説明

超伝導単一光子検出素子、超伝導単一光子検出素子の製造方法および超伝導単一光子検出器の部品の実装方法

【課題】光子との光カップリング性および光吸収性の両方に優れた超伝導単一光子検出素子を提供する。
【解決手段】超伝導単一光子検出素子100は、酸化マグネシウムからなる基板10と、基板10の表面に形成された窒化ニオブ配線13と、窒化ニオブ配線13上に形成されたキャビティ層12と、キャビティ層12上に形成された反射層11と、基板10の裏面に形成された反射防止層14と、を備える。窒化ニオブ配線13は、所定のバイアス電流が流れるよう、伝送線路15を介してバイアス源に接続されて、超伝導状態において使用される。基板10の裏面側から窒化ニオブ配線13に光子Pが入射した際の窒化ニオブ配線13の抵抗変化に基づいて、光子Pが1個ずつ検出される。光カップリング効率Pcが飽和する基板10の厚み範囲L1opt内に、基板10の厚みL1が設定されている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超伝導単一光子検出素子、超伝導単一光子検出素子の製造方法および、超伝導単一光子検出素子を備える超伝導単一光子検出器(Superconducting Single Photon Detector;以下、「SSPD」と略す場合がある)の部品の実装方法に関する。特に、本発明は、窒化ニオブ(NbN)からなる超伝導状態の窒化ニオブ配線(以下、「ナノワイヤ」と略す場合がある)を用いた超伝導単一光子検出素子の改良に関する。
【背景技術】
【0002】
光子を1個ずつ検出できる超伝導単一光子検出素子は、盗聴を不可能にする量子暗号通信などの量子通信分野への利用が期待されている。
【0003】
このような超伝導単一光子検出素子の一例として、単一の窒化ニオブ層が酸化マグネシウム基板(MgO基板)上に形成された単層構造の検出素子(以下、「単層構造素子」と略す)がすでに開発されている。
【0004】
この単層構造出素子では、窒化ニオブ層からなるメアンダ状(蛇行形状)のナノワイヤが、MgO基板の表面に配され、これにより、MgO基板の表面に向けて光を入射できる。よって、単層構造素子は、光ファイバから出射された光をナノワイヤ上に容易に集光でき、光子との光カップリング性に優れている。
【0005】
しかし、単層構造素子では、光吸収効率が、ナノワイヤでの光反射および光透過特性によって制約されるといった欠点がある。つまり、薄膜(厚み6nm程度)のナノワイヤにおいて光の反射や透過が生じて、ナノワイヤによる光吸収性が芳しくなく(光吸収効率が最大でも30%程度と予測される)、ひいては、単層構造素子を用いたSSPDの光検出効率の低下を招いている。
【0006】
なお、本明細書において、「光検出効率」とは、SSPDのシステムとしての検出効率を指し、光子検出システムに単一光子を入れる際の、当該光子を検出できる確率を指す。具体的には、光検出効率Rは、下記式(1)で表される。
【0007】
R=Pc×Pa×Pd・・・(1)
【0008】
式(1)において、「Pc」は、光子がナノワイヤとカップリングできる割合に対応する光カップリング効率である。「Pa」は、ナノワイヤでの光子吸収割合に対応する光吸収効率である。また、Pdは、光子が受光素子に入射した際に信号が発生する割合に対応する素子検出効率である。
【0009】
ところで、光検出効率Rを改善させる目的で、単層構造素子に代えて、積層構造(光キャビティ構造)の超伝導単一光子検出素子(以下、「従来の積層構造素子」と略す)が提案されている(例えば、非特許文献1参照)。
【0010】
この従来の積層構造素子では、サファイア基板の表面側に、窒化ニオブ層(後工程においてメアンダ状のナノワイヤに微細加工)、誘電体キャビティ層(例えば、水素シルセスキオキサン(HQS)からなるキャビティ層)および反射層(例えばAu(金)層)が配されている。
【0011】
以上の構成により、キャビティ層内に光子を閉じ込めることができるので、単層構造素子に比べて吸収効率Paが改善する。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0012】
【非特許文献1】23 January 2006/Vol.14, No 2/OPTICS EXPRESS 527-534
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
しかし、従来の積層構造素子では、受光素子を構成するナノワイヤが形成されたサファイア基板の表面と反対の裏面側から光を照射する必要がある。よって、受光面積の小さなナノワイヤ素子に入射光を集光させることが難しく、光子との光カップリング性において難点がある。このため、従来の積層構造素子では、光カップリング効率Pcが、単層構造素子に比べて悪化して、却って、光検出効率Rの向上が図れないことがある。
【0014】
以上のとおり、単層構造素子および従来の積層構造素子の何れにも、光検出効率Rの向上において一長一短がある。
