説明

資材、特に廃棄物およびごみの処理方法および処理用プラント

資材、特に廃棄物およびごみの処理のためのプラントは、処理すべき資材を供給することのできる燃焼反応炉(10)を備えている。この燃焼反応炉は、酸素からなる燃焼補助材のための流入部(17)と、反応炉(10)の内側で資材の燃焼の間に生成され、使用時にはきわめて高い温度で実質的に等温あるいは準等温であり、その部分のすべてにおいて実質的な酸素欠乏のないガスのための流出部(34)とを有している。燃焼ガスの一部は、再循環されるとともに、高度の不透明化を実施するために燃焼チャンバーの全圧力を増大させることによって増大する燃焼補助材と混合される。反応炉の内側でガス化することのできない物質は直ちに溶融する。反応炉からの流出部でのガスのパラメータは、約2秒の応答時間特性のあるセンサによって常に測定される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、さまざまな種類の資材、特に廃棄物およびごみに関するがこれらに限定されないさまざまな種類の資材の処理方法および処理用プラントに関するものである。
【0002】
この発明は、固体、粒状体あるいは液体の形態にある任意の資材を投入物としてあるいはスラッジとして収容することのできるプラントと、環境を破壊することなく容易に処分することのできる不活性スラグおよび不活性ガスの生成を伴ってその処理を行う方法とに特に関連して、開発された。
【背景技術】
【0003】
先に示された種類の公知の方法およびプラントは米国特許第5,337,683号に記載されており、また、その後の改善は同一出願人の特許出願である国際出願公開パンフレット第WO02/081970号に記載されている。この特許は、資材、例えば廃棄物およびごみを、その簡単かつ経済的な処分を保証するために、酸素が最大限100%(すなわち、利用可能な技術的手段による少なくとも達成可能限度内での純酸素)まで富化された空気が吹き込まれる加圧型反応炉の中へ資材を導入することによって処理することのできる方法に関するものである。反応炉の中で到達した高温によって、処理すべき資材の分子結合の完全な解離およびその昇華が引き起こされる。
【0004】
先に言及した米国特許第5,337,683号に記載されたように、この方法は、反応炉の内側を30〜100バール(bar)の圧力に維持することによって実施するのが好ましいが、処理すべき資材の種類についての最も適切な適用時間と適用温度とが確立されると、どのような場合にも反応炉の内側における資材の完全な分子解離とそれらの昇華とを行うために、大気圧よりもわずかだけ上方のより低い圧力の使用は排除されない。
【0005】
別の公知の方法は、先に説明した方法を改善する同一出願人の国際出願公開パンフレット第WO02/081970号に記載されており、反応炉の内側における圧力を変化の所定法則に従って最小値と最大値との間で変化させて調整することができるようにし、従って、歩留りを増大させるとともに反応炉の内側における資材の分子結合の完全な解離についての必要な時間を減少させ、それによって、反応炉の設計上および構造上の複雑性の増大を招く結果になるであろう過度に高い温度および圧力が必要でなくなる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、その方法には一時的滞留物(transients)が必然的に含まれているので、反応中の各時点で、かつ、どのような可燃物についても、可燃物の加熱によって発生した揮発性有機物質が再結合して、ダイオキシン、フラン、ポリ芳香族化合物のような、動力学的に緩やかに酸化する、熱的にいっそう安定で都合の悪いことにいっそう有毒である物質が形成されることがある反応炉の相対的低温帯の存在が避けられない。
【0007】
ごみの不燃性灰分における多様な成分には、昇華することがなく、それために反応炉の中で蓄積する金属酸化物の成分が含まれている。試験的な水準および工業的な水準の両方で実施された上記のプラントおよび方法によって、満足すべき結果がもたらされた。しかしながら、蓄積した経験によると、生成された揮発性有機物質が、動力学的に緩やかに酸化し、熱的にいっそう安定で都合の悪いことにいっそう有毒である、ダイオキシンやフランのような物質を形成するために再結合するような状態にない、ということをできる限り保証する改善を実施することが必要かつ適切であるということが明らかになってきた。
