説明

超純粋流体

本発明は、少なくとも一つの硫黄種、窒素種、酸素含有物種及び不飽和種に関して高純度の炭化水素流、特に芳香族の量が少ない炭化水素流、その炭化水素流を生成する方法、その方法で用いる触媒、その方法が実施される装置、及びその炭化水素流の使用に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、不飽和種、特に芳香族に関し高純度の炭化水素流、該炭化水素流を生成する方法、該方法で用いる触媒及び該流体の使用に関する。
【背景技術】
【0002】
炭化水素流の重要な特性は、通常ASTM D−86, ASTM D−1078, 又はASTMD-1160により決定される蒸留についての情報、重質材料のための減圧蒸留技術、引火点、密度、ASTM D-611により決定されるアニリン点、例えば、UV分光法により決定される芳香族含有量、例えば、ASTM D2710により決定される臭素指数、粘度、色彩及び屈折率である。
【0003】
流体はExxonMobil Chemical Companyにより販売されるNorpar(登録商標)流体の様なパラフィン系、ExxonMobil Chemical Companyにより販売されるIsopar(登録商標)流体の様なイソパラフィン系、ExxonMobil Chemical Companyにより販売されるExxsol D(登録商標)流体の様な脱芳香族流体、ExxonMobil Chemical Companyにより販売されるNappar(登録商標)流体の様なナフテン系材料、ExxonMobil Chemical Companyにより販売されるVarsol(登録商標)流体の様な非脱芳香族材料、及びExxonMobil Chemical Companyにより販売されるSolvesso (登録商標)重質芳香族液の様な芳香族流体に分類される。
【0004】
出発点が原油である全ての炭化水素製品同様に、炭化水素流グレード又は「カット」(cut)で実現される純度のレベルは、比較的粗いのものから比較的純粋なものまで広い範囲に亙る。典型的には、炭化水素流の工業規模での生産では、通常その沸点が少なくとも約5℃(例えば、ヘキサン)から100℃近く(例えば、灯油)にまで亙る製品が生成される。本明細書で用いる「沸点の範囲」(boiling range)は特定のカットが沸騰する最初の温度と乾点温度の間に亙る温度を意味する。
【0005】
炭化水素流の化学的性質及び組成は、流体が用いられる用途により大きく変わる。炭化水素流の各グレードは商業的に用いられるが、芳香族及び/又はへテロ原子、特に硫黄及び酸素を含む種に関して例外的に純粋であるが、その炭化水素自体の異性体及び/又は炭素数に関しては超純粋ではない炭化水素流を必要とする特殊な応用がある。例えば、工業規模で生産され、消費されるヘキサンの場合、典型的には、約64℃又は65℃で沸騰し始め、約70℃で沸騰を終え、n−ヘキサンに加え広範囲の種類の炭化水素を含むグレードで販売されることもある。このタイプのグレードは、例えば、ポリマー製造での加工助剤、溶媒抽出プロセスでの溶媒等(例えば、Aldrich Chemicalsから比較的小さい実験室規模で入手可能な超高純粋分光法グレードのn−ヘキサン、これは95%以上のn−ヘキサンを含むこともあるが、に対比されるものである)として多くのプロセスで効果的に用いられる。
【0006】
50℃から350℃の蒸留カットを持つ脱芳香族化流で現在利用可能なものは、工業規模で、灯油、ジーゼル油又は他の石油カットの分別、続いて一または幾つかの、水素化触媒、典型的にはニッケル又はニッケルベースの触媒を用いる水素化プロセスで工業的規模で調達可能である。本明細書で用いる「蒸留カット」(distillation cut)の用語は同定された材料の初期沸点が特定された下限温度(例えば、ここでは50℃)より高いか、又は等しく、乾点が特定された上限温度(例えば、ここでは350℃)より低いか、又は等しいことを言う。本明細書で用いる「実際のカット」(actual cut)は、温度範囲に適用された場合、同定される材料の初期沸点及び乾点そのものを言う。この様に、前記のヘキサンの例を用いると蒸留カットの50から350℃の蒸留範囲内で実際のカットが64℃から70℃として記述され、沸点の範囲が6℃であるヘキサングレードがある。
【0007】
前記の分別及び/又は水素化法により達成される芳香族のレベルは、水素化される原料により変わり、沸点がより高い炭化水素は、沸点範囲のより低い炭化水素よりも脱芳香族化が困難である。典型的には、100ppmから8000 ppmの芳香族レベルは、蒸留カットが150℃から300℃であり、沸点範囲が40℃未満である炭化水素流についてこれらの方法によって実現が可能である。低い芳香族レベルは、当初の沸点が150℃より低い組成物について実現されることもあるが、その様な低い沸点の炭化水素では更にヘテロ原子を含む分子のレベルを低下されるためのある種の措置をとることが望ましい。そこで、現在の工業規模での脱芳香族化方法により実現可能なレベルよりも低い芳香族及び/又は硫黄含有及び酸素含有分子の様なヘテロ原子含有分子の量を含む炭化水素流を生成する方法を見出す必要がある。
【0008】
灯油、ジーゼル油又は他の精製所原料に基づく様な、脱芳香族炭化水素流は、インク、消費者製品、金属圧延、水処理、被覆、掘削泥水、農業用処方等を含む種々の最終的な用途に用いられる。歴史的に見れば、脱芳香族化流は約1−2重量%の芳香族及び他の不飽和種(例えば、オレフィン)を含んでいた。例えば、石油原料はニッケル、Ni/Mo, Ni/Mo/W の様な触媒上で水素化され、例えば、20重量%の芳香族を含む中間製品を生成し、それに続いてニッケルのような触媒上での水素化を含む最終ステップを経ることもある。このレベルの芳香族は、水処理のような最終用途に用いるには十分でない。1−2重量%レベルでの芳香族及びオレフィン種に加え、最終製品中の他の典型的な不純物として、硫黄化合物、窒素化合物及び酸素含有物の様な高いレベルのヘテロ原子を含む。これらの他の不純物は、例えば、触媒プロセス又は半導体加工の様な極めて低レベルの不純度が求められるプロセスでの溶媒で脱炭化水素流が用いられる場合には有害である。また水素化反応器でニッケルを用いることは、暴走反応を起す危険があり安全上の懸念がある。
【0009】
高圧水素化法は芳香族を100−500ppmのレベルに抑えることが出来る。しかし、その様な方法への投資額は大きく、また安全上の懸念が増大している。更に、現に利用可能な水素化法は、典型的には最終製品中で酸素含有物を低減させないが、これは多くの理由で欠点、例えば、炭化水素流をプロセス流として用いるプロセスで触媒の不活性が増大する様な欠点がある。
【0010】
したがって、その様な高圧法を用いることなく炭化水素流中において芳香族、酸素含有物、及び他の不純物を極めて低いレベルに抑える方法が強く求められる。更に、環境に対する配慮、及び消費者製品、水処理方法などで用いられる炭化水素流中の芳香族含有量に対する規制が増しているため、100ppmより更に低い芳香族含有量であることが求められる。
【0011】
これまでの技術は、経済的な方法であって、及び/又は環境に対して十分配慮しつつ、これらの全てのこれらの問題に対する解決案を提供するものではなかった。
【0012】
米国特許第4,567,315号、及び第5,220,099号の様に、気体吸着による脱芳香族化を教示する特許は多いが、吸着プロセス法は環境に対して健全なものではなく又エネルギー効率が十分でない解決法である。
【0013】
米国特許第4,795,840号は、30−100 kg/cm (約 30−100 アトム)のオーダーの圧力を用いる水素化プロセスの例である。しかし、その製品は、芳香族種であるアルキルテトラリン(alkyl tetralin)を少なくとも1重量%含む。水素化に続いて分子篩を用いた分離が行われる。
【0014】
米国特許第5,151,172号は、その実施例によれば、モルデナイトにPt/Pdを含む触媒を用いて炭化水素原料流を水素化して芳香族含有量の16重量%のレベルにすることを教示する。
【0015】
米国特許第5,830,345号は、水素化触媒及び約5Åの孔を持つゼオライト触媒を含む二重触媒を用いて、ベンゼンを多く含む改質流(reformate stream)を、水素化と異性化を同時に行うことを含む反応によりガソリンブレンドを得ることを教示する。
【0016】
米国特許第5,831,139号は、重質ナフサ、及び環開裂に晒される還流から選択的にイソパラフィンを合成することを含むプロセスによって、ナフサを低量芳香族を含む、より高度の脂肪族のガソリンに選択的にアップグレードすること、すなわち、全体の効果としては、炭化水素の分子量の低減及び沸点の降下、を教示する。
【0017】
米国特許第5,855,76号は、第一の成分としてのゼオライト−ベータを含むクラッキング触媒、MCM-41であることもある第二の成分及び水素化成分を接触させることを含む高圧(≧30 バール)炭化水素変換プロセスを教示する。
【0018】
米国特許第5,855,767号は、ゼオライト無機酸化物担持体上で新しい金属を用いて、350-700°Fの温度範囲、圧力150-3500 psig、100°Fで50-600 SUSの粘度を持つ原料を用いて潤滑油範囲の炭化水素を飽和させるプロセスについて教示する。この特許によれば、芳香族含有量は3容量%まで低下する。
【0019】
米国特許第5,993,644号は、水素処理、脱蝋、及び水素化のステップを含む潤滑油原料を生成するプロセスについて教示する。この実施例によれば、このプロセスは芳香族の含有量を6重量%まで低減することができ、同様な芳香族レベルは米国特許第6,399,845号にも記載があり、この文献は、芳香族を除去すると共に、同時に及びパラフィンを異性化する触媒を用いて中間留分からジーゼル燃料を製造することを教示する。
【0020】
米国特許第6,030,921号は、水素化分解及び水素化を用いるプロセスで潤滑油原料を水素化することを教示する。この特許の実施例では約86%の芳香族を変換することを示す。
【0021】
米国特許第6,207,870号及び第6,541,417号は軽油カット中の芳香族を、ケイ素ドープ触媒を用いて約6MPaの圧力で水素化することを教示する。
【0022】
米国特許第6,306,289号は、炭化水素油を VIII族金属及び「大量」のシリカを含む触媒を用いて水素処理することを教示する。実施例によれば60kg/cm2において硫黄含有量が約500ppmに減少することを示す。芳香族のレベルについては記載されていない。
【0023】
米国特許第6,509,510号は、少なくとも100Åの細孔サイズを持つシリカ又はアルミニウム担持のVIII族触媒を用いて芳香族ポリマーを水素化するプロセスに関するものである。
