説明

走行玩具

【課題】 送信機からの操作信号に応答して走行中にドリフト走行に移行することが可能な走行玩具を提供する。
【解決手段】 走行玩具1は、車体14と、走行玩具1の動作制御を行う制御部と、車体14の前側で車体14に対して左右方向に回動可能に取付けられた前輪10と、車体14の後側に取付けられた後輪11と、車体14の左右両側において左右方向に突出可能に取付けられた一対の補助輪12と、後輪11を駆動する後輪駆動部と、前輪10を車体14に対して左右方向に回動させる方向制御部と、補助輪12を車体14に対して左右方向に突出させる補助輪突出手段5と、前輪10を旋回方向と逆方向に回動させる前輪回動手段8と、を備え、前輪回動手段8の動作と連係して補助輪突出手段5を作動させることにより旋回方向内側の補助輪12を突出させ、この補助輪突出手段5と前輪回動手段を動作させた状態を維持可能に構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、送信機からの操作信号によって遠隔操縦される走行玩具であって、特に、ドリフト走行することのできる走行玩具に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、遠隔操縦式の自転車やオートバイ等の二輪車走行玩具において、車体を傾斜させて後輪を横に滑らせながら走る所謂ドリフト走行を行わせることのできる走行玩具が提案されている(例えば特許文献1)。特許文献1の発明に係る走行玩具は、後輪を前輪に対して傾斜させた状態を維持させて走行させることでドリフト走行を行わせることができるものである。
【特許文献1】特開2007−20849号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
特許文献1の発明は、自転車が装着されたとき自転車の後輪に回転を与え、後輪を接地させたとき自転車が前方に発射される構成の発射具に関するもので、後輪が傾斜していない状態で装着して発射させると直線走行を行い、位置決め手段によって後輪を前輪に対して傾斜させた状態で発射させることによってドリフト走行をさせるものである。このため、発射具に自転車を装着したときの後輪の状態によって一般的な通常走行かドリフト走行のいずれ一方の走行が行われる構成となっており、通常の走行中にドリフト走行に移行することができるものではなかった。
【0004】
本発明は、このような従来技術の問題点に鑑みてなされたものであり、送信機からの操作信号に応答して走行玩具を直進又は旋回走行をさせると共に走行状態にある走行玩具を容易にドリフト走行に移行することが可能な走行玩具を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の走行玩具は、送信機からの操作信号によって遠隔操縦される走行玩具であって、車体と、前記送信機からの遠隔操作信号に応答して走行玩具の動作制御を行う制御部と、前記車体の前側において該車体に対して左右方向に回動可能に取付けられた前輪と、前記車体の後側に取付けられた後輪と、前記車体の左右両側において該車体に対して各々左右方向に突出可能に取付けられた一対の補助輪と、前記後輪を駆動する後輪駆動部と、前記前輪を前記車体に対して左右方向に回動させることで走行玩具の旋回方向を制御する方向制御部と、前記各補助輪を前記車体に対して左右方向に各々突出させる補助輪突出手段と、前記方向制御部とは別に設けられた前記前輪を右方向或いは左方向に回動させる前輪回動手段と、を備え、前記制御部は、前記送信機からの操作信号に応答して、前記後輪駆動部により後輪を駆動させることで前記走行玩具の走行を開始し、この走行状態にあるとき前記方向制御部を制御して前記前輪を左方向或いは右方向に回動させて旋回走行へ移行し、旋回走行にあるとき前記前輪回動手段を制御して前記前輪を前記旋回方向とは逆方向に所定量回動させることで前記車体を傾倒させた旋回走行姿勢へ移行させ、前記前輪回動手段の制御と連携して前記補助輪突出手段を動作させることにより前記傾倒方向にある前記補助輪を前記車体外方の所定位置まで突出させ、前記前輪回動手段により前輪を旋回方向とは逆方向に回動させた前記前輪の回動状態及び前記補助輪突出手段により傾倒方向にある前記補助輪の突出状態を維持して前記補助輪が走行面に接地するまで前記車体を傾倒させる制御を実行することで前記補助輪を走行面に接地させたドリフト走行姿勢へ移行するように構成されて成るものである。
【0006】
そして、前記走行玩具の前記制御部は、前記前輪回動手段を制御して前記前輪を前記旋回方向とは逆方向に所定量回動させる制御と連携して前記後輪駆動部から前記後輪に加わる駆動力を増強する制御を実行するように形成することがあり、これにより容易にドリフト走行姿勢へ移行することを可能としている。
【0007】
更に、前記走行玩具は、前記補助輪突出手段と前記前輪回動手段の動作を制御するカム機構を備え、前記前輪回動手段を制御して前記前輪を前記旋回方向とは逆方向に所定量回動させる前記前輪の回動制御と前記補助輪の突出制御が前記カム機構によって連動して実行されるようにすることもある。
【0008】
又、前記走行玩具は、前記車体の先端部に上部が後方側に傾斜した状態で装着されたキャスタ軸と、前記前輪を保持すると共に前記キャスタ軸を中心として前記車体に対して左右方向に回動可能に配設されたフロントフォークと、を更に備え、該フロントフォークは、下部において前記前輪を保持する前輪保持部と、上部において前記車体の先端部を支持する車体支持部と、を具備し、前記カム機構は、押圧カムと、駆動源としてのモータを備えたカム駆動部と、前記前輪回動手段に回動力を伝達するカム動作部と、前記押圧カムの回動と連動して前記カム動作部に回動力を伝達する主軸と、前記モータの駆動力を当該主軸に伝達可能に配設される減速機構と、を有し、前記補助輪突出手段は、前記押圧カムと、前記補助輪を保持すると共に前記車体に対して上下方向に回動可能に配設された一対の補助輪保持部と、を備え、前記押圧カムは、前記主軸が回動したとき前記補助輪保持部を押圧する押圧部を左右端に有し、前記前輪回動手段は、前記車体の前端近傍に枢設され前記カム動作部からの力が伝達されるリンクベースと、前記フロントフォークと、前記リンクベースと前記フロントフォークとの間を連結する連結バーと、から構成されるリンク機構であって、前記送信機からの遠隔操作信号に応答して前記カム駆動部を駆動して前記主軸を回動させて、前記押圧カムを回動させると共に前記リンクベースを前記カム動作部によって回動させることにより、前記押圧カムの押圧部によって一対の前記補助輪保持部のうち一方の補助輪保持部を押圧して前記補助輪を前記車体外方の所定位置まで突出するように当該補助輪保持部を回動させると共に前記フロントフォークを前記キャスタ軸を中心として左右方向に回動させるように構成することもある。
【0009】
そして、前記方向制御部は、前記送信機からの遠隔操作信号に応答して電流が流れるソレノイドコイルと、該ソレノイドコイルにより発生する磁場により吸引・反発力を生じる磁石と、該磁石と前記フロントフォークとの間を連結する連結棒と、を備え、前記制御部は、前記送信機からの遠隔操作信号に応答して前記ソレノイドコイルに電流を流す制御を実行することで前記磁石を吸引及び反発することにより、吸引・反発力を前記連結棒を介して前記フロントフォークに伝達し、前記前輪が前記車体に対して左右方向に回動するように構成することが好適である。
【0010】
