車両の側部車体構造
【課題】前方衝突時におけるヒンジピラーの車幅方向外方側への変形を防止あるいは抑制する。
【解決手段】車幅方向に延びるインパネ支持部材20が、ブラケット21を介して左右のヒンジピラー2間に架設される。ブラケット21に設けられた係合部24をヒンジピラー2に設けられた一時預けピン25に係合させた状態で、インパネ支持部材20がヒンジピラー2に仮組みされる。一時預けピン25に、ブラケット21に係合してヒンジピラーが車幅方向外方側へ移動するのを規制するストッパ部26が設けられる。
【解決手段】車幅方向に延びるインパネ支持部材20が、ブラケット21を介して左右のヒンジピラー2間に架設される。ブラケット21に設けられた係合部24をヒンジピラー2に設けられた一時預けピン25に係合させた状態で、インパネ支持部材20がヒンジピラー2に仮組みされる。一時預けピン25に、ブラケット21に係合してヒンジピラーが車幅方向外方側へ移動するのを規制するストッパ部26が設けられる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の側部構造においては、車室の前端部付近において上下方向に延びる左右一対のヒンジピラーが設けられ、このヒンジピラーに取付けた上下一対のドアヒンジに対してサイドドアが取付けられる。ヒンジピラーは車体強度部材として機能することが要求されることから、ヒンジピラーインナとヒンジピラーアウタとで閉断面状に構成すると共に、その内部にレインフォースメントを有するように設定することも一般的に行われている。そして、ヒンジピラー内にヒンジレインフォースメントを設けて、このヒンジレインフォースメントに対してドアヒンジを取付けることも行われている。
【0003】
左右のヒンジピラー間には、車幅方向に延びる強度部材としてのインパネ支持部材(ステアリング支持部材とも称される)が架設されて、このインパネ支持部材に対して、インストルメントパネルやステアリング支持部材が支持されるようになっている。インパネ支持部材は、ブラケットを介してヒンジピラーに連結(締結)されるが、インパネ支持部材のヒンジピラーに対する最終的な連結を、インパネ支持部材に対してインストルメントパネル等の組付が完了した後に行なうことも行われている。
【0004】
車体に対してインストルメントパネル等を組み付ける作業中に、重量物であるインパネ支持部材をヒンジピラーに仮支持つまり一時預けするために、ヒンジピラーインナに対して車幅方向内方側に突出する一時預けピンを設ける一方、前記ブラケットに係合部を形成して、この係合部を一時預けピンに係合させることによって、インパネ支持部材をヒンジピラーに一時預けすることも行われている。
【0005】
特許文献1には、フロントピラーレインフォースメントに、インナパネメンバの取付部を補強する補強部材を設けることが提案されている。また、特許文献1には、フロントピラーレインフォースメントに、上下方向に延びる稜線、およびそれぞれ前後方向に延びる上稜線および下稜線を設けて、フロントピラーの剛性を向上させることも開示されている。
【特許文献1】特開2007−168479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ヒンジピラーは、前方衝突時に後方への荷重を受けることになるが、特にオフセット衝突時には、ヒンジピラーが車幅方向外方側に変形されるような荷重を受けることになる。ヒンジピラーが車幅方向外方側に変形すると、前後方向の変形がより容易となって、車室側への変形量が大きくなるので、ヒンジピラーの車幅方向外方側への変形を極力抑制することが望まれることになる。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、前方衝突時におけるヒンジピラーの車幅方向外方側への変形を防止あるいは抑制できるようにした車両の側部車体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
車幅方向に延びるインパネ支持部材が、ブラケットを介して左右のヒンジピラー間に架設されるように構成され、該ブラケットに設けられた係合部を該ヒンジピラーに設けられた一時預けピンに係合させた状態で該インパネ支持部材を前記ヒンジピラーに仮組みするようにされた車両の側部車体構造であって、
前記一時預けピンに、前記ブラケットに係合して前記ヒンジピラーが車幅方向外方側へ移動するのを規制するストッパ部が設けられている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、前方衝突時、特にオフセット衝突時に、ヒンジピラーが車幅方向外方側に向けて変形しようとする外力に対して、ブラケットが抵抗することとなって、ヒンジピラーの車幅方向外方側への変形が防止あるいは抑制されることになる。また、左右一方のヒンジピラーの車幅方向外方側への変位が、インパネ支持部材を介して、左右他方のヒンジピラーによって防止あるいは抑制されることになる。さらに、一時預けピンを有効に利用することにより、簡単な構成によってヒンジピラーの車幅方向外方側への変形を防止あるいは抑制できる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記ブラケットを前記ヒンジピラーに締結した状態において、前記ストッパ部と前記ブラケットとの間に車幅方向において小間隔が形成されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、ストッパ部とブラケットとが走行中の振動を受けて不用意に当接してしまうことを防止して、この当接に起因する異音発生を防止することができる。
【0010】
前記一時預けピンが前記ヒンジピラーに対して螺合される段付ボルトによって構成されると共に、前記ストッパ部が該段付ボルトの頭部によって構成され、
前記ブラケットを前記ヒンジピラーに締結した状態において、前記ストッパ部としての前記頭部と前記ブラケットとの間に車幅方向において小間隔が形成されている、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、請求項2に対応した効果を得つつ、一時預けピンとストッパ部とを段付ボルトを利用して簡単に構成することができる。また、段付ボルトをヒンジピラーに取付けるだけで、ストッパ部としてのボルト頭部の位置を所望位置に精度よく位置させることができる。
【0011】
前記一時預けピンを固定するための固定部材が前記ヒンジピラーに取付けられ、
前記固定部材と前記ヒンジピラーとの間に、該固定部材よりも大きな面積を有するプレート部材が介在されている、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、ヒンジピラーが車幅方向外方側へ変位しようとする外力に対して、プレート部材を介してインパネ支持部材が抵抗するので、ヒンジピラーに局部的に大きな力が作用するのを防止あるいは抑制して、インパネ支持部材によるヒンジピラーの車幅方向外方側への変形防止作用を十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
【0012】
前記ヒンジピラーと前記インパネ支持部材との固定部位が、該ヒンジピラーの後部に設定され、
前記固定部位の前方に、ドアヒンジが位置され、
前記プレート部材が、少なくとも前記ドアヒンジの位置まで前方に延設されると共に、前記ヒンジピラーに結合されている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、ヒンジピラーを車幅方向外方側へ変形させようとする荷重を、プレート部材を介してより確実にインパネ支持部材に伝達する上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前方衝突時におけるヒンジピラーの車幅方向外方側への変形を防止あるいは抑制することができる。また、一時預けピンを有効に利用して簡単な構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図3は、車体の右前部付近を示すもので、図1はフロントフェンダ1が取付けられた状態の側面図であり、図2はフロントフェンダ1を取外した状態でのドアヒンジ部分を拡大して示す側面図であり、図3は、図2に示す状態からさらにヒンジピラーアウタを取外してヒンジレインフォースメント部分を示す拡大斜視図である。この図1〜図3において、2はヒンジピラー、3はヒンジピラーの上部から上方へ延びるフロントピラーであり、4はヒンジピラーの上部から前方へ向けて延びるエプロンレインフォースメントである。また、ヒンジピラー2の下端部は、前後方向に延びるサイドシル5に接合されている。
