説明

路面情報提供装置及び路面状態判断方法

【課題】ドライバが路面状態を考慮し、スリップをしないように運転をする場合でも、路面状態を判断する。
【解決手段】予め定義された基準状態の道路区間を走行する車両の基準車両情報を取得し、取得された基準車両情報を道路区間に対応づけた基準情報を生成する基準情報生成機能と、車両から車両情報と位置情報を取得する車両情報取得機能と、取得された車両情報と、取得された車両の位置情報が属する道路区間と対応づけられた基準車両情報とを比較し、比較の結果に基づいて道路区間の路面状態を判断する路面状態判断機能と、判断された路面状態の情報を送出する送出機能とを実行させる制御装置10を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、道路の路面の状態に関する情報を提供する路面情報提供装置及び道路の路面の状態を判断する路面状態判断方法に関する。
【背景技術】
【0002】
ABS(Antilock Brake System)などの走行制御装置に用いられる車両状態量と走行位置とに基づいて路面状態を判断し、その路面状態の情報を他の車両に配信する技術が知られている(特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平7−334786号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、従来の技術では、車両の車両状態量に基づいて算出されたスリップ率等の道路環境値に基づいて路面状態を判断するため、ドライバが路面状態を考慮して適切な運転をする場合は、車両状態量から路面状態を正確に判断することができないという問題があった。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、予め定義された基準状態の道路区間を走行する車両の基準車両情報と、同じ道路区間を走行する車両の車両情報とを比較し、その比較の結果に基づいて、その道路区間の路面状態を判断することにより上記課題を解決する。
【発明の効果】
【0006】
本発明によれば、各道路区間を走行する車両の車両情報に基づいてその路面状態を判断することができるので、ドライバが路面状態を考慮して適切な運転をすることによりスリップ等が実際に発生しない場合であっても各道路区間の路面状態を判断することができる。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】本実施形態の路面情報配信装置100と車載装置2000とを含む路面情報配信システム1のブロック構成図である。
【図2】図1に示す、本実施形態の路面情報配信装置100のブロック構成と車載装置2000のブロック構成とを示す図である。
【図3】基準情報と走行する車両から取得された車両情報との比較処理を説明するための図である。図3(A)は、基準状態の3つの道路区間を走行する車両の基準車両情報(加速度、アクセル開度、ブレーキ作動時間、減速度、車速)の一例を示す図である。また、図3(B)は基準状態以外の状態であって、路面が凍結状態などの路面の摩擦係数が低い状態の3つの道路区間を走行する車両の車両情報(加速度、アクセル開度、ブレーキ作動時間、減速度、車速)の一例を示す図である。
【図4】本実施形態の基準情報の生成処理を説明するためのフローチャート図である。
【図5】本実施形態の路面状態の判断処理を説明するためのフローチャート図である。
【図6】本実施形態の路面情報の出力処理を説明するためのフローチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、図面に基づいて、本実施形態に係る路面情報配信装置100について説明する。本実施形態の路面情報配信装置100は、各道路区間の路面状態を判断し、その判断結果に係る路面状態の情報をユーザに配信する装置である。
【0009】
図1及び図2は、本実施形態に係る路面情報配信装置100と車載装置2000を含む路面情報配信システム1のブロック構成図である。図1は路面情報配信システム1全体の構成の概要を示し、図2は車載装置2000と路面情報配信装置100の具体的な構成の概要を示す図である。
【0010】
図1に示すように、本実施形態の路面情報配信装置100は、通信装置20と、制御装置10と、センター側地図データベース30とを有する。また、路面情報配信装置100の通信装置20は、車載装置2000はもとより、交通情報の収集及び配信を行う交通情報センター4000及び気象情報の収集及び配信を行う気象情報センター5000と通信設備3000を介して情報の授受を行う。
【0011】
同図に示すように、本実施形態の車載装置2000は、車両情報を集中的に管理する車両コントローラ200と、各種車両情報(基準車両情報)を検知するセンサ300と、検知された車両情報(基準車両情報)を記憶する車両情報のメモリ350と、乗員に路面状態その他の情報を提供するモニタ・スピーカを含む出力装置400と、経路を案内するナビゲーション装置500と、車両の走行を支援する走行支援装置600と、路面情報配信装置100等の外部との通信処理を行う車両側通信装置700とを有する。これら車載された各装置2000は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
【0012】
また、図2に示すように、各種車載センサ300は、車速を検知する車速センサ301と、加速度を検知する加速度センサ302と、アクセル開度を検出するアクセル開度センサ303と、ブレーキの作動を検知するブレーキON/OFFセンサ304と、ブレーキの踏込み量を検知するマスターシリンダー液圧センサ305と、外気温センサ306とを備える。また、ナビゲーション装置500は、各地点の位置及び属性、各道路リンクの位置及び属性を含む地図データベース510と、GPS521を備える現在位置検出機能520と、経路探索機能530を備える。また、走行支援装置600は、ABS(Antilock Brake System)、VDC(Vehicle Dynamics Control)を備える。これら車載された各装置(200〜700)は、CAN(Controller Area Network)その他の車載LANによって接続され、相互に情報の授受を行う。
【0013】
以下、図面に基づいて、路面情報配信装置100の各構成を説明する。
【0014】
図2に示すように、路面情報配信装置100は、各道路区間の路面状態を判断する処理と、判断結果に係る各道路区間の路面状態を送出する処理を実行する制御装置10を備える。
【0015】
本実施形態の制御装置10は、情報提供処理を実行するためのプログラムが格納されたROM(Read Only Memory )12と、このROM12に格納されたプログラムを実行することで、路面情報配信装置100として機能する動作回路としてのCPU(Central Processing Unit)11と、アクセス可能な記憶装置として機能するRAM(Random Access Memory)13と、を備える。なお、動作回路としては、CPU(Central Processing Unit)11に代えて又はこれとともに、MPU(Micro Processing Unit)、DSP(Digital Signal Processor)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field Programmable Gate Array)などを用いることができる。
【0016】
この制御装置10は、基準状態における車両の基準情報を生成する基準情報生成機能と、車両の車両情報と位置情報を取得する車両情報取得機能と、道路区間の路面状態を判断する路面状態判断機能と、路面状態の情報を送出する送出機能とを有する。制御装置10は、機能を実現するためのソフトウェアと、上述したハードウェアの協働により各機能を実行する。なお、これらの各機能は制御装置10以外の装置、例えば、車載されたABS(Antilock Brake System)、VDC(Vehicle Dynamics Control)のコントローラに実行させてもよい。
【0017】
以下、上述した路面情報配信装置100の制御装置10が実現する機能についてそれぞれ説明する。
【0018】
まず、路面情報配信装置100の基準情報生成機能について説明する。この基準情報は、本実施形態における各道路区間の路面の状態を判断するための基準となるデータベースである。
【0019】
制御装置10は、このデータベース(基準情報)を生成するため、予め定義された基準状態の道路区間を走行する車両の基準車両情報を取得する。
【0020】
