説明

車両座席用のロック装置

ロック機構(23)の可動のキャッチ(31)を対向要素(B)と機械的にロックするためのロック機構(23)を含み、駆動部によってキャッチ(31)を作動させるためのアクチュエータ装置(24、50)を含み、中にロック機構(23)が配置されかつ収容されるハウジング(20)を含む車両座席用、特に自動車座席用のロック装置において、後部座席背もたれがロックされていないため起こる車両の乗員の怪我に対する安全性が向上し得る。この目的のため、ロック機構(23)のロックを生成するための、モータで駆動される手段が提案される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ロック機構の可動のキャッチと対向要素とを機械的にロックするためのロック機構を備え、駆動部によってキャッチを始動させるためのアクチュエータ装置を備え、ロック機構が配置されかつ収容されるハウジングを備える車両座席用、特に自動車座席用のロック装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特に、後部座席システムのロックおよびロック解除構成要素は、手動で作動可能なロックおよびロック解除機構を有する場合があり、それにより後部座席システムの後部座席背もたれの車両構造とのロックを生成および解除することができる。快適性を向上させるため、そのような後部座席システムは電動アクチュエータを備えて設けられることがより多くなってきており、それによりロック機構のロック解除を、モータで駆動する方法によって始動させることができる。ここでは一般に、既存の、純粋に機械的なロック構成要素に電気作動部が付加的に設けられる。アクチュエータの駆動動作をロック機構に伝達するため、同様に取付板上に固定されるアングル、レバー、リンク、歯車等などの伝達要素によって、アクチュエータとロック機構の間の連結が行われる。
【0003】
積載量を増やせるようにするため、座席の第2列または第3列の後部座席背もたれは一般に倒すことができる。このため、後部座席背もたれを車両構造からロック解除して前方に向かって倒すことができる。リセットは一般に乗員が背もたれを手動で直立させ、特定の力の支出により車両構造への背もたれのロックを行うという方法で行われる。ロック装置内のキャッチのクッション圧および調節力に打ち勝つためには所定の力の支出が必要である。背もたれと車両構造とのロックが完了したことは、現在、表示器により表示されている。表示器は、ロックを担うロック装置の機械構成部品の位置に応じて乗員にロック装置の状態を示すようロック装置と機械的に連結される。にもかかわらず、そのような後部座席背もたれにおいては、様々な状況下において、例えば、使用者の不注意のため正しいロックが行われない可能性がある。この場合、後部座席システムはロックされていないにもかかわらず着座することはできる。そうすると、事故(正面衝突)の場合、後部座席背もたれが乗員室と荷物室の仕切りとして「荷重からの保護」という要件を満たせないということが起こりうる。それによって、乗員室内の乗員が特定の状況においてかなりの危険下に置かれ、乗員の重篤な怪我につながる可能性がある。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は、したがって、導入部で言及したタイプのロック装置を作製するという課題に基づくものであり、それにより、後部座席背がロックされていないために起こる車両の乗員の怪我に対する安全性が向上し得る。
【課題を解決するための手段】
【0005】
この課題は、本発明による、導入部で言及したタイプのロック装置において、ロック機構のロックを生成するためのモータで駆動される手段により解決される。モータ駆動部を備えたロック装置は、実際、すでに存在する。しかしながら、これらはキャッチの対向要素、通常ボルトからのキャッチのロック解除のためのみに使用される。本発明の枠組みにおいて、モータにより発生させたキャッチのロック動作が、目的とするロックを実際に完了するという結果をより確かなものにすることに寄与しうることが判明している。ロック装置が、キャッチのモータで駆動されるロック解除のためのモータで駆動される作動装置を有する場合、基本的に、ロックは、モータで駆動される駆動動作をロック解除のためにも生成することができるアクチュエータ装置と同一のもので行うことができる。本発明の好適な実施形態において、しかしながら、ロック装置のロックのための駆動動作の生成には、特にロック機能のみに関わる独立した作動装置が設けられ得る。
【0006】