【0008】
従って、この発明の目的は、たいていの場合に上記の要件を満たし、同時に、効率的で実施しやすくかつ使用時にきわめて信頼性の高い方法およびプラントを提供することである。
【0009】
米国特許第6,029,588号には、可燃物、燃焼補助材および予熱再生燃焼ガスが供給され、不燃性灰分が回転式ドラムの基部で排出される回転式円筒状反応炉の中における、有毒ごみが含まれる可燃物の燃焼が記載されている。
【0010】
しかしながら、灰分の融解温度によって表わされた燃焼温度の最高限度と、供給側における不可避の低温帯(従来技術において典型的である)の存在とは、煙霧によって運ばれる有毒な副産物(ダイオキシンやフランなど)の生成につながる。煙霧によって同伴されるとともに有毒であるとよく知られた重金属を含有している煤塵(揮発性灰分)の増大もまた観察されるとともに、反応炉の温度が増大するにつれて特に顕著になる。その結果、煙霧の後処理のための技術における実質的に増大した負荷がそれゆえ存在し、また、有機および無機の有毒物質の問題が燃焼ガスから液体相および固体相へ移り、その処分が問題である(また、それはいわゆる永久浸出を引き起こす)。
【0011】
米国特許第5,309,850号によれば、高い固体中含水率があるスラッジを、有機物質の燃焼と不燃性灰分の融解とを行ってその後に不活性ガラス状スラグとして凝固させる反応炉の中で処理する方法が提供される。反応炉には、スラッジと、燃焼補助材と、凝縮および再加熱によって水蒸気を除去した後に反応炉へ再循環される燃焼性煙霧とが供給される。この煙霧は、熱調整剤と、スラッジとともに導入された大量の水を除去するための媒体との二重の目的を有している。
【0012】
しかしながら、水が除去されて再循環された煙霧が予熱されても、反応炉の供給側における低温帯が取り除かれることはなく、有毒有機物質の形成に関して従来知られているという結果が伴い、また、燃焼の間に到達した温度によって、不燃性灰分、特に溶融画分の部分的分離だけが可能になるが、それは灰分の揮発性成分が燃焼性煙霧の中に同伴されているためである。
【0013】
先に示された目的を達成するために、この発明の主題は、この明細書に添付された特許請求の範囲における請求項1および請求項15のそれぞれに表された特徴を有している方法およびプラントである。
【0014】
特に、本出願人によって行われた実験によれば、この発明によるプラントにおける燃焼反応炉、あるいはより一般的には酸化チャンバーの基本的特性の同定につながる利用可能なデータが作り出された。より詳しく言えば、このプラントには、高い温度あるいはきわめて高い温度での使用において壁を含んで実質的に等温あるいは準等温であり、かつ、プラントの部分のすべてにおいて実質的な酸素欠乏のない反応炉が備わっている。
【0015】
この発明の特定の実施形態では、反応炉の壁と供給された燃焼ガスとの間およびそれらのガスと可燃物(主として固体状可燃物を伴うもの)との間における熱の高度な交換および伝達を遂行するための手段は、温度が高ければ高いほど(T4に比例して)大きい流れ交換と熱伝達とを引き起こすIR(赤外)放熱によって表わされる。
【0016】
驚くべきことに、酸素による燃焼によって、CO2およびH2O(特に後者)のようなIR放熱の強い吸収剤−放出剤である、すなわち「不透明(opaque)」ガスである化合物からなる高濃度(ほぼ90体積%よりも大きい)のガスの混合物が作られる、ということと、さらにまた、この内在的特性はそれらのガスの体積密度、すなわち燃焼チャンバーの全圧を増大させることによってさらに強化される、ということとがわかった。
【0017】
同様に、驚くべきことに、工業用酸素による燃焼の間に、低温酸素と燃焼性煙霧(10体積%よりも大きく、好ましくは60体積%よりも大きい濃度での)との混合によって、圧力下で操業するときであっても燃焼補助材の高度な「不透明化(opacification)」を保証するとともに、それゆえ、放熱照射された反応炉において、供給された燃焼補助材の1300°Kよりも高い温度までの即時加熱を保証する混合物が作られる。