【0015】
ヒンジピラー2には、上下一対のドアヒンジ10,11が取付けられている。各ドアヒンジ10,11は、ヒンジピラー2へ一体化されるピラー側取付部13と、図示を略すサイドドアに一体化されるドア側取付部14と、上下方向に延びる連結ピン15と、を有する。そして、ピラー側取付部13とドア側取付部14とは、連結ピン15によって揺動可能に連結されている(連結ピン15が、サイドドアの開閉時の揺動中心となる)。
【0016】
ヒンジピラー2は、図4に示すように、ヒンジピラーアウタ2Aとヒンジピラーインナ2Bとによって閉断面状に形成されると共に、その内部に配設されたヒンジピラーレインフォースメント2Cによって補強されている。
【0017】
ヒンジピラー2の前端部には、ダッシュパネル6の車幅方向外端部が連結されている。ダッシュパネル6は、車室とその前方のエンジンルームとを仕切るもので、上下方向および左右方向に延びている(図4、図5参照)。このダッシュパネル6は、ダッシュパネルロア6Aと、ダッシュパネルアッパ6Bとから構成され、ダッシュパネルロア6Aの上端部にダッシュパネルアッパ6Bの下端部が接合されている。そして、ダッシュパネルアッパ6Bは、カウル部6Cを構成している。
【0018】
ダッシュパネル6の後面、より具体的にはダッシュパネルロア6Aの上端部の後面には、車幅方向に延びるダッシュパネルレインフォースメント7が接合されている。このダッシュパネルレインフォースメント7の車幅方向端部は、ヒンジピラー2の直近にまで延びている。
【0019】
図6〜図8に示すように、左右一対のヒンジピラー2(一方のヒンジピラーは図示略)の後端部同士は、車幅方向に延びる強度部材としてインパネ支持部材(ステアリング支持部材)20によって連結されている。このインパネ支持部材20は、ブラケット21を介して、ヒンジピラー2に連結され、ヒンジピラー2に対する連結用の固定具が符合22で示される。なお、ブラケット21とヒンジピラー2との連結部分の詳細については後述する。
【0020】
図3、図4に示すように、前記アッパドアヒンジ10は、ヒンジレインフォースメント30を介してヒンジピラー2に一体化されている。ヒンジレインフォースメント30は、車幅方向外方側に向けて膨出された膨出部30aを有して、全体的には、車幅方向内方側に向けて開口されたカップ状に形成されて、剛性の優れたものとなっている。このヒンジレインフォースメント30の膨出部30a(の車幅方向外側面)とアッパドアヒンジ10(のピラー側取付部13)とが、ヒンジピラーアウタ2Aとヒンジピラーレインフォースメント2Cとを間に挟んだ状態で、固定具31によって固定されている(図4参照)。なお、ヒンジレインフォースメント30は、例えば鉄板を加工することによって構成されている。
【0021】
ヒンジレインフォースメント30は、その車幅方向内方側部分において、上下一対の取付部30bを有する(図8.図9参照)。この取付部30bは、後述するガセット部材40の取付用となるもので、ヒンジピラーインナ2B側に位置されており、より具体的にはヒンジピラーインナ2Bの内面に接触あるいはほぼ接触するように位置されている。
【0022】
図4、図6,図7に示すように、ヒンジレインフォースメント30とダッシュパネル6とが、ガセット部材40によって連結されている。ガセット部材40は、ヒンジピラーインナ2Bの車幅方向内方側に位置されて、車幅方向外方側に向けた開口された断面コ字状の本体部40Aと、本体部40Aの上下に形成されたフランジ部40Bを有し、全体的な断面形状はハット状とされている(特に図13参照)。このガセット部材40は、例えば鉄板を加工することによって形成されている。
【0023】
ガセット部材40のうち、本体部40Aの上面および下面は互いに同一形状とされて、前方へ向かうにつれて徐々に幅広くなる(車幅方向長さが大きくなる)よう形状に設定されている。さらに、ガセット部材40は、全体的に、前方に向かうにつれて徐々に車幅方向内方側に向かうように配設されている(ヒンジピラー2とダッシュパネル6との交差部を補強するすじかい機能)。
【0024】
ガセット部材40の後端部には、上下のフランジ部40Bから延設して、上下一対の取付部40Cが形成されている。この取付部40Cは、ヒンジレインフォースメント30の取付部30bに対応した位置とされている(特に図8参照)。
【0025】
また、ガセット部材40の前端部には、上下方向に間隔をあけて合計3個の取付部40Dが形成されている。上2つの取付部40Dの位置は、ダッシュパネルアッパ6Bの高さ位置となるように位置設定されている。また、最下方の取付部40Dは、ダッシュパネルレインフォースメント7の高さ位置に対応している。
【0026】
ガセット部材40とヒンジレインフォースメント30との連結は、次のようにして行われている。すなわち、ガセット部材40の取付部40Cとヒンジレインフォースメント30の取付部30bとでヒンジピラーインナ2Bを挟んだ状態で、ボルト、ナット等の固定具41によって固定されている(図4,図7,図8参照)。
【0027】
ガセット部材40とダッシュパネル6との連結は、次のようにして行われている。すなわち、ガセット部材40の前側の取付部40Dのうち、上2つの取付部40Dが、ダッシュパネルアッパ6Bに対して、ボルト、ナット等の固定具42によって固定されている(図7、図8参照)。また、前側の取付部40Dのうち、最下方の取付部40Dが、ダッシュパネルレインフォースメント7に対して、ボルト、ナット等の固定具43によって固定されている(図7、図8参照)。
【0028】
ガセット部材40とヒンジピラー2の上端部から前方へ延びる前述したエプロンレインフォースメント4とは、その高さ位置がほぼ同一となるように位置設定されている(エプロンレインフォースメント4を後方へ延長した3延長線の高さ位置範囲にガセット部材40が位置される)。
【0029】
次に、インパネ支持部材20のヒンジピラー2への連結と、ヒンジピラー2への一時預かりの点について説明する。まず、インパネ支持部材20の各端部に対して、ブラケット21が例えば溶接によって一体化されている(図6,図11参照)。ブラケット21は、インパネ支持部材20を挟んだ上下2カ所において、ヒンジピラー2に対して、固定具22を利用して固定される。図13に示すように、固定具22は、ヒンジピラー2側に設けられて、ヒンジピラー2から車幅方向内方側へ突出するボルト22Aと、ヒンジピラー2の車幅方向内方側においてボルト22Aに螺合されたナット22Bとから構成されている。そして、ヒンジピラー2内において、ボルト22Aの外周には、筒状のスペーサ22Cが嵌合されている。
【0030】
上記ボルト22Aに対応させて、ブラケット21には、上下の2カ所に、貫通孔21aが形成されている(図11〜図13参照)。この貫通孔21aにボルト22Aを挿通させて、ナット22Bをボルト22Aに螺合させることによって、ブラケット21のヒンジピラー2に対する固定が行われる。このような固定具22によるブラケット21の固定は、ヒンジピラー2の後端部において行われている。より具体的には、ヒンジピラー2は、ドアヒンジ10,11から若干後方側部分が、前方側部分に比して車幅方向の幅が小さくされており(小さな閉断面とされており)、この車幅方向幅が小さくされた部分において、ブラケット21つまりインパネ支持部材20が固定されている。
【0031】
前記ブラケット21の上前端部には、下方へ開口する凹部からなる係合部24が形成されている。この係合部材24に対応させて、ヒンジピラー2からは、一時預けピン25が車幅方向内方側に突出して形成されている。固定具22によってブラケット21とヒンジピラー2とを固定する前にあらかじめ、係合部24を一時預けピン25に係合(嵌合)させることによって、インパネ支持部材20が、一時預けピン25を介してヒンジピラー2に一時預かりされることになる。また、図11,図12に示すように、前記ブラケット21の下端部には、下方へ開口する凹部からなる別の係合部24′(係合部24に対応)が設けられ、これに対応する一時預けピン(一時預けピン25に対応で図示を略す)もヒンジピラー2に設けられているものである。
