説明

車両の操舵装置

【課題】運転者の操舵負担を軽減することができる車両の操舵装置を提供すること。
【解決手段】三輪自転車11の操舵装置は、ペダル40からの動力により駆動される無段変速装置30と、無段変速装置30の変速比を調節する調節手段Rと、を備える。無段変速装置30は、ペダル40からの動力が入力されるとともに右後輪15Rに動力伝達可能に連結された入力軸33と、入力軸33の回転が伝達されるとともに左後輪15Lに動力伝達可能に連結された出力軸35と、を有する。そして、無段変速装置30は、調節手段Rにより決定された変速比に応じて入力軸33と出力軸35に回転速度差を生じさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の操舵装置に関する。
【背景技術】
【0002】
左右後輪の回転を制御可能にした三輪自転車として、例えば特許文献1が挙げられる。特許文献1に開示の三輪自転車は、1つの前輪と、左右の2つの後輪とを有し、それら左右の後輪車軸の間にべべルギヤを設けることによって、左右後輪の回転速度を差動的に変化させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】実開昭56−146692号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところが、特許文献1に開示の三輪自転車の操舵は、前輪に直結されたハンドルを手で操作して行っており、例えば、上肢不自由者のようにハンドルを操作することが困難な者にとっては操舵しづらいものである。
【0005】
本発明は、このような課題に鑑みてなされたものであり、その目的は、運転者の操舵負担を軽減することができる車両の操舵装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するために、請求項1に記載の発明は、駆動源からの動力により駆動される一対の車輪を有する車両の操舵装置であって、前記駆動源からの動力により駆動される変速装置と、前記変速装置の変速比を調節する調節手段と、を備え、前記変速装置は、前記駆動源からの動力が入力されるとともに一方の車輪に動力伝達可能に連結された第1の回転軸と、第1の回転軸の回転が伝達されるとともに他方の車輪に動力伝達可能に連結された第2の回転軸と、を有し、前記変速装置は、前記調節手段により決定された変速比に応じて前記第1の回転軸と前記第2の回転軸に回転速度差を生じさせることを要旨とする。
【0007】
上記発明によれば、駆動源からの動力により第1の回転軸が回転するとともに、この第1の回転軸の回転は、変速装置を介して第2の回転軸に伝達される。そして、左進又は右進時は、調節手段を操作して決定された変速比に応じて、変速装置により第1の回転軸と第2の回転軸との間に回転速度差が生じ、この回転速度差に基づいて一対の車輪間には回転速度差が生じ、この回転速度差に基づいて車両の左進又は右進が可能になる。よって、運転者が、操舵輪に直結のハンドルを直接操作して操舵輪を操舵させる場合と比べると、運転者の操舵負担を軽減することができる。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両の操舵装置において、前記一対の車輪は、該車輪の前進方向及び後進方向に回転可能に前記第1及び第2の回転軸に動力伝達可能に連結されていることを要旨とする。
【0009】
一対の車輪が、例えば、前進方向への回転のみを伝達可能なワンウェイクラッチを介して第1及び第2の回転軸に連結されていると、第1の回転軸と第2の回転軸との間に回転速度差が生じた場合、遅い側の回転軸に連結された車輪には、速い側の回転軸に連結された車輪とは逆方向へのトルクが作用する。この場合、遅い側の車輪においては、後進方向への回転が付与され、ワンウェイクラッチに空回りが発生してしまい、空回りにより遅い側の車輪が進行方向へ連れ回りして回転速度が上昇し、変速装置により付与された回転速度差が小さくなってしまう。しかし、上記発明では、一対の車輪それぞれは、第1及び第2の回転軸に対し前進方向及び後進方向の回転を伝達可能に連結され、ワンウェイクラッチのような一方向連結と異なることから、上述の空回り発生を回避することができる。その結果として、空回りに起因した回転速度差の減少を防止して、操舵性能の低下を防止することができる。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載の車両の操舵装置において、前記駆動源は、ペダルであることを要旨とする。
