説明

車両施錠装置

【課題】車両の防盗性および利便性を向上させる。
【解決手段】車両施錠装置10は、ドア開閉検出部32から出力された車両の全てのドアが閉となったことの検出結果の信号に基づき車両内部および車両外部の所定領域内に応答要求信号を送信すると共に、この応答要求信号に応じて携帯機11から送信された応答信号を受信する無線通信部31と、応答信号に基づきドアを施錠するための所定条件が成立したことを判定して第1の判定結果の信号を出力し、車両ブザー36および車両インジケータ37によって車両外部に存在する乗員に認識可能に第1の態様で報知を行なう制御部34とを備える。制御部34は、第1の判定結果の信号を出力した後に、ドアの施錠を禁止する条件が成立したことを判定して第2の判定結果の信号を出力し、第1の態様とは異なる第2の態様で車両外部に存在する乗員に認識可能に報知を行なう。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両施錠装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば車両ドアが閉じられた後に、乗員が所持する携帯機が車外通信エリアでの認証成立状態から認証不成立状態へと移行したときに、ドアロック条件が成立して車両ドアを自動的にロックするスマートエントリシステムが知られている。そして、このようなスマートエントリシステムにおいて、例えば車両ドアが閉じられた直後には、車外通信エリアを通常の第1通信エリアよりも広い第2通信エリアに設定する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。このスマートエントリシステムでは、車両ドアが閉じられた直後に、携帯機を所持する乗員が車両から急いで離れる場合であっても、車外通信エリアでの認証成立状態と、この認証成立状態から認証不成立状態への移行とを検知して、ドアロック条件を的確に成立させるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2009−84907号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記従来技術に係るスマートエントリシステムによれば、車外通信エリアでの認証成立状態から認証不成立状態への移行に応じて、ドアロック条件が成立して車両ドアが自動的にロックされるのは、車両がオートロックモードに移行していることが前提となっている。つまり、車両がオートロックモードではない状態で、携帯機を所持する乗員が車両から急いで離れる場合には、乗員の認識に反してドアロック条件が成立せずに、車両ドアが自動的にロックされない虞があり、車両の防盗性が損なわれてしまうという問題が生じる。
また、このような問題が生じることに対して、例えば車外通信エリアでの認証成立の有無にかかわらず、車両ドアが閉じられてからの経過時間に応じて車両ドアを自動的にロックするように制御することも考えられるが、この場合には、携帯機を所持する乗員が意図しないロックが行なわれてしまう虞があり、利便性が損なわれてしまうという問題が生じる。
【0005】
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、車両の防盗性および利便性を向上させることが可能な車両施錠装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、本発明の第1態様に係る車両施錠装置は、乗員によって所持されて応答要求信号を受信すると応答信号を送信する携帯機(例えば、実施の形態での携帯機11)と、車両の全てのドアが閉となったことを検出して検出結果の信号を出力する全ドア閉検出手段(例えば、実施の形態でのドア開閉検出部32)と、前記全ドア閉検出手段から出力された前記検出結果の信号に基づき車両内部および車両外部の所定領域内に前記応答要求信号を送信すると共に、前記携帯機から送信された前記応答信号を受信する車両側送受信手段(例えば、実施の形態での無線通信部31)と、前記車両側送受信手段により受信される前記応答信号に基づき前記ドアを施錠するための所定条件が成立したことを判定して第1の判定結果の信号を出力する施錠条件判定手段(例えば、実施の形態での制御部34)と、前記施錠条件判定手段から出力された前記第1の判定結果の信号に基づき前記車両外部に存在する前記乗員に認識可能に第1の態様で報知を行なう報知手段(例えば、実施の形態での車両ブザー36、車両インジケータ37、携帯機ブザー23、携帯機インジケータ24)とを備える車両施錠装置であって、前記施錠条件判定手段は、前記第1の判定結果の信号を出力した後に、前記ドアの施錠を禁止する条件が成立したことを判定して第2の判定結果の信号を出力し、前記報知手段は、前記施錠条件判定手段から出力された前記第2の判定結果の信号に基づき前記第1の態様とは異なる第2の態様で前記車両外部に存在する前記乗員に認識可能に報知を行なう。
