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走行玩具
説明

走行玩具

【課題】障害物により進行を阻止されると玩具本体の進行方向を自動的に変更可能であっても、玩具本体を持ち上げた際の回転体の回転を防止し、コース上を走行可能な走行玩具を提供する。
【解決手段】モータMを備えた玩具本体1と、モータMの動力により回転する回転軸42と、回転軸42を相対回転可能に挿通するとともに回転軸42の回転に伴って水平方向に回転可能な回転体5と、回転体5に支持され回転軸42の回転に伴って駆動する駆動車輪7と、玩具本体1に支持されるアイドル車輪6と、を備え、障害物により進行を阻止されると回転体5が回転し玩具本体1の進行方向を変更可能な走行玩具10であって、回転体5には、カム機構51が設けられ、玩具本体1には、カム機構51に作用して回転体5の回転を規制する弾性部材12が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、障害物により進行を阻止されると玩具本体の進行方向を自動的に変更可能な走行玩具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、障害物により進行を阻止されると玩具本体の進行方向を自動的に変更可能な走行玩具が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この従来の走行玩具は、動力源を備えた玩具本体と、該動力源の動力により回転する回転軸と、該回転軸を相対回転可能に挿通するとともに該回転軸の回転に伴って水平方向に回転可能な回転体と、該回転体に支持され該回転軸の回転に伴って駆動する駆動車輪と、該玩具本体に支持されるアイドル車輪と、を備えて構成され、障害物により進行を阻止され駆動車輪の回転が規制されると、回転体が回転して玩具本体の進行方向を自動的に変更する、いわゆるミステリー走行が可能となっている。
【0004】
ここで、従来の走行玩具のミステリー走行について具体的に説明する。図11は、従来の走行玩具の衝突時の方向転換動作を模式的に説明するための図であり、走行玩具の一部を切り欠いて上方から見たものである。図中、101が玩具本体、105が回転体、107が駆動車輪、142が回転軸を表わしている。先ず、図11(a)に示すように、走行玩具が直進している際、回転体105には点線の矢印で示す反時計方向に力が作用しているが、走行玩具の自重により回転体105は停止しており駆動車輪107のみが回転している。そして、図11(b)に示すように、壁面Wに衝突すると、駆動車輪107は回転し続けようとするが床との摩擦抵抗によって規制され、回転体105が反時計方向に回転するとともに、玩具本体101も壁面Wを避けるように回転する(図11(c))。そして、図11(d)に示すように、駆動車輪107の向きが変わるとともに玩具本体101の進行する向きが変わる。図11(b)から図11(d)に至る衝突時の走行玩具の方向転換は瞬時に行なわれる。このようにしてミステリー走行機能を備えた走行玩具は障害物により進行を阻止されると玩具本体101の進行方向を自動的に変更する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】実公昭45−10346号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、従来のミステリー走行が可能な走行玩具では、駆動車輪107が接地している状態では走行玩具の自重により回転体105は停止し駆動車輪107のみが回転するが、玩具本体101を持ち上げた場合、回転体105が回転するため、作動音が発生したり、場合によっては手の平に当てた場合に巻き込まれて危ない場合もあり、さらに紐等を巻き込む虞があった。
【0007】
また、左右に側壁があったり、レールが設けられたコース上を走らせようとすると、側壁やレールに玩具本体101が接触した途端に、ミステリー走行機能により回転体105が回転することでコース上を前方に走れないといった問題があった。近年では、走行玩具の遊び方も多様になっており、それにあわせて平坦な床やテーブルで走行させたり、コース上を走行させたり、種々の走行が可能な走行玩具が望まれていた。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、障害物により進行を阻止されると玩具本体の進行方向を自動的に変更可能であり、且つ、玩具本体を持ち上げた際の回転体の回転が防止され、コース上を走行可能な走行玩具を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、以下の態様を提供するものである。
