説明

起泡安定剤

【課題】本発明は、セロオリゴ糖と増粘多糖類を含有し、低カロリーで、且つ、粘性が抑制されたメレンゲ用起泡安定剤と、それを含有する食品組成物を提供することを課題とする。
【解決手段】本発明によれば、難消化性糖質であるセロオリゴ糖と、増粘多糖類を組み合わせることで、低カロリーで、且つ、粘性が抑制されたメレンゲ用起泡安定剤、並びにそれを含有する食品組成物を提供することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、セロオリゴ糖と増粘多糖類を含有し、低カロリーで、且つ、粘性が抑制されたメレンゲ用起泡安定剤、並びにそれを含有する食品組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
一般的に空気を多く含有する食品は、メレンゲなどを利用して調製される。ここで言うメレンゲとは、卵白に細かい空気の泡を含有させることによって製造され、菓子類をはじめとする食品に用いられる組成物をさす。
【0003】
しかしながら、その気泡は不安定で、少し時間が経過すると離水が始まり、気泡が消失し始める。そのため、手作り時には問題にならなくても、工業的に食品を製造しようとすると、製造工程では滞留時間があるために、離水や気泡の消失が発生し、品質の安定した食品を製造することが困難になる。また不安定な気泡を含有するメレンゲを使用すると、最終製品の物性や食感に悪影響を及ぼす。例えば、焼成後にケーキ等が萎むという、釜落ち現象が良く知られており、結果的に食感も悪化する。
【0004】
この気泡の安定化を目的として、ジェランガムなどの増粘ゲル化剤の添加が試みられているが、消費者の健康志向により、増粘ゲル化剤のような食品添加物の使用量は、できる限り抑制することが望まれている。これら増粘ゲル化剤の大部分は、水に溶解させてから使用する必要があり、最終商品に対する水の持ち込み量が多くなるために、商品の処方設計が限定される。ここで水の持ち込み量を減らそうとすると、増粘ゲル化剤水溶液の粘性が非常に高くなり、実用性が無くなる。
【0005】
気泡の安定化を目的として、砂糖の添加量を増やす方法も一般的に知られているが、砂糖のような高カロリーの糖質を添加する方法は、消費者の健康志向ニーズに沿うものではない。
【0006】
特許文献1には、ネイティブジェランガムを含有するメレンゲ安定化剤の開示がある。しかしながら、ネイティブジェランガムを単独で使用する場合、以下のような問題があり、取り扱いが非常に困難である。まずネイティブジェランガムは、約80℃以上という高い温度でしか溶解させることができず、約70℃まで温度が下がるとゲル化が始まる。また、ネイティブジェランガムを高温の水に溶解させようとすると、ダマができてしまい、溶解が難しい。さらにネイティブジェランガム溶液は、非常に粘性が高い。
特許文献2には、トレハロースを含有するメレンゲ菓子の開示があるが、物性改良を目的に、トレハロースのような高カロリーの消化性糖質を添加することは、消費者の健康志向に反しており、問題がある。
【0007】
特許文献3には、セロオリゴ糖を含有する食品例の開示があるが、メレンゲに関する記載はなく、遡及効果は味質改善であり、本発明とは内容を異にする。
特許文献4には、ある特定の水不溶性天然セルロース系物質を、セルラーゼの存在下で酵素分解して得られた、セロオリゴ糖を含むことを特徴とする食品組成物や医薬品組成物の記載がある。しかしながら、具体的にセロオリゴ糖を含有する食品組成物や医薬品組成物の例は示されておらず、その効果の実態は不明である。
【0008】
特許文献5には、蛋白質の変性防止についての記載があるが、その実態は卵白の冷解凍性に関するものであり、気泡安定性については何ら言及されておらず、本発明とは内容を異にする。
特許文献6および7には、増粘多糖類を使用した食品添加物や起泡安定剤の記載があるが、セロオリゴ糖と増粘多糖類とを併用する、本発明とは異なるものである。
特許文献8には、増粘多糖類と糖類を使用した、パン生地及びパン類に関する記載があるが、糖類の実態はショ糖であり、オリゴ糖の添加効果については、何ら触れられていない。
【0009】
【特許文献1】特開平10−165082号公報
【特許文献2】特開平10−276674号公報
【特許文献3】特開2002−223721号公報
【特許文献4】WO/2006/011479
【特許文献5】WO/2007/037249
【特許文献6】特開昭57−5649号公報
【特許文献7】特開2004−194519号公報
【特許文献8】特開2005−278534号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