上記発明によれば、ペダルを踏み込むことで、手を使わずに変速装置に動力を付与することができる。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の操舵装置において、前記一対の車輪に一体の車軸それぞれにはスプロケットが設けられ、各車輪には、各スプロケットを介して各回転軸の回転が伝達されることを要旨とする。
【0012】
上記発明によれば、第1及び第2の回転軸と、各車輪とを、動力伝達可能に容易に連結することができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の車両の操舵装置において、前記変速装置は、少なくとも1つの転動体と、前記転動体が回転しつつ摺接する第1摺接面を有するとともに、前記第1の回転軸と一体回転する第1の支持部材と、前記転動体が回転しつつ摺接する第2摺接面を有するとともに、前記第2の回転軸と一体回転する第2の支持部材と、を有し、前記転動体を駆動させ、該転動体の回転軸を中心とした前記第1及び第2摺接面の作用半径を調節することで、前記第1及び第2の回転軸の回転速度に差を生じさせるとともに、前記転動体が前記調節手段により駆動されることを要旨とする。
【0013】
上記発明によれば、転動体を駆動させることで、第1及び第2摺接面の作用半径を変更し、変速比を変更することができるため、変速比の変更を衝撃の無い、無段状態で行うことができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、運転者の操舵負担を軽減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】実施形態の操舵装置を備えた三輪自転車を示す模式図。
【図2】(a)は右進する場合の無段変速装置を示す模式図、(b)は左進する場合の無段変速装置を示す模式図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の操舵装置を、車両としての三輪自転車の操舵装置に具体化した一実施形態を図1〜図2にしたがって説明する。なお、以下の説明において、「前」「後」「左」「右」は、三輪自転車を運転する運転者を基準とした「前」「後」「左」「右」として説明する。
【0017】
図1に示すように、三輪自転車11のフレーム12前部には前輪13が回転可能に支持されている。また、フレーム12後端部に固設されたU字状のサポートフレーム14の左側部(一側部)には、車輪としての左後輪15Lが左車軸16Lを介して回転可能に支持されるとともに、サポートフレーム14の右側部(他側部)には、車輪としての右後輪15Rが右車軸16Rを介して回転可能に支持されている。
【0018】
左車軸16Lには、左スプロケット17Lが固定されるとともに、右車軸16Rには右スプロケット17Rが固定されている。また、フレーム12のほぼ中央にはサポート軸受19が支持されるとともに、このサポート軸受19には従動軸20が回転可能に支持されている。従動軸20の左右両端部それぞれには従動スプロケット21L,21Rが固定されている。そして、左側の従動スプロケット21Lと、左車軸16Lの左スプロケット17Lとには、従動チェーン22が掛け渡されている。
【0019】
また、フレーム12において、サポート軸受19より斜め前方には、無段変速装置30が配設されている。図1及び図2に示すように、無段変速装置30のケーシング30aには、第1の支持部材を形成する入力ディスク32が回転可能に支持されるとともに、第2の支持部材を形成する出力ディスク34が回転可能に支持されている。入力ディスク32と出力ディスク34の間には、転動体として2つのボール31が介在されている。
【0020】
図2に示すように、ボール31は、入力ディスク32の入力側支持面32aと、出力ディスク34の出力側支持面34aに支持されている。また、各ボール31は回転することで、入力側支持面32aの周縁に湾曲形成された第1摺接面32bと、出力側支持面34aの周縁に形成された第2摺接面34bに対し摺接可能になっている。さらに、各ボール31の回転軸をボール回転軸31aとして図示すると、ボール回転軸31aはボール31の回転に伴い傾きが変更されるようになっている。
【0021】
また、入力ディスク32には、第1の回転軸としての入力軸33が固定されるとともに、出力ディスク34には、第2の回転軸としての出力軸35が固定されている。また、無段変速装置30の入力軸33にはコントローラ27が設けられるとともに、このコントローラ27にはワイヤWが接続されている。無段変速装置30は、コントローラ27に対するワイヤWの抜き差しによって、ボール回転軸31aの傾きを調節可能になっている。ワイヤWには、その操作用の操作レバー36が固定されている。
【0022】
