車両用ドア
【課題】ウィンドウガラスとドアトリムの端末部との間に形成される空間に隙間が生じることを抑制可能な車両用ドアを提供する。
【解決手段】車両用のドアインナパネル11に沿って昇降するウィンドウガラス13の車室内側に配設されたドアトリム20と、ウィンドウガラス13とドアトリム20との間に配設され、ウィンドウガラス13に摺接するウェザーストリップ30とを備えた車両用ドア10であって、ドアトリム20は、ドアインナパネル11の車室内側面を覆う本体部21と、本体部21の上部から車室外側に向かって延びてドアインナパネル11の上部を覆うウエスト部22と、を備え、ウエスト部22の裏面22Aには、ウィンドウガラス13に向かって付勢された付勢部材40が取り付けられており、付勢部材40は、ウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に形成される空間Sを詰める。
【解決手段】車両用のドアインナパネル11に沿って昇降するウィンドウガラス13の車室内側に配設されたドアトリム20と、ウィンドウガラス13とドアトリム20との間に配設され、ウィンドウガラス13に摺接するウェザーストリップ30とを備えた車両用ドア10であって、ドアトリム20は、ドアインナパネル11の車室内側面を覆う本体部21と、本体部21の上部から車室外側に向かって延びてドアインナパネル11の上部を覆うウエスト部22と、を備え、ウエスト部22の裏面22Aには、ウィンドウガラス13に向かって付勢された付勢部材40が取り付けられており、付勢部材40は、ウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に形成される空間Sを詰める。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアとしては、ウィンドウガラス(ドアガラス)とドアトリムとの間に、ウィンドウガラスに摺接するウェザーストリップを設けることが知られている(例えば、下記特許文献1)。当該ウェザーストリップは、合成ゴム等の弾性体からなり、第1取付片及び第2取付片によりドアトリム及びインナパネルに取り付けられる一方、リップ部の先端部がウィンドウガラスに当接するものとされている。このような構成により、ウィンドウガラスとドアトリムの端末部との間に形成される空間をリップ部により詰める構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−106213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の車両用ドアでは、ウィンドウガラスとドアトリムの端末部との間に形成される空間の大きさが変化する場合には、ウェザーストリップ自体の弾性力によりリップ部がウィンドウガラスに当接する角度が変化して、当該空間に隙間が生じることを抑制するものと考えられる。
【0005】
しかしながら、例えば、ウィンドウガラスの昇降により、ウィンドウガラスとドアトリムの端末部との間に形成される空間が、ウェザーストリップ自体の弾性力によりリップ部がウィンドウガラスに当接可能な範囲を超えて大きくなる場合には、当該空間に隙間が生じるおそれがあり、問題となる。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ウィンドウガラスとドアトリムの端末部との間に形成される空間に隙間が生じることを抑制可能な車両用ドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両用のドアパネルに沿って昇降するウィンドウガラスの車室内側に配設されたドアトリムと、前記ウィンドウガラスと前記ドアトリムとの間に配設され、前記ウィンドウガラスに摺接するウェザーストリップとを備えた車両用ドアであって、前記ドアトリムは、前記ドアパネルの車室内側面を覆う本体部と、該本体部の上部から車室外側に向かって延びて前記ドアパネルの上部を覆うウエスト部と、を備え、前記ウエスト部の裏面には、前記ウィンドウガラスに向かって付勢された付勢部材が取り付けられており、前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスと前記ウエスト部の端末部との間に形成される空間を詰めることに特徴を有する。
【0008】
本発明においては、付勢部材がウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間を詰めるから、例えばウィンドウガラスの昇降に伴って当該空間が大きくなる場合であっても、ウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0009】
上記構成において、前記ウェザーストリップは、前記ウエスト部の裏面又は前記ドアパネルの上端部の少なくともどちらか一方に取り付けられる取付基部と、該取付基部から前記ウィンドウガラスに向かうにつれて上方に延びるリップ部を備え、前記付勢部材は、前記ウエスト部の裏面において、前記取付基部より上方に取り付けられるとともに、前記リップ部に当接する当接部を備え、前記当接部は、前記リップ部を前記ウィンドウガラスに向かって付勢させるものとすることができる。
【0010】
このような構成とすれば、付勢部材に設けられた当接部がリップ部をウィンドウガラスに向かって付勢するから、リップ部に対して常に適度な摺接力を付与しつつ、リップ部を介在してウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0011】
上記構成において、前記付勢部材は、前記空間内に配されるとともに、弾性変形可能な中空部を備えるものとすることができる。
【0012】
このような構成とすれば、ウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間には弾性変形可能な中空部が配されているから、中空部がウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間の大きさに応じて変形し、効果的にウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0013】
上記構成において、前記付勢部材は、前記ウエスト部の前記端末部の車室内側面を被覆する被覆部を備えるものとすることができる。
【0014】
このような構成とすれば、被覆部が端末部の車室内側面を被覆するから、ウエスト部の端末部が露出することを抑制することができ、意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウィンドウガラスとドアトリムとの間に形成される空間に隙間が生じることを抑制可能な車両用ドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係る付勢部材が取り付けられたドアトリムを示す斜視図。
【図2】図1のドアトリムにおける、付勢部材とウェザーストリップの取付構成を示す分解斜視図。
【図3】図2のドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図(図1のA−A線断面部分に対応)。
【図4】図3のドアトリムを取り付けた車両用ドアの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図(図1のA−A線断面部分に対応)。
【図5】本発明の実施形態2に係るドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図6】図5のドアトリムを取り付けた車両用ドアの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図7】本発明の実施形態2に係る付勢部材の上面図。
【図8】本発明の実施形態3に係るドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図9】図8のドアトリムを取り付けた車両用ドアの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図10】本発明の実施形態4に係るドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図11】本発明の実施形態5に係るドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。本実施形態による車両用ドア10は、車両の前部座席のサイドドアとして使用されるもので、車体パネルを構成する金属製のドアインナパネル11及びドアアウタパネル(不図示)を備えている。
【0018】
車両用ドア10は、図4に示されるように、ドアインナパネル11(ドアパネル)に沿って昇降するウィンドウガラス13と、ウィンドウガラス13の車室内側に配設されたドアトリム20と、ウィンドウガラス13とドアトリム20との間に配設され、ウィンドウガラス13に摺接するウェザーストリップ30と、を備えている。ウィンドウガラス13は、車両用ドア10の外面形状に沿う曲面状をなし、ウィンドウレギュレータ(不図示)によって上下方向に昇降可能とされている。