(1)動力源を備えた玩具本体と、
前記動力源の動力により回転する回転軸と、
前記回転軸を相対回転可能に挿通するとともに前記回転軸の回転に伴って水平方向に回転可能な回転体と、
前記回転体に支持され前記回転軸の回転に伴って駆動する駆動車輪と、
前記玩具本体に支持されるアイドル車輪と、を備え、
障害物により進行を阻止されると前記回転体が回転し前記玩具本体の進行方向を変更可能な走行玩具であって、
前記回転体には、カム機構が設けられ、
前記玩具本体には、前記カム機構に作用して前記回転体の回転を規制する回転規制手段が設けられていることを特徴とする走行玩具。
(2)前記カム機構には、前記玩具本体の進行方向に沿って延び、前記回転規制手段が作用する直線部を有することを特徴とする(1)に記載の走行玩具。
(3)前記回転規制手段は、前記回転体に付勢力を付与して前記回転体の回転を規制する弾性部材から構成されることを特徴とする(1)又は(2)に記載の走行玩具。
(4)前記回転軸と、前記回転体と、前記駆動車輪は、前記玩具本体から取り外し可能なユニットを構成することを特徴とする(1)〜(3)のいずれかに記載の走行玩具。
(5)動力源を備えた玩具本体と、
前記動力源の動力により回転する回転軸と、
前記回転軸を相対回転可能に挿通するとともに前記回転軸の回転に伴って水平方向に回転可能な回転体と、
前記回転体に支持され前記回転軸の回転に伴って駆動する駆動車輪と、
前記玩具本体に支持されるアイドル車輪と、を備え、
障害物により進行を阻止されると前記回転体が回転し前記玩具本体の進行方向を変更可能な走行玩具であって、
前記玩具本体には、ギヤ機構を介さずに前記回転体に作用して前記回転体の回転を阻止する回転規制手段が設けられていることを特徴とする走行玩具。
(6)前記回転規制手段は、棒状又は板状の弾性部材であることを特徴とする(5)に記載の走行玩具。
【発明の効果】
【0010】
上記(1)に記載の発明によれば、回転規制手段が回転体のカム機構に作用することにより玩具本体を持ち上げた場合であっても回転体の回転が規制される。これにより、回転体が回転することによる作動音の発生や紐等の巻き込みを防止することができる。また、玩具本体の駆動車輪を接地した場合であっても、障害物により進行を阻止されなければ走行玩具の自重に加えて回転規制手段により回転体の回転が規制されるので、走行玩具の直進性が向上する。これにより、左右に側壁があったり、レールが設けられたコースを走らせた場合でも、側壁やレールに軽く接触しただけでは走行玩具は回転しないのでコースでも走行玩具を走らせて遊ぶことができる。さらに、回転規制部材は、回転体に設けられたカム機構に作用するので、カム機構の形状により走行玩具の動きを制御することができる。
【0011】
上記(2)に記載の発明によれば、直進性をより向上させることができる。
【0012】
上記(3)に記載の発明によれば、簡易な構成で回転体の回転を規制することができる。また、弾性部材の形状や太さ、強さ、支点の位置等により付勢力を調整することで、走行玩具の動きを変えることができる。
【0013】
上記(4)に記載の発明によれば、回転軸と、回転体と、駆動車輪をユニット化することで、異なるカム機構を有するユニットに取り替えるだけで走行玩具の動きを変えることができる。
【0014】
上記(5)に記載の発明によれば、回転規制手段が回転体に作用することにより、玩具本体を持ち上げた場合であっても回転体の回転が規制される。これにより、回転体が回転することによる作動音の発生や紐等の巻き込みを防止することができる。また、玩具本体の駆動車輪を接地した場合であっても、障害物により進行を阻止されなければ走行玩具の自重に加えて回転規制手段により回転体の回転が規制されるので、走行玩具の直進性が向上する。これにより、左右に側壁があったり、レールが設けられたコースを走らせた場合でも、側壁やレールに接触しただけでは走行玩具は回転しないのでコースでも走行玩具を走らせて遊ぶことができる。さらに、回転規制手段がギヤ機構を介さずに回転体に作用するので、部品点数を削減でき、構造の簡略化により製造コストを低減することができる。
