説明

車両用の電子制御システム及び車両システムで運転者に依存しない少なくとも1つの介入を算出する方法

【課題】車両が物体との衝突を回避する電子制御システム及び方法を提供する。
【解決手段】リスクコンピュータによって、車両システムへの運転者に依存しない少なくとも1つの、しかしながら特に多数の介入を算出する方法。プリセットされている車両データ,環境データ,実際の車両及び運転者のデータ,車両内外の人のデータ等が、このリスクコンピュータの入力部に入力される。このリスクコンピュータは、これらのデータに基づいて車両とこの車両の内側及び外側にいる人との危険状況を評価しこの評価及び場合によってはその他の基準値又は重み付けに応じて、アクチュエータを制御する制御信号を出力する。人及び車両に対する最大の保護作用が、優先回路にしたがって得られるように、これらのアクチュエータは、車両の運転者の行動及び/又は乗客の保護及び/又はその他の道路使用者(歩行者,自転車に乗る人等)に対する保護手段を変更又は起動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用の電子制御システム及び車両システムで運転者に依存しない少なくとも1つの介入を算出する方法に関する。特に本発明は、アクティブセーフティー手段及びパッシブセーフティー手段並びにアクティブ運転ダイナミック制御を車両の電子制御システム内に統合することによって事故及び負傷を回避する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
1.従来の技術
事故による負傷を回避するパッシブセーフティーシステムが、事故を回避するアクティブセーフティーシステムからほとんど独立してかつ依存しないで今日まで開発されている。
【0003】
より後になってからの変形領域の発展前のセーフティーキャビン,3点式シートベルトによる60年代半ばのパッシブセーフティーの決定的な改良では、アクティブセーフティーは、まだ改良されていなかった。80年代初頭のABSの大きな普及によって初めて、アクティブ電子セーフティーシステムの基礎が確立された。
【0004】
その間に、ESP運転ダイナミック制御,ACC,シートベルトやエアバッグのような電子制御システムが、アクティブセーフティーとパッシブセーフティーとに対して利用されている。
【0005】
専ら、このようなシステムがネットワーク接続されていて、全てのサブシステムが運転状況,車両環境及び運転者自身に関する情報を任意に処理できる時にだけ、個々のシステムの全ての潜在能力が完全に利用される。ネットワーク接続の概念は、第1段階ではアクティブセーフティーシステムの分野のプロジェクトである最短停止距離(Reduced Stopping Distance RSD,仮題「30m Auto」Continental−Konzern,2000年12月)で具体化されている。特殊な制動タイヤが、制動距離を短縮するために使用される。この制動タイヤは、その生態学的構造によって制動力の印加時にその車輪の接地面を大きくするだけではなくて、タイヤの接触領域内の力を均質に分布させる作用もある。したがって、最適な道路状況下での最大可能減速度が、約1.3gに上昇する。この大きい制動トルクを緊急制動時に路面に伝えることを可能にするためは、緩衝器に介入して、ブレーキの衝撃で誘導された周期的なピッチ振動を減衰させることが必要である。そのため、ABSが、より良好な制御条件を見つけて、効率的に作動可能である。伝達可能な平均制動トルクは、最小限に抑えられた車輪負荷変動によって上昇する。特にスリップが緊急制動の開始時に発生する場合、車輪のスリップの最適な状態が、調整可能なダンパをABS制御部に接続することによって精確に制御され得る。
【0006】
全ての停止過程が、電気式油圧ブレーキ系統(EHB)を使用したより速く可能な圧力上昇によってさらに短縮される。この場合、ブレーキペダルの操作が分析される。そして圧力が、ブレーキ・アシスト(BA)の支援によって蓄圧器からブレーキ系統に供給される。したがって、限界時間を低減することができる。その結果、最初のブレーキペダルの接触から制動出力の完全な上昇までの経路が短縮する。
【0007】
その次の改良では、ネットワーク接続が、環境情報の統合に拡張した。適応走行制御(ACC)分野の77GHz帯レーダー・距離センサ又はLIDAR距離センサが、距離と自分の車両の前方にいる車両からの相対速度とを出力する。型にはまった作業(車間距離の維持)から解放し、緊張を和らげる疲労させない運転を運転者に可能にするため、このコンフォート指向のACC制御は、これらのデータを利用する。
【0008】
しかしながら能動的なACCシステムは、不注意な運転者に対する安全性も向上させる。このACCシステムは、危険な状況を認識し、独立した制動を危険な車間距離及び相対速度時に2〜3m/sの許容限界まで開始する。この減速が十分でない場合、信号が、その運転者に警告し、この制動を引き継ぐことを要求して衝突を回避する。
【0009】
したがって、運転者が危険を認識し、その運転者の足のブレーキペダルに向かう移動を開始させるまでに、不注意な運転者が進行する経路が短縮される。
【0010】
ACCシステムが遮断されている時でも、この応答経路の短縮は、距離センサとブレーキ系統との一貫した結合時に利用され得る。運転者が、この危険な状況で制動を引き継いだ場合、拡張されたブレーキアシスト(BA+)が、さらなるブレーキ圧力の発生時に運転者を支援する。
【0011】
ドイツ連邦共和国特許第19806687号明細書から、車両とその車両の前方にある物体との衝突を回避する方法が公知である。この場合、車両と障害物との間の距離及び相対速度並びに車両の速度及び加速度又は減速度が検出される。衝突の警告又はブレーキ操作が、これらの車間距離等に応じて起動される。この場合、検出された距離が、計算された2つの距離より小さい時にだけ、ブレーキ操作を開始しなければならない。一方の距離は、最小距離を示す。この最小距離の場合、衝突が、最大減速度で回避され得る。その一方で他方の距離は、物体に対する車両の迂回を可能にしなければならない。
【0012】
さらに国際特許第03/006289号明細書から、車両の減速を自動的に起動して別の物体との衝突を回避する方法が公知である。この方法の場合、レーダー信号,レーザー赤外線レーダー信号又はビデオ信号に応じて、車両の進路領域内の物体及び車両の移動量が検出される。この認識された物体及びこれらの移動量に応じて、リスクポテンシャルを算定しなければならない。このリスクポテンシャルに応じて、減速手段が、少なくとも3つの状況で作動されなければならない。さらに、パッシブ制限システム又はアクティイブ制限システムが起動されることによって、別の物体との引き続く間近かに迫っている衝突を減らすことが提唱されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】ドイツ連邦共和国特許第19806687号明細書
【特許文献2】国際特許第03/006289号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
2.本発明の説明及び利点
本発明の課題は、衝突を回避し及び/又は物体との引き続く衝突を減らす電子制御システム及び方法を提供することにある。この方法は、運転者の判断による過失のある介入又は誤った運転を阻止し、それにもかかわらず危険な運転状況時に運転者を最適に支援し、必要な保護手段の措置を取る。
【課題を解決するための手段】
【0015】
この課題は、本発明により、制御システムがペダルの変位,ペダル間の移動量及びブレーキ系統のブレーキ圧力を少なくとも示すデータから運転者の要求に関する特性値を算出するための運転者要求モジュールを有し、かつ、プリセットされている車両データ,実際の車両データ並びに環境データ,運転者データ,場合によっては車両の外部又は内部の乗客データのようなその他のデータ等からリスクポテンシャルを算出するためのリスクコンピュータを有するように、車両用の一般的な電子制御システムが構成され、この場合、リスクコンピュータは、車両及び車内にいる乗客、場合によっては環境のうちの少なくとも1つを評価し、そしてこの評価,その他の基準又はリスクポテンシャルの重み付けに応じて、アクチュエータを制御する段階的な制御介入を介入装置に出力し、この介入装置は、この制御介入によって引き起こされた車両の走行動特性の影響に少なくとも応じて、運転者要求モジュール内で算出された運転者の要求に関するデータによって評価を実施し、そしてこの評価結果に応じて、これらの段階的な制御介入を限定的に解除するか、解除するか又は停止するように、車両用の電子制御システムが構成されることによって解決される。