アクチュエータ装置はロック装置およびそのハウジング内に組み込むことができる。加えて、電気的に調節可能な背もたれの場合、背もたれ装置の駆動部はロック装置のアクチュエータ装置として使用することができる。電動背もたれ傾斜調節部がある場合、これはロックのための駆動部生成の機能を担うことができる。これは、例えば、(車両)構造に背もたれのロックが行われるまで背もたれのその傾斜角が調節されることで行われ得る。この場合、ロックは純粋に機械的に行われ、キャッチはそれ自体、それ自身の、すなわちそれに関連する独立した駆動部を有しない。クッション圧およびロック力に打ち勝つための力がここで背もたれ調節駆動部によって生成される。この実施形態において、追加の駆動部を使う必要なく、駆動されるロックの機能性を達成することができる。
【0007】
本発明の好適な実施形態において、座席システムの背もたれのロック可能な位置を検出することができるセンサ装置が設けられうる。背もたれの位置認識に応じて、アクチュエータ装置によって生成される、モータで駆動される駆動動作の作動が行われうる。この目的のため、センサ装置の対応する信号を使用することができ、特定の背もたれ位置および/またはキャッチとその対向部、ボルトとの間の特定の相対的位置の認識の際、制御部に供給される対応する信号が生成され、その結果それによって、ロック装置のキャッチと対向要素とのロックを行うためアクチュエータユニットが起動する。
【0008】
また、背もたれ傾斜の駆動部がロック用に使用される変形例において、センサ装置を設けることができ、ロック装置のセンサ装置と背もたれ傾斜調節部間の情報の交換は、独立したアクチュエータ装置を有する変形例にも同様に有利である。本発明によるこの好適な実施形態において、ロック装置のセンサシステムおよびその電子的な評価ユニットが背もたれ駆動部の制御部の機能を少なくとも部分的に担い、背もたれ駆動部とデータ交換を行うことが可能である。データ交換を通じて、背もたれがロック位置に達するおよび/または背もたれのロックがロック装置によって行われるまで背もたれの駆動部はスイッチをオンにしたままにできる。
【0009】
ロック生成の安全性をさらに高めるため、本発明のさらなる好適な実施形態において、センサ装置は、また、ロック時にロック装置の構成要素の(相対的な)位置がセンサによって検出され、監視される手段を含むことができる。構成要素が各々の最終位置に到達すると、これをセンサ装置の対応する信号によって制御部または別の評価装置に知らせることができる。制御部はこれらの信号を読み取り、監視する構成要素が端部位置に達するとアクチュエータ装置のスイッチをオフにすることができ、これはキャッチとその対向要素間のロックが完了したことに対応する。加えて、特に、ロック完了の視覚表示のための手段を設けることができる。
【0010】
本発明のさらなる好適な形態において、センサ装置により決定されるロック装置のロック状態のための視覚表示部を設けることができる。ここで、ロック状態の視覚監視が可能となり、それにより安全性をさらに高めることができる。視覚表示部はロック装置自体の上またはその近傍に配置することができる。同様に、ロック状態、特に、完了していないロックを警告信号の形態で車両の計器盤上に視覚的におよび/または音響的に示すことが可能である。このため、センサ装置の信号の処理を制御部を通じて行うことができる。
【0011】
キャッチをロック位置に移動させるために、アクチュエータ装置がそのモータに駆動された動作によりキャッチ自体の上に直に作用すると有利である。加えて、便宜的に、キャッチを、不意の開きに抗してそのロック位置に固定することができる少なくとも1つの固定要素があるべきである。これにより動作状態において特に信頼性の高いロック機構を構成することが可能となる。加えて、そのような構造の解決策がまた、アクチュエータ装置を、衝突の場合にロック機構に作用する力の流れの外に配置することを容易にする。アクチュエータ装置自体をしたがって必ずしも衝突力用に設計する必要はない。
【0012】
本発明のさらに好ましい実施形態において、アクチュエータ装置に歯車、特に、アクチュエータ装置のモータで駆動される駆動動作の減速を生じさせることができる主軸歯車を設けることができる。主軸歯車はモータの駆動部の回転運動を少なくとも実質的に並進運動に変換するためのいくつかの可能性のうちの1つである。そのような好適な直線運動によって、アクチュエータ装置は、ロック機構のキャッチと、対向要素とのロック回動動作を達成するためにロック機構に作用することができる。好ましくはここで、アクチュエータ装置の停止部が、ここでキャッチの回動動作を達成するため、キャッチの回転軸から距離をおいて配置されるキャッチのキャリアに作用することができる。
