超音波プローブ及び超音波診断装置
【課題】感度改善のために、共振コイルを挿入することにより信号の損失を軽減する超音波プローブ及びこれを具備する超音波診断装置を提供すること。
【解決手段】超音波診断装置の本体に電気的に接続される超音波プローブ、及びこれを具備する超音波新案装置であって、前記超音波診断装置の本体から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための第1の共振コイルを有する第1の共振手段と、を具備するものである。
【解決手段】超音波診断装置の本体に電気的に接続される超音波プローブ、及びこれを具備する超音波新案装置であって、前記超音波診断装置の本体から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための第1の共振コイルを有する第1の共振手段と、を具備するものである。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感度改善のために、共振コイルを挿入することにより信号の損失を軽減する超音波プローブ及びこれを具備する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。この他、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断において用いられる超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
この様な超音波診断に用いられる超音波診断装置において、超音波プローブの超音波振動子内部の虚数部による損失を軽減させるための技術が従来からいくつか提案されている。例えば、第1の手法として、超音波振動子にインピーダンス変換器を接続し、高入力インピーダンスで受信する場合に、超音波振動子とインピーダンス変換器の間に並列共振コイルを設けることにより振動子内部の虚数部による損失を軽減するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、第2の手法として、受信時において有効になる並列共振コイルを設けるものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−57524号公報
【特許文献2】特開平7−327992号公報
【特許文献3】特開2006−51239号公報
【特許文献4】特開2004−57524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の手法により超音波プローブの超音波振動子内部の虚数部による損失を軽減させようとすると、例えば次の様な問題がある。第1の手法では、超音波振動子に近接して電力を消費する回路を設ける。このため、超音波プローブの発熱の制約で送信パワーが制限される場合がある。また、超音波プローブ先端部分のサイズがコイルだけの場合より大きくなる。このとき、インピーダンス変換器をケーブルより本体側に移動すると、並列共振コイルの損失低減効果が劣化することになる。また、第2の手法では、複数の共振コイルを持ち、切り替える手段が提供されていないので、超音波の送受信周波数により使用できない場合がある。 また、主にケーブル、回路の並列容量と並列共振コイルによる並列共振で虚数部のインピーダンスを高めることで損失を軽減する狙いで、振動子内部の虚数部による信号源インピーダンスが高くなることに依存する損失は改善できない。
すなわち、従来の技術では、信号源の超音波振動子、プリアンプまでの受信信号の伝送系の損失を十分に軽減できず、プリアンプ入力端でプリアンプのNF(ノイズフィギャー)を劣化させていた。また、超音波診断装置に要求される周波数帯域で十分な、損失軽減効果が得られなかった。
【0006】
また、第1、第2の手法に代表される従来技術を感度改善するための技術も開示されている。
【0007】
図20は、感度改善の第1の例である。超音波プローブと超音波診断装置内部のプリアンプとの間に直列又は並列に共振コイルを設けている。同図に示すように、超音波振動子からプリアンプまでの伝送系の損失の主要因であるケーブルやパターンの容量と共振コイルとで共振回路を構成することにより、インピーダンスをコントロールして、伝送系の損失を改善する。この例は、感度改善を比較的容易に実現でき、操作者が持つ超音波プローブヘッド部分に新規構成部品を追加する必要が無いので操作性を阻害する要素はない。しかしながら、感度改善効果に限界がある。
【0008】
図21は、感度改善の第2の例である(特許文献3参照)。第1例と同じく、超音波プローブと超音波診断装置内部のプリアンプとの間に共振コイルを設けている。この例では、超音波振動子からプリアンプまでの伝送系の損失の主要因であるケーブルやパターンの容量と共振コイルとで共振回路を構成することにより、インピーダンスをコントロールして、伝送系の損失を改善する。上記第1例と比較した場合、共振コイルの値を可変にすることで、感度改善の効果を広帯域の周波数範囲で有効にできる。
図22は、感度改善の第3例を示している(特許文献4参照)。この例では、超音波振動子から見た負荷と超音波振動子の信号減インピーダンスによる分圧の損失を軽減するために、超音波振動子出力にバッファアンプ等の入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスの低いインピーダンス変換器を設けている。また、バッファアンプの前段に並列共振コイルを設けることにより、超音波振動子の虚数部を共振により低減して、損失低減が可能となる。さらに、操作者が手に持つ、プローブ先端部分にアクティブ回路を設ける、振動子から見た負荷インピーダンスが高くなる、という点で以下の問題点が考えられる。第1に、回路の発熱が振動子に伝播されるだけ、振動子表面の発熱が増加し、結果的に送信パワーを下げなければならない。これは送信の感度低下につながる。第2に、回路の発熱により操作者が持つグリップ部分の温度が上がる。例え温度の制約、安全性を守ったとしても、不快感が残る。第3に、プローブ先端にアクティブ素子を追加する分だけ、先端の体積が増加し、持ち易さを阻害し、重量増加により疲れやすくなり、操作性が低下する。第4に、振動子から見た負荷のインピーダンスが高くなると、振動子面で音響エネルギーの吸収量が下がるために、電気的に取り出す振動子の音響エネルギー量が減少する方向になる。これは、相対的に振動子表面で受信エコーを反射しやすくなる。 これは、例えば、体表から超音波を送受信したときに、振動子表面と体表の筋肉、脂肪、表皮の層構造により多重反射が発生しやすくなる。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、従来に比して信号の損失を軽減することができる超音波プローブ及びこれを具備する超音波診断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0011】
請求項1に記載の発明は、超音波診断装置の本体に電気的に接続される超音波プローブであって、前記超音波診断装置の本体から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための少なくとも一つの第1の共振コイルを有する共振手段と、を具備することを特徴とする超音波プローブである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための少なくとも一つの第1の共振コイルを有する第1の共振手段と、を有する超音波プローブと、前記駆動信号を供給する信号供給手段と、前記エコー信号を増幅する増幅手段と、前記増幅されたエコー信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
請求項14に記載の発明は、供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、前記駆動信号を供給する信号供給手段と、前記エコー信号を増幅する増幅手段と、前記超音波プローブと前記増幅手段との間に直列接続され、前記複数の超音波振動子と段と前記増幅手段との間の並列容量による信号損失を改善する少なくとも一つの共振コイルを有する共振手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0014】
以上本発明によれば、従来に比して信号の損失を軽減することができる超音波プローブ及びこれを具備する超音波診断装置を実現することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、各超音波振動子毎に設けられる共振ユニット120を説明するための図である。
【図3】図3は、本実施形態の変形例1を説明するための図である。
【図4】図4は、本実施形態の変形例2を説明するための図である。
【図5】図5は、本実施形態の変形例3を説明するための図である。
【図6】図6は、本実施形態の変形例4を説明するための図である。
【図7】図7は、本実施形態の変形例5を説明するための図である。
【図8】図8は、本実施形態の変形例6を説明するための図である。
【図9】図9は、本実施形態の変形例7を説明するための図である。
【図10】図10は、本実施形態の変形例8を説明するための図である。
【図11】図11は、本実施形態の変形例9を説明するための図である。
【図12】図12は、本実施形態の変形例9を説明するための図である。
【図13】図13は、本実施形態の変形例10を説明するための図である。
【図14】図14は、本実施形態の変形例10を説明するための図である。
【図15】図15は、本実施形態の変形例11を説明するための図である。
【図16】図16は、本実施形態の変形例11を説明するための図である。
【図17】図17は、本実施形態の変形例12を説明するための図である。
【図18】図18は、本実施形態に係る超音波診断装置の効果を説明するための図である。
【図19】図19は、本実施形態に係る超音波診断装置の効果を説明するための図である。
【図20】図20は、従来技術を説明するための図である。
【図21】図21は、従来技術を説明するための図である。
【図22】図22は、従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態及び第2実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0017】
以下、本発明の第1実施形態乃至第3実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置11は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、ボリュームデータ生成ユニット26、画像合成ユニット27、制御プロセッサ(CPU)28、揺動走査条件決定ユニット29、内部記憶部29、インターフェース部30を具備している。また、超音波診断装置1には、被検体の心電波形(ECG波形)を取得するECG波形取得ユニット40が接続されている。以下、超音波診断装置1の個々の構成要素の機能について説明する。
