説明

車とヘッドライトと窓ガラスとバックミラーとメガネ。

【課題】対向車のヘッドライトからの直接光の運転席への入光を軽減する。
【解決手段】ヘッドライトの投光経路と運転席の入光経路の双方に、互いに直交の関係にある偏光フィルタを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【001】
偏光ガラス、偏光フィルム、液晶、偏光制御、道路走行安全性、人の官能機能
【背景技術】
【002】
【発明が解決しようとしている課題】
【003】
ハイビームとすることで見通しが効くことにより、車の運転の安全性が向上する。
一方、対向車のハイビームは、光が目に入り、まぶしくなり、車の運転の安全性が低下する。
走行している全車両の運転者が自己の安全性のために、ハイビームを選択すると、対向車のヘッドライトが目に入り、全体として返って危険性が増す。
車の走行速度が増すほど、運転者にとってハイビームが望ましいが対向車への逆効果の危険性にも配慮しなければならない。
【004】
日本国における法律は、対向時にロービームとし通常走行時はハイビームとする、ということになっている。国際的にも、夜間の通常走行時はハイビームとすることが一般的である。
しかし、かなり遠方のハイビームでも、まぶしいことを運転者は知っていることから、相手車線に車が見えるときはロービームで走行するケースがほとんどである。ハイビームとロービームの使い分けについては、日本国の場合は、日本国の法律とは別に、日本国の地方自治体ごとに運用は異なる。
法律を厳守した指導を宣言して指導している自治体と、運転者まかせの自治体がある。
運転者にとって、車が対向するときだけハイビームからロービームへ切り替える操作はわずらわしく、日常的にロービームだけで走行しているドライバは少なくない。
人身事故を一件でも少なくしなければならない、という理念に照らして考えれば、ロービームとハイビームの人身事故に与える影響は、科学的な手法で統計的に明らかにされなければならない。
本案発明は、ロービームとハイビームの矛盾を解決し、道路を走行する全車両を対象に投光と入光を総合的にシステムとして改善するものである。
【課題を解決するための手段】
【005】
投光側と入光側に、互いに直交する偏光フィルタを設けることで、対向車のヘッドライトからの直接光の運転席への入光を軽減する。
【006】
光の入光経路に、互いに直交する2種類の偏光フィルタを設けることで、その光が遮断されることは公知である。
本案発明はこの公知の原理を応用したもので、互いに直交する2枚の偏光フィルタの一方を、投光側であるヘッドライトに設け、他の一方を入光側の運転席側に設けることでヘッドライトから、運転者の目への直接光を減衰させる。
【007】
偏光特性を持つ車のヘッドライトによって照らされた、道路やその周辺の対象物体や人は、自己のヘッドライトが発する偏光光を受ける。しかしそれらの物体や人の反射光は極度な偏光特性を持たないことから、投光側の偏光特性と直交する偏光特性を持つ窓ガラスを通しても、運転者は道路やその周辺の物体や人を見ることができる。
【008】
より純粋な偏光特性はヘッドライトの直接光を、より遮蔽するばかりでなく、視野全体の明るさを損なう傾向にあることから、偏光特性は適度に施されることが有効である。偏光特性の度合についての定義は本案発明の本質とするところではない。
【009】
ヘッドライトは一般的には対向車線の側にある。また、対向車線の反対側からヘッドライトが直接、目に入るケースが高速走行中に発生することはほとんどない。
このような理由から、一様な偏光特性であるよりも、少なくとも対向車線側と対向車線の反対側とでは偏光条件に違いを持たせることが、統計的に見て、より安全性の高いシステムを可能とすることができる。
偏光特性を持つ材料や仕組みについては公知の技術であって、本案発明の本質ではないので説明を省略する。
【010】
対向車線にヘッドライトがある場合とない場合とで、入光経路ごとの偏光条件に違いを持たせることが、統計的に見て、一様な偏光特性であるよりも、より安全性の高いシステムとすることができる。
【011】
さらに、このようなケースでは、運転者の判断による手動操作による入光経路の偏光条件の制御、あるいは、自動検出による偏光条件の制御が有効な場合もある。
太陽光がある場合、窓ガラスの第2偏光特性は必要ではないことから、第2偏光特性の機能を運転者の意思で制御することは、統計的に見て、より安全性の高いシステムとすることができる。
偏光条件の制御の仕組みは公知の技術であって、本案発明の本質ではないので、説明を省略する。
【012】
車の特定の座標軸を決めて、その座標軸を基準に運転者の目の座標を検出することは、公知の技術の応用で可能である。さらに、対向車線を走る車のヘッドライトの座標を検出することは、公知の技術の応用で可能である。基準座標に対する第2偏光フィルタの座標は自明であることから、運転者の目の座標と対向車線のヘッドライトの座標が決定されると、両者を結ぶ線と第2偏光フィルタが交差する座標を算出できる。
算出した座標データをもとに、第2偏光フィルタ偏光特性を部分的に制御することで、ヘッドライトの直接光の経路の付近だけまぶしくない程度に光を減衰させることができる。ほかの部分は入光経路に減衰がないのであるから、統計的にみて、より安全性の高いシステムである。
第2偏光フィルタの座標を計算する具体的手順については、本案発明の本質ではないので説明を省略する。
【013】
一方、ヘッドライトを受ける道路上の人へはロービームとハイビームのいずれにもかかわらず、ヘッドライトはまぶしく、目の前を見えにくくさせることも事実である。夜間、道路を歩く人の安全性を向上させる目的のために、第2偏光フィルタを持つメガネは、ヘッドライトからの直接光を減衰させる効果があり、統計的に見て、より安全な歩行環境を提供する。
【014】
本案発明実施に関し、自己の車だけを改善しても解決できないし、またある日を境に、道路を走行するすべての車を改善することはできない。
しかし、本案発明は、次のことを可能とさせる。
即ち、社会全体に統一規則を設けることで、一定期間の内に、夜間、道路走行する全ての車のハイビームによる、より安全な走行が可能となる。
【発明の効果】
【015】
夜間、常時ハイビームで走行できて、対向車線の走行にも迷惑をかけない。
対向車線のヘッドライトのハイビームによる運転の妨げを受けない。
常時、遠方までの安全確認ができる。
ハイビームとロービームの切り替えの必要がない。
より安全な車の走行システムを提供し、夜間の道路交通の人身事故の軽減につながる。
道路を歩行する人も見通しを確保し、かつ、ヘッドライトのまぶしさを避けることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【016】
水平(垂直)偏光の投光特性を持つヘッドライトと、垂直(水平)偏光の入光特性を持つ窓ガラスを持つ車
【実施例】
【017】
相互に直交する偏光特性を持つヘッドライトと窓ガラスからなる車。
偏光の度合が場所によって異なる窓ガラスもしくは窓用偏光フィルムを有する車。
偏光の度合を制御できる窓ガラスもしくは窓用偏光フィルムを有する車。
偏光の度合を部分的に制御できる窓ガラスもしくは窓用変更フィルムを有する車。
運転者用または歩行者用のメガネ。
【018】
実施には、道路を走行するすべての車が同じ条件を満足しなければならないことから、完全実施までの準備期間を伴う規制化が必要。
規制条件を満足する新車両。
【019】
規制条件を満足しない旧車両に対する、オプションとしてのヘッドライト用の偏光フィルムと窓ガラス用の偏光フィルム。
【産業上の利用可能性】
【020】