【0015】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、光子との光カップリング性および光吸収性の両方に優れた超伝導単一光子検出素子を提供することを目的とする。
【0016】
また、本発明は、このような超伝導単一光子検出素子の製造方法を提供することも目的とする。
【0017】
更に、本発明は、このような超伝導単一光子検出素子が実装されたSSPDの部品の実装方法を提供することも目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記課題を解決するため、本発明は、酸化マグネシウムからなる基板と、前記基板の表面に形成された窒化ニオブ配線と、前記窒化ニオブ配線上に形成されたキャビティ層と、前記キャビティ層上に形成された反射層と、前記基板の裏面に形成された反射防止層と、を備え、
前記窒化ニオブ配線は、所定のバイアス電流が流れるよう、伝送線路を介してバイアス源に接続されて、超伝導状態において使用され、
前記基板の裏面側から前記窒化ニオブ配線に光子が入射した際の前記窒化ニオブ配線の抵抗変化に基づいて、前記光子が1個ずつ検出され、
光カップリング効率が飽和する前記基板の厚み範囲内に、前記基板の厚みが設定されている、超伝導単一光子検出素子を提供する。
【0019】
以上の構成により、本発明の光キャビティ構造の超伝導単一光子検出素子では、基板の厚みの設定が適切に行われるので、光カップリング効率の向上に資することができる。その結果、SSPDの光検出効率が従来の積層構造素子よりも向上する。
【0020】
なお、本発明の超伝導単一光子検出素子では、前記基板の厚みを、前記厚み範囲の最大値付近に設定してもよい。
【0021】
以上の構成により、超伝導単一光子検出素子の基板の機械的な強度を保持する事が可能となる。
【0022】
また、本発明は、酸化マグネシウムからなる基板の表面に窒化ニオブ層をエピタキシャル成長する工程と、前記窒化ニオブ層のパターニングにより、メアンダ状の窒化ニオブ配線を形成する工程と、前記窒化ニオブ配線を覆うようにキャビティ層を形成する工程と、前記キャビティ層上に反射層を形成する工程と、前記基板の裏面を削ることにより、前記基板の厚みを調整する工程と、前記基板の厚みの調整工程の後、前記基板の裏面に反射防止層を形成する工程と、を含む超伝導単一光子検出素子の製造方法を提供する。
【0023】
以上の製造方法により、基板の厚みをリアルタイムにモニターしながら基板を削ることできるので、基板を所望の厚さに容易に制御できる。
【0024】
また、本発明は、上記記載の超伝導単一光子検出素子と光伝送手段とを、パッケージブロックに実装する超伝導単一光子検出器の部品の実装方法であって、前記パーケージブロックに形成された貫通孔にダミー基板を被せることにより、前記ダミー基板上に密着されたクリアランス調整部材を前記貫通孔内に配する工程と、前記貫通孔内に前記光伝送手段を挿入することにより、前記光伝送手段の先端を前記クリアランス調整部材に当接させる工程と、前記ダミー基板を除去して、前記超伝導単一光子検出素子の基板の反射防止層が前記光伝送手段の先端と対置するよう、前記超伝導単一光子検出素子を前記貫通孔に被せる工程と、を含む超伝導単一光子検出器の部品の実装方法を提供する。
【0025】
以上の超伝導単一光子検出素子の部品の実装方法により、光伝送手段の先端と超伝導単一光子検出素子の基板(反射防止層)との間の距離に相当するクリアランスが適量に調整できる。
【0026】
また、以上のパッケージング方式の実装方法により、SSPDをコンパクトに構成できる。よって、このSSPDは、量子暗号通信などの量子通信分野への利用を考慮した場合の多チャンネル化においてコスト対応力に優れる。
【0027】
また、本発明の超伝導単一光子検出器の部品の実装方法では、前記光伝送手段の先端が前記クリアランス調整部材に当接した状態で、前記光伝送手段を前記パーケージブロックに樹脂材料を用いて固定する工程を更に含んでもよい。
【0028】
これにより、光伝送手段が適切に固定され、クリアランスが適量に維持される。
【0029】
また、本発明の超伝導単一光子検出器の部品の実装方法では、前記超伝導単一光子検出素子を前記貫通孔に被せた後、前記超伝導単一光子検出素子を前記パーケージブロックにエレクトロンワックスを用いて固定する工程を更に含んでもよい。
【0030】
以上のエレクトロンワックスにより、超伝導単一光子検出素子が、パーケージブロックに適切に固定され、クリアランスが適量に維持される。また、超伝導単一光子検出素子とパーケージブロックとの間の熱伝導性が適切に向上する。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、光子との光カップリング性および光吸収性の両方に優れた超伝導単一光子検出素子が得られる。
【0032】
また、本発明によれば、このような超伝導単一光子検出素子の製造方法も得られる。
【0033】
更に、本発明によれば、このような超伝導単一光子検出素子が実装されたSSPDの部品の実装方法も得られる。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施形態の超伝導単一光子検出素子の一構成例を模式的に示した図である。