【0019】
超音波プローブ12は、超音波送受信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0020】
また、本超音波装置が具備する超音波プローブ12には、共振により受信信号の損失を軽減させるための第1の共振ユニット120を必要に応じて設けられる。当該第1の共振ユニット120の構成については、後で詳しく説明する。
【0021】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0022】
モニター14は、画像生成ユニット25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報(通常のBモード画像)、血流情報(平均速度画像、分散画像、パワー画像等)等を所定の形態で表示する。
【0023】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0024】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0025】
また、超音波受信ユニット22には、共振により受信信号の損失を軽減させるための第2の共振ユニット130を必要に応じて設けられる。当該第2の共振ユニット130の構成については、後で詳しく説明する。
【0026】
Bモード処理ユニット23は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成ユニット25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。
【0027】
ドプラ処理ユニット24は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0028】
画像生成ユニット25は、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、ボリュームデータ生成ユニット26から受け取ったデータを用いて、超音波画像を生成する。
【0029】
画像メモリ(シネメモリ)26は、例えばフリーズする直前の複数フレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。この画像メモリ26に記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。
【0030】
画像合成ユニット27は、画像生成ユニット25から受け取った画像を種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号としてモニター14に出力する。
【0031】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。また、制御プロセッサ28は、所定のスキャンシーケンスを実行するための制御プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。さらに、制御プロセッサ28は、後述する第1の共振ユニット120、第2の共振ユニット130が有するスイッチのON/OFF制御を必要に応じて実行する。
【0032】
内部記憶部29は、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラム、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像生成ユニット25、画像合成ユニット27中の画像の保管などにも使用される。内部記憶部29のデータは、インターフェース部30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0033】
インターフェース部30は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェース部30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0034】
(共振ユニット)
次に、本超音波診断装置1が有する共振ユニットの構成について、詳しく説明する。
【0035】
図2は、本超音波プローブ12の各超音波振動子毎に設けられる第1の共振ユニット120を説明するための図である。なお、同図においては、超音波プローブ12の各超音波振動子121を等価回路121により、超音波受信ユニット22のプリアンプを等価回路221により、それぞれ模式的に示してある。
【0036】
図2において、共振ユニット120は、対応する超音波振動子(すなわち、等価回路121)に直列接続された共振コイル120aを有している。この共振コイル120aは、超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振する(超音波振動子内部の合成インピーダンスの複素成分が0(ゼロ)になる)ものである。すなわち、共振コイル120aは、超音波振動子の内部抵抗Rs、内部容量Cs、供給される電流の周波数ωから、超音波振動子内部の合成インピーダンスの複素成分が0になるようなインダクタンスLshを有するものである。
【0037】
この様な構成によれば、超音波プローブ12のヘッド部分にアクティブ素子がないので、無駄な発熱による送信パワーの制約が発生しない。また、共振コイル120aと、超音波振動子の内部容量Csとが直列共振することで低インピーダンスになり、超音波振動子の内部抵抗Rsを信号源として、少ない損失で反射波を受信し或いは超音波を送信することができる。
【0038】
(変形例1)
図3は、本実施形態の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る超音波プローブ12の共振ユニット120は、共振コイル120aと並列接続されたスイッチSaをさらに具備している。スイッチSaは、反射波の受信時にOFF状態となって、共振コイル120aを動作(直列共振)させると共に、超音波送信時にON状態となって送信高圧信号をバイパスさせ、送信パルスに対して共振コイル120aが共振しないように、制御ユニット28からの制御信号によってされる。この様なスイッチ制御により、受信時のみ共振コイルによる直列共振を発生させることができる。
【0039】
(変形例2)
図4は、本実施形態の他の変形例を説明するための図であり、スイッチS1の他の例を示している。同図に示すように、送信高圧信号を共振コイル120aに対してバイパスさせるスイッチSaを、両極性に接続したダイオードで構成したものである。この様なスイッチSaによれば、大振幅となる送信高圧信号に対して、ダイオードD1、D2がONする。このため、共振コイル120aの両端はショートされ、共振コイル120aは動作しない。
【0040】
また、受信時においては、供給される信号がダイオードD1、D2のVfより小さい振幅であれば、ダイオードはOFF状態となるため、共振コイル120aは動作することになる。このとき、 コイルは受信信号に対してだけ、動作すればよいので、小型コイルを使用することで、超音波プローブ12を小型化することができる。
【0041】
(変形例3)
図5は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、共振ユニット120は、超音波振動子121に対して直列に接続された共振コイル120aと、共振コイル120aに対して並列接続された共振コイル120b及び共振コイル120cと、共振コイル120bに直列接続されたスイッチSbと、共振コイル120cに直列接続されたスイッチScとを有している。
【0042】
制御ユニット28は、スイッチSb、スイッチScを必要に応じて制御する。このスイッチSb、スイッチScの開閉の組み合わせにより、共振コイル120aの単独、共振コイル120aと共振コイル120bとの並列接続、共振コイル120aに対して並列接続された共振コイル120cとの並列接続、共振コイル120aと共振コイル120bと共振コイル120cとの並列接続による合計4種類の可変インダクタンスを実現することができる。
【0043】
(変形例4)
図6は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、共振ユニット120は、変形例1−3に示した構成に加えて、共振コイル120a(及び共振コイル120b、共振コイル120c)に対して並列接続され、両極性に接続したダイオードで形成されたスイッチSdをさらに具備するものである。この様なスイッチSdによれば、大振幅となる送信高圧信号に対して、ダイオードD1、D2がONする。このため、スイッチSb、ScをON状態にすれば、共振コイル120aの両端はショートされ、共振コイル120aは動作しない。
【0044】
また、受信時においては、供給される信号がダイオードD1、D2のVfより小さい振幅であれば、ダイオードはOFF状態となる。このため、共振コイル120a、或いはスイッチSb、Scを適切に制御することで、共振コイル120b、共振コイル120cはそれぞれ動作することになる。
【0045】
(変形例5)
次に、本実施形態の変形例5について説明する。本変形例に係る超音波診断装置は、超音波プローブ12から超音波診断装置本体の受信ユニット22内部にもつプリアンプ入力までの間の信号損失を改善するための共振コイル130(以下、第2の共振ユニット130と呼ぶ)を具備するものである。なお、当該第2の共振ユニット130は、単独で、或いは、第1の実施形態に示した、超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振する共振ユニット(以下、「第1の共振ユニット」と呼ぶ)と共に使用することができる。
【0046】
図7は、本超音波診断装置1のチャンネル毎に設けられる第2の共振ユニット130を説明するための図である。同図に示すように、本超音波診断装置1は、プリアンプ221の超音波プローブ12接続側において、第2の共振ユニット130を具備している。この第2の共振ユニット130は、プリアンプ221に対して並列接続された第1の共振コイル130a、第2の共振コイル130b、第3の共振コイル130cと、第2の共振コイル130bに直列接続されたスイッチSb、第3の共振コイル130cに直列接続されたスイッチScを有している。
【0047】
第1、第2、第3の共振コイル130a、130b、130cは、超音波診断装置本体の内部にもつプリアンプ221入力までの間の並列容量による信号損失を、プリアンプ221内の部のインピーダンスの虚数部と直列共振する(プリアンプ221内部の合成インピーダンスの複素成分が0(ゼロ)になる)ものである。