【特許請求の範囲】
【請求項1】
道路を走行する車両を車とし、
車のヘッドライトの投光経路に設けた偏光フィルタを第1偏光フィルタとし、
発光特性に偏光特性を持たせた車のヘッドライトを第1偏光ヘッドライトとし、
車の運転席の入光経路に設けた偏光フィルタを第2偏光フィルタとし、
第1偏光フィルタと第2偏光フィルタの関係が互いに直交または直交に近い関係にあることを第1の特徴とし、
第1偏光ヘッドライトの偏光特性と第2偏光フィルタの関係が互いに直交または直交に近い関係にあることを第2の特徴とし、
上記第1または第2の特徴を有する車。
【請求項2】
請求項1に定義する第1偏光フィルタもしくは第1偏光ヘッドライトを備えたことを第3の特徴とする車のヘッドライト
【請求項3】
請求項1に定義する第2偏光フィルタを備えたことを第4の特徴とする車の窓ガラス
【請求項4】
請求項1に定義する第1偏光フィルタが、
投光経路に応じて、連続的または階段的に、偏光の度合に傾斜を持つことを第5の特徴とする車のヘッドライト。
【請求項5】
請求項1に定義する第2偏光フィルタが、
入光経路に応じて、連続的または階段的に、偏光の度合に傾斜を持つことを第6の特徴とする車の窓ガラス。
【請求項6】
請求項4に定義する第5の特徴のヘッドライトと請求項5に定義する第6の特徴の窓ガラスを備えたことを第7の特徴とする車。
【請求項7】
請求項1または請求項4に定義する第1偏光フィルタの偏光の特性を制御する機能を第1偏光制御機能とし、

