説明

超疎水性撥水粉末

組成物は、約100nm以上約10μm以下のサイズの複数の固体粒子を有し、該粒子は、ナノ孔のうちの少なくとも一部が貫流孔を提供する複数のナノ孔を有し、粒子の表面は、該表面で突出する連続材料により別々に離間されたナノ構造特徴と、任意選択で少なくとも1つの相互貫通する陥没連続材料とを示す。突出材料が疎水性であるか、疎水性コーティングが粒子表面に施されている場合、粒子は超疎水性である。固体基材上への粒子のコーティングにより、超疎水性表面を備えた物を形成することが可能である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ナノ構造の疎水性または超疎水性表面を有する粉末に関する。
【背景技術】
【0002】
材料が多孔性の性質を有する場合、特に孔が相互に連結し異なるサイズを有する場合には、水などの液体は一般に材料の中を移動し得る。しかしながら、水が孔構造の中を拡散する能力は、構造の親水性、孔のサイズ、および構造の中を通る通路の屈折性によって決まる。疎水性表面は、一滴の水に対して90度よりも大きな接触角を有しているものとして一般に定義され、本明細書でも定義される。疎水性材料には、多くの周知の市販のポリマーが含まれ、最大接触角はペルフルオロ炭化水素に関するものであり、これは滑らかな表面上で約120度もの接触角を示す。超疎水性表面は、一滴の水に対して150度よりも大きな接触角を有し、ほぼ限界の180度に至る場合もあるものとして一般に定義され、本明細書でも定義される。このような高い接触角を達成するために、表面形状は滑らかではない。例えば、ハスの葉の表面は、そのワックス様の表面のテクスチャにより超疎水性であることが知られている。接触角が150度よりも大きい場合、気体に対する表面の親和性は水の親和性よりも劇的に大きくなる。従って、超疎水性粉末は、固有の特性を備えたコーティングおよび膜の形成に有用であり得る。
【0003】
多数の用途で基材上にコーティングが必要とされている。コーティングの基礎として超疎水性粒子を含めると、現在生産することが困難な多くの特徴が可能となる。そのような1つの使用は、その超疎水性のために表面の汚染が困難となる程度まで耐水性であるコーティング用である。これは、水が表面から効率的に流されて、水と共に容易に溶解され濡れた微粒子が運搬されるため生じる。そのような表面の別の応用は、かかる表面で流体流れに対する抵抗を劇的に低下させるためである。気体に対する親和性は水よりはるかに高いため、抵抗は、固体表面ではなく空気または他の気体に対する水の粘度により主に定義することができる。表面での粒子の結合は、気液分離の可能性を有する多孔性膜の形成を許容する。
【0004】
例えば、膜は、その性質上環境への影響および工業加工コストを低減できるため、気液分離において大きな役割を果たすと予想される。気体分離膜は、空気の低温蒸留、ガス混合物からの凝縮性蒸気を除去する凝縮、および気体から水溶性液体を除去する吸着反応等の他のガス分離技術に比べて多くの利点を提供する。これらの方法は、相変化(相転位)で分離されるべきガス混合物での気相から液相への変化を必要とし、分離コストに大きなエネルギーコストを追加する可能性がある。膜システムで機械的な複雑さがないことは、気液分離の他の技術に対する利点である。膜による気体分離は、相変化を引き起こすのに必要なコストおよび設備を回避する可能性を有している。
【0005】
液体−気体分離膜の重要な特性は、高いフラックス(浸透性)、選択性、進行性、安定性およびコストである。現在、ほとんどの膜は、薄膜ポリマーがポリマー中の気体に対して選択的溶解度を有する場合にはポリマーフィルムに基づくか、ポリマー構造が本質的に約2nm未満の孔になる場合にはPIM(固有のミクロ多孔性を有するポリマー)の性質を有する。気液分離用のポリマーフィルムは、レーザー穿孔で通路を形成することにより、孔が等しい小孔サイズと均質な分布とを有するそれぞれ独立した複数の通路である通気孔を備えるようにも形成されていた。従って、分子の相互作用(溶解度)のみ、またはサイズ排除孔のいずれかが使用されていた。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