【0048】
また、制御ユニット28は、スイッチSb、スイッチScを必要に応じて制御する。このスイッチSb、スイッチScの開閉の組み合わせにより、第1の共振コイル130a1の単独、第1の共振コイル130bと第2の共振コイル130bとの並列接続、第1の共振コイル130aに対して並列接続された第3の共振コイル130c3との並列接続、第1の共振コイル130aと第2の共振コイル130bと第3の共振コイル130cとの並列接続による合計4種類の可変インダクタンスを実現することができる。
【0049】
(変形例6)
次に、本実施形態の変形例について説明する。本変形例では、プリアンプ221の入力インピーダンスが非常に小さい場合への適用例である。
【0050】
一般に、プリアンプ221の入力インピーダンスが非常に小さい電流急力アンプの場合、並列容量の影響は小さくなる。しかし、伝送系の損失は完全に無視できないため、共振により損失低減は有効である。今の場合、並列共振は、両端をプリアンプの入力インピーダンスで短絡されるので効果が無い。そこで、本変形例では、第2の共振ユニット130を、低入力インピーダンスのプリアンプ221のエコー信号入力側(すなわち、超音波プローブ12との接続側)に接続することにより、超音波振動子121からプリアンプ入力までの並列容量による信号の減衰を改善するものである。
【0051】
図8は、本実施形態の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る第2の共振ユニット130は、チャンネル毎にプリアンプ221に直列接続された共振コイル130aを有している。共振コイル130aは、超音波振動子121からプリアンプ入力までの並列容量、内部抵抗から、超音波振動子121からプリアンプ入力までのインピーダンスの複素成分が0になるようなインダクタンスLspを有する。この様な共振コイル130aにより直列共振を発生させ、超音波振動子121からプリアンプ入力までの並列容量による信号の減衰を改善する。
【0052】
(変形例7)
図9は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る超音波プローブ12の第2の共振ユニット130は、プリアンプ221のエコー信号入力側に接続された共振コイル130aを、送信波形の高電圧からプリアンプを保護する電圧制限回路220よりもプリアンプ221側に配置している。この様に、電圧制限回路220とプリアンプ221との間に共振コイル130aを接続することで、所定の値以上の高圧信号に対して共振コイル130aが共振しないように制御することができる。
【0053】
(変形例8)
図10は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る第2の共振ユニット130は、プリアンプ221の入力側に接続された共振コイルの値を可変する手段を有している。すなわち、第2の共振ユニット130は、プリアンプ221の入力側に直列接続された共振コイル130a、共振コイル130b、共振コイル130cと、共振コイル130aに並列接続されたスイッチSsaと、共振コイル130bに並列接続されたスイッチSsbと、共振コイル1d0cに並列接続されたスイッチSscとを有している。
【0054】
制御ユニット28は、スイッチSsa、スイッチSsb、スイッチSscを必要に応じて制御する。これらのスイッチの開閉の組み合わせにより、共振コイル130a、130b、130cのそれぞれの単独、共振コイル120aと共振コイル130bとの直列接続、共振コイル130aと共振コイル130cとの直列接続、共振コイル130bと共振コイル130cとの直列接続、共振コイル130a、共振コイル130b、共振コイル130c全ての直列接続による合計7種類の可変インダクタンスを実現することができる。
【0055】
(変形例9)
図11は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る超音波プローブ12の第2の共振ユニット130は、プリアンプ221のエコー信号入力側に接続された共振コイル130a、130b、130cを、送信波形の高電圧からプリアンプを保護する電圧制限回路220よりもプリアンプ221側に配置している。この様に、電圧制限回路220とプリアンプ221との間に共振コイル130a、130b、130cを接続することで、所定の値以上の高圧信号に対して各コイルが共振しないように制御することができる。
【0056】
また、図12に示すように、スイッチSsa、スイッチSsb、スイッチSscをスイッチ素子Q1、Q2、Q3によって構成するようにしてもよい。プリアンプ221の入力側に直列接続されたコンデンサCccは、スイッチ素子Q1、Q2、Q3のバイアスによるDC電圧がプリアンプ221の入力に印加されるのを阻止するAC結合コンデンサである。このコンデンサは、プリアンプ221に直接DC電圧を印加することができる場合には、削除できる。また、結合コンデンサCccと第2の共振ユニット130との間には、スイッチ素子Q1、Q2、Q3のバイアス用抵抗Rbias、バイアス用コイルLbiasが並列接続されている。バイアス用コイルLbiasは、信号ライン(Ccc端)にDCバイアス電圧が高くならない様にDC付近で低インピーダンスに保つためのものである。バイアス用抵抗Rbiasは、バイアス用コイルLbiasによる共振のダンピング効果を持たせ、不要な共振を避けるためのものである。
【0057】
なお、図12のスイッチ素子Q1、Q2、Q3はあくまでも一例であり、FETスイッチ、メカニカルリレースイッチ等、各共振コイル130a、130b、130cの両端を短絡できる機能をもつものであれば使用することができる。
【0058】
(変形例10)
本変形例は、超音波プローブ12側において設けられる第1の共振ユニット120と、超音波診断装置本体11側において設けられる第2の共振ユニット130とを組み合わせるものである。
【0059】
図13は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、超音波プローブ12側においては、超音波振動子121に対して第1の共振ユニット120(例えば、共振コイル120aを有するもの)を直列接続し、装置本体11側においては、プリアンプ221の入力側に第2の共振ユニット130(例えば、直列接続された第1の共振コイル130a、第2の共振コイル130b、第3の共振コイル130cと、各コイルに並列接続されたスイッチ素子Q1、Q2、Q3を持つもの)を直列接続する。これにより、超音波振動子121の内部容量Csによる損失と、ケーブルや回路の浮遊容量(パターン容量、回路部品の容量)による損失を改善することができる。
【0060】
また、図14に示すように、超音波プローブ12側においては、超音波振動子121に対して第1の共振ユニット120(例えば、共振コイル120aを有するもの)を直列接続し、装置本体11側においては、プリアンプ221の入力側に第2の共振ユニット130(例えば、並列接続された第1の共振コイル130a、第2の共振コイル130b、第3の共振コイル130cと、各コイルに直列接続されたスイッチ素子Q1、Q2、Q3を持つもの)を接続する。これにより、超音波振動子121の内部容量Csによる損失と、ケーブルや回路の浮遊容量による損失を改善することができる。
【0061】
(変形例11)
図15は、本実施形態の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る超音波プローブ12の第2の共振ユニット130は、プリアンプ221の入力側に直列接続された共振コイル130aを送信波形が通過する経路に設け、当該共振コイル130aの両端を短絡するスイッチSaを持つことにより、送信波形をバイパスさせる。このスイッチのON/OFFは、制御ユニット28からの制御信号に従って制御される。
【0062】
送信波形が通過する場合、コイルのサイズを大きくする必要がある。一方で、送信電圧は生体に安全な超音波パワーの上限で制約を受け、直列共振の効果は小さい。そこで、本変形例では、共振コイル130aと当該両端を短絡するスイッチSaとを設け、送信時にスイッチSaをONさせ受信時にOFFさせることにより、受信だけに有効な直列共振を実現する。
【0063】
なお、スイッチSaは、例えば図16に示すように両極性に接続したダイオードを用いるようにしてもよい。
【0064】
(変形例12)
図17は、本実施形態の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る第2の共振ユニット130は、直列接続される第1の共振コイル130a、第2の共振コイル130b、第3の共振コイル130cと、各共振コイルに並列接続されたスイッチ素子Q1、Q2、Q3と、第1、第2、第3の共振コイル130a、130b、130cの両端を短絡するスイッチ素子S0と、高圧送信パルスからスイッチ素子Q1、Q2、Q3のトランジスタを保護するために各スイッチ素子Q1、Q2、Q3に対応して設けられたダイオードDb1、Db2、Db3と、を有している。
【0065】
この様な構成において、送信ユニット21から高圧の送信パルスが印加されると、スイッチ素子Q1、Q2、Q3のベース、エミッタ間に高圧が印加され、ダイオードDb1、Db2、Db3はON状態となる。これにより、送信時に発生する高電圧は抵抗Rb1、Rb2、Rb3に印加され、トランジスタは保護される。また、逆極性の波形に対しては、スイッチ素子Q1、Q2、Q3のベース、エミッタ間のダイオード特性で電圧が制限され、同様に送信時の高電圧は抵抗Rb1、Rb2、Rb3に印加されることになる。従って、高圧の送信パルスによるスイッチ素子Q1、Q2、Q3の破壊を防ぐことができる。
【0066】
(効果)
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0067】
本超音波診断装置によれば、超音波受信時においてのみ共振する共振コイルを超音波振動子端に設けているので、超音波振動子内部の虚数部による信号の損失を含む、伝送系の損失を共振の組合せにより軽減することができる。さらに、この共振コイルを、超音波振動子とプリアンプとの間に設けることで、主にケーブルや回路の並列容量による損失も軽減することができる。
【0068】
また、受信系の損失を軽減することで、同じ受信感度を得るために、プリアンプのNF(ノイズフィギュア)を大きく改善する必要が無く、プリアンプの性能を無理に高める必要が無くなる。さらに、受信系にのみ適用し送信エネルギーを考慮しないため、小型のコイルを使用でき、装置を大型化することなく信号損失を実現することができる。
【0069】
