説明

超伝導型流体用磁性異物検出装置

【課題】移送中の流体に影響を与えることなく流体内に混入した磁気を帯びた異物を検出する超伝導型流体用磁性異物検出装置を提供する。
【解決手段】超伝導型流体用磁性異物検出装置1は、液体91の内部にある磁性金属92を磁気により検知するための超伝導量子干渉素子10と、素子10を超伝導状態となる温度まで冷却するための冷却装置と、素子10を外部からの磁気ノイズから遮断するための磁気シールド30と、磁性金属92が混入する可能性のある液体91を連続的に移送するための非磁性体パイプ40aと、磁性金属92の混入が検知された液体91の所定範囲を他の経路に排出するための三方弁46と、パイプ40aで移送される液体91を予め磁場内を通過させて混入している磁性金属92を帯磁させるための帯磁装置50と、各部の動作を制御するとともに素子10の検出した磁性金属92の磁気状態により三方弁46を操作する制御部70とを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は流体用の磁性異物検出装置に関し、特に超伝導を用いた超高感度磁気センサを利用して流体内に残留している磁性異物を検出する超伝導型流体用磁性異物検出装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、流体特に液体状の製品の製造過程において、原料に由来する金属細片や製造工程における製造設備の損磨耗による金属破片などが製品に混入することがあり、その製品の使用時に使用者に損害を与えるといった事例もあり、原料を含む供給元が世界的な範囲に広がるに伴って生産地での管理にも限界があることから、安全性の面からもこのような混入物の発見、除去は大きな問題となっていた。この混入物の問題に対応するため、混入した金属を対象として、X線を用いるX線金属検査装置(例えば特許文献1参照)、誘導コイル型磁気式検出装置(例えば特許文献2、3参照)、超伝導を応用した超伝導金属検出装置(例えば特許文献4)等が開示されている。
【特許文献1】特開2002−219420号公報
【特許文献2】特開平7−198860号公報
【特許文献3】特開平10−111362号公報
【特許文献4】特開2004−151064号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、上述の特許文献1〜4で開示の金属検出装置は、固体である物品に混入した金属の検出を対象としており、移送中の液体内に混入した金属片の検出についての具体的な開示はない。仮にX線式の検出装置を液体内の異物の検出に用いたとすると、外部からパイプを透過して軟X線を投射するので、その際に製品である液体にX線が残留して、食品の安全性が問題となる。特に、パイプの内壁に近い部分では流速が低下して通過時間が長くなるし、パイプの壁に付着した状態では長時間の暴露となるのでその危険性が高まる。
【0004】
本発明の目的は、移送中の流体に影響を与えることなく流体内に混入した磁気を帯びた異物を検出する超伝導型流体用磁性異物検出装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の超伝導型流体用磁性異物検出装置は、
超伝導を用いた超高感度磁気センサを利用して、流体内部に混入した磁気を帯びた磁性異物を連続的に検出する超伝導磁性異物検出装置であって、検出対象の磁気を帯びた磁性異物より所定の距離以内になるように配置された超高感度磁気センサである超伝導量子干渉素子と、超伝導量子干渉素子を超伝導状態となる温度まで冷却するための冷却装置と、超伝導量子干渉素子を外部からの磁気ノイズから遮断するための磁気シールドと、超伝導量子干渉素子から所定の距離以内を検出対象の磁気を帯びた磁性異物が通過するように、その磁性異物が混入する可能性のある流体を連続的に移送するパイプと、超伝導磁性異物検出装置の動作を制御して、超伝導量子干渉素子の検出した磁気を帯びた磁性異物の磁気状態からその磁性異物を検出する制御部と、を備えたことを特徴とする。
【0006】
パイプで移送される流体を、磁界内を通過させて混入している磁性異物を帯磁させる帯磁装置を有してもよく、磁気を帯びた磁性異物の混入が検知された前後の流体を、パイプから他の経路に移送する排除手段を有してもよい。
【0007】
