説明

車両のラゲッジ構造

【課題】ラゲッジルームを構成する各部材に振動が入力されることに起因した音の発生を防止又は抑制できる車両のラゲッジ構造を得る。
【解決手段】各々が離間するように左右両側へ回動することでラゲッジルーム12を開放する右側ラゲッジドア20及び左側ラゲッジドア22は、右側ラゲッジドア20にジャッキ36を収容保持させる構成としたため、車両10の走行時の振動が入力されても、その振動の位相が互いに反転した状態になる。このため、右側ラゲッジドア20及び左側ラゲッジドア22が振動で変形することに起因したラゲッジルーム12の容積の変化が小さく、これにより、ラゲッジルーム12の容積が振動するように変化することに起因した音の発生を効果的に防止又は抑制できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の後部に設定されるラゲッジルームやこのラゲッジルームを閉止するラゲッジドア等から構成される車両のラゲッジ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両の後部には車両に積み込む荷物等を収納するラゲッジルームが設けられている。このラゲッジルームは車両の後部に回動可能に取り付けられたラゲッジドアにより閉止される。ラゲッジドアは一般的にラゲッジルームの略車両前方側の開口端近傍で略車両左右方向を軸方向とする軸周りに回動可能に車体に連結される。
【0003】
また、下記特許文献1に開示された車両では、ラゲッジルームの略車両左方側の端部近傍で一方のラゲッジドアが略車両前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能に車体に連結され、ラゲッジルームの略車両右方側の端部近傍で他方のラゲッジドアが略車両前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能に車体に連結されている。
【特許文献1】特開2007−69819の公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、車両の走行時の振動がトレーリングアームを介してラゲッジルームを構成するラゲッジドア等の各部材に伝わると、各部材、特に、ラゲッジドアにおいて車両前後方向の振動が励起され、この振動に起因して音が発生する。特に、略車両左右方向を軸方向とする軸周りにラゲッジドアが開閉回動する車両では、車両後部に設けられたストライカ等のロック手段がラゲッジドアと車体とを連結することでラゲッジルームを閉止した状態で維持するが、このロック手段における剛性を大きくすることが困難であることから上記の振動の抑制が困難で結果的に音の発生を抑制することが難しい。
【0005】
本発明は、上記事実を考慮して、ラゲッジルームを構成する各部材に振動が入力されることに起因した音の発生を防止又は抑制できる車両のラゲッジ構造を得ることが目的である。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1に記載の本発明に係る車両のラゲッジ構造は、略車両左右方向左側の端部又はその近傍が略車両前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能に車体の略車両左右方向左側の端部又はその近傍に連結され、車両後部に設けられたラゲッジルームの車両左右方向中間部よりも左側を閉止すると共に、回動することで前記ラゲッジルームを開放する左側ラゲッジドアと、前記左側ラゲッジドアに対して剛性差を有し、略車両左右方向右側の端部又はその近傍が略車両前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能に車体の略車両左右方向右側の端部又はその近傍に連結され、前記ラゲッジルームの車両左右方向中間部よりも右側を閉止すると共に、前記左側ラゲッジドアに連結されることで前記閉止状態を維持し、前記左側ラゲッジドアとの連結が解消されることで前記ラゲッジルームを開放する向きに回動可能で且つ前記左側ラゲッジドアの回動を許容する右側ラゲッジドアと、を備えることを特徴としている。
【0007】
請求項1に記載の本発明に係る車両のラゲッジ構造では、車体の略車両左右方向左側の端部又はその近傍に左側ラゲッジドアの略車両左右方向左側の端部又はその近傍が回動可能に連結され、車体の略車両左右方向右側の端部又はその近傍に右側ラゲッジドアの略車両左右方向右側の端部又はその近傍が回動可能に連結される。車両の後部に設けられたラゲッジルームは、この左側ラゲッジドアと右側ラゲッジドアとにより閉止され、更に、この状態で左側ラゲッジドアと右側ラゲッジドアとが連結されることでラゲッジルームの閉止状態が維持される。
【0008】