【0024】
米国特許第6,541,417号は、炭化水素原料の水素化、特に軽油カットの脱芳香族化のためにケイ素ドープしたVIII族触媒を用いる。
【0025】
米国特許出願第2001/0013484号及び第2002/0117425号は低ポリ芳香族炭化水素(polyaromatic hydrocarbons (PAH))を実現することを意図する。この実施例はPAHを約9重量%に低減することを示す。
【0026】
米国特許出願第2003/0188991号は水素化、異性化、水素化分解及び他の多くの反応が可能なメソ多孔性シリカ触媒について教示する。MCM-41上のPdは比較の目的で用いられている(例えば、該特許の表15を参照)。
【0027】
米国特許出願第2004/0181103号は脱芳香族燃料で用いられる担持触媒について教示する。実施例によれば、芳香族のレベルは480ppmまで実現される。
【0028】
WO 01/14501はMCM-41上でPt/Pdを含む触媒を用いてジーゼル油の芳香族及び/又はオレフィンの濃度を低下させ、450°F (約232 ℃)を超える温度で完全な芳香族飽和(complete aromatics saturation)を実現することを議論する。
【0029】
WO 2004/024319は、パラフィン原料を選択的にアップグレードして、ガソリンとブレンドするのに有用なイソパラフィン製品を生成する触媒について教示する。
【0030】
EP 0698 073は、炭化水素質原料の芳香族の水素化のプロセスに関し、実施例は芳香族含有量を丁度約1重量%より低くすることを示す。
【0031】
関連する他の特許には、以下の米国特許及び特許出願を含む:
5,612,422; 5,853,566; 6,084,140; 6,136,181; 6,197,721; 6,264,826; 6,280,608; 6,281,397; 6,417,287; 6,432,297; 6,579,444; 及び 2003/0173252。
【0032】
本発明は、驚くことに、高圧システムを用いることなく炭化水素流を水素化する方法を見出し、不純物、特に芳香族及び他の不飽和物を極めて低いレベルにする方法を提供する。
【発明の開示】
【発明の概要】
【0033】
本発明は不飽和種、特に芳香族及びオレフィン種が低いレベルの炭化水素流に関するものであり、実施の態様においては、また硫黄及び/又は酸素含有物のレベルが低い炭化水素流を提供する。本発明はまた、その様な炭化水素流を提供する水素化及び/又は水素化脱硫方法、及びその方法で有用な触媒に関する。極めて純度の高い炭化水素流の使用についても、本発明の実施の態様として検討される。
【0034】
ある好ましい実施の形態においては、炭化水素流は500ppmより低い芳香族種を含み、好ましい実施の形態においては、100ppmより低い芳香族種、本明細書に記載のより好ましい実施の形態においては、更に低い芳香族種を含む。更により好ましい実施の形態においては、低いレベルの芳香族は低いレベルの酸素含有物及び/又は硫黄種を伴う。
【0035】
ある実施の形態においては、本発明の蒸留物の沸点の範囲は原料の沸点の範囲と同じである。他の実施の形態においては、原料は、本発明のプロセスによっては異性化されず及び/又は分解されない。
【0036】
ある実施の形態においては、本発明の水素化法は、本発明の触媒を用いて炭化水素流を脱芳香族化するステップを含み、前記触媒は担持されたVIII族金属、好ましくはパラジウム、プラチナ、ロジウム、イリジウム、及びこれらの混合物から選択され、及び任意選択的にバインダを含む。本明細書で用いる、「VIII族」は化学情報検索サービス機関(CAS)周期律表の伝統的な分類に従った:Chemical And Engineering News, 63(5), 27, 1985を参照。幾つかの好ましい実施の形態においては、触媒はケイ素ドープされていない。
【0037】
他の好ましい実施の形態においては、水素化方法は、水素処理及び/又は水素清澄(hydrofining)、好ましくは第一の触媒を用いて炭化水素流を脱芳香族化することを含む第一のステップ、及び本発明の触媒を用いて前記炭化水素流を脱芳香族化する第二のステップを含み、ここで第一のステップは、不飽和オレフィン、芳香族、硫黄及びこれらの混合物から選択される不純物の量を低減するために従来の触媒を用いることを含み、前記触媒は好ましくは、「背景技術」において挙げた様な従来の技術分野で知られている水素化触媒、ニッケルを含む触媒の様な水素化触媒から選択されるのが良い。更に他の好ましい実施の形態においては、前記第一ステップは、少なくとも約500ppmの、及び他の実施の形態においては、約1から約20重量%の芳香族種を含む炭化水素流を提供し、及び第二ステップは約500ppm未満、及びより好ましくは約100ppm未満、更に好ましくは約50ppm未満、更に好ましくは約20ppm未満、更に好ましくは約10ppm未満の芳香族種を含む炭化水素流を提供する。本明細書で用いるppmは、特に断らない限り全流体の重量に基づくものである。更に好ましい実施の形態においては、低いレベルの芳香族は、低レベルの酸素含有物及び/又は硫黄種を伴う。
【0038】
他の実施の形態においては、本発明の方法は、硫黄を約0.1ppm(原子硫黄に基づく)を超えない量で含む脱硫黄炭化水素流を提供する水素化及び/又は水素化脱硫を含む方法である。
【0039】
更に他の実施の形態においては、本発明の方法は酸素含有種を10ppm未満、他の実施の形態においては、5ppm未満、更に他の実施の形態においては、1ppm未満を含み及び他の実施の形態においては、FIDによって検知可能な酸素含有物種は存在しない炭化水素流を提供する、水素化及び/又は水素化脱硫を含む方法である。
【0040】
更に他の実施の形態においては、触媒は炭化水素流の水素化及び/又は水素化脱硫のために提供され、前記触媒は約0.10−0.25重量%の Pt 及び約0.30-0.75重量%のPdを含むメソ多孔性MCM-41を含み、アルミナを含むバインダーを含む。
【0041】
本発明は、高圧を用いることなく、低量の芳香族及び他の不飽和不純物を含む炭化水素流であって、及び/又は低量の酸素含有物、及び/又は低量の硫黄、及び/又は低量の窒素種、又はこれらの何れかの組み合わせを持つ炭化水素流を提供することを目的とする。
【0042】
本発明の他の目的は、極低量の芳香族を含む炭化水素流、特に、例えば、ペイント、清浄用製品の様な消費者用製品として用いられるもの、半導体産業の様な高純度溶媒が求められる工業上プロセス、及び水処理プロセス及び溶媒抽出プロセスの様な高レベルの純度が求められるプロセス、及び掘削液組成物及び鉱石採掘組成物の様なその他のプロセスで用いられる極低量の芳香族を含む炭化水素流を提供することである。
【0043】
これら及び他の実施の形態、目的、特徴及び有利な点については、以下の図面、詳細な説明、実施例及び特許請求の範囲を参照することにより明らかになる。
【発明の詳細な説明】
【0044】
本発明は、炭化水素流、及び更に芳香族、オレフィン種、酸素含有化合物、硫黄化合物、及びこれらの混合物から選択される不純物を含む原料流を、反応器中で水素を含む処理気体の存在下で第VIII族金属から選択される芳香族飽和触媒と接触させて、芳香族の含有量の低い炭化水素流製品を生成する。
【0045】
本発明で有用な原料流は炭化水素流を含む。典型的には、原料流は例えば、ACN(大気粗ナフサ;Atmospheric Crude Naphtha,)、HVN(重質バージンナフサ;Heavy Virgin Naphtha)、灯油、ジーゼル油、LGO(軽油;Light Gas Oils)、PGO(プロセズ 軽油;Process Gas Oils)及びこれらの混合物の様な、原油から選択されるカット(cut)である。原料流はまた化学プロセスからも得られる。
【0046】
ある実施の形態においては、原料流は、パラフィン、イソパラフィン、オレフィン、イソオレフィン、及びこれらの混合物を生成するために用いられる精製プロセスまたは化学プロセスから得られるオリゴマーを含んでも良い。更に具体的には、他の好ましい実施の形態においては、原料流はPGO由来の精製流からオリゴマー化されたアルキレートであることもあり、ある原料流は主にイソパラフィン材料を含む芳香族抽出物単位ラフィネートを含み、ある原料流は気体―液体 (gas-to-liquids)(GTL)) プロセスより誘導され、これはまた主にイソパラフィンを含むこともある。更に他の好ましい実施の形態においては、原料流は上述したカットの一つ、又は、例えば、Ni/Mo, Co/Mo触媒を用いて硫黄を約10ppmのオーダーにまで除去するため、事前に水素化精製された原料流を含む(本明細書に記載の硫黄は、断らない限り、ASTM D5453 (Antek の装置)に依る。硫黄含有量はまたASTM D4045 (Houston Atlasの装置)により決定しても良い。)。
【0047】
水素処理方法及び水素化精製法は、それ自体技術分野で良く知られている。また、特に断らない限り、全明細書を通して、重量パーセント及び重量ppmは組成物の全重量に対して言う。
【0048】
本明細書で用いる「流体(又は、流)」(fluid)は、物質(溶質)を溶解する伝統的な意味での液体、溶媒として機能する材料のみならず、一以上のキャリアー、希釈液、界面活性剤、分散剤等として機能する材料を言う。更に、「炭化水素流」(hydrocarbon fluid)は大気温度及び圧力(25℃、1アトム)において液体である水素及び炭素原子よりなる材料を指す。
【0049】
ある実施の形態においては、炭化水素流は直鎖、枝分かれ、環状、多環式又は非環式、又はその様な炭化水素の混合物であり得る少なくとも一つのC5-C19炭化水素流を含む。
【0050】
ある実施の形態においては、炭化水素流製品は本質的に原料流中の炭化水素流と同じ沸点範囲を持つ、すなわち、本発明の水素化プロセスは熱分解を含まない。他の実施の形態においては、原料流は更に細かいカットに事前分画されるか、及び/又は事後分画されても良い。
【0051】
他の実施の形態においては、製品中の炭化水素流は、本発明のプロセスの間においては異性化されてなかった。これは、異性化製品は、0.1重量%の検出能力を持つGC装置を用いるGC方法では検出することができないことを意味する。その様な判定をすることのできる装置及び方法は通常当業者により利用可能である。
【0052】
ある好ましい実施の形態においては、炭化水素流製品は炭化水素原料流と同じ沸点範囲を持ち、異性化されなかった。
【0053】