【0015】
上記(6)に記載の発明によれば、簡易な構成で回転体の回転を規制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態の走行玩具の外観斜視図である。
【図2】走行玩具の裏面から見た平面図である。
【図3】走行玩具の内部の構成を左右方向一方側から見た概略図である。
【図4】走行玩具の内部の構成を前後方向一方側から見た概略図である。
【図5】走行玩具の一部を切り欠いて上方から見た模式図であって、(a)は走行玩具の前進走行時のカムが停止している状態、(b)は衝突時にカムが回転している状態である。
【図6】(a)〜(d)は本実施形態の走行玩具が前進走行中に障害物により進行を阻止され、進行方向を自動的に変更する過程を模式的に示す図である。
【図7】(a)〜(c)は図6(d)から続く進行方向を自動的に変更する過程を模式的に示す図である。
【図8】変形例に係る走行玩具の一部を切り欠いて上方から見た模式図であって、(a)は走行玩具の前進走行時のカムが停止している状態、(b)は衝突時にカムが反転して停止している状態である。
【図9】(a)、(b)は他の変形例に係る走行玩具の一部を切り欠いて上方から見た模式図である。
【図10】(a)は他の変形例に係る走行玩具の回転体を裏側から見た平面図であり、(b)は(a)の回転体を裏側から見た斜視図である。
【図11】(a)〜(d)は従来の走行玩具が前進走行中に障害物により進行を阻止され、進行方向を自動的に変更する過程を模式的に示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
図1は本発明の一実施形態の走行玩具の外観を示す斜視図、図2は図1の走行玩具の裏面から見た平面図、図3は走行玩具の内部の構成を左右方向一方側から見た概略図、図4は走行玩具の内部の構成を前後方向一方側から見た概略図、図5は走行玩具の一部を切り欠いて上方から見た模式図であって、(a)は走行玩具の前進走行時のカムが停止している状態、(b)は衝突時にカムが回転している状態である。
【0018】
この走行玩具10は、図1に示すように、外観が動物形状を有しており、主として、顔21と胸部22とが一体に形成された前面部2と、頭部31と4本の足32と胴体33とが一体に形成された胴体部3とで玩具本体1をなし、内部には動力源としてのモータM(図3参照)、電池(不図示)等を収容している。前面部2は、前方から2本のネジ23により胴体部3に固定され、ネジ23を外すことで内部にアクセス可能となっている。なお、本実施形態では、外観を動物形状としたが、これに限定されず、車両、電車、船舶、人間、植物等、任意の形状を採用することができる。
【0019】
図2に示すように、胴体部3の裏面前方には、幅方向略中央部に略円形の開口部35が形成され、開口部35には胴体部3に対し回転自在に回転体5が設けられる。また、胴体部3の両後足32の部分には、一対のアイドル車輪6が設けられる。アイドル車輪6には、モータMからの動力は伝達されず、後述する回転体5に設けられた駆動車輪7の回転に従動して回転するように構成される。
【0020】
モータMは、玩具本体1の空間内に配設され、不図示の電池から電力で駆動可能となっている。この電池は、図2に示す裏面蓋37を外すことで交換が可能となっている。モータMの動力は、図3及び図4に示すように、動力伝達機構4を介して駆動車輪7に伝達される。動力伝達機構4は、モータMの出力軸に取り付けられたかさ歯車41と、モータMの出力軸に直交し鉛直方向に配置された回転軸42と、回転軸42の上端に取り付けられかさ歯車41と噛合するかさ歯車43と、回転軸42に下端に取り付けられたクラウン歯車44と、回転軸42と直交し水平方向に配置された車軸45と、車軸45に設けられクラウン歯車44と噛合する歯車46とから構成され、モータMの動力が、かさ歯車41→かさ歯車43→回転軸42→クラウン歯車44→歯車46→車軸45を介して駆動車輪7へと伝達され、一対の駆動車輪7が回転駆動する。
【0021】
一対の駆動車輪7は、回転体5に回転自在に支持され、接地面とのグリップを確実にするためゴム等を環装させてもよい。なお、回転体5の回転方向に順転する側の車輪にのみゴム等を環装させ、他方の車輪は接地面との抵抗が小さい樹脂等で構成すれば、ミステリー走行時の方向転換をよりスムーズにすることもできる。