この閉止状態で、左側ラゲッジドアと右側ラゲッジドアとの連結が解消され、左側ラゲッジドアが回動するとラゲッジルームの略車両左右方向中間部よりも左側が開放され、右側ラゲッジドアが回動するとラゲッジルームの略車両左右方向中間部よりも右側が開放される。
【0009】
一方、ラゲッジルームが左右両側のラゲッジドアにより閉止されて、更に、左右両側のラゲッジドアが互いに連結された状態で略車両前後方向の振動が左右両側のラゲッジドアに入力された場合、本発明に係る車両のラゲッジ構造では、左側ラゲッジドアと右側ラゲッジドアとで剛性に差があるため、左側ラゲッジドアと右側ラゲッジとで振動の位相が反転する。このため、上記の振動入力で左側ラゲッジドア及び右側ラゲッジの何れかの一方でラゲッジルームの容積を増加させるように変形すると、何れかの他方ではラゲッジルームの容積を減少させるように変形し、これにより、左右の両ラゲッジドアの振動によるラゲッジルームの容積変化が防止又は極めて効果的に抑制される。
【0010】
このように、本発明に係る車両のラゲッジ構造では、前後方向の振動が左右両側のラゲッジドアに入力されても、ラゲッジルーム全体としては容積変化が生じないか、容積変化が極めて小さいため、前後方向の振動が左右両側のラゲッジドアに入力されることに起因する音の発生を効果的に抑制できる。
【0011】
しかも、このような構造とすることで、ラゲッジルームの後方側に位置する車両のロアバックパネルをラゲッジルームの上部開口端近傍まで延ばすことができ、これにより、ラゲッジルームにおける車体の剛性も向上できる。このため、ラゲッジルームを構成する左右両側のラゲッジドア以外の車体構造部材に振動が入力されても、ラゲッジルームを構成する車体構造部材の振動を効果的に抑制できるので、このような振動が車体構造部材に入力されることに起因する音の発生を防止又は効果的に抑制できる。
【0012】
請求項2に記載の本発明に係る車両のラゲッジ構造は、請求項1に記載の本発明において、前記車両に搭載されるジャッキを保持するジャッキ収納部を、前記左側ラゲッジドア及び前記右側ラゲッジドアの何れかの一方に設けたことを特徴としている。
【0013】
請求項2に記載の本発明に係る車両のラゲッジ構造では、左側ラゲッジドア及び右側ラゲッジドアの何れかの一方にジャッキ収納部が設けられるため、車両に搭載されるジャッキは、通常は(すなわち、ジャッキを使用しない状態では)この何れか一方のラゲッジドアに保持される。
【0014】
このため、前記何れかの一方のラゲッジドア全体の質量には、ラゲッジドア自体の質量にジャッキの質量が加わる。このため、左側ラゲッジドア及び右側ラゲッジドアの何れかの一方と他方で、各々のラゲッジドア自体に剛性差をつけなくても、簡単に大きな剛性差をつけることができる。
【発明の効果】
【0015】
以上説明したように、請求項1に記載の本発明に係る車両のラゲッジ構造では、前後方向の振動が左右両側のラゲッジドアに入力されても、左右両側のラゲッジドアに閉止されたラゲッジルームの容積変化をなくすことができ、又は、この容積変化を極めて小さくできるため、前後方向の振動が左右両側のラゲッジドアに入力されることに起因する音の発生を効果的に抑制できる。
【0016】
請求項2に記載の本発明に係る車両のラゲッジ構造では、左側ラゲッジドア及び右側ラゲッジドアの何れかの一方にジャッキ収納部が設けられて、この何れか一方のラゲッジドアにジャッキが保持されるため、左右各々のラゲッジドア自体に剛性差をつけなくても、簡単に左右のラゲッジドアに大きな剛性差をつけることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
<本実施の形態の構成>
図1には本発明の一実施の形態に係る車両のラゲッジ構造を適用した車両10の要部の構成の概略が斜視図により示されている。
【0018】
この図に示されるように、車両10にはラゲッジルーム12が設定されている。ラゲッジルーム12は、リヤガラス14の下方で車体を構成する図示しない車体構造部材と、車両10の後部で左右両側の車体構造部材を構成するクォータパネル16と、これらのクォータパネル16の後端部に繋がるロアバックパネル18とに囲まれており、略車両上方側へ向けて開口している。このラゲッジルーム12の開口部(上端部)に対応して車両10の後部には右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とが設けられている。
【0019】
図2に示されるように、右側ラゲッジドア20はアウタパネル24を備えている。アウタパネル24は金属平板をプレス加工することで形成されており、その厚さ方向一方の面が意匠面とされている。アウタパネル24の厚さ方向他方の側には金属平板をプレス加工することで形成されたインナパネル26が配置されている。インナパネル26の外周部に対応して上記のアウタパネル24の外周部にはヘム部28が形成されている。ヘム部28はアウタパネル24の外周部近傍を内方側へ折り返すことで形成されている。
