説明

資材管理システムと資材管理方法

【課題】
建築現場等の資材置き場において、資材の管理をより効率的にする資材管理システムと資材管理方法を提供すること。
【解決手段】
複数の置き場領域2A、2B、2C・・・に分けられた資材置き場1において、すべての資材ごとに取り付けられる第1のタグ15と、ロットLごとへ取り外し可能に取り付けられる第2のタグ16と、第1のタグ15に記録されたデータを読み取る読み取り装置19と、第2のタグ16の信号を受信する各置き場領域の出入り口近傍に設けられた受信装置13と、第2のタグ16の位置を特定する為に資材置き場1内に設けられた複数の発信装置12と、資材14に関する情報を管理するデータベースDBとを備えることによって、効率的な資材管理を行う事を可能にした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築現場等における資材置き場での資材管理システム及び資材管理方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
建築及び土木工事現場等では、その工事に使用する資材を一時的に保管する資材置き場が現場近傍に設けられている。資材置き場は通常複数の置き場領域に分けられ、工程や資材の種類ごとに分けて資材が保管されている。しかし、この資材置き場は現場によって数100m四方に及び、今まで資材を搬入する際には資材を識別する識別IDを手作業で確認し、置き場領域ごとに分類して保管していた。また、資材の重なり等の為、対象資材を取り出す際には非対象資材を別の場所に置き換える等していた。更に、出庫の際にはこの識別IDと置かれた置き場領域をデータベースにて確認して資材を探していたが、指定の領域がどこにあるのか、又は置き場領域内には決まった棚などが無い場合が多いので、領域内のどこに資材があるのか目視で探さねばならず、資材置き場が広い場合探すのが大変困難であった。
【0003】
近年、このような物品の搬入、分類保管、搬出に関する管理方法では、RFID(Radio Frequency IDentification)などの非接触タグを用いて物品の識別IDを装置で読み取り、搬入、分類保管、及び搬出等の管理が行われている。更に、この非接触タグを用いて搬入、搬出時のデータ読み取りだけでなく、作業者が所持している端末から情報を送信すると、どの場所に物品を保管するべきなのか、又は保管してあるのかを誘導ランプの点滅で知らせるシステムが考案されている(例えば、特許文献1参照。)。
【特許文献1】特開2001−233410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、前述の特許文献1に記載されたようなシステムでは、棚等で明確に区分されていない建築及び土木工事現場等の資材置き場では、その時によって保管してある物が変わり、また保管してある場所も時によって違ってくる為、固定の誘導ランプを設けて作業者を誘導することは困難である。その他、資材の種類によっては非接触タグの取り付けが困難な場合もある。
【0005】
本発明はこのような問題に対してなされたもので、資材の管理をより効率的にする資材管理システムと資材管理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は前記目的を達成するために、請求項1に記載の発明は、資材を保管する場所が複数の置き場領域に分けられると共に、資材搬入口及び資材搬出口を有する資材置き場と、前記資材置き場で管理する全ての資材に取り付けられ、前記資材のデータが記録されると共に、該データを非接触で読み取る機能を備えた第1のタグと、前記資材を仕分けしたロット別に取り付けられ、前記資材置き場内に発信された位置検知信号による現在位置を確認する機能、及び前記ロット別に発行されたロットの識別IDの記憶及び送信する機能を備えた第2のタグと、前記資材置き場の資材搬入口及び資材搬出口の少なくとも一方に設けられ、前記第1のタグに記録されたデータを読み取る読み取り装置と、前記複数の置き場領域別にそれぞれ設けられ、前記第2のタグから発信される前記識別ID信号を受信する受信装置と、前記資材置き場の複数の所定位置にそれぞれ設けられ、前記第2のタグが自己の現在位置を知るために受信する前記位置検知信号を発信する発信装置と、前記資材のデータと、資材を管理する管理データとを記録及び管理するデータベースと、を備えたことを特徴としている。
【0007】
請求項1の発明によれば、資材に関するデータや、置き場領域内のどの場所にロットに分類された資材が置かれているかなどのデータを簡単にデータベースへ取り込むことができるので、より効率的に資材を管理することが可能になる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1の発明において、前記第1のタグはRFIDであることを特徴としている。
