説明

超音波診断装置、及びこの装置の制御プログラム

【課題】 血流像とドプラスペクトラム像を同時又はほぼ同時に表示させる際に、フレームレートの低下を防止する超音波診断技術を提供する。
【解決手段】 被検体に対して超音波を送信し、反射波をエコー信号として受信する送受信手段と、前記エコー信号に対し、ドプラ偏位周波数成分の取り出し処理及びFFT処理を含むドプラスペクトラム像生成手段と、前記エコー信号に対し、自己相関処理を含む処理を施すことによって血流像を生成する血流像生成手段と、前記血流像を得るためと前記ドプラスペクトラム像を得るための送受信を交互に行うことにより、前記血流像と前記ドプラスペクトラム像とを同時又はほぼ同時に表示させる走査シーケンス設定手段と、を備え、前記走査シーケンス設定手段は、前記血流像のフレームレートが所定設定値を下回らないように、前記血流像を得るための送受信についてアンサンブル数を調節した走査シーケンスに変更するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、超音波の送受信により超音波画像を得る技術に関し、特に少なくとも血流像とドプラスペクトラム像を同時又はほぼ同時に表示する技術に関する。
【背景技術】
【0002】
超音波診断装置による被検体の観察には、トリプレックスモードといわれる動作モードがある。トリプレックスモードは、二次元形態像と二次元血流像とドプラスペクトラム像を同時又はほぼ同時に表示する複合モードである。
【0003】
二次元形態像は、反射した超音波の強さを輝度に変調した形態像である。二次元血流像は、血液の流れから生じるドプラシフト(周波数偏移)を抽出して血流を表示する二次元のカラー像であり、二次元形態像上にカラーマッピング(Color Flow Mapping)としてオーバーレイ表示する。ドプラスペクトラム像は、血液の流れにより生じる超音波のドプラシフトを抽出して、ドプラシフトの経時変化を表示するグラフである。
【0004】
すなわち、トリプレックスモードは、二次元形態像と二次元血流像によって血管位置及び血流を特定し、ドプラスペクトラム像によって血流速度を計測するモードである。二次元血流像とドプラスペクトラム像とをほぼ同時表示するためには、二次元血流像を得るための超音波送受信とドプラスペクトラム像を得るための超音波送受信を交互に行う必要がある。このトリプレックスモードにおける走査方法には、ドプラ交互スキャンが知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
ドプラ交互スキャンは、二次元形態像のための走査(以下、「Bモード走査」という)又はカラー二次元血流像のための走査(以下、「CFMモード走査」という)と、ドプラスペクトラム像のための走査(以下、「Dモード走査」という)とを経時的に一本ずつ交互に行い、被検体を走査する方法である。CFMモード走査における超音波の送受信は、クラッタ成分除去のため同一走査線において複数回連続でなされる。同一走査線における超音波送受信の繰返し回数は、アンサンブル数と呼ばれる。
【0006】
このドプラ交互スキャンでは、Dモード走査間にBモード走査又はCFMモード走査を挟む。従って、Dモード走査で行われる超音波の送受信では、繰返周波数(DpPRF)を高く設定することはできない。DpPRFを高く設定できないと、高流速の血流を検出する際にドプラスペクトラム像にエイリアシング(折り返り)が生じてしまう。
【0007】
そこで、ドプラセグメントスキャンという走査方法によって解決が図られる。このスキャンは、Bモード走査又はCFMモード走査と、Dモード走査とを、経時的に一群のビーム群に分けて交互に行う方法である。つまり、ドプラセグメントスキャンは、Bモード走査又はCFMモード走査を所定時間連続的に行うB/CFMセグメントと、Dモード走査を所定時間連続的に行うDセグメントとを区別して交互に超音波送受信を行っている。ている。この二つのセグメントを複数繰り返すことにより二次元形態像1フレームが形成される。(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
このドプラセグメントスキャンによっては、Dモード走査のセグメントにおいて、DpPRFを高く設定することができ、高流速の血流であっても折り返しが生じず、ドプラスペクトラム像において良好な波形を得ることができる。
【0009】
ここで、トリプレックスモードにおいて、ドップラセグメントスキャンを用いた場合、B/CセグメントとDセグメントの時間比を、1:2以上とする必要がある。B/Cセグメント時は、Dモード走査がない。この時間、ドプラスペクトラム像にギャップが生じてしまう。このギャップは、Dセグメント時の収集データを利用して補完される。ドプラスペクトラム像の補完精度の関係上、時間比を1:2以上とすることが好ましいのである。
【0010】
しかし、この時間比の1:2以上とすると、二次元形態像と二次元血流像の複合モードと比べて、フレームレートが1/3以下に低下してしまう。Dセグメント時においては、Bモード走査及びCFMモード走査が行われないから、Dセグメント加入分だけフレームレートが低下してしまうものである。
【0011】
従って、トリプレックスモードにおいて、ドプラセグメントスキャンを用いると、高流速の血流は検出することができるが、ドプラスペクトラム像の補完精度向上とフレームレートの向上を両立することができなくなってしまう。
【0012】
【特許文献1】特開平6−7348号公報
【特許文献2】特開2002−143168号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
少なくとも二次元血流像とドプラスペクトラム像を同時又はほぼ同時に表示する超音波診断装置は、高流速の血流の良好な検出、ドプラスペクトラム像の補完精度の向上、フレームレートの向上を両立することができなかった。