【0032】
一時預けピン25の先端部には、係合部24が係合される部分よりも車幅方向内方側において、ストッパ部26が設けられている。このストッパ部26は、係合部24の開口径よりも大きな径を有するようにされている。これにより、ブラケット21の係合部24を一時預けピン25に係合させた状態では、ブラケット21つまりインパネ支持部材20が車幅方向内方側へ向けて変位しようとしても、ストッパ部26によってその変位が規制されることになる。換言すれば、ブラケット21は、ストッパ部26によって、ヒンジピラー2の車幅方向内面からの間隔が所定以上大きくならないように規制されている。なお、一時預けピン25はボルトを利用して構成され、ストッパ部26は、ボルトに螺合されるナットによって構成されている。
【0033】
一時預けピン25を構成するボルトの頭部とヒンジピラーインナ2Bとの間には、補強部材としてのプレート部材27が介在されている。このプレート部材27は、前方へ長く延びて、その前端位置は、ドアヒンジ10、11のヒンジピラー2に対する固定部となる固定具31よりも前方に位置されている。また、プレート部材27の後端は、ブラケット21固定用の固定具22に前方から当接する位置にまで後方へ長く延びている。プレート部材27の後端部は、実施形態では、固定具22に前方から嵌合される関係とされている。このようなプレート部材27はヒンジピラーインナ2Bに例えば溶接等によって接合されている。
【0034】
ブラケット21とストッパ部26との間には、図13に示すように、車幅方向において所定の隙間L1が設定される。この隙間L1の大きさは、走行中の振動を受けた際に、ブラケット21とストッパ部26とが接触しない範囲で極力小さい値に設定される(例えば数mm)。
【0035】
次に、以上のような構成の作用について説明するが、まずブラケット21がヒンジピラー2に対して固定具22によって固定された組付完了後の状態について説明する。
【0036】
前方衝突時、オフセット衝突時には、ヒンジピラー2に対して、後方への荷重で、かつヒンジピラー2を車幅方向外側に向けて変形させるような荷重が作用する。前方衝突時におけるヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形は、ブラケット21によって防止あるいは抑制されることになる。すなわち、ヒンジピラー2が車幅方向外方側に変形しようとした際に、一時預けピン25に設けたストッパ部26がブラケット21に係合することになり、ブラケット21が抵抗することで前記変形が防止あるいは抑制されることになる。また、インパネ支持部材20を介してヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形が防止あるいは抑制されることにもなる。この点を説明すると、左右一対のヒンジピラー2同士は、インパネ支持部材20およびブラケット21を介して、一時預けピン25のストッパ部26によって互いに車幅方向において離間することが規制されている。したがって、左右一方のヒンジピラー2を車幅方向外方側へ変形させようとする外力に対して、インパネ支持部材20を介して左右他方のヒンジピラー2が抵抗することとなって、ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形が防止あるいは抑制されることになる。このようなインパネ支持部材20を利用したヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形防止あるいは抑制は、一時預けピン25に設けたストッパ部26を利用したものとなる。
【0037】
インパネ支持部材20によってヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形を阻止しようとする抵抗力は、プレート部材27を介してヒンジピラーインナ2Bに作用することになる。プレート部材27は、一時預けピン25の頭部に比して十分に大きな面積を有するため、ヒンジピラーインナ2Bに局部的に大きな力が作用するのが防止されて、インパネ支持部材20を利用したヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形防止あるいは抑制が効果的に行われることになる。
【0038】
ブラケット21とストッパ部26との間には、車幅方向の隙間L1が設定されている。このため、走行中の振動を受けた際にも、ブラケット21とストッパ部26とが不用意に接触するのが防止される(接触に伴う異音の発生防止)。
【0039】
また、プレート部材27は、十分に前方へ長く延設されていると共に(ヒンジピラー2の大閉断面部分まで延設されている)、ヒンジピラーインナ2Bに接合されているため、ヒンジピラー2の補強が十分におこなわれて、ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形がより確実に防止あるいは抑制されることになる。また、前方衝突時の後方への外力は、プレート部材27を介して、ブラケット21とヒンジピラー2とを連結する固定具22部分へと効果的に伝達されて、強度部材としてのインパネ支持部材20によって後方への荷重もしっかりと受け止められることになる。
【0040】
ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形防止あるいは抑制は、ガセット部材40によっても行われる。すなわち、ヒンジピラー2が車幅方向外方側に向けて変形しようとしたとき、ガセット部材40はヒンジピラー2から引っ張り力を受けるが、この引っ張り力をガセット部材40を介してダッシュパネル6で受け止めて、ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形が防止あるいは抑制されることになる。ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形防止あるいは抑制によって、ヒンジピラー2の後方への変位つまり車室に向けての後退が防止あるいは抑制されることになる。
【0041】
前方衝突時の後方への荷重は、エプロンレインフォースメント4を介してヒンジピラー2へ入力されるが、このガセット部材40の高さ位置が、エプロンレインフォースメント4の高さ位置と対応した位置とされているので、ガセット部材40を利用したヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形がより効果的に防止あるいは抑制されることになる。
【0042】
ガセット部材40のヒンジピラー2に対する取付けは、強度部材としてのヒンジレインフォースメント30を介して行うので、その取付強度(剛性)が高いものとなる。また、ガセット部材40のダッシュパネル6に対する取付けは、ダッシュパネルアッパ6Bと、ダッシュパネルロア6Aに接合された強度部材としてのダッシュパネルレインフォースメント7に対して行われているので、ダッシュパネル6に対する取付強度(剛性)も高いものとなる。ガセット部材40の前後の各取付強度が高いということは、ヒンジピラー2のダッシュパネル6への連結強度が高いということとなり、ヒンジピラー2の車幅方向外側への変形抑制の上で有利となる。
【0043】
ガセット部材40が、ダッシュパネルロア6Aとダッシュパネルアウタパネル6Bとに跨って連結されることから、この6Aと6Bとの結合部位の強度も高められることになる。勿論、ダッシュパネルレインフォースメント7によって、ダッシュパネル6が補強されていることから、ヒンジピラー2からガセット部材40を介して受ける引張力を受けても変形しにくいものとなる。
【0044】
ガセット部材40は、ヒンジピラー2とダッシュパネル6との交差部となる角部を補強するすじかい機能を有するので、この交差部の剛性を大幅に向上することができる。このことは、車体剛性を高めて、走行中の振動防止や車体のねじれ防止等の上で好ましいものとなる。
【0045】