【0022】
回転体5は、円柱形状を有し、その略中心に回転軸42を相対回転可能に挿通するとともに、回転軸42の下端に取り付けられたクラウン歯車44と噛合する歯車46を有する車軸45を支持することで、駆動車輪7を回転自在に支持している。また、回転体5は、回転軸42との摩擦力で水平方向に回転可能となっている。この摩擦力は、駆動車輪7が接地した場合に走行玩具10の自重等の作用により回転体5が回転しないように設定される。
【0023】
回転体5には、その上端に回転軸42を囲むようにカム機構51が一体に形成されており、回転体5が回転することでカム機構51も回転するようになっている。また、玩具本体1には、玩具本体1の内部に鉛直方向に突出するピン11(例えば図5参照)を支点として、回転体5の回転を規制するように付勢力を与える、例えば棒状ばねからなる弾性部材12が設けられている。なお、弾性部材12として棒状ばねを例示したが、これに限らず板状ばね等公知のものを使用することができる。
【0024】
ここで、図5を参照してカム機構51の形状をより具体的に説明する。なお、図5中、符号Pは回転軸42及び回転体5の中心Oを通り駆動車輪7の進行方向に沿って引いた線(以下、中心線と呼ぶ。)であり、符号Qは、鉛直方向(図5中紙面に鉛直な方向)上方から見て中心線Pと直交する方向に引いた線である。カム機構51は、上方から見て前方が細くて長く後方が太くて短い略卵型形状を有している。また、幅方向一方側の中心Oからオフセットした位置に中心線Pと平行に延びる直線部56を有し、直線部56は前方側から中心Oより僅かに後方まで伸びて、弾性部材12が当接することで回転体5の回転を規制する。
【0025】
直線部56を除くカム機構51の外周縁は、滑らかに連続する曲線部57で形成され、曲線部57は、曲率の大きい先端部57aから曲率の小さい緩曲部57bを経由して先端部57aより曲率が小さく緩曲部57bより曲率の大きい後端部57cへと連続している。カム機構51は、回転体5が回転し弾性部材12が直線部56以外の曲線部57で当接しても安定しないように構成される。
【0026】
従って、回転体5が僅かに回転しようとするとカム機構51の直線部56と当接する弾性部材12の付勢力が回転体5の回転力に勝りその回転が規制される(図5(a))。また、相対的に大きな回転力が回転体5に作用して回転体5の回転力が弾性部材12の付勢力に勝ると、回転体5が反時計方向に回転し曲線部57が弾性部材12と当接しながらカム機構51が回転し始める。このとき、カム機構51の後端部57cの中心Oからの距離が短いため先端部57aが後方を向くまではカム機構51は瞬時に回転し、そこからさらに先端部57aが弾性部材12を乗り越える直前(図5(b))までは、先端部57aの距離が長いため弾性部材12の付勢力により所定の時間差が生じる。そして、先端部57aが弾性部材12を乗り越えると弾性部材12は再び直線部56に当接して回転が規制される。
【0027】
このように構成された走行玩具10は、玩具本体1に設けられた不図示のスイッチをONにすることで、モータMが回転し、駆動車輪7が回転駆動する。走行玩具10が接地していない状態、即ち回転体5に支持される駆動車輪7に自重が作用しない状態においては、弾性部材12がカム機構51の直線部56と当接するため弾性部材12の付勢力により回転体5の回転が規制され、回転体5は回転せずに駆動車輪7のみが回転駆動する。従って、回転体5が回転することによる作動音が発生せず、さらに紐等を巻き込む虞が低減する。
【0028】
また、走行玩具10を接地すると、走行玩具10の自重と、カム機構51の直線部56と当接する弾性部材12の付勢力により回転体5は回転せずに駆動車輪7のみが回転し前進する。このとき、走行玩具10の自重のみならず弾性部材12の付勢力により回転体5の回転が規制されているため、従来の走行玩具に比べて直進性が向上する。これにより、左右に側壁があるコースを走らせた場合、側壁に玩具本体1が接触しても回転体5の回転は規制されるため走行玩具10はコース上を前進する。これにより、従来の走行玩具ではできなかったコース上の走行が実現され、遊びの幅を広げることができる。
【0029】