また、前記補助輪突出手段は、前記補助輪保持部を付勢可能に配置された一対の弾性体を備えてなり、前記制御部は、前記走行玩具が前記ドリフト走行状態にあるとき、前記送信機からの遠隔操作信号に応答して、前記カム駆動部を駆動させ、前記押圧カムを通常の走行状態の位置まで回動させる制御を行うことにより、前記補助輪保持部を前記押圧カムの押圧部の押圧力から解放し、前記弾性体の弾性力によって当該補助輪保持部を通常の走行状態の位置まで回動させるように構成することで、ドリフト走行状態から通常の走行状態へ復帰可能に構成することもできる。
【0011】
更に、本発明は、車体と、送信機からの遠隔操作信号に応答して動作制御を実行する制御部と、前記車体の前側に取付けられた前輪と、前記車体の後側に取付けられた後輪と、前記前輪を前記車体に対して左右方向に回動させる前輪回動機構と、前記後輪を駆動する後輪駆動部と、を備えた走行玩具であって、前記走行玩具は、前記車体の左右両側にそれぞれ取り付けられた補助輪と、前記補助輪を前記車体から外方に突出させる動作を行わせる補助輪突出手段と、をさらに備えてなり、前記制御部は、前記送信機からの操作信号に応答して、前記後輪駆動部により後輪を駆動させることで走行を開始させ、この走行状態にあるとき前記前輪回動機構を制御して前記前輪を左方向或いは右方向に回動させて旋回走行へ移行させ、旋回走行にあるとき、前記前輪回動機構を制御して前記前輪を前記旋回走行の旋回方向とは逆方向に所定量回動させることで前記車体を傾倒させた走行姿勢へ移行させ、前記前輪回動機構によって前輪を旋回方向とは逆方向に回動させる制御と連携して、前記補助輪突出手段を動作させて前記車体が傾倒する方向にある前記補助輪を前記車体から外方に突出させ、前記前輪を旋回方向と逆方向に回動させた前輪の回動状態及び前記補助輪突出手段により車体の傾倒方向にある前記補助輪の突出状態を維持して前記補助輪が走行面に接地するまで前記車体を傾倒させる制御を実行することで、前記補助輪を走行面に接地させたドリフト走行姿勢へ移行するように構成されることもある。
【0012】
また、前輪回動機構は、通常の走行状態において前記前輪を左右方向に回動させることで前記走行玩具の旋回方向を制御する方向制御部と、前記方向制御部とは別に設けられ前記前輪を所定量だけ回動させる前輪回動手段と、によって構成され、前記前輪を左方向或いは右方向に回動させて旋回走行へ移行させる旋回走行への移行は前記方向制御手段を制御することによって実行され、前記旋回走行にあるとき、前記前輪回動機構を制御して前記前輪を前記旋回走行の旋回方向とは逆方向に所定量回動させることで前記車体を傾倒させた走行姿勢へ移行させる前記傾倒走行姿勢への移行は前記前輪回動手段を制御することによって実行されるように構成されることもある。
【0013】
前記車体を傾倒させた走行姿勢への移行は、走行状態にあるときに前記前輪回動機構を制御して前記前輪を左方向或いは右方向に急速に回動する動きを与えることで車体に働く慣性力を利用して行うことも可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、走行玩具の車体の両側にそれぞれ外方に突出動作可能な補助輪を設け、車体を傾倒走行姿勢に移行させる操作に連携して傾倒方向にある側の補助輪を車体外方に突出させ、車体を傾倒走行姿勢に移行させた前記前輪回動機構に対す制御を維持して車体の傾倒角度をさらに大きくすることで、補助輪が走行面に接地したドリフト走行姿勢へ移行することができるため、遊戯者が任意のタイミングで走行中にある走行玩具を容易にドリフト走行させることができる。又、補助輪突出手段及び前輪回動手段を動作させた状態を維持することにより、ドリフト走行を安定的に行うことができる。
【0015】
そして、ドリフト走行に移行させる際に、制御部からの制御信号に基づいて、前輪を旋回方向と逆方向に回動させる前輪回動手段の動作に連動して後輪駆動部から後輪に加わる駆動力を増強する動作を実行し後輪を空転させることにより、更に容易にドリフト走行を行わせることができる。
【0016】
そして、前輪を保持するフロントフォークを傾斜した状態で装着されたキャスタ軸を中心として車体に対して左右方向に回動可能に配設することで、走行玩具が通常の走行状態にあるときには、キャスタ効果により走行玩具を安定して走行させることができる。
【0017】
又、方向制御部にソレノイドコイルと磁石を備え、ソレノイドコイルに電流を流し磁石を反発及び吸引することにより、前輪を回動させることとすれば、車体の直進走行状態のバランスを若干崩す程度の弱い制御トルクをフロントフォークに加えることで、車体を傾斜させて旋回走行をさせることができるため、方向変換の反応を敏感にすることができる。
【0018】
更に、補助輪突出手段に弾性体を備えることで、ドリフト走行するときだけ補助輪保持部を車体の外方に突出させて補助輪を走行面に接地させることができ、ドリフト走行から通常の走行姿勢へ復帰する際は、弾性体の弾性力により補助輪保持部を元の位置まで回動させて車体バランスを元の状態に戻し、キャスタ効果により安定した走行を再び行うことができる。
【0019】
また、前輪回動機構を方向制御部と前輪回動手段とにより構成するものとすれば、前輪回動機構によって前輪の方向を制御し、通常走行時は方向制御部で直進走行や旋回走行を制御し、前輪回動動手段を補助輪突出手段と連携させて作動させることによりドリフト走行を行わせることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
本発明を実施するための最良の形態の走行玩具1は、図1及び図2に示すように、車体14と、車体14の前側において該車体14に対して左右方向に回動可能に取付けられた前輪10と、車体14の後側に取付けられた後輪11と、車体14の左右両側において該車体14に対して左右方向に突出可能に取付けられた一対の補助輪12と、図5に示すように、後輪11を駆動する後輪駆動部2と、通常走行状態において前輪10を車体14に対して左右方向に回動させる方向制御部3と、左右の補助輪12を車体14に対して各々左右方向に突出させる補助輪突出手段5と、該補助輪突出手段5により補助輪12を左方向或いは右方向に突出させるとき、補助輪12を走行面に接地させてドリフト走行状態とするように前輪10を補助輪12の突出方向とは逆方向である右方向或いは左方向に回動させる前輪回動手段8と、この補助輪突出手段5及び前輪回動手段8を動作させ、この動作させた状態を維持するカム駆動部4と、走行玩具1の動作制御を行う制御部102を有する受信機100と、を備え、図3及び図4に示されるように、送信機110からの操作信号を受信機100が応答して、該受信機100の制御部102の制御信号により、遠隔操縦されるものである。
【0021】
又、走行玩具1は、図5に示されるように、車体14の先端において上部が後方に傾斜した状態で装着されるキャスタ軸62と、前輪10を保持すると共にキャスタ軸62を中心として車体14に対して左右方向に回動可能に配設されたフロントフォーク7と、を更に備え、該フロントフォーク7は、下部において前輪10を保持する前輪保持部78と、上部において車体14の先端部を支持する車体支持部70と、を具備するものである。
【0022】
そして、車体14の上部前方に配置される方向制御部3は、図6(a)に示すように、送信機110からの遠隔操作信号に応答して電流が流れるソレノイドコイル30と、該ソレノイドコイル30により発生する磁場により吸引・反発力を生じる磁石32と、該磁石32とフロントフォーク7との間を連結する連結棒34と、を備え、送信機110からの遠隔操作信号に応答した受信機100の制御部102によってソレノイドコイル30に電流を流すことで磁石32を吸引及び反発することにより、吸引・反発力を連結棒34を介してフロントフォーク7に伝達し、図6(b)及び図6(c)に示すように、前輪10を車体14に対して左右方向に回動可能に構成されるものである。