【0018】
そして、酸素および/または空気燃焼補助材(酸素O2および窒素N2の両方がIRを透過させるガスであるという事実に鑑みて)を伴う従来技術の燃焼補助材の典型である、供給部の近傍における大きい低温帯は、この発明における上記特定の実施形態において除去することができる。
【0019】
先に説明された方法の利点は、再生利用ガスの流れの決定においてもまた明らかである。実際に、当業界では、反応炉の流入部と流出部との間の感知することのできる温度差によって過剰反応熱を除去することで連続稼動型プラントの熱平衡を保証する作用を再生利用ガスによって実施することができる、ということが知られている。反応体積についての影響を最小化するために選択されるガスの最小循環流量は、再生利用ガスの低い温度(酸縮合物と接触して高度に結合される資材の使用を避けるためには、燃焼ずみガスの露点のすぐ上方、すなわち約500°K)に関連がある。再生利用流の上記即時加熱によって、再生利用温度が最小値まで減少することができる。好ましくは、燃焼に由来する再循環ガスは、反応炉の中でガスによって費やされた所定時間について反応炉におけるガスの全体積を最小化するために、また、反応炉からの反応熱の除去を保証するために、最小化された流量および/または温度で供給される。
【0020】
従って、この発明では、凝縮および予熱による水の分離の後で反応炉への再生利用の前に煙霧から再生利用流の回収がもたらされる米国特許第5,309,850号および6,029,588号の教示とは対照的に、再生利用流の中における水の存在は、反応チャンバーのすべての部分におけるガスからのかつそのガスへ向かう放射流を、例えば、主に炭素資材および低含水率の資材について、再循環流の中における水の濃度を少なくとも10体積%に、好ましくは20体積%以上に、いっそう好ましくは30体積%以上に至らせるために、再生利用流の中への水の吹き込みがもたらされる可能性のある程度まで強めるために、代わりに促進される。再生利用流の中への水の導入は、再生利用剤としての煙霧が全置換されるまで行うことができる。しかしながら、最適値から、二酸化炭素に比較して水のモル比熱の好ましくない差異に起因する有効反応体積の減少という弊害が支配的になる下行部分を覆うまで行うのは推奨されない。
【0021】
この発明のさらに好ましい実施形態では、従って、実質的に連続状の方法が、限定された寸法の、セラミックでライニングされているのが好ましいがこれに限定されないコンパクトな反応炉において、工業用酸素と圧力との使用によって、高温あるいは超高温(好ましくは1900°Kを超える温度)で、それゆえ、壁どうしの間、ガスと壁との間、およびその逆の場合における高エネルギー交換があり、放熱による可燃物かつ燃焼補助材の急速加熱があり、実質的にこの発明の主要な特徴の1つをなす等温特性にきわめて近いように、構成されかつ実施される。
【0022】
この発明における別の有利な特徴は、高温によるガスの密度の減少にもかかわらず限定された体積(この分野ではホールドアップとして知られている)で、反応炉のすべての部分について単位反応炉体積あたり大量の酸素を保証するために、反応圧力をごみの種類に基づいて調整する(大気圧から好ましくは約600キロパスカル(kPa)まで)ことができると驚くべきことにわかったという事実に由来する。燃焼相の差異(閃光、タール、木炭)は実際、処理すべき資材の種類のばらつきで、さらに詳しくは同じ廃棄物あるいはごみの特性におけるばらつきの結果として起きるが、これらの差異によって、分離することができずかつどのような場合にも標準的な従来のセンサおよび制御システムによって修正することのできない、突然で局所的な酸素消費ピークの状況が引き起こされる。酸素のホールドアップによって、反応炉の流出部での所定濃度に適用することのできる、すなわち、理論的に適正な燃焼のために必要である化学量論的な量に比べてきわめて過剰な酸素が使用されると生じるであろう酸素の浪費をすることなく適用することのできる酸素の部分的高圧に基づいて、反応炉の内部における酸素欠乏帯の形成に対する消極的保護がもたらされる。
【0023】