【0007】
さらに、本発明の第2態様に係る車両施錠装置では、前記ドアを施錠するための前記所定条件は、前記車両側送受信手段から前記車両内部の所定領域内に送信された前記応答要求信号に対して前記携帯機から送信される前記応答信号が受信されず、かつ、前記車両側送受信手段から前記車両外部の所定領域内に送信された前記応答要求信号に対して前記携帯機から送信される前記応答信号が受信された場合に成立し、前記ドアの施錠を禁止する条件は、前記車両側送受信手段から前記車両内部の所定領域内に送信された前記応答要求信号に対して前記携帯機から送信される前記応答信号が受信された場合に成立する。
【0008】
さらに、本発明の第3態様に係る車両施錠装置は、前記車両のドアが開となったことを検出して検出結果の信号を出力するドア開検出手段(例えば、実施の形態でのドア開閉検出部32)を備え、前記施錠条件判定手段は、前記第1の判定結果の信号を出力する前に、前記車両側送受信手段により受信された前記応答信号に基づき前記ドアの施錠を禁止する条件が成立したことを判定して第3の判定結果の信号を出力し、前記報知手段は、前記ドア開検出手段から出力された前記検出結果の信号に基づき前記第2の態様で前記車両外部に存在する前記乗員に認識可能に報知を行なうと共に、前記施錠条件判定手段から出力された前記第3の判定結果の信号に基づき前記第1および前記第2の態様とは異なる第3の態様で前記車両外部に存在する前記乗員に認識可能に報知を行なう。
【0009】
さらに、本発明の第4態様に係る車両施錠装置は、前記携帯機と前記車両との間の距離を検出して検出結果の信号を出力する距離検出手段(例えば、実施の形態での距離検出部33)を備え、前記報知手段は、所定輝度で発光または所定周期で点滅可能な表示手段を具備し、前記表示手段は、前記距離検出手段から出力された前記検出結果の信号に応じて前記所定輝度または前記所定周期を変更する。
【0010】
さらに、本発明の第5態様に係る車両施錠装置では、前記車両側送受信手段は、前記施錠条件判定手段から出力された前記判定結果の信号を前記携帯機に送信可能であって、前記携帯機は、前記車両側送受信手段から送信される前記判定結果の信号を受信可能であり、かつ前記判定結果の信号に基づき当該携帯機を所持する前記乗員に認識可能に報知を行なう携帯機側報知手段(例えば、実施の形態での携帯機ブザー23、携帯機インジケータ24)を備える。
【発明の効果】
【0011】
本発明の第1態様に係る車両施錠装置によれば、ドアを施錠するための所定条件が成立したか否か、あるいは、ドアの施錠を禁止する条件が成立したか否かを、車両外部の乗員に認識可能に報知することから、利便性を向上させることができる。
また、ドアを施錠するための所定条件が成立して第1の態様で報知が行なわれた後に、ドアの施錠を禁止する条件が成立した場合には、第1の態様とは異なる第2の態様で報知が行なわれることから、ドアが施錠されると乗員が誤認識している場合であっても、ドアの施錠が禁止されていることを認識させることができ、車両の防盗性が損なわれてしまうことを防止することができる。
【0012】
さらに、本発明の第2態様に係る車両施錠装置によれば、携帯機が車両内部から車両外部に持ち出された後に、例えばドアの開閉や窓の隙間からの車両内部への投げ込みなどよって、再び携帯機が車両内部に戻された場合には、ドアの施錠が禁止されることから、携帯機の車内への閉じ込みの発生を的確に防止することができる。
【0013】
さらに、本発明の第3態様に係る車両施錠装置によれば、ドアを施錠するための所定条件が成立する可能性がある場合と無い場合とで異なる態様で報知を行なうことから、状態の遷移を乗員に明確に認識させることができる。
【0014】
さらに、本発明の第4態様に係る車両施錠装置によれば、乗員と車両との間の距離に応じて適切な表示状態で報知を行なうことができ、視認性を向上させることができる。
【0015】
さらに、本発明の第5態様に係る車両施錠装置によれば、車両周辺での視認性が良好ではない場合(例えば、昼間時など)や車両周囲の騒音が大きい場合などにおいて、報知の認識が困難な場合であっても、携帯機から報知を行なうことで的確に乗員に認識させることができ、利便性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施の形態に係る車両施錠装置の構成図である。
【図2】本発明の実施の形態に係る車両施錠装置の車両インジケータを示す図である。
【図3】本発明の実施の形態に係る車両施錠装置の動作を示すフローチャートである。
【図4】本発明の実施の形態に係る車両施錠装置の動作を示すフローチャートである。
【図5】本発明の実施の形態に係る車両施錠装置の動作を示すタイミングチャートである。
【図6】本発明の実施の形態の変形例に係る車両施錠装置の動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明の車両施錠装置の一実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