ガセット部材40は、その後端部の幅(車幅方向幅)が、前端部の幅に比して小さいものとされている。これにより、ガセット部材40の軽量化はもとより、車室内を乗員等が極力広く有効利用したり、別途内装品を配設するスペース確保の点で好ましいものとなる。また、ガセット部材40の前端部側の幅は大きくされているので、つまり比較的薄肉となるダッシュパネル6側への連結部の幅が大きくされているので、ガセット部材40からダッシュパネル6へ作用する外力を極力分散して、ダッシュパネル6に外力が集中しないようにする上で好ましいものとなる。ちなみに、ガセット部材40の幅を全体的にその前端部と同じ大きな幅のままとしたときは、ガセット部材40がかなり大型化となり、また重量も増大となってしまうことになる。
【0046】
次に、インパネ支持部材20の仮組みの点について説明する。まず、図11に示すようにインパネ支持部材20に対して、ブラケット21が一体化されると共に、支持部材37や図示を略すインストルメントパネルやステアリング機構等が取付けられ、一体化されたセット体Sが用意される。このセット体Sは、その左右のブラケット21における係合部24を、ヒンジピラー2から突出された一時預けピン25に係合させることによって、左右のヒンジピラー2間に架設された仮組み状態とされる。この仮組み状態では、インパネ支持部材20は、固定具22を利用したヒンジピラー2への固定はおこなわれていない状態とされる。
【0047】
この後、インストルメントパネル等が車体に対して所定位置となるようにインパネ支持部材20の位置を微調整しつつ、インパネ支持部材20が固定具22によってヒンジピラー2に固定される。特に、係合部24に対して一時預けピン25が嵌合形式で係合されるので、インストルメントパネル等の取付作業を容易に行うことができる。
【0048】
図14は、本発明の第の2実施形態を示すものである。本実施形態では、一時預けピン25とストッパ部26とを、段付ボルト35を利用して構成するようにしてある。すなわち、段付ボルト35は、大径部35Aと、大径部35Aの一端部側に一体成形された頭部35Bと、大径部35Aの他端部から一体的に延びる小径部35Cとを有する。そして、小径部35Cがねじ部とされている。
【0049】
段付ボルト35は、その小径部35C(に形成されたねじ部)を、ヒンジピラーインナ2Bの内面側に一体化されたナット部材36に螺合することによって、ヒンジピラー2に対してあらかじめ一体化されている。段付ボルト35の大径部35Aに対して、ブラケット21の係合部24が上方から係合(嵌合)される。このとき、段付ボルト35の軸方向(車幅方向)において、ブラケット21は、ヒンジピラーインナ2Bと頭部35Bとの間にそれぞれ小隙間(数mm)を有するように設定される。特に、図14において、ブラケット21と頭部35Bとの間の車幅方向隙間が符合L1(図13のL1対応)で示される。
【0050】
本実施形態では、段付ボルト35を利用することにより、一時預けピン25の機能と、ストッパ部26の機能との両方を同時に得ることができる。また、段付ボルト35は、その大径部35Aと小径部35Cとの段差部がヒンジピラーインナ2Bの車幅方向内面に当接することによって、自動的にその頭部35Bの車幅方向位置が精度よく位置決めされることになる(前記隙間L1を精度よくかつ簡単に設定可能)。
【0051】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。ガセット部材40の断面形状は適宜の形状に設定できる。ガセット部材40とダッシュパネル6との連結を、ダッシュパネルレインフォースメント7を介することなく行うようにしてもよい。ヒンジレインフォースメント30は、カップ状部分を有しないで、全体的に板状のものであってもよく、この場合は、剛性向上等のために曲げ加工やビード加工をしておくのが好ましい。ガセット部材40を有しないものであってもよい。ストッパ部26が設けられた一時預けピン25とこれに対応したブラケット21の係合部24との組数は、2組に限らず、1組あるいは3組以上にすることもできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、サイドドアを取外した状態での右側のヒンジピラー付近を示す側面図。
【図2】フロントフェンダを取外した状態でのヒンジピラー付近を示すもので、図1に対応した側面図。
【図3】ヒンジピラーアウタを取外した状態でのドアヒンジおよびヒンジレインフォースメントを示す斜視図。
【図4】ヒンジピラーおよびダッシュパネル付近の断面構造を示す平面断面図。
【図5】ヒンジピラーインナを取外した状態でのヒンジピラーおよびダッシュパネル付近の構造を示す側面断面図。
【図6】ヒンジピラーおよびダッシュパネル付近を示す車室内側からの斜視図。
【図7】ガセット部材付近を詳細に示す車室内側からの斜視図。
【図8】図7の状態から、ヒンジピラーインナを取外した状態を示す斜視図。
【図9】図8の状態からガセット部材を取外した状態を示す斜視図。
【図10】ガセット部材の断面形状を示す断面図。
【図11】左右一対のブラケットとインパネ支持部材との連結体を示す斜視図。
【図12】ブラケットの一例を示す拡大側面図。
【図13】ブラケットとヒンジピラーとの連結部分の詳細を示す平面断面図。
【図14】本発明の第2の実施形態を示すもので、一時預けピンとストッパ部とを段付ボルトによって構成した場合の例を示す要部平面断面図。
【符号の説明】
【0053】
2:ヒンジピラー
2A:ヒンジピラーアウタ
2B:ヒンジピラーインナ
2C:ヒンジピラーレインフォースメント
4:エプロンレインフォースメント
6:ダッシュパネル
6A:ダッシュパネルロア
6B:ダッシュパネルアッパ
6C:カウル部
7:ダッシュパネルレインフォースメント
10:アッパドアヒンジ
11:ロアドアヒンジ
20:インパネ支持部材
21:ブラケット
21a:貫通孔
21:ブラケット
22:固定具
24:係合部
25:一時預けピン
26:ストッパ部
27:プレート部材
35:段付ボルト
40:ガセット部材
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の側部車体構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両の側部構造においては、車室の前端部付近において上下方向に延びる左右一対のヒンジピラーが設けられ、このヒンジピラーに取付けた上下一対のドアヒンジに対してサイドドアが取付けられる。ヒンジピラーは車体強度部材として機能することが要求されることから、ヒンジピラーインナとヒンジピラーアウタとで閉断面状に構成すると共に、その内部にレインフォースメントを有するように設定することも一般的に行われている。そして、ヒンジピラー内にヒンジレインフォースメントを設けて、このヒンジレインフォースメントに対してドアヒンジを取付けることも行われている。
【0003】
左右のヒンジピラー間には、車幅方向に延びる強度部材としてのインパネ支持部材(ステアリング支持部材とも称される)が架設されて、このインパネ支持部材に対して、インストルメントパネルやステアリング支持部材が支持されるようになっている。インパネ支持部材は、ブラケットを介してヒンジピラーに連結(締結)されるが、インパネ支持部材のヒンジピラーに対する最終的な連結を、インパネ支持部材に対してインストルメントパネル等の組付が完了した後に行なうことも行われている。
【0004】
車体に対してインストルメントパネル等を組み付ける作業中に、重量物であるインパネ支持部材をヒンジピラーに仮支持つまり一時預けするために、ヒンジピラーインナに対して車幅方向内方側に突出する一時預けピンを設ける一方、前記ブラケットに係合部を形成して、この係合部を一時預けピンに係合させることによって、インパネ支持部材をヒンジピラーに一時預けすることも行われている。
【0005】
特許文献1には、フロントピラーレインフォースメントに、インナパネメンバの取付部を補強する補強部材を設けることが提案されている。また、特許文献1には、フロントピラーレインフォースメントに、上下方向に延びる稜線、およびそれぞれ前後方向に延びる上稜線および下稜線を設けて、フロントピラーの剛性を向上させることも開示されている。