【0016】
さらにこの課題は、運転者の要求が、ペダルの変位,ペダル間の移動量及びブレーキ系統のブレーキ圧力を少なくとも示すデータから運転者の要求に関する特性値を算出するための運転者要求モジュール内で算出され、そしてリスクポテンシャルが、リスクコンピュータ内でプリセットされている車両データ,実際の車両データ並びに環境データ,運転者データ,場合によっては車両の外部又は内部の乗客データのようなその他のデータ等から算出されるように、車両システムへの運転者に依存しない少なくとも1つの介入を算出する一般的な方法が実施され、この場合、リスクコンピュータは、車両及び車内にいる乗客、場合によっては環境のうちの少なくとも1つを評価し、そしてこの評価,その他の基準又はリスクポテンシャルの重み付けに応じて、アクチュエータを制御する段階的な制御介入を介入装置に出力し、この介入装置は、この制御介入によって引き起こされた車両の走行動特性の影響に少なくとも応じて、運転者要求モジュール内で算出された運転者の要求に関するデータによって評価を実施し、そしてこの評価結果に応じて、これらの段階的な制御介入を限定的に解除するか、解除するか又は停止するように、運転者に依存しない車両システムへの少なくとも1つの介入を算出する方法が実施されることによって解決される。
【0017】
車両の内部及び/又は外部の人若しくは車両若しくは物体のリスクポテンシャルが、実際の及び/又は推定される事故状況中に本発明の制御システム及び本発明の方法によってリスクコンピュータ内でプリセットされている車両データ,実際の車両データ,環境データ及び運転者データ並びに場合によっては車両の内部及び/又は外部の個人データのようなその他のデータ等から成るデータから算出される。さらに運転者の要求が、運転者要求モジュール内でペダルの変位,ペダル間の足の移動及びブレーキ系統のブレーキ圧力及びその他の値若しくは例えば操舵角の変化のような状態,アクセルペダルの変位,ストップライトの点滅及び/又は存在するデータと値の導関数から算出される。主な運転者の要求としては、加速又は減速及び/又は運転方向の変更があり得る。運転者の要求及びリスクポテンシャルを示すデータの相関関係から、リスクコンピュータ内で算出された車両のアクチュエータに対する制御介入が、限定的に解除されるか、解除されるか又は停止される。
【0018】
限定的な解除は、選択されたアクチュエータの制御介入と解される。その一方でリスクコンピュータから同時に出力された別のアクチュエータの制御介入は、停止又は抑制される。
【0019】
人及び物体に対する危険を判断又は評価することによって、及び、この判断又は評価とこの判断又は評価された危険状況における運転者に関するその運転者の実際の要求との相関関係によって、リスクポテンシャルを有する実際の運転状況から生成されたアクチュエータに対する制御介入が制御技術的に抑制され、変更され若しくは部分的に解除され(例えば、40barに相当するブレーキへの制御介入が、20barのブレーキ圧力に低減される)又は解除され得る。リスクコンピュータによる危険状況のこの判断は、「運転者適応的に」具体化される。その結果、これらの制御介入は、算出されたリスクポテンシャル及び運転者の要求に応じて実施され、停止され又は変更される。
【0020】
この場合、制御介入は、運転者の要求によって介入されることなしにリスクポテンシャルに応じてだけで解除され得る。この場合、この制御介入の運転動特性に対する影響は、運転者の要求を「考慮しない」目安である。
【0021】
好ましくは、いろいろなリスクポテンシャルが、リスクコンピュータ内で算出され、制御介入を生成するために目的に合わせて組み合わされる。この場合、1つのリスクポテンシャルが、ファジーシステムから算定される。このとき、制御介入は、運転者の要求に適合される。このことは、好ましくは状態機械で実現される。複雑な運転状況を包括的に評価できるようにするため、複数のリスクポテンシャルが、異なる適用範囲を考慮して生成される。これらのリスクポテンシャルは、一般ポテンシャルと特別ポテンシャルとに区別されている。一般リスクポテンシャルは、環境情報及び車両データからのリスクポテンシャルのようなアクチュエータに依存しないリスクポテンシャルと解される。これらのリスクポテンシャルは、運転状況の縦軸の動特性(laengsdynamische)の限界を評価する。
【0022】
特別リスクポテンシャルは、アクチュエータに固有のリスクポテンシャルと解される。このリスクポテンシャルは、センサ情報,車両データ及び稼動時間のようなアクチュエータに固有の特性値に基づいて運転状況を評価する。
【0023】
この場合、リスクコンピュータは、車両並びに車両の内部及び外部にいる人の危険状況を評価する。プリセットされている車両データ,環境データ,実際の車両データ,運転者データ,車両の内部及び外部にいる人のデータ等が、このリスクコンピュータの入力部に入力される。この評価、場合によっては別の基準(目安)又は重み付けに応じて、このリスクコンピュータは、アクチュエータを制御する段階的な制御介入又は制御信号を出力する。人及び車両に対する最大の保護作用が、優先回路にしたがって実現されるように、これらのアクチュエータは、車両の運転状況及び/又は乗客の保護及び/又は触覚的及び/又は光学的及び/又は音響的なリスク・フィードバック及び/又は別の可逆/不可逆調整アクチュエータ及び/又はその他の通行人(歩行者,自転車に乗っている人等)に対する保護手段を変更又は起動する。
【0024】
この場合、優先回路は、どの段階的な制御介入が優先されるかを算出されたリスクポテンシャル及びその他の特性値に応じて確定する。
【0025】
好適なその他の構成は、従属請求項中に記載されている。
【0026】
好ましくはアクセルペダルとブレーキペダルとの間の移動量が、運転者要求モジュールの入力値としてのアクセルペダル変位情報とストップライト情報とから算出される。この場合、これらのペダル間の移動時間が、これらの2つの入力値から算出される。
【0027】
少なくとも1つの制動要求が、運転者要求モジュール内でこれらのデータから算出され、後続接続された介入装置で処理される。制動要求に加えてステアリング要求及び/又は加速要求が、運転者要求モジュール内で好ましくはその他のデータから算出され、後続接続された介入装置で処理される。
【0028】
リスクポテンシャルを算出するため、リスクコンピュータは、環境システム,シート調整部,シートベルト締付部,ペダル変位センサ及び/又は運転動特性制御システム(ESP,ABS,ACC,BA)等のような車両システムの入力データを処理する。このリスクコンピュータは、車両の長手方向の速度,車両長手方向の加速度,車両の横加速度,狭い範囲及び/又は広い範囲内の関連する物体に対する距離,狭い範囲及び/又は広い範囲内の関連する物体に対する相対速度及び/又はこれらの導関数並びにABS,HBA,ESP等のような運転動特性制御装置に関する状態情報を少なくとも示すデータからリスクポテンシャルを計算する。これらのリスクポテンシャルは、少なくとも縦軸の動特性及び/又は横軸の動特性のリスク特性値に応じて、これらのリスク特性値の作用で段階付けされた、算出されたリスクポテンシャルに依存する、制動,可逆な乗客保護手段及び乗客保護手段と車両の乗客との間の相対位置を変える調整装置用の補正値を生成する。
【0029】
リスクコンピュータは、環境システムを用いて距離センサの情報によってアクティブセーフティーシステムに加えてパッシブセーフティー手段も調整できる。この場合、不可逆な乗客保護手段が予備調節される。すなわち、追加の情報が、リスクコンピュータによって処理される。これらの情報は、起動閾値を変更するために使用され得る。乗客の負傷の危険が減少する。事故の深刻さ及び頻度が低下する。
【0030】