本実施の形態による車両施錠装置10は、例えば図1に示すように、車両の乗員などにより所持および携帯可能な無線通信端末をなす携帯機11と、携帯機11と無線通信可能で車両に搭載された車載装置12とを備えて構成されている。
【0018】
携帯機11は、例えば、無線通信部21と、携帯機制御部22と、携帯機ブザー23と、携帯機インジケータ24とを備えて構成されている。
【0019】
無線通信部21は、後述する車載装置12の無線通信部31と無線通信による通信接続可能であり、車載装置12の無線通信部31から発信される応答要求信号などの各種の信号を受信可能であり、かつ、この応答要求信号に応じた応答信号などの各種の信号を車載装置12の無線通信部31に送信可能である。
無線通信部21の送受信動作は携帯機制御部22により制御されており、無線通信部21は、例えば車載装置12の無線通信部31から発信された応答要求信号を受信すると、この応答要求信号に応じた応答信号を送信する。また、例えば携帯機11の各種の操作スイッチ(図示略)が操作者により操作されると、この操作に応じて車載装置12の動作(例えば、ドアロックアクチュエータ35の動作など)を指示する制御指令の信号を送信する。
【0020】
携帯機制御部22は、車載装置12の無線通信部31から発信される各種の信号あるいは携帯機11の各種の操作スイッチ(図示略)に対する操作者の入力操作に応じて、無線通信部21の送受信動作と、携帯機ブザー23および携帯機インジケータ24の動作とを制御する。
例えば、携帯機制御部22は、後述する車載装置12の無線通信部31から送信された第1〜第3の判定結果の信号が無線通信部21により受信されると、これらの信号に応じて携帯機ブザー23の吹鳴(例えば、吹鳴回数、音量、吹鳴周期など)と携帯機インジケータ24の表示(例えば、点灯や点滅、発光の輝度、発光色、点滅回数、点滅周期など)を制御して、携帯機11を所持する操作者(例えば、車両の乗員など)が認識可能な報知を行なう。
【0021】
車載装置12は、例えば、無線通信部31と、ドア開閉検出部32と、距離検出部33と、制御部34と、ドアロックアクチュエータ35と、車両ブザー36と、車両インジケータ37とを備えて構成されている。
【0022】
無線通信部31は、携帯機11の無線通信部21と無線通信による通信接続可能であり、例えば、車両内部の所定領域内と車両外部の所定領域内とを独立した通信領域として、各通信領域毎に存在する携帯機11を通信対象として、応答要求信号などの各種の信号を発信可能であり、かつ、この応答要求信号に応じた応答信号などの各種の信号(つまり、携帯機11の無線通信部21から送信される信号)を受信可能である。
無線通信部31の送受信動作は制御部34により制御されており、無線通信部31は、応答要求信号の発信に加えて、例えば、後述する第1〜第3の判定結果の信号と、距離検出部33から出力される検出結果の信号となどを携帯機11の無線通信部21に送信する。
【0023】
ドア開閉検出部32は、車両の全てのドアが閉となったことを検出して検出結果の信号を出力すると共に、車両の何れかのドアが開となったことを検出して検出結果の信号を出力する。
距離検出部33は、携帯機11の無線通信部21と車載装置12の無線通信部31との間で確立された無線通信接続での受信信号強度を検出し、この受信信号強度に基づき、携帯機11と車載装置12との間の距離を検出して検出結果の信号を出力する。
【0024】
制御部34は、携帯機11の無線通信部21から送信される各種の信号と、各検出部32,33から出力される検出結果の信号と、車載装置12の各種の操作スイッチ(図示略)に対する操作者の入力操作とに応じて、無線通信部31の送受信動作と、ドアロックアクチュエータ35の動作と、車両ブザー36および車両インジケータ37の動作とを制御する。
【0025】
例えば、制御部34は、ドア開閉検出部32から出力される車両の全てのドアが閉となったことの検出結果の信号に基づき、無線通信部31から車両内部の所定領域内と車両外部の所定領域内とに独立して応答要求信号を発信する。そして、これらの応答要求信号に応じて携帯機11から送信される応答信号が無線通信部31に受信されたか否かによって、ドアを施錠するための所定条件が成立したか否かを判定する。具体的には、車両内部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されず、かつ、車両外部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信された場合には、ドアを施錠するための所定条件が成立したことを判定して第1の判定結果の信号を出力する。そして、この第1の判定結果の信号に基づき車両ブザー36の吹鳴(例えば、吹鳴回数、音量、吹鳴周期など)と車両インジケータ37の表示(例えば、点灯や点滅、発光の輝度、発光色、点滅回数、点滅周期など)を制御して、車両外部に存在する乗員が認識可能な第1の態様で報知を行なう。また、この第1の判定結果の信号を無線通信部31から携帯機11の無線通信部21に送信して、携帯機ブザー23の吹鳴(例えば、吹鳴回数、音量、吹鳴周期など)と携帯機インジケータ24の表示(例えば、点灯や点滅、発光の輝度、発光色、点滅回数、点滅周期など)を制御して、携帯機11を所持する操作者(例えば、車両の乗員など)が認識可能な第1の態様で報知を行なう。