【特許文献1】特開2007−168479号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、ヒンジピラーは、前方衝突時に後方への荷重を受けることになるが、特にオフセット衝突時には、ヒンジピラーが車幅方向外方側に変形されるような荷重を受けることになる。ヒンジピラーが車幅方向外方側に変形すると、前後方向の変形がより容易となって、車室側への変形量が大きくなるので、ヒンジピラーの車幅方向外方側への変形を極力抑制することが望まれることになる。
【0007】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、前方衝突時におけるヒンジピラーの車幅方向外方側への変形を防止あるいは抑制できるようにした車両の側部車体構造を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記目的を達成するため、本発明にあっては次のような第1の解決手法を採択してある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
車幅方向に延びるインパネ支持部材が、ブラケットを介して左右のヒンジピラー間に架設されるように構成され、該ブラケットに設けられた係合部を該ヒンジピラーに設けられた一時預けピンに係合させた状態で該インパネ支持部材を前記ヒンジピラーに仮組みするようにされた車両の側部車体構造であって、
前記一時預けピンに、前記ブラケットに係合して前記ヒンジピラーが車幅方向外方側へ移動するのを規制するストッパ部が設けられている、
ようにしてある。上記解決手法によれば、前方衝突時、特にオフセット衝突時に、ヒンジピラーが車幅方向外方側に向けて変形しようとする外力に対して、ブラケットが抵抗することとなって、ヒンジピラーの車幅方向外方側への変形が防止あるいは抑制されることになる。また、左右一方のヒンジピラーの車幅方向外方側への変位が、インパネ支持部材を介して、左右他方のヒンジピラーによって防止あるいは抑制されることになる。さらに、一時預けピンを有効に利用することにより、簡単な構成によってヒンジピラーの車幅方向外方側への変形を防止あるいは抑制できる。
【0009】
上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項2以下に記載のとおりである。すなわち、
前記ブラケットを前記ヒンジピラーに締結した状態において、前記ストッパ部と前記ブラケットとの間に車幅方向において小間隔が形成されている、ようにしてある(請求項2対応)。この場合、ストッパ部とブラケットとが走行中の振動を受けて不用意に当接してしまうことを防止して、この当接に起因する異音発生を防止することができる。
【0010】
前記一時預けピンが前記ヒンジピラーに対して螺合される段付ボルトによって構成されると共に、前記ストッパ部が該段付ボルトの頭部によって構成され、
前記ブラケットを前記ヒンジピラーに締結した状態において、前記ストッパ部としての前記頭部と前記ブラケットとの間に車幅方向において小間隔が形成されている、
ようにしてある(請求項3対応)。この場合、請求項2に対応した効果を得つつ、一時預けピンとストッパ部とを段付ボルトを利用して簡単に構成することができる。また、段付ボルトをヒンジピラーに取付けるだけで、ストッパ部としてのボルト頭部の位置を所望位置に精度よく位置させることができる。
【0011】
前記一時預けピンを固定するための固定部材が前記ヒンジピラーに取付けられ、
前記固定部材と前記ヒンジピラーとの間に、該固定部材よりも大きな面積を有するプレート部材が介在されている、
ようにしてある(請求項4対応)。この場合、ヒンジピラーが車幅方向外方側へ変位しようとする外力に対して、プレート部材を介してインパネ支持部材が抵抗するので、ヒンジピラーに局部的に大きな力が作用するのを防止あるいは抑制して、インパネ支持部材によるヒンジピラーの車幅方向外方側への変形防止作用を十分に発揮させる上で好ましいものとなる。
【0012】
前記ヒンジピラーと前記インパネ支持部材との固定部位が、該ヒンジピラーの後部に設定され、
前記固定部位の前方に、ドアヒンジが位置され、
前記プレート部材が、少なくとも前記ドアヒンジの位置まで前方に延設されると共に、前記ヒンジピラーに結合されている、
ようにしてある(請求項5対応)。この場合、ヒンジピラーを車幅方向外方側へ変形させようとする荷重を、プレート部材を介してより確実にインパネ支持部材に伝達する上で好ましいものとなる。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、前方衝突時におけるヒンジピラーの車幅方向外方側への変形を防止あるいは抑制することができる。また、一時預けピンを有効に利用して簡単な構成とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1〜図3は、車体の右前部付近を示すもので、図1はフロントフェンダ1が取付けられた状態の側面図であり、図2はフロントフェンダ1を取外した状態でのドアヒンジ部分を拡大して示す側面図であり、図3は、図2に示す状態からさらにヒンジピラーアウタを取外してヒンジレインフォースメント部分を示す拡大斜視図である。この図1〜図3において、2はヒンジピラー、3はヒンジピラーの上部から上方へ延びるフロントピラーであり、4はヒンジピラーの上部から前方へ向けて延びるエプロンレインフォースメントである。また、ヒンジピラー2の下端部は、前後方向に延びるサイドシル5に接合されている。
【0015】
ヒンジピラー2には、上下一対のドアヒンジ10,11が取付けられている。各ドアヒンジ10,11は、ヒンジピラー2へ一体化されるピラー側取付部13と、図示を略すサイドドアに一体化されるドア側取付部14と、上下方向に延びる連結ピン15と、を有する。そして、ピラー側取付部13とドア側取付部14とは、連結ピン15によって揺動可能に連結されている(連結ピン15が、サイドドアの開閉時の揺動中心となる)。
【0016】
ヒンジピラー2は、図4に示すように、ヒンジピラーアウタ2Aとヒンジピラーインナ2Bとによって閉断面状に形成されると共に、その内部に配設されたヒンジピラーレインフォースメント2Cによって補強されている。
【0017】
ヒンジピラー2の前端部には、ダッシュパネル6の車幅方向外端部が連結されている。ダッシュパネル6は、車室とその前方のエンジンルームとを仕切るもので、上下方向および左右方向に延びている(図4、図5参照)。このダッシュパネル6は、ダッシュパネルロア6Aと、ダッシュパネルアッパ6Bとから構成され、ダッシュパネルロア6Aの上端部にダッシュパネルアッパ6Bの下端部が接合されている。そして、ダッシュパネルアッパ6Bは、カウル部6Cを構成している。
【0018】
ダッシュパネル6の後面、より具体的にはダッシュパネルロア6Aの上端部の後面には、車幅方向に延びるダッシュパネルレインフォースメント7が接合されている。このダッシュパネルレインフォースメント7の車幅方向端部は、ヒンジピラー2の直近にまで延びている。
【0019】
図6〜図8に示すように、左右一対のヒンジピラー2(一方のヒンジピラーは図示略)の後端部同士は、車幅方向に延びる強度部材としてインパネ支持部材(ステアリング支持部材)20によって連結されている。このインパネ支持部材20は、ブラケット21を介して、ヒンジピラー2に連結され、ヒンジピラー2に対する連結用の固定具が符合22で示される。なお、ブラケット21とヒンジピラー2との連結部分の詳細については後述する。
【0020】
図3、図4に示すように、前記アッパドアヒンジ10は、ヒンジレインフォースメント30を介してヒンジピラー2に一体化されている。ヒンジレインフォースメント30は、車幅方向外方側に向けて膨出された膨出部30aを有して、全体的には、車幅方向内方側に向けて開口されたカップ状に形成されて、剛性の優れたものとなっている。このヒンジレインフォースメント30の膨出部30a(の車幅方向外側面)とアッパドアヒンジ10(のピラー側取付部13)とが、ヒンジピラーアウタ2Aとヒンジピラーレインフォースメント2Cとを間に挟んだ状態で、固定具31によって固定されている(図4参照)。なお、ヒンジレインフォースメント30は、例えば鉄板を加工することによって構成されている。
【0021】
