性熱膨張シール材だけから構成されていてもよく、或いは、熱膨張性素材を含有する硬質の部材や軟質のパテ材等から構成されていてもよい。
【0042】
(3)前述の各実施形態では、隙間埋め材15が、耐熱性熱膨張シール材と袋体から構成されている場合を例に示したが、耐熱性熱膨張シール材だけから構成されていてもよく、或いは、熱膨張性素材を含有しないシール材や石材等から構成されていてもよく、要するに、隙間を閉塞可能なものであれば、種々のものから構成されていてもよい。
【0043】
(4)隙間埋め材2、15の形状や大きさ等の具体的構成は、前述の実施形態で示したブロック状に限らず、種々の構成変更が可能である。
【0044】
(5)前述の各実施形態では、区画体の一例として壁体Wを例に示したが、床スラブ等であってもよい。
【0045】
(6)蓋部材3を構成する板状部材は、純粋な板材に限らず繊維等で板状に構成した部材等であってもよい。
【0046】
(7)前述の各実施形態では、ケーブルラック1が、上方が開放した構造である場合を例に示したが、例えば、ケーブルラック1の天板部の一部に開口部が形成されているなどの上方が開口する構造であってもよい。
【0047】
(8)前述の各実施形態では、長尺体支持ラックの一例として、ケーブル用のケーブルラック1を例に示したが、配管類を支持するラック等であってもよい。
【0048】
(9)前述の第2実施形態では、拘束部材10と隙間埋め材2が貫通穴Hの開口部の外側(具体的には、板材11の外側)に配置される構成を例に示したが、拘束部材10の全部又は一部(例えば、隙間埋め材15を備える基片部13)と隙間埋め材2が貫通穴Hの開口部の内側(具体的には、板材11の内側)に配置される構成等であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】第1実施形態における耐火措置構造を示す正面図
【図2】図1のII−II線断面図
【図3】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図4】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図5】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図6】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図7】第1実施形態における耐火措置工法の説明図
【図8】第2実施形態における耐火措置構造を示す正面図
【図9】図8のIX−IX線断面図
【図10】第2実施形態における蓋部材の説明図
【図11】第2実施形態における耐火措置工法の説明図
【図12】第2実施形態における耐火措置工法の説明図
【図13】第2実施形態における耐火措置工法の説明図
【符号の説明】
【0050】
W 区画体
H 貫通穴
K 長尺体
1 長尺体支持ラック
2 熱膨張性隙間埋め材
3 蓋部材
4、8 側板部
5a、5b、9 底板部
10 拘束部材
11 板状部材
15 隙間埋め材
16 姿勢保持部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
左右の側板部と底板部とを備え、且つ、上方が開口又は開放した構造の長尺体支持ラックが、区画体に形成された貫通穴に前記底板部で長尺体を受止め支持する状態で挿設されているとともに、
前記貫通穴の開口部には、前記長尺体支持ラックと貫通穴との間の隙間を閉塞する耐火措置用の蓋部材が長尺体の上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材を長尺体との間で挟持する状態で設けられている貫通穴耐火措置構造。
【請求項2】
前記蓋部材が、前記熱膨張性隙間埋め材を圧縮変形させる状態で設けられている請求項1記載の貫通穴耐火措置構造。
【請求項3】
前記蓋部材が、前記長尺体支持ラックを挟み込み拘束する状態で長尺体支持ラックの周囲に取り付け可能な拘束部材と、前記拘束部材の外周面と区画体の外面とに亘る状態で貫通穴と拘束部材との間の隙間を閉塞可能な板状部材から構成されているとともに、
前記拘束部材には、前記板状部材を前記貫通穴と前記拘束部材との間の隙間を閉塞可能な所定姿勢に姿勢保持可能な姿勢保持部が設けられている請求項1又は2記載の貫通穴耐火措置構造。
【請求項4】
前記蓋部材における長尺体支持ラック側の端面には、圧縮変形可能な素材からなる耐火措置用の隙間埋め材が配設されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の貫通穴耐火措置構造。
【請求項1】
左右の側板部と底板部とを備え、且つ、上方が開口又は開放した構造の長尺体支持ラックが、区画体に形成された貫通穴に前記底板部で長尺体を受止め支持する状態で挿設されているとともに、
前記貫通穴の開口部には、前記長尺体支持ラックと貫通穴との間の隙間を閉塞する耐火措置用の蓋部材が長尺体の上部に配置された耐火措置用の熱膨張性隙間埋め材を長尺体との間で挟持する状態で設けられている貫通穴耐火措置構造。
【請求項2】
前記蓋部材が、前記熱膨張性隙間埋め材を圧縮変形させる状態で設けられている請求項1記載の貫通穴耐火措置構造。
【請求項3】
前記蓋部材が、前記長尺体支持ラックを挟み込み拘束する状態で長尺体支持ラックの周囲に取り付け可能な拘束部材と、前記拘束部材の外周面と区画体の外面とに亘る状態で貫通穴と拘束部材との間の隙間を閉塞可能な板状部材から構成されているとともに、
前記拘束部材には、前記板状部材を前記貫通穴と前記拘束部材との間の隙間を閉塞可能な所定姿勢に姿勢保持可能な姿勢保持部が設けられている請求項1又は2記載の貫通穴耐火措置構造。
【請求項4】
前記蓋部材における長尺体支持ラック側の端面には、圧縮変形可能な素材からなる耐火措置用の隙間埋め材が配設されている請求項1〜3のいずれか1項に記載の貫通穴耐火措置構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−121330(P2010−121330A)
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−294884(P2008−294884)
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年6月3日(2010.6.3)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年11月18日(2008.11.18)
【出願人】(000119830)因幡電機産業株式会社 (147)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【Fターム(参考)】
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