説明

車両のルーフ構造

【課題】 ルーフパネルに装着されたルーフガラスとルーフサイドレールとの接続部の外観を向上させる。
【解決手段】 中央にルーフガラス12を支持するルーフパネル11とルーフサイドレール15との結合部に沿って形成されたモール取付溝19に装着されるルーフモール16をモール本体21および支持脚22,23で構成し、モール本体21の一側縁にモール取付溝19から張り出してルーフガラス12の周縁部を覆うリップ部21bを形成し、他側縁にモール取付溝19の底に向けて滑らかに下降する傾斜部21cを形成したので、モール本体21でルーフガラス12からルーフサイドレール15までを連続的に覆って外観を向上でき、しかもモール取付溝12と傾斜部21cとによって区画される凹部によってルーフパネル11側からルーフサイドレール15を超えて雨水が垂れるのを抑制しながら、その凹部を目立ち難くして外観のへの影響を最小限に抑えることができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、中央の開口にルーフガラスを支持するルーフパネルとルーフサイドレールとの結合部に沿って形成されたモール取付溝にルーフモールを装着する車両のルーフ構造に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のルーフパネルに形成した大型の開口にルーフガラスを装着し、このルーフガラスの左右両側縁と左右のルーフサイドレールとの間の隙間をルーフモール(ガーニッシュ)で覆ったものが、下記特許文献1により公知である。
【特許文献1】特許第3563179号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
ところで上記従来のものは、ルーフモールの全体がルーフガラスおよびルーフサイドレール間に形成された溝から上方に飛び出すように装着されているため、ルーフガラスおよびルーフサイドレールの連続感がなくなって外観が低下する問題があった。
【0004】
本発明は前述の事情に鑑みてなされたもので、ルーフパネルに装着されたルーフガラスとルーフサイドレールとの接続部の外観を向上させることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記目的を達成するために、請求項1に記載された発明によれば、中央の開口にルーフガラスを支持するルーフパネルとルーフサイドレールとの結合部に沿って形成されたモール取付溝にルーフモールを装着する車両のルーフ構造において、前記ルーフモールはモール取付溝に嵌合する支持脚が一体に形成されたモール本体を備えており、前記モール本体の一側縁にはモール取付溝から張り出してルーフガラスの周縁部を覆うリップ部が形成されるとともに、他側縁にはモール取付溝の底に向けて滑らかに下降する傾斜部が形成されることを特徴とする車両のルーフ構造が提案される。
【0006】
また請求項2に記載された発明によれば、請求項1の構成に加えて、前記ルーフモールはモール本体および支持脚に沿って取り付けられた芯金を有することを特徴とする車両のルーフ構造が提案される。
【0007】
尚、実施例の外側支持脚22および内側支持脚23は本発明の支持脚に対応し、実施例の内側リップ部21bは本発明のリップ部に対応する。
【発明の効果】
【0008】
請求項1の構成によれば、中央の開口にルーフガラスを支持するルーフパネルとルーフサイドレールとの結合部に沿って形成されたモール取付溝に装着されるルーフモールをモール本体および支持脚で構成し、モール本体の一側縁にモール取付溝から張り出してルーフガラスの周縁部を覆うリップ部を形成し、他側縁にモール取付溝の底に向けて滑らかに下降する傾斜部を形成したので、モール本体でルーフガラスからルーフサイドレールまでを連続的に覆って外観を向上できるだけでなく、リップ部でルーフガラスの周縁部を保護することができる。しかもモール取付溝と傾斜部とによって区画される凹部によってルーフパネル側からルーフサイドレールを超えて雨水が垂れるのを抑制しながら、その凹部をモール取付溝のルーフサイドレール側に形成して目立ち難くすることで外観のへの影響を最小限に抑えることができる。
【0009】
請求項2の構成によれば、ルーフモールのモール本体および支持脚に沿って芯金を取り付けたので、モール本体を薄肉にしても芯金によってモール本体および支持脚の剛性を高め、支持脚によるルーフモールの保持を確実なものにすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施の形態を、添付の図面に示した本発明の実施例に基づいて説明する。
【0011】
図1〜図3は本発明の一実施例を示すもので、図1はRV車両の部分斜視図、図2は図1の2−2線拡大断面図、図3は図2の要部拡大図である。
【0012】
図1に示すように、車両Vのルーフパネル11の前部に装着される大型のルーフガラス12は、フロントガラス13の上端近傍からリヤドア14の後端近傍まで車体前後方向に延びており、かつ左右のルーフサイドレール15,15を接続するように車体左右方向に延びている。左右のルーフサイドレール15,15とルーフパネル11との境界部に、車体前後方向に延びるルーフモール16,16が装着される。
【0013】
図2に示すように、ルーフパネル11の中央部にはルーフガラス12を装着するための開口17が形成されており、この開口17の周縁部を補強するようにルーフパネル11の下面にスチフナ18が溶接W1,W2される。即ち、ルーフパネル11の内外のフランジ11a,11bとスチフナ18の内外のフランジ18a,18bとを溶接W1,W2することで、開口17を囲む部分でルーフパネル11およびスチフナ18は閉断面を構成する。ルーフパネル11の内外のフランジ11a,11bに挟まれた位置に、車幅方向外側に位置して上向きに突出する凸部11cと、その凸部11cの車幅方向内側に位置する平坦部11dとが形成される。
【0014】