【0023】
更に、図5に示されるように、車体14の略中央部に搭載されるカム駆動部4は、駆動源としてのサーボモータ40と、後述の前輪回動手段8におけるリンクベース80を動作させるカム動作部である第一傘歯車81及び第二傘歯車82の第一傘歯車81を前端近傍に具備する主軸44と、サーボモータ40の駆動力を当該主軸44に伝達可能に配設される複数の歯車列から構成される減速機構41と、を有し、カム動作部の第一傘歯車81及び第二傘歯車82は任意の角度で交差する2軸間に回転を伝達可能に歯合されているものであって、図7(a)に示すように、この第二傘歯車82には前輪回動手段8を押動する押動部83が形成されている。
【0024】
又、車体14の中央前方に組み込まれる前輪回動手段8は、車体14の前端近傍に枢設され押動部83からの力が伝達されるリンクベース80と、フロントフォーク7と、リンクベース80とフロントフォーク7との間を連結する連結バー84と、から構成されるリンク機構であって、リンクベース80には第二傘歯車82の押動部83を嵌合する嵌合部が形成されており、送信機110からの遠隔操作信号に応答してカム駆動部4を駆動させることで、減速機構41、主軸44、第一傘歯車81、第二傘歯車82を介してリンクベース80を回動させることにより、図7(d)に示されるように、フロントフォーク7をキャスタ軸62を中心として左右方向に回動可能に構成されて成るものである。
【0025】
そして、補助輪突出手段5は、図5及び図8(a)に示すように、補助輪12を保持すると共に車体14に対して上下方向に回動可能に配設された一対の補助輪保持部52と、カム駆動部4により回動可能に主軸44に取付けられ該主軸44が回動したとき補助輪保持部52を押圧する押圧部58を左右端に有する押圧カム50と、補助輪保持部52を付勢可能に配置される一対の弾性体であるねじりコイルばね56と、を有するものである。
【0026】
そして、この補助輪突出手段5は、送信機110からの遠隔操作信号に応答してカム駆動部4を駆動させることで、減速機構41を介して、主軸44及び押圧カム50を回動させることにより、押圧部58によって一対の補助輪保持部52のうち一方の補助輪保持部52を押圧して、図8(b)に示されるように、補助輪12を車体14外方の所定位置(ドリフト走行状態における位置)まで突出するように当該補助輪保持部52を回動可能に構成され、且つ、ねじりコイルばね56の弾性力によって補助輪12を車体14近傍の所定位置(通常走行状態における位置)まで復帰するように当該補助輪保持部52を回動可能に構成されるものである。
【0027】
そして、この走行玩具1は、図9(a)に示すように、当該走行玩具1を走行面に載置して後輪駆動部2により後輪11を駆動させることで走行玩具1の走行を開始する。
この走行玩具1の通常走行状態においては、キャスタ軸62の上方を下方よりも後方とするように傾斜させるようにキャスタ角を設け、前輪10の接地点をキャスタ軸線よりも後方としてトレールを形成している故、キャスタ角とトレールとの相乗により調整されたキャスタ効果を発生させることができ、走行玩具1の車体14が垂直であれば前輪10を前方に向けて直進走行を安定させると共に、車体14が傾くと前輪10を車体14が傾斜した方向へ向けるようにキャスタ効果によってハンドルを回転させ、前輪10を車体14が傾斜した方向に移動させるように走行して前輪10の接地点と後輪11の接地点を結ぶ車体14の支持線を重心の下方へ移動させることにより走行玩具1の転倒を防止するようにして走行を持続させる。
【0028】
そして、方向制御部3により旋回走行を行わせるには、走行玩具1が通常の走行状態にあるとき、即ち車体14が垂直な直進姿勢にある状態で、方向制御部3で例えば前輪10を車体に対し左方向に僅かに回動させると車体14に慣性力の作用で右側に向かう力が加わることで、図9(b)に示されるように、前輪10の回動方向とは逆方向の右側に車体14を傾斜させ、この車体14が傾斜することにより生じるキャスタ効果によって前輪10が傾斜方向である右方向の所定位置(速度と傾斜角に適合したハンドル切れ角となったときの位置)まで回動しようとするも、方向制御部3のハンドルを左に僅かに切る力によってキャスタ効果による車体14の傾斜に合せたハンドルの右回転角よりも僅かにハンドルの右回転角を小さくして車体14の右傾斜を立て直すことなく右傾斜を持続させて右旋回を継続させるものである。
【0029】
また、左旋回においては、前輪10を一端右側に切るようにハンドル操作することにより車体14を左側に傾斜させ、キャスタ効果によりハンドルを左に切るように前輪10を左に向けるものであって、方向制御部3によりハンドルを右に向ける僅かな力を加えることによりキャスタ効果によってハンドルが左に切れる角度を僅かに小さくして車体14の左傾斜を持続させ、走行玩具1の左旋回を継続させるものである。
【0030】
そして、この通常走行の直進走行や右旋回又は左旋回状態の走行状態からドリフト走行に移行させたいときは、まず方向制御部3を制御して前輪10を例えば僅かに左方向に回動させることで図9(b)に示されるように右に傾斜した右旋回走行姿勢に移行し、前輪10が所定位置(速度と傾斜角に適合したハンドル切れ角となったときの位置よりも僅かに小さなハンドル切れ角)まで回動した状態を維持することで当該走行玩具1が右旋回走行状態を持続させることとする。
【0031】
次に、当該走行玩具1がこの旋回走行状態にあるとき、カム駆動部4によって、補助輪突出手段5を動作させてこの動作させた状態を維持することにより旋回内側方向である右側の補助輪12を車体14外方の所定位置まで突出させ突出させた状態を維持すると共に、前輪回動手段8を動作させてハンドルを旋回外側方向となる左方向に向け、この動作させた状態を維持することによって前輪10を旋回方向とは逆方向である左方向の所定位置まで回動させた状態を維持するものである。
【0032】
このように走行玩具1が旋回中にハンドルを外側に向けることにより、図1、図2、及び、図9(c)に示されるように、旋回走行状態として傾斜していた車体14を一層傾斜させた傾倒状態とさせることとなり、補助輪12を走行面に接地させるまで車体14を傾けたドリフト走行姿勢へ移行させることができるように構成されて成るものである。
【0033】
更に、走行玩具1に搭載される受信機100の制御部102を、送信機110からの遠隔操作信号に応答してカム駆動部4の駆動する制御信号を該カム駆動部4に送出すると共に後輪駆動部2から後輪11に加わる駆動力を増強する動作を実行する制御信号を当該後輪駆動部2に送出するように形成することで、車体14を傾倒させると共に後輪11を空転させる動作を走行玩具1に行わせることができるため、容易にドリフト走行姿勢へ移行することが可能となる。
【0034】
又、走行玩具1がドリフト走行状態にあるとき、送信機110からの遠隔操作信号に応答してカム駆動部4を駆動させ、押圧カム50を通常の走行状態の位置まで回動させることにより、補助輪保持部52を押圧カム50の押圧部58の押圧力から解放し、ねじりコイルばね56の弾性力によって当該補助輪保持部52を通常の走行状態の位置まで回動させる。このとき、前輪回動手段8が正常位置に戻って、前輪10を正面及び旋回に合せた左右方向への揺動を可能とし、ハンドルを旋回内側に切ることにより車体14のバランスが元の状態に戻り、後輪駆動部2によって後輪11を継続して駆動することにより、キャスタ効果により車体14が通常の走行姿勢に復帰して、再び安定した走行を行うことができる。