本発明は、セロオリゴ糖と増粘多糖類を含有し、低カロリーで、且つ、粘性が抑制されたメレンゲ用起泡安定剤と、それを含有する食品組成物を提供することを解決すべき課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明者は、難消化性糖質であるセロオリゴ糖と、増粘多糖類とを組み合わせることで、低カロリーで、且つ、粘性が抑制されたメレンゲ用起泡安定剤、並びにそれを含有する食品組成物を提供することが可能であることを見出した。さらに本発明の起泡安定剤を添加することで、泡立ちが安定化することによって、それを含有する食品の食感(空気感)や、釜落ち現象が改善できることを見出し、本発明をなすに至った。
【0012】
すなわち本発明は、以下の通りである。
(1) セロオリゴ糖と増粘多糖類を、1:99 〜 99.9:0.1の質量比で含有することを特徴とする、メレンゲ用起泡安定剤。
(2) 増粘多糖類が、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ペクチン、ジェランガム、又はゼラチンのいずれかである、(1)に記載の起泡安定剤。
(3) 増粘多糖類が、キサンタンガム、グアーガム、グルコマンナン、又はゼラチンのいずれかである、(1)又は(2)に記載の起泡安定剤。
(4) (1)から(3)の何れかに記載の起泡安定剤を含有する、メレンゲ。
(5) (4)に記載のメレンゲを含有する、食品組成物。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、難消化性糖質であるセロオリゴ糖と、増粘多糖類を組み合わせることで、低カロリーで、且つ、粘性が抑制されたメレンゲ用起泡安定剤、並びにそれを含有する食品組成物を提供することを可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明者は、セロオリゴ糖と増粘多糖類を組み合わせることで、低カロリーで、且つ、粘性が抑制されたメレンゲ用起泡安定剤と、それを含有する食品組成物を提供することが可能であることを見出した。さらに本起泡安定剤を添加することで、泡立ちが安定化することによって、それを含有する食品の食感(空気感)や、釜落ち現象が改善できることを見出し、本発明をなすに至った。
以下、本発明について具体的に説明する。
【0015】
本発明のセロオリゴ糖とは、グルコピラノース単位が2〜6個程度、β−1,4結合した構造を持つオリゴ糖であり、セロビオース、セロトリオース、セロテトラオース、セロペンタオースおよびセロヘキサオースからなる群より選択される主成分を、50質量%以上含有する。この主成分とその含有量としては、セロビオースを70質量%以上含有することが好ましく、90質量%以上であれば、さらに好ましい。これは上述のセロオリゴ糖主成分の中で、水に対する溶解度はセロビオースが最も高いことから、本発明のメレンゲに最も適しているからである。
【0016】
また上述のセロオリゴ糖は、副成分としてグルコースを含有しても構わないが、吸湿性やカロリーの問題から、含有量は10質量%以下であることが好ましい。
本発明のセロオリゴ糖の製造方法としては、特に規定するものではないが、安全性の点からは、セルロース系物質をセルラーゼで酵素分解して得られるものを使用するのが好ましい。
【0017】
本発明におけるセロオリゴ糖の、主たる成分であるセロビオースのエネルギー換算係数は、2kcal/gであり、難消化性糖質である。昨今の消費者の健康志向からみて、品質改良を目的に、高カロリーの消化性糖質を使用することは問題がある。
ここで言う消化性糖質とは、健康増進法に基づく、健康表示基準対応のエネルギー換算係数が、4kcal/gの糖質であり、トレハロースなどがこれに含まれる。
【0018】
ここで言うセルラーゼとは、セルラーゼを分解する酵素の総称であり、セルロースの分解活性を有する酵素が全て含まれる。セルラーゼ酵素源は、特に限定されるものではないが、例えばセルラーゼ産生菌体、菌体の産生する酵素を精製したもの、精製酵素を添加剤等とともに製剤化したものなどがあげられる。またその剤形も、特に限定されるものではないが、例えば液体、粉末、顆粒などがある。
【0019】
セルラーゼの起源についても、特に限定されるものではなく、公知のセルラーゼ産生微生物としては、Tricoderma属、Acremonium属、Aspergillus属、Bacillus属、Pseudomonas属、Penicillium属、Aeromonus属、Irpex属、Sporotrichum属、Humicola属、Cellovibrio属などがあるが、セルロースを分解する酵素であれば、上記公知の菌由来の酵素に限らず、新規の菌由来の酵素も、本発明でいうセルラーゼに含まれる。
【0020】