超伝導量子干渉素子が複数組み合わせて設けられていてもよく、制御部は、流体の流れの上流側の第1の超伝導量子干渉素子と下流側の第2の超伝導量子干渉素子との出力の差分を算出し、差分の値が所定のしきい値を超えた場合に異物検出情報を出力してもよく、超伝導量子干渉素子の少なくとも1個が、排除手段の下流にも配置されていてもよい。
【0008】
超伝導量子干渉素子は、複数の超伝導薄膜により形成されたジョセフソン接合から構成されていてもよく、超伝導量子干渉素子がマグネトメータであっても、グラジオメータであってもよい。
【0009】
磁気シールドは、パイプがその磁気シールドの側面と接触しないで貫通可能な1層以上の層から構成される円筒型磁気シールドであってもよく、冷却装置は液体窒素を用いた冷却装置であっても、冷凍機と真空ポンプとの組み合わせにより超低温の発生が可能なクライオクーラであってもよい。
【0010】
パイプの超伝導量子干渉素子と帯磁装置との近傍に配置されている部分は非磁性材料から構成され、超伝導量子干渉素子とは独立して支持されていてもよく、パイプの超伝導量子干渉素子の近傍に配置されている部分は断面が扁平形状のパイプであってもよく、排除手段は分割型の三方弁であってもよい。
【0011】
流体は液体であり、液体には、粘性を有しない液体、粘性を有する液体、軟体固形物を含む液体が含まれていてもよく、磁性異物は磁性を有する金属であってもよい。
【0012】
超伝導を用いた超高感度磁気センサである超伝導量子干渉素子を流体を移送する非磁性のパイプの近傍に組み込んだので、流体に混入した磁性異物を高感度で検知できる。さらに、周囲からの磁気ノイズから遮断するための磁気シールドを設け、パイプの超伝導量子干渉素子の近傍に配置される部分は非磁性材料で構成し、超伝導量子干渉素子とは独立して支持し、さらに必要に応じて帯磁装置内を通過させて金属をあらかじめ帯磁させることによって、検出の精度が高められた。また、流体の流れの上流側の第1の超伝導量子干渉素子と下流側の第2の超伝導量子干渉素子との出力の差分を算出し、差分の値が所定のしきい値を超えた場合に異物検出情報を出力することにより部分的な環境磁界による誤検知が防止される。
【発明の効果】
【0013】
本発明は、超伝導を用いた超高感度磁気センサを利用して、流体内部に混入した磁気を帯びた異物を連続的に検出するので、流体の移送流路に検出装置を設けるだけで容易に確実に異物を検出して除去することができるという効果がある。
【0014】
また、必要に応じて帯磁装置内を通過させて磁性異物をあらかじめ帯磁させることによって、検出の精度が高められるという効果がある。さらに、流体の流れの上流側の第1の超伝導量子干渉素子と下流側の第2の超伝導量子干渉素子との出力の差分を算出し、差分の値が所定のしきい値を超えた場合に異物検出情報を出力することにより部分的な環境磁界による誤検知が防止されるという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0015】
次に、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。図1は本発明の実施の形態の超伝導型流体用磁性異物検出装置のブロック構成図であり、図2は図1の超伝導型流体用磁性異物検出装置の模式的部分断面側面図であり、図3は図1の超伝導型流体用磁性異物検出装置の模式的部分断面上面図である。
【0016】
本発明の超伝導型流体用磁性異物検出装置は、超伝導を用いた超高感度磁気センサである超伝導量子干渉素子を利用して、連続して移送される流体内部に混入した磁気を帯びた異物を検出する超伝導型流体用磁性異物検出装置である。本実施の形態では説明を容易にするため流体を液体として説明するが気体であっても気体中に浮遊する磁気を帯びた異物を同様に検出することができる。また、磁性異物は理解を容易にするために最も多く検出の対象となる磁性金属を例として説明するが、磁化可能な物質であれば金属以外であっても同様に検出できる。金属であっても磁性を有しない例えばアルミニウムは検出できない。
【0017】
本発明の実施の形態の超伝導型流体用磁性異物検出装置1は、超伝導量子干渉素子10と、冷却装置20と、磁気シールド30と、パイプ40と、三方弁46と、帯磁装置50と、制御部70と、架構80とを備えている。
【0018】
