説明

質量分析計

セグメント化リニアオンガイド又はイオントラップを備える質量分析計を開示する。イオンは、イオンガイド又はイオントラップを形成する電極にAC又はRF電圧を印加することによって、イオンガイド又はイオントラップ内に半径方向に閉じ込められる。イオンガイド又はイオントラップ内でトラップされたイオンに単調和運動を行わせるために、二次DCポテンシャルがイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さに沿って印加される。イオンの振動周波数は1つ以上の誘導検出器を使用して検出される。次いで、イオンの質量電荷比は、決定された振動周波数から決定され得る。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析計及び質量分析の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
種々のイオントラップ技術が質量分析の分野において周知である。例えば、市販の3D又はポールイオントラップは、多くのタイプの有機分析のための強力で比較的安価なツールを提供する。3D又はポールイオントラップは、1つの中心円筒環状電極、及び前記環状電極に対向する双曲面を有する2つのエンドキャップ電極を含む。RF電圧を2つのエンドキャップ電極と環状電極との間に印加し、RF周波数で振動する三次元四重極電場を発生させて、イオントラップ内にイオンを閉じ込める。イオントラップからイオンを排出するために多くの異なるアプローチが採用され得る。例えば、印加されたRF電圧の振幅又は周波数を変化させる質量選択不安定性が使用され得る。別のアプローチとしては、小さな補足電圧が電極に印加される共鳴排出がある。さらなるアプローチは、イオントラップからイオンを排出させるために環状電極とエンドキャップ電極との間にDCバイアス電圧を印加することである。
【0003】
3D又はポールイオントラップは、質量分解能が比較的制限されるという欠点がある。さらに、3D又はポールイオントラップは、空間電荷容量が低いために質量精度及びダイナミックレンジが比較的制限される。
【0004】
高分解能で正確な質量スペクトルデータを生成することができるフーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(FT−ICR)質量分析計が公知である。これらの質量分析計におけるイオントラップは、大きな超伝導磁石によって発生させた非常に強い磁場を電場と組み合わせて使用することによって達成される。トラップされたイオンは、イオンの質量電荷比に関連する周波数で磁力線の回りにらせんを描く。次いで、イオンはらせん運動の半径が増加するように励起される。半径が増加すると、イオンは検出器プレートの近くを通るように配置される。イオンは検出器板中にイメージ電流を誘導する。
【0005】
フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計は、液体ヘリウムによって冷却される大きな超伝導磁石を使用する必要があるので比較的大きくかつ高価である。フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴質量分析計のさらなる欠点は、超高真空を必要とし、ダイナミックレンジが制限されることである。
【0006】
オービトラップ(Orbitrap)と呼ばれるさらなる従来形態の質量分析計が公知である。オービトラップ質量分析計は、例えば、軸及び半径方向の両方にイオンをトラップするための静電(DC)イオントラップ場だけを使用する点で3D又はポールイオントラップと異なる。イオンは、中心電極の回りを軌道を描いて回り、軸方向に調和振動するようにされる。オービトラップ質量分析計の詳細については、例えば、Anal.Chem.2000、72、1156−1162(非特許文献1)、及びUS−5886346(Makarov)(特許文献1)を参照のこと。
【0007】
オービトラップは、高ダイナミックレンジを有する高品質質量スペクトルデータを生成でき、かつ比較的安価なイオントラップである。しかし、オービトラップは多くの深刻な欠点を有する。
【0008】
第1に、オービトラップは、動作するために10-8mbar以下の超高真空(「UHV」)を必要とする。残留ガス分子と衝突することにより、中心電極を周回するイオンの運動エネルギーが低減する。これにより、イオンの軌道の半径は低減し、中心電極へイオンが失われる。
【0009】
第2に、分析の前にオービトラップ内のイオンを衝突により冷却することは、それによりイオンが中心電極へ失われるので、可能でない。軸及び半径方向のイオンエネルギーの広がりは、イオントラップの外部の注入光学によって決定される。
【0010】
第3に、中心電極の回りの安定軌道を生じるオービトラップへの受け取りエネルギー及び初期入射角の範囲が比較的狭い。したがって、外部イオン源によって生成されるイオンの初期トラップ効率が低減する。
【0011】
第4に、RF電圧を中心電極に印加することによって促進される共鳴励起及び質量選択不安定によって、半径方向において一部のイオンが望ましくない共鳴を起こし得る。これにより、この動作モードにおいてイオンが内側又は外側電極に失われ得る。
【0012】
完全を期すために、フィールドフリー領域によって分離された互いに対向するように配置された2つの静電ミラー間でイオンが振動する、さらなる形態の質量分析計が公知である。「Ion motion Synchronisation in an Ion Trap Resonator」、M.L.Rappaport、Physical Review Letters、Vol.87、No.5(非特許文献2)に開示の構成を参照のこと。振動周波数は、イメージ電流検出を利用して測定される。しかし、振動周波数はイオンエネルギー又は空間的広がりに対して独立でないので、このデバイスは質量分解能が低い。さらに、上記Rappaportらに開示の静電イオントラップ共鳴器はイオンを半径方向に閉じ込めない。これにより、いくつかの欠点が生じる。
【0013】
第1に、軸方向の振動が進むにつれ、イオン束は半径方向に広がる。この広がりは、イオンの初期の半径方向のエネルギーの広がり及びイオンミラーに電圧を印加することによって生成された半径方向の場に依存する。イオンは最終的に半径方向に失われる。
【0014】
第2に、上記デバイスは、非常に高い真空において動作させる必要がある。残留ガス分子と衝突することにより、軸方向エネルギーが低減し、振動の振幅が低減する。加えて、衝突によりイオンが散乱し、半径方向において失われる。
【0015】
第3に、このデバイスにおいて、イオン振動の周波数は、イオンエネルギーに依存する。したがって、周波数における広がりは、イオンのエネルギー及び空間的広がりに依存する。結果として、このデバイスは高分解能を有さない。
【特許文献1】米国特許第5886346号明細書
【非特許文献1】Anal.Chem.2000、72、1156−1162
【非特許文献2】Ion motion Synchronisation in an Ion Trap Resonator」、M.L.Rappaport、Physical Review Letters、Vol.87、No.5
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0016】
したがって、改善されたイオンガイド又はイオントラップを提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0017】
本発明の一態様によると、質量分析計であって、
複数の電極を含み、長軸を有するイオンガイド又はイオントラップと、
少なくともいくつかのイオンを半径方向にイオンガイド又はイオントラップ内に閉じ込めるためにAC又はRF電圧を少なくともいくつかの電極に印加するためのAC又はRF電圧手段と、
少なくともいくつかのイオンを軸方向に1つの動作モードで振動させるように構成され適合する振動手段と、
軸方向のイオンの振動周波数を測定するための検出器手段と、を含む質量分析計が提供される。
【0018】
イオンガイド又はイオントラップは、好ましくは多重極ロッドセットイオンガイド又はイオントラップを含む。例えば、イオンガイド又はイオントラップは、四重極、六重極、八重極又はより高次の多重極ロッドセットを含む。
【0019】
イオンガイド又はイオントラップは、好ましくは近似的に又は実質的に円形の断面を有する複数の電極を含む。別の実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは複数の電極を備え、電極は近似的に又は実質的に双曲な曲面を有する。さらなる実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは近似的に又は実質的に凹面の複数の電極を備え、電極は弓形又は一部円形の断面を有する。
【0020】
多重極ロッドセットイオンガイド又はイオントラップの内接半径は、好ましくは(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、及び(xi)>10mmからなる群から選択される。
【0021】
一実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは、好ましくは、軸方向にセグメント化されているか、又は複数の軸方向セグメントを含む。例えば、イオンガイド又はイオントラップは、好ましくはx個の軸方向セグメントを備え、xは(i)<10、(ii)10〜20、(iii)20〜30、(iv)30〜40、(v)40〜50、(vi)50〜60、(vii)60〜70、(viii)70〜80、(ix)80〜90、(x)90〜100、及び(xi)>100からなる群から選択される。好ましくは、各軸方向セグメントは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は>20個の電極を含む。
【0022】
軸方向セグメントのうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%の軸方向長さは、好ましくは(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、及び(xi)>10mmからなる群から選択される。一実施形態によると、軸方向セグメントうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%の間隔は、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、及び(xi)>10mmからなる群から選択される。別の実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは、複数の非導電性、絶縁性若しくはセラミックのロッド、突起(projection)又はデバイスを備え得る。例えば、イオンガイド又はイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は>20個のロッド、突起又はデバイスを含む。複数の非導電性、絶縁性若しくはセラミックのロッド、突起又はデバイスは、1つ以上の抵抗性若しくは導電性の被膜、層、電極、フィルム又は表面をさらに備え得る。1つ以上の抵抗性若しくは導電性被膜、層、電極、フィルム又は表面は、好ましくは非導電性、絶縁性若しくはセラミックのロッド、突起又はデバイスのうちの1つ以上の上に、その周りに、それを覆って(over)、又は、それに近接して設置される。
【0023】
さらに別の実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは開口部を有する複数の電極を備え得る。ここで、イオンは使用時に開口部を通ってトランスミットされる(通過する)。好ましくは、電極のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%は、実質的に同じサイズであるか又は実質的に同じ面積を有する開口部を有する。別の実施形態によると、電極のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%は、サイズ又は面積がイオンガイド又はイオントラップの軸に沿って漸次大きく又は小さくなる開口部を有する。
【0024】
電極のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%は、好ましくは内側の直径又は寸法が(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、及び(xi)>10.0mmからなる群から選択される開口部を有する。
【0025】
一実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は>10個の電極を含む。一実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは、少なくとも(i)10〜20個の電極、(ii)20〜30個の電極、(iii)30〜40個の電極、(iv)40〜50個の電極、(v)50〜60個の電極、(vi)60〜70個の電極、(vii)70〜80個の電極、(viii)80〜90個の電極、(ix)90〜100個の電極、(x)100〜110個の電極、(xi)110〜120個の電極、(xii)120〜130個の電極、(xiii)130〜140個の電極、(xiv)140〜150個の電極、又は(xv)>150個の電極を含む。
【0026】
イオンガイド又はイオントラップは、好ましくは(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、及び(xi)>200mmからなる群から選択される長さを有する。
【0027】
一実施形態によると、AC又はRF電圧手段は、好ましくは、イオンを半径方向にイオンガイド又はイオントラップ内に閉じ込めるために、イオンガイド又はイオントラップを形成する電極のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%にAC又はRF電圧を印加するように構成され適合する。
【0028】
AC又はRF電圧手段は、好ましくは(i)<50Vの最大振幅(peak to peak)、(ii)50〜100Vの最大振幅、(iii)100〜150Vの最大振幅、(iv)150〜200Vの最大振幅、(v)200〜250Vの最大振幅、(vi)250〜300Vの最大振幅、(vii)300〜350Vの最大振幅、(viii)350〜400Vの最大振幅、(ix)400〜450Vの最大振幅、(x)450〜500Vの最大振幅、及び(xi)>500Vの最大振幅、からなる群から選択される振幅を有するAC又はRF電圧を供給するように構成され適合する。
【0029】
一実施形態によると、AC又はRF電圧手段は、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、及び(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数を有するAC又はRF電圧を供給するように構成され適合する。
【0030】