超疎水性粉末は、種々の既存技術を深く改良し、かつ新規な技術の開発を可能にする可能性を有している。したがって、適切な表面構造を有する新規な粉末が、それを超疎水性にし、それを広範な構造および用途に使用するために必要とされている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
組成物は、約100nm以上約10μm以下のサイズの複数の固体粒子であり、該粒子は、貫流孔を許容する複数のナノ孔と、表面で突出する連続材料からなる複数の別々に離間されたナノ構造特徴とを有する。組成物はさらに、突出材料と相互貫通する1または複数の陥没する連続材料を備えてもよい。突出材料は疎水性であってもよいし、または、特徴に一致する疎水性コーティング層を備えてもよい。コーティング層はペルフルオロ有機材料であってよい。組成物の材料の1つまたは複数はガラスであってよい。
【0008】
コーティングが約100nm以上約10μm以下のサイズの複数の粒子を備える、基材に配置されたコーティングを備えた固体基材を有する物が形成可能である。粒子は、ナノ孔の少なくとも一部が貫流孔を提供する複数のナノ孔をと、表面で突出する表面特徴を有する連続材料から形成された複数の別々に離間されたナノ構造表面特徴と、任意選択で、相互貫通する少なくとも1つの陥没する連続材料とを有する。突出材料は疎水性であるか、または該特徴はペルフルオロ有機材料などの疎水性コーティング層でコーティングされている。基材へのコーティングの接着を促進するバインダーが存在してもよい。前記基材は織布などの多孔性構造であってよい。ナノ孔粒子はガラスを備えてもよい。
【0009】
多孔性粒子が方法によって形成されてもよく、該方法では、相分離された2つ以上の相互貫通する連続材料の組成物が、約100nm以上約10μm以下のサイズの複数の固体粒子に変換され、組成物中の材料のうちの1つが他の材料よりも少ない程度にエッチングされて表面に突出する少なくエッチングされた材料からなる複数の別々に離間されたナノ構造表面特徴を形成し、該表面ではより多くエッチングされた1または複数の材料は少なくともいくつかの孔を形成し、エッチングにより完全に除去されなかった場合には陥没連続材料として存在する。1つまたは複数の連続する相互貫通材料はガラスであってもよい。2つの材料が所与温度で均質であり、かつ温度変化によりスピノーダル分解を受ける、相互貫通相分離構造を形成することができる。相互貫通する連続材料からの粒子の形成には、粉砕、チョッピング、または研削が含まれ、エッチングステップには湿式エッチングが含まれ得る。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】幅が約200nm以下の突出特徴を有する約0.2μmよりも大きく約7μm以下の不規則な形状の粒子を備えた本発明の実施形態の粒子を示す、走査電子顕微鏡検査画像(SEM)。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明を、本発明のほかのおよびさらなる目的、効果、および能力と共により良く理解するために、上述の図面に関連させて以下の開示および特許請求の範囲を参照する。
【0012】
本発明は超疎水性粒子を提供し、かかる粒子は相互貫通するブレンドから形成されるか、少なくとも1つまたは複数の材料の一部の除去後に少なくとも1つの材料が粒子表面で他の材料から突出する複数の材料の複合材から形成される。粒子は、気体または液体が粒子中を通過するのを許容する複数の孔を有している。各材料は連続しており、異なる材料が相互貫通構造を形成する。粒子は、サイズが100nmよりも大きく約10μm以下であり、複数の突出部が一つの所与粒子上に存在するように粒子のサイズに比べて小さい突出部を有している。突出部は、複数の材料(突出材料を含む)に含まれる少なくとも1つ