本発明の増粘多糖類とは、糖を構成単位とする高分子の総称であり、例えば、アルギン酸およびその塩(例えば、アルギン酸ナトリウムなど)、アルギン酸プロピレングリコールエステル、カルボキシメチルセルロースカルシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、デンプングリコール酸ナトリウム、デンプンリン酸エステルナトリウム、メチルセルロース、ポリアクリル酸ナトリウム、アーモンドガム、アラビアガム、キサンタンガム、アラビノガラクタン、エレミ樹脂、カラヤガム、ガッディガム、ダンマル樹脂、トラガントガム、モモ樹脂、アマシードガム、カシアガム、グアーガム、グアーガム分解物、ローカストビーンガム、タラガム、サイリウムシードガム、サバクヨモギシードガム、セスバニアガム、タマリンドシードガム、ジェランガム、トリアカンソスガム、アルギン酸、カラギーナン、フクロノリ抽出物、ファーセルラン、アロエベラ抽出物、オクラ抽出物、キダチアロエ抽出物、トロロアオイ、ペクチン、アエロモナスガム、アウレオバシジウム培養液、アゾトバクター・ビネランジーガム、ウェランガム、エルウィニア・ミツエンシスガム、エンテロバクター・シマナスガム、エンテロバクターガム、カードラン、ジェランガム、スクレロガム、デキストラン、納豆菌ガム、プルラン、大豆多糖類、カラギーナン、マクロホモプシスガム、ラムザンガム、レバン、酵母細胞壁、微小繊維状セルロースおよびその製剤、バクテリアセルロースおよびその製剤、結晶セルロースおよびその製剤、粉末セルロースおよびその製剤、キチン、キトサン、グルコサミン、オリゴグルコサミン、グルコマンナン、こんにゃく粉、寒天、デキストリン、分岐デキストリン、難消化性デキストリン、PGA、ポルフィラン、ファーセルラン、フコイダンなどがあげられる。ゼラチンは、タンパク質であって化学的には多糖類ではないが、用途としては増粘多糖類と同じであることから、本発明の増粘多糖類に例外的に含めるものとする。
【0021】
上述の増粘多糖類の中で好ましいのは、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ペクチン、ジェランガム、ゼラチンであり、さらに好ましくは、キサンタンガム、グアーガム、グルコマンナン、ゼラチンである。これらは単独で使用しても、複数を組み合わせて使用しても構わない。
【0022】
本発明のキサンタンガムとは、主鎖はD−グルコースがβ−1,4結合した構造を有し、この主鎖のアンヒドログルコースにD−マンノース、D−グルクロン酸、D−マンノースからなる側鎖が結合したものである。主鎖に付くD−マンノースの6位はアセチル化され、末端のD−マンノースがピルビン酸とアセタール結合している枝分かれの多い構造である。
【0023】
本発明のグアーガムおよびローカストビーンガムは、ガラクトマンナンの一種である。ガラクトマンナンとは、β−D−マンノースがβ−1,4結合した主鎖と、α−D−ガラクトースがα−1,6結合した側鎖からなる構造を有する多糖類であり、マンノースとグルコースの比率は、グアーガムで約2:1、ローカストビーンガムで約4:1である。
【0024】
本発明のグルコマンナンは、D−グルコースとD−マンノースがβ−1,4結合した構造を有し、グルコースとマンノースの比率が約2:3の多糖類であるが、精製度が低いと独特の刺激臭があるので、精製度の高いものを使用することが望ましい。
【0025】
本発明のペクチンは、主鎖はα−D−ガラクツロン酸がα−1,4結合しており、部分的にメタノールでエステル化されている。ガラクツロン酸の主鎖にβ−L−ラムノースが入ることによって、分子にねじれが生じている。また中性のアラバン、ガラクタン、キシラン等が側鎖として結合している場合と、混在しているものがある。ペクチンを構成するガラクツロン酸は、メチルエステルの形と酸の2つの形で存在している。そのエステルの形で存在するガラクツロン酸の割合をエステル化度と呼び、エステル化度が50%以上のものがHMペクチン、50%未満のものがLMペクチンと言われている。
【0026】
本発明のジェランガムは、グルコース、グルクロン酸、グルコースとL−ラムノースの4つの糖が、反復ユニットで直鎖状に結合したものである。ネイティブ型ジェランガムは、このグルコースのC−6位に3〜5%アセチル基が、C−2位にグリセリル基が結合している。脱アセチル化ジェランガムは、ネイティブ型ジェランガムを脱アセチル化処理して、精製したものである。本発明に使用するジェランガムは、特に限定されるものではないが、脱アセチル化ジェランガムは、使用時にカチオンを共存させる必要があることや、離水が多い特性があるため、ネイティブ型ジェランガムの使用が好ましい。
【0027】
本発明のゼラチンとは、牛、豚、魚などの 動物の 皮膚、 骨、腱などの 結合組織の主成分であるコラーゲンに熱を加え、抽出したものであり、タンパク質を主成分とする。化学的には、コラーゲン分子の三重らせん構造が熱変性によってほどけたものを主成分とする混合物である。
【0028】
本発明のメレンゲ用起泡安定剤における、セロオリゴ糖と増粘多糖類の比率は、質量比で、セロオリゴ糖:増粘多糖類=1:99 〜 99.9:0.1であれば特に限定されるものではなく、好ましくは、セロオリゴ糖:増粘多糖類=1:99〜99:1である。増粘多糖類の種類や食品組成物の処方によっては、効果がわかりにくい場合があるので、セロオリゴ糖:増粘多糖類=30:70〜99:1であることが好ましく、セロオリゴ糖:増粘多糖類=50:50〜98:2であればさらに好ましい。
