説明

貼付装置

【課題】ラベル状のフィルムを基板に極めて高精度に貼り付けることができる貼付装置を提供する。
【解決手段】ベースフィルム2の位置を検出する光電センサ21、検出した位置から所定距離だけベースフィルム2を移動させる移動制御部、所定距離だけ移動させたベースフィルム2を係止する位置決めピン13、係止したベースフィルム2上のラベル状フィルムの任意の基準点に対する位置を測定する画像センサ22、測定した位置に基づいて、基板12をラベル状フィルムに移送するアライメントテーブル19、ベースフィルム2を基板12に押圧してラベル状フィルムと基板12とを貼り付ける加圧ローラ15などを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、帯状のシートを長手方向に移動させ、シート上に長手方向に沿って離隔して貼付された複数のフィルムに基板を貼り付ける貼付装置に関する。
【背景技術】
【0002】
ラベルを基板に貼り付ける装置として、例えば、ベースとしてのウエブにラベルを剥離可能に等間隔に貼着し、且つ、巻出し側より張設されて間欠的に送り出されるウエブのラベル貼着側に対して反対側より、ウエブに対して直交方向に突出してウエブを屈曲状態にガイドする剥離板を前進後退可能に設け、少なくとも垂直方向に移動可能なバキュームヘッドの吸着面を、剥離板の前進止点における上側面に平行に近接して設け、剥離版の下側には位置決め用の物品支持台を設け、ヘッドは、剥離板の後退時、下方の物品面にその吸着面を押圧接触させるために降下及び上昇復帰できるように設けたラベル貼合わせ装置が開示されている(特許文献1参照)。
【0003】
また、他の例として、可撓面状体の面に可撓性のフィルムを保持し、フィルムを補強板の有機物層を有する面と一定間隙をもって対面させた後に、可撓面状体とフィルムを同時に補強板に押圧することにより、フィルムを補強板に移し替えるラミネート装置が開示されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開昭62−287837号公報
【特許文献2】特開2004−66812号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかし、特許文献1の装置にあっては、巻出し側のウエブ上面には、位置センサーを設け、ウエブに予め印された検出用マーク又はラベルの前後端部を検出し、その信号によりロールの始動及び停止動作を行うため、高精度な位置決めは困難である。また、バキュームヘッドでラベルを吸引する場合、ラベルが柔軟なため正確に位置決めをすることが困難である。さらに、ラベルを貼合せた物品は、枚葉になっているため、次工程へ連続的に送り出すのは非常に困難であり、生産性が低いという問題がある。
【0006】
また、特許文献2の装置にあっては、可撓面状体の真下でステージを停止させ、フィルムの吸着を解除させる構成であるため、フィルムが外れやすくなって、フィルムの位置決めに難点がある。また、フィルムが枚葉方式で供給されるため、工程が長く生産性が低い。さらに、フィルムを貼付けた補強板は枚葉になっており、次工程へ連続的に送り出すのは非常に困難であり、生産性が低いという問題がある。
【0007】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、ラベル状のフィルムを基板に極めて高精度に貼り付けることができる貼付装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