の疎水性材料を備えるか、または粒子は、表面が粒子表面からの一般形態(トポグラフィ)の突出を保持し、表面が疎水性となるように疎水性材料でコーティングされる。粒子は孔を有し、孔の一部は非突出(陥没)材料の少なくとも1つの一部または全部を除去することにより粒子の中を通過する接続性を有する。疎水性突出材料または疎水性コーティング表面と粒子のトポグラフィとの組み合わせにより、粒子は超疎水性となる。
【0013】
粒子に含まれる疎水性材料または粒子上のコーティングは、任意の疎水性材料であってよい。好ましくは、それはペルフルオロ化またはフッ素化有機材料である。コーティングはフッ素化自己集合単一層であってよい。
【0014】
ナノ構造表面のサイズおよび形状のバリエーションに限定はない。粒子を形成するために使用されるブレンドまたは複合材は、任意の公知のエッチング方法または複数の方法の組み合わせにより種々にエッチングすることが可能な任意の材料で形成されてよい。粒子を構成する材料は、ガラス、金属、セラミックスおよびポリマーの任意の組み合わせであってよい。
【0015】
1または複数のエッチング液に曝され、例えばスピノーダル分解の結果2つ以上の相を有する相互連絡構造を有する場合、粒子を形成するために使用されるそれぞれの相互貫通連続材料は別々にエッチングすることが可能である(つまり、異なるエッチング速度を有する)。相分離によって、1つの材料相が別の1または複数の相よりもずっと大きな程度で除去される粒子の個別エッチングにより、突出相および陥没相(凹み相)の生成が許容される。限界では、より容易にエッチングされる陥没相全体が完全に除去され得る。孔は、粒子内に通路が形成される程度の陥没相のエッチングにより生じ、孔の一部は、粒子の一側から他側へと延びる曲がりくねった通路を必ずしもではないが一般に備えた連続する空隙を形成するよう、相互連絡してもよい。
【0016】
突出材料は、第2の(突出)材料のエッチング割合に依存して鋭くされるか丸くされた縁部(エッジ)を有してよい。例えば、突出材料が大きな速度でエッチングされ、陥没材料がさらに高い速度でエッチングされる場合、エッチング深さと共に除去される最初の表面の割合が減少するにつれて、表面特徴は鋭利なまたはテーパ状の突出特徴を備えるようになり、エッチング前の突出材料の形に依存してピークまたは隆起が残る。突出材料がエッチングをほとんど受けないか全く受けない場合、特長は鋭利ではなく鈍く丸みのあるものとなり得る。
【0017】
表面特徴の寸法は、不規則な特徴の場合は幅および長さからなり、円筒形の特徴の場合は直径からなるが、それらの寸法は粒子全体のサイズより小さなサイズであればいかなるサイズでもよい。これらの特徴は通常1μm未満の寸法を有し、好ましくは400nm未満の寸法を有する。必ずしもではないが一般には、特徴の寸法は、ランダムなパターンの形を示す比較的一様な分布である。
【0018】
予めエッチングされた組成物を生産する1つの方法は、第1の温度では混和性が高いが第2の温度では混和性が低い複数の材料から始まる。例えば、複数材料の混合物を特定温度で混和し、次に、かかる材料が混和しない温度まで冷却または加熱して2つ以上の相へ分離させ得る。スピノーダル分解による相分離は、2つの連続相を生じさせるが、連続する相互貫通材料の形成のための1つの有効な機構である。核形成分解は、そのような相分離材料を達成するための別の機構である。
【0019】
粒子は、任意選択で相互貫通連続陥没相を有する連続突出相を生じさせる任意の方法で製造され得る。また、かかる粒子の形成は、表面特徴および孔の形成の前、後、または同時に起こってよい。1つの好ましい実施形態では、相互貫通連続材料の組成物が形成され
、その次に粒子へと分割され、その後に材料の個別エッチングを行い表面特徴および孔が形成される。相互貫通連続材料の組成物の分割は、材料の破砕、チョッピング、または研削を含む任意の手段によって行われ得る。粒子を形成するために他の手段を使用してもよく、粒子は一様な規則的形状から混合された不規則形状まで多様であってよい。粒子は不透明なものから透明なものまでに及んでよい。粒子は、所望の粒径分布を達成するよう所望に応じて篩いまたは他の方法を使用して分離可能である。
