説明

車両位置通報装置

【課題】電源を外さなければ通信カードを引き抜くことができない車両位置通報装置を得る。
【解決手段】装着された通信カード32に記憶された識別情報に基づいて、検出した現在位置情報を無線送信する。車載電源24及び内蔵バッテリ26の一方との接続が遮断されたときに緊急信号を無線送信する通信回路4と、通信カード32が抜き差し可能に装着されるカードホルダ34を備えた回路基板30と、内蔵バッテリ26を装着した電源ケース48と、一方向に開口36aが形成され回路基板30及び電源ケース48が開口36aから挿入される本体ケース36とを備える。通信カード32の抜き出し方向が本体ケース36の開口方向と同方向に設けられ、かつ、電源ケース48及び回路基板30を本体ケース36に装着した状態で、通信カード32の抜き出しを規制する規制部材50を電源ケース48に設けた。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両の現在位置を検出し、装着された通信カードに記憶された識別情報に基づいて、検出した位置情報を無線送信する車両位置通報装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、特許文献1や特許文献2にあるように、回路基板を被固定部材や筐体に固定する際、回路基板を挿入できる溝を形成した固定具を用いて被固定部材に固定したり、筐体内に設けたガイドレールに沿って回路基板を挿入して、回路基板を実装できるようにしている。また、特許文献3にあるように、電池セルを電源ケース内に収納すると共に、電源ケース内に保護回路基板を収納し、小型化した通信端末用の電池パックが知られている。
【0003】
更に、特許文献4にあるように、GPS(Global Positioning System)を用いて、車両の現在位置を検出し、車両盗難等の際に、通信端末から現在位置情報を管理センタや所有者の電話に通報する車両位置通報装置が知られている。
【0004】
このような車両位置通報装置は、盗難に遭いやすい自動二輪車にも搭載されまた、装置単体で位置測位機能と位置情報通報機能を満足させるために、バッテリを内蔵する場合がある。バッテリを内蔵する場合、内蔵バッテリは電源ケースを介して、本体ケースに装着され、特許文献3にあるように、ランド端子を介して内蔵バッテリと回路基板とを接続したり、あるいは、内蔵バッテリと回路基板とを回路基板に実装されたコネクタを介して接続されたりしている。また、回路基板には車両ワイヤ接続用のコネクタも実装されている。
【0005】
近年、通信端末で使われている電話番号を特定するための固有の識別情報が記録されているSIMカード(Subscriber Identity Module Card)といわれる通信カードを装着するようになっている。回路基板には、この通信カードを読み取るためのカードホルダが設けられ、本体ケースから回路基板を脱着しなくても手指により挿抜できるよう、カードホルダが開口部に向けた方向で、開口部付近に実装されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】実用新案登録第2564588号公報
【特許文献2】特許第4209020号公報
【特許文献3】特許第3626699号公報
【特許文献4】特開2001−236597号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
こうした従来のものでは、車載電源、若しくは内蔵バッテリのいずれかとの接続が遮断されると緊急通報機能を作動させるが、しかし、両電源を接続した状態で通信カードを抜くと、緊急通報をすることなく通信機能が作動しなくなる。車載電源及び内蔵バッテリを接続した状態で通信カードを抜くことができるため、緊急通報機能を作動させずに通信機能を喪失させることができ、盗難車両の追跡機能を喪失させることができるという問題があった。
【0008】
本発明の課題は、電源を外さなければ通信カードを引き抜くことができない車両位置通報装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
かかる課題を達成すべく、本発明は課題を解決するため次の手段を取った。即ち、車両の現在位置を検出し、装着された通信カードに記憶された識別情報に基づいて、検出した位置情報を無線送信する車両位置通報装置において、車載電源及び内蔵バッテリの一方との接続が遮断されたときに緊急信号を無線送信する通信回路と、前記通信カードが抜き差し可能に装着されるカードホルダを備えた回路基板と、前記内蔵バッテリを装着した電源ケースと、一方向に開口が形成され前記回路基板及び前記電源ケースが前記開口から挿入される本体ケースと、を備え、前記通信カードの抜き出し方向が前記本体ケースの前記開口への方向と同じに設けられ、かつ、前記電源ケース及び前記回路基板を前記本体ケースに装着した状態で、前記通信カードの抜き出しを規制する規制部材を前記電源ケースに設けたことを特徴とする車両位置通報装置がそれである。