【図2】本発明の実施形態の超伝導単一光子検出素子による光子の検出法の説明に用いる模式図である。
【図3】本発明の実施形態の超伝導単一光子検出素子の製造方法の各工程を示した断面図である。
【図4】本発明の実施形態のSSPDの構成の説明およびSSPDの部品の実装方法の説明に用いる図である。
【図5】光干渉測定システムの一例を模式的に示したブロック図である。
【図6】SSPD(400μm)およびSSPD(45μm)のそれぞれの光検出効率を示した図である。
【図7】MgO基板の厚みが薄い場合に光カップリング効率が向上することを説明するための図である。
【図8】SSPDの光カップリング効率(光検出効率)についてMgO基板の厚み(光路長)の依存性を示した図である。
【図9】本実施形態の超伝導単一光子検出素子の受光素子が搭載されたMgO基板の研磨に用いる研磨システムを示した図である。
【図10】光ファイバが光ファイバ保持用ブロックに実装された写真を掲載した図である。
【図11】受光素子が搭載されたMgO基板が素子保持用ブロックに実装された写真を掲載した図である。
【発明を実施するための形態】
【0035】
以下、本発明の実施形態の超伝導単一光子検出素子100について図面を参照しながら説明する。
【0036】
図1は、本発明の実施形態の超伝導単一光子検出素子の一構成例を模式的に示した図である。図1(a)は、超伝導単一光子検出素子の受光素子周辺を上方から平面視した図であり、図1(b)は、図1(a)のB−B線に沿った部分の断面を示した断面図である。
【0037】
図1に示すように、本実施形態の超伝導単一光子検出素子100は、光子Pが酸化マグネシウム(MgO)単結晶基板10(以下、「MgO基板10」と略す)の裏面側から入射する裏面入射式の光キャビティ構造を備える。
【0038】
まず、超伝導単一光子検出素子100の受光素子Sの平面構造について述べる。
【0039】
超伝導単一光子検出素子100の受光素子Sは、平面視においては、図1(a)に示すように、メアンダ状(蛇行形状)のナノワイヤ13を備える。このナノワイヤ13は、例えば、数十〜数百ナノメートル(ここでは、100nm)線幅で所定のピッチ(ここでは、160nmピッチ)に形成され、適宜の冷却手段(例えば、GM型冷凍機)を用いて超伝導状態で使用される。受光素子Sのサイズは、例えば、15×15μm角程度にするとよい。
【0040】
なお、このナノワイヤ13は、数ナノメートル(ここでは、6nm)の厚みの窒化ニオブ層13Aを、電子線などを用いてパターニングすることにより製作することができる。
【0041】

また、ナノワイヤ13は、図1(a)および図1(b)に示すように、略U次状の伝送経路15(厚み:150nm)と矩形状の伝送経路15(厚み:150nm)とに接続されている。また、ナノワイヤ13は、臨界電流を僅かに下回る所望のバイアス電流が流れるように、伝送経路15を介してバイアス源(図示せず)の出力端子に接続されている。このように、伝送経路15は、ナノワイヤ13にバイアス電流を流す経路として機能している。
【0042】
なお、この伝送経路15は、窒化ニオブ層13Aとの接触面で超伝導単一光子検出素子100が破壊され難くする目的で、窒化ニオブ層13Aと同じ材料により構成するとよい。
【0043】
次に、超伝導単一光子検出素子100の受光素子Sの積層構造について述べる。
【0044】
超伝導単一光子検出素子100は、断面視においては、図1(b)に示すように、MgO基板10と、MgO基板10の表面に設けられた積層体101と、MgO基板10の裏面に形成された反射防止層14と、を備える。そして、受光素子Sは、以下に詳述する積層体101によって構成されている。
【0045】
なお、本実施形態の超伝導単一光子検出素子100では、MgO基板10を、例えば、400μm程度の厚板を研磨ことにより、厚みL1が45μm程度の薄板に形成することを特徴とするが、MgO基板10を薄板に形成する理由は後述する。MgO基板10のサイズは、例えば、3mm角程度にするとよい。
【0046】
積層体101は、図1(b)に示すように、MgO基板10上に堆積されたベタ状の窒化ニオブ層13Aがパターニングされてなるナノワイヤ13(窒化ニオブ配線)と、このナノワイヤ13を覆うように形成されたキャビティ層12と、キャビティ層12上に形成された反射層11と、を備える。
【0047】
積層体101の反射層11は、ここでは、厚みが約120nmの金属製(例えば、金(Au))の薄膜反射ミラーである。但し、反射層11として、反射率に優れた部材であれば、他の部材(例えば、銀(Ag)の薄膜反射ミラー)を用いてもよい。
【0048】
積層体101のキャビティ層12は、ここでは、一酸化珪素(SiO)からなり、厚みが約250nmに設定された光共振器として機能する層である。但し、キャビティ層12として、他の誘電体材料(例えば、二酸化珪素)を用いてもよい。
【0049】