【0014】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、超音波診断の技術において、少なくとも血流像とドプラスペクトラム像を同時又はほぼ同時に表示する際に、高流速の血流の良好な検出とドプラスペクトラム像の補完精度を維持しながら、フレームレートの低下を防止する技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記課題を解決するために、請求項1記載の発明は、被検体に対して超音波を送信し、前記被検体から反射波をエコー信号として受信する送受信手段と、前記エコー信号に対し、ドプラ偏位周波数成分の取り出し処理及びFFT処理を含む処理を施すことによってドプラスペクトラム像を生成するドプラスペクトラム像生成手段と、前記エコー信号に対し、自己相関処理を含む処理を施すことによって血流像を生成する血流像生成手段と、前記血流像を得るための送受信と前記ドプラスペクトラム像を得るための送受信を交互に行うことにより、前記血流像と前記ドプラスペクトラム像とを同時又はほぼ同時に表示させる走査シーケンスを設定する走査シーケンス設定手段と、を備え、前記走査シーケンス設定手段は、前記血流像のフレームレートが所定設定値を下回らないように、前記血流像を得るための送受信についてアンサンブル数を調節した走査シーケンスに変更すること、を特徴とする。
【0016】
また、請求項3記載の発明は、被検体に対して超音波を送信し、前記被検体から反射波をエコー信号として受信する送受信手段と、前記エコー信号に対し、ドプラ偏位周波数成分の取り出し処理及びFFT処理を含む処理を施すことによってドプラスペクトラム像を生成するドプラスペクトラム像生成手段と、前記エコー信号に対し、自己相関処理を含む処理を施すことによって血流像を生成する血流像生成手段と、前記血流像を得るための送受信と前記ドプラスペクトラム像を得るための送受信を交互に行うことにより、前記血流像と前記ドプラスペクトラム像とを同時又はほぼ同時に表示させる走査シーケンスを設定する走査シーケンス設定手段と、を備え、前記走査シーケンス設定手段は、前記血流像のフレームレートが所定下限値以下とならないように、前記血流像を得るための送受信について走査線密度を調節した走査シーケンスに変更すること、を特徴とする。
【0017】
また、請求項9記載の発明は、被検体に対して超音波を送信し、前記被検体から反射波をエコー信号として受信する送受信手段と、前記エコー信号に対し、ドプラ偏位周波数成分の取り出し処理及びFFT処理を含む処理を施すことによってドプラスペクトラムを生成するドプラスペクトラム生成手段と、前記エコー信号に対し、自己相関処理を含む処理を施すことによって血流像を生成する血流像生成手段と、を備える超音波診断装置に対して、前記血流像を得るための送受信と前記ドプラスペクトラムを得るための送受信を交互に行うことにより、前記血流像と前記ドプラスペクトラム像とを同時又はほぼ同時に表示させる走査シーケンスを設定させ、前記血流像のフレームレートが所定設定値を下回らないように、前記血流像を得るための送受信についてアンサンブル数を調節した走査シーケンスに変更させること、を特徴とする。
【0018】
また、請求項10記載の発明は、被検体に対して超音波を送信し、前記被検体から反射波をエコー信号として受信する送受信手段と、前記エコー信号に対し、ドプラ偏位周波数成分の取り出し処理及びFFT処理を含む処理を施すことによってドプラスペクトラムを生成するドプラスペクトラム生成手段と、前記エコー信号に対し、自己相関処理を含む処理を施すことによって血流像を生成する血流像生成手段と、を備える超音波診断装置に対して、前記血流像を得るための送受信と前記ドプラスペクトラムを得るための送受信を交互に行うことにより、前記血流像と前記ドプラスペクトラム像とを同時又はほぼ同時に表示させる走査シーケンスを設定させ、前記血流像のフレームレートが所定設定値下回らないように、前記血流像を得るための送受信について走査線密度を調節した走査シーケンスに変更させること、を特徴とする。
【0019】
また、前記走査シーケンス設定手段は、前記血流像のフレームレートが所定設定値を下回ることになる場合に、前記血流像を得るための送受信についてアンサンブル数を低下させた走査シーケンスに変更するようにしてもよい(請求項2記載の発明に相当)。
【0020】
また、前記アンサンブル数が所定以下の時には、前記血流像生成手段に対し、前記エコー信号から血流パワー値を検出させ、前記血流パワー値に基づいた血流像を生成させる制御を行う血流像生成制御手段をさらに備えるようにしてもよい(請求項4記載の発明に相当)。
【0021】
また、前記アンサンブル数が所定以下の時には、前記血流像を得るための送受信についてパルス波数を2以下とするパルス制御手段をさらに備え、前記血流像生成手段は、クラッタ成分を除去するウォールフィルタを含み、前記血流像生成制御手段は、前記アンサンブル数が所定以下の時には、前記血流像生成手段に対し、前記ウォールフィルタのフィルタ帯域を広げる制御をさらに行うようにしてもよい(請求項5記載の発明に相当)。
【0022】
また、前記エコー信号に対して、検波処理及び対数変換処理を含む処理を施すことによって前記被検体の組織を輝度で示す形態像を生成する形態像生成手段を備え、前記血流像は、前記形態像と合成して表示されるようにしてもよい(請求項6記載の発明に相当)。
【0023】
また、前記血流像生成手段は、前記アンサンブル数が所定以上の時には、血流情報をカラーで示す血流像を生成し、所定以下の時には血流情報を輝度で示す血流像を生成するようにしてもよい(請求項7記載の発明に相当)。
【0024】
また、装置操作者による前記所定設定値の変更を受け付ける変更受付手段をさらに備えるようにしてもよい(請求項8記載の発明に相当)。
【発明の効果】
【0025】