【0026】
さらに、制御部34は、第1の判定結果の信号を出力した後に、車両内部の所定領域内と車両外部の所定領域内とに独立して発信される応答要求信号に応じて携帯機11から送信される応答信号が無線通信部31に受信されたか否かによって、ドアの施錠を禁止する条件が成立したか否かを判定する。具体的には、第1の判定結果の信号を出力した後に、車両内部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信された場合には、ドアの施錠を禁止する条件が成立したことを判定して第2の判定結果の信号を出力する。そして、この第2の判定結果の信号に基づき車両ブザー36の吹鳴(例えば、吹鳴回数、音量、吹鳴周期など)と車両インジケータ37の表示(例えば、点灯や点滅、発光の輝度、発光色、点滅回数、点滅周期など)を制御して、第1の態様とは異なる第2の態様で車両外部に存在する乗員が認識可能な報知を行なう。また、この第2の判定結果の信号を無線通信部31から携帯機11の無線通信部21に送信して、携帯機ブザー23の吹鳴(例えば、吹鳴回数、音量、吹鳴周期など)と携帯機インジケータ24の表示(例えば、点灯や点滅、発光の輝度、発光色、点滅回数、点滅周期など)を制御して、第1の態様とは異なる第2の態様で携帯機11を所持する操作者(例えば、車両の乗員など)が認識可能な報知を行なう。
【0027】
また、制御部34は、第1の判定結果の信号を出力する前に、車両内部の所定領域内と車両外部の所定領域内とに独立して発信される応答要求信号に応じて携帯機11から送信される応答信号が無線通信部31に受信されたか否かによって、ドアの施錠を禁止する条件が成立したか否かを判定する。具体的には、第1の判定結果の信号を出力する前に、車両内部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信された場合には、ドアの施錠を禁止する条件が成立したことを判定して第3の判定結果の信号を出力する。そして、この第3の判定結果の信号に基づき車両ブザー36の吹鳴(例えば、吹鳴回数、音量、吹鳴周期など)と車両インジケータ37の表示(例えば、点灯や点滅、発光の輝度、発光色、点滅回数、点滅周期など)を制御して、第1および第2の態様とは異なる第3の態様で車両外部に存在する乗員が認識可能な報知を行なう。また、この第3の判定結果の信号を無線通信部31から携帯機11の無線通信部21に送信して、携帯機ブザー23の吹鳴(例えば、吹鳴回数、音量、吹鳴周期など)と携帯機インジケータ24の表示(例えば、点灯や点滅、発光の輝度、発光色、点滅回数、点滅周期など)を制御して、第1および第2の態様とは異なる第3の態様で携帯機11を所持する操作者(例えば、車両の乗員など)が認識可能な報知を行なう。
【0028】
また、制御部34は、距離検出部33から出力される検出結果の信号に応じて車両ブザー36の吹鳴と車両インジケータ37の表示との動作状態を変更する。
例えば下記表1に示すように、制御部34は、携帯機11と車載装置12との間の距離が長くなるほど、車両インジケータ37の発光の輝度を増大させたり、点滅周期を短くすることによって、車両外部に存在する乗員が認識し易くなるようにして、報知の動作状態を変更する。
【0029】
【表1】

【0030】
ドアロックアクチュエータ35は、制御部34から出力される制御指令に応じて車両のドアの施錠および開錠を行なう。
例えば、制御部34は、ドアを施錠するための所定条件が成立したことを判定して第1の判定結果の信号を出力した以後に、車両外部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されなくなってから所定期間(例えば、2秒など)が経過した場合に、ドアロックアクチュエータ35を駆動して車両の全てのドアを施錠する。
【0031】
車両ブザー36は、制御部34から出力される制御指令に応じて車両外部に存在する乗員が認識可能な吹鳴を行なう。
車両インジケータ37は、例えば図2に示すように、車両のドアミラー41や、車両のアウタードアハンドル42や、車両のピラー(図示略)や、車両のルームミラー(図示略)や、車両のヘッドアップディスプレイ(図示略)や、メータパネル(図示略)や、ステアリングコラム(図示略)などに設けられた灯体やモニタなどであって、車両外部の乗員(つまり、携帯機11を所持する操作者など)から視認可能とされている。