さらに、コースの幅方向中央に僅かに突出したレールを配置し、一対の駆動車輪7間にレールが位置するように走行玩具10を置くことで、走行玩具10はレールに案内されながらコースを走行することもできる。従来の走行玩具では、走行玩具を持ち上げると回転体105が回転するため、駆動車輪107間にレールが位置するように走行玩具を配置することができず、さらに回転体105を指等で固定してコース上に配置しても、回転体105の回転方向とは反対側にレールが曲がっているとレールとの接触により両方の駆動車輪107でレールを挟むように回転体105が回転してしまい、ブレーキをかけた状態となる。従って、従来の走行玩具では玩具本体101がカーブを曲がらず、このようなコース上の走行を実現することができなかったが、本実施形態によればレールを有するコース上でも走行させることができる。
【0030】
次に走行玩具10が、障害物により進行を阻止された場合について図6及び図7を参照して説明する。なお、図中、白抜き矢印が走行玩具10の進行方向、実線又は点線の矢印は回転体の回転方向を表わしている。
先ず、図6(a)に示すように、走行玩具10が直進している際、回転体5には矢印で示す反時計方向に力が作用しているが、前述したように走行玩具10の自重とカム機構51の直線部56と当接する弾性部材12の付勢力により回転体5は停止しており駆動車輪7のみが回転している。そして、図6(b)に示すように、壁面Wに衝突すると、駆動車輪7は回転し続けようとするが床との摩擦抵抗によって規制され、回転体5の回転力が弾性部材12の付勢力に打ち勝って回転体5が反時計方向に回転するとともに、玩具本体1も壁面Wを避けるように回転し始める(図6(c))。
【0031】
このとき、回転体5に一体に形成されたカム機構51も回転し、前述したようにカム機構51の先端部57aが後方を向く(図7(a)の状態)までは回転体5は比較的瞬時に回転する。この間、先ず直線部56が弾性部材12と当接していた図6(b)の状態から後端部57cの直線部56側が弾性部材12と当接する図6(c)の状態となる。このとき、駆動車輪7は斜め後方を向く。さらにカム機構51が回転すると、図6(c)の状態から後端部57cの緩曲部57b側が弾性部材12と当接する図6(d)の状態となる。このとき、駆動車輪7はさらに斜め後方を向く。従って、図6(b)から図7(a)に至る間、駆動車輪7は回転し続けるため、玩具本体1は斜め後方に壁面Wから離れるように移動する。
【0032】
そして、図7(a)に示すように、緩曲部57bが弾性部材12に当接すると、弾性部材12が、その付勢力により回転体5の回転を弱める、即ち時間的にゆっくりと回転するように作用する。このとき、駆動車輪7は玩具本体1に対して後方に向いているため玩具本体1はさらに壁面Wから離れるように後進する。さらにカム機構51が回転して図7(b)に示す先端部57aが弾性部材12を乗り越える直前まで弾性部材12の付勢力により時間差が発生する。このとき、駆動車輪7は斜め前方を向いているため、玩具本体1は僅かに壁面Wに近づくように移動する。そして、先端部57aが弾性部材12を乗り越えると、再度、直線部56が弾性部材12に当接することで安定した状態に戻る(図7(c))。直線部56が弾性部材12に当接することで安定した状態に戻ると、走行玩具10の自重と、カム機構51の直線部56と当接する弾性部材12の付勢力により回転体5が停止する。この一連の動作により、図7(c)に示すように、駆動車輪7の向きが変わるとともに玩具本体1の進行する向きが変わる。
【0033】
図6及び図7では、弾性部材12の弾性力が比較的強い場合を例に説明したが、弾性部材12の弾性力を調整することで、走行玩具10の動きを変更することができる。
例えば、弾性部材12の付勢力を弱くした場合には、図6(c)から図7(c)に至る過程も瞬時に行なわれる。従って、この場合は、障害物により進行を阻止されると、従来の走行玩具とほとんど同じような運動軌跡を通って、駆動車輪7による進行方向を旋回して変え、阻止されない方向に前進する。
【0034】
次に、弾性部材12の付勢力を先程の状態よりも少し強いものであって、上述した実施形態より弱くすると、図6(c)から図7(b)に至る過程も比較的瞬時に行なわれるが、図7(b)の状態まで至ると、回転中心Oからの距離が長い先端部57aが弾性部材12に当接するため、弾性部材12の付勢力が大きく作用し、先端部57aが弾性部材12を乗り越える間に回転体5の回転を弱める、即ち時間的にゆっくりと回転するように作用する。そして、その僅かな間に駆動車輪7が回転することで、横方向に僅かに移動しながら又は一瞬停止して向きを変え再び安定した状態、すなわち直線部56が弾性部材12に当接した状態に戻る。従って、先程の2つの場合とは異なる動きをしながら、駆動車輪7による進行方向を旋回して変え、阻止されない方向に前進する。