【0010】
前記内蔵バッテリと前記回路基板とをコネクタを介して接続し、前記電源ケースを前記本体ケースから引き抜くと、前記コネクタの接続が外れる構成としてもよい。その際、前記電源ケースを引き抜いて前記コネクタが外れるまでのストロークは、前記通信カードを前記カードホルダから引き抜くストロークよりも短い構成とするとよい。また、前記内蔵バッテリに接続したコネクタを前記電源ケースの引き抜き方向と直交方向から挿入可能なホルダ溝を前記電源ケースに形成した構成としてもよい。更に、前記ホルダ溝からの前記コネクタの脱落を規制する突起を前記電源ケースに形成した構成としてもよい。
【0011】
前記本体ケースに挿入した前記回路基板の抜き出しを阻止すると共に阻止を解除可能な係合部材を前記本体ケースに設けた構成としてもよい。その際、前記係合部材は弾性変形可能な板状で、前記係合部材を前記本体ケースの内側の側壁から突き出して設け、前記係合部材の先端が前記回路基板に係合して前記回路基板の抜き出しを阻止する構成とするとよい。また、前記電源ケースの前記本体ケースへの挿入により、前記係合部材と前記本体ケースの側壁との間に挿入されて前記係合部材の弾性変形を規制する突起部材を前記電源ケースに設けた構成としてもよい。
【発明の効果】
【0012】
本発明の車両位置通報装置は、通信カードの抜き出しを規制する規制部材を電源ケースに設けたので、電源ケースを本体ケースから引き抜くことなく通信カードを引き抜くことができないという効果を奏する。
【0013】
電源ケースを本体ケースから引き抜くと、コネクタの接続が外れるように構成すると、緊急信号が無線送信される。その際、電源ケースを引き抜いてコネクタが外れるまでのストロークを、通信カードをカードホルダから引き抜くストロークよりも短い構成とすると、確実に通信カードが引き抜かれる前に緊急信号を無線送信できる。
【0014】
また、内蔵バッテリに接続したコネクタを挿入可能なホルダ溝を設けることにより、コネクタの接続が外れるように容易に構成できる。更に、ホルダ溝からのコネクタの脱落を規制する突起を形成することにより、簡単な構成でコネクタを電源ケースに保持できる。
【0015】
回路基板の抜き出しを阻止する係合部材を設けることにより、回路基板と電源ケースとを同時に抜き出せなくなる。その際、係合部材は弾性変形可能な板状で、係合部材の先端が回路基板に係合して抜き出しを阻止する構成とすることにより、簡単な構成で回路基板の抜き出しを阻止できる。また、係合部材と本体ケースの側壁との間に挿入されて係合部材の弾性変形を規制する突起部材を電源ケースに設けた構成とすることにより、確実に回路基板の抜き出しを阻止することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の一実施形態としての車両位置通報装置の概略構成と共に示す位置通報システムの概略構成図である。
【図2】本発明の一実施形態としての車両位置通報装置の分解斜視図である。
【図3】本実施形態の本体ケースに回路基板を挿入した状態の車両位置通報装置の分解斜視図である。
【図4】図2のAA拡大断面図である。
【図5】本実施形態の電源ケースと内蔵バッテリとの要部拡大斜視図である。
【図6】本実施形態のコネクタとホルダ溝との構成を示す説明図である。
【図7】別の実施形態としての係合部材を設けた車両位置通報装置の分解斜視図である。
【図8】図7のBB断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下本発明を実施するための形態を図面に基づいて詳細に説明する。図1は本実施形態の車両位置通報装置の概略構成と共に示す位置通報システムの概略構成図である。図1に示すように、1は車両位置通報装置で、車両に取り付けられ、本実施形態では、自動二輪車に搭載されている。
【0018】
車両位置通報装置1は、GPS測位回路2、通信回路4、制御回路6、電源監視回路8を備え、GPS測位回路2は、同時に複数のGPS衛星10a〜10dから送信されてくる測位電波をアンテナ12を介して受信して演算することにより、車両の現在位置を検出することができるように構成されている。得られた現在位置情報は制御回路6に出力される。
【0019】