【0013】
さらに大きな減速を達成するため、およびしたがってトルクをさらに増幅させるため、さらに第2の歯車、特に、遊星歯車を主軸歯車の上流に設けることができる。有利には、出力側に、遊星歯車およびアクチュエータ装置の電気モータを全く同じに、例えば、同一のギアホイールの形態で、構成することができる。それによって特に簡単な方法で、例えば、必要とされるトルクに応じて様々な歯車またはそれぞれ異なる数の歯車を設けることができるロック装置のシステムを形成することが可能となる。さらに、様々な電気モータをここで簡単な方法でモジュラシステムに組み込むこともできる。
【0014】
ロックを達成するため、アクチュエータ装置は有利には持ち上げ動作を行う。ロックの完了後、アクチュエータ装置の持ち上げ動作を行う1つまたは複数の要素を、再度、ロック前にとっていた位置に戻すため、ロック装置にリセット要素を設けることができる。リセット要素は、ここでエネルギ保存部として、特に、ロック時の駆動動作によってエネルギをチャージすることができるエネルギ保存部として構成することができる。保存されたエネルギは、次いで、解放され、その後アクチュエータ装置のリセットのために使用することができる。本発明の好適な実施形態において、リセット要素はばね要素とすることができる。有利には、リセット要素は、それをアクチュエータ装置の歯車の領域にリセットするために、保存されたエネルギをアクチュエータ装置に運ぶ。
【0015】
本発明のさらに好適な構成は特許請求の範囲、説明および図面から明らかとなる。
【0016】
本発明は図に純粋に図式的に示される実施形態例の補助によりさらに詳細に説明される。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】本発明によるロック装置を備え、かつ車両構造に固定された対向要素を備えた自動車の後部座席の切取図である。
【図2】図1のロック装置の斜視図である。
【図3】ロック解除位置にある図2のロック機構の部分図である。
【図4】ロック位置にある図2のロック機構の部分図である。
【図5】図1の本発明によるロック装置ならびに制御部である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
図において、例えば、後部座席システム3の回動可能な関節式の背もたれ2内に組み込むことができるような本発明によるロック装置1のための実施形態例が示される。そのようなロック装置1により、背もたれ2の直立位置は拘束され得るか、またはロック装置1と対向要素Bとの協働によりそれぞれ固定されうる。図示されないロック装置1の作動の可能性によって、例えば、後部座席背もたれ2を、後部座席システム3の、図示されない座席面の方向に折り畳むためにこの拘束は解除可能である。ロック装置1はここで後部座席背もたれ2に組み込むことができ、対向要素B、例えば、ボルトは、車両に固定されるか、またはそれぞれが定置状態で車両構造4上に配置される。原則的に、しかしながら、後部座席背もたれ2上および車両構造4上のロック装置1に対向要素Bを設けることもまた可能である。背もたれ2の回動動作の際、対向要素Bとロック装置のロック機構23とが互いに近づくかまたはそれぞれが互いから離れる。
【0019】
ロック装置1には、複数部品のハウジング20が設けられる(図2)。このハウジングには、それ自体公知のロック機構23(図3を参照)が配置され、かつこれ以上きめ細かく詳細に図示されない、第1のアクチュエータユニット24(図2)が、電気的に発生させたロック機構のロック解除用の駆動動作のため、ハウジング20上に取付けられる。自動化された駆動動作に加えて、ロック機構23はまた、ロック機構23と対向要素Bとの間の拘束を解除するため、回動可能な関節式の操作ハンドル25(図2)の補助により手動で作動することができる。操作ハンドル25が設けられず、ロック解除が常にアクチュエータユニット24により行われる実施形態もまた可能である。ロック機構23はその機械的な構成要素、それらの相互関係および互いの相互作用に関して本質的に周知の方法で組立てることができる。そのようなロック機構の原理が例えば、独国特許出願102004056086(B3)号明細書、独国特許出願第10304574(B4)号明細書および独国特許出願公開第103177(A1)号明細書に開示されており、それぞれの開示内容は参照によって本明細書に含まれる。したがってロック機構の構造は以下に基本的な方法においてのみ論じられる。