ヒンジレインフォースメント30は、その車幅方向内方側部分において、上下一対の取付部30bを有する(図8.図9参照)。この取付部30bは、後述するガセット部材40の取付用となるもので、ヒンジピラーインナ2B側に位置されており、より具体的にはヒンジピラーインナ2Bの内面に接触あるいはほぼ接触するように位置されている。
【0022】
図4、図6,図7に示すように、ヒンジレインフォースメント30とダッシュパネル6とが、ガセット部材40によって連結されている。ガセット部材40は、ヒンジピラーインナ2Bの車幅方向内方側に位置されて、車幅方向外方側に向けた開口された断面コ字状の本体部40Aと、本体部40Aの上下に形成されたフランジ部40Bを有し、全体的な断面形状はハット状とされている(特に図13参照)。このガセット部材40は、例えば鉄板を加工することによって形成されている。
【0023】
ガセット部材40のうち、本体部40Aの上面および下面は互いに同一形状とされて、前方へ向かうにつれて徐々に幅広くなる(車幅方向長さが大きくなる)よう形状に設定されている。さらに、ガセット部材40は、全体的に、前方に向かうにつれて徐々に車幅方向内方側に向かうように配設されている(ヒンジピラー2とダッシュパネル6との交差部を補強するすじかい機能)。
【0024】
ガセット部材40の後端部には、上下のフランジ部40Bから延設して、上下一対の取付部40Cが形成されている。この取付部40Cは、ヒンジレインフォースメント30の取付部30bに対応した位置とされている(特に図8参照)。
【0025】
また、ガセット部材40の前端部には、上下方向に間隔をあけて合計3個の取付部40Dが形成されている。上2つの取付部40Dの位置は、ダッシュパネルアッパ6Bの高さ位置となるように位置設定されている。また、最下方の取付部40Dは、ダッシュパネルレインフォースメント7の高さ位置に対応している。
【0026】
ガセット部材40とヒンジレインフォースメント30との連結は、次のようにして行われている。すなわち、ガセット部材40の取付部40Cとヒンジレインフォースメント30の取付部30bとでヒンジピラーインナ2Bを挟んだ状態で、ボルト、ナット等の固定具41によって固定されている(図4,図7,図8参照)。
【0027】
ガセット部材40とダッシュパネル6との連結は、次のようにして行われている。すなわち、ガセット部材40の前側の取付部40Dのうち、上2つの取付部40Dが、ダッシュパネルアッパ6Bに対して、ボルト、ナット等の固定具42によって固定されている(図7、図8参照)。また、前側の取付部40Dのうち、最下方の取付部40Dが、ダッシュパネルレインフォースメント7に対して、ボルト、ナット等の固定具43によって固定されている(図7、図8参照)。
【0028】
ガセット部材40とヒンジピラー2の上端部から前方へ延びる前述したエプロンレインフォースメント4とは、その高さ位置がほぼ同一となるように位置設定されている(エプロンレインフォースメント4を後方へ延長した3延長線の高さ位置範囲にガセット部材40が位置される)。
【0029】
次に、インパネ支持部材20のヒンジピラー2への連結と、ヒンジピラー2への一時預かりの点について説明する。まず、インパネ支持部材20の各端部に対して、ブラケット21が例えば溶接によって一体化されている(図6,図11参照)。ブラケット21は、インパネ支持部材20を挟んだ上下2カ所において、ヒンジピラー2に対して、固定具22を利用して固定される。図13に示すように、固定具22は、ヒンジピラー2側に設けられて、ヒンジピラー2から車幅方向内方側へ突出するボルト22Aと、ヒンジピラー2の車幅方向内方側においてボルト22Aに螺合されたナット22Bとから構成されている。そして、ヒンジピラー2内において、ボルト22Aの外周には、筒状のスペーサ22Cが嵌合されている。
【0030】
上記ボルト22Aに対応させて、ブラケット21には、上下の2カ所に、貫通孔21aが形成されている(図11〜図13参照)。この貫通孔21aにボルト22Aを挿通させて、ナット22Bをボルト22Aに螺合させることによって、ブラケット21のヒンジピラー2に対する固定が行われる。このような固定具22によるブラケット21の固定は、ヒンジピラー2の後端部において行われている。より具体的には、ヒンジピラー2は、ドアヒンジ10,11から若干後方側部分が、前方側部分に比して車幅方向の幅が小さくされており(小さな閉断面とされており)、この車幅方向幅が小さくされた部分において、ブラケット21つまりインパネ支持部材20が固定されている。
【0031】
前記ブラケット21の上前端部には、下方へ開口する凹部からなる係合部24が形成されている。この係合部材24に対応させて、ヒンジピラー2からは、一時預けピン25が車幅方向内方側に突出して形成されている。固定具22によってブラケット21とヒンジピラー2とを固定する前にあらかじめ、係合部24を一時預けピン25に係合(嵌合)させることによって、インパネ支持部材20が、一時預けピン25を介してヒンジピラー2に一時預かりされることになる。また、図11,図12に示すように、前記ブラケット21の下端部には、下方へ開口する凹部からなる別の係合部24′(係合部24に対応)が設けられ、これに対応する一時預けピン(一時預けピン25に対応で図示を略す)もヒンジピラー2に設けられているものである。
【0032】
一時預けピン25の先端部には、係合部24が係合される部分よりも車幅方向内方側において、ストッパ部26が設けられている。このストッパ部26は、係合部24の開口径よりも大きな径を有するようにされている。これにより、ブラケット21の係合部24を一時預けピン25に係合させた状態では、ブラケット21つまりインパネ支持部材20が車幅方向内方側へ向けて変位しようとしても、ストッパ部26によってその変位が規制されることになる。換言すれば、ブラケット21は、ストッパ部26によって、ヒンジピラー2の車幅方向内面からの間隔が所定以上大きくならないように規制されている。なお、一時預けピン25はボルトを利用して構成され、ストッパ部26は、ボルトに螺合されるナットによって構成されている。
【0033】
一時預けピン25を構成するボルトの頭部とヒンジピラーインナ2Bとの間には、補強部材としてのプレート部材27が介在されている。このプレート部材27は、前方へ長く延びて、その前端位置は、ドアヒンジ10、11のヒンジピラー2に対する固定部となる固定具31よりも前方に位置されている。また、プレート部材27の後端は、ブラケット21固定用の固定具22に前方から当接する位置にまで後方へ長く延びている。プレート部材27の後端部は、実施形態では、固定具22に前方から嵌合される関係とされている。このようなプレート部材27はヒンジピラーインナ2Bに例えば溶接等によって接合されている。
【0034】
ブラケット21とストッパ部26との間には、図13に示すように、車幅方向において所定の隙間L1が設定される。この隙間L1の大きさは、走行中の振動を受けた際に、ブラケット21とストッパ部26とが接触しない範囲で極力小さい値に設定される(例えば数mm)。
【0035】
次に、以上のような構成の作用について説明するが、まずブラケット21がヒンジピラー2に対して固定具22によって固定された組付完了後の状態について説明する。
【0036】
前方衝突時、オフセット衝突時には、ヒンジピラー2に対して、後方への荷重で、かつヒンジピラー2を車幅方向外側に向けて変形させるような荷重が作用する。前方衝突時におけるヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形は、ブラケット21によって防止あるいは抑制されることになる。すなわち、ヒンジピラー2が車幅方向外方側に変形しようとした際に、一時預けピン25に設けたストッパ部26がブラケット21に係合することになり、ブラケット21が抵抗することで前記変形が防止あるいは抑制されることになる。また、インパネ支持部材20を介してヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形が防止あるいは抑制されることにもなる。この点を説明すると、左右一対のヒンジピラー2同士は、インパネ支持部材20およびブラケット21を介して、一時預けピン25のストッパ部26によって互いに車幅方向において離間することが規制されている。したがって、左右一方のヒンジピラー2を車幅方向外方側へ変形させようとする外力に対して、インパネ支持部材20を介して左右他方のヒンジピラー2が抵抗することとなって、ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形が防止あるいは抑制されることになる。このようなインパネ支持部材20を利用したヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形防止あるいは抑制は、一時預けピン25に設けたストッパ部26を利用したものとなる。