振動手段は、好ましくはイオンに軸方向に単調和運動(simple harmonic motion)を行わせるように構成され適合する。一実施形態によると、振動手段は、1つ以上のDC又は静的な電圧又はポテンシャルを電極に供給するための1つ以上のDC又は静的な電圧又はポテンシャル供給源を含む。振動手段は、好ましくはイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%に沿って近似的に二次(quadratic)又は実質的に二次のDCポテンシャルを維持するように構成され適合する。
【0031】
一実施形態によると、二次DCポテンシャルは、(i)<10V、(ii)10〜20V、(iii)20〜30V、(iv)30〜40V、(v)40〜50V、(vi)50〜60V、(vii)60〜70V、(viii)70〜80V、(ix)80〜90V、(x)90〜100V、及び(xi)>100Vからなる群から選択される深さのポテンシャル井戸を含む。
【0032】
振動手段は、好ましくはイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さに沿って第1の位置に最小値が位置する近似的に二次又は実質的に二次のDCポテンシャルを維持するように構成され適合し、イオンはその第1の位置の回りで単調和運動を行う。
【0033】
振動手段がイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さに沿って近似的に二次又は実質的に二次のDCポテンシャルを維持する前に、イオンは、好ましくは近似的に二次又は実質的に二次のDCポテンシャルの印加時にイオンが第1の位置に向かって加速されるように、第1の位置から離れて配置されるか、トラップされるか、若しくは、位置づけられる。
【0034】
一実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは第1の軸方向端及び第2の軸方向端を有し、第1の位置は第1の軸方向端から下流又は第2の軸方向端から上流に距離Lの位置にあり、Lは(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、及び(xi)>200mmからなる群から選択される。
【0035】
質量分析計は、好ましくはイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%に沿って実質的に直線の静電場を維持するように構成され適合する手段をさらに含む。
【0036】
質量分析計は、好ましくは振動手段によって振動するようにされたがその後エネルギーを失い、軸方向ポテンシャル井戸の最小値の方に位置するイオンを再活性化又は加速させるように構成され適合する。
【0037】
一実施形態によると、質量分析計は、イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さに沿って少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の離散(discrete)ポテンシャル井戸を維持するように構成され適合する手段をさらに含む。
【0038】
検出器手段は、好ましくは1つ以上の誘導性又は容量性検出器を含む。1つ以上の誘導性又は容量性検出器は、好ましくはイオンガイド又はイオントラップ内及び/又はイオンガイド又はイオントラップのイオン入口及び/又はイオンガイド又はイオントラップのイオン出口における実質的にゼロポテンシャル面に実質的に沿って配置される。1つ以上の誘導性又は容量性検出器は、軸方向に配置された複数の離散又は個別の検出器又は検出領域を備え得る。
【0039】
好ましい実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは軸方向にセグメント化され、複数の離散又は個別の検出器又は検出領域のうちの少なくとも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%は、好ましくはイオンガイド又はイオントラップの隣接のセグメントにおいて維持されるDCポテンシャル又は電圧と実質的に同様のDCポテンシャル又は電圧に維持される。
【0040】
一実施形態によると、検出器手段は、好ましくはイオンの振動周波数を直接又は間接に測定するように構成され適合する。
【0041】
好ましさのより低い実施形態によると、検出器手段は光検出器を備え得る。光検出器は、イオンが照射された後にイオンからの蛍光を検出するように構成され適合し得る。
【0042】
検出器手段は、好ましくは時間ドメインデータ又はイオン振動に関係するデータを周波数ドメインデータ又はイオン振動周波数に関係するデータに変換するためのフーリエ変換手段をさらに含む。検出器手段は、好ましくは周波数ドメインデータからイオンの質量又は質量電荷比を決定するための手段をさらに含む。
【0043】
一実施形態によると、1つの動作モードにおいて、好ましくはイオンガイド又はイオントラップ内でイオンが振動する動作モードにおいて、イオンガイド又はイオントラップは、好ましくは(i)<1.0×10-1mbar、(ii)<1.0×10-2mbar、(iii)<1.0×10-3mbar、(iv)<1.0×10-4mbar、(v)<1.0×10-5mbar、(vi)<1.0×10-6mbar、(vii)<1.0×10-7mbar、(viii)<1.0×10-8mbar、(ix)<1.0×10-9mbar、(x)<1.0×10-10mbar、(xi)<1.0×10-11mbar、及び(xii)<1.0×10-12mbarからなる群から選択される圧力において、使用時に、維持される。
【0044】
一実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは、1つの動作モードにおいて、好ましくはイオンガイド又はイオントラップ内でイオンが衝突により冷却及び/又はフラグメンテーションされる動作モードにおいて、イオンガイド又はイオントラップを、(i)>1.0×10-3mbar、(ii)>1.0×10-2mbar、(iii)>1.0×10-1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)>5.0×10-3mbar、(viii)>5.0×10-2mbar、(ix)10-3〜10-2mbar、及び(x)10-4〜10-1mbarからなる群から選択される圧力において維持するように構成され適合する手段をさらに含む。
【0045】
一実施形態によると、1つの動作モードにおいて、イオンはトラップされるが、イオンガイド又はイオントラップ内で実質的にはフラグメンテーションされない。一実施形態によると、1つの動作モードにおいて、イオンは、イオンガイド又はイオントラップ内で衝突により冷却されるか、又は実質的に熱化(thermalize)される。一実施形態によると、イオンが振動手段によって軸方向に振動する前及び/又は後に、イオンは、イオンガイド又はイオントラップ内で衝突により冷却されるか、又は実質的に熱化される。一実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップ内のイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成され適合する手段が提供される。
【0046】
1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップがイオンガイド又はイオントラップの上流及び/又は下流に配置され得る。一実施形態によると、1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップ内でイオンは衝突により冷却されるか、又は実質的に熱化される。これは、イオンが振動手段によって軸方向に振動する前及び/又は後であり得る。
【0047】
一実施形態によると、1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップからのイオンは、1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップからイオンガイド又はイオントラップ中へ導入されるか、軸方向に注入又は排出されるか、半径方向に注入又は排出されるか、トランスミットされるか、又はパルスされる。
【0048】
1つの動作モードにおいて、イオンは、1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップ内でトラップされ、好ましくは実質的にフラグメンテーションされる。
【0049】
質量分析計は、好ましくは、イオンガイド又はイオントラップから共鳴により及び/又は質量選択的にイオンを排出するように構成され適合する排出手段をさらに含む。排出手段は、イオンガイド又はイオントラップから軸方向及び/又は半径方向にイオンを排出するように構成され適合し得る。例えば、排出手段は、質量選択不安定によってイオンを排出するためにAC又はRF電圧の周波数及び/又は振幅を調節するように構成され適合する手段を備え得る。あるいは、排出手段は、共鳴排出手段によってイオンを排出するためにAC又はRF補足波形又は電圧を複数の電極に付加するための手段を備え得る。さらなる実施形態によると、排出手段は、イオンを排出するためにDCバイアス電圧を印加するための手段を備え得る。
【0050】
本発明の有利な特徴は、好ましいイオンガイド又はイオントラップを他の動作モードで動作させ得ることである。例えば、さらなる動作モードにおいて、イオンガイド又はイオントラップは、イオンが実質的に軸方向に振動しないように、イオンをトランスミット又は貯留するように構成され得る。さらなる動作モードにおいて、イオンガイド又はイオントラップは質量フィルタ又は質量分析器として作用するように構成され得る。あるいは、さらなる動作モードにおいて、イオンガイド又はイオントラップは、イオンが軸方向に振動することなく衝突又はフラグメンテーションセルとして作用するように構成され得る。
【0051】
好ましい実施形態によると、質量分析計は、イオンガイド又はイオントラップ内のイオンを、イオンガイド又はイオントラップの入口及び/又は中心及び/又は出口に好ましくは近い1つ以上の位置で貯留又はトラップするように構成され適合する手段をさらに含む。質量分析計は、イオンガイド又はイオントラップ内のイオンをトラップし、イオンガイド又はイオントラップの入口及び/又は中心及び/又は出口に向かってイオンを漸次移動させるように構成され適合する手段をさらに備え得る。
【0052】
使用時に、1つ以上の過渡DC電圧又は1つ以上の過渡DC電圧波形がイオンガイド又はイオントラップに沿って、まず第1の軸方向位置に与えられ、次いでその後で第2、次いで第3の異なる軸方向位置に与えられ得る。
【0053】
1つ以上の過渡DC電圧又は1つ以上の過渡DC電圧波形は、使用時に、イオンガイド又はイオントラップの一端からイオンガイド又はイオントラップの別の端に移動するよう構成され、イオンがイオンガイド又はイオントラップに沿って駆動され得る。1つ以上の過渡DC電圧は、(i)1つのポテンシャルの山又は障壁、(ii)1つのポテンシャル井戸、(iii)複数のポテンシャルの山又は障壁、(iv)複数のポテンシャル井戸、(v)1つのポテンシャルの山又は障壁と1つのポテンシャル井戸との組み合わせ、又は(vi)複数のポテンシャルの山又は障壁と複数のポテンシャル井戸との組み合わせを生成し得る。
【0054】
1つ以上の過渡DC電圧波形は、繰り返し波形又は方形波を備え得る。
【0055】
一実施形態によると、質量分析計は、トラップ静電ポテンシャルをイオンガイド又はイオントラップの第1の端及び/又は第2の端に印加するように構成される手段をさらに含む。質量分析計は、1つ以上のトラップ静電ポテンシャルをイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さに沿って印加するように構成される手段をさらに備え得る。
【0056】
質量分析計は、イオンガイド又はイオントラップの上流及び/又は下流に配置された1つ以上のイオン検出器をさらに備え得る。1つ以上のイオン検出器は、マイクロチャネルプレート検出器を備え得る。
【0057】
一実施形態によると、質量分析計は、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、及び(xvi)ニッケル−63放射性イオン源からなる群から選択されるイオン源をさらに含む。
【0058】
質量分析計は、連続又はパルス化イオン源を備え得る。
【0059】
質量分析計は、イオンガイド又はイオントラップ中へイオンを導入するか、軸方向に注入又は排出するか、半径方向に注入又は排出するか、通過させるか、又はパルスするための手段をさらに含む。
【0060】
質量分析計は、好ましくは質量分析器をさらに含む。質量分析器は、好ましくは(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速度飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速度飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポール又は3D四重極質量分析器、(viii)2D又はリニア四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電イオンサイクロトロン共鳴質量分析計、及び(xiii)静電フーリエ変換質量分析計からなる群から選択される。
【0061】
本発明の一態様によると、質量分析の方法であって、
複数の電極を含み、長軸を有するイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
少なくともいくつかのイオンを半径方向にイオンガイド又はイオントラップ内に閉じ込めるためにAC又はRF電圧を少なくともいくつかの電極に印加するステップと、
1つの動作モードで少なくともいくつかのイオンを軸方向に振動させるステップと、
軸方向のイオンの振動周波数を決定するステップと、を含む方法が提供される。
【0062】
本発明の一態様によると、質量分析計であって、
複数のセグメントを含み、1つの動作モードにおいて、二次DCポテンシャルがイオンガイド又はイオントラップの軸方向に沿って維持されるリニアガイド又はイオントラップと、
イオンの振動周波数を測定するための測定デバイスと、
測定デバイスによって測定されるデータをフーリエ変換するための手段と、
周波数データからイオンガイド又はイオントラップ内で振動するイオンの質量又は質量電荷比を決定するための手段と、を含む質量分析計が提供される。
【0063】
本発明の一態様によると、質量分析の方法であって、
複数のセグメントを含むイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
イオンガイド又はイオントラップの軸方向に沿って二次DCポテンシャルを維持するステップと、
イオンの振動周波数を測定するステップと、
測定データをフーリエ変換するステップと、
周波数データからイオンガイド又はイオントラップ内で振動するイオンの質量又は質量電荷比を決定するためのステップと、を含む方法が提供される。
【0064】
本発明の一態様によると、質量分析計であって、
開口部を有する複数の電極を含み、イオンが使用時に開口部を通過するイオンガイド又はイオントラップと、
1つの動作モードにおいてイオンに単調和運動を行わせるためにイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル勾配を維持するように構成され適合する手段と、を含む質量分析計が提供される。
【0065】