【0020】
図3および4に示されるように、ロック機構23のキャッチ31は第1の軸受ボルト33上に回動可能に取付けられ、それは同様に2つのハウジングシェル上および間に、したがってハウジング20上にしっかりと配置される。キャッチ31は、しかしながら、また異なる方法で可動的に取付けることも可能である。対向要素Bと協働するため、キャッチ31は溝形状のフック顎部35を有し、それはロック装置1のロック状態において取付台29と少なくともほぼ垂直に交差し、かつ対向要素Bを3方で囲み、一方、開状態において、それは取付台29に対して斜めに開く。第2の軸受ボルト43は第1の軸受ボルト33に平行して配置され、後者と同様の方法でハウジング上に配置される。第2の軸受ボルト43上に、第1の固定要素として、ハウジングとキャッチ偏心部45との間に作用する、これ以上詳細に図示されないばねによりキャッチ31に対してプレストレスを施されたキャッチ偏心部45が回動可能に取付けられる。張力偏心部(tensioning eccentric)51は第2の固定要素としてキャッチ偏心部45に沿って、および同様に第2の軸受ボルト43上に回動可能に取付けられる。図4に示されるように、ロック状態において、キャッチ偏心部45およびまた張力偏心部51は両方ともキャッチ内に係合している。張力偏心部51はここで第2の軸受ボルト43に対して偏心的に湾曲したクランプ面49によってキャッチ31上に閉モーメントを働かせる。
【0021】
加えて、その閉鎖位置にあるキャッチ偏心部45は、一方の側で開いているフック顎部46を閉延長部46により閉じる。この目的のため、キャッチ偏心部45は張力偏心部51のクランプ面49の近傍に位置するキャッチ面を有するが、ロック状態においてキャッチ31と強制的に接触状態となる必要はない。キャッチ偏心部45のキャッチ面は、第2の軸受ボルト43を中心に周囲を湾曲する面として構成することができる。キャッチ偏心部45は、ロック状態から不意に開くことに対する保護としての役割を果たす。衝突の場合、キャッチ31がおそらくは開モーメントを受け、張力偏心部51を押し出すと、キャッチ偏心部45のキャッチ面は、キャッチ31がキャッチ偏心部45上にモーメントを働くことができず、キャッチ31に対して当接状態になる。キャッチ偏心部45は、したがって、キャッチ31を支持すること、およびそれが開くことを防止することの両方、また衝突の場合に荷重を支持する役割を果たす。例えば、図示されないばねによりキャッチ31に向かってプレストレスを施された張力偏心部51は、ロック位置においてキャッチ31上に閉モーメントを働かせるという機能を担い、それにより遊びのない位置および車両本体に対する公差補償が実現される。両固定要素、キャッチ偏心部45、および張力偏心部51もまた、したがってキャッチ31のロック状態を確実とする。
【0022】
キャッチ偏心部45およびまた張力偏心部51の両方のそれぞれから、それぞれの偏心部上に一体形成されるアームが、ロック装置1のロック解除のため、ロック解除レバー45a、51aの形態で突出する。図3および4に示されるこれらのロック解除レバー45a、51aの少なくとも1つの動きにより、ロック状態から始まり時計回り方向に、例えば、ボーデンケーブルによって、キャッチ偏心部45およびしたがってキャッチ面が、キャッチ31から離れて回動する。例えば、これ以上詳細に示されないキャリアによって、キャッチ偏心部45は、短いアイドルストロークの後適用可能であれば、張力偏心部51を運び、図示されない張力ばねによってキャッチ31を引き寄せ、対向要素Bを解放する。適切な幾何学的関係により、キャッチ偏心部45および/または張力偏心部51は、キャッチ31に対する動作後にとった位置において、キャッチ31上に開モーメントを働かせるか、またはそうでなければ後者を開いたままにする。この位置において、後部座席背もたれの回動動作により、対向要素Bはここでフック顎部35から離れた対向要素Bに対するロック装置1の相対的な動きを介して案内され、したがってロックは完全に解除されうる。
【0023】