まず、本実施形態における「基準状態」について説明する。本実施形態において、基準状態は、路面に異常の無い通常の状態であり、予め定義される。具体的に、本実施形態の基準状態は、路面凍結など道路区間の走行に影響を与える状態が形成される可能性が低いと考えられる状態である。本実施形態において、基準状態は、路面の摩擦係数の値が車両の走行に影響を与えない範囲(予め実験等により求める)の値である状態と定義される。また、路面の摩擦係数が車両の走行に影響を与えない範囲となる蓋然性が高い状態として、本実施形態では、基準状態を、道路区間を含む地域の平均気温が所定値以上の状態であると定義する。なお、道路区間を含む地域の平均気温などは、過去の気象データから抽出する。
【0021】
また、経験的に道路区間の路面が凍結しないと予測され、路面の摩擦係数の値が車両の走行に影響を与えない範囲となる蓋然性が高い状態として、本実施形態では、基準状態を、道路区間を含む地域の平均気温が所定温度以上(所定温度は10℃〜25℃の任意の温度)の状態であると定義する。また、同様に観点から、路面の摩擦係数が車両の走行に影響を与えない範囲となる蓋然性が高い状態として、本実施形態では、基準状態を、経験的に路面が凍結しないと予測される季節(初夏〜初秋に対応する期間4月〜10月)又は期間(5月〜9月)の状態であると定義する。さらに、基準状態を、路面が凍結しない可能性が高まる日中の時間帯(例えば、9時〜4時であると定義する。制御装置10は、予め定義された基準状態の内容を記憶する。
【0022】
本実施形態の制御装置10は、外部の気象情報センター5000から道路区間を含む地域の平均温度情報を取得し、その平均温度が所定値以上である期間に限って基準情報を生成する。同様に、制御装置10は、内蔵するタイマー(図示せず)から現在時刻を取得し、現在の日時や時刻が予め定義された期間や時刻帯に属する場合に限って基準情報を生成する。
【0023】
続いて、道路区間を走行する車両の基準車両情報(車両情報)の取得手法について説明する。
【0024】
まず、制御装置10は、各道路区間を走行する際の車両情報を取得する観点から、車両が道路区間を走行することを検出するとともに、その道路区間を走行する際の車両情報等を取得する。車両は、所定周期で検出された位置情報(現在位置)と、車両情報とを対応づけて路面情報配信装置100へ送出する。
【0025】
制御装置10は、車両が走行する道路区間を特定するため、車両の現在位置が属する道路区間を判断する。この車両の現在位置(位置情報)は、GPS(Global Positioning System)を備える車載のナビゲーション装置500の現在位置検出機能520により検出される。また、本実施形態における道路区間は、道路の2地点間の道路リンクとして、2つ以上の地点の位置情報(道路区間の始点及び終点、道路区間に属する地点の緯度・経度)により定義される。道路区間は任意に定義することができるが、本実施形態においては、道路区間を、交差点と交差点との間の所定の区間、交差点の手前の所定の区間、交差点を超えた所定の区間、交差点を含む所定の区間及び所定値以上の曲率を有する区間のうちの何れか一つ以上の特徴を有する区間とする。この道路区間の定義は、センター側の地図データベース30に予め記憶される。もちろん道路区間の定義を、車両側のナビゲーション装置500の地図データベース510に記憶させてもよい。
【0026】
制御装置10は、地図データベース30を参照し、車載装置10から取得する現在位置が属する道路区間を抽出し、車両が走行する道路区間を特定する。
【0027】
次に、制御装置10は、その道路区間を走行する際の車両の車両情報を取得する。道路区間の状態が基準状態であるときに取得される車両情報は基準車両情報となる。
【0028】
本実施形態において、車両情報(基準車両情報)は、車両の速度、車両の加速度、車両のアクセル開度、車両の減速度及び車両のブレーキ作動時間のうち一つ以上を含む情報である。
【0029】
制御装置10は、車載装置2000から車両の速度、車両の加速度、車両のアクセル開度、ブレーキ踏力、ブレーキON/OFF信号、外気温等を車両情報(基準車両情報)として取得する。
【0030】
これらの車両情報(基準車両情報)は、各種車載センサ300(車速センサ(301),加速度センサ(302),アクセル開度センサ(303),ブレーキON/OFFセンサ(304)、マスターシリンダー液圧センサ又はブレーキ踏力センサ(305),外気温センサ(306))により検出され、車両コントローラ200及び車両側通信装置700を介して路面情報配信装置100へ送出される。
【0031】
制御装置10は、車載装置2000から取得した車両の現在位置に基づいて車両が走行する道路区間を特定し、基準状態の道路区間を走行する車両の基準車両情報を特定した道路区間に対応づけて記憶する。制御装置10は、道路区間ごとに記憶された基準車両情報を用いて、各道路区間の基準情報を生成する。また、本実施形態の制御装置10は、複数の車両から取得された基準車両情報の平均値、偏差値、最大値、ピーク値、中央値、総量その他の代表値を求め、この代表値を道路区間に対応づけた基準情報を生成する。そして、制御装置10は、生成した基準情報をRAM13に蓄積する。
【0032】
本実施形態では、基準情報を、実際に各道路区間を走行した車両から取得された車両情報に基づいて生成するので、各道路区間の道路形状、通行条件(停止・発進地点を含む)、路面凍結のしやすさ(日照条件、道路面の凹凸など)の具体的な条件が反映された基準を生成することができる。
【0033】
このように、道路区間と基準車両情報とを対応づけた本実施形態の基準情報によれば、各道路区間を走行するときの車両情報、つまり、運転の傾向及び車両の挙動を知ることができる。また、本実施形態の基準情報は基準状態において収集される情報であるから、基準情報により、基準状態における運転の傾向を知ることができる。
【0034】
続いて、路面情報配信装置100の車両情報取得機能について説明する。制御装置10は、路面の状態の判断処理を行うため、各車両から車両情報と位置情報を取得する。
【0035】
制御装置10は、上述した基準車両情報と同様に、車載装置2000の各種センサ300により検出された車両の速度、車両の加速度、車両のアクセル開度、ブレーキ踏力、ブレーキON/OFF信号、外気温などの車両情報を取得する。また、制御装置10は車両情報とともに、ナビゲーション装置500が検出する現在位置を取得する。
【0036】
なお、路面状態の判断を行う際に、制御装置10は、基準状態以外の状態において道路区間を走行する車両の車両情報を取得することが好ましい。つまり、制御装置10は、路面凍結など道路区間の走行に影響を与える状態が形成される可能性が高いと考えられる状態において車両情報を取得する。具体的に、制御装置10は、道路区間を含む地域の平均気温が所定値未満である状態、経験的に路面が凍結する可能性がある季節(晩秋〜春)又は期間(10月〜4月)において車両情報を取得する。言い換えると、制御装置10は、路面が通常状態である基準状態下においては、路面状態の判断を実行しないようにしてもよい。取得された車両情報と現在位置は、路面状態の判断に用いられる。
【0037】
次に、路面情報配信装置100の路面状態判断機能について説明する。制御装置10は、車両から取得された車両情報と、車両から取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた基準車両情報とを比較し、その比較の結果に基づいて車両が走行する道路区間の路面状態を判断する。
【0038】
路面が凍結状態である道路区間を走行するドライバの運転傾向(運転される車両の挙動)と、路面が通常の状態(凍結していない状態)の道路区間を走行するドライバの運転傾向(運転される車両の挙動)は異なる特徴を示す。
【0039】
たとえば、凍結状態など路面の摩擦係数が小さい道路区間を走行する際、ドライバはスリップを避けるため、緩やかに加速し、速度も低めに抑え、減速時はブレーキをゆっくりと時間をかけて踏んで停車する。一方、凍結などの心配がない道路区間を走行する際、ドライバは、加速を緩やかにすることもなく、速度を低く抑えることもなく、ブレーキをゆっくりと時間をかけて踏むこともなく、通常時と同じように運転する。
【0040】
すなわち、通常時である基準状態における車両情報と路面凍結などの路面に異常がある場合における車両情報との間には差を検出することができる。
【0041】
なお、基準車両情報と車両情報とを比較する際に、その取得の時期及び/又は時間が共通することが好ましい。つまり、制御装置10は、基準情報を時期及び/又は時間ごとに生成し、車両情報が取得された時期及び/又は時間と共通する時期及び/又は時間の基準情報に基づいて、路面状態を判断する。
【0042】
以下、図3に基づいて、基準状態(通常状態)における車両情報の傾向と、摩擦係数が低い状態(凍結状態)における車両情報の傾向を説明する。