本発明の一態様によると、質量分析の方法であって、
開口部を有する複数の電極を含み、イオンは使用時に開口部を通過するイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
1つの動作モードにおいてイオンに単調和運動を行わせるためにイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル勾配を維持するステップと、を含む方法が提供される。
【0066】
本発明の一態様によると、質量分析計であって、
セラミック又は非導電性の多重極ロッドセットを含み、多重極ロッドセットはロッドセットの表面に配置される1つ以上の抵抗性若しくは導電性の被膜、層又は電極を含むイオンガイド又はイオントラップと、
1つの動作モードにおいてイオンに単調和運動を行わせるためにイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル勾配を維持するように構成され適合する手段と、を含む質量分析計が提供される。
【0067】
本発明の一態様によると、質量分析の方法であって、
セラミック又は非導電性多重極ロッドセットを含み、多重極ロッドセットはロッドセットの表面に配置される1つ以上の抵抗性若しくは導電性の被膜、層又は電極を含むイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
1つの動作モードにおいてイオンに単調和運動を行わせるためにイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル勾配を維持するステップと、を含む方法が提供される。
【0068】
本発明の一態様によると、質量分析計であって、
複数の電極を含み、長軸を有するイオンガイド又はイオントラップと、
イオンガイド又はイオントラップ内で親又は前駆体イオンを選択し、他のイオンをイオンガイド又はイオントラップから排出するように構成され適合する手段と、
複数のフラグメントイオンを生成するためにイオンガイド又はイオントラップ内で選択された親又は前駆体イオンをフラグメンテーションするように構成され適合する手段と、
1つの動作モードにおいてフラグメントイオンのうちの少なくともいくつかを軸方向に振動させるように構成され適合する手段と、
軸方向のフラグメントイオンの振動周波数を決定するための検出器手段と、を含む質量分析計が提供される。
【0069】
本発明の一態様によると、質量分析の方法であって、
複数の電極を含み、長軸を有するイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
イオンガイド又はイオントラップ内で親又は前駆体イオンを選択し、他のイオンをイオンガイド又はイオントラップから排出するステップと、
複数のフラグメントイオンを生成するためにイオンガイド又はイオントラップ内で選択された親又は前駆体イオンをフラグメンテーションするステップと、
1つの動作モードにおいてフラグメントイオンのうちの少なくともいくつかを軸方向に振動させるステップと、
軸方向のフラグメントイオンの振動周波数を決定するステップと、を含む方法が提供される。
【0070】
本発明の一態様によると、質量分析計であって、
軸方向にセグメント化された多重極ロッドセットを含むイオンガイド又はイオントラップと、
1つの動作モードにおいてイオンガイド又はイオントラップ内でイオンに単調和運動を行わせるためにイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル井戸を維持するように構成され適合する手段と、を含む質量分析計が提供される。
【0071】
好ましくは、質量分析計は、二次DCポテンシャル井戸からイオンを共鳴により排出するように構成され適合する手段をさらに含む。
【0072】
本発明の一態様によると、質量分析の方法であって、
軸方向にセグメント化された多重極ロッドセットを含むイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
イオンガイド又はイオントラップ内でイオンに単調和運動を行わせるために1つの動作モードにおいてイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル井戸を維持するステップと、を含む方法が提供される。
【0073】
好ましくは、方法は、二次DCポテンシャル井戸からイオンを共鳴により排出するステップをさらに含む。
【0074】
好ましい実施形態は、複数の電極を含むリニアガイド又はイオントラップを含む質量分析計に関する。AC又はRF電圧は、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップの軸に沿ってイオンを半径方向に閉じ込めるために電極に印加される。静電DC軸方向場は、好ましくはまた、好ましいイオンガイド又はイオントラップの軸に沿って基準点を中心にして好ましくは対称に付加される。
【0075】
印加されたDC静電場は、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内のイオンに力を与え、好ましくは基準点へ向かってイオンを加速させる。イオンに働く力は、好ましくはイオンの基準点からの変位(displacement)に比例する。したがって、イオンは、好ましくは振動し、基準点の回りで単調和運動するようになる。
【0076】
好ましい実施形態によると基準点の回りのイオン振動の周波数は、好ましくは1つ以上の誘導性又は容量性リスニングプレート又は検出器を使用して直接又は間接に測定され得る。次いで、1つ以上の誘導性又は容量性リスニングプレート又は検出器によって生成される信号は、好ましくはフーリエ変換分析される。次いで、得られた周波数ドメイン情報は、好ましくは質量スペクトルを生成するために使用される。なぜなら、イオンの振動周波数は、好ましくは振動するイオンの質量又は質量電荷比に直接的に依存するからである。
【0077】
好ましい実施形態において、好ましいイオンガイド又はイオントラップに沿ったDC軸方向重ね合わせ電場は、好ましくは実質的に直線である。したがって、好ましいイオンガイド又はイオントラップに沿って維持される電圧又はポテンシャルは好ましくは実質的に二次である。
【0078】
特に好ましい実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは、セグメント化多重極ロッドセット、好ましくは四重極ロッドセットを、好ましく備える。しかし、他の実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは、他の形態のイオンガイド又はイオントラップ、例えば、イオントンネル若しくはイオンファネルイオンガイド又はイオントラップなどを備え得る。
【0079】
好ましい実施形態において、イオンは、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップへ、軸方向に導入され、パルスされ、排出され、又は注入される。いったんイオンが好ましいイオンガイド又はイオントラップ内にトラップされると、イオンは、好ましくは、軸方向の調和運動で振動するように誘導される。軸方向運動の周波数は、1つ以上の誘導性又は容量性検出器を使用して決定され得る。好ましい実施形態によると、1つ以上の検出器は、好ましくはイオンガイド又はイオントラップの軸に沿って配置され得る。1つ以上の検出器によって記録される時間ドメインデータは、好ましくはフーリエ変換手法を使用して周波数ドメインに変換される。次いで、周波数ドメインデータは、好ましくはキャリブレーション式又は関数をデータに適用することによって質量スペクトルに変換される。
【0080】
好ましいイオンガイド又はイオントラップは、好ましくはイオンガイド又はイオントラップを形成する電極に印加されるAC又はRF電圧によるイオンの半径方向の閉じ込めと、イオンガイド又はイオントラップの長さに沿って好ましくは維持される重ね合わせDC軸方向ポテンシャル井戸の両方をともに含む。これにより、好ましくは公知の構成を超えるいくつか重要な利点がある。
【0081】
第1に、好ましいイオンガイド又はイオントラップに導入又は排出されたイオンを、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップを形成する電極に印加されたAC又はRF電圧による半径方向の擬ポテンシャル井戸により、閉じ込めるか、又は含むことができる。イオンは、また好ましくは、DC静電ポテンシャルがイオンガイド又はイオントラップの一端又は両端に印加することにより、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内に軸方向にトラップされる。
【0082】
有利には、イオンに軸方向の振動をさせるために二次軸方向DCポテンシャルがイオンガイド又はイオントラップに印加される前に、イオンガイド又はイオントラップへ衝突ガスを導入することによってイオンは熱エネルギーに冷却され得る。好ましい実施形態に係るイオンの熱冷却によって、軸方向DC二次ポテンシャルを印加してイオンの質量分析を行う前に、イオンの空間的広がり及びエネルギーの広がりを最小にすることが可能となる。
【0083】
二次軸方向DCポテンシャルは、小量の軸方向エネルギーが冷却されたイオンに与えられるように印加されるか、又は変更され得る。低い初期エネルギー広がりによって、同じ質量電荷比値のイオンがコヒーレントグループとなって軸方向に振動することを確実にし、所定の質量対電荷比に対する軸方向振動周波数の正確な決定が可能となる。
【0084】
別の又はさらなる実施形態によると、イオンは、イオンガイド又はイオントラップの外部で熱エネルギーに冷却され得る。例えば、イオンは、好ましい実施形態に係るイオンガイド又はイオントラップの上流又は下流に配置されたさらなるイオンガイド又はイオントラップにおいて熱的に冷却され得る。次いで、熱的に冷却されたイオンは、さらなるイオンガイド又はイオントラップからイオンガイド又はイオントラップ中へ、適切な予め規定された軸方向エネルギーでパルスされ又はそうでなければ注入され得る。
【0085】
第2に、イオンは、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップの電極にAC又はRF電圧を印加することによって生成される擬ポテンシャル井戸によって、好ましいイオンガイド又はイオントラップに半径方向に閉じ込められる。使用されるRF及びDC状態の特定の多重極による特徴的に安定な領域内のイオンについては、半径方向のイオンが失われるとしても非常に少ない。より高次の(例えば、六重極の)多重極デバイスは、生成される擬ポテンシャル井戸の幅の増加に起因して、さらにより効率的な半径方向の閉じ込め及びより高い電荷容量を提供する。
【0086】
第3に、好ましいイオンガイド又はイオントラップに入るイオンについてのエネルギー広がり及び入射角は、純粋な静電調和振動子又はオービトラップ質量分析計に対する場合よりも重要でない。好ましい実施形態によると、イオンは、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップの実質的に軸上に、したがって半径方向の擬ポテンシャル井戸の最低部分に、入るように配置される。したがって、イオンは、分析の前に好ましいイオンガイド又はイオントラップ内に効率よく含まれるか、又は閉じ込められる。
【0087】
第4に、イオンと残留ガス分子との間の衝突は、軸方向のイオンのエネルギーを低減するので、振幅振動ますます小さくなる。しかし、この効果は好ましいイオンガイド又はイオントラップからイオンが失われることにはつながらない。好ましい実施形態によると、一旦振動の振幅が、イオン検出が不可能又は不正確となるあるレベルに落ちると、衝突ガスは、イオンを冷却するために好ましいイオンガイド又はイオントラップ中に再導入され得る。次いで、分析処理が再開され得る。このように、同じパケットのイオンは、低い損失で繰り返し分析され、周波数測定の精度を改善し得る。
【0088】
第5に、イオンは、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内でイオンに単調和運動を行わせる好ましいイオンガイド又はイオントラップに印加される軸方向DCポテンシャルの上に又は加えて、適当な周波数及び大きさの小さな励起AC又はRF電圧波形を重ね合わせることにより、好ましいイオンガイド又はイオントラップから軸方向に質量選択的共鳴により励起及び/又は排出され得る。さらなる又は別の実施形態によると、イオンは、好ましいイオンガイド又はイオントラップを形成する電極にRF励起電圧を印加することによって好ましいイオンガイド又はイオントラップから半径方向に排出され得る。質量選択排出は、またイオンガイド又はイオントラップ内で半径方向にイオンを閉じ込めるために使用されるAC又はRF電圧及び/又は好ましいイオンガイド又はイオントラップを形成する電極に印加されるDC電圧の振幅を調節することによって使用され得る。
【0089】
第6に、好ましいイオンガイド又はイオントラップは、好ましいイオンガイド又はイオントラップに好ましくは印加される軸方向DC電圧を、イオンの分析の前及び/又は後のいずれかに取り除くことができるという利点を有する。したがって、イオンガイド又はイオントラップは、従来のイオンガイド、イオントラップ又は質量分析器として他の動作モードで使用され得る。
【発明を実施するための最良の形態】
【0090】
ここで、本発明の種々の実施形態を、あくまで例として、添付の図面を参照して説明する。
【0091】
ここで、好ましいイオンガイド又はイオントラップを以下に図1を参照して説明する。一実施形態によると、イオンガイド又はイオントラップは、好ましくはセグメント化四重極ロッドセットアッセンブリを備える。四重極ロッドセットアッセンブリは、好ましくは双曲面を有する2ペアのロッド1a、1b;2a、2bを備える。第1ペアの双曲ロッド電極1a、1b及び第2ペアの双曲ロッド電極2a、2bを図1に示す。
【0092】
好ましいイオンガイド又はイオントラップは、好ましくは軸方向にセグメント化される。図2は、y,z平面における好ましいイオンガイド又はイオントラップ、及び29個の個々の軸方向セグメントを示す。図2は、また好ましいイオンガイド又はイオントラップの各軸方向セグメントに好ましく印加される異なるDC若しくは静電ポテンシャル又は電圧を示す。好ましい実施形態によると、各軸方向セグメントに印加されるDC電圧の範囲は0〜10Vである。
【0093】
好ましい実施形態によると、ある動作モードにおいて、二次、近似的に二次若しくは実質的に二次のDC又は静電ポテンシャルが、好ましいイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って好ましく維持される。
【0094】
動作中、半径方向の擬ポテンシャル井戸を生成するために、好ましくは各軸方向セグメントを形成する4つの双曲ロッド1a、1b、2a、2bに、好ましくはAC又はRF電圧が印加される。半径方向の擬ポテンシャル井戸は、好ましくはイオンをx,y方向の半径方向に好ましいイオンガイド又はイオントラップ内に閉じ込めるように作用する。対向し合うロッドは好ましくはAC又はRF電圧源の同じ位相に接続され、隣り合うロッドは好ましくはAC又はRF電圧源の逆位相に接続される。
【0095】
第1ペアの電極又はロッド1a、1bに印加されるポテンシャルは、好ましくは以下のように与えられる。
【0096】
【数1】