【0009】
請求項2の発明によれば、各資材に関するデータを取り付けられたタグから非接触で簡単に読み取り、データベースに取り込むことができるため、より効率的に資材を管理することが可能となる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2の発明において、前記第2のタグは前記ロットとしてまとめられた資材に対して着脱可能であることを特徴としている。
【0011】
請求項3の発明によれば、第2のタグを取り外して持ち運ぶことが可能になり。また、資材の置かれている場所のデータが入った第2のタグを持った作業者に対して、持っている第2のタグの現在位置から目的の資材がどちらに向かえば有るのかをナビゲーションすることができる。これにより、資材管理をより効率的に行うことが可能となる。
【0012】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜3の何れか1の発明において、前記資材が配管材料である場合には、前記第1のタグを前記配管材料の両端に被せられた配管養生キャップに設けたことを特徴としている。
【0013】
請求項4の発明によれば、資材を仮置きする場合、配管材料は重ねて置いても各配管の端面は表面に現れる為、端面に取り付けられた養生キャップに設けられた第1のタグは配管の重なりによって隠れることがない。また、第1のタグを養生キャップの内側、又は養生キャップに埋め込むことによって、第1のタグが他の資材と激しく接触することなどにより破損することがなくなる。更に、配管を吊るして仮吊りした場合、接近しているパイプの先についた養生キャップの第1のタグを同時に読み取れば、建築図面の資材のデータより、その配管が接続されても良い物か判定することができる。また、配管から取り外された養生キャップの第1のタグに記録された資材のデータを読むことによって、仮付けが終了した配管を特定することができ、出来高の把握がより効率良くなる。よって、より効率的に資材を管理することが可能になる。
【0014】
請求項5に記載の発明は、複数の置き場領域に分けられた資材置き場へ搬入する全ての資材に取り付けられた第1のタグに記録されている資材のデータを、読み取り装置で読み取ってデータベースへ記録すると共に、該資材の保管場所をデータベースで管理されている管理データに基づいて前記複数の置き場領域の中から指定する第1の工程と、前記搬入した資材を前記複数の置き場領域別に仕分けすると共に、仕分けしたロット別に識別IDを前記データベースより発行し、前記資材置き場内に発信された位置検知信号による現在位置確認機能、及び前記識別IDの記憶データ送信機能を備えた第2のタグを取り付ける第2の工程と、前記第2のタグから発信される識別ID信号を、前記複数の置き場領域別にそれぞれ設けられた受信装置で受信することにより、前記仕分けされたロットが指定された置き場領域へ搬入されたことを特定する第3の工程と、前記置き場領域に対応する資材のロットを該置き場領域のいずれかの場所へ下ろす第4の工程と、前記資材置き場の複数の所定位置にそれぞれ配置された発信装置から発信される、前記位置検知信号を前記第2のタグで受信して、前記第4の工程で下ろされたロットに取り付けられた該第2のタグの現在位置を知ることにより、前記指定された置き場領域内のどの場所に該ロットが下ろされたかを確認する第5の工程と、前記第1〜第5の工程でのデータを前記データベースで記録及び管理する第6の工程と、により資材の搬入管理を行うことを特徴としている。
【0015】
請求項5の発明によれば、資材に関するデータ、仕分けされたロットのデータ、及びロットが置かれた場所に関するデータとを、相互に関連付けてデータベースにて記録及び管理することが可能になり、より効率的に資材を管理することが可能になる。
【0016】
また、置き換えられたロットについても、置き換えるときに第2のタグを取り付けることによりロットの位置を自動的に記録することが可能となる。
【0017】
請求項6に記載の発明は、請求項5の発明において、前記データベースに記録されている前記資材のデータから、搬出を希望する資材のデータと、該資材が含まれるロットの識別IDとを抽出すると共に、抽出された該ロットが保管されている置き場領域と保管されている位置とのデータを表示する第7の工程と、前記表示されたデータを基に、前記搬出を希望する資材が含まれたロットのある場所まで移動する第8の工程と、搬出を希望する資材を、該資材が含まれる前記ロットより選別し移動させる第9の工程と、資材搬出口で、搬出された前記資材に取り付けられている前記第1のタグに記録されている該資材のデータを、読取装置で読み取って搬出をチェックすると共に、前記データベースに搬出された資材のデータを記録する第10の工程とにより資材の搬出管理を行うことを特徴としている。
