説明

車両用ドアの開閉装置

【課題】使用者等の利便性を確保しつつドアと障害物との衝突をより確実に回避することのできる車両用ドアの開閉装置を提供する。
【解決手段】車両1に設けられたドア2の最大開閉角度を規制可能なドア開度規制手段20と、前記ドア2の操作状況に基づいて乗員の降車動作と乗車動作とを検出可能な乗降動作検出手段71とを設け、前記ドア開度規制手段20によって、前記乗降動作検出手段71により乗員の降車動作が検出された場合には、前記ドア2の最大開閉角度を当該ドア2の全開角度よりも小さい第一の角度に規制する一方、前記乗降動作検出手段により前記乗員の乗車動作が検出された場合には、前記ドア2の最大開閉角度を前記第一の角度よりも大きい前記第二の角度に規制する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアの最大開閉角度を規制可能な車両用ドアの開閉装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の車両では、子供等の乗員が自らドアを開閉して乗降車する場合や、夜間等車両周囲の障害物が視認し難い場合等では、ドアの開放時に当該ドアを前記障害物に衝突させてしまい、ドア等を傷損傷させてしまうという問題がある。このような問題に対して、例えば特許文献1に開示される装置のように、レーザー測距センサ等を設けてドアの周辺に障害物が存在するかどうかを検出し、この検出結果に基づいてドアの開閉角度を前記障害物に衝突しない範囲内に規制するよう構成されたものが開発されている。
【0003】
この装置によれば、前記レーザー測距センサによって障害物との距離が検出され、この距離に基づいてドアの開閉角度が規制されるので、ドアを障害物等に衝突させてしまうのを抑制することができる。
【特許文献1】特開2004−284410号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、前記の装置では、障害物との衝突を回避したいドア全てにレーザー測距センサ等のセンサを設ける必要があるため、コストが増大してしまうという問題がある。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑み、コストを増加させることなくドアと障害物との衝突を効果的に回避することのできる車両用ドアの開閉装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための請求項1に係る発明は、車両の乗降用のドアに設けられて、当該ドアの最大開閉角度を規制可能なドア開度規制手段と、乗員の降車動作と乗車動作とを検出可能な乗降動作検出手段とを有し、前記ドア開度規制手段が、前記乗降動作検出手段によって乗員の降車動作が検出された場合には、前記ドアの最大開閉角度を当該ドアの全開角度よりも小さい第一の角度に規制する一方、前記乗降動作検出手段によって前記乗員の乗車動作が検出された場合には、前記ドアの最大開閉角度を前記第一の角度よりも大きい第二の角度に規制することを特徴とするものである(請求項1)。
【0007】
本発明によれば、前記乗降動作検出手段において降車動作が検出された場合には、前記ドア開度規制手段によってドアの最大開閉角度が全開角度よりも小さい第一の角度に規制されるので、特に、車両周囲の状況を視認し難くドアを障害物に衝突させる可能性が高い降車動作時において、当該ドアと障害物との衝突をより確実に抑制することができる。一方、乗車動作時は乗員が比較的車両周囲の状況を把握しやすいため、乗員自身のドア操作によってドアと障害物との衝突を抑制することができる。従って、前記のように、前記乗降動作検出手段において乗車動作が検出された場合には、前記ドア開度規制手段によって規制されるドアの最大開閉角度を前記第一の角度より大きな第二の角度に設定すれば、ドアと障害物との衝突を抑制しつつ乗員の利便性を確保することができる。すなわち、本発明によれば、従来のように比較的高価なレーザー測距センサ等を設けることなく、乗員の利便性を確保しつつドアと障害物等との衝突をより確実に抑制することが可能になる。
【0008】
また、本発明において前記第二の角度が前記ドアの全開角度であるのが好ましい(請求項2)。
【0009】
このようにすれば、乗降動作時には乗員が周囲の状況に応じてドアの開閉角度を自由に変更することができるので、利便性が向上する。
【0010】