【実施例】
【0035】
以下、本発明の実施例を図に基づいて詳説する。本発明に係る走行玩具1は、例えば、プラスチック等による成型材料からなり、図1及び図2に示すように、オートバイの形状を模した車体14と、車体14に乗車した人形9と、車体14の前側において該車体14に対して左右方向に回動可能に取付けられた前輪10と、車体14の後側に取付けられた後輪11と、車体14の左右両側において該車体14に対して左右方向に突出可能に取付けられた一対の補助輪12と、車体14の左右外方に突出するように形成される転倒防止バー16と、を備えるものであり、車体14には、走行玩具1の動作制御を行う制御部を有する受信機が搭載されており、無線送信機からの操作信号に当該受信機が応答することによって遠隔操縦されるものである。
【0036】
又、この走行玩具1は、後輪11を駆動する後輪駆動部2と、前輪10の左右方向への回動を制御する前輪回動機構としての方向制御部と前輪回動手段との内の通常の走行状態において前輪10を車体14に対して左右方向に回動させる方向制御部と、補助輪12を車体14に対して左右方向に突出させる補助輪突出手段5と、該補助輪突出手段5により補助輪12を左方向或いは右方向に突出させてドリフト走行を行うとき、補助輪12を走行面に接地させてドリフト走行状態とするように前輪10を補助輪12の突出方向とは逆方向である右方向或いは左方向に回動させる前輪回動手段と、この補助輪突出手段5及び前輪回動手段を動作させ、この動作させた状態を維持するカム駆動部と、を備えており、送信機からの操作信号に応答した受信機の制御部が所定の制御信号を生成し、後輪駆動部、方向制御部、カム駆動部4を駆動させることにより、直進、旋回、ドリフト走行を行うものである。
【0037】
送信機110は、図3に示すように、走行玩具1を遠隔操作する遊戯者が把持して操作信号を送信するものであり、電源スイッチ115と、前進、停止、後退並びに左右方向転換を走行玩具1に指示するための走行操作部120並びに旋回操作部122と、電力の有無を表示する電力インジケータを前面に有し、電波を発信するアンテナ116と、ドリフト走行姿勢への移行を走行玩具1に指示するためのドリフト操作部124を上面に有しているものである。
【0038】
尚、ドリフト操作部124を右旋回用と左旋回用の2個のスイッチとして設けて、通常走行状態にある走行玩具1を、ドリフト操作部124の一方(右旋回用或いは左旋回用)を操作することにより、走行玩具1をドリフト走行に移行させることとしてもよい。
【0039】
そして、送信機110は、図4に示すように、上記の操作部120,122,124と、遊戯者の操作に応じて所定の信号を生成する制御部112と、この制御部112から送出される符号化された信号を変調する送信回路111と、増幅器118と、この信号を発信するアンテナ116と、図示しない電源等から構成されているものである。又、受信機100は、送信機110から発信される無線信号を、アンテナ106を介して受信し復調する受信回路101と、増幅器108と、復調された信号を復号して各駆動部2〜4を駆動するための制御信号を生成する制御部102と、図示しない電源等を備えるものである。尚、送信機110及び受信機100の送信回路111及び受信回路101の受動素子を着脱自在の水晶振動子とすることにより、周波数を遊戯者によって変更することができるため好適である。
【0040】
ここで、カム駆動部4は、後述の前輪回動手段及び補助輪突出手段5を動作させるものであって、駆動源としてのサーボモータと駆動軸である主軸の回転角度を検出するロータリーポテンショメータを備えるものである。そして、制御部102は、走行玩具1をドリフト走行させる際、このサーボモータを駆動すると共にポテンショメータによる検出値を監視し、所定の回転角度まで主軸が回動したときサーボモータを停止して、この停止した状態をサーボモータによって維持されるように当該サーボモータを動作制御するものである。
【0041】
又、制御部102は、遊戯者の旋回操作信号(左旋回操作信号或いは右旋回操作信号)が入力されたとき旋回状態に入り、この旋回状態でドリフト操作信号を受信した場合に、前輪10を旋回方向とは逆方向に回動させるドリフト走行指令をカム駆動部4に送出するものである。これにより、例えば、遊戯者が左旋回操作を行っている最中にドリフト操作を行うと、前輪10が右方向(旋回方向とは逆方向)に回動するようにカム駆動部4のサーボモータが駆動することとなる。
【0042】
この直進走行から旋回走行に移行するに際しては、旋回操作部122のレバーを操作して右旋回操作信号を出力させると、方向制御部3は前輪10を僅かに左に回動させ、この前輪10の左回動により走行玩具1の車体14は垂直の直進状態から右に傾斜することとなり、この車体14の右傾斜によって後述するキャスタ効果により前輪10が右に向くようにハンドルが切られ、走行玩具1は右旋回を行うようになる。
【0043】
そして、車体14を右に傾斜させて右旋回を行っている状態でドリフト操作部124を操作することにより送信機110からドリフト操作信号を送信して走行玩具1の制御部102からドリフト走行指令をカム駆動部4に出力させると、カム駆動部4が作動して前輪回動手段8により前輪10を旋回方向とは逆の左に回転させ、この前輪回動手段8の作動と連携させて補助輪突出手段5も作動させることにより傾斜方向である旋回内側の補助輪12を突出させるものである。
【0044】
尚、このドリフト操作部124の操作は、旋回操作部122のレバーが操作されているときにのみ有効としてドリフト操作信号を出力するようにし、直進走行中に誤った操作によりドリフト操作信号が出力され、走行玩具1を転倒させることを防止するようにしている。
【0045】
これにより、走行操作部120を操作することで後輪駆動部2の駆動用モータを駆動し後輪11を回転させて走行玩具1に走行を行わせることができ、又、走行玩具1が直進走行状態にあるときに旋回操作部122を操作することで方向制御部3を駆動して走行玩具1を傾斜させて旋回走行を行わせることができ、更に、走行玩具1が旋回走行状態にあるときにドリフト操作部124を操作することでカム駆動部4を駆動し前輪回動手段8及び補助輪突出手段5を動作させることにより走行玩具1を更に傾倒させてドリフト走行を行わせることができる。
【0046】
次に、図5乃至図8を参照して、本発明の実施例に係る走行玩具1の構造を説明する。本発明に係る走行玩具1は、図5に示すように、オートバイの形状を模した車体14と、前輪10、後輪11等を備えるものであり、車体14には、後輪駆動部2、方向制御部3、前輪回動手段8、補助輪突出手段5、受信機100、電池90等が搭載されており、比較的重量を有する電池90や後輪駆動部5を車体14の下部側に位置させることで低重心化により走行安定性の向上を図るものである。
【0047】
後輪駆動部2は、車体14の内部後方下部に配置されており、後輪11を回転させる駆動源である後輪駆動用モータ及びこの後輪駆動用モータの回転力を伝達するベルト車及びタイミングベルト等から構成されるものである。そして、後輪11を保持する後輪保持部22が、後輪駆動用モータの駆動軸と同軸上において車体14に形成される軸によって枢支されると共に当該後輪保持部22の後端近傍においてコイルばね等の弾性体を内蔵する後輪緩衝部24により枢支されている。そして、この後輪緩衝部24の他端は車体14の後方において枢支されているため、走行中に後輪7が走行面から受ける衝撃は、後輪保持部22及び後輪緩衝部24によって吸収されることとなる。