【0018】
請求項6の発明によれば、資材置き場内部の状態を知らない作業者でも誤ることなく確実に資材を搬出できるようになる。また、搬出される資材のデータも簡単にデータベースで記録及び管理することが可能になるので、より効率的に資材を管理することが可能になる。
【発明の効果】
【0019】
以上説明したように、本発明の資材管理システムと資材管理方法によれば、搬入出や保管場所などの資材に関するデータを簡単にデータベースへ取り込むことができ、資材の場所確認も容易に行うことができるため、より効率的に資材の管理を行うことが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下添付図面に従って本発明に係る資材管理システムと資材管理方法との好ましい実施の形態について詳説する。本実施例では、建築及び土木工事に使用する資材の管理を一例としてあげる。尚、各図において同一部材には同一の番号または記号を付している。
【0021】
最初に、本発明に係る資材管理システムの構成について説明する。図1は本発明に係る資材管理システムの全体図。図2は資材の輸送状態を示した図。図3は第2のタグが取り付けられた輸送状態を示した図。図4は資材の一例である配管材料への第1のタグ取り付け図である。
【0022】
図2に示すように、輸送機4(例えばトラック)によって移動する、様々な形状をした資材14には第1のタグ15が一つ一つにあらかじめ取り付けられており、各第1のタグ15には取り付けられた資材に対応した型番等、その資材に関するデータが記録されている。第1のタグ15としては、例えばRFID(Radio Frequency IDentification)タグを好適に使用することができる。
【0023】
図1に示す資材置き場1内には、複数の置き場領域2A、2B、2C・・・が設けられている。各置き場領域2A、2B、2C・・・はそれぞれ道路3に面しており、道路3から資材を搬入、又は搬出することができる。
【0024】
道路3の両端には、輸送機4が資材置き場1へ入る資材搬入口11と、輸送機4が資材置き場から出る資材搬出口17とが設けられている。
【0025】
資材搬入口11と資材搬出口17との近傍には、それぞれ読み取り装置設置場所18が設けられており、前記読み取り装置設置場所18には、図示されない入力装置と読み取り装置19とが備え付けられている。
【0026】
読み取り装置19では、各資材14に取り付けられた各第1のタグ15のデータを読み取り、読み取ったデータを資材置き場1の近傍、又は資材置き場1内のいずれかに設置されている電子計算装置(データベース)DBに送る。データが送られると、各資材14には、置き場領域2A、2B、2C・・・のいずれかの置き場領域が保管場所としてデータベースDBより資材の管理データに基づいて指示される。
【0027】
入力装置は、資材14の搬入時や搬出時、又は必要に応じて、データベースDBへ必要なデータを入力する為に使用される。
【0028】
保管する置き場領域が指示された各資材14は、図3で示すように、指示された置き場領域が同一であり、種類又は前記置き場領域内での保管場所が同一又は近い物をロットLとしてまとめる。まとめられた各資材14は、どのロットLに含まれているかをデータ-ベースDBに記録し、各ロットLには個別の識別IDがデータベースDBより発行され、発行された識別IDは第2のタグ16に個別に記録される。
【0029】
識別IDが記録された各第2のタグ16は、記録された識別IDに対応するロットLへ取り外し可能に取り付ける。この状態で、第2のタグ16は記録された識別IDを外部へ送信することも可能である。
【0030】
各置き場領域2A、2B、2C・・・の入り口には、それぞれ受信装置13が設けられている。受信装置13は、第2のタグ16から送信される識別IDを受信することと、受信した識別IDを基に特定の識別IDに対して告知信号を発することと、受信した識別IDをデータベースDBへ送ることとが可能である。
【0031】
例えば図1に示すように、置き場領域2Gに設置された受信装置13は、輸送機4が輸送しているロットLが置き場領域2Gへ置くように指示された資材14を含んだ物であるとき、接近してきた輸送機4へライトの点燈や音声等の告知信号ALにより指定された置き場領域であることを知らせる。該ロットLが置き場領域2Gへ搬入され、置き場領域2Gに設置された受信装置13が受信した識別IDがデータベースDBへ送られることにより、その識別IDを持ったロットが指定された置き場領域に搬入されたことを確認する。
