説明

質量分析計

アナログ−デジタル変換器を備えるイオン検出器を備える飛行時間質量分析器を備えた質量分析計が開示される。アナログ−デジタル変換器からの信号がデジタル化され、イオンの到着時間および強度が決定される。各イオン到着イベントの到着時間T0および強度S0は、近接する時間ビンT(n)、T(n+1)に記憶された2つの別個の強度S(n)、S(n+1)に変換される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、質量分析計および質量分析の方法に関する。
【背景技術】
【0002】
質量スペクトルを得る1つの方法として、高速アナログ−デジタル変換器(ADC)を使用して質量分析器のイオン検出器からの出力信号を時間の関数として記録する方法が知られている。走査型磁場質量分析器、走査型四重極質量分析器またはイオントラップ質量分析器を用いたアナログ−デジタル変換器を使用することが知られている。
【0003】
質量分析器が比較的長期間にわたり(例えば、クロマトグラフィー分離実験の実行期間にわたり)非常に高速にスキャンされる場合、アナログ−デジタル変換器を使用すると、非常に大量の質量スペクトルデータが得られることが明らかである。大量の質量スペクトルデータを記憶および処理するには大型メモリが必要であり、これは不利である。さらに、この大量のデータは、当該データの後処理が遅くなるという影響を及ぼす。これは、データ依存取得(Data Dependent Acquisitions、DDA)などのリアルタイムアプリケーションにとっては特に問題となり得る。
【0004】
飛行時間質量分析器を用いたアナログ−デジタル変換器を使用することには問題があるので、その代わりに、飛行時間質量分析器を用いた時間−デジタル変換器(TDC)検出器システムを使用することが一般的である。時間−デジタル変換器とアナログ−デジタル変換器との違いは、時間−デジタル変換器が、イオンがイオン検出器に到着した際に記録される時間のみを記録するという点である。その結果、時間−デジタル変換器が生成する質量スペクトルデータは実質的に少なくなるので、当該データの後処理は実質的により容易になる。しかし、時間−デジタル変換器の1つの欠点は、イオン到着イベントに対応する強度値を出力しないということである。したがって、時間−デジタル変換器は、イオン検出器に実質的に同時に到着する1つのイオンまたは複数のイオンを区別することができない。
【0005】
従来の飛行時間質量分析器は、時間−デジタル変換器システムによって複数の取得から決定されるイオン到着時間を合計する。イオンがイオン検出器に到着しない時間には、データは記録されない。次いで、記録されたイオン到着イベントの時間の合成ヒストグラムが形成される。後の取得からより多くのイオンがヒストグラムに追加されるにつれ、ヒストグラムは漸進的に蓄積し、イオンカウント対飛行時間の質量スペクトル(または質量電荷比)を形成する。
【0006】
従来の飛行時間質量分析器は、最終の合成質量スペクトルを形成するために別個の取得から得られた何百または何千もの別個の飛行時間スペクトルを収集、合計またはヒストグラム化し得る。次いで、イオン到着イベントの質量スペクトルまたはヒストグラムは、コンピュータメモリに記憶され得る。
【0007】
従来の飛行時間質量分析器の1つの欠点は、最終の質量スペクトルを形成するためにヒストグラム化される個別のスペクトルの多くが、記録されるイオン到着イベントがほんのわずかしかないかまたは全くない取得に関係し得ることである。このことは、特に、非常に高い取得レート(rate)で動作される直交加速飛行時間質量分析器について当てはまる。
【0008】
公知の飛行時間質量分析器は、マイクロチャンネルプレート(MCP)または離散(discrete)ダイノード電子増倍管などの二次電子増倍管を含むイオン検出器を備える。二次電子増倍管または離散ダイノード電子増倍管は、イオン検出器に到着するイオンに応答して電子のパルスを生成する。この電子のパルスまたは電流パルスは、次いで、電圧パルスに変換され、電圧パルスは、次いで、適当な増幅器を使用して増幅され得る。
【0009】
最新のマイクロチャンネルプレートイオン検出器は、1つのイオンの到着に応答して信号を生成し得、この信号は、1〜3nsの半値全幅を有する。イオン信号は、時間−デジタル変換器(TDC)を使用して検出される。電子増倍管によって生成された信号が所定の電圧閾値を超えると、当該信号は、イオン到着イベントに関係するものとして記録され得る。イオン到着イベントは、単に、対応する強度情報を有しない時間値として記録される。到着時間は、イオン信号の先端が電圧閾値を通過する時間に対応するように記録される。記録された到着時間は、時間−デジタル変換器の最も近いクロックステップの精度で正確であるに過ぎない。最新の10GHz時間−デジタル変換器は、イオン到着時間を±50ps以内で記録することができる。
【0010】
時間−デジタル変換器を使用してイオン到着イベントを記録することの1つの利点は、信号または電圧閾値を適用することによって電子ノイズを有効に除去することができるということである。その結果、最終のヒストグラム化質量スペクトルにノイズが現れず、イオン流量が比較的低い場合には、非常に良好な信号ノイズ比を実現することができる。
【0011】
時間−デジタル変換器を使用する別の利点は、1つのイオンによって生成される信号のアナログ幅が、最終のヒストグラム化質量スペクトルにおける特定の質量電荷比値に対するイオン到着包絡線(the ion arrival envelope)の幅に加算されないということである。イオン到着時間のみが記録されるので、最終のヒストグラム化質量スペクトルにおける質量ピークの幅は、各質量ピークに対するイオン到着時間における広がり、およびイオン到着イベントによって生成される電圧パルス高さの信号閾値に対するばらつきによってのみ決定される。
【0012】
しかし、時間−デジタル変換検出器を含むイオン検出器を備える従来の飛行時間質量分析器の重大な欠点は、時間−デジタル変換検出器が、1つのイオンがイオン検出器に到着したことによって生じる信号と、複数のイオンがイオン検出器に同時に到着したことによって生じる信号とを弁別することができないということである。このように1つのイオンの到着イベントと複数のイオンの到着イベントとを弁別できないということは、最終のヒストグラムまたは質量スペクトルの強度の歪みを招く。さらに、イオン到着イベントは、イオン検出器からの出力信号が所定の電圧閾値を超えた場合にのみ記録されることになる。
【0013】
時間−デジタル変換器システムを内蔵する公知のイオン検出器にもまた、イオン到着イベントが記録された後に、信号が所定の電圧信号閾値より下に降下しなければならない回復時間を有するという問題がある。このような不感時間(dead time)中、さらなるイオン到着イベントを記録することはできない。
【0014】
比較的高いイオン流量では、1回の取得中にいくつかのイオンがイオン検出器に実質的に同時に到着する確率は、比較的大きくなり得る。その結果、不感時間影響により、最終のヒストグラム化質量スペクトルにおける強度および質量電荷比位置に歪みが生じる。したがって、時間−デジタル変換検出器システムを使用する公知の質量分析器には、定量的アプリケーションおよび定性的アプリケーションの両方についてダイナミックレンジが比較的制限されるという問題がある。
【0015】
時間−デジタル変換器システムの制限とは異なり、複数のイオン到着イベントは、アナログ−デジタル変換器システムを使用して正確に記録され得る。アナログ−デジタル変換器システムは、各クロックサイクルにおいて信号強度を記録し得る。
【0016】
公知のアナログデジタル記録器は、例えば、2GHzのレートで信号をデジタル化しながら、当該信号の強度を8ビットまでのデジタル値として記録することができる。これは、各時間デジタル化点において0〜255の強度値に対応する。10ビットまでにおいてデジタル強度値を記録することができるアナログ−デジタル変換器も公知であるが、このようなアナログ−デジタル変換器は、スペクトル反復レートが制限される傾向がある。
【0017】
アナログ−デジタル変換器は、電子増倍管から出力される信号に対応する時間の関数として連続強度プロファイルを生成する。次いで、複数の取得からの飛行時間スペクトルは合計され、最終の質量スペクトルが生成され得る。
【0018】
アナログ−デジタル変換器システムの1つの利点は、アナログ−デジタル変換器システムが強度値を出力することができ、したがって、増大した強度値を出力することによって複数の同時イオン到着イベントを記録することができるということである。これに対し、時間−デジタル変換器システムは、イオン検出器に実質的に同時に到着する1つのイオンまたは複数のイオンを区別することができない。
【0019】
アナログ−デジタル変換器は、検出閾値を使用する時間−デジタル変換器に付随し得る不感時間の影響を受けない。しかし、アナログ−デジタル変換器には、個別のイオン到着からの信号のアナログ幅がイオン到着包絡線の幅に加算されるという問題がある。したがって、最終の合計またはヒストグラム化質量スペクトルの質量分解能は、時間−デジタル変換器に基づくシステムを使用して生成された同等の質量スペクトルと比較して低くなり得る。
【0020】
アナログ−デジタル変換器もまた、電子ノイズもデジタル化され、各取得に対応する各飛行時間スペクトルに現れるという問題を有する。その後、このノイズは、合計されて、最終またはヒストグラム化質量スペクトルに存在することになる。その結果、比較的弱いイオン信号はマスクされる可能性があり、これにより、時間−デジタル変換器に基づくシステムを使用して得ることが可能なものと比べて、検出限界が相対的に低くなり得る。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0021】
改良された質量分析計および質量分析の方法を提供することが望まれる。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の一態様によると、
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するステップと、
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するステップと、
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定するステップと、
1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するステップと、
1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0を第1の到着時間Tnおよび第2の到着時間Tn+1に変換し、ならびに/あるいは1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するステップとを含む質量分析の方法が提供される。
【0023】
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するステップは、非常に好ましいが、本発明に必須ではない。
【0024】
第1の信号は、好ましくは、出力信号、電圧信号、イオン信号、イオン電流、電圧パルス、または電子電流パルスを含む。
【0025】
上記方法は、好ましくは、第1の到着時間Tnおよび/または第2の到着時間Tn+1を2つ以上の実質的に近接あるいは隣接する所定の時間ビン(time bins)または記憶位置(memory locations)に記憶するステップをさらに含む。
【0026】
第1の到着時間Tnは、好ましくは、決定された到着時間T0の直前の時間ビンもしくは記憶位置、または決定された到着時間T0を含む時間ビンもしくは記憶位置に記憶される。第2の到着時間Tn+1は、好ましくは、決定された到着時間T0の直後の所定の時間ビンもしくは記憶位置、または決定された到着時間T0を含む所定の時間ビンもしくは記憶位置に記憶される。
【0027】
一実施形態によると、上記方法は、第1の強度もしくは面積Snおよび/または第2の強度もしくは面積Sn+1を2つ以上の実質的に近接あるいは隣接する所定の時間ビンまたは記憶位置に記憶するステップをさらに含む。
【0028】
第1の強度または面積Snは、好ましくは、決定された到着時間T0の直前の所定の時間ビンもしくは記憶位置、または決定された到着時間T0を含む所定の時間ビンもしくは記憶位置に記憶される。第2の強度または面積Sn+1は、好ましくは、決定された到着時間T0の直後の所定の時間ビンもしくは記憶位置、または決定された到着時間T0を含む所定の時間ビンもしくは記憶位置に記憶される。
【0029】
各所定の時間ビンまたは記憶位置は好ましくは幅を有し、幅は、(i)<1ps;(ii)1〜10ps;(iii)10〜100ps;(iv)100〜200ps;(v)200〜300ps;(vi)300〜400ps;(vii)400〜500ps;(viii)500〜600ps;(ix)600〜700ps;(x)700〜800ps;(xi)800〜900ps;(xii)900〜1000ps;(xiii)1〜2ns;(xiv)2〜3ns;(xv)3〜4ns;(xvi)4〜5ns;(xvii)5〜6ns;(xviii)6〜7ns;(xix)7〜8ns;(xx)8〜9ns;(xxi)9〜10ns;(xxii)10〜100ns;(xxiii)100〜500ns;(xxiv)500〜1000ns;(xxv)1〜10μs;(xxvi)10〜100μs;(xxvii)100〜500μs;(xxviii)>500μsからなる群から選択される範囲に含まれる。
【0030】
決定された強度S0は好ましくは以下の関係、S0=Sn+Sn+1に従う。
【0031】
上記好適な実施形態によると、S0.T0は好ましくは以下の関係、Sn.Tn+Sn+1.Tn+1=S0.T0に従う。
【0032】
上記方法は、好ましくは、1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0および決定された強度S0を、第1の到着時間Tnおよび第1の強度または面積Snならびに第2の到着時間Tn+1および第2の強度または面積Sn+1で置換するステップをさらに含む。
【0033】
一実施形態によると、上記方法は、好ましくは、第1の信号を取得期間にわたって取得するステップをさらに含み、取得期間の長さは、好ましくは、(i)<1μs;(ii)1〜10μs;(iii)10〜20μs;(iv)20〜30μs;(v)30〜40μs;(vi)40〜50μs;(vii)50〜60μs;(viii)60〜70μs;(ix)70〜80μs;(x)80〜90μs;(xi)90〜100μs;(xii)100〜110μs;(xiii)110〜120μs;(xiv)120〜130μs;(xv)130〜140μs;(xvi)140〜150μs;(xvii)150〜160μs;(xviii)160〜170μs;(xix)170〜180μs;(xx)180〜190μs;(xxi)190〜200μs;(xxii)200〜250μs;(xxiii)250〜300μs;(xxiv)300〜350μs;(xxv)350〜400μs;(xxvi)450〜500μs;(xxvii)500〜1000μs;および(xxviii)>1msからなる群から選択される。
【0034】
上記方法は、好ましくは、取得期間をn個の時間ビンまたは記憶位置に細分するステップをさらに含み、nは、好ましくは、(i)<100;(ii)100〜1000;(iii)1000〜10000;(iv)10,000〜100,000;(v)100,000〜200,000;(vi)200,000〜300,000;(vii)300,000〜400,000;(viii)400,000〜500,000;(ix)500,000〜600,000;(x)600,000〜700,000;(xi)700,000〜800,000;(xii)800,000〜900,000;(xiii)900,000〜1,000,000;および(xiv)>1,000,000からなる群から選択される。
【0035】
各時間ビンまたは記憶位置は、好ましくは、実質的に同じ長さ、幅または継続時間を有する。
【0036】
好ましくは、アナログ−デジタル変換器または過渡記録器(transient recorder)を使用して、第1の信号をデジタル化する。アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、好ましくは、n−ビットアナログ−デジタル変換器または過渡記録器を含み、nは、8、10、12、14または16を含む。アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、好ましくは、(i)<1GHz;(ii)1〜2GHz;(iii)2〜3GHz;(iv)3〜4GHz;(v)4〜5GHz;(vi)5〜6GHz;(vii)6〜7GHz;(viii)7〜8GHz;(ix)8〜9GHz;(x)9〜10GHz;および(xi)>10GHzからなる群から選択されるサンプリングレートまたは取得レートを有する。
【0037】
アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、好ましくは、実質的に均一なデジタル化レートを有する。あるいは、アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、実質的に不均一なデジタル化レートを有し得る。
【0038】
一実施形態によると、上記方法は、第1のデジタル化信号から一定の数または値を減算するステップをさらに含む。第1のデジタル化信号から一定の数または値を減算した後、第1のデジタル化信号の一部がゼロより下に降下する場合、上記方法は、好ましくは、第1のデジタル化信号の上記一部をゼロにリセットするステップをさらに含む。
【0039】
上記好適な実施形態によると、第1のデジタル化信号は、好ましくは平滑化される。好ましくは、移動平均アルゴリズム、ボックスカー積分器(boxcar integrator)アルゴリズム、サビツキ・ゴレイ(Savitsky Golay)アルゴリズムまたはハイツ・ビーマン(Hites Biemann)アルゴリズムを使用して、第1のデジタル化信号を平滑化する。
【0040】
第1のデジタル化信号の二階微分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定するステップは、好ましくは、第1のデジタル化信号の二階微分の1つ以上のゼロクロス点を決定するステップを含む。
【0041】
上記方法は、好ましくは、イオン到着イベントの開始時間T0startを第1のデジタル化信号の二階微分がゼロまたは別の値より下に降下する時間の直前または直後のデジタル化間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む。
【0042】
上記方法は、好ましくは、イオン到着イベントの終了時間T0endを第1のデジタル化信号の二階微分がゼロまたは別の値より上に上昇する時間の直前または直後のデジタル化間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む。
【0043】