本発明は、より具体的には、5から25炭素原子(C5-C25,)、好ましくは5から23炭素原子を持つ種々の脂肪族炭化水素のブレンドである脱芳香族流を作る方法に関し、本明細書に記載のその他の実施の形態に加えて、更に考慮される実施の形態においては、C5−C9, C5−C8, C6‐C8, C9-C19を含む。これらは、その対象となる特定のグレードに応じて、直線、枝分かれ、非環式、環式及び/又は多環式分子であることもある。本明細書で用いる、Cx からCy 又は Cx-Cyの特定された範囲の炭素を持つ炭化水素流は、x及びyを含み、xからyの範囲の少なくとも一つの炭素数を持つ炭化水素流を指す。典型的には、脱芳香族炭化水素流は約50℃から約380℃の、好ましくは60℃から約350℃の温度範囲の蒸留カットである。他の実施の形態においては、脱芳香族流は約60℃から150℃の範囲の、5から10の炭素原子、好ましくは6から8の炭素原子を持つ蒸留カットである。他の実施の形態においては、脱芳香族流は約300から600°F(約150−315℃)の範囲の、9から19の炭素原子、又は約356から600°F(約180−350℃)の範囲の、9から19の炭素原子を持つ蒸留カットである。典型的には、脱芳香族流は、沸点範囲が少なくとも約5℃から最高100℃未満までの範囲であり、好ましくは沸点範囲が約5℃から約40℃の範囲であるのが良い。更なる実施の形態では、以下に更に詳細に述べる様にヘキサン及びヘプタンの沸点範囲の炭化水素流を含む。
【0054】
本発明を了知している当業者であれば、本明細書に記載の種々の実施の形態は、多数の異なる方法で組合せて更なる実施の形態を作り出すことが出来るが、これらはまた本発明の一部であることを了解する必要がある。例えば、本発明のあるプロセスはC5-C19の炭化化水素カットを得るために精製流を分画し、水素化精製し及び、例えば、ある実施の形態において、約1から約20重量%の芳香族含有量、約1ppmの硫黄含有量を含むC5-C19の混合炭化水素流を得るために前記カットを水素化し、そして前記炭化水素流を、芳香族含有量が500ppm未満、硫黄含有量が約0.1ppm未満、及び前記固定床反応器において本発明の触媒と接触させる前の流体と同じ沸点範囲を持つC5-C19の炭化水素流を得るため固定床反応器において、本発明の触媒と接触させ、64℃から70℃、又は65℃から70℃(沸点範囲がそれぞれ6℃又は5℃)からの実際のカットを持つカットであり、芳香族含有量が10ppm未満、及び非常に低いレベルから検知不可能なレベルの硫黄又は酸素種を含むヘキサンを主に含むカットを得るために前記C5-C19炭化水素流を事後分画することを含んでも良い。
【0055】
前記の詳細な実施の形態は、上に説明した多くの実施の形態を合わせたものであり、更に、任意選択的に、反応器に入る原料流を分解した製品、及び/又は異性化することによる製品は検知されないという条件の少なくとも一つ含んでいても良い。分解による製品は、上で説明した様に、異性化による製品と同じ基準で決定される。
【0056】
「主に含む」(principally comprising)の用語は、同定された種が他の種より多くの量で存在することを意味する。前述の例で言えば、64−70℃からの、主にヘキサンを含む実際のカット(actual cut)は、約30-99重量%のヘキサンまたはC6、又は35-90重量%のヘキサン、又は35-65重量%のヘキサン、又は60-90重量%のヘキサン、又は60-85重量%のヘキサンを含み、この段落に含まれる何れの下限値と何れの上限値を組み合わせた範囲のものを含む。ある好ましい実施の形態においては、64−70℃の実際のカット(又は65−70℃)は、酸素含有物のレベルは1ppm未満、又はより好ましい実施の形態においては、以下に更に詳細に述べる様にFIDにより検知される酸素含有物が存在しないものが良い。
【0057】
同様に、精製所又は化学プラントの操業から他のC5-C19の炭化水素流カットが得られることもあり、これは原料流に関して芳香族、不飽和物、硫黄、及び酸素含有物での不純物のレベルは更に低く、本発明以前においてはこのレベルが達成されることは知られておらず、少なくとも高圧方法を用いずには実現できないものであった。
【0058】
例えば、本発明により得られる重要な製品はヘプタングレードであるが、これは約90−100℃, 91−100℃、92−100℃, 又は 93-100℃の実際のカットとして記載されることもあり、ある実施の形態においては、ASTM D-5453による検出可能な硫黄種を含まず、芳香族が7ppm未満、及びFIDによる酸素含有物が1ppm未満である。本明細書で用いる「ヘプタングレード」(heptane grade)は主にC7炭化水素を含む組成物を指し、そしてC7炭化水素の異性体の混合物を含む。
【0059】
本明細書で用いる「芳香族」(aromatics)の用語は芳香族としての特徴を持つ種を言い、これはNMRにより非常に容易に決定することのできる閉じた電子のループが存在する環状構造を言う。本明細書で用いる定義はAdvanced Organic Chemistly (1992)、3月号の例えば、40-41ページに記載のものと矛盾しないものと考えている。本発明で有用な、原料に見出される典型的な芳香族には、ベンゼン、ナフタレン、テロラリン等を含む。
【0060】
本発明の方法は、炭化水素流、及びさらに、ある実施の形態においては、少なくとも0.5重量%の量で存在する不飽和化合物を含み、他の実施の形態においては、少なくとも1重量%、他の実施の形態においては、20重量%を超えない量を含む原料流を、好ましくは効果的な芳香族飽和条件で運転される。反応段階において炭化水素を含む処理気体の存在下で芳香族飽和触媒と接触させることを含み、前記芳香族飽和触媒は、無機、多孔性、非積層状態、結晶性、メタ多孔性担持体材料に支持された、第VIII族金属及びこれらの混合物から選択される水素化成分を含み、担持体材料は少なくともアルミニウム及びシリカを含む枠構造を持ち、及びシリカとアルミニウムの比率は約10:l から約100:lであり、担持体材料の平均孔直径は約15から約100Å未満である。本発明は、20重量%より大きい不飽和化合物を含む炭化水素流を含む原料流を想定しているが、好ましくは30重量%未満、更に好ましくは25重量%未満の不飽和化合物を含む原料が好ましいことを理解すべきである。
【0061】
本発明の使用に適した原料流は、既に詳細に検討した様に、灯油、ジーゼル油、又は他の精製所、又は化学工程の原料流を含み、炭化水素流プロセスで用いられる、従来用いられているどの様な原料流も含む。ある実施の形態においては、その様な原料流に好適なものには、更に硫黄で汚染されたものから選択された不純物を含む。酸素含有物もその様は原料流に存在することもある。しかし、通常関心の対象となるのは、本発明で用いられる原料生成プロセス、従来の水素化プロセス及び/又はそこで用いられる触媒により生成される(理論に拘泥する意図はないが)酸素含有物であることもある;ある実施の形態においては、本発明はその様な酸素含有物を低減する。本発明による製品では、例えば、すでに述べた様に、アルコール等の従来の水素化プロセスにより生成される製品中に通常見出される酸素含有物の量が低い。
【0062】
本発明の触媒には、水素化成分、担持体成分、及び任意選択的にバインダー成分を含み、これらのすべてについては本明細書に詳細に記載されている。
【0063】
担持体材料の枠組みには、少なくともアルミニウム及びシリカを含み、及び担持体材料は更に、約15から約100Å未満の平均孔直径を持つという特徴がある。
【0064】
ある実施の形態においては、孔のサイズは15 から約 60Å, または 15 から約 50Å, または 25 から約 60Å, または 25から約50Å, または 30 から約 50Å, または 35 から約 55Å, または 約15 から約 35Åである。
【0065】
触媒はまたVIII族金属及びこれらの混合物から選択される水素化成分含み、好ましくはPt 及び Pdから選択され、より好ましくはPt及びPdの組み合わせであるのが良い。
【0066】
か焼した形では、本発明の使用に適した担持体材料と類似の特徴をもつ担持体材料は、一般的にその枠組みにおいてシリカのアルミニウムに対する比率が高かった。通常、これらの材料はその枠組みにおいてシリカのアルミニウムに対する比率は約800:1のレベルである。シリカのアルミニウムに対する比率が高いものは、望ましくない分解反応を防ぐために用いられた。しかし、枠組みに中のアルミニウムの量を増やすことにより、以下に検討するより少さい細孔と相まって、極低量の芳香族を持つ炭化水素を提供するのに用いる芳香族飽和能力の向上した触媒を提供する。
【0067】
この様に、本発明における使用に適した担持体材料は、極めて大きい孔サイズの結晶相を含む物質の合成組成物を含む。触媒は更に以下の一以上の特徴を持つこともある。担持体材料は、相対強度が100で、約18Åより大きいdスペースで少なくとも一つのピークを持つX線回折パターンにより特徴付けられる(そのか焼された形において)無機、多孔性、非積層結晶相材料である。本発明の使用に適した担持体材料はまた、50トール、25℃で、材料100g当たり15gのベンゼンより大きいベンゼン吸着能を持つものとして特徴付けられる。
【0068】
好ましい担持体材料は、無機、多孔性、非積層材料であり均一サイズの孔が6角形に配置され、孔直径の最大垂直断面は約15から約100Å未満である。より好ましい担持体材料はMCM-41と同定される。MCM-41は6角形に配置された、均一サイズの少なくとも13Å直径の孔の構造の特徴を持ち、d100値が約18Åより大きいものと指標付けすることができる六角形電子回折パターンを示し、これはX線回折パターンの少なくとも一つのピークに対応する。MCM-41及び/又はそれに金属を載せることについては米国特許第5,098,684号、第5,102,643号、第5,264,641号、第5,451,312号、及び第5,573,657号に記載がある。
【0069】