そして、操作レバー36の操作により、ワイヤWがコントローラ27に対して抜き差しされると、無段変速装置30内のネジ機構が駆動されてボール31が回転する結果、ボール回転軸31aの傾きが調節されるようになっている。ボール回転軸31aの傾きが変更されると、ボール回転軸31aから、第1及び第2摺接面32b,34bの周縁への接触部に至るまでの距離である第1及び第2摺接面32b,34bの作用半径r1,r2が変更される。その結果、無段変速装置30の変速比が変更され、入力軸33の回転速度が、変速比に応じた回転速度に変更されて出力軸35に伝達されるようになっている。なお、ボール回転軸31aが傾いておらず、第1摺接面32bと第2摺接面34bの作用半径r1,r2が同じ場合は、出力軸35には、入力軸33の回転速度がそのまま伝達されるようになっている。よって、本実施形態では、コントローラ27、ワイヤW、及び操作レバー36により、無段変速装置30の変速比を調節する調節手段Rが構成されている。
【0023】
また、図1に示すように、入力軸33には、入力用スプロケット37が固定されるとともに、出力軸35には出力用スプロケット38が固定されている。また、フレーム12のほぼ中央には、駆動軸用軸受45が支持されるとともに、この駆動軸用軸受45には駆動軸39が回転可能に支持されている。駆動軸39の右端部には、駆動スプロケット41が固定されるとともに、駆動軸39の両端にはペダル40が固定されている。
【0024】
そして、駆動軸39の駆動スプロケット41と、無段変速装置30における入力軸33に固定された入力用スプロケット37と、右車軸16Rの右スプロケット17Rとには、駆動チェーン42が掛け渡されている。さらに、無段変速装置30における出力軸35の出力用スプロケット38と、従動軸20における右側の従動スプロケット21Rには、出力チェーン43が掛け渡されている。そして、本実施形態では、無段変速装置30と、無段変速装置30の変速比を調節する調節手段Rとから操舵装置が構成されている。
【0025】
次に、上記構成の三輪自転車11の動力伝達経路について説明する。
三輪自転車11において、ペダル40の踏み込み動作によって生じる動力が駆動スプロケット41、駆動チェーン42、及び入力用スプロケット37を介して入力軸33に伝達される。同時に、ペダル40からの動力は、駆動チェーン42、右スプロケット17R、及び右車軸16Rを介して右後輪15Rに伝達される。
【0026】
また、入力軸33に伝達された動力は、無段変速装置30を介して出力軸35に伝達されるとともに、出力用スプロケット38、出力チェーン43、及び従動スプロケット21Rを介して従動軸20に伝達される。そして、従動軸20に伝達された動力は、従動スプロケット21L、従動チェーン22、及び左スプロケット17Lを介して左車軸16Lに伝達され、左後輪15Lに伝達される。その結果、ペダル40からの動力が各スプロケット及びチェーンよりなる動力伝達経路を伝達して右後輪15R及び左後輪15Lに伝達され、左右後輪15L,15Rが回転する結果、三輪自転車11に推力が発生し、前輪13が回転して三輪自転車11が前後進するようになっている。
【0027】
次に、上記三輪自転車11の右進動作及び左進動作について説明する。
三輪自転車11を右進させる場合、運転者は、ペダル40を踏み込みながら、操作レバー36を右に旋回させる。すると、図2(a)に示すように、ワイヤWがコントローラ27から引き出されて無段変速装置30の変速比が変更されると、ワイヤWの移動量に応じてボール31が回転するとともにボール回転軸31aが傾き、第2摺接面34bの作用半径r2が第1摺接面32bの作用半径r1より大きくなる。すると、出力軸35の回転速度は、入力軸33の回転速度より速くなる。その結果、左後輪15Lと右後輪15Rが互いに異なる回転速度で回転し、左後輪15Lの回転速度が、右後輪15Rの回転速度より速くなる。この左右後輪15L,15Rの回転速度差により、左右後輪15L,15Rに動力差が生じて、三輪自転車11は右進する。
【0028】
一方、三輪自転車11を左進させる場合は、運転者は、ペダル40を踏み込みながら、操作レバー36を左に旋回させる。すると、図2(b)に示すように、ワイヤWがコントローラ27から引き出されて無段変速装置30の変速比が変更されると、ワイヤWの移動量に応じてボール31が回転するとともにボール回転軸31aが傾き、第1摺接面32bの作用半径r1が第2摺接面34bの作用半径r2より大きくなる。すると、出力軸35の回転速度が、入力軸33の回転速度より遅くなる。その結果、左後輪15Lの回転速度が、右後輪15Rの回転速度より遅くなり、三輪自転車11は左進する。
【0029】