【0097】
第2ペアの電極又はロッド2a、2bに印加されるポテンシャルは、好ましくは以下のように与えられる。
【0098】
【数2】

【0099】
ここで、φ0は無線周波数高電圧電源の0ピーク電圧であり、tは時間(単位は秒)であり、ΩはAC又はRF電圧源の角周波数(単位はラジアン/秒)である。
【0100】
したがって、x,y方向のポテンシャルは以下として与えられ得る。
【0101】
【数3】

【0102】
ここで、roは、2ペアのロッド若しくは電極1a、1b;2a、2b内に囲まれるか、又はそれらが内接する仮想の円の半径である。
【0103】
x,y軸(半径方向)のイオン運動はマシュー方程式で表現され得る。イオン運動は、初期RF駆動周波数に関連する周波数を有する低振幅マイクロ運動及びイオンの質量電荷比に関連する周波数を有するより大きな永年運動(secular motion)を含む。
【0104】
この方程式の性質は周知であり、安定なイオン運動を生じる解は一般に無次元パラメータau及びquに対する安定性境界条件をプロットした安定性図を使用して表される。この特定の実施形態については以下のとおりである。
【0105】
【数4】

【0106】
ここで、mはイオンの分子質量であり、U0は電極又はロッド1a、1b;2a、2bのペアの1つに印加されるDC電圧、qは電荷e×イオン上の電荷数zである。
【0107】
【数5】

【0108】
四重極ロッドセット質量分析器の操作は周知である。
【0109】
AC又はRF電圧をロッド又は電極1a、1b、2a、2bに印加すると、半径方向に擬ポテンシャル井戸が形成される。x方向の擬ポテンシャル井戸の近似は以下によって与えられ得る。
【0110】
【数6】

【0111】
井戸の深さはおよそ以下のとおりである。
【0112】
【数7】

【0113】
ここでqzの値は、qz<0.4である。
【0114】
四重極は円筒対称であるので、y方向の擬ポテンシャル井戸の特性に対して同一の式が導出され得る。
【0115】
この半径方向のAC又はRFトラップポテンシャルに加えて、二次静電又はDC電圧プロファイルが、電極1a、1b、2a、2bのペアのセグメントに沿って好ましく印加又は維持される。好ましい実施形態によると、印加されたDCポテンシャルは、好ましいイオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの実質的な中心において好ましくは最小となる。しかし、好ましさのより低い実施形態によると、軸方向ポテンシャル井戸の最小値は、好ましいイオンガイド又はイオントラップの入口の近くか、又は、好ましいイオンガイド又はイオントラップの出口の近くのいずれかに位置づけられ得る。
【0116】
好ましいイオンガイド又はイオントラップの長さに沿って維持されるDC若しくは静電ポテンシャル又は電圧は、軸方向ポテンシャル井戸の最小値(好ましいイオンガイド又はイオントラップの中心領域に好ましく対応する)からの距離又は変位の二乗として増加するように好ましく構成される。
【0117】
好ましいイオンガイド又はイオントラップにz方向に印加されたDCポテンシャルは、好ましくは以下の形である。
【0118】
【数8】

【0119】
ここで、kは定数である。
【0120】
z方向の電場Ezは以下によって与えられる。
【0121】
【数9】

【0122】
z方向の電気力Fzは以下によって与えられる。
【0123】
【数10】

【0124】
z軸に沿った加速度Azは以下によって与えられる。
【0125】
【数11】

【0126】
したがって、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内のイオンにかかる復元力は、好ましくは重ね合わされたDCポテンシャル井戸の中心からのイオンの軸方向の変位に正比例する。これらの条件下で、イオンは軸方向(z)方向に単調和振動を行うようにされる。
【0127】
上記の方程式の正確な解は以下によって与えられる。
【0128】
【数12】

【0129】
ここで、Vはイオンにz方向に印加される初期加速ポテンシャルであり、z0はイオンの初期z座標。また、
【0130】
【数13】

【0131】
ここで、ωは軸方向のイオン振動の角周波数である。
【0132】
上記方程式から、軸方向のイオン振動の角周波数はイオンの初期エネルギー及び開始位置に対して独立であることが分かる。イオン振動の周波数は、イオンの質量電荷比(m/q)及び電場強度定数(k)だけに依存する。
【0133】
ラプラス方程式を満足するために、重ね合わされた(付加された)二次場によるx、y、z方向のポテンシャルは以下の形である。
【0134】
【数14】

【0135】
ここで、
【0136】
【数15】

【0137】
この条件は、好ましいイオンガイド又はイオントラップの軸方向(z)軸に沿って対称な静的DC二次ポテンシャル、すなわち、直線的な電場を付加すると、静的なDC半径方向の電場も生成されることを示唆する。イオンがこの半径方向の場を受けると、イオンは外側電極1a、1b、2a、2bに向かって加速される。しかし、AC又はRF電圧を電極1a、1b、2a、2bに印加することによって生成された半径方向の擬ポテンシャル井戸は、好ましくはイオンに働く外向きの半径方向の力に打ち勝つために十分となるように配置され、したがって、イオンは、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内に半径方向に好ましくは閉じ込められたままとなる。
【0138】
好ましいイオンガイド又はイオントラップは、好ましくは半径方向及び軸方向の運動が決して連結されないように構築される。したがって、半径方向の電場は、軸方向のイオンの単調和運動に必要な条件に影響を与えない。
【0139】
好ましいイオンガイド又はイオントラップの各セグメントを形成する電極に印加されるDC電圧は、好ましくは個々の低電圧DC電源を使用して生成される。低電圧DC電源の出力は、好ましくはプログラム可能なマイクロプロセッサによって制御される。
【0140】
好ましい実施形態によると、したがって、軸方向の静電ポテンシャル関数の一般形は、好ましくはすばやく操作され得る。加えて、複雑な及び/又は時間で変化する電圧関数は、おいて好ましいイオンガイド又はイオントラップ上の軸方向に付加できる。
【0141】
イオンは、好ましくはパルス式又は実質的に連続式のいずれかで外部イオン源を介してデバイスに導入される。外部源からイオンの連続ビームを導入する間、好ましいイオンガイド又はイオントラップに入るイオンの初期軸方向エネルギーは、好ましくは特定の質量電荷比範囲のすべてのイオンが半径方向のAC又はRF電場によって半径方向に閉じ込められ、重ね合わされた軸方向DC静電ポテンシャルによって軸方向にトラップされるように構成される。軸方向の静電DCポテンシャル関数は、この特定の時間において二次であってもよいし、そうでなくてもよい。
【0142】
ここで好ましいイオンガイド又はイオントラップ内に閉じ込められたイオンの初期エネルギーの広がりは、冷却ガスを好ましいイオンガイド又はイオントラップに導入することによって低減できる。冷却ガスは、好ましいイオンガイド又はイオントラップに好ましくは導入され、好ましくは10-4〜10-1mbarの範囲、より好ましくは10-3〜10-2mbarの範囲内の圧力に維持される。
【0143】
好ましいイオンガイド又はイオントラップに閉じ込められたイオンは、好ましくはガス分子と衝突して運動エネルギーを失い、イオンは好ましくはすばやく熱エネルギーに達する。イオンの熱冷却の結果、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内に閉じ込められ、好ましくは異なる質量電荷比を有するイオンは、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップの軸に沿って最も低い静電ポテンシャル点へ移動させられる。
【0144】
イオンが好ましく移動するポイントは、後で二次静電ポテンシャルが、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップの長さの少なくとも一部に沿って印加された場合の最小のポテンシャルの位置に対して同じであってもよいし、異なってもよい。
【0145】
好ましい実施形態によると、イオンを衝突により冷却することによって、確実にイオンの空間的な広がり及びエネルギーの広がりが最小化される。また、同じ質量電荷比値のイオンは、後で好ましいイオンガイド又はイオントラップ内で振動するので、好ましくは(移相が)互いにコヒーレントである。
【0146】
好ましい実施形態において、好ましくは二次ポテンシャルを印加する前に好ましいイオンガイド又はイオントラップに印加される静電又はDCポテンシャルは、好ましくは後で印加される二次静電ポテンシャルの最小点から変位したz軸に沿った位置でイオンがトラップされるように構成される。これにより、後で二次ポテンシャルが印加される場合に、イオンが確実に二次ポテンシャルの最小値に向かって加速される。
【0147】
イオンは、外部の連続又はパルスイオン源から好ましいイオンガイド又はイオントラップに導入され得る。イオン源から受け取られたイオンは、まず、例えば好ましいイオンガイド又はイオントラップの各端に静電ポテンシャルを印加することによって好ましいイオンガイド又はイオントラップ内にトラップされ得る。次いで、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内のトラップされたイオンは、付加された適切な静電ポテンシャルを好ましいイオンガイド又はイオントラップを形成する電極に印加することによって、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内の特定位置に後で移動され得る。
【0148】
好ましいイオンガイド又はイオントラップ内のイオンの初期トラップ段階は、冷却ガスの非存在下で、より好ましくは冷却ガスの存在下で、達成され得る。初期トラップポテンシャルは、二次関数を軸方向に追随する必要がない。
【0149】
一旦イオンが好ましいイオンガイド又はイオントラップ内にトラップされ、好ましくは十分に冷却されて初期の空間的広がり及びエネルギーの広がりを最小にすると、次いで好ましいイオンガイド又はイオントラップを形成する電極に印加されるDC静電ポテンシャルを好ましくはすばやく変化させて、対称に配置された二次ポテンシャルが好ましいイオンガイド又はイオントラップの長さに沿って好ましくは維持されるようにする。DC二次ポテンシャルが好ましいイオンガイド又はイオントラップに印加された場合、二次ポテンシャルの最小値を好ましいイオンガイド又はイオントラップ内のイオンの初期位置から軸方向に好ましくは移動できる。
【0150】
印加されたDC二次ポテンシャルの最小値が好ましいイオンガイド又はイオントラップ内のイオンの初期開始位置と異なる結果、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内のイオンは、印加されたDC二次ポテンシャルの最小値に向かって加速され始め、二次ポテンシャルの最小値に対応する基準点に対して単調和運動を行う。
【0151】
二次静電ポテンシャルの最小値に対するイオンの初期開始点を変化させることによって、調和振動の初期加速ポテンシャル、すなわち、振幅が制御され得る。
【0152】
別の好ましさのより低い実施形態において、イオンは、まず、好ましいイオンガイド又はイオントラップを形成する電極に後で印加される二次静電ポテンシャルの最小値に対応するデバイスにおける点にトラップされ、衝突により冷却される。この好ましさのより低い実施形態によると、次いで、軸方向の調和運動は、好ましくは最初に冷却ガスを取り除き、次いで好ましくはDC軸方向場を変更して好ましいイオンガイド又はイオントラップの中心領域から遠ざかるように制御された軸方向加速力を与えることで開始される。一旦イオンが好ましいイオンガイド又はイオントラップの中心領域から遠ざかるように加速されると、次いでDC二次軸方向ポテンシャルが、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップを形成する電極に印加され、その結果、イオンが好ましくはz軸に沿って振動するようにされる。
【0153】
好ましい実施形態によると、同じ質量電荷比の値のイオンは、好ましくは明確な(well‐defined)グループとして振動する。
【0154】
残留ガス分子と衝突することにより、最終的に振動の振幅は低減し、イオンは印加された軸方向DCポテンシャル井戸の中心領域へ向かってゆっくりと衰弱し始める。しかし、イオンはゆっくりとエネルギーを失うが、印加されたAC又はRF電圧による擬ポテンシャル井戸によって半径方向に閉じ込められたままになるのでシステムに対して失われない。
【0155】
一旦好ましいイオンガイド又はイオントラップ内のイオンがエネルギーを失い、軸方向ポテンシャル井戸(好ましいイオンガイド又はイオントラップの中心領域に向かって好ましくは位置づけられる)の最小値に移動すると、次いでイオンは好ましいイオンガイド又はイオントラップに衝突ガスを再導入することによって再度熱冷却され得る。次いで、イオンは、上記方法を繰り返すことによって複数回再分析され得る。
【0156】
一実施形態によると、好ましいイオンガイド又はイオントラップのイオンを熱冷却する代わりに、イオンは、好ましいイオンガイド又はイオントラップの好ましくは外部にあるデバイス(イオンガイド又はイオントラップなど)において付加的に又は代替的に熱冷却され得る。次いで、イオンは、定義された軸方向エネルギーでの狭い空間的広がり及びエネルギーの広がりで、好ましいイオンガイド又はイオントラップ中へパルスされ得る。次いで、軸方向調和振動が直ちに開始するように構成され得る。
【0157】
好ましい実施形態において、イオン振動の周波数は、好ましくはイメージ電流検出を利用して検出される。図1に示されるように、1組のリスニングプレート3は、好ましくはRF四重極デバイスのゼロポテンシャル面に沿って好ましいイオンガイド又はイオントラップ内に好ましくは設置される。この構成により、確実に半径方向のRF閉じ込め場の破壊は最小となり、リスニングプレート3上への電気ピックアップの程度が最小化される。しかし、他の好ましさのより低い実施形態によると、リスニングプレート3は、好ましいイオンガイド又はイオントラップの内部、又は好ましいイオンガイド又はイオントラップの外部のいずれかにおいて異なる位置に位置づけられ得る。
【0158】
差動(differential)イメージ電流検出の原理は周知である。例えば、「Signal Modelling for ion cyclotron resonance」、Melvin B.Comisarow、J.Chem.Phys.69(9)、1 Nov 1978を参照のこと。関連の原理を例示するために、距離dだけ隔てられた上下の無限大の平坦平行プレートを考える。電荷qのイオンがプレートの間で周波数ω及びプレートの中心からの最大振幅rで振動していると考える。イオンの位置は、以下として記載され得る。
【0159】
【数16】