【0019】
ドアトリム20は、ドアインナパネル11の車室内側に対して、例えばクリップ(不図示)などを介して取り付けられている。ドアトリム20は、図1に示すように、合成樹脂材料、あるいは合成樹脂材料と天然繊維(ケナフなど)を混合した材料等を板状にしたボード部材からなり、表側(車室内側)に張り出す形でアームレスト14が形成されており、インサイドドアハンドル15、スピーカグリル16、プルハンドル17などが設けられている。
【0020】
ドアトリム20は、図4に示されるように、ドアインナパネル11の車室内側面を覆う本体部21と、本体部21の上部から車室外側に向かって延びてドアインナパネル11の上部を覆うウエスト部22と、を備えている。ウエスト部22の端末には、車室外側に突出する突出部23(端末部)が設けられている。突出部23は、ウィンドウガラス13に対向するものとされており、突出部23とウィンドウガラス13との間に空間S(ウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間)が形成されている。
【0021】
ドアトリム20のウエスト部22の裏面22Aには、図2に示されるように、複数の台座部24が設けられている。台座部24には、ウィンドウガラス13に対向する対向面24Aが形成されており、当該対向面24Aにはウェザーストリップ30が取り付けられている。また、ドアトリム20のウエスト部22の裏面22Aのうち、台座部24の上方には、ウエスト部22の上部に沿ってリブ25が延設されており、リブ25とウエスト部22の上部との間には、凹部25Aが設けられている。凹部25Aには、ウィンドウガラス13に向かって付勢される付勢部材40が取り付けられている。
【0022】
ウェザーストリップ30は、図2に示すように、合成ゴム製あるいは熱可塑性エラストマー製等とされており、長尺状をなしている。ウェザーストリップ30は、台座部24の対向面24Aに取り付けられる取付基部31と、当該取付基部31から車室外側に位置するウィンドウガラス13に向かうにつれて上方に延びるリップ部32と、を備える。リップ部32は、取付基部31の上下方向において2段に設けられており、上段に配されている上側リップ部32A(なお、上側リップ部が本発明のリップ部である)と、下段に配されている下側リップ部32Bとで構成されている。
【0023】
リップ部32は、図4に示されるように、その先端部がウィンドウガラス13の車室内面側の面に当接するものとされている。詳しくは、リップ部32は、その基端部が撓み変形して、当該基端部を中心に先端部が車室内外方向に移動可能となっている。そして、ドアトリム20とウィンドウガラス13との間の空間Sの大きさが変化した場合には、当該先端部がウィンドウガラス13の移動に追随して、ウィンドウガラス13の車室内面側の面に摺接する構成とされている。また、リップ部32のウィンドウガラス13に対向する面には、図示しない植毛が施されており、ウィンドウガラス13の昇降に伴ってウィンドウガラス13の内面を払拭するものとされている。このようなウェザーストリップ30の構成により、車両用ドア10の内部に水等が進入することを抑制するとともに、車室内の気密性を高めるものとされている。
【0024】
付勢部材40は、図2に示すように、オレフィン系エラストマー等の弾性部材とされており、長尺状をなしている。付勢部材40は、ドアトリム20の凹部25Aに取り付けられる取付部41と、ドアトリム20の突出部23とウィンドウガラス13との間の空間Sに配される中空部42と、を備える。また、中空部42の車室外側の面は、リップ部32に当接する当接部43とされている。さらに、中空部42の上部には、突出部23の車室内側面を被覆する被覆部44が形成されている。なお、付勢部材40は、ドアトリム20と同系色の色味とされており、車室内の意匠性を損なうことがない。
【0025】
取付部41は、図3に示されるように、平板状をなし、上面と下面に複数の圧入片41Aが形成されている。取付部41は、凹部25Aに圧入されて、圧入片41Aが凹部25Aの上側および下側に位置する内面に係止されることにより、凹部25Aに対して取り付けられている。
【0026】
中空部42は、図3に示されるように、薄肉のオレフィン系エラストマーでT字状の空間を取り囲むようにして、取付部41に一体成形されている。すなわち、中空部42は、断面視T字状の中空形状をなしている。中空部42は、上下方向における内径が車室内側で小さいものとされるとともに、車室外側で大きいものとされる向きに配置されている。中空部42の下部には、車室内側から車室外側に向かって延出するとともに、下方に下がる形状の段部42Aが形成されている。また、中空部42の車室内側の部分には、突出部23の下面と車室外側の面に沿って形成され、突出部23を受け入れる受入部42Bが設けられている。
【0027】
当接部43は、ウィンドウガラス13の車室内側の面に沿った面状とされており、上側リップ部32Aの車室内側の面に面接触するものとされている。
被覆部44は、受入部42Bの上方から車室内側に向かって延設されている。被覆部44の上面は、ドアトリム20のウエスト部22の上面と面一になるものとされている。なお、被覆部44と受入部42Bとは、突出部23を取り囲むように設けられており、ドアトリム20に対し付勢部材40を位置決めするものとされる。
【0028】
次に、付勢部材40に外力が掛かる場合について、その変形態様を説明する。
まず、図3に示すように、ウィンドウガラス13から付勢部材40に掛かる外力がない状態においては、付勢部材40の中空部42は上述したような断面視T字状の中空形状をなしている。
【0029】
続いて、図4に示すように、付勢部材40を車両用ドア10に取り付けた状態においては、上側リップ部32Aはウィンドウガラス13によって車室内側に押圧される。すると、上側リップ部32Aは、その基端部が撓み変形して、先端部が車室内側に移動する。このとき、付勢部材40は、上側リップ部32Aによって当接部43が車室内側に押圧される。すると、付勢部材40の中空部42は、段部42Aを折りたたむように中空部分が小さくなり、車室内側に向かって弾性変形する。付勢部材40は、中空部42が弾性変形した状態では、中空部42の弾発力により、当接部43が車室外側に向かって付勢される。そして、付勢部材40は、当接部43を介して上側リップ部32Aを車室外側に向かって押圧し、上側リップ部32Aにウィンドウガラス13に対する摺接力を付与する。
【0030】
続いて、図4に示す状態から、ウィンドウガラス13を昇降させた場合には、ウエスト部22の突出部23とウィンドウガラス13との間の空間Sは、ウィンドウガラス13を昇降させる前の状態と比較して、ウィンドウガラス13の湾曲形状に起因して、その大きさが変化する。空間Sが大きくなるように変化した場合には、上側リップ部32Aは、その基端部が弾性復帰し、先端部が車室外側に移動する。付勢部材40は、中空部42が弾性復帰して、空間Sにおける中空部42が詰める体積が大きくなる。さらに、付勢部材40は、当接部43が上側リップ部32Aを更に車室外側に押圧し、上側リップ部32Aがウィンドウガラス13に摺接する状態を維持する。
【0031】
次に、本実施形態1の車両用ドア10における効果を説明する。本実施形態1においては、付勢部材40がウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に形成される空間Sを詰めるから、例えばウィンドウガラス13の昇降に伴って当該空間Sが大きくなる場合であっても、ウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。具体的には、付勢部材40は、車両用ドア10に取り付けられて中空部42が弾性変形した状態では、当接部43がウィンドウガラス13に向かって付勢されている。ウィンドウガラス13の昇降に伴って、当該空間Sが大きくなる場合には、中空部42が弾性復帰して、中空部42の弾性復帰前と比較して広い空間を詰めることができる。
【0032】
また、付勢部材40に設けられた当接部43が上側リップ部32Aをウィンドウガラス13に向かって付勢するから、上側リップ部32Aに対して常に適度な摺接力を付与しつつ、上側リップ部32Aを介在してウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。また、上側リップ部32Aとウィンドウガラス13との間に隙間が生じることを抑制でき、当該隙間から走行音等が車室内に進入することを抑制できる。
【0033】