また、三輪自転車11を左進から直進に戻す場合、又は右進から直進に戻す場合、操作レバー36を左進又は右進操作の状態から元に戻す。すると、ワイヤWがコントローラ27に戻され無段変速装置30の変速比が変更されるとともに、第1摺接面32bの作用半径r1と、第2摺接面の作用半径r2が同じになる。すると、出力軸35の回転速度と、入力軸33の回転速度が同じになる結果、左後輪15Lと右後輪15Rが同じ回転速度で回転し、左右後輪15L,15Rの動力差が無くなり、三輪自転車11は直進する。
【0030】
上記実施形態によれば、以下のような効果を得ることができる。
(1)操舵装置として、ペダル40から左右後輪15L,15Rへの動力伝達経路に、各後輪15L,15Rに動力連結された入力軸33と出力軸35の間に回転速度差を生じさせる無段変速装置30を設けるとともに、この無段変速装置30の変速比を調節可能とする調節手段Rを設けた。そして、無段変速装置30により生じた入力軸33と出力軸35の回転速度差により、左右後輪15L,15Rに回転速度差を生じさせ、その回転速度差に基づいて三輪自転車11を操舵することができる。したがって、運転者は調節手段Rの操作レバー36を操作するだけで三輪自転車11を操舵することができ、前輪13に直結されたハンドルを直接操作して三輪自転車11を操舵する場合と比べると、運転者の操舵負担を軽減することができる。その結果として、例えば、手の力が弱かったり、腕を動かせなかったりするといった上肢不自由者であっても、三輪自転車11を操舵することができる。
【0031】
(2)例えば、ペダル40からの動力が、入力軸33から右後輪15Rへ、及び出力軸35から左後輪15Lへ、ワンウェイクラッチを介して前進方向への回転のみを伝達可能にされていると、無段変速装置30によって回転速度が遅くされた後輪においては、後進方向へのトルクが作用することから、ワンウェイクラッチに空回りが発生してしまう。この空回りが発生すると、遅い側の後輪は、三輪自転車11の前進に伴って前進方向へ連れ回りしてしまい左右後輪での回転速度差が小さくなってしまう。しかし、本実施形態では、無段変速装置30の入力軸33と右後輪15Rとは、各スプロケット37,17R及び駆動チェーン42によりリジットに連結され、出力軸35と左後輪15Lとは、各スプロケット38,21R,21L,17L及び各チェーン43,22によりリジットに連結されている。このため、前後進方向への動力を、入力軸33から右後輪15Rへ、及び出力軸35から左後輪15Lへ直接伝達することができることから、上述の空回りの発生を防止することができる。その結果として、遅い側の後輪に後進方向へのトルクを作用させ、左右後輪15L,15R間に大きな回転速度差を生じさせ、操舵性能の低下を防止することができる。さらには、運転者には、回転速度差に基づく路面抵抗が、操舵反力として操作レバー36を介して伝わるため、操舵していることを体感することができる。
【0032】
(3)無段変速装置30は、入力軸33が一体化された入力ディスク32と、出力軸35が一体化された出力ディスク34と、両ディスク32,34の間に介在されたボール31とを備える。そして、ボール31を回転させ、ボール回転軸31aの傾きを調節することで、入力ディスク32における第1摺接面32bの作用半径r1、及び出力ディスク34における第2摺接面の作用半径r2を変更することができる。よって、無段変速装置30を用いることで、変速比の変更を衝撃の無い、無段状態で行うことができる。さらには、変速比の値は、ボール31の回転(ボール回転軸31aの傾き)に伴う各摺接面32b,34bの作用半径r1,r2が直接反映されるため、操作レバー36の操作量を直接反映した操舵を行うことができる。
【0033】
(4)本実施形態の三輪自転車11は、ペダル40の踏み込み動作により、無段変速装置30に動力を付与するため、操作レバー36の操作以外は、手による動作を必要せずに三輪自転車11を操舵することができる。
【0034】
(5)無段変速装置30の入力軸33と右後輪15Rとは、各スプロケット37,17R及び駆動チェーン42によりリジットに連結され、出力軸35と左後輪15Lとは、各スプロケット38,21R,21L,17L及び各チェーン43,22によりリジットに連結されている。このため、入力軸33と右後輪15R、及び出力軸35と左後輪15Lを前後進方向への回転を伝達可能に容易に連結することができる。
【0035】
なお、上記実施形態は以下のように変更してもよい。
・ 入力軸33と右後輪15R、及び出力軸35と左後輪15Lは、チェーンの代わりにベルトを用いて動力伝達可能に連結されていてもよい。
【0036】