また、本発明において、前記ドア開度規制手段を作動操作可能なドア開度操作手段を有し、前記ドア開度規制手段が、前記ドア開度操作手段の操作状況に応じて、前記乗降動作検出手段によって乗員の乗降動作が検出された場合であっても前記ドアの最大開閉角度を前記第一の角度に規制するのが好ましい(請求項3)。
【0011】
このようにすれば、乗車時であっても、子供等の乗員がドア操作を行う場合におけるドアと障害物との衝突をより確実に抑止することができる。
【0012】
また、本発明において、前記ドア開度規制手段を作動操作可能であって、当該ドア開度規制手段による前記ドアの最大開閉角度の規制を無効にすることのできる無効操作手段を有するのが好ましい(請求項4)。
【0013】
このようにすれば、前記のように周囲に障害物等がある場合には、前記ドアの最大開閉角度を規制してドアと障害物等との衝突をより確実に抑制できるとともに、周囲に障害物等が存在しない場合等には、ドアの開閉角度の規制を解除して、乗員の利便性を確保することができる。
【0014】
また、本発明において、前記ドア開度規制手段を駆動可能な駆動手段と、当該駆動手段を遠隔地から作動操作可能なリモートコントローラとを有し、当該リモートコントローラの操作に応じて、前記ドア開度規制手段によって前記ドアの最大開閉角度が規制あるいは当該規制が無効化されるのが好ましい(請求項5)。
【0015】
このようにすれば、遠隔地からでも、前記リモートコントローラの操作によって、前記ドア開度規制手段により前記ドアの最大開閉角度を規制することができるとともに、当該リモートコントローラの操作によって、前記ドア開度規制手段による規制を無効化することができるので、遠隔地からでも適宜ドアの開閉角度を操作することができ、利便性が向上する。
【0016】
また、本発明において、前記リモートコントローラの操作に応じて、前記乗降動作検出手段によって乗員の乗降動作が検出された場合であっても前記ドアの最大開閉角度が前記第一の角度に規制されるのが好ましい(請求項6)。
【0017】
このようにすれば、遠隔地からでも前記前記ドア開度操作手段の操作によって、乗車時のドアの開閉角度を前記第一の角度に規制することができるので、より確実にドアと障害物等との衝突を抑制することができる。
【0018】
また、本発明において、前記複数のドアにそれぞれ設けられて各ドアの施錠および解錠を行う施錠機構と、前記各施錠機構をそれぞれ駆動する施錠機構駆動手段と、当該施錠機構駆動手段を作動操作可能な施錠機構操作手段とを有し、当該施錠機構操作手段が前記リモートコントローラに搭載されるとともに、前記施錠機構駆動手段が当該リモートコントローラによって遠隔地から作動操作されるのが好ましい(請求項7)。
【0019】
このようにすれば、前記リモートコントローラの操作によって、各ドアの施錠および解錠と、各ドアの開度規制とを遠隔地から行うことができるので、操作性が向上する。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように、本発明によれば、利便性を確保しつつ、ドアと障害物との衝突をより確実に回避することのできる車両用ドアの開閉装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
以下、本発明の好ましい第一の実施形態について図面を参照して説明する。ここでは、本発明に係る車両用ドアの開閉装置を車両の後部座席に設けられたドアに用いた場合について説明する。
【0022】
図1は本発明に係る車両用ドアの開閉装置を有する車両の概略構成図であり、図2はこの車両用ドアの開閉装置が取り付けられたドアの部分斜視図であり、図3はこの車両用ドアの開閉装置の概略を示す部分断面図であり、図4はこの車両用ドアの開閉装置に設けられるリモートコントローラの概略図であり、図5はこの車両用ドアの開閉装置の概略ブロック図である。
【0023】
本車両用ドアの開閉装置10は、乗員等によるドア2の操作状況に応じてドア2の最大開閉角度を規制し、利便性を確保しつつドア2と車両周囲の障害物との衝突を抑制するものである。本車両用ドアの開閉装置10には、ドア2の最大開閉角度の規制モードとして、図5に示すように、通常規制モードと、乗車時規制モードと、規制キャンセルモードの3種類のモードが設けられており、前記ドア2の操作状況等に応じてこれらのモードが切換えられるようになっている。
【0024】