【0048】
又、この走行玩具1は、車体14の上部前方において後述の方向制御部3のケースと一体的に形成されたアーム部60が前側に突出されており、このアーム部60の先端部にキャスタ軸62が、該キャスタ軸62の上部が後方に傾斜した状態で装着されている。そして、この走行玩具1は、前輪10を保持すると共にキャスタ軸62を中心として車体14に対して左右方向に回動可能に配設されたフロントフォーク7を備え、該フロントフォーク7は、下部において前輪10を保持する円筒形状の前輪保持部78と、上部において車体14の先端部であるアーム部60を支持する車体支持部70と、を具備するものである。
【0049】
このように、キャスタ軸62の上部が後方に傾斜した状態としてキャスタ軸62が所定のキャスタ角を有するように設定し、前輪10に所定のトレールを与えている故、キャスタ角とトレールとの相乗によって走行玩具1の車体14が垂直であれば、前輪10を前方に向けて直進走行を安定させることができると共に、車体14が傾くと前輪10を車体14が傾斜した方向へ向けるようにハンドルを回転させるキャスタ効果を生じさせ、このキャスタ効果により前輪10を車体14が傾斜した方向に移動させるように走行して前輪10の接地点と後輪11の接地点を結ぶ車体14の支持線を重心の下方へ移動させることにより走行玩具1の転倒を防止するようにして走行を持続させることができるものである。
【0050】
また、車体支持部70は略三角形状に形成された上下一対の平行な上板70a及び下板70bと、一対の摺動軸76とが一体的に成型されるものであって、この摺動軸76は、上板70a及び下板70bを連結すると共に下板70bより更に下方に突出するように形成されるものである。そして、この摺動軸76の下部が、前輪保持部78から外れないように前輪保持部78の中心軸上を上下方向に摺動可能に装着され、更に下板70bの下面と前輪保持部78の上面においてコイルばね74が装着されることにより、車体保持部70が前輪保持部78に対して、一対のコイルばね74を介して上下方向に揺動自在に支持される。これにより、走行中に前輪6が走行面から受ける衝撃は、フロントフォーク7のコイルばね74によって吸収されることとなる。
【0051】
方向制御部3は、車体14の上部前方に配設されるケースに収納されるものであって、図6(a)に示すように、送信機110からの遠隔操作信号に応答して電流が流れるソレノイドコイル30と、該ソレノイドコイル30により発生する磁場により吸引・反発力を生じる磁石32と、該磁石32とフロントフォーク7との間を連結する連結棒34と、を備えるものである。
【0052】
このソレノイドコイル30は、該ソレノイドコイル30の中心軸が一対の摺動軸76のうち一方の摺動軸76と近接するように略前後方向に配置され、ソレノイドコイル30の保持部材には、当該ソレノイドコイル30の中心軸上を磁石32が前後方向に摺動自在に移動することができるようにソレノイドコイル30の前方に突出するように円筒部材が形成されている。そして、磁石32の前方のソレノイドコイル30の中心軸上に配置されるように連結棒34が磁石32に固着されており、当該連結棒34の先端にはU字状の接続部36が形成され、当該接続部36がフロントローク7の摺動軸76に枢結されている。
【0053】
そして、送信機110からの遠隔操作信号に応答した受信機100の制御部102によってソレノイドコイル30に電流を流すことで、図6(b)、或いは、図6(c)に示すように、磁石32を吸引及び反発して、磁石32を前方、或いは、後方に移動させることにより、吸引・反発力を連結棒34を介してフロントフォーク7に伝達し、フロントフォーク7の前輪保持部78に保持される前輪10を、キャスタ軸62を中心として左方向、或いは、右方向に回動させることができる。尚、接続部36には、摺動軸76に対して間隙が形成されているため、後述のドリフト走行のための十分なハンドル切れ角までフロントフォーク7を回動させることができる。
【0054】
そして、車体14の略中央部に組み込まれるカム駆動部4は、図5に示すように、駆動源としてのサーボモータ40と、後述の前輪回動手段8のリンクベース80を動作させるカム動作部である第一傘歯車81及び第二傘歯車82のうちの第一傘歯車81を前端近傍に備え、後端にポテンショメータ130を備える主軸44と、サーボモータ40の駆動力を当該主軸44に伝達可能に配設される複数の歯車列から構成される減速機構41と、を有し、カム動作部の第一傘歯車81及び第二傘歯車82は、任意の角度で交差する2軸間に回転を伝達可能に歯合されているものである。そして、図7(a)に示すように、車体14の中央前方に配置される第二傘歯車82の上面には前輪回動手段8を押動する押動部83が形成されている。この押動部83は、略円筒形状であって、後方の一部が外方に突出するようにして設けられる凸部を有しているものである。
【0055】
又、車体14の中央前方に組み込まれる前輪回動手段8は、車体14内の前端近傍に枢設され押動部83からの力が伝達されるリンクベース80と、フロントフォーク7と、リンクベース80とフロントフォーク7の上部である車体支持部70の下板70bとの間を連結する一対の連結バー84と、から構成されるリンク機構であって、リンクベース80には、第二傘歯車82の押動部83を嵌合する嵌合部が形成されている。そして、このリンクベース80の嵌合部は、第二傘歯車82の押動部83の形状に対応して形成される略円形状の開口であって、押動部83の凸部に対応した凹部が設けられている。
【0056】
したがって、送信機110からの遠隔操作信号に応答してカム駆動部4が駆動すると、減速機構41、主軸44、第一傘歯車81を介して第二傘歯車82及び押動部83が回動し、その回動力が押動部83の凸部側面とリンクベース80に形成した嵌合部の凹部側面とが接触することにより伝達され、これにより、リンク機構である前輪回動手段8が動作して、フロントフォーク7がキャスタ軸62を中心として左右に回動することとなる。
【0057】
又、嵌合部は、図7(b)及び図7(c)に示すように、フロントフォーク7の回動により例えばハンドル切れ角θ1が15°となるまでリンクベース80が回動しても押動部83の凸部にリンクベース80の嵌合部の凹部側面が接触して力が伝わらないように円周方向に所定の間隙が形成されているものである。
これにより、前述した方向制御部3が駆動して、図6(b)及び図6(c)に示したように、フロントフォーク7が回動しても、図7(b)及び図7(c)に示したように、リンクベース80の嵌合部が押動部83により係止されて、ハンドル切れ角θ1が15°以上となるようにフロントフォーク7が回動することはない。
【0058】
尚、この前輪回動手段8は、図7(d)に示すように、例えば、回転角ωが45°となるまで第二傘歯車82を回動可能とし、且つ、回転角ωが45°のときのハンドル切れ角θ2が30°となるように構成した。そして、この第二傘歯車82の回転角ωは、主軸44に備えられたポテンショメータ130により主軸44の回転角を基に間接的に検出され、制御部102が、この検出値を受信してカム駆動部4のサーボモータ40の動作制御を実行する。
【0059】