【0020】
粒子中の少なくとも1つの材料のエッチングは、粒子の形成の前または後に実行することが可能である。好ましい実施形態は、粒子の形成後にエッチングを伴う。このようにすると表面積の合計が増大されて、相互貫通連続材料をブロックまたはシート等の粒子へ分割する前に、いくつかの他の可能な形式よりも迅速なエッチングが可能となる。粒子への分割後のエッチングによって、粒子のすべての面が本質的に同じ種類の表面特徴を有する粒子の形成も可能となる。分割がエッチング後に起こる場合、突出材料と陥没材料との間の相対的な深さは、ある面(ファセット)から別の面(ファセット)まで多様であり得る。面(ファセット)の表面が一様であることは、本発明の粒子を使用するいくつかの用途には好ましく、非一様な面(ファセット)が他の用途には好ましい。さらに、粒子は、超疎水性粒子の使用のための最終物の形成におけるエッチングの前に、バインダーで任意選択で固定された粒子を備えた集合構造のような、特定の形に加工してもよい。
【0021】
エッチングプロセスは、1つの材料を他の材料よりも選択的に除去すべく流体と接触させるような任意の公知技術であってよい。流体は液体または気体であってよく、非エッチング液で希釈してよい。プラズマエッチングまたは他の等方性エッチングを使用してよい。すべてのエッチング液が組成物中の一つの材料、いくつかの材料、またはすべての材料のエッチングに適している場合には、または異なる複数のエッチング液が組成物内の特定の複数の材料をターゲットとする場合には、複数のエッチング液の混合物を使用してもよい。相互貫通連続材料の組成物の材料に関するエッチング液の製品は、気体、液体または固体であってよく、相互貫通連続材料の新たに露出した部分から該製品の分離を促進するには様々な手段を使用することが可能である。エッチング液は、相互貫通連続材料の組成物の形成に使用される任意の特定材料をエッチングすることが知られているエッチング液である。例えば、珪酸および多くのガラスならびセラミックス用の適切なエッチング液はフッ化水素酸である。他の酸および塩基も適切な材料のエッチング液として使用でき、溶剤さえも適切な材料のエッチング液として使用可能である。エッチング液またはエッチング液混合物に要求されるのは、所望の表面テクスチャが生成されるようそれが相互貫通連続材料の混合物のうちの1つを混合物中の他の材料よりも大きな割合でエッチングすることができるということだけである。
【0022】
一度、所望の粒径、粒子形状、表面テクスチャ、および孔含有量を有する所望の粒子が生成されると、粒子は超疎水性にされ得る。
超疎水性粒子は、粒子全体または粒子の突出材料を疎水性コーティングでコーティングすることによって生成され得る。コーティングは、好ましくはペルフルオロ化アルキルもしくは他の有機部分を含む材料のようなフッ素化材料であるか、または任意の他の高度に疎水性の材料である。コーティング材料は、自己集合単一層、カップリング剤、スパッタリング材料、または表面に容易に適合し、かつエッチング時に形成された表面特徴が超疎水性が損なわれる程度にコーティングの最中に充填されたり他の方法で平坦化されたりしないよう制御可能な任意の他の材料であってよい。コーティング材料による粒子の処理は、所望の物への粒子をさらに加工した後に実行してもよい。例えば、安定した超疎水性微粒子表面を生成すべく、粒子の集合体は、粒子のコーティングの前にバインダーの支援ありでまたはなしで形成され得る。
【0023】
一旦、超疎水性粒子が形成されると、それらを様々な物を生成するために使用すること