図3および4に示されるように、ロック装置1は、そのロックのためのキャッチ31のみに関連するアクチュエータ装置50を有し、前記アクチュエータ装置はハウジング20上に固定される。アクチュエータ装置50の有効な向きにおいて、後者には、オプションとして設けられる遊星歯車53と共に、出力側に機能的に連結される直流電気モータ52が設けられる。本発明の他の実施形態において、異なるタイプの歯車を設けることができるかまたは歯車を不要にできる。同様に、アクチュエータ装置50のほかに他の構成要素の駆動動作も提供するモータをアクチュエータ装置50の駆動部として設けることができる。遊星歯車53はさらには出力側で主軸歯車54と機能的に連結され、それは本質的に周知の方法で入力側の回転運動を出力側で直線運動に変換する。この目的のため、そのような主軸歯車はねじ山が設けられる主軸およびねじ山上に配置され、遊星歯車により駆動される主軸ナットを有する。主軸のこの直線運動により、主軸上に配置されるフォーク形状の停止部58が、2つの端部領域間の直線の矢印55に従い往復して動く。モータによって発生した前方への動きにより、停止部58は、軸受ボルト33によって画定されるキャッチ31の回転軸から距離をおいてキャッチ31上に配置されるピン形状のキャリア59に当たる。その持ち上げ動作により、停止部58はそのフォーク部間にキャリアを受容して運び、アクチュエータ装置50からキャッチ31上に直接作用する動きのため、軸受ピン33の回転軸を中心とするキャッチ31の回転運動が生成される。図3の図において、この回転運動は反時計回り方向に行われる。停止部58のストロークのため行われるこの回転運動によりキャッチ31はボルトBに係合し、後者をロックする。
【0024】
この工程時、ロック機構の1つまたはいくつかの構成要素の位置を、それらの端部位置への到達について1つまたは複数のセンサによって監視することができ、端部位置に到達すると対応する信号が生成されうる。示される実施形態において、キャッチ偏心部45の位置のみがセンサによって決定される。この少なくとも1つの信号が電子制御部62に供給される。制御部62はこの信号を読み取り、所定の条件の存在下でアクチュエータ装置50のモータ52のスイッチをオフにする。図3および4の実施形態例において、例えば、ハウジング20の内側に固定されるさらに詳細に示されないホールセンサをセンサとして設けることができ、それにより、基本的にキャッチ偏心部45に、または張力偏心部51に固定されうる、同じく図示されない磁石の位置が検出される。キャッチ31によるボルトBの係合のない、キャッチ31のロック動作により、キャッチ偏心部45はキャッチ31とボルトBとの間の正しいロックではない、異なる端部位置に達する。このキャッチ偏心部45の予想され得る端部位置の違いが、したがって、背もたれ2が車両構造4上にロックされているか、いないかについてセンサが判断する情報の基準としての役割を果たしうる。ホールセンサは、したがって、図5に示される線61を介して制御部62に供給される、この情報に合致する信号を生成する。示される本発明による実施形態の予想され得るさらなる発展形において、張力偏心部51の位置もまたセンサによって検出することができる。この位置情報は、しかしながら、アクチュエータ装置50の作動のため制御部62が考慮する情報には含まれないが、不完全なロック(誤用)、すなわちボルトBが係合されていないキャッチ31のロックを確認するのに使用することができる。
【0025】
図1に示されるように、アクチュエータ装置50の動作は、折り畳まれた位置から、ロック位置として直立状態の最終位置に到達した背もたれ2によって始動される。この実施形態例において、好ましくはロック装置1の外部に配置される、線63によって制御部62と連結されるマイクロスイッチ60が設けられる。ロック可能な位置に到達すると、マイクロスイッチ60が、その車両構造4との接触のために始動し、それにより背もたれのロック可能な位置への到達を知らせるためのマイクロスイッチ60の信号が図5に示される制御部62に供給される。これが制御部62によりモータ52のスイッチが入る誘因となり、すでに記載されたように、その駆動動作がキャッチ31をキャリア58によって回動させる。ホールセンサの信号は、同様に制御部62に供給され、したがってモータ52はロックが完了するとスイッチがオフにされる。図5に示されるものとは異なり、モータ52の制御部62はまたロック装置1に組み込むこともできる。制御部62は電圧供給部64に連結され、それに供給されるセンサ信号に基づいてモータ52のスイッチのオンおよびオフを決定する。適用可能であれば、制御部はまた、例えば、過負荷の場合に、位置決定のためのセンサの信号とは無関係にモータのスイッチをオフにする、電圧/電流監視などのさらなる機能を担うこともできる。
【0026】
ロックされた構成要素上の力の流れは対向要素Bからキャッチ31を経由して張力偏心部51に向かって進むため、アクチュエータ装置50は例えば衝突荷重などのいかなる荷重も支持する必要はない。
【0027】
