説明

走査型プローブ顕微鏡

【課題】間欠ラスター走査に生じる振動ノイズが低減された走査型プローブ顕微鏡を提供する。
【解決手段】Y走査信号の振幅値は、画像データを取得する画像取得時間Tyuの間だけ直線的に増加し、画像データの取得終了後直ちにほぼ0に戻る。一方、X走査信号の振幅値は常に一定で、画像データの取得時の振幅値のままである。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走査型プローブ顕微鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
走査型プローブ顕微鏡(SPM)は機械的探針を機械的に走査して試料表面の情報を得る走査型顕微鏡であって、走査型トンネリング顕微鏡(STM)、原子間力顕微鏡(AFM)、走査型磁気力顕微鏡(MFM)、走査型電気容量顕微鏡(SCaM)、走査型近接場光顕微鏡(SNOM)、走査型熱顕微鏡(SThM)などの総称である。
【0003】
走査型プローブ顕微鏡は、機械的探針と試料とを相対的にXY方向にラスター走査し、所望の試料領域の表面情報を機械的探針を介して得てモニターTV上にマッピング表示する。
【0004】
なかでもAFMは、最も広く使用されている装置であり、機械的探針をその自由端に持つカンチレバー、カンチレバーの変位を検出する光学式変位センサー、機械的探針と試料とを相対的に走査するスキャナーを備えている。AFMは、生物試料のマニピュレーションや生物試料以外の試料の観察、加工なども行なうことが可能である。
【0005】
最近では、液体中の生きた生物試料の動く様子が観察可能な生体動画観察用AFMが注目を集めている。この生体動画観察用AFMでは、その走査時間(1枚の画像を取得する時間)は遅くとも1秒以下、望ましくは0.1秒以下とされる。従来の生体用AFMの走査時間が数分〜数十分であることを考えると、生体動画観察用AFMは走査速度が非常に速い。従来の生体用AFMは静止画観察用であるのに対し、生体動画観察用AFMは動画観察が可能になっている。
【0006】
生体用AFMでは、走査速度に関係なく、カンチレバーの振動特性から試料探針間に働く相互作用を検出する方式(ACモード)を採用することが多い。それは、試料と探針の間に働く力を通常のモードに比べて弱く保つことができる利点があるからである。
【0007】
図1は生体用AFMの一構成例を示すブロック図である。図1に示される構成は、生体用AFMの基本的な動作原理を説明するためのものであり、従来からある生体用AFMと生体動画観察用AFMの違いを示すものではない。
【0008】
図1において、ステージ12は撥水処理されており、液体14を表面張力により保持できる。液体14中には、Yスキャナー6とXスキャナー7とZスキャナー8に保持された試料9が配置される。言い換えれば、Zスキャナー8は試料を液体中で保持する試料台を兼ねている。Yスキャナー6は、コントローラー2から出力されるY走査信号に基づいてY駆動回路3により駆動され、試料9をY方向に走査する。またXスキャナー7は、コントローラー2から出力されるX走査信号に基づいてX駆動回路4により駆動され、試料9をX方向に走査する。さらにZスキャナー8は、コントローラー2から出力されるZ制御信号に基づいてZ駆動回路5により駆動され、試料9をZ方向に走査する。
【0009】
また液体14中には、試料9と正対するように自由端に探針を有するカンチレバー10が配置される。このカンチレバー10は、ステージ12上に設けられたホルダー11に保持されている。ホルダー11には圧電素子13が設けられており、圧電素子13はコントローラー2からの励振信号を受けて、カンチレバー10を所定の振幅と周波数で機械的に振動させる。
【0010】
ステージ12は透過ガラス16を備えており、ステージ12の下部には、透過ガラス16を介してカンチレバー10の変位を検出するため、対物レンズ17と光てこセンサー18が配置されている。この光てこセンサー18は、例えば特開2002−82037号公報に示されたものと同様に構成されており、対物レンズ17を介して集束性のレーザー光15をカンチレバー10の自由端上に照射し、対物レンズ17を介して取り込んだ反射光のスポット位置に基づいてカンチレバー10の変位を検出する。
【0011】
振幅検出回路19は、光てこセンサー18が出力するカンチレバー10の変位信号の振幅値を算出し、算出したカンチレバー10の振幅値を振幅信号としてZ制御回路20に出力する。つまり振幅検出回路19は、カンチレバー10の振動振幅を反映した信号を出力する。Z制御回路20は、振幅検出回路19が出力する振幅信号を一定に保つようにZスキャナー8をZ方向に制御する。
【0012】
このような構成において、コントローラー2からの励振信号を受けて、圧電素子13がカンチレバー10を所定の振幅とカンチレバー10の機械的共振周波数で励振させる。そして光てこセンサー18によりカンチレバー10の振幅を検出し、カンチレバー10の振動振幅が一定になるようにZ制御回路20とZ駆動回路5によりZスキャナー8に保持された試料9をZ方向(試料9の法線方向)に制御する。同時にY駆動回路3によりYスキャナー6をY方向に駆動し、さらにX駆動回路4によりXスキャナー7をX方向に駆動し、試料9を二次元走査する。このときのZ制御回路20の出力すなわちZスキャナー8のZ方向への印加電圧信号を画像データ取込部21を介してホストコンピューター1によりデータ取得し、そのデータを試料表面の凹凸信号として画像形成する。