ある実施の形態においては、本発明の成分として用いられる無機、非積層メソ多孔質結晶性担持体材料は、広く式 Mn/q(Wa Xb YcZdOh)で表わすことのできる組成を持つ。この式では、Wは第一列遷移金属から選択される二価元素であり、好ましくはマンガン、コバルト、鉄及び/又はマグネシウム、より好ましくはコバルトであるのが良い。Xは三価の元素で、好ましくはアルミニウム、ホウ素、鉄、及び/又はガリウム、より好ましくはアルミニウムであるのが良い。Yはケイ素及び/又はゲルマニウム、好ましくはケイ素の様な四価の元素であるのが良い。Zは五価の元素で、例えば、燐である。Mは一以上のイオン、例えば、アンモニウム、IA族、IIA族、VIIB族イオン、通常水素、ナトリウム、及び/又はフッ化イオンである。nはMを除く組成物の電荷を酸化物として示したものであり;qはMの重量モル平均原子価である;n/qはMのモル数又はモル比率であり;a, b, c, 及びdは各W, X, Y及び Z のモル比率であり;hは1から2.5の数字であり;及びa+b+c+d=1 である。本発明の使用に適した担持体材料の好ましい実施の形態においては、(a+b+c)はdより大きく、及びh=2である。更に他の実施の形態においては、a 及びd=0の場合、h=2である。本発明の使用に適した担持体材料を生成するために用いる好ましい材料はアルミノケイ酸塩であるが、他の金属ケイ酸塩も使用しても良い。本発明のある実施の形態においては、前記式でXはアルミニウム(Al)で、Yはケイ素(Si)であり、下付き数字 a及び dは共に0である。
【0070】
上で述べた様に、本発明の使用に適した担持体材料は、その枠組みにより高い濃度のアルミニウムが組み入れられたものであるのが良い。この様に、本発明の使用に適した担持体材料はその枠組みのケイ素対アルミニウムの比率が、10:1 から 約 850:1,又は10:1 から 約 800:1, 又は10:1 から 400:1, 又は10:1 から 200:1, 又は 20:1 から 400:1, 又は 20:1 から200:1又は30:1 から 200:1である。
【0071】
本発明の使用に適した担持体材料は、合成されたままの形では、無水ベースで経験的に式rRMn/q(Wa Xb YcZdOh)で表わされる組成を持ち、ここでRはMにイオンとして含まれない全有機材料、及びrはRの係数、すなわち、Rのモル数、又はモル比率である。M及びR成分はそれらが結晶化の間に存在することによる結果の材料と関連し、容易に除去され、又はMの場合には以下に述べる事後結晶化方法によって置き換えられる。所望の程度により、例えば、ナトリウム又は塩素の様な元のMでは、本発明の合成されたままの材料のイオンは、従来のイオン交換技術によって置換することができる。好ましい置換する側のイオンには、金属イオン、水素イオン、水素の前駆体、例えば、アンモニア、イオン及びこれらのイオンの混合物を含む。特に好ましいイオンは最終触媒中で所望の金属機能性を提供するイオンである。これらには、周期率表の水素、希土類金属、VIIA族金属(例えば、Mn)、VIIIA族 (例えば、Ni)、IB族(例えば、Cu)、IVB族(例えば、Sn)金属及びそれらのイオンの混合物を含む。
【0072】
結晶性(すなわち、例えば、X線回折、電子又は中性子回折によって、か焼後少なくとも一つのピークを持つ様な回折パターンを示すのに十分な秩序を持つ)メソ多孔性担持体材料は、その高い収着能のみならず極めて大きい孔の窓を含む構造に特徴を持つ。本明細書で用いる「メソ多孔性」(mesoporous)の用語は、結晶が約13から約200Åの範囲内の均一な孔を持つことを意味する。本明細書で用いる「多孔性の」(porous)は、100gの多孔性材料当り、Ar, N2, n-ヘキサン又はシクロヘキサンのような小さい分子を少なくとも1g吸収する材料を指す。上で述べた様に、本発明は、既に述べた実施の形態に示す様に、約15から約100Å未満の平均孔サイズを持つ担持体材料を用いると言う特徴がある。
【0073】
本発明の使用に適した担持体材料は、他の無機多孔性固体とは、その大きい通気孔の規則性により区別され、その孔サイズは非結晶性又は準結晶性材料のそれとより類似しているが、サイズの規則的配置及び均一性は(単相内の孔サイズ分布がその相の平均孔サイズよりも、例えば、±25% 通常±15%以下の範囲)ゼオライトのような結晶性枠組材料のそれに、より類似している。この様に、本発明で用いられる担持体材料はまた、約15から約100Å未満の通気孔内直径を持つもので合成することの出来る大きい通気チャネルの六角形配置を持つものとして表わすことができる。本明細書で用いる「六角形」(hexagonal)の用語は実験的測定範囲内で数学的に完全な六角形対称を示す材料のみならず、理想的な状態から明らかに外れていると見られるものをも含むと考えている。この様に、本発明の使用に適した担持体材料について記述する場合の「六角形」は、材料中の殆んどのチャンネルが6つの最近接しているチャンネルと略同じ距離の位置で囲まれていることを言う。しかしながら、材料の製造の精度によっては、担持体材料の欠陥や不完全さのため、極めて多くのチャンネルが種々異なる程度でこの基準に反していることは留意する必要がある。隣接するチャンネル間の平均反復距離から±25%までランダムに逸脱しているサンプルは、まだMCM-41材料と認識可能な像を明確に示す。比較可能な偏差はまた電子回折パターンのd100値で観測される。
【0074】
本発明の使用に適した担持体材料は技術分野で知られているどの様な方法によって生成しても良く、上で検討した米国特許(例えば、第5,098,684 号及び第5,573,657号)のような、本明細書に記載の従来の方法により生成することが出来る。通常、担持体材料の最も通常の調剤は、極めて低角度領域で僅かの明確な最大値を持つX線回折パターンを示す。これらのピークの位置は、おおよそ六角形格子からのhkO反射の位置と一致する。しかし、微細構造の規則性の程度、及び個々の粒子内の構造の繰返しの程度が観測されるピークの数に影響を与えるため、X線回折パターンは、常にこれらの材料の存在を示す十分な指標と成るとは限らない。事実、X線回折パターンの低角度領域で唯一の明確なピークを持つ調剤は、その中に非常に多量の材料を含むことがあった。この材料の微細構造を示す他の技術には、透過電子顕微鏡法及び透過電子回折がある。適切に配向付けされた適当な担持体材料のサンプルは、大きなチャンネルの六角形配置を示し、対応する電子回折パターンは最大回折のおおよそ六角形の配置を示す。電子回折パターンのd100スペーシングは六角形格子のhkO投影上の隣接する点間の距離であり、

による電子顕微鏡写真で観察されるチャンネル間の反復距離a0に関連するものである。電子回折パターンで観測されるこのd100スペーシングは適当な担持体材料のX線回折パターンの低角度ピークのdスペーシングに該当する。これまでに得られた適当な担持体材料での最も高度に秩序のある調剤は、電子回折パターンで20−40の明確な点が観測されるものであった。これらのパターンは、100, 110, 200,210などの独特の反射を持つ六角形hkOサブセット及びそれらと対称の関係にある反射によって指標付けすることが出来る。
【0075】
そのか焼された形では、本発明の使用に適した担持体材料はまた、約18Å dスペーシング(Cu K-アルファ照射の2θが4.909°)より大きい位置で少なくとも一つのピークを持つたX線回折パターンによって特徴付けることも出来、このdスペーシングは担持体材料の電子回折パターンのd100値に対応する。また、上に述べた様に、適当な担持体材料は、50トール、25℃で100g結晶当り約15gより大きい平衡ベンゼン吸収容量を示す(ベース:もし必要なら、結晶材料は偶発的な汚染によって孔がブロックされないように処理されたものである)。
【0076】
適当な担持体材料に特徴的な平衡ベンゼン吸収容量は、偶発的な汚染によって孔がブロックされていないというベースで測定されることに留意すべきである。例えば、吸着テストは、孔が汚染によってブロックされておらず、水が通常の方法によって除去されている結晶性材料で行われる。水は脱水技術、例えば、熱処理によって除いても良い。孔をブロックする無機非結晶質材料、例えば、シリカ及び有機物は酸又は塩基又は他の化学剤と接触させて除去しても良く、そのため砕屑材料は結晶に不利な影響を与えることなく除去される。
【0077】
より好ましい実施の形態においては、本発明での使用に適したか焼された、結晶性、非積層担持体材料は、X線回折パターンで、約10Å dスペーシング(Cu K-アルファ照射の2θが8.842°)より大きな位置で少なくとも二つのピークを持つ点で特徴付けることも出来、このdスペーシングは担持体材料の電子回折パターンのd100値に対応し、そのピークの少なくとも一つは約18Å dスペーシングより大きな位置にあり、及び約10Å dスペーシングより小さい位置では最も強いピークの約20% より強い相対強度を持つものは存在しない。 更により好ましくは、本発明のか焼された材料のX線回折パターンは、約10Å dスペーシングより小さい位置では最も強いピークの約10% より強い相対強度を持つものは存在しない。いずれにせよ、X線回折パターンの少なくとも一つのピークは、材料の電子回折パターンのd100値に対応するdスペーシングを持つであろう。
【0078】
本発明での使用に適したか焼された、無機、非結晶性担持体材料はまた物理吸着計測により測定された孔のサイズが約15から約40Å未満、又はそれ以上であると特徴付けることも出来る。本発明で用いる孔のサイズは結晶の最大垂直断面の孔直径であると考えるべきことは留意すべきである。
【0079】
上に述べた様に、本発明での使用に適した担持体材料は技術分野で知られている方法であればどの様な方法によって生成されても良く、通常米国特許第5,098,684号及び第5,573,657号に記載の方法によって生成される。X線回折データ、平衡ベンゼン吸収、及びアンモニアから水素への変換をする材料はその技術分野で知られており、また米国特許第5,573,657号にも見ることができる。
【0080】
本発明の使用に適した担持体材料は広範囲の種々の粒子サイズに成形することができる。一般的に担持体材料粒子は粉末、粒子、又は成形物であってもよく、例えば、2メッシュ(Tyler)スクリーンを通過するのに十分な粒子サイズであり、4メッシュスクリーン(Tyler)を通過しないサイズを持つ押出し製品である。最終触媒が、例えば、押出により成形される場合は、担持体材料粒子は乾燥される前に押し出しされ、又は部分的に乾燥された後押出されることもある。
【0081】
この担持体材料に存在する孔サイズは、分解の様な反応における遷移状態種について、空間選択性が最小になる様、十分大きくなる様管理される(Chen 他、"Shape Selective Catalysis in Industrial Applications” 36 CHEMICAL INDUSTRIES, 41-61ページ (1989)は、形状選択性に影響を与える要素の検討に関して参照される)。また、非常に大きな孔であるため拡散限界が最小であることは注目すべきである。
【0082】
本発明での使用に適した担持体材料は自己結合、すなわち、バインダーなしであっても良い。しかし本発明はまた適当なバインダー材料を含むことが好ましい。このバインダー材料は、本発明を用いるプロセスで用いられる温度及び他の条件に耐性があると知られているどの様なバインダー材料から選択しても良い。