上記好適な実施形態によると、好ましくは、1つ以上のイオン到着イベントに対応する第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの強度を決定する。第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの強度を決定するステップは、好ましくは、開始時間T0startおよび/または終了時間T0endによって画定される第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの面積を決定するステップを含む。
【0044】
上記方法は、好ましくは、1つ以上のイオン到着イベントに対応する第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークのモーメントを決定するステップをさらに含む。1つ以上のイオン到着イベントに対応する第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークのモーメントを決定するステップは、好ましくは、開始時間T0startおよび/または終了時間T0endによって画定されるピークのモーメントを決定するステップを含む。
【0045】
上記方法は、好ましくは、1つ以上のイオン到着イベントに対応する第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの中心時間(centroid time)を決定するステップをさらに含む。
【0046】
上記好適な実施形態によると、好ましくは、1つ以上のイオン到着イベントに対応する第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの平均または代表(representative)時間を決定する。
【0047】
上記方法は、好ましくは、
イオン検出器から出力される1つ以上のさらなる信号をデジタル化して、1つ以上のさらなるデジタル化信号を生成するステップと、
1つ以上のさらなるデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するステップと、
1つ以上のさらなるデジタル化信号の二階微分または二階差分から1つ以上のさらなるイオンの到着時間T1を決定するステップと、
1つ以上のさらなるイオンの強度または面積S1を決定するステップとをさらに含む。
【0048】
1つ以上のさらなる信号は、好ましくは、1つ以上の出力信号、電圧信号、イオン信号、イオン電流、電圧パルス、または電子電流パルスを含む。
【0049】
上記好適な実施形態によると、好ましくは、アナログ−デジタル変換器または過渡記録器を使用して、1つ以上のさらなる信号をデジタル化する。アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、好ましくは、n−ビットアナログ−デジタル変換器または過渡記録器を含み、nは、8、10、12、14または16を含む。アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、好ましくは、(i)<1GHz;(ii)1〜2GHz;(iii)2〜3GHz;(iv)3〜4GHz;(v)4〜5GHz;(vi)5〜6GHz;(vii)6〜7GHz;(viii)7〜8GHz;(ix)8〜9GHz;(x)9〜10GHz;および(xi)>10GHzからなる群から選択されるサンプリングレートまたは取得レートを有する。
【0050】
アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、好ましくは、実質的に均一なデジタル化レートを有する。あるいは、アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、実質的に不均一なデジタル化レートを有し得る。
【0051】
上記方法は、好ましくは、1つ以上のさらなるイオンの決定された到着時間T1を第3の到着時間T3および第4の到着時間T4に変換し、ならびに/あるいは1つ以上のさらなるイオンの決定された強度S1を第3の強度または面積S3および第4の強度または面積S4に変換するステップをさらに含む。
【0052】
上記方法は、好ましくは、1つ以上のさらなるイオンの決定された到着時間T1および決定された強度S1を第3の到着時間T3および第3の強度S3ならびに第4の到着時間T4および第4の強度S4で置換するステップをさらに含む。
【0053】
上記方法は、好ましくは、第1の強度Sn値、第2の強度値Sn+1、第3の強度値S3および第4の強度値S4を合成またはヒストグラム化するステップをさらに含む。
【0054】
好適な一実施形態によると、1つ以上のさらなる信号をデジタル化するステップは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000または10000個のイオン検出器からの信号をデジタル化するステップを含み、各信号は、別々の実験実行または取得に対応する。
【0055】
好適な一実施形態によると、上記方法は、1つ以上のさらなるデジタル化信号の少なくともいくつかまたは各々から一定の数または値を減算するステップをさらに含む。1つ以上のさらなるデジタル化信号から一定の数または値を減算した後、1つ以上のさらなるデジタル化信号の少なくともいくつかまたは各々の一部がゼロより下に降下する場合、上記方法は、好ましくは、1つ以上のさらなるデジタル化信号の上記一部をゼロにリセットするステップをさらに含む。
【0056】
上記方法は、好ましくは、1つ以上のさらなるデジタル化信号を平滑化するステップをさらに含む。好ましくは、移動平均アルゴリズム、ボックスカー積分器アルゴリズム、サビツキ・ゴレイアルゴリズムまたはハイツ・ビーマンアルゴリズムを使用して、1つ以上のさらなるデジタル化信号を平滑化する。
【0057】
各1つ以上のさらなるデジタル化信号の二階微分から1つ以上のさらなるイオンの到着時間を決定するステップは、好ましくは、1つ以上のさらなるデジタル化信号の各二階微分の1つ以上のゼロクロス点を決定するステップを含む。
【0058】
上記方法は、好ましくは、イオン到着イベントの開始時間T1startを1つ以上のさらなるデジタル化信号の二階微分がゼロまたは別の値より下に降下する時間の直前または直後のデジタル化間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む。
【0059】
上記方法は、好ましくは、イオン到着イベントの終了時間T1endを1つ以上のデジタル化信号の二階微分がゼロまたは別の値より上に上昇する時間の直前または直後のデジタル化間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む。
【0060】
上記好適な実施形態によると、上記方法は、好ましくは、1つ以上のイオン到着イベントに対応する1つ以上のさらなるデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの強度を決定するステップをさらに含む。1つ以上のさらなるデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの強度を決定するステップは、好ましくは、開始時間T1startおよび/または終了時間T1endによって画定される1つ以上のさらなるデジタル化信号に存在するピークの面積を決定するステップを含む。
【0061】
上記方法は、好ましくは、イオン到着イベントに関係する1つ以上のさらなるデジタル化信号のモーメントを決定するステップをさらに含む。1つ以上のイオン到着イベントに対応する1つ以上のさらなるデジタル化信号に存在する1つ以上のピークのモーメントを決定するステップは、好ましくは、開始時間T1startおよび/または終了時間T1endによって画定される1つ以上のさらなるデジタル化信号のモーメントを決定するステップを含む。
【0062】
上記方法は、好ましくは、イオン到着イベントに関係する1つ以上のさらなるデジタル化信号の中心時間を決定するステップをさらに含む。
【0063】
上記方法は、好ましくは、イオン到着イベントに関係する1つ以上のさらなるデジタル化信号の平均または代表時間を決定するステップをさらに含む。
【0064】
上記方法は、好ましくは、イオン到着イベントに関係する1つ以上のさらなるデジタル化信号の平均もしくは代表時間および/または強度を記憶するステップをさらに含む。
【0065】
上記好適な実施形態によると、上記方法は、イオン到着イベントに関係するピークの時間および強度に関係するデータを合成するステップをさらに含む。上記好適な実施形態によると、上記方法は、移動平均積分器アルゴリズム、ボックスカー積分器アルゴリズム、サビツキ・ゴレイアルゴリズムまたはハイツ・ビーマンアルゴリズムを使用して、イオン到着イベントに関係するピークの時間および強度に関係するデータを合成するステップを含む。
【0066】
上記好適な実施形態によると、好ましくは、連続体(continuum)時間または質量スペクトルを提供する。上記方法は、好ましくは、連続体時間または質量スペクトルの二階微分または二階差分を決定または取得するステップをさらに含む。上記方法は、好ましくは、連続体時間または質量スペクトルの二階微分または二階差分から1つ以上のイオンまたは質量ピークの到着時間または質量もしくは質量電荷比を決定するステップをさらに含む。
【0067】
連続体時間または質量スペクトルの二階微分から1つ以上のイオンまたは質量ピークの到着時間または質量もしくは質量電荷比を決定するステップは、好ましくは、連続体時間または質量スペクトルの二階微分の1つ以上のゼロクロス点を決定するステップを含む。
【0068】
上記方法は、好ましくは、ピークまたは質量ピークの開始点Mstartを連続体時間または質量スペクトルの二階微分がゼロまたは別の値より下に降下する点の直前または直後のステップ間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む。
【0069】
上記方法は、好ましくは、ピークまたは質量ピークの終了点Mendを連続体時間または質量スペクトルの二階微分がゼロまたは別の値より上に上昇する点の直前または直後のステップ間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む。
【0070】
一実施形態によると、上記方法は、連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークの強度を決定するステップをさらに含む。連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークの強度を決定するステップは、開始点Mstartおよび/または終了点Mendによって画定されるピークまたは質量ピークの面積を決定するステップを含む。
【0071】
上記方法は、好ましくは、連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークのモーメントを決定するステップをさらに含む。一実施形態によると、連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークのモーメントを決定するステップは、開始点Mstartおよび/または終了点Mendによって画定されるピークまたは質量ピークのモーメントを決定するステップを含む。
【0072】
上記方法は、好ましくは、連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークの中心時間を決定するステップをさらに含む。
【0073】
一実施形態によると、上記方法は、連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークの平均もしくは代表時間または質量を決定するステップをさらに含む。
【0074】
上記方法は、好ましくは、時間データを質量または質量電荷比データに変換するステップをさらに含む。
【0075】
上記好適な実施形態によると、上記方法は、好ましくは、質量スペクトルを表示または出力するステップをさらに含む。質量スペクトルは、好ましくは、複数の質量スペクトルデータ点を含み、各データ点は、1つのイオン種を表すと考えられ、各データ点は、強度値および質量または質量電荷比値を含む。
【0076】
イオン検出器は、好ましくは、マイクロチャンネルプレート、光電子増倍管または電子増倍管デバイスを含む。イオン検出器は、好ましくは、1つ以上のイオンのイオン検出器への到着に応答して電圧パルスを生成するための電流−電圧変換器または増幅器をさらに備える。
【0077】
一実施形態によると、質量分析器を提供する。質量分析器は、好ましくは、(i)飛行時間(「TOF」)質量分析器;(ii)直交加速飛行時間(「oaTOF」)質量分析器;または(iii)軸方向加速飛行時間質量分析器を含む。あるいは、質量分析器は、(i)磁場型質量分析計;(ii)ポールまたは三次元四重極質量分析器;(iii)二次元または線形四重極質量分析器;(iv)ペニングトラップ質量分析器;(v)イオントラップ質量分析器;および(vi)四重極質量分析器からなる群から選択される。
【0078】
本発明の別の態様によると、
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して第1のデジタル化信号を生成するように構成された手段と、
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するように構成された手段と、
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0を第1の到着時間Tnおよび第2の到着時間Tn+1に変換し、ならびに/あるいは1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するように構成された手段とを備える装置が提供される。
【0079】
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得することは、非常に好ましいが、本発明に必須ではない。
【0080】
上記装置は、好ましくは、第1の到着時間Tnおよび/または第2の到着時間Tn+1を2つ以上の実質的に近接する所定の時間ビンまたは記憶位置に記憶するように構成された手段をさらに備える。
【0081】
上記装置は、好ましくは、1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0および決定された強度S0を第1の到着時間Tnおよび第1の強度または面積Snならびに第2の到着時間Tn+1および第2の強度または面積Sn+1で置換するように構成された手段をさらに備える。
【0082】
上記装置は、好ましくは、第1の信号をデジタル化するためのアナログ−デジタル変換器または過渡記録器をさらに備える。アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、好ましくは、n−ビットアナログ−デジタル変換器または過渡記録器を含み、nは、8、10、12、14または16を含む。アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、好ましくは、(i)<1GHz;(ii)1〜2GHz;(iii)2〜3GHz;(iv)3〜4GHz;(v)4〜5GHz;(vi)5〜6GHz;(vii)6〜7GHz;(viii)7〜8GHz;(ix)8〜9GHz;(x)9〜10GHz;および(xi)>10GHzからなる群から選択されるサンプリングレートまたは取得レートを有する。
【0083】
アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、好ましくは、実質的に均一なデジタル化レートを有する。あるいは、アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、実質的に不均一なデジタル化レートを有し得る。
【0084】
本発明の別の態様によると、上記の装置を備える質量分析計が提供される。
【0085】
質量分析計は、イオン源をさらに備え得る。イオン源は、好ましくは、(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源;(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源;(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源;(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源;(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源;(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源;(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源;(viii)電子衝突(「EI」)イオン源;(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源;(x)電界イオン化(「FI」)イオン源;(xi)電界脱離(「FD」)イオン源;(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源;(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源;(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源;(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源;(xvi)ニッケル−63放射性イオン源;(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源;および(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択される。
【0086】
一実施形態によると、質量分析計は、連続またはパルス化イオン源を備え得る。
【0087】
質量分析計は、好ましくは、質量分析器をさらに備える。質量分析器は、好ましくは、(i)飛行時間(「TOF」)質量分析器;(ii)直交加速飛行時間(「oaTOF」)質量分析器;または(iii)軸方向加速飛行時間質量分析器を含む。あるいは、質量分析器は、(i)磁場型質量分析計;(ii)ポールまたは三次元四重極質量分析器;(iii)二次元または線形四重極質量分析器;(iv)ペニングトラップ質量分析器;(v)イオントラップ質量分析器;および(vi)四重極質量分析器からなる群から選択され得る。
【0088】
質量分析計は、好ましくは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスをさらに備える。衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、好ましくは、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように構成されている。あるいは、衝突デバイス、フラグメンテーションデバイス、または反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)イオン源フラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択され得る。