【0043】
図3(A)は、基準状態にある3つの道路区間を走行する車両の基準車両情報(加速度、アクセル開度、ブレーキ作動時間、減速度、車速)の一例を示す図である。また、図3(B)は基準状態以外の状態であって、路面が凍結状態などの路面の摩擦係数が低い状態にある3つの道路区間を走行する車両の車両情報(加速度、アクセル開度、ブレーキ作動時間、減速度、車速)の一例を示す図である。
【0044】
図3(A)及び(B)に基づいて、同一の走行道路の路面の摩擦係数が異なる場合における車両情報を比較する。図3(A)及び(B)において、地点Aから地点Bまでが道路区間Aと定義され、地点Bから地点Cまでが道路区間Bと定義され、地点Cから地点Dまでが道路区間Cと定義される。各地点A〜Dは緯度・経度その他の地図座標値により特定される。また、道路区間Aは交差点の手前の所定の道路区間であり、道路区間Bは交差点と交差点との間の所定の区間であり、道路区間Cは自車両の進行方向(図中矢印で示す)に沿って交差点を超えた所定の区間である。もちろん地点B又は地点Cの交差点を含む区間や所定値以上の曲率を含む区間を道路区間としてもよい。
【0045】
図3に基づいて、道路区間A〜Cにおける基準車両情報と車両情報を観察する。
【0046】
まず、加速度又はアクセル開度について観察する。図3(A)に示す基準状態における加速度又はアクセル開度と、図3(B)に示す路面の摩擦係数が低い状態(凍結区間)における加速度又はアクセル開度を比較すると、道路区間A〜Cのいずれの区間においても、凍結状態における車両の加速度の最大値又はアクセル開度の最大値は基準状態における車両の加速度の最大値又はアクセル開度の最大値よりも低い。また、道路区間A〜Cのいずれの区間においても、凍結状態における車両の単位時間あたりの加速度の総量(積分値)又は単位時間当たりのアクセル開度の総量(積分値)は基準状態における単位時間当たりの加速度の総量(積分値)又はアクセル開度の総量(積分値)よりも低い。特に、図3に示すように、車両の発進時における加速度又はアクセル開度の差に顕著な差が生じる。
【0047】
このように、凍結状態で路面の摩擦係数が低い状態の道路区間を走行する場合において、運転者は、路面の摩擦係数が通常値(基準状態)の道路区間を走行するときよりも、緩やかに発進し、急な加速をしない傾向がある。
【0048】
この加速度又はアクセル開度に現れる運転傾向の差を考察することにより、車両が実際にスリップをしたことが検出されなくても、路面が凍結状態などの運転に注意をすべき状態であることを推測できる。
【0049】
次に、ブレーキ作動時間について観察する。図3(A)に示す基準状態におけるブレーキ作動時間と、図3(B)に示す路面の摩擦係数が低い状態(凍結区間)におけるブレーキ作動時間を比較すると、進行方向に交差点がある道路区間A及びBの区間において、凍結状態における車両のブレーキ作動時間は基準状態における車両のブレーキ作動時間よりも長い。また、道路区間A及びBの区間において、凍結状態における車両のブレーキ作動時間は基準状態におけるブレーキ作動時間よりも長い。図示はしないが、減速度(単位時間あたりのブレーキ踏込み量)についても同様に傾向が見られる。つまり。凍結状態における車両の減速度(単位時間あたりのブレーキ踏込み量)は基準状態における車両の減速度(単位時間あたりのブレーキ踏込み量)よりも低い。
【0050】
このように、凍結状態で路面の摩擦係数が低い状態の道路区間を走行する場合において、運転者は、路面の摩擦係数が通常値(基準状態)の道路区間を走行するときよりも、交差点からより離れた地点から早めにブレーキを踏み始め、時間をかけて緩やかに減速し、急にブレーキを踏みこむ運転をしない傾向がある。
【0051】
このブレーキ作動時間又は減速度(単位時間あたりのブレーキ踏込み量)に現れる運転傾向の差を考察することにより、車両が実際にスリップをしたことが検出されなくても、路面が凍結状態などの運転に注意をすべき状態であることを推測できる。
【0052】
さらに、車両の速度について観察する。図3(A)に示す基準状態における車両の速度と、図3(B)に示す路面の摩擦係数が低い状態(凍結区間)における車両の速度を比較すると、道路区間A〜Cのいずれの区間においても、凍結状態における車両の速度の最大値又は車両の速度の平均値は基準状態における車両の速度の最大値又は車両の速度の平均値よりも低い。また、道路区間A〜Cのいずれの区間においても、凍結状態における車両の速度の最大値又は車両の速度の平均値は基準状態における車両の速度の最大値又は車両の速度の平均値よりも低い。
【0053】
このように、凍結状態で路面の摩擦係数が低い状態の道路区間を走行する場合において、運転者は、路面の摩擦係数が通常値(基準状態)の道路区間を走行するときよりも、ゆっくりした速度で運転する傾向がある。
【0054】
この車両の速度の最大値又は車両の速度の平均値の差を考察することにより、車両が実際にスリップをしたことが検出されなくても、路面が凍結状態などの運転に注意をすべき状態であることを推測できる。
【0055】
上述した路面に状態によって変化する運転傾向の差を利用し、制御装置10は、道路区間の路面状態を判断する。具体的な判断手法を以下に説明する。
【0056】
第1の手法として、制御装置10は、路面状態の判断処理時に取得された車両の速度が、取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた車両の速度未満又は車両の速度の代表値未満である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。この判断の一態様として、制御装置10は、同一の道路区間についての基準状態下で検出された車両の速度の平均値、偏差値、最大値、ピーク値、中央値、総量その他の代表値(基準車両情報)と、今回取得された車両の速度又は取得された車両の速度の代表値との差が所定値以上である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。つまり、制御装置10は、基準状態よりも所定量以上の低い速度又は平均速度が検出された場合は、運転者の運転傾向に変化があったとして、その道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。
【0057】
第2の手法として、制御装置10は、路面状態の判断処理時に取得された車両の加速度(又はアクセル開度)が、取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた車両の加速度(又はアクセル開度)未満又は車両の加速度(又はアクセル開度)の代表値未満である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。この判断の一態様として、制御装置10は、同一の道路区間についての基準状態下で検出された車両の加速度(又はアクセル開度)の平均値、偏差値、最大値、ピーク値、中央値、総量その他の代表値(基準車両情報)と、今回取得された車両の加速度(又はアクセル開度)又は取得された車両の加速度(又はアクセル開度)の代表値との差が所定値以上である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。つまり、制御装置10は、基準状態よりも所定量以上の低い加速度又はアクセル開度(車両情報)が検出された場合は、運転者の運転傾向に変化があったとして、その道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。
【0058】
第3の手法として、制御装置10は、路面状態の判断処理時に取得された車両の減速度が、取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた車両の減速度(又は単位時間あたりのブレーキ踏込み量)未満の代表値未満である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。この判断の一態様として、制御装置10は、同一の道路区間についての基準状態下で検出された車両の減速度(又は単位時間あたりのブレーキ踏込み量)の平均値、偏差値、最大値、ピーク値、中央値、総量その他の代表値(基準車両情報)と、今回取得された車両の減速度(又は単位時間あたりのブレーキ踏込み量)の代表値との差が所定値以上である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。つまり、制御装置10は、基準状態よりも所定量以上の低い減速度又は単位時間あたりのブレーキ踏込み量が検出された場合は、運転者の運転傾向に変化があったとして、その道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。