【0083】
担持体材料はバインダー材料と複合され、金属を加えることのできる触媒の最終製品を形成する。本発明での使用に適したバインダー材料は、粘度及び/又はアルミナ、シリカ又はシリカーアルミナの様な酸化物の様な無機材料のみならず、活性を持つ、及び不活性な材料及び合成された又は天然のゼオライトを含む。シリカーアルミナ、アルミナ、及びゼオライトは好ましいバインダー材料であり、アルミナはむしろバインダー担持材料である。シリカーアルミナは、天然のもの、又はゲル状沈殿物又はシリカ及び金属酸化物の混合物を含むゲルの形であることもある。不活性材料はベントナイト及びカオリンの様な天然の粘度に組み込まれ、商業的操業条件での触媒の粉砕力を向上させ、触媒のバインダー又はマトリクスとして機能することもある。
【0084】
ある実施の形態においては、本発明は典型的には、複合的な形において、担持体材料のバインダー材料に対する比率は、担持体材料が80部分、バインダーが20部分から、担持体材料が20部分、バインダーが80部分までに亙る。比率は全て重量によるものであり、担持体材料:バインダー材料の比率は、通常80:20から50:50、好ましくは65:35 から35:65であるのが良い。複合化は材料を一緒に温め、続けて所望の最終触媒粒子に押出しすることを含む従来の方法により実施しても良い。
【0085】
上で述べた様に、本発明は更にVIII族金属及びそれらの混合物から選択される水素化―脱水素化成分を含む。水素化―脱水素化成分は、パラジウム、プラチナ、ロジウム、イリジウム、及びこれらの混合物、より好ましくはプラチナ、パラジウム及びこれらの混合物から選択されるのが好ましい。水素化―脱水素化成分はプラチナ及びパラジウムの混合物であるのが最も好ましい。
【0086】
ある実施の形態においては、水素化―脱水素化成分は通常約0.1から約2.0重量%の範囲の量、好ましくは約0.2から約1.8重量%、より好ましくは約0.3から約1.6重量%、最も好ましくは約0.4から約1.4重量%であるのが良い。全ての金属重量%は担持体に対するものである。「担持体に対する」(on support)の意味は、パーセントは担持体、すなわち、担持体材料及びバインダー材料の複合物の重量に基づくことを言う。例えば、もし担持体の重量が100gであったとすると、20重量%の水素化―脱水素化成分の意味は、20gの水素化―脱水素化金属が担持体上に存在することを意味する。
【0087】
ある好ましい実施の形態においては、触媒はPt 及びPdの両方を含み、更に好ましい実施の形態においては、Pt 及びPdの重量比率は約1:2から約1:4である。更により好ましい実施の形態においては、触媒はMCM-41上に約0.3 ± 0.1重量%のPt(より好ましくは±0.05)及び約0.9 ± 0.1重量%のPd(より好ましくは±0.05)であり、Pt/Pdの原子比率は約1:6.5から約1:7の範囲である。他のより好ましい実施の形態においては、触媒はアルミナを含むバインダー及び約0.10-0.25重量%のPt及び約0.30-0.75重量%のPdを持つメソ多孔性MCM-41を含む。本段落に記載のより好ましい実施の形態と組み合わされるある実施の形態においては、バインダーを含む(もし存在する場合は)触媒中のシリカのアルミナに対する全般の比率は、約35重量%のアルミナに対し約65重量%のシリカであろう。
【0088】
水素化―脱水素化成分は担持体材料上でイオン交換され、それに含浸させ又はそれと物理的に混合され得る。水素化/脱水素化成分は含浸によって組み入れられるのが好ましい。もし水素化―脱水素化成分が担持体材料とバインダーの複合体に含浸せられ、及びそこでイオン交換される場合は、それは例えば、複合体を適当なイオンを含む水素化―脱水素化成分により処理することにより行われることもある。もし水素化―脱水素化成分がプラチナである場合は、好適なプラチナ成分は塩化白金酸、塩化第一白金及び白金アミン複合体を含む種々の化合物を含む。
【0089】
水素化―脱水素化成分はまた、水素化―脱水素化成分が一つの化合物及び/又は複数の化合物の陽イオンに存在し、又は水素化―脱水素化成分が化合物の陰イオン中に存在する化合物を用いて、担持体及びバインダー材料の複合体中に、その上に、及びそれと共に組み込まれることもある。陽イオン及び陰イオン化合物の両方とも用いることができることに留意すべきである。陽イオン及び陽イオン複合体の形を持つ金属で適当なパラジウム又はプラチナ化合物の例にはPd(NH3)4Cl2があるが、これに限定されるものではない。Pd(NH3)4Cl2は、バナジウム酸及びメタタングステン酸イオンの様な陰イオン複合体同様に、特に有用である。他の金属の陽イオンの形も、結晶性材料とイオン交換され又は、それに含侵させることができるため非常に有用である。
【0090】
原料は本発明の触媒を含む反応段階を含む装置に供給される。ある実施の形態においては、上に述べた触媒は、水素処理気体の存在下において効果的な芳香族飽和条件において固定床反応器中で原料流と接触する。
【0091】
その様な効果的な条件は、本発明の開示の内容を了知している当業者であれば、他の通常の実験を更に行うことなく決定することができるが、典型的な水素分圧は約1000psig以下であり、他の実施の形態においては900psigを超えず、他の実施の形態においては800psigを超えず、他の実施の形態においては750psigを超えず、他の実施の形態においては600psigを超えず、他の実施の形態においては500psigを超えず、他の実施の形態においては400psigを超えず、他の実施の形態においては300psigを超えず、好ましい条件は水素分圧は約300-700psigであり、処理速度は約500-2000scf/bbl供給量(cc H2/cc 供給量あたり5.74scf/bblに基づき約87-348 cc H2/ cc 供給量)、より好ましくは約1100-1300 scf/bbl、温度は約150から約300℃、又は約160から約250℃、又は約170から約232℃未満、又は約175から約225℃、又は約180から約220℃(更に、好適な温度範囲は、これらの何れの下限数値と、何れの上限数値と組み合わせたものをも含むことを理解すべきである。例えば、約150から約225℃、又は約170から約232℃未満など)、空間速度は0.5 から 5.0 hr-1であり、より好ましくは1.5 から 3.0 hr-1である。処理速度はSCF/Bblの消費量で示す。通常1重量%芳香族を含む原料を用いた場合、消費量は25scf/bblのオーダーであり;20重量%を含む原料を用いた場合、消費量は500scf/bblのオーダーである。同様に、各条件は本発明の開示に基づいて当業者が決定することができるが、本発明の最も有利な点の一つは、芳香族の含有量を、約232℃未満のような低い温度を含む効果的な芳香族飽和条件で、非常に低いレベルまで低減することができることである。
【0092】
本発明の触媒は、通常固定床反応器で原料流に接触する。しかし、原料流を担持された触媒に接触させる他の知られた方法も使用することができ、例えば、カラムにおいて原料流を触媒に接触させる、すなわち、反応蒸留、又は触媒蒸留である。既に述べた様に、複数の反応器も用いることができる。例えば、第一の水素化触媒を含む第一の反応器、及び本発明のMCM-41上で担持されたVIII族の触媒を持つ第二の反応器などを用いる場合である。
【0093】
本発明の方法により生産される炭化水素流は、その芳香族含有量が500ppm未満、ある実施の形態においては100ppm未満、ある実施の形態においては50ppm未満、ある実施の形態においては10ppm未満であるという特徴を持つ。芳香族は、本発明の開示内容を了知した当業者に明らかな種々の技術により決定することができる。一般に市場で入手可能なUV分光計は芳香族を約10ppmのレベルまで検出することができる。一般に市場で入手可能なGC質量分析計は芳香族を約0.4ppmのレベルまで検出することができる。本明細書で用いる酸素含有物決定方法は実験に関する項目の後に述べるが、本発明の開示内容を了知した当業者によっても決定されるであろう。
【0094】
ある実施の形態においては、製品中の硫黄含有量は100ppm未満であり、他の実施の形態においては10ppm、及び他の実施の形態においては、1ppm未満である。好ましい実施の形態においては、硫黄は本明細書に記載のASTMによる方法によっては製品中に検出できないことがある。
【0095】
ある実施の形態においては、酸素含有物の量は10ppm未満であり、好ましくは5ppm未満、より好ましくは1ppm未満、及び更に好ましくはUV-vis検出法により酸素含有物が検出されない量であるのが良い。
【0096】
本発明によって生成される炭化水素流は消費者製品、例えば、ペイント(例えば、樹脂, 色素、染料等を含む)、清浄用製品、半導体産業の様な極めて高純度溶媒を必要とする工業プロセス、及び水処理プロセスの様な高度のレベルの純度を要するプロセス、溶媒抽出(例えば、大豆の処理)、金属圧延、及び鉱石の抽出、又は掘削流体剤形、農業剤形(例えば、農薬、殺虫剤、化学肥料等を含む)及び、シリコン封止剤を含む組成物のような種々の組成物において有用である。
【0097】
金属加工及びアルミニウム圧延の様な、ある最終的な使用においては、炭化水素流組成物は芳香族のレベルによって、米国のFDA規則などの規制に適う必要がある。他の最終的な使用においては、炭化水素流は溶媒として、又は使用中に高い化学的安定性が求められる反応媒体中の試薬キャリアーとして用いられる。その様な応用の例には、重合反応があり、その場合溶媒は分散媒体又は触媒(例えば、過酸化物キャリア)として用いられる。泥水掘削油剤形又は鉱石用剤形のような、更なる他の最終的な使用においては、炭化水素流は環境に与える影響が低いもの、特に水性毒性が低いものであることは重要である。被覆又はシリコン封止剤の様な更に他の応用では、長期間にわたり、時には極めて消耗度の厳しい条件下で、色彩及び匂いについて高い安定性を持つ炭化水素流を用いることが極めて望ましい。本発明はこれらの一以上の要件を満たす炭化水素流のカット又はグレードを提供する。
【0098】
実施例
以下の例は本発明の説明のために記載するものである。これらは多くの修飾及び変更が可能であり、本発明は本明細書に記載された方法以外にも、特許請求の範囲の発明の範囲内において実施可能であることを理解すべきである。
【0099】
実施例1−4及び比較例