【0089】
本発明の別の態様によると、
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するステップと、
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するステップと、
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を決定するステップと、
1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するステップと、
1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を第1の質量または質量電荷比値Mnおよび第2の質量または質量電荷比値Mn+1に変換し、ならびに/あるいは1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するステップとを含む質量分析の方法が提供される。
【0090】
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するステップは、非常に好ましいが、本発明に必須ではない。
【0091】
本発明の別の態様によると、
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するように構成された手段と、
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するように構成された手段と、
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を決定するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を第1の質量または質量電荷比値Mnおよび第2の質量または質量電荷比値Mn+1に変換し、ならびに/あるいは1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するように構成された手段とを備える装置が提供される。
【0092】
第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得することは、非常に好ましいが、本発明に必須ではない。
【0093】
本発明の別の態様によると、
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するステップと、
1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定するステップと、
1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するステップと、
1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0を第1の到着時間Tnおよび第2の到着時間Tn+1に変換し、ならびに/あるいは1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するステップとを含む質量分析の方法が提供される。
【0094】
本発明の別の態様によると、
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0を第1の到着時間Tnおよび第2の到着時間Tn+1に変換し、ならびに/あるいは1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するように構成された手段とを備える装置が提供される。
【0095】
本発明の別の態様によると、
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するステップと、
1つ以上の第1のイオンの到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を決定するステップと、
1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するステップと、
1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を第1の質量または質量電荷比値Mnおよび第2の質量または質量電荷比値Mn+1に変換し、ならびに/あるいは1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するステップとを含む質量分析の方法が提供される。
【0096】
本発明の別の態様によると、
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を決定するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を第1の質量または質量電荷比値Mnおよび第2の質量または質量電荷比値Mn+1に変換し、ならびに/あるいは1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するように構成された手段とを備える装置が提供される。
【0097】
本発明の好適な一実施形態によると、複数の飛行時間スペクトルがアナログ−デジタル変換器を内蔵するイオン検出器を好ましくは備える飛行時間質量分析器によって好ましくは取得される。検出されたイオン信号は、好ましくは電圧信号に増幅または変換される。次いで、電圧信号は、好ましくは高速アナログ−デジタル変換器を使用してデジタル化される。次いで、デジタル化信号は、好ましくは処理される。
【0098】
イオン検出器に到着する1つ以上のイオンに対応するデジタル化信号に存在する離散電圧ピークの開始時間が好ましくは決定される。同様に、各離散電圧ピークの終了時間もまた好ましくは決定される。次いで、各離散電圧ピークの強度およびモーメントが好ましくは決定される。各電圧ピークの決定された開始時間および/または終了時間、各電圧ピークの強度、ならびに各電圧ピークのモーメントは、好ましくはさらなる処理のために使用または記憶される。
【0099】
その後の取得からのデータが好ましくは同様に処理される。一旦複数の取得がなされると、複数の取得からのデータは好ましくは合成され、イオン到着時間およびイオン到着イベントに関係した対応する強度値のヒストグラムが好ましくは形成、生成、または編集される。次いで、複数の取得からの時間および対応する強度値は、好ましくは積分され、連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルが形成される。
【0100】
連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルは、好ましくはさらに処理される。連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルに存在するピークまたは質量ピークの強度および飛行時間、質量または質量電荷比が好ましくは決定される。次いで、イオンの質量電荷比および対応する強度値を含む質量スペクトルが好ましくは生成される。
【0101】
上記好適な実施形態によると、好ましくはイオン検出器から出力されるイオンまたは電圧信号の二階微分が好ましくは決定される。イオンまたは電圧信号に存在する電圧ピークの開始時間が、好ましくはデジタル化信号の二階微分がゼロより下に降下する時間であると決定される。同様に、電圧ピークの終了時間が、好ましくはデジタル化信号の二階微分がゼロより上に上昇する時間であると決定される。
【0102】
好ましさが劣る好ましい実施形態によると、電圧ピークの開始時間は、デジタル化信号が所定の閾値より上に上昇する時間であると決定され得る。同様に、電圧ピークの終了時間は、その後にデジタル化信号が所定の閾値より下に降下する時間であると決定され得る。
【0103】
電圧ピークの強度は、好ましくは電圧ピークの決定された開始時間および電圧ピークの決定された終了時間によって画定されるすべてのデジタル化測定値の合計から決定される。
【0104】
電圧ピークのモーメントは、好ましくは電圧ピークの開始時間および終了時間によって画定されるすべてのデジタル化測定値に対して、各デジタル化測定値、およびそのデジタル化測定値と電圧ピークの開始時間または電圧ピークの終了時間との間のデジタル化時間間隔数の積の合計から決定される。
【0105】
あるいは、電圧ピークのモーメントは、電圧ピークの現在(running)強度の合計から決定され得る。ここで、ピーク強度は、電圧ピークの開始時間から電圧ピークの終了時間へ、各連続したデジタル化測定値を加算することによって、時間間隔毎に順次計算される。
【0106】
各取得からの各電圧ピークの開始時間および/または終了時間、各電圧ピークの強度、ならびに各電圧ピークのモーメントは、好ましくは記録され、かつ好ましくは使用される。
【0107】
電圧ピークの開始時間および/または終了時間、電圧ピークの強度、ならびに電圧ピークのモーメントは、好ましくはイオン検出器によって検出された1つ以上のイオンに対する代表または平均飛行時間を計算するために使用される。次いで、代表または平均飛行時間は、好ましくはさらなる処理のために記録または記憶される。
【0108】
1つ以上のイオンに対する代表または平均飛行時間は、電圧ピークの中心時間を決定するために、電圧ピークのモーメントを電圧ピークの強度によって除算することによって決定され得る。次いで、電圧ピークの中心時間は、必要に応じて、電圧ピークの開始時間に加算され得るか、あるいは電圧ピークの終了時間から減算され得る。代表または平均飛行時間は、デジタル化時間間隔よりも高い精度で計算されることが有利であり得る。
【0109】
各取得からの各電圧ピークに対応する代表または平均飛行時間および対応する強度値は、好ましくは記憶される。次いで、複数の取得からのデータは、時間および対応する強度値を含む1つのデータセットに好ましくは集められるか、または合成される。
【0110】
次いで、複数の取得からの代表または平均飛行時間および対応する強度値を含む1つのデータセットは、データが好ましくは積分されて1つの連続あるいは連続体質量スペクトルを形成するように好ましくは処理される。一実施形態によると、時間と強度とのペアは、積分アルゴリズムを使用して積分され得る。一実施形態によると、データは、ボックスカー積分器、移動平均アルゴリズム、または別の積分アルゴリズムを1回またはそれ以上行うことによって積分され得る。
【0111】
得られた1つの連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルは、好ましくは、均一または不均一な時間、質量もしくは質量電荷比間隔ごとに強度の連続体を含む。1つの連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルが均一時間間隔ごとに強度の連続体を含む場合、これらの時間間隔は、アナログ−デジタル変換器のデジタル化時間間隔の単分数または整数倍に対応してもよいし、しなくてもよい。
【0112】
上記好適な実施形態によると、強度データ間隔の周波数は、好ましくは、ピークまたは質量ピークの端から端までの強度データ間隔の数が4より大きく、さらに好ましくは、8より大きくなるような周波数である。一実施形態によると、ピークまたは質量ピークの端から端までの強度データ間隔の数は、16以上であり得る。
【0113】
次いで、得られた1つの連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルは、データまたは質量スペクトルデータが、飛行時間、質量または質量電荷比値に対応する強度値に好ましくは低減されるようにさらに処理され得る。
【0114】
上記好適な実施形態によると、1つの連続あるいは連続体質量スペクトルまたは質量スペクトルは、好ましくは、各取得からの電圧信号が好ましくは連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルを複数の飛行時間および対応する強度値に低減するために処理されるのと同様のやり方で処理される。離散質量スペクトルが形成または出力され得る。
【0115】
上記好適な実施形態によると、連続体スペクトルまたは質量スペクトルにおいて観測された各ピーク、質量またはデータピークの開始時間または時点が、好ましくは決定される。同様に、各ピーク、質量またはデータピークの終了時間または時点が、また好ましくは決定される。次いで、各ピーク、質量またはデータピークの強度が、好ましくは得られる。各ピーク、質量またはデータピークのモーメントも、また好ましくは得られる。各ピーク、質量またはデータピークの飛行時間が、ピーク、質量もしくはデータピークの開始時間もしくは時点および/またはピーク、質量もしくはデータピークの終了時間もしくは時点、データピーク合成強度、ならびにピーク、質量もしくはデータピークの合成モーメントから好ましくは得られる。
【0116】
ピーク、質量またはデータピークの開始時間または時点は、連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルが所定の閾値より上に上昇する時間であると決定され得る。ピーク、質量またはデータピークのその後の終了時間または時点は、連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルが所定の閾値より下に降下する時間であると決定され得る。
【0117】
あるいは、ピーク、質量またはデータピークの開始時間または時点は、連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルの二階微分がゼロまたは別の値より下に降下する時間または時点であると決定され得る。同様に、ピーク、質量またはデータピークの終了時間または時点は、連続あるいは連続体スペクトルまたは質量スペクトルの二階微分がその後にゼロまたは別の値より上に上昇する時間または時点であると決定され得る。
【0118】
ピーク、質量またはデータピークの合成強度は、ピーク、質量またはデータピークの開始時間または時点およびピーク、質量またはデータピークの終了時間または時点によって画定されるすべての質量またはデータ点の強度の合計から決定され得る。
【0119】
各ピーク、質量またはデータピークの合成モーメントは、質量またはデータピークの開始時間または時点および終了時間または時点によって画定されるすべての質量またはデータ点に対して、各質量またはデータ点強度、および質量またはデータピーク飛行時間と開始時間または時点あるいは終了時間または時点との間の時間差の積の合計から好ましくは決定される。
【0120】
ピーク、データまたは質量ピークの飛行時間は、ピーク、質量またはデータピークの合成モーメントをピーク、質量またはデータピークの合成強度によって除算することによって決定され、ピーク、質量またはデータピークの中心時間を決定し得る。次いで、ピーク、質量またはデータピークの中心時間は、好ましくはピーク、質量またはデータピークの開始時間または時点に加算されるか、あるいは、必要に応じて、ピーク、質量またはデータピークの終了時間または時点から減算される。ピーク、質量またはデータピークの飛行時間は、デジタル化時間間隔よりも高精度に、かつ各ピーク、質量またはデータピークよりも高精度に計算され得る。
【0121】
次いで、ピーク、質量またはデータピークの飛行時間および対応する強度値のセットは、1セットの質量または質量電荷比値および対応する強度値に変換され得る。飛行時間データの質量または質量電荷比データへの変換は、較正手順から得られる関係を使用してデータを変換することによって行われ得るので、当該技術分野において周知である。
【図面の簡単な説明】
【0122】
【図1】図1は、MALDIイオン源を使用してサンプルをイオン化し、得られたイオンを直交加速飛行時間質量分析器を使用して質量分析して得られたポリエチレングリコールの生の未処理合成質量スペクトルの一部を示す。
【図2】図2は、1回の実験から得られたスペクトルであって、他のスペクトルと合計されて図1に示す合成質量スペクトルを形成するスペクトルを示す。
【図3】図3は、質量電荷比と強度とのペアの形態のデータを提供するように、図2に示すスペクトルを処理したスペクトルを示す。
【図4】図4は、48個の別個の処理された飛行時間質量スペクトルを合計または合成した結果を示す。
【図5】図5は、連続体質量スペクトルを形成するためにボックスカー積分アルゴリズムを使用して、図4に示すデータペアを積分した結果を示す。
【図6】図6は、図5に示す連続体質量スペクトルの二階微分を示す。
【図7】図7は、図5に示す連続体質量スペクトルを離散質量スペクトルに低減することによって、図4のデータから得られた質量ピークを示す。
【図8】図8は、時間および強度値が、上記好適な実施形態にしたがって、隣接する時間ビンに付加される2つの強度値にどのように変換されるかを示す。
【発明を実施するための形態】
【0123】
ここで、添付の図面を参照して本発明の種々の実施形態を、あくまで例として、説明する。
【0124】
好適な一実施形態によると、従来の時間−デジタル変換器ではなくアナログ−デジタル変換器を内蔵する検出器システムを好ましくは備える飛行時間質量分析器が、好ましくは提供される。イオンは、好ましくは飛行時間質量分析器によって質量分析され、そのイオンは、好ましくはイオン検出器によって検出される。イオン検出器は、好ましくはマイクロチャンネルプレート(MCP)電子増倍管アセンブリを含む。マイクロチャンネルプレートイオン検出器から出力される電子のパルスに応答して、電圧パルスまたは信号を好ましくは生成する電流−電圧変換器または増幅器が、好ましくは提供される。1つのイオンのイオン検出器への到着に応答する電圧パルスまたは信号は、好ましくは、半値幅が1〜3nsである。
【0125】
1つ以上のイオンが飛行時間質量分析器のイオン検出器に到着した結果得られる電圧パルスまたは信号は、好ましくは、例えば、高速8ビット過渡記録器またはアナログ−デジタル変換器(ADC)を使用してデジタル化される。過渡記録器またはアナログ−デジタル変換器のサンプリングレートは、好ましくは1GHz以上である。
【0126】
電圧パルスまたは信号は、信号閾値化され得る。信号閾値化においては、アナログ−デジタル変換器ノイズの大半を除去するために、一定の数または値が好ましくはアナログ−デジタル変換器からの各出力数から減算される。一定の数または値を減算した後の信号が負である場合、信号のその部分は、好ましくはゼロにリセットされる。
【0127】
<電圧ピークの開始および終了時間の決定>
移動平均アルゴリズムまたはボックスカー積分器アルゴリズムなどの平滑化アルゴリズムがアナログ−デジタル変換器から出力されるスペクトルに好ましくは適用される。あるいは、サビツキ・ゴレイアルゴリズム、ハイツ・ビーマンアルゴリズム、または別のタイプの平滑化アルゴリズムがデータに適用され得る。例えば、3つのデジタル化間隔のウィンドウを用いた移動平均を1回行うことは、以下によって与えられる。
【0128】
【数1】