【0032】
この実施の形態による車両施錠装置10は上記構成を備えており、次に、この車両施錠装置10の動作について説明する。
【0033】
先ず、例えば図3に示すステップS01においては、車両の何れかのドアが閉から開になったか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS02に進み、このステップS02においては、後述するオートロック作動処理を実行して、エンドに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS03に進む。
そして、ステップS03においては、例えば図5に示す時刻t0から時刻t1の期間および下記表2に示すオートロックモード未起動の動作のように、車両インジケータ37で赤色点灯を行なう。
【0034】
【表2】

【0035】
そして、ステップS04においては、車両の全てのドアが開から閉になったか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS02に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS05に進む。
そして、ステップS05においては、車両のイグニッションスイッチがオフ、かつアクセサリー電源がオフであるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS06に進み、このステップS06においては、第3の判定結果の信号を出力し、上記表2に示すオートロックモード禁止の動作のように、車両インジケータ37で赤色点灯を消灯することによって、第3の態様での報知を実行し、ステップS02に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS07に進む。
【0036】
そして、ステップS07においては、車両内部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されたか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、上述したステップS06に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS08に進む。
そして、ステップS08においては、車両内部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されず、かつ、車両外部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、後述するステップS02に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS09に進む。
【0037】
そして、ステップS09においては、例えば図5に示す時刻t1のように、第1の判定結果の信号を出力し、上記表2に示すオートロックモード起動の動作のように、車両インジケータ37で赤色点灯を消灯し、かつ緑色点灯を行ない、さらに、ステップS10に進み、このステップS10においては、車両ブザー36で1回吹鳴を行なうことによって、第1の態様での報知を実行し、ステップS11に進む。
そして、ステップS11においては、オートロックモード起動フラグのフラグ値に「1」を設定して、ステップS02に進む。
【0038】
以下に、上述したステップS02におけるオートロック作動処理について説明する。
先ず、例えば図4に示すステップS21においては、オートロックモード起動フラグのフラグ値に「1」が設定されているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、リターンに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS22に進む。
【0039】
そして、ステップS22においては、車両内部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されたか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS29に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS23に進む。
そして、ステップS23においては、車両外部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されたか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS24に進み、このステップS24においては、上記表2に示すオートロック作動前の動作のように、車両インジケータ37で緑色点滅を行い、リターンに進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS25に進む。
