説明

走行支援装置及び走行支援方法

【課題】撮像手段の数を増加させる必要が無く、且つ、移動体の真後ろの二輪車について検出することが可能な走行支援装置及び走行支援方法を提供する。
【解決手段】視点変換部31は、カメラ10による撮像にて得られた画像を鳥瞰視される状態へ視点変換し、位置合わせ部32aは、視点変換された異なる時刻の、一方の隣接車線から区分線DLを跨いで自車両Vの直後方側まで設けられた第1の所定領域A1の画像と、他方の隣接車線から区分線DLを跨いで自車両Vの直後方側まで設けられた第2の所定領域A2の画像とについて、それぞれ個別に位置を合わせる。差分値検出部32bは、位置合わせされた異なる時刻の第1の所定領域A1及び第2の所定領域A2の画像データそれぞれの差分値を検出する。後続車両検出部33aは、検出された第1の所定領域A1の差分値と第2の所定領域A2の差分値との隔たりから後続の二輪車を検出する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、走行支援装置及び走行支援方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、2つのカメラで自車両の側後方を撮像すると共に、画像内に複数の検出領域を設定し、検出領域毎に2つのカメラにより撮像された画像のずれ量を算出することで、対象物までの距離を算出する車両用障害物検出装置が提案されている。この装置では、画像内に複数の検出領域を設定しているため、後続の二輪車についても検出することができる(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許3077529号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかし、従来装置では、自車両の側後方に検出領域を設けているため、自車両の真後ろに存在する二輪車については検出することができない。また、二輪車の検出にあたっては2つのカメラにより撮像された画像を処理しなければならず、カメラ等の撮像手段の数が増加してしまう。
【0005】
本発明はこのような従来の課題を解決するためになされたものであり、その目的とするところは、撮像手段の数を増加させる必要が無く、且つ、移動体の真後ろの二輪車について検出することが可能な走行支援装置及び走行支援方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の走行支援装置においては、第1の所定領域と第2の所定領域とが設定されている。第1の所定領域は、移動体の一方の側後方の隣接車線から区分線を跨いで移動体の直後方側まで設けられている。第2の所定領域は、移動体の他方の側後方の隣接車線から区分線を跨いで移動体の直後方側まで設けられている。そして、視点変換手段は、撮像にて得られた画像を鳥瞰視される状態へ視点変換し、位置合わせ手段は、異なる時刻における、視点変換された第1の所定領域の画像と第2の所定領域の画像とをそれぞれ個別に位置合わせする。差分値検出手段は、位置合わせされた異なる時刻の画像から差分値を検出する。後続車両検出手段は、検出された第1の所定領域の差分値と第2の所定領域の差分値との隔たりから後続の二輪車を検出する。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、移動体の一方の側後方の隣接車線から区分線を跨いで前記移動体の直後方側まで設けられた第1の所定領域と、移動体の他方の側後方の隣接車線から区分線を跨いで前記移動体の直後方側まで設けられた第2の所定領域との双方の画像について、位置を合わせて差分値を検出し、それぞれの差分値の隔たりから二輪車を検出する。ここで、真後ろの二輪車は車線の一側に寄って走行していることが多く、第1の所定領域と第2の所定領域との差分値は真後ろに二輪車が存在する場合、一方のみが大きな値を示す傾向にある。このため、両者差分値の隔たりから真後ろの二輪車を検出することができる。また、撮像手段により得られた画像の第1の所定領域と第2の所定領域との差分値から二輪車を検出するため、撮像手段を複数備える必要が無い。従って、撮像手段の数を増加させる必要が無く、且つ、移動体の真後ろの二輪車について検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本実施形態に係る走行支援装置の概略構成図であって、走行支援装置が車両Vに搭載される場合の例を示している。