【0020】
このヘム部28におけるアウタパネル24の折り返しの内側にインナパネル26の外周部とその近傍が挟み込まれ、これにより、アウタパネル24とインナパネル26とがその厚さ方向に対向した状態で一体的に結合されている。インナパネル26の外周部よりも内側にはインナ本体30が形成されている。インナ本体30はインナパネル26の外周部よりも内側部分がアウタパネル24から離間するように変形されることでインナパネル26の厚さ方向に沿って切った断面形状がアウタパネル24の側へ向けて開口した凹形状に形成され、これにより、インナ本体30の底部ではインナパネル26とアウタパネル24との間に空間が形成されている。
【0021】
また、インナ本体30には複数のリブ32が形成されている。リブ32はインナ本体30の一部を更にアウタパネル24から離間するように変形加工することで形成されている。各リブ32は、リブ32はインナパネル26の厚さ方向に対して直交する一方向に沿って長手となるように形成されており、各リブ32は幅方向に沿って切った断面形状がアウタパネル24の側へ向けて開口した凹形状となっている。このようなリブ32をインナパネル26に形成することで、インナパネル26、ひいては右側ラゲッジドア20の剛性が向上し、略車両前後方向や略車両左右方向からの外力に対するインナパネル26の機械的強度が向上する。
【0022】
さらに、インナパネル26にはジャッキ収容部34が設けられている。ジャッキ収容部34はインナ本体30をアウタパネル24とは反対側へ向けて開口するような断面凹形状に変形加工することで形成されており、その内側に車両10に搭載されるジャッキ36を収容することができる。ジャッキ収容部34にジャッキ36を収容した状態で、ジャッキ36を使用する際に車体と係合する係合部38をジャッキ36のベース部40から離間させるようにジャッキ36を操作すると、ベース部40と係合部38とがリブ32の内周壁42に圧接し、これにより、ジャッキ収容部34の内側でジャッキ36が保持される。
【0023】
また、ラゲッジルーム12の開口端(上端)に対して平行に右側ラゲッジドア20が配置された際の略車両左右方向外方(右)側を向くインナパネル26の端部近傍には一対のヒンジアーム44の先端が固定されている。ヒンジアーム44の基端側は右側のクォータパネル16の近傍で車両10の車体構造部材、好ましくは、車体の骨格を構成する骨格部材又は車体を補強する補強部材に固定されたヒンジベースに略車両前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能に支持されている。これにより、右側ラゲッジドア20は、ラゲッジルーム12の略車両右側の端部近傍で略車両前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能とされ、右側ラゲッジドア20の厚さ方向が概ね略車両上下方向に向いた状態では、ラゲッジルーム12の略車両左右方向中間部よりも右側でラゲッジルーム12の上端部を閉止する。
【0024】
一方、左側ラゲッジドア22は、図3に示されるように、基本的に右側ラゲッジドア20と同じ構成であるがジャッキ収容部34が形成されていない。また、ラゲッジルーム12の開口端(上端)に対して平行に左側ラゲッジドア22が配置された際の略車両左右方向外方(左)側を向く左側ラゲッジドア22のインナパネル26の端部近傍には一対のヒンジアーム44(図1及び図3では図示省略)の先端が固定されている。
【0025】
この右側ラゲッジドア20のインナパネル26に先端が固定されたヒンジアーム44の基端側は左側のクォータパネル16の近傍で車両10の車体構造部材、好ましくは、車体の骨格を構成する骨格部材又は車体を補強する補強部材に固定されたヒンジベースに略車両前後方向を軸方向とする軸周り回動可能に支持されている。
【0026】
これにより、左側ラゲッジドア22は、ラゲッジルーム12の略車両左側の端部近傍で略車両前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能とされ、左側ラゲッジドア22の厚さ方向が概ね略車両上下方向に向いた状態では、ラゲッジルーム12の略車両左右方向中間部よりも左側でラゲッジルーム12の上端部を閉止し、更に、右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とがラゲッジルーム12の開口端(上端)を閉止することで、ラゲッジルーム12の開口端(上端)の全域が閉止されるようになっている。