この発明における別の有利な特徴は、この発明の反応炉が不燃性スラグで稼動することができるという有効性についてのさらに驚くべき観察に由来する。放熱による可燃物(固体あるいは固体画分)の高速加熱によって、従来技術(例えば、米国特許第5,309,850号)とは対照的に、燃焼ずみガスとともに反応炉の外側へ同伴される煤塵の画分の相当な減少と、反応炉の中で凝離された溶融液体灰分の同時増大とがもたらされる、ことが観察された。低いガス通過速度と高い加熱速度とがあるコンパクトな反応炉によれば、ガスによる煤塵の多い灰分の除去と競合する融解がもたらされる、と推定されるが、この解釈は限定的なものではない。さらにまた、高い煤塵画分含有量のある可燃物を供給しても、揮発性灰分の少ない生成によってこの方法の高度の放射がガスの中におけるどのような起源の揮発性灰分の液化もまたもたらすという推定と、凝結現象が液体粒子に作用するという推定とがもたらされるが、この解釈は限定的なものであるとみなすべきではなく、これらの現象は電荷によって揮発性灰分の固体粒子には作用しないということがよく知られている。
【0024】
反応炉からの溶融スラグの抜き取りを促進するために、シリカおよび/またはアルカリ金属酸化物のような焼溶物を、供給された可燃物の灰分含有量に応じた百分率で、供給された可燃物へ添加することが好ましいが、このことは本質的なものではない。
【0025】
溶融スラグは、不燃性スラグに含有された有毒重金属が完全に不活性なものになり、それによって、重金属の放出が酢酸試験において可溶化により法定限界値未満になることを保証するために、冷却されてビードとして固体化されるのが好ましい。
【0026】
概して、この発明の方法によれば、固体、粒状固体、液体およびスラッジの物理的形態にある広範囲の種類の資材にわたって、きわめて低いTOC(100万分の1のオーダーの)ときわめて低い揮発性灰分含有量とがある燃焼性煙霧の反応炉の口部での生成を保証することができる。このことによって、燃焼性煙霧の後処理についての技術が実質的に簡略化されるとともに、後処理において使用された液体/固体相の処分が環境的にほとんど問題のないものになる。
【0027】
この発明のさらに有利な特徴に関して、方法の性能は効果的な制御・管理システムにも左右されるということが観察された。さらに詳しくは、反応炉に供給される資材の特性を正確に表すことのできる有効な特徴付けを回避することは廃棄物およびごみの顕著な特徴である、ということが観察された。この方向における取り組み、さらに詳しくは統計的標本抽出・評価法によって支援された広範囲の特徴付けでは、廃棄物およびごみのこの顕著な特徴を克服することができない。その結果、MIMO(多重流入/多重流出)のような特に意図した効果を生じる最適化・制御処置では、処理方法の性能および費用の最適化については、反応炉へ少しずつもたらされる資材の特性に関する不確実性を考慮すると、満足すべき結果はもたらされない。それゆえ、関心を流入パラメータから流出パラメータへ移すというこのアイデアを思い付いた。制御・最適化モデルが、例えば、分析センサの応答時間を高速度化して、その反応に含まれた現象の特性である時間に匹敵するようにすることによって、適切に適合された反応炉の流出パラメータに重点を置くときには、稼働の制御および最適化についての有効な予測の数は実質的に改善することができるとともに流出量および安全性能は充分適合することができるということが、従来技術とは対照的に、驚くべきことにわかった。
【0028】
基本的に、この発明のプラントおよび方法には、個々に見ても全体として見ても革新的であり、また、特に目立つ、さまざまな有利な特徴がある。すなわち、高温で等温変化あるいは準等温変化する傾向がある反応炉の準備、定量的に最小化された最小化温度であるが、燃焼補助材における未制御変動を吸収することのできる単位体積当たり酸素の最大ホールドアップを保証するための、大気圧よりも大きい圧力であるのが好ましいがそれに限定されない圧力に維持される反応炉の中で均一な高温に到達することのできる圧力下での再循環ガスの使用、燃焼ガスの中に同伴された煤塵として分散されるのを防止する、ガス化することのできない物質の反応炉の中での即時溶融、および、反応炉へ供給された資材の非均一性による変動を制御するための、反応炉の流出パラメータの制御。