【0013】
生体動画観察用AFMはXY方向の走査方法に特徴がある。以下、従来の生体用AFMと生体動画観察用AFMの走査方法の違いについて説明する。
【0014】
まず従来の生体用AFMの走査方法について説明する。図2と図6はAFMにおけるXY走査の軌跡を示している。図2と図6において、走査線は見やすさを重視して少なく描かれているが、実際の走査線の数は一般に128〜512程度である。
【0015】
図2は、一般的なラスター走査を示しており、画像データの取得は1方向(+Xの方向)でのみ行なう。このラスター走査に対応した走査信号を図3に示す。図3において、上段はY走査信号、中断はX走査信号、下段は画像データ取込指令信号を示している。Tfは描画周期を示しており、これはフレームレートの逆数に等しい。フレームレートは1秒間に描く画像の枚数であり、その単位はfps(frame per second)である。また、Tyは1回のラスター走査にかかる時間、Tyuは1画像(1フレーム)の画像取得時間、Tydは描画完了位置から次の描画基準位置に戻る時間、TxはX走査周期、TxuはX走査の画像データを取得する方向の移動時間、Tsは1回のX走査における画像データの取得にかかる時間を示している。
【0016】
この方式では、図3に示されるように、ラスター走査を連続して繰り返して観察を行なう。この方法は連続ラスター走査と呼ばれ、Tf=Ty=Tyu+Tydとなるのが特徴である。一般的にはTxu=Tx/2あるが、図4に示されるように、画像データを取得する方向とその逆方向とで移動速度が異なる場合もある。同様に、TxuとTsについても、図5に示されるように、描画領域よりも走査領域を大きく取る(オーバー走査する)場合があり、Txu=Tsになるとは限らない。
【0017】
図6は、双方向のラスター走査を示しており、Y走査の両方向で画像データの取得を行なう方式である。これも画像データの取得は1方向(+Xの方向)でのみ行なう。このラスター走査に対応した走査信号を図7に示す。図7において、上段はY走査信号、中断はX走査信号、下段は画像データ取込指令信号を示している。また、Tyは1回のラスター走査にかかる時間、Tyu=Tyd=Ty/2は1画像(1フレーム)の画像取得時間、TxはX走査周期、TxuはX走査の画像データを取得する方向の移動時間、Tsは1回のX走査における画像データの取得にかかる時間を示している。
【0018】
この方式でも、図7に示されるように、ラスター走査を連続して繰り返して観察を行なう。この双方向のラスター走査方式では、描画完了位置から次の描画基準位置に戻る時間Tydが必要ないため、一般的なラスター走査方式と比較して若干高速に連続観察できる。
【0019】
次に生体動画観察用AFMの走査方法について簡単に説明する。生体動画観察用AFMでは、上述した連続ラスター走査と連続双方向ラスター走査のほかに、従来の生体用AFMにはない間欠ラスター走査という方法を用いることが多い。これは、動く生体試料の形を明確に捉えるために画像取得時間(1フレームの取込時間)を短くし、動画データの容量(動画ファイルの容量)を抑えるためにフレームレートを低くする方法であり、動く生体試料の長時間観察に適している。
【0020】
図8は、間欠ラスター走査に対応した走査信号を示している。図8において、Tfは描画周期を示しており、これはフレームレートの逆数に等しい。フレームレートは1秒間に描く画像の枚数であり、その単位はfps(frame per second)である。また、Tyは1回のラスター走査にかかる時間、Tyuは1画像(1フレーム)の画像取得時間、Tydは描画完了位置から次の描画基準位置に戻る時間を示している。図8から分かるように、間欠ラスター走査は、Tf>Ty=Tyu+Tydとなるのが特徴であり、これにより動画データの容量(動画ファイルの容量)が抑えられる。
【0021】
例えば、1回のラスター走査にかかる時間が33ms、フレームレートが30fpsの連続走査を行なった場合、30分観察を続けると画像数は54000に及ぶ。ところが、1回のラスター走査にかかる時間が33ms、フレームレートが1fpsの間欠ラスター走査を行なった場合には、画像数は1800に抑えられる。また試料と探針の相対的な走査が最小限に抑えられるので、試料が受けるダメージも低減できる。このように、間欠ラスター走査は長時間観察に適した走査法であると言える。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0022】
しかし間欠ラスター走査には、図9に示されるように、X走査信号が描画周期Tfのパルス信号(信号α)のように振る舞い、描画周期Tfのパルス信号の高調波成分が振動ノイズとなって観察を妨げるという不具合がある。生体動画観察用AFMのフレームレート(1秒間に描く画像の枚数、単位はfps(frame per second))が1〜30fpsであることを考えると、このパルス信号の高調波成分は、1Hz〜1kHzの範囲のほぼすべてに生じることになる。生体動画観察用AFMの装置本体の合成が非常に高いとしても、多数の部品から構成される機械装置である限り、数Hz〜数kHzの範囲には少なくとも1つの共振周波数が存在し、パルス信号の高調波成分がその共振を励起してしまう。つまり、周期Tfのパルス信号が振動ノイズを発生させる。