【0032】
更に、資材置き場1内の周辺部には複数の発信装置12が設けられている。第2のタグ16は、いくつかの発信装置12から発信される信号を利用して、資材置き場1内での現在位置を確認することが可能であり、その位置データをデータベースDBへ送ることも可能である。
【0033】
これにより、例えば図1に示すように、第2のタグ16が取り付けたままのロットLが、置き場領域2G内に保管されているとき。ロットLの保管場所が第2のタグ16により置き場領域2G内のどの辺りの位置になるのか確認され、その位置に関するデータがデータベースDBへ送信されて記録される。
【0034】
また、資材14を搬出する際に、搬出を希望する資材14を含むロットLが資材置き場1内のどの位置にあるのかを記録した第2のタグ16を持って行けば、第2のタグ16によって資材置き場1内での現在位置が確認できるので、資材14を含むロットの保管場所までナビゲーションすることが可能である。
【0035】
これらの構成により、本発明の資材管理システムは資材14に関するデータを簡単にデータベースDBへ取り込んで管理することができ、保管場所までのナビゲーションも可能な為、より効率的な資材管理を行うことが可能となる。
【0036】
なお、第1のタグ15の読み取り作業は、小型の読み取り装置19を用いて読み取り装置設置場所18に待機している人間、又は輸送機4にて資材14を輸送している作業者により行う。もしくは、ゲート状に作られた読み取り装置19内を通過することによって行ってもよい。
【0037】
また、資材14が配管材料である場合は、図4に示すように、配管材料20には両端に樹脂製の養生キャップ21が取り付けられており、養生キャップ21に第1のタグ15が設けられている。これにより、配管材料20が金属製であっても、RFIDタグを使用した第1のタグ15は金属面より離れるので影響を受けにくい。
【0038】
また、図4のように仮吊りされた状態で向き合った二つの第1のタグ15に記録されたそれぞれの資材に関するデータを一度に読み込めば、その配管は接続しても良い物か資材に関するデータと建築図面の資材のデータとを比較することで判定することも可能となる。
【0039】
次に、本発明に係る資材管理方法の資材搬入時と資材搬出時の管理フローについて説明する。図5は資材搬入時の管理フロー図。図6は資材搬出時の管理フロー図である。
【0040】
まず始めに、資材14を資材置き場1へ搬入して一時保管する場合の管理フローについて説明する。
【0041】
図5に示すように、輸送機4に載せられた資材14が図1に示す資材搬入口11まで来ると、搬入手続が開始される。資材搬入口11では、全ての資材14に取り付けられた第1のタグ15に記録されている各資材14の型番、名称、サイズ、及び形状等の個々の資材14に関するデータを読み取り装置19によって読み取り、データベースDBへ記録する。資材に関するデータを読み取った後、各資材14ごとに保管する置き場領域を置き場領域2A、2B、・・・の中から、建築工程、置き場領域の利用状況、及び資材の種類等のデータベースで管理されている管理データに基づき指定する(第1の工程S11)。
【0042】
保管する置き場領域が決まった資材14は、指定された置き場領域が同一であり、種類又は前記置き場領域内での置き位置が同一又は近い物ごとに前記資材をロットLに分類する。ロットLに分類後、各資材14がどのロットLに分類されたかデータベースDBに記録され、ロットL毎に識別IDが発行される。発行された識別IDは第2のタグ16へ別々に記録され、各第2のタグ16は対応した識別IDを持つロットLへ取り外し可能に取り付けられる。すべてのロットLに第2のタグ16が取り付けられると輸送機4は資材置き場1へ入場する(第2の工程S12)。
【0043】
輸送機4が資材置き場1に入場し、乗せているロットLの指定された置き場領域へ接近すると、受信装置13から告知信号ALを発して輸送機4を誘導する。指定された置き場領域の入り口を資材14が通過すると、ロットLごとに取り付けられた第2のタグ16から発信される識別IDを受信装置13で受信する。受信された識別IDはデータベースDBへ送られ、指定した置き場領域に正しく指定された識別IDを持つロットLが入ったかを確認する(第3の工程S13)。
【0044】
置き場領域内に入った輸送機4は、該置き場領域に保管する資材14を含んだロットLを置き場領域内の適当な場所へ下ろす(第4の工程S14)。
【0045】