【0029】
本発明のメレンゲ用起泡安定剤とは、具体的には、後述するメレンゲの気泡安定化を目的に、使用される製剤のことをさす。
本発明のメレンゲとは、卵白を泡立てたものであり、糖質を加えて泡立てる場合が多い。メレンゲの種類や製造方法は、特に限定されるものではないが、例えば以下の(a)〜(c)のようなものが知られている。
(a)フランスメレンゲ(コールドメレンゲ):冷却した卵白と糖質を混合し、泡立てたもの。
(b)スイスメレンゲ(ホットメレンゲ):卵白と糖質を70℃程度まで暖めて、泡立てる。
(c)イタリアンメレンゲ(ボイルドメレンゲ):糖質を120℃程度の温度で煮詰めて、泡立てた卵白の中に注ぎ混ぜる。
【0030】
ここで言う卵白とは、鶏をはじめとする鳥類など有羊膜類の卵の中で、卵黄膜と卵殻膜の間に存在する半透明の液体であり、タンパク質と水分を主成分とする。卵白は、生卵から直接採取したものだけでなく、加糖全卵、加糖卵白、乾燥全卵、乾燥卵白、冷凍全卵、冷凍卵白、冷凍加糖全卵、冷凍加糖卵白、酵素処理全卵なども用いることが可能であり、その形態、性状、加工の有無は特に制限されない。また必要に応じて、ホエイ蛋白やアルブミンなどの、起泡を補助する成分を併用しても良い。
なお、配合における卵白の合計量を、質量基準で100%とした場合の、卵白以外の配合量の質量割合を、以下「対卵白」と言う。
【0031】
本発明のメレンゲ用起泡安定剤およびそれを含有する食品組成物には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、上記の成分以外に、後述の食品素材、食品添加物、医薬品、医薬品添加物などを適宜配合してもよい。
本発明の食品組成物とは、薬事法で規定される医薬品および医薬部外品と、食品衛生法で規定される食品添加物を除き、飲食に供されるものが全て含まれる。
【0032】
本発明の食品組成物の例としては、後述の菓子類、パン類のほかに、麺類、調味料(マヨネーズ、ドレッシング等)、嗜好飲料(コーヒー、茶類、ジュース等)、畜肉および魚肉製品(ソーセージ、ハム、ベーコン、ハンバーグ、肉団子等)、乳製品(チーズ、バター、マーガリン、スプレッド、練乳、脱脂粉乳、全脂粉乳、ホエイ、発酵乳等)、卵製品(卵焼き、卵豆腐等)などがあげられる。
【0033】
ここで言う菓子類とは、例えば、焼菓子類(メレンゲ菓子、焼きメレンゲ、マカロン、ビスケット、クッキー、クラッカー、プレッツェル、ウエハース、サブレ等)、ケーキ類(シフォンケーキ、スフレ、ドーナツ、スポンジケーキ、ロールケーキ、エンゼルケーキ、パウンドケーキ、バウムクーヘン、タルト、フルーツケーキ、マドレーヌ、カステラ、ワッフル、ミルフィーユ、アップルパイ、ベニェ、ホットケーキ、パンケーキ等)、クリーム類(バタークリーム、カスタードクリーム、生クリーム、ホイップクリーム、チョコレートクリーム、サワークリーム、バタークリーム、餡等)、洋菓子類(クレープ、シュークリーム、エクレア、プリン、ババロア、ムース、ゼリー、アイスクリーム、アイスミルク、ラクトアイス、シャーベット、ソルベ等)、和菓子類(淡雪、まんじゅう、蒸しようかん、どら焼き、今川焼き、たい焼き、きんつば、栗まんじゅう、月餅、ボーロ、八つ橋、せんべい、かりんとう等)、マシュマロ、スナック菓子、ピザパイ、チョコレート類、キャンディー類(ハードキャンディ、グミキャンディー、キャラメル等)、ガム類などがあげられる。
ここで言うパン類とは、例えば、食パン、コッペパン、フルーツブレッド、コーンブレッド、バターロール、ハンバーガーバンズ、フランスパン、イギリスパン、ドイツパン、玄米パン、ロールパン、菓子パン、調理パン、中華まんの皮、蒸しパン、スイートドウ、乾パン、マフィン、ベーグル、クロワッサン、デニッシュペストリー、ナンなどがあげられる。
【0034】
本発明のメレンゲ用起泡安定剤と、それを含有する食品組成物には、本発明の効果を妨げない限りにおいて、上記の成分以外に、後述の食品素材、食品添加物、医薬品、医薬品添加物などを適宜配合しても良い。
ここで言う食品素材とは、一般に食品の原材料として使用される素材のことであり、薬事法で規定される医薬品および医薬部外品と、食品衛生法で規定される食品添加物を除き、飲食に供される全てのものが含まれる。
【0035】
ここで言う食品添加物とは、食品の加工もしくは保存の目的で添加される物質のことである。
食品添加物の例としては、厚生労働省の「指定添加物リスト」、「既存添加物名簿収載品目リスト」、「天然香料基原物質リスト」、「一般に食品として飲食に供させている物であって添加物として使用される品目リスト」などに収載される食品添加物や、JECFAなどの国際機関で安全性が確認されたもの、米国・欧州などの諸外国で使用が認可されている食品添加物などがあげられ、保存料・日持向上剤、酸化防止剤、甘味料、着色料・色素、乳化剤、増粘ゲル化剤、品質改良剤、調味料、酸味料、強化剤、香料、酵素などに分類される。
【0036】