【0160】
上プレートにおけるイオンによって誘導される瞬間的な電荷Q(t)は、以下によって与えられる。
【0161】
【数17】

【0162】
ここで、Nはイオンの数であり、qはイオン上の電荷であり、ωは振動周波数である。
【0163】
時間tに上プレートにおいてイオンにより誘導される電流I(t)は、以下によって与えられる。
【0164】
【数18】

【0165】
誘導される電流の大きさは、振動周波数(電荷の変化率)ω、イオンのリスニングプレートに対する近さr/d、及びイオンの数Nに依存することが理解される。
【0166】
この誘導電流の検出及び記録は、信号が電圧に変換されることを必要とする。このことは、2つのプレートを適当な分流抵抗器及び関連低ノイズ電子機器及び増幅回路に接続することによって達成され得る。
【0167】
他のより複雑な電極の形状に対して誘導電荷を推定するために、他の数値的又は分析的方法が使用され得る。このプロセスは、点電荷(イオン)からの電場を位置の関数として計算するステップを含む。次いで、周辺電極のそれぞれの上に誘導される表面電荷密度が計算され得る。イオントラップ内のイオンの既知の軌道に基づいて、検出電極上の誘導電荷の時間依存性が推定され得る。
【0168】
「Comprehensive theory of Fourier transform ion cyclotron resonance signal for all ion trap geometries」、P Grosshans et al.、J.Chem.Phys.94(8)、15 April 1991を参照のこと。
【0169】
図3は、本発明の一実施形態に係る誘導リスニングプレート3a、3bのポジショニングを示す。リスニングプレート3a、3bは、好ましいイオンガイド又はイオントンネルの中心領域で分断されるように示される。イオンガイド又はイオントンネル内のイオン振動による信号は、2組のリスニングプレート3a、3b上で検出され、好ましくは差動増幅器4によって増幅される。
【0170】
別の実施形態によると、リスニングプレート3a、3b自体がセグメント化され得る。一実施形態によると、リスニングプレート3a、3bは、軸方向の二次ポテンシャルが好ましくは印加される好ましいイオンガイド又はイオントラップのセグメントの数と同様の数又は実質的に同じ数のセグメントが形成され得る。この実施形態によると、リスニングプレートに近接して付随する好ましいイオンガイド又はイオントンネルのセグメントに印加されるDC電圧と好ましくは同様か又は同一のDC電圧がリスニングプレートの各セグメントに印加され得る。このように、軸方向の二次DCポテンシャルは、好ましくはリスニングプレートが存在しても影響を受けない。
【0171】
一実施形態によると、個々のセグメント化リスニングプレートの1つ以上又は数個は、イオン振動周波数を測定するために独立に利用され得る。次いで、得られた信号は、時間ドメインから周波数ドメインへ処理する前又は後のいずれかに結合され、これにより信号対ノイズを改善し得る。
【0172】
好ましい実施形態により検出されたイメージ電流は、好ましくは半径方向のイオンの永年周波数と重ね合った軸方向のイオンの単調和振動によるものである。しかし、同じ質量電荷比を持ち、半径方向に移動するイオンはランダムに分布するので、互いに位相がずれる傾向にある。結果として、最終の周波数スペクトルにおける半径方向の運動成分の寄与は最小となる。
【0173】
次いで、好ましい実施形態に係る誘導性又は容量性検出器によって検出され、好ましくは記録された時間ドメインデータは、周波数スペクトルを生成するために好ましくは高速フーリエ変換(FFT)分析を使用して処理される。フーリエ変換分析によって決定された周波数は、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内で単調和運動するイオンの質量電荷比に直接的に関係する。
【0174】
一実施形態によると、イオンの質量電荷比は、その周波数と既知の質量電荷比を有する別のイオンの周波数とを比較することによって決定され得る。
【0175】
好ましい実施形態によると、高品質で高分解能の質量スペクトルデータが生成され得る。さらに、質量分析計の分解能は、記録される振動の数が増加するにつれ増加する。
【0176】
上記のフーリエ変換動作モードに加えて、好ましいイオンガイド又はイオントラップから軸方向にイオンが共鳴により排出されるような異なる動作モードにおいて好ましいイオンガイド又はイオントラップを使用することもできる。ここで、この別モードの動作を図4を参照して説明する。図4は、y,z平面における好ましいイオンガイド又はイオントラップであって、セグメント化四重極ロッドセットを示す。図4は、また好ましいイオンガイド又はイオントンネルのz軸に沿って異なる3つの時間に印加されるDC軸方向ポテンシャルを示す。
【0177】
図4の実線8は、初期時間t0において好ましいイオンガイド又はイオントラップの長さに沿って好ましくは維持される対称な二次DCポテンシャルを示す。したがって、時間t0においてイオンは軸方向に単調和運動を行うようにされ、振幅はその初期運動エネルギー及び位置(又は運動及びポテンシャルエネルギーの合計)に依存し、周波数はその質量の平方根に反比例する。
【0178】
この特定の実施形態によると、後の時間t1においてDC軸方向ポテンシャルは、好ましくは破線9によって示されるポテンシャルプロファイルに変更される。さらに後の時間t2においてDC軸方向ポテンシャルは、破線10によって示されるポテンシャルプロファイルに再度変更される。t0<t1<t2であることが理解される。
【0179】
図4において実線8によって示されるような対称な二次ポテンシャルへの変更は、小さな線形項を元の二次式に付加することによって生成され得る。特に、z軸におけるDCポテンシャルは、時間変化し、以下の形となるように構成される。
【0180】
【数19】

【0181】
ここで、bは定数であり、ωは対象イオンの共鳴周波数であり、tは時間である。
【0182】
他の実施形態によると、共鳴排出を達成するためにDCポテンシャルを別の方法で変化させ得る。例えば、電圧は、電場がポテンシャル井戸の最小値の両側で常に線形のままであるが、異なる場勾配を有するように変更され得る。この場合、ポテンシャル井戸の片側のポテンシャルを記載する式内の利得係数kは、好ましくはポテンシャル井戸の反対側を規定する式と異なるように構成される。
【0183】
また、共鳴は元の二次式に小量のより高次の項を付加することによって導入され得る。例えば、三次について、方程式は以下に与えられる。
【0184】
【数20】