前記通常規制モードとは、乗員の降車動作が検出された場合には、ドア2の最大開閉角度を全開よりも小さい第一の角度に規制し(図1においてドア2が2aの位置にある状態)、乗員の乗車動作が検出された場合には、ドア2の最大開閉角度を前記第一の角度よりも大きな第二の角度に設定するモードである。本実施形態では、この第二の角度を全開角度(図1においてドア2が2bの位置にある状態)に設定している。
【0025】
また、前記乗車時規制モードとは、乗員の降車動作のみならず乗車動作が検出された場合にも、ドア2の最大開閉角度を前記第一の角度に規制するモードである。
【0026】
そして、前記規制キャンセルモードとは、ドア2の最大開閉角度の規制を無効化し、ドア2の最大開閉角度が全開角度となるように設定するモードである。
【0027】
本車両用ドアの開閉装置10の具体的な構成について以下に説明する。
【0028】
図1、図2および図5に示すように、本車両用ドアの開閉装置10では、ドア2にインナードアハンドル11と、アウタードアハンドル12と、ドア開閉センサ13と、インナードアハンドルセンサ14と、アウタードアハンドルセンサ15と、ロックユニット(施錠機構)30と、ロックユニット駆動手段31(施錠機構駆動手段)と、ドア開度規制手段20と、ストッパー駆動手段(駆動手段)25とが設けられている。また、車両1のインストゥルメントパネル等の内側には、ECU70とキーレスエントリ信号受信装置60とが設けられている。また、本実施例に係る車両用ドアの開閉装置10には、キーレスエントリ操作リモコン50が設けられている。
【0029】
前記インナードアハンドル11とは、ドア2の車室側に設けられてドア2を車室側から開閉操作するためのハンドルである。前記アウタードアハンドル12とは、ドア2の車外側に設けられて、ドア2を車外側から開閉操作するためのハンドルである。前記ドア開閉センサ13とは、車両1に設けられた複数のドアの開閉状態をそれぞれ検出するためのセンサである。このドア開閉センサ13は、ドア2と車体3との連結部分等に設けられて、例えばドア2の開閉角度等から開閉状態を検出する。前記インナードアハンドルセンサ14、アウタードアハンドルセンサ15とは、それぞれ前記インナードアハンドル11とアウタードアハンドル12の操作状況を検出するためのものである。
【0030】
前記ドア開度規制手段20とは、ドア2の最大開閉角度を規制するためのものである。このドア開度規制手段20は、図3に示すように、プレート21とストッパー22とを有している。
【0031】
前記プレート21は、図2に示すように、その一端が車体3に回動可能に取り付けられており、他端がドアパネルを貫通してドア2の内側に挿入されている。このプレート21はテーパ状の部材であり、車体3側からドア2側に向けてその幅が大きくなるような形状を有している。また、このプレート21は、ドア2の内側に挿入された端部がドア2に対してその長手方向に相対移動可能なように取り付けられており、ドア2が車体3に固定されたプレート21に対して相対的に移動することで、ドア2の開度が変化するよう構成されている。
【0032】
前記ストッパー22は、前記プレート22と当接することでプレート21のドア2に対する相対移動を規制するものである。本実施形態では、前記プレート21を挟み込むようにして2つのストッパー22,22が設けられており、これらストッパー22,22はドア2のドアパネルにそれぞれ固定されている。そして、これらストッパー22,22は、後述するストッパー駆動手段25によって図6に示すような位置に移動させられることにより、ドア2の開操作時にプレート21の所定箇所に当接してこのプレート21の移動を規制し、ドア2が前記第一の角度より開かないようにしている。一方、ストッパー駆動手段25によってこれらストッパー22が、図7に示すようなプレート21と当接しない位置に移動させられた場合には、プレート21の規制が解除されるので、ドア2の全開操作が可能になる。このように、本実施形態では、ストッパー22のプレート21に対する位置を変化させることで、ドア2の最大開閉角度を変化させている。
【0033】
前記ストッパー駆動手段25は、ストッパー22の位置を変更するためのものである。このストッパー駆動手段25は、例えば電磁石等からなり、電磁石の通電状態によってストッパー22の位置を変更している。そして、この通電状態、すなわち、ストッパー駆動手段25の駆動状態は、後述するキーレスエントリ操作リモコン50の操作に基づき選択される規制モードおよび後述する乗降動作検出手段71での検出結果に応じて変更される。
【0034】