超伝導量子干渉素子10は、検出対象である移送されている液体91の内部にある磁性金属92に対して所定の距離以内になるように配置されている超高感度磁気センサである。冷却装置20は超伝導量子干渉素子10を超伝導状態となる温度まで冷却するためのものであり、ここでは、液体窒素容器21に充填された液体窒素を利用した冷却装置を使用しているが、冷凍機と真空ポンプとの組み合わせにより超低温の発生が可能なクライオクーラを使用することもできる。超伝導量子干渉素子10と冷却装置20とは、液体91を移送するパイプ90とは相互に干渉しないように独立して架構80上に支持される。
【0019】
磁気シールド30は超伝導量子干渉素子10を外部からの磁気ノイズから遮断するためのものであり、ミュー合金(高透磁率材料)で構成され、環境に応じて複数層で形成される。この実施の形態では円筒形構造の2層となっているがこれに限定されるものではない。また、アモルファス合金などによって構成することもできる。また必要に応じて電波シールドも設けられる。
【0020】
磁気シールド30と非磁性体パイプ40aとが接触しないように設けられているシールド開口部31を経由して、非磁性体パイプ40aが磁気シールド30内を貫通する。その非磁性体パイプ40aの内部を液体91が移送されて、磁気シールド30内に配置された超伝導量子干渉素子10の下を通過する。パイプ40は磁性金属92が混入する可能性のある液体91を連続的に移送するためのものであり、超伝導量子干渉素子10の所定の距離以内を検出対象の磁性金属92が通過するように構成されている。超伝導量子干渉素子10と帯磁装置50との近傍に配置される部分は非磁性材料から構成された非磁性体パイプ40aとなっており、超伝導量子干渉素子10とは独立して支持されている。非磁性体パイプ40aとしては、ガラスやプラスチックのパイプが対象となるが、アルミニウムは金属であっても非磁性体なので、アルミパイプも液体91内の磁性金属92の検出に適用できる。本実施の形態ではパイプ90は円形として説明されているが、超伝導量子干渉素子10の下を通過する部分を扁平形状に形成することによって、超伝導量子干渉素子10と液体91内の磁性金属92との距離が短くなり検出感度を高めることができる。パイプ40内を流れる液体91の流速は、液体91の性質、金属の想定される種類や大きさによって決定する必要があるが通常は3m/sec以下となる。
【0021】
超伝導量子干渉素子10は非磁性体パイプ40aと接触しない状態で至近に配置され、超伝導量子干渉素子10と非磁性体パイプ40aの反対側の内壁までの距離、即ちパイプ径は超伝導量子干渉素子10の検知能力、液体91の種類や流速、検知したい金属の種類や大きさにより異なり、実験によって決定することが望ましいが、実用的には75φ程度が妥当である。
【0022】
三方弁46は分割型の三方弁であり、磁性金属92の混入が検知された液体91の所定の範囲を弁の切り替えによって非磁性体パイプ40aから他の経路のパイプ40に切り替えて移送するための機構である。例えば磁性金属92の混入が検知されると、制御部70の制御により、磁性金属92が三方弁46に達しない時間として予め設定されている時間内に弁を切り替えて排出用のパイプ40に液体を流し、金属が三方弁を超えるのに十分な時間として予め設定されている時間後に弁を元に切り替えて本来のパイプ40に液体を流す。排除手段としては三方弁に限定されるものではなく、例えばバイパスを設けて磁性金属92を検出したときに開放する方法でもよい。
【0023】
帯磁装置50は超伝導量子干渉素子10の検出精度を上げるために、非磁性体パイプ40aで移送される液体91を永久磁石などの磁場内を通過させて、混入している磁性金属92を帯磁させるためのものであるが、超伝導量子干渉素子10の検出精度が十分高い場合は設けなくてもよい。
【0024】
図2、図3に示す実施の形態では2個の超伝導量子干渉素子10を一組として、液体91の流れの上流と下流で磁性金属92を検知するようにしている。通常、超伝導量子干渉素子10の設置される環境には多くの磁気発生源があり、一応磁気シールド30で磁気の影響を緩和しているが、そのノイズの影響を除去しないとノイズを磁性金属92と誤認することがあり、正確な磁性金属92の検出は困難である。パイプ40aの上流側に第1の超伝導量子干渉素子10が設けられ、下流側に第2の超伝導量子干渉素子10が設けられたことにより、第1の超伝導量子干渉素子10に磁性金属92が近接した場合に、第1の超伝導量子干渉素子10は周囲の磁気ノイズとともに検査対象物である液体91の磁性金属92の磁気を検出し、第2の超伝導量子干渉素子10は周囲の磁気ノイズのみを検出する。