プリクラッシュセンサ(closing velocity −CV)の発展又はCV機能をレーダーセンサ及び/又は赤外線センサ内に組み込むことによって、事故前の時間が、予測される事故の深刻さ及び予測される衝突方向を例えばエアバッグの解除措置のようなアクチュエータの介入措置で一緒に考慮するために利用される。乗客保護の改善に加えて、CVセンサは、歩行者の検出にも使用される。このCVセンサは、低g加速度センサ(付随要素)による追加の妥当性(Plausibilisierung)と共に歩行者に対する保護を実現する可能性を提供する。
【0031】
本発明の電子制御システム及び方法によって得られる安全性は、要素をネットワーク接続することによって及びネットワークシステムの情報を使用して事故の可能性を中心に評価することによって実現することができる。この制御システム及び方法では、セーフティーシステム下のデータ交換の基本概念が、運転者,車両及び車両関係に関する情報を有することに基づく。この場合、運転者に対する付加価値が、新しい機能を存在する要素によって実現しようとするだけではなくて、コストも、存在する要素のネットワーク接続によって減少する。
【0032】
ソフトウェアの主要でかつリンクしている部分が、リスクコンピュータである。車両内の全てのデータが、このリスクコンピュータに集まる。環境情報がこのリスクコンピュータで融合され、全てのデータが分析される。環境データ融合は、好適な構成では独立したモジュール内でも実施できる。この独立したモジュールは、リスクコンピュータの前に接続されていて、セーフティーシステムに対する関連データとしての融合された環境データをこのリスクコンピュータに送る。リスクポテンシャルが、現在の事故の可能性を示す実際の運転状況に対して算出される。リスクポテンシャルが上昇した場合、可逆な支援システムが起動するまで、段階的な手段が、運転者に対する情報及び警告から開始される。
【0033】
環境センサが、これに対して大いに寄与する。この環境センサは、パッシブセーフティーに対する可逆な手段の有意義な使用を可能にする。
【0034】
多くの安全性を目的とした別のステップが、画像を処理するカメラシステムを使用することによって実施される。したがって、第一に物体の検出に加えて物体の分類も可能になる。組み合わされた制動介入及びステアリング介入が、事故の回避時に運転者を支援する。
【0035】
パッシブセーフティーの向上及び車両の乗客の負傷の危険を抑えることは、リスクコンピュータから座席の電子調整部を制御することによって実現される。このリスクコンピュータは、submariningを適切に阻止する;また、エアバッグに対する助手の最適でない距離が補正される。必要な制御のため、リスクコンピュータは、運転状況に対する情報を最も簡単な場合ではESP,BAやアクティブロールオーバープロテクション(ARP)のような設置されたアクティブセーフティーシステムの制御状況から入手する。
【0036】
さらにリスクコンピュータは、パッシブセーフティーをさらに改良するために算出されたリスクポテンシャルに応じて車両の開口部を閉めるための補正値を生成する。特に窓及びスライディングルーフが、差し迫る事故時に閉められる。リスクポテンシャルがさらに上昇し、衝突がすぐ間近に迫っている場合、車両の乗客が、電動機式の可逆なシートベルトによって保護されかつ位置決めされる。これらの乗客は、低減したベルトの緩みによって車両の減速に対してより早く適応する。同様に、乗客が負傷する危険がさらに低下する。
【0037】
好ましくは、光学的及び/又は触覚的な警告指示及び/又は誘導指示若しくはこの警告に対する行動指示及び/又は実際の車両状況に適合された運転者の反応に対する運転者の誘導が提供されている。これらの警告指示は、特に振動するペダル及び/又は座席及び/又はディスプレイによって実施される。
【0038】
誘導指示は、少なくとも1つのペダル及び/又は操縦ハンドルに対する変えられた操縦力によって与えられる。その結果、運転者は、増大又は減少する操縦力を通じて状況に合わせて車両を誘導することになる。
【0039】
リスクコンピュータの実際の機能は、主に
1.運転動特性指数の計算
2.リスクポテンシャルの計算
3.リスクポテンシャルに基づく制御信号(適正値−実際のアクチュエータ制御信号)の計算にある。
【0040】
したがって、状況を適切な方法で評価する抽象的なレベルが規定される。このレベルは、リスクポテンシャルによって実現される。このリスクポテンシャルは、0〜100の範囲の無次元の値である。リスクポテンシャルが大きいほど、状況もより危険である。アクチュエータが、リスクポテンシャルの閾値の問い合わせだけに基づいて制御される。この場合、アクチュエータを起動させるため、これらのリスクポテンシャルが組み合わされる。このことは、まずアクチュエータの選択又は操作配分を含まないことを意味する。この場合、1つの特定の状況が、多数のリスクポテンシャルによって評価される。このことは、この状況の広範囲な評価を可能にする。アクチュエータに関係なく状況を評価するリスクポテンシャルがある。例えば、縦軸方向の動的な運転状況を評価するリスクポテンシャルがある。これに応じて、横軸方向の運転状況を表す一般リスクポテンシャルがある。この一般リスクポテンシャルに対して、特定のアクチュエータに適合された特別リスクポテンシャルがある。これらのリスクポテンシャルは、異なるアクチュエータが異なる稼動時間を有するという事実を考慮に入れる。このことは、同一の状況がより短い稼動時間のアクチュエータに対するよりもより長い稼働時間のアクチュエータに対するほうが比較的危険であることを意味する。
【0041】
すなわち、アクチュエータに適合された一般リスクポテンシャル及び特別リスクポテンシャルがある。
【0042】
電子制御システム内に設けられている介入装置は、特に状態機械を有する。この状態機械は、アクセルペダルの変位,アクセルペダルの速度及びアクセルペダルとブレーキペダルとの間の移動時間及び/又はストップライトの状態(オン/オフ)及び/又はブレーキ系統の測定及び/又は計算されたブレーキ圧力を示す値に基づいてリスクポテンシャルに依存する制御量に関して運転者の行動に介入し、この結果に応じてリスクコンピュータのブレーキ圧力の付与を解除する。リスクポテンシャル(値及び/又は変化度)の発生に応じて、制動介入のような制御介入が、独立して、すなわち運転者の要求に反して実施される。この場合、制動介入のようなこの独立した制御介入は、ブレーキ圧力のような制御量の値に関して制限されている。
【0043】
このとき、車両の減速装置に対する制御介入が、介入装置の状態に応じて実施される。これらの制御介入は、異なるブレーキ圧力の要求を含む。これらのブレーキ圧力の要求は、応答時間を短縮するためのブレーキ系統の予備充填からブレーキ圧力の最大調節まで及ぶ。
【0044】
これに対して状態機械が、運転者の行動を評価し、これに応じてリスクコンピュータのブレーキ圧力の付与を解除する。運転者の足の移動が主に評価される。この足の移動は、例えば、運転者が同じ状況をどの程度危険であるかを判断したか、又は、運転者が特に危険な状況を認識したかどうかのような逆推論を可能にする。運転者が、この危険な状況を確認して初めて、ブレーキ圧力が、運転者に関係なしに加えられる。この場合、4つの段階に区別される:
1.アシストなし:運転者は、アクセルペダルを押す時間的な変化によって加速したいことを示す。リスクコンピュータが、危険な状況を検出した時も、この状況ではブレーキ圧力が独立して加えられないpmax=0bar。
2.予備充填:このレベルは、運転者の減速の要求が限定的に許容され得るだけか又はまだ存在していない。この状況では、運転者はアクセルペダルに触れる必要がある。2つの下位の状況がある:
a)予備充填1:計算されたリスクポテンシャルは、規定した閾値の上にある時間的な変化を有する。運転者は、そのアクセルペダルの位置を変えない。この状況は、危険な状況の極端な悪化と解釈される。その結果、最大でplmax=k1 barに相当するブレーキ圧力が、運転者の能動的な確認なしでも許可される。このことは、運転者の著しい減速なしにブレーキパッドを横にさせる。
b)予備充填2:運転者が、危険な状況を確認した場合、最大でp2max>Plmaxに相当するブレーキ圧力が許可される。この危険な状況では、運転者がアクセルペダルから離れる(アクセルペダルを解除する時間的な変化)。このことは、0.1〜0.2gで車両を弱く減速させる。