【図2】図1に示した車両の走行状態を示す上面図である。
【図3】図1に示した計算機の詳細を示すブロック図である。
【図4】図3に示した位置合わせ部の処理の概要を示す上面図であり、(a)は車両の移動状態を示し、(b)は位置合わせの概要を示している。
【図5】図3に示した隣接車両検出部による差分波形の生成の様子を示す概略図である。
【図6】本実施形態に係る走行支援方法の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の好適な実施形態を図面に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る走行支援装置1の概略構成図であって、走行支援装置1が車両Vに搭載される場合の例を示している。図1に示すように、走行支援装置1は、カメラ(撮像手段)10と、車速センサ20と、計算機30と、警報装置40を備えている。
【0010】
図1に示すカメラ10は、車両Vの後部における高さhの箇所において、光軸が水平から下向きに角度θとなるように取り付けられている。カメラ10は、この位置から自車両Vの後方及び側後方を撮像するようになっている。車速センサ20は、車両Vの走行速度を検出するものであって、例えば車輪に回転数を検知する車輪速センサで検出した車輪速から速度を算出する。計算機30は、車両後方側の隣接車両等を検出するものである。警報装置40は、計算機30により検出された隣接車両が自車両Vに接触する可能性がある場合などに、自車両Vの運転者に警報するものである。
【0011】
図2は、図1に示した車両Vの走行状態を示す上面図である。図2に示すように、カメラ10は、所定の画角で車両後方側を撮像する。このとき、カメラ10の画角内には自車両Vが走行する車線に加えて、その左右の車線についても撮像可能となっている。
【0012】
特に、本実施形態に係る走行支援装置1の計算機30は、第1の所定領域A1と第2の所定領域A2との画像に基づいて、自車両Vの真後ろを走る自動車や二輪車などの後続車両を検出すると共に、第3の所定領域A3と第4の所定領域A4との画像に基づいて、隣接車線を走行する隣接車両を検出する。
【0013】
ここで、第1の所定領域A1は、自車両Vの一方の側後方の隣接車線から区分線DLを跨いで自車両Vの直後方側まで設けられている。また、第2の所定領域A2は、自車両Vの他方の側後方の隣接車線から区分線DLを跨いで自車両Vの直後方側まで設けられている。すなわち、第1の所定領域A1と第2の所定領域A2とは、自車両Vが走行する車線(以下自車線という)の略中心を二分するように、走行車線の左右にそれぞれ設定されている。さらに、第3の所定領域A3は自車両Vの一方の側後方の隣接車線に相当する位置に設けられており、第4の所定領域A4は自車両Vの他方の側後方の隣接車線に相当する位置に設けられている。
【0014】
図3は、図1に示した計算機30の詳細を示すブロック図である。なお、図3においては、接続関係を明確とするためにカメラ10、車速センサ20及び警報装置40についても図示するものとする。
【0015】
図3に示すように、計算機30は、視点変換部(変換手段)31と、差分検出部32と、移動体検出部33とを備えている。
【0016】
まず、視点変換部31は、カメラ10による撮像にて得られた撮像画像データを入力し、入力した撮像画像データを鳥瞰視される状態の鳥瞰画像データに視点変換するものである。鳥瞰視される状態とは、上空から例えば鉛直下向きに見下ろす仮想カメラの視点から見た状態である。この視点変換は、例えば特開2008−219063号公報に記載さるようにして実行される。