食品素材や食品添加物の例としては、以下のようなものがあげられる。
ここで言う食品素材としては、例えば、果実・野菜およびそのエキス類、果実・野菜加工品(フルーツプレパレーション、フルーツソース、ジャム等)、乾燥果実(干しぶどう、干しパイナップル等)、ナッツ・種子類(くるみ、ピーナッツ、アーモンド、マカデミアナッツ、ピーカンナッツ、大豆、ゴマ、芥子等)、牛乳、加工乳、豆乳、果汁、野菜汁、卵類(液卵、卵黄粉末等)、ココア末、糖や糖アルコール類、肉や魚のエキス類、タンパク質、ペプチド、アミノ酸類、食物繊維、天然由来高分子(コラーゲン、ヒアルロン酸、天然繊維等)、ビタミン類、生理活性物質(コエンザイムQ10、α−リポ酸、β−グルカン、セラミド等)、澱粉類、デキストリン、油脂類(サラダ油、ゴマ油、ラード、菜種油、ショートニング等)、アルコール類、塩類(食塩、Caなどのミネラル類等)、調味料(醤油、味噌、酢、みりん、砂糖、マヨネーズ、ドレッシング、タレ、豆板醤、ソース類等)、香辛料(シナモン、コショウ、唐辛子等)などがあげられる。
【0037】
保存料・日持向上剤としては、例えば、例えば、過酸化水素、ソルビン酸およびソルビン酸K、デヒドロ酢酸Na、パラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸および安息香酸Na、プロピオン酸およびその塩類、次亜塩素酸Na、酢酸、酢酸ナトリウム、グリシン、エチルアルコール、ポリリジンおよびその製剤、プロタミンおよびその製剤、リゾチームおよびその製剤、ペクチン分解物、アラニン、チアミンラウリル硫酸塩、ユッカフォーム抽出物、キトサンおよびその製剤、プロピレングリコールなどがあげられる。
【0038】
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシアニソール、ブチルヒドロキシトルエン、L−アスコルビン酸およびアスコルビン酸Na、エリソルビン酸およびエリソルビン酸Na、ミックストコフェノールなどがあげられる。
【0039】
甘味料としては、例えば、高甘味度甘味料(サッカリン、サッカリンNa、アスパルテーム、アセスルファムK、スクラロース、甘草抽出物、ステビア、ソーマチン、グリチルリチン、ネオテーム等)、単糖類(アロース、タロース、グロース、グルコース、アルトロース、マンノース、ガラクトース、イドース、フルクトース、リボース、リキソース、キシロース、アラビノース、アピオース、エリトロース、トレオース、グリセルアルデヒド、セドヘプツロース、コリオース、プシコース、ソルボース、タガトース、リブロース、キシルロース、エリトルロース、ジヒドロキシアセトン等)、二糖類やオリゴ糖類(スクラロース、トレハロース、コージビオース、ニゲロース、マルトース、イソマルトース、イソトレハロース、ソホロース、ラミナリビオース、ゲンチオビオース、ラクトース、スクロース、パラチノース、トレハルオース、フラクトオリゴ糖、パラチノースオリゴ糖、グリコシルスクロース、ラクトスクロース、テアンデロース、ガラクトシルラクトース、ラクチュロース、α−結合ガラクトオリゴ糖、マルトオリゴ糖、イソマルトオリゴ糖、パノース、ニゲロオリゴ糖、トレハロース、デキストリン、サイクロデキストリン、分岐サイクロデキストリン、ゲンチオオリゴ糖、キシロオリゴ糖、キチンオリゴ糖、キトサンオリゴ糖、大豆オリゴ糖、ラフィノース、ビートオリゴ等)、糖アルコール類(グリセロール、エリスリトール、キシリトール、リビトール、アラビトール、ガラクチトール、ソルビトール、マンニトール、還元パラチノース、マルオトリイトール、イソマルトトリイトール、マルトテトライトール、イソマルトテトライトール等)、水飴、還元水飴、糖含有シロップ、液糖、糖蜜、蜂蜜などがあげられ、その化学構造や性状(固体、液体、顆粒など)は特に限定されない。
【0040】
着色料としては、β−カロチン色素、抽出カロチン色素、ビタミンB2、銅クロロフィルおよび銅クロロフィルNa、アナトー、アカキャベツ、アカダイコン、イカスミ、植物炭末、ウコン、エルダーベリー、カカオ、カロブ、クロロフィル、クチナシ黄、クチナシ青、クチナシ赤、グレープスキン、コチニール、コーリャン、シソ、シアナット、スピルリナ、タマリンド、タマネギ、トマト、パプリカ、ビートレッド、ブドウ果汁、ベニコウジ、ベニバナ黄、ベニバナ赤、マリーゴールド、ムラサキイモ、ムラサキコーン、ラック、カラメルなどがあげられる。
【0041】
色素としては、例えば、赤色2号、赤色3号、赤色40号、赤色102号、赤色105号、赤色106号、黄色4号、黄色5号、青色1号、青色2号、赤色3号レーキ、赤色40号レーキ、黄色4号レーキ、黄色5号レーキ、青色1号レーキ、青色2号レーキなどがあげられる。
【0042】
乳化剤としては、例えば、グリセリン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、PGエステル、ショ糖脂肪酸エステル、有機酸モノグリセリド、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリグリセリン縮合リシノレイン酸エステル、プロピレングリコール脂肪酸エステル、レシチン類(レシチン、酵素分解レシチン、酵素処理レシチン等)、植物ステロールなどがあげられる。