以上の反射層11およびキャビティ層12によって、MgO基板10の裏面から受光素子Sに入射した光子Pはキャビティ層12内に適切に閉じ込められる。
【0050】
また、反射防止層14は、ここでは、アモルファスフッ素樹脂(旭硝子社製、製品名”サイトップ”)からなり、厚みが約200〜300nmに設定され、受光素子S内に光子Pが入る際の反射を防止する無反射コート層である。
【0051】
次に、超伝導単一光子検出素子100の受光素子Sにおける光子Pの検出法について概説する。
【0052】
図2は、本実施形態の超伝導単一光子検出素子による光子の検出法の説明に用いる模式図である。
【0053】
図2に示すように、ナノワイヤ13に光子P(シングルフォトン)が入射すると、光子Pが入射した箇所ではキャップエネルギーを超えることになり、その結果、ホットスポットという常伝導領域A(高抵抗領域)が発生する。この場合、図2の拡大図に示すように、電流Cは、高抵抗の領域Aを迂回するように領域Aの両側のナノワイヤ13の部分に集中的に流れる。すると、領域Aの周囲を流れる電流Cは臨界電流を超え、領域Aの両側の部分も常伝導状態になり、常伝導状態の領域Aは、ナノワイヤ13の幅方向全域に亘るように一時的に広がる。このようにして、常伝導領域Aの発生および常伝導領域Aの超伝導状態への回復過程におけるナノワイヤ13の幅方向全域に亘る抵抗変化に基づいて、ナノワイヤ13に入った光子Pは、電圧信号として1個ずつ適切に検出され、この電圧信号が伝送経路15から外部に取り出される。
【0054】
なお、以上のナノワイヤ13を臨界電流近傍にバイアスすることにより、光子Pを1個ずつ検出できる超伝導単一光子検出素子の検出法自体は公知である(例えば、公知文献としての「IEEE TRANSACTIONS ON APPLIED SUPERCONDUCTIVITY, VOL.11, NO.1, MARCH 2001 P574-577」参照)。よって、この検出法の詳細な説明は省略する。
【0055】
また、本実施形態の超伝導単一光子検出素子100では、上述のとおり、受光素子Sの検出可能領域を可能な限り広げて、光子Pとの光カップリングを容易にするよう、ナノワイヤ13をメアンダ状に形成しているが、メアンダタイプのナノワイヤについても、上述の公知文献や上述の非特許文献1に記載されている。よって、メアンダ構造のナノワイヤの詳細な説明についても省略する。
【0056】
次に、本実施形態の超伝導単一光子検出素子100の製法について説明する。
【0057】
図3は、本発明の実施形態の超伝導単一光子検出素子の製造方法の各工程を示した断面図である。
【0058】
但し、図3では、超伝導単一光子検出素子100の構成要件の一部(例えば、伝送経路15や反射防止層14など)の図示が省略されている。
【0059】
まず、単結晶の酸化マグネシウム(MgO)からなり、厚みが約400μmのマザー基板10A(以下、「MgO基板10A」と略す)の(100)表面(おもて面)上に、ベタ状の窒化ニオブ層13Aが、Nb(ニオブ)ターゲットを用いた直流反応性スパッタリングによりエピタキシャル成膜される。この場合、放電ガスにアルゴンガスを使用し、反応ガスに窒素ガスを使用するとよい。
【0060】
次に、窒化ニオブ層13Aを、電子線リソグラフィなどを活用した微細加工技術を用いてパターニングすると、図3(a)に示すように、ナノワイヤ13を形成することができる。
【0061】
次いで、図3(b)に示すように、フォトリソグラフィ技術を用いて、キャビティ層12を堆積するための窓103が、フォトレジスト102に形成される。
【0062】
そして、図3(c)に示すように、一酸化珪素(SiO)からなる厚みが約250nmのキャビティ層12が、フォトレジスト102の窓103内において、ナノワイヤ13を覆うよう、真空蒸着によりMgO基板10A上に成膜される。
【0063】
更に、図3(c)に示すように、金(Au)からなる厚みが約120nmの反射層11が、フォトレジスト102の窓103内において、真空蒸着によりMgO基板10Aのキャビティ層12上に成膜される。
【0064】
次いで、図3(d)に示すように、フォトレジスト102が除去されると、受光素子S(積層体101)が得られる。
【0065】
次いで、図示を省略しているが、MgO基板10Aの裏面を研磨することにより、MgO基板10Aの厚みの調整が行われる。なお、MgO基板10Aの研磨法の一例については、後述の実施例において述べる。
【0066】
これにより、厚みL1が45μm程度のMgO基板10(図1参照)が得られる。
【0067】
その後、MgO基板10の裏面に反射防止層14(図1参照)が形成される。
【0068】
このようにして、超伝導単一光子検出素子100(図1参照)を製造できる。
【0069】
次に、以上の超伝導単一光子検出素子100が実装されたSSPD200について図面を参照しながら説明する。
【0070】
図4は、本発明の実施形態のSSPDの構成の説明およびSSPDの部品の実装方法の説明に用いる図である。
【0071】