【0129】
ここで、m(i)は、アナログ−デジタル変換器時間ビンiにおいて記録されるビット単位の強度値、s(i)は、平滑化手順の結果である。
【0130】
平滑化アルゴリズムは、データに対して複数回行われ得る。
【0131】
一旦生の飛行時間ADCデータが平滑化されると、イオン到着イベントまたはピークの存在を検出するために、この好ましくは平滑化されたデータの二階微分または二階差分が、次いで取得あるいは決定される。
【0132】
二階微分のゼロクロス点が好ましくは決定され、各観測された電圧ピークまたはイオン信号ピークの開始時間および終了時間を示すかあるいは決定するために好ましくは使用される。このピーク位置を決定する方法は、ノイズレベルが飛行時間スペクトル全体にわたっては一定とならないか、あるいはノイズレベルが個別の飛行時間スペクトル間で変動する場合に、特に有利である。
【0133】
3つのデジタル化間隔の移動ウィンドウを用いた簡単な差分計算によって、デジタル化信号の一階微分D1(i)が生成される。デジタル化信号の一階微分D1(i)は、以下の式によって表され得る。
【0134】
【数2】

【0135】
ここで、s(i)は、時間ビンiに入ったいずれかの平滑化手順の結果である。
【0136】
次いで、差分計算は、3つのデジタル化間隔の移動ウィンドウを用いて、好ましくは繰り返され得る。したがって、一階微分D1(i)の二階微分D2(i)が生成される。これは、以下の式によって表され得る。
【0137】
【数3】

【0138】
したがって、二階微分は、以下の式によって表され得る。
【0139】
【数4】

【0140】
この差分計算は、異なる幅の移動ウィンドウを用いて行われ得る。電圧パルス半値幅に対する差分ウィンドウの幅は、好ましくは、33%〜100%、さらに好ましくは、約67%である。
【0141】
二階微分D2(i)は、好ましくは、観測された電圧ピークの開始および終了時間を示すか、または決定するために積分される。電圧ピークの開始時間t1は、二階微分がゼロより下に降下した直後のデジタル化間隔となるように取られ得る。電圧ピークの終了時間t2は、二階微分がゼロより上に上昇する直前のデジタル化間隔となるように取られ得る。あるいは、電圧ピークの開始時間t1は、二階微分がゼロより下に降下する直前のデジタル化間隔となるように取られ得、電圧ピークの終了時間t2は、二階微分がゼロより上に上昇した直後のデジタル化間隔となるように取られ得る。
【0142】
好ましさが劣る好ましい実施形態によると、電圧ピーク開始時間t1は、アナログ−デジタル変換器出力m(i)の値が閾値レベルより上に上昇するデジタル化時間から得られ得る。同様に、電圧ピーク終了時間t2は、アナログ−デジタル変換器出力m(i)の値が閾値レベルより下に降下するデジタル化時間から得られ得る。
【0143】
<各電圧ピークの強度およびモーメントの決定>
一旦電圧ピークまたはイオン信号ピークの開始および終了時間が決定されると、開始および終了時間によって画定される電圧ピークまたはイオン信号ピークの強度およびモーメントが好ましくは決定される。
【0144】
電圧またはイオン信号のピーク強度は、好ましくはピークまたは信号の面積に対応し、好ましくは以下の式によって記述される。
【0145】
【数5】

【0146】
ここで、Iは、決定された電圧ピーク強度、mは、アナログ−デジタル変換器時間ビンiにおいて記録されたビット単位の強度値、t1は、電圧ピーク開始に対応するアナログ−デジタル変換器デジタル化時間ビンの番号、t2は、電圧ピーク終了に対応するアナログ−デジタル変換器デジタル化時間ビンの番号である。
【0147】
電圧ピークの開始に対するモーメントM1は、好ましくは以下の式によって記述される。
【0148】
【数6】

【0149】
電圧ピークの終了に対するモーメントM2は、好ましくは以下の式によって記述される。
【0150】
【数7】

【0151】
ここで、
【0152】
【数8】

【0153】
である。
【0154】
ピークの終了に対するモーメントM2の計算は、特に重要である。これは、あるいは、以下の式を使用して計算され得る。
【0155】
【数9】

【0156】
後者の式は、非常に高速に実行できる形態の計算を表す。これは、以下の形態に書き換えられ得る。
【0157】
【数10】

【0158】
ここで、Iは、式5の実行における各段階にて計算される強度である。
【0159】
したがって、モーメントは、強度の計算中に計算され得る。モーメントは、好ましくは、強度計算における各段階にての強度の現在合計を総計することによって得られる。
【0160】
一実施形態によると、この種の計算は、フィールド・プログラマブル・ゲート・アレイ(FPGAs)を使用して非常に高速に行われ得る。FPGAsにおいては、多数の配列データ上の計算が本質的に並列に行われ得る。
【0161】
計算された強度およびモーメント値ならびに電圧ピークまたはイオン信号の開始時間および/または終了時間に対応する時間ビンの番号は、好ましくはさらなる処理のために記録される。
【0162】
<各電圧ピークに対する中心飛行時間の決定>
ピークの開始に対する電圧ピークの中心時間C1は、電圧ピークのモーメントを電圧ピークの面積または強度で除算することによって、すなわち、以下から計算され得る。
【0163】
【数11】

【0164】
電圧ピークの開始として記録される時間ビンをt1とすると、電圧ピークに対応する代表または平均時間tは、以下のようになる。
【0165】
【数12】

【0166】
他方、ピークの終了に対する電圧ピークの中心時間C2は、以下から計算され得る。
【0167】
【数13】

【0168】
電圧ピークの終了として記録される時間ビンをt2とすると、電圧ピークに対応する代表または平均時間tは、以下のようになる。
【0169】
【数14】

【0170】
tの計算値の精度は、式11または式13において計算される除算の精度に依存する。除算計算は、この手順における他の計算と比べると相対的に遅く、したがって、必要とされる精度が高いほど、計算にかかる時間が長くなる。
【0171】
一実施形態によると、スペクトルにおける各電圧ピークの開始および終了時間t1およびt2、対応する強度I、ならびに計算されたモーメントM1またはM2が、好ましくは記録される。対応するイオン到着時間tは、オフラインで計算され得る。この手法により、要求されるあらゆる精度でtを演算することが可能となる。あるいは、tの値は、リアルタイムで計算してもよい。
【0172】
上記好適な実施形態によると、各イオン信号に対する到着時間および面積は、2つの別個の到着時間および対応する面積に変換される。これら2つの到着時間は、スペクトルを細分する所定の時間間隔に対応する記憶位置のアレイにおいて2つの近接する位置に好ましくは記憶される。上記2つの面積が記憶されるこれら2つの位置は、当初決定された到着時間の直前および直後に含まれる所定の時間を有するものであるのが好ましい。これら2つの位置のそれぞれに記憶される面積の値は、(i)2つの面積の合計が当初決定された面積または強度に好ましくは等しく、かつ(ii)時間位置と面積とのこれらの2つのペアから計算される加重平均到着時間が当初決定されたものと好ましくは同じであるように計算されるのが好ましい。
【0173】
2つの面積の計算を図8に示す。〜T(n-1)、T(n)、T(n+1)、T(n+2)〜に対応する所定の割り当てられた時間または中心時間を有する記憶位置のアレイが示されている。
【0174】
イオンイベントが検出されると仮定され得、イオンイベントは、中心時間T0および面積または強度S0を有すると決定される。また、T(n)<T0<T(n+1)であると仮定される。上記好適な実施形態によると、2つの新たな面積S(n)およびS(n+1)が好ましくは計算され、かつ割り当てられた時間T(n)およびT(n+1)を有する時間位置または時間ビンに付加され、ここで、
【0175】
【数15】

