説明

車々間通信装置および方法

【課題】車両間の通信の衝突を回避して、1つの車両が複数の車両に対して同報送信を行うことのできる車々間通信装置を提供する。
【解決手段】自車位置を検出する自車位置検出手段1と、自車位置に基づいて、車々間通信が必要であるか否かを判定する車々間通信要否判定手段2と、車々間通信要否判定手段2が、車々間通信が必要であると判定したときに、他車と車々間通信する車々間通信手段3とを備え、車々間通信手段3が通信データの送信権を順次与える送信順位表を通信エリア内に存在する全ての車両に共有させる構成を有している。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車々間通信装置および方法に関する。
【背景技術】
【0002】
交差点における出会い頭の衝突を回避する等車両の走行安全性を向上するために、走行中の車両間でデータを交換する車々間通信の必要性が増加している。
【0003】
車々間通信システムとしては、基地局あるいはアクセスポイントである親局と各車両に搭載される通信端末を子局とを設けるサイクリック伝送システムが周知である(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかし、局の整備に時間がかかるだけでなく、経済的にも不利であるという課題があった。
【0005】
この課題を解決するために、通信端末間の直接通信を可能とする無線LANシステムが提案され、「隠れ端末問題」に起因する通信の衝突を回避するための仮想キャリアセンス方法も既に規格化されている。
【0006】
さらに無線LANシステムのパーフォーマンスを向上させるために、送信要求を再送する端末に対して優先的に無線帯域を割り当て、他の端末を待機状態とすることによって仮想キャリアセンス方法によっても解決することのできない「隠れ端末問題」を解決するための通信方法も既に提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2003−032267号公報([0022]〜[0025]、図1)
【特許文献2】特開2005−236435号公報([0022]〜[0025]、図1)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記提案に係る通信方法は2端末間の通信に適用するものであり、これら以外の端末は、待機状態、即ち受信できない状態にあるため、1つの端末が複数の端末に同報通信することはできない。
【0008】
本発明は、従来の課題を解決するためになされたものであって、1つの端末が複数の端末に同報通信することのできる車々間通信装置および方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の車々間通信装置は、自車位置を検出する自車位置検出手段と、前記自車位置に基づいて、車々間通信が必要であるか否かを判定する車々間通信要否判定手段と、前記車々間通信が必要であると判定したときに、他車と車々間通信する車々間通信手段とを含む構成を有している。
【0010】
この構成により、車々間通信が必要であると判定したときに、自車が他車と車々間通信を行うことができることとなる。
【0011】
本発明の車々間通信装置は、前記車々間通信手段が、自車が車々間通信が必要な通信エリアに進入したと判定したときに、前記自車の識別符号および進入フラグを車両管理チャンネルにより同報送信し、前記自車の前記識別符号を最下位に追加した送信順位表を送信順位表チャンネルにより同報送信する進入時処理手段と、前記自車が既に前記通信エリア内にいると判定したときに、前記送信順位表および車両データを送受信するエリア内処理手段と、前記自車が前記通信エリアから進出したと判定したときに、前記自車の前記識別符号および進出フラグを前記車両管理チャンネルにより同報送信する進出時処理手段とを含む構成を有している。
【0012】
この構成により、自車が通信エリア内に存在するときに、車両間の通信の衝突を回避して、自車の車両データを複数の他車に同報送信することができることとなる。
【0013】
本発明の車々間通信装置は、前記エリア内処理手段が、前記送信順位表に基づいて前記自車の送信順位を調査する送信順位調査手段と、前記自車の前記送信順位が第1位であると判定したときに第1位処理を実行する第1位処理実行手段と、前記自車の前記送信順位が第1位でないと判定したときに下位処理を実行する下位処理実行手段とを含む構成を有している。
【0014】
この構成により、通信エリア内に存在する全車両に対して、通信データの送信権を順番に与えることができることとなる。
【0015】