【0059】
第4の手法として、制御装置10は、路面状態の判断処理時に取得された車両のブレーキ作動時間が、取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた車両のブレーキ作動時間以上またはブレーキ作動時間の代表値以上である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。この判断の一態様として、制御装置10は、同一の道路区間についての基準状態下で検出された車両のブレーキ動作時間の平均値、偏差値、最大値、ピーク値、中央値、総量その他の代表値(基準車両情報)と、今回取得された車両のブレーキ動作時間又はその代表値との差が所定値以上である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。つまり、制御装置10は、基準状態よりも所定量以上の長いブレーキ作動時間が検出された場合は、運転者の運転傾向に変化があったとして、その道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する。
【0060】
このように、一の道路区間の車両情報の差に基づいて路面状態を判断するので、実際にABSなどの走行支援装置600が起動しなくても、各道路区間の路面状態を予測することができる。
【0061】
また、制御装置10は、精度向上の観点から、道路区間の渋滞情報、道路区間を含む地域の気象情報、及び走行支援装置600の作動情報を用いて、路面状態の判断処理の制御を行う。
【0062】
具体的に、制御装置10は、道路区間の交通情報を取得する交通情報取得機能をさらに備え、この交通情報に路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれない場合は路面状態の判断を実行する。つまり、交通情報に路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれる場合は、路面状態の判断を実行しない。道路区間が交通渋滞である場合は、運転者は通常の運転を行うことができず、速度、加速度、減速度、ブレーキの作動時間などの車両情報に変化が生じる。このため、この車両情報の変化により路面状態を誤って判断してしまう場合がある。本実施形態によれば、交通渋滞が発生していない場合に限って路面状態を判断するため、交通渋滞に起因する影響を排除して路面状態を正確に判断することができる。
【0063】
また、制御装置10は、道路区間の気象情報を取得する気象情報取得機能をさらに備え、路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満である場合は、路面状態の判断を実行する。つまり、路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値以上である場合は、路面状態の判断を実行しない。気温が高い場合(気温が高い期間中である場合)は路面凍結が発生することがない。本実施形態によれば、気温が低い場合に限って路面状態を判断するため、路面状態の判断の精度を向上させることができる。なお、制御装置10は、道路区間が属する地域の気温とともに又はこれに代えて道路区間が属する地域の降雪情報を用いることができる。
【0064】
さらに、制御装置10は、車両のスリップ時における走行支援機能の起動情報を取得する走行支援情報取得機能をさらに備え、路面状態の判断に係る道路区間を走行する車両から走行支援機能の起動情報が取得された場合は、路面状態の判断を実行する。ABS等が起動した場合は、その道路区間は滑りやすい状態、すなわち凍結状態にあると推測できる。このような場合に路面状態を判断するので、路面状態の判断の精度を向上させることができる。
【0065】
また、制御装置10は、精度向上の観点から、道路区間の渋滞情報、道路区間を含む地域の気象情報、及び走行支援装置600の作動情報を用いて、基準情報に含まれる基準車両情報の補正を行う。この基準情報に含まれる基準車両情報は、路面状態の判断時の閾値となる。制御装置10は、状況に応じて基準車両情報を補正し、路面状態の判断の精度を向上させる。
【0066】
具体的に、制御装置10は、道路区間の交通情報を取得する交通情報取得機能をさらに備え、路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれる場合は、生成された基準車両情報又はその代表値である車両の速度、加速度、アクセル開度又は減速度の値を低い値に補正する。また、制御装置10は、路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれる場合は、生成された基準車両情報又はその代表値である車両のブレーキ作動時間の値を高い値に補正する。
【0067】
渋滞が発生している場合は、運転者は速度を控えめにし、加減速も緩やかに行い、ブレーキも早めに踏み始めて長い距離を使って車両を停止させる。本実施形態では、渋滞に起因して生じる車両情報の変動量に応じた量を調整して渋滞発生時における基準情報を新たに設定する。
【0068】
また、制御装置10は、道路区間の気象情報を取得する気象情報取得機能をさらに備え、路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満である場合は、生成された基準車両情報又はその代表値である車両の速度、加速度、アクセル開度又は減速度の値を低い値に補正する。また、制御装置10は、路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満である場合は、生成された基準車両情報又はその代表値である車両のブレーキ作動時間の値を高い値に補正する。また、制御装置10は、気象情報が道路区間の属する地域の降雪情報を含む場合に、気温が所定値未満の場合と同じ処理を実行してもよい。
【0069】
気温が低い場合は路面が凍結する可能性が高い。このような場合、運転者は速度を控えめにし、加減速も緩やかに行い、ブレーキも早めに踏み始めて長い距離を使って車両を停止させる。制御装置10は、気温が低いときに生じる運転傾向によって生じる車両情報の変動量に応じた量を調整して低気温時における基準情報を新たに設定する。
【0070】
さらに、制御装置10は、スリップ時における走行支援装置600の起動情報を取得する走行支援情報取得手段をさらに備え、走行支援装置600の起動情報が取得された場合は、生成された基準車両情報又はその代表値である車両の速度、加速度、アクセル開度又は減速度の値を低い値に補正する。また、制御装置10は、走行支援装置600の起動情報が取得された場合は、生成された基準車両情報又はその代表値である車両のブレーキ作動時間の値を高い値に補正する。
【0071】
走行支援装置600が備えるABS(Antilock Brake System)、VDC(Vehicle Dynamics Control)などの機能が起動した場合、それが1台又は数台の車両であったとしても、路面の一部がすでに凍結している可能性が高い。このような場合、基準車両情報と取得された車両情報との差が小さくても路面状態を要注意状態であると判断することが好ましい。また、このような路面状態の道路区間では、運転者は速度を控えめにし、加減速も緩やかに行い、ブレーキも早めに踏み始めて長い距離を使って車両を停止させる傾向が生じる。
【0072】
本実施形態では、路面状態が要注意状態であるか否かを厳しく監視する観点から、スリップ発生時に生じる運転傾向によって生じる車両情報の変動量に応じた量を調整して基準情報を新たに設定する。
【0073】
最後に、路面情報配信装置100の送出機能について説明する。制御装置10は、判断された路面状態の情報を送出する。本実施形態の制御装置10は、判断された路面状態の情報を、通信装置20を介して車載装置2000へ送出する。制御装置10は、通信アドレスが特定された車載装置2000あてに路面状態の情報を送出してもよいし、不特定の車載装置2000あてに送出してもよい。路面状態の情報を取得した車載装置2000は、車両に搭載されたディスプレイ410及び/又はスピーカ420を介して路面情報をユーザに提示する。また、車載装置2000の走行支援装置600は、取得した路面状態の情報をABS(Antilock Brake System)、VDC(Vehicle Dynamics Control)などの機能において利用してもよい。
【0074】
続いて、本実施形態の路面情報配信装置100と車載装置200を含む路面情報配信システム1の制御手順を説明する。
【0075】
図4は本実施形態の基準情報の生成処理を説明するためのフローチャート図であり、図5は本実施形態の路面状態の判断処理を説明するためのフローチャート図であり、図6は本実施形態の路面状態の情報の出力処理を説明するためのフローチャート図である。