また、当該空間Sには弾性変形可能な中空部42が配されているから、中空部42がウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に形成される空間Sの大きさに応じて変形し、効果的にウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。具体的には、空間Sは、約6mm程度の幅とされ、車両用ドア10の前後方向に延びる。このとき、例えばウィンドウガラス13の昇降に伴って、車両用ドア10の前後方向において、空間Sに異なる幅寸法の部分が生じることがある。しかしながら、本実施形態においては、空間Sのうち他の部分に比べて幅寸法が大きい部分では、当該部分に位置する中空部42が弾性復帰することにより、付勢部材40が空間Sを詰める体積が他の部分より大きくなる。このため、空間Sにおいて幅寸法が大きい部分においても、付勢部材40により空間Sを十分に詰めることができ、空間Sに隙間が生じることを抑制することができる。さらに、当該弾性復帰に伴って、当接部43が上側リップ部32Aを外側に押圧することにより、空間Sにおける幅寸法が大きい部分においても、上側リップ部32Aを介在してウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0034】
また、被覆部44が突出部23の車室内側面を被覆するから、ウエスト部22の突出部23が露出することを抑制することができ、意匠性を高めることができる。さらに、被覆部44が付勢部材40の中空部42から車室内側に延設されているから、中空部42とウエスト部22の突出部23の車室外側の面との間に、溝状の隙間が生じることを抑制することができる。また、突出部23の端末面に、荒れが生じた場合においても、当該荒れた部分が露出することを防止できる。
【0035】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図5ないし図7によって説明する。なお、前記実施形態1との相違は、付勢部材40の構成にあり、その他は前記実施形態1と同様である。前記実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
付勢部材140は、オレフィン系エラストマー等の弾性部材とされており、長尺状をなしている。付勢部材140は、ドアトリム20の凹部125Aに配されるバネ部145と、ドアトリム20の凹部125Aに取り付けられる取付部141と、ドアトリム20の突出部23とウィンドウガラス13との間の空間Sに配される中空部142と、を備える。また、中空部142の車室外側の面は、リップ部32に当接する当接部143とされている。さらに、中空部142の上部には、突出部23の車室内側面を被覆する被覆部144が形成されている。
【0037】
バネ部145は、図7に示すように、付勢部材140の長手方向に沿って複数箇所に設けられており、バネ145Aがインサート成形されている。バネ部145の端部は、凹部125Aの車室内側に位置する内面に当接するものとされている。
【0038】
取付部141は、図7に示すように、平板状をなし、付勢部材140の長手方向においてバネ部145とほぼ一致する箇所に設けられたスリット141Bと、付勢部材140が車室外側に抜けないように係止する抜け止め部材141Cと、を備える。取付部141は、凹部125Aに挿入されるとともに、ドアトリム20に固定された抜け止め部材141Cをスリット141Bに貫通させることによって、ドアトリム20に取り付けられている。スリット141Bの長さ寸法と、抜け止め部材141Cの位置は、ウィンドウガラス13の昇降に伴う付勢部材140の移動を許容するように設定されている。
【0039】
中空部142は、図5に示されるように、薄肉のオレフィン系エラストマーで方形状の空間を取り囲むようにして、取付部141に一体成形されている。すなわち、中空部142は、断面視方形状の中空形状をなしている。
【0040】
次に、付勢部材140に外力が掛かる場合について、その変形態様を説明する。
まず、図5に示すように、ウィンドウガラス13から付勢部材140に掛かる外力がない状態においては、付勢部材140のバネ部145はバネ145Aが伸縮しない状態となっている。
【0041】
続いて、図6に示すように、付勢部材40を車両用ドア10に取り付けた状態においては、上側リップ部32Aはウィンドウガラス13によって車室内側に押圧される。すると、上側リップ部32Aは、その基端部が撓み変形して、先端部が車室内側に移動する。このとき、付勢部材140は、上側リップ部32Aによって当接部143が車室内側に押圧される。すると、付勢部材140のバネ部145は、バネ145Aとともに車室内外方向に圧縮される。付勢部材140は、バネ部145が圧縮した状態では、バネ145Aの弾発力により、取付部141及び中空部142が車室外側に向かって付勢される。そして、付勢部材140は、当接部143を介して上側リップ部32Aを車室外側に押圧し、上側リップ部32Aのウィンドウガラス13に対する摺接力を付与する。
【0042】
続いて、図6に示す状態から、ウィンドウガラス13を昇降させた場合には、ウエスト部22の突出部23とウィンドウガラス13との間の空間Sは、ウィンドウガラス13を昇降させる前の状態と比較して、ウィンドウガラス13の湾曲形状に起因して、その大きさが変化する。空間Sが大きくなるように変化した場合には、上側リップ部32Aは、その基端部が弾性復帰し、先端部が車室外側に移動する。付勢部材140は、バネ部145が弾性復帰するとともに取付部141および中空部143が車室外側に移動し、空間Sにおける付勢部材140が詰める体積が大きくなる。さらに、付勢部材140は、当接部143が上側リップ部32Aを更に車室外側に押圧し、上側リップ部32Aがウィンドウガラス13に摺接する状態を維持する。
【0043】
本実施形態2においては、付勢部材140がウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に形成される空間Sを詰めるから、例えばウィンドウガラス13の昇降に伴って当該空間Sが大きくなる場合であっても、ウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。具体的には、付勢部材140は、車両用ドア10に取り付けられてバネ部145が圧縮した状態では、中空部142がウィンドウガラス13に向かって付勢されている。ウィンドウガラス13の昇降に伴って、当該空間Sが大きくなる場合には、バネ部145が弾性復帰するとともに取付部141および中空部142が車室外側に移動して、バネ部145の弾性復帰前と比較して広い空間を詰めることができる。
【0044】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図8及び図9によって説明する。なお、前記実施形態1との相違は、付勢部材240の構成にあり、その他は前記実施形態1と同様である。前記実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0045】
ウエスト部22の端末は、端末部223(端末部)とされている。端末部223は、ウィンドウガラス13に対向するものとされており、端末部223とウィンドウガラス13との間に空間Sが形成されている。
【0046】
付勢部材240は、オレフィン系エラストマー等の弾性部材とされており、長尺状をなしている。付勢部材240は、ドアトリム20の凹部225Aに取り付けられる取付部241と、ドアトリム20の端末部223とウィンドウガラス13との間の空間Sに配される中空部242と、中空部242の上部から延設される弾性片246とを備える。なお、取付部241及び中空部242は、実施形態2で説明した、取付部141及び中空部142と同様の構成とされており、同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
弾性片246は、図8に示されるように、断面視円弧状をなし、中空部242の車室外側の上部から上方に向かって延出するものとされている。弾性片246の端部は、ウエスト部22の端末部223の端面に当接するものとされている。
【0048】
次に、付勢部材240に外力が掛かる場合について、その変形態様を説明する。
まず、図8に示すように、ウィンドウガラス13から付勢部材240に掛かる外力がない状態においては、付勢部材240の弾性片246は上述したような断面視円弧状をなしている。
【0049】
続いて、図9に示すように、付勢部材240を車両用ドア10に取り付けた状態においては、上側リップ部32Aはウィンドウガラス13によって車室内側に押圧される。すると、上側リップ部32Aは、その基端部が撓み変形して、先端部が車室内側に移動する。このとき、付勢部材240は、上側リップ部32Aによって当接部143が車室内側に押圧される。すると、付勢部材240の弾性片246は、その曲率が大きくなるように弾性変形する。付勢部材240は、弾性片246が弾性変形した状態では、弾性片246の弾発力により、取付部241及び中空部242が車室外側に向かって付勢される。そして、付勢部材240は、当接部143を介して上側リップ部32Aを車室外側に押圧し、上側リップ部32Aにウィンドウガラス13に対する摺接力を付与する。
【0050】