【0176】
である。
【0177】
したがって、
【0178】
【数16】

【0179】
となる。
【0180】
元のデータの精度は、上記好適な実施形態にしたがって好ましくは保存される。
【0181】
<記憶位置のアレイへのイオン到着時間および対応する強度値の記憶>
1つの飛行時間スペクトルは、検出器に到着する多数のイオンにより、いくつかの電圧ピークを含み得る。各電圧ピークは、好ましくは、分析され、時間値および対応する強度値に変換される。各電圧ピークに対する時間および強度値は、時間値と対応する面積とのペアに好ましくは変換される。これらの値は、記憶位置のアレイの隣接または近接する要素において好ましくは記憶される。記憶位置のアレイは、好ましくは、飛行時間スペクトルの所定の時間間隔または細区分に対応するかあるいは関係する。例えば、飛行時間スペクトルは、100μsの継続時間を有し得、このスペクトルは、500,000の等しい時間間隔のアレイに細分され得る。各時間間隔あるいは細区分は、200psの幅または継続時間を有する。
【0182】
<合成時間−強度データのさらなる処理>
後の飛行時間スペクトルは、好ましくは、上記と同様の方法で取得および処理される。すなわち、スペクトルは好ましくは分析され、イオン到着イベントに対応する時間および強度値が好ましくは決定される。次いで、時間および強度値のヒストグラムが、各時間および強度値が隣接する時間ビンを占める強度値のペアに変換されるにつれて好ましくは蓄積される。
【0183】
一実施形態によると、時間および強度のヒストグラムは、連続体スペクトルが提供されるように当該データに平滑化関数を適用することによってさらに処理される。この好ましくは平滑化されたデータに対して、次いで、上述したのと同様の方法で、ピーク検出およびピーク中心計算が好ましくは行われる。したがって、連続体スペクトルの二階微分または二階差分が好ましくは得られ、ピークの開始および終了時間が決定される。各ピークの強度および中心時間が好ましくは決定される。平滑化計算および2回の差分計算において用いられる幅および増分は、ADCのデジタル化レートと関係していなくてもよい。
【0184】
上記好適な実施形態によると、複数のスペクトルから得られる強度および飛行時間値は、好ましくは1つのヒストグラムに集められる。次いで、データの合成セットは、好ましくは、例えば、移動平均アルゴリズムまたはボックスカー積分器アルゴリズムを使用して処理される。移動ウィンドウは、好ましくは、時間変化する幅W(t)を有し、ウィンドウが階段状に時間変化する増分を好ましくはS(t)とする。W(t)およびS(t)の両方は、互いに完全に独立であり、かつアナログ−デジタル変換器デジタル化間隔値に対して完全に独立な値が与えられ得る。W(t)およびS(t)の両方は、一定の値を有してもよいし、あるいは可変な時間関数であってもよい。
【0185】
上記好適な実施形態によると、ピークまたは質量ピークの半値幅に対する積分ウィンドウの幅W(t)は、好ましくは33%〜100%、より好ましくは約67%である。ステップ間隔S(t)は、好ましくは、質量ピークの端から端までのステップの数が少なくとも4個、より好ましくは少なくとも8個、さらにより好ましくは16個以上となるようなものである。
【0186】
各ウィンドウ内の強度データは、好ましくは合計され、各強度合計は、好ましくは、合計が計算されるステップに対応する時間間隔とともに記録される。
【0187】
nを時間がT(n)であるステップ間隔S(t)のステップ数とすると、簡単な移動平均アルゴリズムまたはボックスカー積分器アルゴリズムの1回目の実行からの合計G(n)は、以下によって得られる。
【0188】
【数17】

【0189】
ここで、T(n)は、ステップ間隔S(t)のnステップ後の時間、I(t)は、平均または代表飛行時間tで記録される電圧ピークの強度、W(T)は、時間T(n)での積分ウィンドウの幅、G(n)は、時間T(n)を中心とする積分ウィンドウW(T)内の飛行時間を有するすべての電圧ピーク強度の合計である。
【0190】
一実施形態によると、複数回の積分アルゴリズムがデータに適用され得る。次いで、平滑な連続体合成データセットが好ましくは提供される。結果として得られる連続体合成データセットまたは連続体質量スペクトルは、その後さらに分析され得る。
【0191】
<合成連続体スペクトルまたは質量スペクトルの分析>
上記データから計算されたピークの中心時間および強度は、好ましくは、記憶され、すべての取得されたデータに対する合成スペクトルを表す。
【0192】
この方法によると、各個別の測定値の精度を好ましく維持するとともに、データ量の圧縮が可能となり、これにより、処理要件が減少する。
【0193】
上記好適な実施形態によると、強度および対応する飛行時間のヒストグラムは、好ましくは、質量スペクトルが好ましくは形成されるように、質量または質量電荷比値および強度を含む質量スペクトルデータに変換される。
【0194】
上記好適な実施形態によると、平滑な連続体合成データセットまたは連続体質量スペクトルの二階微分または二階差分が好ましくは決定される。
【0195】
連続体スペクトルまたは質量スペクトルの二階微分のゼロクロス点が好ましくは決定される。二階微分のゼロクロス点は、合成連続データセットまたは質量スペクトルにおける質量ピークの開始時間および終了時間を示す。
【0196】
一階および二階微分は、差分計算を2回連続して行うことによって決定され得る。例えば、連続データGの一階微分H1(n)を生成する3つのステップ間隔の移動ウィンドウを用いた差分計算は、以下の式によって表され得る。
【0197】
【数18】

【0198】
ここで、G(n)は、ステップnでの1回以上の積分アルゴリズムの最終の合計である。
【0199】
この簡単な差分計算を、やはり3つのデジタル化間隔の移動ウィンドウを用いて、繰り返すと、一階微分H1(n)の二階微分H2(n)が生成される。これは、以下の式によって表され得る。
【0200】
【数19】

【0201】
2つの差分計算の合成は、以下の式によって表され得る。
【0202】
【数20】

【0203】
この差分計算は、異なる幅の移動ウィンドウを用いて行われ得る。質量ピーク半値幅に対する差分ウィンドウの幅は、好ましくは33%〜100%、より好ましくは約67%である。
【0204】
二階微分H2(n)は、好ましくは連続体スペクトルまたは質量スペクトルにおいて観測されたピークまたは質量ピークの開始および終了時間を位置づけるために使用される。ピークまたは質量ピークの開始時間T1は、好ましくは、二階微分がゼロより下に降下した後のステップ間隔である。ピークまたは質量ピークの終了時間T2は、好ましくは、二階微分がゼロより上に上昇する前のステップ間隔である。あるいは、ピークまたは質量ピークの開始時間T1は、二階微分がゼロより下に降下する前のステップ間隔であり得、ピークまたは質量ピークの終了時間T2は、二階微分がゼロより上に上昇した後のステップ間隔であり得る。
【0205】
別の実施形態によると、ピークまたは質量ピークの開始時間T1は、二階微分がゼロより下に降下する前後のステップ間隔から補間され得、ピークの終了時間T2は、二階微分がゼロより上に上昇する前後のステップ間隔から補間され得る。
【0206】
好ましさが劣る好ましい実施形態によると、ピークまたは質量ピーク開始時間T1およびピークまたは質量ピーク終了時間T2は、積分手順出力Gの値が閾値レベルより上に上昇し、その後閾値レベルより下に降下するステップ時間から得られ得る。
【0207】
一旦ピークまたは質量ピークの開始時間および終了時間が決定されると、画定領域内のピークまたは質量ピークの強度およびモーメントに対応する値が好ましくは決定される。ピークまたは質量ピークの強度およびモーメントは、好ましくは、質量ピーク開始時間およびピークまたは質量ピーク終了時間によって画定されるピークまたは質量ピークの強度および飛行時間から決定される。
【0208】
ピークまたは質量ピーク強度は、ピークまたは質量ピーク開始時間およびピークまたは質量ピーク終了時間によって画定される強度値の合計に対応し、以下の式によって記述され得る。
【0209】
【数21】

【0210】
ここで、Aは、ピークまたは質量ピーク強度、Itは、飛行時間tに対するピークまたは質量ピークの強度、T1は、ピークまたは質量ピークの開始時間、T2は、ピークまたは質量ピークの終了時間である。
【0211】
各ピークまたは質量ピークのモーメントは、ピークまたは質量ピーク開始時間およびピークまたは質量ピーク終了時間によって画定されるすべてのピークまたは質量ピークのモーメントの合計から好ましくは決定される。
【0212】
ピークの開始に対するピークまたは質量ピークのモーメントB1は、ピークまたは質量ピーク開始時間に対する各ピークまたは質量ピークの強度および時間差から好ましくは決定され、以下の式によって好ましくは与えられる。
【0213】
【数22】

【0214】
ピークまたは質量ピーク終了時間に対するモーメントB2は、以下の式によって与えられる。
【0215】
【数23】

【0216】
ピークまたは質量ピークの開始に対するモーメントB1の計算とは異なり、ピークまたは質量ピーク終了時間に対するモーメントB2を計算しても得られる利点は特にない。
【0217】
ピークまたは質量ピークに対応する代表または平均時間Tpkは、以下によって与えられる。
【0218】
【数24】

【0219】
Tpkの計算値の精度は、式24において計算される除算の精度に依存し、要求されるあらゆる精度で演算され得る。
【0220】
<飛行時間データの質量スペクトルデータへの変換>
各ピークまたは質量ピークに対する値TpkおよびAは、好ましくはコンピュータメモリ内にリストとして記憶される。ピークまたは質量ピークのリストには、飛行時間、および較正手順から得られた飛行時間と質量との関係を使用して質量または質量電荷比が割り当てられ得る。このような較正手順は、当該技術分野で周知である。
【0221】
飛行時間質量分析計についての時間対質量の関係の最も簡単な形は、以下に示される。
【0222】
【数25】

【0223】
ここで、t*は、飛行時間におけるオフセットに等価な機器パラメータ、kは、定数、Mは、時間tでの質量電荷比である。
【0224】
より複雑な較正アルゴリズムがデータに適用され得る。例えば、英国特許第2401721号(マイクロマス)または英国特許第2405991号(マイクロマス)に開示される較正手順が使用され得る。
【0225】
<飛行時間データがまず質量スペクトルデータに変換される別の実施形態>
別の実施形態によると、各電圧ピークに対応する飛行時間値は、式25において記述された時間対質量の関係を使用して、まず質量または質量電荷比値に変換され得る。質量または質量電荷比および対応する強度値は、好ましくは、質量スペクトル所定の間隔または細区分に好ましくは対応するかあるいは関係する記憶位置のアレイに記憶される。
【0226】
時間および強度値を近接する時間ビンにおいて2つの面積に変換する上述の手順が、今度は、質量または質量電荷比値を近接する質量または質量電荷比ビンにおいて2つの面積に変換するように好ましくは変更される。したがって、その後に処理の最終段階において質量スペクトルに変換される時間および強度値のヒストグラムではなく、1つの合成質量スペクトルまたはヒストグラムが好ましくは最初から形成される。
【0227】
積分ウィンドウW(m)および/またはステップ間隔S(m)は、それぞれ一定の値または質量の関数に設定され得る。例えば、ステップ間隔関数S(m)は、各質量スペクトルピークの端から端までにわたり、実質的に一定数のステップを与えるように設定され得る。
【0228】
この方法には、他の公知の方法よりも有利な点がいくつかある。測定の精度および正確さは、好ましくは、信号の最大または頂点の単純な測定値を使用する他の構成に比べて改善される。これは、頂点においてまたはその近くで単に測定する場合とは異なり、測定において記録された実質的に全信号を使用した結果である。また、上記好適な方法は、実質的に同様な時間に到着する2つ以上のイオンによってイオン信号が非対称になる場合に、到着平均時間を正確に表す。信号最大値は、これらの信号の平均到着時間または相対強度をもはや反映しない。
【0229】
各検出されたイオン信号に対応する時間tの値は、アナログ−デジタル変換器のデジタル化レートによって課される元々の精度よりも高い精度で計算され得る。例えば、2.5nsの電圧ピーク半値幅および2GHzのアナログ−デジタル変換器デジタル化レートに対して、飛行時間は、典型的には、±125psかまたはそれよりも良好な精度で計算され得る。
【0230】
この実施形態によると、時間データは、好ましくは、まず質量または質量電荷比データに変換される。次いで、好ましくは、当該質量または質量電荷比データに好ましくは動作する合成アルゴリズムが用いられる。
【0231】
この実施形態によると、各イオン信号に対して計算された到着時間は、好ましくは、まず二乗される。したがって、イオン到着に対応する値は、今度は当該イオンの質量または質量電荷比に直接関係する。質量または質量電荷比値に係数を乗算して、質量または質量電荷比を整数質量に変換してもよい。
【0232】
各イオン信号に対して計算された質量または質量電荷比値および面積(すなわち強度)は、好ましくはスペクトルを細分する所定の質量または質量電荷比間隔に対応する記憶位置のアレイの内の1つに好ましくは記憶される。例えば、質量または質量電荷比値および対応する面積は、1/256の質量単位の間隔を有するアレイに記憶され得る。
【0233】
上記手順は、好ましくは、質量または質量電荷比値および対応する強度値の最終の合成ヒストグラムが好ましくは生成されるように、必要な数の飛行時間スペクトルに対して繰り返される。
【0234】
次いで、合成質量または質量電荷比データは、平滑化関数を適用することによってさらに処理され、連続体質量スペクトルが形成され得る。次いで、ピーク検出およびピーク中心計算が、好ましくは、連続体質量スペクトルに基づいて、上記と実質的に同様の方法で計算される。検出および測定されたピークは、好ましくは、個別の質量ピークに対応する。平滑化計算および2回の差分計算において用いられる幅および増分は、好ましくは、質量または質量電荷比を単位とし、好ましくは、ADCのデジタル化レートに関係しない。
【0235】
質量ピークのピーク中心の質量または質量電荷比および対応する強度は、好ましくは、記憶され、すべての取得されたデータに対する合成スペクトルを表す。
【0236】
この実施形態によると、各イオン到着時間は、最初の検出の直後に質量または質量電荷比に変換される。
【0237】
<バックグラウンドピークの減算>
一実施形態によると、同じ時間もしくは質量間隔、細区分またはメモリアレイ要素に含まれる時間または質量データを合成する処理は、3つまでのスキャン範囲および1つのバックグラウンド係数を使用し得る。第1の範囲(平均)は、クロマトグラムピークの先端にわたる平均すべきスキャンの範囲を規定して、対象化合物に対する代表スペクトルを形成するのが好ましい。
【0238】
1つまたは2つの他の範囲(減算)を使用して、ピークの各側におけるクロマトグラムのバックグラウンドからのスキャン範囲を規定し得る。好ましくは、これらのスキャンを平均して、代表バックグラウンドスペクトルを得る。
【0239】
最後に、バックグラウンドスペクトル強度に、バックグラウンド係数(X)を乗算してもよく、次いで、平均されたピーク−先端スペクトルから減算して、合成スペクトルが得られ得る。
【0240】
合成処理は、好ましくは、3つの段階を有する。第1の段階は、質量スケールを分割し、かつ平均範囲および減算範囲の両方においてスペクトルを別々にマージし、これにより、マージされた平均スペクトルおよびマージされた減算スペクトルを得ることである。第2の段階は、上記の減算を行い、かつマージされた結果スペクトルを形成することである。第3の段階は、質量スケールを再形成することである。
【0241】
第1および第3の段階において、ピークの質量および強度は、好ましくは、以下の式に基づいて計算される。
【0242】
【数26】