ルーフサイドレール15の車幅方向内端は下向きに折り曲げられており、その途中に概ね水平なステップ部15aが形成されるとともに、その下端に車幅方向内向きに折り曲げられたフランジ15bが形成される。ルーフサイドレール15のフランジ15bは、ルーフパネル11およびスチフナ18の車幅方向外側のフランジ11b,18bと重ね合わされて溶接W2されており、これによりルーフパネル11およびルーフサイドレール15間に車体前後方向に延びるモール取付溝19が形成される。ルーフガラス12の周縁部は、ルーフパネル11の平坦部11dにダムラバー20および接着剤25を介して固定されており、この状態でルーフガラス12の周縁部の上面はルーフパネル11の凸部11cの上面と略同じ高さに整列する。
【0015】
図2および図3に示すように、ルーフモール16はモール取付溝19から露出するモール本体21と、このモール本体21から下方に延びる外側支持脚22および内側支持脚23とを備える。モール本体21、外側支持脚22および内側支持脚23は芯金24と一体にモールドされており、二つ折りに折り返された芯金24の一端側はモール本体21および外側支持脚22に沿って延び、他端側は内側脚支持脚23に沿って延びている。このように、ルーフモール16のモール本体21、外側支持脚22および内側支持脚23に沿って芯金24を取り付けたので、ルーフモール16を薄肉にしても芯金24によって剛性を高めることで、外側支持脚22および内側支持脚23によるルーフモール16の保持を確実なものにすることができる。
【0016】
モール本体21は芯金24からルーフサイドレール15側に張り出す外側リップ部21aと、芯金24からルーフガラス12側に張り出す内側リップ部21bと、ルーフサイドレール15に近い車幅方向外側部分で下向きに傾斜する傾斜部21cとを備える
ルーフモール16をルーフパネル11およびルーフサイドレール15間のモール取付溝19に装着すると、外側支持脚22の下端に設けた外側爪部22aがルーフサイドレール15のステップ部15aの下側の内壁15cに当接して上向きに弾性変形し、かつ内側支持脚23の下端に設けた内側爪部23aがルーフパネル11の凸部11cの下側の内壁11eに弾発的に当接当接して上向きに弾性変形することで、ルーフモール16がモール取付溝19に強固に保持される。このとき、内側支持脚23の上部下面に突設した突起23bがルーフパネル11の凸部11cの上面に当接することで、ルーフモール16の上下位置が規制される。
【0017】
その結果、ルーフモール16のモール本体21の外側リップ部21aはルーフサイドレール15のステップ部15aに上面に弾発的に当接し、モール本体21の内側リップ部21bはルーフガラス12の上面に弾発的に当接する。そしてルーフサイドレール15のステップ部15aの上側の内壁15dとルーフモール16のモール本体21の傾斜部21cとにより、図3に斜線を施して示す雨垂れ容積が確保される。
【0018】
しかして、ルーフパネル11とルーフサイドレール15との結合部に沿って形成されたモール取付溝19に装着されるルーフモール16のモール本体21が、その一側縁にモール取付溝19から張り出してルーフガラス12の周縁部を覆う内側リップ部21bを備え、他側縁にモール取付溝19の底に向けて滑らかに下降する傾斜部21cを備えているので、モール本体21でルーフサイドレール15からルーフガラス12までを連続的に覆って外観を向上できるだけでなく、内側リップ部21bでルーフガラス12のエッジを覆って保護することができる。
【0019】
しかもモール取付溝19の内壁15dとモール本体21の傾斜部21cとで区画される凹部によってルーフパネル11側からルーフサイドレール15を超えて雨水が垂れるのを抑制しながら、その凹部をモール取付溝19のルーフサイドレール15側に形成して目立ち難くすることにより、外観のへの影響を最小限に抑えることができる。
【0020】
以上、本発明の実施例を説明したが、本発明はその要旨を逸脱しない範囲で種々の設計変更を行うことが可能である。
【0021】
例えば、実施例ではRV車両を例示したが、本発明は他の任意のタイプの車両に対しても適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】RV車両の部分斜視図
【図2】図1の2−2線拡大断面図
【図3】図2の要部拡大図
【符号の説明】
【0023】
11 ルーフパネル
12 ルーフガラス
15 ルーフサイドレール
16 ルーフモール
17 開口
19 モール取付溝
21 モール本体
21b 内側リップ部(リップ部)
21c 傾斜部
22 外側支持脚(支持脚)
23 内側支持脚(支持脚)
24 芯金

【特許請求の範囲】
【請求項1】
中央の開口(17)にルーフガラス(12)を支持するルーフパネル(11)とルーフサイドレール(15)との結合部に沿って形成されたモール取付溝(19)にルーフモール(16)を装着する車両のルーフ構造において、
前記ルーフモール(16)はモール取付溝(19)に嵌合する支持脚(22,23)が一体に形成されたモール本体(21)を備えており、前記モール本体(21)の一側縁にはモール取付溝(19)から張り出してルーフガラス(12)の周縁部を覆うリップ部(21b)が形成されるとともに、他側縁にはモール取付溝(19)の底に向けて滑らかに下降する傾斜部(21c)が形成されることを特徴とする車両のルーフ構造。
【請求項2】
前記ルーフモール(16)はモール本体(21)および支持脚(22,23)に沿って取り付けられた芯金(24)を有することを特徴とする、請求項1に記載の車両のルーフ構造。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−168680(P2006−168680A)
【公開日】平成18年6月29日(2006.6.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−367829(P2004−367829)
【出願日】平成16年12月20日(2004.12.20)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】