なお、SSPD200の構成については、図4(d)に示されているが、ここでは、超伝導単一光子検出素子100の構成要素の一部(例えば、反射防止層14)の図示が省略されている。
【0072】
図4(d)に示すように、SSPD200の主要な部品(構成要素)として、銅製のパーケージブロック22と、光ファイバ23(光伝送手段)と、超伝導単一光子検出素子100と、がある。
【0073】
光ファイバ23は、ファイバコア径(直径)が9μm程度の光ファイバ心線23Aと、光ファイバ心線23Aを被覆するフェルール23B(光コネクタ)とを備える。
【0074】
また、パーケージブロック22は、超伝導単一光子検出素子100の保持に用いる素子保持用ブロック20と、光ファイバ23の保持に用いる光ファイバ保持用ブロック21とを備える。素子保持用ブロック20の両端面20A、20Bおよび光ファイバ保持用ブロック21の両端面21A、21Bでは、表面仕上げが施されており、平滑面となっている。
【0075】
更に、光ファイバ保持用ブロック21の中央部には、光ファイバ23のフェルール23Bを挿入できる程度の貫通孔21Cが形成されている。また、素子保持用ブロック20の中央部にも、厚みが約20μmのフィルム状のクリアランス調整部材25の外寸よりも大きく、かつ、ダミーのフラット基板26(ダミー基板)の外寸よりも小さい貫通孔20Cが形成されている。なお、貫通孔20Cの外寸は、貫通孔21Cの外寸よりも大きい。また、フラット基板26の外寸は、MgO基板10の外寸と同じ寸法になっている。
【0076】
次に、超伝導単一光子検出素子100と光ファイバ23とを、パッケージブロック22に実装するSSPD200の部品の実装方法について図面を参照しながら説明する。
【0077】
図4(a)および図4(b)に示すように、素子保持用ブロック20の端面20Bと光ファイバ保持用ブロック21の端面21Aとが互いに密着するよう、両者は固定ボルト(図示せず)によって締結され、これにより、パーケージブロック22が使用される。そして、この場合、光ファイバ保持用ブロック21の貫通孔21Cの中心軸と、素子保持用ブロック20の貫通孔20Cの中心軸と、がほぼ一致するよう、素子保持用ブロック20および光ファイバ保持用ブロック21は互いに固定される。よって、このような一対の貫通孔20C、21Cが、パーケージブロック22に形成された貫通孔として機能する。
【0078】
なお、素子保持用ブロック20は、図示しないボルト締結部の遊びにより、その端面20Aの面内方向に僅かに動かすこともできる。このため、図4(d)のSSPD200では、光ファイバ23から光を出射されることにより、受光素子Sの面内方向の光ファイバ23との間の位置を、当該出射光の目視により調整できる。
【0079】
以上のパーケージブロック22において、図4(b)に示すように、貫通孔20Cにフラット基板36を被せることにより、このフラット基板26の表面上に密着されたクリアランス調整部材25を貫通孔20C内に配置させる。
【0080】
次に、図4(b)に示すように、貫通孔21C、20C内に光ファイバ23のフェルール23Bを挿入することにより、フェルール23Bの先端(ファイバ端)をクリアランス調整部材25に当接させる。
【0081】
次いで、図4(c)に示すように、光ファイバ23のフェルール23Bの先端がクリアランス調整部材25に当接した状態で、フェルール23Bの後部を、光ファイバ保持用ブロック21にエポキシ樹脂24を用いて固定する。これにより、光ファイバ23が、光ファイバ保持用ブロック21に適切に固定され、クリアランスL2が適量に維持される。
【0082】
最後に、図4(d)に示すように、フラット基板26を除去して、超伝導単一光子検出素子100のMgO基板10に形成された反射防止層14(図4では図示省略)が光ファイバ23のフェルール23Bの先端と対置するよう、超伝導単一光子検出素子100を貫通孔20Cに被せる。
【0083】
以上のSSPD200の部品の実装方法により、MgO基板10(反射防止層14)とフェルール23Bの先端(ファイバ端)との間の距離に相当するクリアランスL2が、適量(ここでは、約20μm)に調整されたSSPD200が得られる。
【0084】
そして、このようなパーケージング方式のSSPD200では、ナノステージ方式の実装技術(詳細な説明は省略)と比べて高価なステージが不要となり、コンパクトに構成できる。よって、このSSPD200は、量子暗号通信などの量子通信分野への利用を考慮した場合の多チャンネル化においてコスト対応力に優れる。
【0085】
なお、MgO基板10の厚みL1の調整およびクリアランスL2の調整により、超伝導単一光子検出素子100の光検出効率R(光カップリング効率Pc)が改善できるが、この理由は後述する。
【0086】
また、超伝導単一光子検出素子100を貫通孔20Cに被せた後、この超伝導単一光子検出素子100のMgO基板10を素子保持用ブロック20にエレクトロンワックス(詳細は後述)を用いて固定すると、両者間の熱伝導性を向上できるので都合がよい。よって、GM冷凍機(図示せず)を用いて、銅製のパーケージブロック22を極低温(4K程度)に冷却する場合に、超伝導単一光子検出素子100を効率的に超伝導状態にできる。