第1発明に係る貼付装置は、帯状のシートを該シートの長手方向に移動させ、該シート上に前記長手方向に沿って離隔して貼付された複数のフィルムに基板を貼り付ける貼付装置であって、前記フィルムの位置を検出する検出部と、該検出部で検出した位置から前記長手方向に所定距離だけ前記シートを移動させる移動制御部と、該移動制御部で前記所定距離だけ移動させた前記シートを係止する係止部と、該係止部で係止した前記シート上の前記フィルムの任意の基準点に対する位置を測定する測定部と、該測定部で測定した位置に基づいて、前記基板を前記フィルム上に移送する移送部と、前記シートを前記基板に押圧して前記フィルムと基板とを貼り付ける貼付部と、該貼付部で前記フィルムと基板とが貼り付けられ、前記シート、フィルム及び基板が一体となった状態で該シートを送り出す送出部とを備えることを特徴とする。
【0009】
第2発明に係る貼付装置は、第1発明において、前記貼付部は、前記シートを下方から上方に向かって加圧する加圧ローラを備え、該加圧ローラを水平方向に転動させるように構成してあることを特徴とする。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、ラベル状のフィルムを基板に極めて高精度に貼り付けることができる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本実施の形態の貼付装置の構成の一例を示す正面図である。
【図2】本実施の形態の貼付装置の構成の一例を示す平面図である。
【図3】本実施の形態の貼付装置で使用するベースフィルムの一例を示す説明図である。
【図4】本実施の形態の貼付装置の加圧ローラの要部を示す説明図である。
【図5】本実施の形態の貼付装置で基板が貼り付けられたベースフィルムの一例を示す説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明に係る貼付装置をその実施の形態を示す図面に基づいて説明する。図1は本実施の形態の貼付装置の構成の一例を示す正面図であり、図2は本実施の形態の貼付装置の構成の一例を示す平面図であり、図3は本実施の形態の貼付装置で使用するベースフィルムの一例を示す説明図である。
【0013】
吸着ヘッド14及びアライメントテーブル19は、画像センサ22で測定したラベル状フィルム1の位置に基づいて、基板12をラベル状フィルム1上に移送する移送部としての機能を有する。また、アライメントテーブル19は、基板12を吸着した吸着ヘッド14の位置をラベル状フィルム1上で横方向に調整する調整部としての機能を有する。
【0014】
すなわち、画像センサ22で測定したラベル状フィルム1の位置は、不図示の移送制御部で基準点からの縦横(XY)方向の距離、水平面内での回転角度のデータに変換される。変換されたデータに基づいて、基板12を保持する吸着ヘッド14の位置を微調整し、基板12の位置をラベル状フィルム1の位置に整合させる。なお、吸着ヘッド14の位置を微調整する方法は、吸着ヘッド14をアライメントテーブル19で保持する方法が好ましい。位置決め精度は、縦横(XY)方向の寸法のずれが25μm未満であり、水平面内での回転角度のずれが0.005°未満にすることが望ましい。
【0015】
加圧ローラ15は、ベースフィルム2を基板12に押圧してラベル状フィルム1と基板12とを貼り付ける貼付部としての機能を有する。加圧ローラ15は、鉄製又はステンレス製のパイプにゴムを巻いた構造のものが好適である。鉄製又はステンレス製のパイプは、十分な剛性を有し、ラベル状フィルム1の寸法に応じて、パイプの剛性を保持し、押さえ圧力が偏らないように配慮することができる。また、ゴムの材質はウレタン又はシリコン等が好適である。
【0016】
加圧ローラ15は、シリンダ20を使用し、空気圧又は油圧でベースフィルム2を下方から上方に向かって押圧することができる。なお、加圧ローラ15に代えて、スキージを使用することもできる。スキージの材質としては、ウレタン樹脂又はシリコン樹脂を用いることができ、樹脂の硬度は、例えば、ゴム硬度としてA50〜A90(JIS K 6253で測定)が好ましい。
【0017】
検査用センサ16は、送りローラ10で送り出されたベースフィルム2上のラベル状フィルム1と基板12との貼付状態を検査する検査部としての機能を有し、例えば、しわ、気泡、ずれ、汚れ、異物の有無などの貼付状態を検査する。
【0018】