【0017】
差分検出部32は、視点変換部31により視点変換された鳥瞰画像データを入力し、時刻の異なる鳥瞰画像データの差分を検出して差分画像データを生成するものである。この差分検出部32は、位置合わせ部(位置合わせ手段)32aと差分値検出部(差分値検出手段)32bとを有している。
【0018】
位置合わせ部32aは、視点変換部31の視点変換により得られた鳥瞰画像データを順次入力し、入力した異なる時刻の鳥瞰画像データの位置を合わせるものである。図4は、図3に示した位置合わせ部32aの処理の概要を示す上面図であり、(a)は車両Vの移動状態を示し、(b)は位置合わせの概要を示している。
【0019】
図4(a)に示すように、現時刻の自車両VがV1に位置し、一時刻前の自車両VがV2に位置しているとする。また、自車両Vの後側方向に他車両Vが位置して自車両Vと並走状態にあり、現時刻の他車両VがV3に位置し、一時刻前の他車両VがV4に位置しているとする。さらに、自車両Vは、一時刻で距離d移動したものとする。なお、一時刻前とは、現時刻から予め定められた時間(例えば1制御周期)だけ過去の時刻であっても良いし、任意の時間だけ過去の時刻であっても良い。
【0020】
このような状態において、現時刻における鳥瞰画像PBは図4(b)に示すようになる。この鳥瞰画像PBでは、路面上に描かれる白線については矩形状となり、比較的正確に上面視された状態となっているが、他車両V3については倒れ込みが発生している。また、一時刻前における鳥瞰画像PBt−1についても同様に、路面上に描かれる区分線については矩形状となり、比較的正確に上面視された状態となっているが、他車両V4については倒れ込みが発生している。
【0021】
位置合わせ部32aは、上記のような鳥瞰画像PB,PBt−1の位置合わせをデータ上で実行する。この際、位置合わせ部32aは、一時刻前における鳥瞰画像PBt−1をオフセットさせ、現時刻における鳥瞰画像PBと位置を一致させる。オフセット量d’は、図4(a)に示した移動距離dに対応するだけの量となり、車速センサ20からの信号と一時刻前から現時刻までの時間に基づいて決定される。
【0022】
差分値検出部32bは、第1〜第4の所定領域A1〜A4それぞれの差分値を検出するものである。差分値を検出するにあたり、まず差分値検出部32bは、鳥瞰画像PB,PBt−1の差分をとり、差分画像PDのデータを生成する。ここで、差分画像PDの画素値は、鳥瞰画像PB,PBt−1の画素値の差を絶対値化したものでもよいし、照度環境の変化に対応するために当該絶対値が規定値を超えたときに「1」とし、超えないときに「0」としてもよい。
【0023】
そして、以上のような処理の後、差分検出部32bは差分値を検出する。このとき、差分画像PDの画素値が鳥瞰画像PB,PBt−1の画素値の差を絶対値化したものである場合、差分検出部32bは、例えば第1〜第4の所定領域A1〜A4それぞれにおける領域内の全画素について画素値を加算することにより、差分値を検出する。また、差分画像PDの画素値について、鳥瞰画像PB,PBt−1の画素値の差を絶対値化して得られた絶対値が規定値を超えたときに「1」とされている場合、差分値検出部32bは
、例えば第1〜第4の所定領域A1〜A4それぞれにおける領域内において「1」とされている画素数を加算して差分値を検出する。
【0024】
移動体検出部33は、第1〜第4の所定領域A1〜A4内の後続車両や隣接車両を検出するものであって、後続車両検出部(後続車両検出手段)33aと隣接車両検出部(隣接車両検出手段)33bとを有している。
【0025】
後続車両検出部33aは、第1の所定領域A1と第2の所定領域A2との差分値に基づいて、後続車両を検出するものである。この際、後続車両検出部33aは、後続車両が自動車であるか、二輪車であるかを判断する。隣接車両検出部33bは、第3の所定領域A3と第4の所定領域A4との差分値に基づいて、隣接車線を走行する隣接車両を検出するものである。なお、隣接車両については差分値から検出する方法の他、差分波形から求める方法もある。