具体的には、制御部102は、走行玩具1を通常の走行状態(直進或いは旋回走行の状態)とするときは、第二傘歯車82の回転角ωを0°で固定維持されるようにサーボモータ40を停止させておき、制御部102がドリフト走行指令を受信した際には第二傘歯車82を回転角ωが45°となるまでサーボモータ40を動作させ、第二傘歯車82を回転角ωが45°の状態で固定維持されるようにサーボモータ40を停止させ、更に、ドリフト走行から復帰する際には、再び第二傘歯車82の回転角ωが0°となるまでサーボモータ40を動作させて回転角ωが0°の状態で第二傘歯車82が固定維持されるようにサーボモータ40を停止させるように、サーボモータ40を動作制御するものである。
【0060】
そして、車体14の略中央に配置される補助輪突出手段5は、図5及び図8(a)に示すように、押圧カム50と、補助輪12を保持する一対の補助輪保持部52と、一対のねじりコイルばね56と、を有しているものであり、押圧カム50は、カム駆動部4により回動可能に主軸44に固着され、該主軸44が回動したとき補助輪保持部52を押圧する棒状の押圧部58を後面左右端に有するものである。又、補助輪保持部52は、略L字状であって、一端において補助輪12を保持し、他端が車体14の内部に挿入され、挿入された部分の上面が押圧カム50の押圧部58の下面と接触可能に、且つ、車体14に対して上下方向に回動可能に配設されているものである。そして、ねじりコイルばね56は、補助輪保持部52を付勢可能に配置される弾性体であって、車体14内側面と補助輪保持部52に両端部分が接触するように補助輪保持部52の回転中心となる軸に貫装されているものである。
【0061】
したがって、送信機110からの遠隔操作信号に応答してカム駆動部4を駆動すれば、減速機構41を介して、主軸44と共に押圧カム50が回動し、押圧部58が一対の補助輪保持部52のうち一方の補助輪保持部52を押圧して、図8(b)に示すように、補助輪12を車体14外方の所定位置(ドリフト走行状態における位置)まで突出するように当該補助輪保持部52が回動することとなり、更に、カム駆動部4を逆方向に回動させ押圧カム50を元の配置状態に復帰させれば、ねじりコイルばね56の弾性力によって補助輪12を車体14近傍の所定位置(通常走行状態における位置)まで復帰するように当該補助輪保持部52が回動して、図8(a)に示したように、補助輪突出手段5及び補助輪12は元の状態に復元されることとなる。
【0062】
尚、補助輪突出手段5は、ポテンショメータ130及びサーボモータ40を制御部102が制御することにより駆動する前輪回動手段8に連動するように作動するものであるが、駆動源を別に設けて、制御部102により前輪回動手段8及び補助輪突出手段の動作を各々制御することとしてもよい。
【0063】
以下、この走行玩具1の走行手順と、通常の走行状態にある走行玩具1がドリフト走行に移行する際の動作について説明する。尚、旋回方向は右方向についてのみ記載する。
先ず、図9(a)に示すように、当該走行玩具1を走行面に載置して後輪駆動部2により後輪11を駆動させることで走行玩具1の走行を開始する。この状態では車体14が垂直状態で走行しているため、はキャスタ効果により前輪10を真直ぐに前方に向けて走行し、車体14が走行中に傾斜して左右のバランスが不平衡となると、キャスタ効果により前輪10を傾斜方向に向けて走行することにより前輪10を車体14が傾斜した方向に移動させ、前輪10の接地点と後輪11の接地点を結んだ車体14の支持線を走行玩具1が傾斜した方向に変更して走行玩具1の重心の下方に移動させるようにして車体14を垂直に戻し、車体14のバランスを保つようにすることができ、車体14を直進姿勢にある状態として安定した走行を行わせることができる。
【0064】
そして、走行玩具1が安定した通常の直進走行状態にあるとき、遊戯者が送信機110の旋回操作部122を右へ傾倒操作すると、図6(b)に示すように、方向制御部3が前輪10を左方向(即ち、操作方向と逆方向)に僅かに回動させる。これにより、車体14に慣性力が加わって車体14を右側に向かわせる力が加わり、図9(b)に示すように、車体14が右方向に傾斜する。そして、この車体14が傾斜することにより生じるキャスタ効果によって、前輪10が傾倒方向である右方向の所定位置(速度と傾斜角に適合したハンドル切れ角となったときの位置)まで回動して走行玩具1が右方向に旋回走行し、直進走行に戻ることとなる。
【0065】
尚、走行玩具1が通常走行状態にあるときの前輪10は、前述したようにハンドル切れ角が15°となるまで回動することができるが、旋回走行姿勢に移行する際には車体14のバランスを崩すほどのハンドル切れ角となるように前輪10を回動すればよいため、ハンドル切れ角は必ずしも15°となるものではない。更に、旋回走行中にある走行玩具1のハンドル切れ角に関しても、車体14の速度と傾斜角に適合したハンドル切れ角となる。
【0066】
そして、遊戯者が、旋回操作部122を右へ傾倒操作し続ければ、方向制御部3のソレノイドコイル30には絶えず電流が流れて磁石32に磁力が作用するため、前輪10を左方向(即ち、操作方向と逆方向)に回動させようとする僅かな力が働き続ける。これにより、ハンドル切れ角が、車体14の速度と傾斜角に適合した角度より、若干戻された角度となるため、常に車体14を右方向へ倒そうとする力が働き続け右旋回走行が維持される。逆に、旋回操作部122の傾倒操作を解除すれば、前輪10を左方向(操作・旋回方向と逆方向)に回動させるように働いていた力が無くなり、キャスタ効果により、ハンドル切れ角が一旦大きくなって所定の切れ角となった後、キャスタ効果の復元力により車体14の傾斜角及びハンドル切れ角は徐々に小さくなり、当該走行玩具1は、安定した直進走行姿勢へと復元される。
【0067】
そして、当該走行玩具1が旋回走行状態にあるとき、遊戯者が送信機110のドリフト操作部124を押動操作すると、図8(b)に示したように、カム駆動部4によって、補助輪突出手段5が動作し、この動作した状態が維持されることにより旋回内側方向である右側の補助輪12が車体14外方の所定位置まで突出し、この突出した状態が維持されると共に、図7(d)に示したように、カム駆動部4によって、前輪回動手段8が動作し、この動作した状態が維持されることによって前輪10が旋回方向とは逆方向となる左方向、且つ、第二傘歯車82の回転角ωが45°(ハンドル切れ角θ2は30°)となるまで回動し、この回動した状態が維持されることで、図1、図2及び図9(c)に示されるように、前述の旋回走行状態よりも車体14が傾倒し、補助輪12が走行面に接地したドリフト走行姿勢へ移行することとなる。
【0068】
尚、走行面が斜面である場合などにおいて、走行玩具1を通常の走行姿勢からドリフト走行姿勢に移行する際は、補助輪保持部52の動作よりも傾倒する動作が早く行われる場合もあるが、この走行玩具1は、車体14の両側面に転倒防止バー16が設置されているため、走行玩具1が転倒することはなく、車体14が傾倒し転倒防止バー16が走行面に設置した後に、補助輪保持部52の回動が行われドリフト走行姿勢へ移行することが可能である。
【0069】
又、走行玩具1がドリフト走行状態にあるとき、遊戯者がドリフト操作並びに旋回操作を解除すれば、カム駆動部4が駆動し、第二傘歯車82及び押圧カム50が通常の走行状態の位置まで回動して、補助輪保持部52が押圧カム50の押圧部58の押圧力から解放され、ねじりコイルばね56の弾性力によって、車体14近傍に密接するように元の位置に復帰して、車体14のバランスが元の状態に戻ると共に、前輪10が車体14の速度と傾斜角に適合したハンドル切れ角となるように回動可能となる。
【0070】
そして、このように、補助輪突出手段5及び前輪回動手段8が初期位置に復帰した後、後輪駆動部2によって後輪11を継続して駆動すれば、当該走行玩具1は、キャスタ効果により車体14が通常の走行姿勢に復帰して、再びドリフト走行前の安定した通常走行へ移行することとなる。