増粘ゲル化剤としては、上述の増粘多糖類が使用される場合が多い。
【0043】
品質改良剤としては、ステアロイル乳酸Ca、フィチン酸、プロピレングリコール、リン酸Ca、リン酸Na、ピロリン酸Na、ポリリン酸Na、メタ・ヘキサリン酸Na、リン酸K、リン酸アンモニウム、リン酸、焼みょうばん、生みょうばん、ホエーたん白、カゼイン、カゼイネート、プラズマパウダー、粉末状大豆たん白、粉末状小麦たん白、ペースト状小麦たん白、EDTA塩類などがあげられる。
調味料としては、例えば、グルタミン酸Na、核酸系調味料、アミノ酸系調味料、エキス系調味料、酵母エキス、グリシン、アラニンなどがあげられる。
【0044】
酸味料としては、例えば、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、酒石酸、コハク酸、フマル酸、アジピン酸、グルコン酸液、グルコノデルタラクトンなどがあげられる。
強化剤としては、例えば、ビタミンA、ビタミンB1、ビタミンB2、ビタミンB6、ビタミンB12、ビタミンC、ビタミンD、ビタミンE、ニコチン酸およびニコチン酸アミド、葉酸、パトテン酸Ca、グルコン酸Ca、乳酸Ca、天然Ca、ミルクCaなどがあげられる。
【0045】
香料としては、例えば、ピーチフレーバー、オレンジフレーバー、レモンフレーバー等のフルーツフレーバー類、アロマフレーバー類、マルトール、フラネオール等のシュガーフレーバー類、ソトロン等のフレーバーエンハンサー類、フラボノイド類、カカオマス等のポリフェノール類、プリカーサーフレーバー類、ミートフレーバー類、コーヒーフレーバー類、ミルクフレーバー、メントール類、デカラクトン類などがあげられる。
酵素としては、例えば、αアミラーゼ、βアミラーゼ、グルコアミラーゼ、プルラナーゼ、グルコースイソメラーゼ、プロテアーゼ、レンネット、パンクレアチン、パパインなどがあげられる。
【0046】
ここで言う医薬品とは、薬事法に規定される医薬品をさす。つまり以下の(1)〜(3)に該当するものであり、医薬品薬効成分の多くがこれに含まれる。
(1)日本薬局方に収められている物
(2)人又は動物の疾病の診断、治療又は予防に使用されることが目的とされている物であって、機械器具、歯科材料、医療用品及び衛生用品(以下「機械器具等」という。)でないもの(医薬部外品を除く。)
(3)人又は動物の身体の構造又は機能に影響を及ぼすことが目的とされている物であって、機械器具等でないもの(医薬部外品及び化粧品を除く。)
【0047】
ここで言う医薬品添加物とは、薬事法上の医薬品や医薬部外品に該当しない、医薬品製剤に含まれる有効成分以外の物質であり、「製剤化を容易にする」、「品質の安定化を図る」、「有用性を高める」などを目的として、医薬品や医薬部外品などに添加される物質の総称である。用途により、賦形剤、崩壊剤、結合剤、流動化剤、矯味剤、香料、着色剤、甘味剤、溶剤、油脂、増粘剤、界面活性剤、ゲル化剤、安定剤、保存剤、緩衝剤、懸濁化剤、粘稠剤などに分類される。代表的な医薬品添加物は、「医薬品添加剤事典」(株式会社薬事日報社)、「医薬品添加物ハンドブック」(株式会社薬事日報社)などに収載されている。
【0048】
次に実施例によって本発明をさらに詳細に説明する。なお本願発明にかかる物質の諸物性の評価は以下の手法に拠った。
<糖組成>
以下の条件で、糖組成分析を行った。
装置:高速液体クロマトグラフ「LC−20A型」(株式会社島津製作所製)
検出器:示差屈折率検出器(RI検出器)
カラム:「Asahipak NH2P−50」(昭和電工株式会社製)
カラム温度:40℃
移動相:アセトニトリル/水=75/25(容積比)
流量:1mL/min
【0049】
<メレンゲの離水量>
製造後、200mLの目盛付ガラスビンに充填し、10℃で4時間保存した後の離水量を、容量%で表した。
【0050】
<釜落ち率>
釜落ち率(%)を、次式に従って算出する。
釜落ち率(%)={(H1−H2)/H1}×100
ここで、H1:焼成・型抜き後、25℃雰囲気下で5分経過した時点のケーキの高さ、H2:焼成・型抜き後、25℃雰囲気下で60分経過した時点のケーキの高さ
上述の釜落ち率が20%以上の場合、釜落ちと判定する。
【0051】
<メレンゲの食感評価(空気感)>
製造後、10℃で2時間保存後、健常男女各10名(計20名)による食感評価を実施し、「5点/人」を持ち点として、以下の基準で点数化して合算し、100点満点で評価を行った。
5点:基準より顕著に良好(基準より顕著に空気感を感じる)
4点:基準より良好(基準より空気感を感じる)
3点:基準と同等
2点:基準より劣る(基準より空気感が劣る)
1点:基準より顕著に劣る(基準より空気感が顕著に劣る)
【0052】