【0037】
インパネ支持部材20によってヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形を阻止しようとする抵抗力は、プレート部材27を介してヒンジピラーインナ2Bに作用することになる。プレート部材27は、一時預けピン25の頭部に比して十分に大きな面積を有するため、ヒンジピラーインナ2Bに局部的に大きな力が作用するのが防止されて、インパネ支持部材20を利用したヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形防止あるいは抑制が効果的に行われることになる。
【0038】
ブラケット21とストッパ部26との間には、車幅方向の隙間L1が設定されている。このため、走行中の振動を受けた際にも、ブラケット21とストッパ部26とが不用意に接触するのが防止される(接触に伴う異音の発生防止)。
【0039】
また、プレート部材27は、十分に前方へ長く延設されていると共に(ヒンジピラー2の大閉断面部分まで延設されている)、ヒンジピラーインナ2Bに接合されているため、ヒンジピラー2の補強が十分におこなわれて、ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形がより確実に防止あるいは抑制されることになる。また、前方衝突時の後方への外力は、プレート部材27を介して、ブラケット21とヒンジピラー2とを連結する固定具22部分へと効果的に伝達されて、強度部材としてのインパネ支持部材20によって後方への荷重もしっかりと受け止められることになる。
【0040】
ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形防止あるいは抑制は、ガセット部材40によっても行われる。すなわち、ヒンジピラー2が車幅方向外方側に向けて変形しようとしたとき、ガセット部材40はヒンジピラー2から引っ張り力を受けるが、この引っ張り力をガセット部材40を介してダッシュパネル6で受け止めて、ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形が防止あるいは抑制されることになる。ヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形防止あるいは抑制によって、ヒンジピラー2の後方への変位つまり車室に向けての後退が防止あるいは抑制されることになる。
【0041】
前方衝突時の後方への荷重は、エプロンレインフォースメント4を介してヒンジピラー2へ入力されるが、このガセット部材40の高さ位置が、エプロンレインフォースメント4の高さ位置と対応した位置とされているので、ガセット部材40を利用したヒンジピラー2の車幅方向外方側への変形がより効果的に防止あるいは抑制されることになる。
【0042】
ガセット部材40のヒンジピラー2に対する取付けは、強度部材としてのヒンジレインフォースメント30を介して行うので、その取付強度(剛性)が高いものとなる。また、ガセット部材40のダッシュパネル6に対する取付けは、ダッシュパネルアッパ6Bと、ダッシュパネルロア6Aに接合された強度部材としてのダッシュパネルレインフォースメント7に対して行われているので、ダッシュパネル6に対する取付強度(剛性)も高いものとなる。ガセット部材40の前後の各取付強度が高いということは、ヒンジピラー2のダッシュパネル6への連結強度が高いということとなり、ヒンジピラー2の車幅方向外側への変形抑制の上で有利となる。
【0043】
ガセット部材40が、ダッシュパネルロア6Aとダッシュパネルアウタパネル6Bとに跨って連結されることから、この6Aと6Bとの結合部位の強度も高められることになる。勿論、ダッシュパネルレインフォースメント7によって、ダッシュパネル6が補強されていることから、ヒンジピラー2からガセット部材40を介して受ける引張力を受けても変形しにくいものとなる。
【0044】
ガセット部材40は、ヒンジピラー2とダッシュパネル6との交差部となる角部を補強するすじかい機能を有するので、この交差部の剛性を大幅に向上することができる。このことは、車体剛性を高めて、走行中の振動防止や車体のねじれ防止等の上で好ましいものとなる。
【0045】
ガセット部材40は、その後端部の幅(車幅方向幅)が、前端部の幅に比して小さいものとされている。これにより、ガセット部材40の軽量化はもとより、車室内を乗員等が極力広く有効利用したり、別途内装品を配設するスペース確保の点で好ましいものとなる。また、ガセット部材40の前端部側の幅は大きくされているので、つまり比較的薄肉となるダッシュパネル6側への連結部の幅が大きくされているので、ガセット部材40からダッシュパネル6へ作用する外力を極力分散して、ダッシュパネル6に外力が集中しないようにする上で好ましいものとなる。ちなみに、ガセット部材40の幅を全体的にその前端部と同じ大きな幅のままとしたときは、ガセット部材40がかなり大型化となり、また重量も増大となってしまうことになる。
【0046】
次に、インパネ支持部材20の仮組みの点について説明する。まず、図11に示すようにインパネ支持部材20に対して、ブラケット21が一体化されると共に、支持部材37や図示を略すインストルメントパネルやステアリング機構等が取付けられ、一体化されたセット体Sが用意される。このセット体Sは、その左右のブラケット21における係合部24を、ヒンジピラー2から突出された一時預けピン25に係合させることによって、左右のヒンジピラー2間に架設された仮組み状態とされる。この仮組み状態では、インパネ支持部材20は、固定具22を利用したヒンジピラー2への固定はおこなわれていない状態とされる。
【0047】
この後、インストルメントパネル等が車体に対して所定位置となるようにインパネ支持部材20の位置を微調整しつつ、インパネ支持部材20が固定具22によってヒンジピラー2に固定される。特に、係合部24に対して一時預けピン25が嵌合形式で係合されるので、インストルメントパネル等の取付作業を容易に行うことができる。
【0048】
図14は、本発明の第の2実施形態を示すものである。本実施形態では、一時預けピン25とストッパ部26とを、段付ボルト35を利用して構成するようにしてある。すなわち、段付ボルト35は、大径部35Aと、大径部35Aの一端部側に一体成形された頭部35Bと、大径部35Aの他端部から一体的に延びる小径部35Cとを有する。そして、小径部35Cがねじ部とされている。
【0049】
段付ボルト35は、その小径部35C(に形成されたねじ部)を、ヒンジピラーインナ2Bの内面側に一体化されたナット部材36に螺合することによって、ヒンジピラー2に対してあらかじめ一体化されている。段付ボルト35の大径部35Aに対して、ブラケット21の係合部24が上方から係合(嵌合)される。このとき、段付ボルト35の軸方向(車幅方向)において、ブラケット21は、ヒンジピラーインナ2Bと頭部35Bとの間にそれぞれ小隙間(数mm)を有するように設定される。特に、図14において、ブラケット21と頭部35Bとの間の車幅方向隙間が符合L1(図13のL1対応)で示される。
【0050】
本実施形態では、段付ボルト35を利用することにより、一時預けピン25の機能と、ストッパ部26の機能との両方を同時に得ることができる。また、段付ボルト35は、その大径部35Aと小径部35Cとの段差部がヒンジピラーインナ2Bの車幅方向内面に当接することによって、自動的にその頭部35Bの車幅方向位置が精度よく位置決めされることになる(前記隙間L1を精度よくかつ簡単に設定可能)。
【0051】