好ましい芳香族飽和触媒が以下の実施例で使用され、65重量%の、孔直径が約40ÅのMCM-41を含む担持体、及び35重量%のアルミナバインダーよりなる。担持体は以下に述べる様に、0.9重量%パラジウム及び0.3重量%プラチナにより被覆されている。MCM-41構造にアルミニウムを組み込むことにより、更なる改善が見られ、以下の表1に示すように、MCM-41成分の孔の直径を低減させ、貴金属の搭載量を減少させる。
【0100】
Si02:Al03比、孔開口及び表1に挙げたその他の特徴を持つMCM-41を用いて一連の触媒が生成された。MCM-41メソ多孔質材料が合成され、そして排出され、フィルターケーキに調剤された。フィルターケーキはDI(脱イオン化された)水で洗浄され、その後約540℃の窒素中で事前か焼された。事前か焼されたMCM-41材料はその後VersaI-300アルミナバインダーと混合され、1/16”シリンダー中に押出された。押出物は乾燥され、その後約538℃の空気中でか焼された。か焼された押出物はその後プラチナ及びパラジウム塩を含む溶液で共含侵され、120℃で乾燥された。その後触媒は、プラチナ及びパラジウム化合物を分解するため空気中で340℃で最終か焼された。表1に記載のPt 及びPdの搭載は金属ベースで、か焼後のものであり、全組成物に基づくパーセントである。
【0101】
比較のため、非結晶質触媒が80重量%アルミナ(Versa1(登録商標)300 alumina)及び20重量%(Ultrasil(登録商標) silica)を1/16”シリンダーに押出すことにより生成された。押出物は乾燥され、空気中で538℃でか焼された。か焼された押出物はその後プラチナ及びパラジウム塩により含侵され、120℃で乾燥された。触媒はその後プラチナ及びパラジウム化合物を分解するため空気中で340℃で最終か焼され、か焼後表に示す金属搭載量を示した。
【0102】
完成した触媒の特性は、以下の表1に纏める。酸素化学吸着による測定での金属分散は全ての完成触媒において同様であったが、ベンゼン水素化活性(BHA)指数は、MCM-41孔開口の直径の低減により増大している。BHA試験については更に以下に詳細に述べる。
【表1】

【0103】
触媒調剤に続き、各触媒の効果が、282℃から310℃(540-590°F)の実際のカットを代表するC16-C19炭化水素流を主に含み、水素化により硫黄及び窒素を5ppm未満、及び芳香族を約1.8重量%含む炭化水素原料流を生成することについて評価がなされた。
【0104】
約20ccの各触媒がアップフローミクロ反応器に挿入された。液の流れを均一にするために約15ccの80 − 120メッシュサンド(mesh sand)が加えられた。窒素及び水素による圧力試験の後、触媒は260℃窒素中で約3時間乾燥され、室温に冷却され、約260℃で8時間、100psigの水素中で活性化され、その後同じ水素雰囲気中で150℃まで冷却された。
【0105】
炭化水素流を含む原料が導入され、操業条件が1 LHSV(液空間速度:liquid hourly space velocity of 1 h-1)、350psig, 及び1,000 scfH2/bblに調整された。反応器温度は約10日間の期間に亙り175 から 220℃に上昇させた。水素の純度は100%でありガスのリサイクルは行わなかった。
【0106】
芳香族はUV吸収(ppm)により毎日測定した。非結晶性シリカーアルミナ触媒及び異なるMCM-41材料を用いて作った触媒について、全芳香族量を温度の関数として図1に示す。
【0107】
図2はMCM-41材料についての結果を詳細に示す。図に示す様にMCM-41を用いて生成した触媒はより良い芳香族飽和活性を示し、アルミニウムの量がより多く、孔の開口直径がより小さいMCM-41が芳香族飽和度が最高レベルであった。0.57重量%金属を搭載した触媒は、1.16重量%金属を搭載する触媒と本質的に同じ芳香族飽和活性を示したが、これは驚くべき結果である。
【0108】
実施例5
好ましい芳香族飽和触媒は以下の例で用いられ、約40Åの孔直径を持つMCM-41を65重量%、及びアルミナバインダーを35重量%含む担持体より成る。上に述べた様に、担持体は、0.9重量%パラジウム及び0.3重量%プラチナにより被覆されている。455 − 515 °Fからの蒸留カットを代表するC12-C15炭化水素を含む脂肪族流が試験された。原料Aは市販製品として製造され、まず従来のCoMo触媒上で水素化処理をし、その後460-506°F(238-263℃)の所望の実際のカットに分画し、約2ppmの硫黄及び25重量%芳香族を持つ原料とした。原料Bは市販製品として製造され、原料Aを従来のCoMo触媒上で処理をし、約1ppmの硫黄及び20重量%の芳香族を持つ原料とした。原料Cはパイロットプラントにおいて、原料Aを従来のニッケル触媒上で処理をし、検知可能な量の硫黄は無く、及び約10重量%の芳香族を持つ原料とした。これらの原料はその後好ましいし触媒上で、純粋H2を用いて23バールの全圧で処理をした。その結果は図3に示す。
【0109】
図3は、他の原料を処理することにより熟成された触媒上で原料B及びCを用いて極低量の芳香族を含む炭化水素流を生産し、及び維持する能力を示す。原料Bはhr-1空間速度で処理した場合に10ppmの芳香族を持つ製品を提供し、空間速度を2倍にした場合に芳香族の量が僅かに30ppmまで増加することを示す。原料Aは触媒活性が際立って低下するが、原料Bにより処理することによって活性が大幅に回復して、極めて低い量の芳香族製品を続けて生産することができた。これらの実験は、原料Aにより引起される一時的な不活性化はNiMo 又はNickel上で原料を処理することで除去されることを示す。
【0110】
実施例6
原料Dは主にC16-C19炭化水素を含む流体であり、540-590°Fからの実際のカットを含み、更に2重量%の芳香族を含むもので、実施例5に記載の触媒上で処理された。
【0111】
図4は活性を回復し、芳香族を50ppm未満含む重沸点溶剤(heavy boiling solvent)を生成する能力を示す。
【0112】
実施例7
原料Eは主にC13-C15炭化水素を含む流体であり、480-510 °Fからの実際のカット、更に0.4重量%の芳香族を含むもので、実施例5に記載の触媒上で処理された。ジベンゾチオフェン(dibenzothiophene)がこの原料に加えられ、原料流中の硫黄の、超低量の芳香族炭化水素流製品を生成する能力に対する効果が評価された。
【0113】
表2に示す様に、製品中に検出可能なレベルの硫黄(ASTM D-5453)を含まない超低量芳香族の能力は、原料中に硫黄(表2中で「原料S」として示される量)が存在しても維持される。0.1ppmのSがASTM D-5453による検出試験での検出限界である。
【表2】

【0114】
実施例8
好ましい触媒と従来のニッケルを用いた比較試験を行い、150−156°F (約65-69℃)の実際のカットを含み、更に約20ppm酸素含有物を含むC6が大半を占める異性体原料を用いて酸素含有物の除去状態を評価した。パイロットプラントの運転は各触媒が1.7hr-1のLHSV、温度266°F(約130℃)及び約1000 scf/bblの純粋水素を用いた全圧力が335psigで行った。ニッケル触媒を用いて生産した製品の酸素含有物の含有量は原料の酸素含有物の量と同等であったが、好ましい触媒で生産した製品では検出されなかった。
【0115】
本明細書で報告されているベンゼンー水素化活性指数は以下の方法により決定される。担持体上の活性金属が、ベンゼンー水素化活性(Benzene Hydrogenation Activity (BHA))試験で水素化活性によりスクリーニングされる。触媒サンプル(約0.2g)はまずヘリウム中100℃で1時間乾燥され、その後流動水素中で選択された温度(120−350℃, 公称250℃)で1時間還元される。触媒は水素中で50℃に冷却され、ベンゼンー水素化速度が50, 75, 100, 及び125℃で測定される。水素が200 sccmで流され、そして10℃に保たれたスパージャーを通過させた。データはゼロオーダー アレニウス(Arrhenius)プロットに当て嵌め、100℃での時間当たりのモル金属当りの製品モルの速度定数が報告されている。圧力は大気圧である。
【0116】
微量の酸素含有物は以下の方法により決定された。各サンプルでの酸素含有物は質量選択検出器(mass selective detector (MSD))により同定され、炎イオン化検出器(flame ionization detector(FID))によって数値化された。これらのサンプルに存在する酸素含有物の計量は、FID検出器を用いた10ppm C6アルコール(2メチルーシクロペンタノール)標準に基づいた。この方法の検出下限は1ppmである。この分析に用いた機器のパラメータは以下の通りである。
【0117】
GC#25, HP6890―酸素含有物の同定
カラム:HP-5 (30m x .32mm ID, .25μD df); LowOx (10m, 0.53mm ID, .10 μm df)
射出機:250℃、スプリット(split)He キャリアー、全フロー49.1ml/分、35℃のヘッド圧力22.0psig, 2.0μLサンプル注入
FID検出器:250℃, 40 cc/分 水素, 450 cc/分 エアー; 範囲 0
MSD:SIM モード, ソース温度 230℃, Quad 温度 150℃
炉:初期温度40℃を4分保持、温度を20℃/分の割合で40℃から200℃まで上昇させた。300℃までは5℃/分の割合で上昇させ15分間保持。
【0118】
本発明で報告されている芳香族含有量はUV分光計で260から280nm領域でサンプルのピークの基準吸光度から計算された。吸収係数は、サンプルに特徴的な原料(stocks)からのシリカゲルろ過により分離された芳香族分画法により調整する。係数はまた同様なUV吸収スペクトルを示す既知の芳香族化合物の混合物から推定しても良い。単一のシリカゲルによる調整の試験方法の精度は、報告されている芳香族濃度の約10%の範囲と推定される。この推定は、10%の差のある同じサンプルの二つの調整値に基づくものであり、異なる製造バッチ間のばらつきを説明するものではない。この方法による検出限界は約10ppmである。市場で入手可能なGC質量分析器では、芳香族の検出限界は約0.4ppmまで可能である。
【0119】
本明細書に記載の沸点及び範囲は炭化水素流の特徴に応じて、ASTM D-86 又はASTM D-1078によって決定された。当業者であれば適当なASTMの方法を決定することができるであろう。
【0120】
組成物がある特定の種類を「主に含む」(principally comprising)という場合、他の種類はその特定の種類以上の量が存在しないことを意味する。一以上の種類が記載されている場合(例えば、「主にC16、C17及びC18を含む」)、これらの種類は記載されていないどの種類よりも多く存在する。