【0023】
本発明は、このような実状を考慮して成されたものであり、その目的は、間欠ラスター走査に生じる振動ノイズが低減された走査型プローブ顕微鏡を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0024】
本発明は、尖った先端を持つ探針を試料に近接させた状態で、探針と試料を相対的にラスター走査しながら試料の表面との間に発生する物理量を検出することにより画像情報を得る走査型プローブ顕微鏡であり、前記ラスター走査を制御する走査制御部と、前記走査制御部から出力されるX走査信号に応じて前記試料と前記探針のどちらか一方をX方向(ラスター走査の走査線方向)に走査するX走査手段と、前記走査制御部から出力されるY走査信号に応じて前記試料と前記探針のどちらか一方をY方向に走査するY走査手段と、前記X走査信号に同期して画像データを取得する画像データ取得部とを備えており、画像取得時間Tyu[s]とフレームレートN[fps]にはTyu<1/Nの関係があり、画像データの取得開始前と終了後の所定時間の間は前記X走査信号の振幅値が0でないことを特徴とする。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、間欠ラスター走査に生じる振動ノイズが低減された走査型プローブ顕微鏡が提供される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、図10〜図22を参照しながら本発明の実施形態について説明する。続く実施形態における走査型プローブ顕微鏡の構成はハード的には図1に示した従来のものと同じであり、従来のものとは走査信号が相違している。
【0027】
<第一実施形態>
図10は、本発明の第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡における走査信号を示している。図10において、Tfは描画周期を示し、これはフレームレートの逆数に等しい。またTyuは画像取得時間を示し、これは1画像(1フレーム)の画像を描く時間である。
【0028】
本実施形態の走査は間欠走査であり、画像取得時間Tyuと[s]とフレームレートN[fps]の間にはTyu<1/Nの関係がある。Y走査信号の振幅値は、画像データを取得する画像取得時間Tyuの間だけ直線的に増加し、画像データの取得終了後直ちにほぼ0に戻る。一方、X走査信号の振幅値は常に一定(≠0)で、画像データの取得時の振幅値のままである。
【0029】
このため、X走査信号にパルス信号のような高調波成分がなくなり、振動ノイズの発生が防止される。従って、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、液中生体を低ノイズで動画観察できる。
【0030】
本実施形態では、Y走査信号の振幅値は、画像データの取得終了後直ちにほぼ0に戻るが、画像データの取得終了後の所定時間の間に段階的に減少してほぼ0に戻ってもよい。
【0031】
<第二実施形態>
図11は、本発明の第二実施形態の走査型プローブ顕微鏡における走査信号を示している。図11において、Tfは描画周期を示し、これはフレームレートの逆数に等しい。また、Tyuは画像取得時間を示している。
【0032】
本実施形態の走査は間欠走査であり、画像取得時間Tyuと[s]とフレームレートN[fps]の間にはTyu<1/Nの関係がある。Y走査信号の振幅値は、画像データを取得する画像取得時間Tyuの間だけ直線的に増加し、画像データの取得終了後直ちにほぼ0に戻る。一方、X走査信号の振幅値は、画像データの取得開始前の一定時間Txsの間にほぼ0から段階的に直線的に増加して画像データの取得時の振幅値になり、画像取得時間Tyuの間は一定で、画像データの取得終了後の一定時間Txeの間に画像データの取得時の振幅値から段階的に直線的に減少してほぼ0になる。
【0033】
このAM変調された走査波形のピーク値が描く軌跡は、図12に示されるように、台形信号(信号β)になる。このため、描画周期Tfの高調波成分が抑えられ、振動ノイズの発生が低減される。従って、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、液中生体を低ノイズで動画観察できる。さらに、Xスキャナー7の駆動が間欠的に停止されるので、Xスキャナー7の疲労、探針の磨耗や汚れの付着、試料が受けるダメージが減される。
【0034】
図13は、第二実施形態の変形例におけるX走査信号を示している。この変形例の走査では、X走査信号の振幅値は、画像データの取得開始前の一定時間Txsの間にほぼ0から段階的にS字曲線状に増加して画像データの取得時の振幅値になり、画像取得時間Tyuの間は一定で、画像データの取得終了後の一定時間Txeの間に画像データの取得時の振幅値から段階的にS字曲線状に減少してほぼ0になる。
【0035】
このAM変調された走査波形のピーク値が描く軌跡は、角が丸められた台形信号(信号γ)になる。このため、描画周期Tfの高調波成分がより良く抑えられ、振動ノイズの発生がさらに低減される。