本発明の車々間通信装置は、前記第1位処理実行手段が、他車から送信された前記識別符号および前記進出フラグを受信したときに、前記送信順位表から前記識別符号を削除する識別符号削除手段と、前記自車の前記識別符号を最下位に変更した送信順位表を前記送信順位表チャンネルにより同報送信する変更送信順位表送信手段と、前記自車の前記車両データをデータチャンネルにより同報送信する車両データ送信手段とを含む構成を有している。
【0016】
この構成により、第1位の車両が通信エリア内の全車両に対して送信順位表と車両データを送信することができることとなる。
【0017】
本発明の車々間通信装置は、前記下位処理実行手段が、前記送信順位表に基づいて前記自車の前記送信順位を調査する送信順位調査手段と、前記自車の前記送信順位が第3位以下であると判定したときに他車から送信される前記車両データおよび前記送信順位表を受信する車両データ・送信順位表受信手段と、前記自車の前記送信順位が第2位であると判定したときに送信順位第1位の車両から前記車両識別符号および前記進出フラグを受信したときは前記送信順位表から送信順位第1位の車両の前記車両識別符号を削除し、前記自車の前記識別符号を最下位に変更した送信順位表を前記送信順位表チャンネルにより同報送信し、前記自車の車両データを前記データチャンネルにより同報送信する第2位処理実行手段とを含む構成を有している。
【0018】
この構成により、送信権を有する第1位の車両が通信エリアを進出した際には、第2位の車両が通信エリア内の全車両に対して送信順位表と車両データを送信することができることとなる。
【発明の効果】
【0019】
本発明は、通信データの送信権を順次与える送信順位表を通信エリア内に存在する全ての車両に共有させる車々間通信手段を設けることにより、車両間の通信の衝突を回避して、1つの車両が複数の車両に対して同報送信を行うことができるという効果を有する車々間通信装置を提供することができるものである。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態の車々間通信装置について、図面を用いて説明する。なお、本明細書においては、全ての車両に本発明の実施の形態にかかる車々間通信装置が搭載されているものとする。また、特に断る場合を除き、自車の立場から車々間通信装置の動作を説明する。
【0021】
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係る車々間通信装置の機能構成を示すブロック図を図1に示す。
【0022】
即ち、本発明に係る車々間通信装置30は、自車位置を検出する自車位置検出手段1と、自車位置に基づいて、車々間通信が必要であるか否かを判定する車々間通信要否判定手段2と、車々間通信要否判定手段2が、車々間通信が必要であると判定したときに、他車と車々間通信する車々間通信手段3とを含む。
【0023】
車々間通信手段3は、自車が通信エリアに進入したときの処理を行う進入時処理手段31と、自車が通信エリア内に既に存在しているときの処理を行うエリア内処理手段32と、自車が通信エリアから進出したときの処理を行う進出時処理手段33とを含む。
【0024】
エリア内処理手段32は、さらに、送信順位表における自車の送信順位を判定する送信順位判定手段34と、自車の送信順位が第1位であるときの処理を行う第1位処理実行手段35と、自車の送信順位が第1位でないときの処理を行う下位処理実行手段36とを含む。
【0025】
第1位処理実行手段35は、送信順位表から他車の識別符号を削除する識別符号削除手段37と、自車の送信順位を最下位に変更した送信順位表を同報送信する変更送信順位表送信手段38と、自車の車両データを同報送信する車両データ送信手段39とを含む。
【0026】
そして、下位処理実行手段36は、送信順位判定手段40と、車両データ・送信順位表受信手段41と、自車の送信順位が第2位であるときの処理を行う第2位処理実行手段42とを含む。
【0027】
図2は、本発明の第1の実施の形態の車々間通信装置のハードウェア構成を示すブロック図であって、プログラムに基づいて処理を実行するCPU11と、プログラムおよび演算値を記憶するメモリ12と、ナビゲーションシステム13が接続されるナビインターフェイス(I/F)14と、車速検出器15および走行方向検出器16が接続される車両インターフェイス(I/F)17と、タッチパネル等の入力手段を有する表示装置18が接続される周辺機器インターフェイス(I/F)19と、送受信装置20が接続される通信インターフェイス(I/F)21とがバス22によって相互に結合された構成を有する。
【0028】
自車の車両の位置、速度、走行方向の情報は、それぞれナビゲーションシステム13、車速検出器15、走行方向検出器16から取得される。また、他車の存在状況等は表示装置18で確認できる。全ての通信は、車両管理チャンネル、送信順位表チャンネル、データチャンネルを有する送受信装置20を介して行われる。
【0029】