【0076】
まず、図4に基づいて、基準情報の生成処理を説明する。基準情報の生成処理は、対象となる道路区間が基準状態であるときに実行される。
【0077】
図4に示すように、ステップS101において、車載装置2000の各種センサ300は、車両の車速、加速度、アクセル開度、ブレーキオン/オフのタイミング、ブレーキ踏み込み量などの車両情報を検出する。また、同ステップ101において、車載装置2000のナビゲーション装置500は、車両情報検出時における車両の現在位置を検出する。取得された車両情報と現在位置は、車両コントローラ200へ送出される。車両コントローラ200は、取得された車両情報と現在位置を記憶する。
【0078】
次に、ステップS102において、車両コントローラ200は、車両側通信装置700に、蓄積された車両情報と現在位置を路面情報配信装置100へ送出させる。この処理は、所定周期で実行される。
【0079】
以降は路面情報配信装置100の処理となる。
【0080】
ステップS103において、路面情報配信装置100の制御装置10は、車両が走行する道路区間が基準状態であるか否かを判断する。まず、制御装置10は、車両側から取得する現在位置に基づいて、車両が走行する道路区間を特定する。具体的に、制御装置10は車両の現在位置が属する(含まれる)道路区間を特定する。
【0081】
そして、その道路区間が基準状態であるか否かを判断する。制御装置10は、気象情報センター5000から取得する道路区間が属する地域の平均気温が所定値以上である場合は、道路区間が基準状態であると判断する。また、制御装置10は、車両情報が検出された日時が、予め定義された期間(路面の摩擦係数に影響が無い時期に対応する期間,例えば夏季期間)に属する場合は、道路区間が基準状態であると判断する。道路区間が基準状態であると判断された場合はステップS104へ進み、道路区間が基準状態でないと判断された場合は、次に車両から取得する車両情報と位置情報についてステップS103の処理を繰り返す。
【0082】
続くステップS104において、制御装置10は、取得した基準状態の道路区間を走行する車両の基準情報を、道路区間に対応させて蓄積する。
【0083】
また、ステップS104において、制御装置10は、同時間帯に同道路区間を通過した車両の基準車両情報(車両の速度、車両の加速度、車両のアクセル開度、車両の減速度及び車両のブレーキ作動時間のうち一つ以上)の代表値を算出する。具体的に、制御装置10は、道路区間ごとに蓄積された複数の基準車両情報について、その平均値、偏差値、最大値、ピーク値、中央値、総量その他の代表値を求める。
【0084】
そして、制御装置10は、この代表値を道路区間に対応づけた基準情報を生成する。
【0085】
次に、図5に基づいて、路面状態判の判断処理を説明する。
【0086】
図5に示すように、ステップS111において、車載装置2000の各種センサ300は、車両の車速、加速度、アクセル開度、ブレーキオン/オフのタイミング、ブレーキ踏み込み量などの車両情報を検出する。また、同ステップ111において、車載装置2000のナビゲーション装置500は、車両情報検出時における車両の現在位置を検出する。取得された車両情報と現在位置は、車両コントローラ200へ送出される。
【0087】
次に、ステップS112において、車両コントローラ200は、車両側通信装置700に、検出された車両情報と現在位置を路面情報配信装置100へ送出させる。この処理は、所定周期で実行される。
【0088】
以降は路面情報配信装置100の処理となる。
【0089】
ステップS113において、路面情報配信装置100の制御装置10は、車両側から取得する現在位置に基づいて、車両が走行する道路区間を特定する。具体的に、制御装置10は車両の現在位置が属する(含まれる)道路区間を特定する。
【0090】
続くステップS114において、制御装置10は、ステップS113において特定された道路区間に対応づけられた車両情報又はその代表値を取得する。
【0091】
さらに、ステップS115において、制御装置10は、交通情報センター4000から特定された道路区間を含む道路の交通情報を取得し、気象情報センター5000から特定された道路区間を含む地域の気象情報を取得する。また、制御装置10は、車両側から取得した、車両に搭載された走行支援装置600から車両のスリップ時において出力される走行支援機能の起動情報を取得する。
【0092】
次に、ステップS115において、制御装置10は、走行支援機能の起動情報を取得したか否かを判断する。この判断により、道路区間において車両がスリップした事実を認識することができる。車両が道路区間でスリップをした旨の走行支援機能の起動情報を取得した場合は、ステップS120又はステップS121へ進む。他方、車両が道路区間でスリップをした旨の走行支援機能の起動情報を取得しなかった場合は、ステップS117へ進む。
【0093】
ステップS117において、制御装置10は、路面状態の判断処理を実行する条件を満たすか否かを判断する。具体的に、制御装置10は、交通情報センター4000から取得する交通情報に、路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれるか否かを判断する。交通情報に渋滞情報が含まれない場合はステップS119へ進む。一方、交通情報に渋滞情報が含まれる場合はステップS118へ進み、路面状態の判断の処理を中断する。これは渋滞の影響で路面状態の判断に誤りが生じるのを防止するためである。
【0094】
また、同ステップにおいて、制御装置10は、気象情報センター5000から取得する交通情報に、路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満であるか否かを判断する。道路区間が属する地域の気温が所定値未満である場合はステップS119へ進む。一方、道路区間が属する地域の気温が所定値以上である場合はステップS118へ進み、路面状態の判断の処理を中断する。これは気温が低い場合にのみ路面状態を判断し、誤った判断をしないようにするためである。
【0095】
続くステップS119において、制御装置10は、基準車両情報の補正が必要であるか否かを判断する。具体的に、制御装置10は、交通情報センター4000から取得する交通情報に、路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれるか否かを判断する。交通情報に渋滞情報が含まれない場合はステップS121へ進む。一方、交通情報に渋滞情報が含まれる場合はステップS120へ進み、基準車両情報の補正処理を実行する。基準車両情報を補正することにより、渋滞の影響で生じた車両情報の変化量分を調節することができる。
【0096】
また、同ステップにおいて、制御装置10は、気象情報センター5000から取得する交通情報に、路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満であるか否かを判断する。道路区間が属する地域の気温が所定値以上である場合はステップS121へ進む。一方、道路区間が属する地域の気温が所定値未満である場合はステップS120へ進み、基準車両情報の補正処理を実行する。基準車両情報を補正することにより、道路区間を含む地域の温度が低温であるために生じた車両情報の変化量分を調節することができる。
【0097】
ステップS120において、制御装置10は、基準車両情報の補正処理を実行する。この処理において、上述した補正の手法を用いることができる。
【0098】
続く、ステップS121において、制御装置10は、ステップS112において取得された車両情報と、ステップS113において特定された道路区間(取得された車両の位置情報が属する道路区間)に対応づけられた基準車両情報(ステップS114で読み込まれた基準車両情報)とを比較する。
【0099】
そして、ステップS122において、制御装置10は、取得された車両情報と読みこまれた基準車両情報とに予め定義された閾値以上の差が認められた場合は、その道路区間は滑りやすい要注意状態(例えば凍結状態)であると判断する。なお、この車両情報と基準車両情報との差の閾値は、実験などにより車両の性能や、走行状況に応じて適宜定義される。
【0100】
ステップS123において、制御装置10は、判断に係る道路の路面状態の情報を、道路区間に対応づけて記憶する。
【0101】
最後に、ステップS124において、制御装置10は、判断に係る路面状態の情報を、車載装置2000へ送出する。
【0102】
次に、図6に基づいて、路面状態の情報の出力処理を説明する。
【0103】
図6に示すように、ステップS130において、車載装置2000は、現在位置とともに路面状態の情報を要求する情報取得要求を路面情報配信装置100へ送出する。