3.予備制動:この状況では、運転者はアクセルペダルもブレーキペダルも操作しない。それ故にこの状況は、限定的な減速の要求と解釈される。したがって最大減速度は、ほぼ法的に許容されるレベルに上昇する(0.3g)。その結果、最大でp3max>p2maxに相当するブレーキ圧力が得られる。
4.拡張された制動アシスト:運転者がブレーキペダルを操作することによって、運転者は、この状況への移行と共にその運転者の減速の要求を確認する。その他の条件がなお満たされている場合、リスクコンピュータによってプリセットされているブレーキ圧力が、この充足度の程度に応じて解除される。
これらの条件は、以下のように構成される:
a)ブレーキ圧力及びストップライト情報の経時変化並びに
b)リスクポテンシャルの経時変化から、緊急状況が導き出される。この緊急状況が認識された場合、リスクコンピュータによって計算されたブレーキ圧力が、目標値としてブレーキ系統に転送される。運転者は、最大のアシストを受ける。反対に緊急状況を認識しない場合は、運転者の制動の要求の程度を示す指数が算出される。この係数は、3つの部分から成る。これらの部分は、特定の重み付け比で挿入される。
a)(車輪のブレーキ圧力によって示される)ブレーキ系統内の圧力に依存する、ブレーキペダルの変位の最大値に対するブレーキペダルの変位の比、又は、ブレーキ系統のブレーキ圧力の最大値に対するブレーキ圧力の比。ブレーキ系統が予備充填されなければならない場合に、運転者が、ブレーキ系統内のブレーキ圧力を感知するので、このことは、必要である。
b)ブレーキペダルの速度の最大値に対するブレーキペダルの速度の比、又は、ブレーキ圧力の変化の最大値に対するブレーキ圧力の比。この最大値は、ブレーキ系統の予備充填の程度にほぼ依存する。
c)アクセルペダルからブレーキペダルへの移動時間を評価する係数。
【0045】
運転者は、この状況でリスクコンピュータ内で算出されるブレーキ圧力を解除することによってこの状況に適合されたブレーキアシストを受ける。
【0046】
具体的な構成は、車両の装備に依存する。それ故に電子制御システム及びこの制御システムを作動させる方法は、好ましくはモジュール式に構成されている。その結果、アクティブセーフティーシステムABS,ESP,TCS等用のモジュールとリスクコンピュータとが、同時にかつ独立して減速の要求やその他の制御介入を計算できる。
【0047】
3.本発明の技術的な利点
−危険な状況の評価を改善しより精確に記すさらなるリスクポテンシャルを算出するため、その他の入力値を考慮すること。
−新しいリスクポテンシャル又は既知のリスクポテンシャルを使用することによる新規のアクチュエータのさらなる制御に対する拡張性。
−運転者の状況の評価及び/又は例えば車両間の通信のような実際の交通状況を評価するその他の値に応じて、リスクコンピュータ(仮想助手)によって算出された制御介入を解除すること。したがって、センサの誤差が、システムの動作に決定的に影響しないか又は影響が限られる。
−運転者は、リスクコンピュータによって要求された制御介入に対する妥当性(Plausibilisierung)を具現する。
【0048】
4.図面
以下に、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する。
【図面の簡単な説明】
【0049】
【図1】本発明の電子制御システムを有するアクティブ車両システムとパッシブ車両システムとのネットワーク接続に関する状態図である。
【図2】電子制御システムのシステム構造のブロック図である。
【図3】道路使用者に対する目標状態と実際状態との間の差の簡略化した分類図である。
【図4】メンバーシップ関数による制御介入(出力値)の分類を示す(MF:メンバーシップ関数、例えばシングルトンが使用される)。
【図5】目標距離,実際距離及び相対速度に応じた制御介入である目標減速度asollに対する制御ベースの概略図である。
【図6】状態遷移である予備充填,予備制動,拡張された制動アシストの概略図である。
【図7】状態遷移である予備充填の概略図である。
【図8】シートベルト締付装置に関する概略図である。
【図9】S字状の遷移関数の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0050】
5.実施の形態の説明
図1は、電子制御システム20によってネットワーク接続された車両の全システムを示す。この制御システム20内では、ABS/ESPである制動システム11,環境センサシステム12,電子式座席調整部13及びシートベルト締付装置19の入力信号並びにこれらの入力信号から生成され測定された若しくは導き出されたリスクコンピュータ10(図2)内の内部及び/又は外部の信号値に基づいて、リスクポテンシャルに依存する制御介入が計算される。アクチュエータに対する制御介入の算出は、制御システム20によってネットワーク接続された車両ユニットの以下の入力値に基づく。
1.車両の長手方向の速度,車両の長手方向の速度,車両加速度,操舵角,車輪のブレーキ圧力,タンデム主シリンダ内のブレーキ圧力,ギアセレクタ,ESPの追加ヨートルク,ストップライトスイッチの状態信号,アクセルペダルの変位及びABS,ESP,HBAの状態信号が、ABS/又はESPである制動システム11から算出され、電子制御システム20に送られる。
2.広域センサから関連する物体までの距離,広域センサから関連する物体に対する相対速度,広域センサから関連する物体に対する相対加速度及び広域センサからの物体に関連する状態信号が、環境センサシステム12から有効に制御システム20に送られ、場合によっては認識された関連する物体の種類(例えば、歩行者,トラック等)及びこの物体の状態(停止しているか、移動しているか等)に関する情報が、環境センサシステム12から制御システム20に送られる。
3.運転席及び助手席の席の占有に関する状態信号が、電子座席調整部13から制御システムに送られる。
4.運転席及び助手席のシートベルト締付装置の使用に関する状態信号が、制御システムに送られる。
【0051】
図1からさらに分かるように、電子制御部20は、エアバッグ制御部15,触覚式アクセルペダル16,窓開け機及びスライディングルーフの制御部並びに車両のディスプレイ18にさらに接続されている。
【0052】
図2は、電子制御システム20の構成を示す。この電子制御システムは、信号調節部21を有する。車両23,運転者24及び環境22からのデータ/信号が、この信号調節部21内に読み込まれる。これらの信号は、引き続き調節される。その結果、これらの信号は、適切な装置内で処理される。さらにセンサ融合が、広域センサと狭域センサとの間で実施できる。その結果、後続するソフトウェアモジュール10,28,29が、融合されたセンサ信号だけを距離信号,速度信号及び加速度信号として使用する。均一に持続する環境の画像が存在する。したがってこの融合された信号は、相対的な物体のリスト(距離,種類,相対速度)を示す。リスクコンピュータ10が、この画像に応答する。さらに運転者の要求を検出するモジュール29が、信号調節部21に接続されている。ここでは、ペダル間の移動時間,運転者要求減速度等のような特別な特性値が、車両の操舵に関する運転者の要求を示す入力値から導き出される。
【0053】
車両内に存在するアクチュエータを制御する目的で、事故の可能性が、信号調節部21に接続されているリスクコンピュータ10内でこれらの入力データに基づいて算定される。
【0054】
特に好適な実施形では、以下のデータが、実際の危険な状況(リスクポテンシャル及び危険性)を算出するために入力値として使用される。
−自身の走行軌跡の予測される衝突範囲に関する車両座標における(車両,存在する障害物等のような)物体の距離情報;例えば距離センサ又は狭域センサの拡張部、特にプリクラッシュセンサを用いた相対速度
−例えば距離センサからの視界距離の評価
−例えば歩行者との衝突を確認するための車両の接触センサ(例えば、接触力に対するガラスファイバ,加速度センサ)
−例えばカメラや画像処理部による検出された物体(歩行者,物体の大きさ等)の分類
−道路の延び具合及び交通標識に関する情報(幾何学データ,カーブの半径,車線幅,車線数等)
−テレマティック情報(TMC又はGSMを介した交通渋滞情報,道路状況情報等)