図18は、本超音波診断装置の効果を確認するための、共振ユニット120を具備するシミュレーション回路の一例である。また、図19は、図18に示した回路を用いたシミュレーション結果を示すグラフである。図19の縦軸は、図18の回路における入力換算のノイズを示している。従って、ノイズレベルが小さいほど受信感度がよいことになる。第1の共振ユニット120(すなわち、共振コイルL1)が存在しない(L1=0uH)の場合に対して、L1とCx1の直列共振により、共振点付近でCx1、L1のインピーダンスが下がり、信号源のインピーダンスはRx1に近づく。この様に、超音波振動子端に共振コイルを挿入すると、特定の周波数で入力換算のノイズレベルを小さくすることができるため、不要な直列のインピーダンスが減少し、損失を軽減させることができる。一方、L2の位置に共振コイルを置くと、ケーブル等の並列容量と共振してしまうので、Cx1の損失軽減は困難になる。
【0070】
また、共振コイルL1の共振で、ケーブルの並列容量、回路の並列容量Ctraceによる損失を軽減することは難しいので、共振コイルL1、L2の複数の共振を組合わせることにより伝送系の損失を軽減することが可能になる。この際、受信系の入力インピーダンスにより、プリアンプ221入力の共振コイルを直列、或いは並列共振させることで、適切な損失軽減が可能になる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上本発明によれば、感度改善のために、共振コイルを挿入することにより信号の損失を軽減する超音波プローブ及びこれを具備する超音波診断装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0073】
1…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成ユニット、26…画像メモリ、27…画像合成ユニット、28…制御プロセッサ(CPU)、29…内部記憶装置、30…インターフェース部
【技術分野】
【0001】
本発明は、感度改善のために、共振コイルを挿入することにより信号の損失を軽減する超音波プローブ及びこれを具備する超音波診断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断は、超音波プローブを体表から当てるだけの簡単な操作で心臓の拍動や胎児の動きの様子がリアルタイム表示で得られ、かつ安全性が高いため繰り返して検査を行うことができる。この他、システムの規模がX線、CT、MRIなど他の診断機器に比べて小さく、ベッドサイドへ移動していっての検査も容易に行えるなど簡便な診断手法であると言える。この超音波診断において用いられる超音波診断装置は、それが具備する機能の種類によって様々に異なるが、小型なものは片手で持ち運べる程度のものが開発されており、超音波診断はX線などのように被曝の影響がなく、産科や在宅医療等においても使用することができる。
【0003】
この様な超音波診断に用いられる超音波診断装置において、超音波プローブの超音波振動子内部の虚数部による損失を軽減させるための技術が従来からいくつか提案されている。例えば、第1の手法として、超音波振動子にインピーダンス変換器を接続し、高入力インピーダンスで受信する場合に、超音波振動子とインピーダンス変換器の間に並列共振コイルを設けることにより振動子内部の虚数部による損失を軽減するものがある(例えば、特許文献1参照)。また、第2の手法として、受信時において有効になる並列共振コイルを設けるものがある(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004−57524号公報
【特許文献2】特開平7−327992号公報
【特許文献3】特開2006−51239号公報
【特許文献4】特開2004−57524号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、従来の手法により超音波プローブの超音波振動子内部の虚数部による損失を軽減させようとすると、例えば次の様な問題がある。第1の手法では、超音波振動子に近接して電力を消費する回路を設ける。このため、超音波プローブの発熱の制約で送信パワーが制限される場合がある。また、超音波プローブ先端部分のサイズがコイルだけの場合より大きくなる。このとき、インピーダンス変換器をケーブルより本体側に移動すると、並列共振コイルの損失低減効果が劣化することになる。また、第2の手法では、複数の共振コイルを持ち、切り替える手段が提供されていないので、超音波の送受信周波数により使用できない場合がある。 また、主にケーブル、回路の並列容量と並列共振コイルによる並列共振で虚数部のインピーダンスを高めることで損失を軽減する狙いで、振動子内部の虚数部による信号源インピーダンスが高くなることに依存する損失は改善できない。
すなわち、従来の技術では、信号源の超音波振動子、プリアンプまでの受信信号の伝送系の損失を十分に軽減できず、プリアンプ入力端でプリアンプのNF(ノイズフィギャー)を劣化させていた。また、超音波診断装置に要求される周波数帯域で十分な、損失軽減効果が得られなかった。
【0006】
また、第1、第2の手法に代表される従来技術を感度改善するための技術も開示されている。
【0007】
図20は、感度改善の第1の例である。超音波プローブと超音波診断装置内部のプリアンプとの間に直列又は並列に共振コイルを設けている。同図に示すように、超音波振動子からプリアンプまでの伝送系の損失の主要因であるケーブルやパターンの容量と共振コイルとで共振回路を構成することにより、インピーダンスをコントロールして、伝送系の損失を改善する。この例は、感度改善を比較的容易に実現でき、操作者が持つ超音波プローブヘッド部分に新規構成部品を追加する必要が無いので操作性を阻害する要素はない。しかしながら、感度改善効果に限界がある。
【0008】
図21は、感度改善の第2の例である(特許文献3参照)。第1例と同じく、超音波プローブと超音波診断装置内部のプリアンプとの間に共振コイルを設けている。この例では、超音波振動子からプリアンプまでの伝送系の損失の主要因であるケーブルやパターンの容量と共振コイルとで共振回路を構成することにより、インピーダンスをコントロールして、伝送系の損失を改善する。上記第1例と比較した場合、共振コイルの値を可変にすることで、感度改善の効果を広帯域の周波数範囲で有効にできる。
図22は、感度改善の第3例を示している(特許文献4参照)。この例では、超音波振動子から見た負荷と超音波振動子の信号減インピーダンスによる分圧の損失を軽減するために、超音波振動子出力にバッファアンプ等の入力インピーダンスが高く、出力インピーダンスの低いインピーダンス変換器を設けている。また、バッファアンプの前段に並列共振コイルを設けることにより、超音波振動子の虚数部を共振により低減して、損失低減が可能となる。さらに、操作者が手に持つ、プローブ先端部分にアクティブ回路を設ける、振動子から見た負荷インピーダンスが高くなる、という点で以下の問題点が考えられる。第1に、回路の発熱が振動子に伝播されるだけ、振動子表面の発熱が増加し、結果的に送信パワーを下げなければならない。これは送信の感度低下につながる。第2に、回路の発熱により操作者が持つグリップ部分の温度が上がる。例え温度の制約、安全性を守ったとしても、不快感が残る。第3に、プローブ先端にアクティブ素子を追加する分だけ、先端の体積が増加し、持ち易さを阻害し、重量増加により疲れやすくなり、操作性が低下する。第4に、振動子から見た負荷のインピーダンスが高くなると、振動子面で音響エネルギーの吸収量が下がるために、電気的に取り出す振動子の音響エネルギー量が減少する方向になる。これは、相対的に振動子表面で受信エコーを反射しやすくなる。 これは、例えば、体表から超音波を送受信したときに、振動子表面と体表の筋肉、脂肪、表皮の層構造により多重反射が発生しやすくなる。
【0009】
本発明は、上記事情を鑑みてなされたもので、従来に比して信号の損失を軽減することができる超音波プローブ及びこれを具備する超音波診断装置を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、上記目的を達成するため、次のような手段を講じている。
【0011】
請求項1に記載の発明は、超音波診断装置の本体に電気的に接続される超音波プローブであって、前記超音波診断装置の本体から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための少なくとも一つの第1の共振コイルを有する共振手段と、を具備することを特徴とする超音波プローブである。
【0012】
請求項6に記載の発明は、供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための少なくとも一つの第1の共振コイルを有する第1の共振手段と、を有する超音波プローブと、前記駆動信号を供給する信号供給手段と、前記エコー信号を増幅する増幅手段と、前記増幅されたエコー信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【0013】
請求項14に記載の発明は、供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、前記駆動信号を供給する信号供給手段と、前記エコー信号を増幅する増幅手段と、前記超音波プローブと前記増幅手段との間に直列接続され、前記複数の超音波振動子と段と前記増幅手段との間の並列容量による信号損失を改善する少なくとも一つの共振コイルを有する共振手段と、を具備することを特徴とする超音波診断装置である。
【発明の効果】
【0014】
以上本発明によれば、従来に比して信号の損失を軽減することができる超音波プローブ及びこれを具備する超音波診断装置を実現することを目的としている。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。
【図2】図2は、各超音波振動子毎に設けられる共振ユニット120を説明するための図である。
【図3】図3は、本実施形態の変形例1を説明するための図である。
【図4】図4は、本実施形態の変形例2を説明するための図である。
【図5】図5は、本実施形態の変形例3を説明するための図である。
【図6】図6は、本実施形態の変形例4を説明するための図である。
【図7】図7は、本実施形態の変形例5を説明するための図である。
【図8】図8は、本実施形態の変形例6を説明するための図である。
【図9】図9は、本実施形態の変形例7を説明するための図である。
【図10】図10は、本実施形態の変形例8を説明するための図である。
【図11】図11は、本実施形態の変形例9を説明するための図である。
【図12】図12は、本実施形態の変形例9を説明するための図である。
【図13】図13は、本実施形態の変形例10を説明するための図である。