そして、メモリ12にプログラムをインストールすることにより、上記システムは車々間通信装置として動作する。
【0030】
次に、メモリ12にインストールする車々間通信プログラムのフローチャートを参照しつつ、本発明の第1の実施の形態の車々間通信装置の動作を説明する。
【0031】
図3は、車々間通信プログラムのフローチャートである。まず、自車位置検出手段1は、自車位置を検出する(ステップS30)。
【0032】
次に、車々間通信要否判定手段2は、ステップS30で検出した自車位置に基づいて、車々間通信が必要であるか否かを判定する(ステップS31)。通信が必要でない場合は、プログラムは終了となる。通信が必要である場合は、車々間通信手段3は、自車が通信エリア内に進入したか、既に通信エリア内にいるか、あるいは、通信エリアから進出したかどうかを判定する(ステップS32)。
【0033】
車々間通信手段3は、ステップS32において、自車が通信エリア内に進入したと判断した場合は、後述する進入時処理(ステップS33)を行い、自車が既に通信エリア内にいると判断した場合は後述するエリア内処理(ステップS34)を行い、自車が通信エリアから進出したと判断した場合は後述する進出時処理(ステップS35)を行って、プログラムを終了する。
【0034】
図4は、図3の車々間通信プログラムのステップS33で実行される進入時処理ルーチンのフローチャートである。
【0035】
まず、進入時処理手段31は、既に通信エリア内に他車が存在した場合に、他車のうちの1台が同報送信した送信順位表を自車が受信したかどうかを判断する(ステップS40)。送信順位表を受信した場合は、進入時処理手段31は、該他車の車両データを受信する(ステップS41)。ここで、車両データとは、車両の位置、速度、走行方向の情報を含むものを意味する。
【0036】
次に、進入時処理手段31は、進入フラグおよび自車の識別符号を車両管理チャンネルにより同報送信する(ステップS42)。進入フラグおよび識別符号を同報送信することにより、自車が送信順位表を同報送信する権利を取得する。
【0037】
次に、進入時処理手段31は、自車の識別符号を送信順位表の最下位に追加して送信順位表を更新し(ステップS43)、更新された送信順位表を送信順位表チャンネルにより同報送信して(ステップS44)、進入時処理ルーチンを終了する。
【0038】
ステップS40において、送信順位表を自車が受信しなかったと判断した場合、即ち通信エリア内に他車が存在しなかった場合は、進入時処理手段31は、自車の識別符号を含んだ送信順位表を新規に作成して(ステップS45)、ステップS44の処理を行う。
【0039】
図5は、図3の車々間通信プログラムのステップS34で実行されるエリア内処理ルーチンのフローチャートである。
【0040】
まず、エリア内処理手段32は、送信順位表に自車が登録されているかどうかを判断する(ステップS50)。送信順位表に自車が登録されていなかった場合、即ち自車と同時に他車も進入フラグおよび識別符号を同報送信しようとして通信が衝突し、自車が同報送信に失敗した場合には、エリア内処理手段32は、図4の進入時処理ルーチンの処理を再度行って(ステップS51)、エリア内処理ルーチンを終了する。
【0041】
ステップS50において、送信順位表に自車が登録されていると判断した場合は、エリア内処理手段32は、他車が通信エリアに進入したことを示す進入フラグおよび識別符号を受信したかどうかを判断する(ステップS52)。進入フラグおよび識別符号を受信したと判断した場合は、エリア内処理手段32は、進入した該他車から送信順位表を受信して(ステップS53)、エリア内処理ルーチンを終了する。
【0042】
ステップS52において、エリア内処理手段32が、他車の進入フラグおよび識別符号を受信しなかったと判断した場合は、送信順位判定手段34は、送信順位表における自車の順位が第1位であるかどうかを判断する(ステップS54)。送信順位判定手段34は、自車の順位が第1位であると判断した場合は、後述する第1位処理を行い(ステップS55)、第1位ではないと判断した場合は、後述する下位処理を行って(ステップS56)、エリア内処理ルーチンが終了となる。
【0043】
図6は、図5のエリア内処理ルーチンのステップS55で実行される第1位処理ルーチンのフローチャートである。
【0044】
まず、第1位処理実行手段35は、他車が通信エリアから進出したことを示す進出フラグおよび識別符号を受信したかどうかを判断する(ステップS60)。第1位処理実行手段35が、他車の進出フラグおよび識別符号を受信したと判断した場合は、識別符号削除手段37は、送信順位表から該他車の識別符号を削除する(ステップS61)。次に、第1位処理実行手段35は、自車の識別符号を送信順位表の最下位に変更して、他車の順位を繰り上げて、送信順位表を更新する(ステップS62)。