【0040】
そして、ステップS25においては、所定時間(例えば、2秒など)が経過したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、リターンに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまりドアを施錠するための所定条件が成立したことを判定して第1の判定結果の信号を出力した以後に、車両外部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されなくなってから所定期間(例えば、2秒など)が経過した場合には、ステップS26に進む。
【0041】
そして、ステップS26においては、例えば図5に示す時刻t2および上記表2に示すオートロック作動の動作のように、車両インジケータ37で緑色点滅を終了して、消灯し、さらに、ステップS27に進み、ステップS27においては、車両ブザー36で2回吹鳴を行なう。
そして、ステップS28においては、ドアロックアクチュエータ35を駆動して車両の全てのドアを施錠して、リターンに進む。
なお、車両の全てのドアを施錠するときには、例えば図5に示す時刻t2のように、さらに、車両のハザードランプ(図示略)を3回点滅させてもよいし、ドアミラー41を閉に格納してもよい。
【0042】
また、ステップS29においては、第2の判定結果の信号を出力し、上記表2に示すオートロックモード解除の動作のように、車両インジケータ37で緑色点滅を終了して、緑色消灯し、かつ赤色点灯を行ない、さらに、ステップS30に進み、このステップS30においては、車両ブザー36で6回吹鳴を行なうことによって、第2の態様での報知を実行し、ステップS31に進む。
そして、ステップS31においては、オートロックモード起動フラグのフラグ値に「0」を設定して、リターンに進む。
【0043】
上述したように、本実施の形態による車両施錠装置10によれば、ドアを施錠するための所定条件が成立したか否か、あるいは、ドアの施錠を禁止する条件が成立したか否か、さらには、各条件の成立の遷移状態を、車両外部の乗員に認識可能に報知することから、利便性を向上させることができる。
また、ドアを施錠するための所定条件が成立して第1の態様で報知が行なわれた後に、ドアの施錠を禁止する条件が成立した場合には、第1の態様とは異なる第2の態様で報知が行なわれることから、ドアが施錠されると乗員が誤認識している場合であっても、ドアの施錠が禁止されていることを認識させることができ、車両の防盗性が損なわれてしまうことを防止することができる。
【0044】
さらに、携帯機11が車両内部から車両外部に持ち出された後に、例えばドアの開閉や窓の隙間からの車両内部への投げ込みなどよって、再び携帯機11が車両内部に戻された場合には、ドアの施錠が禁止されることから、携帯機11の車内への閉じ込みの発生を的確に防止することができる。
さらに、ドアを施錠するための所定条件が成立する可能性がある場合と無い場合とで異なる態様で報知を行なうことから、状態の遷移を乗員に明確に認識させることができる。
さらに、携帯機11を所持する乗員と車両との間の距離に応じて適切な表示状態で報知を行なうことができ、視認性を向上させることができる。
【0045】
以下に、上述した実施の形態の変形例に係る車両施錠装置10の動作として、距離検出部33から出力される検出結果の信号に応じて車両インジケータ37の表示の動作状態を変更するオートロック作動処理について説明する。
【0046】
先ず、例えば図6に示すステップS41においては、オートロックモード起動フラグのフラグ値に「1」が設定されているか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、リターンに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS42に進む。
【0047】
そして、ステップS42においては、車両内部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されたか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、後述するステップS56に進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS43に進む。
そして、ステップS43においては、車両外部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されたか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS52に進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合には、ステップS44に進む。
【0048】