この実施形態において、ロックが完了した後、停止部58は、それが図3に示される初期位置を再度とるよう再度リセットされるが、キャッチ31は図4に示される位置に継続して配置される。主軸歯車54はまた、開くキャッチ31により受動的に運ばれ、この方法でリセットが行われるよう設計することもできる。一方、この実施形態例の場合のように、モータ52のスイッチをオフにした後、ここで停止部58が再度その初期位置に能動的に引き戻されるように、さらに詳細に示されないばね(例えば、渦巻ばね)をアクチュエータ装置50(モータ、歯車および/または主軸)に作用させることができる。それによって、ロック解除の際、アクチュエータ装置50の保持力に打ち勝つために追加の力が必要とならず、ロック解除工程を迅速にかつより少ない力の支出で行うことができる。この目的のため、例えば、遊星歯車53と主軸歯車54との間にばねを配置し、モータで駆動されるロック動作によって引っ張ることができる。アクチュエータ装置50のモータ52のスイッチがオフにされるとすぐにばねは緩和されうる。モータ52はここでそれ以上ばねの緩和に抗するための力を生成せず、かつばねから主軸歯車54上に導入されるトルクがアクチュエータ装置50の復原力を超えるため、ばねはここで緩和し、図3に示すように、停止部をその初期位置に移動させることとなる。ばねは、したがって、主軸歯車54および遊星歯車53を、それらがロックの生成前にとっていた位置に戻す。
【0028】
他の実施形態において、アクチュエータ装置50のリセットはまた、モータ52の動作によって行うことができ、その駆動軸が、この目的のため、ロックの生成のための駆動動作と比較して反対方向に回転する。
【0029】
本発明のさらなる可能な実施形態において、アクチュエータ装置50は、電気モータの回転運動をそのように、かつその閉鎖動作においてキャッチ31上に作用させるための直線運動に変換することなく利用することができる。この場合、モータを、その回転運動が直接または同様に出力側に回転運動を提供する歯車を介してキャッチ31に伝達されるようにキャッチ31に連結することができる。例えば、モータを軸受ボルト33上に配置し、そのようなその回転運動をキャッチ31に伝達するという機能を設けることができる。特に、そのような解決策と関連して、例えば、電子整流モータ(ECM)の場合のように、特に平坦な構造形状を有する電気モータが有利となりうる。
【符号の説明】
【0030】
1 ロック装置
2 背もたれ
3 後部座席システム
4 車両構造
20 ハウジング
23 ロック機構
24 アクチュエータユニット
25 操作ハンドル
29 取付台
31 キャッチ
33 第1の軸受ボルト
35 フック顎部
43 第2の軸受ボルト
45 キャッチ偏心部
45a ロック解除レバー
46 閉延長部
49 クランプ面
50 アクチュエータ装置
51 張力偏心部
51a ロック解除レバー
52 直流電気モータ
53 遊星歯車
54 主軸歯車
55 矢印
58 停止部
59 キャリア
60 マイクロスイッチ
61 線
62 制御部
63 線
64 電圧供給部
B 対向要素

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両座席用の、特に自動車座席用のロック装置であって、ロック機構とアクチュエータ装置とハウジングとを備えて成るロック装置にして、前記ロック機構は、前記ロック機構の可動キャッチと対向要素とを機械的にロックするためのものであり、前記アクチュエータ装置は、駆動部によって前記キャッチを作動させるためのものであり、前記ハウジングには前記ロック機構が配置され収容されている、ロック装置において、
前記ロック機構(23)のロックを生成するための、モータにより駆動される手段を特徴とするロック装置。
【請求項2】
前記キャッチ(31)に直接作用する、ロックを生成するためのアクチュエータ装置(50)を特徴とする、請求項1に記載のロック装置。
【請求項3】
前記キャッチのロック位置を、開くことに抗して固定するための少なくとも1つの固定要素を特徴とする、請求項1または2に記載のロック装置。
【請求項4】
キャッチおよび/または張力偏心部(45、51)として構成される固定要素を特徴とする、請求項3に記載のロック装置。
【請求項5】
前記対向要素(B)を介して導入される負荷を備えた前記ロック機構の力の流れであって、前記アクチュエータ装置(50)が前記力の流れの外に配置されることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項6】