【0071】
このように、安定した走行状態にある走行玩具1を、方向制御部3で旋回走行姿勢へ移行させ、走行玩具1が旋回走行状態にあるとき、前輪回動手段8によって前輪10を旋回方向とは逆方向に回動させることで、旋回走行状態よりも車体14を傾倒させ、補助輪突出手段5によって旋回方向における車体14外方に突出させた補助輪12を走行面に接地させることにより、ドリフト走行姿勢へ移行することができるため、遊戯者が任意のタイミングで走行中にある走行玩具を容易にドリフト走行させることができる。又、補助輪突出手段5及び前輪回動手段8を動作させた状態を維持することにより、ドリフト走行を安定的に行うことができる。
【0072】
そして、受信機100の制御部102を、送信機110からの遠隔操作信号に応答してカム駆動部4を駆動する制御信号をカム駆動部4に送出すると共に後輪駆動部2から後輪11に加わる駆動力を増強する動作を実行する制御信号を当該後輪駆動部2に送出するように形成すれば、当該走行玩具1を通常の走行姿勢からドリフト走行姿勢に移行させる際に、制御部102からの制御信号に基づいて、補助輪突出手段5及び前輪回動手段8を動作させるカム駆動部4を駆動すると共に後輪駆動部2から後輪11に加わる駆動力を増強する動作を実行することで、後輪11を空転させることにより、更に容易にドリフト走行を行わせることができる。
【0073】
そして、車体14の先端において上部が後方に傾斜した状態で装着されるキャスタ軸62と、前輪10を保持すると共にキャスタ軸62を中心として車体14に対して左右方向に回動可能に配設されたフロントフォーク7を備えることで、走行玩具1が走行状態にあるときには、車体14が傾斜するとキャスタ効果により車体14の支持位置を車体14の重心位置下方に移動させるようにして車体14を傾斜方向とは逆に押し戻そうとする力が働き、走行玩具1を安定して走行させることができる。
【0074】
又、方向制御部3にソレノイドコイル30と磁石32を備え、ソレノイドコイル30に電流を流し磁石32を反発及び吸引することにより、前輪10を回動させることとすれば、車体14の直進走行状態のバランスを若干崩す程度の弱い制御トルクをフロントフォーク7に加えることで、車体14を傾斜させて旋回走行をさせることができるため、方向変換の反応を敏感にすることができる。
【0075】
更に、補助輪突出手段5を補助輪保持部52と、補助輪保持部52を回動動作させる押圧カム50及び弾性体等で構成すれば、ドリフト走行するときだけ補助輪保持部52を車体14の外方に突出させて補助輪12を走行面に接地させることができ、ドリフト走行から通常の走行姿勢へ復帰する際は、弾性体の弾性力により補助輪保持部52を車体14近傍の元の位置まで回動させて車体バランスを元の状態に戻し、キャスタ効果により安定した走行を再び行うことができる。
【0076】
そして、本発明は、以上の実施例に限定されるものでなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で自由に変更、改良が可能である。例えば、送信機110と受信機100を有線により繋ぐことにより操縦可能としてもよい。又、走行玩具1は、オートバイに限らず、マウンテンバイク等の自転車を模したものでもよいし、二輪走行車に限定することなく、後輪として左右に各々車輪を有する三輪バイク又は三輪自動車のような三輪走行車としてもよい。
【0077】
そして、車体14を旋回させるための機構である方向制御部3は、前述したようにソレノイドコイル30と磁石32等で構成する場合に限定することなく、ラックギアとして形成された連結棒をコイルばね等の弾性体を介して摺動軸76に遊着し、ラックギアと歯合するピニオンギアをモータにより駆動させることによりフロントフォーク7を僅かに回動させて車体14の左右バランスを崩すことにより旋回走行を行わせてもよいし、車体14内に左右方向に移動可能な錘を配設し、モータ等によって錘を左右に移動させることによって車体14のバランスを崩して旋回走行を行わせるなどの種種の旋回機構を採用することができるものである。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本発明の実施例に係る走行玩具の斜視図。
【図2】本発明の実施例に係る走行玩具の斜視図。
【図3】本発明の実施例に係る走行玩具の送信機の平面図及び正面図。
【図4】本発明の実施例に係る走行玩具の送信機及び受信機の構成を示すブロック図。
【図5】本発明の実施例に係る走行玩具の車体の内部構造を示す側面図。
【図6】本発明の実施例に係る走行玩具の方向制御部を示す平面断面図。
【図7】本発明の実施例に係る走行玩具の前輪回動手段を示す図。
【図8】本発明の実施例に係る走行玩具の補助輪突出手段を示す背面断面図。
【図9】本発明の実施例に係る走行玩具の走行姿勢を示す背面図。
【符号の説明】
【0079】
1 走行玩具 2 後輪駆動部
3 方向制御部 4 カム駆動部
5 補助輪突出手段 7 フロントフォーク
8 前輪回動手段 9 人形
10 前輪 11 後輪
12 補助輪 14 車体
16 転倒防止バー
22 後輪保持部 24 後輪緩衝部
30 ソレノイドコイル 32 磁石
34 連結棒 36 接続部
40 サーボモータ 41 減速機構
44 主軸
50 押圧カム 52 補助輪保持部
56 ねじりコイルばね 58 押圧部
60 アーム部 62 キャスタ軸
70 車体支持部 70a 上板
70b 下板 74 コイルばね
76 摺動軸 78 前輪保持部
80 リンクベース 81 第一傘歯車
82 第二傘歯車 83 押動部
84 連結バー
90 電池
100 受信機 101 受信回路
102 制御部 106 アンテナ
108 増幅器
110 送信機 111 送信回路
112 制御部 115 電源スイッチ
116 アンテナ 118 増幅器
120 走行操作部 122 旋回操作部
124 ドリフト操作部
130 ポテンショメータ


【特許請求の範囲】
【請求項1】
送信機からの操作信号によって遠隔操縦される走行玩具であって、
車体と、前記送信機からの遠隔操作信号に応答して走行玩具の動作制御を行う制御部と、前記車体の前側において該車体に対して左右方向に回動可能に取付けられた前輪と、前記車体の後側に取付けられた後輪と、前記車体の左右両側において該車体に対して各々左右方向に突出可能に取付けられた一対の補助輪と、前記後輪を駆動する後輪駆動部と、前記前輪を前記車体に対して左右方向に回動させることで走行玩具の旋回方向を制御する方向制御部と、前記各補助輪を前記車体に対して左右方向に各々突出させる補助輪突出手段と、前記方向制御部とは別に設けられた前記前輪を右方向或いは左方向に回動させる前輪回動手段と、を備え、
前記制御部は、前記送信機からの操作信号に応答して、
(a)前記後輪駆動部により後輪を駆動させることで前記走行玩具の走行を開始し、
(b)走行状態にあるとき前記方向制御部を制御して前記前輪を左方向或いは右方向に回動させて旋回走行へ移行し、
(c)旋回走行にあるとき前記前輪回動手段を制御して前記前輪を前記旋回方向とは逆方向に所定量回動させることで前記車体を傾倒させた旋回走行姿勢へ移行させ、
(d)前記(c)の制御と連携して前記補助輪突出手段を動作させることにより前記傾倒方向にある前記補助輪を前記車体外方の所定位置まで突出させ、
(e)前記(c)における前輪の回動状態及び(d)における前記補助輪の突出状態を維持して前記補助輪が走行面に接地するまで前記車体を傾倒させる、