そして、ステップS44においては、携帯機11と車載装置12との間の距離が第1距離未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS45に進み、このステップS45においては、車両インジケータ37の発光の輝度を低輝度として、さらに、ステップS46に進み、このステップS46においては、車両インジケータ37で低速の緑色点滅を行い、リターンに進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS47に進む。
【0049】
そして、ステップS47においては、携帯機11と車載装置12との間の距離が第1距離よりも長い第2距離未満であるか否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS48に進み、このステップS48においては、車両インジケータ37の発光の輝度を低輝度よりも明るい中輝度として、さらに、ステップS49に進み、このステップS49においては、車両インジケータ37で低速よりも速い中速の緑色点滅を行い、リターンに進む。
一方、この判定結果が「NO」の場合には、ステップS50に進み、このステップS50においては、車両インジケータ37の発光の輝度を中輝度よりも明るい高輝度として、さらに、ステップS51に進み、このステップS51においては、車両インジケータ37で中速よりも速い高速の緑色点滅を行い、リターンに進む。
【0050】
また、ステップS52においては、所定時間(例えば、2秒など)が経過したか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、リターンに進む。
一方、この判定結果が「YES」の場合、つまりドアを施錠するための所定条件が成立したことを判定して第1の判定結果の信号を出力した以後に、車両外部の所定領域内に発信した応答要求信号に対する応答信号が受信されなくなってから所定期間(例えば、2秒など)が経過した場合には、ステップS53に進む。
【0051】
そして、ステップS53においては、例えば図5に示す時刻t2および上記表2に示すオートロック作動の動作のように、車両インジケータ37で緑色点滅を終了して、消灯し、さらに、ステップS54に進み、ステップS54においては、車両ブザー36で2回吹鳴を行なう。
そして、ステップS55においては、ドアロックアクチュエータ35を駆動して車両の全てのドアを施錠して、リターンに進む。
なお、車両の全てのドアを施錠するときには、例えば図5に示す時刻t2のように、さらに、車両のハザードランプ(図示略)を3回点滅させてもよいし、ドアミラー41を閉に格納してもよい。
【0052】
また、ステップS56においては、第2の判定結果の信号を出力し、上記表2に示すオートロックモード解除の動作のように、車両インジケータ37で緑色点滅を終了して、緑色消灯し、かつ赤色点灯を行ない、さらに、ステップS57に進み、このステップS57においては、車両ブザー36で6回吹鳴を行なうことによって、第2の態様での報知を実行し、ステップS31に進む。
そして、ステップS58においては、オートロックモード起動フラグのフラグ値に「0」を設定して、リターンに進む。
【0053】
なお、上述した実施の形態においては、車両インジケータ37の表示のうち、点灯および点滅と発光色とを制御したが、これに限定されず、例えば点滅は行なわずに発光色を変更して報知を区別するように制御してもよいし、例えば下記表3に示すように、単色での点灯および点滅を制御してもよい。
この場合には、例えば、オートロックモード未起動の動作として、車両インジケータ37で単色の点灯を行なう。そして、オートロックモード起動およびオートロック作動前の動作として、車両インジケータ37で単色の点滅を行なう。そして、オートロック作動の動作として、車両インジケータ37で単色の点滅を終了し、消灯する。
また、車両インジケータ37および携帯機インジケータ24では、灯体の発光に限定されず、文字や画像による表示が行なわれてもよい。
【0054】
【表3】

【0055】
なお、上述した実施の形態での車両施錠装置10の動作においては、車両ブザー36と車両インジケータ37とにより車両外部に存在する乗員が認識可能な報知を行なったが、これに限定されず、さらに、第1〜第3の判定結果の信号などを無線通信部31から携帯機11の無線通信部21に送信して、携帯機ブザー23と携帯機インジケータ24とにより車両外部で携帯機11を所持する乗員が認識可能な報知を行なってもよい。
この場合には、車両周辺での視認性が良好ではない場合(例えば、昼間時など)や車両周囲の騒音が大きい場合などにおいて、車両ブザー36および車両インジケータ37による報知の認識が困難な場合であっても、携帯機11から報知を行なうことで的確に乗員に認識させることができ、利便性を向上させることができる。
【0056】