下ろされたロットLに取り付けられた第2のタグ16は、発信装置12の信号を受けることにより、自身の現在位置を確認し、確認した現在位置のデータを下ろされたロットLの保管場所のデータとしてデータベースDBへ送る(第5の工程S15)。
【0046】
データベースDBでは、前記保管場所のデータと、ロットLの識別IDとを関連付けて記録する。記録が終了したら各ロットLに取り付けられた第2のタグ16を取り外し回収する(第6の工程S16)。
【0047】
以上で搬入手続が終了し、資材14を下ろした輸送機4は資材搬出口17より資材置き場1から退場する。
【0048】
なお、本実施例では第5の工程で第2のタグ16よりロットLの保管場所のデータがデータベースDBに送られているが、これに限らず、第5の工程で第2のタグ16に保管場所のデータを一度記録して、第6の工程で回収された後に、別の場所からデータベースDBへ送りロットLの識別IDと関連付けて記録しても良い。
【0049】
次に、必要になった資材を資材置き場1より搬出する場合の管理フローについて説明する。
【0050】
図6に示すように、何も乗せていない輸送機4が図1に示す資材搬入口11で停止する。資材搬入口11で読み取り装置設置場所18の図示されない入力装置より、型番、名称、サイズ、及び形状等の搬出しようとする資材14に関するデータを個々に入力する。入力されたデータを元に搬出しようとする資材14を抽出し、搬出しようとする資材14が含まれるロットLの識別IDを検索する。検索された識別IDから、その識別IDを持つロットLがどの置き場領域のどの付近に保管されているか、その保管場所のデータを表示する(第7の工程S17)。
【0051】
搬出しようとする資材14の含まれるロットLの識別IDと、表示された保管場所のデータとは第2のタグ16へ記録され、記録済みの第2のタグ16は輸送機4を移動させる作業者が持って資材置き場1へ入場する。輸送機4が資材置き場1に入場し、搬出しようとする資材14を含むロットLが保管されている置き場領域へ接近すると、該置き場領域に設置された受信装置13から告知信号ALを発して輸送機4を誘導する。輸送機4が、搬出しようとする資材14を含むロットLが保管されている置き場領域へ入ると、第2のタグ16は現在位置を発信装置12の信号を受けることにより確認し、輸送機4を移動させる作業者を該ロットLが保管されている場所へナビゲーションする(第8の工程S18)。
【0052】
搬出しようとする資材14を含むロットLを発見したら、目視で資材の型番を確認するか、又は図示しない小型の読み取り装置で第1のタグ15のデータを確認することにより該当する資材14を選択する。選択された資材14は適当な場所へ移動させて輸送機4へ乗せ、輸送機4は資材搬出口17へ移動する(第9の工程S19)。
【0053】
資材搬出口17まで来たら、資材搬出口17近傍に設置された読み取り装置設置場所18に備えられている読み取り装置19で、搬出した資材14の第1のタグ15に記録された資材に関するデータを読み取る。これにより、資材搬入口11で入力した搬出しようとする資材14のデータと、搬出する資材14が同じ物であるか確認をする。同じ場合は搬出されたことをデータベースDBに記録する(第10の工程S20)。
【0054】
以上で搬出手続が終了し、資材14を乗せた輸送機4は資材搬出口17より資材置き場1から退場する。
【0055】
なお、本実施例の第1の工程でのデータの入力では、読み取り機設置場所18の図示されない入力装置から入力するとしているが、これに限らず、別の場所で入力された記録媒体を読み込ませるか、又は遠方の入力装置から電気通信手段を用いてデータベースDBへあらかじめ入力するなどの方法でもよい。
【0056】
これらの管理フローにより、本発明の資材管理方法では資材14に関するデータを簡単にデータベースDBへ取り込み、そのデータを搬入、搬出、及び保管場等のデータと相互に関連付けて管理することができ、より効率的な資材管理を行うことが可能となる。
【0057】
以上説明したように、本発明によれば、入搬出や置き位置などの資材に関するデータを簡単にデータベースへ取り込むことができ、資材の位置確認も容易に行うことができるため、より効率的に資材の管理を行うことが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の実施の形態に係る資材管理システムの全体図。
【図2】資材の輸送状態を示した図。
【図3】第2のタグが取り付けられた輸送状態を示した図
【図4】資材の一例である配管材料への第1のタグ取り付け図。
【図5】資材搬入時の管理フロー図
【図6】資材搬出時の管理フロー図
【符号の説明】
【0059】
