説明

貯湯式給湯システム

【課題】 給湯に利用される熱源機が他の熱負荷の動作にも利用される構成であっても、給湯温度を安定化することができる貯湯式給湯システムを提供する。
【解決手段】 貯湯タンク14の上部の温水温度が給湯設定温度以上の60℃に満たないとき、貯湯タンク14内の中間部の温水はバーナ70に送り出されて加熱され、貯湯タンク14の上部へ戻される。給湯経路46へは貯湯タンク14の上部から高温水が送り出される。バーナ70で加熱された温水が直接給湯経路46に送り出されることはない。暖房運転や風呂の追焚き運転に伴ってバーナ70の出口温度が変動しても、その温水は貯湯タンク14の上部へ一旦戻されるため、温度の変動が緩衝されてから、給湯経路46へ送り出される。バーナ70から貯湯タンク14に戻される温水の温度が急激に変動した場合でも、給湯温度を安定化することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電熱や太陽熱等で加熱された温水を貯湯タンクに貯湯しておき、貯湯タンクに貯湯しておいた温水を利用して必要時に給湯する貯湯式給湯システムに関する。特に、貯湯タンクの温水を必要に応じて熱源機で加熱し、加熱された温水を給湯やそれ以外の用途(暖房、風呂の追焚き等)に利用する貯湯式給湯システムに関する。
【背景技術】
【0002】
発電熱や太陽熱等で加熱された温水を貯湯しておいて給湯する給湯システムが知られている。発電熱や太陽熱等で加熱された温水は貯湯タンクに貯湯される。給湯運転時には、温水利用箇所で必要とする温水温度(給湯設定温度)よりも高温の温水が貯湯タンクに貯湯されていれば、貯湯タンクから送り出される温水と水道水(冷水)を混合手段で混合することによって必要温度に冷却して給湯する(非燃焼給湯運転)。温水利用箇所で必要とする温水温度(給湯設定温度)よりも低温の温水が貯湯タンクに貯湯されていれば、熱源機等で加熱して給湯する(燃焼給湯運転)必要があるが、水道水を熱源機等で加熱して給湯するときに比して必要な熱量は少なくてすむ。貯湯式給湯システムは、総合的なエネルギー効率が高い。
【0003】
貯湯式給湯システムでは、給湯中に給湯温度が変動すると使用者に不快感を与えるため、給湯温度の変動をできるだけ抑制する技術が求められている。
例えば特許文献1の貯湯式給湯システムでは、給湯運転が行われ、貯湯タンク内の高温水が減少すると、熱源機を作動させ、熱源機によって加熱した温水を給湯経路に送り出すとともに、貯湯タンク内にも貯える。給湯運転終了後に、貯湯タンク内に所定温度の高温水を所定量貯えておくようにすることによって、次の給湯運転開始時の給湯温度を安定させることができるとしている。
【0004】
【特許文献1】特開2004−263904号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
貯湯式給湯システムに備えられている熱源機が、給湯運転以外にも、暖房運転や風呂の追焚き運転等に利用される構成であると、熱源機によって温水を加熱するとき、その用途に合った温水温度に加熱する必要がある。例えば、エアコンなどの熱負荷の高い暖房を駆動させるとき、80℃以上の高温水が必要であるため、熱源機の出口温度が80℃以上となるように湯温制御される。また、床暖房機などの熱負荷の低い暖房を駆動させるとき、60℃以上の高温水が必要であるため、熱源機の出口温度が60℃以上となるように湯温制御される。そして、給湯要求があったとき、給湯設定温度以上の温水が必要であるため、熱源機の出口温度が給湯設定温度以上となるように湯温制御される。このように、熱源機の出口温度は、熱負荷の運転状況によって多様に変化する。
もし、給湯運転中にエアコンが駆動されたとすると、熱源機の出口温度が給湯設定温度から80℃まで急激に引き上げられることとなる。逆に、給湯運転とエアコンの駆動を並行して行っているとき、エアコンの駆動が停止されたとすると、熱源機の出口温度が80℃から給湯設定温度まで急激に引き下げられることとなる。特許文献1の貯湯式給湯システムでは、熱源機で加熱された温水は直接給湯経路に送り出される。給湯経路に送り出された高温水は混合弁によって水道水と混合される。混合弁での湯温制御は混合後の温水の温度によるフィードバック制御である。このため、熱源機の出口温度が急に変化すると、混合弁による湯温制御に遅れが生じ、給湯温度が不安定となる。即ち、給湯経路に送り出される温水温度が変動すれば、給湯温度も変動する。従って、特許文献1の貯湯式給湯システムの技術では、給湯温度を安定化することは困難である。
【0006】
本発明は、上記の問題を鑑みてなされたものである。給湯に利用される熱源機が他の熱負荷の動作にも利用される構成であっても、給湯温度を安定化することができる貯湯式給湯システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の貯湯式給湯システムは、温水を貯える貯湯タンクと、貯湯タンクの上部から温水を給湯する給湯経路と、貯湯タンクの下部へ給水する給水経路と、温水を加熱する熱源機と、貯湯タンク内の温水を熱源機へ送り出す熱源機往路と、熱源機で加熱された温水を貯湯タンク内へ戻す熱源機復路を備えている。その貯湯式給湯システムでは、熱源機往路が貯湯タンクの中間部に接続されており、熱源機復路が貯湯タンクの上部に接続されている。
なお本明細書では、貯湯タンクの上部と貯湯タンクの下部の間の部分を貯湯タンクの中間部と表現している。
【0008】
貯湯式給湯システムでは、貯湯タンク内の温水温度が給湯設定温度以上であれば、貯湯タンク内の温水を加熱することなく給湯することができるが、貯湯タンク内の温水温度が給湯設定温度に満たなければ、貯湯タンク内の温水を熱源機によって加熱する必要がある。本発明では、貯湯タンク内の温水温度が給湯設定温度に満たないとき、貯湯タンクの中間部から温水を取り出して熱源機で加熱し、加熱した温水を貯湯タンクの上部に戻す。貯湯タンクの内部には温度成層が形成されるから、貯湯タンクの上部に戻された温水は、より温度の低い貯湯タンクの中間部や下部の温水とは混合しないで、貯湯タンクの上部に高温のまま貯えられる。給湯経路へはこの貯湯タンクの上部へ貯えられた温水が送り出される。このような構成とすることによって、貯湯タンクの上部がバッファタンクとして機能し、熱負荷の状況によって熱源機の出口温度が変動しても、その温度変動は貯湯タンクの上部で緩衝されて、給湯経路へ送り出される温水の温度変動を抑制することができる。
また本発明では、熱源機へ送り出す温水を、貯湯タンクの下部からではなく、中間部から取り出す。通常は貯湯タンクの内部には温度成層が形成されており、貯湯タンクの中間部の温水の温度は貯湯タンクの下部の温水の温度より高い。従って、貯湯タンクの下部から温水を熱源機に送り出す場合に比べて、貯湯タンクの中間部から温水を熱源機に送り出す場合の方が、給湯設定温度の温水を得るために熱源機で必要とされる熱量が軽減される。貯湯タンクの蓄熱量が少ない場合であっても、少ない蓄熱を有効に活用して給湯設定温度の温水を得ることができる。