【0026】
次に、後続車両検出部33aによる後続車両の検出の詳細について説明する。上記したように、後続車両検出部33aは、差分値検出部32bにより検出された第1の所定領域A1の差分値と、第2の所定領域A2の差分値とを入力する。そして、後続車両検出部33aは、第1の所定領域A1の差分値が所定値以上であるかを判断すると共に、第2の所定領域A2の差分値が所定値以上であるかを判断する。
【0027】
次いで、後続車両検出部33aは、第1の所定領域A1と第2の所定領域A2とのうち、いずれか一方のみの所定領域A1,A2における差分値が所定値以上である場合、後続車両が二輪車であると判断し、双方の所定領域A1,A2における差分値が所定値以上である場合、後続車両が自動車であると判断する。また、後続車両検出部33aは、いずれの所定領域A1,A2についても差分値が所定値以上でない場合、後続車両が存在しないと判断する。
【0028】
ここで、上記のように判断する理由は以下の通りである。まず、自車両Vの真後ろに後続車両が存在する場合、後続車両が差分となって検出されるため、差分値は大きくなる傾向にある。また、二輪車については車線の一側に寄って走行することが多い。このため、第1及び第2の所定領域A1,A2のうちいずれか一方のみの差分値が大きくなる傾向にある。これに対して、後続車両が自動車である場合、自動車は車線の一側に寄って走行することができないことから、第1及び第2の所定領域A1,A2の双方の差分値が大きくなる傾向にある。
【0029】
このように、本実施形態に係る後続車両検出部33aは、第1及び第2の所定領域A1,A2の差分値の隔たりから後続の二輪車を検出できる構成となっている。
【0030】
また、隣接車両検出部33bによる隣接車両の検出の詳細について説明する。上記したように、隣接車両検出部33bは、差分値検出部32bにより検出された第3の所定領域A3の差分値と、第4の所定領域A4の差分値とを入力する。そして、隣接車両検出部33bは、第3の所定領域A3の差分値が所定の閾値以上であるかを判断すると共に、第4の所定領域A4の差分値が所定の閾値以上であるかを判断する。
【0031】
次いで、隣接車両検出部33bは、第3の所定領域A3の差分値が所定の閾値以上であると判断した場合、第3の所定領域A3の隣接車両が存在すると判断する。また、第4の所定領域A4の差分値が所定の閾値以上であると判断した場合、第4の所定領域A4の隣接車両が存在すると判断する。
【0032】
再度、図3に基づいて計算機30の構成を説明する。計算機30は閾値変更部(閾値変
更手段)34を備えている。閾値変更部34は、隣接車両検出部33bにより隣接車両を検出する際に行われる閾値処理の閾値を変更するものである。
【0033】
より詳細に、閾値変更部34は、後続車両検出部33aにより後続車両が二輪車であると判断された場合、第3の所定領域A3と第4の所定領域A4のうち、二輪車が存在すると判断された側の領域について、所定の閾値を低くする。ここで、第3の所定領域A3と第4の所定領域A4とのうち、二輪車が存在する側の所定領域では二輪車が存在することにより隣接車両を検出し難くなってしまう。このため、閾値を低くすることにより隣接車両を検出し易くして、隣接車両の検出漏れの頻度を低減させることができる。
【0034】
なお、隣接車両検出部33bは、以下に記載するように、差分値を波形化して隣接車線を検出するようになっていてもよい。
【0035】
図5は、図3に示した隣接車両検出部33bによる差分波形の生成の様子を示す概略図である。なお、図5に示す例では、便宜上第3の所定領域A3のみを用いて説明するが、第4の所定領域A4についても同じである。図5に示すように、隣接車両検出部33bは、差分画像PDのうち第3の所定領域A3に相当する部分から、差分波形DWを生成する。この際、隣接車両検出部33bは、視点変換により立体物が倒れ込む方向に沿って、差分波形DWを生成する。
【0036】