【図14】図14は、本実施形態の変形例10を説明するための図である。
【図15】図15は、本実施形態の変形例11を説明するための図である。
【図16】図16は、本実施形態の変形例11を説明するための図である。
【図17】図17は、本実施形態の変形例12を説明するための図である。
【図18】図18は、本実施形態に係る超音波診断装置の効果を説明するための図である。
【図19】図19は、本実施形態に係る超音波診断装置の効果を説明するための図である。
【図20】図20は、従来技術を説明するための図である。
【図21】図21は、従来技術を説明するための図である。
【図22】図22は、従来技術を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の第1実施形態及び第2実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、略同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0017】
以下、本発明の第1実施形態乃至第3実施形態を図面に従って説明する。なお、以下の説明において、同一の機能及び構成を有する構成要素については、同一符号を付し、重複説明は必要な場合にのみ行う。
【0018】
(第1実施形態)
図1は、本実施形態に係る超音波診断装置1のブロック構成図を示している。同図に示すように、本超音波診断装置11は、超音波プローブ12、入力装置13、モニター14、超音波送信ユニット21、超音波受信ユニット22、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、画像生成ユニット25、ボリュームデータ生成ユニット26、画像合成ユニット27、制御プロセッサ(CPU)28、揺動走査条件決定ユニット29、内部記憶部29、インターフェース部30を具備している。また、超音波診断装置1には、被検体の心電波形(ECG波形)を取得するECG波形取得ユニット40が接続されている。以下、超音波診断装置1の個々の構成要素の機能について説明する。
【0019】
超音波プローブ12は、超音波送受信ユニット21からの駆動信号に基づき超音波を発生し、被検体からの反射波を電気信号に変換する複数の圧電振動子、当該圧電振動子に設けられる整合層、当該圧電振動子から後方への超音波の伝播を防止するバッキング材等を有している。当該超音波プローブ12から被検体Pに超音波が送信されると、当該送信超音波は、体内組織の音響インピーダンスの不連続面で次々と反射され、エコー信号として超音波プローブ12に受信される。このエコー信号の振幅は、反射することになった反射することになった不連続面における音響インピーダンスの差に依存する。また、送信された超音波パルスが、移動している血流や心臓壁等の表面で反射された場合のエコーは、ドプラ効果により移動体の超音波送信方向の速度成分を依存して、周波数偏移を受ける。
【0020】
また、本超音波装置が具備する超音波プローブ12には、共振により受信信号の損失を軽減させるための第1の共振ユニット120を必要に応じて設けられる。当該第1の共振ユニット120の構成については、後で詳しく説明する。
【0021】
入力装置13は、装置本体11に接続され、オペレータからの各種指示、条件、関心領域(ROI)の設定指示、種々の画質条件設定指示等を装置本体11にとりこむための各種スイッチ、ボタン、トラックボール、マウス、キーボード等を有している。例えば、操作者が入力装置13の終了ボタンやFREEZEボタンを操作すると、超音波の送受信は終了し、当該超音波診断装置は一時停止状態となる。
【0022】
モニター14は、画像生成ユニット25からのビデオ信号に基づいて、生体内の形態学的情報(通常のBモード画像)、血流情報(平均速度画像、分散画像、パワー画像等)等を所定の形態で表示する。
【0023】
超音波送信ユニット21は、図示しないトリガ発生回路、遅延回路およびパルサ回路等を有している。パルサ回路では、所定のレート周波数fr Hz(周期;1/fr秒)で、送信超音波を形成するためのレートパルスが繰り返し発生される。また、遅延回路では、チャンネル毎に超音波をビーム状に集束し且つ送信指向性を決定するのに必要な遅延時間が、各レートパルスに与えられる。トリガ発生回路は、このレートパルスに基づくタイミングで、プローブ12に駆動パルスを印加する。
【0024】
超音波受信ユニット22は、図示していないアンプ回路、A/D変換器、加算器等を有している。アンプ回路では、プローブ12を介して取り込まれたエコー信号をチャンネル毎に増幅する。A/D変換器では、増幅されたエコー信号に対し受信指向性を決定するのに必要な遅延時間を与え、その後加算器において加算処理を行う。この加算により、エコー信号の受信指向性に応じた方向からの反射成分が強調され、受信指向性と送信指向性とにより超音波送受信の総合的なビームが形成される。
【0025】
また、超音波受信ユニット22には、共振により受信信号の損失を軽減させるための第2の共振ユニット130を必要に応じて設けられる。当該第2の共振ユニット130の構成については、後で詳しく説明する。
【0026】
Bモード処理ユニット23は、送受信ユニット21からエコー信号を受け取り、対数増幅、包絡線検波処理などを施し、信号強度が輝度の明るさで表現されるデータを生成する。このデータは、画像生成ユニット25に送信され、反射波の強度を輝度にて表したBモード画像としてモニター14に表示される。
【0027】
ドプラ処理ユニット24は、送受信ユニット21から受け取ったエコー信号から速度情報を周波数解析し、ドプラ効果による血流や組織、造影剤エコー成分を抽出し、平均速度、分散、パワー等の血流情報を多点について求める。
【0028】
画像生成ユニット25は、Bモード処理ユニット23、ドプラ処理ユニット24、ボリュームデータ生成ユニット26から受け取ったデータを用いて、超音波画像を生成する。
【0029】
画像メモリ(シネメモリ)26は、例えばフリーズする直前の複数フレームに対応する超音波画像を保存するメモリである。この画像メモリ26に記憶されている画像を連続表示(シネ表示)することで、超音波動画像を表示することも可能である。
【0030】
画像合成ユニット27は、画像生成ユニット25から受け取った画像を種々のパラメータの文字情報や目盛等と共に合成し、ビデオ信号としてモニター14に出力する。
【0031】
制御プロセッサ28は、情報処理装置(計算機)としての機能を持ち、本超音波診断装置本体の動作を制御する。また、制御プロセッサ28は、所定のスキャンシーケンスを実行するための制御プログラムを読み出して自身が有するメモリ上に展開し、各種処理に関する演算・制御等を実行する。さらに、制御プロセッサ28は、後述する第1の共振ユニット120、第2の共振ユニット130が有するスイッチのON/OFF制御を必要に応じて実行する。
【0032】
内部記憶部29は、画像生成、表示処理を実行するための制御プログラム、診断情報(患者ID、医師の所見等)、診断プロトコル、送受信条件、ボディマーク生成プログラムその他のデータ群が保管されている。また、必要に応じて、画像生成ユニット25、画像合成ユニット27中の画像の保管などにも使用される。内部記憶部29のデータは、インターフェース部30を経由して外部周辺装置へ転送することも可能となっている。
【0033】
インターフェース部30は、入力装置13、ネットワーク、新たな外部記憶装置(図示せず)に関するインターフェースである。当該装置によって得られた超音波画像等のデータや解析結果等は、インターフェース部30よって、ネットワークを介して他の装置に転送可能である。
【0034】
(共振ユニット)
次に、本超音波診断装置1が有する共振ユニットの構成について、詳しく説明する。
【0035】
図2は、本超音波プローブ12の各超音波振動子毎に設けられる第1の共振ユニット120を説明するための図である。なお、同図においては、超音波プローブ12の各超音波振動子121を等価回路121により、超音波受信ユニット22のプリアンプを等価回路221により、それぞれ模式的に示してある。
【0036】
図2において、共振ユニット120は、対応する超音波振動子(すなわち、等価回路121)に直列接続された共振コイル120aを有している。この共振コイル120aは、超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振する(超音波振動子内部の合成インピーダンスの複素成分が0(ゼロ)になる)ものである。すなわち、共振コイル120aは、超音波振動子の内部抵抗Rs、内部容量Cs、供給される電流の周波数ωから、超音波振動子内部の合成インピーダンスの複素成分が0になるようなインダクタンスLshを有するものである。
【0037】
この様な構成によれば、超音波プローブ12のヘッド部分にアクティブ素子がないので、無駄な発熱による送信パワーの制約が発生しない。また、共振コイル120aと、超音波振動子の内部容量Csとが直列共振することで低インピーダンスになり、超音波振動子の内部抵抗Rsを信号源として、少ない損失で反射波を受信し或いは超音波を送信することができる。
【0038】
(変形例1)
図3は、本実施形態の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る超音波プローブ12の共振ユニット120は、共振コイル120aと並列接続されたスイッチSaをさらに具備している。スイッチSaは、反射波の受信時にOFF状態となって、共振コイル120aを動作(直列共振)させると共に、超音波送信時にON状態となって送信高圧信号をバイパスさせ、送信パルスに対して共振コイル120aが共振しないように、制御ユニット28からの制御信号によってされる。この様なスイッチ制御により、受信時のみ共振コイルによる直列共振を発生させることができる。
【0039】
(変形例2)
図4は、本実施形態の他の変形例を説明するための図であり、スイッチS1の他の例を示している。同図に示すように、送信高圧信号を共振コイル120aに対してバイパスさせるスイッチSaを、両極性に接続したダイオードで構成したものである。この様なスイッチSaによれば、大振幅となる送信高圧信号に対して、ダイオードD1、D2がONする。このため、共振コイル120aの両端はショートされ、共振コイル120aは動作しない。
【0040】
また、受信時においては、供給される信号がダイオードD1、D2のVfより小さい振幅であれば、ダイオードはOFF状態となるため、共振コイル120aは動作することになる。このとき、 コイルは受信信号に対してだけ、動作すればよいので、小型コイルを使用することで、超音波プローブ12を小型化することができる。
【0041】
(変形例3)