続いて、図9に示す状態から、ウィンドウガラス13を昇降させた場合には、ウエスト部22の端末部223とウィンドウガラス13との間の空間Sは、ウィンドウガラス13を昇降させる前の状態と比較して、ウィンドウガラス13の湾曲形状に起因して、その大きさが変化する。空間Sが大きくなるように変化した場合には、上側リップ部32Aは、その基端部が弾性復帰し、先端部が車室外側に移動する。付勢部材240は、弾性片246が弾性復帰するとともに取付部241および中空部242が車室外側に移動し、空間Sにおける付勢部材240が詰める体積が大きくなる。さらに、付勢部材240は、当接部143が上側リップ部32Aを更に車室外側に押圧し、上側リップ部32Aがウィンドウガラス13に摺接する状態を維持する。
【0051】
本実施形態2においては、付勢部材240がウィンドウガラス13とウエスト部22の端末部223との間に形成される空間Sを詰めるから、例えばウィンドウガラス13の昇降に伴って当該空間Sが大きくなる場合であっても、ウィンドウガラス13とウエスト部22の端末部223との間に隙間が生じることを抑制することができる。具体的には、付勢部材240は、車両用ドア10に取り付けられて弾性片246が弾性変形した状態では、付勢部材240全体がウィンドウガラス13に向かって付勢されている。ウィンドウガラス13の昇降に伴って、当該空間Sが大きくなる場合には、弾性片246が弾性復帰するとともに付勢部材240が車室外側に移動して、弾性片246の弾性復帰前と比較して広い空間を詰めることができる。
【0052】
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図10によって説明する。なお、前記実施形態1との相違は、付勢部材340の取付構造、及び、ウェザーストリップ330の取付構造にあり、その他は前記実施形態1と同様である。前記実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0053】
ウエスト部22の端末は、端末部323(端末部)とされている。端末部323は、ウィンドウガラス13に対向するものとされており、端末部323とウィンドウガラス13との間に空間Sが形成されている。
【0054】
ドアトリム320のウエスト部22の裏面22Aには、ウエスト部22の上部に沿って受け座327が配されている。受け座327は、ドアトリム320とは別に成形されており、ドアトリム320の表面を覆う状態で表皮320Aを配した後に、ドアトリム320に対して位置決めされる。受け座327には、ウィンドウガラス13に向かって付勢された付勢部材340が取り付けられている。
【0055】
ウェザーストリップ330は、合成ゴム製あるいは熱可塑性エラストマー製等とされており、長尺状をなし、ドアインナパネル11のフランジ部11A(上端部)に取り付けられる取付基部331と、当該取付基部331からウィンドウガラス13に向かうにつれて上方に延びるリップ部32と、を備える。
【0056】
付勢部材340は、オレフィン系エラストマー等の弾性部材とされており、長尺状をなしている。付勢部材340は、受け座327に取り付けられる取付部341と、ドアトリム320の端末部323とウィンドウガラス13との間の空間Sに配される中空部342と、を備える。
【0057】
取付部341は、溝状をなし、当該溝状の部分に受け座327の上端部を収容するものとされている。そして、取付部341は、抜け止め部材341Cが当該取付部341及び受け座327を貫通することにより、受け座327に対して取り付けられている。また、中空部342は、図10に示されるように、中空形状をなしている。
【0058】
<実施形態5>
本発明の実施形態5を図11によって説明する。なお、前記実施形態1との相違は、付勢部材440がウィンドウガラス13と当接するところにあり、その他は前記実施形態1と同様である。前記実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0059】
中空部42の車室外側の面は、ウィンドウガラス13に当接するガラス当接部443とされている。ガラス当接部443は、ウィンドウガラス13の車室内側の面に沿った面状とされており、ウィンドウガラス13の車室内側の面に面接触するものとされている。ガラス当接部443のウィンドウガラス13に対向する面には、図示しない植毛が施されており、ウィンドウガラス13の昇降に伴ってウィンドウガラス13の内面を払拭するものとされている。このような付勢部材440の構成により、ウェザーストリップ30と同様に、車両用ドア10の内部に水等が進入することを抑制するとともに、車室内の気密性を高めるものとされている。
【0060】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
(1)上記実施形態においては、付勢部材40は、オレフィン系エラストマー等の弾性部材を例示したが、これに限られず、例えば、発泡ゴム、ソリットゴム等の弾性部材とされてもよい。
【0062】
(2)上記実施形態において、付勢部材40は、ドアトリム20の同系色の色味のものを例示したが、これに限られず、ドアトリム20と異なる色味とされてもよい。この場合には、付勢部材は、車室内の配色のアクセントとなり、車室内のインテリア性を高めることができる。
【0063】
(3)上記実施形態においては、ウィンドウガラス13の湾曲形状に起因して、空間Sの大きさが変化する場合に、付勢部材40により当該空間Sに隙間が生じることを抑制する態様について例示したが、空間Sの大きさが変化する要因はこれに限られない。例えば、ドアインナパネル11またはドアトリム20の撓み変形に起因して、空間Sの大きさが変化する場合であっても、付勢部材40により当該空間Sに隙間が生じることを抑制することができる。
【0064】
(4)上記実施形態においては、リップ部32として下側リップ部32Bを備えるウェザーストリップ30を例示したが、これに限られず、下側リップ部32Bを備えないウェザーストリップも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0065】
(5)上記実施形態においては、付勢部材40,140,240をウィンドウガラス13に向かって付勢する構成として、中空部42、バネ部145、弾性片246をそれぞれ例示したが、付勢部材は、ウィンドウガラス13に向かって付勢されていればよく、付勢部材を付勢する構成はこれらに限られない。
【0066】
(6)上記実施形態においては、付勢部材40,140,240として、中空部42、バネ部145、弾性片246をそれぞれ、または、組み合わせて備えるものを例示したが、これらに限られない。例えば、付勢部材は、中空部、バネ部、弾性片、のうち、一つを備えるものであってもよく、それぞれを適宜組み合わせて備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…車両用ドア、11…ドアインナパネル(ドアパネル)、11A…フランジ部(上端部)、13…ウィンドウガラス、20,320…ドアトリム、21…本体部、22…ウエスト部、22A…ウエスト部の裏面、23…突出部(端末部)、24…台座部、24A…対向面、25…リブ、25A、125A,225A…凹部、30,330…ウェザーストリップ、31,331…取付基部、32…リップ部、32A…上側リップ部(リップ部)、32B…下側リップ部、40、140,240,340,440…付勢部材、41、141,241,341…取付部、41A…圧入片、141B…スリット部、141C,341C…抜け止め部材、42、142,242,342…中空部、42A…段差部、42B…受入部、43,143…当接部、44,144…被覆部、145…バネ部、145A…バネ、223,323…端末部、246…弾性片、327…受け座、443…ガラス当接部、S…空間(ウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間)
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用ドアに関する。
【背景技術】
【0002】
車両用ドアとしては、ウィンドウガラス(ドアガラス)とドアトリムとの間に、ウィンドウガラスに摺接するウェザーストリップを設けることが知られている(例えば、下記特許文献1)。当該ウェザーストリップは、合成ゴム等の弾性体からなり、第1取付片及び第2取付片によりドアトリム及びインナパネルに取り付けられる一方、リップ部の先端部がウィンドウガラスに当接するものとされている。このような構成により、ウィンドウガラスとドアトリムの端末部との間に形成される空間をリップ部により詰める構成とされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2007−106213号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に開示の車両用ドアでは、ウィンドウガラスとドアトリムの端末部との間に形成される空間の大きさが変化する場合には、ウェザーストリップ自体の弾性力によりリップ部がウィンドウガラスに当接する角度が変化して、当該空間に隙間が生じることを抑制するものと考えられる。
【0005】