通信回路4は、基地局14との間でアンテナ16を介して無線通信を行い、通信回路4は、SIMカードを用いた通信カード32に記録された固有の識別情報を読み込み、識別情報を無線送信する。識別情報が認識された場合に基地局14との間で無線送信が可能になる。基地局14は通信網18に接続されており、通信網18を介して、予め登録された管理センター20、予め登録された車両の所有者の固定電話22や携帯電話23との間で通信ができるように構成されている。
【0020】
車両位置通報装置1は、車両に搭載されたバッテリを用いた車載電源24、または二次電池を用いた内蔵バッテリ26を電源として動作する。電源監視回路8は、GPS測位回路2、通信回路4、制御回路6の動作に必要な電力の供給経路を車載電源24と内蔵バッテリ26との間で切り替える回路で、例えば、車載電源24及び内蔵バッテリ26の電位を検出して、検出した電位に基づいて車載電源24または内蔵バッテリ26が取り外されたかどうかを検出する。
【0021】
電源監視回路8は、車両盗難時に車載電源24または内蔵バッテリ26の一方が取り外されたことを検出した場合、取り外されていない電源に切り替えて、GPS測位回路2、通信回路4、制御回路6に必要な電力を供給する。そして、電源監視回路8から制御回路6に検出信号を送信し、制御回路6は、緊急信号を通信回路4から無線送信し、通信網18を介して管理センター20、車両の所有者の固定電話22や携帯電話23に送信する。
【0022】
緊急信号にはGPS測位回路2により検出される現在位置情報を含み、遠隔の所有者や管理者に現在位置を通報することができ、自動二輪車に搭載しておけば、自動二輪車が盗難された場合、通報によっていち早く盗難車を発見することができる。
【0023】
図2に示すように、GPS測位回路2、通信回路4、制御回路6、電源監視回路8は回路基板30上に形成されており、回路基板30には通信カード32が抜き差し可能に装着されるカードホルダ34が設けられている。
【0024】
回路基板30は内部が空洞の直方体状の本体ケース36に収納され、本体ケース36には一方向に開口36aが形成され、この開口36aから回路基板30が本体ケース36内に挿入されるように形成されている。
【0025】
回路基板30は、平板状の基板38上に電子素子40等が配置されており、本体ケース36の内部には、開口36a側から内部に向かって一対のレール42が設けられている。レール42には基板38の厚さに応じたスリット42aが設けられており、スリット42aに基板38を挿入して、レール42に沿って回路基板30を本体ケース36内に挿入できるように構成されている。
【0026】
また、カードホルダ34への通信カード32の抜き差し方向も回路基板30の本体ケース36への挿入方向と同じに構成されており、回路基板30を本体ケース36に挿入した後に、通信カード32の抜き差しができるように、図3に示すように、カードホルダ34は回路基板30の開口36a側の近傍に設けられている。
【0027】
更に、回路基板30には電源用のレセプタクル側コネクタ44が設けられており、レセプタクル側コネクタ44は回路基板30上の開口36a近傍に、開口36a側に接続孔44aを向けて配置されている。
【0028】
回路基板30には、レセプタクル側コネクタ44と反対側に複数の端子46が設けられており、回路基板30を本体ケース36に挿入した際に、この端子46が開口36aと反対側の本体ケース36から外部に突き出されて、車載電源24や図示しない車両用制御装置に接続される。
【0029】
内蔵バッテリ26は、扁平に形成されており、内蔵バッテリ26は四角枠状の扁平な電源ケース48内に装着されている。内蔵バッテリ26を装着した電源ケース48は本体ケース36に開口36aから挿入可能な大きさに形成されており、電源ケース48は、回路基板30を挿入した本体ケース36に、回路基板30と平行に開口36aから挿入される。
【0030】
電源ケース48には、電源ケース48を本体ケース36に挿入した際の開口36a側に、規制部材50が一体に形成されている。規制部材50は本体ケース36への挿入方向と直交方向に延出されており、規制部材50は開口36aの幅よりも僅かに小さい長さに形成されている。
【0031】
電源ケース48を本体ケース36に挿入した際、規制部材50も開口36aから内部に挿入され、図4に示すように、規制部材50は回路基板30側に突出形成されている。本体ケース36内に挿入した際には、規制部材50が回路基板30の開口36a側を覆い、開口36aを介して本体ケース36の外側から回路基板30を視認できないように構成されている。
【0032】