ように制御を実行することで前記補助輪を走行面に接地させたドリフト走行姿勢へ移行するように構成されて成ることを特徴とする走行玩具。
【請求項2】
前記制御部は、前記(c)の制御と連携して前記後輪駆動部から前記後輪に加わる駆動力を増強する制御を実行することを特徴とする請求項1に記載の走行玩具。
【請求項3】
前記補助輪突出手段と前記前輪回動手段の動作を制御するカム機構を備え、前記(c)における前記前輪の回動制御と前記補助輪の突出制御が前記カム機構によって連動して実行されることを特徴とする請求項1に記載の走行玩具。
【請求項4】
前記走行玩具は、前記車体の先端部に上部が後方側に傾斜した状態で装着されたキャスタ軸と、前記前輪を保持すると共に前記キャスタ軸を中心として前記車体に対して左右方向に回動可能に配設されたフロントフォークと、を更に備え、
該フロントフォークは、下部において前記前輪を保持する前輪保持部と、上部において前記車体の先端部を支持する車体支持部と、を具備し、
前記カム機構は、押圧カムと、駆動源としてのモータを備えたカム駆動部と、前記前輪回動手段に回動力を伝達するカム動作部と、前記押圧カムの回動と連動して前記カム動作部に回動力を伝達する主軸と、前記モータの駆動力を当該主軸に伝達可能に配設される減速機構と、を有し、
前記補助輪突出手段は、前記押圧カムと、前記補助輪を保持すると共に前記車体に対して上下方向に回動可能に配設された一対の補助輪保持部と、を備え、前記押圧カムは、前記主軸が回動したとき前記補助輪保持部を押圧する押圧部を左右端に有し、
前記前輪回動手段は、前記車体の前端近傍に枢設され前記カム動作部からの力が伝達されるリンクベースと、前記フロントフォークと、前記リンクベースと前記フロントフォークとの間を連結する連結バーと、から構成されるリンク機構であって、
前記送信機からの遠隔操作信号に応答して前記カム駆動部を駆動して前記主軸を回動させて、前記押圧カムを回動させると共に前記リンクベースを前記カム動作部によって回動させることにより、前記押圧カムの押圧部によって一対の前記補助輪保持部のうち一方の補助輪保持部を押圧して前記補助輪を前記車体外方の所定位置まで突出するように当該補助輪保持部を回動させると共に前記フロントフォークを前記キャスタ軸を中心として左右方向に回動させることを特徴とする請求項1又は請求項3に記載の走行玩具。
【請求項5】
前記方向制御部は、前記送信機からの遠隔操作信号に応答して電流が流れるソレノイドコイルと、該ソレノイドコイルにより発生する磁場により吸引・反発力を生じる磁石と、該磁石と前記フロントフォークとの間を連結する連結棒と、を備え、
前記制御部は、前記送信機からの遠隔操作信号に応答して前記ソレノイドコイルに電流を流す制御を実行することで前記磁石を吸引及び反発することにより、吸引・反発力を前記連結棒を介して前記フロントフォークに伝達し、前記前輪が前記車体に対して左右方向に回動するように構成されて成ることを特徴とする請求項4に記載の走行玩具。
【請求項6】
前記補助輪突出手段は、前記補助輪保持部を付勢可能に配置された一対の弾性体を備えてなり、
前記制御部は、前記走行玩具が前記ドリフト走行状態にあるとき、前記送信機からの遠隔操作信号に応答して、前記カム駆動部を駆動させ、前記押圧カムを通常の走行状態の位置まで回動させる制御を行うことにより、前記補助輪保持部を前記押圧カムの押圧部の押圧力から解放し、前記弾性体の弾性力によって当該補助輪保持部を通常の走行状態の位置まで回動させることを特徴とする請求項4又は請求項5に記載の走行玩具。
【請求項7】
車体と、送信機からの遠隔操作信号に応答して動作制御を実行する制御部と、前記車体の前側に取付けられた前輪と、前記車体の後側に取付けられた後輪と、前記前輪を前記車体に対して左右方向に回動させる前輪回動機構と、前記後輪を駆動する後輪駆動部と、を備えた走行玩具であって、
前記走行玩具は、前記車体の左右両側にそれぞれ取り付けられた補助輪と、前記補助輪を前記車体から外方に突出させる動作を行わせる補助輪突出手段と、をさらに備えてなり、前記制御部は、前記送信機からの操作信号に応答して、
(a)前記後輪駆動部により後輪を駆動させることで走行を開始させ、
(b)走行状態にあるとき前記前輪回動機構を制御して前記前輪を左方向或いは右方向に回動させて旋回走行へ移行させ、
(c)旋回走行にあるとき、前記前輪回動機構を制御して前記前輪を前記旋回走行の旋回方向とは逆方向に所定量回動させることで前記車体を傾倒させた走行姿勢へ移行させ、
(d)前記(c)の制御と連携して、前記補助輪突出手段を動作させて前記車体が傾倒する方向にある前記補助輪を前記車体から外方に突出させ、
(e)前記(c)における前輪の回動状態及び(d)における前記補助輪の突出状態を維持して前記補助輪が走行面に接地するまで前記車体を傾倒させる、
ように制御を実行することで、前記補助輪を走行面に接地させたドリフト走行姿勢へ移行するように構成されて成ることを特徴とする走行玩具。
【請求項8】
前記前輪回動機構は、通常の走行状態において前記前輪を左右方向に回動させることで前記走行玩具の旋回方向を制御する方向制御部と、前記方向制御部とは別に設けられ前記前輪を所定量だけ回動させる前輪回動手段と、によって構成され、
前記(b)の旋回走行への移行は前記方向制御部を制御することによって実行され、前記(c)の前記傾倒走行姿勢への移行は前記前輪回動手段を制御することによって実行されるように構成されて成ることを特徴とする請求項7記載の走行玩具。
【請求項9】
車体と、送信機からの遠隔操作信号に応答して動作制御を実行する制御部と、前記車体の前側に取付けられた前輪と、前記車体の後側に取付けられた後輪と、前記前輪を前記車体に対して左右方向に回動させる前輪回動機構と、前記後輪を駆動する後輪駆動部と、を備えた走行玩具であって、
前記走行玩具は、前記車体の左右両側にそれぞれ取り付けられた補助輪と、前記補助輪を前記車体から外方に突出させる動作を行わせる補助輪突出手段と、をさらに備えてなり、前記制御部は、前記送信機からの操作信号に応答して、
(a)前記後輪駆動部により後輪を駆動させることで走行を開始させ、
(b)走行状態にあるとき前記前輪回動機構を制御して前記前輪を左方向或いは右方向に急速に回動する動きを与えることで車体に働く慣性力を利用して前記車体を前記前輪の回動方向とは逆方向に傾倒させた走行姿勢へ移行させ、
(c)前記(b)の制御と連携して、前記補助輪突出手段を動作させて前記車体が傾倒する方向にある前記補助輪を前記車体から外方に突出させ、
(d)前記(b)における前輪の回動状態及び(c)における前記補助輪の突出状態を維持して前記補助輪が走行面に接地するまで前記車体を傾倒させる、
ように制御を実行することで、前記補助輪を走行面に接地させたドリフト走行姿勢へ移行するように構成されて成ることを特徴とする走行玩具。
【請求項10】
前記制御部は、前記車体を傾倒させた走行姿勢へ移行させる制御と連携して前記後輪駆動部から前記後輪に加わる駆動力を増強する制御を実行することを特徴とする請求項7乃至9のいずれかに記載の走行玩具。


【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2010−5206(P2010−5206A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−169338(P2008−169338)
【出願日】平成20年6月27日(2008.6.27)
【出願人】(307024004)株式会社タイヨー (6)
【Fターム(参考)】