治具18は、基板12を固定しやすいように、例えば、真空吸引ができる構造のものを使用することができる。治具18の材質は、例えば、ステンレス、樹脂、ガラス繊維強化樹脂が好適である。
【0019】
図3に示すように、本実施の形態の貼付装置で使用するシートとしてのベースフィルム2は帯状をなし、ベースフィルム2の長手方向に沿って適長離隔して複数のフィルムとしてのラベル状フィルム1を貼付してある。ベースフィルム2は、図3の符号Aで示すように、卷回された状態で原反リール5に装着される。本実施の形態の貼付装置は、ベースフィルム2上の各ラベル状フィルム1に後述の基板12を貼り付けるものである。
【0020】
ラベル状フィルム1は、携帯電話機等の窓の飛散防止シート(ガラス基板の破壊時のガラス破片の飛散防止用)、同窓の加飾シート(ガラス基板に印刷をする代わりに印刷したフィルムをガラス面に貼り付ける方式用)、又は各種基板に貼付する保護フィルム等として使用することができる。
【0021】
ベースフィルム2の材質としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、また、ラベル状フィルム1の材質としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート等を使用することができる。
【0022】
ラベル状フィルム1の基板12との粘着層は、接着剤又は粘着剤であるが、アクリル又はウレタン系の粘着剤を使用することができる。粘着力は、例えば、1〜20N/20mm程度が好ましい。
【0023】
また、ベースフィルム2のラベル状フィルム1との粘着層は、粘着力の比較的弱い粘着剤であり、例えば、アクリル系、ゴム系又はポリオレフィン系の粘着剤を使用することができる。粘着力は、例えば、0.2〜2N/20mm程度が好ましいが、ベースフィルム2は最終的に剥離する必要があるため、ラベル状フィルム1の基板12との粘着力よりも大幅に小さくする必要がある。
【0024】
また、ラベル状フィルム1に貼り付ける基板12は、例えば、ソーダライムガラス、石英ガラスなどの無機ガラス類、あるいはステンレススチールなどの金属を用いることができる。
【0025】
図3に示すように、ベースフィルム2上には、矩形状のラベル状フィルム1を適長離隔してベースフィルム2の長手方向に沿って一列に貼り付けてある。なお、ベースフィルム2の幅、ラベル状フィルム1の平面視の形状、寸法又は貼付位置は一例であって、図3の例に限定されるものではない。
【0026】
ベースフィルム2のラベル状フィルム1が貼付されていない領域には、ラベル状フィルム1の位置を検出するための検出用孔3を形成してある。検出用孔3は、ラベル状フィルム1毎に対応付けて形成することができる。
【0027】
検出用孔3の形成位置は、図3の例に限定されるものではなく、ラベル状フィルム1の長さ方向の前端点(引き出し方向の先端側)、あるいは後端点(引き出し方向の後端側)を通るベースフィルム2の幅方向の線分上に形成してもよい。また、検出用孔3に代えて、ベースフィルム2上に半透明、模様付き、あるいは色付のマークを付してもよい。
【0028】
また、ベースフィルム2には、嵌挿部材としての位置決めピン13が嵌挿する位置決め孔としてのガイド孔4を形成してある。なお、ガイド孔4の位置も一例であって、図3の例に限定されるものではない。
【0029】
また、ラベル状フィルム1の表面の粘着剤層を保護するため、ベースフィルム2と略同寸法の帯状の保護フィルム30を、ラベル状フィルム1を間にしてベースフィルム2に貼り付けてもよい。
【0030】
次に、本実施の形態の貼付装置の動作(貼付方法)について説明する。ロール状に卷回されたベースフィルム2を原反リール5に装着し、ベースフィルム2の一端を送りローラ10の間を通し、送りローラ10を回転させることにより、ベースフィルム2は所定の張力で引っ張られて送りローラ10から送り出される。ベースフィルム2は、長手方向が横方向(水平方向)になるようにして移動する。