しかしながら、例えば、ウィンドウガラスの昇降により、ウィンドウガラスとドアトリムの端末部との間に形成される空間が、ウェザーストリップ自体の弾性力によりリップ部がウィンドウガラスに当接可能な範囲を超えて大きくなる場合には、当該空間に隙間が生じるおそれがあり、問題となる。
【0006】
本発明は上記のような事情に基づいて完成されたものであって、ウィンドウガラスとドアトリムの端末部との間に形成される空間に隙間が生じることを抑制可能な車両用ドアを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、車両用のドアパネルに沿って昇降するウィンドウガラスの車室内側に配設されたドアトリムと、前記ウィンドウガラスと前記ドアトリムとの間に配設され、前記ウィンドウガラスに摺接するウェザーストリップとを備えた車両用ドアであって、前記ドアトリムは、前記ドアパネルの車室内側面を覆う本体部と、該本体部の上部から車室外側に向かって延びて前記ドアパネルの上部を覆うウエスト部と、を備え、前記ウエスト部の裏面には、前記ウィンドウガラスに向かって付勢された付勢部材が取り付けられており、前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスと前記ウエスト部の端末部との間に形成される空間を詰めることに特徴を有する。
【0008】
本発明においては、付勢部材がウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間を詰めるから、例えばウィンドウガラスの昇降に伴って当該空間が大きくなる場合であっても、ウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0009】
上記構成において、前記ウェザーストリップは、前記ウエスト部の裏面又は前記ドアパネルの上端部の少なくともどちらか一方に取り付けられる取付基部と、該取付基部から前記ウィンドウガラスに向かうにつれて上方に延びるリップ部を備え、前記付勢部材は、前記ウエスト部の裏面において、前記取付基部より上方に取り付けられるとともに、前記リップ部に当接する当接部を備え、前記当接部は、前記リップ部を前記ウィンドウガラスに向かって付勢させるものとすることができる。
【0010】
このような構成とすれば、付勢部材に設けられた当接部がリップ部をウィンドウガラスに向かって付勢するから、リップ部に対して常に適度な摺接力を付与しつつ、リップ部を介在してウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0011】
上記構成において、前記付勢部材は、前記空間内に配されるとともに、弾性変形可能な中空部を備えるものとすることができる。
【0012】
このような構成とすれば、ウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間には弾性変形可能な中空部が配されているから、中空部がウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間の大きさに応じて変形し、効果的にウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0013】
上記構成において、前記付勢部材は、前記ウエスト部の前記端末部の車室内側面を被覆する被覆部を備えるものとすることができる。
【0014】
このような構成とすれば、被覆部が端末部の車室内側面を被覆するから、ウエスト部の端末部が露出することを抑制することができ、意匠性を高めることができる。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、ウィンドウガラスとドアトリムとの間に形成される空間に隙間が生じることを抑制可能な車両用ドアを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明の実施形態1に係る付勢部材が取り付けられたドアトリムを示す斜視図。
【図2】図1のドアトリムにおける、付勢部材とウェザーストリップの取付構成を示す分解斜視図。
【図3】図2のドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図(図1のA−A線断面部分に対応)。
【図4】図3のドアトリムを取り付けた車両用ドアの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図(図1のA−A線断面部分に対応)。
【図5】本発明の実施形態2に係るドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図6】図5のドアトリムを取り付けた車両用ドアの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図7】本発明の実施形態2に係る付勢部材の上面図。
【図8】本発明の実施形態3に係るドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図9】図8のドアトリムを取り付けた車両用ドアの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図10】本発明の実施形態4に係るドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【図11】本発明の実施形態5に係るドアトリムの部分拡大図であって、付勢部材近傍を示す断面図。
【発明を実施するための形態】
【0017】
<実施形態1>
本発明の実施形態1を図1ないし図4によって説明する。本実施形態による車両用ドア10は、車両の前部座席のサイドドアとして使用されるもので、車体パネルを構成する金属製のドアインナパネル11及びドアアウタパネル(不図示)を備えている。
【0018】
車両用ドア10は、図4に示されるように、ドアインナパネル11(ドアパネル)に沿って昇降するウィンドウガラス13と、ウィンドウガラス13の車室内側に配設されたドアトリム20と、ウィンドウガラス13とドアトリム20との間に配設され、ウィンドウガラス13に摺接するウェザーストリップ30と、を備えている。ウィンドウガラス13は、車両用ドア10の外面形状に沿う曲面状をなし、ウィンドウレギュレータ(不図示)によって上下方向に昇降可能とされている。
【0019】
ドアトリム20は、ドアインナパネル11の車室内側に対して、例えばクリップ(不図示)などを介して取り付けられている。ドアトリム20は、図1に示すように、合成樹脂材料、あるいは合成樹脂材料と天然繊維(ケナフなど)を混合した材料等を板状にしたボード部材からなり、表側(車室内側)に張り出す形でアームレスト14が形成されており、インサイドドアハンドル15、スピーカグリル16、プルハンドル17などが設けられている。
【0020】
ドアトリム20は、図4に示されるように、ドアインナパネル11の車室内側面を覆う本体部21と、本体部21の上部から車室外側に向かって延びてドアインナパネル11の上部を覆うウエスト部22と、を備えている。ウエスト部22の端末には、車室外側に突出する突出部23(端末部)が設けられている。突出部23は、ウィンドウガラス13に対向するものとされており、突出部23とウィンドウガラス13との間に空間S(ウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間)が形成されている。
【0021】
ドアトリム20のウエスト部22の裏面22Aには、図2に示されるように、複数の台座部24が設けられている。台座部24には、ウィンドウガラス13に対向する対向面24Aが形成されており、当該対向面24Aにはウェザーストリップ30が取り付けられている。また、ドアトリム20のウエスト部22の裏面22Aのうち、台座部24の上方には、ウエスト部22の上部に沿ってリブ25が延設されており、リブ25とウエスト部22の上部との間には、凹部25Aが設けられている。凹部25Aには、ウィンドウガラス13に向かって付勢される付勢部材40が取り付けられている。
【0022】
ウェザーストリップ30は、図2に示すように、合成ゴム製あるいは熱可塑性エラストマー製等とされており、長尺状をなしている。ウェザーストリップ30は、台座部24の対向面24Aに取り付けられる取付基部31と、当該取付基部31から車室外側に位置するウィンドウガラス13に向かうにつれて上方に延びるリップ部32と、を備える。リップ部32は、取付基部31の上下方向において2段に設けられており、上段に配されている上側リップ部32A(なお、上側リップ部が本発明のリップ部である)と、下段に配されている下側リップ部32Bとで構成されている。
【0023】
リップ部32は、図4に示されるように、その先端部がウィンドウガラス13の車室内面側の面に当接するものとされている。詳しくは、リップ部32は、その基端部が撓み変形して、当該基端部を中心に先端部が車室内外方向に移動可能となっている。そして、ドアトリム20とウィンドウガラス13との間の空間Sの大きさが変化した場合には、当該先端部がウィンドウガラス13の移動に追随して、ウィンドウガラス13の車室内面側の面に摺接する構成とされている。また、リップ部32のウィンドウガラス13に対向する面には、図示しない植毛が施されており、ウィンドウガラス13の昇降に伴ってウィンドウガラス13の内面を払拭するものとされている。このようなウェザーストリップ30の構成により、車両用ドア10の内部に水等が進入することを抑制するとともに、車室内の気密性を高めるものとされている。