【0029】
さらに別の特徴および利点は、この発明に従って形成されたプラントの反応炉および基本反応回路の例示的レイアウトを示す添付の図1を参照して非限定的な例として与えられた好ましい実施形態の以下の詳細な説明から、明らかになる。
【0030】
さて、図1によれば、資材を処理するためのプラントには酸化反応炉あるいはチャンバー10が備わっており、これには、処理すべき資材がそこから供給される少なくとも1つの投入用開口11がある。さらに詳しくは、この発明のプラントは、供給機12によって推進チャンバー13で装入された粗大片の状態にある固体資材と、供給機14によって装入された粒状資材と、供給機15によって反応炉の中へ装入され、大まかに言えば、水と懸濁されかつ沈殿された固体との両方の混合物とさまざまな密度および組成の粘性のピッチあるいはスラッジとからなる液体とを処理することができる。ガス状資材もまた、一般に16で表わされた装入機によって反応炉10の中へ装入することができる。
【0031】
反応炉10には、ダクト18から入って来る酸素が供給され、この明細書の次の部分からいっそう明らかになる手順に従ってダクト19から入って来る再循環煙霧とこの明細書の次の部分からいっそう明らかになる手順に従って一定割合で混合される投入部17もまた備わっている。所定流量の蒸気を、処理すべき資材によるさまざまな比率でダクト19へ流入させることもできる。酸素の流量は、所定範囲内で、反応炉10から流出された流れ25の中における事前設定された超過量に基づいて、また、少量でかつ頻繁な装入で反応炉へ流入されるのが好ましいがこれに限定されない供給資材の量および質に基づいて、自動的に調整される。
【0032】
反応炉10は、好ましくは金属から作られてセラミックコーティングで裏打ちされ、かつ、供給機20から入って来る冷却水によって外部から冷却されるシェルからなっている。反応炉の内側で作られる不燃性スラグは、その基部21に集まるが、基部21は流出ダクト22へ向かって傾斜しており、流出ダクト22は、高融点資材(例えば、酸化防止処理されたモリブデン、タンタル、あるいはタングステン、または炭化ケイ素)から構成されているのが好ましいが、それに限定されないものであり、スラグを液体に維持するために加熱されるとともに、反応炉10の閉鎖端部23の近傍に配置されている。液体スラグは、公知の手段、例えばフィルター(図示略)によってその後に濾過および廃棄処理するための収集タンク24から連続的に送られる水の中で極めて低濃度のスラッジを形成するために、中実のビードから形成された水浴の中で急速に冷却(「焼き入れ」)される。
【0033】
反応炉10の閉鎖端部23には流出ダクト25が設けられており、これは、反応炉10の内側で発生したガスを、公知のシステムで反応炉から流出されたガスの熱交換によってエネルギー回収のための手段へ向けて供給するが、この手段は、以下において、説明を簡単にするために、その最も広い意味で理解すべきである用語「ボイラー」によって同一視される。このようなボイラー26は、煙管が付いた型のものであるのが好ましいがそれに限定されることがなく、ダクト27から入って来る供給水から蒸気を発生させてそれを過熱する。
【0034】
ダクト25を通して反応炉10から流出されたガスは、ボイラー26の中へ入る前に、ダクト28を通して供給された調整器再生利用ガスと混合される。調整器再生利用ガスは、ボイラー26からダクト29を通して流出され、場合によっては、従来のシステム(図示略)によってさらに冷却されるとともにブロワー30によって再加圧されたガスの一部に該当する。反応炉10から流出されたガスと混合されるダクト28へ送られない調整器再生利用ガスの一部は、調整システム32が作動するダクト31へ向けて送られ、先に説明したように、調整された量のガスを、それがダクト18を通して反応炉10の流入部へ供給された酸素と混合するようにダクト19の中へ流入させる。ダクト31を通過する流れの機能は、コーティングの表面温度(約2130°K)が特定の耐熱材料について許容された限度を超えるのを防止するために、感知することのできる流入熱/流出熱差によって反応炉の熱平衡を保証することでもある。従って、調整器32は、ダクト25を通過する流れの中で、反応炉10からの流出部での温度センサに基づいて調整される。