ができ、例えばそれらを塊としての粉末中の個別の粒子として使用したり、互いに結合させたり、追加の基材に結合させたりし得る。粒子をある表面上に分散させて、その表面を超疎水性にしてもよい。超疎水性粉末を直接、木製品、織物、レンガ、シンダーブロック、紙製品または任意の多孔質材料を含む多くの表面に施してよい。上に示したように、超疎水性特性を生成する工程は、粒子を物へ作り上げた後に行なうことができる。エッチングおよびコーティングを含めた、粒子を超疎水性にする工程は、粒子をある種のアレイまたは凝集体に組み合わせる前または後であるが、所望の物を形成するように基材と組み合わせる前に任意選択で行なわれる。有用な形式への粒子の仕上げは、粒子へのバインダーの追加を含んでよい。さらに、バインダーは、バインダーが超疎水性表面の維持および生成を許容する限り、粒子を互いにまたは基材に対して化学的または物理的に固定する任意のものであってよい。バインダーを使用すると、粒子をガラス、プラスチック、金属およびセラミックスを含むほぼ任意の表面へ粒子を施すことが可能となる。溶媒および他の加工支援剤をバインダーに含ませて、結合を促進し、および/または、粒子および基材の少なくとも一方の所望の部分にバインダーを指向させることが可能である。そのようなバインダーの使用により、しばしば織物のような多孔性基材を有する、膜の形成が可能となる。
【0024】
本発明は様々な物を製造するために使用可能である。例えば、物には、船体、建築物、パイプおよび導管の裏当て、およびガス分離膜の組立てのためのものを含む種々の表面のための超疎水性コーティングを含み得る。粒径および表面の特徴が十分に小さい場合、光学表面のための超疎水性の透明コーティングを形成することができる。
実施例
【0025】
本発明を、以下の特定の実施例によってさらに説明するが、以下の実施例はいかようにも本発明の範囲または内容の限定として解釈されないものとする。
【0026】
1mmの厚さを有するEX24ガラス(重量%で65.9のSiO2、26.3のB23および7.8のNa2Oの組成物を有する)のサンプルを、720℃で20分間加熱して、相分離させた。その後、ガラスを粉末に研削した。次に、粉末を5%HFでエッチングして、本質的に石英ガラスの部分だけが残った多孔質構造を生産した。生じたガラス粉末は極度に親水性であった(スポンジ様)。その後、粉末を(トリデカフルオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)−トリクロロシランのヘキサン溶液に浸漬することにより自己集合単一層を施し、最後に粉末を110℃で15分間加熱して硬化させることで、乾燥後に粉末を親水性から疎水性に改変した。これらの粒子の走査型電子顕微鏡画像を図1に示す。図1では、すべての粒子が、約0.5μmより大きく約7μm以下の断面を有し、幅が約100〜200nmの突出特徴を有している。
【0027】
実施例の中間段階で調製された親水性粉末は、結合剤を含む水に懸濁させて、基材に施すことが可能である。結合された粉末を、次に、粉末でコーティングされた基材を例えばヘキサン溶液としてまたは他のフッ素化結合剤としての(トリデカフルオロ−1,1,2,2,−テトラヒドロオクチル)−トリクロロシランと接触させることにより疎水性自己集合単一層を施して、最後に粉末を加熱することにより単一層を硬化させることで、超疎水性状態に改変することが可能である。
【0028】
実施例で調製した疎水性粉末は、少量のバインダーとしてのポリスチレンまたはポリアクリル樹脂を含むアセトンに懸濁することが可能である。懸濁液は基材上に塗布または噴霧され得る。溶媒の蒸発時、超疎水性粉末は、基材に超疎水性表面を与えるバインダーにより基材表面に接着させられる。
【0029】
実施例で調製した疎水性粉末は、少量のバインダーとしてのポリスチレンを含むアセト
ンに懸濁し、布の上にコーティングして膜を形成することが可能である。超疎水性膜は多孔性であり、膜を通るガスの通過を可能にする。膜が超疎水性であるため、水と水溶液は、膜にわたって適切な差圧が生成すると水からの気体の分離を許容する膜から制限される。
【0030】
本発明の現時点での好ましいと考えられる実施形態を図示し、説明したが、添付の特許請求の範囲により定義される本発明の範囲を逸脱せずに、種々の変更および改変をなし得ることが当業者には明らかである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