【0024】
付勢部材40は、図2に示すように、オレフィン系エラストマー等の弾性部材とされており、長尺状をなしている。付勢部材40は、ドアトリム20の凹部25Aに取り付けられる取付部41と、ドアトリム20の突出部23とウィンドウガラス13との間の空間Sに配される中空部42と、を備える。また、中空部42の車室外側の面は、リップ部32に当接する当接部43とされている。さらに、中空部42の上部には、突出部23の車室内側面を被覆する被覆部44が形成されている。なお、付勢部材40は、ドアトリム20と同系色の色味とされており、車室内の意匠性を損なうことがない。
【0025】
取付部41は、図3に示されるように、平板状をなし、上面と下面に複数の圧入片41Aが形成されている。取付部41は、凹部25Aに圧入されて、圧入片41Aが凹部25Aの上側および下側に位置する内面に係止されることにより、凹部25Aに対して取り付けられている。
【0026】
中空部42は、図3に示されるように、薄肉のオレフィン系エラストマーでT字状の空間を取り囲むようにして、取付部41に一体成形されている。すなわち、中空部42は、断面視T字状の中空形状をなしている。中空部42は、上下方向における内径が車室内側で小さいものとされるとともに、車室外側で大きいものとされる向きに配置されている。中空部42の下部には、車室内側から車室外側に向かって延出するとともに、下方に下がる形状の段部42Aが形成されている。また、中空部42の車室内側の部分には、突出部23の下面と車室外側の面に沿って形成され、突出部23を受け入れる受入部42Bが設けられている。
【0027】
当接部43は、ウィンドウガラス13の車室内側の面に沿った面状とされており、上側リップ部32Aの車室内側の面に面接触するものとされている。
被覆部44は、受入部42Bの上方から車室内側に向かって延設されている。被覆部44の上面は、ドアトリム20のウエスト部22の上面と面一になるものとされている。なお、被覆部44と受入部42Bとは、突出部23を取り囲むように設けられており、ドアトリム20に対し付勢部材40を位置決めするものとされる。
【0028】
次に、付勢部材40に外力が掛かる場合について、その変形態様を説明する。
まず、図3に示すように、ウィンドウガラス13から付勢部材40に掛かる外力がない状態においては、付勢部材40の中空部42は上述したような断面視T字状の中空形状をなしている。
【0029】
続いて、図4に示すように、付勢部材40を車両用ドア10に取り付けた状態においては、上側リップ部32Aはウィンドウガラス13によって車室内側に押圧される。すると、上側リップ部32Aは、その基端部が撓み変形して、先端部が車室内側に移動する。このとき、付勢部材40は、上側リップ部32Aによって当接部43が車室内側に押圧される。すると、付勢部材40の中空部42は、段部42Aを折りたたむように中空部分が小さくなり、車室内側に向かって弾性変形する。付勢部材40は、中空部42が弾性変形した状態では、中空部42の弾発力により、当接部43が車室外側に向かって付勢される。そして、付勢部材40は、当接部43を介して上側リップ部32Aを車室外側に向かって押圧し、上側リップ部32Aにウィンドウガラス13に対する摺接力を付与する。
【0030】
続いて、図4に示す状態から、ウィンドウガラス13を昇降させた場合には、ウエスト部22の突出部23とウィンドウガラス13との間の空間Sは、ウィンドウガラス13を昇降させる前の状態と比較して、ウィンドウガラス13の湾曲形状に起因して、その大きさが変化する。空間Sが大きくなるように変化した場合には、上側リップ部32Aは、その基端部が弾性復帰し、先端部が車室外側に移動する。付勢部材40は、中空部42が弾性復帰して、空間Sにおける中空部42が詰める体積が大きくなる。さらに、付勢部材40は、当接部43が上側リップ部32Aを更に車室外側に押圧し、上側リップ部32Aがウィンドウガラス13に摺接する状態を維持する。
【0031】
次に、本実施形態1の車両用ドア10における効果を説明する。本実施形態1においては、付勢部材40がウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に形成される空間Sを詰めるから、例えばウィンドウガラス13の昇降に伴って当該空間Sが大きくなる場合であっても、ウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。具体的には、付勢部材40は、車両用ドア10に取り付けられて中空部42が弾性変形した状態では、当接部43がウィンドウガラス13に向かって付勢されている。ウィンドウガラス13の昇降に伴って、当該空間Sが大きくなる場合には、中空部42が弾性復帰して、中空部42の弾性復帰前と比較して広い空間を詰めることができる。
【0032】
また、付勢部材40に設けられた当接部43が上側リップ部32Aをウィンドウガラス13に向かって付勢するから、上側リップ部32Aに対して常に適度な摺接力を付与しつつ、上側リップ部32Aを介在してウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。また、上側リップ部32Aとウィンドウガラス13との間に隙間が生じることを抑制でき、当該隙間から走行音等が車室内に進入することを抑制できる。
【0033】
また、当該空間Sには弾性変形可能な中空部42が配されているから、中空部42がウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に形成される空間Sの大きさに応じて変形し、効果的にウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。具体的には、空間Sは、約6mm程度の幅とされ、車両用ドア10の前後方向に延びる。このとき、例えばウィンドウガラス13の昇降に伴って、車両用ドア10の前後方向において、空間Sに異なる幅寸法の部分が生じることがある。しかしながら、本実施形態においては、空間Sのうち他の部分に比べて幅寸法が大きい部分では、当該部分に位置する中空部42が弾性復帰することにより、付勢部材40が空間Sを詰める体積が他の部分より大きくなる。このため、空間Sにおいて幅寸法が大きい部分においても、付勢部材40により空間Sを十分に詰めることができ、空間Sに隙間が生じることを抑制することができる。さらに、当該弾性復帰に伴って、当接部43が上側リップ部32Aを外側に押圧することにより、空間Sにおける幅寸法が大きい部分においても、上側リップ部32Aを介在してウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。
【0034】
また、被覆部44が突出部23の車室内側面を被覆するから、ウエスト部22の突出部23が露出することを抑制することができ、意匠性を高めることができる。さらに、被覆部44が付勢部材40の中空部42から車室内側に延設されているから、中空部42とウエスト部22の突出部23の車室外側の面との間に、溝状の隙間が生じることを抑制することができる。また、突出部23の端末面に、荒れが生じた場合においても、当該荒れた部分が露出することを防止できる。
【0035】
<実施形態2>
本発明の実施形態2を図5ないし図7によって説明する。なお、前記実施形態1との相違は、付勢部材40の構成にあり、その他は前記実施形態1と同様である。前記実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0036】
付勢部材140は、オレフィン系エラストマー等の弾性部材とされており、長尺状をなしている。付勢部材140は、ドアトリム20の凹部125Aに配されるバネ部145と、ドアトリム20の凹部125Aに取り付けられる取付部141と、ドアトリム20の突出部23とウィンドウガラス13との間の空間Sに配される中空部142と、を備える。また、中空部142の車室外側の面は、リップ部32に当接する当接部143とされている。さらに、中空部142の上部には、突出部23の車室内側面を被覆する被覆部144が形成されている。
【0037】
バネ部145は、図7に示すように、付勢部材140の長手方向に沿って複数箇所に設けられており、バネ145Aがインサート成形されている。バネ部145の端部は、凹部125Aの車室内側に位置する内面に当接するものとされている。
【0038】
取付部141は、図7に示すように、平板状をなし、付勢部材140の長手方向においてバネ部145とほぼ一致する箇所に設けられたスリット141Bと、付勢部材140が車室外側に抜けないように係止する抜け止め部材141Cと、を備える。取付部141は、凹部125Aに挿入されるとともに、ドアトリム20に固定された抜け止め部材141Cをスリット141Bに貫通させることによって、ドアトリム20に取り付けられている。スリット141Bの長さ寸法と、抜け止め部材141Cの位置は、ウィンドウガラス13の昇降に伴う付勢部材140の移動を許容するように設定されている。