尚、必ずしも、規制部材50は回路基板30の全体を覆う必要はなく、カードホルダ34から通信カード32を引き抜くことができないように、通信カード32の開口36a側と重なり合うように形成されていればよい。
【0033】
図5、図6に示すように、内蔵バッテリ26にはリード線52を介してプラグ側コネクタ54が接続されており、プラグ側コネクタ54と回路基板30のレセプタクル側コネクタ44とは結合・離脱可能に形成されている。本実施形態では、プラグ側コネクタ54は外形形状がT字状で、レセプタクル側コネクタ44への結合方向に対して直交方向に突き出したた形状に形成されている。
【0034】
プラグ側コネクタ54は電源ケース48に保持されるように、本実施形態では、規制部材50に形成されたホルダ溝55にプラグ側コネクタ54を挿入可能に形成されている。ホルダ溝55は一方向からプラグ側コネクタ54を挿入でき、挿入方向以外からはプラグ側コネクタ54が取り外せないように、ホルダ溝55はプラグ側コネクタ54の外形形状に応じて形成されている。
【0035】
ホルダ溝55は電源ケース48の本体ケース36への挿入方向と直交方向に窪まされて形成されている。ホルダ溝55は、プラグ側コネクタ54の高さよりも深く形成されており、プラグ側コネクタ54がホルダ溝55内に全体が挿入されるように形成されている。
【0036】
また、ホルダ溝55にプラグ側コネクタ54を挿入した際に、プラグ側コネクタ54のホルダ溝55からの脱落を規制する突起55aがホルダ溝55に突き出すように形成されている。突起55aの突出量は突起55aを乗り越えてホルダ溝55にプラグ側コネクタ54を挿入できる程度に、かつ、挿入したプラグ側コネクタ54をレセプタクル側コネクタ44に結合する際に、プラグ側コネクタ54が脱落しないように形成されている。
【0037】
図6に示すように、ホルダ溝55に挿入したプラグ側コネクタ54は、レセプタクル側コネクタ44への結合側が規制部材50から突き出すように形成されている。レセプタクル側コネクタ44には、プラグ側コネクタ54の結合時のガイドをするテーパ部44bが設けられており、テーパ部44bによるガイド量a1は、ホルダ溝55とプラグ側コネクタ54との間のガタ量a2よりも大きくなるように形成されている(a1>a2)。
【0038】
また、プラグ側コネクタ54とレセプタクル側コネクタ44との結合・離脱に必要とするストロークs1は、通信カード32とカードホルダ34との抜き差しに必要とするストロークs2よりも十分小さな量としている(s1<<s2)。
【0039】
次に、図3に示すように、電源ケース48を回路基板30と平行に本体ケース36に挿入する。電源ケース48を本体ケース36の奥まで挿入すると、プラグ側コネクタ54がレセプタクル側コネクタ44に結合される。そして、本体ケース36にキャップ部材70を装着して、開口36aを閉塞し、組立を終了する。
【0040】
尚、ホルダ溝55を設けることなく、プラグ側コネクタ54をレセプタクル側コネクタ44と結合する構成の場合には、リード線52の長さを十分短くして、本体ケース36に回路基板30を挿入すると共に、電源ケース48を挿入して、プラグ側コネクタ54とレセプタクル側コネクタ44とを結合した状態で、電源ケース48を引き抜いてリード線52を介してプラグ側コネクタ54が引っ張られてプラグ側コネクタ54とレセプタクル側コネクタ44との結合が外れるまでのストロークs3が、通信カード32とカードホルダ34との抜き差しに必要とするストロークs2よりも小さくなるように(s3<s2)、リード線52の余裕長さを決定してもよい。
【0041】
図7、図8に示す別の実施形態のように、本体ケース36の開口36aに板状の弾性変形可能な係合部材56,58を設けてもよい。係合部材56,58は本体ケース36の内側の側壁から開口36a側に延出された後、逆方向にほぼU字状に屈曲されて本体ケース36の内部に向かって延出されている。尚、本体ケース36に係合部材56,58を一体で樹脂成形する際には、係合部材56,58と本体ケース36の底壁との間に、金型をスライドして成形できるスペースを設ければよい。
【0042】
係合部材56,58には、切欠60,62が形成されており、電源ケース48の規制部材50の両端には、本体ケース36内に向かって突起部材64,66が設けられている。この突起部材64,66が切欠60,62に挿入可能に形成されており、図8に示すように、突起部材64,66は係合部材56,58と電源ケース48の側壁との間に挿入されて、突起部材64,66が係合部材56,58の弾性変形を規制するように構成されている。
【0043】