【0036】
本実施形態では、Y走査信号の振幅値は、画像データの取得終了後直ちにほぼ0に戻るが、画像データの取得終了後の所定時間の間に、例えば一定時間Txeの間に、段階的に減少してほぼ0に戻ってもよい。
【0037】
<第三実施形態>
図14は、第三実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を示している。この図14において、図1に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材である。言い換えれば、本実施形態の装置は、図1の装置と比較して、Z制御回路30と走査信号が相違している。以下、図1に関連して説明済みの部材の詳しい説明は省略し、相違部分に重点をおいて説明する。
【0038】
図14において、Z制御回路30は、振幅検出回路19が出力するカンチレバーの振幅信号を一定に保つようにZスキャナー8をZ方向に制御する。コントローラー2は、制御ON/OFF指令信号31によりZ制御回路30の制御機能を作動または停止させる。Z制御回路30は、制御機能が停止されると、Z駆動回路5へ最低レベルの信号を出力し、Zスキャナー8は変位が最小の状態(試料9とカンチレバー10の探針が最も離れた状態)になる。
【0039】
図15は、第三実施形態の走査型プローブ顕微鏡の走査信号を示すものである。図15において、Tfは描画周期を示し、これはフレームレートの逆数に等しい。またTyuは1画像(1フレーム)の画像取得時間を示している。この走査では、図6に示す走査信号と同様にTf>Ty=Tyu+Tydの関係がある。言い換えれば、画像取得時間Tyu[s]とフレームレートN[fps]の間にTyu<1/Nの関係がある。また、Y方向は画像データを取得するときだけ動く間欠走査になっているが、X走査信号は画像データを取得しない区間にあっても途切れることなく継続的に出力される。Y走査信号の振幅値は、画像データを取得する画像取得時間Tyuの間だけ直線的に増加し、画像データの取得終了後直ちにほぼ0に戻る。一方、X走査信号の振幅値は常に一定(≠0)で、画像データの取得時の振幅値のままである。
【0040】
制御ON/OFF指令信号31は矩形形状の信号であり、Y走査信号に同期して切り替わる。従って、Z制御回路30はY走査信号に同期して制御機能が作動または停止される。Z制御回路30の制御機能は、画像データを取得しない区間のすべてにわたり停止される。
【0041】
これにより、X走査信号にパルス信号のような高調波成分がなくなり、X走査信号の間欠動作に起因する振動ノイズの発生が完全に防止される。従って、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、液中生体を低ノイズで動画観察できる。
【0042】
さらに、制御ON/OFF指令信号31の波形グラフに示されるように、画像データを取得するとき以外は制御機能がOFF、すなわち試料9とカンチレバー10の探針が最も離れた状態になる。これにより、画像データを取得するとき以外はカンチレバー10の探針と試料9が接触しなくなり、探針の磨耗や汚れの付着が最小限に留められる。さらに試料が受けるダメージも低減される。
【0043】
上述した説明では、Z制御回路30の制御機能は画像データを取得しない区間のすべてにおいて停止されているが、Z制御回路30の制御機能は画像データを取得しない区間の一部において停止されてもよい。
【0044】
<第四実施形態>
図16は、第四実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を示している。この図16において、図1に示された部材と同一の参照符号で指示された部材は同様の部材である。言い換えれば、本実施形態の装置は、図1の装置と比較して、Z制御回路40と走査信号が相違している。以下、図1に関連して説明済みの部材の詳しい説明は省略し、相違部分に重点をおいて説明する。
【0045】
Z制御回路40は、振幅検出回路19が出力するカンチレバーの振幅信号Vampを一定に保つようにZスキャナー8をZ方向に制御する。Z制御回路40は、コントローラー2から供給される制御基準信号Vrefとカンチレバーの振幅信号Vampを比較し、両信号が一致するようにZスキャナー8をZ方向に制御する。本実施形態では制御基準信号Vrefに特徴があるため、まずは制御基準信号Vrefについて以下に詳しく説明する。
【0046】
本実施形態に示す走査型プローブ顕微鏡では、カンチレバー10を所定の振幅、共振周波数近傍の周波数で機械的に振動させた状態で試料9と接触させる。そして、カンチレバー10の探針と試料9との相互作用によるカンチレバー10の振動振幅の変化が一定となるよう制御する。制御基準信号Vrefは、相互作用によるカンチレバー10の振動振幅の変化の目標値を示す信号であり、その目標値はフォースカーブにより設定される。そこでまずフォースカーブについて説明する。
【0047】
図17A〜図17Cは、図16に示すカンチレバー10と試料9の位置関係を紙面上下方向に反転させて示している。
【0048】