前記ロックユニット30とは、ドア2をロック(施錠)するとともにロック解除(解錠)するためのユニットである。このロックユニット30は、車両1に設けられる全てのドアに設けられており、例えば各ドアに設けられた図示しないドアラッチと車体側に設けられたストライカとを係合させることで各ドアをロックし、この係合状態を解除することで各ドアのロック状態を解除するように構成されている。
【0035】
前記ロックユニット駆動手段31とは、車両の各ドアに設けられた前記ロックユニット30をそれぞれ駆動するためのものである。このロックユニット駆動手段31は、モータ等からなり、後述するキーレスエントリ操作リモコン50から送信される信号に基づいて操作される。
【0036】
前記キーレスエントリ操作リモコン50とは、使用者等が携帯可能な形状を有し、前記ドア2の最大開閉角度の規制モードを遠隔地から選択操作して前記ドア2の最大開閉角度を変更するとともに、前記ロックユニット駆動手段31を遠隔地から操作してドアのロックおよびロック解除を行うためのものである。
【0037】
前記キーレスエントリ操作リモコン50には、図4に示すように、ロックスイッチ(施錠機構操作手段)51と、アンロックスイッチ(施錠機構操作手段)52と、Sスイッチ53とが設けられている。
【0038】
ロックスイッチ51とアンロックスイッチ52とはそれぞれ前記ロックユニット駆動手段31を作動操作するためのスイッチである。特に、ロックスイッチ51は、前記全てのロックユニット駆動手段31を操作して車両1に設けられた複数のドアを全て同時にロックするためのスイッチであり、アンロックスイッチ52は、全てのロックユニット駆動手段31を操作して複数のドアを全て同時にロック解除するためのスイッチである。
【0039】
Sスイッチ53とは、ドア2の最大開閉角度の規制モードを変更するためのスイッチである。具体的には、Sスイッチ53が押圧操作され、その操作時間が所定時間以内であれば、前記通常規制モードが選択される。一方、Sスイッチ53が押圧操作され、その操作時間が所定時間以上連続した場合(Sスイッチ53が長押しされた場合)には、前記乗車時規制モードが選択される。一方、Sスイッチ53の押圧操作がなされなかった場合には、規制モードは、前記規制キャンセルモードとなる。
【0040】
このキーレスエントリ操作リモコン50では、これらスイッチ51〜53が押圧操作されるのに伴って、各スイッチに対応した固有コードを含むリクエスト信号を後述するキーレスエントリ信号受信装置(操作信号受信手段)60送信する。
【0041】
また、このキーレスエントリ操作リモコン50には、図4に示すように、鍵部54が取り付けられている。この鍵部54は、運転席側のドアに設けられた前記ロックユニット30等を直接操作して、このドアの解錠あるいは施錠を行うためのものである。
【0042】
前記キーレスエントリ信号受信装置60とは、キーレスエントリ操作リモコン50から送信されたリクエスト信号を受信、判別するためのものである。具体的には、前記キーレスエントリ操作リモコン50から発せられた固有コードを含むリクエスト信号を受信して、予め登録された固有コードと一致しているかどうかを確認する。そして、ロックスイッチ51から送信された信号であるか、アンロックスイッチ52から送信された信号であるか、Sスイッチ53から送信された信号であるかを判別する。さらに、このキーレスエントリ信号受信装置60では、Sスイッチ53の操作時間が所定時間以上続いたかどうか、すなわち、Sスイッチ53が長押しされたかどうかを検出して、前記規制モードのうちいずれのモードが選択されたかを判別する。この判別結果は後述するECU内に設けられたストッパー制御手段72に送信される。また、前記ロックユニット駆動手段31はこの判別結果に基づいて操作される。
【0043】
前記ECU70とは、車両1の各制御を行うためのものであり、このECU70には、乗降動作検出手段71およびストッパー制御手段72が設けられている。
【0044】
前記乗降動作検出手段71とは、乗員の乗降動作と降車動作とを検出するためのものである。この乗降動作検出手段71では、前記ドア開閉センサ13、インナードアハンドルセンサ14およびアウタードアハンドルセンサ15の信号に基づいて乗降動作あるいは降車動作が行われたかどうかを判断している。具体的には、ドア開閉センサ13によりドア2が開けられたことが検出されるとともにインナードアハンドルセンサ14によりインナードアハンドル11が操作されたことが検出されると、降車動作が行われていると判断される。一方、ドア開閉センサ13によりドア2が開けられたことが検出されるとともにアウタードアハンドルセンサ15によりアウタードアハンドル12が操作されたことが検出されると、乗車動作が行われていると判断される。