なお本明細書で言う「貯湯タンクの上部」や「貯湯タンクの中間部」の範囲は、貯湯式給湯システムを実際に使用する際の種々の要請に応じて変更される。例えば貯湯タンクの上部から給湯経路へ送り出される温水の温度変動を可能な限り抑制したい場合には、貯湯タンクの上部の範囲をより広いものとし、中間部の範囲をその下方とする。具体的には、熱源機往路が貯湯タンクに接続する位置をより下方に変更する。これによって、貯湯タンクの上部がバッファする高温の温水の容量が増加して、給湯経路へ送り出される温水の温度変動をさらに抑制することができる。また貯湯タンク内の蓄熱の利用効率を向上したい場合には、貯湯タンクの上部の範囲をより狭いものとし、中間部の範囲をその下方とする。具体的には、熱源機往路が貯湯タンクに接続する位置をより上方に変更する。これによって、貯湯タンクの上方に貯えられたより高温の温水を熱源機へ送り出すことが可能となり、給湯設定温度の温水を得るために熱源機で必要とされる熱量を軽減することができる。
【0009】
本発明の貯湯式給湯システムでは、給湯経路内に水道水を供給するとともに給湯経路内の温水と水道水との混合比が調整可能な混合手段をさらに備えていることが好ましい。
この構成によれば、貯湯タンクの上部の温水の温度が給湯設定温度よりも高温であっても、給湯設定温度に調温された温水を給湯することができる。本発明では、貯湯タンクの上部がバッファタンクとして機能し、給湯経路に供給される温水の温度変動が抑制されているから、混合手段における混合比の調整を素早く行えない場合であっても、安定した温度の温水を給湯することができる。混合手段の例としては、サーボ弁等が挙げられる。
【0010】
本発明の貯湯式給湯システムは、熱媒の熱を利用して暖房運転を行う暖房端末機と、暖房端末機内を通過する暖房循環経路と、暖房循環経路内の熱媒と熱源機復路内の温水との間で熱交換を行う暖房用熱交換器をさらに備えていることが好ましい。
この構成によれば、貯湯タンク内の温水を熱源機に送り出し、熱源機で加熱された温水を貯湯タンクへ戻すための循環経路を利用して、暖房用の循環経路内の熱媒を加熱する。熱源機の出口温度を調整することで、暖房端末機で必要とされる熱負荷に応じて熱媒を加熱することができる。この構成によれば、単一の熱源機を用いて貯湯タンクに貯えられた温水を必要に応じて加熱して、給湯運転と暖房運転の双方を行うことができる。さらに暖房端末機で必要とされる熱負荷に応じて熱源機の出口温度を調整した場合でも、貯湯タンクの上部がバッファタンクとして機能するため、給湯経路に供給される温水の温度を安定させることができる。
【0011】
本発明の貯湯式給湯システムは、浴槽内の温水を吸い出して浴槽内へ戻す風呂循環経路と、暖房循環経路の暖房端末機の上流側かつ暖房用熱交換器の下流側から分岐して暖房循環経路の暖房端末機の下流側かつ暖房用熱交換器の上流側に合流する追焚き循環経路と、風呂循環経路内の温水と追焚き循環経路内の熱媒との間で熱交換を行う追焚き用熱交換器をさらに備えていることが好ましい。
この構成によれば、貯湯タンク内の温水を熱源機に送り出し、熱源機で加熱された温水を貯湯タンクへ戻すための循環経路を利用して、暖房循環経路内の熱媒を加熱し、さらに、この暖房循環経路から分岐した風呂の追焚き用の循環経路を利用して、浴槽と接続されている風呂循環経路内の温水を加熱することができる。この構成によれば、単一の熱源機を用いて貯湯タンクに貯えられた温水を必要に応じて加熱して、給湯運転と、暖房運転と、風呂の追焚き運転を行うことができる。さらに暖房端末機や風呂の追焚きで必要とされる熱負荷に応じて熱源機の出口温度を調整した場合でも、貯湯タンクの上部がバッファタンクとして機能するため、給湯経路に供給される温水の温度を安定させることができる。
【0012】
本発明の貯湯式給湯システムは、暖房循環経路を流れる熱媒が温水であって、暖房循環経路に設けられた温水を貯えるシスターンをさらに備えており、貯湯タンク内の蓄熱量が上限値となると、貯湯タンク内の温水がシスターン内へ供給されることがさらに好ましい。
この構成によれば、例えば発電ユニット等からの熱回収によって貯湯タンク内の蓄熱量が上限値となっても、貯湯タンク内の高温水がシスターン内へ供給されるため、貯湯タンクへの熱回収を継続することができる。シスターン内の温水は暖房循環経路内を循環するため、シスターン内へ供給された高温水の熱は、暖房運転や風呂の追焚き運転に有効に活用することができる。シスターンが第2の貯湯タンクとして機能するため、更なる省エネルギー効果を得ることができる。
【発明の効果】
【0013】
本発明の貯湯式給湯システムによれば、給湯に利用される熱源機が他の熱負荷の動作にも利用される構成であっても、給湯温度を安定化することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の好適な実施形態を説明する。
(形態1)貯湯タンク内の温水を給湯栓へ送り出す経路は、貯湯タンクの天井部に接続されている。
(形態2)貯湯タンク内の温水を熱源機へ送り出す経路は、貯湯タンクの上方から約4分の1の箇所に接続されている。
(形態3)熱源機で加熱された温水を貯湯タンク内へ戻す経路は、貯湯タンクの天井部に接続されている。
(形態4)水道水を給湯経路内に供給する経路は、貯湯タンク内に水道水を給水する経路から分岐している。
(形態5)浴槽内に温水を湯張りする経路は、貯湯タンク内の温水を給湯栓へ給湯する経路から分岐した経路と、浴槽内の温水を追焚きするための循環経路によって形成される。
【実施例】
【0015】
(第1実施例)
本発明の貯湯式給湯システムを具現化した一実施例を図面を参照しながら説明する。本実施例は、本発明の貯湯式給湯システムを組込んだコージェネレーションシステムである。
本実施例のコージェネレーションシステムは、図1に示すように、発電ユニット150、給湯ユニット10、熱負荷108を備えている。
【0016】
発電ユニット150は、燃料電池(図示省略)、改質器(図示省略)、熱媒循環経路152、熱回収用熱交換器154を備えている。燃料電池は、改質器で生成される水素ガスを空気中の酸素と反応させて発電を行う。発電に伴って発電熱が発生し、発電熱によって熱媒循環経路152内の熱媒が加熱される。熱媒循環経路152内の熱媒の熱は熱回収用熱交換器154に入力される。
【0017】
給湯ユニット10は、貯湯部12、バーナ部68、暖房用熱交換器114、風呂用熱交換器124、各種流路、コントローラ146等を備えている。
コントローラ146は、制御プログラムを記憶している。コントローラ146には、リモコン148の操作信号と、以下で説明する各種流量センサの検出信号と各種サーミスタの検出信号等が入力される。コントローラ146は、入力された信号を制御プログラムで処理し、以下で説明する各種ポンプ、各種弁、バーナ等を制御する。
【0018】