なお、上述した実施の形態において、携帯機11の無線通信部21と車載装置12の無線通信部31との間で無線通信の接続が確立される際には、安全性を向上させるために、固有の識別番号などによる認証が行なわれてもよい。
【符号の説明】
【0057】
10 車両施錠装置
11 携帯機
12 車載装置
23 携帯機ブザー(報知手段、携帯機側報知手段)
24 携帯機インジケータ(報知手段、携帯機側報知手段)
31 無線通信部(車両側送受信手段)
32 ドア開閉検出部(全ドア閉検出手段、ドア開検出手段)
33 距離検出部(距離検出手段)
34 制御部(施錠条件判定手段)
36 車両ブザー(報知手段)
37 車両インジケータ(報知手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
乗員によって所持されて応答要求信号を受信すると応答信号を送信する携帯機と、
車両の全てのドアが閉となったことを検出して検出結果の信号を出力する全ドア閉検出手段と、
前記全ドア閉検出手段から出力された前記検出結果の信号に基づき車両内部および車両外部の所定領域内に前記応答要求信号を送信すると共に、前記携帯機から送信された前記応答信号を受信する車両側送受信手段と、
前記車両側送受信手段により受信される前記応答信号に基づき前記ドアを施錠するための所定条件が成立したことを判定して第1の判定結果の信号を出力する施錠条件判定手段と、
前記施錠条件判定手段から出力された前記第1の判定結果の信号に基づき前記車両外部に存在する前記乗員に認識可能に第1の態様で報知を行なう報知手段とを備える車両施錠装置であって、
前記施錠条件判定手段は、前記第1の判定結果の信号を出力した後に、前記ドアの施錠を禁止する条件が成立したことを判定して第2の判定結果の信号を出力し、
前記報知手段は、前記施錠条件判定手段から出力された前記第2の判定結果の信号に基づき前記第1の態様とは異なる第2の態様で前記車両外部に存在する前記乗員に認識可能に報知を行なうことを特徴とする車両施錠装置。
【請求項2】
前記ドアを施錠するための前記所定条件は、前記車両側送受信手段から前記車両内部の所定領域内に送信された前記応答要求信号に対して前記携帯機から送信される前記応答信号が受信されず、かつ、前記車両側送受信手段から前記車両外部の所定領域内に送信された前記応答要求信号に対して前記携帯機から送信される前記応答信号が受信された場合に成立し、
前記ドアの施錠を禁止する条件は、前記車両側送受信手段から前記車両内部の所定領域内に送信された前記応答要求信号に対して前記携帯機から送信される前記応答信号が受信された場合に成立することを特徴とする請求項1に記載の車両施錠装置。
【請求項3】
前記車両のドアが開となったことを検出して検出結果の信号を出力するドア開検出手段を備え、
前記施錠条件判定手段は、前記第1の判定結果の信号を出力する前に、前記車両側送受信手段により受信された前記応答信号に基づき前記ドアの施錠を禁止する条件が成立したことを判定して第3の判定結果の信号を出力し、
前記報知手段は、前記ドア開検出手段から出力された前記検出結果の信号に基づき前記第2の態様で前記車両外部に存在する前記乗員に認識可能に報知を行なうと共に、前記施錠条件判定手段から出力された前記第3の判定結果の信号に基づき前記第1および前記第2の態様とは異なる第3の態様で前記車両外部に存在する前記乗員に認識可能に報知を行なうことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両施錠装置。
【請求項4】
前記携帯機と前記車両との間の距離を検出して検出結果の信号を出力する距離検出手段を備え、
前記報知手段は、所定輝度で発光または所定周期で点滅可能な表示手段を具備し、
前記表示手段は、前記距離検出手段から出力された前記検出結果の信号に応じて前記所定輝度または前記所定周期を変更することを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1つに記載の車両施錠装置。
【請求項5】
前記車両側送受信手段は、前記施錠条件判定手段から出力された前記判定結果の信号を前記携帯機に送信可能であって、
前記携帯機は、前記車両側送受信手段から送信される前記判定結果の信号を受信可能であり、かつ前記判定結果の信号に基づき当該携帯機を所持する前記乗員に認識可能に報知を行なう携帯機側報知手段を備えることを特徴とする請求項1から請求項4の何れか1つに記載の車両施錠装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2011−184895(P2011−184895A)
【公開日】平成23年9月22日(2011.9.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−49610(P2010−49610)
【出願日】平成22年3月5日(2010.3.5)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】