【0121】
本発明の開示を了知している当業者であれば、本発明の好ましい実施の形態、及び、より好ましい実施の形態を含み、本明細書に記載の種々の実施の形態は、本発明の目的を達成することと矛盾しない方法により組み合わされ得ることができることを理解すべきである。この様に、例えば、本発明のある実施の形態は、原料流及び製品が同じ沸点範囲を持ち、炭化水素流はそのプロセスでは異性化されず、及び製品は100ppm未満の芳香族を含んでいる炭化水素流を脱芳香族化する方法を含む。
【0122】
本発明の開示を了知している当業者にとっては、他の多くの変形が示唆されるであろう。好ましい実施の形態には、(I)芳香族分子を含む炭化水素流原料流を水素化するプロセスであり、このプロセスは350℃未満で沸騰する、好ましく330℃未満で、より好ましくは315℃未満で沸騰する炭化水素原料流であり、及びC5-C25の炭化水素流、好ましくはC5-C19の炭化水素流を含む前記炭化水素原料流を、効果的な芳香族飽和条件下で運転される反応段階で水素を含む処理気体の存在下(特に、この条件は、約232℃未満の温度で、好ましくは150℃から約232℃未満の範囲の温度、又は上の[0091]に記載の範囲の一つを含む)で接触させることを含み、ここで前記芳香族飽和触媒は、第VIII族の貴金属、及びこれらの混合物から選択される水素化―脱水素化成分を含み無機、多孔性、非積層、結晶性、メソ多孔性担持体材料に支持され、及び担持体材料は少なくともアルミニウム及びシリカを含む枠組みを持ち、及びシリカとアルミニウムの比率が約l0:1 から約100: 1、及び担持体材料の平均孔直径は約15から約100Å未満の範囲であり、及び本プロセスは沸点範囲が少なくとも5℃で、100ppm未満の芳香族を持つ炭化水素流を含む蒸留分画製品を回収することを含み;これは更に以下の一以上の限定により特徴付けられる:この製品の沸点範囲は原料流の沸点範囲と同じであり;この製品は前記原料流から異性化されず;前記製品は前記水素化―脱水素化成分と接触させることによる異性化又は分解に起因する種を検出できず;前記原料は少なくとも500ppmの芳香族含有量を含み、好ましくは芳香族含有量を約1から約20重量%含み;前記製品は500ppm未満の芳香族含有量を含み、好ましくは100ppm未満、より好ましくは50ppm未満、さらにより好ましくは20ppm未満、さらにより好ましくは10ppm未満含み;前記製品は10ppm未満の酸素含有物を含み、好ましくは5ppm未満、より好ましくは1ppm未満、さらにより好ましくは酸素含有物はFIDにより検出されないレベルであるのが良く;前記製品は硫黄がASTM D- 5453により検出されないレベルであり;前記製品は約60-150℃からの蒸留カットであり、及び5から10の炭素原子、好ましくは6−8の炭素原子を持ち;前記製品は約150-315℃からの蒸留カットであり、好ましくは約180-350℃からの蒸留カットであり、沸点範囲は約5から約40℃であり、9から19の炭素原子を持ち、好ましくは10から19の炭素原子を持ち;前記プロセスは更にACN (Atmospheric Crude Naptha)、HVN(Heavy Virgin Naputha)、灯油、ジーゼル油、LGO(Light Gas Oils)、PGO(process Gas Oils)、化学プロセスで生成されるオリゴマー、GTLプロセスに由来する原料流、及びこれらの混合物より選択される第一の原料流を水素化し及び/又は水素化精製するステップを含み、少なくとも5℃の沸点範囲を持ち、少なくとも500ppmの芳香族含有量を持つC5-C19の炭化水素流を含む第二の原料流を得て、そして前記第二の原料流を、効果的な芳香族飽和条件で運転される反応段階において、水素を含む処理気体の存在下で、前記芳香族飽和触媒と接触させ、及び少なくとも5℃の沸点範囲を持ち、100ppm未満の芳香族を含む炭化水素流を含む蒸留分画を回収し;前記効果的な芳香族飽和条件には、水素分圧が1000psig未満、任意選択的に800 psig未満、任意選択的に700psig未満、任意選択的に650psig未満、任意選択的に600psig未満、任意選択的に500psig未満、任意選択的に400psig未満、任意選択的に300psig以下であることを含む、プロセスを含み;また
(II) 本発明のプロセスにより生成された少なくとも5℃の沸点範囲を持つC5-C25の炭化水素流の使用であり、前記プロセスは、半導体の製造、水処理、溶媒抽出、鉱石の抽出、金属圧延、又はポリオレフィン製造での加工助剤、掘削流体の剤形、印刷インク、農業用製剤、又はシリコン封止剤、着色剤、又はこれらの組み合わせを含む組成物;例えば、以下の使用:樹脂、着色剤、及び前記炭化水素流を含む塗料組成物での使用;前記炭化水素流と接触する大豆を含む溶媒抽出プロセス中での使用;炭化水素流、及び殺虫剤、植物成長調整剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも一つの材料を含む農業用製剤での使用、を含み、及びまた
(III)無機、多孔性、非積層、結晶性、約0.10−0.25重量%の Pt 及び約0.30-0.75重量%のPdを組み入れたメソ多孔性MCM-41を含む触媒であり、前記メソ多孔性MCM-41は少なくともアルミニウム及びシリカを含む枠組みを持ち、及びシリカとアルミニウムの比率が約l0:1 から約100: 1、平均孔直径が約15から約100Å未満の範囲であり;又は触媒は以下の特徴を持つ:更にアルミナーシリカバインダーを含み、前記MCM-41はシリカとアルミニウムとの比率が約100:1 から約: l0:1、好ましくは約60:1から約20:1及びより好ましくは約40:1から約20:1であり;前記枠組みは平均孔直径が約15から約50Å未満の範囲であり、好ましくは約20から約40Åである、ことを含み;及びまた(IV)本明細書に記載の組成物、特に本明細書に記載のプロセスにより生成され、又は得られる組成物を含み:本発明のプロセスにより生成されるC9-C25の炭化水素流におけるものであり、これは、ある実施の形態においては、改良点が、前記炭化水素流は100ppm未満の芳香族、ASTM D-5453による硫黄が10ppm未満、及びFIDによる酸素含有物が1ppm未満であることを含み、更に具体的に言えば、前記流体の沸点範囲は5℃から50℃に範囲であり、及び蒸留カット及び芳香族含有量がそれぞれ、(a) 157-207℃及び100ppm未満の芳香族;(b) 196-235℃及び100ppm未満の芳香族;(c) 238-263℃及び100ppm未満の芳香族;及び(d) 282-311℃及び300ppm未満の芳香族よりなる群れから選択され、及び/又はASTM D-5453による硫黄が検出されず、及び炎イオン化検出器(flame ionization detector(FID))による酸素含有物が検出されない特徴を持ち;また組成物は、本発明によるプロセスにより生成された炭化水素流、主にC6(ヘキサン)を含む炭化水素流である特徴があり、更にUV分光計による芳香族含有量が1ppm未満であり、ASTM D-5453による硫黄が検出されないレベルであり、及びFIDによる酸素含有物が検出されない特徴を持ち、及び本発明により生成された、C7(ヘプタン)を主に含む炭化水素流はまた、UV分光計による芳香族含有量が1ppm未満であり、ASTM D-5453による硫黄が検出されないレベルであり、及びFIDによる酸素含有物が検出されない。
【0123】
本明細書で用いる商標名はTM記号またはサークル中のRの記号により表わされ、これらの名称はある商標権により保護されうることもあり、例えば、これらは各裁判管轄地域において商標として登録されていることもある。
【0124】
全ての特許、特許出願、テストの手順(ASTM、UL等の方法の様な)及び本明細書に引用された他の資料は、その開示が本発明と矛盾しない限りにおいて、及びその様な組み入れが許される全ての法体制下において、参照により本明細書に組み入れられる。
【0125】
数値の下限及び数値の上限が記載されている場合は、その全ての数値の下限から全ての数値の上限までの範囲が考慮の対象となっている。
【0126】
本発明の実施例における説明では、特別な例について記載されているが、当業者にとっては、種々の他の修飾が可能であることは明らかであり、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく修飾することが可能であることを理解すべきである。したがって、本出願に添付された特許請求の範囲に記載の発明の範囲は本明細書の実施例及び記載に限定されるべきではなく、特許請求の範囲の記載は、本発明が属する技術分野の専門家により同等であると取扱われる全ての特徴を含み、本発明に含まれている特許可能な全ての新規な特徴を含むものと解すベきである。
【0127】
本発明は多くの実施の形態及び特定の実施例を参照しつつ説明されている。上記の発明の詳細な説明に照らせば、当業者にこれらを変形したものについて示唆を与えるであろう。その様な明らかな変形は、本特許請求の範囲で意図した発明の範囲に属するものである。
【図面の簡単な説明】
【0128】
添付する図面において、幾つかの図を通して同じ参照番号が同じ部分を示すものとして用いられる。
【図1】は、本発明の実施の形態における炭化水素流原料の水素化で実現された芳香族のレベルを従来のプロセスと比較して示すものである。
【図2】は図1の一部拡大図であり、本発明の実施の形態の詳細を示す。
【図3】は、本発明の実施の形態における種々の炭化水素流原料の脱芳香族化を示す。
【図4】は、本発明の実施の形態における種々の炭化水素流原料の脱芳香族化を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族分子を含む炭化水素流原料流を水素化するプロセスであり、前記プロセスは:
350℃未満で沸騰する前記炭化水素原料流であって、及びC5-C25の炭化水素流を含む前記炭化水素原料流を、効果的な芳香族飽和条件下で運転される反応段階で水素を含む処理気体の存在下で接触させることを含み、前記芳香族飽和触媒は、第VIII族の貴金属、及びこれらの混合物から選択される水素化―脱水素化成分を含み、無機、多孔性、非積層、結晶性、メソ多孔性担持体材料に支持され、前記担持体材料は少なくともアルミニウム及びシリカを含む枠組みを持ち、及びシリカとアルミニウムの比率が約l0:1 から約100: 1、及び担持体材料の平均孔直径は約15から約100Å未満の範囲であり、及び沸点範囲が少なくとも5℃で、500ppm未満の芳香族を持つ炭化水素流を含む蒸留分画製品を回収することを含む、前記プロセス。