【0035】
このように本実施形態の走行玩具10は、障害物により進行を阻止された場合に、カム機構51が一回転する間の時間差に応じて異なる動きをする。弾性部材12の付勢力が強ければ強いほどカム機構51(回転体5)が一回転する時間も長くなり、その間に駆動車輪7が回転することで、走行玩具10が一瞬止まるように見えたり、異なる方向に舵をきりながら回転したり、機械的な動きとは異なる動きをする。
【0036】
なお、弾性部材12の付勢力は、弾性部材12の強さを変える以外にも、支点11とカム機構51の力点までの距離を変更することでも調整することができる。さらに、支点11とカム機構51の力点までの距離は可変であることが好ましい。例えば支点11の位置を容易に段階的に調整できるようにすることで、製造時点での付勢力の調整が容易になる。また、ユーザーが自ら調整できるようにしておくことで走行玩具10の動きを自分で調整することができる。
【0037】
さらに、この走行玩具10は、モータMの強さ、衝突時における走行スピード、衝突する方向、衝突する強さ、玩具本体1の重さ、弾性部材12とカム機構51との摩擦力、駆動車輪7と床との摩擦力等の諸条件によっても異なる動きをする。
【0038】
また、変形例として、例えば、図8に示すようなカム機構51Aを用いることもできる。カム機構51Aは、幅方向両側の中心Oからオフセットした位置に中心線Pと平行に延びる直線部56a、56bと、直線部56a、56bをつなぐ前方と後方に同じ曲率を有する円弧部58a、58bと、を有しており、回転体5が回転し弾性部材12が直線部56a、56b以外の円弧部58a、58bで当接しても安定しないように構成される。
【0039】
このカム機構51Aでは、回転体5が僅かに回転しようとするとカム機構51の直線部56aと当接する弾性部材12の付勢力が回転体5の回転力に勝りその回転が規制される(図8(a))。また、相対的に大きな回転力が回転体5に作用して回転力が弾性部材12の付勢力に勝ると、回転体5が反時計方向に回転し円弧部58bが弾性部材12と当接しながらカム機構51Aが回転し始める。そして、直線部56bが弾性部材12に当接することで安定した状態に戻って回転体5が停止する(図8(b))。このとき、回転体5は180°回転し、駆動車輪7が後方を向くため玩具本体1は少し向きを変えて後進することになる。
【0040】
また、玩具本体1が後進している際に、回転体5が僅かに回転しようとするとカム機構51の直線部56bと当接する弾性部材12の付勢力が回転体5の回転力に勝りその回転が規制される(図8(b))。また、相対的に大きな回転力が回転体5に作用して回転力が弾性部材12の付勢力に勝ると、回転体5が反時計方向に回転し円弧部58aが弾性部材12と当接しながらカム機構51Aが回転し始める。そして、直線部56aが弾性部材12に当接することで安定した状態に戻って回転体5が停止する(図8(a))。このとき、回転体5はさらに180°回転し、駆動車輪7が前方を向くため玩具本体1は少し向きを変えて再度前進することになる。
【0041】
従って、本変形例のカム機構51Aを備えた走行玩具10においては、前進走行している際の衝突時には後進し、後進走行している際の衝突時には前進する、いわゆるスイッチバック走行を行うことができる。このように、カム機構の形状を変更することによっても様々な動きを実現でき、カム機構51、51Aに限らず任意形状のカム機構を用いることができる。
【0042】
また、他の変形例として、例えば、図9に示すようなコイルばねを用いてもよい。
図9(a)では、カム機構51の直線部56に当接して平行に延びる棒状又は板状の押さえ部材13の前後方向両側に、圧縮力が作用する態様でコイルばねからなる弾性部材12Aが設けられている。また、図9(b)では、カム機構51の直線部56に当接して平行に延びる棒状又は板状の押さえ部材13の前後方向両側に押圧力が作用する態様でコイルばねからなる弾性部材12Bが設けられている。なお、図示は省略するが、弾性部材12A、12Bの両方を組み合わせて用いてもよい。上記実施形態では、弾性部材12が直接的にカム機構51に作用していたが、本変形例においては弾性部材12A、12Bが間接的に、言い換えると押さえ部材13を介して、カム機構51に作用している。