図17Aは、カンチレバー10の探針と試料9が離れている状態を示している。ここで、カンチレバー10と試料9の距離をZ、圧電素子13により加振されたカンチレバー10の振動振幅をx0、カンチレバー10の探針の長さをLとすると、Z>x0+Lが成り立つ。
【0049】
図17Bは、図17Aの状態からカンチレバー10と試料9を近づけ、カンチレバー10の探針と試料9が接触し始めた状態を示している。ここではZ=x0+Lが成り立ち、このときのZをZ0とおく。すなわちZ0=x0+Lである。
【0050】
図17Cは、図17Bの状態からカンチレバー10と試料9をさらに近づけ、カンチレバー10の探針と試料9を適度に接触させた状態を示している。このときカンチレバー10の振動振幅はxcに減少する。ここではZ=xc+L<x0+L=Z0が成り立つ。
【0051】
図18Aは、「カンチレバー10と試料9の距離とカンチレバー10の振動振幅の関係」を示すグラフであり、これがフォースカーブと呼ばれるものである。
【0052】
図18Aにおいて、縦軸はカンチレバー10の振動振幅、横軸はカンチレバー10と試料9の距離を示している。このグラフに示されるように、カンチレバー10と試料9を近づけていく際、カンチレバー10と試料9の距離がZ0になるまではカンチレバー10の振動振幅は一定値x0であり、カンチレバー10と試料9の距離がZ0よりも小さくなると(カンチレバー10の探針と試料9を接触させると)カンチレバー10の振動振幅はx0よりも小さくなる。
【0053】
ここで、制御におけるカンチレバー10の振動振幅の変化の目標値としてxcを設定する。xcはカンチレバー10の探針と試料9を適度に接触させた状態のときのカンチレバー10の振動振幅であり、x0の70%〜95%程度の大きさにするのが一般的である。このとき、光てこセンサー18のセンサー感度をS[nm/V]とおくと、「振幅検出回路19から出力されるカンチレバーの振幅信号Vampの大きさ(電圧値)」と「カンチレバー10と試料9との距離」の関係は、図18Bに示されるグラフとなる。すなわち、カンチレバー10の振動振幅がx0のときカンチレバーの振幅信号Vampの大きさ(電圧値)はx0/S、カンチレバー10の振動振幅がxcのときカンチレバーの振幅信号Vampの大きさ(電圧値)はxc/Sとなる。
【0054】
次に制御基準信号Vrefについて説明する。
【0055】
上述では相互作用によるカンチレバー10の振動振幅の変化の目標値をxcとおいた。つまりカンチレバーの振幅信号Vampの大きさ(電圧値)の目標値はxc/Sとなる。Z制御回路40は制御基準信号Vrefとカンチレバーの振幅信号Vampを比較し、両信号が一致するように制御するので、カンチレバーの振動振幅を所望の値(xc)にするには制御基準信号Vrefの大きさ(電圧値)をxc/Sに設定すればよい。
【0056】
ところで従来の走査型プローブ顕微鏡では、制御基準信号は一定値(DC信号)であり、従って電圧値xc/Sが出力され続ける。これに対して本実施形態の走査型プローブ顕微鏡では、制御基準信号Vrefの値は適宜変更される。
【0057】
図19は、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡における制御基準信号VrefとXY走査信号を示している。図19に示されるように、制御基準信号VrefはY走査信号に同期して増減する信号であり、xn/Sとxc/Sの二つの値を交互に繰り返し取る。ここでxn/S>xc/Sである。制御基準信号VrefはY走査信号に同期して切り替わる矩形形状の信号であってもよいが、好ましくは、Y走査信号に同期して緩やかに切り替わる台形形状の信号であるとよい。制御基準信号Vrefは、矩形形状の信号の場合には、画像データを取得しない区間のすべてにおいて大きい値(xn/S)を取り、台形形状の信号の場合には、画像データを取得しない区間の一部において大きい値(xn/S)を取る。ここでxnは、図18Aに示されるように、カンチレバー10の基本となる振動振幅x0よりも大きい値であり、実際にカンチレバー10がこの振動振幅で振動することはない。つまりこの目標値(xn/S)を制御基準信号Vrefに出力させても、Z制御回路40では制御をかけることができず、Zスキャナー8の変位が最小の状態(試料9とカンチレバー10の探針が最も離れた状態)になる。これは、第三実施形態で制御機能を停止したときと同等の状態である。
【0058】
制御基準信号Vrefは、画像データを取得するときは従来の走査型プローブ顕微鏡と同様にxc/Sの値を取り、画像データを取得しないときはxn/Sの値となる。つまり画像データを取得するときは制御機能を作動させている状態となり、画像データを取得しないときは制御機能を停止している状態と等しく、試料9とカンチレバー10の探針が最も離れた状態になる。また、xc/Sからxn/Sへの切り替えは時間Tieをかけて緩やかに行なわれる。さらにxn/Sからxc/Sへの切り替えも時間Tisをかけて緩やかに行なわれる。TieとTisは同じ値であってもよい。
【0059】