【0027】
また、図4に示されるように、左側ラゲッジドア22の厚さ方向が略車両上下方向を向いた状態における略車両左右方向内方(右)側の左側ラゲッジドア22の端部近傍では、アウタパネル24の外周部近傍がインナパネル26の側へ変形加工されており、更に、その外周側にヘム部28が形成される。これにより、右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とがラゲッジルーム12を閉止した状態では、図4に示されるように、ラゲッジルーム12の略車両左右方向中央側で右側ラゲッジドア20のヘム部28と左側ラゲッジドア22のヘム部28とが略車両上下方向に向き合うようになる。
【0028】
また、図4に示されるように、略車両左右方向内方(右)側の左側ラゲッジドア22のヘム部28上にはロック機構52を構成する機構本体54のハウジング56が設けられている。ハウジング56はヘム部28の略車両前後方向略中央部に固定されている。このハウジング56に対応して略車両左右方向内方(左)側の右側ラゲッジドア20のヘム部28にはロック機構52を構成するラッチ58が設けられている。
【0029】
ラッチ58は略U字形状に形成されており、ラッチ58の両端部がヘム部28に固定されている。ラッチ58のU字の底部はハウジング56に形成された溝部60に入り込むことができるようになっており、溝部60にラッチ58が入り込むとハウジング56に設けられた掛け金62がラッチ58の内側を通過してロックされる。これにより、右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とがラゲッジルーム12を閉止した状態で連結される。
【0030】
<本実施の形態の作用、効果>
次に、本実施の形態の作用並びに効果について説明する。
【0031】
本車両10では、略車両左右方向に沿ったラゲッジルーム12の中間部よりも右側が右側ラゲッジドア20により閉止され、略車両左右方向に沿ったラゲッジルーム12の中間部よりも左側が左側ラゲッジドア22により閉止される。
【0032】
掛け金62をラッチ58から抜け出させてロック機構52による右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22との連結状態を解消し、この状態で右側ラゲッジドア20のインナパネル26に固定されたヒンジアーム44とヒンジベースとの連結部分を軸に右側ラゲッジドア20を回動させると略車両左右方向に沿ったラゲッジルーム12の中間部よりも右側が開放される。さらに、この状態で左側ラゲッジドア22のインナパネル26に固定されたヒンジアーム44とヒンジベースとの連結部分を軸に左側ラゲッジドア22を回動させると略車両左右方向に沿ったラゲッジルーム12の中間部よりも左側が開放される。
【0033】
ここで、本車両10では、上記のように右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とでラゲッジルーム12を閉止した状態では、ロック機構52により右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とが機械的に連結される。この状態では、右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とは全体的に略車両左右方向両側がヒンジアーム44を介して車両10の車体に連結されているため、略車両前後方向や略車両左右方向の一端でのみヒンジを介して連結されるラゲッジドアに比べて剛性が高い。このため、車両10の走行時の振動がラゲッジルーム12の近傍で車体に入力されて右側ラゲッジドア20や左側ラゲッジドア22に伝わっても、右側ラゲッジドア20や左側ラゲッジドア22は振動し難い。
【0034】
しかも、右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とは略車両左右方向に沿ったラゲッジルーム12の中間部でロック機構52により連結されているため、上記の振動が右側ラゲッジドア20や左側ラゲッジドア22に入力されることで右側ラゲッジドア20や左側ラゲッジドア22で振動が発生すると、この振動はロック機構52が節となる。
【0035】
さらに、右側ラゲッジドア20にはジャッキ収容部34が形成されており、ジャッキ36が収容されている。このため、右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とでは、外見的に概ね左右対称に形成されていても、その質量はジャッキ36の分だけ右側ラゲッジドア20の方が重く、また、剛性も左側ラゲッジドア22より右側ラゲッジドア20の方が高くなる。
【0036】