【0104】
ステップS131において、路面情報配信装置100の制御装置10は、蓄積した判断結果を参照し、受信した車両の現在位置周辺において滑りやすい道路区間(注意すべき道路区間)を検索する。このとき御装置10は、ナビゲーション装置500によって探索された車両の現在位置と目的地との間の経路を取得し、この経路に含まれる道路区間のうち滑りやすい道路区間(注意すべき道路区間)を検索することもできる。
【0105】
ステップS132において、制御装置10は、検索された滑りやすい道路区間(注意すべき道路区間)の情報を車載装置2000へ送信する。
【0106】
さらに、ステップS133において、車載装置2000の出力装置400は、取得した滑りやすい道路区間(注意すべき道路区間)の情報を出力する。具体的に、出力装置400は、得した滑りやすい道路区間(注意すべき道路区間)を示す地図情報をディスプレイ410に表示させ、その道路区間の状態を伝える音声情報をスピーカ420から出力させる。
【0107】
本発明は以上のように構成され、以上のように作用するので、以下の効果を奏する。
【0108】
本実施形態の路面情報配信装置100によれば、各道路区間を走行する車両の車両情報に基づいてその路面状態を判断することができるので、ドライバが路面状態を考慮して適切な運転をすることによりスリップ等が実際に発生しない場合であっても各道路区間の路面状態を判断することができる。
【0109】
すなわち、予め定義された基準状態の道路区間を走行する車両の基準車両情報と、同じ道路区間を走行する車両の車両情報とを比較し、その比較の結果に基づいて、その道路区間の路面状態を判断することにより、実際にスリップ等が発生しなくても、道路区間が滑りやすいか否かを判断することができる。
【0110】
ところで、路面が凍結しているなどの路面情報を運転者に予め案内することは、安全運転を推奨する観点から好ましい。
【0111】
すべての道路についてその路面の凍結を監視するために、移動観測車、路面凍結センサ、道路保守員による巡回確認などの手法を用いると、多大なコストが発生するばかりか、その広域から収集した情報リアルタイムで処理し、各ユーザに提供すること難しい。
【0112】
もっとも、車両に搭載されたABS(Antilock Brake System)、VDC(Vehicle Dynamics Control)などの走行制御に用いられる摩擦係数やスリップ率などを単位時間、単位区間毎に取得して、道路情報処理システムへ送信するものもある。
【0113】
しかし、このようにABS(Antilock Brake System)、VDC(Vehicle Dynamics Control)などの走行制御において実際にスリップが発生した旨の検知情報により、滑りやすい区間を判断するため、経験的に凍結する場所を知っている運転者や凍結道路の走行に慣れた運転者がスリップしないように運転をすると、スリップが実際に発生しないため、滑りやすい区間を検知することができない。
【0114】
本実施形態の路面情報配信装置100は、このような場合であっても、道路区間が滑りやすいか否かを判断することができる。
【0115】
本実施形態の路面情報配信装置100によれば、基準状態を、道路区間が含まれる地域の平均気温が所定値以上の状態とし、この基準状態の道路区間を走行する車両の基準車両情報から基準情報を生成するので、路面凍結などが発生しない通常の状態の路面を走行するときの車両情報に基づいて基準情報を生成することができる。この基準情報を判断基準とすることにより、路面が凍結状態である道路区間を走行するドライバの運転傾向(運転される車両の挙動)と、路面が通常の状態(凍結していない状態)の道路区間を走行するドライバの運転傾向(運転される車両の挙動)との間に有意な差を求めることができ、路面状態を正確に判断することができる。
【0116】
さらに、本実施形態では、基準情報を、実際に各道路区間を走行した車両から取得された車両情報に基づいて生成するので、各道路区間の道路形状、通行条件(停止・発進地点を含む)、路面凍結のしやすさ(日照条件、道路面の凹凸など)の具体的な条件が反映された基準を生成することができる。
【0117】
また、基準情報を複数の車両から取得された基準車両情報の代表値に基づいて生成することにより、運転における個人の癖や傾向を平準化することができる。このような基準情報を用いることにより、路面状態を正確に判断することができる。
【0118】
また、基準車両情報及び車両情報を、車両の速度、車両の加速度、車両のアクセル開度、車両の減速度及び車両のブレーキ作動時間のうち一つ以上を含むようにしたので、常時検出可能な情報に基づいて、路面状態を判断することができる。
【0119】
このように、共通の道路区間において検出された車両の速度、車両の加速度、車両のアクセル開度、車両の減速度及び車両のブレーキ作動時間などの車両情報の差に基づいて路面状態を判断するので、実際にABSなどの走行支援装置600が起動しなくても、各道路区間の路面状態を予測することができる。つまり、スリップなどが実際に生じなくても、路面状態を判断することができる。
【0120】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、取得された車両の速度が、取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた車両の速度未満又は車両の速度の代表値未満である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断するので、上述の効果を奏することができる。
【0121】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、取得された車両の加速度が、取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた車両の加速度未満又は車両の加速度の代表値未満である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断ので、上述の効果を奏することができる。
【0122】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、取得された車両のアクセル開度の総量が、取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた車両のアクセル開度又は車両のアクセル開度の代表値未満である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断するので、上述の効果を奏することができる。
【0123】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、取得された車両の減速度が、取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた車両の減速度未満又は車両の減速度の代表値未満である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断するので、上述の効果を奏することができる。
【0124】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、取得された車両のブレーキ作動時間が、取得された車両の位置情報が属する道路区間に対応づけられた車両のブレーキ作動時間以上又は車両のブレーキ作動時間の代表値以上である場合は、道路区間の路面状態を要注意状態であると判断するので、上述の効果を奏することができる。
【0125】
さらに、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、取得された道路区間の交通情報に路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれない場合は、路面状態の判断を実行するので、路面状態を正確に判断することができる。ちなみに、路面情報提供装置。道路区間が交通渋滞である場合は、運転者は通常の運転を行うことができず、速度、加速度、減速度、ブレーキの作動時間などの車両情報に変化が生じる。このため、この車両情報の変化により路面状態を誤って判断してしまう場合がある。本実施形態によれば、交通渋滞が発生していない場合に限って路面状態を判断するため、交通渋滞に起因する影響を排除して路面状態を正確に判断することができる。
【0126】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、取得された道路区間の交通情報に路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれる場合は、生成された基準車両情報又はその代表値を補正するので、路面状態を正確に判断することができる。