以上より、本実施形態では、図6に示す走査信号と同様にTf>Ty=Tyu+Tydの関係がある。言い換えれば、画像取得時間Tyu[s]とフレームレートN[fps]の間にTyu<1/Nの関係がある。また、Y方向は画像データを取得するときだけ動く間欠走査になっているが、X走査信号は画像データを取得しない区間にあっても途切れることなく継続的に出力される。Y走査信号の振幅値は、画像データを取得する画像取得時間Tyuの間だけ直線的に増加し、画像データの取得終了後直ちにほぼ0に戻る。一方、X走査信号の振幅値は常に一定(≠0)で、画像データの取得時の振幅値のままである。
【0060】
これにより、X走査信号にパルス信号のような高調波成分がなくなり、X走査信号の間欠動作に起因する振動ノイズの発生が完全に防止される。従って、本実施形態の走査型プローブ顕微鏡は、液中生体を低ノイズで動画観察できる。
【0061】
さらに、本実施形態では、制御基準信号Vrefが二つの値が緩やかに切り替わる台形状の信号になっているので、第三実施形態の利点に加え、制御機能の作動と停止の切り替え動作が緩やかに行なわれる。これは制御の安定性向上につながる。
【0062】
図20は第四実施形態の変形例における制御基準信号VrefとXY走査信号を示している。制御基準信号Vrefはxn/Sとxc/Sの二つの値を滑らかに切り替えるS字台形状の信号になっている。これによれば、制御機能の作動と停止の切り替え動作が滑らかに行なわれる。これは制御のより安定性向上につながる。
【0063】
これまで、図面を参照しながら本発明の実施形態を述べたが、本発明は、これらの実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において様々な変形や変更が施されてもよい。
【0064】
例えば、図21に示されるように、X走査信号は、三角波のエッジを潰して滑らかにした波形に変更されてよい。この場合、描画領域よりも走査領域を大きく取るオーバー走査(Txu>Ts)が必要になるが、X走査信号そのものがつくる高調波成分が低減される。その結果、振動ノイズがさらに低減される。
【0065】
また別の例としては、図22に示されるように、Y走査信号は、画像データを取得しない区間をすべて使って戻されてよい。すなわちTyd=Tf−Tyuとされてよい。このようにすると、Y走査信号の高調波成分も低減され、振動ノイズがさらに低減される。
【0066】
さらに、本実施形態ではカンチレバーの振動振幅を所定の値になるよう制御しているが、カンチレバーの振動周波数や位相を制御する走査型プローブ顕微鏡に対しても効果がある。
【図面の簡単な説明】
【0067】
【図1】生体用AFMの一構成例を示すブロック図である。
【図2】一般的なラスター走査の軌跡を示している。
【図3】図2に示されるラスター走査に対応した走査信号を示している。
【図4】画像データを取得する方向とその逆方向とで移動速度が異なるX走査信号を示している。
【図5】オーバー走査におけるX走査信号と画像データ取込指令信号を示している。
【図6】双方向のラスター走査の軌跡を示している。
【図7】図6に示されるラスター走査に対応した走査信号を示している。
【図8】間欠ラスター走査に対応した走査信号を示している。
【図9】図8に示されたX走査信号とその走査波形のピーク値が描く軌跡を示している。
【図10】本発明の第一実施形態の走査型プローブ顕微鏡における走査信号を示している。
【図11】本発明の第二実施形態の走査型プローブ顕微鏡における走査信号を示している。
【図12】図11に示されたX走査信号とその走査波形のピーク値が描く軌跡を示している。
【図13】本発明の第二実施形態の変形例におけるX走査信号とその走査波形のピーク値が描く軌跡を示している。
【図14】第三実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を示している。
【図15】第三実施形態の走査型プローブ顕微鏡の走査信号を示している。
【図16】第四実施形態の走査型プローブ顕微鏡の構成を示している。
【図17A】図16に示されるカンチレバーの探針と試料が離れている状態を示している。
【図17B】図17Aの状態からカンチレバーと試料が近づけられ、カンチレバーの探針と試料が接触し始めた状態を示している。
【図17C】図17Bの状態からカンチレバーと試料がさらに近づけられ、カンチレバーの探針と試料が適度に接触した状態を示している。
【図18A】カンチレバーと試料の距離とカンチレバーの振動振幅の関係を示すグラフ(フォースカーブ)を示している。
【図18B】カンチレバーと試料の距離とカンチレバーの振幅信号の大きさ(電圧値)との関係を示している。
【図19】第四実施形態の走査型プローブ顕微鏡における制御基準信号とXY走査信号を示している。
【図20】第四実施形態の変形例における制御基準信号とXY走査信号を示している。
【図21】第一実施形態〜第四実施形態に適用可能な別のX走査信号を示している。
【図22】第一実施形態〜第四実施形態に適用可能な別のY走査信号を示している。
【符号の説明】
【0068】
1…ホストコンピューター、2…コントローラー、3…Y駆動回路、4…X駆動回路、5…Z駆動回路、6…Yスキャナー、7…Xスキャナー、8…Zスキャナー、9…試料、10…カンチレバー、11…ホルダー、12…ステージ、13…圧電素子、14…液体、15…レーザー光、16…透過ガラス、17…対物レンズ、18…センサー、19…振幅検出回路、20…Z制御回路、21…画像データ取込部、30…Z制御回路、31…制御ON/OFF指令信号、40…Z制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