【0045】
前記ストッパー制御手段72とは、ストッパー駆動手段25を駆動するかどうかを決定するためのものである。このストッパー制御手段72では、前記キーレスエントリ受信手段から送信される規制モードの判別結果と前記乗降動作検出手段71の検出結果に基づいて、前記ストッパー駆動手段25の駆動を決定している。
【0046】
前述のように、ドア2の最大開度が第一の角度に規制されるのは、通常規制モードにおいて降車動作が検出された場合、および、前記乗車時規制モードが選択された場合である。従って、前記ストッパー制御手段72では、前記キーレスエントリ受信手段にて通常規制モードが選択され、かつ、前記乗降動作検出手段71にて降車動作が検出された場合と、前記キーレスエントリ受信手段にて乗車時規制モードが選択された場合にのみ、ドア2の最大開閉角度が前記第一の角度となるように、ストッパー駆動手段25を駆動し、ストッパー22を図6に示すような位置に移動させる。一方、このストッパー制御手段72では、前記キーレスエントリ受信手段にて通常規制モードが選択され、かつ、前記乗降動作検出手段71にて乗車動作が検出された場合と、前記規制キャンセルモードが選択された場合には、ストッパー駆動手段25の駆動を禁止して、ストッパー22の位置を図7に示すような前記プレート21の移動を規制しない位置とする。
【0047】
次に、本車両用ドアの開閉装置10の動作を図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0048】
ドア2は閉状態であるとする。まず、Sスイッチが押圧操作されたかどうかが判断される(ステップS1)。Sスイッチの押圧操作がされなかったと判断された場合(ステップS1でNO)、より具体的には、前記キーレスエントリ信号受信装置にてSスイッチの操作が受信されなかった場合には、前記規制キャンセルモードが選択されたことになり(ステップS2)、ストッパー駆動手段25の駆動が禁止される(ステップS3)。その結果、ドア2の最大開閉角度は全開角度となり、ドア2の全開操作が可能となる(ステップS4)。
【0049】
一方、Sスイッチが押圧操作された場合には(ステップS1でYES)、さらに、その操作時間が所定時間以上続いたかどうかが判断される(ステップS5)。前記操作時間が所定時間以内の場合には(ステップS5でNO)、前記通常規制モードが選択されたことになるので(ステップS6)、さらに、乗員が乗車動作中であるか降車動作中であるかが判断される(ステップS7およびステップS8)。ここで、インナードアハンドルセンサ14やアウタードアハンドルセンサ15等からの信号に基づき、前記乗降動作検出手段71にて乗車動作中であると判断された場合には(ステップS7でNOかつステップS8でYES)、ストッパー駆動手段25の駆動が禁止され(ステップS9)、ドア2の全開操作(第二の角度までの開操作)が可能となる(ステップS10)。また、前記ステップS7にてYESと判断された場合、すなわち、降車動作中であると判断された場合には、ストッパー駆動手段25が駆動され(ステップS11)、ドア2の最大開閉角度が前記第一の角度に規制される(ステップS12)。
【0050】
また、前記ステップS5でYESの場合、すなわち、前記Sスイッチの操作時間が所定時間以上続いたと判断された場合には、前記乗車規制モードが選択されたことになるので(ステップS13)、ストッパー駆動手段25が駆動され(ステップS14)、ドア2の最大開閉角度が前記第一の角度に規制される(ステップS15)。
【0051】
このように、本実施形態ではキーレスエントリ操作リモコン50の操作状況および乗員の乗降動作状況に応じてドア2の最大開閉角度が変更される。
【0052】
以上のように、本車両用ドアの開閉装置10によれば、前記通常規制モードにおいて、降車動作時に、ドアの最大開閉角度が全開角度よりも小さい前記第一の角度に規制されるので、子供等が車両周囲の状況を把握できない場合でも、ドア2の開操作によってドア2と車両周囲の障害物との衝突を抑制することができ、ドア2や周囲の障害物等の損傷を抑制することができる。一方、乗車動作時には、ドア2の最大開閉角度が全開角度よりも大きい第二の角度に設定されるので、乗員の自由なドア操作が可能になり利便性が向上する。
【0053】
特に、前記実施形態のように、前記第二の角度を全開角度に設定しておけばより利便性が向上する。