具体的に説明すると、まず隣接車両検出部33bは、差分画像DWのデータ上において立体物が倒れ込む方向上の線Laを定義する。そして、隣接車両検出部33bは、線La上において所定の差分を示す差分画素DPの数をカウントする。ここで、差分画像DWの画素値が「0」「1」で表現されているもとし、「1」を示す画素の数がカウントされる。
【0037】
隣接車両検出部33bは、差分画素DPの数をカウントした後、線Laと接地線L1との交点CPを求める。そして、隣接車両検出部33bは、交点CPとカウント数とを対応付け、交点CPの位置に基づいて横軸位置(図5の紙面上下方向軸における位置)を決定し、カウント数から縦軸位置(図5の紙面左右方向軸における位置)を決定する。
【0038】
以下同様に、隣接車両検出部33bは、立体物が倒れ込む方向上の線を定義して、差分画素DPの数をカウントし、交点CPの位置に基づいて横軸位置を決定し、カウント数(差分画素DPの数)から縦軸位置を決定する。隣接車両検出部33bは、上記を順次繰り返して度数分布化することで差分波形DWを生成する。
【0039】
なお、図5に示すように、立体物が倒れ込む方向上の線Laと線Lbとは第4の所定領域A4と重複する距離が異なっている。このため、第4の所定領域A4が差分画素DPで満たされているとすると、線Lb上よりも線La上の方が差分画素DPの数が多くなってしまう。このため、隣接車両検出部33bは、差分画素DPのカウント数から縦軸位置を決定する場合、立体物が倒れ込む方向上の線La,Lbと検出領域A1とが重複する距離に基づいて正規化する。具体例を挙げると、図5において線La上の差分画素DPは6つあり、線Lb上の差分画素DPは5つである。このため、図5においてカウント数から縦軸位置を決定するにあたり、隣接車両検出部33bは、カウント数を重複距離で除算するなどして正規化する。これにより、差分波形DWに示すように、立体物が倒れ込む方向上の線La,Lbに対応する差分波形DWの値はほぼ同じとなっている。
【0040】
差分波形DWの生成後、隣接車両検出部33bは、差分波形DWのピークが所定の閾値以上であるか否かを判断する。ここで、差分波形DWのピークが所定の閾値以上でない場合、すなわち差分が殆どなく、撮像画像P内には立体物が存在しないと考えられる
。このため、隣接車両検出部33bは、隣接車両が存在しないと判断する。一方、差分波形DWのピークが所定値以上であると判断した場合、立体物検出部33は、隣接車線に隣接車両が走行していると判断する。
【0041】
次に、本実施形態に係る走行支援方法について、フローチャートを参照して説明する。図6は、本実施形態に係る走行支援方法の一例を示すフローチャートである。
【0042】
まず、図6に示すように、計算機30は、車速センサ20からの信号に基づいて、自車両Vが所定速度以下であるか否かを判断する(S1)。自車両Vが所定速度以下であると判断した場合(S1:YES)、位置合わせ部32aは位置合わせを行う。そして、差分値検出部32bは、第3及び第4の所定領域A3,A4の差分を検出する(S2)。
【0043】
次いで、隣接車両検出部33bは、第3及び第4の所定領域A3,A4におけるいずれ一方又は双方が所定の閾値以上であるか否かを判断する(S3)。第3及び第4の所定領域A3,A4におけるいずれ一方又は双方が所定の閾値以上であると判断した場合(S3:YES)、隣接車両検出部33bは、隣接車両が存在すると判断し、その旨の信号を警報装置40に送信する。これにより、警報装置40は警報を行い(S4)、図6に示す処理は終了する。
【0044】
一方、第3及び第4の所定領域A3,A4におけるいずれ一方又は双方が所定の閾値以上でないと判断した場合(S3:NO)、後続車両検出部33aは隣接車両が存在しないと判断する。そして、差分値検出部32bは、第1及び第2の所定領域A1,A2の差分を検出する(S5)。
【0045】
その後、後続車両検出部33aは、第1及び第2の所定領域A1,A2におけるいずれ一方又は双方が所定値以上であるか否かを判断する(S6)。第1及び第2の所定領域A1,A2におけるいずれ一方又は双方が所定値以上でないと判断した場合(S6:NO)、閾値変更部34は、隣接車両の判断の際に用いた所定の閾値を「高」に設定する(S7)。その後、図6に示す処理は終了する。