本発明では、超音波診断装置において、血流像を得るための送受信と前記ドプラスペクトラム像を得るための送受信を交互に行うことにより、血流像とドプラスペクトラム像とをほぼ同時に表示させる走査シーケンスを設定する走査シーケンス設定手段を備えるようにし、該走査シーケンス設定手段により、血流像のフレームレートが所定設定値を下回らないように、血流像を得るための送受信についてアンサンブル数を調節した走査シーケンスに変更するようにした。これにより、血流像のフレームレートが低下するような変更が行われた場合であっても良好なフレームレートを維持することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明に係る超音波診断装置及び超音波診断装置の制御プログラムの好適な実施形態について、図面を参照しながら具体的に説明する。
【0027】
(第一の実施形態)
図1は、第一の実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成図である。超音波診断装置1は、被検体に超音波を送受信する超音波探触子2と、超音波の送受信によって二次元形態像と二次元血流像とドプラスペクトラム像を表示する表示部6を備える。超音波探触子2と表示部6の間には、信号処理等を行うユニットとして、送受信部3と信号処理部4と画像処理部5とが介在して備えられている。また、これら各ユニット2,3,4,5,6を制御する制御部8を備え、この制御部8には、操作パネル7が接続されている。
【0028】
超音波探触子2は、圧電セラミック等の圧電振動子を複数配列して備える。この超音波探触子2は、超音波を送受信する送受信手段であり、複数の圧電振動子に送受信部3から電圧パルスが印加されることで超音波ビームを発生させ、図示しない被検体に対して超音波ビームを送信し、反射した超音波を受信してエコー信号に変換する。
【0029】
送受信部3は、送信部と受信部とにより構成される。送信部は、パルス発生器3a、送信遅延回路3b、パルサ3cを少なくとも備える。受信部は、プリアンプ3d、A/D3e、受信遅延回路3f、加算器3g、位相検波回路3hを備える。
【0030】
パルス発生器3aは、電圧パルスの送信タイミングを制御するもので、タイミング信号を所定時間毎に生成し、送信遅延回路3bに送信する。送信遅延回路3bは、超音波ビームの走査方向を決定し、電圧パルスの印加を圧電振動子毎に遅延させて時間差を設ける。パルサ3cは、送信遅延回路3bから受けたタイミングで各圧電振動子に各モードに応じたパルス幅の電圧パルスを印加する。
【0031】
プリアンプ3dは、エコー信号を増幅する。A/D3eは、増幅した信号をデジタル信号に変換する。受信遅延回路3eと加算器3fは、各振動子からの信号を整相加算して、単一信号を生成する。位相検波回路3hは、加算器3fを経た信号の所望中心周波数を0Hzにする周波数シフトを行った後、直交位相検波した信号を信号処理部4に渡す。
【0032】
信号処理部4は、送受信部3から信号が送信され、各像を生成するための信号処理を実行する生成処理手段である。
【0033】
Bモード処理部41は、エコーフィルタ41a、包絡線検波回路41b、LOG41cを備えており、二次元形態像を生成する信号処理(以下、「Bモード信号処理」という)を実行する。エコーフィルタ41aは、送受信部3から受けた周波数シフトによる信号にローパスフィルタをかける。包絡線検波回路41bは、包絡線を検波し、包絡線検波信号を得る。LOG41cは、包絡線検波信号に対して対数変換を施す。この処理工程を経て二次元形態像のデータが生成され、画像処理部5へ送信される。
【0034】
カラードプラ処理部42は、コーナーターニングバッファ42a、ウォールフィルタ42b、自己相関器42c、演算部42dを備えており、二次元血流像を生成する信号処理(以下、「CFMモード信号処理」という)を実行する。コーナーターニングバッファ42aは、位相検波回路3hからの直交位相検波による信号のデータ列を一時的に記憶した後、並べ替えを行う。ウォールフィルタ42dは、コーナーターニングバッファ42aに記憶されたデータ列を所定順で読み出し、所定のフィルタ帯域をもって信号のクラッタ成分を除去する。自己相関器42eは、二次元のドプラ信号処理をリアルタイムで行い、信号を周波数分析する。演算部42fは、平均速度演算部、分散演算部、パワー演算部を有しており、それぞれ平均ドプラシフト周波数、分散値、または血流パワー値等の二次元血流像のデータを求める。例えば、演算部42fは、信号に含まれる血流の速度成分を対応するカラー情報に変換する。
【0035】
Dモード処理部43は、ウォールフィルタ43a、FFT回路43b、ポストプロセス43cを備えており、ドプラスペクトラム像を形成するための信号処理(以下、「Dモード信号処理」という)を実行する。ウォールフィルタ42dは、検波出力信号に含まれるクラッタ成分を除去する。FFT回路43dは、クラッタ成分が除去された検波出力信号を周波数分析してスペクトラムデータを得て、ポストプロセス43eによる処理を経た後、このスペクトラムデータが画像処理部5へ送信される。
【0036】
画像処理部5は、DSC(デジタルスキャンコンバータ)により構成される。この画像処理部5は、Bモード処理部41、カラードプラ処理部42及びDモード処理部43から出力される各データを表示部6に表示可能な画像データに変換して表示部6へ送信する。
【0037】
表示部6は、モニタにより構成され、画像処理部5で処理された各画像を同時又はほぼ同時に表示する。図3は、表示部6が表示する表示画面の一例であり、トリプレックスモードを示す図である。図3に示すように、トリプレックスモードは、二次元形態像内のROI(Region Of Interest)に二次元血流像をオーバーレイ表示し、かつ二次元形態像外に、ドプラスペクトラム像を表示する。
【0038】
操作パネル7は、キーボード、トラックボール、マウス等により構成される。この操作パネル7は、装置操作者が各モードの切替えや、ROIの位置やレンジの切替え、ドプラスペクトラムを収集するポイントの変更等を入力するために用いられる。また、フレームレートの閾値を装置操作者により入力するために用いられ、後述する閾値記憶部8aに閾値を記憶させる設定手段となる。