請求項1または請求項5に定義する第2偏光フィルタの偏光の特性を制御する機能を第2偏光制御機能とし、
上記、第1偏光制御機能もしくは第2偏光制御機能の、いずれか一方または双方を持つことを第8の特徴とし、第8の特徴を有する車。
【請求項8】
第2偏光フィルタの特定のエリアの偏光特性を変えることができる偏光特性を持つ第2偏光フィルタを第2偏光特性可変フィルタとし、
第2偏光フィルタを有することを第9の特徴とし、
運転車の目と対向車のヘッドライトの間を結ぶ線と、第2偏光フィルタとが交わるエリアをヘッドライト入光エリアとし、
ヘッドライト入光エリアを検出する機能をヘッドライト入光エリア検出機能とし、
ヘッドライト入光エリア検出機能がヘッドライト入光エリアの偏光特性を制御する機能をヘッドライト入光エリア偏光制御機能とし、
ヘッドライト入光エリア偏光制御機能を有することを第10の特徴とし、
上記第9と第10の特徴を有する車。
【請求項9】
請求項1に定義する第1偏光フィルタとの関係で、請求項1に定義するところの、第2偏光フィルタが、反射特性において、第2偏光フィルタの機能を持つことを第11の特徴とする車のバックミラー、
【請求項10】
請求項1に定義する第1偏光フィルタとの関係で、請求項1に定義するところの、第2偏光フィルタが、透過特性において、第2偏光フィルタの機能を持つことを第12の特徴とする車の後部窓ガラス。
【請求項11】
請求項9に定義する、バックミラーもしくは請求項10に定義する後部窓ガラスを持つことを第13の特徴とする車。
【請求項12】
あらかじめ決定するところの車の特定の座標軸を特定座標とし、
特定座標を基準として、運転者の目の位置を検出する機能または目の位置を割り出す機能を目位置検出機能とし、
特定座標を基準として、対向車線のヘッドライトの位置を検出する機能をヘッドライト位置検出機能とし、
運転者の目の位置とヘッドライトの位置から、目とヘッドライトを結ぶ線と請求項8に定義する第2偏光フィルタが交わる位置を計算する機能を入光エリア検出機能とし、
目位置検出機能とヘッドライト位置検出機能と入光エリア検出機能を備えたことを第14の特徴とするヘッドライト入光エリア検出機能。
【請求項13】
請求項1に定義する第1偏光フィルタとの関係で、請求項1に定義する第2偏光フィルタの機能を持つメガネ。

【公開番号】特開2012−56551(P2012−56551A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−224313(P2010−224313)
【出願日】平成22年9月13日(2010.9.13)
【出願人】(392004015)
【Fターム(参考)】