得られた合算値を、以下の基準にあてはめて評価を行った。
◎:基準より顕著に良好(75点≦合算値)
○:基準より良好(65点≦合算値<75点)
−:基準と同等(55点≦合算値<65点)
×:基準より劣る(合算値<55点)
【0053】
<シフォンケーキの食感評価(空気感)>
製造後、25℃の雰囲気下で1時間保存後、健常男女各10名(計20名)による食感評価を実施し、「5点/人」を持ち点として、以下の基準で点数化して合算し、100点満点で評価を行った。
5点:基準より顕著に良好(基準より顕著に空気感を感じる)
4点:基準より良好(基準より空気感を感じる)
3点:基準と同等
2点:基準より劣る(基準より空気感が劣る)
1点:基準より顕著に劣る(基準より空気感が顕著に劣る)
【0054】
得られた合算値を、以下の基準にあてはめて評価を行った。
◎:基準より顕著に良好(75点≦合算値)
○:基準より良好(65点≦合算値<75点)
−:基準と同等(55点≦合算値<65点)
×:基準より劣る(合算値<55点)
【実施例】
【0055】
以下、本発明を実施例と比較例を示して、具体的に説明するが、本発明はこれらに何ら限定されるものではない。
実施例で使用する原材料について、次の(1)〜(8)に示す。
【0056】
(1)セロオリゴ糖の製造:普通寒天培地にTricoderma reesei、GL−1株(独立行政法人産業技術総合研究所 特許生物寄託センター、受領番号FERM BP−10323)を接種し、37℃で7日間培養後、その培地表面から胞子を1白金耳取り、ポリペプトン1g、酵母エキス0.5g、リン酸1カリウム2g、硫酸アンモニウム1.5g、硫酸マグネシウム0.3g、塩化カルシウム0.3g、トレースエレメント1mL(硼酸6mg、モリブデン酸アンモニウム4水和物26mg、塩化鉄(3)6水和物100mg、硫酸銅5水和物40mg、硫酸マンガン4水和物8mg、硫酸亜鉛7水和物200mgを全量100mLの精製水に溶解させたもの)、アデカノール1mL、結晶セルロース(旭化成ケミカルズ株式会社製「セオラスPH−101」)10gを全量1Lの精製水に懸濁および溶解させた培地に植菌し、28℃で5日間通気攪拌培養した。
【0057】
培養中は、水酸化ナトリウム水溶液を用いて、培地のpHを2.8〜4.7となるように調節した。培養後の液を遠心分離し、上清を目開き0.46μmの精密ろ過膜で除菌し、ろ液を分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ株式会社製 「マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013」)を使用して、容積比で10倍濃縮し粗酵素を得た。
【0058】
次に、市販針葉樹由来の溶解パルプを使用し、加水分解条件を塩酸濃度0.4%塩酸水溶液、120℃、1時間として、加水分解し、酸不溶性残渣を洗浄、ろ過し、ウェットケークを得た。このウェットケークをセルロース10%濃度の水分散体とし、超高性能分散機・湿式微粉砕機(アシザワ株式会社製、「パールミルRL」、φ1mmジルコニアビーズ使用 充填率80%)を使用し、圧密・磨砕処理を施し、セルロース微粒子分散体を得た。
この磨砕セルロースが2質量%、粗酵素をタンパク質濃度0.25%になるように50mM酢酸−酢酸ナトリウム緩衝液(pH4.5)に懸濁溶解させ、全量1000mLとし、ガラス製フラスコに仕込んだ。
【0059】
このガラス製フラスコを、55℃の水槽に仕込み、内部を攪拌しながら4時間反応させた。反応終了後、反応液を懸濁状態で300μL分注し、限外ろ過モジュール(分画分子量10000)を使用し、酵素、未分解セルロースを取り除いた後、高速液体クロマトグラフィーで糖濃度を分析した。該反応液の糖濃度は、グルコース0.3質量%、セロビオース1.5質量%であった。
該反応液を、分画分子量13000の限外ろ過膜(旭化成ケミカルズ株式会社製、「マイクローザペンシル型モジュール ACP−0013」)でろ過し、得られたろ液を陽・陰イオン交換樹脂で脱イオン処理し、70℃、減圧下で蒸留し、20倍の糖濃度の水溶液を得た。
【0060】
上記で得られたセロオリゴ糖水溶液100mLを、200mLのガラス製フラスコに導入し、攪拌しながら、毎時10℃の速度で、70℃から5℃まで冷却した後、エタノールを水に加え晶析した。水溶液中に晶出したセロオリゴ糖を、減圧ろ過、乾燥、粉砕、篩下し、セロオリゴ糖粉末を得た。得たれたセロオリゴ糖粉末の糖組成は、グルコース0.9質量%、セロビオース98.2質量%、セロトリオース0.4質量%、セロテトラオース0.2質量%であった。
【0061】
(2)上白糖(三井製糖株式会社製)
(3)スクラロース(三栄源エフ・エフ・アイ株式会社製)
(4)アセスルファムK(キリンフードテック株式会社製、「サネット」)
(5)キサンタンガム(大日本住友製薬株式会社製)
(6)グアーガム(ユニテックフーズ株式会社)
(7)起泡安定剤α
セロオリゴ糖:グアーガム=98:2の質量比で混合したもの
(8)起泡安定剤β