【0039】
制御部8は、CPU81、RAM82、HDD83等のコンピュータとシーケンサ84により構成される。HDD83には、超音波診断装置の制御プログラムが記憶されている。制御部8では、CPU81によりRAM82に適宜演算結果を記憶しながら当該超音波診断装置の制御プログラムに基づき演算し、演算結果に基づきシーケンサ84に各ユニットを制御させる。
【0040】
図2は、制御部8の機能ブロック図である。図2に示すように、制御部8は、閾値記憶部8aとフレームレート算出部8bと比較部8cと動作手順生成部8dとを備える。この制御部8は、フレームレートに応じて各ユニットが行う動作の手順を生成し、シーケンサ84内の図示しないメモリに動作手順を記憶させるものである。これにより各ユニットに動作手順に従った走査や信号処理をさせる。動作手順生成部8dとシーケンサ84により動作手順が設定又は変更される。
【0041】
動作手順生成部8dは、動作手順を生成する。図4乃至7に示すように、動作手順は、各像生成のための走査シーケンスを規定し、被検体内の走査において、各像生成のための超音波送受信のタイミングや超音波送受信方向を規定する。また、送受信部3や信号処理部4に対する動作を規定している。送受信部3の動作規定には、パルス波数の規定が含まれ、信号処理部4の動作規定には、どのタイミングでどのモードの処理部41,42,43が動作を行うかを規定し、特にカラードプラモード処理部42に対してウォールフィルタのフィルタ帯域を規定し、信号から取得する値の種別を規定する。この動作手順は、二次元形態像、二次元血流像、及びドプラスペクトラム像の走査線密度、アンサンブル数、及びパルス繰返周波数の設定に基づいて生成されるものである。フレームレートを特に優先する状態にない通常状態においては、所定の通常生成ルーチンで動作手順が生成される。
【0042】
また、フレームレートが所定の閾値と比較され、この閾値を下回った場合、動作手順生成部8dは、フレームレートを維持するための動作手順を生成し、シーケンサ84のメモリを強制的に書き換える。フレームレートが閾値を上回る状態になった時は、強制変更を終了し、原則に則って生成される動作手順に戻す。
【0043】
フレームレートを維持するための動作手順変更は、CFMモード走査における超音波送受信のアンサンブル数を低下させ、Bモード走査における超音波送受信をCFMモード走査のアンサンブル数の減少により空いた時間に順次繰り上げていく変更である。すなわち、動作手順生成部8dは、CFMモード走査における超音波送受信のアンサンブル数を低下させた走査シーケンスに変更する走査シーケンス設定手段となる。
【0044】
変更後のアンサンブル数は、予め所定の数に決められてもよく、またフレームレートの低下具合に応じて調整されてもよい。予め所定の数を定める場合は、フレームレート維持用の動作手順として予め定められたアンサンブル数を含んだ動作手順を超音波診断装置の制御プログラムの一構成、若しくはLUT(Look Up Table)としてHDD83に記憶させておく。アンサンブル数の調整は、フレームレートが低下しようとする分だけアンサンブル数を減少させた動作手順を生成する。
【0045】
図4は、動作手順生成部8dによるフレームレート維持のための動作手順変更を説明する図である。図4において、B0とは、番号0の走査線に対してBモード走査を行うよう規定し、又信号処理においてBモード処理部41でBモード信号処理を行うよう規定するものである。C0とは、番号0の走査線に対してCFMモード走査のうち1回目の超音波送受信を行うよう規定し、又信号処理においてカラードプラモード処理部42でCFMモード信号処理を行い自己相関処理の際の1本目のデータとするよう規定するものである。Dとは、所定関心位置に対してDモード走査を行うよう規定し、又信号処理においてDモード処理部43でDモード信号処理を行うよう規定するものである。
【0046】
図4に示すように、動作手順の強制変更により、例えば、CFMモード走査における同一走査線に9回超音波送受信してからBモード走査の次の走査線を走査させる走査シーケンスから、同一走査線に4回超音波送受信してからBモード走査をさせる走査シーケンスに変更する。すなわち、CFMモード走査のアンサンブル数を9から4に低下させた走査シーケンスに強制変更される。
【0047】
所定の閾値と比較されるフレームレートは、フレームレート算出部8bにて算出される。算出されるフレームレートは、フレームレート維持のための動作手順変更が行われているか否かに関らず、通常生成ルーチンによる動作手順の生成を想定して行われる。
【0048】
フレームレートは、1秒間に生成できるフレーム数をいう。すなわち、Bモード走査、CFMモード走査、Dモード走査の1送受信の時間をそれぞれB,C,Dとし、Bモード走査の走査線本数をNb、CFMモード走査の走査線本数Ncとし、CFMモード走査のアンサンブル数をEcとし、Bモード走査が1フレーム走査する間に行われるDモード走査の回数をMとすると、フレームレートは、1/(B*Nb+C*Nc*Ec+D*M)(fps)である。ドプラセグメントスキャンの場合、D*M≧2*(B*Nb+C*Nc*Ec)となる。
【0049】
フレームレートの算出は、二次元血流像のレンジや深度の変更、ドプラスペクトラム像を形成する収集ポイントやレンジの変更等のフレームレートの変更を伴う操作をきっかけとして超音波診断装置の制御プログラムが起動されることにより行われる。尚、フレームレートの算出は常時行われるようにすることもできる。
【0050】
フレームレートと比較される所定の閾値は、閾値記憶部8aに記憶されている。この閾値は、動作手順の変更点となるフレームレートの閾値であり、装置操作者が操作パネル7を用いることで閾値記憶部8dに記憶される。記憶される閾値は、装置操作者の所望の値となるが、診断において被検体の正確な観察が可能な下限値となる3fps程度とすることが望ましい。すなわち、操作パネル7は、装置操作者によるフレームレートの閾値の変更を受け付ける変更受付手段となる。