【0043】
以上のように、本実施形態の走行玩具10によれば、回転規制手段としての弾性部材12が回転体5のカム機構51に作用して回転体5の回転を規制するので、玩具本体1を持ち上げた場合であっても回転体5の回転が規制される。これにより、回転体5が回転することによる作動音の発生や紐等の巻き込みを防止することができる。また、玩具本体1の駆動車輪7を接地した場合であっても、障害物により進行を阻止されなければ走行玩具10の自重に加えて弾性部材12により回転体の回転が規制されるので、走行玩具10の直進性が向上する。これにより、左右に側壁があったり、レールが設けられたコースを走らせた場合でも、側壁やレールに軽く接触しただけでは走行玩具10は回転しないのでコースでも走行玩具10を走らせて遊ぶことができる。さらに、弾性部材12は、回転体5に設けられたカム機構51に作用するので、障害物により進行を阻止された場合(衝突時)に、カム機構51の形状により走行玩具10の動きを制御することができ、カム機構51の形状を変更することで、走行玩具10の動きを変えることができる。これにより、カム形状の異なる複数の走行玩具10を同時に走らせれば、様々な走行パターンの走行玩具10が見られる。
【0044】
また、走行玩具10の直進性を向上させたことにより種々の応用が可能となる。例えば、アイドル車輪6を偏心させることで、上下に揺らしながら前進させることができる。なお、アイドル車輪6を偏心させる方法としては、アイドル車輪6自体の形状を楕円形等にしたり、車軸との連結部をずらすこと等が考えられる。これにより、例えば図1で示した走行玩具10がお尻を振って歩いているように走行させることができる。
【0045】
即ち、本実施形態によれば、弾性部材12とカム機構51の組合せで、直進性とミステリー走行のもつ衝突時の回転性能のバランスが保たれ、これによりミステリー走行機能を備えた走行玩具10の遊びの幅を広げることができる。
【0046】
また、本実施形態によれば、カム機構51には、玩具本体1の進行方向に沿って延び、弾性部材12と当接する直線部56が設けられているので、直進性をより向上させることができる。なお、直線部56を設ける代わりに、カム機構51の外周縁に、摩擦抵抗の大きな領域を設けてもよい。これによっても弾性部材12が該領域で回転体5の回転を規制することで、走行玩具10の直進性を向上させることができる。
【0047】
また、本実施形態によれば、回転規制手段が回転体5に付勢力を付与して回転体5の回転を規制する弾性部材12から構成されるので、簡易な構成で回転体5の回転を規制することができる。また、弾性部材12の形状や太さ、強さ、支点の位置等により付勢力を調整することで、走行玩具10の動きを変えることができる。また、支点の位置を可変にすることで弾性部材12の付勢力を調整することができ、直進性とミステリー走行性のバランスを調整することができる。
【0048】
また、本実施形態は、かさ歯車43とクラウン歯車44とが取り付けられた回転軸42と、回転軸42を挿通する回転体5と、回転体5に支持され歯車46を有する車軸45に取り付けられた駆動車輪7がユニット化され、玩具本体1から着脱可能に構成されていることが好ましい。これにより、異なるカム機構を有するユニットに取り替えるだけで走行玩具10の動きを変えることができる。
【0049】
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、適宜、変形、改良、等が可能である。その他、上述した実施形態における各構成要素の材質、形状、寸法、数、配置箇所、等は本発明を達成できるものであれば任意であり、限定されない。
特に、上記実施形態では、カム機構51を有する回転体5を例示したが、必ずしもカム機構を有している必要はなく、弾性部材12が回転体5に作用して回転体5の回転を規制してもよい。これによっても、玩具本体1を持ち上げた場合であっても回転体5の回転が規制され、回転体5が回転することによる作動音の発生や紐等の巻き込みを防止することができ、玩具本体1の駆動車輪7を接地した場合であっても、障害物により進行を阻止されなければ走行玩具10の自重に加えて弾性部材12の付勢力により回転体5の回転が規制されるので、走行玩具10の直進性が向上する。これにより、左右に側壁があったり、レールが設けられたコースを走らせた場合でも、側壁やレールに接触しただけでは走行玩具10は回転しないのでコースでも走行玩具10を走らせて遊ぶことができる。なお、前進走行時に弾性部材12が作用する回転体5の部分を他の部分よりも摩擦力を大きくすることが直進性の点で好ましい。さらに、弾性部材12がギヤ機構を介さずに回転体5に作用するので、部品点数を削減でき、構造の簡略化により製造コストを低減することができる。