【0087】
次に、本実施形態の超伝導単一光子検出素子100の光カップリング効率Pc(光検出効率R)の、MgO基板10の厚みL1の依存性について説明する。
【0088】
まず、MgO基板10Aを用いたSSPD(以下、「SSPD(400μm)」と略す)において、光検出効率Rの実測を行い、その後、当該MgO基板10Aの裏面を研磨することにより、MgO基板10を用いたSSPD(以下、「SSPD(45μm)」と略す)において、再び光検出効率Rの実測を行った。
【0089】
なお、以上のSSPD(400μm)およびSSPD(45μm)では、反射防止層14を配していない。これにより、両者の光検出効率Rが簡易に比較できる。
【0090】
また、光検出効率Rの実測に先立って、公知の光干渉測定技術により、SSPD(400μm)およびSSPD(45μm)のそれぞれの厚みL1およびクリアランスL2が、所望の値になっていることを確認した。
【0091】
例えば、図5に、光干渉測定システム300の一例が示されている。
【0092】
図5の光干渉測定システム300では、波長可変レーザ41により波長が異なる入射光が、光サーキュレータ42を通ってSSPDに入射する。すると、この入射光は、光ファイバ23の端面、MgO基板10、10Aの表面、および、MgO基板10、10Aの裏面で反射する。そして、この反射光は、光サーキュレータ42を通って光パワーメータ40に入り、ここで、反射光の強度が測定される。
【0093】
このようにして、光ファイバ23の端面、MgO基板10、10Aの表面、および、MgO基板10、10Aの裏面において反射された反射光の光干渉が起こり、光干渉による反射光の強度の変動からSSPD(400μm)およびSSPD(45μm)における厚みL1およびクリアランスL2を確認できる。
【0094】
図6は、SSPD(400μm)およびSSPD(45μm)のそれぞれの光検出効率を示した図である。
【0095】
図6の横軸には、システムの雑音に相当する暗計数(c/s;カウント/秒)が取られ、図6の縦軸には、光検出効率R(%)が取られている。
【0096】
図6に示すように、ある所望の暗計数(10c/s)において、SSPD(400μm)の光検出効率Rが0.5%であったのに対し、SSPD(45μm)の光検出効率Rが2.1%であった。また、図6から容易に理解できるとおり、全ての暗計数に亘って、SSPD(45μm)の光検出効率RがSSPD(400μm)の光検出効率Rよりも高くなっている。
【0097】
以上の検討実験により、MgO基板の厚みL1が薄いと、光検出効率Rが向上することが分かった。これは、光ファイバ23のファイバ端(コア径:約9μm)から出射する光がガウシアンビーム形状により近似できるとすると、図7に示す如く、このガウシアンビームの広がりに基づいて理解できる。
【0098】
つまり、SSPD(400μm)では、図7(a)に示すように、光ファイバ23のファイバ端と受光素子Sとの間の距離が長いので(L1+L2=420μm)、ガウシアンビームの一部(裾近傍の光)が、受光素子Sに入射できない。このため、SSPD(400μm)の光検出効率Rが低めになると考えられる。
【0099】
これに対して、SSPD(45μm)では、図7(b)に示すように、光ファイバ23のファイバ端と受光素子Sとの間の距離が短いので(L1+L2=65μm)、ガウシアンビームの全体が、受光素子Sに入射できる。このため、SSPD(45μm)の光検出効率Rが高めになると考えられる。
【0100】
このように、SSPD200の光検出効率Rの改善には、MgO基板10の厚みL1の調整、および、クリアランスL2の調整が重要である。MgO基板10の厚みL1の調整は、MgO基板10Aの研磨法(後述)により適切に行える。また、クリアランスL2の調整は、図4に示した実装方法により適切に行える。そして、これらの厚みL1およびクリアランスL2は、図5に示した光干渉測定システム300により適切に管理できる。
【0101】
次に、以下の検討実験および理論計算が行われた。
【0102】
図8は、SSPDの光カップリング効率(光検出効率)についてMgO基板の厚み(光路長)の依存性を示した図である。
【0103】
本検討実験では、MgO基板10Aを徐々に研磨することにより、厚みL1が400μm、200μm、100μm、45μmとなるMgO基板を用いた4個のSSPDが製造された。
【0104】
なお、クリアランスL2を20μmに固定していること、および、反射防止層14を配していないこと、および、厚みL1およびクリアランスL2の確認に光干渉測定システム300を用いていることは、図6において述べた検討実験と同じである。
【0105】
そして、上記各SSPDの光カップリング効率Pc(光検出効率R)の測定が行われ、MgO(400μm)、MgO(200μm)、MgO(100μm)およびMgO(45μm)としたプロット(図8の●印)が、図8中において各光カップリング効率Pc(光検出効率R:但し、実測データを規格化)として示されている。