【0051】
フレームレートと閾値の比較は、比較部8cにて行われる。すなわち、比較部8cは、閾値記憶部8aに記憶された閾値とフレームレート算出部8bにより算出されたフレームレートとを比較する比較手段である。
【0052】
制御部8によるフレームレート維持のために生成した動作手順によると、1つのB/CFMセグメントにおいて、CFMモード走査における超音波送受信回数が減少し、Bモード走査における超音波送受信回数が増え、二次元形態像や二次元血流像1フレームのB/CFMセグメントの数が減少する走査シーケンスになり、二次元形態像や二次元血流像1フレーム分の形成時間が減少する。すなわち、閾値を被検体の観察が可能なフレームレートの下限とすることにより、当該フレームレート以下に下がることが阻止され、常に被検体の観察が可能となる。
【0053】
このような超音波診断装置1の動作を図12に基づき説明する。予め、超音波診断装置1の操作パネル7により、装置操作者が閾値を入力し、閾値記憶部8aに入力された閾値を記憶しておく。装置操作者は、装置操作者が被検体の正確な観察が可能であるフレームレートの下限値を閾値記憶部8aに設定記憶させる。
【0054】
制御部8では、フレームレート算出部8bによってフレームレートを算出する(S100)。算出されたフレームレートは、比較部8cが閾値記憶部8aから閾値を読み出し(S101)、比較部8cにて当該閾値と比較される(S102)。
【0055】
ここで、フレームレート変更を伴う入力を装置操作者が操作パネル7を用いて行った場合、その変更の程度によって、変更後のフレームレートが設定された閾値を下回る状態が生じる。
【0056】
比較部8cにおいてフレームレートが閾値を下回っていた場合(S103,Yes)、具体的には、被検体の正確な観察が不可能であるフレームレートとなった場合、動作手順生成部8dは、フレームレート維持のための動作手順変更を行う。
【0057】
動作手順生成部8dは、図4に示すように、CFMモード走査における超音波送受信についてアンサンブル数を下げた走査シーケンスとなる動作手順を生成し、シーケンサ84のメモリを強制的変更する。シーケンサ84は、強制変更された動作手順に従った制御信号を各ユニットに出力する(S104)。送受信回路3と超音波探触子2は、変更された動作手順に従い、CFMモード走査においてアンサンブル数を下げた超音波送受信を行う。
【0058】
尚、フレームレートが閾値を上回っている場合は、設定した動作手順を維持し、又は通常生成ルーチンで生成される動作手順に戻すことで走査シーケンスをもとに戻す(S105)。
【0059】
図8(a)は、通常生成ルーチンで生成される動作手順を示す図であり、(b)は、フレームレート維持のために変更された動作手順を示す図である。尚、Dモード走査に関しては図示を省略する。図8に示すように、変更された動作手順により、CFMモード走査における同一走査線の超音波送受信回数が減少した走査シーケンスとなり、形態像や血流像のための全走査領域の走査完了時間が減少する。これにより、図4に示すトリプレックスモード等において、装置操作者がフレームレートの低下を伴う操作を行っても、被検体の観察が可能なフレームレートを維持することができる。
【0060】
また、閾値を操作パネル7で設定させ、閾値記憶部8aに記憶させることで、装置操作者の利用形態に合わせた走査に変更させることができ、利便性が向上する。
【0061】
(第二の実施形態)
次に、第二の実施形態について説明する。本実施形態の超音波診断装置の構成は、図1及び図2に示す第一の実施形態と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0062】
本実施形態の動作手順生成部8dは、フレームレートが閾値を下回っていた場合、フレームレート維持のため、CFMモード走査における超音波送受信について走査線密度を低下させた走査シーケンスを規定する動作手順の生成を行う。
【0063】
動作手順生成部8dは、CFMモード走査における超音波送受信の走査線密度を下げ、空いた時間にBモード走査を繰り上げていく走査シーケンスを規定する動作手順を生成する。これにより、B/CFMセグメントにおいて、Bモード走査における超音波送受信回数は増えた走査シーケンスとなり、Bモード走査やCFMモード走査による全走査領域の走査完了時間が短くなり、二次元形態像や二次元血流像1フレーム形成時間は短縮される。
【0064】
このCFMモード走査における走査線密度を下げる変更は、予め定められた走査線密度に変更しても、フレームレートの低下具合に応じて調整された度合いの変更にしてもよい。
【0065】
図5は、本実施形態に係る動作手順の変更を示す図である。図5に示すように、動作手順生成部8dは、例えば、CFMモード走査における走査線の本数を64本から32本に間引くように走査線密度を低下させ、間引かれた空き時間にBモード走査を繰り上げて走査する走査シーケンスを規定する動作手順に変更する。
【0066】
このような超音波診断装置1の動作を図13に基づき説明する。まず、フレームレート算出部8bによりフレームレートが算出される(S200)。
【0067】
フレームレートが算出されると、比較部8cは、閾値記憶部8aに記憶された閾値を読み出し(S201)、フレームレートと閾値とを比較する(S202)。フレームレートが閾値を下回っていると判断すると(S203,Yes)、動作手順生成部8dにフレームレートを維持するための動作手順の変更を行わせる。
【0068】