【0031】
ラベル状フィルム1上面の粘着剤層を保護している連続した保護フィルム30を使用している場合は、剥離バー7でしごくことにより保護フィルム30をベースフィルム2から剥離し、ダンサーユニット8で張力を制御して、巻取リール9で巻き取る。
【0032】
不図示の移動制御部で送りローラ10を回転駆動させてベースフィルム2を横方向に移動させる。そして、光電センサ21でラベル状フィルム1の位置である検出用孔3を検出した場合、移動制御部(不図示)は、検出した位置からベースフィルム2の長手方向に所定距離(図3の例では、150mm〜170mm)だけベースフィルム2を移動させた後、移動を停止させる。所定距離を移動させるのは、基板12とラベル状フィルム1とを貼り付ける位置にラベル状フィルム1を移動させるためである。移動制御部は、例えば、所定の張力でベースフィルム2を引っ張る送りローラ10の回転・停止を制御する。
【0033】
所定距離だけ移動させた後停止させたベースフィルム2のガイド孔4に対して、位置決めピン13を、例えば、下方から上方に垂直方向に移動させてガイド孔4に嵌挿する。このように、係止部としての2つの位置決めピン13をガイド孔4それぞれに嵌挿してベースフィルム2を係止するので、例えば、吸引装置などでベースフィルムを固定する場合に比べて、ラベル状フィルム1と基板12とを加圧ローラ15で貼り付ける際のベースフィルム2のずれを防止することができ、ラベル状フィルム1と基板12との位置合わせを高精度にすることができる。
【0034】
ベースフィルム2が位置決めピン13により位置決めされると、画像センサ22でラベル状フィルム1の位置を測定する。次に、治具18より基板12を吸着ヘッド14の下部へ吸引させる。そして、測定されたラベル状フィルム1の位置データに基づいて、吸着ヘッド14を、ラベル状フィルム1との貼り合せ位置まで移送する。この場合、基板12の位置がラベル状フィルム1との貼り合せ位置の真上になるよう吸着ヘッド14を微調整する。微調整は、アライメントテーブル19を使用して、X軸方向、Y軸方向、水平面内での回転角度を調整する。なお、ラベル状フィルム1の位置を水平面上の任意の点を基準点としてXY座標で表すことにより、ラベル状フィルム1の位置(例えば、矩形状のラベル状フィルム1の場合、四隅のXY座標)に整合するように基板12を移送することができる。
【0035】
上述のように、ラベル状フィルム1の位置を測定し、測定した位置に整合するように基板12を移送するので、極めて高精度にラベル状フィルム1と基板12とを貼り付けることができる。
【0036】
次に、加圧ローラ15でベースフィルム2及びラベル状フィルム1を一体として基板12に押圧して、ラベル状フィルム1と基板12とを貼り付ける。すなわち、ラベル状フィルム1上又は上方に位置した基板12に対してベースフィルム2の下方から加圧ローラ15で押圧してラベル状フィルム1と基板12とを密着させて加圧ローラ15を転動させることにより、ラベル状フィルム1と基板12とを貼り付けることができる。
【0037】
図4は本実施の形態の貼付装置の加圧ローラ15の要部を示す説明図である。図4の例は、加圧ローラ15側(すなわち、ベースフィルム2の下方)からベースフィルム2を見た図を示し、加圧ローラ15は、移動する前の状態を示す。シリンダ20を駆動することで、加圧ローラ15を、ベースフィルム2の幅方向の一端側に形成されたガイド孔4の近傍から、ベースフィルム2の幅方向の他端側へ(ガイド孔4から離れる方向へ)転動(移動)させることができる。ガイド孔4を加圧ローラ15が移動する方向の反対側に形成することにより、加圧ローラ15とベースフィルム2との間の摩擦によりベースフィルム2が加圧ローラ15の移動方向にずれることを防止することができる。
【0038】
