説明

赤外線を使用した容器のシール不良検査方法

【課題】赤外線を使用した容器のシール不良検査方法について、ヒートシールの直後でなくても、比較的安価な装置により、非接触・非破壊で全数検査できるようにする。
【解決手段】波長が1450nm±20nmの赤外線を投光器7からサンプル容器のシール部に照射して、透過又は反射した赤外線を受光器8で受光し、光ファイバー9でフォトディテクター10に送って赤外線の光量に比例した電圧を出力させ、出力させた電圧を平滑回路基板11でアナログ電圧値に変換してから制御機器12に送って、予めアナログ電圧値の閾値を設定しておくと共に、検査対象の容器のシール部に対して、サンプル容器の場合と同じ赤外線を同じ光量で照射し、受光した赤外線をアナログ電圧値に変換してから制御機器12に送って、サンプル容器で予め設定した閾値よりも減少している場合にはシール不良であると判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パウチと呼ばれる袋状容器や、シート状の蓋体で密封されるカップ状容器のような、ヒートシール等での面接着により密封されている容器について、面接着されたシール部での内容物等の噛み込みによるシール不良を検査するための方法に関し、特に、赤外線を使用することにより非破壊で全数検査できて、しかも、比較的安価な装置によって実施可能なような容器のシール不良検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ヒートシールでの面接着により密封された容器に対して、面接着されたシール部でのシール不良を検査するための方法として、赤外線を使うことにより非破壊で全数検査できるような方法が、例えば、下記の各特許文献により従来から公知となっている。すなわち、下記の特許文献1には、ヒートシール部のシール幅方向に沿う各点の温度を赤外線放射表面温度計により非接触で検出し、検出温度分布が予め定めた良品の適正温度分布から所定値以上異なるときに不良と判定する、ということが開示されている。
【0003】
また、下記の特許文献2には、ヒートシール直後のシール部分の温度情報に基づきシール不良を検出すること、正常にヒートシールされたものについて得られた温度情報と対比してシールの良否を自動的に判別すること、温度情報は、ヒートシール直後のシール部分の熱画像情報を処理することで計測される温度分布であり、熱画像情報として、赤外線カメラで撮像した熱画像を用いる、ということが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平06−144416号公報
【特許文献2】特開2000−79917号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記のような従来公知の赤外線を使用した容器のシール不良検査方法では、赤外線放射表面温度計や赤外線カメラなどを使用して温度分布を計測し、適性な温度分布と比較することによって、シール部でのシール状態の良否を判別しているが、その何れの方法においても、ヒートシールされた直後にシール部を計測するということが必要であって、そのために、ヒートシール以外の方法でシールする場合は勿論のこと、ヒートシールする場合でも、シール部が冷えてしまうと、温度分布を計測できないことから、シール部の良否を判別することができないという問題がある。
【0006】
これに対して、本件出願人は、本件の出願に先立つ出願(特願2009−82472)により、「面接着されてシールされている容器のシール部でのシール不良を赤外線を使用して検査するための方法として、シール不良が無いサンプル容器のシール部に対して、波長が1450nm±20nmの範囲の赤外線を照射して、赤外線の透過又は反射により得られた透過赤外線又は反射赤外線の光量を予め計測しておくと共に、検査対象の容器のシール部に対して、サンプル容器の場合と同じ赤外線を同じ光量で照射して、赤外線の透過又は反射により得られた赤外線の光量が、サンプル容器で予め計測した光量よりも減少している場合には、シール不良であると判定するようにしたことを特徴とする赤外線を使用した容器のシール不良検査方法。」を既に提案している。
【0007】
そのような本件出願人による赤外線を使用した容器のシール不良検査方法によれば、波長の幅が1450nm±20nmの範囲の赤外線を容器のシール部に照射することで、水分を含んだ内容物などがシール部に噛み込んでいると、その部分で赤外線が水分に吸収されて、シール部を透過又は反射する赤外線の光量が減少することから、ヒートシールの直後にシール部の温度分布を計測しなくても、シール部を透過又は反射する赤外線の光量の減少量によって、シール部でのシール不良の有無を判定することができる。
【0008】