貯湯部12は、貯湯タンク14、第1タンクサーミスタ16、第2タンクサーミスタ18、第3タンクサーミスタ20、第4タンクサーミスタ22を備えている。各タンクサーミスタ16,18,20,22は縦方向にほぼ均等に配置されており、貯湯タンク14内のそれぞれの位置の温水の温度を検出する。各タンクサーミスタ16,18,20,22の検出信号はコントローラ146に出力される。
貯湯タンク14の底部には、貯湯タンク14に水道水を給水する給水経路24が接続されている。給水経路24には、減圧弁26、給水サーミスタ28、給水量センサ30、給水量サーボ32、混合サーボ34が介装されている。減圧弁26は、給水経路24の上流端近傍に配置されている。減圧弁26は給水圧力を調整するものであり、減圧弁26の下流側圧力が低下すると開き、圧力を所定の調圧値に維持しようとする。このため、貯湯タンク14内の温水が減少したり、後述する混合サーボ34が開いたりすると、減圧弁26の作用によって水道水が給水される。給水サーミスタ28は、給水される水道水の温度を検出する。給水量センサ30は、給水される水道水の流量を検出する。給水サーミスタ28の検出信号と給水量センサ30の検出信号はコントローラ146に出力される。給水量サーボ32と混合サーボ34は、いずれもステッピングモータを内蔵しており、これが駆動されることによって開度が調整されて流量を変化させる。給水量サーボ32は、給水される水道水の流量を調整する。給水量サーボ32の開度はコントローラ146によって制御される。混合サーボ34は、給水経路24と混合経路36の接続部に配置されている。混合サーボ34については後で詳述する。
給水経路24の混合サーボ34の下流側に排水経路38が接続されている。排水経路38の他端は圧力開放経路42に接続されている。圧力開放経路42はコージェネレーションシステムの外部に開放されている。排水経路38には排水弁40が介装されている。排水弁40の開閉は手動で行う。排水弁40が開かれると、貯湯タンク14内の温水が排水経路38と圧力開放経路42を経て排水される。
【0019】
貯湯タンク14の天井部には、貯湯タンク14内の温水を給湯栓44に給湯する給湯経路46が接続されている。給湯栓44は、浴室、洗面所、台所等にそれぞれ配設されている。給湯経路46には、圧力逃し弁48、温水電磁弁50、高温サーミスタ52、給湯サーミスタ54が介装されている。また、給湯経路46には、先述の混合経路36が接続されている。混合経路36は、温水電磁弁50の下流側であり、かつ高温サーミスタ52と給湯サーミスタ54の間に接続されている。
圧力逃し弁48は圧力開放経路42と接続されている。温水電磁弁50は、給湯が開始されると開かれ、給湯が終了すると閉じられる。給湯が開始されたか否かは、給水量センサ30の検出流量に基づいてコントローラ146によって判断される(後で詳述する)。高温サーミスタ52は、貯湯タンク14から送り出された温水の温度を検出する。給湯サーミスタ54は、給湯経路46からの温水と混合経路36からの水道水との混合水の温度を検出する。高温サーミスタ52と給湯サーミスタ54の検出信号はコントローラ146に出力される。給湯経路46からの温水と混合経路36からの水道水との混合比は、混合サーボ34の開度によって調整される。混合サーボ34の開度を調整することによって給湯温度を調温することができる。混合サーボ34の開度は、給水サーミスタ28の検出温度と給湯サーミスタ54の検出温度に基づいてコントローラ146によって指示される。
【0020】
貯湯タンク14と発電ユニット150は熱回収循環経路56によって接続されている。熱回収循環経路56は熱回収用熱交換器154を通過するように配設されている。熱回収循環経路56は、貯湯タンク14から熱回収用熱交換器154へ向かう経路が熱回収循環往路56aであり、熱回収用熱交換器154から貯湯タンク14へ向かう経路が熱回収循環復路56bである。
熱回収循環往路56aは貯湯タンク14の底部と熱回収用熱交換器154の上流端を接続している。熱回収循環往路56aには熱回収循環ポンプ58と循環往路サーミスタ60が介装されている。熱回収循環ポンプ58は熱回収循環経路56内の温水を循環させる。熱回収循環ポンプ58は、発電運転中や熱回収循環経路56内の温水の凍結防止運転中に駆動される。熱回収循環ポンプ58の駆動はコントローラ146によって制御される。循環往路サーミスタ60は、貯湯タンク14の近傍に配置されて、貯湯タンク14から送り出される温水の温度を検出する。循環往路サーミスタ60の検出信号はコントローラ146に出力される。
熱回収循環復路56bは熱回収用熱交換器154の下流端と貯湯タンク14の天井部を接続している。熱回収循環復路56bには循環復路サーミスタ62と三方弁64が介装されている。循環復路サーミスタ62は三方弁64の上流側に配置されて、熱回収用熱交換器154を通過した後の温水の温度を検出する。循環復路サーミスタ62の検出信号はコントローラ146に出力される。三方弁64は2つの入口64a,64bと出口64cを有している。熱回収循環復路56bの上流側部分が入口64aに接続されており、熱回収循環復路56bの下流側部分が出口64cに接続されている。三方弁64の入口64bにはバイパス経路66の一端が接続されている。バイパス経路66の他端は熱回収循環往路56aの途中に接続されている。三方弁64の入口64aと出口64cが連通すると、発電ユニット150と貯湯タンク14を経由する循環経路が形成され、三方弁64の入口64bと出口64cが連通すると、発電ユニット150を経由して貯湯タンク14をバイパスする循環経路が形成される。三方弁64の切換えはコントローラ146によって制御される。
【0021】
バーナ部68は、バーナ70、潜熱熱交換器72、顕熱熱交換器74を備えている。バーナ70は、ガスを燃料として燃焼する。バーナ70で発生する燃焼排ガスの熱によって潜熱熱交換器72内の温水が予備加熱される。このときの燃焼排ガスの温度低下によって燃焼排ガス中の水蒸気が凝縮し、窒素酸化物が溶け込んだ酸性ドレンが生成される。潜熱熱交換器72で予備加熱された温水は、顕熱熱交換器74でバーナ70の燃焼熱によって再加熱される。
潜熱熱交換器72には、ドレンを排出又は回収するためのドレン経路92が接続されている。ドレン経路92は、圧力開放経路42に接続されている。ドレン経路92には、中和器94が介装されている。中和器94内には炭酸カルシウムが充填されている。酸性のドレンは、中和器94内を通過する間に、炭酸カルシウムによってpH6から7に中和される。ドレン経路92の中和器94の下流側には、オーバーフロー経路98が接続している。オーバーフロー経路98の他端はシスターン100に接続されており、シスターン100内の温水が所定の水位を超える場合に、その所定の水位を超える分の温水をシスターン100から排出する。
【0022】