【0045】
次に変更送信順位表送信手段38は、ステップS62で更新した送信順位表を同報送信し(ステップS63)、車両データ送信手段39は、自車の車両データをデータチャンネルを介して同報送信して(ステップS64)、第1位処理ルーチンを終了する。
【0046】
ステップS60において、他車の進出フラグおよび識別符号を受信しなかったと判断した場合は、第1位処理実行手段35は、ステップS62以降の処理を行って、第1位処理ルーチンを終了する。
【0047】
図7は、図5のエリア内処理ルーチンのステップS56で実行される下位処理ルーチンのフローチャートである。
【0048】
まず、下位処理実行手段36は、順位が第1位である他車から進出フラグおよび識別符号を受信したかどうかを判断する(ステップS70)。第1位の他車から進出フラグおよび識別符号を受信しなかったと判断した場合は、車両データ・送信順位表受信手段41は、第1位の他車の車両データを受信して(ステップS71)、送信順位表を受信して(ステップS72)、下位処理ルーチンを終了する。
【0049】
ステップS70において、第1位の他車から進出フラグおよび識別符号を受信したと判断した場合は、送信順位判定手段40は、自車の順位が第2位であるかどうかを判断する(ステップS73)。自車の順位が第2位でなかった場合は、車両データ・送信順位表受信手段41は、第2位の他車の車両データを受信して(ステップS71)、送信順位表を受信して(ステップS72)、下位処理ルーチンが終了となる。
【0050】
ステップS73において、自車の順位が第2位であった場合は、第2位処理実行手段42は、送信順位表から第1位の他車の識別符号を削除して(ステップS74)、自車の識別符号を送信順位表の最下位に変更して、他車の順位を繰り上げて、送信順位表を更新する(ステップS75)。
【0051】
次に第2位処理実行手段42は、ステップS75で更新した送信順位表を同報送信して(ステップS76)、自車の車両データを同報送信して(ステップS77)、下位処理ルーチンが終了となる。
【0052】
図8は、図3の車々間通信プログラムのステップS35で実行される進出時処理ルーチンのフローチャートである。
【0053】
進出時処理手段33は、自車が進出することを示す進出フラグおよび識別符号を同報送信して(ステップS80)、進出時処理ルーチンを終了する。
【0054】
図9は、通信エリア内に車両Aと車両Bが存在しているときに、新たに車両Cが通信エリア内に進入してきた際の通信手順を示すシーケンス図である。
【0055】
図9では、まず、送信順位リストの第1位にある車両Aが、送信順位表チャンネルとデータチャンネルを介して、更新された送信順位表と車両データを同報送信する。車両Bは、送信順位表と車両データを受信する。
【0056】
次に第1位となった車両Bが、送信順位表を更新して、更新された送信順位表(第1位:車両A、第2位:車両B)と車両データを同報送信する。このとき、新たに車両Cが通信エリア内に入るものとする。車両Cは車両Bが送信した送信順位表と車両データを受信する。
【0057】
次に、車両Cは、車両管理チャンネルを介して、進入フラグおよび識別符号を同報送信する。車両Aおよび車両Bは上記の進入フラグおよび識別符号を受信する。さらに、車両Cは、車両Cを最下位に追加した送信順位表(第1位:車両A、第2位:車両B、第3位:車両C)を同報送信する。これによって、車両Aが再び送信権を取得する。
【0058】
図10は、通信エリア内に車両A、車両B、車両Cが存在しているときに、車両A、車両Bが順次通信エリアから進出する際の通信手順を示すシーケンス図である。
【0059】
図10では、まず、送信順位表の第1位にある車両Bが、車両Bを最下位に変更して車両Aおよび車両Cの順位を繰り上げた送信順位表(第1位:車両C、第2位:車両A、第3位:車両B)と車両データを同報送信する。
【0060】
次に、車両Aが、通信エリアから進出することを示す進出フラグと識別符号を同報送信するものとする。現在第1位である車両Cは、車両Aを削除し、車両C自身を最下位に変更した送信順位表(第1位:車両B、第2位:車両C)と車両Cの車両データを同報送信する。
【0061】
次に、現在第1位である車両Bが、進出フラグと識別符号を同報送信して通信エリア内を進出するものとする。このとき第2位である車両Cが、車両Bを削除して車両Cを最下位に変更した送信順位表(第1位:車両C)と車両データを同報送信する。
【0062】
以上説明したように、本発明の第1の実施の形態に係る車々間通信装置は、通信データの送信権を順番に与える送信順位表を通信エリア内に存在する全ての車両に共有させることにより、車両間の通信の衝突を回避して、自車の車両データを複数の他車に同報送信することができる。
【0063】
(第2の実施の形態)