図5は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、共振ユニット120は、超音波振動子121に対して直列に接続された共振コイル120aと、共振コイル120aに対して並列接続された共振コイル120b及び共振コイル120cと、共振コイル120bに直列接続されたスイッチSbと、共振コイル120cに直列接続されたスイッチScとを有している。
【0042】
制御ユニット28は、スイッチSb、スイッチScを必要に応じて制御する。このスイッチSb、スイッチScの開閉の組み合わせにより、共振コイル120aの単独、共振コイル120aと共振コイル120bとの並列接続、共振コイル120aに対して並列接続された共振コイル120cとの並列接続、共振コイル120aと共振コイル120bと共振コイル120cとの並列接続による合計4種類の可変インダクタンスを実現することができる。
【0043】
(変形例4)
図6は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、共振ユニット120は、変形例1−3に示した構成に加えて、共振コイル120a(及び共振コイル120b、共振コイル120c)に対して並列接続され、両極性に接続したダイオードで形成されたスイッチSdをさらに具備するものである。この様なスイッチSdによれば、大振幅となる送信高圧信号に対して、ダイオードD1、D2がONする。このため、スイッチSb、ScをON状態にすれば、共振コイル120aの両端はショートされ、共振コイル120aは動作しない。
【0044】
また、受信時においては、供給される信号がダイオードD1、D2のVfより小さい振幅であれば、ダイオードはOFF状態となる。このため、共振コイル120a、或いはスイッチSb、Scを適切に制御することで、共振コイル120b、共振コイル120cはそれぞれ動作することになる。
【0045】
(変形例5)
次に、本実施形態の変形例5について説明する。本変形例に係る超音波診断装置は、超音波プローブ12から超音波診断装置本体の受信ユニット22内部にもつプリアンプ入力までの間の信号損失を改善するための共振コイル130(以下、第2の共振ユニット130と呼ぶ)を具備するものである。なお、当該第2の共振ユニット130は、単独で、或いは、第1の実施形態に示した、超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振する共振ユニット(以下、「第1の共振ユニット」と呼ぶ)と共に使用することができる。
【0046】
図7は、本超音波診断装置1のチャンネル毎に設けられる第2の共振ユニット130を説明するための図である。同図に示すように、本超音波診断装置1は、プリアンプ221の超音波プローブ12接続側において、第2の共振ユニット130を具備している。この第2の共振ユニット130は、プリアンプ221に対して並列接続された第1の共振コイル130a、第2の共振コイル130b、第3の共振コイル130cと、第2の共振コイル130bに直列接続されたスイッチSb、第3の共振コイル130cに直列接続されたスイッチScを有している。
【0047】
第1、第2、第3の共振コイル130a、130b、130cは、超音波診断装置本体の内部にもつプリアンプ221入力までの間の並列容量による信号損失を、プリアンプ221内の部のインピーダンスの虚数部と直列共振する(プリアンプ221内部の合成インピーダンスの複素成分が0(ゼロ)になる)ものである。
【0048】
また、制御ユニット28は、スイッチSb、スイッチScを必要に応じて制御する。このスイッチSb、スイッチScの開閉の組み合わせにより、第1の共振コイル130a1の単独、第1の共振コイル130bと第2の共振コイル130bとの並列接続、第1の共振コイル130aに対して並列接続された第3の共振コイル130c3との並列接続、第1の共振コイル130aと第2の共振コイル130bと第3の共振コイル130cとの並列接続による合計4種類の可変インダクタンスを実現することができる。
【0049】
(変形例6)
次に、本実施形態の変形例について説明する。本変形例では、プリアンプ221の入力インピーダンスが非常に小さい場合への適用例である。
【0050】
一般に、プリアンプ221の入力インピーダンスが非常に小さい電流急力アンプの場合、並列容量の影響は小さくなる。しかし、伝送系の損失は完全に無視できないため、共振により損失低減は有効である。今の場合、並列共振は、両端をプリアンプの入力インピーダンスで短絡されるので効果が無い。そこで、本変形例では、第2の共振ユニット130を、低入力インピーダンスのプリアンプ221のエコー信号入力側(すなわち、超音波プローブ12との接続側)に接続することにより、超音波振動子121からプリアンプ入力までの並列容量による信号の減衰を改善するものである。
【0051】
図8は、本実施形態の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る第2の共振ユニット130は、チャンネル毎にプリアンプ221に直列接続された共振コイル130aを有している。共振コイル130aは、超音波振動子121からプリアンプ入力までの並列容量、内部抵抗から、超音波振動子121からプリアンプ入力までのインピーダンスの複素成分が0になるようなインダクタンスLspを有する。この様な共振コイル130aにより直列共振を発生させ、超音波振動子121からプリアンプ入力までの並列容量による信号の減衰を改善する。
【0052】
(変形例7)
図9は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る超音波プローブ12の第2の共振ユニット130は、プリアンプ221のエコー信号入力側に接続された共振コイル130aを、送信波形の高電圧からプリアンプを保護する電圧制限回路220よりもプリアンプ221側に配置している。この様に、電圧制限回路220とプリアンプ221との間に共振コイル130aを接続することで、所定の値以上の高圧信号に対して共振コイル130aが共振しないように制御することができる。
【0053】
(変形例8)
図10は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る第2の共振ユニット130は、プリアンプ221の入力側に接続された共振コイルの値を可変する手段を有している。すなわち、第2の共振ユニット130は、プリアンプ221の入力側に直列接続された共振コイル130a、共振コイル130b、共振コイル130cと、共振コイル130aに並列接続されたスイッチSsaと、共振コイル130bに並列接続されたスイッチSsbと、共振コイル1d0cに並列接続されたスイッチSscとを有している。
【0054】
制御ユニット28は、スイッチSsa、スイッチSsb、スイッチSscを必要に応じて制御する。これらのスイッチの開閉の組み合わせにより、共振コイル130a、130b、130cのそれぞれの単独、共振コイル120aと共振コイル130bとの直列接続、共振コイル130aと共振コイル130cとの直列接続、共振コイル130bと共振コイル130cとの直列接続、共振コイル130a、共振コイル130b、共振コイル130c全ての直列接続による合計7種類の可変インダクタンスを実現することができる。
【0055】
(変形例9)
図11は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る超音波プローブ12の第2の共振ユニット130は、プリアンプ221のエコー信号入力側に接続された共振コイル130a、130b、130cを、送信波形の高電圧からプリアンプを保護する電圧制限回路220よりもプリアンプ221側に配置している。この様に、電圧制限回路220とプリアンプ221との間に共振コイル130a、130b、130cを接続することで、所定の値以上の高圧信号に対して各コイルが共振しないように制御することができる。
【0056】
また、図12に示すように、スイッチSsa、スイッチSsb、スイッチSscをスイッチ素子Q1、Q2、Q3によって構成するようにしてもよい。プリアンプ221の入力側に直列接続されたコンデンサCccは、スイッチ素子Q1、Q2、Q3のバイアスによるDC電圧がプリアンプ221の入力に印加されるのを阻止するAC結合コンデンサである。このコンデンサは、プリアンプ221に直接DC電圧を印加することができる場合には、削除できる。また、結合コンデンサCccと第2の共振ユニット130との間には、スイッチ素子Q1、Q2、Q3のバイアス用抵抗Rbias、バイアス用コイルLbiasが並列接続されている。バイアス用コイルLbiasは、信号ライン(Ccc端)にDCバイアス電圧が高くならない様にDC付近で低インピーダンスに保つためのものである。バイアス用抵抗Rbiasは、バイアス用コイルLbiasによる共振のダンピング効果を持たせ、不要な共振を避けるためのものである。
【0057】
なお、図12のスイッチ素子Q1、Q2、Q3はあくまでも一例であり、FETスイッチ、メカニカルリレースイッチ等、各共振コイル130a、130b、130cの両端を短絡できる機能をもつものであれば使用することができる。
【0058】
(変形例10)
本変形例は、超音波プローブ12側において設けられる第1の共振ユニット120と、超音波診断装置本体11側において設けられる第2の共振ユニット130とを組み合わせるものである。
【0059】
図13は、本実施形態の他の変形例を説明するための図である。同図に示すように、超音波プローブ12側においては、超音波振動子121に対して第1の共振ユニット120(例えば、共振コイル120aを有するもの)を直列接続し、装置本体11側においては、プリアンプ221の入力側に第2の共振ユニット130(例えば、直列接続された第1の共振コイル130a、第2の共振コイル130b、第3の共振コイル130cと、各コイルに並列接続されたスイッチ素子Q1、Q2、Q3を持つもの)を直列接続する。これにより、超音波振動子121の内部容量Csによる損失と、ケーブルや回路の浮遊容量(パターン容量、回路部品の容量)による損失を改善することができる。
【0060】
また、図14に示すように、超音波プローブ12側においては、超音波振動子121に対して第1の共振ユニット120(例えば、共振コイル120aを有するもの)を直列接続し、装置本体11側においては、プリアンプ221の入力側に第2の共振ユニット130(例えば、並列接続された第1の共振コイル130a、第2の共振コイル130b、第3の共振コイル130cと、各コイルに直列接続されたスイッチ素子Q1、Q2、Q3を持つもの)を接続する。これにより、超音波振動子121の内部容量Csによる損失と、ケーブルや回路の浮遊容量による損失を改善することができる。
【0061】
(変形例11)