【0243】
ここで、MassCurrは、現在の調整された質量、MassNewは、新たな質量、IntCurrは、現在の調整された強度、IntNewは、新たな強度である。
【0244】
第1の段階によると、質量範囲は、例えば、好ましくは整数質量を中心とする0.0625amuの幅の質量ウィンドウに分割され得る。したがって、41.00〜42.00の質量範囲が、以下の境界によって分割される。
【0245】
【表1】

【0246】
次いで、平均範囲においてすべてのスキャンを順に用いて、各ピーク質量がこれらの質量ウィンドウの内1つに好ましくは割り当てられる。特定の質量ウィンドウにおいてピークまたはピークのマージが既に存在する場合、当該ピークの質量(MassNew)および強度(IntNew)の値は、好ましくは、新たな現在の値を形成するために現在の値(MassCurr,IntCurr)にマージされる。
【0247】
例えば、質量が44.5791であり、強度が1671であるピークを、現在の質量が44.5635であり、現在の強度が1556であるデータを含む質量ウィンドウに加算すると、以下のマージが起きる。
【0248】
【数27】

【0249】
平均範囲におけるすべてのスキャンのすべてのピークが処理されると、次いで、各ウィンドウにおける強度(IntCurr)は、好ましくは、平均範囲における合計スキャン数で除算され、マージされた平均スペクトルが形成される。
【0250】
次いで、同じ処理が、好ましくは、減算範囲におけるすべてのスキャンを使用して行われる。最終の強度を、好ましくは、減算範囲における合計スキャン数で除算する。2つの減算範囲が存在する場合、最終の強度は、好ましくは、両方の範囲における合計スキャン数で除算される。
【0251】
すべての強度値は、好ましくは、拡大係数(X)で乗算され、マージされた減算スペクトルが生成される。
【0252】
<好適な実施形態>
本発明の上記好適な実施形態の重要な態様は、電圧ピーク時間がADCデジタル化間隔またはADCデジタル化間隔の単分数によって達成できる精度よりも実質的に高い精度で記憶され得るということである。
【0253】
一実施形態によると、データは、各質量スペクトルピーク(イオン到着包絡線)の端から端までの間のステップ間隔の数が実質的に一定であるような最終のスペクトルを生じるように処理され得る。一定のデジタル化間隔を使用して記録されるか、あるいはビン幅が一定のヒストグラム化法を使用して多くの飛行時間スペクトルから構築される飛行時間スペクトルについて、1質量ピーク(イオン到着包絡線)当たりの点の数は、質量とともに増加することが知られている。この効果は、さらなる処理を複雑にし得、記憶すべきデータの量が不必要に増えることを招き得る。この実施形態によると、ステップ間隔の選択に対する制約条件はなく、ステップ間隔関数は、各質量ピークの端から端までの間のステップ数が一定となるように設定され得る。
【0254】
以下の分析は、このようなステップ間隔関数を例示する。質量電荷比値が低い場合は別として、直交加速飛行時間質量分析計の分解能Rは、質量電荷比に対しておよそ一定である。
【0255】
【数28】

【0256】
ここで、Rは、質量分解能、tは、質量ピークの飛行時間、Δtは、質量ピークを形成するイオン到着包絡線の幅である。
【0257】
分解能がおよそ一定である場合、ピーク幅は、飛行時間tに比例する。
【0258】
【数29】

【0259】
したがって、質量ピークの端から端までの間のステップ数をおよそ一定にするために、ステップ間隔S(t)は、飛行時間tにおよそ比例して増加する必要がある。
【0260】
分解能と質量との間の関係がより複雑な質量分析計については、ステップ間隔S(t)および飛行時間tに関するより複雑な関数を使用することが望ましい。
【0261】
以下に、上記本発明の好適な実施形態を図1〜図8を参照して例示する。
【0262】
図1は、ポリエチレングリコールのサンプルの質量分析から得られた質量スペクトルの一部を示す。サンプルは、マトリックス支援レーザ脱離イオン化(MALDI)イオン源を使用してイオン化した。質量スペクトルは、直交加速飛行時間質量分析器を使用して得た。図1に示す質量スペクトルは、レーザを48回発射して得た48個の個別の飛行時間スペクトル(すなわち、48個の別々の取得)を合成または合計した結果である。スペクトルは、2GHzの8ビットアナログ−デジタル変換器を使用して取得または記録した。
【0263】
図2は、図1と同じ質量電荷比範囲にわたる個別のスペクトルを示す。信号は、個別のイオンがイオン検出器に到着することによって生じる。
【0264】
図3は、7つの時間デジタル化点の平滑化ウィンドウを用いた2回移動平均平滑化関数(式1)を使用することによって、図2に示す個別のスペクトルを処理した結果を示す。次いで、3点移動ウィンドウ差分計算(式4)を使用して、平滑化信号を2回微分した。二階微分のゼロクロス点を、スペクトル内の対象信号の開始および終了点であると決定した。次いで、式13を使用して、各信号の中心を決定した。式14によって決定した時間および各検出した信号の強度を記録した。得られた処理後の質量スペクトルデータを強度−時間ペアの形態で図3に示す。各イオン到着に対する中心計算の決定の精度は、アナログ−デジタル変換器の個別の時間間隔によって達成できる精度よりも高かった。
【0265】
図4は、図3に関して上記した方法を使用してそれぞれ予め処理された48個の個別のスペクトルを合成した結果を示す。強度−時間ペアを含む処理されたデータの48セットを合成して、複数の強度−時間ペアを含むデータの合成セットを形成した。
【0266】
一旦図4に示す合成データセットが形成されるか、あるいは得られると、合成データセットは、例えば、ボックスカー積分アルゴリズムを2回使用して好ましくは積分される。一実施形態によると、積分アルゴリズムは、615psの幅および246nsのステップ間隔を有し得る。得られた積分および平滑化データセットまたは連続体質量スペクトルを図5に示す。図から明らかなように、スペクトル内の質量分解能および信号対ノイズは、図1に示す生のアナログ−デジタル変換器データまたは質量スペクトルと比較して大きく改善される。
【0267】
図6は、図5に示す1つの処理された連続体質量スペクトルの二階微分を示す。二階微分は、1.23nsの移動ウィンドウを使用して得た。二階微分のゼロクロス点を使用して、連続体質量スペクトル内で観測された質量ピークの開始および終了点を決定した。
【0268】
図7は、上記好適な実施形態にしたがって表示された最終の質量電荷比および対応する強度値を示す。図4の48個のスペクトルは連続体質量スペクトルに積分され、次いで連続体質量スペクトルは離散質量スペクトルへ低減される。各質量ピークに対する飛行時間は、式24を使用して決定し、各質量ピークの強度は、式21を使用して決定した。
【0269】
図1〜図7に示すすべてのスペクトルについて、簡単な較正手順から得られる時間対質量関係を使用して、時間軸を質量電荷比軸に変換した。図示の質量において、0.5nsのADCデジタル化間隔は、0.065ダルトンの質量におよそ相当する。
【0270】
上記好適な実施形態によると、飛行時間検出器(二次電子増倍管)は、マイクロチャンネルプレート、光電子増倍管、電子増倍管、またはこれらのタイプの検出器の組み合わせを含み得る。
【0271】
ADCのデジタル化レートは、均一でもよいし、または不均一でもよい。
【0272】
本発明の一実施形態によると、いくつかの電圧ピークの計算された強度Iおよび飛行時間tは1つの代表ピークに合成され得る。1つのスペクトルにおける電圧ピークの数が大きく、および/またはスペクトルの数が大きい場合、電圧ピークの最終の合計数は、非常に大きくなり得る。したがって、データをこのように合成することにより、メモリの必要量および後処理時間が有利に低減される。
【0273】
個々の代表ピークは、データの完全性を損なわず、かつスペクトルまたは質量スペクトルの分解能が維持されるのに十分に狭い範囲の時間を有する構成要素電圧ピークから構成され得る。ピークまたは質量ピーク開始および終了時間が、得られるピークまたは質量ピークがピークのこのような初期のマージが起こらなかった場合の電圧ピークと実質的に同じ電圧ピークから構成されるのに十分な正確さで決定され得ることが望ましい。1つの代表ピークは、好ましくは、すべての構成要素電圧ピークの合成強度および合成重み付け飛行時間を正確に表す強度および飛行時間を有する。得られるピークまたは質量ピークの強度および飛行時間は、好ましくは、電圧ピークの多少のマージがデータの処理において生じるか否かにかかわらずに実質的に同じである。
【0274】
完全を期すため、図8は、到着時間および対応する強度値が、ヒストグラムの近接する2つの時間ビンに付加される2つの強度値にどのように変換されるかを示している。上記好適な実施形態によると、2つの新たな面積S(n)およびS(n+1)は、好ましくは、計算され、割り当てられた時間T(n)およびT(n+1)を有する時間位置または時間ビンに付加される。ここで、
【0275】
【数30】