2つの超伝導量子干渉素子10は近接して設けられているので検知する周囲の磁気ノイズは略同一であると考えられる。従ってその差分を算出すれば磁気ノイズの影響を排除した検出結果が得られる。このように両超伝導量子干渉素子10が検知したゲインの差分を制御部70で算出することによって磁性金属92の磁気が算出できる。1個の超伝導量子干渉素子10であれば、環境ノイズを金属の磁気と誤認するおそれがあるが、高い検出精度が求められない場合は1個の超伝導量子干渉素子10のみで検出してもよい。2つのセンサ素子が離れ過ぎているとそれぞれが検知する周囲の磁気ノイズの間に相違が生じ、近すぎると第2の超伝導量子干渉素子10までが磁性金属92の磁気の影響を受ける。2つの超伝導量子干渉素子10の間隔は、具体的な実験により設定されることが望ましい。
【0025】
同じパイプ90aに対して流れの方向に複数組の超伝導量子干渉素子10を設ければさらに環境からくる誤検出を防ぎ、検出ミスを防ぐことができるので検出の精度を高めることができる。また図示されていないが、三方弁46の下流にも超伝導量子干渉素子10を設ければ、検出された磁性金属92が三方弁46で排出されたことが確認できる。検出された磁性金属92が三方弁46で排出されたことを確認する方法としては、検査の終了した液体を貯留して再度超伝導量子干渉素子10の下を循環通過させる方法もある。
【0026】
制御部70は各部の動作を制御するとともに超伝導量子干渉素子10の検出した磁気を帯びた磁性金属92の磁気状態から磁性異物を検出する。図示されていないが、制御部70において、単一あるいは複数の超伝導量子干渉素子10および駆動回路から出力される信号に商用周波数およびその高調波成分をカットするノッチフィルタを備えることによりS/N比を改善できる。制御部70には金属検出を表示する不図示の検出ランプが設けられていることが望ましい。検出ランプは検査員の見やすい場所に設けられたり、警報音を発生したりしてもよい。架構80は上述の各装置や構成部材を所定の位置に保持するように構成されている。本実施の形態では架構80上に制御部70が設けられた箱体81が設けられている。
【0027】
図4は超伝導量子干渉素子のマグネトメータタイプの一例を示した説明図である。超伝導量子干渉素子10は、2箇所のジョセフソン接合部12を有する超伝導薄膜11を備えており、超伝導薄膜11は基板14上に形成され、ジョセフソン接合部12は基板14に設けられたステップ15の上部に形成されている。基板14はガラスエポキシ材料等の非磁性材料を用いて封止され電極ピン等により外部との電気的接続が行われている。本実施の形態では金属の位置や方向による検出誤差を少なくするために複数の超伝導量子干渉素子10が組み合わされて設けられているが、液体91に混入が予想される磁性金属92の種類や形状や大きさによっては単数であってもよい。ここではマグネトメータタイプで説明されているがグラジオメータ(差動型)も使用できる。
【0028】
次に、超伝導量子干渉素子10による液体91内の磁性金属92の検出の原理について図4、図5を参照して説明する。図5はジョセフソン接合に流れる電流と電圧との関係を臨界電流値に関して説明するグラフである。
【0029】
図4に示されるように、ジョセフソン接合部12はステップ15で隔てられたそれぞれの超伝導薄膜11を2個の接合部で接合していて、両側の超伝導薄膜11と組み合わされてリングを形成しており、それぞれの接合部は例えば7〜10nmの隙間を隔てての接合となっており、この接合がジョセフソン接合と呼ばれる。このリングを貫く磁束が量子化される。極低温状態で電極13aと電極13bとの間にバイアス電流を流したとき、図5に示すように、ジョセフソン接合に流れる電流が臨界電流値以下の場合は電気抵抗値がゼロとなり従って電圧はゼロとなる。臨界電流値を超えるとジョセフソン接合に抵抗が発生し電圧が発生する。超伝導量子干渉素子10に磁場が加えられるとリングに遮断電流が流れることからジョセフソン接合の臨界電流値は磁束に影響されやすく、磁束の増加によって臨界電流値は低下する。臨界電流値以上のバイアス電流がジョセフソン接合に流れると電圧に量子化現象特有の電圧振動が現れるので磁束が検出される。液体91内の磁性金属92が超伝導量子干渉素子10の下を通過すると磁性金属92の有する磁束によって電圧が変動し、磁性金属92が通過したことが検知される。