貯湯タンク14とバーナ部68は、バーナ循環経路76によって接続されている。バーナ循環経路76は、バーナ部68内の潜熱熱交換器72と顕熱熱交換器74を順に通過するように配設されている。バーナ循環経路76は、貯湯タンク14からバーナ部68へ向かう経路がバーナ循環往路76aであり、バーナ部68から貯湯タンク14へ向かう経路がバーナ循環復路76bである。バーナ循環経路76には、バーナ部68をバイパスするバイパス経路78が形成されている。バイパス経路78の上流端はバーナ循環往路76aに接続されており、バイパス経路78の下流端はバーナ循環復路76bに接続されている。
バーナ循環往路76aは貯湯タンク14の中間部(第1タンクサーミスタ16と第2タンクサーミスタ18との中間)と潜熱熱交換器72の上流端を接続している。バーナ循環往路76aには、バーナ循環ポンプ80、バーナ循環流量センサ82、バーナ循環流量サーボ84、バーナバイパスサーボ86が介装されている。バーナ循環ポンプ80はバーナ循環経路76内の温水を循環させる。バーナ循環ポンプ80の駆動はコントローラ146によって制御される。バーナ循環流量センサ82は、バーナ循環経路76内の温水の流量を検出する。バーナ循環流量センサ82の検出信号はコントローラ146に出力される。バーナ循環流量サーボ84とバーナバイパスサーボ86は、いずれもステッピングモータを内蔵しており、これが駆動されることによって開度が調整されて流量を変化させる。バーナ循環流量サーボ84は、バーナ循環経路76内の温水の流量を調整する。バーナ循環流量サーボ84の開度はコントローラ146によって制御される。バーナバイパスサーボ86は、バーナ循環往路76aとバイパス経路78の上流端との接続部に配置されており、バーナ循環経路76内の温水のうち、バーナ部68側へ流れる温水の流量とバイパス経路78側へ流れる温水の流量の割合を調整する。バーナバイパスサーボ86の開度を調整することによって、バーナ循環復路76bとバイパス経路78の下流端との接続部の下流側の温水温度を調温することができる。バーナバイパスサーボ86の開度はコントローラ146によって制御される。
バーナ循環復路76bは顕熱熱交換器74の下流端と貯湯タンク14の天井部を接続している。バーナ循環復路76bは暖房用熱交換器114を通過するように配設されている。暖房用熱交換器114にはバーナ循環復路76b内の温水の熱が入力される。バーナ循環復路76bにはバーナ出口サーミスタ88と熱交換器出口サーミスタ90が介装されている。バーナ出口サーミスタ88は、バーナ循環復路76bとバイパス経路78の下流端との接続部よりも下流側に配置されて、バーナ部68及び/又はバイパス経路78を通過した後の温水の温度を検出する。熱交換器出口サーミスタ90は、暖房用熱交換器114の下流側に配置されて、暖房用熱交換器114を通過した後の温水の温度を検出する。バーナ出口サーミスタ88の検出信号と熱交換器出口サーミスタ90の検出信号はコントローラ146に出力される。
【0023】
給湯経路46からは、シスターン給水経路102が分岐している。シスターン給水経路102には、負圧弁104、シスターン給水弁106が介装されている。負圧弁104は、断水時等で給水経路24が負圧になったときに開かれ、大気を吸引して貯湯タンク14の負圧による破損を防止する。シスターン給水弁106は、シスターン100に貯湯タンク14からの温水を給水するときに開かれる。シスターン100内の温水は図示しない水位センサによって水位が監視されている。シスターン100内の温水の水位が、所定の水位範囲内であるときにはシスターン給水弁106は閉じられており、所定の水位範囲を逸脱したことが判別されるとシスターン給水弁106が開かれる。シスターン給水弁106の開閉はコントローラ146によって制御される。
【0024】
本実施例では、熱負荷108として暖房装置、風呂装置、給湯装置を有している。暖房装置の端末機としては、エアコンと床暖房機を有している。図1中では、エアコンと床暖房機を暖房端末機110として示している。シスターン100と暖房端末機110は暖房循環経路112によって接続されている。暖房循環経路112は、シスターン100から暖房端末機110へ向かう経路が暖房循環往路112aであり、暖房端末機110からシスターン100へ向かう経路が暖房循環復路112bである。暖房循環往路112aは暖房用熱交換器114を通過するように配設されている。暖房循環往路112aには、暖房循環ポンプ116、暖房循環サーミスタ118が介装されている。暖房循環ポンプ116は、暖房循環経路112内の温水を循環させる。暖房循環ポンプ116は、暖房端末機110のスイッチの操作に伴って駆動される。暖房循環ポンプ116の駆動はコントローラ146によって制御される。暖房循環サーミスタ118は、暖房用熱交換器114の下流側に配置されて、暖房用熱交換器114を通過した後の温水の温度を検出する。暖房循環サーミスタ118の検出信号はコントローラ146に出力される。暖房端末機110内の暖房循環経路112には暖房熱動弁120が介装されている。暖房熱動弁120は、暖房端末機のスイッチの操作に伴って開閉する。暖房熱動弁120の開閉はコントローラ146によって制御される。
【0025】
暖房循環往路112aの暖房用熱交換器114の下流側であり、かつ暖房循環サーミスタ118の下流側からは、追焚き経路122が分岐している。追焚き経路122の下流端は暖房循環復路112bのシスターン100近傍に接続されている。追焚き経路122は風呂用熱交換器124を通過するように配設されている。暖房循環往路112a内の温水の熱は、風呂用熱交換器124に入力される。追焚き経路122には、追焚き熱動弁126が介装されている。追焚き熱動弁126は、風呂の追焚きスイッチの操作に伴って開閉する。追焚き熱動弁126の開閉はコントローラ146によって制御される。
【0026】
風呂の浴槽128には風呂循環経路130が接続されている。風呂循環経路130は、風呂用熱交換器124を通過するように配設されている。風呂循環経路130は、浴槽128から風呂用熱交換器124へ向かう経路が風呂循環往路130aであり、風呂用熱交換器124から浴槽128へ向かう経路が風呂循環復路130bである。風呂循環往路130aには、風呂水位センサ132、風呂循環ポンプ134、風呂水流スイッチ136、風呂循環サーミスタ138が介装されている。風呂水位センサ132は、風呂循環経路130内の温水の水圧を検出する。風呂水位センサ132の検出信号はコントローラ146に出力される。風呂水位センサ132によって検出される水圧は、浴槽128内の温水の水位を推定するために利用される。風呂循環ポンプ134は、風呂循環経路130内の温水を循環させる。風呂循環ポンプ134は、リモコン148のスイッチの操作に伴って駆動される。風呂循環ポンプ134の駆動はコントローラ146によって制御される。風呂水流スイッチ136は、風呂循環経路130内を温水が流れるとオンとなる。風呂水流スイッチ136のオンオフ信号はコントローラ146に出力される。風呂循環サーミスタ138は、風呂用熱交換器124の上流側に配置されて、風呂用熱交換器124に入水する温水の温度を検出する。風呂循環サーミスタ138の検出信号はコントローラ146に出力される。
【0027】