【0185】
これらのより高次の項を使用することにより、非線形の共鳴は導入され得る。
【0186】
ある質量電荷比値を有するイオンの振動周波数に一致する周波数で場の変動が繰り返されるならば、これらのイオンは好ましくはエネルギーを獲得し、その振動の振幅は好ましくは増加する。次いで、これらのイオンは、好ましくは軸方向に好ましいイオンガイド又はイオントラップから共鳴により排出される。次いで、好ましいイオンガイド又はイオントラップから排出されたイオンは、1つ以上の従来のイオン検出器を使用して検出され得る。軸方向に共鳴イオン排出を起すために付加される軸方向DCポテンシャルに印加される電圧変動は、好ましくは数十mVのオーダーである。
【0187】
図4は、好ましいイオンガイド又はイオントラップのいずれかの端に1つ配置された、2つのマイクロチャネルプレート検出器7a、7bを備える実施形態を示す。別の実施形態によると、付加された軸方向DCポテンシャルを適切に操作することによって好ましいイオンガイド又はイオントラップの入口又は出口のいずれかからイオンが共鳴により排出されるように構成され得る。この場合、イオン検出器は1つだけ必要とされ得る。
【0188】
本発明の実施形態によると、異なる形態のイオン増幅器がイオン検出のために使用され得る。例えば、チャンネルトロン又は離散ダイノード電子倍増管が使用され得る。光倍増管又はこれらのタイプの検出器の種々の異なる組み合わせが使用され得る。
【0189】
一実施形態によると、軸方向の場の振動周波数は、好ましくはスキャンされ、これにより完全な質量スペクトルの生成が可能となる。質量対電荷比の異なるイオンが、好ましいイオンガイド又はイオントラップから次第に共鳴により排出されるからである。
【0190】
MSモードの動作に加えて、好ましいイオンガイド又はイオントラップは、またMSn実験のために使用でき、特定の親又は前駆体イオンが後のフラグメンテーションのために選択される。次いで、選択された親又は前駆体イオンは、複数のフラグメントイオンを形成するようにフラグメンテーションされる。次いで、フラグメントイオンは、好ましくは質量分析される。フラグメントイオンの質量分析によって、親又は前駆体イオンに関連する重要な構造情報の決定が可能となる。
【0191】
好ましい実施形態において、特定の質量電荷比値を有する親又は前駆体イオンの選択は、上記の軸方向共鳴排出モードを使用して達成され得る。例えば、好ましいイオンガイド又はイオントラップから大多数のイオンを共鳴により排出するために、広帯域の励起周波数が軸方向DC電圧に同時に印加され得る。したがって、対象の前駆体又は親イオンを除くすべてのイオンは、好ましいイオンガイド又はイオントラップから軸方向に排出される。
【0192】
対象の特定の親又は前駆体イオンを除いてすべてのイオンを好ましいイオンガイド又はイオントラップから共鳴により排出するために、逆フーリエ変換方法が使用され得る。これにより、特定のイオンを好ましいイオンガイド又はイオントラップに残しながら広範囲なイオンを共鳴排出するための適切な付加される波形の生成が可能となる。
【0193】
一旦対象の親又は前駆体イオンを除くすべてのイオンが好ましいイオンガイド又はイオントラップから排出されると、次いで対象の親又は前駆体イオンは好ましくはフラグメンテーションされる。対象の前駆体又は親イオンをフラグメンテーションするために、衝突ガスが、好ましくは、好ましいイオンガイド又はイオントラップに再導入される。一旦衝突ガスが好ましくは再導入されると、次いで好ましく対象の親イオンの調和周波数に対応する励起周波数が好ましくは軸方向DC電圧に付加される。これにより、好ましくは対象の親又は前駆体イオンがフラグメンテーションされ、得られたフラグメント又は娘イオンが質量分析され得る。フラグメント又は娘イオンは、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内で単調和運動させ、誘導検出器及びそれに続くフーリエ変換分析を使用して振動の周波数を測定することによって質量分析され得る。あるいは、フラグメント又は娘イオンは、共鳴排出モード動作において好ましいイオンガイド又はイオントラップを動作させることによって質量分析され得る。
【0194】
この選択及び励起処理は繰り返され、これによりMSn実験を行うことが可能となり得る。例えば、特定のフラグメント又は娘イオンが好ましいイオントラップ又はイオンガイド内に保持され、他方すべての他のフラグメント又は娘イオンが好ましいイオンガイド又はイオントラップから共鳴により排出され得る。次いで、特定のフラグメント又は娘イオンは、特定の前駆体又は親イオンに関して上記したものと同様の方法でさらにフラグメンテーションされ得る。
【0195】
一実施形態によると、前駆体又は親イオンの選択は、RF四重極の周知の半径方向安定性特性を使用して達成され得る。イオンが好ましいイオンガイド又はイオントラップに入る際か、又は一旦イオンが好ましいイオンガイド又はイオントラップ内にトラップされてから、ある質量対電荷比を有するイオンを排除するために、双極共鳴電圧又は分解DC電圧の印加が使用され得る。
【0196】
一実施形態によると、半径方向の共鳴励起は、単独で使用されるか、又は軸方向励起と併用して使用され、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内のイオンをフラグメンテーションし得る。
【0197】
本発明の一実施形態は、SIMION(RTM)イオン光学ソフトウェアを使用してモデル化された。5mmの内接半径を有する双曲四重極ロッドがモデル化された。ロッドの長さは116mmとしてモデル化された。ロッドに印加されるRF電圧のピーク振幅は200Vに設定された。ロッドに印加されるRF電圧の角周波数は6.283×106ラジアン/秒に設定された。ロッドは、それぞれ幅が1mmであり、セグメントとセグメントの間隔が1mmである59個の別個の軸方向セグメントに分割された。
【0198】
RFポテンシャルはすべてのセグメントのすべての電極に印加され、DCポテンシャルは59個のすべてのセグメントに沿って印加され、大きさは二次関数に従った。最も中心のセグメント上の付加DCは0Vに設定した。2つの最も外側のセグメントの付加DCポテンシャルは42.908Vに設定した。図5は、DCポテンシャルだけがセグメント化ロッドに印加された場合にSIMION(RTM)モデリングから生成されるポテンシャルエネルギーのプロットを示す。プロットは、y=0に対するx,z平面の二次ポテンシャルエネルギーを示す。
【0199】
図6は、質量電荷比が100であるイオンの軌跡を示す。全長116mmの好ましいイオンガイド又はイオントラップの小さな16mmの中心部分を図6に示す。図6から分かるように、イオンは、好ましいイオンガイド又はイオントンネルのこの小さな16mmの中心部分内にトラップされる。イオンの初期位置はz=0及びx=y=0.5mmに設定された。イオンには、3.5eVの正のz方向の初期エネルギーが与えられ、5つの完全なサイクルで振動することが可能にされた。最大振動は、z方向に測定された長さが16.6mmであると決定された。x及びy方向のRF閉じ込めに付随する特徴的な永年運動がイオンの軌跡に付加されていることが見て取れる。y方向のイオンから得られる包絡線の幅は3mmであった。
【0200】
図7は、より高い質量電荷比の1000を有するイオンの軌跡を示す。全長116mmの好ましいイオンガイド又はイオントラップの小さな16mmの中心部分を図7に示す。イオンの初期位置はz=0及びx=y=0.5mmに設定された。イオンには、3.5eVの正のz方向の初期エネルギーが与えられ、5つの完全なサイクルで振動することが可能にされた。最大振動は、z方向に測定された長さが16.6mmであると決定された。x及びy方向のRF閉じ込めに付随する特徴的な永年運動は、周波数及び振幅が予測どおり図6で観測されたものよりも低い。y方向のイオンから得られる包絡線の幅はより小さく、1mmだけであった。
【0201】
図8は、図6及び7を参照して記載された実施形態に関連して上記された特定の条件に対して、質量電荷比値の関数として決定された振動の平均周波数を示す。周波数は、イオンがz=0の平面を横切る時間を記録することによって測定された。このプロット上の点は、SIMION(RTM)モデリングから直接取られた周波数測定値を表す。点線は、単調和運動を規定する方程式であって完全な二次静電ポテンシャル関数を仮定する方程式に基づく、各質量電荷比に対する理論的な周波数を表す。各測定の開始条件は、図6及び7を参照して記載された実施形態に関連して記載された条件と同一とした。測定値と理論値との密接な相関は、このモデルに対して場が好ましいイオンガイド又はイオントンネルの中心の3mm直径内の調和運動について理想に近いことを示す。
【0202】
好ましさのより低い実施形態によると、フーリエ変換モードの質量分析におけるイメージ電流検出のために使用されるリスニングプレートは、好ましいイオンガイド又はイオントラップのいずれかの端に配置され得る。2つのリスニングプレートの間の誘導信号は、差動的に(微分して)測定され得る。リスニングプレートは、デバイスの内部境界を形成する表面が、デバイスの長さに沿った軸方向二次ポテンシャルの付加により生成される半径方向のポテンシャルの等ポテンシャル線に密接に従うように成形され得る。このように、リスニング電極の近くの軸方向二次ポテンシャルの歪みは最小となる。円形又は双曲断面電極を有する四重極又はより高次の多重極デバイスにおいては、半径方向の等ポテンシャル表面は比較的複雑である。この場合は、円筒形状を形成する円形凹電極を有する多重極を使用して大きく簡素化され得る。この形状を使用して、デバイスの端の等ポテンシャルは双曲面を形成する。リスニングプレートは、これらの等ポテンシャル線に実質的に従うように設計され得る。
【0203】
図9は、x,y平面において円形凹電極を内蔵する四重極デバイスを模式的に示す。電極ペア1a’、1b’に印加されるポテンシャルは、以下によって与えられる。
【0204】
【数21】