動作手順生成部8dは、図5に示すように、CFMモード走査における超音波送受信について走査密度を下げ、かつBモード走査を順次繰り上げた走査シーケンスを規定する動作手順を新たに生成する。シーケンサ84は、強制変更された動作手順に従った制御信号を各ユニットに出力する(S204)。特に超音波探触子2と送受信回路3は、変更された操作手順に従い、CFMモード走査における超音波送受信について走査密度を下げて行う走査シーケンスを実現する。
【0069】
尚、フレームレートが閾値を上回っている場合は、動作手順を維持、又は通常生成ルーチンで生成される動作手順に戻すことで走査シーケンスをもとに戻す(S105)。
【0070】
図9の(a)は、通常生成ルーチンで生成される動作手順を示す図であり、(b)は、フレームレート維持のために変更された動作手順を示す図である。変更された動作手順により、CFMモード走査の走査線密度、すなわち一定領域内での走査線本数が減少する走査シーケンスとなり、形態像や血流像のための全領域走査の完了時間が減少する。これにより、図4に示すトリプレックスモード等において、良好なフレームレートを維持することができる。
【0071】
(第三の実施形態)
次に、第三の実施形態について説明する。尚、本実施形態の超音波診断装置の構成は、図1及び図2に示す第一の実施形態と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0072】
本実施形態に係る超音波診断装置1では、動作手順生成部8dは、CFMモード信号処理から、パワードプラモードによる二次元血流像の生成を行うPモード信号処理を行う動作手順に変更する。パワードプラモードは、ドプラシフトを検波して、ドプラシフトから求めた血流パワー値によって、血流を表示するモードである。
【0073】
動作手順生成部8dは、比較部8cにてフレームレートが閾値を下回った場合、カラードプラモード処理部42に血流パワー値に基づいて二次元血流像のデータを生成する、換言するとPモード信号処理を行うように規定する動作手順を生成し、シーケンサ84のメモリに書き込む。シーケンサ84は、特にカラードプラモード処理部42の演算部42dに対し、Pモード信号処理を行うように制御信号を出力する。演算部42dは、信号処理において血流パワー値を得るように規定された動作手順に従い、血流パワー値に基づく演算を行う動作を行う。すなわち、動作手順生成部8dは、カラードプラ信号処理部42に対し、エコー信号から血流パワー値を検出させ、血流パワー値に基づいた血流像を生成させる制御を行う血流像生成制御手段となる。
【0074】
図6は、動作手順生成部8dによりフレームレート維持のために変更された動作手順を示す図であり、図6に示すように、CFMモード信号処理をPモード信号処理に切替える。すなわち、演算部42dに血流のパワー値得て演算を行うように規定する動作手順に強制変更する。また、血流パワー値に基づく二次元血流像の生成は、アンサンブル数が低くても影響が少なく、アンサンブル数も同時に低下させた走査シーケンスを規定する動作手順に強制変更する。
【0075】
このような超音波診断装置1の動作を図14に基づき説明する。まず、フレームレート算出部8bによりフレームレートが算出される(S300)。
【0076】
フレームレートが算出されると、比較部8cは、閾値記憶部8aに記憶された閾値を読み出す(S301)。比較部8cは、フレームレートと閾値とを比較し(S302)、フレームレートが閾値を下回っていると判断すると(S303,Yes)、動作手順生成部8dは、フレームレート維持のために動作手順を変更する。
【0077】
動作手順生成部8dは、Pモード信号処理を行うと共に、アンサンブル数を低下させた動作手順を生成し、シーケンサ84のメモリを強制的に書き換える(S304)。シーケンサ84は、各ユニットに動作手順に従った制御信号を出力し、特に演算部42dは、動作手順に従い血流パワー値を得るPモード信号処理に変更し、血流パワー値を得る演算を行う。
【0078】
尚、フレームレートが閾値を上回っている場合は、動作手順を維持、又は通常生成ルーチンで生成される動作手順に戻す(S305)。
【0079】
図10の(a)は、通常生成ルーチンで生成される動作手順による走査を示す図であり、(b)は、フレームレート維持のために変更された動作手順による走査を示す。図中のPは、信号処理においてPモード信号処理を行う規定である。また、図10に示すように、変更された動作手順により、走査についてはCFMモード走査時に比べてアンサンブル数が低下した走査に変わり、形態像や血流像のための全走査領域の走査完了時間が減少する。
【0080】
この動作により、超音波診断装置1の動作中にフレームレートの低下を伴う変更があっても、比較的高いフレームレートで表示することのできるパワードプラモードによって、被検体の観察が可能なフレームレートを維持することができる。
【0081】
(第四の実施例)
次に、本発明に係る超音波診断装置の他の実施形態について説明する。尚、本実施形態の超音波診断装置の構成は、図1及び図2に示す第一の実施形態と同様であり、詳細な説明を省略する。
【0082】
本実施形態に係る超音波診断装置1では、動作手順変更部8dにおいて、ダイナミックフローに変更した動作手順に変更させるものである。
【0083】
ダイナミックフローは、例えば特開2001−269344号公報記載のモードである。尚、本実施形態においては、このダイナミックフローのうち、アンサンブル数を低下させるとともに二次元血流像を血流パワー値で得る変更と、ウォールフィルタ42dのフィルタ帯域の変更と、パルス波数の変更を採用する。
【0084】
図7は、動作手順生成部8dによりフレームレート維持のために変更された動作手順を示す。CFMモード信号処理を、ダイナミックフローによる二次元血流像生成のためのDfモード信号処理に切替える。演算部42dに血流パワー値に基づく演算を行わせ、かつウォールフィルタ42dのフィルタ帯域を広げてスルーに近い状態とし、かつ超音波送受信における超音波のパルス波数を2以下にするよう規定する動作手順に強制変更する。すなわち、動作手順生成部8dは、パルス制御手段でもある。