【0035】
プラントの熱平衡を保証する再循環ガスは、反応炉の流入部と流出部との感知することのできる熱差による過剰な反応熱を除去することによって連続的に作用するとともに、標準的な冷却手段と適合している最小温度、好ましくは露点のすぐ上の温度で再生利用される。
【0036】
ボイラー26から流出しダクト29へ向かって再循環されないガスの一部は、膨張バルブによって膨張されて、一般に知られた型の煙管34へ実質的に送られる。この流出ガスの一部は好ましくは、ダクト36を通して回収されて、固体資材を反応炉10の中へ投入するための推進チャンバー13を加圧するために用いられる。
【0037】
上記プラントのさまざまな構成要素は好ましくは、使用箇所におけるそのプラントの輸送と取り付けを容易にするため1つ以上のスライドに搭載される。
【0038】
上記プラントによって実施された資材の処理方法は、燃焼ガスが反応炉10の内側に、所定の均一な最小保証温度、好ましくは約1500℃であるが限定的ではない温度で、好ましくは約2秒間であるが限定的ではない時間、残ることを保証する電子処理装置によって全体として調整される。
【0039】
特に、反応炉10の中へ供給されかつ酸素(IRへ透過するガス)と調整器再生利用ガスとの所定割合の混合物からなる燃焼補助材は、それが赤外線に対する高い不透明を有しているので、ただちに照射される。この作用は、富化空気を使用する場合の燃焼補助材混合物の中における窒素(IRへ透過するガス)の不存在あるいは低濃度によって、かつ、代わりに、調整器再生利用ガスを構成する二酸化炭素および水(顕著には後者)の支配的存在によって、保証される。高い反応炉表面作動温度では、燃焼補助材の中に酸素とともに流入した水と二酸化炭素とは、好ましいが限定的でない加圧下で処理が行われるときには、それ自体が赤外線エネルギーの最適な吸収体になる。これに対して、生成された再生利用ガスと煙霧とは、好ましいが限定的でない0.5〜6バールである反応炉10の作動圧力によっても、赤外線エネルギーの効率的な放射体として作用し、そして、反応炉10の内側を均一な温度に維持することができる。
【0040】
この制御システムは、推進チャンバーの上流に位置する装填システムにおける測定の手段によって供給された資材の重量によって覆されない判定が用いられる均衡用調整の実施のために配置される。この制御システムは、反応炉10の内側におけるガスによって費やされた温度および時間を所定の最小閾値の上方に維持し、かつ、第2の位置において、酸素の流量およびごみの流量を、すなわち、その装填頻度を維持して、反応炉10から流出したガスの良好な性質を保証するために、即座に介入される。一方、MIMO(多重流入/多重流出)コードでは、約2秒であるがこれに限定されない特徴的な反応時間で実行されより広い範囲の作動データ、特に反応炉の流出部でのガスの組成の測定値が用いられるとともに、この資材処理法の充分な生成と単位コストやランニングコストの削減とのための方策が予測される。
【0041】
当然なことではあるが、この発明の原理、実施の形態および構成の細部は、この発明の範囲から逸脱することなく、説明されかつ例示されたそれらから変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】図1は、この発明に従って形成されたプラントの反応炉および基本反応回路の例示的レイアウトを示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
処理すべき資材と酸素からなる燃焼補助材とが酸化チャンバーあるいは燃焼反応炉へ供給され、前記資材の酸化あるいは燃焼の間に生成されたガスが酸化チャンバーあるいは燃焼反応炉から排出され、酸化チャンバーあるいは燃焼反応炉の中へ導入される処理すべき資材と酸化あるいは燃焼に由来する生成物とが、チャンバーあるいは反応炉の任意の部分において、高温あるいは超高温で、実質的な酸素欠乏なしに等温あるいは準等温の状態にさらされることを特徴とする、資材、特に廃棄物およびごみの処理方法。
【請求項2】