尖った先端を持つ探針を試料に近接させた状態で、探針と試料を相対的にラスター走査しながら試料の表面との間に発生する物理量を検出することにより画像情報を得る走査型プローブ顕微鏡であって、
前記ラスター走査を制御する走査制御部と、
前記走査制御部から出力されるX走査信号に応じて前記試料と前記探針のどちらか一方をX方向(ラスター走査の走査線方向)に走査するX走査手段と、
前記走査制御部から出力されるY走査信号に応じて前記試料と前記探針のどちらか一方をY方向に走査するY走査手段と、
前記Y走査信号に同期して画像データを取得する画像データ取得部とを備え、
画像取得時間Tyu[s]とフレームレートN[fps]にはTyu<1/Nの関係があり、画像データの取得開始前と終了後の所定時間の間は前記X走査信号の振幅値が0でないことを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
【請求項2】
前記X走査信号の振幅値が常に一定であること特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項3】
前記X走査信号の振幅値が画像データの取得終了後の所定時間の間に段階的に減少してほぼ0になること特徴とする請求項1に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項4】
前記X走査信号の振幅値が直線的に減少すること特徴とする請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項5】
前記X走査信号の振幅値がS字曲線状に減少すること特徴とする請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項6】
前記X走査信号の振幅値が画像データの取得開始前の所定時間の間に段階的に増加してほぼ0から画像データの取得時の振幅値になること特徴とする請求項3に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項7】
前記X走査信号の振幅値が直線的に増加すること特徴とする請求項6に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項8】
前記X走査信号の振幅値がS字曲線状に増加すること特徴とする請求項6に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項9】
前記Y走査信号の値が、画像データの取得開始時から画像データの取得終了時にかけて連続して増加(または減少)し、画像データの取得終了時から画像データの取得開始時にかけて連続して減少(または増加)することを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれかひとつに記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項10】
液体を保持する液体ステージと、
自由端に前記探針を有するカンチレバーと、
前記カンチレバーを前記液体中で保持するカンチレバーホルダーと、
前記カンチレバーをその機械的共振周波数近傍で振動させるための加振手段と、
集束性の光を前記カンチレバー自由端に焦点を合わせて照射してその変位を検出する変位検出手段と、
前記変位検出手段の検出結果に基づいて前記カンチレバーの振動振幅を求める振幅取得手段と、
試料を前記液体中で保持する試料台と、
前記試料台または前記カンチレバーをZ方向に微動させるためのZ微動手段と、
前記振幅取得手段で得られた前記カンチレバーの振動振幅に基づいて前記Z微動手段を制御するZ制御手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項1〜請求項9のいずれかひとつに記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項11】
尖った先端を持つ探針を試料に近接させた状態で、探針と試料を相対的にラスター走査しながら試料の表面との間に発生する物理量を検出することにより画像情報を得る走査型プローブ顕微鏡であって、
前記ラスター走査を制御する走査制御部と、
前記走査制御部から出力されるX走査信号に応じて前記試料と前記探針のどちらか一方をX方向(ラスター走査の走査線方向)に走査するX走査手段と、
前記走査制御部から出力されるY走査信号に応じて前記試料と前記探針のどちらか一方をY方向に走査するY走査手段と、
前記Y走査信号に同期して画像データを取得する画像データ取得手段とを備え、
画像取得時間Tyu[s]とフレームレートN[fps]にはTyu<1/Nの関係があり、画像データを取得しない区間にあっても前記X走査信号が継続的に出力されることを特徴とする走査型プローブ顕微鏡。
【請求項12】
液体を保持する液体ステージと、
前記試料を液体中で保持する試料台と、
自由端に前記探針を有するカンチレバーと、
前記カンチレバーを前記液体中で保持するカンチレバーホルダーと、
前記カンチレバーをその機械的共振周波数近傍で振動させるための加振手段と、