【0054】
また、前記実施形態のように、乗車時規制モードを設け、乗車動作時であっても乗員の操作によってドア2の最大開閉角度を前記第一の角度に規制できるようにすれば、より確実にドア2と障害物等との衝突を抑制することができる。
【0055】
また、前記実施形態のように、規制キャンセルモードを設け、乗員の操作によってドア2の最大開閉角度の規制を無効化できるようにすれば、乗員の利便性を確保することができる。
【0056】
また、前記実施形態のように、前記規制モードの変更をキーレスエントリ操作リモコン50により遠隔地から行えるようにしておけば、周囲の状況に応じて乗員がドア2の開閉角度を規制あるいはこの規制の解除を行うことができるので利便性が向上する。
【0057】
さらに、この規制モード変更のためのSスイッチを、ドア2のロックおよびロック解除を行うためのキーレスエントリ操作リモコン50に設ければ、利便性が向上する。
【0058】
ここで、前記各規制モードに対するSスイッチの操作方法は前記に限らず、例えば、Sスイッチの押圧操作によってドア2の開閉角度の規制が解除されるように構成してもよい。
【0059】
また、各規制モードをそれぞれ選択可能なスイッチを個別に設けるようにしてもよい。
【0060】
次に、本発明の好ましい第二の実施形態について図面を参照して説明する。図9は本実施形態に係る車両用ドアの開閉装置が設けられた車両の概略図であり、図10はこの車両用ドアの開閉装置の概略ブロック図である。
【0061】
本第二の実施形態では、前記第一の実施形態のようにキーレスエントリ操作リモコン50や、ストッパー駆動手段25等を用いずに、後述する乗車時規制解除スイッチ(ドア開度操作手段)100および規制キャンセルスイッチ(無効操作手段)101と前記インナードアハンドル11およびアウタードアハンドル12の操作によって、前記ストッパー22の位置を調整して、ドアの最大開閉角度を変更している。また、本実施形態では、ストッパー22の位置が、通常状態において、前記プレート1の移動を規制する位置にあり、乗車時および降車時のいずれであっても、ドア2の最大開閉角度が前記第一の角度に規制されるよう構成されている。そして、前記乗車時規制解除スイッチ100が押圧操作されることで、乗車時のみドア2の全開が許容され、前記乗車時規制モードが実現するようになっている。また、前記規制キャンセルスイッチ101が押圧操作されることで、ドア2の開閉角度規制が解除されて乗車時および降車時のいずれであってもドア2の全開が許容され、前記キャンセルモードが実現するようになっている。
【0062】
前記乗車時規制解除スイッチ100は、ストッパー22の位置を変更し、ストッパー22による前記プレート21の規制を解除するためのスイッチである。このスイッチ100は、図9に示すようにアウタードアハンドル12の近傍に設けられている。そして、この乗車時規制解除スイッチ100が押圧操作された状態で、前記アウタードアハンドルが操作されると、前記ストッパー22の位置が変更され、プレート21の規制が解除されるよう構成されている。具体的には、前記第一の実施形態におけるストッパー駆動手段25に代えて乗車時規制解除スイッチ100と前記ストッパー22とを連結させ、当該乗車時規制解除スイッチ100によってストッパー22の位置を直接操作できるようになっている。
【0063】
前記規制キャンセルスイッチ101は、前記乗車時規制解除スイッチ100と同様に、ストッパー22の位置を変更して、ストッパー22によるプレート21の規制を解除するためのスイッチである。このスイッチ101は、図9に示すように運転席の近傍に設けられており、運転者が操作可能な位置に設けられている。ただし、この規制キャンセルスイッチ101は、前記乗車時規制解除スイッチ100と異なり、アウタードアハンドル12等の操作状況によらずに、前記ストッパー22の規制を解除するものである。
【0064】
ドア操作が行われた際の、本実施形態に係る車両用ドアの開閉装置10の動作を図11のフローチャートを用いて説明する。
【0065】