回路基板30には、本体ケース36に挿入した際の開口36a側の両端に段部30a,30bが形成されており、回路基板30が本体ケース36に挿入される際には、回路基板30の先端両側が係合部材56,58に接触して、係合部材56,58を本体ケース36の側壁側に弾性変形させる。
【0044】
そして、更に、回路基板30を本体ケース36に挿入して、レール42のスリット42aに挿入して、レール42に沿って挿入する。回路基板30を本体ケース36の奥まで挿入すると、段部30a,30bにより係合部材56,58の付勢が開放される。よって、係合部材56,58の弾性変形が元に戻り、係合部材56,58の先端が段部30a,30b内に入り込んで、係合部材56,58の先端が段部30a,30bに係合する。これにより、回路基板30の本体ケース36からの引き抜きを阻止するように構成されている。また、係合部材56,58を弾性変形させて、係合部材56,58の先端と段部30a,30bとの係合を解除すれば、回路基板30の本体ケース36からの引き抜きの阻止を解除可能に構成されている。
【0045】
組立の際には、係合部材56,58を弾性変形させて、回路基板30をレール42に沿って挿入する。回路基板30を本体ケース36の奥まで挿入すると、係合部材56,58の先端が段部30a,30b内に入り込んで、係合部材56,58の先端が段部30a,30bに係合する。
【0046】
次に、電源ケース48を回路基板30と平行に本体ケース36に挿入する。その際、規制部材50の突起部材64,66を係合部材56,58の切欠60,62に挿入する。電源ケース48を本体ケース36の奥まで挿入すると、プラグ側コネクタ54がレセプタクル側コネクタ44に結合されると共に、突起部材64,66が係合部材56,58と本体ケース36の側壁との間に挿入される。そして、本体ケース36にキャップ部材70を装着して、開口36aを閉塞し、組立を終了する。
【0047】
次に、前述した本実施形態の車両位置通報装置1の作動について説明する。
車両位置通報装置1を取り付けた二輪車が盗難に遭い、車両位置通報装置1を二輪車から取り外そうとして、車載電源24との接続が遮断されると、車両位置通報装置1は、車載電源24との接続が遮断されたことを電源監視回路8により検出し、内蔵バッテリ26により駆動される。
【0048】
制御回路6はGPS測位回路2により検出される二輪車の現在位置情報を通信回路4により、通信カード32に記憶された自己の識別情報に基づいて無線送信する。管理センター20ではこの現在位置情報の通報を受け、警察や所有者に盗難に遭った二輪車の現在位置を知らせる。あるいは、予め設定された所有者の固定電話22や携帯電話23に現在地情報を送信する。
【0049】
一方、車載電源24との接続を遮断することなく、通信カード32を引き抜いて通信を不能にしようとして、まず、キャップ部材70を取り外すと、開口36aには規制部材50があり、規制部材50により通信カード32が覆われているので、通信カード32は視認できない。
【0050】
規制部材50を摘み、電源ケース48を本体ケース36から引き抜くと、プラグ側コネクタ54とレセプタクル側コネクタ44との結合が外れる。これにより、車載電源24により駆動されて、電源監視回路8が内蔵バッテリ26との接続が遮断されたことを検出する。
【0051】
よって、前述したと同様に、制御回路6は現在位置情報と識別情報とを無線送信する。管理センター20ではこの現在位置情報の通報を受け、警察や所有者に盗難二輪車の現在位置を知らせる。
【0052】
また、電源ケース48だけでなく、電源ケース48と回路基板30とを同時に本体ケース36から引き抜くと、車載電源24と回路基板30との接続が遮断されるので、前述したと同様に、現在位置情報が通報される。
【0053】
一方、電源ケース48をプラグ側コネクタ54とレセプタクル側コネクタ44との結合が外れないように僅かに本体ケース36から引き抜く。この状態では、通信カード32をカードホルダ34から引き抜こうとしても、電源ケース48を引き抜いたストロークはプラグ側コネクタ54をレセプタクル側コネクタ44から引き抜くストロークs1より小さく、従って、通信カード32をカードホルダ34から引き抜くのに必要なストロークa2よりも小さい。このため、通信カード32をカードホルダ34から引き抜こうとしても、引き抜く前に通信カード32が規制部材50に突き当たり、通信カード32のみを引き抜くことができない。
【0054】
更に、図7、図8に示す別の実施形態のように、係合部材56,58を設けたものでは、係合部材56,58の先端が段部30a,30bに係合しており、係合部材56,58を本体ケース36の側壁側に弾性変形させて、係合を解除しなければ回路基板30を本体ケース36から引き抜くことができない。係合部材56,58と本体ケース36の側壁との間には、突起部材64,66が挿入されているので、電源ケース48を回路基板30よりも先に本体ケース36から引き抜かなければ、係合部材56,58を弾性変形させることができない。