【0030】
次に、本発明の実施の形態の超伝導型流体用磁性異物検出装置1の動作について説明する。超伝導量子干渉素子10は、あらかじめ冷却装置20によって超伝導状態となる約90K(−183℃)以下に冷却される。超伝導量子干渉素子10が金属検出可能状態まで冷却されたら、検査対象となる液体91を非磁性体パイプ40aの内部に流して、帯磁装置50内を通過させて帯磁させた後に超伝導量子干渉素子10の下側を通過させる。
【0031】
制御部70は超伝導量子干渉素子10の検出出力を監視する。超伝導量子干渉素子10が1個しか設けられていない場合は、検出出力にしきい値を設けてしきい値を超えた場合に磁性金属92を検知したものとし、上述のように2個の超伝導量子干渉素子10を設けてその差分で検知する場合には差分にしきい値を設けてしきい値を超えた場合に磁性金属92を検知したものとする。
【0032】
しきい値を超える出力が検出された場合は、三方弁46を切り替えて磁性金属92が混入している可能性のある所定の範囲の液体91を排出用のパイプ40に流す。この場合、例えば磁性金属92が三方弁46に達しない時間として液体91の流速を基に予め設定されている時間内に弁を切り替えて排出用のパイプ40に液体91を流し、磁性金属92が三方弁46を超えるのに十分な時間として予め設定されている時間に弁を元に切り替えて本来のパイプ40に液体を流す。磁性金属92が混入したおそれのある液体はそのまま排出してもよいし、貯留して磁性金属92を確認してもよい。
【0033】
この超伝導型流体用磁性異物検出装置1で実際に検出の対象となる液体としては、飲料等の液体、マヨネーズ等の粘度を有するもの、あるいはミンチ等の軟体固形物から構成されるかあるいは含まれる流動体などの食品が想定されるがそれに限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0034】
【図1】本発明の実施の形態の超伝導型流体用磁性異物検出装置のブロック構成図である。
【図2】図1の超伝導型流体用磁性異物検出装置の模式的部分断面側面図である。
【図3】図1の超伝導型流体用磁性異物検出装置の模式的部分断面上面図である。
【図4】超伝導量子干渉素子のマグネトメータタイプの一例の説明図である。
【図5】ジョセフソン接合に流れる電流と電圧との関係を臨界電流値に関して説明するグラフである。
【符号の説明】
【0035】
1 超伝導型流体用磁性異物検出装置
10 超伝導量子干渉素子
11 超伝導薄膜
12 ジョセフソン接合部
13a、13b 電極
14 基板
15 ステップ
20 冷却装置
21 液体窒素容器
22 冷却部
30 磁気シールド
31 シールド開口部
40 パイプ
40a 非磁性体パイプ
46 三方弁
50 帯磁装置
70 制御部
80 架構
81 箱体
91 液体
92 磁性金属

【特許請求の範囲】
【請求項1】
超伝導を用いた超高感度磁気センサを利用して、流体内部に混入した磁気を帯びた磁性異物を連続的に検出する超伝導磁性異物検出装置であって、
検出対象の前記磁気を帯びた磁性異物より所定の距離以内になるように配置された前記超高感度磁気センサである超伝導量子干渉素子と、
前記超伝導量子干渉素子を超伝導状態となる温度まで冷却するための冷却装置と、
前記超伝導量子干渉素子を外部からの磁気ノイズから遮断するための磁気シールドと、
前記超伝導量子干渉素子から所定の距離以内を検出対象の前記磁気を帯びた磁性異物が通過するように、該磁性異物が混入する可能性のある前記流体を連続的に移送するパイプと、
前記超伝導磁性異物検出装置の動作を制御して、前記超伝導量子干渉素子の検出した前記磁気を帯びた磁性異物の磁気状態から該磁性異物を検出する制御部と、を備えたことを特徴とする超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項2】
前記パイプで移送される前記流体を、磁界内を通過させて混入している磁性異物を帯磁させる帯磁装置を有する、請求項1に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項3】