本実施の形態は、上述の第1の実施の形態と同様に構成されているので、構成要素の説明を省略する。
【0064】
また、本実施の形態の車々間通信装置も、第1の実施の形態と同じくメモリ12にプログラムをインストールすることにより構成されるので、ハードウェアの説明を省略する。
【0065】
次に、メモリ12にインストールするプログラムのフローチャートを参照しつつ、第2の実施の形態の車々間通信装置の動作を説明する。なお、車々間通信プログラム、第1位処理ルーチン、下位処理ルーチン、および進出時処理ルーチンは、第1の実施の形態と同様であるため説明を省略する。
【0066】
なお、本実施の形態では、進入車両が識別符号を同報送信したときに、送信順位表における第1位の車両が該進入車両の進入を送信順位表へ反映するものとする。
【0067】
図11は、図3の車々間通信プログラムのステップS33で実行される進入時処理ルーチンにおいて、進入フラグおよび自車の識別符号の同報送信を行うフローチャートである。なお、図4の進入時処理ルーチンと同一の処理については同一のステップ番号を付す。
【0068】
まず、進入時処理手段31は、既に通信エリア内に他車が存在した場合に、他車のうちの1台が同報送信した送信順位表を自車が受信したかどうかを判断する(ステップS40)。送信順位表を受信した場合は、進入時処理手段31は、該他車の車両データを受信する(ステップS41)。
【0069】
次に、進入時処理手段31は、進入フラグおよび自車の識別符号を車両管理チャンネルにより同報送信し(ステップS42)、進入時処理ルーチンを終了する。
【0070】
図12は、図3の車々間通信プログラムのステップS34で実行されるエリア内処理ルーチンにおいて、送信順位表における第1位の車両が進入車両を送信順位表へ追加するフローチャートである。なお、図5のエリア内処理ルーチンと同一の処理については同一のステップ番号を付して説明を省略する。
【0071】
エリア内処理手段32が、ステップS52で進入フラグおよび識別符号を受信したと判断した場合は、送信順位判定手段34は、送信順位表における自車の順位が第1位であるかどうかを判断する(ステップS90)。送信順位判定手段34が、自車の順位が第1位であると判断した場合は、エリア内処理手段32は、進入した該他車の識別符号を送信順位表の最下位に追加し(ステップS91)、さらに自車の識別符号を送信順位表の最下位に変更する(ステップS92)。
【0072】
次に変更送信順位表送信手段38は、更新された送信順位表を送信順位表チャンネルにより同報送信し(ステップS93)、車両データ送信手段39は、自車の車両データをデータチャンネルを介して同報送信して(ステップS94)、エリア内処理ルーチンが終了となる。
【0073】
図13は、通信エリア内に車両Aと車両Bが存在しているときに、新たに車両Cが通信エリア内に進入してきた際の通信手順を示すシーケンス図である。
【0074】
図13では、まず、送信順位リストの第1位にある車両Aが、送信順位表・データチャンネルを介して、更新された送信順位表と車両データを同報送信する。車両Bは、送信順位表と車両データを受信する。
【0075】
次に第1位となった車両Bが、送信順位表を更新して、更新された送信順位表(第1位:車両A、第2位:車両B)と車両データを同報送信する。このとき、新たに車両Cが通信エリア内に入るものとする。車両Cは車両Bが同報送信した送信順位表と車両データを受信する。
【0076】
次に、車両Cは、車両管理チャンネルを介して、進入フラグおよび識別符号を同報送信する。車両Aおよび車両Bは上記の進入フラグおよび識別符号を受信する。送信順位リストの第1位にある車両Aは、車両Cを最下位に追加し、更新された送信順位表(第1位:車両B、第2位:車両C、第3位:車両A)と車両データを同報送信する。これによって、車両Bが送信権を取得する。
【0077】
以上説明したように、本発明の第2の実施の形態に係る車々間通信装置は、各車両が参照するチャンネル数および送信時間を削減することができる。
【産業上の利用可能性】
【0078】
以上のように、本発明に係る車々間通信装置は、通信エリア内に存在する車両間の通信の衝突を回避して、自車の車両データを複数の他車に同報送信することができるという効果を有し、同報通信システム等として有効である。
【図面の簡単な説明】
【0079】
【図1】本発明の実施の形態に係る車々間通信装置のブロック図
【図2】本発明の実施の形態に係る車々間通信装置のハードウェア構成を示すブロック図
【図3】本発明に係る車々間通信装置が実行する車々間通信プログラムのフローチャート
【図4】本発明の第1の実施の形態に係る車々間通信装置が実行する進入時処理ルーチンのフローチャート
【図5】本発明の第1の実施の形態に係る車々間通信装置が実行するエリア内処理ルーチンのフローチャート