【0106】
なお、図8の横軸には、光ファイバ23のファイバ端から受光素子Sまでの光路長(伝搬距離)が取られているが、これは、MgO基板(MgOの屈折率:1.8)の厚みL1との間で下記式(2)の如く対応している。
【0107】
光路長=L2(20μm)+L1/1.8・・・・(2)
【0108】
また、光ファイバ23のファイバ端から出射する光をガウシアンビーム形状に近似した場合、ガウシアンビーム近似からの光カップリング効率Pc(光検出効率R)の理論計算が、以下のように行われ、計算結果のプロファイルが図8に示されている(図8の点線参照)。
【0109】
光ファイバ23のファイバ端でのモードフィールド径(MFD)をωとすると、光ファイバ伝送に最も適した通信波長1550nmの通信路用シングルモード光ファイバ(SMF)の場合、ωが10.4μm程度となる。
【0110】
このとき、ガウシアンビームが光路長(伝搬距離)Xだけ伝搬した場合の、ガウシアンビームの半径は、下記式(3)で表される。
【0111】

・・・・(3)
【0112】
更に、光路長(伝搬距離)Xにおける垂直面内での半径rの円内におけるガウシアンビームのパワーは近似的に下記式(4)で表される。
【0113】

・・・・(4)
【0114】
受光素子Sの受光面積が15×15μm角の場合、式(4)において、r=10.7μmの円内として、光路長(伝搬距離)Xに対する光カップリング効率Pcの計算を行い、その計算結果が図8の点線に示されている。
【0115】
以上の検討により、プロット(図8の●印)の変化と、理論計算のプロファイル(図8の点線)と、がほぼ一致することが分かる。その結果、図8に示すように、光カップリング効率Pc(光検出効率R)が飽和するMgO基板の好適な基板厚み範囲「L1opt」が存在するという知見を得ることができた。例えば、MgO基板の厚みL1が45μmの場合(厚み範囲「L1opt」の最大値付近の場合)でも、光カップリング効率Pc(光検出効率R)は99%以上に達すると予測される。
【0116】
以上のとおり、本実施形態の光キャビティ構造の超伝導単一光子検出素子100では、MgO基板10の厚みを光カップリング効率Pc(光検出効率R)が飽和する好適な基板厚み範囲「L1opt」内に設定することにより、光カップリング効率Pcの向上に資することができる。その結果、SSPD200の光検出効率Rが従来の積層構造素子よりも向上する。
【0117】
特に、超伝導単一光子検出素子100のMgO基板10の機械的な強度を考慮すると、MgO基板10の厚みを、この基板厚み範囲「L1opt」の最大値付近(ここでは、45μm程度)に設定することが好ましい。
【0118】
なお、本明細書においては、本実施形態の超伝導単一光子検出素子100の用途として、量子通信分野を挙げたが、これはあくまで一例に過ぎない。この超伝導単一光子検出素子100は、量子通信分野への利用の他、テラヘルツ(THz)エレクトロニクス技術、X線観測技術、質量分析技術などの様々なエネルギー粒子検出分野に応用できる。
【実施例】
【0119】
以下、MgO基板10Aの研磨法の一例および本実施形態の超伝導単一光子検出素子100の実装例について述べる。
【0120】
(MgO基板10Aの研磨法)
図9は、本実施形態の超伝導単一光子検出素子の受光素子が搭載されたMgO基板の研磨に用いる研磨システムを示した図である。
【0121】
図9に示すように、受講素子S(図9では図示せず)が搭載されたMgO基板10Aが、台座61にセットされている。そして、この台座61上のMgO基板10Aが、研磨シート60によって機械的に研磨され、MgO基板10Aの研磨量がマイクロメータ62によってリアルタイムにモニターされている。
【0122】
なお、ここでの研磨システムの詳細は、以下のとおりである。
【0123】
研磨機: ALLIED社製 MULTI PREPTM (商標)システム
研磨シート60:ALLIED社製 DIAMOND LAPPING FILM (8インチDISK),
研磨シート60中のダイヤモンド粒径: 3μm または 5μm
ステージ回転速度:120 rpm
研磨レート:3μm/分(5μmの研磨シート60の使用時)
:1μm/分(3μmの研磨シート60の使用時)
【0124】
以上のMgO基板10Aの研磨法によれば、MgO基板10Aの厚みL1をリアルタイムにモニターしながらMgO基板10Aを研磨できるので、MgO基板10Aを所望の厚さに容易に制御できる。
【0125】
(SSPD200の実装例)
図10では、光ファイバ23が光ファイバ保持用ブロック21に実装された写真が掲載されている。
【0126】
また、図11では、受光素子Sが搭載されたMgO基板10が、素子保持用ブロック20に実装された写真が掲載されている。
【0127】
図10に示したSSPD200では、パーケージング方式の実装技術を用いてコンパクトに構成されている。よって、このSSPD200は、量子暗号通信などの量子通信分野への利用を考慮した場合の多チャンネル化においてコスト対応力に優れる。
【0128】