−車輪速度,ヨーレート,縦軸方向の加速度,横軸方向の加速度,操舵角,操舵角速度,サイドスリップ角,ESP付加トルク及び/又は摩擦係数から運転状況を算出する運転ダイナミックセンサ及びモデル
−車両内の制御装置の稼動状況
−乗客を検出し分類する(例えば、OOP,チャイルドシートの検出,疲労のような運転者の状況等)センサ
−潜在的な摩擦係数に関する情報
【0055】
5.1リスクコンピュータの機能の説明
リスクコンピュータ10は、主に3つの方法ステップを実行する。
これらの方法ステップは、
1.運転動特性の計算(衝突までの時間ttc,衝突を回避するために必要な減速度,その結果生じる車両加速度,先行する車両又は物体の速度)
2.リスクポテンシャルの計算
3.リスクポテンシャルに基づく(一般的な値−アクチュエータの実際の制御信号ではない)制御信号の計算
この場合、状況を適切な方法で評価する抽象面が規定される。この抽象面は、リスクポテンシャルによって実現される。このリスクポテンシャルは、0〜100の範囲内の次元のない値である。リスクポテンシャルが大きいほど、状況もより危険である。アクチュエータは、リスクポテンシャルの閾値の問い合わせだけに基づいて制御される。この場合、1つのアクチュエータを作動させるため、多数のリスクポテンシャルが、組み合わされ得る。このことは、状態の評価がアクチュエータの選択又は操作の配分を限定的にしか含まないか(後の特別リスクポテンシャル参照)又は含まない(後の一般リスクポテンシャル参照)。1つの特定の状況が、多数のリスクポテンシャルによって評価されることが、これらの説明から明らかになる。このことは、状況の広範囲な評価を可能にする。アクチュエータに関係なく状況を評価するリスクポテンシャルがある。すなわち例えば、縦軸方向の動的な運転状況を評価するリスクポテンシャルがある。横軸方向の動的な運転状況を示すあらゆる場合に適合するリスクポテンシャルがある。
【0056】
これらの一般リスクポテンシャルとは対照的に、特定のアクチュエータ向けの特別リスクポテンシャルがある。これらのリスクポテンシャルは、異なるアクチュエータが異なる作動時間も有するという事実を考慮に入れる。このことは、より短い作動時間のアクチュエータに対するよりもより長い作動時間のアクチュエータに対する同じ状況の方が比較的危険であることを意味する。2つの異なるグループのリスクポテンシャルがある。
1.アクチュエータに依存しない一般リスクポテンシャル
2.アクチュエータに依存する特別リスクポテンシャル
5.1.1これらのリスクポテンシャルの説明
リスクポテンシャルは、0〜100の範囲内の次元のない値である。このリスクポテンシャルは、1つの特定の状況の危険を示す。この場合、リスクポテンシャル0は危険でないことを意味し、リスクポテンシャル100は非常に危険であることを意味する。リスクポテンシャル100は、必ず事故になることを意味しない。いつリスクポテンシャルが値0又は100に達するかは、一般的に規定されず、それ故に使用状況に対して個々に規定可能である。制御システム内で規定されたリスクポテンシャルに応じて、アクチュエータ(例えば、ブレーキ,回転シートベルト,座席調整部等)が制御される。
【0057】
この場合、個々のリスクポテンシャルが、組み合わされて1つのアクチュエータを制御するために使用される。
【0058】
動作及び動作の程度が、このリスクポテンシャル又はこれらのリスクポテンシャルの閾値を問い合わせることによって保証される。
【0059】
5.1.2アクチュエータに依存しない一般リスクポテンシャル
5.1.2.1環境センサシステムからの環境センサ情報に依存する縦軸方向の動的なリスクポテンシャル
12(dp_xdyn_sen)
速度が、最小速度より大きいという条件下で、縦軸方向の動的な運転状況が、縦軸方向の動的なリスクポテンシャルによって実現される。このことは、ファジー干渉システムによって実現される。ファジー理論は、人の行動様式又は人の因果関係の判断を数式化すること、及び同時にコンピュータによってシミュレーション可能にすることを可能にする。したがって、交通状況及び運転状況が、メンバーシップ関数によって分類される。すなわち、目標距離と実際距離との間の差が、第1入力値として目標距離sx_rel_desに関して評価される。
【0060】
【数1】

【0061】
この場合、目標距離は、自身の車両速度vx abに関数的に依存し、関係
sx_rel_des=sx_rel_desmin+t_ttc_des*vx
(5.2)
sx_rel_des=目標距離
sx_rel_desmin=最小目標距離
t_ttc_des=事故までの時間
vx=長手方向の運転速度
にしたがって算出される。
【0062】
第2入力値としての相対速度が、対応するメンバーシップ関数によって同様に分類される。出力値−すなわち縦軸方向の動的なリスクポテンシャル−が、同様にメンバーシップ関数によって分類される(好ましくは、シングルトン(図4)が使用される)。図3は、第1入力値、すなわち目標距離とこの目標距離sx_rel_desに対する実際距離sx_relとの間の差のメンバーシップ関数を示す。この入力値は、6つのメンバーシップ関数によって分類される。
【0063】
こうして評価されたこれらの入力値は、簡単に公式化可能な論理結合、
「もし…ならば、…する」
の関係(規則)によって評価され、次いで各規則に対して実行ごとに全リスクポテンシャルの一部を得る。発生するリスクポテンシャルは、個々の包含関係の累積から得られる。
【0064】
図5は、ファジーシステムの評価に基づいて得られる。制御ベースを例示的に示す。縦軸方向の動的なリスクポテンシャルが、入力値,相対速度及び目標距離とこの目標距離に対する実際距離との間の差の関数としてプロットされている。
【0065】
5.1.2.2環境センサ情報(dp_xdyn_sen_1)に依存する縦軸方向の動的なリスクポテンシャル
縦軸方向の動的な運転状況の評価が、別の縦軸方向の動的なリスクポテンシャルによって実現される。このリスクポテンシャルは、以下のように計算される:
1.条件:車両速度は、閾値より大きい必要がある(リスクポテンシャルは、操車動作中は計算されない)。
2.条件:検出された物体に対する相対速度は、負の閾値より小さい必要がある。
【0066】
このリスクポテンシャルは、減速を設定する。この減速は、道路上に伝達可能な最大減速度の一部に関係して衝突を回避するために必要である。計算規則を示す:
【0067】
【数2】

【0068】
例えば、α=0.4。
【0069】
5.1.2.3ABS関数(dp_xdyn_abs)の運転動特性情報に依存する縦軸方向の動的なリスクポテンシャル
ABS制動が実施されない限り、このリスクポテンシャルは零である。これに対してABS制動が実施された場合、このリスクポテンシャルは100である。
dp_xdyn_abs=100ABS制動稼動 (5.4)
0ABS制動非稼動
【0070】
5.1.2.4制動アシスト関数(dp_xdyn_hba)の運転動特性情報に依存する縦軸方向の動的なリスクポテンシャル
(従来の油圧式制動アシストHBA、拡張された制動アシストBA+でない)制動アシストによる制動が実施されない限り、このリスクポテンシャルは0である。これに対して制動が、制動アシストによって実施された場合、このリスクポテンシャルは100である。
dp_xdyn_hba=100HBAアシストによる制動 (5.5)
0HBAアシストなしの制動又は制動なし
【0071】
5.1.2.5ESP関数(dp_ydyn_esp)の運転動特性情報に依存する横軸方向のリスクポテンシャル
ESPの介入が実施されない限り、このリスクポテンシャルは零である。これに対してESPが、運転動特性に介入した場合、このリスクポテンシャルは100である。
dp_xdyn_esp=100ESP介入稼動 (5.6)
0ESP介入非稼動
この定義は、第1の実施の形態だけである。ESPのオン/オフフラッグではなくて、特定の摩擦係数条件での最大値に対する付加トルクm_add_espに関する情報が利用される場合、より精確なレベルのリスクポテンシャルが得られる。この最大値は、車両をさらに安定化させるために生成される必要がある。
【0072】
5.1.2.5アクチュエータに依存する特別リスクポテンシャル
環境センサ情報(dp_msb_sen)に依存する可逆なシートベルトを制御する特別リスクポテンシャル
このリスクポテンシャルは、以下のように計算される:
1.条件:車両速度は、閾値より大きくする必要がある(リスクポテンシャルは、操車動作中は計算されない)。
2.条件:検出された物体に対する相対速度は、負である必要がある。
【0073】
リスクポテンシャルの実際の計算は、センサ情報からの衝突ttcに対する実際の特定の時間と可逆なシートベルト締付装置の平均動作時間とからの除算を行う。
【0074】
この除算は、アクチュエータを平均して完全に作動させるのにどのくらいの時間がまだ残っているかを示す。この計算の規則を示す:
【0075】
【数3】

【0076】
この関係の拡張として、上記の計算されたリスクポテンシャルが、必要な減速度と道路上に伝達可能な減速度との除算に応じて特定の値に限定されることが提唱され得る。このことは、運転者が事故前にブレーキをかける可能性、すなわち状態値である速度及び加速度を変更する可能性を評価する。これらの一定の状態値は、衝突までの時間の計算時に上述したように必要になる。
【0077】
さらに、リスクポテンシャルを横方向の移動のための時間と衝突までの時間とからの除算に応じて特定の値に限定することが提唱され得る。このことは、運転者が障害物を回避することの可能性を評価する。上述したこの拡張だけ補充すると、運転者の実際の運転状況に対する影響の可能性が考慮されるので、実際の危険をよりリアルに評価する。
【0078】
図8は、この場合はリスクポテンシャル、例えば20%,80%及び100%に応じたシートベルト締付装置の段階的な動作を示す。リスクポテンシャル20%の場合、シートベルト締付装置のステップIが作動される。リスクポテンシャル60%の場合、シートベルト締付装置のステップIIが作動される。リスクポテンシャル100%の場合、シートベルト締付装置のステップIIIが作動される。ステップIの場合、シートベルトの緩みがなくなる。ステップIIの場合、シートベルト締付装置が予備的に張られてロックされる。ステップIIIの場合、乗客が位置決めされる。すなわちシートベルト締付装置が、最大の力で張られてロックされる。
【0079】
リスクポテンシャルが、閾値を下回るまで、作動されたシートベルト締付装置は、その作動ステップを維持する。この閾値では、危険がもはやなく、発生した車両の加速度が閾値を下回っていて、所定の時間が経過している。
【0080】
5.1.2.6環境センサ情報(dp_seat_sen)に応じて座席調整部を制御する特別リスクポテンシャル
このリスクポテンシャルは、リスクポテンシャルdp_msb_senと同じ計算の規則にしたがって計算される。平均作動時間だけが、アクチュエータの作動時間に対して設定される(tmsb_activateの代わりにtseat_activeを設定する)。この平均作動時間は、座席を調整するために必要である。リスクポテンシャルdp_msb_senの計算で説明したような補充は、ここでも成立し得る。
【0081】
5.1.2.7環境センサ情報(dp_wind_sen/dp_roof_sen)に応じて窓調整部及び/又はスライディングルーフ調整部を制御する特別リスクポテンシャル
このリスクポテンシャルは、リスクポテンシャルdp_msb_senと同じ計算の規則にしたがって計算される。平均作動時間だけが、アクチュエータの作動時間に対して設定される(tmsb_activateの代わりにtwind_active又はtroof_activateを設定する)この平均作動時間は、窓又はスライディングルーフを閉めるために必要である。リスクポテンシャルdp_msb_senの計算で説明したような補充は、ここでも成立し得る。
【0082】
本発明の利点は、影響値が互いに別々に計算され評価され分類され得る点にある。実際の危険な状況の全てのパターン(Gesamtbild)が、異なるリスクポテンシャルを用いて簡単な個々の関係によって記述され得る。実際の危険な状況の全てのパターンは、個々のリスクポテンシャルの評価から得られる。
【0083】
上述した制御介入を算出するために使用されるデータの信頼性及び状況の複雑さが、車両への運転動特性の介入時に完全に独立した介入を可能にしない。それ故に、リスクコンピュータから算出された制御介入は、運転者要求モジュール29(図2)内で算出された運転者の応答及び運転者の状態を示すその他の値のような運転者の要求による介入装置28(図2)内での評価後にだけその都度ふさわしい程度に実現され得る。
【0084】
そのため状態機械が、運転者要求モジュールから送られた特性値を利用し、これらの特性値に応じて、例えばリスクコンピュータ10の減速度の設定を解除する。主に運転者の足の移動が評価される。この足の移動は、運転者が同じ状況をどの程度危険であるかを判断したか、又は、運転者が特に危険な状況を認識したかどうかのような逆推論を可能にする。運転者が、この危険な状況を確認して初めて、ブレーキ圧力が、運転者に関係なしに加えられる。この場合、図6に示すように、4つの段階に区別される:
1.アシストなし:運転者は、アクセルペダル(s_aped=アクセルペダルの変位)を押す時間的な変化によって加速したいことを示す。リスクコンピュータが、危険な状況を検出した時も、この状況ではブレーキ圧力が独立して加えられないpmax=0bar。
2.予備充填:このレベルは、運転者の減速の要求が限定的に許容され得るだけか又はまだ存在していない。この状況では、運転者はアクセルペダルs_apedに触れる必要がある。2つの下位の状況がある:
a)予備充填1:計算されたリスクポテンシャルは、規定した閾値の上にある時間的な変化を有する。運転者は、そのアクセルペダルs_apedの位置を変えない。この状況は、危険な状況の極端な悪化と解釈される。その結果、最大でplmax=k1 barに相当するブレーキ圧力が、運転者の能動的な確認なしでも許可される。このことは、ブレーキパッドを横にさせる。
b)予備充填2:運転者が、危険な状況を確認した場合、最大でp2max>Plmaxに相当するブレーキ圧力が許可される。この危険な状況では、運転者がアクセルペダルから離れる(アクセルペダルを解除する時間的な変化)。
予備充填(prefill)1から予備充填(prefill)2までの遷移は、図7中に詳しく示されている。
3.予備制動:この状況では、運転者はアクセルペダルもブレーキペダルも操作しない。それ故にこの状況0は、限定的な減速の要求と解釈される。したがって最大減速度は、ほぼACCレベルに上昇する(0.3g)。その結果、最大でp3max>p2maxに相当するブレーキ圧力が得られる。
4.拡張された制動アシスト:運転者がブレーキペダル(閾値:ストップライトスイッチBLS)を操作することによって、運転者は、この状況への移行と共にその運転者の減速の要求を確認する。その他の条件がなお満たされている場合、リスクコンピュータによってプリセットされているブレーキ圧力が、この充足度の程度に応じて解除される。
これらの条件は、以下のように構成される:
a)ブレーキ圧力及びストップライト情報の経時変化並びに
b)リスクポテンシャルの経時変化から、緊急状況が導き出される。この緊急状況が認識された場合、リスクコンピュータによって計算されたブレーキ圧力が、目標値としてブレーキ系統に転送される。運転者は、最大のアシストを受ける。反対に緊急状況を認識しない場合は、運転者の制動の要求の程度を示す指数が算出される。この係数は、3つの部分から成る。これらの部分は、特定の重み付け比で挿入される。
a)(車輪のブレーキ圧力によって示される)ブレーキ系統内の圧力に依存する、ブレーキペダルの変位の最大値に対するブレーキペダルの変位の比。ブレーキ系統が予備充填されなければならない場合に、運転者が、ブレーキ系統内のブレーキ圧力を感知するので、このことは、必要である。
b)ブレーキペダルの速度の最大値に対するブレーキペダルの速度の比。この最大値は、ブレーキ系統の予備充填の程度にほぼ依存する。
c)アクセルペダルからブレーキペダルへの移動時間を評価する係数。
【0085】
運転者は、この状況においてリスクコンピュータ内で算出されるブレーキ圧力を解除することによってこの状況に適合されたブレーキアシストを受ける。
【0086】