集束性の光を前記カンチレバー自由端に焦点を合わせて照射して前記カンチレバーの振動状態を検出し、その振動状態を反映した信号を出力するための振動状態検出手段と、
前記カンチレバーホルダーと前記試料台のどちらか一方をZ方向に微動させるためのZ微動手段と、
前記振動状態検出手段の出力信号に基づいて前記Z微動手段を制御するためのZ制御手段と、
前記Y走査信号に同期して、前記Z制御手段の制御機能を作動または停止させるための制御機能コントロール手段とをさらに備えていることを特徴とする請求項11に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項13】
画像データを取得しない一部またはすべての区間において、前記制御機能コントロール手段は前記Z制御手段の制御機能を停止させること特徴とする請求項12に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項14】
前記振動状態検出手段は、前記カンチレバーの振動振幅を検出するための振幅検出手段を備え、その振動振幅を反映した信号を出力すること特徴とする請求項12または請求項13に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項15】
液体を保持する液体ステージと、
前記試料を液体中で保持する試料台と、
自由端に前記探針を有するカンチレバーと、
前記カンチレバーを前記液体中で保持するカンチレバーホルダーと、
前記カンチレバーをその機械的共振周波数近傍で振動させるための加振手段と、
集束性の光を前記カンチレバー自由端に焦点を合わせて照射して前記カンチレバーの振動状態を検出し、その振動状態を反映した信号を出力するための振動状態検出手段と、
前記カンチレバーホルダーと前記試料台のどちらか一方をZ方向に微動させるためのZ微動手段と、
前記カンチレバーホルダーの所望の振動状態を示す基準信号を出力するための基準信号発生手段と、
前記振動状態検出手段の出力信号と前記基準信号を比較し、それらが一致するように前記Z微動手段を制御するためのZ制御手段とをさらに備えており、
前記基準信号の大きさが前記Y走査信号に同期して増減することを特徴とする請求項11に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項16】
前記基準信号は、前記Y走査信号に同期して、少なくとも2つの値を繰り返し取る信号であること特徴とする請求項15に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項17】
前記振動状態検出手段は、前記カンチレバーの振動振幅を検出するための振幅検出手段を備え、その振動振幅を反映した信号を出力すること特徴とする請求項15または請求項16に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項18】
前記基準信号は、大小の2つの値を繰り返し取るほぼ矩形形状の信号であり、画像データを取得する区間においては小さい値を取り、画像データを取得しない一部あるいはすべての区間においては大きい値を取ること特徴とする請求項17に記載の走査型プローブ顕微鏡。
【請求項19】
前記基準信号は、大小の2つの値を繰り返し取るとともに、それらが緩やかに切り替わるほぼ台形形状の信号であり、画像データを取得する区間においては小さい値を取り、画像データを取得しない一部あるいはすべての区間においては大きい値を取ること特徴とする請求項17に記載の走査型プローブ顕微鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17A】
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【図17B】
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【図17C】
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【図18A】
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【図18B】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【公開番号】特開2006−313142(P2006−313142A)
【公開日】平成18年11月16日(2006.11.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−352356(P2005−352356)
【出願日】平成17年12月6日(2005.12.6)
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)平成15年度中小企業技術調査等委託費「中小企業知的基盤整備事業(ナノダイナミクス観察装置による生体分子(タンパク質・DNA)の観察手法の研究開発(平成15年4月1日付け平成15・04・01財産第111号)」産業再生法第30条の適用を受ける特許出願
【出願人】(000000376)オリンパス株式会社 (11,466)
【Fターム(参考)】