【0085】
このような超音波診断装置1の動作を図15に基づき説明する。まず、フレームレート算出部8bによりフレームレートが算出される(S400)。
【0086】
フレームレートが算出されると、比較部8cは、閾値記憶部8aに記憶された閾値を読み出す(S401)。比較部8cは、フレームレートと閾値とを比較し(S402)、フレームレートが閾値を下回っていると判断すると(S403,Yes)、動作手順生成部8dは、フレームレート維持のために動作手順を変更する。
【0087】
動作手順生成部8dは、アンサンブル数の低下に加えてCFMモード信号処理をDfモード信号処理に切替えた動作手順を生成し、シーケンサ84のメモリを強制的に書き換える(S404)。シーケンサ84は、この動作手順に従い、各ユニットに制御信号を送信する。特に動作手順に従い、超音波探触子2と送受信回路3は、二次元血流像のための走査において2以下のパルス波数で超音波送受信を行い、演算部42dは、血流パワー値を得る演算を行い、ウォールフィルタ42dは、フィルタ帯域を広げてスルーに近い状態とする動作を行う。
【0088】
尚、フレームレートが閾値を上回っている場合(S405,No)は、動作手順を維持、又は通常生成ルーチンで生成される動作手順に戻す(S405)。
【0089】
図11の(a)は、原則に則って生成される動作手順を示す図であり、(b)は、フレームレート維持のために変更された動作手順を示す。図中のDfは、Dfモード信号処理を示す。また、図11に示すように、変更された動作手順により、CFMモード走査時よりアンサンブル数が低下し、形態像や血流像のための全走査領域の走査完了時間が減少する。
【0090】
また、Dfモード信号処理により、被検体の観察が可能なフレームレートを維持しつつ、良好な画像を得ることができる。
【0091】
尚、第一乃至第四の実施形態で示した各フレームレートの向上の構成及び動作は、組み合わせて行うこともでき、効果的にフレームレートを向上させることができる。組合せは、装置操作者が操作パネル7により行うフレームレートの低下を伴う変更の度合いに応じて行うようにしてもよい。
【0092】
また、動作手順生成部8dは、自らアンサンブル数を低下させた動作手順や走査密度を下げた動作手順等を生成した。しかし、これに限らず、シーケンサ84に動作手順を組み立てるためのアドレス先を規定したインデックスとアンサンブル数等のパラメータを通知し、シーケンサ84がリアルタイムで動作手順を組み立てるようにしてもよい。
【0093】
例えば、CFMモード走査のアンサンブル数を9から4に低下させる場合、動作手順生成部8dは、シーケンサ84に対し、インデックスとCFMモードのアンサンブル数が4であることを示すパラメータを送信し、シーケンサ84がこのインデックスとパラメータに基づいて動作手順を組み立てるようにしてもよい。
【0094】
超音波診断装置1がドプラセグメントスキャンを行うものとして説明してきたが、ドプラ交互スキャンにおいても本発明を適用することができる。更に、本実施形態においては、主に二次元形態像や二次元血流像において説明したが、三次元形態像や三次元血流像においても同様の効果を奏するもので、三次元像のモードであっても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0095】
【図1】第一乃至四の実施形態に係る超音波診断装置のブロック構成図である。
【図2】第一乃至四の実施形態に係る超音波診断装置が備える制御部の機能ブロック図である。
【図3】表示部の表示を示す図であり、トリプレックスモードを説明する図である。
【図4】第一の実施形態に係る動作手順の変更を説明する図である。
【図5】第二の本実施形態に係る動作手順の変更を説明する図である。
【図6】第三の実施形態に係る動作手順の変更を説明する図である。
【図7】第四の実施形態に係る動作手順の変更を説明する図である。
【図8】アンサンブル数を低下させた走査シーケンスを実現する動作手順を示す図である。
【図9】走査密度を低下させた走査シーケンスを実現する動作手順を示す図である。
【図10】パワードプラモードによる走査及び信号処理を規定する動作手順を示す図である。
【図11】ダイナミックフローによる走査及び信号処理を規定する動作手順を示す図である。
【図12】第一の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示す図である。
【図13】第二の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示す図である。
【図14】第三の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示す図である。
【図15】第四の実施形態に係る超音波診断装置の動作を示す図である。
【符号の説明】
【0096】
1 超音波診断装置
2 超音波探触子
3 送受信部
4 信号処理部
5 画像処理部
6 表示部
7 操作パネル
8 制御部
84 シーケンサ
8a 閾値記憶部
8b フレームレート算出部
8c 比較部
8d 動作手順生成部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被検体に対して超音波を送信し、前記被検体から反射波をエコー信号として受信する送受信手段と、
前記エコー信号に対し、ドプラ偏位周波数成分の取り出し処理及びFFT処理を含む処理を施すことによってドプラスペクトラム像を生成するドプラスペクトラム像生成手段と、
前記エコー信号に対し、自己相関処理を含む処理を施すことによって血流像を生成する血流像生成手段と、
前記血流像を得るための送受信と前記ドプラスペクトラム像を得るための送受信を交互に行うことにより、前記血流像と前記ドプラスペクトラム像とを同時又はほぼ同時に表示できるように走査シーケンスを設定する走査シーケンス設定手段と、
を備え、
前記走査シーケンス設定手段は、