まず、規制キャンセルスイッチ101がONになっているかどうかが判断される(ステップS21)。規制キャンセルスイッチ101がONの場合には(ステップS21でYES)、前記キャンセルモードが選択されたことになり(ステップS22)、ストッパー22の位置が変更されてプレート21の規制が解除される(ステップS23)。その結果、ドア2の全開操作が可能となる(ステップS24)。一方、規制キャンセルスイッチ101がOFFの場合には(ステップS21でNO)、降車動作中であるかどうかが判断される(ステップS25)。すなわち、インナードアハンドル11が操作されているかが判断される。そして、インナードアハンドル11が操作されている場合には(ステップS25でYES)、前記通常規制モードであって降車動作が検出された場合と同様に(ステップS26)、ストッパー22の位置変更が行われず、ドア2の最大開閉角度が前記第一の角度に規制されることになる(ステップS27)。
【0066】
一方、前記ステップS25にてNOと判断された場合には、ステップS28にて乗車動作中であるかどうかが判断される。そして、アウタードアハンドル12が操作されており、乗車動作中である場合には(ステップS28でYES)、さらに、乗車時規制解除スイッチ100がONになっているかどうかが判断される(ステップS29)。乗車時規制解除スイッチがONの場合には、前記通常規制モードにおいて乗車動作が検出された場合と同様に(ステップS30)、ストッパー22の位置が変更されてプレート21の規制が解除され(ステップS31)、ドア2の全開操作(第二の角度までの開操作)が許容される(ステップS32)。一方、乗車時規制解除スイッチ100がOFFの場合には(ステップS29でNO)、前記乗車時規制モードが選択されたことになり(ステップS33)、乗車、降車時ともにドアの最大開閉角度が前記第一の角度に規制される(ステップS34)。
【0067】
このように、本実施形態によれば、比較的簡単な構成で乗降車動作に合わせてドア2の最大開度を規制することができる。
【0068】
以上のように、本車両用ドアの開閉装置によれば、簡単な構造で、利便性を確保しつつドア2と障害物等との衝突をより確実に抑制することができる。
【0069】
ここで、前記第二の実施形態では、前記乗車時規制解除スイッチ100の操作とアウタードアハンドル12の操作とによって、乗車規制モードが選択されるよう構成した場合について示したが、この乗車時規制解除スイッチ100を、前記ドア2の車外側であって車室内からは操作し難い位置に設けておき、この乗車時規制解除スイッチ100の操作のみで前記乗車規制モードが選択されるようにしてもよい。
【0070】
また、前記第二の実施形態では、ストッパー駆動手段25を用いず、各スイッチ100,101の操作によって直接ストッパー22の位置が変化する場合について示したが、前記ストッパー駆動手段25を用い、各スイッチ100,101の操作信号に基づいて当該ストッパー駆動手段25が駆動されるように構成してもよい。
【0071】
また、前記第一の実施形態および第二の実施形態において、Sスイッチ53の操作あるいは前記規制キャンセルスイッチ101や乗降時乗車時規制解除スイッチ100の操作が行われてから所定時間以内に乗降動作が検出されなかった場合には、これらのスイッチによる各規制モードの選択をリセットするようにしてもよい。
【0072】
また、前記第一および第二の実施形態において、前記第二の角度は全開角度に限らず、前記第一の角度より大きい角度であればよい。
【0073】
また、前記第一および第二の実施形態において、前記ドア開閉角度規制手段20は前記に限らず、ドア2の開閉角度を規制できるものであればよい。
【0074】
また、前記第一および第二の実施形態において、本車両用ドアの開閉装置が設けられるドアは後部座席に限らない。
【0075】
また、前記第一の実施形態と第二の実施形態とを適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0076】
【図1】本発明に係る車両用ドアの開閉装置を有する車両の概略構成図である。
【図2】図1に示す車両用ドアの開閉装置が取り付けられたドアの部分斜視図である。
【図3】図1に示す車両用ドアの開閉装置の概略を示す部分断面図である。
【図4】図1に示す車両用ドアの開閉装置に設けられるリモートコントローラの概略図である。
【図5】図1に示す車両用ドアの開閉装置のブロック図である。
【図6】図1に示す車両用ドアの開閉装置によりドアの開度が第一の角度に規制された状態を示す概略断面図である。
【図7】図1に示す車両用ドアの開閉装置が取り付けられたドアの全開状態を示す概略断面図である。
【図8】図1に示す車両用ドアの開閉装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【図9】本発明の他の実施形態に係る車両用ドアの開閉装置を有する車両の概略構成図である。