【請求項2】
前記効果的な芳香族飽和条件が約232℃未満の温度であることを含む請求項1のプロセス。
【請求項3】
前記製品の沸点範囲は前記原料流の沸点範囲と同じである請求項1または2のプロセス。
【請求項4】
前記製品が前記原料流から異性化さない請求項1乃至3のいずれか1項のプロセス。
【請求項5】
前記製品が、前記水素化―脱水素化成分と接触することによる異性化又は分解に起因する種を検出できる程度に含まない、請求項1乃至4のいずれか1項のプロセス。
【請求項6】
前記原料は少なくとも500ppmの芳香族含有量を含む、請求項1乃至5のいずれか1項のプロセス。
【請求項7】
前記原料が約500ppm及び約20重量%の間の芳香族含有量を含む、請求項1乃至6のいずれか1項のプロセス。
【請求項8】
前記原料が約1重量%及び約20重量%の間の芳香族含有量を含む、請求項1乃至5のいずれか1項のプロセス。
【請求項9】
前記製品が約100ppm未満の芳香族含有量を含む、請求項1乃至8のいずれか1項のプロセス。
【請求項10】
前記製品が約50ppm未満の芳香族含有量を含む、請求項1乃至8のいずれか1項のプロセス。
【請求項11】
前記製品が約10ppm未満の芳香族含有量を含む、請求項1乃至8のいずれか1項のプロセス。
【請求項12】
前記製品が10ppm未満の酸素含有物を含む、請求項1乃至11のいずれか1項のプロセス。
【請求項13】
前記製品が5ppm未満の酸素含有物を含む、請求項1乃至11のいずれか1項のプロセス。
【請求項14】
前記製品がFIDにより検出されるレベルの酸素含有物を含まない、請求項1乃至11のいずれか1項のプロセス。
【請求項15】
前記製品がASTM D- 5453により検出されるレベルの硫黄を含まない、請求項1乃至14のいずれか1項のプロセス。
【請求項16】
前記製品が約60-150℃からの蒸留カットであり、及び5から10の炭素原子を持つ、請求項1乃至15のいずれか1項のプロセス。
【請求項17】
前記製品が6−8の炭素原子を持つ、請求項16のプロセス。
【請求項18】
前記製品が約150-315℃からの蒸留カットであり、沸点範囲は約5から約40℃を持ち、9から19の炭素原子を持つ請求項1乃至15のいずれか1項のプロセス。
【請求項19】
前記プロセスが更に、ACN (Atmospheric Crude Naptha)、HVN(Heavy Virgin Naputha)、灯油、ジーゼル油、LGO(Light Gas Oils)、PGO(Process Gas Oils)、化学プロセスで生成されるオリゴマー、GTLプロセスに由来する原料流、及びこれらの混合物より選択される第一の原料流を水素化し及び/又は水素化精製するステップを含み、少なくとも5℃の沸点範囲を持ち、少なくとも500ppmの芳香族含有量を持つC5-C19の炭化水素流を含む第二の原料流を得て、そして前記第二の原料流を、効果的な芳香族飽和条件で運転される反応段階において、水素を含む処理気体の存在下で、前記芳香族飽和触媒と接触させ、及び少なくとも5℃の沸点範囲を持ち、100ppm未満の芳香族を含む炭化水素流を含む蒸留分画を回収することを含む、請求項1乃至5、7及び10乃至18のいずれか1項のプロセス。
【請求項20】
前記効果的な芳香族飽和条件が、水素分圧が約1000psig未満、及び温度が約232℃未満であることを含む、請求項1乃至19のいずれか1項のプロセス。
【請求項21】
前記効果的な芳香族飽和条件が、水素分圧が約300psigから約1000psigであることを含む、請求項1乃至20のいずれか1項のプロセス。
【請求項22】
前記効果的な芳香族飽和条件が、約150℃から約300℃の温度であることを含む、請求項1、3乃至19及び21のいずれか1項のプロセス。
【請求項23】
前記効果的な芳香族飽和条件が、水素分圧が約300psigから約1000psigであり、温度が約150℃から約250℃であることを含む、請求項1、3乃至19、及び21のいずれか1項のプロセス。
【請求項24】
前記効果的な芳香族飽和条件が約150℃から約232℃の温度であることを含む、請求項23のプロセス。
【請求項25】
前記効果的な芳香族飽和条件が、水素分圧が約300psigから約1000psigであり、処理速度が約500-2000scf/bbl供給量、及び約0.5 から 5.0 hr-1の空間速度であることを含む請求項1乃至24のいずれか1項のプロセス。
【請求項26】
前記芳香族飽和触媒が、水素化ー脱水素化成分を含み、前記成分は、本質的に無機、多孔性、非積層、結晶性、約0.10−0.25重量%の Pt 及び約0.30-0.75重量%のPdを組み入れたメソ多孔性MCM-41よりなり、前記メソ多孔性MCM-41は少なくともアルミニウム及びシリカを含む枠組みの特徴を持ち、及びシリカとアルミニウムの比率が約l0:1 から約100: 1、平均孔直径が約15から約100Å未満である、請求項1乃至25のいずれか1項のプロセス。
【請求項27】
前記Pt及びPdの重量比率(Pt/Pd)が約1/2から約1/4の範囲である請求項26のプロセス。
【請求項28】
炭化水素流を供給し、添加し、又は混合するステップを含むプロセスであって、前記請求項1のプロセスにより生成された、少なくとも5℃の沸点範囲を持つC5-C25の炭化水素流から選択された炭化水素流を含む改良されたプロセス。
【請求項29】
前記プロセスが、半導体の製造、水処理、溶媒抽出、鉱石の抽出、金属圧延、又はポリオレフィン製造プロセスから選択される、請求項28のプロセス。
【請求項30】
製剤が、印刷インク、農業用製剤、又はシリコン封止剤組成物及び、着色剤を含む組成物から選択される、請求項28のプロセスにより生成される製剤。
【請求項31】
樹脂、着色剤、及び前記炭化水素流を含む請求項30の組成物。
【請求項32】
前記プロセスが大豆を前記炭化水素流と接触させることを含む
請求項28の溶媒抽出プロセス。
【請求項33】
前記炭化水素流、並びに殺虫剤、植物成長調整剤、及びこれらの混合物から選択される少なくとも一つの材料を含む請求項30の農業用製剤。
【請求項34】
無機、多孔性、非積層、結晶性、約0.10−0.25重量%の Pt 及び約0.30-0.75重量%のPdを組み入れたメソ多孔性MCM-41を含む触媒であり、前記メソ多孔性MCM-41は少なくともアルミニウム及びシリカを含む枠組みの特徴を持ち、及びシリカとアルミニウムの比率が約l0:1 から約100: 1、平均孔直径が約15から約100Å未満の範囲である前記触媒。
【請求項35】
更にアルミナーシリカバインダーを含む請求項34の触媒。
【請求項36】
前記MCM-41が、シリカとアルミニウムとの比率が約100:1 から約: l0:1である請求項34の触媒。
【請求項37】
前記MCM-41が、シリカとアルミニウムとの比率が約60:1から約20:1である請求項34の触媒。
【請求項38】
前記MCM-41が、シリカとアルミニウムとの比率が約40:1から約20:1である請求項34の触媒。
【請求項39】
前記枠組みは平均孔直径が約15から約50Åである、請求項34の触媒。
【請求項40】
前記枠組みは平均孔直径が約20から約40Åである、請求項34の触媒。
【請求項41】
前記Pt及びPdの重量比率(Pt/Pd)が約1/2から約1/4の範囲である請求項34の触媒。
【請求項42】
少なくとも5℃の沸点範囲を持ち、100ppm未満の芳香族を含む炭化水素流を含む蒸留分画製品を回収するために、前記触媒は、炭化水素原料流であって少なくとも1重量%の芳香族を含み、及び効果的な芳香族飽和条件で運転される反応段階において、水素を含む処理気体の存在下で、350℃未満で沸騰する特徴を持つ炭化水素原料流、を水素化することのできる触媒であって、及び前記条件は約232℃未満の温度を含む、請求項41の触媒。
【請求項43】
450℃未満の温度を含む効果的な芳香族飽和条件で運転される反応段階において、水素を含む処理気体の存在下で、350℃未満で沸騰するC5−C25炭化水素原料流を請求項34の水素化ー脱水素化触媒に接触させることを含む水素化プロセスであって、更に前記原料流が芳香族分子を含む特徴を持ち、及び前記原料流と比較した場合芳香族分子の含有量が減少している製品を回収することを含む前記プロセス。
【請求項44】
請求項1乃至8、及び19乃至27のいずれか1項のプロセスにより生成されるC9-C25の炭化水素流であって、前記炭化水素流は100ppm未満の芳香族、ASTM D-5453による硫黄が10ppm未満、及びFIDによる酸素含有物が1ppm未満であることを含む、改良された炭化水素流。
【請求項45】
請求項44の炭化水素流であって、前記流体の沸点範囲が約5℃からが約50℃の範囲であり、及び蒸留カット及び芳香族含有量がそれぞれ(a) 157-207℃及び100ppm未満の芳香族;(b) 196-235℃及び100ppm未満の芳香族;(c) 238-263℃及び100ppm未満の芳香族;及び(d) 282-311℃及び300ppm未満の芳香族、よりなる群れから選択される、前記炭化水素流。
【請求項46】
請求項44又は45の炭化水素流であった、ASTM D-5453により検出されるレベルの硫黄を含まず、及び炎イオン化検出器(flame ionization detector(FID))による酸素含有物が検出されない、炭化水素流。
【請求項47】
請求項1又は2のプロセスにより生成されたヘキサンを主に含む炭化水素流であり、更にUV分光計による芳香族含有量が1ppm未満であり、ASTM D-5453による硫黄が検出されないレベルであり、及びFIDによる酸素含有物が検出されない、前記炭化水素流。
【請求項48】
請求項1又は2のプロセスにより生成されたヘキサンを主に含む炭化水素流であり、更にASTM D-5453による硫黄が検出されないレベルであり、及びFIDによる酸素含有物が検出されない前記炭化水素流。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2008−527140(P2008−527140A)
【公表日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−551265(P2007−551265)
【出願日】平成17年12月19日(2005.12.19)
【国際出願番号】PCT/US2005/045918
【国際公開番号】WO2006/078389
【国際公開日】平成18年7月27日(2006.7.27)
【出願人】(599134676)エクソンモービル・ケミカル・パテンツ・インク (301)
【Fターム(参考)】