図6に示すように、運転者の減速アシストは、アクセルペダルs_aped及びブレーキペダルs_bpedに依存する。車両の正又は負の加速度が、それぞれの軸線s_aped及びs_bpedの矢印方向に沿って増加する。運転者が、状況prefill/not supported 60にある場合、介入装置が、ブレーキ圧力を解除できないか、ブレーキパッドを横にさせるブレーキ圧力を解除できるか又は車両を軽く減速させるブレーキ圧力を解除できる。運転者がアクセルペダルを離し、閾値THE_S_APED1を下回った場合、その運転者は、これによって車両を減速させたい意思を示す。状況が、経路61を介してprebrake63に向かって移行する。運転者が、状況prebrakeでアクセルペダルを操作する場合、状況が経路62を介してprefill/not supported 60に向かって移行するように、閾値THE_S_APED2を超える必要がある。システムが状態prebrake63にあって、運転者が、閾値SMINFORAPIABLSを超えるまでブレーキペダルを操作する場合、状態prebrakeが、経路64を介して状態extended brake assist 65に移行する。
【0087】
図7は、状態not supportedとprefill 1とprefill 2との間の遷移を示す。この場合、ds_apedは、アクセルペダルの速度を示す。図7中では、この場合、アクセルペダルの正の勾配が、零から矢印方向に延在している。すなわちアクセルペダルが、運転者によって操作され、車両を加速する。負の勾配が、零から反矢印方向に見られる。すなわち運転者が、アクセルペダルを戻し、エンジンを介して車両を制動する。状況not supported 70に存在し、リスクポテンシャルddp_xdy_senの勾配が閾値THR_DDP_XDYN_SEN_ACTを超えた場合、経路72を介して状態prefill 1 73に移行する。状況not supported 70に存在し、運転者がアクセルペダルを離し、その結果、閾値THE_DS_APED1Lを下回った場合、経路72を介して状態prefill 2 74に移行する。アクセルペダルの変位の勾配が、閾値THR_DS_APED2Lより大きく、かつ、リスクポテンシャルが、閾値より小さい条件下で、状況prefill 2 74から経路75を介して状況prefill 1 73に移行する。同様に、アクセルペダルの変位の勾配が、閾値THE_DS_APED2Rより大きい時に、状況prefill274が、経路76を介して離れる。
【0088】
アクセルペダルの変位の勾配が、閾値THR_DS_APED1Lより小さい時に、状況prefill 2 73が、経路71を介して状況prefill 2 74に移行できる。
【0089】
アクセルペダルの変位の勾配が、閾値THE_DS_APED2Rより大きい時に、状況prefill 1 73が、経路76を介して状況not supported 70に移行できる。
【0090】
車両の加速度が、追加の入力値として評価される場合、これらの遷移条件は精密化され得る。この拡張の利点は、アクセルペダルの操作の評価時には実施されないより長い期間にわたる加速された運転状況の観察にある。これによって、運転者の要望が、より良好に具体化され得る。
【0091】
この場合、好ましくは急激に展開される遷移が得られる(例えば、図9)。この場合、実際の制御レベルが、S字状の遷移関数によって新しい制御レベルに遷移される。余弦関数の一部又はその近似値が、実施の形態として進歩的な発展によって使用され得る。
【0092】
運転者は、あらゆる状況で制御を維持し、少なくとも制動介入をアクセルペダルの操作によって抑制できる。
【符号の説明】
【0093】
10 リスクコンピュータ
11 電子制動システム
12 環境センサシステム
13 座席調整部
15 エアバッグ制御部
16 触覚式アクセルペダル
17 窓及びスライディングルーフ
18 ディスプレイ
19 シートベルト締付装置
20 電子制御システム
21 信号調節部
22 環境
23 車両
24 運転者
28 介入装置
29 モジュール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ドライバーの要求を決定する運転者要求モジュール(29)と、環境データを測定する環境センサシステムと、測定された環境データから危険状態を決定するリスクコンピュータ(10)と、制御システムによって駆動される車両アクチュエータとを備える車両用電子制御システムにおいて、
前記リスクコンピュータは、車両アクチュエータのアクティブ化時間と、長手方向ダイナミクスと横方向ダイナミクスの運転状態とを考慮に入れたリスクポテンシャルを計算するためのモデルを備え、
前記車両アクチュエータ(11、13、15、16、17、18、19)を制御するための段階制御介入が、リスクポテンシャルに応じて決定され、
運転者要求モジュール(29)で決定されたドライバーの要求の評価が、制御介入によって引き起こされる、車両の車両動作ダイナミクスの影響に応じてなされ、
前記段階制御介入は、前記評価結果に応じて、限定的でなされる、なされる、又は、遮断されることを特徴とする車両用電子制御システム。
【請求項2】
ドライバーの要求に関するパラメータを決定するために、アクセルペダルとブレーキペダルとの間の切り替え動作が、運転者要求モジュール(29)の入力量「アクセルペダル変位情報」及び「ストップライト情報」から決定されることを特徴とする請求項1に記載の電子制御システム。
【請求項3】
ペダル間の切り替え動作が入力量から決定されることを特徴とする請求項2に記載の電子制御システム。
【請求項4】
運転者要求モジュール(29)は、決定したドライバー要求のためのパラメータを、後続する遮断ユニット(28)に供給することを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの電子制御システム。
【請求項5】
運転者要求モジュール(29)は、ステアリング要求及び/又は加速要求のために、更なるパラメータを決定し、それらを後続する遮断ユニット(28)に供給することを特徴とする請求項4に記載の電子制御システム。
【請求項6】
リスクコンピュータ(10)は、リスクポテンシャルを、ABS、HBA、ESPのように、少なくとも長手方向の車両の速度、長手方向の車両の加速度、車両の横方向の加速度、遠隔及び/又は近接する物体との距離、遠隔及び/又は近接する物体との相対速度、及び/又は、その微分を示すデータに基づいて計算し、所定の長手方向のダイナミクス及び/又は横手方向のダイナミクスのパラメータに少なくとも依存して、ブレーキ、リバーシブルの乗車人保護手段、前記乗車人保護手段と車両の乗車人との相対位置を変更する調節装置のために、変数を修正し、この修正変数は、これらの効果に対して段階的であり、かつ、所定のリスクポテンシャルに応じていることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の電子制御システム。
【請求項7】
アクチュエータ(11、13、15、16、17、18、19)、特に、ブレーキ(11)のための制御介入は、ある状況に適合して起きることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の電子制御システム。
【請求項8】
リスクコンピュータは、少なくとも、所定の長手方向ダイナミクス及び/又は横手方向ダイナミクスのリスクパラメータに応じて、車両開口部(17)の閉じるための修正変数に応じて、リスクポテンシャルを計算することを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の電子制御システム。
【請求項9】
リスクコンピュータは、更に、所定のリスクポテンシャルに応じて、視覚及び/又は触覚の警告、及び/又は、運転手を警告及び/又は案内するためのガイダンス情報を生成し、現在の車両状況に、乗車人のリアクションを適合させ、かつ、アクチュエータ(13、18、16)に警告及び/又はガイダンス情報を送ることを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載の電子制御システム。
【請求項10】
運転手は、振動ペダル(16)及び/又は振動座席(13)及び/又はディプレイ(18)を用いて警告されることを特徴とする請求項9に記載の電子制御システム。
【請求項11】
ガイダンス情報は、少なくとも1つのペダル(16)又はハンドルの変更操作力を用いて与えられることを特徴とする請求項9又は10に記載の電子制御システム。