給湯経路46と風呂循環経路130は、湯張り経路140によって接続されている。湯張り経路140の上流端は給湯経路46の給湯サーミスタ54の下流側に接続されており、湯張り経路140の下流端は風呂循環経路130の風呂循環往路130aの風呂循環ポンプ134と風呂水流スイッチ136との間に接続されている。湯張り経路140には、湯張り量センサ142、注湯電磁弁144が介装されている。湯張り量センサ142は、湯張り経路140を通過する温水の流量を検出する。湯張り量センサ142の検出信号はコントローラ146に出力される。注湯電磁弁144は、リモコン148のスイッチの操作や浴槽128内の温水の水位によって開閉する。注湯電磁弁144の開閉はコントローラ146によって制御される。
【0028】
次に、給湯ユニット10で行われる蓄熱運転、給湯運転、暖房運転、風呂湯張り運転、風呂追焚き運転についてそれぞれ説明する。
【0029】
(蓄熱運転)
蓄熱運転については、従来のコージェネレーションシステムと同様に行われるため、詳細な説明を避け、概略の説明に留める。発電ユニット150において発電運転が行われると、熱媒循環経路152内の熱媒が循環し、熱回収用熱交換器154に発電熱が入力される。給湯ユニット10では、熱回収循環ポンプ58が駆動され、貯湯タンク14内の温水が、貯湯タンク14の底部から熱回収循環往路56aへ吸い出される。熱回収循環往路56a内の温水は、熱回収用熱交換器154へ流入して加熱される。加熱された温水は熱回収循環復路56bを経て貯湯タンク14の天井部へ戻される。これによって、発電ユニット150において発電に伴って発生する発電熱が貯湯タンク14内へ回収されて蓄熱される。貯湯タンク14内の温水は上部から昇温していく。
【0030】
貯湯タンク14内への蓄熱が完了し、満蓄状態となると、シスターン給水弁106が開かれる。これによって、貯湯タンク14の上部に貯められていた高温水がシスターン給水経路102を経てシスターン100内へ供給される。シスターン100内の温水は、後述する暖房運転や風呂の追焚き運転を行うときに利用する。
【0031】
(給湯運転)
給湯運転について、図2、図3を用いて説明する。図2は給湯運転におけるコージェネレーションシステムの動作の概要を示している。給湯運転では、図2中に太線で示す経路内を水又は温水が流通する。図3は給湯運転のフローチャートである。図3のステップS10では、給水量センサ30の検出流量が2.7リットル/min以上であるか否かが判別される。給水量センサ30の検出流量が2.7リットル/min以上となると(ステップS10でYESとなると)、給湯栓44が開かれて給湯要求があったとみなされる。ステップS12に進み、温水電磁弁50が開かれる。これによって、貯湯タンク14内の上部に貯められていた温水が給湯経路46に送り出される。
【0032】
ステップS14に進み、第1タンクサーミスタ16の検出温度が60℃以上であるか否かが判別される。第1タンクサーミスタ16の検出温度が60℃以上であれば(ステップS14でYESであれば)、貯湯タンク14内の温水を加熱することなく給湯に利用することが可能とみなされる。このような場合、ステップS16に進み、非燃焼給湯運転が行われる。非燃焼給湯運転では、バーナ70を燃焼させず、バーナ循環ポンプ80も駆動されない。給湯サーミスタ54の検出温度が給湯設定温度となるように、混合サーボ34の開度が調整される。
第1タンクサーミスタ16の検出温度が60℃未満であれば(ステップS14でNOであれば)、貯湯タンク14内の温水を加熱することなく給湯に利用することが不可能とみなされる。このような場合、ステップS22に進み、燃焼給湯運転が行われる。燃焼給湯運転では、バーナ70が点火され、バーナ循環ポンプ80が駆動される。これによって、貯湯タンク14の中間部の温水が、バーナ循環往路76aを経てバーナ部68に送り出されて加熱される。ステップS24に進み、バーナ出口サーミスタ88の検出温度が65℃となるようにバーナ70の燃焼量とバーナバイパスサーボ86の開度が制御される。バーナ部68に送り出された温水は65℃に加熱され、バーナ循環復路76bを経て貯湯タンク14の上部に戻される。
【0033】
ステップS18では、給水量センサ30の検出流量が2.0リットル/min以下であるか否かが判別される。給水量センサ30の検出流量が2.0リットル/minを超えていれば(ステップS18でNOであれば)、まだ給湯栓44は開かれており、給湯中であるとみなされてステップS14へ戻る。貯湯タンク14の上部の温水温度が60℃以上であれば非燃焼給湯運転が行われ、貯湯タンク14の上部の温水温度が60℃未満であれば燃焼給湯運転が行われることとなる。燃焼給湯運転が行われることによって、バーナ70によって65℃に加熱された温水が、貯湯タンク14の第1タンクサーミスタ16より上部に貯められる。これによって、貯湯タンク14の上部は65℃の温水が貯められたバッファタンクとなる。バッファタンク化した貯湯タンク14の上部から65℃の温水が給湯経路46に送り出され、給湯設定温度に調温されて給湯される。給湯温度の調温は、混合サーボ34の開度を調整することによってなされる。給水サーミスタ28の検出温度と給湯サーミスタ54の検出温度から、給湯サーミスタ28の検出温度が給湯設定温度となるように混合サーボ34の開度が調整される。
ステップS18で、給水量センサ30の検出流量が2.0リットル/min以下となれば(YESとなれば)、給湯栓44が閉じられたとみなされる。ステップS20へ進み、温水電磁弁50が閉じられて給湯運転が終了される。
【0034】
(暖房運転)
暖房運転について、図4、図5を用いて説明する。図4は暖房運転におけるコージェネレーションシステムの動作の概要を示している。暖房運転では、図4中に実線で示す経路内を水又は温水が流通する。図5は暖房運転のフローチャートである。図5のステップS40では、暖房装置のリモコンのスイッチが操作されて、暖房のオン信号が出力されたか否かが判別される。暖房のオン信号が出力されたことが判別されると(ステップS40でYESとなると)、暖房端末機110の運転要求があったとみなされる。ステップS42に進み、バーナ70が点火され、バーナ循環ポンプ80が駆動される。これによって、貯湯タンク14の中間部の温水が、バーナ循環往路76aを経てバーナ部68に送り出されて加熱される。
【0035】
ステップS44では、起動した暖房装置が高温端末機であるか否かが判別される。本実施例では、高温端末機はエアコンであり、低温端末機は床暖房機である。高温端末機が起動したと判別されると(ステップS44でYESであると)、ステップS46に進む。高温端末機を動作させるためには、80℃の高温の温水が必要であるため、ステップS46では、バーナ出口サーミスタ88の検出温度が85℃となるようにバーナ70の燃焼量とバーナバイパスサーボ86の開度が調整される。バーナ部68で加熱されて85℃となった温水は、バーナ循環復路76bに送り出され、暖房用熱交換器114を通過する。このとき、バーナ循環復路76b内の85℃の温水の熱が暖房用熱交換器114に入力される。暖房用熱交換器114を通過して温度低下した温水は、バーナ循環復路76bを経て貯湯タンク14の上部に戻される。