【0127】
本実施形態の路面情報配信装置100は、渋滞に起因して生じる車両情報の変動量に応じた量を調整して渋滞発生時における基準情報を新たに設定する。これにより、渋滞が発生している事実が考慮された基準情報に基づいて路面状態を判断することができるので、状況に応じた適切な判断結果を導くことができる。
【0128】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、取得される気象情報に路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満である旨の情報が含まれる場合は、路面状態の判断を実行するので、路面状態を正確に判断することができる。気温が高い場合(気温が高い期間中である場合)は路面凍結が発生することがない。本実施形態によれば、気温が低い場合に限って路面状態を判断するため、路面状態の判断の精度を向上させることができる。
【0129】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、取得される気象情報に、路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満である旨の情報が含まれる場合は、生成された基準車両情報又はその代表値を補正するので、路面状態を正確に判断することができる。気温が低い場合は路面が凍結する可能性が高い。本実施形態の路面情報配信装置100は、気温が低いときに見られる車両情報の特徴に応じて基準情報を新たに設定する。これにより、道路区間の現在の温度が低いという事実が考慮された基準情報に基づいて路面状態を判断することができるので、状況に応じた適切な判断結果を導くことができる。
【0130】
さらに、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、路面状態の判断に係る道路区間を走行する車両から走行支援機能の起動情報が取得された場合は、路面状態の判断を実行するので、路面状態の判断の精度を向上させることができる。ABS等が起動した場合は、その道路区間は滑りやすい状態、すなわち凍結状態にある可能性が高い。このような場合に路面状態の判断を実行することにより、路面状態の判断の精度を向上させることができる。
【0131】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、走行支援機能の起動情報が取得された場合は、生成された基準車両情報又はその代表値補正するので、路面状態を正確に判断することができる。ABS(Antilock Brake System)、VDC(Vehicle Dynamics Control)などの機能が起動した場合、路面の一部がすでに凍結している可能性が高い。路面情報配信装置100は、スリップ発生時に生じる運転傾向によって生じる車両情報の変動量に応じた量を調整して基準情報を新たに設定する。これにより、ABS(Antilock Brake System)、VDC(Vehicle Dynamics Control)などの機能が起動したという事実が考慮された基準情報に基づいて路面状態を判断することができるので、状況に応じた適切な判断結果を導くことができる。
【0132】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、道路区間を、交差点と交差点との間の所定の区間、交差点の手前の所定の区間、交差点を超えた所定の区間、交差点を含む所定の区間及び所定値以上の曲率を有する区間のうちの何れか一つ以上の特徴を有する区間とすることにより、路面状態を正確に判断することができる。交差点前後及びカーブ地点では一般にスリップ発生率が高くなる傾向がある。このため、交差点前後及びカーブ地点において取得された車両情報に基づいて基準情報を生成し、交差点前後及びカーブ地点において取得された車両情報と基準情報とを比較することにより、路面が凍結状態である場合の車両情報と、路面が通常の状態(凍結していない状態)の車両情報との間に明確な差を見出すことができ、路面状態の判断を正確に行うことができる。交差点前後及びカーブ地点では一般にスリップ発生率が高くなる傾向があるので、出力される路面状態の情報の利用価値を高めることができる。
【0133】
また、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、道路区間が基準状態以外の状態である場合に、道路区間の路面状態を判断するので、基準状態における基準車両情報と判断に係る車両情報との差を正確に判断でき、路面状態の判断を正確に行うことができる。つまり、本実施形態の路面情報配信装置100によれば、夏季に基準情報を生成し、冬季に路面状態の判断をするので、運転傾向の差に応じる車両情報の差を大きくすることができ、路面状態の判断を正確に行うことができる。
【0134】
なお、以上説明した実施形態は、本発明の理解を容易にするために記載されたものであって、本発明を限定するために記載されたものではない。したがって、上記の実施形態に開示された各要素は、本発明の技術的範囲に属する全ての設計変更や均等物をも含む趣旨である。
【0135】
すなわち、本明細書では、本発明に係る路面情報提供装置の一態様として路面情報配信装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0136】
また、本明細書では、本発明に係る路面情報提供装置の一態様として、CPU11、ROM12、RAM13を含む制御装置10を備えた路面情報配信装置100を一例として説明するが、これに限定されるものではない。
【0137】
また、本明細書では、本願発明に係る基準情報生成手段と、車両情報取得手段と、路面状態判断手段と、送出手段とを有する路面情報提供装置の一態様として、基準情報生成機能と、車両情報取得機能と、路面状態判断機能と、送出機能とを実現する制御装置10を備える路面情報配信装置100を例にして説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0138】
また、本明細書では、本願発明に係る交通情報取得手段を有する路面情報提供装置の一態様として、交通情報取得機能をさらに実行する制御装置10を有する路面情報配信装置100を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0139】
また、本明細書では、本願発明に係る気象情報取得手段を有する路面情報提供装置の一態様として、気象情報取得機能をさらに実行する制御装置10を有する路面情報配信装置100を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0140】
また、本明細書では、本願発明に係る走行支援情報取得手段を有する路面情報提供装置の一態様として、走行支援情報取得機能をさらに実行する制御装置10を有する路面情報配信装置100を説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【符号の説明】
【0141】
1…路面情報配信システム
100…路面情報配信装置
10…制御装置
11…CPU
12…ROM
13…RAM
20…通信装置
2000…車載装置
200…車両コントローラ
300…各種車載センサ
301…車速センサ
302…加速度センサ
303…アクセル開度センサ
304…ブレーキON/OFFセンサ
305…マスターシリンダー液圧センサ(ブレーキ踏力センサ)
306…外気温センサ
400…出力装置
410…ディスプレイ
420…スピーカ
500…ナビゲーション装置
510…地図データベース
520…現在位置検出機能
530…経路探索機能
600…走行支援装置
601…ABS(Antilock Brake System)
602…VDC(Vehicle Dynamics Control)
700…車両側通信装置
4000…交通情報センター
5000…気象情報センター

【特許請求の範囲】
【請求項1】
予め定義された基準状態の道路区間を走行する車両の基準車両情報を取得し、前記取得された基準車両情報を前記道路区間に対応づけた基準情報を生成する基準情報生成手段と、
車両から車両情報と位置情報を取得する車両情報取得手段と、
前記取得された車両情報と、前記取得された車両の位置情報が属する道路区間と前記基準情報において対応づけられた基準車両情報とを比較し、前記比較の結果に基づいて前記道路区間の路面状態を判断する路面状態判断手段と、
前記判断された路面状態の情報を送出する送出手段と、を有する路面情報提供装置。
【請求項2】