【0205】
電極ペア2a’、2b’に印加されるポテンシャルは、以下によって与えられる。
【0206】
【数22】

【0207】
ここで、φ0は無線周波数高電圧電源の0ピーク電圧であり、tは時間(単位は秒)であり、ΩはAC源の角周波数(単位はラジアン/秒)。
【0208】
図10は、SIMION(RTM)イオン光学ソフトウェアを使用してモデル化されるような、好ましい実施形態に係るセグメント化円筒形四重極イオンガイド又はイオントラップを示す。好ましい実施形態に係る円筒形四重極イオンガイド又はイオントラップは、イオンガイド又はイオントラップの端での半径方向の等ポテンシャルに従う円形凹電極及び双曲形状リスニングプレート3a’、3b’を備える。この特定の実施形態のための四重極の内部半径は5mmに設定され、イオンガイド又はイオントラップの全長は29mmに設定された。リスニングプレート3a’、3b’は差動増幅器4に接続されるように示される。
【0209】
単極、六重極、八重極又はさらに高次の多重極デバイスが四重極デバイスの代わりにイオンの半径方向の閉じ込めのために利用され得る他の実施形態が考えられる。より高次の多重極は、特に、より高次の擬ポテンシャル井戸関数を有する。結果として、擬ポテンシャル井戸の底部はより広くなり、したがってイオンガイド又はイオントラップはより高い電荷容量を有し得る。これにより総ダイナミックレンジの改善が可能となり、有利である。イオンガイド又はイオントラップが共鳴排出モードで使用される場合、四重極でないデバイス内のより高次の場は半径方向の共鳴損失の尤度を低減する。
【0210】
非線形な半径方向の場において、半径方向の永年運動の周波数はイオンの半径方向の位置に関係し、したがってイオンは排出される前に共鳴から外れる。すべての多重極に対して、双曲又は円形のいずれかの断面ロッドが利用され得る。
【0211】
別の実施形態において、付加された軸方向DC電圧は、六重極、八重極又はさらに高次などの非線形であるか、又はより複雑な形態であり得る。例えば、分析のイオン導入段階の間、軸方向電圧をより高次な形態に変化させると初期イオントラップの効率が改善される。一旦イオンが冷却ガスとの衝突により熱化されると、軸方向の場は開始されるべき調和運動に対して理想の直線的な形態に復元され得る。
【0212】
一実施形態によると、MS−MSモードの動作におけるフラグメンテーションのための共鳴励起の間、静的な付加DC場の形状又はこの場の時間変化成分は、励起が進むにつれて失われるイオンを低減するように変更され、衝突により誘導される解離効率を改善し得る。
【0213】
別の好ましさのより低い実施形態において、軸方向DCポテンシャルは、セグメント化ロッドではなく、連続なロッドを使用して生成され得る。この場合、ロッドは、ロッドの中心とロッドの端との間に電圧を印加すると軸方向ポテンシャル井戸がデバイス内に生成されるように、非導電であり得、かつ不均一な抵抗性物質で被膜され得る。
【0214】
一実施形態において、所望の軸方向DCポテンシャルは、RF多重極デバイスの個々のセグメント間の一連の固定又は可変抵抗器によって生成され得る。
【0215】
一実施形態において、所望の軸方向DCポテンシャルは、多重極デバイスの外側の周りにセグメント化され、抵抗性に被膜された又は適切な形状の電極を配置することによって生成され得る。これに適切な電圧を印加すると、RF多重極のイオン閉じ込め領域内に必要なポテンシャルが生じる。
【0216】
一実施形態において、付加された二次軸方向ポテンシャルを有する円筒形セグメント化RFイオントンネルが利用され得る。この実施形態において、極性が交互に代わるRF電圧は、好ましくはイオントンネルの隣接する環状リングに印加される。これにより、半径方向にイオンが閉じ込められる。付加された二次軸方向ポテンシャルによって、トンネルの中心においてイオンは単調和運動で振動することが可能となる。この運動の周波数はイメージ電流検出及びFFT手法を使用して検出することができ、あるいはイオンはこれまでに記載されたように軸方向に共鳴により排出され得る。
【0217】
上記の実施形態に加えて、複数の軸方向DC井戸を含むさらなる実施形態が考えられる。電極セグメントに印加される付加DCを操作することによって、イオンは特定の軸方向領域にトラップされ得る。冷却されたイオンは、デバイスの一端に移動し、電圧が二次形態に戻ると放出され得る。このメカニズムは、イオン振動を開始するために使用され得る。デバイスの特定領域中のDCポテンシャル井戸にトラップされたイオンは、共鳴排出され、1つ以上のイオンがそのポテンシャル井戸から放出され得る。その後、これらの排出イオンは、同じデバイスの別のポテンシャル井戸にトラップされ得る。このタイプの動作は、イオンーイオン相互作用を調べるために利用され得る。このモードにおいて、イオンは、デバイスのいずれかの端から、又は同時に両端から導入され得る。
【0218】
あるいは、第1のポテンシャル井戸にトラップされたイオンは、特定の質量対電荷比又は質量対電荷範囲だけが第1の井戸を離れ、第2の井戸に入ることを可能にする共鳴排出状態にされ得る。共鳴励起は、第2の井戸において行われ、これらのイオンをフラグメンテーションし、娘イオンはこの井戸から順次共鳴により排出され、軸方向検出される。このプロセスを繰り返すと、第1の井戸内のすべてのイオンのMS/MSが100%の効率で記録され得る。複雑な実験の実現を可能にするこのデバイス内の2つより多くのポテンシャル井戸を生成することが可能である。あるいは、この柔軟性は、他の分析手法に導入するためにイオンパケットの特性を調整するために使用され得る。
【0219】
本発明を好ましい実施形態を参照して説明してきたが、形態及び詳細において種々の変更が添付の特許請求の範囲に記載されるような発明の範囲から逸脱せずになされ得ることが当業者には理解される。
【図面の簡単な説明】
【0220】
【図1】図1は、ゼロポテンシャル面に位置する誘導性又は容量性リスニングプレートを示す、好ましいイオンガイド又はイオントラップの断面図である。
【図2】図2は、好ましいイオンガイド又はイオントラップの側面図を示し、好ましいイオンガイド又はイオントラップのセグメントに好ましく印加される二次DCポテンシャルを例示する図である。
【図3】図3は、誘導性又は容量性リスニングプレートがイオンガイド又はイオントラップの長さに実質的に沿って位置する、一実施形態に係るイオンガイド又はイオントラップの側面図である。
【図4】図4は、DCポテンシャルプロファイルを好ましいイオンガイド又はイオントラップの長さに沿って変化させることによって、好ましいイオンガイド又はイオントラップからイオンを共鳴により排出する方法を例示する図である。
【図5】図5は、x,z平面(y=0)におけるSIMION(RTM)静電ポテンシャルのプロットを示し、好ましいイオンガイド又はイオントラップに印加されるDCポテンシャルを示す図である。
【図6】図6は、質量電荷比が100であり、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内で5つの軸方向振動を行うイオンの軌道を示す図である。
【図7】図7は、質量電荷比が1000であり、好ましいイオンガイド又はイオントラップ内で5つの軸方向振動を行うイオンの軌道を示す図である。
【図8】図8は、軸方向の平均振動周波数を質量電荷比の関数とするプロットを示し、理論的に計算された周波数を点線で示す図である。
【図9】図9は、円形凹電極を内蔵するセグメント化四重極イオントラップを示す図である。
【図10】図10は、その一端に配置される双曲形状リスニングプレートを有するセグメント化円筒形四重極イオンガイド又はイオントラップを示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
質量分析計であって、
複数の電極を含み、長軸を有するイオンガイド又はイオントラップと、
少なくともいくつかのイオンを半径方向に前記イオンガイド又はイオントラップ内に閉じ込めるためにAC又はRF電圧を少なくともいくつかの前記電極に印加するためのAC又はRF電圧手段と、
少なくともいくつかのイオンを軸方向に1つの動作モードで振動させるように構成され適合する振動手段と、
前記軸方向の前記イオンの振動周波数を決定するための検出器手段と、を含む質量分析計。
【請求項2】
前記イオンガイド又はイオントラップが、多重極ロッドセットイオンガイド又はイオントラップを含む請求項1記載の質量分析計。
【請求項3】
前記イオンガイド又はイオントラップが、四重極、六重極、八重極又はより高次の多重極ロッドセットを含む請求項2記載の質量分析計。
【請求項4】
前記イオンガイド又はイオントラップが、近似的又は実質的に円形の断面を有する複数の電極を含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項5】
前記イオンガイド又はイオントラップが複数の電極を備え、前記電極が近似的又は実質的に双曲な曲面を有する請求項1、2又は3に記載の質量分析計。
【請求項6】
前記イオンガイド又はイオントラップが複数の電極を備え、前記電極が弓形若しくは一部円形の断面を有する近似的又は実質的に凹電極である請求項1、2又は3に記載の質量分析計。
【請求項7】
前記多重極ロッドセットイオンガイド又はイオントラップの内接半径が、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、及び(xi)>10mmからなる群から選択される請求項2から6のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項8】
前記イオンガイド又はイオントラップが、軸方向にセグメント化されているか又は複数の軸方向セグメントを含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項9】
前記イオンガイド又はイオントラップがx個の軸方向セグメントを備え、xが(i)<10、(ii)10〜20、(iii)20〜30、(iv)30〜40、(v)40〜50、(vi)50〜60、(vii)60〜70、(viii)70〜80、(ix)80〜90、(x)90〜100、及び、(xi)>100からなる群から選択される請求項8記載の質量分析計。
【請求項10】
各軸方向セグメントが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は>20個の電極を含む請求項8又は9に記載の質量分析計。
【請求項11】
前記軸方向セグメントのうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%の軸方向長さが、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、及び、(xi)>10mmからなる群から選択される請求項8、9又は10に記載の質量分析計。
【請求項12】
前記軸方向セグメントうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%の間隔が、(i)<1mm、(ii)1〜2mm、(iii)2〜3mm、(iv)3〜4mm、(v)4〜5mm、(vi)5〜6mm、(vii)6〜7mm、(viii)7〜8mm、(ix)8〜9mm、(x)9〜10mm、及び(xi)>10mmからなる群から選択される請求項8から11のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項13】
前記イオンガイド又はイオントラップが、複数の非導電性、絶縁性若しくはセラミックのロッド、突起又はデバイスを含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項14】
前記イオンガイド又はイオントラップが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は>20個のロッド、突起又はデバイスを含む請求項13記載の質量分析計。
【請求項15】
前記複数の非導電性、絶縁性若しくはセラミックのロッド、突起又はデバイスが、1つ以上の抵抗性若しくは導電性の被膜、層、電極、フィルム又は表面をさらに含む請求項13又は14に記載の質量分析計。
【請求項16】
前記1つ以上の抵抗性又は導電性被膜、層、電極、フィルム又は表面が、1つ以上の前記非導電性、絶縁性若しくはセラミックのロッド、突起又はデバイスの上に、その周りに、それを覆って、又は、それに近接して設置される請求項15記載の質量分析計。
【請求項17】
前記イオンガイド又はイオントラップが開口部を有する複数の電極を備え、イオンが使用時に前記開口部を通ってトランスミットされる先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項18】
前記電極のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%が、実質的に同じサイズであるか又は実質的に同じ面積である開口部を有する請求項17記載の質量分析計。
【請求項19】
前記電極のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%が、そのサイズ若しくは面積が前記イオンガイド又はイオントラップの軸に沿って漸次大きく、及び/又は、小さくなる開口部を有する請求項17記載の質量分析計。
【請求項20】
前記電極のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%が、内径又は寸法が(i)≦1.0mm、(ii)≦2.0mm、(iii)≦3.0mm、(iv)≦4.0mm、(v)≦5.0mm、(vi)≦6.0mm、(vii)≦7.0mm、(viii)≦8.0mm、(ix)≦9.0mm、(x)≦10.0mm、及び(xi)>10.0mmからなる群から選択される開口部を有する請求項17、18又は19に記載の質量分析計。
【請求項21】
前記イオンガイド又はイオントラップが、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又は>10個の電極を含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項22】
前記イオンガイド又はイオントラップが、少なくとも(i)10〜20個の電極、(ii)20〜30個の電極、(iii)30〜40個の電極、(iv)40〜50個の電極、(v)50〜60個の電極、(vi)60〜70個の電極、(vii)70〜80個の電極、(viii)80〜90個の電極、(ix)90〜100個の電極、(x)100〜110個の電極、(xi)110〜120個の電極、(xii)120〜130個の電極、(xiii)130〜140個の電極、(xiv)140〜150個の電極、又は(xv)>150個の電極を含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項23】
前記イオンガイド又はイオントラップが、(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、及び(xi)>200mmからなる群から選択される長さを有する先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項24】
前記AC又はRF電圧手段が、前記イオンガイド又はイオントラップを形成する電極のうちの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%にAC又はRF電圧を印加するように構成され適合する先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項25】
前記AC又はRF電圧手段が、(i)<50Vの最大振幅、(ii)50〜100Vの最大振幅、(iii)100〜150Vの最大振幅、(iv)150〜200Vの最大振幅、(v)200〜250Vの最大振幅、(vi)250〜300Vの最大振幅、(vii)300〜350Vの最大振幅、(viii)350〜400Vの最大振幅、(ix)400〜450Vの最大振幅、(x)450〜500Vの最大振幅、及び(xi)>500Vの最大振幅からなる群から選択される振幅のAC又はRF電圧を供給するように構成され適合する請求項24記載の質量分析計。
【請求項26】
前記AC又はRF電圧手段が、(i)<100kHz、(ii)100〜200kHz、(iii)200〜300kHz、(iv)300〜400kHz、(v)400〜500kHz、(vi)0.5〜1.0MHz、(vii)1.0〜1.5MHz、(viii)1.5〜2.0MHz、(ix)2.0〜2.5MHz、(x)2.5〜3.0MHz、(xi)3.0〜3.5MHz、(xii)3.5〜4.0MHz、(xiii)4.0〜4.5MHz、(xiv)4.5〜5.0MHz、(xv)5.0〜5.5MHz、(xvi)5.5〜6.0MHz、(xvii)6.0〜6.5MHz、(xviii)6.5〜7.0MHz、(xix)7.0〜7.5MHz、(xx)7.5〜8.0MHz、(xxi)8.0〜8.5MHz、(xxii)8.5〜9.0MHz、(xxiii)9.0〜9.5MHz、(xxiv)9.5〜10.0MHz、及び(xxv)>10.0MHzからなる群から選択される周波数のAC又はRF電圧を供給するように構成され適合する請求項24又は25に記載の質量分析計。
【請求項27】
前記振動手段が、イオンに前記軸方向に単調和運動を行わせるように構成され適合する先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項28】
前記振動手段が、1つ以上のDC若しくは静的な電圧又はポテンシャルを前記電極に供給するための1つ以上のDC若しくは静的な電圧又はポテンシャル供給源を含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項29】
前記振動手段が、前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%に沿って近似的に二次又は実質的に二次のDCポテンシャルを維持するように構成され適合する先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項30】
前記二次DCポテンシャルが、(i)<10V、(ii)10〜20V、(iii)20〜30V、(iv)30〜40V、(v)40〜50V、(vi)50〜60V、(vii)60〜70V、(viii)70〜80V、(ix)80〜90V、(x)90〜100V、及び(xi)>100Vからなる群から選択される深さのポテンシャル井戸を含む請求項29記載の質量分析計。
【請求項31】
前記振動手段が、第1の位置に最小値を有して前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さに沿う前記近似的に二次又は実質的に二次のDCポテンシャルを維持するように構成され適合し、イオンが、前記第1の位置の回りで単調和運動を行う請求項29又は30に記載の質量分析計。
【請求項32】
イオンが、前記近似的に二次又は実質的に二次のDCポテンシャルの印加時に前記第1の位置に向かって加速されるように、前記振動手段が前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さに沿う前記近似的に二次又は実質的に二次のDCポテンシャルを維持する前に、前記第1の位置から離れた位置に配置され、トラップされ、又は、位置づけられる請求項31記載の質量分析計。
【請求項33】
前記イオンガイド又はイオントラップが第1の軸方向端及び第2の軸方向端を有し、前記第1の位置が前記第1の軸方向端から下流又は前記第2の軸方向端から上流に距離Lの位置にあり、Lが(i)<20mm、(ii)20〜40mm、(iii)40〜60mm、(iv)60〜80mm、(v)80〜100mm、(vi)100〜120mm、(vii)120〜140mm、(viii)140〜160mm、(ix)160〜180mm、(x)180〜200mm、及び(xi)>200mmからなる群から選択される請求項31又は32に記載の質量分析計。
【請求項34】
前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%に沿って実質的に直線の静電場を維持するように構成され適合する手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項35】
かつて前記振動手段によって振動していたがその後エネルギーを失って軸方向ポテンシャル井戸の最小値の方に位置するイオンを、再活性化又は加速させるように構成され適合する先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項36】
前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さに沿って少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10個の離散ポテンシャル井戸を維持するように構成され適合する手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項37】
前記検出器手段が、1つ以上の誘導性又は容量性検出器を含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項38】
前記1つ以上の誘導性又は容量性検出器が、前記イオンガイド又はイオントラップ内、及び/又は、前記イオンガイド又はイオントラップのイオン入口に、及び/又は、前記イオンガイド又はイオントラップのイオン出口の実質的にゼロポテンシャル面に実質的に沿って配置される請求項37記載の質量分析計。