前記血流像のフレームレートが所定設定値を下回らないように、前記血流像を得るための送受信についてアンサンブル数を調節した走査シーケンスに変更すること、
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項2】
前記走査シーケンス設定手段は、
前記血流像のフレームレートが所定設定値を下回ることになる場合に、前記血流像を得るための送受信についてアンサンブル数を低下させた走査シーケンスに変更すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項3】
被検体に対して超音波を送信し、前記被検体から反射波をエコー信号として受信する送受信手段と、
前記エコー信号に対し、ドプラ偏位周波数成分の取り出し処理及びFFT処理を含む処理を施すことによってドプラスペクトラム像を生成するドプラスペクトラム像生成手段と、
前記エコー信号に対し、自己相関処理を含む処理を施すことによって血流像を生成する血流像生成手段と、
前記血流像を得るための送受信と前記ドプラスペクトラム像を得るための送受信を交互に行うことにより、前記血流像と前記ドプラスペクトラム像とを同時又はほぼ同時に表示できるように走査シーケンスを設定する走査シーケンス設定手段と、
を備え、
前記走査シーケンス設定手段は、
前記血流像のフレームレートが所定下限値以下とならないように、前記血流像を得るための送受信について走査線密度を調節した走査シーケンスに変更すること、
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項4】
前記アンサンブル数が所定以下の時には、前記血流像生成手段に対し、前記エコー信号から血流パワー値を検出させ、前記血流パワー値に基づいた血流像を生成させる制御を行う血流像生成制御手段をさらに備えること、
を特徴とする請求項1記載の超音波診断装置。
【請求項5】
請求項4記載の超音波診断装置であって、
前記アンサンブル数が所定以下の時には、前記血流像を得るための送受信についてパルス波数を2以下とするパルス制御手段をさらに備え、
前記血流像生成手段は、クラッタ成分を除去するウォールフィルタを含み、
前記血流像生成制御手段は、前記アンサンブル数が所定以下の時には、前記血流像生成手段に対し、前記ウォールフィルタのフィルタ帯域を広げる制御をさらに行うこと、
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項6】
請求項1乃至5のいずれかに記載の超音波診断装置であって、
前記エコー信号に対して、検波処理及び対数変換処理を含む処理を施すことによって前記被検体の組織を輝度で示す形態像を生成する形態像生成手段を備え、
前記血流像は、前記形態像と合成して表示されること、
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項7】
前記血流像生成手段は、
前記アンサンブル数が所定以上の時には、血流情報をカラーで示す血流像を生成し、所定以下の時には血流情報を輝度で示す血流像を生成すること、
を特徴とする請求項1に記載の超音波診断装置。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれかに記載の超音波診断装置であって、
装置操作者による前記所定設定値の変更を受け付ける変更受付手段をさらに備えること、
を特徴とする超音波診断装置。
【請求項9】
被検体に対して超音波を送信し、前記被検体から反射波をエコー信号として受信する送受信手段と、前記エコー信号に対し、ドプラ偏位周波数成分の取り出し処理及びFFT処理を含む処理を施すことによってドプラスペクトラムを生成するドプラスペクトラム生成手段と、前記エコー信号に対し、自己相関処理を含む処理を施すことによって血流像を生成する血流像生成手段と、を備える超音波診断装置に対して、
前記血流像を得るための送受信と前記ドプラスペクトラムを得るための送受信を交互に行うことにより、前記血流像と前記ドプラスペクトラム像とを同時又はほぼ同時に表示できるように走査シーケンスを設定させ、
前記血流像のフレームレートが所定設定値を下回らないように、前記血流像を得るための送受信についてアンサンブル数を調節した走査シーケンスに変更させること、
を特徴とする超音波診断装置の制御プログラム。
【請求項10】
被検体に対して超音波を送信し、前記被検体から反射波をエコー信号として受信する送受信手段と、前記エコー信号に対し、ドプラ偏位周波数成分の取り出し処理及びFFT処理を含む処理を施すことによってドプラスペクトラムを生成するドプラスペクトラム生成手段と、前記エコー信号に対し、自己相関処理を含む処理を施すことによって血流像を生成する血流像生成手段と、を備える超音波診断装置に対して、
前記血流像を得るための送受信と前記ドプラスペクトラムを得るための送受信を交互に行うことにより、前記血流像と前記ドプラスペクトラム像とを同時又はほぼ同時に表示できるように走査シーケンスを設定させ、
前記血流像のフレームレートが所定設定値下回らないように、前記血流像を得るための送受信について走査線密度を調節した走査シーケンスに変更させること、
を特徴とする超音波診断装置の制御プログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate


【公開番号】特開2006−116149(P2006−116149A)
【公開日】平成18年5月11日(2006.5.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−308642(P2004−308642)
【出願日】平成16年10月22日(2004.10.22)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【出願人】(594164542)東芝メディカルシステムズ株式会社 (4,066)
【Fターム(参考)】