【0276】
である。
【0277】
したがって、
【0278】
【数31】

【0279】
となる。
【0280】
元のデータの精度は、上記好適な実施形態にしたがって好ましくは保存される。
【0281】
本発明を好適な実施形態を参照して記載したが、添付の特許請求の範囲に記載の本発明の範囲から逸脱することなく、上記した個々の実施形態を形態および詳細において種々に変更し得ることが当業者に理解される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するステップと、
前記第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するステップと、
前記第1のデジタル化信号の前記二階微分または二階差分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定するステップと、
前記1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するステップと、
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0を第1の到着時間Tnおよび第2の到着時間Tn+1に変換し、ならびに/あるいは前記1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するステップとを含む、質量分析の方法。
【請求項2】
前記第1の信号は、出力信号、電圧信号、イオン信号、イオン電流、電圧パルス、または電子電流パルスを含む、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1の到着時間Tnおよび/または前記第2の到着時間Tn+1を、2つ以上の実質的に近接あるいは隣接する所定の時間ビンまたは記憶位置に記憶するステップをさらに含む、請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記第1の到着時間Tnは、前記決定された到着時間T0の直前の時間ビンもしくは記憶位置、または前記決定された到着時間T0を含む時間ビンもしくは記憶位置に記憶される、請求項1、2または3に記載の方法。
【請求項5】
前記第2の到着時間Tn+1は、前記決定された到着時間T0の直後の所定の時間ビンもしくは記憶位置、または前記決定された到着時間T0を含む所定の時間ビンもしくは記憶位置に記憶される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項6】
前記第1の強度もしくは面積Snおよび/または前記第2の強度もしくは面積Sn+1を、2つ以上の実質的に近接あるいは隣接する所定の時間ビンまたは記憶位置に記憶するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項7】
前記第1の強度または面積Snは、前記決定された到着時間T0の直前の所定の時間ビンもしくは記憶位置、または前記決定された到着時間T0を含む所定の時間ビンもしくは記憶位置に記憶される、請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第2の強度または面積Sn+1は、前記決定された到着時間T0の直後の所定の時間ビンもしくは記憶位置、または前記決定された到着時間T0を含む所定の時間ビンもしくは記憶位置に記憶される、請求項6または7のいずれかに記載の方法。
【請求項9】
各所定の時間ビンまたは記憶位置は幅を有し、前記幅は、(i)<1ps;(ii)1〜10ps;(iii)10〜100ps;(iv)100〜200ps;(v)200〜300ps;(vi)300〜400ps;(vii)400〜500ps;(viii)500〜600ps;(ix)600〜700ps;(x)700〜800ps;(xi)800〜900ps;(xii)900〜1000ps;(xiii)1〜2ns;(xiv)2〜3ns;(xv)3〜4ns;(xvi)4〜5ns;(xvii)5〜6ns;(xviii)6〜7ns;(xix)7〜8ns;(xx)8〜9ns;(xxi)9〜10ns;(xxii)10〜100ns;(xxiii)100〜500ns;(xxiv)500〜1000ns;(xxv)1〜10μs;(xxvi)10〜100μs;(xxvii)100〜500μs;(xxviii)>500μsからなる群から選択される範囲に含まれる、請求項3〜8のいずれかに記載の方法。
【請求項10】
前記決定された強度S0は以下の関係に従う、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
0=Sn+Sn+1
【請求項11】
0.T0は以下の関係に従う、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
n.Tn+Sn+1.Tn+1=S0.T0
【請求項12】
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0および決定された強度S0を、前記第1の到着時間Tnおよび前記第1の強度または面積Snならびに前記第2の到着時間Tn+1および前記第2の強度または面積Sn+1で置換するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項13】
前記第1の信号を取得期間にわたって取得するステップをさらに含み、前記取得期間の長さは、(i)<1μs;(ii)1〜10μs;(iii)10〜20μs;(iv)20〜30μs;(v)30〜40μs;(vi)40〜50μs;(vii)50〜60μs;(viii)60〜70μs;(ix)70〜80μs;(x)80〜90μs;(xi)90〜100μs;(xii)100〜110μs;(xiii)110〜120μs;(xiv)120〜130μs;(xv)130〜140μs;(xvi)140〜150μs;(xvii)150〜160μs;(xviii)160〜170μs;(xix)170〜180μs;(xx)180〜190μs;(xxi)190〜200μs;(xxii)200〜250μs;(xxiii)250〜300μs;(xxiv)300〜350μs;(xxv)350〜400μs;(xxvi)450〜500μs;(xxvii)500〜1000μs;および(xxviii)>1msからなる群から選択される、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項14】
前記取得期間をn個の時間ビンまたは記憶位置に細分するステップをさらに含み、前記nは、(i)<100;(ii)100〜1000;(iii)1000〜10000;(iv)10,000〜100,000;(v)100,000〜200,000;(vi)200,000〜300,000;(vii)300,000〜400,000;(viii)400,000〜500,000;(ix)500,000〜600,000;(x)600,000〜700,000;(xi)700,000〜800,000;(xii)800,000〜900,000;(xiii)900,000〜1,000,000;および(xiv)>1,000,000からなる群から選択される、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
各前記時間ビンまたは記憶位置は、実質的に同じ長さ、幅または継続時間を有する、請求項14に記載の方法。
【請求項16】
アナログ−デジタル変換器または過渡記録器を使用して、前記第1の信号をデジタル化するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項17】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、n−ビットアナログ−デジタル変換器または過渡記録器を含み、前記nは、8、10、12、14または16を含む、請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、(i)<1GHz;(ii)1〜2GHz;(iii)2〜3GHz;(iv)3〜4GHz;(v)4〜5GHz;(vi)5〜6GHz;(vii)6〜7GHz;(viii)7〜8GHz;(ix)8〜9GHz;(x)9〜10GHz;および(xi)>10GHzからなる群から選択されるサンプリングレートまたは取得レートを有する、請求項16または17に記載の方法。
【請求項19】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、実質的に均一なデジタル化レートを有する、請求項16、17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項20】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、実質的に不均一なデジタル化レートを有する、請求項16、17または18のいずれかに記載の方法。
【請求項21】
前記第1のデジタル化信号から一定の数または値を減算するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項22】
前記第1のデジタル化信号から一定の数または値を減算した後、前記第1のデジタル化信号の一部がゼロより下に降下する場合、前記方法は、前記第1のデジタル化信号の前記一部をゼロにリセットするステップをさらに含む、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記第1のデジタル化信号を平滑化するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項24】
移動平均アルゴリズム、ボックスカー積分器アルゴリズム、サビツキ・ゴレイアルゴリズムまたはハイツ・ビーマンアルゴリズムを使用して、前記第1のデジタル化信号を平滑化するステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記第1のデジタル化信号の前記二階微分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定する前記ステップは、前記第1のデジタル化信号の前記二階微分の1つ以上のゼロクロス点を決定するステップを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項26】
イオン到着イベントの開始時間T0startを前記第1のデジタル化信号の前記二階微分がゼロまたは別の値より下に降下する時間の直前または直後のデジタル化間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む、請求項25に記載の方法。
【請求項27】
イオン到着イベントの終了時間T0endを前記第1のデジタル化信号の前記二階微分がゼロまたは別の値より上に上昇する時間の直前または直後のデジタル化間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む、請求項25または26に記載の方法。
【請求項28】
1つ以上のイオン到着イベントに対応する前記第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの強度を決定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項29】
前記第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの強度を決定する前記ステップは、前記開始時間T0startおよび/または前記終了時間T0endによって画定される前記第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの面積を決定するステップを含む、請求項28に記載の方法。
【請求項30】
1つ以上のイオン到着イベントに対応する前記第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークのモーメントを決定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項31】
1つ以上のイオン到着イベントに対応する前記第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークのモーメントを決定する前記ステップは、前記開始時間T0startおよび/または前記終了時間T0endによって画定されるピークのモーメントを決定するステップを含む、請求項30に記載の方法。
【請求項32】
1つ以上のイオン到着イベントに対応する前記第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの中心時間を決定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項33】
1つ以上のイオン到着イベントに対応する前記第1のデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの平均または代表時間を決定するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項34】
前記イオン検出器から出力される1つ以上のさらなる信号をデジタル化して、1つ以上のさらなるデジタル化信号を生成するステップと、
前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するステップと、
前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の前記二階微分または前記二階差分から1つ以上のさらなるイオンの到着時間T1を決定するステップと、
前記1つ以上のさらなるイオンの強度または面積S1を決定するステップとをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項35】
前記1つ以上のさらなる信号は、1つ以上の出力信号、電圧信号、イオン信号、イオン電流、電圧パルス、または電子電流パルスを含む、請求項34に記載の方法。
【請求項36】
アナログ−デジタル変換器または過渡記録器を使用して、前記1つ以上のさらなる信号をデジタル化するステップを含む、請求項34または35に記載の方法。
【請求項37】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、n−ビットアナログ−デジタル変換器または過渡記録器を含み、前記nは、8、10、12、14または16を含む、請求項36に記載の方法。
【請求項38】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、(i)<1GHz;(ii)1〜2GHz;(iii)2〜3GHz;(iv)3〜4GHz;(v)4〜5GHz;(vi)5〜6GHz;(vii)6〜7GHz;(viii)7〜8GHz;(ix)8〜9GHz;(x)9〜10GHz;および(xi)>10GHzからなる群から選択されるサンプリングレートまたは取得レートを有する、請求項36または37に記載の方法。
【請求項39】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、実質的に均一なデジタル化レートを有する、請求項36、37または38のいずれかに記載の方法。
【請求項40】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、実質的に不均一なデジタル化レートを有する、請求項36、37または38のいずれかに記載の方法。
【請求項41】
前記1つ以上のさらなるイオンの決定された到着時間T1を第3の到着時間T3および第4の到着時間T4に変換し、ならびに/あるいは前記1つ以上のさらなるイオンの決定された強度S1を第3の強度または面積S3および第4の強度または面積S4に変換するステップをさらに含む、請求項34〜40のいずれかに記載の方法。
【請求項42】
前記1つ以上のさらなるイオンの決定された到着時間T1および決定された強度S1を、前記第3の到着時間T3および第3の強度S3ならびに前記第4の到着時間T4および前記第4の強度S4で置換するステップをさらに含む、請求項41に記載の方法。
【請求項43】
前記第1の強度Sn値、前記第2の強度値Sn+1、前記第3の強度値S3および前記第4の強度値S4を合成またはヒストグラム化するステップをさらに含む、請求項41または42に記載の方法。
【請求項44】
1つ以上のさらなる信号をデジタル化する前記ステップは、少なくとも5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、55、60、65、70、75、80、85、90、95、100、200、300、400、500、600、700、800、900、1000、2000、3000、4000、5000、6000、7000、8000、9000または10000個の前記イオン検出器からの信号をデジタル化するステップを含み、各信号は、別々の実験実行または取得に対応する、請求項34〜43のいずれかに記載の方法。
【請求項45】
前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の少なくともいくつかまたは各々から一定の数または値を減算するステップをさらに含む、請求項34〜44のいずれかに記載の方法。
【請求項46】
前記1つ以上のさらなるデジタル化信号から一定の数または値を減算した後、前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の少なくともいくつかまたは各々の一部がゼロより下に降下する場合、前記方法は、前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の前記一部をゼロにリセットするステップをさらに含む、請求項45に記載の方法。
【請求項47】
前記1つ以上のさらなるデジタル化信号を平滑化するステップをさらに含む、請求項34〜46のいずれかに記載の方法。
【請求項48】
移動平均アルゴリズム、ボックスカー積分器アルゴリズム、サビツキ・ゴレイアルゴリズムまたはハイツ・ビーマンアルゴリズムを使用して、前記1つ以上のさらなるデジタル化信号を平滑化するステップをさらに含む、請求項47に記載の方法。
【請求項49】
各前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の前記二階微分から前記1つ以上のさらなるイオンの到着時間を決定する前記ステップは、前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の各前記二階微分の1つ以上のゼロクロス点を決定するステップを含む、請求項34〜48のいずれかに記載の方法。
【請求項50】
イオン到着イベントの開始時間T1startを1つ以上のさらなるデジタル化信号の前記二階微分がゼロまたは別の値より下に降下する時間の直前または直後のデジタル化間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む、請求項49に記載の方法。
【請求項51】
イオン到着イベントの終了時間T1endを前記1つ以上のデジタル化信号の前記二階微分がゼロまたは別の値より上に上昇する時間の直前または直後のデジタル化間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む、請求項49または50に記載の方法。
【請求項52】
1つ以上のイオン到着イベントに対応する前記1つ以上のさらなるデジタル化信号に存在する前記1つ以上のピークの強度を決定するステップをさらに含む、請求項34〜51のいずれかに記載の方法。
【請求項53】
前記1つ以上のさらなるデジタル化信号に存在する1つ以上のピークの強度を決定する前記ステップは、前記開始時間T1startおよび/または前記終了時間T1endによって画定される前記1つ以上のさらなるデジタル化信号に存在するピークの面積を決定するステップを含む、請求項52に記載の方法。
【請求項54】
イオン到着イベントに関係する前記1つ以上のさらなるデジタル化信号のモーメントを決定するステップをさらに含む、請求項34〜53のいずれかに記載の方法。
【請求項55】
1つ以上のイオン到着イベントに対応する前記1つ以上のさらなるデジタル化信号に存在する前記1つ以上のピークのモーメントを決定する前記ステップは、前記開始時間T1startおよび/または前記終了時間T1endによって画定される前記1つ以上のさらなるデジタル化信号のモーメントを決定するステップを含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