請求項1に記載の路面情報提供装置において、
前記基準情報生成手段は、前記道路区間を含む地域の平均気温が所定値以上である基準状態の道路区間を走行する車両の基準車両情報を取得する路面情報提供装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の路面情報提供装置において、
前記基準情報生成手段は、複数の車両から取得された基準車両情報の代表値を前記道路区間に対応づけた基準情報を生成する路面情報提供装置。
【請求項4】
請求項1〜3の何れか一項に記載の路面情報提供装置において、
前記基準車両情報及び前記車両情報は、車両の速度、車両の加速度、車両のアクセル開度、車両の減速度及び車両のブレーキ作動時間のうち何れか一つ以上を含む路面情報提供装置。
【請求項5】
請求項4に記載の路面情報提供装置において、
前記路面状態判断手段は、取得された車両の速度が、前記取得された車両の位置情報の属する道路区間と前記基準情報において対応づけられた車両の速度未満又は前記車両の速度の代表値未満である場合は、前記道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する路面情報提供装置。
【請求項6】
請求項4に記載の路面情報提供装置において、
前記路面状態判断手段は、取得された車両の加速度が、前記取得された車両の位置情報の属する道路区間と前記基準情報において対応づけられた車両の加速度未満又は前記車両の加速度の代表値未満である場合は、前記道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する路面情報提供装置。
【請求項7】
請求項4に記載の路面情報提供装置において、
前記路面状態判断手段は、取得された車両のアクセル開度の総量が、前記取得された車両の位置情報の属する道路区間と前記基準情報において対応づけられた車両のアクセル開度又は前記車両のアクセル開度の代表値未満である場合は、前記道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する路面情報提供装置。
【請求項8】
請求項4に記載の路面情報提供装置において、
前記路面状態判断手段は、取得された車両の減速度が、前記取得された車両の位置情報の属する道路区間と前記基準情報において対応づけられた車両の減速度未満又は前記車両の減速度の代表値未満である場合は、前記道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する路面情報提供装置。
【請求項9】
請求項4に記載の路面情報提供装置において、
前記路面状態判断手段は、取得された車両のブレーキ作動時間が、前記取得された車両の位置情報の属する道路区間と前記基準情報において対応づけられた車両のブレーキ作動時間以上又は前記車両のブレーキ作動時間の代表値以上である場合は、前記道路区間の路面状態を要注意状態であると判断する路面情報提供装置。
【請求項10】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の路面情報提供装置において、
前記道路区間の交通情報を取得する交通情報取得手段をさらに備え、
前記路面状態判断手段は、前記取得される交通情報に、前記路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれない場合は、前記路面状態の判断を実行する路面情報提供装置。
【請求項11】
請求項5〜8のいずれか一項に記載の路面情報提供装置において、
前記道路区間の交通情報を取得する交通情報取得手段をさらに備え、
前記路面状態判断手段は、前記取得される交通情報に、前記路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれる場合は、前記生成された基準車両情報としての前記車両の速度、前記車両の加速度、前記車両のアクセル開度若しくは前記減速度又はこれらの代表値を低い値に補正する路面情報提供装置。
【請求項12】
請求項9に記載の路面情報提供装置において、
前記道路区間の交通情報を取得する交通情報取得手段をさらに備え、
前記路面状態判断手段は、前記取得される交通情報に、前記路面状態の判断に係る道路区間の渋滞情報が含まれる場合は、前記生成された基準車両情報としての前記車両のブレーキ作動時間又はその代表値を高い値に補正する路面情報提供装置。
【請求項13】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の路面情報提供装置において、
前記道路区間の気象情報を取得する気象情報取得手段をさらに備え、
前記路面状態判断手段は、前記取得される気象情報に、前記路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満である旨の情報が含まれる場合は、前記路面状態の判断を実行する路面情報提供装置。
【請求項14】
請求項5〜8のいずれか一項に記載の路面情報提供装置において、
前記道路区間の気象情報を取得する気象情報取得手段をさらに備え、
前記路面状態判断手段は、前記取得される気象情報に、前記路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満である旨の情報が含まれる場合は、前記生成された基準車両情報としての前記車両の速度、前記車両の加速度、前記車両のアクセル開度若しくは前記減速度又はこれらの代表値を低い値に補正する路面情報提供装置。
【請求項15】
請求項9に記載の路面情報提供装置において、
前記道路区間の気象情報を取得する気象情報取得手段をさらに備え、
前記路面状態判断手段は、前記取得される気象情報に、前記路面状態の判断に係る道路区間が属する地域の気温が所定値未満である旨の情報が含まれる場合は、前記生成された基準車両情報としての前記車両のブレーキ作動時間又はその代表値を高い値に補正する路面情報提供装置。
【請求項16】
請求項5〜9のいずれか一項に記載の路面情報提供装置において、
車両のスリップ時における走行支援機能の起動情報を取得する走行支援情報取得手段をさらに備え、
前記路面状態判断手段は、前記路面状態の判断に係る道路区間を走行する車両から前記走行支援機能の起動情報が取得された場合は、前記路面状態の判断を実行する路面情報提供装置。
【請求項17】
請求項5〜8のいずれか一項に記載の路面情報提供装置において、
車両のスリップ時における走行支援機能の起動情報を取得する走行支援情報取得手段をさらに備え、
前記路面状態判断手段は、前記走行支援機能の起動情報が取得された場合は、前記生成された基準車両情報としての前記車両の速度、前記車両の加速度、前記車両のアクセル開度若しくは前記減速度又はこれらの代表値を低い値に補正する路面情報提供装置。
【請求項18】
請求項9に記載の路面情報提供装置において、
車両のスリップ時における走行支援機能の起動情報を取得する走行支援情報取得手段をさらに備え、
前記路面状態判断手段は、記走行支援機能の起動情報が取得された場合は、前記生成された基準車両情報としての前記車両のブレーキ作動時間又はその代表値を高い値に補正する路面情報提供装置。
【請求項19】
請求項1〜18のいずれか一項に記載の路面情報提供装置において、
前記道路区間は、交差点と交差点との間の所定の区間、交差点の手前の所定の区間、交差点を超えた所定の区間、交差点を含む所定の区間及び所定値以上の曲率を有する区間のうち何れか一つ以上である路面情報提供装置。
【請求項20】
請求項1〜19のいずれか一項に記載の路面情報提供装置において、
前記路面状態判断手段は、前記道路区間が基準状態以外の状態である場合に、前記道路区間の路面状態を判断する路面情報提供装置。
【請求項21】
予め定義された基準状態の道路区間を走行する車両の基準車両情報と前記道路区間の基準位置情報を車両から取得して、前記取得された基準車両情報を前記道路区間に対応づけた基準情報を生成し、
前記走行する車両から車両情報と位置情報を取得し、
前記取得された車両情報と、前記取得された車両の位置情報が属する道路区間と前記基準情報において対応づけられた基準車両情報とを比較し、
前記比較の結果に基づいて、前記基準位置情報に対応する道路区間の路面状態を判断する路面状態判断方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−198533(P2010−198533A)
【公開日】平成22年9月9日(2010.9.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−45270(P2009−45270)
【出願日】平成21年2月27日(2009.2.27)
【出願人】(000003997)日産自動車株式会社 (16,386)
【Fターム(参考)】