燃焼補助材の高度の不透明化を実施するために、かつ、反応炉の中へ供給された燃焼補助材のほとんど即時の加熱を保証するために、燃焼に由来するガスと混合された酸素、水と混合された酸素、あるいはガスおよび水の化合物と混合された酸素からなる燃焼補助材の供給を含んでいることを特徴とする請求項1に記載の資材の処理方法。
【請求項3】
燃焼に由来する再循環ガスが、反応炉の中でガスによって費やされた所定時間について反応炉におけるガスの全体積を最小化するために、また、反応炉からの反応熱の除去を保証するために、最小化された流量および/または温度で供給されることを特徴とする請求項2に記載の資材の処理方法。
【請求項4】
酸素と燃焼性煙霧との混合が、10体積%以上の、好ましくは60体積%以上の後者の濃度で行われることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の資材の処理方法。
【請求項5】
反応炉(10)の内側におけるIR(赤外)放熱についての熱交換特性が、IRに対して不透明であるガスの濃度と反応炉の内側におけるガスの体積密度とを増大させることによって、特に燃焼チャンバーの全圧力を増大させることによって強化されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1つに記載の資材の処理方法。
【請求項6】
反応炉の流入部と流出部との間における感知することのできる熱差による過剰な反応熱を除去することによって連続的に稼働するプラントの熱平衡を保証する再循環ガスが、標準的な冷却手段に適合する最小温度で、好ましくは露点のすぐ上の温度で再生利用されることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1つに記載の資材の処理方法。
【請求項7】
熱平衡を保証する再循環ガスが、全体としてあるいは部分的に蒸気によって構成されていることを特徴とする請求項2〜6のいずれか1つに記載の資材の処理方法。
【請求項8】
反応圧力が、反応炉の中へ供給される処理すべき資材の種類に応じて調整されることを特徴とする請求項1〜7のいずれか1つに記載の資材の処理方法。
【請求項9】
反応圧力が、大気圧から約600キロパスカル(kPa)のより高い圧力まで調整されることを特徴とする請求項8に記載の資材の処理方法。
【請求項10】
反応炉の内側でガス化することのできない物質が、燃焼ずみガスとともに反応炉の外側へ同伴される煤塵の画分を相当減少させるために、可燃物、特にその固体画分の高速加熱によって反応炉の中で直ちに溶融することを特徴とする請求項1〜9のいずれか1つに記載の資材の処理方法。
【請求項11】
溶融スラグが、不燃性スラグに含有された有毒重金属が完全に不活性なものになることを保証するために、冷却されてビードに固体化されることを特徴とする請求項1〜10のいずれか1つに記載の資材の処理方法。
【請求項12】
反応炉の流出部でのパラメータに、特に反応炉の流出部でのガスの組成に関連したデータの測定に焦点が置かれるMIMO(多重流入/多重流出)制御・最適化処置からなっていることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1つに記載の資材の処理方法。
【請求項13】
ガス組成データの測定が約2秒の特徴的応答時間で実施されることを特徴とする請求項12に記載の資材の処理方法。
【請求項14】
酸化チャンバーあるいは燃焼反応炉(10)を備えており、処理すべき資材を供給することができるとともに、酸素からなる燃焼補助材のための流入部(17)と、チャンバーあるいは反応炉(10)の内側で前記資材の酸化あるいは燃焼の間に生成されたガスのための流出部(34)とを含み、酸化チャンバーあるいは燃焼反応炉が、使用時には高温あるいは超高温で、その部分のすべてにおいて実質的な酸素欠乏のない実質的に等温あるいは準等温のものであることを特徴とする資材、特に廃棄物およびごみの処理用プラント。
【請求項15】
反応炉(10)の壁が、反応炉の等温性あるいは準等温性に関係のあるライニング用セラミック材料からなっていることを特徴とする請求項14に記載の資材の処理用プラント。
【請求項16】