組成物であって、約100nm以上約10μm以下のサイズの複数の固体粒子を備え、該粒子は、ナノ孔の少なくとも一部が貫流孔を提供する複数のナノ孔と、表面で突出する連続材料を有する複数の別々に離間されたナノ構造特徴とを備えている、組成物。
【請求項2】
前記突出材料と相互貫通する少なくとも1つの陥没する連続材料をさらに備える請求項1に記載の組成物。
【請求項3】
前記突出材料は疎水性である請求項1に記載の組成物。
【請求項4】
前記特徴に適合する疎水性コーティング層をさらに備える請求項1に記載の組成物。
【請求項5】
前記コーティング層はペルフルオロ有機材料を含む請求項4に記載の組成物。
【請求項6】
前記材料の少なくとも1つはガラスを含む請求項1に記載の組成物。
【請求項7】
物であって、
固体基材と、
前記基材に配置されたコーティングであって、前記コーティングは約100nm以上約10μm以下のサイズの複数の粒子を備え、該粒子は、ナノ孔の少なくとも一部が貫流孔を提供する複数のナノ孔と、表面で突出する表面特徴を有する連続材料を有する複数の別々に離間されたナノ構造表面特徴とを備え、前記突出材料は疎水性であるか、または前記特徴は疎水性コーティング層でコーティングされている、コーティングと、
を備えた物。
【請求項8】
前記コーティングは前記突出材料と相互貫通する少なくとも1つの陥没する連続材料をさらに備える請求項7に記載の物。
【請求項9】
前記基材への前記コーティングの接着を促進するバインダーをさらに備える請求項7に記載の物。
【請求項10】
前記基材は多孔性である請求項7に記載の物。
【請求項11】
前記基材は織布である請求項10に記載の物。
【請求項12】
前記疎水性コーティング層はペルフルオロ有機材料を含む)請求項7に記載の物。
【請求項13】
前記材料の少なくとも1つはガラスを含む請求項7に記載の物。
【請求項14】
多孔性粒子を形成する方法であって、
第1の連続材料および該第1の連続材料とは異なる第2の連続材料を備えた組成物を提供する工程であって、前記第1の材料と前記第2の材料が相分離していると共に相互貫通し、前記第1の材料は前記第2の材料よりも少なくとも1つの予め選択されたエッチング液に対して高い感受性を有する工程、
前記組成物から粒子を生成する工程、および
前記エッチング液中で前記粒子をエッチングし、約100nm以上約10μm以下のサイズの複数の固体粒子を形成する工程であって、該粒子は、ナノ孔の少なくとも一部が貫流孔を提供する複数のナノ孔と、表面で突出する表面特徴を備えた連続材料を有する複数の別々に離間されたナノ構造表面特徴と、任意選択で少なくとも1つの相互貫通する陥没
する連続材料とを備える工程、
からなる方法。
【請求項15】
前記粒子の表面に疎水性コーティング層を施す工程をさらに含む請求項14に記載の方法。
【請求項16】
前記第1の材料が第1のガラスを有し、前記第2の材料が前記第1のガラスとは異なる第2のガラスを有する請求項14に記載の方法。
【請求項17】
前記提供する工程は、前記第1の材料および前記第2の材料の均質混合物の温度を変更して、前記相分離相互貫通組成物へのスピノーダル分解を引き起こす工程を含む請求項14に記載の方法。
【請求項18】
前記エッチングする工程は湿式エッチングを含む請求項14に記載の方法。
【請求項19】
前記生成する工程は粉砕、チョッピング、または研削を含む請求項14に記載の方法。

【図1】
image rotate


【公表番号】特表2010−527321(P2010−527321A)
【公表日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508486(P2010−508486)
【出願日】平成20年5月1日(2008.5.1)
【国際出願番号】PCT/US2008/062134
【国際公開番号】WO2008/144184
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(301027074)ユーティ―バテル エルエルシー (19)
【Fターム(参考)】