しかしながら、そのような方法を実施する場合、例えば、照射した赤外線の半導体レーザー光のスリットの面積ごとに受光した赤外線の光量を計測したり、或いは、受光した赤外線を赤外線カメラで撮影してから映像に処理したりすることで、赤外線の光量について計測していることから、例えば、赤外線の光量を計測するためのフーリエ変換赤外分光装置や、赤外線カメラで撮影してから映像に処理する装置のような、比較的高価で大掛かりな装置が必要になるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解消を課題とするものであって、具体的には、赤外線を使用した容器のシール不良検査方法について、ヒートシールの直後でなくても、非接触・非破壊で全数検査できると共に、比較的安価な装置によって実施できるようにすることを課題とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記のような課題を解決するために、面接着されてシールされている容器のシール部でのシール不良を赤外線を使用して検査するための方法として、シール不良が無いサンプル容器のシール部に対して、波長が1450nm±20nmの範囲の赤外線を照射して、赤外線の透過又は反射により得られた透過赤外線又は反射赤外線を受光し、受光した赤外線を光ファイバーでフォトディテクターに送って赤外線の光量に比例した電圧を出力させ、出力された電圧を平滑回路基板でアナログ電圧値に変換してから制御機器に送って、予めアナログ電圧値の閾値を設定しておくと共に、検査対象の容器のシール部に対して、サンプル容器の場合と同じ赤外線を同じ光量で照射して受光し、受光した赤外線をサンプル容器の場合と同じようにアナログ電圧値に変換してから制御機器に送って、このアナログ電圧値がサンプル容器で予め設定した閾値よりも減少している場合には、シール不良であると判定するようにしたことを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0011】
上記のような本発明の赤外線を使用した容器のシール部検査方法によれば、波長の幅が1450nm±20nmの範囲の赤外線を容器のシール部に照射することで、水分を含んだ内容物などがシール部に噛み込んでいると、その部分で赤外線が水分に吸収されて、シール部を透過又は反射する赤外線の光量が減少することから、ヒートシールの直後にシール部の温度分布を計測しなくても、シール部を透過又は反射する赤外線の光量を比較することによって、シール部でのシール不良の有無を判定することができる。
【0012】
しかも、シール部を透過又は反射する赤外線の光量の比較を、赤外線の光量を計測することにより行うのではなく、赤外線をアナログ電圧値に変換してから、このアナログ電圧値を比較することにより行っていることから、赤外線の光量を計測するために必要な比較的高価な装置を使用することなく、赤外線をアナログ電圧値に変換するために必要な比較的安価な装置を使用することによって、シール部を透過又は反射する赤外線の光量を比較することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の一実施例について、単体の袋状容器をベルトコンベアにより搬送しながら検査する装置の全体を概略的に示す側面説明図である。
【図2】図1に示した検査装置において赤外線を照射・受光する部分を示す上面説明図である。
【図3】本発明の他の実施例について、検査装置の赤外線を照射・受光する部分を示す斜視説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
赤外線を使用した容器のシール不良検査方法について、ヒートシールの直後でなくても、非接触・非破壊で全数検査できると共に、比較的安価な装置によって実施できるようにするという目的を、以下の実施例に具体的に示すように、シール不良が無いサンプル容器のシール部に対して、波長が1450nm±20nmの範囲の赤外線を照射して、赤外線の透過又は反射により得られた透過赤外線又は反射赤外線を受光し、受光した赤外線を光ファイバーでフォトディテクターに送って赤外線の光量に比例した電圧を出力させ、出力された電圧を平滑回路基板でアナログ電圧値に変換してから制御機器に送って、予めアナログ電圧値の閾値を設定しておくと共に、検査対象の容器のシール部に対して、サンプル容器の場合と同じ赤外線を同じ光量で照射して受光し、受光した赤外線をサンプル容器の場合と同じようにアナログ電圧値に変換してから制御機器に送って、このアナログ電圧値がサンプル容器で予め設定した閾値よりも減少している場合には、シール不良であると判定する、ということで実現した。
【0015】