図4に示すように、加圧ローラ15を下方からベースフィルム2に押し付けながら、水平方向に移動させ、ラベル状フィルム1を基板12に押し付けて脱泡しつつ、しわを伸ばし、ラベル状フィルム1の上面に塗布又は融着された粘着剤により、ラベル状フィルム1を基板12に貼り付ける。貼付けが完了した段階で、加圧ローラ15は下降してベースフィルム2及び吸着ヘッド14から離隔させる。
【0039】
図5は本実施の形態の貼付装置で基板12が貼り付けられたベースフィルム2の一例を示す説明図である。図5に示すように、ベースフィルム2とラベル状フィルム1とは、粘着剤で貼り付き、ラベル状フィルム1と基板12とはさらに強い粘着力の粘着剤で強固に貼りついており、ベースフィルム2、ラベル状フィルム1及び基板12は、一体となった状態になる。
【0040】
そして、吸着ヘッド14の吸引を停止し、ベースフィルム2、ラベル状フィルム1及び基板12は、送りローラ10で引っ張られて吸着ヘッド14から離れ、送り出される。同時に、ラベル状フィルム1及びベースフィルム2が原反リール5側から送り込まれ、光電センサ21で検出用孔3が検出されると、検出された位置から所定距離だけベースフィルム2を移動させて停止し、上述と同様に基板2をラベル状フィルム1に貼り付ける。
【0041】
また、本実施の形態では、移送部は、基板12を吸着するための吸着ヘッド14、及び基板12を吸着した吸着ヘッド14の位置をラベル状フィルム1上で水平方向に微調整することができるアラインメントテーブル19などを備える。これにより、基板12とラベル状フィルム1との位置合わせを高精度に行うことができる。なお、吸着ヘッド14の位置を水平面内で回転させることにより水平面内での吸着ヘッド14の角度(すなわち、基板12の角度)を微調整するようにしてもよい。これにより、基板12とラベル状フィルム1との位置合わせを一層高精度に行うことができる。
【0042】
また、本実施の形態では、ベースフィルム2を下方から上方に向かって加圧する加圧ローラ15を備える。そして、加圧ローラ15を水平方向に転動させる。ラベル状フィルム1上又は上方に位置した基板12に対してベースフィルム2の下方から上方に向かって加圧ローラ15で押圧してラベル状フィルム1と基板12とを密着させて加圧ローラ15を転動させることにより、ラベル状フィルム1と基板12とを貼り付けることができる。下方からの押圧機構なので、ラベル状フィルム1を貼付したベースフィルム2を下方に配置することができ、安定性を高めることができる。また、剛直な基板12を吸着ヘッド14で吸着するので、柔軟なラベル状フィルム又はベースフィルムを吸着する場合に比べて、基板12とラベル状フィルム1との位置決め精度を高めることができる。
【0043】
また、本実施の形態では、ラベル状フィルム1と基板12とが貼り付けられ、ベースフィルム2、ラベル状フィルム1及び基板12が一体となった状態で送り出すことができる。これにより、ベースフィルム2の長手方向に沿って適長離隔して複数のラベル状フィルム1が貼付されたベースフィルム2をラベル状フィルム1から剥離することなく基板12とラベル状フィルム1とを貼り付けることができ、基板12とラベル状フィルム1との連続貼付、及び基板12が貼付されたラベル状フィルム1を連続して送り出すことができるので、ラベル状フィルムが枚葉方式で供給される場合に比べて生産性を格段に向上させることができる。
【0044】
また、本実施の形態では、送りローラ10で送り出されたベースフィルム2上のラベル状フィルム1と基板12との貼付状態を検査する検査用センサ16を備え、例えば、しわ、気泡、ずれ、汚れ、異物の有無などの貼付状態を検査することができる。基板12とラベル状フィルム1とが貼付された状態のベースフィルム2が適宜の時間間隔で順次送り出され、それぞれの基板12とラベル状フィルム1との貼付状態を順次検査することができるので、高速で精度の高い検査ができ、また、検査工程以降の後工程との連続化が可能となり生産性が向上する。なお、用途に応じて目視検査を行うことも可能である。
【0045】