【0039】
中空部142は、図5に示されるように、薄肉のオレフィン系エラストマーで方形状の空間を取り囲むようにして、取付部141に一体成形されている。すなわち、中空部142は、断面視方形状の中空形状をなしている。
【0040】
次に、付勢部材140に外力が掛かる場合について、その変形態様を説明する。
まず、図5に示すように、ウィンドウガラス13から付勢部材140に掛かる外力がない状態においては、付勢部材140のバネ部145はバネ145Aが伸縮しない状態となっている。
【0041】
続いて、図6に示すように、付勢部材40を車両用ドア10に取り付けた状態においては、上側リップ部32Aはウィンドウガラス13によって車室内側に押圧される。すると、上側リップ部32Aは、その基端部が撓み変形して、先端部が車室内側に移動する。このとき、付勢部材140は、上側リップ部32Aによって当接部143が車室内側に押圧される。すると、付勢部材140のバネ部145は、バネ145Aとともに車室内外方向に圧縮される。付勢部材140は、バネ部145が圧縮した状態では、バネ145Aの弾発力により、取付部141及び中空部142が車室外側に向かって付勢される。そして、付勢部材140は、当接部143を介して上側リップ部32Aを車室外側に押圧し、上側リップ部32Aのウィンドウガラス13に対する摺接力を付与する。
【0042】
続いて、図6に示す状態から、ウィンドウガラス13を昇降させた場合には、ウエスト部22の突出部23とウィンドウガラス13との間の空間Sは、ウィンドウガラス13を昇降させる前の状態と比較して、ウィンドウガラス13の湾曲形状に起因して、その大きさが変化する。空間Sが大きくなるように変化した場合には、上側リップ部32Aは、その基端部が弾性復帰し、先端部が車室外側に移動する。付勢部材140は、バネ部145が弾性復帰するとともに取付部141および中空部143が車室外側に移動し、空間Sにおける付勢部材140が詰める体積が大きくなる。さらに、付勢部材140は、当接部143が上側リップ部32Aを更に車室外側に押圧し、上側リップ部32Aがウィンドウガラス13に摺接する状態を維持する。
【0043】
本実施形態2においては、付勢部材140がウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に形成される空間Sを詰めるから、例えばウィンドウガラス13の昇降に伴って当該空間Sが大きくなる場合であっても、ウィンドウガラス13とウエスト部22の突出部23との間に隙間が生じることを抑制することができる。具体的には、付勢部材140は、車両用ドア10に取り付けられてバネ部145が圧縮した状態では、中空部142がウィンドウガラス13に向かって付勢されている。ウィンドウガラス13の昇降に伴って、当該空間Sが大きくなる場合には、バネ部145が弾性復帰するとともに取付部141および中空部142が車室外側に移動して、バネ部145の弾性復帰前と比較して広い空間を詰めることができる。
【0044】
<実施形態3>
本発明の実施形態3を図8及び図9によって説明する。なお、前記実施形態1との相違は、付勢部材240の構成にあり、その他は前記実施形態1と同様である。前記実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0045】
ウエスト部22の端末は、端末部223(端末部)とされている。端末部223は、ウィンドウガラス13に対向するものとされており、端末部223とウィンドウガラス13との間に空間Sが形成されている。
【0046】
付勢部材240は、オレフィン系エラストマー等の弾性部材とされており、長尺状をなしている。付勢部材240は、ドアトリム20の凹部225Aに取り付けられる取付部241と、ドアトリム20の端末部223とウィンドウガラス13との間の空間Sに配される中空部242と、中空部242の上部から延設される弾性片246とを備える。なお、取付部241及び中空部242は、実施形態2で説明した、取付部141及び中空部142と同様の構成とされており、同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0047】
弾性片246は、図8に示されるように、断面視円弧状をなし、中空部242の車室外側の上部から上方に向かって延出するものとされている。弾性片246の端部は、ウエスト部22の端末部223の端面に当接するものとされている。
【0048】
次に、付勢部材240に外力が掛かる場合について、その変形態様を説明する。
まず、図8に示すように、ウィンドウガラス13から付勢部材240に掛かる外力がない状態においては、付勢部材240の弾性片246は上述したような断面視円弧状をなしている。
【0049】
続いて、図9に示すように、付勢部材240を車両用ドア10に取り付けた状態においては、上側リップ部32Aはウィンドウガラス13によって車室内側に押圧される。すると、上側リップ部32Aは、その基端部が撓み変形して、先端部が車室内側に移動する。このとき、付勢部材240は、上側リップ部32Aによって当接部143が車室内側に押圧される。すると、付勢部材240の弾性片246は、その曲率が大きくなるように弾性変形する。付勢部材240は、弾性片246が弾性変形した状態では、弾性片246の弾発力により、取付部241及び中空部242が車室外側に向かって付勢される。そして、付勢部材240は、当接部143を介して上側リップ部32Aを車室外側に押圧し、上側リップ部32Aにウィンドウガラス13に対する摺接力を付与する。
【0050】
続いて、図9に示す状態から、ウィンドウガラス13を昇降させた場合には、ウエスト部22の端末部223とウィンドウガラス13との間の空間Sは、ウィンドウガラス13を昇降させる前の状態と比較して、ウィンドウガラス13の湾曲形状に起因して、その大きさが変化する。空間Sが大きくなるように変化した場合には、上側リップ部32Aは、その基端部が弾性復帰し、先端部が車室外側に移動する。付勢部材240は、弾性片246が弾性復帰するとともに取付部241および中空部242が車室外側に移動し、空間Sにおける付勢部材240が詰める体積が大きくなる。さらに、付勢部材240は、当接部143が上側リップ部32Aを更に車室外側に押圧し、上側リップ部32Aがウィンドウガラス13に摺接する状態を維持する。
【0051】
本実施形態2においては、付勢部材240がウィンドウガラス13とウエスト部22の端末部223との間に形成される空間Sを詰めるから、例えばウィンドウガラス13の昇降に伴って当該空間Sが大きくなる場合であっても、ウィンドウガラス13とウエスト部22の端末部223との間に隙間が生じることを抑制することができる。具体的には、付勢部材240は、車両用ドア10に取り付けられて弾性片246が弾性変形した状態では、付勢部材240全体がウィンドウガラス13に向かって付勢されている。ウィンドウガラス13の昇降に伴って、当該空間Sが大きくなる場合には、弾性片246が弾性復帰するとともに付勢部材240が車室外側に移動して、弾性片246の弾性復帰前と比較して広い空間を詰めることができる。
【0052】
<実施形態4>
本発明の実施形態4を図10によって説明する。なお、前記実施形態1との相違は、付勢部材340の取付構造、及び、ウェザーストリップ330の取付構造にあり、その他は前記実施形態1と同様である。前記実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0053】
ウエスト部22の端末は、端末部323(端末部)とされている。端末部323は、ウィンドウガラス13に対向するものとされており、端末部323とウィンドウガラス13との間に空間Sが形成されている。
【0054】
ドアトリム320のウエスト部22の裏面22Aには、ウエスト部22の上部に沿って受け座327が配されている。受け座327は、ドアトリム320とは別に成形されており、ドアトリム320の表面を覆う状態で表皮320Aを配した後に、ドアトリム320に対して位置決めされる。受け座327には、ウィンドウガラス13に向かって付勢された付勢部材340が取り付けられている。
【0055】
ウェザーストリップ330は、合成ゴム製あるいは熱可塑性エラストマー製等とされており、長尺状をなし、ドアインナパネル11のフランジ部11A(上端部)に取り付けられる取付基部331と、当該取付基部331からウィンドウガラス13に向かうにつれて上方に延びるリップ部32と、を備える。
【0056】
付勢部材340は、オレフィン系エラストマー等の弾性部材とされており、長尺状をなしている。付勢部材340は、受け座327に取り付けられる取付部341と、ドアトリム320の端末部323とウィンドウガラス13との間の空間Sに配される中空部342と、を備える。
【0057】