なお、波長が1450nm±20nmの範囲の赤外線を、水分に対して照射すると、約23%程しか水分を透過しないで、残りの約77%程が水分に吸収されてしまうということが判っており、一方、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)、ポリエチレンテレフタレート(PET)などの合成樹脂による容器のシール部に対して赤外線を照射すると、吸収されることなく殆ど透過されるということが判っていて、上記のような本願の発明は、それらの知見に基づいてなされたものである。
【0016】
一方、以下に述べる実施例において検査の対象となる容器は、内容物が充填された筒状部分の両端がヒートシールにより密閉された袋状容器であるが、そのような袋状容器では、特に、内容物が充填された製品について、赤外線を使用して容器のシール部を連続的に全数検査することが望まれている。
【0017】
すなわち、内容物が充填された筒状部分の両端がヒートシールにより密閉された袋状容器を製造する場合、例えば、内容物を充填する充填装置の充填ノズルを囲むように、エンドレスの合成樹脂製シートを円筒形に丸め、丸められたシートの端部同士を合わせて長手方向にヒートシールすることで筒状体に形成してから、この筒状体の一端を幅方向にヒートシールして塞ぎ、開口している他端側から内容物を充填した後、その開口端をヒートシールして塞ぐことで一個分の袋状容器にする、ということを合成樹脂製シートを繰り出しながら連続的に行うと共に、シール部により繋がった状態に形成されている複数の袋状容器を、シール部の適所を切断して単体の袋状容器に分離している。
【0018】
そのように製造される袋状容器では、内容物を充填してからヒートシールする際に、ヒートシールする部分を容器の内側から外側に向かってヒートシール金型で徐々にヒートシールしたり、或いは、ヒートシールする部分を予めロールで挟んでしごいてからヒートシール金型でヒートシールしたりすることで、ヒートシールする部分に挟まれた内容物や空気を外へ押し出すようにして、シール部に噛み込みが起きないようにしている。
【0019】
しかしながら、例えば、魚肉片をマヨネーズに混入させたツナマヨネーズ等のような、流体中に固形物が混在する内容物の場合は、ヒートシールする部分に挟まれた固形物を外に押し出し難いため、シール部に内容物の噛み込みが起きる可能性が大きく、そのような内容物の噛み込みが起きると、シール部にカビが発生したり、内容物が漏れ出したりする虞があることから、特に、製品全数についてシール部を検査することが望まれている。
【0020】
そのような内容物が充填された筒状部分の両端がヒートシールにより密閉されている袋状容器を検査対象として赤外線により容器のシール部を連続的に全数検査するための本発明の一実施例について、以下に詳しく説明する。
【実施例】
【0021】
本実施例は、容器の両端がシール部となるように単体に分離された袋状容器の検査に関するものである。この袋状容器は、本実施例では、横幅が50mm、縦方向の長さが100mm、シール部の縦方向の幅が10mmで、材質はポリプロピレンの単層構造であるが、ポリエチレンテレフタレートの単層構造や、ポリエチレンテレフタレート又はポリプロピレンにナイロン又はエチレンビニルアルコール共重合体のようなガスバリア樹脂を挟んだ多層構造など、材質や大きさについては特に限定されるものではない。
【0022】
そのような袋状容器をベルトコンベアにより連続的に搬送しながら、各容器のそれぞれについて、容器の両端のシール部を赤外線の照射によって検査している。具体的には、図2に示すように、袋状容器1は、その両端のシール部2が搬送方向に対して左右となるようにベルトコンベア3に載置され、ベルトコンベア3に設けられた押送フィン5により押されて、ベルトコンベア3と平行に設置されたガイド6により位置決めされて案内された状態で、図1に示すように、モーター4の駆動によるベルトコンベア3の動きによって一定速度で搬送されている。
【0023】
そのように、ベルトコンベア3により一定速度で搬送されている複数の袋状容器1のそれぞれに対して、袋状容器1の両端のシール部2のそれぞれと対応するように、ベルトコンベア3の両側で左右一対となるように投光器7と受光器8をそれぞれ配設して、ガイド6により位置決めされた袋状容器1の両端のシール部2を、投光器7と受光器8の間を一定速度で通過させるようにし、搬送方向に一定速度で移動しているシール部2に対して赤外線を照射している。
【0024】
そのように投光器7から赤外線を照射する場合に、特に、波長が1450nm±20nmの範囲の赤外線を使用するようにしており、また、そのような赤外線を、シール部2の幅(搬送方向と直交する方向の長さ)を全体的にカバーできるように、本実施例では、直径が約10mmの円形として照射している。
【0025】
なお、投光器7から照射する赤外線については、発光ダイオードによるものも考えられるが、発光ダイオードによる赤外線では、設定した波長を中心にしてその波長の幅が広くなってしまうことから、半導体レーザーによる赤外線が好ましく、この半導体レーザーにより赤外線の波長の幅を1450nm±20nm程の狭い範囲とすることで、検査の精度を向上させることができる。