・ 実施形態では、ペダル40の踏み込みにより生じる動力によって無段変速装置30の入力軸33を回転させたが、電動モータや内燃機関等の外部駆動源からの動力により無段変速装置30の入力軸33を回転させてもよい。
【0037】
・ 実施形態では、変速装置として無段変速装置30に具体化したが、左後輪15Lと右後輪15Rの2つの車輪に回転速度差を生じさせることができるのであれば、変速装置としてはその他の形式の変速装置に代えてもよい。
【0038】
・ 実施形態では、無段変速装置30によって左右後輪15L,15Rに回転速度差を生じさせて操舵可能にしたが、無段変速装置30によって回転速度差を生じさせる一対の車輪を、車両前部に設けた一対の前輪としてもよい。この場合、後輪は一対であってもよいし、1つの車輪であってもよい。
【0039】
・ 実施形態では、無段変速装置30に2つのボール31を設けたタイプとしたが、ボール31の数は任意に変更してもよい。また、ボール31の代わりに、ディスクを用いてもよい。
【0040】
・ 実施形態では、操舵装置を車両としての三輪自転車11に適用したが、操舵装置を車両としての、四輪自転車、四輪自動車、左右二輪の原動機に適用してもよい。
・ 実施形態では、操作レバー36の操作によりワイヤW及びコントローラ27を操作して無段変速装置30の変速比を調節可能にしたが、調節手段は変更してもよい。例えば、三輪自転車11の運転者の腰の角度に連動して無段変速装置30の変速比を調節可能にしたり、ペダル40の左右の踏み込み量に連動して無段変速装置30の変速比を調節可能にしてもよい。
【符号の説明】
【0041】
r1,r2…作用半径、R…調節手段、W…調節手段を構成するワイヤ、11…車両としての三輪自転車、15L…車輪としての左後輪、15R…車輪としての右後輪、16L…車軸としての左車軸、16R…車軸としての右車軸、17L…左スプロケット、17R…右スプロケット、27…調節手段を構成するコントローラ、30…変速装置としての無段変速装置、31…転動体としてのボール、31a…回転軸としてのボール回転軸、32…第1の支持部材としての入力ディスク、32b…第1摺接面、33…第1の回転軸としての入力軸、34…第2の支持部材としての出力ディスク、34b…第2摺接面、35…第2の回転軸としての出力軸、36…調節手段を構成する操作ハンドル、40…駆動源としてのペダル。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動源からの動力により駆動される一対の車輪を有する車両の操舵装置であって、
前記駆動源からの動力により駆動される変速装置と、
前記変速装置の変速比を調節する調節手段と、を備え、
前記変速装置は、前記駆動源からの動力が入力されるとともに一方の車輪に動力伝達可能に連結された第1の回転軸と、
第1の回転軸の回転が伝達されるとともに他方の車輪に動力伝達可能に連結された第2の回転軸と、を有し、
前記変速装置は、前記調節手段により決定された変速比に応じて前記第1の回転軸と前記第2の回転軸に回転速度差を生じさせることを特徴とする車両の操舵装置。
【請求項2】
前記一対の車輪は、該車輪の前進方向及び後進方向に回転可能に前記第1及び第2の回転軸に動力伝達可能に連結されている請求項1に記載の車両の操舵装置。
【請求項3】
前記駆動源は、ペダルである請求項1又は請求項2に記載の車両の操舵装置。
【請求項4】
前記一対の車輪に一体の車軸それぞれにはスプロケットが設けられ、各車輪には、各スプロケットを介して各回転軸の回転が伝達される請求項1〜請求項3のうちいずれか一項に記載の車両の操舵装置。
【請求項5】
前記変速装置は、少なくとも1つの転動体と、
前記転動体が回転しつつ摺接する第1摺接面を有するとともに、前記第1の回転軸と一体回転する第1の支持部材と、
前記転動体が回転しつつ摺接する第2摺接面を有するとともに、前記第2の回転軸と一体回転する第2の支持部材と、を有し、
前記転動体を駆動させ、該転動体の回転軸を中心とした前記第1及び第2摺接面の作用半径を調節することで、前記第1及び第2の回転軸の回転速度に差を生じさせるとともに、前記転動体が前記調節手段により駆動される請求項1〜請求項4のうちいずれか一項に記載の車両の操舵装置。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2012−101577(P2012−101577A)
【公開日】平成24年5月31日(2012.5.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−249153(P2010−249153)
【出願日】平成22年11月5日(2010.11.5)
【出願人】(000001247)株式会社ジェイテクト (7,053)
【Fターム(参考)】