また、図11に示すように、素子保持用ブロック20の表面には、MgO基板10の外寸と同寸法の凹部が形成され、この凹部内にMgO基板10が嵌め込まれている。そして、MgO基板10の四隅と素子保持用ブロック20の表面とを跨ぐように、エレクトロンワックス50が配されている。このエレクトロンワックス50により、MgO基板10が、素子保持用ブロック20に適切に固定され、クリアランスL2が適量に維持される。また、MgO基板10と素子保持用ブロック20との間の熱伝導性が適切に向上する。
【産業上の利用可能性】
【0129】
本発明によれば、光子との光カップリング性および光吸収性の両方に優れた超伝導単一光子検出素子が得られる。
【0130】
よって、本発明は、例えば、光ファイバ伝送に最も適した通信波長での光カップリング効率の向上により、量子暗号通信などの量子通信分野の検出素子にとして利用することができる。
【符号の説明】
【0131】
10、10A MgO基板
11 反射層
12 キャビティ層
13 ナノワイヤ
13A 窒化ニオブ層
14 反射防止層
15 伝送経路
20 素子保持用ブロック
21 光ファイバ保持用ブロック
22 パーケージブロック
23 光ファイバ
23A 光ファイバ心線
23B フェルール
24 エポキシ樹脂
25 クリアランス調整部材
26 フラット基板
40 光パワーメータ
41 波長可変レーザ
42 光サーキュレータ
50 エレクトロンワックス
60 研磨シート
61 台座
62 マイクロメータ
101 積層体
102 フォトレジスト
103 フォトレジストの窓
100 超伝導単一光子検出素子
200 SSPD
300 光干渉測定システム
L1 MgO基板の厚み
L2 クリアランス
L1opt 基板厚み範囲
S 受光素子
P 光子
R 光検出効率
Pc 光カップリング効率

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸化マグネシウムからなる基板と、
前記基板の表面に形成された窒化ニオブ配線と、
前記窒化ニオブ配線上に形成されたキャビティ層と、
前記キャビティ層上に形成された反射層と、
前記基板の裏面に形成された反射防止層と、
を備え、
前記窒化ニオブ配線は、所定のバイアス電流が流れるよう、伝送線路を介してバイアス源に接続されて、超伝導状態において使用され、
前記基板の裏面側から前記窒化ニオブ配線に光子が入射した際の前記窒化ニオブ配線の抵抗変化に基づいて、前記光子が1個ずつ検出され、
光カップリング効率が飽和する前記基板の厚み範囲内に、前記基板の厚みが設定されている、超伝導単一光子検出素子。
【請求項2】
前記基板の厚みは、前記厚み範囲の最大値付近に設定されている、請求項1に記載の超伝導単一光子検出素子。
【請求項3】
酸化マグネシウムからなる基板の表面に窒化ニオブ層をエピタキシャル成長する工程と、
前記窒化ニオブ層のパターニングにより、メアンダ状の窒化ニオブ配線を形成する工程と、
前記窒化ニオブ配線を覆うようにキャビティ層を形成する工程と、
前記キャビティ層上に反射層を形成する工程と、
前記基板の裏面を削ることにより、前記基板の厚みを調整する工程と、
前記基板の厚みの調整工程の後、前記基板の裏面に反射防止層を形成する工程と、
を含む超伝導単一光子検出素子の製造方法。
【請求項4】
請求項1または2に記載の超伝導単一光子検出素子と光伝送手段とを、パッケージブロックに実装する超伝導単一光子検出器の部品の実装方法であって、
前記パーケージブロックに形成された貫通孔にダミー基板を被せることにより、前記ダミー基板上に密着されたクリアランス調整部材を前記貫通孔内に配する工程と、
前記貫通孔内に前記光伝送手段を挿入することにより、前記光伝送手段の先端を前記クリアランス調整部材に当接させる工程と、
前記ダミー基板を除去して、前記超伝導単一光子検出素子の基板の反射防止層が前記光伝送手段の先端と対置するよう、前記超伝導単一光子検出素子を前記貫通孔に被せる工程と、
を含む超伝導単一光子検出器の部品の実装方法。
【請求項5】
前記光伝送手段の先端が前記クリアランス調整部材に当接した状態で、前記光伝送手段を前記パーケージブロックに樹脂材料を用いて固定する工程を更に含む請求項4に記載の超伝導単一光子検出器の部品の実装方法。
【請求項6】
前記超伝導単一光子検出素子を前記貫通孔に被せた後、前記超伝導単一光子検出素子を前記パーケージブロックにエレクトロンワックスを用いて固定する工程を更に含む請求項4に記載の超伝導単一光子検出器の部品の実装方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2010−258208(P2010−258208A)
【公開日】平成22年11月11日(2010.11.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−106334(P2009−106334)
【出願日】平成21年4月24日(2009.4.24)
【出願人】(301022471)独立行政法人情報通信研究機構 (1,071)
【Fターム(参考)】