以上実施形態について説明したが、本発明は、実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲の記載された範囲において適宜の変更が可能であり、例えば次のような場合をも含むものである。ガセット部材40の断面形状は適宜の形状に設定できる。ガセット部材40とダッシュパネル6との連結を、ダッシュパネルレインフォースメント7を介することなく行うようにしてもよい。ヒンジレインフォースメント30は、カップ状部分を有しないで、全体的に板状のものであってもよく、この場合は、剛性向上等のために曲げ加工やビード加工をしておくのが好ましい。ガセット部材40を有しないものであってもよい。ストッパ部26が設けられた一時預けピン25とこれに対応したブラケット21の係合部24との組数は、2組に限らず、1組あるいは3組以上にすることもできる。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の一実施形態を示すもので、サイドドアを取外した状態での右側のヒンジピラー付近を示す側面図。
【図2】フロントフェンダを取外した状態でのヒンジピラー付近を示すもので、図1に対応した側面図。
【図3】ヒンジピラーアウタを取外した状態でのドアヒンジおよびヒンジレインフォースメントを示す斜視図。
【図4】ヒンジピラーおよびダッシュパネル付近の断面構造を示す平面断面図。
【図5】ヒンジピラーインナを取外した状態でのヒンジピラーおよびダッシュパネル付近の構造を示す側面断面図。
【図6】ヒンジピラーおよびダッシュパネル付近を示す車室内側からの斜視図。
【図7】ガセット部材付近を詳細に示す車室内側からの斜視図。
【図8】図7の状態から、ヒンジピラーインナを取外した状態を示す斜視図。
【図9】図8の状態からガセット部材を取外した状態を示す斜視図。
【図10】ガセット部材の断面形状を示す断面図。
【図11】左右一対のブラケットとインパネ支持部材との連結体を示す斜視図。
【図12】ブラケットの一例を示す拡大側面図。
【図13】ブラケットとヒンジピラーとの連結部分の詳細を示す平面断面図。
【図14】本発明の第2の実施形態を示すもので、一時預けピンとストッパ部とを段付ボルトによって構成した場合の例を示す要部平面断面図。
【符号の説明】
【0053】
2:ヒンジピラー
2A:ヒンジピラーアウタ
2B:ヒンジピラーインナ
2C:ヒンジピラーレインフォースメント
4:エプロンレインフォースメント
6:ダッシュパネル
6A:ダッシュパネルロア
6B:ダッシュパネルアッパ
6C:カウル部
7:ダッシュパネルレインフォースメント
10:アッパドアヒンジ
11:ロアドアヒンジ
20:インパネ支持部材
21:ブラケット
21a:貫通孔
21:ブラケット
22:固定具
24:係合部
25:一時預けピン
26:ストッパ部
27:プレート部材
35:段付ボルト
40:ガセット部材
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車幅方向に延びるインパネ支持部材が、ブラケットを介して左右のヒンジピラー間に架設されるように構成され、該ブラケットに設けられた係合部を該ヒンジピラーに設けられた一時預けピンに係合させた状態で該インパネ支持部材を前記ヒンジピラーに仮組みするようにされた車両の側部車体構造であって、
前記一時預けピンに、前記ブラケットに係合して前記ヒンジピラーが車幅方向外方側へ移動するのを規制するストッパ部が設けられている、
ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記ブラケットを前記ヒンジピラーに締結した状態において、前記ストッパ部と前記ブラケットとの間に車幅方向において小間隔が形成されている、ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【請求項3】
請求項2において、
前記一時預けピンが前記ヒンジピラーに対して螺合される段付ボルトによって構成されると共に、前記ストッパ部が該段付ボルトの頭部によって構成され、
前記ブラケットを前記ヒンジピラーに締結した状態において、前記ストッパ部としての前記頭部と前記ブラケットとの間に車幅方向において小間隔が形成されている、
ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記一時預けピンを固定するための固定部材が前記ヒンジピラーに取付けられ、
前記固定部材と前記ヒンジピラーとの間に、該固定部材よりも大きな面積を有するプレート部材が介在されている、
ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【請求項5】
請求項4において、
前記ヒンジピラーと前記インパネ支持部材との固定部位が、該ヒンジピラーの後部に設定され、
前記固定部位の前方に、ドアヒンジが位置され、
前記プレート部材が、少なくとも前記ドアヒンジの位置まで前方に延設されると共に、前記ヒンジピラーに結合されている、
ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【請求項1】
車幅方向に延びるインパネ支持部材が、ブラケットを介して左右のヒンジピラー間に架設されるように構成され、該ブラケットに設けられた係合部を該ヒンジピラーに設けられた一時預けピンに係合させた状態で該インパネ支持部材を前記ヒンジピラーに仮組みするようにされた車両の側部車体構造であって、
前記一時預けピンに、前記ブラケットに係合して前記ヒンジピラーが車幅方向外方側へ移動するのを規制するストッパ部が設けられている、
ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【請求項2】
請求項1において、
前記ブラケットを前記ヒンジピラーに締結した状態において、前記ストッパ部と前記ブラケットとの間に車幅方向において小間隔が形成されている、ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【請求項3】
請求項2において、
前記一時預けピンが前記ヒンジピラーに対して螺合される段付ボルトによって構成されると共に、前記ストッパ部が該段付ボルトの頭部によって構成され、
前記ブラケットを前記ヒンジピラーに締結した状態において、前記ストッパ部としての前記頭部と前記ブラケットとの間に車幅方向において小間隔が形成されている、
ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【請求項4】
請求項1または請求項2において、
前記一時預けピンを固定するための固定部材が前記ヒンジピラーに取付けられ、
前記固定部材と前記ヒンジピラーとの間に、該固定部材よりも大きな面積を有するプレート部材が介在されている、
ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【請求項5】
請求項4において、
前記ヒンジピラーと前記インパネ支持部材との固定部位が、該ヒンジピラーの後部に設定され、
前記固定部位の前方に、ドアヒンジが位置され、
前記プレート部材が、少なくとも前記ドアヒンジの位置まで前方に延設されると共に、前記ヒンジピラーに結合されている、
ことを特徴とする車両の側部車体構造。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
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【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【公開番号】特開2010−143395(P2010−143395A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−322591(P2008−322591)
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年12月18日(2008.12.18)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】
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