【請求項12】
リスクコンピュータは、リスクポテンシャルを計算し、長手方向ダイナミクス及び/又は横手方向ダイナミクスのパラメータに少なくとも応じて、非リバーシブルの乗車人保護手段(15)のための情報を算出し、その情報を非リバーシブルの乗車人保護手段の制御システムに提供することを特徴とする請求項1乃至11のいずれかに記載の電子制御システム。
【請求項13】
遮断装置(28)は、状態機械を有し、この状態機械は、ブレーキペダルの変位、ブレーキペダルの速度、及び/又は、アクセルペダルの変位、アクセルペダルの速度、及び、アクセルペダルとブレーキペダルとの間の移動時間、及び/又は、ストップライトの状態(オン/オフ)、及び/又は、ブレーキ系統の測定され、計算されたブレーキ圧力、及び/又は、ブレーキ圧力の微分、及び/又は、車両の加速度、及び/又は、リスクコンピュータ(10)によって算出されたリスクポテンシャル、及び/又は、これらのリスクポテンシャルの微分のような運転者要求モジュール(29)によって供給されるパラメータを、リスクコンピュータによって算出された制御介入に対して遮断することを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の電子制御システム。
【請求項14】
運転者要求モジュール(28)のパラメータの相関関係が、リスクコンピュータ(10)の制御介入によって評価され、アクチュエータに対する制御介入が、この評価結果に応じて限定的になされるか、なされるか又は遮断されることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の電子制御システム。
【請求項15】
制御介入の値が、評価結果に応じて変更されることを特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載の電子制御システム。
【請求項16】
リスクコンピュータが、様々なリスクポテンシャルを算出し、制御介入を生成するために組み合わされることを特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載の電子制御システム。
【請求項17】
リスクポテンシャルは、ファジーシステムから算定されるか、及び/又は、車両動作ダイナミクスモデル内で計算されることを特徴とする請求項1〜16のいずれか1項に記載の電子制御システム。
【請求項18】
リスクコンピュータは、一般リスクポテンシャル及び特別リスクポテンシャルを算出し、
一般リスクポテンシャルは、アクチュエータに依存せず、特別リスクポテンシャルは、アクチュエータに依存することを特徴とする請求項1〜17のいずれか1項に記載の電子制御システム。
【請求項19】
遮断装置(28)は、状態機械を有し、この状態機械は、ブレーキペダルの変位、ブレーキペダルの速度、及び/又は、アクセルペダルの変位、アクセルペダルの速度、及び、アクセルペダルとブレーキペダルとの間の移動時間、及び/又は、ストップライトの状態(オン/オフ)、及び/又は、ブレーキ系統の測定され計算されたブレーキ圧力、及び/又は、これらのブレーキ圧力の微分、及び/又は、車両の加速度、及び/又は、リスクコンピュータによって算出されたリスクポテンシャル、及び/又は、これらのリスクポテンシャルの微分のような運転者要求モジュール(29)によって供給されたパラメータを、リスクコンピュータ(10)によって算出された制動介入に対して遮断することを特徴とする請求項1、4、又は、11〜17のいずれか1項に記載の電子制御システム。
【請求項20】
制動介入は、パラメータであるアクセルペダルの変位、ブレーキペダルの変位、及び/又は、ブレーキ圧力、及び/又は、加速度、及び/又は、これらの微分、及び/又は、運転者の要求を示す運転者要求モジュールのストップライト情報に応じて算定され、最大減速度に対するレベルが、これらのパラメータ及びリスクポテンシャルの閾値に応じて導き出されることを特徴とする請求項19に記載の電子制御システム。
【請求項21】
運転者の制動要求の程度が、以下の条件
a)ブレーキペダルの変位の最大値に対するブレーキペダルの変位の比、
b)ブレーキペダルの速度の最大値に対するブレーキペダルの速度の比、
c)アクセルペダルからブレーキペダルに移動する移動時間の係数
の重み付けに応じて算出される指数によって算定されることを特徴とする請求項20に記載の電子制御システム。
【請求項22】
運転者の制動要求の程度が、以下の条件
a)緊急ブレーキ圧力の平均最大値に対する運転者要求ブレーキ圧力の比、
b)緊急ブレーキ圧力の最大値の平均時間勾配に対する運転者要求ブレーキ圧力の時間勾配の比
c)アクセルペダルからブレーキペダルに移動する移動時間の係数
の重み付けに応じて算出される指数によって算定されることを特徴とする請求項20に記載の電子制御システム。
【請求項23】
緊急ブレーキ状況が、ブレーキ圧力及びストップライトの経時履歴、並びに、リスクポテンシャルの経時履歴から導き出されることを特徴とする請求項20又は21に記載の電子制御システム。
【請求項24】
リスクコンピュータによって計算された減速度が、緊急ブレーキ状況の認識時に目標値として制動アクチュエータに完全に転送されることを特徴とする請求項23に記載の電子制御システム。
【請求項25】
遮断装置は、リスクコンピュータ(10)と運転者要求モジュール(29)とに接続されていて、
リスクコンピュータによって算出された制御介入に対して、運転者要求モジュール(29)によって供給されたパラメータを遮断することを特徴とする電子制御システム。
【請求項26】
車両の装置によって計算又は測定される値からアクチュエータに依存するリスクポテンシャル及びアクチュエータに依存しないリスクポテンシャルを計算するモデルを備えることを特徴とする請求項1〜25のいずれかに記載の電子制御システム。
【請求項27】
前記車両の装置は、広域センサ及び/又は狭域センサ、運転ダイナミックセンサ、変位センサ、圧力センサ、車両モデル及び/又は油圧モデルであることを特徴とする請求項26に記載のリスクコンピュータ。
【請求項28】
運転者に依存しない車両システムへの少なくとも1つの介入を算出する方法において、
運転者の要求が、運転者要求モジュール(29)内で算出され、
環境データが、環境センサシステムによって決定され、
危険状態が、リスクコンピュータ(10)によって、測定された環境データから決定され、かつ、
所定の介入があった場合に、車両アクチュエータを駆動する方法において、
リスクコンピュータ(10)は、車両アクチュエータのアクティブ化時間と、長手方向ダイナミクスと、横方向ダイナミクスの運転状態とを考慮に入れたリスクポテンシャルを計算するためのモデルを備え、
前記車両アクチュエータ(11、13、15、16、17、18、19)を制御するための段階制御介入が、リスクポテンシャルに応じて決定され、
運転者要求モジュール(29)で決定されたドライバーの要求の評価が、制御介入によって引き起こされる、車両の車両動作ダイナミクスの影響に応じてなされ、
前記段階制御介入は、前記評価結果に応じて、限定的でなされる、なされる、又は、遮断されることを特徴とする方法。
【請求項29】
リスクポテンシャルは、アクチュエータに依存及び依存せずに、モデルに基づいて決定されることを特徴とする請求項28に記載の方法。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2012−35831(P2012−35831A)
【公開日】平成24年2月23日(2012.2.23)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−155785(P2011−155785)
【出願日】平成23年7月14日(2011.7.14)
【分割の表示】特願2006−505499(P2006−505499)の分割
【原出願日】平成16年3月26日(2004.3.26)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.GSM
【出願人】(399023800)コンティネンタル・テーベス・アクチエンゲゼルシヤフト・ウント・コンパニー・オッフェネ・ハンデルスゲゼルシヤフト (162)
【Fターム(参考)】