このため、上記のような振動では、右側ラゲッジドア20と左側ラゲッジドア22とで位相が反転し、右側ラゲッジドア20及び左側ラゲッジドア22の何れかの一方では振動によりラゲッジルーム12の容積を増大させるように変形すると、右側ラゲッジドア20及び左側ラゲッジドア22の何れかの他方では振動によりラゲッジルーム12の容積を減少させるように変形する。
【0037】
これにより、右側ラゲッジドア20及び左側ラゲッジドア22の振動に起因したラゲッジルーム12の容積の変化がなくなるか又はラゲッジルーム12の容積の変化が極めて小さくなる。
【0038】
このように、本車両10では、右側ラゲッジドア20及び左側ラゲッジドア22で振動が発生し難く、しかも、右側ラゲッジドア20や左側ラゲッジドア22で振動が発生しても、ラゲッジルーム12の容積変化がないか、又はラゲッジルーム12の容積変化が小さい。このため、このような車両走行時による右側ラゲッジドア20及び左側ラゲッジドア22の振動で、ラゲッジルーム12の容積が振動するように変化することに起因した音の発生を効果的に防止又は抑制できる。
【0039】
また、右側ラゲッジドア20及び左側ラゲッジドア22を回動させてラゲッジルーム12を開閉する構成では、構造的に右側ラゲッジドア20及び左側ラゲッジドア22の後端を下方へ折り曲げることができない。このため、ロアバックパネル18の上端部が両クォータパネル16の上端部近傍まで延ばされる。
【0040】
しかも、意匠的に右側ラゲッジドア20や左側ラゲッジドア22とロアバックパネル18との見切りの隙を目立たせないようにするためには、ロアバックパネル18の上端部近傍を略車両前方側へ湾曲又は屈曲させることになる。ロアバックパネル18をこのような構成とすることで、ロアバックパネル18の剛性が向上する。これにより、上記のような振動はロアバックパネル18においても生じ難くなり、このような振動がロアバックパネル18にて生じることに起因した音の発生を効果的に防止又は抑制できる。
【0041】
さらに、上記のように、右側ラゲッジドア20にジャッキ36を収容保持させることで左側ラゲッジドア22よりも左側ラゲッジドア22の剛性を向上させている。右側ラゲッジドア20にジャッキ36を収容保持させる構造としない場合には、右側ラゲッジドア20以外の部位にジャッキ36を収容保持させる部位を車両10の車体に形成してジャッキ36を搭載することになるため、右側ラゲッジドア20にジャッキ36を収容保持させる構成にしても、車両10の全体的な重量の増加がほとんど生じない。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の一実施の形態に係る車両のラゲッジ構造を適用した車両の要部の概略的な斜視図である。
【図2】右側ラゲッジドアを裏面側から見た斜視図である。
【図3】左側ラゲッジドアを裏面側から見た斜視図である。
【図4】左右両側のラゲッジドアを連結するロック機構を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
【0043】
10 車両
12 ラゲッジルーム
20 右側ラゲッジドア
22 左側ラゲッジドア
34 ジャッキ収容部
36 ジャッキ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
略車両左右方向左側の端部又はその近傍が略車両前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能に車体の略車両左右方向左側の端部又はその近傍に連結され、車両後部に設けられたラゲッジルームの車両左右方向中間部よりも左側を閉止すると共に、回動することで前記ラゲッジルームを開放する左側ラゲッジドアと、
前記左側ラゲッジドアに対して剛性差を有し、略車両左右方向右側の端部又はその近傍が略車両前後方向を軸方向とする軸周りに回動可能に車体の略車両左右方向右側の端部又はその近傍に連結され、前記ラゲッジルームの車両左右方向中間部よりも右側を閉止すると共に、前記左側ラゲッジドアに連結されることで前記閉止状態を維持し、前記左側ラゲッジドアとの連結が解消されることで前記ラゲッジルームを開放する向きに回動可能で且つ前記左側ラゲッジドアの回動を許容する右側ラゲッジドアと、
を備えることを特徴とする車両のラゲッジ構造。
【請求項2】
前記車両に搭載されるジャッキを保持するジャッキ収納部を、前記左側ラゲッジドア及び前記右側ラゲッジドアの何れかの一方に設けたことを特徴とする請求項1に記載の車両のラゲッジ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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