【0050】
また、動力伝達機構4の構成は、任意の構成を採用することができ、回転軸42とモータMの出力軸を同軸上に配置したり、平行に配置したり、モータの出力軸をそのまま回転軸42として使用してもよい。ギヤはかさ歯車等に限らず、ウォームギヤ等公知のものを適用することができる。
【0051】
上述した実施形態では、駆動車輪7を、進行方向に対して左右対称に一対設けたがこれに限定されず、図10(a)及び(b)に示すように、回転体5の回転方向に順転する側にのみ駆動車輪7を設け、反対側に突起8を設けてもよい。なお、この突起8は、極端な抵抗とならない程度に形成されていればよく、その形状等は任意に選択することができる。従来の走行玩具にこの片側車輪を適用すれば、駆動車輪と突起との接地抵抗のばらつきによって回転体105の回転が優先され直進性が低下してしまうが、本発明では弾性部材12の付勢力により回転体5の回転がある程度規制されているため、片側車輪であっても直進性が確保され、走行が可能となる。
【符号の説明】
【0052】
1 玩具本体
5 回転体
6 アイドル車輪
7 駆動車輪
10 走行玩具
12、12A、12B 弾性部材(回転規制手段)
42 回転軸
51、51A カム機構
56、56a、56b 直線部
M モータ(動力源)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
動力源を備えた玩具本体と、
前記動力源の動力により回転する回転軸と、
前記回転軸を相対回転可能に挿通するとともに前記回転軸の回転に伴って水平方向に回転可能な回転体と、
前記回転体に支持され前記回転軸の回転に伴って駆動する駆動車輪と、
前記玩具本体に支持されるアイドル車輪と、を備え、
障害物により進行を阻止されると前記回転体が回転し前記玩具本体の進行方向を変更可能な走行玩具であって、
前記回転体には、カム機構が設けられ、
前記玩具本体には、前記カム機構に作用して前記回転体の回転を規制する回転規制手段が設けられていることを特徴とする走行玩具。
【請求項2】
前記カム機構は、前記玩具本体の進行方向に沿って延び、前記回転規制手段が作用する直線部を有することを特徴とする請求項1に記載の走行玩具。
【請求項3】
前記回転規制手段は、前記回転体に付勢力を付与して前記回転体の回転を規制する弾性部材から構成されることを特徴とする請求項1又は2に記載の走行玩具。
【請求項4】
前記回転軸と、前記回転体と、前記駆動車輪は、前記玩具本体から取り外し可能なユニットを構成することを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の走行玩具。
【請求項5】
動力源を備えた玩具本体と、
前記動力源の動力により回転する回転軸と、
前記回転軸を相対回転可能に挿通するとともに前記回転軸の回転に伴って水平方向に回転可能な回転体と、
前記回転体に支持され前記回転軸の回転に伴って駆動する駆動車輪と、
前記玩具本体に支持されるアイドル車輪と、を備え、
障害物により進行を阻止されると前記回転体が回転し前記玩具本体の進行方向を変更可能な走行玩具であって、
前記玩具本体には、ギヤ機構を介さずに前記回転体に作用して前記回転体の回転を阻止する回転規制手段が設けられていることを特徴とする走行玩具。
【請求項6】
前記回転規制手段は、棒状又は板状の弾性部材であることを特徴とする請求項5に記載の走行玩具。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−61144(P2012−61144A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−207968(P2010−207968)
【出願日】平成22年9月16日(2010.9.16)
【出願人】(000003584)株式会社タカラトミー (248)
【Fターム(参考)】