また、本実施の形態では、送りローラ10で送り出されたベースフィルム2に、ラベル状フィルム1及び基板12を間にして帯状の保護フィルム31を貼り付ける保護フィルム貼付部としての保護フィルムリール17を備える。すなわち、ラベル状フィルム1に基板12を貼り付けた後、あるいは貼付状態の検査を行った後に、基板12上に帯状の保護フィルム31を貼り付けることにより、基板12表面に傷又は汚れなどが付くことを防止することができる。また、基板12が貼付された複数のラベル状フィルム1を貼付した帯状のベースフィルム2に帯状の保護フィルム31を連続して貼り付けることができるので、枚葉上の保護フィルムを貼り付ける場合に比べて生産性が向上する。また、基板12側に連続した保護フィルム31を貼り付け、ベースフィルム2、ラベル状フィルム1、基板12及び保護フィルム31を一体として送り出すことができる。なお、この場合は、保護フィルムリール17から保護フィルム31を解除し、ガイドを通すことにより張力を安定化し、送りローラ10で、ベースフィルム2、ラベル状フィルム1及び基板12と、保護フィルム31とを合体させ、送り出すのが好適である。
【0046】
次に、実施例を説明する。
図3に示すように、ベースフィルム2として、厚さ70μm、幅130mm、長さ200mのポリエチレン製フィルムを用意し、その片面にはウレタン系粘着剤を塗工して、ロール状に巻回してある。粘着剤の粘着性能は、1N/20mmである。ベースフィルム2の粘着剤層側に、ラベル状フィルム1(厚さ100μm、幅80mm、長さ150mmのポリエチレンテレフタレート製で片面にアクリル粘着剤を塗工)の粘着剤非塗工面を貼付けた。同時にラベル状フィルム1の粘着剤層側には、厚さ25μm、幅130mm、長さ200mのポリエチレンフィルムを保護フィルム30として貼付け、ベースフィルム2を送り出す際に保護フィルム30を巻き取る。ラベル状フィルム1上の粘着剤の粘着性能は12N/20mmである。ベースフィルム2の幅方向の一端側には、検出用孔3(径が3mm)を、ベースフィルム2の長手方向に沿って170mm間隔で形成し、ガイド孔4(径がΦ3mm)を検出用孔3から送り出し方向に向かって50mmの位置、及び送り出し方向と反対方向に向かって50mmの位置に形成してある。
【0047】
ベースフィルム2が巻かれた原反リール5を解除し、保護フィルム30を剥離ガイド7でベースフィルム2から剥離し、ダンサーユニット8を経由し、巻取リール9で巻き取る。ピッチ170mmでラベル状フィルム1が貼付されたベースフィルム2を送りローラ10で引っ張り、光電センサ21が検出用孔3を検出することにより、ラベル状フィルム1の位置を検出した箇所から170mmだけベースフィルム2を移動(進行)させて停止する。直後に位置決めピン13が自動で突き出て、ガイド孔4に嵌挿しベースフィルム2を係止(固定)する。その後、ラベル状フィルム1の位置を画像センサ22で測定した。
【0048】
基板12(石英ガラス製であって、厚さが0.7mm、縦寸法が150.5mm、横寸法が100.5mm、表面が鏡面)を治具18へ装填し吸引させ固定させる。基板12を治具13より吸着ヘッド14の下部へ吸引・移動させて、ラベル状フィルム1との貼り合せ位置まで移送する。次に基板12の位置がラベル状フィルム1との貼り合せ位置の真上になるよう吸着ヘッド14を、アライメントテーブル19を使用して微調整し、下方より加圧ローラ15でベースフィルム2及びラベル状フィルム1を一体として基板12に押圧して貼付ける。その後、ベースフィルム2、ラベル状フィルム1及び基板12を一体として送り出した。同時に、ラベル状フィルム1及びベースフィルム2が原反リール5側から送り込まれ、光電センサ21で検出用孔3を検出すると、その点から所定距離(170mm)だけベースフィルム2を移動(進行)させて停止する。以下、同様の処理を繰り返して、ラベル状フィルム1と基板12と貼付を連続して行う。
【0049】