前記ロック装置のロック解除のための第1のアクチュエータ装置および前記ロック装置(1)のロックのための第2のアクチュエータ装置(50)を特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項7】
前記アクチュエータ装置(50)の歯車、特に、主軸歯車(54)および/または遊星歯車(53)を特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項8】
前記キャッチ(31)の閉動作につながる持ち上げ動作および前記ロック機構(23)への作用によって、前記アクチュエータ装置(50)により駆動され得る停止部(58)を特徴とする、請求項1〜7のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項9】
前記停止部(58)は少なくとも実質的に直線構成の持ち上げ動作を行い、それを行うにあたり前記キャッチ(31)と機能的に連結されたキャリア(59)を運び、前記キャリア(59)はこれによって前記キャッチ(31)を回転運動状態にすることを特徴とする、請求項8に記載のロック装置。
【請求項10】
モータにより生成される回転運動を用いて、その直線運動への変換なく、前記キャッチ(31)のロックを達成することができる、前記ロック機構(23)の前記ロックのためのアクチュエータ装置(50)を特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項11】
前記キャッチ(31)のロックが完了した後、前記アクチュエータ装置(50)を初期位置にリセットするためのリセット要素を特徴とする、請求項1〜10のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項12】
前記リセット要素は、前記アクチュエータ装置(50)の歯車内に配置されていることを特徴とする、請求項11に記載のロック装置。
【請求項13】
前記リセット要素は、前記アクチュエータ装置(50)の駆動動作によりチャージすることができるエネルギ貯蔵部として構成されることを特徴とする、請求項11または12に記載のロック装置。
【請求項14】
前記ロック機構(23)のロックの生成のためのモータで駆動される手段として、背もたれ傾斜調節装置の駆動部が設けられることを特徴とする、請求項1〜13のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項15】
位置依存状況を検出するための手段を設けたセンサ装置によって生成された位置依存信号を前記アクチュエータ装置(50)の作動のために使用できる手段を、前記ロック装置(1)が有することを特徴とする、請求項1〜14のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項16】
前記センサ装置には、前記ロック機構(23)の複数の構成要素と前記車両座席の背もたれ(2)のうちの少なくとも1つの位置に応じた信号を生成できる手段が設けられることを特徴とする、請求項15に記載のロック装置。
【請求項17】
特定の背もたれ位置に到達すると、信号が前記センサ装置から発生し、それを通じて、ロックを行うために前記アクチュエータ装置(50)の作動が誘発されるすることを特徴とする、請求項15または16に記載のロック装置。
【請求項18】
前記キャッチ(31)のロック最終位置を検出するための前記センサ装置の検出手段を特徴とする、請求項15〜17のいずれか一項に記載のロック装置。
【請求項19】
前記検出手段によって認識されるロック最終位置を表示することができる表示手段を特徴とする、請求項17に記載のロック装置。
【請求項20】
前記検出手段の信号を前記アクチュエータ装置(50)の制御部に供給するための手段を特徴とする、請求項15〜19のいずれか一項に記載のロック装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公表番号】特表2012−523338(P2012−523338A)
【公表日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−503922(P2012−503922)
【出願日】平成22年4月8日(2010.4.8)
【国際出願番号】PCT/EP2010/002198
【国際公開番号】WO2010/115626
【国際公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【出願人】(511007886)カイパー ゲーエムベーハー ウント コンパニー カーゲー (16)
【Fターム(参考)】