図15は、本実施形態の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る超音波プローブ12の第2の共振ユニット130は、プリアンプ221の入力側に直列接続された共振コイル130aを送信波形が通過する経路に設け、当該共振コイル130aの両端を短絡するスイッチSaを持つことにより、送信波形をバイパスさせる。このスイッチのON/OFFは、制御ユニット28からの制御信号に従って制御される。
【0062】
送信波形が通過する場合、コイルのサイズを大きくする必要がある。一方で、送信電圧は生体に安全な超音波パワーの上限で制約を受け、直列共振の効果は小さい。そこで、本変形例では、共振コイル130aと当該両端を短絡するスイッチSaとを設け、送信時にスイッチSaをONさせ受信時にOFFさせることにより、受信だけに有効な直列共振を実現する。
【0063】
なお、スイッチSaは、例えば図16に示すように両極性に接続したダイオードを用いるようにしてもよい。
【0064】
(変形例12)
図17は、本実施形態の変形例を説明するための図である。同図に示すように、本変形例に係る第2の共振ユニット130は、直列接続される第1の共振コイル130a、第2の共振コイル130b、第3の共振コイル130cと、各共振コイルに並列接続されたスイッチ素子Q1、Q2、Q3と、第1、第2、第3の共振コイル130a、130b、130cの両端を短絡するスイッチ素子S0と、高圧送信パルスからスイッチ素子Q1、Q2、Q3のトランジスタを保護するために各スイッチ素子Q1、Q2、Q3に対応して設けられたダイオードDb1、Db2、Db3と、を有している。
【0065】
この様な構成において、送信ユニット21から高圧の送信パルスが印加されると、スイッチ素子Q1、Q2、Q3のベース、エミッタ間に高圧が印加され、ダイオードDb1、Db2、Db3はON状態となる。これにより、送信時に発生する高電圧は抵抗Rb1、Rb2、Rb3に印加され、トランジスタは保護される。また、逆極性の波形に対しては、スイッチ素子Q1、Q2、Q3のベース、エミッタ間のダイオード特性で電圧が制限され、同様に送信時の高電圧は抵抗Rb1、Rb2、Rb3に印加されることになる。従って、高圧の送信パルスによるスイッチ素子Q1、Q2、Q3の破壊を防ぐことができる。
【0066】
(効果)
以上述べた構成によれば、以下の効果を得ることができる。
【0067】
本超音波診断装置によれば、超音波受信時においてのみ共振する共振コイルを超音波振動子端に設けているので、超音波振動子内部の虚数部による信号の損失を含む、伝送系の損失を共振の組合せにより軽減することができる。さらに、この共振コイルを、超音波振動子とプリアンプとの間に設けることで、主にケーブルや回路の並列容量による損失も軽減することができる。
【0068】
また、受信系の損失を軽減することで、同じ受信感度を得るために、プリアンプのNF(ノイズフィギュア)を大きく改善する必要が無く、プリアンプの性能を無理に高める必要が無くなる。さらに、受信系にのみ適用し送信エネルギーを考慮しないため、小型のコイルを使用でき、装置を大型化することなく信号損失を実現することができる。
【0069】
図18は、本超音波診断装置の効果を確認するための、共振ユニット120を具備するシミュレーション回路の一例である。また、図19は、図18に示した回路を用いたシミュレーション結果を示すグラフである。図19の縦軸は、図18の回路における入力換算のノイズを示している。従って、ノイズレベルが小さいほど受信感度がよいことになる。第1の共振ユニット120(すなわち、共振コイルL1)が存在しない(L1=0uH)の場合に対して、L1とCx1の直列共振により、共振点付近でCx1、L1のインピーダンスが下がり、信号源のインピーダンスはRx1に近づく。この様に、超音波振動子端に共振コイルを挿入すると、特定の周波数で入力換算のノイズレベルを小さくすることができるため、不要な直列のインピーダンスが減少し、損失を軽減させることができる。一方、L2の位置に共振コイルを置くと、ケーブル等の並列容量と共振してしまうので、Cx1の損失軽減は困難になる。
【0070】
また、共振コイルL1の共振で、ケーブルの並列容量、回路の並列容量Ctraceによる損失を軽減することは難しいので、共振コイルL1、L2の複数の共振を組合わせることにより伝送系の損失を軽減することが可能になる。この際、受信系の入力インピーダンスにより、プリアンプ221入力の共振コイルを直列、或いは並列共振させることで、適切な損失軽減が可能になる。
【0071】
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0072】
以上本発明によれば、感度改善のために、共振コイルを挿入することにより信号の損失を軽減する超音波プローブ及びこれを具備する超音波診断装置を実現することができる。
【符号の説明】
【0073】
1…超音波診断装置、12…超音波プローブ、13…入力装置、14…モニター、21…超音波送信ユニット、22…超音波受信ユニット、23…Bモード処理ユニット、24…ドプラ処理ユニット、25…画像生成ユニット、26…画像メモリ、27…画像合成ユニット、28…制御プロセッサ(CPU)、29…内部記憶装置、30…インターフェース部
【特許請求の範囲】
【請求項1】
超音波診断装置の本体に電気的に接続される超音波プローブであって、
前記超音波診断装置の本体から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、
前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための少なくとも一つの第1の共振コイルを有する共振手段と、
を具備することを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
前記共振手段は、前記第1の共振コイルに対して並列接続され、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第1の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記第1の切替手段は、両極性に接続されたダイオードを有することを特徴とする請求項2記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記共振手段は、当該共振手段のインダクタンスを制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記第1の共振コイルに並列接続又は直列接続される少なくとも一つの第2の共振コイルと、
前記少なくとも一つの第2の共振コイルのそれぞれに対して設けられ、前記第2の共振コイルの電気的接続を選択的に切り替えるための第2の切替手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項4記載の超音波プローブ。
【請求項6】
供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための少なくとも一つの第1の共振コイルを有する第1の共振手段と、を有する超音波プローブと、
前記駆動信号を供給する信号供給手段と、
前記エコー信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅されたエコー信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
前記第1の共振手段は、前記第1の共振コイルに対して並列接続され、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第1の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記第1の切替手段は、両極性に接続されたダイオードを有することを特徴とする請求項7記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記第1の共振手段は、当該第1の共振手段のインダクタンスを制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記第1の共振コイルに並列接続又は直列接続される少なくとも一つの第2の共振コイルと、
前記少なくとも一つの第2の共振コイルのそれぞれに対して設けられ、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、前記第2の共振コイルの電気的接続を選択的に切り替えるための第2の切替手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項9記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記第1の共振手段と前記増幅手段との間に直列接続され、前記複数の超音波振動子と前記増幅手段との間の並列容量による信号損失を改善する少なくとも一つの第3の共振コイルを有する第2の共振手段をさらに具備する請求項6乃至10のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記第2の共振手段は、送信波形の高電圧から前記増幅手段を保護する電圧制限回路に対して前記増幅手段側に配置されていることを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記第2の共振手段は、
前記少なくとも一つの第3の共振コイルのそれぞれに対して設けられ、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、前記第3の共振コイルの電気的接続を選択的に切り替えるための第3の切替手段と、
前記少なくとも一つの第3の共振コイルに対して並列接続され、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記少なくとも一つの第3の共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第4の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項10乃至12のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項14】
供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記駆動信号を供給する信号供給手段と、
前記エコー信号を増幅する増幅手段と、
前記超音波プローブと前記増幅手段との間に直列接続され、前記複数の超音波振動子と段と前記増幅手段との間の並列容量による信号損失を改善する少なくとも一つの共振コイルを有する共振手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項15】