取付部341は、溝状をなし、当該溝状の部分に受け座327の上端部を収容するものとされている。そして、取付部341は、抜け止め部材341Cが当該取付部341及び受け座327を貫通することにより、受け座327に対して取り付けられている。また、中空部342は、図10に示されるように、中空形状をなしている。
【0058】
<実施形態5>
本発明の実施形態5を図11によって説明する。なお、前記実施形態1との相違は、付勢部材440がウィンドウガラス13と当接するところにあり、その他は前記実施形態1と同様である。前記実施形態1と同一部分には、同一符号を付して重複する説明を省略する。
【0059】
中空部42の車室外側の面は、ウィンドウガラス13に当接するガラス当接部443とされている。ガラス当接部443は、ウィンドウガラス13の車室内側の面に沿った面状とされており、ウィンドウガラス13の車室内側の面に面接触するものとされている。ガラス当接部443のウィンドウガラス13に対向する面には、図示しない植毛が施されており、ウィンドウガラス13の昇降に伴ってウィンドウガラス13の内面を払拭するものとされている。このような付勢部材440の構成により、ウェザーストリップ30と同様に、車両用ドア10の内部に水等が進入することを抑制するとともに、車室内の気密性を高めるものとされている。
【0060】
<他の実施形態>
本発明は上記記述及び図面によって説明した実施形態に限定されるものではなく、例えば次のような実施形態も本発明の技術的範囲に含まれる。
【0061】
(1)上記実施形態においては、付勢部材40は、オレフィン系エラストマー等の弾性部材を例示したが、これに限られず、例えば、発泡ゴム、ソリットゴム等の弾性部材とされてもよい。
【0062】
(2)上記実施形態において、付勢部材40は、ドアトリム20の同系色の色味のものを例示したが、これに限られず、ドアトリム20と異なる色味とされてもよい。この場合には、付勢部材は、車室内の配色のアクセントとなり、車室内のインテリア性を高めることができる。
【0063】
(3)上記実施形態においては、ウィンドウガラス13の湾曲形状に起因して、空間Sの大きさが変化する場合に、付勢部材40により当該空間Sに隙間が生じることを抑制する態様について例示したが、空間Sの大きさが変化する要因はこれに限られない。例えば、ドアインナパネル11またはドアトリム20の撓み変形に起因して、空間Sの大きさが変化する場合であっても、付勢部材40により当該空間Sに隙間が生じることを抑制することができる。
【0064】
(4)上記実施形態においては、リップ部32として下側リップ部32Bを備えるウェザーストリップ30を例示したが、これに限られず、下側リップ部32Bを備えないウェザーストリップも本発明の技術的範囲に含まれる。
【0065】
(5)上記実施形態においては、付勢部材40,140,240をウィンドウガラス13に向かって付勢する構成として、中空部42、バネ部145、弾性片246をそれぞれ例示したが、付勢部材は、ウィンドウガラス13に向かって付勢されていればよく、付勢部材を付勢する構成はこれらに限られない。
【0066】
(6)上記実施形態においては、付勢部材40,140,240として、中空部42、バネ部145、弾性片246をそれぞれ、または、組み合わせて備えるものを例示したが、これらに限られない。例えば、付勢部材は、中空部、バネ部、弾性片、のうち、一つを備えるものであってもよく、それぞれを適宜組み合わせて備えるものであってもよい。
【符号の説明】
【0067】
10…車両用ドア、11…ドアインナパネル(ドアパネル)、11A…フランジ部(上端部)、13…ウィンドウガラス、20,320…ドアトリム、21…本体部、22…ウエスト部、22A…ウエスト部の裏面、23…突出部(端末部)、24…台座部、24A…対向面、25…リブ、25A、125A,225A…凹部、30,330…ウェザーストリップ、31,331…取付基部、32…リップ部、32A…上側リップ部(リップ部)、32B…下側リップ部、40、140,240,340,440…付勢部材、41、141,241,341…取付部、41A…圧入片、141B…スリット部、141C,341C…抜け止め部材、42、142,242,342…中空部、42A…段差部、42B…受入部、43,143…当接部、44,144…被覆部、145…バネ部、145A…バネ、223,323…端末部、246…弾性片、327…受け座、443…ガラス当接部、S…空間(ウィンドウガラスとウエスト部の端末部との間に形成される空間)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両用のドアパネルに沿って昇降するウィンドウガラスの車室内側に配設されたドアトリムと、前記ウィンドウガラスと前記ドアトリムとの間に配設され、前記ウィンドウガラスに摺接するウェザーストリップとを備えた車両用ドアであって、
前記ドアトリムは、前記ドアパネルの車室内側面を覆う本体部と、該本体部の上部から車室外側に向かって延びて前記ドアパネルの上部を覆うウエスト部と、を備え、
前記ウエスト部の裏面には、前記ウィンドウガラスに向かって付勢された付勢部材が取り付けられており、
前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスと前記ウエスト部の端末部との間に形成される空間を詰めることを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
前記ウェザーストリップは、前記ウエスト部の裏面又は前記ドアパネルの上端部の少なくともどちらか一方に取り付けられる取付基部と、該取付基部から前記ウィンドウガラスに向かうにつれて上方に延びるリップ部を備え、
前記付勢部材は、前記ウエスト部の裏面において、前記取付基部より上方に取り付けられるとともに、前記リップ部に当接する当接部を備え、
前記当接部は、前記リップ部を前記ウィンドウガラスに向かって付勢させることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記空間内に配されるとともに、弾性変形可能な中空部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ドア。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記ウエスト部の前記端末部の車室内側面を被覆する被覆部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【請求項1】
車両用のドアパネルに沿って昇降するウィンドウガラスの車室内側に配設されたドアトリムと、前記ウィンドウガラスと前記ドアトリムとの間に配設され、前記ウィンドウガラスに摺接するウェザーストリップとを備えた車両用ドアであって、
前記ドアトリムは、前記ドアパネルの車室内側面を覆う本体部と、該本体部の上部から車室外側に向かって延びて前記ドアパネルの上部を覆うウエスト部と、を備え、
前記ウエスト部の裏面には、前記ウィンドウガラスに向かって付勢された付勢部材が取り付けられており、
前記付勢部材は、前記ウィンドウガラスと前記ウエスト部の端末部との間に形成される空間を詰めることを特徴とする車両用ドア。
【請求項2】
前記ウェザーストリップは、前記ウエスト部の裏面又は前記ドアパネルの上端部の少なくともどちらか一方に取り付けられる取付基部と、該取付基部から前記ウィンドウガラスに向かうにつれて上方に延びるリップ部を備え、
前記付勢部材は、前記ウエスト部の裏面において、前記取付基部より上方に取り付けられるとともに、前記リップ部に当接する当接部を備え、
前記当接部は、前記リップ部を前記ウィンドウガラスに向かって付勢させることを特徴とする請求項1に記載の車両用ドア。
【請求項3】
前記付勢部材は、前記空間内に配されるとともに、弾性変形可能な中空部を備えることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の車両用ドア。
【請求項4】
前記付勢部材は、前記ウエスト部の前記端末部の車室内側面を被覆する被覆部を備えることを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の車両用ドア。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2013−6506(P2013−6506A)
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−140317(P2011−140317)
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年1月10日(2013.1.10)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年6月24日(2011.6.24)
【出願人】(000241500)トヨタ紡織株式会社 (2,945)
【Fターム(参考)】
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