セロオリゴ糖:キサンタンガム=88:12の質量比で混合したもの
【0062】
[実施例1]
解凍した冷凍卵白100質量%を、5℃に調整後、攪拌装置(株式会社愛工舎製作所製、「ケンミックス アイコーPRO、型式:KM−600」、付属アタッチメントとしてホイッパーを装着したもの)のボールに投入し、目盛2で2分間、ホイップした。
次に、対卵白で2質量%の起泡安定剤α、17.995質量%の上白糖、0.003質量%のスクラロース、0.002質量%のアセスルファムKを添加し、目盛4で1分間、ホイップした。この操作を1セットとして、対卵白で、起泡安定剤αが10質量%、上白糖が90質量%になるまで、さらに4回、同様の操作を繰り返した。その後さらに、目盛4で3分間、ホイップして、メレンゲAを調製した。
得られたメレンゲAの、離水量と食感評価(空気感)の結果を、表1に示した。比較例1に示す基準と比較して、離水が抑制され、食感(空気感)が改善されることがわかった。
【0063】
[実施例2]
表2の配合に従って、以下のように、シフォンケーキBを製造した。
25℃の水を、攪拌装置(プライミクス株式会社製、「T.K.ホモミクサー」)で攪拌しながら、起泡安定剤βと上白糖を添加した。さらに5℃/分で昇温しながら、7500rpmで10分間攪拌し、糖液を調製した。
生卵から採取した卵白を、5℃に調整後、攪拌装置(株式会社愛工舎製作所製、「ケンミックス アイコーPRO、型式:KM−600」、付属アタッチメントとしてホイッパーを装着したもの)のボールに投入し、目盛2で2分間、ホイップした。
次に、上述の糖液の1/5量を添加し、目盛4で1分間、ホイップした。この操作を1セットとして、さらに4回、同様の操作を繰り返した。その後さらに、目盛4で3分間、ホイップして、メレンゲを調製した。
【0064】
卵黄とサラダ油の混合物に、上述のメレンゲの1/2量を加え、均一に混合した。これに、薄力粉とベーキングパウダーの混合物を徐々に加え、均一になるまで混合した。さらに、残りのメレンゲを加えて軽く混ぜた。
この液をシフォンケーキの型に流し入れ、170℃のオーブンで50分間、焼成し、シフォンケーキBとした。
得られたシフォンケーキBの、釜落ち率と食感評価(空気感)の結果を、表3に示した。比較例と比較して、釜落ちと食感(空気感)が改善されることがわかった。
【0065】
[比較例1]
実施例1の起泡安定剤αの代わりに、上白糖を使用して、実施例1と同様の方法で、メレンゲWを調製し、評価した結果を表1に示した。
【0066】
[比較例2]
実施例2の起泡安定剤βを使用せず、表2の配合に従って、実施例2と同様の方法で、シフォンケーキXを製造し、評価した結果を表3に示す。
【0067】
[比較例3]
実施例2の起泡安定剤βの代わりに、表2に従って、セロオリゴ糖を配合し、実施例2と同様の方法で、シフォンケーキYを製造し、評価した結果を表3に示した。
【0068】
[比較例4]
実施例2の起泡安定剤βの代わりに、表2に従って、キサンタンガムを配合し、実施例2と同様の方法で、シフォンケーキZを製造し、評価した結果を表3に示した。
しかしながら、製造工程途中の糖液調製の際に、キサンタンガムがダマになり、正常にシフォンケーキが製造できなかった。また食感評価時に、20人中19人が、ダマがあって食感が不均一であると回答した。
【0069】
【表1】

【0070】
【表2】

【0071】
【表3】

【産業上の利用可能性】
【0072】
本発明は、難消化性糖質であるセロオリゴ糖と、増粘多糖類を組み合わせることで、低カロリーで、且つ、粘性が抑制されたメレンゲ用起泡安定剤と、それを含有する食品組成物を提供することが可能である。これは最終商品のみならず、製造工程における作業性の改善にも寄与できる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
セロオリゴ糖と増粘多糖類を、1:99 〜 99.9:0.1の質量比で含有することを特徴とする、メレンゲ用起泡安定剤。
【請求項2】
増粘多糖類が、キサンタンガム、グアーガム、ローカストビーンガム、グルコマンナン、ペクチン、ジェランガム、又はゼラチンのいずれかである、請求項1に記載の起泡安定剤。
【請求項3】
増粘多糖類が、キサンタンガム、グアーガム、グルコマンナン、又はゼラチンのいずれかである、請求項1又は2に記載の起泡安定剤。
【請求項4】
請求項1から3の何れかに記載の起泡安定剤を含有する、メレンゲ。
【請求項5】
請求項4に記載のメレンゲを含有する、食品組成物。

【公開番号】特開2009−112219(P2009−112219A)
【公開日】平成21年5月28日(2009.5.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−287056(P2007−287056)
【出願日】平成19年11月5日(2007.11.5)
【出願人】(303046314)旭化成ケミカルズ株式会社 (2,513)
【Fターム(参考)】