前記磁気を帯びた磁性異物の混入が検知された前後の流体を、前記パイプから他の経路に移送する排除手段を有する、請求項1または請求項2に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項4】
前記超伝導量子干渉素子が複数組み合わせて設けられている、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記流体の流れの上流側の第1の超伝導量子干渉素子と下流側の第2の超伝導量子干渉素子との出力の差分を算出し、差分の値が所定のしきい値を超えた場合に異物検出情報を出力する、請求項4に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項6】
前記超伝導量子干渉素子の少なくとも1個が、前記排除手段の下流にも配置されている、請求項3に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項7】
前記超伝導量子干渉素子は、複数の超伝導薄膜により形成されたジョセフソン接合から構成されている、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項8】
前記超伝導量子干渉素子がマグネトメータである、請求項7に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項9】
前記超伝導量子干渉素子がグラジオメータである、請求項7に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項10】
前記磁気シールドは、前記パイプが該磁気シールドの側面と接触しないで貫通可能な1層以上の層から構成される円筒型磁気シールドである、請求項1に記載の流体用超伝導磁性異物検査装置。
【請求項11】
前記冷却装置は液体窒素を用いた冷却装置である、請求項1に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項12】
前記冷却装置は冷凍機と真空ポンプとの組み合わせにより超低温の発生が可能なクライオクーラである、請求項1に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項13】
前記パイプの前記超伝導量子干渉素子と前記帯磁装置との近傍に配置されている部分は非磁性材料から構成され、前記超伝導量子干渉素子とは独立して支持されている、請求項2に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項14】
前記パイプの前記超伝導量子干渉素子の近傍に配置されている部分は断面が扁平形状のパイプである、請求項13に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項15】
前記排除手段は分割型の三方弁である、請求項3に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項16】
前記流体は液体である、請求項1から請求項15のいずれか1項に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項17】
前記液体には、粘性を有しない液体、粘性を有する液体、軟体固形物を含む液体が含まれる、請求項16に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。
【請求項18】
前記磁性異物は磁性を有する金属である、請求項1から請求項17のいずれか1項に記載の超伝導型流体用磁性異物検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2007−205925(P2007−205925A)
【公開日】平成19年8月16日(2007.8.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−25745(P2006−25745)
【出願日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【出願人】(304027349)国立大学法人豊橋技術科学大学 (391)
【出願人】(504126112)住友電工システムソリューション株式会社 (78)
【出願人】(598159997)アドバンスフードテック株式会社 (14)
【Fターム(参考)】