ステップS48に進み、暖房熱動弁120が開かれ、暖房循環ポンプ116が駆動される。これによって、シスターン100内の温水が、暖房循環往路112aに送り出され、暖房用熱交換器114を通過する。このとき、暖房循環往路112a内の温水は、暖房用熱交換器114において加熱される。ステップS50に進み、暖房循環サーミスタ118の検出温度が80℃となるように暖房循環ポンプ116の駆動が調整される。暖房用熱交換器114において80℃に加熱された暖房循環往路112a内の温水は、高温端末機(エアコン)内の熱交換器内を通過する。この熱交換器に空気が吹付けられ、吹付けられた空気が加熱されて温風となり、エアコンの吹出し口から吹出される。高温端末機である暖房端末機110を通過して温度低下した温水は、暖房循環復路112bを経てシスターン100に戻される。
【0036】
ステップS44で、起動した暖房装置が高温端末機でないと判別されると(ステップS44でNOであると)、低温端末機(床暖房機)が起動したとみなされてステップS58に進む。低温端末機を動作させるためには、60℃の高温の温水が必要であるため、ステップS58では、バーナ出口サーミスタ88の検出温度が65℃となるようにバーナ70の燃焼量とバーナバイパスサーボ86の開度が調整される。バーナ部68で加熱されて65℃となった温水は、バーナ循環復路76bに送り出され、暖房用熱交換器114を通過する。このとき、バーナ循環復路76b内の65℃の温水の熱が暖房用熱交換器114に入力される。暖房用熱交換器114を通過して温度低下した温水は、バーナ循環復路76bを経て貯湯タンク14の上部に戻される。
ステップS60に進み、暖房熱動弁120が開かれ、暖房循環ポンプ116が駆動される。これによって、シスターン100内の温水が、暖房循環往路112aに送り出され、暖房用熱交換器114を通過する。このとき、暖房循環往路112a内の温水は、暖房用熱交換器114において加熱される。ステップS62に進み、暖房循環サーミスタ118の検出温度が60℃となるように暖房循環ポンプ116の駆動が調整される。暖房用熱交換器114において60℃に加熱された暖房循環往路112a内の温水は、低温端末機(床暖房機)内を通過する。これによって上方の床材が温められる。低温端末機である暖房端末機110を通過して温度低下した温水は、暖房循環復路112bを経てシスターン100に戻される。
【0037】
ステップS52で暖房装置のリモコンのスイッチが操作されて、暖房のオフ信号が出力されるまでは、上記のステップS44からステップS52の処理が繰返される。暖房のオフ信号が出力されたことが判別されると(ステップS52でYESとなると)、暖房端末機110の運転停止要求があったとみなされる。ステップS54に進み、バーナ70が消火され、バーナ循環ポンプ80が停止される。さらにステップS56に進み、暖房熱動弁120が閉じられ、暖房循環ポンプ56が停止されて暖房運転が終了する。
【0038】
(風呂追焚き運転)
風呂の追焚き運転について、図6、図7を用いて説明する。図6は追焚き運転におけるコージェネレーションシステムの動作の概要を示している。追焚き運転では、図6中に実線で示す経路内を水又は温水が流通する。図7は追焚き運転のフローチャートである。図7のステップS80では、リモコン148の風呂の追焚きスイッチが操作されて、追焚きのオン信号が出力されたか否かが判別される。追焚きのオン信号が出力されたことが判別されると(ステップS80でYESとなると)、追焚き要求があったとみなされる。ステップS82に進み、バーナ70が点火され、バーナ循環ポンプ80が駆動される。これによって、貯湯タンク14の中間部の温水が、バーナ循環往路76aを経てバーナ部68に送り出されて加熱される。浴槽128内及び風呂循環経路130内の温水を速やかに加熱するためには、80℃の高温の温水が必要であるため、ステップS84では、バーナ出口サーミスタ88の検出温度が85℃となるようにバーナ70の燃焼量とバーナバイパスサーボ86の開度が調整される。バーナ部68で加熱されて85℃となった温水は、バーナ循環復路76bに送り出され、暖房用熱交換器114を通過する。このとき、バーナ循環復路76b内の85℃の温水の熱が暖房用熱交換器114に入力される。暖房用熱交換器114を通過して温度低下した温水は、バーナ循環復路76bを経て貯湯タンク14の上部に戻される。
ステップS86に進み、追焚き熱動弁126が開かれるとともに、暖房循環ポンプ116が駆動される。これによって、シスターン100内の温水が、暖房循環往路112aに送り出され、暖房用熱交換器114を通過する。このとき、暖房循環往路112a内の温水は、暖房用熱交換器114において加熱される。ステップS88に進み、暖房循環サーミスタ118の検出温度が80℃となるように暖房循環ポンプ116の駆動が調整される。暖房用熱交換器114において80℃に加熱された暖房循環往路112a内の温水は、追焚き経路122に送り出され、風呂用熱交換器124を通過する。このとき、追焚き経路122内の約80℃の温水の熱が風呂用熱交換器124に入力される。風呂用熱交換器124を通過して温度低下した温水は、追焚き経路122を経てシスターン100に戻される。
ステップS90に進み、風呂循環ポンプ134が駆動される。これによって、浴槽128内の温水が、風呂循環往路130aに送り出され、風呂用熱交換器124を通過する。このとき、風呂循環往路130a内の温水は、風呂用熱交換器124において加熱される。風呂用熱交換器124において加熱された風呂循環往路130a内の温水は、風呂循環復路130bを経て浴槽128に戻される。
【0039】
ステップS92で、風呂循環サーミスタ138の検出温度が追焚き設定温度となったことが判別されるまでは、上記の処理が繰返される。風呂循環サーミスタ138の検出温度が追焚き設定温度となったことが判別されると(ステップS92でYESとなると)、浴槽128内の温水の温度が追焚き設定温度となったとみなされる。ステップS94に進み、バーナ70が消火され、バーナ循環ポンプ80が停止される。次にステップS96に進み、追焚き熱動弁126が閉じられ、暖房循環ポンプ56が停止される。さらにステップS98に進み、風呂循環ポンプ134が停止されて風呂の追焚き運転が終了する。
【0040】
(風呂湯張り運転)
風呂の湯張り運転について、図8、図9を用いて説明する。図8は湯張り運転におけるコージェネレーションシステムの動作の概要を示している。湯張り運転では、図8中に実線で示す経路内を水又は温水が流通する。図9は湯張り運転のフローチャートである。図9のステップS110では、リモコン148の風呂の湯張りスイッチが操作されて、湯張りのオン信号が出力されたか否かが判別される。湯張りのオン信号が出力されたことが判別されると(ステップS110でYESとなると)、湯張り要求があったとみなされる。ステップS112に進み、注湯電磁弁144が開かれるとともに、温水電磁弁50が開かれる。これによって、貯湯タンク14内の上部に貯められていた温水が給湯経路46に送り出され、湯張り経路140、風呂循環経路130を経て、浴槽128内に供給される。ステップS114では、湯張り量センサ142の検出流量の積算が開始される。