【0026】
投光器7から照射されてシール部2を透過した透過赤外線は、受光器8により受光しているが、この受光器8は、集光レンズによるものであって、本実施例では、それぞれの受光器8で、シール部の幅方向に集光レンズを二枚並べて設置している。なお、投光器7からは直径が約10mmの円形に赤外線を照射しているが、シール部2を透過した赤外線は僅かに直径を増加するため、これを受光する受光器8の二枚の集光レンズ8は、それぞれ直径が6mmのものを使用している。
【0027】
受光器8の集光レンズについては、一枚(直径が12mm)でも良いが、二枚(それぞれ直径が6mm)にした場合には、一つ一つの集光レンズの検査を担当する面積を縮小させることができて、その結果、一枚の場合よりも検査精度を向上させることができる。また、より小さな介在物を検出する場合には、より小さな面積の集光レンズを選定して多数使用することで対応することができる。
【0028】
受光器6で受光した透過赤外線は、光ファイバー9を通してフォトディテクター10へ送っている。なお、本実施例では、左右二枚ずつ(計四枚)の集光レンズに対して、四台のフォトディテクターを設置している。光ファイバー9で送られてきた赤外線は、光を受けて電気信号を発するフォトディテクター10により、赤外線の光量に比例する電圧として出力されるが、この出力された電圧は平滑回路基板11に送って、平滑回路基板11でアナログ電圧値に変換してから、制御機器12に送っている。
【0029】
上記のような投光器7と受光器8と光ファイバー9とフォトディテクター10と平滑回路基板11と制御機器12とを使用した本実施例の容器のシール不良検査方法では、先ず、シール不良が全く無いサンプルの袋状容器1をベルトコンベア3に載せて搬送し、この容器のシール部2に対して、投光器7から、波長が1450nm±20nmの範囲の赤外線を照射する。
【0030】
投光器7から照射された赤外線は、容器のシール部2を透過してから、透過赤外線として受光器8により受光される。この受光された赤外線は、光ファイバー9でフォトディテクター10に送られて赤外線の光量に比例した電圧を出力させ、出力された電圧は平滑回路基板11でアナログ電圧値に変換されてから制御機器12に送られるが、制御機器12では、これをアナログ電圧値の閾値として予め設定しておく。
【0031】
平滑回路基板11から制御機器12に送られるアナログ電圧値について、具体的に本実施例では、最大値が10Vで、最小値が0Vであって、最大値の10Vは、シール不良が全く無いサンプルでのシール部2を透過する赤外線の光量に比例する値であることから、本実施例でのアナログ電圧値の閾値は10Vとなる。
【0032】
なお、アナログ電圧値の閾値については、受光器8の集光レンズを複数設置することにより、シール部2における検査範囲のそれぞれに閾値を設定することが可能であって、そうすることにより、例えば、シール部2の外縁付近に少々の噛み込みが有っても、シール部2の中央部分に全く噛み込みが無いと実質的にシール不良とならない場合には、シール部3の中央部分のみを厳密に検査する等、シール部2の所望部位のみを厳密に検査するようなことが可能となる。
【0033】
アナログ電圧値の閾値を予め設定した後で、検査対象となる複数の袋状容器1を、ベルトコンベア3に載せて連続的に搬送しながら、それぞれの袋状容器1に対して、サンプル容器の場合と同様に、波長が1450nm±20nmの範囲の赤外線を同じ光量で投光器7からそれぞれの容器のシール部2に照射すると、容器のシール部2を透過して受光器8により受光された透過赤外線は、光ファイバー9でフォトディテクター10に送られ、平滑回路基板11を介してアナログ電圧値に変換されてから制御機器12に送られる。
【0034】
そのように検査対象のアナログ電圧値が送られた制御機器12では、送られてきたアナログ電圧値と、予め設定されたアナログ電圧値の閾値とを比較して、予め設定されてアナログ電圧値の閾値よりも減少している場合には、シール不良であると判定されて、本実施例では、制御機器12からリジェクト信号が発信される。
【0035】
そのような制御機器12から発信されたリジェクト信号を受けて、本実施例では、袋状容器1の搬送行程において、ベルトコンベア3を動かすモーター4に取り付けられたエンコーダー13からの位置情報に基づき、シール不良と判定された容器がベルトコンベア3に載せられてリジェクトノズル15の前に搬送されてきたときに、電磁弁14が開けられて、リジェクトノズル15から圧縮空気が噴出されることで、シール不良と判定された容器のみがベルトコンベア3上から吹き飛ばされて排出されるようにしている。
【0036】