前記共振手段は、送信波形の高電圧から前記増幅手段を保護する電圧制限回路に対して前記増幅手段側に配置されていることを特徴とする請求項14記載の超音波診断装置。
【請求項16】
前記共振手段は、当該共振手段のインダクタンスを制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項14又は15記載の超音波診断装置。
【請求項17】
前記共振手段は、前記少なくとも一つの共振コイルに対して並列接続され、制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第1の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項14乃至16のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項18】
前記第1の切替手段は、両極性に接続されたダイオードを有することを特徴とする請求項17記載の超音波診断装置。
【請求項19】
前記第共振手段は、
前記少なくとも一つの共振コイルのそれぞれに対して設けられ、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、前記共振コイルの電気的接続を選択的に切り替えるための第2の切替手段と、
前記少なくとも一つの共振コイルに対して並列接続され、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記少なくとも一つの第3の共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第3の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項14記載の超音波診断装置。
【請求項1】
超音波診断装置の本体に電気的に接続される超音波プローブであって、
前記超音波診断装置の本体から供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、
前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための少なくとも一つの第1の共振コイルを有する共振手段と、
を具備することを特徴とする超音波プローブ。
【請求項2】
前記共振手段は、前記第1の共振コイルに対して並列接続され、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第1の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項1記載の超音波プローブ。
【請求項3】
前記第1の切替手段は、両極性に接続されたダイオードを有することを特徴とする請求項2記載の超音波プローブ。
【請求項4】
前記共振手段は、当該共振手段のインダクタンスを制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1乃至3のうちいずれか一項記載の超音波プローブ。
【請求項5】
前記制御手段は、
前記第1の共振コイルに並列接続又は直列接続される少なくとも一つの第2の共振コイルと、
前記少なくとも一つの第2の共振コイルのそれぞれに対して設けられ、前記第2の共振コイルの電気的接続を選択的に切り替えるための第2の切替手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項4記載の超音波プローブ。
【請求項6】
供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子と、前記複数の超音波振動子と前記超音波診断装置の本体との間に前記超音波振動子毎に直列接続され、前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部と直列共振することにより、信号の損失を軽減するための少なくとも一つの第1の共振コイルを有する第1の共振手段と、を有する超音波プローブと、
前記駆動信号を供給する信号供給手段と、
前記エコー信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅されたエコー信号に基づいて超音波画像データを生成する画像生成手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
前記第1の共振手段は、前記第1の共振コイルに対して並列接続され、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第1の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項6記載の超音波診断装置。
【請求項8】
前記第1の切替手段は、両極性に接続されたダイオードを有することを特徴とする請求項7記載の超音波診断装置。
【請求項9】
前記第1の共振手段は、当該第1の共振手段のインダクタンスを制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項6乃至8のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項10】
前記制御手段は、
前記第1の共振コイルに並列接続又は直列接続される少なくとも一つの第2の共振コイルと、
前記少なくとも一つの第2の共振コイルのそれぞれに対して設けられ、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、前記第2の共振コイルの電気的接続を選択的に切り替えるための第2の切替手段と、
をさらに有することを特徴とする請求項9記載の超音波診断装置。
【請求項11】
前記第1の共振手段と前記増幅手段との間に直列接続され、前記複数の超音波振動子と前記増幅手段との間の並列容量による信号損失を改善する少なくとも一つの第3の共振コイルを有する第2の共振手段をさらに具備する請求項6乃至10のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項12】
前記第2の共振手段は、送信波形の高電圧から前記増幅手段を保護する電圧制限回路に対して前記増幅手段側に配置されていることを特徴とする請求項11記載の超音波診断装置。
【請求項13】
前記第2の共振手段は、
前記少なくとも一つの第3の共振コイルのそれぞれに対して設けられ、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、前記第3の共振コイルの電気的接続を選択的に切り替えるための第3の切替手段と、
前記少なくとも一つの第3の共振コイルに対して並列接続され、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記少なくとも一つの第3の共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第4の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項10乃至12のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項14】
供給される駆動信号に従って超音波を送信し、受信する超音波に応答してエコー信号を発生する複数の超音波振動子を有する超音波プローブと、
前記駆動信号を供給する信号供給手段と、
前記エコー信号を増幅する増幅手段と、
前記超音波プローブと前記増幅手段との間に直列接続され、前記複数の超音波振動子と段と前記増幅手段との間の並列容量による信号損失を改善する少なくとも一つの共振コイルを有する共振手段と、
を具備することを特徴とする超音波診断装置。
【請求項15】
前記共振手段は、送信波形の高電圧から前記増幅手段を保護する電圧制限回路に対して前記増幅手段側に配置されていることを特徴とする請求項14記載の超音波診断装置。
【請求項16】
前記共振手段は、当該共振手段のインダクタンスを制御する制御手段をさらに有することを特徴とする請求項14又は15記載の超音波診断装置。
【請求項17】
前記共振手段は、前記少なくとも一つの共振コイルに対して並列接続され、制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第1の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項14乃至16のうちいずれか一項記載の超音波診断装置。
【請求項18】
前記第1の切替手段は、両極性に接続されたダイオードを有することを特徴とする請求項17記載の超音波診断装置。
【請求項19】
前記第共振手段は、
前記少なくとも一つの共振コイルのそれぞれに対して設けられ、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、前記共振コイルの電気的接続を選択的に切り替えるための第2の切替手段と、
前記少なくとも一つの共振コイルに対して並列接続され、前記超音波診断装置の本体からの制御信号に応答して、超音波送信時において前記駆動信号が前記共振手段を迂回するように動作し、且つ超音波受信時において前記少なくとも一つの第3の共振手段と前記超音波振動子内部のインピーダンスの虚数部とが直列共振するように動作する第3の切替手段をさらに有することを特徴とする請求項14記載の超音波診断装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
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【図11】
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【図13】
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【図15】
【図16】
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【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【公開番号】特開2010−268852(P2010−268852A)
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−121156(P2009−121156)
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月19日(2009.5.19)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】
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