【0041】
ステップS116に進み、第1タンクサーミスタ16の検出温度が60℃以上であるか否かが判別される。第1タンクサーミスタ16の検出温度が60℃以上であれば(ステップS116でYESであれば)、貯湯タンク14内の温水を加熱することなく湯張りに利用することが可能とみなされる。このような場合、ステップS118に進み、非燃焼湯張り運転が行われる。非燃焼湯張り運転では、バーナ70を燃焼させず、バーナ循環ポンプ80も駆動されない。給湯サーミスタ54の検出温度が湯張り設定温度となるように、混合サーボ34の開度が調整される。
第1タンクサーミスタ16の検出温度が60℃未満であれば(ステップS116でNOであれば)、貯湯タンク14内の温水を加熱することなく湯張りに利用することが不可能とみなされる。このような場合、ステップS124に進み、燃焼湯張り運転が行われる。燃焼湯張り運転では、バーナ70が点火され、バーナ循環ポンプ80が駆動される。これによって、貯湯タンク14の中間部の温水がバーナ循環往路76aを経てバーナ部68に送り出されて加熱される。ステップS126に進み、バーナ出口サーミスタ88の検出温度が65℃となるようにバーナ70の燃焼量とバーナバイパスサーボ86の開度が制御される。バーナ部68に送り出された温水は65℃に加熱され、バーナ循環復路76bを経て貯湯タンク14の上部に戻される。
【0042】
ステップS120では、湯張り量センサ142の積算流量が湯張り設定水量であるか否かが判別される。湯張り量センサ142の積算流量が湯張り設定水量に満たなければ(ステップS120でNOであれば)、ステップS116へ戻る。貯湯タンク14の上部の温水温度が60℃以上であれば非燃焼湯張り運転が行われ、貯湯タンク14の上部の温水温度が60℃未満であれば燃焼湯張り運転が行われることとなる。燃焼湯張り運転が行われることによって、バーナ70によって65℃に加熱された温水が、貯湯タンク14の第1タンクサーミスタ16より上部に貯められる。これによって、貯湯タンク14の上部は60℃以上の温水が貯められたバッファタンクとなる。バッファタンク化した貯湯タンク14の上部から60℃以上の温水が給湯経路46に送り出され、湯張り設定温度に調温されて給湯される。湯張り温度の調温は、混合サーボ34の開度を調整することによってなされる。給水サーミスタ28の検出温度と給湯サーミスタ54の検出温度から、給湯サーミスタ28の検出温度が湯張り設定温度となるように混合サーボ34の開度が調整される。
ステップS120で、湯張り量センサ142の積算流量が湯張り設定水量となれば(ステップS120でYESとなれば)、湯張りが完了したとみなされる。ステップS122へ進み、注湯電磁弁144が閉じられるとともに、温水電磁弁50が閉じられて湯張り運転が終了される。
【0043】
上述の給湯運転が、暖房運転や風呂の追焚き運転と並行して行われるとき、バーナ出口サーミスタ88の検出温度は、給湯設定温度よりも要求温度が高い、暖房運転の要求温度(80℃又は60℃)や風呂の追焚き運転(80℃)の要求温度となるように制御される。給湯運転中に、暖房運転や風呂の追焚き運転が開始されたとすると、給湯中に、バーナ70で調温される温水の温度が、給湯設定温度から暖房運転の要求温度や風呂の追焚き運転の要求温度へ上昇することとなる。逆に、給湯運転と暖房運転や風呂の追焚き運転が並行して行われており、給湯運転は継続しながら、暖房運転や風呂の追焚き運転が停止されたとすると、給湯中に、バーナ70で調温される温水の温度が、暖房運転の要求温度や風呂の追焚き運転の要求温度から給湯設定温度へ低下することとなる。
もし、バーナで調温された温水が直接給湯経路に送り出される構成とすると、バーナの出口温度が急に変化することで、混合サーボによる湯温制御に遅れが生じ、給湯温度が不安定となることは免れない。
【0044】
本実施例では、貯湯タンク14内の温水温度が給湯設定温度以上の60℃に満たないとき、貯湯タンク14内の中間部の温水はバーナ70に送り出されて加熱され、その後貯湯タンク14の天井部から戻される。これによって、貯湯タンク14の上部が高温水のバッファタンクとなる。給湯経路46へは貯湯タンク14の天井部から高温水が送り出される。送り出された高温水は、混合サーボ34によって水道水と混合されて調温され、給湯される。バーナ70で加熱された温水が直接給湯経路46に送り出されることはない。暖房運転や風呂の追焚き運転の動作に伴ってバーナ70の出口温度が変動しても、その温水は貯湯タンク14内のバッファタンクへ戻されるため、温度の変動は緩衝される。このことから、バーナ70から貯湯タンク14に戻される温水の温度が急激に変動したとしても、その温度変動は給湯温度に影響を及ぼしにくい。本実施例によれば、給湯温度を安定化することができる。
【0045】
本実施例では、貯湯タンク14の中間部から温水を取り出してバーナ70に送り出すため、貯湯タンク14内の蓄熱量が少ないときであっても、蓄熱を有効利用することができる。
本実施例では、貯湯タンク14内の温水をバーナ70に送り出し、バーナ70で加熱された温水を貯湯タンク14へ戻すためのバーナ循環経路76を利用して、暖房循環経路112内の温水を加熱することができる。また、この暖房循環経路112から分岐した風呂の追焚き経路122を利用して、浴槽128と接続されている風呂循環経路130内の温水を加熱することができる。1つの循環経路(バーナ循環経路76)を多様に活用することができるため、システムの構成を簡素化し、システムをコンパクト化することができる。
本実施例では、貯湯タンク14内の蓄熱量が上限値となると、貯湯タンク14内の高温水がシスターン給水経路102を経てシスターン100内へ供給されるため、貯湯タンク14が満蓄状態となってからも、発電ユニット150からの熱回収を継続することができる。シスターン100内の温水は暖房循環経路112内を循環するため、シスターン100内へ供給される高温水の熱は、暖房運転や風呂の追焚き運転に有効に利用することができる。シスターン100が第2の貯湯タンクとして機能するため、更なる省エネルギー効果を得ることができる。
【0046】
(第1実施例の変形例)
第1実施例のコージェネレーションシステムの変形例を図10に示す。以下の説明では、第1実施例のコージェネレーションシステムと同様の構成要素については、同一の参照符号を付して、詳細な説明を省略する。以下の説明では、第1実施例のコージェネレーションシステムとは異なる点のみについて説明する。
【0047】