【図10】図9に示す車両用ドアの開閉装置のブロック図である。
【図11】図9に示す車両用ドアの開閉装置の動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
【0077】
2 ドア
11 インナードアハンドル
12 アウタードアハンドル
13 ドア開閉センサ
14 インナードアハンドルセンサ
15 アウタードアハンドルセンサ
20 ドア開度規制手段
21 プレート
22 ストッパー
25 ストッパー駆動手段(駆動手段)
30 ロックユニット(施錠機構)
31 ロックユニット駆動手段(施錠機構駆動手段)
50 キーレスエントリ操作リモコン(リモートコントローラ)
51 ロックスイッチ(施錠機構操作手段)
52 アンロックスイッチ(施錠機構操作手段)
53 Sスイッチ
60 キーレスエントリ信号受信装置
70 ECU
71 乗降動作検出手段
72 ストッパー制御手段
100 乗車時規制解除スイッチ(ドア開度操作手段)
101 規制キャンセルスイッチ(無効操作手段)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の乗降用のドアに設けられて、当該ドアの最大開閉角度を規制可能なドア開度規制手段と、
乗員の降車動作と乗車動作とを検出可能な乗降動作検出手段とを有し、
前記ドア開度規制手段が、前記乗降動作検出手段によって乗員の降車動作が検出された場合には、前記ドアの最大開閉角度を当該ドアの全開角度よりも小さい第一の角度に規制する一方、前記乗降動作検出手段によって前記乗員の乗車動作が検出された場合には、前記ドアの最大開閉角度を前記第一の角度よりも大きい第二の角度に規制することを特徴とする車両用ドアの開閉装置。
【請求項2】
請求項1に記載の車両用ドアの開閉装置において、
前記第二の角度が前記ドアの全開角度であることを特徴とする車両用ドアの開閉装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の車両用ドアの開閉装置において、
前記ドア開度規制手段を作動操作可能なドア開度操作手段を有し、
前記ドア開度規制手段が、前記ドア開度操作手段の操作状況に応じて、前記乗降動作検出手段によって乗員の乗降動作が検出された場合であっても前記ドアの最大開閉角度を前記第一の角度に規制することを特徴とする車両用ドアの開閉装置。
【請求項4】
請求項1〜3のいずれかに記載の車両用ドアの開閉装置において、
前記ドア開度規制手段を作動操作可能であって、当該ドア開度規制手段による前記ドアの最大開閉角度の規制を無効にすることのできる無効操作手段を有することを特徴とする車両用ドアの開閉装置。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれかに記載の車両用ドアの開閉装置において、
前記ドア開度規制手段を駆動可能な駆動手段と、
当該駆動手段を遠隔地から作動操作可能なリモートコントローラとを有し、
当該リモートコントローラの操作に応じて、前記ドア開度規制手段によって前記ドアの最大開閉角度が規制あるいは当該規制が無効化されることを特徴とする車両用ドアの開閉装置。
【請求項6】
請求項5に記載の車両用ドアの開閉装置において、
前記リモートコントローラの操作に応じて、前記乗降動作検出手段によって乗員の乗降動作が検出された場合であっても前記ドアの最大開閉角度が前記第一の角度に規制されることを特徴とする車両用ドアの開閉装置。
【請求項7】
請求項5または6に記載の車両用ドアの開閉装置において、
前記複数のドアにそれぞれ設けられて各ドアの施錠および解錠を行う施錠機構と、
前記各施錠機構をそれぞれ駆動する施錠機構駆動手段と、
当該施錠機構駆動手段を作動操作可能な施錠機構操作手段とを有し、
当該施錠機構操作手段が前記リモートコントローラに搭載されるとともに、前記施錠機構駆動手段が当該リモートコントローラによって遠隔地から作動操作されることを特徴とする車両用ドアの開閉装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2008−121196(P2008−121196A)
【公開日】平成20年5月29日(2008.5.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−303046(P2006−303046)
【出願日】平成18年11月8日(2006.11.8)
【出願人】(000003137)マツダ株式会社 (6,115)
【Fターム(参考)】