以上、本発明の一実施例について説明したが、本発明の方法は、上記の実施例に示した具体例にのみ限定されるものではなく、適宜に変更可能なものであって、例えば、上記の実施例では、単体に分離された複数の袋状容器をベルトコンベアにより連続的に搬送しながら検査しているが、図3に示すように、シール部2により繋がった状態に連続的に形成されている複数の袋状容器1について、単体の容器に切り離す前に検査することも可能である。
【0037】
すなわち、シール部により繋がった状態に連続的に形成されている複数の袋状容器について、単体の容器に切り離す前に検査する場合、図3に示すように、複数の容器1を繋ぐシール部2で、一つの容器の上側シール部になる部分2aと下側シール部になる部分2bとのそれぞれに対して、それぞれ投光器7と受光器8を、表裏からシール部2を挟むように対峙させて、この二組の投光器7と受光器8をそれぞれ移動させることで、一つの容器の上側シール部になる部分2aと下側シール部になる部分2bとに対してそれぞれ赤外線の照射・受光を行うようにしている。このような実施例によれば、袋状容器の製袋、充填、密封、分離作業中に継続して検査を行うことができる。
【0038】
また、本発明の方法は、袋状容器の検査に限らず、例えば、シート状の蓋体で密封されるカップ状容器等、その他の容器の検査にも適用可能なものであり、また、検査する容器のシール部については、ヒートシールによるシール部に限らず、その他の手段により面接着されるシール部であっても良いものである。なお、カップ状容器を検査する場合には、図示していないが、容器の本体内に内容物を充填してからシート状の蓋体で密封されたカップ状容器について、一定の速度で複数の容器を連続的に搬送しながら、それぞれの容器に対して、容器の開口端から外方に向かって略水平に延びる扁平リング状のシール部に赤外線を照射することとなる。
【0039】
さらに、本発明の方法は、投光器から照射してシール部を透過した透過赤外線を受光器により受光するような方法に限らず、図示していないが、投光器と受光器に変えて、受発光器を使用することで、受発光器からシール部に赤外線を照射してシール部から反射した反射赤外線を受光するような方法として実施することも可能である。そのようにした場合には、アルミ箔や鉄箔に熱可塑性樹脂のフィルムをラミネートさせた材質や、アルミ箔や鉄箔に熱可塑性樹脂を塗装させた材質や、熱可塑性樹脂のフィルムに金属を蒸着塗装させた材質のような、半導体レーザー光を反射する材質がシール部に使用されている場合でも、対応することができる。
【符号の説明】
【0040】
1 袋状容器
2 シール部
3 ベルトコンベア
4 モーター
5 押送フィン
6 ガイド
7 投光器
8 受光器
9 光ファイバー
10 フォトディテクター
11 平滑回路基板
12 制御機器
13 エンコーダー
14 電磁弁
15 リジェクトノズル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
面接着されてシールされている容器のシール部でのシール不良を赤外線を使用して検査するための方法として、シール不良が無いサンプル容器のシール部に対して、波長が1450nm±20nmの範囲の赤外線を照射して、赤外線の透過又は反射により得られた透過赤外線又は反射赤外線を受光し、受光した赤外線を光ファイバーでフォトディテクターに送って赤外線の光量に比例した電圧を出力させ、出力された電圧を平滑回路基板でアナログ電圧値に変換してから制御機器に送って、予めアナログ電圧値の閾値を設定しておくと共に、検査対象の容器のシール部に対して、サンプル容器の場合と同じ赤外線を同じ光量で照射して受光し、受光した赤外線をサンプル容器の場合と同じようにアナログ電圧値に変換してから制御機器に送って、このアナログ電圧値がサンプル容器で予め設定した閾値よりも減少している場合には、シール不良であると判定するようにしたことを特徴とする赤外線を使用した容器のシール部検査方法。
【請求項2】
波長が1450nm±20nmの範囲の赤外線が、半導体レーザー光によるものであることを特徴とする請求項1に記載の赤外線を使用した容器のシール部検査方法。
【請求項3】
透過又は反射した赤外線を受光する際に、複数の集光レンズにより範囲を分担して受光するようにしたことを特徴とする請求項1又は2に記載の赤外線を使用した容器のシール部検査方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2011−117865(P2011−117865A)
【公開日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−276347(P2009−276347)
【出願日】平成21年12月4日(2009.12.4)
【出願人】(000208455)大和製罐株式会社 (309)
【Fターム(参考)】