図10に示すコージェネレーションシステムでは、シスターン給水経路202がバーナ循環復路76bの熱交換器出口サーミスタ90より下流側から分岐している。シスターン給水経路202には、シスターン給水弁106が介装されている。シスターン給水弁106は、シスターン100に貯湯タンク14からの温水を給水するときに開かれる。
【0048】
給湯経路46からは、負圧開放経路204が分岐している。負圧開放経路204には、負圧弁104が介装されている。負圧弁104は、断水時等で給水経路24が負圧になったときに開かれ、大気を吸引して貯湯タンク14の負圧による破損を防止する。
【0049】
上記のコージェネレーションシステムは、第1実施例のコージェネレーションシステムと同様にして、蓄熱運転、給湯運転、暖房運転、風呂の追焚き運転および風呂の湯張り運転を行うことができる。
【0050】
蓄熱運転において、貯湯タンク14内への蓄熱が完了し、満蓄状態となると、シスターン給水弁106が開かれる。これによって、貯湯タンク14の上部に貯められていた高温水がバーナ循環経路76およびシスターン給水経路202を経てシスターン100内へ供給される。
【0051】
以上、本発明の具体例を詳細に説明したが、これらは例示にすぎず、特許請求の範囲を限定するものではない。特許請求の範囲に記載の技術には、以上に例示した具体例を様々に変形、変更したものが含まれる。
また、本明細書または図面に説明した技術要素は、単独であるいは各種の組み合わせによって技術的有用性を発揮するものであり、出願時請求項記載の組み合わせに限定されるものではない。また、本明細書または図面に例示した技術は複数目的を同時に達成するものであり、そのうちの一つの目的を達成すること自体で技術的有用性を持つものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】コージェネレーションシステムの系統図(第1実施例)。
【図2】給湯運転中の温水の流れを説明するための図(第1実施例)。
【図3】給湯運転の処理を示すフローチャート(第1実施例)。
【図4】暖房運転中の温水の流れを説明するための図(第1実施例)。
【図5】暖房運転の処理を示すフローチャート(第1実施例)。
【図6】風呂の追焚き運転中の温水の流れを説明するための図(第1実施例)。
【図7】風呂の追焚き運転の処理を示すフローチャート(第1実施例)。
【図8】風呂の湯張り運転中の温水の流れを説明するための図(第1実施例)。
【図9】風呂の湯張り運転の処理を示すフローチャート(第1実施例)。
【図10】コージェネレーションシステムの系統図(第1実施例の変形例)。
【符号の説明】
【0053】
10:給湯ユニット
12:貯湯部
14:貯湯タンク
16:第1タンクサーミスタ
18:第2タンクサーミスタ
20:第3タンクサーミスタ
22:第4タンクサーミスタ
24:給水経路
26:減圧弁
28:給水サーミスタ
30:給水量センサ
32:給水量サーボ
34:混合サーボ
36:混合経路
38:排水経路
40:排水弁
42:圧力開放経路
44:給湯栓
46:給湯経路
48:圧力逃し弁
50:温水電磁弁
52:高温サーミスタ
54:給湯サーミスタ
56:熱回収循環経路、56a:循環往路、56b:循環復路
58:熱回収循環ポンプ
60:循環往路サーミスタ
62:循環復路サーミスタ
64:三方弁、64a:入口、64b:入口、64c:出口
66:バイパス経路
68:バーナ部
70:バーナ
72:潜熱熱交換器
74:顕熱熱交換器
76:バーナ循環経路、76a:循環往路、76b:循環復路
78:バイパス経路
80:バーナ循環ポンプ
82:バーナ循環流量センサ
84:バーナ循環流量サーボ
86:バーナバイパスサーボ
88:バーナ出口サーミスタ
90:熱交換器出口サーミスタ
92:ドレン経路
94:中和器
98:オーバーフロー経路
100:シスターン
102、202:シスターン給水経路
104:負圧弁
106:シスターン給水弁
108:熱負荷
110:暖房端末機
112:暖房循環経路、112a:循環往路、112b:循環復路
114:暖房用熱交換器
116:暖房循環ポンプ
118:暖房循環サーミスタ
120:暖房熱動弁
122:追焚き経路
124:風呂用熱交換器
126:追焚き熱動弁
128:浴槽
130:風呂循環経路、130a:循環往路、130b:循環復路
132:風呂水位センサ
134:風呂循環ポンプ
136:風呂水流スイッチ
138:風呂循環サーミスタ
140:湯張り経路
142:湯張り量センサ
144:注湯電磁弁
146:コントローラ
148:リモコン
150:発電ユニット
152:熱媒循環経路
154:熱回収用熱交換器
204:負圧開放経路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
温水を貯える貯湯タンクと、
貯湯タンクの上部から温水を給湯する給湯経路と、
貯湯タンクの下部へ給水する給水経路と、
温水を加熱する熱源機と、
貯湯タンク内の温水を熱源機へ送り出す熱源機往路と、
熱源機で加熱された温水を貯湯タンク内へ戻す熱源機復路を備えており、
熱源機往路が貯湯タンクの中間部に接続されており、
熱源機復路が貯湯タンクの上部に接続されていることを特徴とする貯湯式給湯システム。
【請求項2】
給湯経路内に水道水を供給するとともに、給湯経路内の温水と水道水との混合比が調整可能な混合手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1の貯湯式給湯システム。
【請求項3】
熱媒の熱を利用して暖房運転を行う暖房端末機と、
暖房端末機内を通過する暖房循環経路と、
暖房循環経路内の熱媒と熱源機復路内の温水との間で熱交換を行う暖房用熱交換器をさらに備えていることを特徴とする請求項1または2の貯湯式給湯システム。
【請求項4】
浴槽内の温水を吸い出して浴槽内へ戻す風呂循環経路と、
暖房循環経路の暖房端末機の上流側かつ暖房用熱交換器の下流側から分岐して暖房循環経路の暖房端末機の下流側かつ暖房用熱交換器の上流側に合流する追焚き循環経路と、
風呂循環経路内の温水と追焚き循環経路内の熱媒との間で熱交換を行う追焚き用熱交換器をさらに備えていることを特徴とする請求項3の貯湯式給湯システム。
【請求項5】
前記熱媒が温水であって、
暖房循環経路に設けられた温水を貯えるシスターンをさらに備えており、
貯湯タンク内の蓄熱量が上限値となると、貯湯タンク内の温水がシスターン内へ供給されることを特徴とする請求項3または4の貯湯式給湯システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2007−309531(P2007−309531A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−135981(P2006−135981)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000115854)リンナイ株式会社 (1,534)
【出願人】(000129231)株式会社ガスター (277)
【Fターム(参考)】