1…資材置き場、2…置き場領域、3…道路、4…輸送機、11…資材搬入口、12…発信装置、13…受信装置、14…資材、15…第1のタグ、16…第2のタグ、17…資材搬出口、18…読み取り装置設置場所、19…読み取り装置、20…配管材料、21…養生キャップ、DB…電子計算装置(データベース)、L…ロット

【特許請求の範囲】
【請求項1】
資材を保管する場所が複数の置き場領域に分けられると共に、資材搬入口及び資材搬出口を有する資材置き場と、
前記資材置き場で管理する全ての資材に取り付けられ、前記資材のデータが記録されると共に、該データを非接触で読み取る機能を備えた第1のタグと、
前記資材を仕分けしたロット別に取り付けられ、前記資材置き場内に発信された位置検知信号による現在位置を確認する機能、及び前記ロット別に発行されたロットの識別IDの記憶及び送信する機能を備えた第2のタグと、
前記資材置き場の資材搬入口及び資材搬出口の少なくとも一方に設けられ、前記第1のタグに記録されたデータを読み取る読み取り装置と、
前記複数の置き場領域別にそれぞれ設けられ、前記第2のタグから発信される前記識別ID信号を受信する受信装置と、
前記資材置き場の複数の所定位置にそれぞれ設けられ、前記第2のタグが自己の現在位置を知るために受信する前記位置検知信号を発信する発信装置と、
前記資材のデータと、資材を管理する管理データとを記録及び管理するデータベースと、を備えたことを特徴とする資材管理システム。
【請求項2】
前記第1のタグはRFIDであることを特徴とする請求項1の資材管理システム。
【請求項3】
前記第2のタグは前記ロットとしてまとめられた資材に対して着脱可能であることを特徴とする請求項1又は2の資材管理システム。
【請求項4】
前記資材が配管材料である場合には、前記第1のタグを前記配管材料の両端に被せられた配管養生キャップに設けたことを特徴とする請求項1〜3の何れか1の資材管理システム。
【請求項5】
複数の置き場領域に分けられた資材置き場へ搬入する全ての資材に取り付けられた第1のタグに記録されている資材のデータを、読み取り装置で読み取ってデータベースへ記録すると共に、該資材の保管場所をデータベースで管理されている管理データに基づいて前記複数の置き場領域の中から指定する第1の工程と、
前記搬入した資材を前記複数の置き場領域別に仕分けすると共に、仕分けしたロット別に識別IDを前記データベースより発行し、前記資材置き場内に発信された位置検知信号による現在位置確認機能、及び前記識別IDの記憶データ送信機能を備えた第2のタグを取り付ける第2の工程と、
前記第2のタグから発信される識別ID信号を、前記複数の置き場領域別にそれぞれ設けられた受信装置で受信することにより、前記仕分けされたロットが指定された置き場領域へ搬入されたことを特定する第3の工程と、
前記置き場領域に対応する資材のロットを該置き場領域のいずれかの場所へ下ろす第4の工程と、
前記資材置き場の複数の所定位置にそれぞれ配置された発信装置から発信される、前記位置検知信号を前記第2のタグで受信して、前記第4の工程で下ろされたロットに取り付けられた該第2のタグの現在位置を知ることにより、前記指定された置き場領域内のどの場所に該ロットが下ろされたかを確認する第5の工程と、
前記第1〜第5の工程でのデータを前記データベースで記録及び管理する第6の工程と、により資材の搬入管理を行うことを特徴とする資材管理方法。
【請求項6】
前記データベースに記録されている前記資材のデータから、搬出を希望する資材のデータと、該資材が含まれるロットの識別IDとを抽出すると共に、抽出された該ロットが保管されている置き場領域と保管されている位置とのデータを表示する第7の工程と、
前記表示されたデータを基に、前記搬出を希望する資材が含まれたロットのある場所まで移動する第8の工程と、
搬出を希望する資材を、該資材が含まれる前記ロットより選別し移動させる第9の工程と、
資材搬出口で、搬出された前記資材に取り付けられている前記第1のタグに記録されている該資材のデータを、読取装置で読み取って搬出をチェックすると共に、前記データベースに搬出された資材のデータを記録する第10の工程とにより資材の搬出管理を行うことを特徴とする請求項5に記載の資材管理方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2006−176281(P2006−176281A)
【公開日】平成18年7月6日(2006.7.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−371652(P2004−371652)
【出願日】平成16年12月22日(2004.12.22)
【出願人】(000005452)株式会社日立プラントテクノロジー (1,767)
【Fターム(参考)】