【0046】
第1及び第2の所定領域A1,A2におけるいずれ一方又は双方が所定値以上であると判断した場合(S6:YES)、後続車両検出部33aは一方のみが所定値以上であるか否かを判断する(S8)。一方のみが所定値以上であると判断した場合(S8:YES)、後続車両検出部33aは自車両Vの真後ろに二輪車が存在すると判断する。そして、閾値変更部34は、隣接車両の判断の際に用いた所定の閾値を「低」に設定する(S9)。その後、図6に示す処理は終了する。ここで、第3の所定領域A3と第4の所定領域A4とのうち、二輪車が存在する側の所定領域では二輪車が存在することにより隣接車両を検出し難くなってしまう。このため、所定の閾値を低くすることにより隣接車両を検出し易くして、隣接車両の検出漏れの頻度を低減させることができる。
【0047】
一方、一方のみが所定値以上でないと判断した場合(S8:NO)、すなわち双方が所定値以上である場合、後続車両検出部33aは自車両Vの真後ろに自動車が存在すると判断する。そして、閾値変更部34は、隣接車両の判断の際に用いた所定の閾値を「高」に設定する(S7)。その後、図6に示す処理は終了する。
【0048】
ところで、自車両Vが所定速度以下でないと判断した場合(S1:NO)、位置合わせ部32aは位置合わせを行う。そして、閾値変更部34は、隣接車両の判断の際に用いた所定の閾値を「高」に設定する(S10)。
【0049】
次に、差分値検出部32bは、第3及び第4の所定領域A3,A4の差分を検出する(
S11)。そして、隣接車両検出部33bは、第3及び第4の所定領域A3,A4におけるいずれ一方又は双方が所定の閾値以上であるか否かを判断する(S12)。第3及び第4の所定領域A3,A4におけるいずれ一方又は双方が所定の閾値以上であると判断した場合(S12:YES)、隣接車両検出部33bは、隣接車両が存在すると判断し、その旨の信号を警報装置40に送信する。これにより、警報装置40は警報を行い(S4)、図6に示す処理は終了する。
【0050】
一方、第3及び第4の所定領域A3,A4におけるいずれ一方又は双方が所定の閾値以上でないと判断した場合(S12:NO)、警報は行われることなく、図6に示す処理は終了する。
【0051】
このようにして、本実施形態に係る走行支援装置1及び走行支援方法によれば、自車両Vの一方の側後方の隣接車線から区分線DLを跨いで自車両Vの直後方側まで設けられた第1の所定領域A1と、自車両Vの他方の側後方の隣接車線から区分線DLを跨いで自車両Vの直後方側まで設けられた第2の所定領域A2との双方の画像について、位置を合わせて差分値を検出し、それぞれの差分値の隔たりから二輪車を検出する。ここで、真後ろの二輪車は車線の一側に寄って走行していることが多く、第1の所定領域A1と第2の所定領域A2との差分値は真後ろに二輪車が存在する場合、一方のみが大きな値を示す傾向にある。このため、両者差分値の隔たりから真後ろの二輪車を検出することができる。また、カメラ10により得られた画像の第1の所定領域A1と第2の所定領域A2との差分値から二輪車を検出するため、カメラ10を複数備える必要が無い。従って、カメラ10の数を増加させる必要が無く、且つ、自車両Vの真後ろの二輪車について検出することができる。
【0052】
また、第1の所定領域A1と第2の所定領域A2とは、自車両Vが走行する車線の略中心線近傍から二分するように当該車線の左右にそれぞれ設定されているため、例えば真後ろの二輪車が自車両を追い越そうとしている場合など、左右どちら側から追い越しをしてくるのかを予測することができる。
【0053】
また、第1の所定領域A1と第2の所定領域A2とのいずれか一方のみの差分値が所定値以上である場合、後続車両を二輪車と判断し、第1の所定領域A1と第2の所定領域A2との双方の差分値が所定値以上である場合、後続車両を自動車と判断する。ここで、真後ろの二輪車については第1の所定領域A1と第2の所定領域A2との差分値の一方のみが大きな値を示す傾向にあるが、自動車については車線の一側のみに寄って走行することが無く、双方の差分値が所定値以上となる。従って、後続車両が二輪車か自動車かを判断することができる。