【請求項39】
前記1つ以上の誘導性又は容量性検出器が、前記軸方向に配置された複数の離散若しくは個別の検出器又は検出領域を含む請求項37又は38に記載の質量分析計。
【請求項40】
前記イオンガイド又はイオントラップが、前記軸方向にセグメント化され、前記複数の離散又は個々の検出器又は検出領域のうちの少なくとも少なくとも10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%、95%又は100%が、隣接する前記イオンガイド又はイオントラップのセグメントが維持されるDCポテンシャル又は電圧と実質的に同様のDCポテンシャル又は電圧に維持される請求項39記載の質量分析計。
【請求項41】
前記検出器手段が、前記イオンの振動周波数を直接又は間接に測定するように構成され適合する先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項42】
前記検出器手段が、光検出器を含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項43】
前記光検出器が、そのイオンが照射された後にイオンからの蛍光を検出するように構成され適合する請求項42記載の質量分析計。
【請求項44】
前記検出器手段が、時間ドメインデータ又はイオン振動に関係するデータを周波数ドメインデータ又はイオン振動周波数に関係するデータに変換するためのフーリエ変換手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項45】
前記検出器手段が、前記周波数ドメインデータからイオンの質量又は質量電荷比を決定するための手段をさらに含む請求項44記載の質量分析計。
【請求項46】
1つの動作モードにおいて前記イオンガイド又はイオントラップを、(i)<1.0×10-1mbar、(ii)<1.0×10-2mbar、(iii)<1.0×10-3mbar、(iv)<1.0×10-4mbar、(v)<1.0×10-5mbar、(vi)<1.0×10-6mbar、(vii)<1.0×10-7mbar、(viii)<1.0×10-8mbar、(ix)<1.0×10-9mbar、(x)<1.0×10-10mbar、(xi)<1.0×10-11mbar、及び(xii)<1.0×10-12mbarからなる群から選択される圧力において維持するように構成され適合する手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項47】
1つの動作モードにおいて前記イオンガイド又はイオントラップを、(i)>1.0×10-3mbar、(ii)>1.0×10-2mbar、(iii)>1.0×10-1mbar、(iv)>1mbar、(v)>10mbar、(vi)>100mbar、(vii)>5.0×10-3mbar、(viii)>5.0×10-2mbar、(ix)10-3〜10-2mbar、及び(x)10-4〜10-1mbarからなる群から選択される圧力において維持するように構成され適合する手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項48】
イオンが、1つの動作モードにおいて、前記イオンガイド又はイオントラップ内でトラップされるが実質的にはフラグメンテーションされない先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項49】
前記イオンガイド又はイオントラップ内のイオンを衝突により冷却するか、又は、実質的に熱化するように構成され適合する手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項50】
前記イオンガイド又はイオントラップ内のイオンを衝突により冷却するか又は実質的に熱化するように構成され適合する手段が、イオンが前記振動手段によって前記軸方向に振動する前及び/又は後に、イオンを衝突により冷却するか又は実質的に熱化するように構成される請求項49記載の質量分析計。
【請求項51】
前記イオンガイド又はイオントラップ内でイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成され適合する手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項52】
前記イオンガイド又はイオントラップの上流及び/又は下流に配置される1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップをさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項53】
前記1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップが、前記1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップ内でイオンを衝突により冷却するか又は実質的に熱化するように構成され適合する請求項52記載の質量分析計。
【請求項54】
前記1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップが、イオンが前記振動手段によって前記軸方向に振動する前及び/又は後に、前記1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップ内のイオンを衝突により冷却するか又は実質的に熱化するように構成され適合する請求項53記載の質量分析計。
【請求項55】
前記1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップから前記イオンガイド又はイオントラップへ、イオンを、導入する、軸方向に注入若しくは排出する、半径方向に注入若しくは排出する、トランスミットする、又は、パルスするように構成され適合する手段をさらに含む請求項52、53又は54に記載の質量分析計。
【請求項56】
前記1つ以上のさらなるイオンガイド又はイオントラップ内でイオンを実質的にフラグメンテーションするように構成され適合する手段をさらに含む請求項52から55のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項57】
前記イオンガイド又はイオントラップから共鳴により及び/又は質量選択的にイオンを排出するように構成され適合する排出手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項58】
前記排出手段が、前記イオンガイド又はイオントラップから軸方向及び/又は半径方向にイオンを排出するように構成され適合する請求項57記載の質量分析計。
【請求項59】
前記排出手段が、質量選択不安定によってイオンを排出するために前記AC又はRF電圧の周波数及び/又は振幅を調節するように構成され適合する手段を含む請求項57又は58に記載の質量分析計。
【請求項60】
前記排出手段が、共鳴排出手段によってイオンを排出するためにAC若しくはRFの補足波形又は電圧を前記複数の電極に付加するための手段をさらに含む請求項57、58又は59に記載の質量分析計。
【請求項61】
前記排出手段が、イオンを排出するためにDCバイアス電圧を印加するための手段をさらに含む請求項57から60のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項62】
前記イオンガイド又はイオントラップが、さらなる動作モードにおいて、実質的に前記軸方向に振動しないようにイオンをトランスミット又は貯留するように構成される先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項63】
前記イオンガイド又はイオントラップが、さらなる動作モードにおいて、質量フィルタ又は質量分析器として作用するように構成される先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項64】
さらなる動作モードにおいて、前記イオンガイド又はイオントラップは、イオンを前記軸方向に振動させない衝突又はフラグメンテーションセルとして作用するように構成される先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項65】
前記イオンガイド又はイオントラップ内の前記イオンガイド又はイオントラップの入口及び/又は中心及び/又は出口に最も近い1つ以上の位置でイオンを貯留又はトラップするように構成され適合する手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項66】
前記イオンガイド又はイオントラップ内でイオンをトラップし、かつ、前記イオンガイド又はイオントラップの入口及び/又は中心及び/又は出口に向かってイオンを漸次移動させるように構成され適合する手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項67】
1つ以上の過渡DC電圧又は1つ以上の過渡DC電圧波形が、使用時に前記イオンガイド又はイオントラップに沿って、まず第1の軸方向位置に与えられ、次いでそれに続き第2、第3の異なる軸方向位置に与えられる先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項68】
1つ以上の過渡DC電圧又は1つ以上の過渡DC電圧波形が、使用時に、イオンを前記イオンガイド又はイオントラップに沿って駆動するように、前記イオンガイド又はイオントラップの一端から前記イオンガイド又はイオントラップの別の端に移動する先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項69】
前記1つ以上の過渡DC電圧が、(i)1つのポテンシャルの山若しくは障壁、(ii)1つのポテンシャル井戸、(iii)複数のポテンシャルの山若しくは障壁、(iv)複数のポテンシャル井戸、(v)1つのポテンシャルの山若しくは障壁及び1つのポテンシャル井戸の組み合わせ、又は、(vi)複数のポテンシャルの山若しくは障壁及び複数のポテンシャル井戸の組み合わせを生成する請求項67又は68に記載の質量分析計。
【請求項70】
前記1つ以上の過渡DC電圧波形が、繰り返し波形又は方形波を含む請求項67、68又は69に記載の質量分析計。
【請求項71】
トラップ静電ポテンシャルを前記イオンガイド又はイオントラップの第1の端及び/又は第2の端に印加するように構成される手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項72】
1つ以上のトラップ静電ポテンシャルを前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さに沿って印加するように構成される手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項73】
前記イオンガイド又はイオントラップの上流及び/又は下流に配置された1つ以上のイオン検出器をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項74】
(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源、(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源、(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源、(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源、(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源、(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源、(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源、(viii)電子衝突(「EI」)イオン源、(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源、(x)電界イオン化(「FI」)イオン源、(xi)電界脱離(「FD」)イオン源、(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源、(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源、(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源、(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源、及び(xvi)ニッケル−63放射性イオン源からなる群から選択されるイオン源をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項75】
連続又はパルス化イオン源をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項76】
前記イオンガイド又はイオントラップ中へイオンを、導入する、軸方向に注入若しくは排出する、半径方向に注入若しくは排出する、トランスミットする、又は、パルスするように構成され適合する手段をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項77】
質量分析器をさらに含む先行する請求項のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項78】
前記質量分析器が、(i)フーリエ変換(「FT」)質量分析器、(ii)フーリエ変換イオンサイクロトロン共鳴(「FTICR」)質量分析器、(iii)飛行時間(「TOF」)質量分析器、(iv)直交加速度飛行時間(「oaTOF」)質量分析器、(v)軸方向加速度飛行時間質量分析器、(vi)扇形磁場質量分析計、(vii)ポール又は3D四重極質量分析器、(viii)2D又はリニア四重極質量分析器、(ix)ペニングトラップ質量分析器、(x)イオントラップ質量分析器、(xi)フーリエ変換オービトラップ、(xii)静電イオンサイクロトロン共鳴質量分析計、及び(xiii)静電フーリエ変換質量分析計からなる群から選択される請求項77記載の質量分析計。
【請求項79】
質量分析の方法であって、
複数の電極を含み、長軸を有するイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
少なくともいくつかのイオンを前記イオンガイド又はイオントラップ内の半径方向に閉じ込めるためにAC又はRF電圧を少なくともいくつかの前記電極に印加するステップと、
少なくともいくつかのイオンを軸方向に1つの動作モードで振動させるステップと、
前記軸方向の前記イオンの振動周波数を決定するステップと、を含む方法。
【請求項80】
質量分析計であって、
複数のセグメントを含み、1つの動作モードにおいて二次DCポテンシャルがその軸方向に沿って維持されるリニアガイド又はイオントラップと、
イオンの振動周波数を測定するための測定デバイスと、
前記測定デバイスによって測定されるデータをフーリエ変換するための手段と、
周波数データから前記イオンガイド又はイオントラップ内で振動するイオンの質量又は質量電荷比を決定するための手段と、を含む質量分析計。
【請求項81】
質量分析の方法であって、
複数のセグメントを含むイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向に沿って二次DCポテンシャルを維持するステップと、
イオンの振動周波数を測定するステップと、
測定データをフーリエ変換するステップと、
周波数データから前記イオンガイド又はイオントラップ内で振動するイオンの質量又は質量電荷比を決定するためのステップと、を含む方法。
【請求項82】
質量分析計であって、
開口部を有する複数の電極を含むイオンガイド又はイオントラップであって、使用時にイオンが前記開口部を通ってトランスミットされるように構成されているイオンガイド又はイオントラップと、
1つの動作モードにおいてイオンに単調和運動を行わせるために前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル勾配を維持するように構成され適合する手段と、を含む質量分析計。
【請求項83】
質量分析の方法であって、
開口部を有する複数の電極を含むイオンガイド又はイオントラップであって、使用時にイオンが前記開口部を通ってトランスミットされるように構成されているイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
1つの動作モードにおいてイオンに単調和運動を行わせるために前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル勾配を維持するステップと、を含む方法。
【請求項84】
質量分析計であって、
セラミック又は非導電性多重極ロッドセットを含むイオンガイド又はイオントラップであって、前記多重極ロッドセットが前記ロッドセットの表面に配置される1つ以上の抵抗性若しくは導電性の被膜、層又は電極を含むイオンガイド又はイオントラップと、
1つの動作モードにおいてイオンに単調和運動を行わせるために前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル勾配を維持するように構成され適合する手段と、を含む質量分析計。
【請求項85】
質量分析の方法であって、
セラミック又は非導電性多重極ロッドセットを含むイオンガイド又はイオントラップであって、前記多重極ロッドセットが前記ロッドセットの表面に配置される1つ以上の抵抗性若しくは導電性の被膜、層又は電極を含む、イオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
1つの動作モードにおいてイオンに単調和運動を行わせるために前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル勾配を維持するステップと、を含む方法。
【請求項86】
質量分析計であって、
複数の電極を含み、長軸を有するイオンガイド又はイオントラップと、
前記イオンガイド又はイオントラップ内で親又は前駆体イオンを選択し、他のイオンを前記イオンガイド又はイオントラップから排出するように構成され適合する手段と、
複数のフラグメントイオンを生成するために前記イオンガイド又はイオントラップ内で前記選択された親又は前駆体イオンをフラグメンテーションするように構成され適合する手段と、
1つの動作モードにおいて前記フラグメントイオンのうちの少なくともいくつかを軸方向に振動させるように構成され適合する手段と、
前記フラグメントイオンの前記軸方向の振動周波数を決定するための検出器手段と、を含む質量分析計。
【請求項87】
質量分析の方法であって、
複数の電極を含み、長軸を有するイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
前記イオンガイド又はイオントラップ内で親又は前駆体イオンを選択し、他のイオンを前記イオンガイド又はイオントラップから排出するステップと、
複数のフラグメントイオンを生成するために前記イオンガイド又はイオントラップ内で前記選択された親又は前駆体イオンをフラグメンテーションするステップと、
1つの動作モードにおいて前記フラグメントイオンのうちの少なくともいくつかを軸方向に振動させるステップと、
前記フラグメントイオンの前記軸方向の振動周波数を決定するステップと、を含む方法。
【請求項88】
質量分析計であって、
軸方向にセグメント化された多重極ロッドセットを含むイオンガイド又はイオントラップと、
1つの動作モードにおいて前記イオンガイド又はイオントラップ内でイオンに単調和運動を行わせるために前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル井戸を維持するように構成され適合する手段と、を含む質量分析計。
【請求項89】
前記二次DCポテンシャル井戸からイオンを共鳴により排出するように構成され適合する手段をさらに含む請求項88記載の質量分析計。
【請求項90】
質量分析の方法であって、
軸方向にセグメント化された多重極ロッドセットを含むイオンガイド又はイオントラップを準備するステップと、
1つの動作モードにおいて前記イオンガイド又はイオントラップ内でイオンに単調和運動を行わせるために前記イオンガイド又はイオントラップの軸方向長さの少なくとも一部に沿って二次DCポテンシャル井戸を維持するステップと、を含む方法。
【請求項91】
前記二次DCポテンシャル井戸からイオンを共鳴により排出するステップをさらに含む請求項90記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公表番号】特表2008−507108(P2008−507108A)
【公表日】平成20年3月6日(2008.3.6)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−522027(P2007−522027)
【出願日】平成17年7月21日(2005.7.21)
【国際出願番号】PCT/GB2005/002874
【国際公開番号】WO2006/008537
【国際公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】