イオン到着イベントに関係する前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の中心時間を決定するステップをさらに含む、請求項34〜55のいずれかに記載の方法。
【請求項57】
イオン到着イベントに関係する前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の平均または代表時間を決定するステップをさらに含む、請求項34〜56のいずれかに記載の方法。
【請求項58】
イオン到着イベントに関係する前記1つ以上のさらなるデジタル化信号の平均もしくは代表時間および/または強度を記憶するステップをさらに含む、請求項34〜57のいずれかに記載の方法。
【請求項59】
イオン到着イベントに関係するピークの時間および強度に関係するデータを合成するステップをさらに含む、請求項34〜58のいずれかに記載の方法。
【請求項60】
移動平均積分器アルゴリズム、ボックスカー積分器アルゴリズム、サビツキ・ゴレイアルゴリズムまたはハイツ・ビーマンアルゴリズムを使用して、イオン到着イベントに関係するピークの時間および強度に関係するデータを合成するステップをさらに含む、請求項59に記載の方法。
【請求項61】
連続体時間または質量スペクトルを提供するステップをさらに含む、請求項59または60に記載の方法。
【請求項62】
前記連続体時間または質量スペクトルの二階微分または二階差分を決定または取得するステップをさらに含む、請求項61に記載の方法。
【請求項63】
前記連続体時間または質量スペクトルの前記二階微分または前記二階差分から1つ以上のイオンまたは質量ピークの到着時間または質量もしくは質量電荷比を決定するステップをさらに含む、請求項62に記載の方法。
【請求項64】
前記連続体時間または質量スペクトルの前記二階微分から1つ以上のイオンまたは質量ピークの到着時間または質量もしくは質量電荷比を決定する前記ステップは、前記連続体時間または質量スペクトルの前記二階微分の1つ以上のゼロクロス点を決定するステップを含む、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
ピークまたは質量ピークの開始点Mstartを前記連続体時間または質量スペクトルの前記二階微分がゼロまたは別の値より下に降下する点の直前または直後のステップ間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む、請求項64に記載の方法。
【請求項66】
ピークまたは質量ピークの終了点Mendを前記連続体時間または質量スペクトルの前記二階微分がゼロまたは別の値より上に上昇する点の直前または直後のステップ間隔に対応するように決定または設定するステップをさらに含む、請求項64または65に記載の方法。
【請求項67】
前記連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークの強度を決定するステップをさらに含む、請求項61〜66のいずれかに記載の方法。
【請求項68】
前記連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークの強度を決定する前記ステップは、前記開始点Mstartおよび/または前記終了点Mendによって画定されるピークまたは質量ピークの面積を決定するステップを含む、請求項67に記載の方法。
【請求項69】
前記連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークのモーメントを決定するステップをさらに含む、請求項61〜68のいずれかに記載の方法。
【請求項70】
前記連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークのモーメントを決定する前記ステップは、前記開始点Mstartおよび/または前記終了点Mendによって画定されるピークまたは質量ピークのモーメントを決定するステップを含む、請求項69に記載の方法。
【請求項71】
前記連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークの中心時間を決定するステップをさらに含む、請求項61〜70のいずれかに記載の方法。
【請求項72】
前記連続体時間または質量スペクトルからピークまたは質量ピークの平均もしくは代表時間または質量を決定するステップをさらに含む、請求項61〜71のいずれかに記載の方法。
【請求項73】
時間データを質量または質量電荷比データに変換するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項74】
質量スペクトルを表示または出力するステップをさらに含み、
前記質量スペクトルは、複数の質量スペクトルデータ点を含み、各データ点は、1つのイオン種を表すと考えられ、各データ点は、強度値および質量または質量電荷比値を含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項75】
前記イオン検出器は、マイクロチャンネルプレート、光電子増倍管または電子増倍管デバイスを含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項76】
前記イオン検出器は、1つ以上のイオンの前記イオン検出器への到着に応答して電圧パルスを生成するための電流−電圧変換器または増幅器をさらに備える、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項77】
質量分析器を提供するステップをさらに含む、先行する請求項のいずれかに記載の方法。
【請求項78】
前記質量分析器は、(i)飛行時間(「TOF」)質量分析器;(ii)直交加速飛行時間(「oaTOF」)質量分析器;または(iii)軸方向加速飛行時間質量分析器を含む、請求項77に記載の方法。
【請求項79】
前記質量分析器は、(i)磁場型質量分析計;(ii)ポールまたは三次元四重極質量分析器;(iii)二次元または線形四重極質量分析器;(iv)ペニングトラップ質量分析器;(v)イオントラップ質量分析器;および(vi)四重極質量分析器からなる群から選択される、請求項77に記載の方法。
【請求項80】
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して第1のデジタル化信号を生成するように構成された手段と、
前記第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するように構成された手段と、
前記第1のデジタル化信号の前記二階微分または二階差分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定するように構成された手段と、
前記1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するように構成された手段と、
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0を第1の到着時間Tnおよび第2の到着時間Tn+1に変換し、ならびに/あるいは前記1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するように構成された手段とを備える装置。
【請求項81】
前記第1の到着時間Tnおよび/または前記第2の到着時間Tn+1を、2つ以上の実質的に近接する所定の時間ビンまたは記憶位置に記憶するように構成された手段をさらに備える、請求項80に記載の装置。
【請求項82】
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0および決定された強度S0を、前記第1の到着時間Tnおよび第1の強度または面積Snならびに前記第2の到着時間Tn+1および前記第2の強度または面積Sn+1で置換するように構成された手段をさらに備える、請求項80または81に記載の装置。
【請求項83】
前記第1の信号をデジタル化するためのアナログ−デジタル変換器または過渡記録器をさらに備える、請求項80、81または82のいずれかに記載の装置。
【請求項84】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、n−ビットアナログ−デジタル変換器または過渡記録器を含み、前記nは、8、10、12、14または16を含む、請求項83に記載の装置。
【請求項85】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、(i)<1GHz;(ii)1〜2GHz;(iii)2〜3GHz;(iv)3〜4GHz;(v)4〜5GHz;(vi)5〜6GHz;(vii)6〜7GHz;(viii)7〜8GHz;(ix)8〜9GHz;(x)9〜10GHz;および(xi)>10GHzからなる群から選択されるサンプリングレートまたは取得レートを有する、請求項83または84に記載の装置。
【請求項86】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、実質的に均一なデジタル化レートを有する、請求項83、84または85のいずれかに記載の装置。
【請求項87】
前記アナログ−デジタル変換器または過渡記録器は、実質的に不均一なデジタル化レートを有する、請求項83、84または85のいずれかに記載の装置。
【請求項88】
請求項80〜87のいずれかに記載の装置を備える質量分析計。
【請求項89】
(i)エレクトロスプレーイオン化(「ESI」)イオン源;(ii)大気圧光イオン化(「APPI」)イオン源;(iii)大気圧化学イオン化(「APCI」)イオン源;(iv)マトリックス支援レーザ脱離イオン化(「MALDI」)イオン源;(v)レーザ脱離イオン化(「LDI」)イオン源;(vi)大気圧イオン化(「API」)イオン源;(vii)シリコンを用いた脱離イオン化(「DIOS」)イオン源;(viii)電子衝突(「EI」)イオン源;(ix)化学イオン化(「CI」)イオン源;(x)電界イオン化(「FI」)イオン源;(xi)電界脱離(「FD」)イオン源;(xii)誘導結合プラズマ(「ICP」)イオン源;(xiii)高速原子衝撃(「FAB」)イオン源;(xiv)液体二次イオン質量分析(「LSIMS」)イオン源;(xv)脱離エレクトロスプレーイオン化(「DESI」)イオン源;(xvi)ニッケル−63放射性イオン源;(xvii)大気圧マトリックス支援レーザ脱離イオン化イオン源;および(xviii)サーモスプレーイオン源からなる群から選択されるイオン源をさらに備える、請求項88に記載の質量分析計。
【請求項90】
連続またはパルス化イオン源をさらに備える、請求項88または89に記載の質量分析計。
【請求項91】
質量分析器をさらに備える、請求項88、89または90のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項92】
前記質量分析器は、(i)飛行時間(「TOF」)質量分析器;(ii)直交加速飛行時間(「oaTOF」)質量分析器;または(iii)軸方向加速飛行時間質量分析器を含む、請求項91に記載の質量分析計。
【請求項93】
前記質量分析器は、(i)磁場型質量分析計;(ii)ポールまたは三次元四重極質量分析器;(iii)二次元または線形四重極質量分析器;(iv)ペニングトラップ質量分析器;(v)イオントラップ質量分析器;および(vi)四重極質量分析器からなる群から選択される、請求項91に記載の質量分析計。
【請求項94】
衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスをさらに備える、請求項88〜93のいずれかに記載の質量分析計。
【請求項95】
前記衝突デバイス、フラグメンテーションデバイスまたは反応デバイスは、衝突誘起解離(「CID」)によってイオンをフラグメント化するように構成されている、請求項94に記載の質量分析計。
【請求項96】
前記衝突デバイス、フラグメンテーションデバイス、または反応デバイスは、(i)表面誘起解離(「SID」)フラグメンテーションデバイス、(ii)電子移動解離フラグメンテーションデバイス、(iii)電子捕獲解離フラグメンテーションデバイス、(iv)電子衝突または衝撃解離フラグメンテーションデバイス、(v)光誘起解離(「PID」)フラグメンテーションデバイス、(vi)レーザ誘起解離フラグメンテーションデバイス、(vii)赤外放射誘起解離デバイス、(viii)紫外放射誘起解離デバイス、(ix)ノズル−スキマ間インターフェースフラグメンテーションデバイス、(x)イオン源フラグメンテーションデバイス、(xi)イオン源衝突誘起解離フラグメンテーションデバイス、(xii)熱または温度源フラグメンテーションデバイス、(xiii)電界誘起フラグメンテーションデバイス、(xiv)磁場誘起フラグメンテーションデバイス、(xv)酵素消化または酵素分解フラグメンテーションデバイス、(xvi)イオン−イオン反応フラグメンテーションデバイス、(xvii)イオン−分子反応フラグメンテーションデバイス、(xviii)イオン−原子反応フラグメンテーションデバイス、(xix)イオン−メタステーブルイオン反応フラグメンテーションデバイス、(xx)イオン−メタステーブル分子反応フラグメンテーションデバイス、(xxi)イオン−メタステーブル原子反応フラグメンテーションデバイス、(xxii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−イオン反応デバイス、(xxiii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−分子反応デバイス、(xxiv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−原子反応デバイス、(xxv)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−メタステーブルイオン反応デバイス、(xxvi)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−メタステーブル分子反応デバイス、および(xxvii)イオンを反応させて付加または生成イオンを形成するイオン−メタステーブル原子反応デバイスからなる群から選択される、請求項94に記載の質量分析計。
【請求項97】
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するステップと、
前記第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するステップと、
前記第1のデジタル化信号の前記二階微分または二階差分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を決定するステップと、
前記1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するステップと、
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を第1の質量または質量電荷比値Mnおよび第2の質量または質量電荷比値Mn+1に変換し、ならびに/あるいは前記1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するステップとを含む、質量分析の方法。
【請求項98】
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するように構成された手段と、
前記第1のデジタル化信号の二階微分または二階差分を決定または取得するように構成された手段と、
前記第1のデジタル化信号の前記二階微分または二階差分から1つ以上の第1のイオンの到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を決定するように構成された手段と、
前記1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するように構成された手段と、
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を第1の質量または質量電荷比値Mnおよび第2の質量または質量電荷比値Mn+1に変換し、ならびに/あるいは前記1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するように構成された手段とを備える、装置。
【請求項99】
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するステップと、
1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定するステップと、
前記1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するステップと、
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0を第1の到着時間Tnおよび第2の到着時間Tn+1に変換し、ならびに/あるいは前記1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するステップとを含む、質量分析の方法。
【請求項100】
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの到着時間T0を決定するように構成された手段と、
前記1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するように構成された手段と、
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0を第1の到着時間Tnおよび第2の到着時間Tn+1に変換し、ならびに/あるいは前記1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するように構成された手段とを備える、装置。
【請求項101】
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するステップと、
1つ以上の第1のイオンの到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を決定するステップと、
前記1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するステップと、
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を第1の質量または質量電荷比値Mnおよび第2の質量または質量電荷比値Mn+1に変換し、ならびに/あるいは前記1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するステップとを含む、質量分析の方法。
【請求項102】
イオン検出器から出力される第1の信号をデジタル化して、第1のデジタル化信号を生成するように構成された手段と、
1つ以上の第1のイオンの到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を決定するように構成された手段と、
前記1つ以上の第1のイオンの強度S0を決定するように構成された手段と、
前記1つ以上の第1のイオンの決定された到着時間T0または質量もしくは質量電荷比M0を第1の質量または質量電荷比値Mnおよび第2の質量または質量電荷比値Mn+1に変換し、ならびに/あるいは前記1つ以上の第1のイオンの決定された強度S0を第1の強度または面積Snおよび第2の強度または面積Sn+1に変換するように構成された手段とを備える、装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2009−539092(P2009−539092A)
【公表日】平成21年11月12日(2009.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−512678(P2009−512678)
【出願日】平成19年6月1日(2007.6.1)
【国際出願番号】PCT/GB2007/002044
【国際公開番号】WO2007/138338
【国際公開日】平成19年12月6日(2007.12.6)
【出願人】(504142097)マイクロマス ユーケー リミテッド (57)
【Fターム(参考)】