【0054】
また、隣接車線に設けられた第3の所定領域A3の画像と第4の所定領域A4の画像とについてそれぞれの差分値を検出し、差分値が所定の閾値以上である場合、隣接車両が存在すると検出する。また、後続車両が二輪車であると判断された場合、第3の所定領域A3と第4の所定領域A4のうち、後続車両が存在すると判断された側の領域について、所定の閾値を低くする。ここで、第3の所定領域A3と第4の所定領域A4とのうち、二輪車が存在する側の所定領域では二輪車が存在することにより隣接車両を検出し難くなってしまう。このため、閾値を低くすることにより隣接車両を検出し易くして、隣接車両の検出漏れの頻度を低減させることができる。
【0055】
また、自車両Vの速度が所定速度以下である場合に、第3の所定領域A3と第4の所定領域A4のうち、後続車両が存在すると判断された側の領域について、所定の閾値を低くする。ここで、速度が所定速度以下である場合、真後ろの二輪車は自車両を追い越し易く、二輪車が自車両を追い越そうとして自車両Vと第3の所定領域A3や第4の所定領域A
4との間に位置することが多くなる。このため、隣接車両を検出し難くなってしまうことが多い。よって、自車両Vの速度が所定速度以下である場合のみに所定の閾値を低くすることで、適切に所定の閾値を変更することができる。
【0056】
以上、実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に限られるものでは無く、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、変更を加えてもよい。
【0057】
例えば、上記実施形態において、自車両Vの車速を速度センサ20からの信号に基づいて判断しているが、これに限らず、異なる時刻の複数の画像から速度を推定するようにしてもよい。この場合、車速センサが不要となり、構成の簡素化を図ることができる。
【0058】
なお、上記実施形態においては撮像した現時刻の画像と一時刻前の画像とを鳥瞰図に変換し、変換した鳥瞰図の位置合わせを行っているが、これに限定されない。すなわち、現時刻の画像と一時刻前の画像との位置合わせを行い、位置合わせを行った両画像の差分から差分画像PDを生成し、差分画像PDを鳥瞰図に変換するようにしてもよい。
【0059】
さらに、上記実施形態においては差分値から隣接車両や後続車両を検出しているが、この差分値は現時刻にて得られた画像と1制御周期前に得られた画像との差分値のみならず、現時刻にて得られた画像と数制御周期前に得られた画像との差分値であってもよいし、得られた差分値を複数回分蓄積して得られた合計値や平均値などであってもよい。
【符号の説明】
【0060】
1…走行支援装置
10…カメラ(撮像手段)
20…車速センサ
30…計算機
31…視点変換部(視点変換手段)
32…差分検出部
32a…位置合わせ部(位置合わせ手段)
32b…差分値検出部(差分地検出手段)
33…移動体検出部
33a…後続車両検出部(後続車両検出手段)
33b…隣接車両検出部(隣接車両検出手段)
34…閾値変更部(閾値変更手段)
40…警報装置
A1〜A4…所定領域
CP…交点
DL…区分線
DP…差分画素
DW…差分波形
L1…接地線
La,Lb…立体物が倒れ込む方向上の線
PB…鳥瞰画像
PD…差分画像
V…自車両

【特許請求の範囲】
【請求項1】
移動体後部に搭載され、当該移動体の後方を撮像する撮像手段と、
前記撮像手段による撮像にて得られた画像を鳥瞰視される状態へ視点変換する視点変換手段と、
前記視点変換手段により視点変換された異なる時刻の、前記移動体の一方の側後方の隣接車線から区分線を跨いで前記移動体の直後方側まで設けられた第1の所定領域の画像と、前記移動体の他方の側後方の隣接車線から区分線を跨いで前記移動体の直後方側まで設けられた第2の所定領域の画像とについて、それぞれ個別に位置を合わせる位置合わせ手段と、