【図6】本発明に係る車々間通信装置が実行する第1位処理ルーチンのフローチャート
【図7】本発明に係る車々間通信装置が実行する下位処理ルーチンのフローチャート
【図8】本発明に係る車々間通信装置が実行する進出時処理ルーチンのフローチャート
【図9】車両Cが通信エリア内に進入してきた際の通信手順を示すシーケンス図
【図10】車両A、車両Bが順次通信エリアから進出する際の通信手順を示すシーケンス図
【図11】本発明の第2の実施の形態に係る車々間通信装置が実行する進入時処理ルーチンのフローチャート
【図12】本発明の第2の実施の形態に係る車々間通信装置が実行するエリア内処理ルーチンのフローチャート
【図13】本発明の第2の実施の形態において、車両Cが通信エリア内に進入してきた際の通信手順を示すシーケンス図
【符号の説明】
【0080】
1 自車位置検出手段
2 車々間通信要否判定手段
3 車々間通信手段
30 車々間通信装置
31 進入時処理手段
32 エリア内処理手段
33 進出時処理手段
34 送信順位判定手段
35 第1位処理実行手段
36 下位処理実行手段
37 識別符号削除手段
38 変更送信順位表送信手段
39 車両データ送信手段
40 送信順位判定手段
41 車両データ・送信順位表受信手段
42 第2位処理実行手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
自車位置を検出する自車位置検出手段と、
前記自車位置に基づいて、車々間通信が必要であるか否かを判定する車々間通信要否判定手段と、
前記車々間通信が必要であると判定したときに、他車と車々間通信する車々間通信手段とを含む車々間通信装置。
【請求項2】
前記車々間通信手段が、
自車が車々間通信が必要な通信エリアに進入したと判定したときに、前記自車の識別符号および進入フラグを車両管理チャンネルにより同報送信し、前記自車の前記識別符号を最下位に追加した送信順位表を送信順位表チャンネルにより同報送信する進入時処理手段と、
前記自車が既に前記通信エリア内にいると判定したときに、前記送信順位表および車両データを送受信するエリア内処理手段と、
前記自車が前記通信エリアから進出したと判定したときに、前記自車の前記識別符号および進出フラグを前記車両管理チャンネルにより同報送信する進出時処理手段とを含む請求項1に記載の車々間通信装置。
【請求項3】
前記エリア内処理手段が、
前記送信順位表に基づいて前記自車の送信順位を判定する送信順位判定手段と、
前記自車の前記送信順位が第1位であると判定したときに第1位処理を実行する第1位処理実行手段と、
前記自車の前記送信順位が第1位でないと判定したときに下位処理を実行する下位処理実行手段とを含む請求項2に記載の車々間通信装置。
【請求項4】
前記第1位処理実行手段が、
他車から送信された前記識別符号および前記進出フラグを受信したときに、前記送信順位表から前記識別符号を削除する識別符号削除手段と、
前記自車の前記識別符号を最下位に変更した送信順位表を前記送信順位表チャンネルにより同報送信する変更送信順位表送信手段と、
前記自車の前記車両データをデータチャンネルにより同報送信する車両データ送信手段とを含む請求項3に記載の車々間通信装置。
【請求項5】
前記下位処理実行手段が、
前記送信順位表に基づいて前記自車の前記送信順位を判定する送信順位判定手段と、
前記自車の前記送信順位が第3位以下であると判定したときに他車から送信される前記車両データおよび前記送信順位表を受信する車両データ・送信順位表受信手段と、
前記自車の前記送信順位が第2位であると判定したときに送信順位第1位の車両から前記車両識別符号および前記進出フラグを受信したときは前記送信順位表から送信順位第1位の車両の前記車両識別符号を削除し、前記自車の前記識別符号を最下位に変更した送信順位表を前記送信順位表チャンネルにより同報送信し、前記自車の車両データを前記データチャンネルにより同報送信する第2位処理実行手段とを含む請求項3に記載の車々間通信装置。
【請求項6】
自車位置を検出する自車位置検出段階と、
前記自車位置に基づいて、車々間通信が必要であるか否かを判定する車々間通信要否判定段階と、
前記車々間通信が必要であると判定したときに、他車と車々間通信する車々間通信段階とを含む車々間通信方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2007−110497(P2007−110497A)
【公開日】平成19年4月26日(2007.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−300093(P2005−300093)
【出願日】平成17年10月14日(2005.10.14)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】