基板12が貼付されたラベル状フィルム1をベースフィルム2から剥離し、50枚(サンプル)作製し、ミツトヨ製の画像測定器QS−L200/AFを使用し、ラベル状フィルム1の基板12との貼りずれを4角について測定した。4角の縦方向、横方向ともずれは、25μm未満であった。ラベル状フィルム1面の縦方向中心線と基板12面の縦方向中心線との角度、及びラベル状フィルム1面の横方向中心線と基板12面の横方向中心線との角度は、それぞれ0.005°未満であった。また、気泡の噛みこみ、しわの発生もなく良好であった。
【0050】
上述のように、本実施の形態によれば、ラベル状フィルム1を基板12に、縦、横、中心線のずれがなく、気泡の噛みこみ、しわの発生もなく貼合わせることができ、連続で貼付けができ、かつ連続で送り出しができるため、生産性が向上する。
【0051】
上述の実施の形態では、ベースフィルム2の幅方向の一端側にガイド孔4を形成し、ガイド孔4が形成された位置からベースフィルム2の幅方向の他端側(反対側)に加圧ローラ15を移動させる構成であったが、ガイド孔4の形成位置は、これに限定されるものではない。例えば、ガイド孔4をベースフィルム2の幅方向の一端側及び他端側にラベル状フィルム1に対応させて交互に形成することもできる。この場合には、加圧ローラ15の移動方向をラベル状フィルム1毎に交互に逆転させることができ、基板12とラベル状フィルム1との貼付処理毎に加圧ローラ15を元の位置に戻す処理が不要となり、全体として貼付処理の高速化を図ることができる。また、ガイド孔4、位置決めピン13の形状は円形に限定されるものではなく、矩形状など他の形状であってもよい。
【0052】
開示された実施の形態は例示であり、本発明は実施の形態に限定されるものではない。
【符号の説明】
【0053】
1 ラベル状フィルム(フィルム)
2 ベースフィルム(シート)
3 検出用孔
4 ガイド孔
5 原反リール
7 剥離バー
8 ダンサーユニット
9 巻取りリール
10 送りローラ(送出部)
12 基板
13 位置決めピン(係止部)
14 吸着ヘッド(移送部)
15 加圧ローラ(貼付部)
16 検査用センサ
17 保護フィルムリール
18 治具
19 アライメントテーブル(移送部)
20 シリンダ
21 光電センサ(検出部)
22 画像センサ(測定部)
30、31 保護フィルム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
帯状のシートを該シートの長手方向に移動させ、該シート上に前記長手方向に沿って離隔して貼付された複数のフィルムに基板を貼り付ける貼付装置であって、
前記フィルムの位置を検出する検出部と、
該検出部で検出した位置から前記長手方向に所定距離だけ前記シートを移動させる移動制御部と、
該移動制御部で前記所定距離だけ移動させた前記シートを係止する係止部と、
該係止部で係止した前記シート上の前記フィルムの任意の基準点に対する位置を測定する測定部と、
該測定部で測定した位置に基づいて、前記基板を前記フィルム上に移送する移送部と、
前記シートを前記基板に押圧して前記フィルムと基板とを貼り付ける貼付部と、
該貼付部で前記フィルムと基板とが貼り付けられ、前記シート、フィルム及び基板が一体となった状態で該シートを送り出す送出部と
を備えることを特徴とする貼付装置。
【請求項2】
前記貼付部は、
前記シートを下方から上方に向かって加圧する加圧ローラを備え、
該加圧ローラを水平方向に転動させるように構成してあることを特徴とする請求項1に記載の貼付装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2013−82475(P2013−82475A)
【公開日】平成25年5月9日(2013.5.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−223276(P2011−223276)
【出願日】平成23年10月7日(2011.10.7)
【出願人】(510208871)株式会社ケイピイエス (1)
【出願人】(510208882)有限会社美作製作所 (1)
【Fターム(参考)】