説明

車両用アンダーカバー

【課題】耐衝撃性、耐熱性、並びに剛性の不足を補うことの可能な合成樹脂製の車両用アンダーカバーを提供する。
【解決手段】車体の床下における燃料タンク2と燃料配管(金属パイプ3)とを合成樹脂製チューブ4で連結した部分の下方に配置される合成樹脂材で形成された車両用アンダーカバー1において、合成樹脂製チューブを臨む面に金属板(バッフルプレート5)を積層して固定すると共に、金属板が積層された部分を車体に固定するものとする。これにより、重量の増大を最低限に抑えた上で所期の耐衝撃性、耐熱性、並びに剛性を確保することができ、しかも、アンダーカバーの剛性が高まることによってアンダーカバーの車体への結合点を減らすことができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車体の下面を覆う車両用アンダーカバーに関するものである。
【背景技術】
【0002】
タイヤが跳ね上げる水しぶきや飛石からエンジンルームなどを保護するために、また車両の下面の凹凸を覆うことで平坦化して空力特性を向上させるために、アンダーカバーを車体の下面に設けることが知られている(特許文献1、2を参照されたい)。
【特許文献1】特開平8−276867号公報
【特許文献2】特開2001−018851号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
近年、車体を軽量化して燃料消費率のより一層の向上を図るべく、アンダーカバーも合成樹脂化する機運が高まりつつある。しかし、耐熱性や靱性の点で合成樹脂材が金属材に劣ることは如何ともし難く、これがアンダーカバーの合成樹脂化を妨げる要因となっていた。
【0004】
本発明は、このような従来技術の不都合を解消すべく案出されたものであり、その主な目的は、耐衝撃性、耐熱性、並びに剛性の不足を補うことの可能な合成樹脂製の車両用アンダーカバーを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
このような課題を解決するため、本発明は、車体の床下における燃料タンク2と燃料配管(金属パイプ3)とを合成樹脂製チューブ4で連結した部分の下方に配置される合成樹脂材で形成された車両用アンダーカバー1において、合成樹脂製チューブを臨む面に金属板(バッフルプレート5)を積層して固定すると共に、金属板が積層された部分を車体(クロスメンバ7)に固定することを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0006】
このような本発明によれば、要所のみに金属板を積層するので、重量の増大を最低限に抑えた上で所期の耐衝撃性、耐熱性、並びに剛性を確保することができる。しかも、アンダーカバーの剛性が高まることによってアンダーカバーの車体への結合点を減らすことができるので、製造工数の削減にも効果的である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に添付の図面を参照して本発明について詳細に説明する。
【0008】
図1は、本発明が適用されたアンダーカバーの取付部の縦断面図である。このアンダーカバー1は、合成樹脂材で形成されており、例えば上記文献2に開示されたもののように、分割形成された複数の部分にて車体下面のほぼ全てを覆うように構成されたものに適用することができ、特に、車体の床下に配設された燃料タンク2の下面を覆うものに最適である。
【0009】
燃料タンク2と燃料注入口(図示せず)との間、及び燃料タンク2とエンジン(図示せず)との間は、金属製のパイプ3で連結されている。そして燃料タンク2と金属製パイプ3との間に製造誤差や組み付け誤差があっても両者の接続に支障が生じないように、また両者の熱膨張率や振動周波数の違いに起因して生ずる内部応力を吸収するために、燃料タンク2と金属製パイプ3との間は、軟質合成樹脂材で蛇腹様に形成された可撓チューブ4で連結されている。
【0010】
アンダーカバー1における可撓チューブ4の取付部を臨む面には、鋼板などで形成されたバッフルプレート5が積層されている。
【0011】
バッフルプレート5は、合成樹脂製のアンダーカバー1に対し、リベット6を用いて要所が固定されている。そしてバッフルプレート5の積層された部位をもって、クロスメンバ7などの車体の高剛性な部分にボルト止めされている。
【0012】
クロスメンバ7はチャンネル状なし、図2に示すように、その上面に溶接ナット8が固設されている。この溶接ナット8にアンダーカバー4の下方からボルト9を螺着することにより、クロスメンバ7にアンダーカバー1が固定される。なお、アンダーカバー1におけるボルト挿入孔は、下向きに凹となる窪み10の中心に設けられており、アンダーカバー1を車体に固定するボルト9の頭がアンダーカバー1の下面から突出しないようにされている。
【0013】
バッフルプレート1の端縁部には、図3に示すように縁曲げ加工されて上向きに凸となる半カール部11が形成されている。これにより、金属製のバッフルプレート5の縁が接触して金属製パイプ3が損傷することが防止される。
【0014】
アンダーカバー1の上面に侵入した水が抜けるように、図4、5に示すように、アンダーカバー1の適所には、水抜き孔12が開設される。この水抜き孔12は、長円形あるいは矩形とされ、進行方向の後側の上面に傾斜壁13を設けると共に、水抜き孔12を横切るリブ14を設けてある。このリブ14により、アンダーカバー1の下面を流れる空気が水抜き孔12からアンダーカバー1の上方に流れ込むことを抑制し、気流が水抜き孔12を通過する際の笛吹現象による発音を防止している。
【0015】
このようにして、本発明によれば、金属製のバッフルプレート5をアンダーカバー1の要所のみに積層することにより、所期の耐衝撃性、耐熱性、並びに剛性を、重量の増大を招かずに確保することができる。従って、特に燃料配管の保護に最適である。また、アンダーカバー1の剛性が高まるので、アンダーカバー1の車体への結合点を減らして製造工数の削減をも企図することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明によるアンダーカバーの適用部位の要部縦断面図である。
【図2】クロスメンバに対するアンダーカバーの取付部の拡大断面図である。
【図3】バッフルプレートの端縁部の拡大断面図である。
【図4】水抜き孔の拡大斜視図である。
【図5】水抜き孔の拡大断面図である。
【符号の説明】
【0017】
1 アンダーカバー
2 燃料タンク
3 金属パイプ
4 可撓チューブ
5 バッフルプレート
6 リベット
7 クロスメンバ
8 溶接ナット
9 ボルト

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の床下における燃料タンクと燃料配管とを合成樹脂製チューブで連結した部分の下方に配置される合成樹脂材で形成された車両用アンダーカバーであって、
前記合成樹脂製チューブを臨む面に金属板を積層して固定すると共に、
前記金属板が積層された部分を前記車体に固定することを特徴とする車両用アンダーカバー。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−306253(P2006−306253A)
【公開日】平成18年11月9日(2006.11.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−131050(P2005−131050)
【出願日】平成17年4月28日(2005.4.28)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】