【0055】
よって、電源ケース48を本体ケース36から引き抜くと、プラグ側コネクタ54とレセプタクル側コネクタ44との結合が外れる。これにより、前述したと同様に、車載電源24により駆動されて、電源監視回路8が内蔵バッテリ26との接続が遮断されたことを検出する。制御回路6は現在位置情報を無線送信する。管理センター20ではこの現在位置情報の通報を受け、警察や所有者に盗難二輪車の現在位置を知らせる。
【0056】
以上本発明はこの様な実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々なる態様で実施し得る。
【符号の説明】
【0057】
1…車両位置通報装置 2…GPS測位回路
4…通信回路 6…制御回路
8…電源監視回路 10a〜10d…衛星
18…通信網 20…管理センター
24…車載電源 26…内蔵バッテリ
30…回路基板 30a,30b…段部
32…通信カード 34…カードホルダ
36…本体ケース 36a…開口
42…レール 44…レセプタクル側コネクタ
44a…接続孔 44b…テーパ部
46…端子 48…電源ケース
50…規制部材 52…リード線
54…プラグ側コネクタ 55…ホルダ溝
55a…突起 56,58…係合部材
60,62…切欠 64,66…突起部材
70…キャップ部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の現在位置を検出し、装着された通信カードに記憶された識別情報に基づいて、検出した位置情報を無線送信する車両位置通報装置において、
車載電源及び内蔵バッテリの一方との接続が遮断されたときに緊急信号を無線送信する通信回路と、
前記通信カードが抜き差し可能に装着されるカードホルダを備えた回路基板と、
前記内蔵バッテリを装着した電源ケースと、
一方向に開口が形成され前記回路基板及び前記電源ケースが前記開口から挿入される本体ケースと、を備え、
前記通信カードの抜き出し方向が前記本体ケースの前記開口への方向と同じに設けられ、かつ、前記電源ケース及び前記回路基板を前記本体ケースに装着した状態で、前記通信カードの抜き出しを規制する規制部材を前記電源ケースに設けたことを特徴とする車両位置通報装置。
【請求項2】
前記内蔵バッテリと前記回路基板とをコネクタを介して接続し、前記電源ケースを前記本体ケースから引き抜くと、前記コネクタの接続が外れることを特徴とする請求項1に記載の車両位置通報装置。
【請求項3】
前記電源ケースを引き抜いて前記コネクタが外れるまでのストロークは、前記通信カードを前記カードホルダから引き抜くストロークよりも短いことを特徴とする請求項2に記載の車両位置通報装置。
【請求項4】
前記内蔵バッテリに接続したコネクタを前記電源ケースの引き抜き方向と直交方向から挿入可能なホルダ溝を前記電源ケースに形成したことを特徴とする請求項2ないし請求項3のいずれかに記載の車両位置通報装置。
【請求項5】
前記ホルダ溝からの前記コネクタの脱落を規制する突起を前記電源ケースに形成したことを特徴とする請求項4に記載の車両位置通報装置。
【請求項6】
前記本体ケースに挿入した前記回路基板の抜き出しを阻止すると共に阻止を解除可能な係合部材を前記本体ケースに設けたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の車両位置通報装置。
【請求項7】
前記係合部材は弾性変形可能な板状で、前記係合部材を前記本体ケースの内側の側壁から突き出して設け、前記係合部材の先端が前記回路基板に係合して前記回路基板の抜き出しを阻止することを特徴とする請求項6に記載の車両位置通報装置。
【請求項8】
前記電源ケースの前記本体ケースへの挿入により、前記係合部材と前記本体ケースの側壁との間に挿入されて前記係合部材の弾性変形を規制する突起部材を前記電源ケースに設けたことを特徴とする請求項7に記載の車両位置通報装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−61859(P2013−61859A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200634(P2011−200634)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000004260)株式会社デンソー (27,639)
【Fターム(参考)】