燃焼の間に生成されたガスを冷却するための手段(26)と、反応炉(10)への流入部で酸素を混合するとともに赤外線に対して不透明である燃焼補助用混合物を生成するためにもたらされる前記冷却ずみガスの一部を回収しかつ再生利用するための手段(29,30)とを備えていることを特徴とする請求項14または請求項15に記載の資材の処理用プラント。
【請求項17】
冷却手段(26)が、反応炉(10)からのガス流出による熱の放棄によってエネルギーを回収するための手段からなっていることを特徴とする請求項16に記載の資材の処理用プラント。
【請求項18】
再生利用されたガスの一部を、反応炉から流出したガスが冷却手段(26)の中へ入る前にそれらと混合させるための手段(28)を備えていることを特徴とする請求項16または請求項17に記載の資材の処理用プラント。
【請求項19】
使用時に反応炉(10)の内側を大気圧よりも高い圧力に維持するための手段を備えていることを特徴とする請求項14〜18のいずれか1つに記載の資材の処理用プラント。
【請求項20】
使用時に反応炉のすべての部分において反応炉の単位体積当たりの酸素のホールドアップを保証するために、反応炉の中へ供給された資材の種類に応じて、反応炉の内側における圧力を実質的に大気圧から大気圧よりも高い圧力まで選択的に調整するための手段を備えていることを特徴とする請求項19に記載の資材の処理用プラント。
【請求項21】
反応炉(10)へ相異なる資材、特に、細かい固体状資材、粒状資材、液体状あるいはスラッジ状資材、および/またはガス状資材を供給するための複数の供給機(12,14,15,16)を備えていることを特徴とする請求項14〜20のいずれか1つに記載の資材の処理用プラント。
【請求項22】
細かい固体状資材を反応炉(10)の中へ加圧下にかつ不連続状に供給するための少なくとも1つの推進チャンバー(13)を備えていることを特徴とする請求項21に記載の資材の処理用プラント。
【請求項23】
推進チャンバーが、流出ライン(34)から回収されたガスを加圧下で供給するためのダクト(36)を備えていることを特徴とする請求項22に記載の資材の処理用プラント。
【請求項24】
反応炉(10)が、流体スラグを収集するための加熱ダクト(22)に連通しかつそれへ向かって傾斜した基礎部分(21)を備えていることを特徴とする請求項14〜23のいずれか1つに記載の資材の処理用プラント。
【請求項25】
収集用ダクト(22)が、水の中できわめて薄いスラッジを形成するように水浴の中で急速に冷却された、ビードの形成を伴った液体スラグを収集するための容器(24)に連通していることを特徴とする請求項24に記載の資材の処理用プラント。
【請求項26】
収集用ダクト(22)が、スラグを流体に維持するための加熱手段を備えていることを特徴とする請求項24または請求項25に記載の資材の処理用プラント。
【請求項27】
反応炉(10)の流出パラメータを測定するためのセンサ手段と、このプラントの稼働状態における干渉のための有効予測の数を実質的に改善するとともに反応炉の中へ供給された資材の非均一性による変動を制御ために前記センサ手段の信号を受信する制御・管理システムとを備えていることを特徴とする請求項14〜26のいずれか1つに記載の資材の処理用プラント。
【請求項28】
請求項1〜13のいずれか1つに記載の方法による資材の処理用プラント。

【図1】
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【公表番号】特表2006−524308(P2006−524308A)
【公表日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−506504(P2006−506504)
【出願日】平成16年4月22日(2004.4.22)
【国際出願番号】PCT/IB2004/001220
【国際公開番号】WO2004/094904
【国際公開日】平成16年11月4日(2004.11.4)
【出願人】(505394220)
【氏名又は名称原語表記】ITEA S.P.A.
【住所又は居所原語表記】Via Pollastri,6,I−40138 Bologna,ITALIA
【Fターム(参考)】