前記位置合わせ手段により位置合わせされた異なる時刻の第1の所定領域及び第2の所定領域の画像データそれぞれの差分値を検出する差分値検出手段と、
前記差分値検出手段により検出された第1の所定領域の差分値と第2の所定領域の差分値との隔たりから後続の二輪車を検出する後続車両検出手段と、
を備えることを特徴とする走行支援装置。
【請求項2】
前記第1の所定領域と前記第2の所定領域とは、前記移動体が走行する車線の略中心線近傍から二分するように当該車線の左右にそれぞれ設定されている
ことを特徴とする請求項1に記載の走行支援装置。
【請求項3】
前記後続車両検出手段は、前記第1の所定領域と前記第2の所定領域とのいずれか一方のみの差分値が所定値以上である場合、後続車両を二輪車と判断し、前記第1の所定領域と前記第2の所定領域との双方の差分値が所定値以上である場合、後続車両を自動車と判断する
ことを特徴とする請求項2に記載の走行支援装置。
【請求項4】
前記移動体が走行する車線に隣接する隣接車線を走行する隣接車両を検出する隣接車両検出手段と、
前記隣接車両検出手段が隣接車両を検出する際に行われる閾値処理の閾値を変更する閾値変更手段と、をさらに備え、
前記位置合わせ手段は、前記視点変換手段により視点変換された異なる時刻の、前記移動体の一方の側後方の隣接車線に設けられた第3の所定領域の画像と、前記移動体の他方の側後方の隣接車線に設けられた第4の所定領域の画像とについて、それぞれ個別に位置を合わせ、
前記差分値検出手段は、前記位置合わせ手段により位置合わせされた異なる時刻の第3の所定領域及び第4の所定領域の画像データそれぞれの差分値を検出し、
前記隣接車両検出手段は、前記差分値検出手段により検出された第3の所定領域の差分値と第4の所定領域とのいずれか一方の差分値が所定の閾値以上である場合、隣接車両が存在すると検出し、
前記閾値変更手段は、前記後続車両検出手段により後続車両が二輪車であると判断された場合、前記第3の所定領域と前記第4の所定領域のうち、後続車両が存在すると判断された側の領域について、前記所定の閾値を低くする
ことを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の走行支援装置。
【請求項5】
前記閾値変更手段は、前記移動体の速度が所定速度以下である場合に、前記第3の所定領域と前記第4の所定領域のうち、後続車両が存在すると判断された側の領域について、前記所定の閾値を低くする
ことを特徴とする請求項4に記載の走行支援装置。
【請求項6】
移動体後部から、当該移動体の後方を撮像する撮像工程と、
前記撮像工程における撮像にて得られた画像を鳥瞰視される状態へ視点変換する視点変換工程と、
前記視点変換工程において視点変換された異なる時刻の、前記移動体の一方の側後方の隣接車線から区分線を跨いで前記移動体の直後方側まで設けられた第1の所定領域の画像と、前記移動体の他方の側後方の隣接車線から区分線を跨いで前記移動体の直後方側まで設けられた第2の所定領域の画像とについて、それぞれ個別に位置を合わせる位置合わせ工程と、
前記位置合わせ工程において位置合わせされた異なる時刻の第1の所定領域及び第2の所定領域の画像データそれぞれの差分値を検出する差分値検出工程と、
前記差分値検出工程において検出された第1の所定領域の差分値と第2の所定領域の差分値との隔たりから後続の二輪車を検出する後続車両検出工程と、
を有することを特徴とする走行支援方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−227639(P2012−227639A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−91942(P2011−91942)
【出願日】平成23年4月18日(2011.4.18)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】